(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
A47J37/12 321
(21)【出願番号】P 2018138062
(22)【出願日】2018-07-23
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】加賀 進一
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-067661(JP,A)
【文献】特開2016-131631(JP,A)
【文献】実開昭59-034742(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/10-37/12
A47J 27/14-27/18
A47J 37/00-37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理油が貯留される油槽(11)と、前記油槽(11)を外部から加熱するガスバーナー(14)を設けた燃焼室(13)と、前記油槽(11)の外側に画成されて前記燃焼室(13)に連通し、前記ガスバーナー(14)の燃焼ガスが前記油槽(11)を加熱した後に排出する排気通路(15,16,17)とを備えるフライヤーにおいて、
前記燃焼室(13)における前記ガスバーナー(14)の上方に臨む前記油槽(11
)に設けられ、該油槽(11)の温度を測定部(18a)で測定する温度センサ(18)と、
前記温度センサ(18)で測定される油槽温度に基づき、空焚きか否かを判定する制御手段(19)とを備え、
前記排気通路(15,16,17)は、前記燃焼室(13)に対し入口(15a,16a,17a)を介して連通しており、
前記ガスバーナー(14)は、火炎を吹き出す複数のバーナー部(30a,30b)を、前記油槽(11)に対する前後方向に離間するように並設して構成され、
前記温度センサ(18)
は、前記測定部(18a)を、前記燃焼室(13)における前記排気通路(15,16,17)の入口(15a,16a,17a)が臨む領域以外の非通路領域(S,S1)であって、
前記前後方向において油槽(11)から最も離間するバーナー部(30b)における火炎の吹出口(29a)の真上近傍に臨ませると共に、該測定部以外の部分が他のバーナー部(30a)の上方から退避するように、前記油槽(11)に取り付けられている
ことを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
調理油が貯留される油槽(11)と、前記油槽(11)を外部から加熱するガスバーナー(14)を設けた燃焼室(13)と、前記油槽(11)の外側に画成されて前記燃焼室(13)に連通し、前記ガスバーナー(14)の燃焼ガスが前記油槽(11)を加熱した後に排出する排気通路(15,16,17)とを備えるフライヤーにおいて、
前記燃焼室(13)における前記ガスバーナー(14)の上方に臨む前記油槽(11
)に設けられ、該油槽(11)の温度を測定部(18a)で測定する温度センサ(18)と、
前記温度センサ(18)で測定される油槽温度に基づき、空焚きか否かを判定する制御手段(19)とを備え、
前記排気通路(15,16,17)は、前記燃焼室(13)に対し入口(15a,16a,17a)を介して連通しており、
前記ガスバーナー(14)は、火炎を吹き出す複数のバーナー部(30a,30b)を並設して構成され、
前記温度センサ(18)
は、前記測定部(18a)を、前記燃焼室(13)における前記排気通路(15,16,17)の入口(15a,16a,17a)が臨む領域以外の非通路領域(S,S1)であって、
並び方向の端のバーナー部(30b)における火炎の吹出口(29a)の真上近傍に臨ませると共に、該測定部以外の部分が他のバーナー部(30a)の上方から退避するように、前記油槽(11)に取り付けられている
ことを特徴とするフライヤー。
【請求項3】
前記排気通路(16,17)は、前記油槽(11)の前後方向に延在すると共に、該前後方向と交差する油槽(11)の幅方向に離間して複数設けられ、
前記温度センサ(18)の測定部(18a)を、前記幅方向に離間する排気通路(16,17)の入口間の非通路領域(S)における幅方向の中央または中央付近に臨ませるよう構成した請求項1
または2記載のフライヤー。
【請求項4】
前記排気通路(15,16)は、前記油槽(11)の前後方向に延在すると共に、該前後方向と交差する油槽(11)の幅方向に離間して複数設けられ、
前記複数の排気通路(15,16)の入口間の非通路領域(S1)の幅方向の長さは、該非通路領域(S1)を挟む幅方向両側の2つの入口(15a,16a)の幅寸法より長く設定され、
