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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/46 20060101AFI20221110BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20221110BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20221110BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20221110BHJP
【FI】
F16H1/46
B60K7/00
H02K7/116
H02K11/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018046512
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019158031
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-01-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】青木 英明
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】保田 亨介
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-290038(JP,A)
【文献】特開2001-090792(JP,A)
【文献】特開2017-201194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/46
B60K 7/00
H02K 7/116
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ軸を回転させるモータ部を内部に収容したモータハウジングと、
当該モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールと、
前記駆動ホイールの内部に配置されて前記モータ部の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる減速機構部と、を備えた駆動装置であって、
前記減速機構部が、前記モータ軸の回転動力を減速して当該モータ軸と同軸上に設けられた中段駆動軸に伝達させる第1減速機構部と、前記中段駆動軸の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる第2減速機構部とを有し、
前記第1減速機構部が、
前記モータ軸に設けられた第1太陽歯車と、
前記第1太陽歯車と同軸上に設けられ、前記モータハウジングに固定された第1内歯車と、
前記中段駆動軸に連結された第1遊星キャリアに回転自在に支持され、前記第1太陽歯車及び前記第1内歯車に噛み合って前記第1太陽歯車の外周を公転する第1遊星歯車と、
を有し、
前記第2減速機構部が、
前記中段駆動軸に設けられた第2太陽歯車と、
前記駆動ホイールの内面に固定された第2内歯車と、
前記モータハウジングに固定された第2支持部に回転自在に支持され、前記第2太陽歯車及び前記第2内歯車に噛み合う第2中間歯車と、を有し、
前記第2中間歯車が、前記第2太陽歯車に噛み合う大歯車と、前記大歯車に同軸上に連結されて当該大歯車よりも歯数が少なく前記第2内歯車に噛み合う小歯車と、を有することにより、前記第1減速機構部による1段の減速と前記第2減速機構部による2段の減速とを合わせた3段の減速を実現し、
前記第2支持部として、前記第2中間歯車の前記モータハウジング側とは反対の先端側に配置された先端側第2支持部を備えると共に、当該先端側第2支持部の先端側の中心部に前記モータ軸と同軸上の先端側軸部が形成され、
前記先端側軸部の外周部に、前記駆動ホイールを回転自在に軸支する先端側駆動ホイール軸受部が設けられている、
駆動装置。
【請求項2】
モータ軸を回転させるモータ部を内部に収容したモータハウジングと、
当該モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールと、
前記駆動ホイールの内部に配置されて前記モータ部の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる減速機構部と、を備えた駆動装置であって、
前記減速機構部が、前記モータ軸の回転動力を減速して当該モータ軸と同軸上に設けられた中段駆動軸に伝達させる第1減速機構部と、前記中段駆動軸の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる第2減速機構部とを有し、
前記第1減速機構部が、
前記モータ軸に設けられた第1太陽歯車と、
前記第1太陽歯車と同軸上に設けられ、前記モータハウジングに固定された第1内歯車と、
前記中段駆動軸に連結された第1遊星キャリアに回転自在に支持され、前記第1太陽歯車及び前記第1内歯車に噛み合って前記第1太陽歯車の外周を公転する第1遊星歯車と、
を有し、
前記第2減速機構部が、
