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特許7174578ビークル用の教師なし多変量関係障害検出システム及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ビークル用の教師なし多変量関係障害検出システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/40 20170101AFI20221110BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20221110BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20221110BHJP
【FI】
B64F5/40
G05B23/02 301Y
G05B23/02 302T
G01M99/00 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018173473
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2019089537
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】15/795,823
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エム・ボッジオ
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0216393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0340059(US,A1)
【文献】特開2016-058010(JP,A)
【文献】特開2017-109650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/40
G05B 23/02
G06F 16/00
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークル障害検出システム(199)であって、
ビークルシステム(110)に結合され、それぞれの時系列データ(123TS、125TS)を検出するように構成された複数のセンサ(101)であって、各時系列データ(123TS、125TS)が、複数の構成要素パラメータ(460)のうちの1つの構成要素パラメータ(123、125)に対応する、複数のセンサ(101)と、
前記複数のセンサ(101)に結合されたビークル制御モジュール(120)であって、前記ビークル制御モジュール(120)が、
前記それぞれの時系列データのみから前記ビークル制御モジュールによって得られた専門知識に基づいて、前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の1つまたは複数の関係(140)の存在を決定するように構成され、ビークルシステム(110)の制御信号(400)に基づいて前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)のうちの1つまたは複数における少なくとも一つのモード変化(410~412)事象が識別され
前記ビークル制御モジュール(120)が、前記専門知識、および前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の前記1つまたは複数の関係(140)のみに基づいて前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)における少なくとも一つの異常(177)および保守点検されるべきビークル構成要素を識別するように構成され、前記少なくとも一つの異常(177)が、前記時系列データのモード変化後の遅延を含む、ビークル制御モジュール(120)と、
前記ビークル制御モジュール(120)に結合されたユーザインタフェース(175)であって、前記ユーザインタフェース(175)が前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)における前記異常(177)の表示および保守点検されるべき前記ビークル構成要素の識別子をオペレータに提示するように構成された、ユーザインタフェース(175)と
を備える、ビークル障害検出システム(199)。
【請求項2】
前記ビークル制御モジュール(120)が、前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)における前記異常に基づいて前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの1つまたは複数に対応するビークルシステム(110)構成要素の故障を予測するように構成され、前記ユーザインタフェース(175)が、前記ビークルシステム(110)構成要素の前記故障の予測を前記オペレータに提示するように構成された、請求項1に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項3】
前記ビークル制御モジュール(120)が、前記複数の構成要素パラメータ(460)の各々をカテゴリカルまたは連続的の一方であるものとして分類するように構成された、請求項1または2に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項4】
前記ビークル制御モジュール(120)が、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの1つへの、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定することによって、前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の前記1つまたは複数の関係(140)の前記存在を決定するように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項5】
前記ビークル制御モジュール(120)が、
記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)のうちの1つまたは複数の所定の特性を前記モード変化(410~412)事象の前後で比較することによって、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの1つへの、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定する