前記温度センサ(18)の測定部(18a)を、前記非通路領域(S1)の幅方向における略1/4の位置に臨ませるよう構成した請求項1
または2記載のフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理油を加熱して被調理品を油揚げするフライヤーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食店やコンビニエンスストア等の店舗では、被調理品を油揚げする業務用のフライヤーが実用化されている。このフライヤーは、所定量の調理油が貯留される油槽と、該油槽内の調理油を加熱する加熱手段とを備えている。前記加熱手段として、油槽の外側に配設されるガスバーナーを使用するフライヤーは、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のフライヤーでは、フライヤー本体に油槽が内装され、フライヤー本体の内部に配置したガスバーナーで加熱された燃焼ガスを、該油槽の外側に画成した排気通路に流通させることで、油槽を加熱して調理油を昇温させる。そして、油槽を加熱した燃焼ガスは、排気口から外部へ排出される。また、フライヤーでは、油槽の一部または全部に調理油が存在しなくなった状態でガスバーナーを燃焼させると、油槽は空焚き状態になって極めて危険であることから、該空焚きを検知する手段が設けられている。
【0004】
特許文献1のフライヤーでは、燃焼室に臨む油槽の外壁に温度センサを取り付け、該温度センサで測定される油槽温度の上昇値が閾値を超えた場合に、空焚きが発生していると判定して、ガスバーナーへのガスの供給を停止することで空焚きを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記燃焼室に連通する排気通路に燃焼ガスを流通して油槽を加熱するフライヤーでは、燃焼室から排気通路の入口に向かって燃焼ガスが流れるため、ガスバーナーから吹き出す火炎は、燃焼ガスの流れによって引かれて排気通路側に変向される。すなわち、燃焼室における排気通路の入口が臨む領域や、該入口の近傍に臨むガスバーナーから吹き出す火炎は、燃焼室内で略真直に立ち上がらず、ガスバーナーの上方に臨む油槽の温度は不均一となる。すなわち、温度センサの取り付け位置によっては、該温度センサで測定される油槽温度に基づいて早期に空焚きが発生していることを判定することができない難点が指摘される。
【0007】
すなわち本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、空焚きが発生していることを早期に判定することができるフライヤーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係るフライヤーは、
調理油が貯留される油槽と、前記油槽を外部から加熱するガスバーナーを設けた燃焼室と、前記油槽の外側に画成されて前記燃焼室に連通し、前記ガスバーナーの燃焼ガスが前記油槽を加熱した後に排出する排気通路とを備えるフライヤーにおいて、
前記燃焼室における前記ガスバーナーの上方に臨む前記油槽に設けられ、該油槽の温度を測定部で測定する温度センサと、
前記温度センサで測定される油槽温度に基づき、空焚きか否かを判定する制御手段とを備え、
前記排気通路は、前記燃焼室に対し入口を介して連通しており、
前記ガスバーナーは、火炎を吹き出す複数のバーナー部を、前記油槽に対する前後方向に離間するように並設して構成され、
前記温度センサは、前記測定部を、前記燃焼室における前記排気通路の入口が臨む領域以外の非通路領域であって、前記前後方向において油槽から最も離間するバーナー部における火炎の吹出口の真上近傍に臨ませると共に、該測定部以外の部分が他のバーナー部の上方から退避するように、前記油槽に取り付けられていることを要旨とする。
請求項1の発明によれば、温度センサの測定部を、燃焼室から排気通路へ流入する燃焼ガスの流れの影響を受け難い非通路領域におけるガスバーナーの略真上に臨ませているので、空焚きが発生していることを早期に判定して対処することができる。すなわち、非通路領域では、ガスバーナーの火炎は略真直に立ち上がるので、油槽の対応部位の温度は上昇し易く、当該部位の油槽温度を測定部で測定することで、空焚きが発生していることを早期に判定して対処することができる。また、温度センサにおける測定部以外の部分が、バーナー部の火炎による直接的な高温に晒されるのを防ぐことができるので、測定部以外の部分の熱劣化を防止し得る。
【0009】
請求項3の発明では、
