(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20221110BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20221110BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20221110BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20221110BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20221110BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20221110BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221110BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20221110BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20221110BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221110BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20221110BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/245
F21S43/243
F21S43/14
F21V8/00 310
F21V8/00 340
F21Y101:00 300
F21Y115:10
F21Y101:00 100
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
F21W105:00
(21)【出願番号】P 2018130524
(22)【出願日】2018-07-10
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】坂下 麻美
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/069301(WO,A1)
【文献】特開2012-079539(JP,A)
【文献】特開2017-027662(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21S 43/245
F21S 43/243
F21S 43/14
F21V 8/00
F21W 105/00
F21Y 101/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
内部に光拡散材を含有し、所定の第1方向から見て2つの主表面が同時に見えるようにねじれた形状の板状部を有する導光体と、を備え、
前記導光体は、前記板状部の2つの前記主表面をつなぐ第1側面から入射する前記光源の光を前記光拡散材によって2つの前記主表面から出射
し、
前記導光体は、周面が前記板状部の前記第1側面に接続される棒状部を有し、
前記棒状部は、前記光源の光が端部から入射され、前記光源の光を内部で導光しながら前記周面から前記板状部に光を出射し、
前記周面と前記第1側面との接続位置は、所定の第1部位から、当該第1部位よりも前記光源から離れた第2部位にかけて、前記棒状部の軸周り方向に連続的にずれていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記板状部は、前記主表面に平行な仮想軸が延びる方向における前記板状部の一端側と他端側とを、前記仮想軸周りに互いに反対の方向に回転させた形状を有する請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記板状部は、2つの前記主表面をつなぐ、前記第1側面とは異なる側面を有し、
前記板状部は、前記第1方向から見て、2つの前記主表面および前記異なる側面が同時に見えるようにねじれた形状を有し、
前記導光体は、前記第1側面から入射する光を2つの前記主表面および前記異なる側面から出射する請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記異なる側面は、第2側面、および前記第2側面とは異なる第3側面を含み、
前記板状部は、前記第1方向から見て、2つの前記主表面、前記第2側面および前記第3側面が同時に見えるようにねじれた形状を有し、