ように構成された、請求項4に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項6】
前記ビークル制御モジュール(120)が、
前記1つまたは複数の関係(140)にスコアをつけ、
ビークル(100)の複数のエクスカーションにわたって前記スコアを平均する
ように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項7】
前記ビークル制御モジュール(120)が、
前記複数の構成要素パラメータ(460)に関するそれぞれの履歴時系列データ(123HS、125HS)を受信することであって、前記それぞれの履歴時系列データ(123HS、125HS)の各々が、正常構成要素動作及び異常構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされたそれぞれの構成要素データを含む、前記受信することと、
前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の1つまたは複数の履歴関係(145)の存在を決定することと、
前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の前記1つまたは複数の関係(140)を前記1つまたは複数の履歴関係(145)と比較することと
によって前記異常を識別するように構成された、請求項1から6のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項8】
モード変化(410~412)事象が、第1の時系列データ(123TS)及び第2の時系列データ(125TS)のそれぞれ1つの値の増加または値の減少の一方である、請求項5に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項9】
前記所定の特性が、前記モード変化(410~412)事象を横切る第1の時系列データ(123TS)及び第2の時系列データ(125TS)の一方または両方の決定係数である、請求項5または8のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム(199)。
【請求項10】
ビークル(100)障害検出のための方法であって、
ビークルシステム(110)に結合された複数のセンサ(101)で、それぞれの時系列データ(123TS、125TS)を検出するステップであって、各時系列データ(123TS、125TS)が、複数の構成要素パラメータ(460)のうちの構成要素パラメータ(123、125)に対応する、ステップと、
前記それぞれの時系列データのみからビークル制御モジュールによって得られた専門知識に基づいて、前記複数のセンサ(101)に結合された前記ビークル制御モジュール(120)で、前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の1つまたは複数の関係(140)の存在を決定するステップであって、ビークルシステム(110)の制御信号に基づいて前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)のうちの1つまたは複数における少なくとも一つのモード変化(410~412)事象が識別される、ステップと、
前記ビークル制御モジュール(120)で、前記専門知識、および前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の前記1つまたは複数の関係(140)のみに基づいて前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)における少なくとも一つの異常(177)および保守点検されるべきビークル構成要素を識別するステップであって、前記少なくとも一つの異常(177)が、前記時系列データのモード変化後の遅延を含む、ステップと、
前記ビークル制御モジュール(120)に結合されたユーザインタフェース(175)で、前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)における前記異常(177)の表示および保守点検されるべき前記ビークル構成要素の識別子をオペレータに提示するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記ビークル制御モジュール(120)で、前記複数の構成要素パラメータ(460)の各々をカテゴリカルまたは連続的の一方であるものとして分類するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ビークル制御モジュール(120)で、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの1つへの、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定することによって、前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の前記1つまたは複数の関係(140)の前記存在を決定するステップをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
記ビークル制御モジュール(120)で、前記それぞれの時系列データ(123TS、125TS)のうちの1つまたは複数の所定の特性を前記モード変化(410~412)事象の前後で比較することによって、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの1つへの、前記複数の構成要素パラメータ(460)のうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ビークル制御モジュール(120)で、前記1つまたは複数の関係(140)にスコアをつけるステップと、
前記ビークル制御モジュール(120)で、前記ビークル(100)の複数のエクスカーションにわたって前記スコアを平均するステップと
をさらに含む、請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ビークル制御モジュール(120)が、
前記複数の構成要素パラメータ(460)に関するそれぞれの履歴時系列データ(123HS、125HS)を受信することであって、前記それぞれの履歴時系列データ(123HS、125HS)の各々が、正常構成要素動作及び異常構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされたそれぞれの構成要素データを含む、前記受信することと、