前記中段駆動軸に設けられた第2太陽歯車と、
前記駆動ホイールの内面に固定された第2内歯車と、
前記モータハウジングに固定された第2支持部に回転自在に支持され、前記第2太陽歯車及び前記第2内歯車に噛み合う第2中間歯車と、を有し、
前記第2中間歯車が、前記第2太陽歯車に噛み合う大歯車と、前記大歯車に同軸上に連結されて当該大歯車よりも歯数が少なく前記第2内歯車に噛み合う小歯車と、を有することにより、前記第1減速機構部による1段の減速と前記第2減速機構部による2段の減速とを合わせた3段の減速を実現し、
前記第1減速機構部側に、前記駆動ホイールを回転自在に軸支する基端側駆動ホイール軸受部が設けられ、
前記駆動ホイールの外周部において、前記基端側駆動ホイール軸受部よりも前記モータハウジング側の部位に、走行用のクローラベルトに噛み合う駆動輪が設けられている
駆動装置。
【請求項3】
前記中段駆動軸と前記駆動ホイールの回転中心軸とが同軸上に配置されている請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
モータ軸を回転させるモータ部を内部に収容したモータハウジングと、
当該モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールと、
前記駆動ホイールの内部に配置されて前記モータ部の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる減速機構部と、を備えた駆動装置であって、
前記減速機構部が、前記モータ軸の回転動力を減速して当該モータ軸と同軸上に設けられた中段駆動軸に伝達させる第1減速機構部と、前記中段駆動軸の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる第2減速機構部とを有し、
前記第1減速機構部が、
前記モータ軸に設けられた第1太陽歯車と、
前記第1太陽歯車と同軸上に設けられ、前記モータハウジングに固定された第1内歯車と、
前記中段駆動軸に連結された第1遊星キャリアに回転自在に支持され、前記第1太陽歯車及び前記第1内歯車に噛み合って前記第1太陽歯車の外周を公転する第1遊星歯車と、
を有し、
前記第2減速機構部が、
前記中段駆動軸に設けられた第2太陽歯車と、
前記駆動ホイールの内面に固定された第2内歯車と、
前記モータハウジングに固定された第2支持部に回転自在に支持され、前記第2太陽歯車及び前記第2内歯車に噛み合う第2中間歯車と、を有し、
前記第2中間歯車が、前記第2太陽歯車に噛み合う大歯車と、前記大歯車に同軸上に連結されて当該大歯車よりも歯数が少なく前記第2内歯車に噛み合う小歯車と、を有し、
前記第1減速機構部側に、前記駆動ホイールを回転自在に軸支する基端側駆動ホイール軸受部が設けられ、
前記基端側駆動ホイール軸受部が、前記第1内歯車の外周部に直接取り付けられている駆動装置。
【請求項5】
前記モータ部が、電力によりモータ軸を回転させる電動モータ部であり、
前記モータハウジングの内部において、前記電動モータ部の前記減速機構部側とは反対側に、前記電動モータ部に対して駆動電力を供給するモータ駆動回路部が設けられている請求項1~4の何れか1項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ軸を回転させるモータ部を内部に収容したモータハウジングと、当該モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールと、前記駆動ホイールの内部に配置されて前記モータ部の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる減速機構部と、を備えた駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールの内部に、モータハウジングに収容されたモータ部の回転動力を減速して駆動ホイールに伝達させる減速機構部を配置した駆動装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
このような駆動装置は、例えば一条の無端帯状のクローラベルトを送り移動させて走行するクローラ走行装置の駆動ユニットとして利用することができる。
かかる特許文献1に記載の駆動装置は、高減速比を実現するべく、モータ軸の軸方向に沿って配置された3段の減速機構部を備えている。また、この駆動装置に設けられた1段目及び2段目の減速機構部は、太陽歯車がモータ軸に設けられて入力側とされ、内歯車がハウジングに固定されて固定側とされ、遊星キャリアがモータ軸の同軸上に配置された駆動軸に連結されて出力側とされて、太陽歯車の外周と内歯車の内周との間で遊星キャリアにより回転自在に軸支された遊星歯車が公転する所謂プラネタリー型の減速機構部として構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭62-161026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の駆動装置では、特にモータハウジングから離れた箇所に配置された2段目のプラネタリー型の減速機構部では、比較的大径となる内歯車を固定するための構造や遊星歯車を回転自在に支持しながら駆動軸に連結される遊星キャリアの構造が煩雑で大型化するという問題がある。