前記導光体は、前記第1側面から入射する光を2つの前記主表面、前記第2側面および前記第3側面から出射する請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に自動車などの車両に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源の光を導光体を介して灯具前方へ出射する車両用灯具が知られている。例えば特許文献1には、板状導光体に側面から光を入射させ、灯具内側の主表面に設けられたステップ等の反射要素によって反射させて、灯具外側の主表面から灯具前方へ光を出射する構造を有する車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の車両用灯具では、導光体の平らな主表面から光を出射していた。このため、従来の車両用灯具には、導光体の発光をより多方向から視認させる上で改善の余地があった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、導光体の発光をより多方向から視認させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、光源と、内部に光拡散材を含有し、所定の第1方向から見て2つの主表面が同時に見えるようにねじれた形状の板状部を有する導光体と、を備える。導光体は、板状部の2つの主表面をつなぐ第1側面から入射する光源の光を光拡散材によって2つの主表面から出射する。この態様によれば、導光体の発光をより多方向から視認させることができる。
【0007】
上記態様において、板状部は、主表面に平行な仮想軸が延びる方向における板状部の一端側と他端側とを、仮想軸周りに互いに反対の方向に回転させた形状を有してもよい。また、上記いずれかの態様において、板状部は、2つの主表面をつなぐ、第1側面とは異なる側面を有し、板状部は、第1方向から見て、2つの主表面および前記異なる側面が同時に見えるようにねじれた形状を有し、導光体は、第1側面から入射する光を2つの主表面および前記異なる側面から出射してもよい。また、上記態様において、前記異なる側面は、第2側面、および第2側面とは異なる第3側面を含み、板状部は、第1方向から見て、2つの主表面、第2側面および第3側面が同時に見えるようにねじれた形状を有し、導光体は、第1側面から入射する光を2つの主表面、第2側面および第3側面から出射するしてもよい。また、上記いずれかの態様において、導光体は、周面が板状部の第1側面に接続される棒状部を有し、棒状部は、光源の光が端部から入射され、光源の光を内部で導光しながら周面から板状部に光を出射してもよい。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導光体の発光をより多方向から視認させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る車両用灯具の斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る車両用灯具の内部構造を示す正面図である。
【
図4】
図4(A)および
図4(B)は、板状部の光出射効率の測定方法を説明するための模式図である。
【
図9】
図9(A)は、
図7のB-B線に沿った断面図である。
図9(B)は、
図7のC-C線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具の斜視図である。
図2は、実施の形態に係る車両用灯具の内部構造を示す正面図である。
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。車両用灯具1は、例えば車両後方に配置されるリアコンビネーションランプである。本実施の形態では説明の便宜上、灯具前後方向と車両用灯具1が搭載される車体の前後方向とを同一の方向とし、灯具左右方向を車体の車幅方向と同一の方向とする。また、
図1および
図2における右側を車幅方向外側とする。
【0013】
車両用灯具1は、ランプボディ2と、ランプボディ2の灯具前方側を覆う透光性のアウターカバー(図示せず)とを備える。ランプボディ2とアウターカバーとで形成される灯室内には、光源4と、導光体6とが収容される。光源4および導光体6は、それぞれランプボディ2に固定される。
【0014】
光源4は、例えばLED(発光ダイオード)である。なお、光源4は、LD(レーザーダイオード)、有機または無機EL(エレクトロルミネセンス)等の他の半導体発光素子や、白熱球、ハロゲンランプ、放電球等であってもよい。本実施の形態では、1つの導光体6に対し、2つの光源4a,4bが設けられている。以下では、光源4aおよび光源4bを区別する必要がない場合、これらをまとめて光源4と称する。
【0015】
導光体6は、透光性を有する樹脂部材である。導光体6に用いられる樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の、透明な熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を挙げることができる。本実施の形態では、複数の導光体6が車幅方向に配列されている。また、複数の導光体6は、車幅方向外側に配置されるものほど灯具後方側にずれるように配列されている。
【0016】
