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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20221110BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20221110BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H01L21/68 N
H01L21/78 M
H01L21/78 Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017221208
(22)【出願日】2017-11-16
(65)【公開番号】P2019091860
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-229128(JP,A)
【文献】特開平03-268345(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080324(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170021(WO,A1)
【文献】特開2000-248240(JP,A)
【文献】特開2010-129701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/683
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層が積層され、かつ最外層に位置する基材中に所定の第1エネルギーが付与されることで膨張する膨張性微粒子が含有された接着シートを用意する工程と、
半導体ウエハの一方の面に前記接着シートの前記接着剤層を当接させて貼付するシート貼付工程と、
前記半導体ウエハを個片化して半導体チップを形成する個片化工程と、
前記基材に前記所定の第1エネルギーを付与して前記膨張性微粒子を膨張させ、前記接着剤層に対する当該基材の接着領域を低減させる接着領域低減工程と、
前記接着剤層と前記基材とを分離する分離工程と、
前記基材が分離されて表出した前記接着剤層に支持部材を貼付する支持部材貼付工程と、
前記半導体チップを前記支持部材から取り外す取外し工程と、
前記半導体チップを基板に接着するチップ接着工程とを有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記支持部材貼付工程において、前記支持部材は、前記接着剤層に対する接着力が、前記半導体チップと前記接着剤層との接着力よりも大きくなるように設定されたものが使用され、
前記取外し工程において、前記半導体チップは、前記接着剤層から切り離されて前記支持部材から取り外され、
前記チップ接着工程において、前記半導体チップは、前記基板に接着する基板用接着剤層を介して当該基板に接着されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記接着剤層は、所定の第2エネルギーが付与されることでその接着力が低下するもので構成され、前記分離工程と支持部材貼付工程との間で前記接着剤層に前記所定の第2エネルギーを付与して当該接着剤層の接着力を低下させる接着力低下工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記支持部材貼付工程において、前記支持部材は、前記接着剤層に対する接着力が、前記半導体チップと前記接着剤層との接着力よりも小さくなるように設定されたものが使用され、
前記取外し工程において、前記半導体チップは、前記接着剤層と共に前記支持部材から取り外され、
チップ接着工程において、前記半導体チップは、前記接着剤層を介して前記基板に接着されることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記シート貼付工程において、前記基板に接着する基板用接着剤層が前記接着剤層上に積層された前記接着シートを、当該基板用接着剤層を介して前記半導体ウエハの一方の面に貼付し、
前記取外し工程において、前記基板用接着剤層と共に前記半導体チップを前記支持部材から取り外し、
前記チップ接着工程において、前記基板用接着剤層を介して前記半導体チップを前記基板に接着することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう)を個片化して半導体チップ(以下、単に「チップ」ともいう)を形成する際、各工程において適性のよいシートを使用する半導体装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-88038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の方法では、先の工程であるダイシング工程で使用したダイシングシート30(接着シート)は、当該ダイシング工程の後、接着剤32(接着剤層)と共にチップ体21(半導体チップ)から剥離されるので、第2のシートを貼付する工程(支持部材貼付工程)では、後のピックアップ工程に備え、半導体チップに接着する接着剤42を有するピックアップシート40(支持部材)を選定することが必須の要件となり、半導体装置の製造工程の自由度が低下するという不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、半導体装置の製造工程の自由度が低下することを防止することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先の工程でウエハに貼付して使用した接着シートに対し、当該ウエハに接着剤層を残して基材を分離するので、支持部材貼付工程では、接着剤層を有する支持部材を選定することが必須の要件とはならず、半導体装置の製造工程の自由度が低下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法の説明図。