そして、このような減速機構部をできるだけ小型化して駆動ホイールの内部空間に収めようとすると、減速比の増加に制限が生じ、高減速比化が困難となる。更に、この特許文献1に記載の駆動装置では、1段目及び2段目のプラネタリー型の減速機構部に対して3段目の減速機構部を追加することで高減速比が実現されているので、装置全体が大型化するという問題がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールの内部に、モータハウジングに収容されたモータ部の回転動力を減速して駆動ホイールに伝達させる減速機構部を配置した駆動装置において、駆動ホイールの内部空間に収まる範囲において減速機構部の高減速比化を実現可能な技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、モータ軸を回転させるモータ部を内部に収容したモータハウジングと、
当該モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールと、
前記駆動ホイールの内部に配置されて前記モータ部の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる減速機構部と、を備えた駆動装置であって、
前記減速機構部が、前記モータ軸の回転動力を減速して当該モータ軸と同軸上に設けられた中段駆動軸に伝達させる第1減速機構部と、前記中段駆動軸の回転動力を減速して前記駆動ホイールに伝達させる第2減速機構部とを有し、
前記第1減速機構部が、
前記モータ軸に設けられた第1太陽歯車と、
前記第1太陽歯車と同軸上に設けられ、前記モータハウジングに固定された第1内歯車と、
前記中段駆動軸に連結された第1遊星キャリアに回転自在に支持され、前記第1太陽歯車及び前記第1内歯車に噛み合って前記第1太陽歯車の外周を公転する第1遊星歯車と、を有し、
前記第2減速機構部が、
前記中段駆動軸に設けられた第2太陽歯車と、
前記駆動ホイールの内面に固定された第2内歯車と、
前記モータハウジングに固定された第2支持部に回転自在に支持され、前記第2太陽歯車及び前記第2内歯車に噛み合う第2中間歯車と、を有し、
前記第2中間歯車が、前記第2太陽歯車に噛み合う大歯車と、前記大歯車に同軸上に連結されて当該大歯車よりも歯数が少なく前記第2内歯車に噛み合う小歯車と、を有する点にある。
【0007】
本構成によれば、駆動ホイールの内部に配置された減速機構部が、前段の第1減速機構部と後段の第2減速機構部とで構成されており、これら第1減速機構部及び第2減速機構部により、モータ部の回転動力が減速されて駆動ホイールに伝達される。
そして、前段の第1減速機構部は、第1太陽歯車の外周と第1内歯車の内周との間で第1遊星キャリアにより回転自在に軸支された第1遊星歯車が公転する所謂プラネタリー型減速機構部として構成されている。よって、この第1減速機構部により、大型化を抑制しながら、第1太陽歯車が設けられたモータ軸の回転動力をそれと同軸上の中段駆動軸に伝達させる際の減速比(速度伝達比)を合理的に高くすることができる。
この第1減速機構部は、駆動ホイールの内部においてモータハウジング側(以下「基端側」と呼ぶ場合がある。)に配置することができる。よって、比較的大径となる第1内歯車については、それに近接するモータハウジングに対してできるだけコンパクトな構成で固定することができる。更に、中段駆動軸がモータ軸と同軸上に配置されているので、第1遊星歯車を回転自在に支持しながら中段駆動軸に連結される第1遊星キャリアについても、できるだけコンパクトな構成とすることができる。
【0008】
一方、後段の第2減速機構部は、第2太陽歯車の外周と第2内歯車の内周との間で第2支持部により回転自在に軸支された第2中間歯車が自転する所謂スター型減速機構部として構成されている。よって、この第2減速機構部により、第2太陽歯車が設けられた中段駆動軸の回転動力を一層減速させてそれらを内部に収容する駆動ホイールに伝達させることができる。この第2減速機構部は、駆動ホイールの内部においてモータハウジング側とは反対側(以下「先端側」と呼ぶ場合がある。)に配置することができる。よって、比較的大径となる第1内歯車については、それに隣接する駆動ホイールの内面の先端側に対してできるだけコンパクトな構成で固定することができる。一方、第2中間歯車を回転自在に支持する第2支持部については、上記第2内歯車よりも小径となることから、できるだけコンパクト構成でモータハウジングに対して固定することができる。
【0009】
そして、上記のような減速機構部の構成を採用することにより、スター型に構成された第2減速機構部において、第2中間歯車を、第2太陽歯車に噛み合う大歯車と、その大歯車に同軸上に連結されて当該大歯車よりも歯数が少なく第2内歯車に噛み合う小歯車とで構成することができる。この構成により、第2減速機構部の第2中間歯車は、大歯車が第2太陽歯車と噛み合いながら、小歯車が第2内歯車と噛み合う状態で、大歯車と小歯車とが同期回転する。即ち、この第2減速機構部では、第2太陽歯車と第2中間歯車の大歯車との間で行われる減速と、第2中間歯車の小歯車と第2内歯車との間で行われる減速との2段の減速を行うことができる。