各導光体6は、棒状部8と、板状部10とを有する。棒状部8は、任意の一方向に延在する長尺の部分である。本実施の形態の棒状部8は、円柱状であり、おおよそ鉛直方向に延びている。ただし、導光体6は、車幅方向内側に配置されるものほど棒状部8が斜めに寝かされている。また、複数の導光体6は、車幅方向外側に向かうにつれて、その正面が徐々に車体の側方側に向けられている。つまり、各導光体6は、車幅方向外側に向かうにつれて、棒状部8の延伸軸(延伸方向の中心軸)周りに徐々に回転するように姿勢が定められている。
【0017】
棒状部8の端部には、光源4が配置される。本実施の形態では、棒状部8の一端側に光源4aが配置され、他端側に光源4bが配置されている。各光源4は、その発光面が棒状部8の端面と対向するように配置される。したがって、各光源4の光は、棒状部8の端面から導光体6に入射する。端面とは、棒状部材の端部において延伸軸と交わる方向に延びる表面である。
【0018】
板状部10は、棒状部8の周面から突出する。周面とは、棒状部材の延伸軸に沿って延びる表面である。板状部10は、棒状部8の両端部を除く中間部分において、棒状部8に連結される。棒状部8の両端部と、各端部に近接配置される光源4とは、ランプボディ2によって灯具外部に対して隠されている。また、棒状部8は、ランプボディ2に設けられる貫通孔2aに挿通される。棒状部8における両端部をつなぐ中間部分と、板状部10とは、ランプボディ2の外部に対して露出する。
【0019】
板状部10は、互いに背向する第1主表面10aと第2主表面10bとを有する。また、板状部10は、第1主表面10aおよび第2主表面10bをつなぐ複数の側面を有する。導光体6の形状については、後に詳細に説明する。
【0020】
図3における破線領域Rの拡大図に示されるように、板状部10は、内部に光拡散材11を含有する。光拡散材11としては、金属酸化物粒子、例えば二酸化チタン粒子を挙げることができる。二酸化チタン粒子の平均粒径は、例えば150~500nm、好ましくは160~450nm、より好ましくは170~450nm、さらに好ましくは200~400nm、特に好ましくは220~400nmである。光拡散材11の含有量は、板状部10の質量全体に対して例えば0.1~100質量ppm、好ましくは0.1~50質量ppm、より好ましくは0.1~10質量ppmである。
【0021】
二酸化チタン粒子は、ルチル変態の割合が例えば50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。板状部10には、用いられる樹脂の主要モノマーと共重合可能な他のモノマーや、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、潤滑剤、流動性改善剤、充填剤、光安定剤等の一般的な添加剤が含有されてもよい。なお、棒状部8における光拡散材11の含有量は板状部10における含有量よりも少なく、本実施の形態の棒状部8は光拡散材11を含有していない。
【0022】
板状部10を構成する材料は、板厚4mmの平板として測定した場合に、少なくとも一部における板厚方向でのヘイズ値が7%超30%以下である。なお、棒状部8を構成する材料は、同条件で測定した場合にヘイズ値が7%以下である。また、板状部10を構成する材料は、板厚4mmの平板として測定した場合に、少なくとも一部における板厚方向での可視光の透過率(一方の主表面の法線方向で当該主表面から入射する光の量に対する、他方の主表面から全方向に出射する光の量の割合)が60%以上92%以下である。
【0023】
板状部10および棒状部8のヘイズ値は、ヘーズメーターHZ-2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7136に準拠して測定することができる。板状部10の可視光透過率は、ヘーズメーターHZ-2(スガ試験機社製)を用いてJIS K7361-1に準拠して測定することができる。
【0024】
また、板状部10を構成する材料からなる平板材(以下では便宜上、この平板材を板状部10とする)は、2つの主要面をつなぐ側面から入射する光が主表面から出射される際の出射効率について、以下の条件を満たす。
図4(A)および
図4(B)は、板状部の光出射効率の測定方法を説明するための模式図である。
図4(A)は、板状部10の寸法とLEDの配置とを示している。
図4(B)は、固定枠Bが取り付けられた板状部10を光出射面C側から見た様子を示している。
【0025】
図4(A)に示すように、上下方向の長さ100mm、左右方向の長さ190mm、厚さ3.2mmの直方体状の板状部10を用意する。この板状部10の側面Aを光源光の入射面とする。そして、側面Aの法線方向にLEDを配置する。LEDは、焦点Pが側面Aを向き、且つ焦点Pから側面Aまでの距離が1.85mmとなるように配置される。LEDの発光面からは、180°の範囲で光が拡散する。
【0026】
また、
図4(B)に示すように、用意した板状部10の周囲を固定枠Bで覆う。固定枠Bで覆われた状態で、板状部10の光出射面Cは、上下方向の長さが90mm、左右方向の長さが160mmとなる。固定枠Bは、表面および裏面ともに光を反射しない。また、光出射面Cの法線方向で光出射面Cから√10の距離に、受光面(図示せず)を配置する。