図2】本発明の変形例に係る半導体装置の製造方法の説明図。
図3】本発明の変形例に係る半導体装置の製造方法の説明図。
図4】本発明の変形例に係る半導体装置の製造方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。また、図1図4は、各図の(A)に記載した方向と同じ方向から観た図なので、各図の(A)以外における方向を示す矢印は省略する。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法は、所定の第1エネルギーとしての赤外線が付与されることで膨張する膨張性微粒子SGを含む基材BSに接着剤層ALが積層された接着シートASを、ウエハWFの一方の面に貼付するシート貼付工程PC1と、ウエハWFを個片化してチップCPを形成する個片化工程PC2と、基材BSに赤外線を付与して膨張性微粒子SGを膨張させ、接着剤層ALに対する当該基材BSの接着領域を低減させる接着領域低減工程PC3と、接着剤層ALと基材BSとを分離する分離工程PC4と、基材BSが分離されて表出した接着剤層ALに支持部材としての樹脂シートRSを貼付する支持部材貼付工程PC5と、チップCPを樹脂シートRSから取り外す取外し工程PC6と、チップCPを基板CBに接着するチップ接着工程PC7とを有する。
【0011】
シート貼付工程PC1は、図1(A)に示すように、押圧手段としての押圧ローラ11で接着シートASをウエハWFの一方の面に押圧して貼付する。接着シートASは、押圧ローラ11とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりしてウエハWFに貼付される。ウエハWFは、一方の面および他方の面の少なくともどちらかの面に所定の回路が形成され、接着シートASは、そのようなウエハWFにおける所定の回路が形成された面に貼付されてもよいし、所定の回路が形成されていない面に貼付されてもよい。
本実施形態の場合、接着シートASを構成する基材BSは、個片化工程PC2で用いられる切断刃21が貫通しない程度に厚みが大きいものや、個片化された各チップCPが相互に接触しない程度に剛性が高いもの等、当該個片化工程PC2に適したものが採用される。
【0012】
個片化工程PC2は、図1(B)に示すように、切断手段としての切断刃21でウエハWFの他方の面から基材BSにまで達する複数の切込CUを形成する。切込CUは、切断刃21とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりして、図1(B)の状態でX軸およびY軸にそれぞれ平行となる格子状に形成される(X軸に平行な切込CUは不図示)。
なお、個片化工程PC2は、切断刃21として駆動機器で回転駆動するロータリカッタを採用してもよいし、回転駆動させる駆動機器の備わっていないロータリカッタを採用してもよいし、峰と刃先を備えた切断方向が一方向のカッタを採用してもよいし、峰の部分も刃先とされた切断方向が双方向のカッタを採用してもよいし、それらカッタをバイブレータや偏心モータ等の振動付与手段で振動させながら切込CUを形成してもよい。
【0013】
接着領域低減工程PC3は、図1(C)に示すように、第1エネルギー付与手段としての発光源31で赤外線を発光し、ウエハWFに貼付された接着シートASの基材BSに赤外線を付与することで、当該基材BSに含まれている膨張性微粒子SGを膨張させる。赤外線は、発光源31とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたり、それら両方の移動を規制した状態で基材BSに付与される。
基材BSは、膨張性微粒子SGが膨張すると、図1(C)中AAを付した図に示すように、無数の凸部CVが形成され、接着剤層ALとの界面から空気が進入することで、接着剤層ALとの間に空間CRが形成され、接着剤層ALに対する接着領域が低減する。そして、空間CRが基材BSと接着剤層ALとの間全域に広がると、基材BSは、接着剤層ALに対する接着領域が著しく減少し、接着剤層ALから簡単に除去できるようになる。なお、このような現象を経た接着剤層ALは、基材BSとの接着領域が減少しただけであって、その接着力が低下することはなく、基材BS剥離後の接着力は、基材BS剥離前の接着力と同等に維持される。
【0014】
分離工程PC4は、図1(D)に示すように、ウエハWFに貼付された接着シートASの基材BSに、保持手段としての剥離用シートPTを剥離手段としての剥離ローラ41で貼付しつつ、当該剥離用シートPTを回収することで接着剤層ALと基材BSとを分離する。基材BSは、剥離用シートPTとウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりして接着剤層ALから分離される。
【0015】