よって、減速機構部では、第1減速機構部及び第2減速機構部に対して別の減速機構部を追加することなく小型化を図りながら、第1減速機構部による1段の減速と第2減速機構部による2段の減速とをあわせた3段の減速を行って高減速比化を実現することができる。
【0010】
従って、本発明により、モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールの内部に、モータハウジングに収容されたモータ部の回転動力を減速して駆動ホイールに伝達させる減速機構部を配置した駆動装置において、駆動ホイールの内部空間に収まる範囲において減速機構部の高減速比化を実現可能な技術を提供することができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記中段駆動軸と前記駆動ホイールの回転中心軸とが同軸上に配置されている点にある。
【0012】
本構成によれば、中段駆動軸と駆動ホイールの回転中心軸とが同軸上に配置されているので、第2減速機構部において、中段駆動軸に設けられた第2太陽歯車と、駆動ホイールの内面に固定された第2内歯車とが同軸上に配置されることになる。よって、これらの間に配置する第2中間歯車を、第2太陽歯車の外周に複数配置することができる。このことにより、複数の第2中間歯車により第2太陽歯車の回転動力をバランス良く第2内歯車に伝達させることができる。更に、第2太陽歯車から第2内歯車への動力伝達が並列になって各噛み合い部での接触応力が小さくなるので、各歯車においてのモジュールの大きさや歯幅を決定する要素となる必要強度をできるだけ小さくして小型化を図ることができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記第2支持部として、前記第2中間歯車の前記モータハウジング側とは反対の先端側に配置された先端側第2支持部を備えると共に、当該先端側第2支持部の先端側の中心部に前記モータ軸と同軸上の先端側軸部が形成され、
前記先端側軸部の外周部に、前記駆動ホイールを回転自在に軸支する先端側駆動ホイール軸受部が設けられている点にある。
【0014】
本構成によれば、モータハウジング側に固定された第2減速機構部の先端側第2支持部の先端側に先端側軸部が形成され、その外周部に先端側駆動ホイール軸受部が設けられている。このことで、安価且つコンパクトなベアリング等で構成可能な先端側駆動ホイール軸受部を採用しながら、それにより駆動ホイールの先端側を軸支することができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記第一減速機構部側に、前記駆動ホイールを回転自在に軸支する基端側駆動ホイール軸受部が設けられ、
前記駆動ホイールの外周部において、前記基端側駆動ホイール軸受部よりも前記モータハウジング側の部位に、走行用のクローラベルトに噛み合う駆動輪が設けられている点にある。
【0016】
本構成によれば、駆動ホイールの外周部において例えば第1内歯車の外周部等の第1減速機構部側に設けられた基端側駆動ホイール軸受部よりも基端側の部位に駆動輪が設けられているので、駆動輪を駆動装置の中心に近い部位に配置して、走行用のクローラベルトの内部において駆動装置をバランス良く配置することができる。
そして、このように駆動ホイールにおいて駆動輪が基端側ホイール軸受部よりも基端側に配置されている場合であっても、比較的大型なベアリング等で構成可能な基端側駆動ホイール軸受部により、駆動ホイールにおける駆動輪に近い基端側を安定且つ強固に軸支することができる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、前記第1減速機構部側に、前記駆動ホイールを回転自在に軸支する基端側駆動ホイール軸受部が設けられ、
前記基端側駆動ホイール軸受部が、前記第1内歯車の外周部に直接取り付けられている点にある。
【0018】
本構成によれば、第1減速機構部側において、駆動ホイールを回転自在に軸支する基端側駆動ホイール軸受部が、第1内歯車の外周部に直接取り付けられているので、当該基端側駆動ホイール軸受部を構成するベアリング等をできるだけ小さくして、駆動ホイールの一層のコンパクト化に寄与することができる。
【0019】
本発明の第6特徴構成は、前記モータ部が、電力によりモータ軸を回転させる電動モータ部であり、
前記モータハウジングの内部において、前記電動モータ部の前記減速機構部側とは反対側に、前記電動モータ部に対して駆動電力を供給するモータ駆動回路部が設けられている点にある。
【0020】
本構成によれば、減速機構部の高減速比化を実現することができるので、モータ部として比較的安価な高速タイプの電動モータ部を採用した場合であっても、例えばクローラベルトの送り移動に好適な低速の状態で、駆動ホイールを回転させることができる。更には、減速機構部のコンパクト化が実現されているので、モータハウジングの内部において減速機構部側とは反対側である基端側に、インバータ等のモータ駆動回路部を収容するためのスペースを適切に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態における駆動装置の横断面図
図2】本実施形態における駆動装置の動力伝達状態を示す図