【0027】
この状態で、LEDから光を出射させる。そして、光出射面Cの中心を通る法線と受光面との交点を中心として、受光面上の上下15°×左右25°の矩形領域に照射される光の光束を測定する。板状部10の場合、当該矩形領域に照射される光の光束は、LEDから出射される光の光束を1としたときに0.3%以上となる。
【0028】
また、板状部10は、側面から光が入射されると、主表面からの単位面積当たりの出射光量の方が、光が入射した側面に背向する側面からの単位面積当たりの出射光量よりも多く、一方の主表面から光が入射されると、他方の主表面からの単位面積当たりの出射光量の方が側面からの単位面積当たりの出射光量よりも多い、という光学的特性を有する。
【0029】
すなわち、板状部10は、側面から光が入射される場合と、主表面から光が入射される場合とのいずれであっても、主表面から出射される光の割合が側面から出射される光の割合より高い。ただし、板状部10は、側面からも所定量の光が出射される。したがって、板状部10は、任意の1つの側面を光入射面とした場合に、2つの主表面と他の側面とが発光部として視認される。
【0030】
続いて、導光体6の形状について詳細に説明する。
図5は、光源および導光体の正面図である。
図6は、光源および導光体の背面図である。
図7は、光源および導光体の左側面図である。
図8は、光源および導光体の右側面図である。
図9(A)は、
図7のB-B線に沿った断面図である。
図9(B)は、
図7のC-C線に沿った断面図である。
【0031】
棒状部8は、鉛直方向上側に位置する第1端面8aと、鉛直方向下側に位置する第2端面8bと、第1端面8aおよび第2端面8bをつなぐ周面8cとを有する。第1端面8aと対向する位置には光源4aが配置され、第2端面8bと対向する位置には光源4bが配置される。また、棒状部8の両端部には、棒状部8をランプボディ2に固定するための連結部8dが設けられる。
【0032】
板状部10は、互いに背向する第1主表面10aおよび第2主表面10bと、第1主表面10aおよび第2主表面10bをつなぐ第1側面10c、および第1側面10cとは異なる側面と、を有する。本実施の形態では、第1側面10cとは異なる側面に、第2側面10d、第3側面10eおよび第4側面10fが含まれる。第1側面10cは、第2側面10dおよび第4側面10fと接する。第2側面10dは、第1側面10cおよび第3側面10eと接する。第3側面10eは、第2側面10dおよび第4側面10fと接する。第4側面10fは、第3側面10eおよび第1側面10cと接する。互いに接する2つの側面は、稜線で区切られている。
【0033】
導光体6は、棒状部8の周面8cが板状部10の第1側面10cに接続された構造を有する。第1側面10cは、棒状部8の延伸方向に沿って延び、その全体が周面8cに接続されている。第2側面10dは、おおよそ鉛直方向上方を向く側面であり、第3側面10eは、おおよそ灯具前方を向く面であり、第4側面10fは、おおよそ鉛直方向下方を向く面である。
【0034】
本実施の形態では、棒状部8の直径は、板状部10の厚さよりも大きい。また、棒状部8と板状部10とは一体成形品である。当該一体成形品は、光拡散材11を非混合の樹脂材料と、光拡散材11を混合した樹脂材料とを用いて、従来公知の2色成形等により製造することができる。
【0035】
また、板状部10は、所定の第1方向から見て2つの主表面、つまり第1主表面10aおよび第2主表面10bが同時に見えるようにねじれた形状を有する。言い換えれば、板状部10は、第1主表面10aもしくは第2主表面10bに平行な仮想軸Xが延びる方向における板状部10の一端側(第2側面10d)と他端側(第4側面10f)とを、仮想軸X周りに互いに反対の方向に回転させた形状を有する。これにより、第1主表面10aおよび第2主表面10bを同一方向から同時に視認することができる。
【0036】
また、本実施の形態の板状部10は、第1方向から見て、第1主表面10a、第2主表面10b、第2側面10dおよび第3側面10eが同時に見えるようにねじれた形状を有する。本実施の形態では、第1方向の一例として導光体6の正面から見たとき、第1主表面10a、第2主表面10b、第2側面10dおよび第3側面10eを同時に視認することができる(
図1も参照)。
【0037】
また前述の通り、複数の導光体6は、車幅方向外側に向かうにつれて、その正面が徐々に車体の側方側に向けられている。このため、車両用灯具1を灯具前方から観察したとき、車幅方向の広い角度範囲において、少なくとも1つの導光体6については2つの主表面および2つの側面を同時に視認することができる。
【0038】
各光源4の光は、棒状部8の第1端面8aおよび第2端面8bから導光体6に入射する。棒状部8は、一方の端部から入射された光源4の光を他方の端部に向けて内部で導光する。この過程で光源4の光は、周面8cから板状部10に出射される。具体的には、第1端面8aから入射した光源4aの光は、反対側の第2端面8bに向かって内面反射しながら棒状部8内を進む。この過程で、光源4aの光は、棒状部8の周面8cと板状部10の第1側面10cとの接続部において周面8cから板状部10側に漏れ、板状部10に入射する。第2端面8bから入射する光源4bの光についても同様である。