前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の1つまたは複数の履歴関係(145)の存在を決定することと、
前記複数の構成要素パラメータ(460)の間の前記1つまたは複数の関係(140)を前記1つまたは複数の履歴関係(145)と比較することと
によって前記異常を識別する、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な諸実施形態は、一般に障害検出(fault detection)に関し、詳細には、構成要素パラメータ相互間の関係を識別することにより1つまたは複数のビークルシステムの専門知識を取り入れる教師なし障害検出システムを使用した障害検出に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機などのビークルにおける障害検出は、何らかの形の統計的分析を用いて行われる。一般に、デジタルセンサデータが時系列センサデータ(time series of sensor data)で得られ、例えば機械学習ベースの解決法を用いた統計的処理(または他の処理)のための数学的形式に変換される。これらの機械学習ベースの解決法は、時系列センサデータなどのデータセットから、形態として知られている統計的尺度を抽出する。形態の例としては、ビークルエクスカーション全体(entire vehicle excursion)(航空機の場合はフライト全体(entire flight)である)にわたる最小パラメータ値、最大パラメータ値、平均パラメータ値などがある。形態の値は、ビークル構成要素の障害に先行する時系列センサデータの傾向を識別しようとして一連のビークルエクスカーションにわたって比較される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、上記の識別された懸念事項のうちの少なくとも1つまたは複数に対処するように意図された装置及び方法があれば有用性を見いだすであろう。
【0004】
下記は、本開示による主題の、特許請求されてもよいし、そうでなくてもよい例の非網羅的なリストである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による主題の一例はビークル障害検出システムに関し、ビークル障害検出システムは、ビークルシステムに結合され、第1の構成要素パラメータの第1の時系列データを検出するように構成された第1のセンサと、ビークルシステムに結合され、第2の構成要素パラメータの第2の時系列データを検出するように構成された第2のセンサと、第1のセンサ及び第2のセンサに結合されたビークル制御モジュールであって、第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係の存在を決定し、第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係に基づいて第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方における異常を識別するように構成された、ビークル制御モジュールと、ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースであって、第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方における異常の表示をオペレータに提示するように構成された、ユーザインタフェースと、を備える。
【0006】
本開示による主題の別の例はビークル障害検出システムに関し、ビークル障害検出システムは、ビークルシステムに結合され、それぞれの時系列データを検出するように構成された複数のセンサであって、時系列データがそれぞれ、複数の構成要素パラメータのうちの1つの構成要素パラメータに対応する、複数のセンサと、複数のセンサに結合されたビークル制御モジュールであって、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定し、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係に基づいてそれぞれの時系列データにおける異常を識別するように構成された、ビークル制御モジュールと、ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースであって、それぞれの時系列データにおける異常の表示をオペレータに提示するように構成された、ユーザインタフェースと、を備える。
【0007】
本開示による主題の別の例はビークル障害検出のための方法に関し、ビークル障害検出のための方法は、ビークルシステムに結合された複数のセンサでそれぞれの時系列データを検出するステップであって、各時系列データが、複数の構成要素パラメータのうちの1つの構成要素パラメータに対応する、ステップと、複数のセンサに結合されたビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定するステップと、ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係に基づいてそれぞれの時系列データにおける異常を識別するステップと、ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースで、それぞれの時系列データにおける異常の表示をオペレータに提示するステップと、を含む。
【0008】
したがって、本開示の例を概略的に説明してきたので、次に添付図面について説明するが、添付図面は必ずしも原寸に比例して描かれておらず、類似の参照符号は複数の図を通じて同じまたは類似の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の諸態様によるビークル障害検出システムの概略ブロック図である。
図2A】本開示の諸態様によるビークル構成要素の障害のない正常動作条件下で得られる正常時系列データの例示的な説明図である。
図2B】本開示の諸態様による図2Aの説明で言及されたビークル構成要素の劣化した性能を示す劣化時系列データの例示的な説明図である。
図2C】本開示の諸態様による図2Aの説明で言及されたビークル構成要素の障害のある性能を示す障害時系列データの例示的な説明図である。
図3A】ビークルの3つの異なるエクスカーションにわたって生じる、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータに対応する2つの時系列データの間の関係を示す図であり、第1のエクスカーションに対応している。