図3】第1減速機構部での縦断面図
図4】第2減速機構部での縦断面図
図5】駆動装置の斜視図
図6】駆動装置の第2減速部を露出させた状態の分解斜視図
図7】駆動装置の第1減速部を露出させた状態の分解斜視図
図8】本実施形態の駆動装置を利用したクローラ走行装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る駆動装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
図8に示すように、本実施形態の駆動装置1は、一条の無端帯状のクローラベルト101を送り移動させて走行するクローラ走行装置100の駆動部として利用される。
具体的に、クローラ走行装置100は、駆動装置1と当該駆動装置1により回転駆動される駆動輪102とを有する駆動ユニット110と、回転自在に支持された従動輪105とが、互いに離間して配置されている。そして、一条の無端帯状のクローラベルト101が、これら互いに離間して配置された駆動輪102と従動輪105との夫々に外接するように巻回されている。
また、クローラベルト101の内側において駆動ユニット110と従動輪105との間には、駆動装置1に対して動力源となる電力を供給するバッテリが設置されるバッテリ設置部107が設けられている。そして、これら駆動ユニット110と従動輪105とバッテリ設置部107とは、支持フレーム108により支持されている。
そして、駆動輪102と従動輪105とに巻回された無端帯状のクローラベルト101が、駆動輪102が駆動装置1により回転駆動することにより従動輪105の従動回転を伴ってクローラ幅方向と直交するクローラ送り方向に沿って送り移動される。すると、クローラ走行装置100は、この送り移動されるクローラベルト101の下面を地表面に接地する状態で、駆動輪102と従動輪105との夫々の中心を結ぶ方向に沿って走行することができる。
【0023】
次に、本実施形態の駆動装置1の詳細構成について、図1図7に基づいて説明する。
図1に示すように、駆動装置1は、モータ軸21を回転させる電動モータ部20(モータ部の一例)を内部に収容したモータハウジング10と、当該モータハウジング10に対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイール30と、駆動ホイール30の内部に配置されて電動モータ部20の回転動力を減速して駆動ホイール30に伝達させる減速機構部Xと、を備えたものとして構成されている。
また、モータハウジング10の内部において、電動モータ部20の減速機構部X側とは反対側には、電動モータ部20に対して駆動電力を供給するインバータ等のモータ駆動回路部25が設けられている。
尚、本実施形態において、モータハウジング10から見て駆動ホイール30側を「先端側」と呼ぶ場合があり、駆動ホイール30から見てモータハウジング10側を「基端側」と呼ぶ場合がある。
【0024】
モータハウジング10は、図1に示すように、筒状のハウジング本体11と、そのハウジング本体11の基端側の開放部にボルトにより固定されて当該開放部を封鎖する底蓋12とを有して構成されている。
モータハウジング10の内部の先端側には、比較的安価な高速タイプの電動モータ部20が固定されており、その電動モータ部20のモータ軸21が、当該モータハウジング10の筒軸心に沿って配置されている。そして、モータ軸21の先端部21bは、先端側の支持プレート45に固定されたベアリング46により回転自在に軸支されており、モータ軸21の基端部21aは、基端側の支持プレート14に固定されたベアリング15により回転自在に軸支されている。
【0025】
モータハウジング10の内部の基端側には、支持プレート14に固定される形態で、電動モータ部20に対して駆動電力を供給するインバータ等のモータ駆動回路部25が設けられている。また、支持プレート14には、モータ軸21の基端部21aを拘束して、当該モータ軸21の回転駆動に対してブレーキ力を負荷する制動機構部27が設けられている。
【0026】
駆動ホイール30は、図1及び図5に示すように、先端側が底部として封鎖された有底筒状の部材として構成されている。
駆動ホイール30の先端側には、内部に潤滑オイルを供給するためのオイル供給口30aが形成され、そのオイル供給口30aを封鎖するためのキャップ30Bが着脱自在に取り付けられている。また、これらオイル供給口30aの形成箇所を含む駆動ホイール30の先端側の表面には、化粧蓋30Aが着脱自在に取り付けられている。
更に、図1に示すように、駆動ホイール30の基端側縁部には、フランジリング33が取り付けられており、そのフランジリング33の外周に設けられた取付部33aに対して駆動輪102がボルトにより固定されている。
そして、駆動ホイール30におけるモータハウジング10に近い側の基端側縁部に駆動輪102が固定されており、クローラベルト102の幅方向における中心位置にその駆動輪1が係合することから、駆動装置1の駆動ホイール30及びモータハウジング10がクローラベルト101の内側の領域に好適に収まるようになる。
【0027】
