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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20221110BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20221110BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20221110BHJP
【FI】
F24C3/12 E
H05B6/12 334
F24C7/04 301A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018140159
(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公開番号】P2020016403
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴山 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 周作
(72)【発明者】
【氏名】杉本 喜輝
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-014342(JP,A)
【文献】特開2004-178969(JP,A)
【文献】特開2013-134047(JP,A)
【文献】特開平09-102388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00 - 3/14
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物を加熱する加熱調理器と、前記加熱調理器に載置される前記加熱対象物を上方から検出する検出手段と、を備える加熱調理システムであって、
前記加熱調理器は、
前記加熱対象物を加熱する加熱手段と、
前記加熱手段を駆動させるための加熱操作手段と、
前記加熱手段の動作を制御する制御手段と、
を備えており、
前記制御手段は、
通常運転と、前記通常運転時の上限加熱量よりも小さい制限加熱量以下で動作する制限運転と、を実行可能であり、
前記制御手段は、
第1の加熱対象物が前記加熱調理器上に載置されるに、前記加熱操作手段が操作される前に、前記検出手段から、前記第1の加熱対象物に関する第1の対象物情報を取得し、
前記加熱操作手段が操作される場合に、前記加熱手段の駆動を開始させ、前記通常運転を実行し、
前記通常運転中の前記加熱手段の動作状態に基づいて、前記第1の加熱対象物に対応する第1の制限加熱量を特定し、
前記第1の対象物情報と前記第1の制限加熱量とを関連付けて記憶し、
前記第1の対象物情報と前記第1の制限加熱量を記憶している状態において、前記加熱調理器上に第2の加熱対象物が載置されるに、前記加熱操作手段が操作される前に、前記検出手段から、前記第2の加熱対象物に関する第2の対象物情報を取得し、
前記第1の対象物情報と前記第2の対象物情報とが一致するのか否かを判断し、
前記第1の対象物情報と前記第2の対象物情報とが一致すると判断した後に、前記加熱操作手段が操作される場合に、前記加熱手段の駆動を開始させ、前記第1の制限加熱量を前記制限加熱量として利用する前記制限運転を実行し、
前記第1の対象物情報と前記第2の対象物情報とが一致しないと判断した後に、前記加熱操作手段が操作される場合に、前記加熱手段の駆動を開始させ、前記通常運転を実行し、
前記通常運転中の前記加熱手段の動作状態に基づいて、前記第2の加熱対象物に対応する第2の制限加熱量を特定し、
前記第2の対象物情報と前記第2の制限加熱量とを関連付けて記憶する、
加熱調理システム。
【請求項2】
前記加熱調理器は、さらに、前記制限運転を停止させるための制限解除手段を備え、
前記制御手段は、
前記制限運転を実行中において、前記制限解除手段が操作される場合に、前記制限運転を停止し、前記通常運転を実行する、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項3】
前記加熱手段は、ガスバーナであり、
前記検出手段は、さらに、炎が前記加熱対象物の輪郭より外側にはみ出していることを検出し、
前記制御手段は、
前記第1の加熱対象物が前記加熱調理器上に載置されており、かつ、前記通常運転を実行中において、炎が前記輪郭より外側にはみ出していない状態から、炎が前記輪郭より外側にはみ出している状態となった際の加熱量、又は、炎が前記輪郭より外側にはみ出している状態から、炎が前記輪郭より外側にはみ出していない状態となった際の加熱量を前記第1の制限加熱量として特定し、
前記第1の対象物情報と前記第1の制限加熱量とを関連付けて記憶する、
請求項1または2に記載の加熱調理システム。
【請求項4】
前記加熱調理器は、さらに、前記制限加熱量を設定するための設定手段を備え、
前記制御手段は、
前記第1の加熱対象物が前記加熱調理器上に載置されており、かつ、前記通常運転を実行中において、前記設定手段が操作される場合に、前記設定手段が操作された際の加熱量を前記第1の制限加熱量として特定し、
前記第1の対象物情報と前記第1の制限加熱量とを関連付けて記憶する、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱調理システム。
【請求項5】
前記制御手段は、
第1の加熱量と、前記第1の加熱量よりも小さい第2の加熱量と、を利用して、前記加熱対象物の温度を所定の温度に維持する温度調整運転を実行可能であり、
前記第1の対象物情報と前記第1の制限加熱量とを関連付けて記憶した後に、前記第1の加熱対象物が前記加熱調理器上に載置されている状態で、前記温度調整運転を実行するための操作が実行される場合に、前記第1及び第2の加熱量が前記第1の制限加熱量よりも大きいのか否かを判断し、
前記第1及び第2の加熱量が前記第1の制限加熱量よりも大きいと判断する場合に、前記第1の加熱量に代えて、前記第1の制限加熱量を利用し、前記第2の加熱量に代えて、前記第1の制限加熱量よりも小さい第3の加熱量を利用して、前記温度調整運転を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱対象物を加熱する加熱手段と、加熱手段を駆動させるための加熱操作手段と、加熱手段の動作を制御する制御手段と、を備える加熱調理器が開示されている。制御手段のメモリには、複数の専用加熱対象物のそれぞれに対応する加熱情報が予め記憶されている。制御手段は、加熱調理器上に載置されている専用加熱対象物を特定し、特定した専用加熱対象物に対応する加熱情報を利用して、加熱手段の動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-65915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、制御手段は、メモリ内に記憶されている複数の専用加熱対象物のそれぞれに対応する加熱情報を利用して、加熱手段の動作を制御する。この場合、ユーザは、専用加熱対象物を利用しなければならない。しかしながら、専用加熱対象物とは異なる加熱対象物が存在する。このため、ユーザが、専用加熱対象物とは異なる加熱対象物を利用することを所望する場合がある。従って、専用加熱対象物に限定されず、加熱部の動作を、様々な種類の加熱対象物に対応させることができる技術が望まれている。