図3B】ビークルの3つの異なるエクスカーションにわたって生じる、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータに対応する2つの時系列データの間の関係を示す図であり、第2のエクスカーションに対応している。
図3C】ビークルの3つの異なるエクスカーションにわたって生じる、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータに対応する2つの時系列データの間の関係を示す図であり、本開示の諸態様による第3のエクスカーションに対応している。
図4A】複数のビークルシステム構成要素のそれぞれの構成要素パラメータに関する時系列データを示すとともに、本開示の諸態様による複数のビークルシステム構成要素の様々な動作モードを示す例示的なグラフである。
図4B】複数のビークルシステム構成要素のそれぞれの構成要素パラメータに関する時系列データを示すとともに、本開示の諸態様による複数のビークルシステム構成要素の様々な動作モードを示す例示的なグラフである。
図4C】複数のビークルシステム構成要素のそれぞれの構成要素パラメータに関する時系列データを示すとともに、本開示の諸態様による複数のビークルシステム構成要素の様々な動作モードを示す例示的なグラフである。
図5A】本開示の諸態様によるカテゴリカルな時系列データの例示的な説明図である。
図5B】本開示の諸態様による連続的な時系列データの例示的な説明図である。
図6A】本開示の諸態様による構成要素パラメータ相互間の関係の欠如を示す例示的なグラフである。
図6B】本開示の諸態様による構成要素パラメータ相互間の可能な関係を示す例示的なグラフである。
図6C】本開示の諸態様によるビークルシステム構成要素のモード変化の前または後の構成要素パラメータ間の相関関係の決定を示す例示的なグラフである。
図6D】本開示の諸態様によるビークルシステム構成要素のモード変化の前後の構成要素パラメータの勾配変化の決定を示す例示的なグラフである。
図6E】ビークルシステム構成要素のモード変化の前後の構成要素パラメータの値の変化の決定を示す例示的なグラフである。
図7A】本開示の諸態様による例示的な関係出力の説明図である(本明細書では図7と称する)。
図7B】本開示の諸態様による例示的な関係出力の説明図である(本明細書では図7と称する)。
図8A】本開示の諸態様による時系列データにおける異常の検出を示す時系列データの例示的なグラフである。
図8B】本開示の諸態様による時系列データにおける異常の検出を示す時系列データの例示的なグラフである。
図9A】本開示の諸態様によるビークルシステム内の障害を決定する方法の例示的な流れ図である。
図9B】本開示の諸態様による図9Aの方法の一部の例示的な流れ図である。
図10】本開示の諸態様による図1のビークルの例示的な説明図である。
図11】航空機の生産及び保守点検方法体系の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図10を参照すると、ビークル障害検出システム199は、例示的な目的だけのために航空機100Aなどの固定翼航空機に関して説明する。しかしながら、ビークル障害検出システム199は、以下に限定するものではないが、航空宇宙ビークル、回転翼航空機、無人空中ビークル(UAV)、エアビークル(air vehicles)より軽い固定翼航空機、海洋ビークル、及び自動車ビークルを含む任意適当なビークル100内に展開され得ることが理解されるべきである。一態様では、ビークル100は、それぞれ1つまたは複数の(例えば複数の)それぞれの構成要素(例えば、エンジンとその構成要素、空調システムとその構成要素、など)を有する1つまたは複数のビークルシステム110を含む。ビークルシステム110は、推進システム110A、油圧システム110E、電気システム110D、主脚システム110B、及び前脚システム110Cを含むことができる。ビークル100は、環境システム110Gを有する内部100INTも含むことができる。他の態様では、ビークルシステム110は、ビークル100の機体100FRMに結合された1つまたは複数の制御システム、例えば、フラップ、スポイラ、補助翼、スラット、方向舵、昇降舵、トリムタブなども含むことができる。
【0011】
図1を参照すると、本開示の諸態様は、ビークルシステム110の構成要素相互間の関係140を分析することによって検出され識別された異常に基づいてビークルシステム110の構成要素の事前の修理及び/または交換を行うことができる、ビークルシステム110の障害を決定するためのシステム199及び方法900(図9A参照)を提供する。本明細書に記載されているビークルシステム110などの複雑なシステムは、相互作用する多くの構成要素を有することがある。本開示の諸態様は、ビークルシステム110の構成要素相互間の1つまたは複数の関係140の教師なし分析により正常なビークルシステム110の挙動の識別を行い、関係140は、ビークルシステム110の構成要素からのセンサデータを使用して決定される。本明細書では、「正常(の/な)(normal)」という用語は、障害の全くないビークルシステム110の動作(例えば、当技術分野で理解される正常動作条件)を意味する。本開示の諸態様は正常なビークルシステム110の挙動の識別を行うが、本開示の諸態様は、構成要素の障害に先行する異常挙動の識別も行うことができる。本明細書では、「異常(の/な)(anomalous)」という用語は、障害のない動作からの逸脱を意味し、劣化したビークルシステム110(またはその構成要素)の性能とこのビークルシステム110(またはその構成要素)の障害のある性能とを含む。
【0012】
本開示の諸態様によれば、ビークルシステム110構成要素の制御信号、ビークルシステム110構成要素の推定動作モード、及びセンサデータのうちの1つまたは複数が、ビークルシステム110障害の予測を決定しかつ/または提供するために分析され得る。障害決定分析に(例えば、動作モード変化を推定するために)制御信号を含めることで、障害検出のための内容領域専門家への依存をなくすことができる。本開示の諸態様は、1つのビークルシステム110構成要素への、別のビークルシステム110構成要素の動作モード変化によって引き起こされる影響を識別することにより、フォールスポジティブ障害検出(false positive fault detection)を低減または除去することもできる。
【0013】