そして、駆動装置1は、図1に示すように、上述のような有底筒状のモータハウジング10と有底筒状の駆動ホイール30とを互いに開口部を対向させた状態で重ね合わせた一体型のモジュールとして構成されている。そして、これらモータハウジング10と駆動ホイール30との内部に形成された空間において、モータハウジング10側から順に、モータ駆動回路部25、電動モータ部20、減速機構部X等が配置されている。
【0028】
駆動ホイール30の内部に配置された減速機構部Xは、モータハウジング10の配置された電動モータ部20の回転動力を、第1減速機構部40と第2減速機構部50とで減速して、駆動ホイール30に伝達させるように構成されている。即ち、第1減速機構部40は、モータ軸21の回転動力を減速して当該モータ軸21と同軸上に設けられた中段駆動軸48に伝達させる。更に、第2減速機構部50は、中段駆動軸48の回転動力を減速して駆動ホイール30に伝達させる。
以下、第1減速機構部40及び第2減速機構部50の夫々の詳細構成について、順に説明する。
【0029】
〔第1減速機構部〕
減速機構部Xにおける前段の第1減速機構部40は、図1図2図3、及び図7に示すように、駆動ホイール30の内部において後述する第2減速機構部50よりもモータハウジング10に近い側に配置されており、第1太陽歯車41、第1内歯車42、第1遊星キャリア43、及び第1遊星歯車44を有して構成されている。
【0030】
第1太陽歯車41は、モータ軸21の先端部21bに設けられた比較的小径の外歯歯車である。一方、第1内歯車42は、第1太陽歯車41と同軸上に設けられ、モータハウジング10の支持プレート45に固定された比較的大径の内歯歯車である。
第1遊星歯車44は、第1太陽歯車41及び第1内歯車42に噛み合って第1太陽歯車41の外周を公転する外歯歯車であり、第1太陽歯車41の外周に沿って均等に同歯数の3つの第1遊星歯車44が配置されている。また、第1遊星キャリア43は、これら3つの第1遊星歯車44を回転自在に支持すると共に、モータ軸21の先端側において当該モータ軸21と同軸上に配置された中段駆動軸48に連結されて当該中段駆動軸48と一体的に回転するものとして構成されている。
【0031】
即ち、第1減速機構部40では、第1太陽歯車41がモータ軸21に設けられて入力側とされ、第1内歯車42がモータハウジング10に固定されて固定側とされ、第1遊星キャリア43が中段駆動軸48に連結されて出力側とされている。そして、この第1減速機構部40は、第1太陽歯車41の外周と第1内歯車42の内周との間で第1遊星キャリア43により回転自在に軸支された第1遊星歯車44が公転する所謂プラネタリー型減速機構部として構成されている。
よって、このプラネタリー型の第1減速機構部40では、比較的小型でありながら、第1太陽歯車41が設けられたモータ軸21の回転動力をそれと同軸上の中段駆動軸48に伝達させる際の減速比を合理的に高く設定できている。
【0032】
更に、この第1減速機構部40は、駆動ホイール30の内部においてモータハウジング10に近い側に配置されている。よって、比較的大径の第1内歯車42をモータハウジング10に対して固定するための支持プレート45は、第1内歯車42よりも小径で且つ近い位置にあるモータハウジング10の先端側に固定されるものとなるので、比較的コンパクトなものとなっている。一方、中段駆動軸48がモータ軸21と同軸上に配置されているので、第1遊星歯車44を回転自在に支持しながら中段駆動軸48に連結される第1遊星キャリア43についても、比較的コンパクトなものとなっている。
【0033】
〔第2減速機構部50〕
減速機構部Xにおける後段の第2減速機構部50は、図1図2図4、及び図6に示すように、駆動ホイール30の内部において前述の第1減速機構部40よりもモータハウジング10から遠い側に配置されており、第2太陽歯車51、第2内歯車52、第2支持部53、及び第2中間歯車54を有して構成されている。
【0034】
第2太陽歯車51は、中段駆動軸48の基端部48aに設けられた比較的小径の外歯歯車である。一方、第2内歯車52は、駆動ホイール30の先端側の内面に固定された比較的大径の内歯歯車である。
第2中間歯車54は、第2太陽歯車51及び第2内歯車52に噛み合う外歯歯車であり、第2太陽歯車51の外周に沿って均等に同歯数の3つの第2中間歯車54が配置されている。また、第2支持部53は、これら3つの第2中間歯車54を回転自在に支持すると共に、モータハウジング10の支持プレート45に固定されたものとして構成されている。
【0035】
即ち、後段の第2減速機構部50では、第2太陽歯車51が中段駆動軸48に設けられて入力側とされ、第2内歯車52が駆動ホイール30に固定されて出力側とされ、第2支持部53がモータハウジング10に固定されて固定側とされている。そして、この第2減速機構部50は、第2太陽歯車51の外周と第2内歯車52の内周との間で第2支持部53により回転自在に軸支された第2中間歯車54が自転する所謂スター型減速機構部として構成されている。
よって、このスター型の第2減速機構部50では、第2太陽歯車51が設けられた中段駆動軸48の回転動力を一層減速してそれらを内部に収容する駆動ホイール30に伝達させることができている。
【0036】
