IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エンジニアリングシステムズ株式会社の特許一覧

特許7174529立体駐車装置の制御システムとこれを備えた立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法
<>
  • 特許-立体駐車装置の制御システムとこれを備えた立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法 図1
  • 特許-立体駐車装置の制御システムとこれを備えた立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法 図2
  • 特許-立体駐車装置の制御システムとこれを備えた立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法 図3
  • 特許-立体駐車装置の制御システムとこれを備えた立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】立体駐車装置の制御システムとこれを備えた立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/00 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
E04H6/00 A
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2018073923
(22)【出願日】2018-04-06
(65)【公開番号】P2019183466
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 直人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】窪田 剛
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-076288(JP,A)
【文献】特開2017-049765(JP,A)
【文献】特開2005-194733(JP,A)
【文献】特開2018-040128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0188100(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御システムであって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含み、
前記アプリケーションは、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段は、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段は、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションは、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行し、
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置の内部に位置していると判定した場合、或いは、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも前記開閉ゲートの開閉動作に係る前記操作情報と、前記パレットの呼び出しに係る前記操作情報とを無効化することを特徴とする立体駐車装置の制御システム。
【請求項2】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御システムであって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含み、
前記アプリケーションは、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段は、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段は、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションは、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行し、
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、少なくとも前記開閉ゲートが開かれた状態で、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れたと判定した場合に、前記利用者に注意喚起を行うことを特徴とする立体駐車装置の制御システム。
【請求項3】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御システムであって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含み、
前記アプリケーションは、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段は、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段は、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションは、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行し、
前記位置関係算出手段は、前記アプリケーションを介して、前記携帯端末が備える位置情報取得機能から前記携帯端末の位置情報を取得し、該位置情報を利用して前記位置関係を算出することを特徴とする立体駐車装置の制御システム。
【請求項4】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御システムであって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含み、
前記アプリケーションは、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段は、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段は、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションは、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行し、
前記位置関係算出手段は、前記立体駐車装置の内部及び又はその周辺に設置された複数の人感センサを含み、該複数の人感センサの検知状態に応じて、前記位置関係を算出することを特徴とする立体駐車装置の制御システム。
【請求項5】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御システムであって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含み、
前記アプリケーションは、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段は、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記立体駐車装置の内部を動画で撮影するように設置された複数の撮影手段を含み、
前記制御手段は、前記通信手段を介して、前記複数の撮影手段により撮影された動画を前記携帯端末に対して送信し、
前記アプリケーションは、前記携帯端末に送信された動画を、前記携帯端末の表示画面に表示させることを特徴とする立体駐車装置の制御システム。
【請求項6】
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、前記ユーザ情報に基づいて、前記利用者が車両の入出庫を行うための、呼び出し対象のパレットの特定を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項7】
前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段は、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションは、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行するものであることを特徴とする請求項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項8】
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置の内部に位置していると判定した場合、或いは、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも前記開閉ゲートの開閉動作に係る前記操作情報と、前記パレットの呼び出しに係る前記操作情報とを無効化するものであることを特徴とする請求項2から4、7のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項9】
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、少なくとも前記開閉ゲートが開かれた状態で、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れたと判定した場合に、前記利用者に注意喚起を行うことを特徴とする請求項1、3、4、7のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項10】
前記注意喚起として、前記制御手段或いは前記立体駐車装置が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音と、前記携帯端末が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音と、前記携帯端末の表示画面へのメッセージ表示と、前記携帯端末の操作ロックと、前記携帯端末へのメール送信との、少なくともいずれか1つを実行することを特徴とする請求項2又は9記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項11】
前記位置関係算出手段は、前記アプリケーションを介して、前記携帯端末が備える位置情報取得機能から前記携帯端末の位置情報を取得し、該位置情報を利用して前記位置関係を算出するものであることを特徴とする請求項1、2、7のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項12】
前記位置関係算出手段は、前記立体駐車装置の内部及び又はその周辺に設置された複数の人感センサを含み、該複数の人感センサの検知状態に応じて、前記位置関係を算出するものであることを特徴とする請求項1、2、7のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項13】
前記通信手段が、互いに間隔を空けて複数設置されており、
前記位置関係算出手段は、前記通信手段の各々により受信する、前記携帯端末からの無線通信波の強弱を利用して、前記位置関係を算出するものであることを特徴とする請求項1、2、7のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項14】
前記立体駐車装置の内部を動画で撮影するように設置された複数の撮影手段を含み、
前記制御手段は、前記通信手段を介して、前記複数の撮影手段により撮影された動画を前記携帯端末に対して送信し、
前記アプリケーションは、前記携帯端末に送信された動画を、前記携帯端末の表示画面に表示させることを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項15】
前記立体駐車装置は、投光部と受光部とを備える物体検知のための光電センサが、複数箇所に設置されており、
前記複数の撮影手段は、少なくとも一部の前記光電センサによる検知範囲を撮影するように設置された、複数の無人確認用撮影手段を含み、
前記アプリケーションは、前記複数の無人確認用撮影手段の各々により撮影された動画を表示させ、前記利用者に対して前記検知範囲の各々の無人確認を促すと共に、表示させた前記検知範囲の各々の無人確認が行われたことを示す前記操作情報の入力画面を、前記携帯端末の表示画面に表示することを特徴とする請求項5又は14記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項16】
前記アプリケーションは、複数の前記光電センサの検知状態を、前記通信手段を介して取得し、取得した検知状態を、各光電センサの設置レイアウトに対応させて、前記携帯端末の表示画面に表示させることを特徴とする請求項15記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項17】
前記通信手段は、前記携帯端末が備えるBluetooth(登録商標)通信機能を介して、前記アプリケーションと通信を行うBluetooth通信手段であることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項18】