【0005】
本明細書は、加熱部の動作を、様々な種類の加熱対象物に対応させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する加熱調理システムは、加熱対象物を加熱する加熱調理器と、前記加熱調理器に載置される前記加熱対象物を上方から検出する検出手段と、を備える。前記加熱調理器は、前記加熱対象物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を駆動させるための加熱操作手段と、前記加熱手段の動作を制御する制御手段と、を備えており、前記制御手段は、通常運転と、前記通常運転時の上限加熱量よりも小さい制限加熱量以下で動作する制限運転と、を実行可能であり、前記制御手段は、第1の加熱対象物が前記加熱調理器上に載置されるに、前記加熱操作手段が操作される前に、前記検出手段から、前記第1の加熱対象物に対応する第1の対象物情報を取得し、前記加熱操作手段が操作される場合に、前記加熱手段の駆動を開始させ、前記通常運転を実行し、前記通常運転中の前記加熱手段の動作状態に基づいて、前記第1の加熱対象物に対応する第1の制限加熱量を特定し、前記第1の対象物情報と前記第1の制限加熱量とを関連付けて記憶し、前記第1の対象物情報と前記第1の制限加熱量を記憶している状態において、前記加熱調理器上に第2の加熱対象物が載置されるに、前記加熱操作手段が操作される前に、前記検出手段から、前記第2の加熱対象物に関する第2の対象物情報を取得し、前記第1の対象物情報と前記第2の対象物情報とが一致するのか否かを判断し、前記第1の対象物情報と前記第2の対象物情報とが一致すると判断した後に、前記加熱操作手段が操作される場合に、前記加熱手段の駆動を開始させ、前記第1の制限加熱量を前記制限加熱量として利用する前記制限運転を実行し、前記第1の対象物情報と前記第2の対象物情報とが一致しないと判断した後に、前記加熱操作手段が操作される場合に、前記加熱手段の駆動を開始させ、前記通常運転を実行し、前記通常運転中の前記加熱手段の動作状態に基づいて、前記第2の加熱対象物に対応する第2の制限加熱量を特定し、前記第2の対象物情報と前記第2の制限加熱量とを関連付けて記憶する。
【0007】
上記の構成によると、制御手段は、検出手段から取得する第1の対象物情報と、通常運転中の加熱手段の動作状態に基づいて特定される第1の制限加熱量と、を対応付けて記憶する。その後に、加熱調理器上に第2の加熱対象物が載置されると、制御手段は、記憶済みの第1の対象物情報と第2の対象物情報とが一致するのか否かを判断する。そして、制御手段は、第1の対象物情報と第2の対象物情報とが一致すると判断する場合に、第1の対象物情報に対応付けられている第1の制限加熱量を制限加熱量として利用する制限運転を実行する。従って、制御手段は、対象物情報と制限加熱量とを対応付けて記憶することで、対象物情報を記憶した加熱対象物が加熱調理器上に載置されている状態において、制限加熱量を利用した制限運転を実行することができる。
【0008】
一方、制御手段は、第1の対象物情報と第2の対象物情報とが異なると判断する場合に、通常運転を実行する。そして、制御手段は、検出手段から取得する第2の対象物情報と、通常運転中の加熱手段の動作状態に基づいて特定される第2の制限加熱量と、を対応付けて記憶する。即ち、制御手段は、第1の対象物情報と第2の対象物情報が異なる場合には、新たに、第2の対象物情報と第2の制限加熱量とを対応付けて記憶する。このため、制御手段は、加熱調理器上に第1の加熱対象物が載置される場合に、第1の制限加熱量を利用した制限運転を実行し、加熱調理器上に第2の加熱対象物が載置される場合に、第2の制限加熱量を利用した制限運転を実行するようになる。このように、制御手段は、様々な種類の加熱対象物の対象物情報と、制限加熱量と、を対応付けて記憶することで、様々な種類の加熱対象物に対応した制限運転を実行することができる。
【0009】
加熱調理器は、さらに、制限運転を停止させるための制限解除手段を備えてもよい。制御手段は、制限運転を実行中において、制限解除手段が操作される場合に、制限運転を停止し、通常運転を実行してもよい。
【0010】
上記の構成によると、制御手段は、制限運転を実行中において、制限解除手段が操作される場合に、制限運転を停止する。調理法によっては、制限加熱量より大きな加熱量を利用することが望まれる場合がある。従って、ユーザが、制限加熱量より大きな加熱量を利用することを望む場合に、制限解除手段を操作することで、より大きな加熱量を利用することができるようになり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0011】
加熱手段は、ガスバーナであり、検出手段は、さらに、炎が加熱対象物の輪郭より外側にはみ出していることを検出してもよい。制御手段は、第1の加熱対象物が加熱調理器上に載置されており、かつ、通常運転を実行中において、炎が輪郭より外側にはみ出していない状態から、炎が輪郭より外側にはみ出している状態となった際の加熱量、又は、炎が輪郭より外側にはみ出している状態から、炎が輪郭より外側にはみ出していない状態となった際の加熱量を第1の制限加熱量として特定し、第1の対象物情報と第1の制限加熱量とを関連付けて記憶してもよい。
【0012】
加熱手段がガスバーナである場合、炎が加熱対象物の輪郭からはみ出さないようにすることで、安全性を向上させることができる。上記の構成によると、制御手段は、通常運転を実行中において、炎が加熱対象物の輪郭より外側にはみ出していない状態から、炎が輪郭より外側にはみ出している状態となった際の加熱量を、制限加熱量として記憶する。この場合、制限運転を実行中において、炎が加熱対象物の輪郭からわずかにはみ出すようになる。即ち、加熱対象物の輪郭からはみ出る炎の量を比較的に小さくすることができる。従って、加熱調理システムの安全性を向上させることができる。
【0013】
また、制御手段は、炎が加熱対象物の輪郭より外側にはみ出している状態から、炎が輪郭より外側にはみ出していない状態となった際の加熱量を、制限加熱量として記憶する。この場合、制限運転を実行中において、炎が加熱対象物の輪郭からはみ出ておらず、加熱対象物の輪郭よりもわずかに内側に位置している状態になる。従って、炎が加熱対象物の輪郭からはみ出ることを確実に防止することができる。従って、加熱調理システムの安全性を向上させることができる。
【0014】
加熱調理器は、さらに、制限加熱量を設定するための設定手段を備えてもよい。制御手段は、第1の加熱対象物が加熱調理器上に載置されており、かつ、通常運転を実行中において、設定手段が操作される場合に、設定手段が操作された際の加熱量を第1の制限加熱量として特定し、第1の対象物情報と第1の制限加熱量とを関連付けて記憶してもよい。
【0015】