前記排気通路は、前記油槽の前後方向に延在すると共に、該前後方向と交差する油槽の幅方向に離間して複数設けられ、
前記温度センサの測定部を、前記幅方向に離間する排気通路の入口間の非通路領域における幅方向の中央または中央付近に臨ませるよう構成したことを要旨とする。
請求項3の発明によれば、非通路領域における幅方向の中央または中央付近のガスバーナーの火炎は、燃焼室から排気通路へ流入する燃焼ガスの流れの影響をより受け難いので、空焚きが発生していることをより早期に判定して対処することができる。
【0010】
請求項4の発明に係るフライヤーは、
前記排気通路は、前記油槽の前後方向に延在すると共に、該前後方向と交差する油槽の幅方向に離間して複数設けられ、
前記複数の排気通路の入口間の非通路領域の幅方向の長さは、該非通路領域を挟む幅方向両側の2つの入口の幅寸法より長く設定され、
前記温度センサの測定部を、前記非通路領域の幅方向における略1/4の位置に臨ませるよう構成したことを要旨とする。
請求項4の発明によれば、非通路領域の幅方向の長さが、該非通路領域を挟む幅方向両側の2つの入口の幅寸法より長く設定されている場合に、温度センサの測定部を、非通路領域の幅方向における略1/4の位置に臨ませるようにしたので、空焚きが発生していることをより早期に判定することができる。すなわち、非通路領域の幅方向の長さが、該非通路領域を挟む幅方向両側の2つの入口の幅寸法より長い構成では、燃焼室から各入口を介して排気通路へ流入する燃焼ガスの流れが速くなり(入口が絞られる構成となるから)、これに伴いガスバーナーの火炎は、非通路領域における幅方向の中央を挟む両側の領域において対応する入口側に火炎が変向する。従って、油槽における非通路領域の幅方向における略1/4の位置に対応する部分が温度上昇し易くなり、当該位置に温度センサの測定部を臨ませることで、空焚きが発生していることをより早期に判定して対処することができる。
【0011】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記ガスバーナーは、火炎を吹き出す複数のバーナー部を、前記油槽に対する前後方向に離間するように並設して構成され、
前記温度センサの測定部を、前記前後方向に隣り合うバーナー部の間に臨ませるよう構成したことを要旨とする。
この構成では、温度センサの測定部を、空焚き時に温度が上昇し易い部位である、非通路領域における前後方向に隣り合うバーナー部の間に臨ませているので、空焚きが発生していることをより早期に判定して対処することができる。
【0012】
本願には、次のような技術的思想が含まれる。
前記温度センサの測定部を、前記前後方向に隣り合うバーナー部の間において、該バーナー部における火炎の吹出口の真上近傍に臨ませるよう構成したことを要旨とする。
この構成では、空焚き時に最も温度が上昇し易い部位である、非通路領域における火炎の吹出口の真上近傍に温度センサの測定部を臨ませているので、空焚きが発生していることをより早期に判定して対処することができる。
【0013】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2の発明に係るフライヤーは、
調理油が貯留される油槽と、前記油槽を外部から加熱するガスバーナーを設けた燃焼室と、前記油槽の外側に画成されて前記燃焼室に連通し、前記ガスバーナーの燃焼ガスが前記油槽を加熱した後に排出する排気通路とを備えるフライヤーにおいて、
前記燃焼室における前記ガスバーナーの上方に臨む前記油槽に設けられ、該油槽の温度を測定部で測定する温度センサと、
前記温度センサで測定される油槽温度に基づき、空焚きか否かを判定する制御手段とを備え、
前記排気通路は、前記燃焼室に対し入口を介して連通しており、
前記ガスバーナーは、火炎を吹き出す複数のバーナー部を並設して構成され、
前記温度センサは、前記測定部を、前記燃焼室における前記排気通路の入口が臨む領域以外の非通路領域であって、並び方向の端のバーナー部における火炎の吹出口の真上近傍に臨ませると共に、該測定部以外の部分が他のバーナー部の上方から退避するように、前記油槽に取り付けられていることを要旨とする。