前記通信手段は、前記携帯端末が備える赤外線通信機能を介して、前記アプリケーションと通信を行う赤外線通信手段であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システム。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システムを備えた立体駐車装置であって、
前記利用者により操作が入力される操作盤を含み、該操作盤を介した操作入力と、前記アプリケーションを介した操作入力との双方に対応して、前記制御部により動作が制御されることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項20】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御方法であって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含む制御システムを利用し、
前記アプリケーションにより、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段により、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記制御システムが、前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段により、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションにより、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行し、
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置の内部に位置していると判定した場合、或いは、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも前記開閉ゲートの開閉動作に係る前記操作情報と、前記パレットの呼び出しに係る前記操作情報とを無効化することを特徴とする立体駐車装置の制御方法。
【請求項21】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御方法であって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含む制御システムを利用し、
前記アプリケーションにより、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段により、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記制御システムが、前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段により、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションにより、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行し、
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、少なくとも前記開閉ゲートが開かれた状態で、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れたと判定した場合に、前記利用者に注意喚起を行うことを特徴とする立体駐車装置の制御方法。
【請求項22】
複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御方法であって、
前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、
前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、
システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含む制御システムを利用し、
前記アプリケーションにより、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、
前記制御手段により、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力し、
前記制御システムが、前記立体駐車装置の内部を動画で撮影するように設置された複数の撮影手段を含み、
前記制御手段により、前記通信手段を介して、前記複数の撮影手段により撮影された動画を前記携帯端末に対して送信し、
前記アプリケーションにより、前記携帯端末に送信された動画を、前記携帯端末の表示画面に表示することを特徴とする立体駐車装置の制御方法。
【請求項23】
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、前記ユーザ情報に基づいて、前記利用者が車両の入出庫を行うための、呼び出し対象のパレットの特定を行うことを特徴とする請求項20から22のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項24】
前記制御システムが、前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、
前記制御手段により、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションにより、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行することを特徴とする請求項22記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項25】
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置の内部に位置していると判定した場合、或いは、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも前記開閉ゲートの開閉動作に係る前記操作情報と、前記パレットの呼び出しに係る前記操作情報とを無効化することを特徴とする請求項21又は24記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項26】
前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、少なくとも前記開閉ゲートが開かれた状態で、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れたと判定した場合に、前記利用者に注意喚起を行うことを特徴とする請求項20又は24記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項27】
前記制御システムが、前記立体駐車装置の内部を動画で撮影するように設置された複数の撮影手段を含み、
前記制御手段により、前記通信手段を介して、前記複数の撮影手段により撮影された動画を前記携帯端末に対して送信し、
前記アプリケーションにより、前記携帯端末に送信された動画を、前記携帯端末の表示画面に表示することを特徴とする請求項20又は21記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項28】
前記立体駐車装置は、投光部と受光部とを備える物体検知のための光電センサが、複数箇所に設置されており、
前記複数の撮影手段は、少なくとも一部の前記光電センサによる検知範囲を撮影するように設置された、複数の無人確認用撮影手段を含み、
前記アプリケーションにより、前記複数の無人確認用撮影手段の各々によって撮影された動画を表示し、前記利用者に対して前記検知範囲の各々の無人確認を促すと共に、表示した前記検知範囲の各々の無人確認が行われたことを示す前記操作情報の入力画面を、前記携帯端末の表示画面に表示することを特徴とする請求項22又は27記載の立体駐車装置の制御方法。
【請求項29】
前記アプリケーションにより、複数の前記光電センサの検知状態を、前記通信手段を介して取得し、取得した検知状態を、各光電センサの設置レイアウトに対応させて、前記携帯端末の表示画面に表示することを特徴とする請求項28記載の立体駐車装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置の制御システムとこれを備えた立体駐車装置、及び立体駐車装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式の立体駐車装置は、安全性の向上を目的として、安全機能に関する様々な要件を満たすことが必須となっている。一例を挙げると、装置の運転開始時と開閉ゲートの閉操作時とに、操作盤への認証番号の入力を求めたり、装置内に設置されている光電センサの検知状態に応じて、無人確認の実施及び無人確認ボタンの操作を求めたりと、利用者が行うべき作業に関するものも含まれている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-94707号公報
【文献】特開2016-104323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような要件を満たす立体駐車装置は、安全性が向上されているものの、従来よりも利用者の作業が増大していることから、利用者への負担が増していることは否めない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、立体駐車装置の安全性を低下させることなく、利用者の負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御システムであって、前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含み、前記アプリケーションは、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、前記制御手段は、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力する立体駐車装置の制御システム。
【0007】
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、車両が格納される可動式の複数のパレット、入出庫可能な位置に配置されたパレットの前面に位置する開閉ゲート、及び、認証された利用者からの操作を受けて動作制御を行う制御部を含む、立体駐車装置を制御の対象とするものである。具体的には、立体駐車装置の利用者により操作される携帯端末上で動作するアプリケーションと、少なくとも1つの通信手段と、システム全体を制御する制御手段とを含んでいる。アプリケーションは、立体駐車装置の利用者の情報をユーザ情報として保持し、又、携帯端末上で所定の機能を実行する。
【0008】
そのような機能の1つとして、アプリケーションは、必要に応じたタイミングで、立体駐車装置の利用者に対して本人認証を促し、この際、携帯端末への認証情報の入力を求める。そして、保持しているユーザ情報と入力された認証情報とに基づいて、携帯端末の操作者が利用者本人であることの確認を行う。更に、アプリケーションは、利用者の本人認証を行った後に、例えば、パレットの呼び出し操作や開閉ゲートの開閉操作等といった、立体駐車装置に対する操作の入力を、携帯端末の入力手段を介して受ける。そして、入力された操作を操作情報として通信手段へと送信する。
【0009】
通信手段は、立体駐車装置に設置され、携帯端末が備える無線通信機能を介して携帯端末と無線通信関係を確立することで、携帯端末上のアプリケーションと、立体駐車装置に設置される制御手段との間で、情報の送受信を行うためのものである。このため、アプリケーションから通信手段へ送信された操作情報等の情報は、通信手段から制御手段へ伝達される。一方、制御手段は、立体駐車装置の制御部と通信を行い、その通信内容の1つとして、通信手段を介して受信した操作情報の内容に応じた、立体駐車装置を動作させるための動作指令を、立体駐車装置の制御部に対して出力するものである。
【0010】
すなわち、本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、近年では大多数の人が所持している携帯端末を利用して、立体駐車装置の利用者の本人認証や、立体駐車装置を動作させるための操作入力が行われるものである。これにより、立体駐車装置の利用者は、手元で操作可能な携帯端末を介して、本人認証のための操作や立体駐車装置の操作を入力することになるため、利便性が大幅に向上され、利用者の負担が軽減されるものである。更に、本人認証の実施等の安全性に関わる要件自体は満たされているため、立体駐車装置の安全性が低下することはなく、そのまま維持される。又、携帯端末上で動作するアプリケーションには、上述したような機能を有する専用のアプリケーションを利用すればよいため、アプリケーションの内容如何によって、様々な機能を実現するものとなる。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、前記ユーザ情報に基づいて、前記利用者が車両の入出庫を行うための、呼び出し対象のパレットの特定を行う立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、制御手段及び/又はアプリケーションが、立体駐車装置の利用者が車両の入出庫を行うための、呼び出し対象のパレットの特定を行うものである。制御手段が行う場合は、通信手段を介してアプリケーションからユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報に基づいてパレットを特定する。又、アプリケーションが行う場合は、保持しているユーザ情報からパレットを特定し、特定したパレットを示す情報を、通信手段を介して制御手段へと送信する。何れの場合であっても、パレットを特定するための情報の入力を利用者から受けることなく、制御手段が呼び出し対象のパレットを把握することになるため、利用者の負担がより軽減されるものである。