上記の構成によると、制御手段は、ユーザが所望する加熱量を制限加熱量として記憶する。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0016】
制御手段は、第1の加熱量と、第1の加熱量よりも小さい第2の加熱量と、を利用して、加熱対象物の温度を所定の温度に維持する温度調整運転を実行可能であってもよい。制御手段は、第1の対象物情報と第1の制限加熱量とを関連付けて記憶した後に、第1の加熱対象物が加熱調理器上に載置されている状態で、温度調整運転を実行するための操作が実行される場合に、第1及び第2の加熱量が第1の制限加熱量よりも大きいのか否かを判断し、第1及び第2の加熱量が第1の制限加熱量よりも大きいと判断する場合に、第1の加熱量に代えて、第1の制限加熱量を利用し、第2の加熱量に代えて、第1の制限加熱量よりも小さい第3の加熱量を利用して、温度調整運転を実行してもよい。
【0017】
加熱対象物の温度を所定の温度に維持するためには、2種類の加熱量を利用する必要がある。このため、例えば、第1の加熱量及び第2の加熱量が第1の制限加熱量よりも大きい場合において、第1の加熱量及び第2の加熱量の両方を前記第1の制限加熱量に制限すると、加熱対象物の温度を所定の温度に維持することができない。上記の構成によると、第1及び第2の加熱量が第1の制限加熱量よりも大きいと判断する場合に、第1の加熱量に代えて、第1の制限加熱量を利用し、第2の加熱量に代えて、第1の制限加熱量よりも小さい第3の加熱量を利用する。従って、加熱対象物の温度を所定の温度に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例に係る加熱調理システムの構成を示す図である。
図2】実施例に係る加熱調理器を手前側から見た斜視図である。
図3】実施例に係る加熱調理器及びレンジフードの正面図を示す。
図4】実施例に係る加熱調理器が実行する加熱処理のフローチャートである。
図5】実施例に係る加熱調理器が実行する第1火力調整処理のフローチャートである。
図6】実施例に係る加熱調理器が実行する第2火力調整処理のフローチャートである。
図7】実施例に係る加熱調理器が実行する制限温度調整処理のフローチャートである。
図8】カメラによって撮影される画像の一例である。
図9】加熱処理中の炎の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例)
(加熱調理システム1の構成)
図1を参照して、加熱調理システム1について説明する。加熱調理システム1は、加熱調理器2と、レンジフード100と、を備える。加熱調理器2及びレンジフード100は、同じ家屋の同じ室内に設置されている。加熱調理器2及びレンジフード100は、互いに通信可能である。
【0020】
(加熱調理器2の構成)
図1図3を参照して、加熱調理器2について説明する。図2に示すように、加熱調理器2は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱調理器2は、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6を備えている。天板6には、加熱対象物である鍋やフライパン等の調理容器を支持する3つの五徳8a、8b、8cが設けられている。また、各五徳8a、8b、8cに対応して、各五徳8a、8b、8cに支持された加熱対象物を加熱するコンロバーナ10a、10b、10cが設けられている。また、各コンロバーナ10a、10b、10cに対応して、センサ12a、12b、12cが設けられている。センサ12a、12b、12cは、加熱対象物の有無を検知する。なお、以下の説明では、「五徳8a、8b、8c」等、実質的に同じ構成の複数部品に関して共通する特徴を説明する場合、例えば、「五徳8」のように参照番号のアルファベットを省略して説明することがある。
【0021】
互いに隣り合って配置されている各コンロバーナ10a、10b、10cには、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ10aへのガス供給量を調整するための流量調整弁(図示省略)が設けられている。コンロバーナ10aは、コンロバーナ10aにガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることによって点火する。コンロバーナ10aへのガス供給量を調整することにより、コンロバーナ10aの加熱量を調整することができる。また、コンロバーナ10aへのガスの供給が停止されることにより、コンロバーナ10aは消火される。コンロバーナ10b、10cは、コンロバーナ10aと同様の構造を有する。
【0022】
センサ12a~12cは、加熱対象物の存在を検出するとともに、加熱対象物の温度である対象物温度を検出する。センサ12は、コンロバーナ10の上に加熱対象物が配置されると、その加熱対象物を検出することができる。コンロバーナ10の上に加熱対象物が配置されると、センサ12が加熱対象物によって押圧される。センサ12は、加熱対象物によって押圧されると、コンロバーナ10の上に加熱対象物が載置されたことを検出する。コンロバーナ10の上に加熱対象物が載置されていない場合は、センサ12が押圧されない。センサ12内には熱電対が配置されており、対象物温度を検出することができる。
【0023】
本体4は、本体4の内部に設けられて食材を収容するグリル庫20と、本体4の前面4aに配置されてグリル庫20を開閉するグリル扉22を備えている。また、本体4は、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の右側に設けられたコンロ操作部24と、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の左側に設けられたグリル操作部26を備えている。なお、グリル庫20の内部には、グリル庫20内に収容した食材を加熱するグリルバーナ20a(図1参照)が設けられている。
【0024】
コンロ操作部24は、加熱調理器2の電源スイッチ40と、3つの加熱量操作部42a、42b、42cと、パネル操作部44を備えている。各加熱量操作部42a、42b、42cは、それぞれコンロバーナ10a、10b、10cに対応する。加熱量操作部42は、コンロバーナ10の点火及び消火を行うとともに、コンロバーナ10の加熱量の調整を行うための操作部である。加熱量操作部42は、オルタネイト型のスイッチである。ユーザによって加熱量操作部42を消火位置から点火位置に移動させるための操作(以下では、「点火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10が点火され、ユーザによって加熱量操作部42を点火位置から消火位置に移動させるための操作(以下では、「消火操作」と呼ぶ)が実行されると、コンロバーナ10が消火される。点火位置とは、加熱量操作部42の前面が本体4の前面4aよりも前方に突出している位置であり、消火位置とは、加熱量操作部42が本体4内に収容されている位置である。また、ユーザは、加熱量操作部42が点火位置に位置している状態において、加熱量操作部42を時計方向又は反時計方向に操作することで、コンロバーナ10へのガス供給量を調整し、コンロバーナ10の加熱量(以下では「火力」と記載する場合がある)を調整することができる。なお、本実施例において、コンロバーナ10の火力は、1~9の9段階で調整可能である。コンロバーナ10の火力はレベルが上がる毎に大きくなる。