請求項2の発明によれば、温度センサの測定部を、燃焼室から排気通路へ流入する燃焼ガスの流れの影響を受け難い非通路領域におけるガスバーナーの略真上に臨ませているので、空焚きが発生していることを早期に判定して対処することができる。すなわち、非通路領域では、ガスバーナーの火炎は略真直に立ち上がるので、油槽の対応部位の温度は上昇し易く、当該部位の油槽温度を測定部で測定することで、空焚きが発生していることを早期に判定して対処することができる。また、温度センサにおける測定部以外の部分が、バーナー部の火炎による直接的な高温に晒されるのを防ぐことができるので、測定部以外の部分の熱劣化を防止し得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るフライヤーによれば、空焚きが発生していることを早期に判定して、適切な対応を図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1に係るフライヤーを示す概略斜視図である。
【
図2】実施例1に係るフライヤーを縦断して示す要部概略側面図である。
【
図3】実施例1に係るフライヤーを燃焼室の部分で縦断して示す要部概略正面図である。
【
図4】実施例1に係るフライヤーを横断して示す概略平面図である。
【
図5】実施例1に係るフライヤーにおけるガスバーナと温度センサとの位置関係を示す説明図である。
【
図6】実施例1に係るフライヤーの制御ブロック図である。
【
図7】実施例2に係るフライヤーを燃焼室の部分で縦断して示す要部概略正面図である。
【
図8】実施例3に係るフライヤーにおけるガスバーナと温度センサとの位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るフライヤーにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例1】
【0017】
図1~
図4に示す如く、実施例1のフライヤー10は、調理油が貯留される箱状の油槽11と、該油槽11が収容されるフライヤー本体12と、フライヤー本体内部の燃焼室13に配設されたガスバーナー14と、該ガスバーナー14により加熱された加熱空気(燃焼ガス)を油槽11の外周に流通させる排気通路15,16,17と、油槽11の温度を測定する温度センサ18と、該温度センサ18で測定される油槽温度に基づいて空焚きか否かを判定する制御手段19とを備える。
【0018】
前記フライヤー本体12は、上方に開口する箱状に構成されて、該フライヤー本体12の内部に、上方へ開口して油槽11が収容される。油槽11は、底面の前端縁に上方に延在する第1前壁20が接続されると共に、該第1前壁20の上端に、
図2において前方に向かうにつれ上方へ傾斜する延出部21が接続され、更に該延出部21の前端に上方に延在する第2前壁22が接続されている。そして、第1前壁20、延出部21および第2前壁22の幅方向の左右側縁に側壁23,23(
図3)が接続されることで、油槽11には深さの異なる貯留部24a,24bが画成される。実施例1では、
図2に示す如く、第1前壁20より後側に深さの深い第1貯留部24aが画成されると共に、該第1前壁20より前側に深さの浅い第2貯留部24bが画成される。
【0019】
前記油槽11の外側には、
図2~
図4に示す如く、所定間隔離間して通路カバー25が配設されている。この通路カバー25は、油槽11の第1前壁20から前方(外側)に離間して配設された前カバー25aと、油槽11の後壁26から後方(外側)に離間して配設された後カバー25bと、油槽11における左右の側壁23,23から側方(外側)に離間して配設された一対の側カバー25c,25cと、油槽11の底面に対向して配設した底カバー25dとから構成される。また、前記通路カバー25における前カバー25a、左右の側カバー25c,25cおよび底カバー25dと、前記油槽11における第1前壁20および延出部21とによって囲まれた空間に燃焼室13が画成され、該燃焼室13に前記ガスバーナー14が配置される。この燃焼室13は、前記排気通路15,16,17と入口15a,16a,17aを介して空間的に連通しており、前記ガスバーナー14は、図示しないガス供給源に接続するガス供給管(図示せず)からのガスを燃焼させて該燃焼室13内の空気を加熱するよう構成される。
【0020】
前記フライヤー本体12の後部(油槽11の後側)には、該排気通路15,16,17と連通する排気ダクト27が立設されている。そして、前記ガスバーナー14でのガス燃焼により発生した高温の燃焼ガスは、排気通路15,16,17を流通する際に前記油槽11との間で熱交換を行うことで該油槽11を加熱し、最終的に排気ダクト27内を上昇して排気口27aから外部へ排出される。実施例1では、
図3、
図4に示す如く、油槽11の前後方向に延在する3つの排気通路15,16,17が、油槽11の幅方向に離間して画成される。具体的に、油槽11を挟む幅方向の両側に側部排気通路15,16が画成されると共に、該油槽11の幅方向の中央に中央排気通路17が画成されており、各排気通路15,16,17は、その前端において入口15a,16a,17aを介して前記燃焼室13に連通している。