【0012】
(3)上記(1)(2)項において、前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、前記制御手段は、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションは、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行するものである立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、更に、立体駐車装置と携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含むものである。そして、制御手段は、位置関係算出手段から上記の位置関係を取得し、取得した位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行う。又、アプリケーションは、位置関係算出手段から上記の位置関係を取得し、取得した位置関係に基づいて、少なくとも一部の所定の機能を実行する。
【0013】
すなわち、制御手段及びアプリケーションは、立体駐車装置と携帯端末との位置関係、換言すれば、立体駐車装置と携帯端末を所持している利用者との位置関係に基づいて、一部の動作制御や機能を実行するものである。これにより、立体駐車装置と利用者との位置関係に応じて、一部の動作制御や機能の実行制限等が行われるため、安全性が向上されるものである。なお、位置関係算出手段は、立体駐車装置側の制御手段に組み込まれていてもよく、携帯端末側のアプリケーションに組み込まれていてもよい。
【0014】
(4)上記(3)項において、前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置の内部に位置していると判定した場合、或いは、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも前記開閉ゲートの開閉動作に係る前記操作情報と、前記パレットの呼び出しに係る前記操作情報とを無効化するものである立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、制御手段及び/又はアプリケーションが、立体駐車装置と携帯端末との位置関係に基づいて、携帯端末が立体駐車装置の内部に位置しているか否か、すなわち、利用者が立体駐車装置の内部に居るか否かを判定する。更に、制御手段及び/又はアプリケーションは、立体駐車装置と携帯端末との位置関係に基づいて、携帯端末が立体駐車装置から所定距離以上離れているか否か、すなわち、利用者が立体駐車装置から所定距離以上離れているか否かを判定する。そして、利用者が立体駐車装置の内部に居ると判定した場合、或いは、利用者が立体駐車装置から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも開閉ゲートの開閉動作に係る操作情報と、パレットの呼び出しに係る操作情報とを無効化するものである。
【0015】
これらの操作情報の無効化は、アプリケーションにより、操作入力自体を不可にすることで実現してもよく、操作情報を通信手段に送信しないことで実現してもよい。更に、制御手段により、アプリケーションから送信されたそれらの操作情報を受け付けないようにすることで、或いは、それらの操作情報に係る動作指令を立体駐車装置の制御部に送信しないことで実現してもよい。これにより、利用者が立体駐車装置の内部に居る状態で、或いは、利用者が立体駐車装置から所定距離以上離れた状態で、パレットが移動することや開閉ゲートが動作することが防止されるため、装置の前面側から操作盤を介して操作される従来の立体駐車装置と比較して、立体駐車装置の安全性が維持されるものである。
【0016】
(5)上記(3)(4)項において、前記制御手段及び/又は前記アプリケーションは、少なくとも前記開閉ゲートが開かれた状態で、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れたと判定した場合に、前記利用者に注意喚起を行う立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、制御手段及び/又はアプリケーションが、立体駐車装置と携帯端末との位置関係に基づいて、携帯端末が立体駐車装置から所定距離以上離れたか否か、すなわち、利用者が立体駐車装置から所定距離以上離れたか否かを判定する。そして、少なくとも開閉ゲートが開かれた状態で、利用者が立体駐車装置から所定距離以上離れたと判定した場合に、利用者に注意喚起を行うものである。
【0017】
これにより、利用者が所有するキー等によって操作盤の電源が投入及び切断される従来の立体駐車装置と同様に、開閉ゲートが開かれた状態のまま、利用者が立体駐車装置から立ち去ることが防止されるものである。なお、開閉ゲートが開かれた状態だけに限らず、アプリケーションを介して立体駐車装置の操作が行われている最中は常に、利用者と立体駐車装置との間の距離の監視や、所定距離以上離れた場合の注意喚起を行ってもよい。この場合は、立体駐車装置の操作中に利用者が立ち去ることが防止されるものとなる。なお、本項に記載した所定距離と上記(4)項に記載した所定距離とは、同じ距離であってもよく、異なる距離であってもよい。
【0018】
(6)上記(5)項において、前記注意喚起として、前記制御手段或いは前記立体駐車装置が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音と、前記携帯端末が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音と、前記携帯端末の表示画面へのメッセージ表示と、前記携帯端末の操作ロックと、前記携帯端末へのメール送信との、少なくともいずれか1つを実行する立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、上記(5)項に記載した注意喚起として、以下のような複数の方法のうち、少なくともいずれか1つを実行するものである。すなわち、制御手段或いは立体駐車装置が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音、携帯端末が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音、携帯端末の表示画面へのメッセージ表示、携帯端末の操作ロック、若しくは、携帯端末へのメール送信である。いずれの方法であっても、利用者に対して立体駐車装置に近づくように促す発音内容や表示内容にすることで、効果的に注意喚起を行うものとなる。
【0019】
(7)上記(3)から(6)項において、前記位置関係算出手段は、前記アプリケーションを介して、前記携帯端末が備える位置情報取得機能から前記携帯端末の位置情報を取得し、該位置情報を利用して前記位置関係を算出するものである立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、位置関係算出手段が、アプリケーションを介して、携帯端末から携帯端末の位置情報を取得する。携帯端末の位置情報は、携帯端末自体が備えている、例えばGPS等を利用した位置情報取得機能から取得する。そして、取得した携帯端末の位置情報を利用して、立体駐車装置と携帯端末との位置関係を算出するものである。すなわち、位置関係算出手段は、携帯端末の位置情報と比較可能な形態で、予め立体駐車装置の位置情報が登録されていることで、それらの位置情報から立体駐車装置と携帯端末との位置関係を算出する。このように、位置関係の算出に携帯端末が備える機能が利用されることで、効率よく位置関係が算出されるものとなる。
【0020】
(8)上記(3)から(6)項において、前記位置関係算出手段は、前記立体駐車装置の内部及び又はその周辺に設置された複数の人感センサを含み、該複数の人感センサの検知状態に応じて、前記位置関係を算出するものである立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、位置関係算出手段が、立体駐車装置の内部及び又はその周辺に設置された複数の人感センサを含み、これら複数の人感センサの検知状態に応じて、立体駐車装置と携帯端末との位置関係を算出するものである。この際、人感センサの現在の検知状態だけではなく、人感センサが利用者を検知した履歴を利用してもよい。すなわち、人感センサでは、携帯端末ではなく利用者自身の位置が検知され、更に、使用する人感センサの検知範囲、設置数量、設置位置等に応じて、利用者の検知精度が高められるため、立体駐車装置と利用者との位置関係が高精度で算出されるものとなる。なお、立体駐車装置が物体検知用の光電センサ等を備えている場合には、それらを上記の人感センサの一部として利用してもよい。
【0021】
(9)上記(3)から(6)項において、前記通信手段が、互いに間隔を空けて複数設置されており、前記位置関係算出手段は、前記通信手段の各々により受信する、前記携帯端末からの無線通信波の強弱を利用して、前記位置関係を算出するものである立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、携帯端末との間に無線通信関係を確立する通信手段が、互いに間隔を空けて立体駐車装置に複数設置されている。そして、位置関係算出手段は、通信手段の各々により受信する、携帯端末からの無線通信波の強弱を利用して、立体駐車装置と携帯端末との位置関係を算出するものである。すなわち、位置関係算出手段は、複数の通信手段において携帯端末から受信する無線通信波の強さと、各通信手段の設置位置の情報とを利用して、位置関係を算出する。このように、携帯端末との間に無線通信関係を確立するための通信手段を、立体駐車装置と携帯端末との位置関係の算出にも利用することで、携帯端末の位置を把握するための専用機器を設置することなく、効率よく位置関係を算出するものとなる。なお、本明細書における「無線通信波」とは、無線で通信を行うための電波や電磁波等を示すものである。
【0022】
(10)上記(1)から(9)項において、前記立体駐車装置の内部を動画で撮影するように設置された複数の撮影手段を含み、前記制御手段は、前記通信手段を介して、前記複数の撮影手段により撮影された動画を前記携帯端末に対して送信し、前記アプリケーションは、前記携帯端末に送信された動画を、前記携帯端末の表示画面に表示させる立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、更に複数の撮影手段を含むものであり、各撮影手段は、立体駐車装置の内部を動画で撮影するように設置される。そして、複数の撮影手段により撮影された動画は、制御手段によって、通信手段を介し携帯端末に対して送信され、この送信された動画が、アプリケーションによって、携帯端末の表示画面に表示されるものである。これにより、立体駐車装置の内部の様子が、利用者の手元にある携帯端末において確認されるため、利便性がより一層向上されるものである。
【0023】
(11)上記(10)項において、前記立体駐車装置は、投光部と受光部とを備える物体検知のための光電センサが、複数箇所に設置されており、前記複数の撮影手段は、少なくとも一部の前記光電センサによる検知範囲を撮影するように設置された、複数の無人確認用撮影手段を含み、前記アプリケーションは、前記複数の無人確認用撮影手段の各々により撮影された動画を表示させ、前記利用者に対して前記検知範囲の各々の無人確認を促すと共に、表示させた前記検知範囲の各々の無人確認が行われたことを示す前記操作情報の入力画面を、前記携帯端末の表示画面に表示する立体駐車装置の制御システム。
【0024】
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、投光部と受光部とを備える光電センサが、物体検知のために複数箇所に設置された立体駐車装置を制御対象とするものである。そのために、上記(10)項に記載した複数の撮影手段として、複数の無人確認用撮影手段を含み、これらの無人確認用撮影手段は、少なくとも一部の光電センサによる検知範囲を撮影するように設置される。このとき、無人確認用撮影手段の各々は、複数の光電センサの検知範囲を撮影範囲に含むように設置されてもよく、1つの光電センサの検知範囲を撮影範囲に含むように設置されてもよい。
【0025】
そして、複数の無人確認用撮影手段の各々により撮影された動画は、アプリケーションにより携帯端末の表示画面に表示され、これによって利用者に対し、動画で写されている光電センサの検知範囲の各々の無人確認を促すものである。更にこれと併せて、アプリケーションは、動画で表示された光電センサの各検知範囲の、無人確認が行われたことを示す操作情報の入力画面を、携帯端末の表示画面に表示するものである。これにより、光電センサの検知範囲の無人確認と、無人確認が行われたことを示す操作情報の入力との双方が、利用者の手元にある携帯端末を介して行われることになる。このため、光電センサの検知範囲を目視で確認できる位置において、目視による無人確認及び無人確認ボタンの操作が行われていた、従来の立体駐車装置と比較して、安全性を低下させることなく、利用者の負担が一層軽減されるものとなる。
【0026】