【0025】
パネル操作部44は、コンロ表示部46と、コンロ設定操作部48a、48b、48cと、を備える。コンロ表示部46には、各コンロバーナ10a、10b、10cの動作状態などが表示される。ユーザは、コンロ設定操作部48aを操作することで、制限運転の解除等をすることができる。コンロ設定操作部48b、48cは、それぞれ、コンロバーナ10b、10cに対応する操作部である点を除いて、コンロ設定操作部48aと同様の機能を有する。
【0026】
グリル操作部26は、加熱量操作部60と、パネル操作部62と、を備える。ユーザは、加熱量操作部60を操作することによって、グリルバーナ20aの点火及び消火を行うとともに、グリルバーナ20aの加熱量の調整を行うことができる。加熱量操作部60の構造は、コンロ操作部24の加熱量操作部42aと同様である。
【0027】
パネル操作部62は、グリル表示部64と、グリル設定操作部66と、を備える。グリル表示部64には、グリルバーナ20aの動作状態などが表示される。グリル表示部64には、グリルバーナ20aの動作状態などが表示される。グリル設定操作部66の機能はグリルバーナ20aに対応する操作部である点を除いて、コンロ設定操作部48aと同様の機能を有する。
【0028】
図1に示すように、加熱調理器2は、通信I/F70と、制御部80と、を備える。通信I/F70は、外部機器との無線通信を実行するためのインターフェースである。加熱調理器2は、通信I/F70を介して、外部機器との無線通信を実行することができる。無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)による通信を用いることができる。加熱調理器2は、通信I/F70を介して、レンジフード100などとの無線通信を実行可能である。
【0029】
制御部80は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ82を備える。制御部80は、メモリ82に格納されているプログラム84に従って、加熱調理器2の各構成要素の動作を制御する。制御部80は、通常運転と、制限運転と、温度調整運転と、を実行可能に構成されている。通常運転は、最大火力の火力レベルが「9」に設定される運転である。制限運転は、最大火力が最大火力よりも小さい制限火力に設定される運転である。温度調整運転は、加熱対象物の温度を、ユーザによって設定された温度に維持する運転である。温度調整運転では、2個の火力レベルが利用される。
【0030】
また、メモリ82には、火力制限フラグ86と、制限火力テーブル88と、温度調整テーブル90と、が記憶されている。火力制限フラグ86は、コンロバーナ10の最大火力が制限火力に制限されていることを示す「ON」と、コンロバーナ10の最大火力が制限火力に制限されていないことを示す「OFF」と、のどちらかの値を示す。
【0031】
制限火力テーブル88は、制限運転中の制限火力を決定するために利用されるテーブルである。制限火力テーブル88では、対象物情報と、制限火力と、が対応付けて記憶されている。対象物情報は、加熱対象物に関する情報であり、加熱対象物の調理部のサイズ、取っ手部の数、取っ手部のサイズに関する情報である。例えば、図8(b)に示す加熱対象物200の場合、調理部202のサイズ、取っ手部204の数、取っ手部204のサイズは、それぞれ、「26[cm]」、「2[個]」、「5[cm]」である。
【0032】
温度調整テーブル90は、温度調整運転中の火力を決定するために利用されるテーブルである。温度調整テーブル90では、設定温度と、設定火力(弱火力及び強火力)と、が対応付けられている。
【0033】
(レンジフード100の構成)
図1図3を参照して、レンジフード100について説明する。図3に示すように、レンジフード100は、加熱調理器2の上方に設けられている。図1に示すように、レンジフード100は、ファン102と、カメラ104と、通信I/F106と、換気制御部110と、備える。
【0034】
ファン102は、モータ(図示省略)の駆動によって回転し、室内の空気を外部に送る。ファン102の回転速度に応じて、レンジフード100の風量が変化する。
【0035】
図3に示すように、レンジフード100には、カメラ104が設けられている。カメラ104は、加熱調理器2全体を上方から撮影する。
【0036】
図1に示すように、通信I/F106は、外部機器との無線通信を実行するためのインターフェースである。レンジフード100は、通信I/F106を介して、外部機器との無線通信を実行することができる。無線通信としては、例えば、Bluetoothによる通信を用いることができる。レンジフード100は、通信I/F106を介して、加熱調理器2などとの無線通信を実行可能である。
【0037】
換気制御部110は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ(図示省略)を備える。換気制御部110は、メモリに格納されているプログラム(図示省略)に従って、レンジフード100の各構成要素の動作を制御する。
【0038】
(加熱処理;図4
続いて、図4を参照して、加熱調理器2の制御部80によって実行される加熱処理について説明する。制御部80は、加熱調理器2の電源がONされると、加熱処理を開始する。
【0039】
S10において、制御部80は、メモリ82内に、コンロバーナ10の中心Cに関する情報(以下では、「中心情報」)が記憶されているのか否かを判断する。中心情報は、カメラ104によって撮影される画像データにおけるコンロバーナ10の中心Cの位置を示す情報である。制御部80は、中心情報がメモリ82内に記憶されている場合に、S10でYESと判断し、処理はS20に進む。一方、制御部80は、中心情報がメモリ82内に記憶されていない場合に、S10でNOと判断し、処理はS12に進む。なお、S10でNOと判断される場合とは、加熱調理器2の電源が初めてONされる場合である。
【0040】
S12において、制御部80は、カメラ104によって撮影される画像を表わす画像データをレンジフード100から受信する。具体的には、制御部80は、カメラ104によって撮影した画像データの送信を要求する画像要求信号をレンジフード100に送信する。レンジフード100は、加熱調理器2から、画像要求信号を受信すると、カメラ104を利用した撮影を実行し、画像データを加熱調理器2に送信する。
【0041】