【0021】
前記ガスバーナー14としては、都市ガスやLPガスを燃焼源とし、ガスの流れによって一次空気を吸引する自然吸気式のブンゼンバーナーが好適に用いられる。ガスバーナー14は、
図4に示す如く、油槽11の幅方向(左右方向)に延在する複数のガス分配管28と、各ガス分配管28の上面に設けられて幅方向に離間する複数の燃焼ノズル29とを備え、各燃焼ノズル29は、ガス(火炎)の吹出口29aを真上(延出部21)に向けている。実施例1のガスバーナー14は、幅方向に整列する2本のガス分配管28,28からなるバーナー部30a,30bを、油槽11に対する前後方向に離間して2つ備えている。
【0022】
実施例1のフライヤー10は、前記油槽11内に規定量の調理油が貯留されていない場合に、ガスバーナー14のガス燃焼を開始することによる空焚きを防止するために用いられる前記温度センサ18を備えている。実施例1では、温度センサ18として、熱電対温度センサが採用され、該温度センサ18は制御手段19に接続される(
図6参照)。この熱電対温度センサは、異なる材料の2本の金属線を接続して1つの回路を構成して、2つの接点に温度差が生じるとゼーベック効果により回路に電圧が発生することで、温度を測定するよう構成されている。温度センサ18は、前記2本の金属線(熱電対)が収容された測定部18aを、センサ本体18bの先端に備え、該測定部18aで測定された油槽温度が制御手段19に入力されるよう構成される。そして、温度センサ18は、
図2および
図3に示すように、前記油槽11における第2貯留部24bを構成する延出部21の下面(油槽11の外面)に配設されている。
【0023】
実施例1では、前記温度センサ18における測定部18aを、前記ガスバーナー14の略真上であって、前記燃焼室13における排気通路15,16,17の入口15a,16a,17aが臨む領域以外の非通路領域Sに臨ませている。具体的に、
図3に示す如く、油槽11の右側の側部排気通路16の入口16aと中央排気通路17の入口17aとの間の非通路領域Sにおける幅方向の中央に、温度センサ18の測定部18aが臨んでいる。また測定部18aは、
図5に示す如く、ガスバーナー14における前後方向に隣り合う2つのバーナー部30a,30bの間(より具体的にはバーナー部30aとバーナー部30bとの間の中央)において、該バーナー部30a,30bにおける火炎の吹出口29aの真上近傍に臨ませている。なお、右側の側部排気通路16の入口16aと中央排気通路17の入口17aとの間の非通路領域Sにおける幅方向の長さは、該非通路領域Sを挟む幅方向両側の2つの入口16a,17aを合わせた幅寸法より短かく設定されて、前記燃焼室13から右側の側部排気通路16および中央排気通路17の各入口16a,17aへ燃焼ガスが流入する速度が早くなり過ぎるのを抑制するよう構成される。測定部18aは、非通路領域Sにおける幅方向の中央で、かつ2つのバーナー部30a,30bの間の前後方向の中央に臨ませるのが最も好ましいが、非通路領域Sにおける幅方向の中央近傍で、かつ2つのバーナー部30a,30bの間の前後方向の中央近傍に臨ませるものであってもよい。
【0024】
ここで、前記制御手段19は、前記温度センサ18の測定部18aで測定された油槽温度に基づいて、空焚きか否かを判定するよう構成される。具体的に、前記油槽11における調理油が減少して前記第2貯留部24bが空気中に露出したり、該油槽11に調理油が全くない状態では、前記ガスバーナー14により加熱されている油槽11の前記延出部21は、調理油がある状態での最高温度より上昇する。そこで、調理油がある状態での最高温度を閾値として、制御手段19は、測定部18aで測定された油槽温度が閾値を超えると空焚き状態になっていると判定する。また、制御手段19には、前記ガス供給管に設けた開閉弁31が接続されており、該制御手段19は、空焚き状態になっていると判定した場合は、開閉弁31を閉成してガスバーナー14の燃焼を停止させるように該開閉弁31制御するよう構成される。
【0025】
〔実施例1の作用〕
次に、前述のように構成された実施例1のフライヤーの作用について説明する。
【0026】
前記油槽11における第2貯留部24bに調理油が存在しない状態で、前記ガスバーナー14を燃焼させると、該ガスバーナー14の上方に臨んでいる前記延出部21の温度は上昇する。油槽11の温度(延出部21の温度)は、前記温度センサ18によって常時測定されており、その測定温度は制御手段19に入力される。そして、温度センサ18から入力される測定温度が予め設定された閾値に到達すると、制御手段19は、油槽11の少なくとも第2貯留部24bに調理油が存在せず、空焚き状態になっているものと判定する。そして、制御手段19は、前記開閉弁31を閉成するよう制御して、ガスバーナー14の燃焼を停止させる。