(12)上記(11)項において、前記アプリケーションは、複数の前記光電センサの検知状態を、前記通信手段を介して取得し、取得した検知状態を、各光電センサの設置レイアウトに対応させて、前記携帯端末の表示画面に表示させる立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、アプリケーションが、立体駐車装置に設置された複数の光電センサの検知状態を、立体駐車装置の制御部や制御手段等を経て、通信手段を介して取得する。そして、取得した複数の光電センサの検知状態を、各光電センサの設置レイアウト(例えば、立体駐車装置を平面視した場合の各光電センサの設置レイアウト)に対応させて、携帯端末の表示画面に表示させるものである。このとき、例えば、全ての光電センサの検知範囲を疑似的に表示し、各光電センサの検知の有無に応じて、光電センサ毎に検知範囲を色分け表示できるようにすればよい。これにより、立体駐車装置の利用者に対して、物体を検知している光電センサの位置が、直感的に分かり易く通知されるものとなるため、利用者による無人確認の負担が軽減され、より確実に無人確認が実行されるものとなる。
【0027】
(13)上記(1)から(12)項において、前記通信手段は、前記携帯端末が備えるBluetooth(登録商標)通信機能を介して、前記アプリケーションと通信を行うBluetooth通信手段である立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、携帯端末との間に無線通信関係を確立し、アプリケーションと制御手段との間で通信を可能にするための通信手段として、携帯端末が備えるBluetooth(登録商標)通信機能を介して無線通信関係を確立する、Bluetooth通信手段が利用されるものである。Bluetooth通信機能は、近年、多くの携帯端末に搭載されており、又、Bluetoothによる通信は、他の無線通信と比較して、無線通信関係の確立が容易であり、消費電力が少ないといったメリットがある。このため、様々な種類の携帯端末に対応して無線通信が容易に行われると共に、携帯端末及び通信手段の消費電力が抑制されるものである。
【0028】
(14)上記(1)から(12)項において、前記通信手段は、前記携帯端末が備える赤外線通信機能を介して、前記アプリケーションと通信を行う赤外線通信手段である立体駐車装置の制御システム。
本項に記載の立体駐車装置の制御システムは、携帯端末との間に無線通信関係を確立し、アプリケーションと制御手段との間で通信を可能にするための通信手段として、携帯端末が備える赤外線通信機能を介して無線通信関係を確立する、赤外線通信手段が利用されるものである。ここで、赤外線による通信は、通常、通信を行う機器同士が可能な限り正対している必要があるが、この点が考慮されて、赤外線通信手段の設置位置が調整されていることで、利用者が常に立体駐車装置の正面に位置している状態で、携帯端末と赤外線通信手段との通信が行われることになる。これにより、立体駐車装置の利用者に対して、立体駐車装置の正面で携帯端末を操作することが間接的に促されることになるため、装置の前面側から操作盤を介して操作される従来の立体駐車装置と比較して、携帯端末を介した操作によって利便性が向上されながらも、安全性が維持されるものである。
【0029】
(15)上記(1)から(14)項のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システムを備えた立体駐車装置であって、前記利用者により操作が入力される操作盤を含み、該操作盤を介した操作入力と、前記アプリケーションを介した操作入力との双方に対応して、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置。
本項に記載の立体駐車装置は、上記(1)から(14)項のいずれか1項記載の立体駐車装置の制御システムを備えると共に、利用者により操作が入力される操作盤が、例えば装置の前面側等に設置されたものである。そして、操作盤を介した操作入力と、携帯端末上のアプリケーションを介した操作入力との双方に対応して、制御部により動作が制御されるものである。これにより、携帯端末を介した操作により利便性が向上されながらも、携帯端末を所持していない利用者からの入力や、充電切れ等により携帯端末が正常に動作しない場合の入力等が、操作盤を介して行われることになるため、様々なケースに柔軟に対応するものとなる。
【0030】
(16)複数のパレットと開閉ゲートと制御部とを備え、認証された利用者からの操作を受けて、前記制御部により動作が制御される立体駐車装置の制御方法であって、前記利用者により操作される携帯端末上で動作し、所定の機能を実行すると共に、前記利用者の情報をユーザ情報として保持するアプリケーションと、前記立体駐車装置に設置され、前記携帯端末が備える無線通信機能を介して前記アプリケーションと通信を行うための、少なくとも1つの通信手段と、システム全体を制御し、前記立体駐車装置を動作させるための動作指令の出力を含み、前記制御部と通信を行う制御手段と、を含む制御システムを利用し、前記アプリケーションにより、必要に応じたタイミングで、前記利用者に対し、前記携帯端末への認証情報の入力による本人認証を促し、前記ユーザ情報と前記認証情報とに基づいて、前記利用者の本人認証を行い、該本人認証を行った後に、前記立体駐車装置に対する操作の入力を受けて、入力された操作を操作情報として前記通信手段へと送信し、前記制御手段により、前記通信手段を介して受信した前記操作情報の内容に応じて、前記動作指令を出力する立体駐車装置の制御方法。
【0031】
(17)上記(16)項において、前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、前記ユーザ情報に基づいて、前記利用者が車両の入出庫を行うための、呼び出し対象のパレットの特定を行う立体駐車装置の制御方法。
(18)上記(16)(17)項において、前記制御システムが、前記立体駐車装置と前記携帯端末との位置関係を算出するための位置関係算出手段を含み、前記制御手段により、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行うと共に、前記アプリケーションにより、前記位置関係算出手段から取得した前記位置関係に基づいて、少なくとも一部の前記所定の機能を実行する立体駐車装置の制御方法。
(19)上記(18)項において、前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記立体駐車装置の内部に位置していると判定した場合、或いは、前記携帯端末が前記立体駐車装置から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも前記開閉ゲートの開閉動作に係る前記操作情報と、前記パレットの呼び出しに係る前記操作情報とを無効化する立体駐車装置の制御方法。
【0032】
(20)上記(18)(19)項において、前記制御手段及び/又は前記アプリケーションにより、少なくとも前記開閉ゲートが開かれた状態で、前記位置関係に基づいて、前記携帯端末が前記該立体駐車装置から所定距離以上離れたと判定した場合に、前記利用者に注意喚起を行う立体駐車装置の制御方法。
(21)上記(16)から(20)項において、前記制御システムが、前記立体駐車装置の内部を動画で撮影するように設置された複数の撮影手段を含み、前記制御手段により、前記通信手段を介して、前記複数の撮影手段により撮影された動画を前記携帯端末に対して送信し、前記アプリケーションにより、前記携帯端末に送信された動画を、前記携帯端末の表示画面に表示する立体駐車装置の制御方法。
(22)上記(21)項において、前記立体駐車装置は、投光部と受光部とを備える物体検知のための光電センサが、複数箇所に設置されており、前記複数の撮影手段は、少なくとも一部の前記光電センサによる検知範囲を撮影するように設置された、複数の無人確認用撮影手段を含み、前記アプリケーションにより、前記複数の無人確認用撮影手段の各々によって撮影された動画を表示し、前記利用者に対して前記検知範囲の各々の無人確認を促すと共に、表示した前記検知範囲の各々の無人確認が行われたことを示す前記操作情報の入力画面を、前記携帯端末の表示画面に表示する立体駐車装置の制御方法。
【0033】
(23)上記(22)項において、前記アプリケーションにより、複数の前記光電センサの検知状態を、前記通信手段を介して取得し、取得した検知状態を、各光電センサの設置レイアウトに対応させて、前記携帯端末の表示画面に表示する立体駐車装置の制御方法。
そして、(16)から(23)項の立体駐車装置の制御方法は、各々、上記(1)から(5)及び(10)から(12)項の立体駐車装置の制御システムにより実行されることで、上記(1)から(5)及び(10)から(12)項の立体駐車装置の制御システムと同等の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明はこのように構成したので、立体駐車装置の安全性を低下させることなく、利用者の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システムを備えた、立体駐車装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図1の立体駐車装置の斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図4図3に引き続き、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10と、この立体駐車装置の制御システム10を備えた本発明の実施の形態に係る立体駐車装置30との、構成の一例を示している。又、図2は、図1に示した立体駐車装置30の構造の一例を示している。
【0037】
まず、図1及び図2を参照して、立体駐車装置30について概略的に説明すると、立体駐車装置30は、複数の支柱42a~42hと複数の梁44とによって構成された略矩形の構造体に、複数の可動式パレット32が移動可能に支持された構造である。図2の例において、立体駐車装置30は、地上4段3連基(図2中上下方向に4段、左右方向に3列)の構造であり、複数の可動式パレット32として、9基の可動式パレット32a~32iを備えている。更に、立体駐車装置30は、開閉ゲート34(34a~34c)、操作盤36、制御部40、駆動部50、及び、複数の光電センサ12(12A~12H)を備えている。なお、図2では、制御部40及び駆動部50の図示を省略している。
【0038】
複数の可動式パレット32a~32iのうち、32b、32cは、車両を入出庫する高さ位置で横行移動のみ行い、32d~32gは、立体駐車装置30の利用者による呼び出し操作に応じて、車両を入出庫可能な位置(図2において、可動式パレット32a~32cがある位置)まで、高さ方向及び並列方向に移動可能なものである。一方、可動式パレット32a、32h、32iは、昇降のみ行うものである。又、開閉ゲート34a~34cの各々は、その後面側の入出庫位置に所望の可動式パレット32が呼び出された後に開かれ、車両の入出庫が終わった後に、利用者の操作により閉じられるものである。図2の例では、開閉ゲート34a~34cは、支柱レール46a~46dの夫々の間に、上下方向に移動可能に案内支持されている。
【0039】
操作盤36は、立体駐車装置30の各操作を行うための入力が行われるものであり、例えばタッチパネル方式で、開閉ゲート34の開閉操作や、可動式パレット32の呼び出し操作等が入力される。又、操作盤36は、各種の情報を表示するための表示部38を備えている。更に、操作盤36は、例えば利用者が所有するキー等によって、その電源が投入及び切断されるようになっている。制御部40は、立体駐車装置30全体の制御を担うものであり、例えば、操作盤36に入力された操作に応じて、駆動部50を介して、可動式パレット32の移動や開閉ゲート34の開閉動作を行わせるものである。駆動部50は、制御部40による制御に応じて、可動式パレット32の移動や開閉ゲート34の開閉動作を行うための動力を発生、伝達するものである。
【0040】
複数の光電センサ12は、車両を入出庫する高さにある各可動式パレット32の周辺の物体を検知するものであり、本実施例では、8つの光電センサ12A~12Hを含んでいる。図2には、車両を入出庫する高さにある3基の可動式パレット32a~32cの周辺に、各組が光電センサ12を構成する投光部14と受光部16との複数の組を図示している。すなわち、図2に示すように、開閉ゲート34の前面側(図中右手前側)を検知する光電センサ12として、支柱レール46a、46dに、侵入検知用センサ12Aを構成する投光部14a及び受光部16aと、乗越え検知用センサ12Bを構成する投光部14b及び受光部16bとが設置されている。又、開閉ゲート34の後面側(図中左奥側)を検知する光電センサ12として、支柱42a、42dに、ゲート後面センサ12Cを構成する投光部14c及び受光部16cが設置されている。
【0041】
又、3基の可動式パレット32a~32cの後部側(図中左奥側)を検知する光電センサ12として、支柱42e、42hに、後部センサ12Dを構成する投光部14d及び受光部16dが設置されている。更に、可動式パレット32a~32cの各々の側部を検知する光電センサ12として、支柱42a~42hに、側部センサ12E~12Hが設置されている。より詳しくは、支柱42e及び42aに、側部センサ12Eの投光部14e及び受光部16eが、支柱42f及び42bに、側部センサ12Fの投光部14f及び受光部16fが、支柱42g及び42cに、側部センサ12Gの投光部14g及び受光部16gが、そして、支柱42h及び42dに、側部センサ12Hの投光部14h及び受光部16hが、夫々設置されている。なお、図2には、各光電センサ12による検知範囲を破線で示している。
【0042】