更に、この第2減速機構部50は、駆動ホイール30の内部においてモータハウジング10に対して上述の第1減速機構部40を挟んで遠い側である先端側に配置されている。よって、比較的大径となる第2内歯車52を駆動ホイール30の内面に固定するための固定部は、近い位置にある駆動ホイール30の内面の先端部に固定されるものとなるので、比較的コンパクトなものとなっている。一方、第2中間歯車54を回転自在に支持する第2支持部53については、第2中間歯車54の中心が第2内歯車52よりも中心側にあることから上記第2内歯車52よりも小径のものとなり、モータハウジング10の支持プレート45に対してコンパクトな構成で固定されるものとなる。
【0037】
尚、第2中間歯車54を回転自在に支持する第2支持部53は、第2中間歯車54の基端側に配置された基端側第2支持プレート53Aと第2中間歯車54の先端側に配置された先端側第2支持プレート53B(先端側第2支持部の一例)とで構成されている。基端側第2支持プレート53Aは、モータハウジング10の支持プレート45に固定されている。先端側第2支持プレート53Bは、基端側第2支持プレート53Aに先端側に向けて突出形成された支持柱部53Aaに固定されている。また、この支持柱部53Aaは、3つの第2中間歯車54の隣接間に形成される3つの隙間の夫々を通過する状態で3箇所に設けられている。
そして、第2中間歯車54は、これら一対の第2支持プレート53A,53Bに対して、間に挟まれた状態で回転自在に支持されている。
中段駆動軸48の先端部48bは、先端側第2支持プレート53Bに固定されたベアリング55により回転自在に軸支されており、中段駆動軸48の基端部48aは、基端側第2支持プレート53Aに固定されたベアリング47により回転自在に軸支されている。
【0038】
この第2減速機構部50において、第2中間歯車54は、中間駆動軸48に設けられた第2太陽歯車51に噛み合う大歯車54Aと、大歯車54Aに同軸上に連結されて当該大歯車54Aよりも歯数が少なく駆動ホイール30の先端側の内面に固定された第2内歯車52に噛み合う小歯車54Bとを有して構成されている。
即ち、第2中間歯車54は、大歯車54Aが第2太陽歯車51と噛み合いながら、小歯車54Bが第2内歯車52と噛み合う状態で、大歯車54Aと小歯車54Bとが同期回転する。この第2減速機構部50では、第2太陽歯車51と第2中間歯車54の大歯車54Aとの間で行われる減速と、第2中間歯車54の小歯車54Bと第2内歯車52との間で行われる減速との2段の減速が行われることで、減速比の増加が図られている。
更に、この第2中間歯車54では、大歯車54Aと第2内歯車52とを中段駆動軸48の径方向において重複する状態で配置することができる。よって、第2太陽歯車51の外周面と駆動ホイール10の内周面との間に形成された比較的大きな空間に、できるだけ大きな大歯車54Aを配置して、減速比の一層の増加を図ることができる。
【0039】
よって、以上のような減速機構部Xでは、第1減速機構部による1段の減速と第2減速機構部による2段の減速とをあわせた3段の減速が行われることになって、例えば減速比(=入力側回転数/出力側回転数)を80~100程度と非常に高いものとすることができる。よって、比較的安価な高速タイプの電動モータ部20を駆動源として採用した場合であっても、駆動ホイール30をクローラベルト101の送り移動に好適な非常に低速に状態で回転駆動させることできる。
更に、この減速機構部Xでは、上述のような3段の減速を行うにあたり、第1減速機構部40及び第2減速機構部50に対して別の減速機構部を追加する必要がないため、小型化が図ることができる
【0040】
第2減速機構部50では、中段駆動軸48と第2内歯車52の回転中心軸とが同軸上に配置されている。このことで、中段駆動軸48に設けられた第2太陽歯車51と、駆動ホイール30の内面に固定された第2内歯車52とが同軸上に配置されることになる。すると、これらの間に配置する第2中間歯車54を、第2太陽歯車51の外周に複数配置することができ、本実施形態では、3つの第2中間歯車54が第2太陽歯車51の外周に沿って均等に配置されている。この構成により、第2太陽歯車51の回転動力が複数の第2中間歯車54によりバランス良く第2内歯車52に伝達されることになる。
更に、第2太陽歯車51から第2内歯車52へは、複数の第2中間歯車54を介して並列で動力伝達が行われることになる。すると、第2太陽歯車51と複数の第2中間歯車54の夫々との噛み合い部に生じる接触応力、及び、複数の第2中間歯車54の夫々と第2内歯車52との噛み合い部に生じる接触応力は小さくなる。よって、第2減速機構部50を構成する各歯車51,52,54に対して要求される必要強度が小さくなるので、これら歯車51,52,54のモジュールの大きさや歯幅や外径や厚み等については、できるだけ小さく設定することができる。
【0041】
次に、駆動ホイール30の軸受構造について説明を加える。
図1に示すように、駆動ホイール30の先端側が、第2減速機構部50側に設けられたベアリング31(先端側駆動ホイール軸受部の一例)に回転自在に軸支されており、駆動ホイール30の基端側が第1減速機構部40側に設けられたベアリング32(基端側駆動ホイール軸受部の一例)に回転自在に軸支されている。
【0042】
第1減速機構部40側に設けられた基端側駆動ホイール軸受部としてのベアリング32は、比較的大径の第1内歯車42の外周部に設けられている。よって、このベアリング32としては、比較的大型のものが採用されている。