支持部材貼付工程PC5は、図1(E)に示すように、押圧手段としての押圧ローラ51で樹脂シートRSを接着剤層ALに押圧して貼付する。樹脂シートRSは、押圧ローラ51とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりして接着剤層ALに貼付される。このとき、樹脂シートRSは、接着剤層ALに対する接着力が、チップCPと接着剤層ALとの接着力よりも大きくなるように設定されたものが使用される。具体的には、樹脂シートRSは、接着剤層ALに当接する面が粗面化されたものや、接着剤層ALが良好に接着することができる例えば易接着処理の施された易接着PET等が使用される。また、樹脂シートRSは、接着剤層を有するものでもよいし、接着剤層を有しないものでもよい。さらに、樹脂シートRSは、基材BSに比べて厚みが小さいものや、基材BSに比べて剛性が低いもの等、取外し工程PC6に適したものが採用される。
【0016】
取外し工程PC6は、図1(F)に示すように、樹脂シートRSを介して突き上げ部材61でチップCPを突き上げ、突き上げたチップCPを保持手段としての吸着パッド62で吸着保持し、チップCPを樹脂シートRSから取り外す。このとき、チップCPは、接着剤層ALから切り離されて樹脂シートRSから取り外される。
この取外し工程PC6において、チップCPを支持する樹脂シートRSが個片化工程PC2に適した基材BSのように、厚みが大きかったり、剛性が高かったりすると、突き上げ部材61でチップCPを突き上げた際、チップCPの突き上げ量が不足して吸着パッド62での吸着保持ができなかったり、隣接するチップCPも同時に突き上げて当該隣接するチップCPを破損させたりするという不都合を発生する。一方、本実施形態のように、樹脂シートRSを当該取外し工程PC6に適したものに貼り替えておくことで、そのような不都合を未然に防止することができる。
なお、取外し工程PC6は、図1(F-1)に示すように、樹脂シートRSに張力を付与して各チップCPの相互間隔を広げてから、チップCPを樹脂シートRSから取り外すようにしてもよい。
【0017】
チップ接着工程PC7は、図1(G)に示すように、吸着パッド62で吸着保持したチップCPを基板CBに接着する。このとき、チップCPは、基板CBに接着する基板用接着剤層ADを介して当該基板CBに接着される。このような基板用接着剤層ADは、吸着パッド62で吸着保持して搬送する途中でチップCPに積層されてもよいし、予め基板CBに積層されていてもよい。
【0018】
以上のような実施形態によれば、先の工程である個片化工程PC2でウエハWFに貼付して使用した接着シートASに対し、当該ウエハWFに接着剤層ALを残して基材BSを分離するので、支持部材貼付工程PC5では、接着剤層を有する樹脂シートRSを選定することが必須の要件とはならず、半導体装置の製造工程の自由度が低下することを防止することができる。
【0019】
なお、上記実施形態で示した接着シートASを構成する接着剤層ALに、所定の第2エネルギーとしての紫外線が付与されることでその接着力が低下するものを採用し、分離工程PC4と支持部材貼付工程PC5との間で接着剤層ALに紫外線を付与して当該接着剤層ALの接着力を低下させる接着力低下工程PC8を実施してもよい。
接着力低下工程PC8は、図1(H)に示すように、第2エネルギー付与手段としての発光源81で紫外線を発光し、ウエハWFに貼付された接着シートASの接着剤層ALに当該紫外線を付与することで、当該接着剤層ALに含まれている光重合開始剤を光重合反応させ接着力を低下させる。紫外線は、発光源81とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたり、それら両方の移動を規制した状態でウエハWFに付与される。これにより、チップCPに対する接着剤層ALの接着力が低下し、チップCPを接着剤層ALから容易に取り外すことができるようになる。
なお、発光源81は、第2エネルギーの種類、特性、特質または性質によっては、チップCPを透過して接着剤層ALに当該第2エネルギーを付与することができる。
【0020】
さらに、支持部材貼付工程PC5において、樹脂シートRSは、接着剤層ALに対する接着力が、チップCPと接着剤層ALとの接着力よりも小さくなるように設定されたものを使用してもよい。具体的には、樹脂シートRSは、接着剤層ALに当接する面が少なくなるように穴や凸部が形成されたものや、接着剤層ALが良好に接着することができない例えばシリコーンが微量に積層されたもの等が使用される。この場合、図1(A)~(D)に示すシート貼付工程PC1、個片化工程PC2、接着領域低減工程PC3および分離工程PC4が実施され、図1(E)で示す支持部材貼付工程PC5で、接着剤層ALに対する接着力が、チップCPと接着剤層ALとの接着力よりも小さくなるように設定された樹脂シートRSが使用される。次いで、図2(A)に示すように、取外し工程PC6において、突き上げ部材61でチップCPを突き上げ、突き上げたチップCPを吸着パッド62で吸着保持し、チップCPを樹脂シートRSから取り外す。このとき、チップCPは、接着剤層ALと共に樹脂シートRSから取り外される。そして、図2(B)に示すように、チップ接着工程PC7において、チップCPは、接着剤層ALを介して基板CBに接着される。このとき、チップCPおよび接着剤層ALは、上記実施形態と同様に、基板用接着剤層AD(不図示)を介して基板CBに接着されてもよく、このような基板用接着剤層ADは、吸着パッド62で吸着保持して搬送する途中で接着剤層ALに積層されてもよいし、予め基板CBに積層されていてもよい。