続いて、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10について説明する。図1に示すように、立体駐車装置の制御システム10は、制御手段18、位置関係算出手段20、複数の撮影手段22、本実施例では4つの通信手段26、及び、利用者が所持する携帯端末60にインストールされたアプリケーション28を含んでいる。本実施例において、位置関係算出手段20は、制御手段18に組み込まれており、又、撮影手段22の各々は、無人確認用撮影手段24として設置されている。なお、アプリケーション28がインストールされた携帯端末60は、例えば、赤外線やBluetoothといった無線通信機能を備えた、所謂「スマートフォン」と呼ばれる高機能携帯電話を想定している。しかしながら、上記のような無線通信機能、タッチパネルやボタン等の利用者からの入力手段、及び、表示画面等を備えるものであれば、他の携帯端末であってもよい。
【0043】
携帯端末60は、立体駐車装置30の利用者が所持するものであり、この携帯端末60には、例えば、携帯端末60が備えるインターネット接続機能等を介してダウンロードされたアプリケーション28が、予めインストールされている。アプリケーション28は、携帯端末60上で動作し、携帯端末60が備える無線通信機能、入力手段、表示画面等を利用して、後述するような様々な機能を実行する。アプリケーション28には、携帯端末60を所持している利用者の情報を示すユーザ情報が登録されており、必要に応じて、このユーザ情報に基づき、携帯端末60を現在操作している人物が利用者本人であるか否かの本人認証を行う。更に、アプリケーション28は、利用者からの立体駐車装置30に対する操作の入力手段や、利用者に対する様々な情報の表示手段等として、立体駐車装置30が備える操作盤36と略同等の機能を有している。例えば、アプリケーション28は、開閉ゲート34の開閉に係る入力操作の受付、撮影手段22より撮影された動画の表示、複数の光電センサ12の検知状態の表示、各操作を促す表示や注意喚起の表示等を行う。
【0044】
通信手段26は、上述したアプリケーション28が様々な機能を実行する際に必要となる各種の情報や、利用者からアプリケーション28に入力された情報等を、アプリケーション28と制御手段18との間で送受信するためのものである。例えば、通信手段26は、利用者により入力された立体駐車装置30に対する操作を、アプリケーション28から操作情報として受信し、受信した操作情報を制御手段18へ伝達する。又、通信手段26は、制御手段18や立体駐車装置30の制御部40から提供される情報を、アプリケーション28に対して送信する。通信手段26は、携帯端末60が備える無線通信機能を介して、携帯端末60との間に無線通信関係を確立するものであり、本実施例では、携帯端末60が備えるBluetooth通信機能を介して、携帯端末60と無線通信関係を確立するBluetooth通信手段が採用されている。Bluetooth通信手段には、各種のBluetooth送受信器を使用することができる。
【0045】
更に、本実施例では、4つの通信手段26が利用されており、図2を参照すると、立体駐車装置30の前面側に位置する支柱42a~42dの夫々に、通信手段26が設置されている。基本的に、これら4つの通信手段26と携帯端末60との間に通信関係が確立されるが、通信電波の強弱等に応じて、例えば、最も強い通信電波で通信関係が確立された通信手段26のみを介して、各情報の送受信を行ってもよい。なお、通信手段26は、Bluetooth通信手段に限定されることなく、電波を利用した他の無線通信や、赤外線等の光を利用した無線通信を行う、別の通信手段であってもよい。更に、通信手段26の数量や設置位置も、図1及び図2の構成に限定されるものではなく、状況に応じて任意の数量及び設置位置が採用される。
【0046】
制御手段18は、立体駐車装置の制御システム10全体の制御を担っており、立体駐車装置30の制御部40との通信、撮影手段22の制御及び撮影動画の取り込み、通信手段26の制御、通信手段26を介したアプリケーション28との情報の送受信等を行う。例えば、制御手段18は、通信手段26を介してアプリケーション28から受信した操作情報の内容に応じて、立体駐車装置を動作させるための動作指令を、制御部40に対して出力し、又、撮影手段22から取り込んだ撮影動画を、通信手段26を介してアプリケーション28に送信する。更に、制御手段18とアプリケーション28とのいずれか一方或いは双方は、アプリケーション28に保持されているユーザ情報から、利用者が車両の入出庫を行う呼び出し対象の可動式パレット32の特定を行う。又、後述するように位置関係算出手段20により算出される、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、特定の操作情報の無効化や、各種の注意喚起を行う。制御手段18には、入力された情報に応じて様々な演算を実行して出力する、各種のコンピュータを利用することができる。なお、制御手段18は、立体駐車装置30の制御部40に組み込まれていてもよい。
【0047】
位置関係算出手段20は、上述したように、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出するためのものであり、本実施例では、制御手段18の演算機能を利用して算出を行う。例えば、位置関係算出手段20は、携帯端末60との間に無線通信関係が確立される4つの通信手段26の各々の、携帯端末60から受信する無線通信波(本実施例ではBluetoothの電波)の強度と、4つの通信手段26が設置されている位置の情報とに応じて、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出する。このとき、Bluetooth Low Energyを利用して位置関係を算出してもよい。更に、位置関係算出手段20は、アプリケーション28を介して、携帯端末60が備える位置情報取得機能から携帯端末60の位置情報を取得し、この位置情報を利用して、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出してもよい。すなわち、スマートフォン等の高機能の携帯端末60には、GPS等を利用して自機の位置を取得する機能が具備されていることが多いため、その機能を利用するものである。
【0048】
加えて、位置関係算出手段20は、複数の人感センサの検知結果を利用して位置関係を算出するものであってもよい。この場合、複数の人感センサは、携帯端末60を所持している利用者の位置が把握できるように、立体駐車装置30の内部や周辺の適切な場所に設置される。人感センサには、利用者を検知できる任意のセンサを利用してよく、又、複数の人感センサの一部として、立体駐車装置30の複数の光電センサ12を利用してもよい。なお、位置関係算出手段20は、アプリケーション28に組み込まれていてもよい。又、図2では、制御手段18及びそれに組み込まれた位置関係算出手段20と、携帯端末60及びそれにインストールされたアプリケーション28との図示を省略している。
【0049】
複数の撮影手段22は、立体駐車装置30の内部を動画で撮影するように設置されたものであり、本実施例では、複数の光電センサ12の検知範囲を撮影するように設置された、複数の無人確認用撮影手段24として設置されている。具体的には、まず、図2で確認できるように、立体駐車装置30の後方側の横梁44aに、車両を入出庫可能な位置にある可動式パレット32(図2の状態では可動式パレット32a~32c)の後方側を撮影するように、3つの無人確認用撮影手段24が設置されている。すなわち、これら3つの無人確認用撮影手段24は、複数の光電センサ12の検知範囲のうち、投光部14d及び受光部16dを備える後部センサ12Dの検知範囲を撮影するように設置されている。
【0050】
更に、図2での図示は省略しているが、横梁44aに設置された3つの無人確認用撮影手段24の他にも、後部センサ12D以外の光電センサ12の検知範囲を撮影するように、複数の無人確認用撮影手段24が、立体駐車装置30の支柱42や梁44等に設置されている。しかしながら、全ての光電センサ12の検知範囲を撮影する必要はなく、状況に応じて、複数の光電センサ12の中で必要と考えられる光電センサ12の検知範囲を、複数の無人確認用撮影手段24により分担して撮影すればよい。なお、撮影手段22は、光電センサ12の検知範囲を撮影するように設置された無人確認用撮影手段24の他に、必要に応じた位置に設置された撮影手段22を含んでいてもよい。各撮影手段22には、動画を撮影可能な任意のカメラを用いることができる。又、各撮影手段22と制御手段18とは、通信可能に有線或いは無線で接続されている。
【0051】
次に、図3及び図4に示すフロー図の流れに沿って、図1及び図2に示した立体駐車装置の制御システム10を利用する、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法について説明する。なお、図3及び図4のフロー図は、符号Aで示す部位において接続されている。又、立体駐車装置の制御システム10や立体駐車装置30の構成については、適宜、図1及び図2を参照のこと。
S10(アプリ起動):立体駐車装置30の利用者により、利用者が所持する携帯端末60にインストールされているアプリケーション28を起動する。そして、アプリケーション28の起動後に、アプリケーション28により、携帯端末60と立体駐車装置30に設置されている通信手段26との間に、本実施例ではBluetoothによる無線通信関係を確立させる。このとき、携帯端末60が立体駐車装置30から離れた位置にある等の理由により、携帯端末60と通信手段26との間に無線通信関係が確立できない場合は、アプリケーション28により、携帯端末60の表示画面に、無線通信関係が確立されていない旨のメッセージや、立体駐車装置30に近づくように促すメッセージ等を表示してもよい。
【0052】
S20(アプリの開始操作):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、立体駐車装置30の操作を開始することを示す開始操作の入力を行う。そして、アプリケーション28により、開始操作の入力が行われたことを、通信手段26を介して制御手段18に通知する。なお、携帯端末60と通信手段26との間に無線通信関係が確立できていない場合は、本開始操作を行えないようにしてもよい。
S30(位置関係算出開始):位置関係算出手段20により、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係の算出を開始する。この位置関係の算出は、上記S20においてアプリケーション28の開始操作が入力されてから、後述するS440においてアプリケーション28の操作終了が入力されるまで、継続的に行うものとする。更に、制御手段18及び/又はアプリケーション28により、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を継続的に監視する。そして、携帯端末60が立体駐車装置30から所定距離以上離れたと判定した場合に、利用者に対して、立体駐車装置30に近づくように促す注意喚起を行う。このような注意喚起の方法として、例えば、制御手段18や立体駐車装置30が備えるスピーカからの音声や警告音の発音、携帯端末60が備えるスピーカからの音声や警告音の発音、携帯端末60の表示画面へのメッセージ表示、携帯端末60の操作ロック、及び、携帯端末60へのメール送信等が挙げられる。
【0053】
S40(乗越検知履歴判定):制御手段18により、立体駐車装置30の制御部40にアクセスし、複数の光電センサ12のうちの乗越え検知用センサ12Bに、立体駐車装置30が前回利用されてから現在までの間に、物体を検知した履歴があるか否かを判定する。その結果、物体を検知した履歴があると判定した場合(YES)はS50へ移行し、物体を検知した履歴がないと判定した場合(NO)はS140へ移行する。
S50(アプリで動画表示):アプリケーション28により、乗越え検知用センサ12Bが物体を検知した履歴がある旨のメッセージを表示した後、制御手段18及び通信手段26を介して、複数の無人確認用撮影手段24により撮影している立体駐車装置30内部の動画を取得し、携帯端末60の表示画面に表示する。この際、携帯端末60の表示画面に表示させる動画を、複数の無人確認用撮影手段24の各々により撮影している動画の中から、利用者の操作によって選択できるようにする。
【0054】
S60(障害物判定):立体駐車装置30の利用者により、携帯端末60の表示画面に表示された立体駐車装置30内部の動画を介して、立体駐車装置30の内部に人や障害物が存在していないか否かを確認する。その結果、立体駐車装置30の内部に人も障害物も存在しないことを確認した場合(YES)はS70へ移行し、立体駐車装置30の内部に人又は障害物が存在することを確認した場合(NO)はS80へ移行する。
S70(無人確認操作):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、立体駐車装置30の内部に人や障害物が存在しないことを確認した旨の無人確認の入力操作を行う。この際、アプリケーション28によって、複数の無人確認用撮影手段24の撮影範囲毎に、及び/又は、複数の光電センサ12の検知範囲毎に、無人確認の入力操作を分けて実行させるようにしてもよい。更に、複数の無人確認用撮影手段24の各々により撮影している動画と共に、現在表示されている動画の撮影範囲に対応した無人確認の入力操作を行うための入力部を表示し、動画を確認しながら無人確認の入力操作を行えるようにしてもよい。そして、アプリケーション28により、無人確認の入力操作が行われたことを、通信手段26及び制御手段18を介して、立体駐車装置30の制御部40に通知する。