S14において、制御部80は、S10で受信した画像データを解析して、コンロバーナ10の中心C及び基準長さL1を特定する。図8(a)に示すように、制御部80は、各コンロバーナ10a、10b、10cの中心Ca、Cb、Ccを特定する。また、制御部80は、コンロバーナ10aと加熱調理器2の天板6の前端までの長さを基準長さL1と特定する。制御部80のメモリ82には、コンロバーナ10aの中心Caから加熱調理器2の天板6の前端までの長さが「15[cm]」であることが記憶されている。従って、制御部80は、S14以降の処理において、基準長さL1が15[cm]であることを利用して、加熱対象物200の調理部202のサイズ、取っ手部204のサイズなどを特定することができる。
【0042】
S20において、制御部80は、コンロバーナ10上に加熱対象物が載置されることを監視する。制御部80は、センサ12によって加熱対象物が載置されたことが検出される場合に、S20でYESと判断し、処理はS22に進む。以下では、コンロバーナ10aに加熱対象物200が載置された場合を例に説明する。
【0043】
S22において、制御部80は、カメラ104によって撮影される画像を表わす画像データをレンジフード100から受信する。即ち、制御部80は、画像要求信号をレンジフード100に送信し、画像データをレンジフード100から受信する。
【0044】
S24において、制御部80は、S22で受信した画像データを利用して、加熱対象物200に関する対象物情報を特定する。図8(b)に示すように、コンロバーナ10a上に加熱対象物200が載置されている。まず、制御部80は、コンロバーナ10a上の調理部202を特定する。そして、制御部80は、メモリ82内の基準長さL1を利用して、調理部202の直径D1の大きさを特定する。また、制御部80は、加熱対象物200の調理部202とは異なる部分を取っ手部204と特定する。そして、制御部80は、メモリ82内の基準長さL1を利用して、取っ手部204の長さD2の大きさを特定する。加熱対象物200の場合、制御部80は、調理部202の長さを「26[cm]」と特定し、取っ手部204の数を「2[個]」と特定し、取っ手部204のサイズを「5[cm]」と特定する。なお、図8(c)の場合、制御部80は、コンロバーナ10a上の加熱対象物210の調理部212の直径D3(20[cm])、取っ手部214の長さD4(25[cm])、及び、取っ手部214の数(1[個])を特定する。また、制御部80は、コンロバーナ10b上の加熱対象物220の調理部222の長辺の長さD5(32[cm])、短辺の長さD6(22[cm])、取っ手部224の長さD7(5[cm])、及び、取っ手部224の数(2[個])を特定する。
【0045】
S30において、制御部80は、S24で特定した対象物情報(以下では、「特定対象物情報」と呼ぶ)と同じ対象物情報が制限火力テーブル88に記憶されているのか否かを判断する。制御部80は、調理部のサイズ、取っ手部の数、取っ手部のサイズが、それぞれ、「26[cm]」、「2[個]」、「5[cm]」である対象物情報が制限火力テーブル88に記憶されているのか否かを判断する。制御部80は、特定対象物情報と同じ対象物情報が制限火力テーブル88に記憶されていない場合に、S30でNOと判断し、処理はS32に進む。一方、制御部80は、特定対象物情報と同じ対象物情報が制限火力テーブル88に記憶されている場合に、S30でYESと判断し、処理はS40に進む。なお、調理部のサイズ及び取っ手部のサイズについては、サイズが0.5[cm]程度異なっていても、同じサイズであると判断してもよい。
【0046】
S32において、制御部80は、特定対象物情報をメモリ82に一時的に記憶させる。
【0047】
S34において、制御部80は、第1火力調整処理(図5)を実行する。第1火力調整処理は、通常運転を実行する処理である。S34が終了すると、図4の処理が終了する。
【0048】
また、制御部80は、S40において、特定対象物情報と制限火力テーブル88とを利用して、制限火力を特定する。具体的には、制御部80は、制限火力テーブル88内の特定対象物情報に対応する制限火力を特定する。
【0049】
S42において、制御部80は、第2火力調整処理(図6)を実行する。第2火力調整処理は、通常運転及び制限運転を実行する処理である。S42が終了すると、図4の処理が終了する。
【0050】
(第1火力調整処理;図5
続いて、図4のS34で実行される第1火力調整処理について説明する。
【0051】
S60において、制御部80は、加熱量操作部42aに点火操作が実行されることを監視する。制御部80は、加熱量操作部42aに点火操作が実行される場合に、S60でYESと判断し、処理はS62に進む。
【0052】
S62において、制御部80は、レンジフード100に撮影開始信号を送信する。撮影開始信号は、レンジフード100のカメラ104によって撮影される画像データの定期的(例えば0.1秒毎)な送信を要求する信号である。レンジフード100は、加熱調理器2から撮影開始信号を受信すると、カメラ104によって撮影される画像データの加熱調理器2への送信を開始する。レンジフード100は、加熱調理器2から撮影終了信号を受信するまでの間、画像データを加熱調理器2に送信し続ける。
【0053】
S64において、制御部80は、コンロバーナ10aを点火させる。具体的には、制御部80は、第1の所定ガス量をコンロバーナ10aに供給し、イグナイタを動作させることで、コンロバーナ10aを点火させる。所定ガス量は、五徳8aに一般的に載置される加熱対象物の最小の直径に基づいて、設定される。本実施例では、所定ガス量は、五徳8aに支持されている加熱対象物の直径が12[cm]である場合に、点火する際の炎が当該加熱対象物の輪郭をはみ出ないガス供給量が設定されている。従って、この時点において、炎300は、加熱対象物200の調理部202の輪郭202aをはみ出していない(例えば図9(a)参照)。なお、所定ガス量が対応する加熱対象物の直径は12[cm]に限定されない。
【0054】
S70において、制御部80は、加熱量操作部42aに火力調整操作が実行されることを監視する。制御部80は、加熱量操作部42aに火力調整操作が実行される場合に、S70でYESと判断し、S72に進む。
【0055】
S72において、制御部80は、コンロバーナ10aの火力をユーザによって設定された火力(以下では、「設定火力」と記載する)に調整する。具体的には、制御部80は、コンロバーナ10aに供給されるガス供給量が設定火力に対応するガス供給量になるように流量調整弁の開度を調整する。
【0056】
S74において、制御部80は、レンジフード100から受信する画像データを利用して、炎300が加熱対象物200の輪郭202aの外側にはみ出ているのか否かを判断する。制御部80は、炎300が輪郭202aの外側にはみ出ていない場合に、S74でNOと判断し、処理はS70に戻る。一方、制御部80は、炎300が輪郭202aの外側にはみ出ている場合に、S74でYESと判断し、処理はS76に進む(図9(b)参照)。
【0057】
S76において、制御部80は、現在の火力を仮制限火力としてメモリ82に記憶させる。なお、制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されている場合、記憶済みの仮制限火力と現在の火力とを比較する。そして、制御部80は、現在の火力が記憶済みの仮制限火力よりも小さい場合に、現在の火力を仮制限火力として更新する。