【0039】
第1側面10cから板状部10に入射した光源4の光は、板状部10の内部に分散する光拡散材11によって第1主表面10aおよび第2主表面10bから出射される。これにより、第1主表面10aおよび第2主表面10bは全体が均一に面発光する。また、板状部10に入射した光の一部は、第2側面10d、第3側面10eおよび第4側面10fからも出射される。板状部10は、所定方向から見て第1主表面10a、第2主表面10b、第2側面10dおよび第3側面10eが同時に見えるようにねじれた形状を有するため、観察者は、板状部10の4面の発光を一度に視認することができる。
【0040】
また、
図7、
図9(A)および
図9(B)に示すように、本実施の形態の導光体6では、周面8cと第1側面10cの接続位置Mが、所定の第1部位と当該第1部位よりも光源4から離れた第2部位とで棒状部8の軸周り方向Yにずれた形状を有する。
【0041】
第1端面8a側を基準に考えた場合、棒状部8の延びる方向Zに対して直交する断面で見たとき、B-B線断面の位置にある第1部位での接続位置Mbと、第1部位よりも光源4aから離れたC-C線断面の位置にある第2部位での接続位置Mcとでは、接続位置Mbよりも接続位置Mcの方が時計回り方向にずれている。
【0042】
第2端面8b側を基準に考えた場合、棒状部8の延びる方向Zに対して直交する断面で見たとき、C-C線断面の位置にある第1部位での接続位置Mcと、第1部位よりも光源4bから離れたB-B線断面の位置にある第2部位での接続位置Mbとでは、接続位置Mcよりも接続位置Mbの方が反時計回り方向にずれている。
【0043】
また、
図5や
図8からも明らかなように、接続位置Mは、第1部位から第2部位にかけて連続的にずれている。また、第1部位は板状部10の一方の端部、つまり第2側面10dを含み、第2部位は板状部10の他方の端部、つまり第4側面10fを含む。すなわち、板状部10は、第2側面10dから第4側面10fにかけて、接続位置Mが軸周り方向Yに連続的にずれている。さらに、接続位置Mは、軸周りで同じ方向にずれている。つまり、板状部10の第1側面10cは、棒状部8を中心として螺旋状にねじれている。第1側面10cの回転範囲、言い換えれば軸周り方向Yのずれ量は、周面8cの全周に対し例えば1/4~3/4である。
【0044】
車両用灯具1は、光源4aおよび/または光源4bの点灯によって板状部10から光を出射することで、例えばストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ等として機能することができる。また、車両用灯具100は、光源4aの点灯により第1の灯具機能を発揮し、光源4bの点灯により第2の灯具機能を発揮することもできる。また、車両用灯具1は、複数の導光体6を順次発光させることで、いわゆるシーケンシャル発光を実現することができる。
【0045】
板状部10は、高い透明性を有する。また、板状部10は透明であるとともに、第1側面10cから入射した光を第1主表面10aおよび主表面118aから均一に出射することができる。また、光は第2側面10d~第4側面10fからも出射される。すなわち、光源4の非点灯時は、板状部10は透明に見える。一方、光源4の点灯時は、板状部10の全体が発光して見える。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1は、光源4と、内部に光拡散材11を含有し、所定の第1方向から見て第1主表面10aおよび第2主表面10bが同時に見えるようにねじれた形状の板状部10を有する導光体6と、を備える。導光体6は、板状部10の2つの主表面をつなぐ第1側面10cから入射する光源4の光を光拡散材11によって2つの主表面から出射する。
【0047】
このように、導光体のねじれた主表面から光を出射させることで、導光体の平らな主表面から光を出射する場合に比べて、導光体の発光をより多方向から視認させることができる。よって、車両用灯具1の被視認性を高めることができる。また、立体的な発光を実現することができ、車両用灯具100の意匠性、見栄えを向上させることができる。
【0048】
また、板状部10は光拡散材11によって第1主表面10aおよび第2主表面10bを発光させている。このため、側面から入射した光を灯具内側の主表面に設けたステップ等の反射要素により反射して、灯具外側の主表面から出射させる導光体に比べて、より均一に面発光させることができる。また、導光体表面の発光の均一性を向上させることができるため、歩行者や他の車両の運転者等が、車両用灯具1の発光をより確実に視認することができる。よって、車両用灯具1の被視認性をより高めることができる。
【0049】