【0055】
S80(アプリで本人認証及びゲート開操作):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、携帯端末60を現在操作している人物が利用者本人であることを認証させるための、本人認証の入力操作を行う。これに先立って、アプリケーション28により、本人認証の入力操作を促すメッセージを表示する。本人認証の入力操作は、例えば、認証番号の入力、携帯端末60が備える指紋認識機能を利用した指紋入力、携帯端末60が備える顔認識機能を利用した利用者の顔の撮影、或いは、これらの類の別の入力操作であってもよい。そして、本人認証の入力操作により取得した情報を認証情報として、アプリケーション28により、入力された認証情報と、予め保持しているユーザ情報とに基づき、携帯端末60の操作者が利用者本人であることの確認を行う。操作者が利用者本人であることを確認できた場合は、本人認証が完了した旨のメッセージを表示し、更に、次の操作を促すようなメッセージを表示してもよい。一方、操作者が利用者本人であることを確認できなかった場合は、その旨のメッセージを表示すると共に、再度の本人認証の入力操作を促すメッセージを表示する。
【0056】
更に、アプリケーション28によって本人認証が行われた後に、立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、立体駐車装置30の開閉ゲート34を開くための入力操作を行う。このとき、3つの開閉ゲート34a~34cの中から、開く開閉ゲート34を利用者が選択できるようにしてもよく、予め設定されている特定の1つの開閉ゲート34が開くようにしてもよい。そして、アプリケーション28により、利用者から受けた開閉ゲート34を開くための入力操作を、開閉ゲート34の開動作に係る操作情報として、通信手段26へと送信する。
S90(ゲート開動作):制御手段18により、通信手段26を介して開閉ゲート34の開動作に係る操作情報を受信し、この操作情報に基づいて、開閉ゲート34を開くための動作指令を、立体駐車装置30の制御部40に対して出力する。その後、制御手段18から動作指令を受けた制御部40により、駆動部50を制御して、上記S80において選択された或いは予め設定された開閉ゲート34を上昇させる。
【0057】
S100(人や障害物の除去):立体駐車装置30の利用者により、上記S90で開かれた開閉ゲート34から立体駐車装置30の内部に進入し、上記S60で存在を確認した人又は障害物を除去する。すなわち、立体駐車装置30の内部に人が立ち入っていた場合は、立体駐車装置30の外部へ退出させ、障害物がある場合は、それを立体駐車装置30の外部へと移動する。
S110(無人確認操作):上記S100において人や障害物を除去し、立体駐車装置30の内部に人や障害物が存在していないことを確認したため、立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して無人確認の入力操作を行う。操作内容等は上記S70と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0058】
S120(アプリで本人認証及びゲート閉操作):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して本人認証の入力操作を行う。操作内容等は上記S80の本人認証の部分と同様であるため、詳しい説明を省略する。
更に、アプリケーション28によって本人認証が行われた後に、立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、上記S90において開かれた開閉ゲート34を閉じるための入力操作を行う。このとき、位置関係算出手段20によって継続的に算出されている、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、制御手段18及び/又はアプリケーション28により、携帯端末60の位置を判定する。すなわち、携帯端末60が立体駐車装置30の内部に位置しているか否か、及び、携帯端末60が立体駐車装置30から所定距離以上離れているか否かを判定する。
【0059】
そして、携帯端末60が、立体駐車装置30の内部に位置している、或いは、立体駐車装置30から所定距離以上離れていると判定した場合は、アプリケーション28により、開閉ゲート34を閉じるための入力操作を受け付けずに、操作が無効である旨のメッセージを表示する。この際、アプリケーション28により、後述するS160のように、携帯端末60が操作範囲外であることを示すメッセージを表示してもよい。他方、携帯端末60が、立体駐車装置30の内部に位置していない、かつ、立体駐車装置30から所定距離以上離れていないと判定した場合は、アプリケーション28により、開閉ゲート34を閉じるための入力操作を受け付ける。そして、利用者から受けた開閉ゲート34を閉じるための入力操作を、開閉ゲート34の閉動作に係る操作情報として、通信手段26へと送信する。
【0060】
S130(ゲート閉動作):制御手段18により、通信手段26を介して開閉ゲート34の閉動作に係る操作情報を受信し、この操作情報に基づいて、開閉ゲート34を閉じるための動作指令を、立体駐車装置30の制御部40に対して出力する。その後、制御手段18から動作指令を受けた制御部40により、駆動部50を制御して、上記S90において開かれた開閉ゲート34を下降させる。
S140(アプリで本人認証):アプリケーション28により、乗越え検知用センサ12Bが物体を検知した履歴がない旨のメッセージを表示した後、立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して本人認証の入力操作を行う。操作内容等は上記S80の本人認証の部分と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0061】
S150(携帯端末位置判定):制御手段18及び/又はアプリケーション28により、位置関係算出手段20によって継続的に算出されている、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、携帯端末60の位置を判定する。すなわち、携帯端末60が立体駐車装置30の前面側に位置しているか否かを判定する。その結果、携帯端末60が立体駐車装置30の前面側に位置していると判定した場合(YES)は、S150へ移行する。一方、携帯端末60が、立体駐車装置30の内部や立体駐車装置30から所定距離以上離れた位置等にあり、立体駐車装置30の前面側に位置していないと判定した場合(NO)は、S160へ移行する。
S160(操作範囲外の表示):アプリケーション28により、携帯端末60が操作範囲外にある旨のメッセージを表示すると共に、立体駐車装置30の前面側に移動するように促すメッセージを表示する。その後、上記S150へ復帰する。すなわち、上記S150において携帯端末60が立体駐車装置30の前面側に位置していると判定されるまで、アプリケーション28を介した次の操作が行えなくなる。
【0062】
S170(呼び出しパレット特定):制御手段18及び/又はアプリケーション28により、ユーザ情報に基づき、上記S140において本人認証を行った利用者が車両を入出庫するための、呼び出し対象の可動式パレット32の特定を行う。アプリケーション28により特定する場合は、保持しているユーザ情報から呼び出し対象の可動式パレット32を特定し、特定した可動式パレット32を示す情報を、通信手段26を介して制御手段18へと送信する。又、制御手段18により特定する場合は、通信手段26を介してアプリケーション28からユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報から呼び出し対象の可動式パレット32を特定する。
S180(パレット位置判定):制御手段18により、立体駐車装置30の制御部40から複数の可動式パレット32の位置情報を取得し、上記S170において特定した可動式パレット32が、車両を入出庫可能な位置(地上段)にあるか否かを判定する。その結果、特定した可動式パレット32が、地上段にあると判定した場合(YES)はS200へ移行し、地上段にないと判定した場合(NO)はS190へ移行する。
【0063】
S190(パレット呼び出し動作):制御手段18により、上記S170において特定した可動式パレット32を、車両を入出庫可能な位置まで移動させるための動作指令を、立体駐車装置30の制御部40に対して出力する。そして、その動作指令を受けた制御部40により、駆動部50を制御することで、特定された可動式パレット32を地上段まで移動させる。
S200(ゲート開動作):立体駐車装置30の制御部40により、駆動部50を制御し、上記S170で特定された可動式パレット32の前面側にある開閉ゲート34を上昇させ、可動式パレット32に車両を入出庫できる状態にする。又、開閉ゲート34の上昇中に、制御部40によりブザー音を発音する。
【0064】
S210(装置内進入中の注意喚起):利用者が立体駐車装置30の内部に進入中であることを示す注意喚起を行う。例えば、立体駐車装置30の制御部40によるブザー音の発音や、アプリケーション28による装置内進入中を示すメッセージの表示等を行う。
S220(車両の入出庫):立体駐車装置30の利用者により、上記S170で特定された可動式パレット32に対して車両を入出庫する。
S230(光電センサ検知判定):制御手段18により、制御部40を介して複数の光電センサ12の検知状態を取得し、物体を検知している光電センサ12があるか否かを判定する。その結果、物体を検知している光電センサ12があると判定した場合(YES)は、S240へ移行し、物体を検知している光電センサ12がないと判定した場合(NO)は、S260へ移行する。
【0065】
S240(アプリで検知状態表示):アプリケーション28により、通信手段26を介して制御手段18から、複数の光電センサ12の検知状態を取得する。そして、取得した複数の光電センサ12の検知状態を、各光電センサ12の設置レイアウトに対応させて表示する。すなわち、例えば、立体駐車装置30を平面視したときの、車両を入出庫可能な高さにある可動式パレット32の簡単な設置レイアウトを表示し、更に、そのレイアウト上やレイアウトの周囲に、複数の光電センサ12による検知範囲をセンサ毎に表示できるようにする。そして、物体を検知している光電センサ12がある場合は、複数の光電センサ12の検知範囲に対応する表示位置のうち、物体を検知している光電センサ12の検知範囲に対応する表示位置を、他の検知範囲に対応する表示位置と異なる色で表示すればよい。
【0066】
S250(検知要因を除去):立体駐車装置30の利用者により、上記S240で携帯端末60の表示画面に表示された複数の光電センサ12の検知状態を確認し、物体を検知している光電センサ12を把握する。そして、その光電センサ12の検知要因が、可動式パレット32上に入庫した車両に因るものか、或いは、立体駐車装置30の内部に居残った人に因るものか等を判断し、検知要因を除去する。すなわち、入庫した車両に因るものの場合は、車両の停止位置を調整し、居残った人に因るものの場合は、その人を立体駐車装置30の外側へ退出させる。
S260(アプリで本人認証):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して本人認証の入力操作を行う。操作内容等は上記S80の本人認証の部分と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0067】
S270(携帯端末位置判定):制御手段18及び/又はアプリケーション28により、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、携帯端末60が立体駐車装置30の前面側に位置しているか否かを判定する。その結果、携帯端末60が、立体駐車装置30の前面側に位置していると判定した場合(YES)はS290へ移行し、立体駐車装置30の前面側に位置していないと判定した場合(NO)はS280へ移行する。
S280(操作範囲外の表示):アプリケーション28により、携帯端末60が操作範囲外にある旨のメッセージを表示すると共に、立体駐車装置30の前面側に移動するように促すメッセージを表示する。その後、上記S270へ復帰する。すなわち、上記S270において携帯端末60が立体駐車装置30の前面側に位置していると判定されるまで、アプリケーション28を介した次の操作が行えなくなる。
【0068】
S290(アプリで動画表示):アプリケーション28により、制御手段18及び通信手段26を介して、複数の無人確認用撮影手段24により撮影している立体駐車装置30内部の動画を取得し、携帯端末60の表示画面に表示する。上記S50と同等の内容であるため、詳しい説明を省略する。
S300(無人確認及び無人確認操作):立体駐車装置30の利用者により、上記S290で携帯端末60の表示画面に表示された動画を確認すると共に、立体駐車装置30の内部を目視で確認することによって、乗降領域周辺(上記S220で車両を入出庫した可動式パレット32周辺)の無人確認を行う。更に、立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、乗降領域周辺の無人確認を行ったことを示す入力操作を行う。操作内容等は上記S70と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0069】