【0058】
また、S80において、制御部80は、S70の監視と同時的に、制限火力を設定するための操作である設定操作がコンロ設定操作部48aに実行されることを監視する。制御部80は、設定操作が実行される場合に、S80でYESと判断し、処理はS82に進む。
【0059】
S82において、制御部80は、現在の火力を仮制限火力としてメモリ82に記憶させる。なお、制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されている場合は、現在の火力を仮制限火力として更新する。また、制御部80は、設定操作が実行されたことによって仮制限火力を記憶(又は更新)した後は、S76の処理を実行しない。
【0060】
また、S90において、制御部80は、S70及びS80の監視と同時的に、温度調整運転を開始するための操作である温度調整開始操作がコンロ設定操作部48aに実行されることを監視する。制御部80は、温度調整開始操作が実行される場合に、S90でYESと判断し、処理はS92に進む。
【0061】
S92において、制御部80は、温度調整運転を開始する。まず、制御部80は、ユーザによって設定された温度である設定温度を特定する。そして、制御部80は、温度調整テーブル90を利用して、設定温度に対応する弱火力及び強火力を特定する。例えば、設定温度が180[℃]である場合、制御部80は、弱火力及び強火力をそれぞれ、「3」及び「8」と特定する。そして、制御部80は、特定した弱火力及び強火力を利用して、コンロバーナ10aへのガス供給量を制御する。これにより、加熱対象物200の対象物温度が設定温度近傍に維持される。
【0062】
S94において、制御部80は、温度調整運転を終了させるための操作である温度調整終了操作がコンロ設定操作部48aに実行されることを監視する。制御部80は、温度調整終了操作が実行される場合に、S94でYESと判断し、温度調整運転を終了させ、処理はS70に戻る。
【0063】
また、S100において、制御部80は、S70、S80、及び、S90の監視と同時的に、加熱量操作部42aに消火操作が実行されることを監視する。制御部80は、加熱量操作部42aに消火操作が実行される場合に、S100でYESと判断し、処理はS102に進む。
【0064】
S102において、制御部80は、コンロバーナ10aへのガスの供給を停止して、コンロバーナ10aを消火させる。制御部80は、S102において、さらに、撮影終了信号をレンジフード100に送信する。
【0065】
S104において、制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されているのか否かを判断する。制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されている場合に、S104でYESと判断し、処理はS106に進む。一方、制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されていない場合に、S104でNOと判断し、図5の処理が終了する。なお、制御部80は、S104でNOと判断する場合、図4のS32でメモリ82に記憶させた対象物情報をメモリ82から消去する。
【0066】
S106において、制御部80は、S32でメモリ82に記憶させた対象物情報と、仮制限火力と、を対応付けてメモリ82の制限火力テーブル88に記憶させる。S106が終了すると、図5の処理が終了する。
【0067】
(第2火力調整処理;図6
続いて、図4のS42で実行される第2火力調整処理について説明する。
【0068】
S120において、制御部80は、加熱量操作部42aに点火操作が実行されることを監視する。制御部80は、加熱量操作部42aに点火操作が実行される場合に、S120でYESと判断し、処理はS122に進む。
【0069】
S122において、制御部80は、第1の所定ガス量をコンロバーナ10aに供給し、イグナイタを動作させることで、コンロバーナ10aを点火させる。
【0070】
S124において、制御部80は、火力制限フラグ86を「OFF」から「ON」に変更する。
【0071】
S130において、制御部80は、加熱量操作部42aに火力調整操作が実行されることを監視する。制御部80は、加熱量操作部42aに火力調整操作が実行される場合に、S130でYESと判断し、S132に進む。
【0072】
S132において、制御部80は、メモリ82内の火力制限フラグ86が「ON」であるのか否かを判断する。制御部80は、火力制限フラグ86が「ON」である場合に、S132でYESと判断し、処理はS134に進む。一方、制御部80は、火力制限フラグ86が「OFF」である場合に、S132でNOと判断し、処理はS140に進む。
【0073】
S134において、制御部80は、設定火力が図4のS40で特定した制限火力を超えているのか否かを判断する。制御部80は、設定火力が制限火力を超えている場合に、S134でYESと判断し、処理はS136に進む。一方、制御部80は、設定火力が制限火力以下である場合に、S134でNOと判断し、処理はS138に進む。
【0074】
S136において、制御部80は、コンロバーナ10aの火力を制限火力に調整する。具体的には、制御部80は、コンロバーナ10aに供給されるガス供給量が制限火力に対応するガス供給量となるように流量調整弁の開度を調整する。S136が終了すると、処理はS130に戻る。
【0075】
一方、S138において、制御部80は、コンロバーナ10aの火力を設定火力に調整する。具体的には、制御部80は、コンロバーナ10aに供給されるガス供給量が設定火力に対応するガス供給量となるように流量調整弁の開度を調整する。S138が終了すると、処理はS130に戻る。
【0076】
また、制御部80は、S132でNOと判断される場合、S134の処理を実行することなく、S140において、コンロバーナ10aの火力を設定火力に調整する。即ち、コンロバーナ10aの火力は制限火力に制限されない。S140が終了すると、処理はS130に戻る。
【0077】
また、S150において、制御部80は、S130の監視と同時的に、制限運転を解除するための操作である制限解除操作がコンロ設定操作部48aに実行されることを監視する。制御部80は、制限解除操作が実行される場合に、S150でYESと判断し、処理はS152に進む。
【0078】
S152において、制御部80は、火力制限フラグ86を「ON」から「OFF」に変更する。これにより、制御部80は、制限運転を停止し、通常運転を実行する。従って、その後の処理において、制御部80は、S132でNOと判断するようになる。S152が終了すると、処理はS130に戻る。
【0079】
また、S160において、制御部80は、S130及びS150の監視と同時的に、制限火力を設定するための操作である設定操作がコンロ設定操作部48aに実行されることを監視する。制御部80は、設定操作が実行される場合に、S160でYESと判断し、処理はS162に進む。
【0080】