【0021】
また、図3(A)に示すように、シート貼付工程PC1において、一方の面側から他方の面にまで達することのない切込CUが形成されたウエハWFを採用し、押圧ローラ11で接着シートASをウエハWFの一方の面に貼付し、図3(B)に示すように、個片化工程PC2において、グラインダや切断部材等の研削手段22でウエハWFの他方の面側から切込CUに達するまで研削し、当該ウエハWFを個片化してチップCPを形成してもよい。
【0022】
さらに、図4(A)に示すように、シート貼付工程PC1において、基板CBに接着する基板用接着剤層ADが接着剤層AL上に積層された接着シートASを、当該基板用接着剤層ADを介してウエハWFの一方の面に貼付してもよい。この場合、図4(B)~(E)に示すように、個片化工程PC2、接着領域低減工程PC3、分離工程PC4および支持部材貼付工程PC5が実施され、その後、図4(F)に示すように、取外し工程PC6において、基板用接着剤層ADと共にチップCPを樹脂シートRSから取り外す。次いで、図4(G)に示すように、チップ接着工程PC7において、基板用接着剤層ADを介してチップCPを基板CBに接着する。
この場合も、接着剤層ALに所定の第2エネルギーとしての紫外線が付与されることでその接着力が低下するものを採用し、分離工程PC4と支持部材貼付工程PC5との間で接着力低下工程PC8を実施してもよい。これにより、基板用接着剤層ADに対する接着剤層ALの接着力が低下し、基板用接着剤層ADと共にチップCPを樹脂シートRSから容易に取り外すことができるようになる。
なお、発光源81は、第2エネルギーの種類、特性、特質または性質によっては、チップCPおよび基板用接着剤層ADを透過して接着剤層ALに当該第2エネルギーを付与することができる。
【0023】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、シート貼付工程は、所定の第1エネルギーが付与されることで膨張する膨張性微粒子を含む基材に接着剤層が積層された接着シートを、半導体ウエハの一方の面に貼付する工程であれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0024】
シート貼付工程PC1は、駆動機器であって押圧手段としての直動モータの出力軸に支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によって接着シートASを保持可能な保持部材で接着シートASを吸着保持し、当該保持部材で保持した接着シートASをウエハWFに押圧して貼付してもよい。
【0025】
個片化工程PC2は、X軸と平行な1本の切込CUを形成してもよいし、Y軸と平行な1本の切込CUを形成してもよいし、X軸と平行でない1本または複数の切込CUを形成してもよいし、Y軸と平行でない1本または複数の切込CUを形成してもよいし、相互に不等間隔の切込CUを形成してもよいし、相互に平行または平行でない切込CUを形成してもよいし、相互に交差しない複数の切込CUを形成してもよいし、相互に直交または斜交する複数の切込CUを形成してもよいし、曲線状または折線状の1本または複数の切込CUを形成してもよく、そのような切込CUによって形成されるチップCPの形状は、円形、楕円形、三角形または四角形以上の多角形等、どのような形状でもよい。
個片化工程PC2は、ウエハWFの他方の面から接着剤層ALにまで達する切込CUを形成してもよいし、取外し工程PC6で各チップCPの相互間隔を広げる場合、接着剤層ALにまで達することのない切込CUを形成してもよい。
【0026】
接着領域低減工程PC3は、発光源31で基材BSに部分的に赤外線を付与し、当該発光源31とウエハWFとを相対移動させて基材BS全体に赤外線を付与してもよいし、基材BS全体に一括で赤外線を付与してもよいし、基材BSに赤外線を照射する時間は、当該基材BSの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して任意に決定することができるし、所定の第1エネルギーとして、赤外線以外に、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の熱を付与するものでもよく、基材BSの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して任意に決定することができるし、第1エネルギーを基材BSに集中して付与する集光板や収集板等の集中手段を採用してもよいし、発光源31としてLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等何を採用してもよいし、それらを適宜に組み合わせたものを採用してもよい。
【0027】
分離工程PC4は、保持手段として、帯状または枚葉の剥離用シートPTを採用してもよいし、駆動機器としての直動モータの出力軸に支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によって基材BSを保持可能な保持部材で基材BSを吸着保持し、当該保持部材で保持した基材BSを接着剤層ALから離間させて分離する構成等どのような構成でもよい。
【0028】