【0027】
前記ガスバーナー14を燃焼すると、前記燃焼室13内において該ガスバーナー14で加熱された燃焼ガスは、前記3つの排気通路15,16,17に流入し、該排気通路15,16,17を流通して前記排気ダクト27の排気口27aから外部に排出される。そして、燃焼室13から排気通路15,16,17に流入する燃焼ガスの流れによって、ガスバーナー14の吹出口29aから吹き出される火炎は、各排気通路15,16,17の入口15a,16a,17aに向けて変向する。
【0028】
ここで、前記ガスバーナー14の吹出口29aから吹き出される火炎が、前記燃焼ガスの流れの影響を受ける度合は、前記入口15a,16a,17aから離間する程小さくなり、前記燃焼室13においては、入口15a,16a,17aが臨まない前記非通路領域Sにおける幅方向の中央(入口16aと入口17aとの中間)において最も小さくなる。すなわち、前記燃焼室13においては、入口15a,16a,17aが臨む領域に位置する吹出口29aから吹き出される火炎は、入口15a,16a,17aに向けて後方に変向し、前記油槽11を構成する延出部21を直接的に加熱することに略寄与しない。これに対し、燃焼室13における非通路領域Sに臨む火炎は、燃焼ガスの流れによって入口15a,16a,17aに向けて幅方向に変向するとしても、延出部21を直接的に加熱することに寄与し、当該非通路領域Sに臨む延出部21は、空焚き状態において早く温度上昇する部位となる。そして、実施例1では、延出部21における早く温度上昇する非通路領域Sにおいて、ガスバーナー14の略真上に温度センサ18の測定部18aを臨ませているので、空焚き状態において測定部18aは閾値を早期に測定することとなり、前記制御手段19は、空焚きが発生していることを早期に判定して対処することができる。
【0029】
また、燃焼ガスの流れの影響を略受けない非通路領域Sにおける幅方向の中央の吹出口29aから吹き出される火炎は略真直に立ち上がるので、前記油槽11の延出部21における対応部位の温度は、延出部21の幅方向において空焚き状態で最も早く温度上昇する。そして、実施例1では、延出部21の幅方向における最も早く温度上昇する非通路領域Sにおける幅方向の中央において、ガスバーナー14の略真上に温度センサ18の測定部18aを臨ませているので、空焚き状態において測定部18aは閾値をより早く測定することとなり、前記制御手段19は、空焚きが発生していることをより早期に判定して対処することができる。
【0030】
また、実施例1のフライヤー10では、前記ガスバーナー14を、前後方向に離間する一対のバーナー部30a,30bで構成しており、前記油槽11の延出部21における両バーナー部30a,30bの間に臨む部位は、前後のバーナー部30a,30bの吹出口29a,29aから吹き出される火炎により加熱されることから、当該部位は延出部21の前後方向において温度上昇が最も早い部位である。そして、実施例1では、一対のバーナー部30a,30bを前後方向に離間して配置した構成において、延出部21の幅方向および前後方向で最も早く温度上昇する、非通路領域Sにおける幅方向の中央でバーナー部30a,30bの間において、前記温度センサ18の測定部18aを、火炎の吹出口29aの真上近傍に臨ませているので、空焚き状態において測定部18aは閾値を最も早く測定することとなり、前記制御手段19は、空焚きが発生していることをより早期に判定して対処することができる。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2に係るフライヤーについて、
図7を参照して、前記実施例1の構成と異なる部分についてのみ説明する。なお、実施例1で説明した同一部材には、同じ符号を付すものとする。
【0032】
実施例2に係るフライヤー32は、
図7に示す如く、前記油槽11を挟む幅方向の両側に側部排気通路15,16は画成されているが、中央排気通路17は画成されていない。また、左側の側部排気通路15と右側の側部排気通路16との入口間の非通路領域S1の幅方向の長さは、該非通路領域S1を挟む幅方向両側の2つの入口15a,16aを合わせた幅寸法より長く設定されている。そして、実施例2では、温度センサ18の測定部18aを、非通路領域S1の幅方向における略1/4の位置に臨ませている。
【0033】