また、ステップ等の反射要素によって導光体から光を出射させる構造では、導光体を成形する際の金型の抜き方向等の制約から、導光体を複雑な立体形状にすることは困難であった。これに対し、本実施の形態では光拡散材11によって板状部10から光を出射させるため、複雑な立体形状を有する板状部10を射出成形等により簡単に製造することができる。これにより、導光体6の発光を視認できる角度範囲をより簡単に拡げることができる。
【0050】
また、本実施の形態の板状部10は、その主表面に平行な仮想軸Xが延びる方向における板状部10の一端側と他端側とを、仮想軸X周りに互いに反対方向に回転させた形状を有する。これにより、車両用灯具1の被視認性をより確実に高めることができる。また、車両用灯具100の意匠性、見栄えを向上させることができる。
【0051】
また、板状部10は、2つの主表面をつなぐ、第1側面10cとは異なる側面を有し、板状部10は、第1方向から見て2つの主表面および当該異なる側面が同時に見えるようにねじれた形状を有する。そして、導光体6は、第1側面10cから入射する光を2つの主表面および当該異なる側面から出射する。これにより、車両用灯具1の被視認性をより確実に高めることができる。また、車両用灯具100の意匠性、見栄えを向上させることができる。
【0052】
さらに、本実施の形態では、第1側面10cとは異なる側面に第2側面10dおよび第3側面10eが含まれる。また、板状部10は、第1方向から見て2つの主表面、第2側面10dおよび第3側面10eが同時に見えるようにねじれた形状を有する。そして、導光体6は、第1側面10cから入射する光を2つの主表面、第2側面10dおよび第3側面10eから出射する。これにより、車両用灯具1の被視認性をより確実に高めることができる。また、車両用灯具100の意匠性、見栄えを向上させることができる。なお、第2側面10dと第3側面10eとの間に稜線がなく、2つの側面が連続して1つの側面(この側面を便宜上、第2側面10dとする)として見える場合は、板状部10が第2側面10dと2つの主表面が同時に見えるようにねじれた形状を有し、第2側面10dおよび2つの主表面から光が出射される、と捉えることができる。
【0053】
また、導光体6は、周面8cが板状部10の第1側面10cに接続される棒状部8を有する。そして、棒状部8は、光源4の光が端部から入射され、光源4の光を内部で導光しながら周面8cから板状部10に光を出射する。したがって、光源4の光は棒状部8内を内面反射しながら進み、その過程で周面8cから第1側面10c側に漏れる光が板状部10に進入する。つまり、光源4の光は、棒状部8内を進行しながら徐々に板状部10に入射する。これにより、板状部10をより均一に面発光させることができる。
【0054】
また、本実施の形態の車両用灯具1は、光源4と、棒状部8および内部に光拡散材11を含有する板状部10を有する導光体6と、を備える。導光体6は、棒状部8の周面8cが板状部10の第1側面10cに接続されるとともに、周面8cと第1側面10cの接続位置Mが所定の第1部位と当該第1部位よりも光源4から離れた第2部位とで棒状部8の軸周り方向にずれた形状を有する。光源4の光は、棒状部8の端部から棒状部8に入射し、棒状部8の周面8cから板状部10に入射し、光拡散材11によって板状部10の主表面から出射される。
【0055】
棒状部8の周面8cと板状部10の第1側面10cとの接続位置Mが棒状部8の軸周り方向にずれていない場合、つまり、第1側面10cが棒状部8の延伸軸に対して平行に延びる場合、棒状部8内で同じ方向に内面反射する光が主に板状部10に入射する。このため、棒状部8内の光を効率よく板状部10に入射させることが困難である。これに対し、接続位置Mを棒状部8の軸周り方向に徐変させることで、棒状部8内のより多くの光を板状部10に入射させることができる。これにより、棒状部8内に残って板状部10から出射されない光を減らすことができる。よって、車両用灯具1における光の利用効率を高めることができる。
【0056】
また、本実施の形態の接続位置Mは、第1部位から第2部位にかけて連続的にずれている。これにより、光の利用効率をより高めることができる。また、第1部位は、板状部10の一方の端部を含み、第2部位は、板状部10の他方の端部を含む。これにより、棒状部8と板状部10との接続位置Mの全体を、軸周り方向にずらすことができる。よって、光の利用効率をより高めることができる。また、接続位置Mは、軸周りで同じ方向にずれている。これにより、光の利用効率をより高めることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0058】
板状部10は、曲率の大きい湾曲形状であってもよい。また、光源4は、棒状部8の一方の端部側のみに配置されてもよい。また、光源4の光は、リフレクタで反射されて棒状部8に入射してもよい。導光体6の数、配置および姿勢も、実施の形態における数、配置および姿勢に限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1 車両用灯具、 4,4a,4b 光源、 6 導光体、 8 棒状部、 8c 周面、 10 板状部、 10a 第1主表面、 10b 第2主表面、 10c 第1側面、 10d 第2側面、 10e 第3側面、 11 光拡散材。