支持部材貼付工程PC5は、駆動機器であって押圧手段としての直動モータの出力軸に支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によって樹脂シートRSを保持可能なシート保持部材で樹脂シートRSを吸着保持し、当該保持部材で保持した樹脂シートRSを接着剤層ALに押圧して貼付する構成等どのような構成でもよいし、樹脂シートRSの外縁部にリングフレーム等のフレーム部材を貼付してもよく、このようなフレーム部材は、環状または環状でないものが採用されてもよい。
【0029】
取外し工程PC6は、チップCPを1個ずつまたは複数個ずつ樹脂シートRSから取り外してもよいし、各チップCPの相互間隔を広げる場合、樹脂シートRSに対し、前後方向のみ、左右方向のみ、前後左右方向のみ、前後左右その他の方向または放射方向に張力を付与してもよいし、樹脂シートRSの外縁部に貼付したフレーム部材を保持部材で保持し、ウエハWFからフレーム部材を離間させて樹脂シートRSに張力を付与してもよい。
【0030】
チップ接着工程PC7は、チップCPを1個ずつまたは複数個ずつ基板CBに接着してもよい。
【0031】
接着力低下工程PC8は、発光源81で接着剤層ALに部分的に紫外線を付与し、当該発光源81とウエハWFとを相対移動させて接着剤層AL全体に紫外線を付与してもよいし、接着剤層AL全体に一括で紫外線を付与してもよいし、接着剤層ALに紫外線を照射する時間は、当該接着剤層ALの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して任意に決定することができるし、所定の第2エネルギーとして、紫外線以外に、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の熱を付与するものでもよく、接着剤層ALの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して任意に決定することができるし、第2エネルギーを接着剤層ALに集中して付与する集光板や収集板等の集中手段を採用してもよいし、発光源81としてLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等何を採用してもよいし、それらを適宜に組み合わせたものを採用してもよく、このような接着力低下工程PC8で使用される接着剤層ALは、所定の第2エネルギーとして、赤外線以外に、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の熱等が付与されることで接着力が低下するものであれば何でもよく、そのような接着剤層ALの特性、特質、性質、材質、組成および構成等に応じて第2エネルギー付与手段が選択されればよい。
【0032】
基材BSは、例えば、特願2017-73236で開示されている粘着シート1aの熱膨張性基材11が例示できる。この粘着シート1aは、所定の第1エネルギーとしての熱が付与されることで、熱膨張性基材11の熱膨張性微粒子(膨張性微粒子SG)を膨張させ、粘着層12の表面に無数の凸部を形成し、当該粘着層12から簡単に半導体チップ51等の被着体が除去できる構成となっているが、熱膨張性基材11と粘着層12との接着力を適宜変更し、熱膨張性基材11の熱膨張性微粒子を膨張させた際、無数の凸部で当該熱膨張性基材11と粘着層12との接着領域が著しく減少する構成とすれば、本願の接着シートASとすることができる。
基材BSは、所定の第1エネルギーとして、赤外線以外に、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の熱等が付与されることで膨張する膨張性微粒子SGを含むものであれば何でもよく、そのような基材BSの特性、特質、性質、材質、組成および構成等に応じて第1エネルギー付与手段が選択されればよい。
支持部材は、樹脂シートBS2以外に、例えば、ゴムや樹脂等の弾性部材でもよいし、ガラス、金属、セラミック等の非弾性部材等であってもよいし、その他、木材、紙、布等でもよいし、接着シートや粘着シート等の接着剤層を有するものや、接着剤層や粘着剤層を有しないものでもよいし、その形状は板状でなく、例えば、球状や角柱状等なんら限定されるものではない。
【0033】
本発明における接着シートAS、樹脂シートRSおよびウエハWFの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートAS、樹脂シートRSおよびウエハWFは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよい。また、ウエハWFは、シリコーン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハであってもよい。なお、接着シートASおよび樹脂シートRSは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0034】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材を支持または保持するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
AD…基板用接着剤層
AL…接着剤層
AS…接着シート
BS…基材
CB…基板
CP…半導体チップ
PC1…シート貼付工程
PC2…個片化工程
PC3…接着領域低減工程
PC4…分離工程
PC5…支持部材貼付工程
PC6…取外し工程
PC7…チップ接着工程
PC8…接着力低下工程
RS…樹脂シート(支持部材)
SG…膨張性微粒子
WF…半導体ウエハ
図1
図2
図3
図4