S310(検知履歴判定):制御手段18により、立体駐車装置30の制御部40を介して、乗降領域周辺の光電センサ12を除いた他の光電センサ12に、上記S200において開閉ゲート34が開いてから現在までの間に、物体を検知した履歴があるか否かを確認する。その結果、履歴があると判定した場合(YES)はS320へ移行し、履歴がないと判定した場合(NO)はS340へ移行する。
S320(アプリで検知状態表示):アプリケーション28により、複数の光電センサ12の検知状態を、各光電センサ12の設置レイアウトに対応させて表示する。表示内容等は上記S240と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0070】
S330(無人確認及び無人確認操作):立体駐車装置30の利用者により、上記S320で表示された複数の光電センサ12の検知状態から、上記S310で検知履歴があると判定された光電センサ12を把握する。そして、検知履歴があると判定された光電センサ12の周辺を中心に、上記S290で携帯端末60の表示画面に表示された動画を確認すると共に、立体駐車装置30の内部を目視で確認することによって、乗降領域以外の無人確認を行う。このとき、人や障害物等を発見した場合は、それらを立体駐車装置30の外部に退去又は除去する。更に、立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、乗降領域以外の無人確認を行ったことを示す入力操作を行う。操作内容等は上記S70と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0071】
S340(光電センサ検知判定):制御手段18により、制御部40を介して複数の光電センサ12の検知状態を取得し、物体を検知している光電センサ12があるか否かを判定する。その結果、物体を検知している光電センサ12があると判定した場合(YES)は、上記S290へ復帰し、物体を検知している光電センサ12がないと判定した場合(NO)は、S350へ移行する。更に、このような光電センサ12の検知状態の監視を、後述するS420において開閉ゲート34が閉じられるまで、継続的に行うものとする。
S350(アプリで安全確認操作):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、立体駐車装置30内部の安全確認が終了したことを示す安全確認の入力操作を行う。そして、アプリケーション28により、安全確認の入力操作が行われたことを、通信手段26及び制御手段18を介して、立体駐車装置30の制御部40に通知する。
【0072】
S360(携帯端末位置判定):制御手段18及び/又はアプリケーション28により、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、携帯端末60が立体駐車装置30の前面側に位置しているか否かを判定する。その結果、携帯端末60が、立体駐車装置30の前面側に位置していると判定した場合(YES)はS380へ移行し、立体駐車装置30の前面側に位置していないと判定した場合(NO)はS370へ移行する。
S370(操作範囲外の表示):アプリケーション28により、携帯端末60が操作範囲外にある旨のメッセージを表示すると共に、立体駐車装置30の前面側に移動するように促すメッセージを表示する。その後、上記S360へ復帰する。すなわち、上記S360において携帯端末60が立体駐車装置30の前面側に位置していると判定されるまで、アプリケーション28を介した次の操作が行えなくなる。
【0073】
S380(アプリでゲート閉操作):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、上記S200において開かれた開閉ゲート34を閉じるための入力操作を行う。そして、アプリケーション28により、利用者から受けた開閉ゲート34を閉じるための入力操作を、開閉ゲート34の閉動作に係る操作情報として、通信手段26を介して制御手段18へと送信する。
S390(アプリで本人認証):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して本人認証の入力操作を行う。操作内容等は上記S80の本人認証の部分と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0074】
S400(認証判定):アプリケーション28により、上記S140において認証を行った利用者と、上記S390において認証を行った利用者とが、同じ利用者であるか否かを判定する。その結果、同じ利用者であると判定した場合(YES)はS410へ移行し、同じ利用者でないと判定した場合(NO)は上記S390へ復帰する。
S410(アプリで運転開始操作):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、上記S380において閉操作を入力した開閉ゲート34の閉動作を実行させるための、運転開始の入力操作を行う。そして、アプリケーション28により、利用者から受けた運転開始の入力操作を、開閉ゲート34の閉動作の実行に係る操作情報として、通信手段26を介して制御手段18へと送信する。
【0075】
S420(ゲート閉動作):上記S350における安全確認の入力、上記S360における携帯端末60の位置確認、上記S380における閉操作入力、上記S400における認証判定等を経たため、制御手段18により、開閉ゲート34を閉じるための動作指令を、立体駐車装置30の制御部40に対して出力する。その後、制御手段18から動作指令を受けた制御部40により、駆動部50を制御して、上記S200において開かれた開閉ゲート34を下降させる。又、開閉ゲート34の下降中に、制御部40によりブザー音を発音する。
S430(検知履歴削除):立体駐車装置30の制御部40により、複数の光電センサ12の検知履歴を削除する。
S440(アプリの操作終了):立体駐車装置30の利用者により、アプリケーション28に対して、立体駐車装置30の操作を終了することを示す操作終了の入力を行う。そして、アプリケーション28により、操作終了の入力が行われたことを、通信手段26を介して制御手段18に通知する。
【0076】
ここで、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、図1及び図2に示したような構造の立体駐車装置30への適用に限定されるものではない。すなわち、立体駐車装置30は、高さ方向(図2の上下方向)や並列方向(図2の左右方向)により多くの(又はより少ない)可動式パレット32を備えた構成であってもよく、地上だけではなく地下に可動式パレット32を備えた構成であってもよい。又、可動式パレット32が並列方向には移動せずに、高さ方向の列毎に連動して高さ方向のみに移動するものであってもよい。更に、高さ方向や並列方向だけではなく、前後方向(図2の右手前から左奥方向)に複数列の可動式パレット32を備えた構成であってもよい。
【0077】
又、立体駐車装置30が備える光電センサ12も、図1及び図2の実施例に限定されるものではなく、より多くの(又はより少ない)光電センサ12を備えていてもよく、各光電センサ12が設置される位置も任意である。又、立体駐車装置30が操作盤36を備えずに、携帯端末60からの操作のみに対応していてもよく、或いは、従来よりも単純な構成の操作盤36を備えていてもよい。加えて、立体駐車装置30の前面側の支柱(図2の例では支柱42a~42d)等に、無人確認を行ったことを制御部40に通知するための、無人確認用の入力操作部を備えていてもよい。
【0078】
又、図3及び図4に示したフロー図は、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法を説明するための、工程の流れの一例を示したものである。従って、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法を適用する工程フローは、図3及び図4に示した工程フローに限定されるものではなく、例えば、立体駐車装置30の構造や使用状況等に応じて、図3及び図4に示した工程の一部が削除、変更、ないし適宜追加された工程フローであってもよいものである。更に、図3及び図4の説明では、操作盤36を使用する場合の説明を省略しているが、状況に応じて、操作盤36を介して入力操作を行ってもよい。
【0079】
例えば、S10、S20に替えてキー操作等によって操作盤36の電源を投入してもよく、S80、S120、S140、S260、S390において操作盤36を介して本人認証を行ってもよく、S80において操作盤36を介して開閉ゲート32の開操作を行ってもよい。更に、S120、S380において操作盤36を介して開閉ゲート32の閉操作を行ってもよく、S440に替えてキー操作等によって操作盤36の電源を切断してもよい。加えて、立体駐車装置30が無人確認用の入力操作部を備えている場合は、S70、S110、S300、S330において入力操作部を介して無人確認の入力操作を行ってもよい。
【0080】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、図1及び図2に示すように、車両が格納される複数の可動式パレット32、車両を入出庫可能な位置に配置された可動式パレット32の前面に位置する開閉ゲート34、及び、認証された利用者からの操作を受けて、駆動部50を介して動作制御を行う制御部40を含む、立体駐車装置30を制御の対象とするものである。具体的には、立体駐車装置30の利用者により操作される携帯端末60上で動作するアプリケーション28と、少なくとも1つの通信手段26と、システム全体を制御する制御手段18とを含んでいる。アプリケーション28は、立体駐車装置30の利用者の情報をユーザ情報として保持し、又、携帯端末60上で所定の機能を実行する。
【0081】
そのような機能の1つとして、アプリケーション28は、必要に応じたタイミングで、立体駐車装置30の利用者に対して本人認証を促し、この際、携帯端末60への認証情報の入力を求める。そして、保持しているユーザ情報と入力された認証情報とに基づいて、携帯端末60の操作者が利用者本人であることの確認を行う(図3のS80、S120、S140、図4のS260、S390参照)。更に、アプリケーション28は、利用者の本人認証を行った後に、例えば、可動式パレット32の呼び出し操作や開閉ゲート34の開閉操作等といった、立体駐車装置30に対する操作の入力を、携帯端末60の入力手段を介して受ける。そして、入力された操作を操作情報として通信手段26へと送信する(図3のS80、S120、図4のS380参照)。
【0082】
通信手段26は、立体駐車装置30に設置され、携帯端末60が備える無線通信機能を介して携帯端末60と無線通信関係を確立することで、携帯端末60上のアプリケーション28と、立体駐車装置30に設置される制御手段18との間で、情報の送受信を行うためのものである。このため、アプリケーション28から通信手段26へ送信された操作情報等の情報は、通信手段26から制御手段18へ伝達される。一方、制御手段18は、立体駐車装置30の制御部40と通信を行い、その通信内容の1つとして、通信手段26を介して受信した操作情報の内容に応じた、立体駐車装置30を動作させるための動作指令を、立体駐車装置30の制御部40に対して出力するものである。
【0083】
すなわち、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、近年では大多数の人が所持している携帯端末60を利用して、立体駐車装置30の利用者の本人認証や、立体駐車装置30を動作させるための操作入力が行われるものである。これにより、立体駐車装置30の利用者は、手元で操作可能な携帯端末60を介して、本人認証のための操作や立体駐車装置30の操作を入力することができるため、利便性を大幅に向上することができ、利用者の負担を軽減することが可能となる。更に、本人認証の実施等の安全性に関わる要件自体は満たされているため、立体駐車装置30の安全性が低下することはなく、そのまま維持することができる。又、携帯端末60上で動作するアプリケーション28には、上述したような機能を有する専用のアプリケーションを利用すればよいため、アプリケーション28の内容如何によって、様々な機能を実現することができる。
【0084】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、制御手段18及び/又はアプリケーション28が、立体駐車装置30の利用者が車両の入出庫を行うための、呼び出し対象の可動式パレット32の特定を行うものである(図3のS170参照)。制御手段18が行う場合は、通信手段26を介してアプリケーション28からユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報に基づいて可動式パレット32を特定する。又、アプリケーション28が行う場合は、保持しているユーザ情報から可動式パレット32を特定し、特定した可動式パレット32を示す情報を、通信手段26を介して制御手段18へと送信する。何れの場合であっても、可動式パレット32を特定するための情報の入力を利用者から受けることなく、制御手段18が呼び出し対象の可動式パレット32を把握することができるため、利用者の負担をより軽減することができる。