更に、このベアリング32は、第1内歯車42の外周部に直接取り付けられている。よって、ベアリング32の外径は、第1内歯車42との間に別の部材を介装させて取り付ける場合よりも小さくなっている。
【0043】
また、前述のように、駆動輪102を駆動装置1の中心に近い部位に配置して、走行用のクローラベルト101の内部において駆動装置1をバランス良く配置するために、駆動ホイール30の外周部において、クローラベルト101の幅方向の中心に噛み合う駆動輪102は、ベアリング32よりもモータハウジング10側に近い部位に取り付けられている。そして、このような構成であっても、駆動輪102に近い位置に配置された比較的大型なベアリング32により、駆動ホイール30における駆動輪102に近い基端側が安定且つ強固に軸支されることになる。よって、駆動ホイール30にかかる径内方向の荷重については、その殆どを駆動輪102に近い大径のベアリング32で受けることができる。
【0044】
一方、第2減速機構部50が駆動ホイール30の内部において最も先端側に配置されていることから、先端側第2支持プレート53Bの先端側の中心部から先端側に向けて、モータ軸21と同軸上で小径の先端側軸部53Baを突出形成させることができる。そして、第2減速機構部50側に設けられた先端側駆動ホイール軸受部としてのベアリング31は、その小径の先端側軸部53Baの外周部に設けられている。よって、このベアリング31としては、安価である小径のものが採用されている。よって、駆動ホイール30にかかるモーメント力や回転軸の振れについては、その殆どを駆動輪102から離れた位置に配置された小径のベアリング31で受けることができる。
【0045】
駆動ホイール30の内部には潤滑オイルが溜められている。よって、駆動ホイール30の基端側の内周面とモータハウジング10の先端側の外周面との間と、モータ軸21の先端部21bの外周面とリング状の支持プレート45の内周面との間との夫々には、オイルシール35,36が設けられている。
また、駆動ホイール30の内部において、基端側のフランジリング33には、周方向において凹凸が複数形成されたオイル拡散翼60が取り付けられている。そして、このオイル拡散翼60が駆動ホイール30と共に回転することで、駆動ホイール30の内部に溜められた潤滑オイルが拡散させて、各歯車や軸受等の潤滑を行うことができる。
【0046】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施形態では、第2減速機構部50において、入力側の中段駆動軸48と出力側の駆動ホイール30の回転中心軸とを同軸上に配置したが、これらを偏心させて配置しても良い。この場合、第2太陽歯車51の外周に沿って配置された第2中間歯車54については、複数配置する場合にはそれらを異なる歯数のものにしたり、単一の中間歯車を配置することで対応することができる。
【0047】
(2)上記実施形態では、回転動力を発生するモータ部として電力を動力源とする電動モータ部20を設けたが、この電動モータ部20の代わりに、油圧を動力源とする油圧モータを設けても構わない。
【0048】
(3)上記実施形態では、駆動ホイール30の軸受構造について、駆動ホイール30の先端側を、第1減速機構部40側の先端側軸部53Baの外周部に固定された比較的小径のベアリング31で軸支すると共に、駆動ホイール30の基端側を、第1減速機構部40側の第1内歯車42の外周部に固定された比較的大径のベアリング32で軸支するように構成したが、このような駆動ホイール30の軸受構造については、適宜変更することができる。例えば、駆動ホイール30の先端側を、先端側第2支持プレート53Bの外周部に固定された比較的大径のベアリングで軸支するように構成することができる。また、駆動ホイール30の基端側を、モータハウジング10のハウジング本体11の先端縁部の外周部に設けたベアリングで軸支することもできる。
【0049】
(4)上記実施形態では、本発明に係る駆動装置1を、駆動ホイール30の外周部に装着したスプロケット状の駆動輪102によりクローラベルト101を送り移動させるクローラ走行装置100に利用する形態を説明したが、本発明に係る駆動装置は、駆動ホイール30の外周部に装着したタイヤにより走行するものなどのように、別の形態の走行装置等に利用することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 駆動装置
10 モータハウジング
20 電動モータ部(モータ部)
21 モータ軸
25 モータ駆動回路部
30 駆動ホイール
31 ベアリング(先端側駆動ホイール軸受部)
32 ベアリング(基端側駆動ホイール軸受部)
40 第1減速機構部
41 第1太陽歯車
42 第1内歯車
43 第1遊星キャリア
44 第1遊星歯車
48 中段駆動軸
50 第2減速機構部
51 第2太陽歯車
52 第2内歯車
53 第2支持部
53B 先端側第2支持プレート(先端側第2支持部)
53Ba 先端側軸部
54 第2中間歯車
54A 大歯車
54B 小歯車
101 クローラベルト
102 駆動輪
X 減速機構部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8