ここで、前記非通路領域S1の幅方向の長さが、該非通路領域S1を挟む幅方向両側の2つの入口15a,16aを合わせた幅寸法より長く設定される構成では、前記燃焼室13から各入口15a,16aを介して側部排気通路15,16へ流入する燃焼ガスの流れが速くなり、これに伴いガスバーナー14の火炎は、非通路領域S1における幅方向の中央を挟む両側の領域において対応する入口側に向けて幅方向に変向する。すなわち、非通路領域S1の幅方向の長さが、該非通路領域S1を挟む幅方向両側の2つの入口15a,16aを合わせた幅寸法より長く設定される構成では、油槽11の延出部21における非通路領域S1の幅方向における略1/4の位置に対応する部分が、幅方向において最も温度上昇し易くなる。そして、実施例2では、延出部21における非通路領域S1の幅方向における略1/4の位置に、温度センサ18の測定部18aを臨ませるよう構成したので、空焚き状態において測定部18aは閾値を最も早く測定することとなり、制御手段19は、空焚きが発生していることをより早期に判定して対処することができる。
【0034】
なお、実施例2において、前記温度センサ18の測定部18aは、前記ガスバーナー14における一対のバーナー部30a,30bの間に臨むように構成されており、該測定部18aは、延出部21において前後方向での温度上昇が最も早い部位の温度を測定するようになっている。また、実施例2において、測定部18aは、一対のバーナー部30a,30bの間の前後方向の中央に臨ませるのが最も好ましいが、一対のバーナー部30a,30bの間の前後方向の中央近傍に臨ませるものであってもよい。
【実施例3】
【0035】
次に、実施例3に係るフライヤーについて、前記実施例1の構成と異なる部分についてのみ説明する。なお、実施例1で説明した同一部材には、同じ符号を付すものとする。
【0036】
実施例3に係るフライヤーでは、棒状の温度センサ18は、油槽11の延出部21の下面(油槽11の外面)に、先端に設けた測定部18aが第1前壁20を向く姿勢で、前後方向に延在するようにして取り付けられる。また、温度センサ18の測定部18aを、前後方向において油槽11から最も離間するバーナー部30bにおける火炎の吹出口29aの真上近傍に臨ませている。すなわち、温度センサ18は、測定部以外の部分が、油槽11から最も離間するバーナー部30b以外の他のバーナー部30aの上方から退避するように延在している。従って、温度センサ18における測定部以外の部分が、バーナー部30aの火炎による直接的な高温に晒されるのを防ぐことができ、測定部以外の部分の熱劣化を防止し得る。また、実施例3においても、延出部21の幅方向で最も早く温度上昇する、非通路領域Sにおける幅方向の中央において、油槽11から最も離間するバーナー部30bにおける火炎の吹出口29aの真上近傍に臨ませているので、空焚き状態において測定部18aは閾値を早く測定することとなり、制御手段19は、空焚きが発生していることを早期に判定して対処することができる。
【0037】
〔変更例〕
本願は、前述した各実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
1.各実施例では、ガスバーナーを、前後方向に離間する一対のバーナー部から構成したが、該バーナー部は1つまたは3つ以上であってもよい。
2.実施例1では、中央排気通路より右側の非通路領域の幅方向の中央に温度センサの測定部を臨ませたが、中央排気通路より左側の非通路領域の幅方向の中央に温度センサの測定部を臨ませてもよい。また、実施例2では、非通路領域の幅方向の中央より右側に偏った位置に温度センサの測定部を臨ませたが、非通路領域の幅方向の中央より左側に偏った位置に温度センサの測定部を臨ませてもよい。
3.各実施例では、温度センサで測定される油槽温度に基づき、制御手段が空焚きが発生していると判定した場合に、該制御手段によってガスバーナーへのガスの供給を制御して、該ガスバーナーの燃焼を停止するようにしたが、制御手段は、空焚きが発生していると判定した場合に、警報ブザーや警報ランプ等の警報手段を制御して、空焚きが発生していることを報知する構成を採用し得る。なお、制御手段は、ガスバーナーへのガスの供給制御と、警報手段よる報知との両方を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
11 油槽,13 燃焼室,14 ガスバーナー,15 側部排気通路(排気通路)
15a 入口,16 側部排気通路(排気通路),16a 入口
17 中央排気通路(排気通路),17a 入口,18 温度センサ,18a 測定部
19 制御手段,30a,30b バーナー部,S,S1 非通路領域