【0085】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、更に、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出するための、位置関係算出手段20を含むものである。そして、制御手段18は、位置関係算出手段20から上記の位置関係を取得し、取得した位置関係に基づいて、少なくとも一部の動作制御を行う。又、アプリケーション28は、位置関係算出手段20から上記の位置関係を取得し、取得した位置関係に基づいて、少なくとも一部の所定の機能を実行する。すなわち、制御手段18及びアプリケーション28は、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係、換言すれば、立体駐車装置30と携帯端末60を所持している利用者との位置関係に基づいて、一部の動作制御や機能を実行するものである。これにより、立体駐車装置30と利用者との位置関係に応じて、一部の動作制御や機能の実行制限等を行うことができるため、安全性を向上することができる。
【0086】
更に、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、制御手段18及び/又はアプリケーション28が、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、携帯端末60が立体駐車装置30の内部に位置しているか否か、すなわち、利用者が立体駐車装置30の内部に居るか否かを判定する。更に、制御手段18及び/又はアプリケーション28は、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、携帯端末60が立体駐車装置30から所定距離以上離れているか否か、すなわち、利用者が立体駐車装置30から所定距離以上離れているか否かを判定する。そして、利用者が立体駐車装置30の内部に居ると判定した場合、或いは、利用者が立体駐車装置30から所定距離以上離れていると判定した場合に、少なくとも開閉ゲート34の開閉動作に係る操作情報と、可動式パレット32の呼び出しに係る操作情報とを無効化してもよいものである。
【0087】
このような操作情報の無効化は、アプリケーション28により、操作入力自体を不可にすることで実現してもよく(図3のS120、S150、図4のS270、S360参照)、操作情報を通信手段26に送信しないことで実現してもよい。更に、制御手段18により、アプリケーション28から送信されたそれらの操作情報を受け付けないようにすることで、或いは、それらの操作情報に係る動作指令を立体駐車装置30の制御部40に送信しないことで実現してもよい。これにより、利用者が立体駐車装置30の内部に居る状態で、或いは、利用者が立体駐車装置30から所定距離以上離れた状態で、可動式パレット32が移動することや開閉ゲート34が動作することを防止できる。このため、装置の前面側から操作盤を介して操作される従来の立体駐車装置と比較して、立体駐車装置30の安全性を維持することが可能となる。
【0088】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、制御手段18及び/又はアプリケーション28が、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係に基づいて、携帯端末60が立体駐車装置30から所定距離以上離れたか否か、すなわち、利用者が立体駐車装置30から所定距離以上離れたか否かを判定する。そして、少なくとも開閉ゲート34が開かれた状態で、利用者が立体駐車装置30から所定距離以上離れたと判定した場合に、利用者に注意喚起を行うものである(図3のS30、S160、図4のS280、S370参照)。これにより、利用者が所有するキー等によって操作盤の電源が投入及び切断される従来の立体駐車装置と同様に、開閉ゲート34が開かれた状態のまま、利用者が立体駐車装置30から立ち去ることを防止することができる。なお、開閉ゲート34が開かれた状態だけに限らず、アプリケーション28を介して立体駐車装置30の操作が行われている最中(図3のS20~図4のS440)は常に、利用者と立体駐車装置30との間の距離の監視や、所定距離以上離れた場合の注意喚起を行ってもよい。この場合は、立体駐車装置30の操作中に利用者が立ち去ることを防止することができる。
【0089】
更に、上記の注意喚起として、以下のような複数の方法のうち、少なくともいずれか1つを実行してもよい。すなわち、制御手段18或いは立体駐車装置30が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音、携帯端末60が備えるスピーカからの音声又は警告音の発音、携帯端末60の表示画面へのメッセージ表示、携帯端末60の操作ロック、若しくは、携帯端末60へのメール送信である。いずれの方法であっても、利用者に対して立体駐車装置30に近づくように促す発音内容や表示内容にすることで、効果的に注意喚起を行うことができる。
【0090】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、位置関係算出手段20が、アプリケーション28を介して、携帯端末60から携帯端末60の位置情報を取得してもよい。携帯端末60の位置情報は、携帯端末60自体が備えている、例えばGPS等を利用した位置情報取得機能から取得する。そして、取得した携帯端末60の位置情報を利用して、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出するものである。すなわち、位置関係算出手段20は、携帯端末60の位置情報と比較可能な形態で、予め立体駐車装置30の位置情報が登録されていることで、それらの位置情報から立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出する。このように、位置関係の算出に携帯端末60が備える機能を利用することで、効率よく位置関係を算出することができる。
【0091】
或いは、位置関係算出手段20が、立体駐車装置30の内部及び又はその周辺に設置された複数の人感センサを含み、これら複数の人感センサの検知状態に応じて、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出してもよい。この際、人感センサの現在の検知状態だけではなく、人感センサが利用者を検知した履歴を利用してもよい。すなわち、人感センサでは、携帯端末60ではなく利用者自身の位置を検知し、更に、使用する人感センサの検知範囲、設置数量、設置位置等に応じて、利用者の検知精度を高めることができるため、立体駐車装置30と利用者との位置関係を高精度で算出することが可能となる。
【0092】
更に、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、携帯端末60との間に無線通信関係を確立する通信手段26が、互いに間隔を空けて立体駐車装置30に複数設置されている。これによって、携帯端末60と通信手段26との間の通信精度を高めることができる。そして、位置関係算出手段20は、通信手段26の各々により受信する、携帯端末60からの無線通信波の強弱を利用して、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係を算出してもよい。すなわち、位置関係算出手段20は、複数の通信手段26において携帯端末60から受信する無線通信波の強さと、各通信手段26の設置位置の情報とを利用して、位置関係を算出する。このように、携帯端末60との間に無線通信関係を確立するための通信手段26を、立体駐車装置30と携帯端末60との位置関係の算出にも利用することで、携帯端末60の位置を把握するための専用機器を設置することなく、効率よく位置関係を算出することができる。
【0093】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、更に複数の撮影手段22を含むものであり、各撮影手段22は、立体駐車装置30の内部を動画で撮影するように設置される。そして、複数の撮影手段22により撮影された動画は、制御手段18によって、通信手段26を介し携帯端末60に対して送信され、この送信された動画が、アプリケーション28によって、携帯端末60の表示画面に表示されるものである。これにより、立体駐車装置30の内部の様子を、利用者の手元にある携帯端末60において確認することができるため、利便性をより一層向上することが可能となる。
【0094】
更に、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、投光部14と受光部16とを備える光電センサ12が、物体検知のために複数箇所に設置された立体駐車装置30を制御対象とするものである。そのために、上述した複数の撮影手段22として、複数の無人確認用撮影手段24を含み、これらの無人確認用撮影手段24は、少なくとも一部の光電センサ12による検知範囲を撮影するように設置される。このとき、無人確認用撮影手段24の各々は、複数の光電センサ12の検知範囲を撮影範囲に含むように設置されてもよく、1つの光電センサ12の検知範囲を撮影範囲に含むように設置されてもよい。
【0095】
そして、複数の無人確認用撮影手段24の各々により撮影された動画は、アプリケーション28により携帯端末60の表示画面に表示され、これによって利用者に対し、動画で写されている光電センサ12の検知範囲の各々の無人確認を促すものである(図3のS50、図4のS290参照)。更にこれと併せて、アプリケーション28は、動画で表示された光電センサ12の各検知範囲の、無人確認が行われたことを示す操作情報の入力画面を、携帯端末60の表示画面に表示するものである(図3のS70、S110、図4のS300、S330参照)。これにより、光電センサ12の検知範囲の無人確認と、無人確認が行われたことを示す操作情報の入力との双方を、利用者の手元にある携帯端末60を介して行うことができる。このため、光電センサ12の検知範囲を目視で確認できる位置において、目視による無人確認及び無人確認ボタンの操作が行われていた、従来の立体駐車装置と比較して、安全性を低下させることなく、利用者の負担を一層軽減することが可能となる。
【0096】
又、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、アプリケーション28が、立体駐車装置30に設置された複数の光電センサ12の検知状態を、立体駐車装置30の制御部40や制御手段18等を経て、通信手段26を介して取得する。そして、取得した複数の光電センサ12の検知状態を、各光電センサ12の設置レイアウト(例えば、立体駐車装置30を平面視した場合の各光電センサ12の設置レイアウト)に対応させて、携帯端末60の表示画面に表示させるものである(図4のS240、S320参照)。これにより、立体駐車装置30の利用者に対して、物体を検知している光電センサ12の位置を、直感的に分かり易く通知することができるため、利用者による無人確認の負担を軽減することができ、より確実に無人確認を実行させることができる。
【0097】
更に、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御システム10は、携帯端末60との間に無線通信関係を確立し、アプリケーション28と制御手段18との間で通信を可能にするための通信手段26として、携帯端末60が備えるBluetooth通信機能を介して無線通信関係を確立する、Bluetooth通信手段が利用されるものである。Bluetooth通信機能は、近年、多くの携帯端末60に搭載されており、又、Bluetoothによる通信は、他の無線通信と比較して、無線通信関係の確立が容易であり、消費電力が少ないといったメリットがある。このため、様々な種類の携帯端末60に対応して無線通信を容易に行うことができると共に、携帯端末60及び通信手段26の消費電力を抑制することができる。
【0098】
或いは、通信手段26として、携帯端末60が備える赤外線通信機能を介して無線通信関係を確立する、赤外線通信手段を利用してもよい。ここで、赤外線による通信は、通常、通信を行う機器同士が可能な限り正対している必要があるが、この点が考慮されて、赤外線通信手段の設置位置が調整されていることで、利用者が常に立体駐車装置30の正面に位置している状態で、携帯端末60と赤外線通信手段との通信が行われることになる。これにより、立体駐車装置30の利用者に対して、立体駐車装置30の正面で携帯端末60を操作することを間接的に促すことができるため、装置の前面側から操作盤を介して操作される従来の立体駐車装置と比較して、携帯端末60を介した操作によって利便性を向上させながらも、安全性を維持することが可能となる。
【0099】
一方、本発明の実施の形態に係る立体駐車装置30は、上述したような立体駐車装置の制御システム10を備えると共に、利用者により操作が入力される操作盤36が、例えば装置の前面側等に設置されたものである。そして、操作盤36を介した操作入力と、携帯端末60上のアプリケーション28を介した操作入力との双方に対応して、制御部40により動作が制御されるものである。これにより、携帯端末60を介した操作により利便性が向上されながらも、携帯端末60を所持していない利用者からの入力や、充電切れ等により携帯端末60が正常に動作しない場合の入力等を、操作盤36を介して行うことができるため、様々なケースに柔軟に対応することが可能となる。
他方、図3及び図4に示す本発明の実施の形態に係る立体駐車装置の制御方法は、上述した立体駐車装置の制御システム10により実行されることで、立体駐車装置の制御システム10と同等の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0100】
10:立体駐車装置の制御システム、12A~12H:光電センサ、14a~14h:投光部、16a~16h:受光部、18:制御手段、20:位置関係算出手段、22:撮影手段、24:無人確認用撮影手段、26:通信手段、28:アプリケーション、30:立体駐車装置、32a~32i:可動式パレット、34a~34c:開閉ゲート、36:操作盤、40:制御部、60:携帯端末
図1
図2
図3
図4