S162において、制御部80は、現在の火力を仮制限火力としてメモリ82に記憶させる。なお、メモリ82内に仮制限火力が記憶されている場合は、現在の火力を仮制限火力として更新する。S162が終了すると、処理はS130に戻る。
【0081】
また、S170において、制御部80は、S130、S150、及び、S160の監視と同時的に、温度調整開始操作がコンロ設定操作部48aに実行されることを監視する。制御部80は、温度調整開始操作が実行される場合に、S170でYESと判断し、処理はS172に進む。
【0082】
S172において、制御部80は、制限温度調整処理(図7)を実行する。S172が終了すると、処理はS130に戻る。
【0083】
また、S180において、制御部80は、S130、S150、S160、及び、S170の監視と同時的に、加熱量操作部42aに消火操作が実行されることを監視する。制御部80は、加熱量操作部42aに消火操作が実行される場合に、S180でYESと判断し、S182に進む。
【0084】
S182において、制御部80は、コンロバーナ10aへのガスの供給を停止して、コンロバーナ10aを消火させる。
【0085】
S184において、制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されているのか否かを判断する。制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されている場合に、S184でYESと判断し、処理はS186に進む。一方、制御部80は、メモリ82内に仮制限火力が記憶されていない場合に、S184でNOと判断し、処理はS188に進む。
【0086】
S186において、制御部80は、メモリ82内の仮制限火力を利用して、図4のS24で特定した対象物情報に対応付けられている制限火力を更新する。
【0087】
S188において、制御部80は、火力制限フラグ86を「ON」から「OFF」に変更する。なお、制御部80は、火力制限フラグ86が既に「OFF」である場合、S188を省略する。S188が終了すると、図6の処理が終了する。なお、変形例では、制御部80は、火力制限フラグ86を「ON」から「OFF」に変更する処理を、図4のS32又はS40の後に実行してもよい。
【0088】
(制限温度調整処理;図7
続いて、図7を参照して、図6のS172で実行される制限温度調整処理について説明する。
【0089】
S200において、制御部80は、設定温度を特定し、温度調整テーブル90を利用して、設定温度に対応する弱火力及び強火力を特定する。
【0090】
S202において、制御部80は、メモリ82内の火力制限フラグ86が「ON」であるのか否かを判断する。制御部80は、火力制限フラグ86が「ON」である場合に、S202でYESと判断し、処理はS210に進む。一方、制御部80は、火力制限フラグ86が「OFF」である場合に、S202でNOと判断し、処理はS230に進む。
【0091】
S210において、制御部80は、弱火力が制限火力よりも大きいのか否かを判断する。制御部80は、弱火力が制限火力よりも大きい場合に、S210でYESと判断し、処理はS212に進む。なお、弱火力が制限火力よりも大きい場合とは、弱火力及び強火力が、制限火力よりも大きい場合である。
【0092】
S212において、制御部80は、制限火力を強火力として設定し、制限火力から所定火力を減算した火力を弱火力として設定する。
【0093】
一方、制御部80は、弱火力が制限火力以下である場合に、S210でNOと判断し、処理はS220に進む。S220において、制御部80は、強火力が制限火力よりも大きいのか否かを判断する。制御部80は、強火力が制限火力よりも大きい場合に、S220でYESと判断し、処理はS222に進む。
【0094】
S222において、制御部80は、制限火力を強火力として設定し、弱火力の設定を変更しない。
【0095】
一方、制御部80は、強火力が制限火力以下である場合に、S220でNOと判断し、処理はS230に進む。即ち、制御部80は、S200で特定した弱火力及び強火力を変更しない。
【0096】
S230において、制御部80は、S200、S212、又は、S222で特定した弱火力及び強火力を利用した温度調整運転を開始する。
【0097】
S232において、制御部80は、温度調整終了操作がコンロ設定操作部48aに実行されることを監視する。制御部80は、温度調整終了操作が実行される場合に、S232でYESと判断し、温度調整運転を終了させ、図7の処理が終了する。
【0098】
上記の構成によると、制御部80は、カメラ104から取得する加熱対象物200に関する対象物情報(図4のS24)と、通常運転中のコンロバーナ10aの動作状態に基づいて特定される仮制限火力と、を対応付けて記憶する(図5のS106)。その後に、加熱調理器2上に加熱対象物200が載置されると、制御部80は、制限火力テーブル88内の対象物情報と加熱対象物200の対象物情報とが同じであると判断し(図4のS30でYES)、加熱対象物200の対象物情報に対応付けられている制限火力(レベル「8」)を利用する制限運転を実行する(図4のS42)。従って、制御部80は、対象物情報と制限火力とを対応付けて記憶することで、対象物情報を記憶した加熱対象物200が加熱調理器上に載置されている状態において、制限火力(レベル「8」)を利用した制限運転を実行することができる(図4のS42)。
【0099】
一方、制御部80は、加熱調理器2上に加熱対象物210が載置されると、カメラ104から受信する画像データを利用して、加熱対象物210の対象物情報(調理部212のサイズ「20[cm]」、取っ手部214の数「1[個]」、取っ手部214のサイズ「25[cm]」)を特定する(図4のS24)。そして、制御部80は、制限火力テーブル88内の対象物情報と加熱対象物210の対象物情報が一致しないと判断し(図4のS30でYES)、通常運転を実行する(図4のS34)。そして、制御部80は、カメラ104から取得する加熱対象物210の対象物情報と、通常運転中のコンロバーナ10aの動作状態に基づいて特定される仮制限火力と、を対応付けて記憶する(図5のS106)。即ち、制御部80は、加熱対象物200の対象物情報と加熱対象物210の対象物情報とが異なる場合には、新たに、加熱対象物210の対象物情報と仮制限火力とを対応付けて記憶する。このため、制御部80は、加熱調理器2上に加熱対象物200が載置される場合に、加熱対象物200に対応する制限火力を利用した制限運転を実行し、加熱調理器2上に加熱対象物210が載置される場合に、加熱対象物210に対応する制限火力を利用した制限運転を実行するようになる。このように、制御部80は、様々な種類の加熱対象物の対象物情報と、制限火力と、を対応付けて記憶することで、様々な種類の加熱対象物に対応した制限運転を実行することができる。
【0100】
また、制御部80は、制限運転を実行中において、制限解除操作がコンロ設定操作部48aに実行される場合(図6のS150でYES)に、制限運転を停止する。調理法によっては、制限火力より大きな火力を利用することが望まれる場合がある。従って、ユーザが、制限火力より大きな火力を利用することを望む場合に、制限解除操作をコンロ設定操作部48aに実行することで、より大きな火力を利用することができるようになり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0101】
また、制御部80は、通常運転を実行中において、炎300が加熱対象物200の調理部202の輪郭202aより外側にはみ出していない状態から、炎300が輪郭202aより外側にはみ出している状態となった場合(図5のS74でYES)に、現在の火力を、制限火力として記憶する(図5のS76、S106)。この場合、制限運転を実行中において、炎300が輪郭202aからわずかにはみ出すようになる。即ち、炎300が輪郭202aからはみ出る炎の量を比較的に小さくすることができる。従って、加熱調理システム1の安全性を向上させることができる。
【0102】
また、制御部80は、通常運転を実行中において、設定操作がコンロ設定操作部48aに実行される場合(図5のS80でYES)に、制限火力として記憶する(図5のS82、S106)。即ち、制御部80は、ユーザが所望する火力を制限火力として記憶する。従って、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0103】
また、制御部80は、温度調整運転の弱火力及び強火力が制限火力よりも大きいと判断する場合(図7のS210でYES)に、強火力に代えて、制限火力を利用し、弱火力に代えて、制限火力から所定火力を減算した火力を利用する。従って、温度調整運転中に炎300が加熱対象物200の調理部202の輪郭202aより外側にはみ出ることを抑制することができるとともに、加熱対象物200の温度を設定温度に維持することができる。
【0104】
(対応関係)
カメラ104が、「検出手段」の一例である。コンロバーナ10が、「加熱手段」の一例である。加熱量操作部42が、「加熱操作手段」の一例である。制御部80が、「制御手段」の一例である。加熱対象物200の対象物情報が、「第1の対象物情報」の一例である。加熱対象物200の対象物情報及び加熱対象物210の対象物情報が、「第2の対象物情報」の一例である。加熱対象物200の対象物情報に対応する制限火力が、「第1の制限加熱量」の一例である。加熱対象物210の対象物情報に対応する制限火力が、「第2の制限加熱量」の一例である。コンロ設定操作部48が、「制限解除手段」及び「設定手段」の一例である。
【0105】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0106】
(第1変形例)加熱調理器2は、電磁誘導加熱調理器(IH調理器)であってもよい。
【0107】
(第2変形例)レンジフード100は、カメラ104の代わりに、赤外線センサを備えていてもよい。本変形例では、加熱調理器2の制御部80は、赤外線センサによって検出される情報を利用して、対象物情報を特定する。
【0108】
(第3変形例)加熱調理器2が、カメラ104を備えていてもよい。
【0109】
(第4変形例)対象物情報は、少なくとも、加熱対象物の調理部のサイズを含んでいればよい。別の変形例では、対象物情報は、加熱対象物の調理部の色に関する情報を含んでいてもよい。
【0110】
(第5変形例)コンロバーナ10が消火されるまで、制限運転を解除できなくてもよい。即ち、図6の処理において、S150、S152を省略可能である。
【0111】
(第6変形例)図5の処理において、制御部80は、炎300が加熱対象物200の輪郭202aをはみ出ているのか否かを判断しなくてもよい。即ち、図5の処理において、S74、S76を省略可能である。
【0112】
(第7変形例)制御部80は、図5の処理において、S74の処理に代えて、炎300が加熱対象物200の調理部202の輪郭202aより外側にはみ出している状態から、炎300が輪郭202aより外側にはみ出していない状態となったか否かを判断してもよい。本変形例では、制御部80は、炎300が輪郭202aより外側にはみ出している状態から、炎300が輪郭202aより外側にはみ出していない状態となった際の火力を制限火力として記憶する(S76、S106)。この場合、制限運転を実行中において、炎300が輪郭202aからはみ出ておらず、輪郭202aよりもわずかに内側に位置している状態になる。従って、炎300が輪郭202aからはみ出ることを確実に防止することができる。従って、加熱調理システム1の安全性を向上させることができる。
【0113】
(第8変形例)ユーザによって制限火力が設定できなくてもよい。即ち、図5の処理において、S80、S82を省略可能である。
【0114】
(第9変形例)制御部80は、図7のS210でYESと判断する場合に、温度調整運転を実行しなくてもよい。本変形例では、制御部80は、S210でYESと判断する場合に、S212、S230、S232を実行することなく、弱火力及び強火力が制限火力よりも大きいために温度調整運転を実行できないことをユーザに報知する。
【0115】
(第10変形例)
図5の処理において、制御部80は、図5のS76、S78において、S32でメモリ82に記憶させた対象物情報と、現在の火力と、を対応付けてメモリ82の制限火力テーブル88に記憶し、火力制限フラグ86を「ON」から「OFF」に変更してもよい。本変形例では、第1火力調整処理において、通常運転及び制限運転が実行される。
【0116】
(第11変形例)制御部80は、図5のS106の処理に代えて、点火から消火までの間に利用された火力のうち、最大の火力を制限火力として記憶してもよい。
【0117】
(第12変形例)制御部80は、図4のS22で受信した画像データを利用して、加熱対象物200の調理部202の中心202c(図8(b)参照)とコンロバーナ10aの中心Ca(図8(a)参照)とが一致しているのか否かを判断してもよい。この場合、制御部80は、加熱対象物200の調理部202の中心202cとコンロバーナ10aの中心Caとが一致していないと判断する場合に、中心202cと中心Caの位置がずれていることをユーザに報知する。
【0118】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0119】
1 :加熱調理システム
2 :加熱調理器
4 :本体
4a :前面
6 :天板
8 :五徳
10 :コンロバーナ
12 :センサ
20 :グリル庫
20a :グリルバーナ
22 :グリル扉
24 :コンロ操作部
26 :グリル操作部
40 :電源スイッチ
42 :加熱量操作部
44 :パネル操作部
46 :コンロ表示部
48 :コンロ設定操作部
60 :加熱量操作部
62 :パネル操作部
64 :グリル表示部
66 :グリル設定操作部
70 :通信I/F
80 :制御部
82 :メモリ
84 :プログラム
86 :火力制限フラグ
88 :制限火力テーブル
90 :温度調整テーブル
100 :レンジフード
102 :ファン
104 :カメラ
106 :通信I/F
110 :換気制御部
200 :加熱対象物
202 :調理部
204 :取っ手部
300 :炎
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9