本開示の諸態様は、複数のセンサ101からの時系列データ相互間の関係140のタイプ及び強度(例えば構成要素パラメータ)を識別することができる。本開示の諸態様は、複数のセンサ101から得られた時系列データを類別することによりデータ駆動型分析を行い、その類別に応じて時系列を分析する。本開示の諸態様は、その態様の正常な挙動の一部として絶えず変動し得る構成要素パラメータ値の有意な変化(例えばセンサ値の大きな変化)ならびに特定の状況下でしか存在することができず、必ずしもセンサデータに存在するわけではないビークルシステム110構成要素パラメータ相互間の関係の識別を行うこともできる。本明細書に記載されている障害検出システム199及び方法900は高度にスケーラブルであり、いくつかのビークルエクスカーション(航空機100Aの場合、各エクスカーションはビークルの個々のフライトである)にわたって多くの(例えば、何十もの、何百もの、何千もの、など)ビークルシステム110構成要素パラメータ上で実質的に同時に走ることができる。したがって、本開示の諸態様は、内容領域専門家からの専門知識を必要とせずに大規模の多様なデータセットに対してビークルシステム110構成要素の正常な(かつ/または異常な)挙動の識別を行うことができる。
【0014】
本開示による主題の、特許請求されてもよいし、そうでなくてもよい例示的な非網羅的な例が以下に提供される。
【0015】
図1を参照すると、ビークル障害検出システム199は、少なくとも第1のセンサ101A及び第2のセンサ101Bを含む複数のセンサ101を含む。複数のセンサ101の各センサは、それぞれの構成要素パラメータのそれぞれの時系列データを検出する(図9A、ブロック910)ためにそれぞれのビークルシステム110のそれぞれの構成要素と結合するように構成される。例えば、第1のセンサ101Aは、第1の構成要素パラメータ123の第1の時系列データ123TSを検出するためにビークルシステム110の第1の構成要素111Aと結合するように構成され得る。第2のセンサ101Bは、第2の構成要素パラメータ125の第2の時系列データ125TSを検出するためにビークルシステム110の第2の構成要素111Bと結合するように構成され得る。図1には1つのビークルシステム110が示されているが、本開示の諸態様は、複数のビークルシステム110のうちの1つまたは複数における障害を検出するための複数のビークルシステム110の構成要素相互間の関係140を決定するために複数のビークルシステム110に適用され得ることに留意されたい。
【0016】
ビークル制御モジュール120が、任意適当な有線接続または無線接続によってなど、任意適当な方法で複数のセンサ101(例えば、第1のセンサ101A及び第2のセンサ101Bなど)に結合される。ビークル制御モジュール120は、ビークル100内の任意適当なコントローラあるいはビークル100に無線で結合されるかまたは結線で接続された任意適当なコントローラ(例えば、ビークル整備コントローラなど)とすることができる。ビークル制御モジュール120は、本明細書に記載されている本開示の諸態様を実行するための任意適当なデータ記憶装置及び非一時的コンピュータプログラムコードで構成された任意適当なメモリ121及びプロセッサ130を含むことができ、例えば、複数のセンサ101は、複数のセンサ101からのデータ(例えば、第1の構成要素データ122及び第2の構成要素データ124など)が任意適当な方法でメモリ121に保存されるようにメモリ121に結合される。ビークル障害検出システム199は、ビークル制御モジュール120に結合された任意適当なユーザインタフェース175も含むことができる。ユーザインタフェース175は、ビークル100のディスプレイ/インタフェースまたは有線もしくは無線接続によってビークル100に結合されたディスプレイ/インタフェースとすることができる。ユーザインタフェース175は、第1の時系列データ123TS及び第2の時系列データ125TSの一方または両方における少なくとも異常の表示177をビークル100のオペレータに提示するように構成される。他の態様では、ユーザインタフェース175は、異常の表示177、障害の予測178、予防整備是正処置179、及びビークルシステム110に関するエクスカーション後ビークル整備レポート176(ただし、エクスカーション後ビークル整備レポートは、異常の表示177、是正処置179及び障害の予測178のうちの少なくとも1つを含む)のうちの1つまたは複数をビークル100のオペレータに提示するように構成される。一態様では、ユーザインタフェース175は、エクスカーション後ビークル整備レポート176または他の適当なレポートによってなど、任意適当な方法で本明細書に記載されているビークルシステムロックアウト表示174を行うことができる。
【0017】
図1図2A図2C、及び図3A図3Cを参照すると、一般に、第1の構成要素111A及び第2の構成要素111Bなどのビークルシステム110構成要素は、その構成要素の耐用年数を通じて異なる性能を有する。一般に、ビークルシステム110構成要素の耐用年数の間に構成要素パラメータ挙動の3つの分類がある。これらの3つの分類は一般に正常、劣化及び障害である。異常挙動は、劣化した性能の示度となるが、必ずしも障害のある性能の示度とはならない。劣化した性能の再発及び/または過酷化は、ビークルシステム110構成要素がすぐに障害のある性能をもたらし得ることを示す。正常分類、劣化分類及び障害分類に対応する例示的なビークルシステム110構成要素から得られる時系列データのプロット図の例が図2A図2Cに示されている。一例として、図2Aは、構成要素の障害のない正常動作条件下で得られた正常時系列データ200Nを示す。図2Bは、劣化した構成要素の性能を示す劣化時系列データ200Dを示し、劣化時系列データ200Dは、ビークル構成要素がこの構成要素の耐用年数の終わりに近づいていることを示すことができる。図2Cは、障害のある構成要素の性能を示す障害時系列データ200Fを示し、障害時系列データ200Fは、ビークルシステム110構成要素の耐用年数の終わりを示すことができる。
【0018】
ビークルシステム110構成要素の正常の性能、劣化した性能及び障害のある性能を示すのに加えて、時系列データは、時系列データにおける突然の変化/スパイク(例えば、センサ値の大きな増加)がビークルシステム110構成要素の正常動作特性であるという表示を提供することもできる。例えば、図3A図3Cは、ビークル100の3つの異なるエクスカーションに関する時系列データを示し、図3A図3Cはそれぞれ、第1の構成要素パラメータ123(第1の構成要素111Aの場合)及び第2の構成要素パラメータ125(第2の構成要素111Bの場合)に対応する時系列データを示す。図3A及び図3Bでは、第1のエクスカーション123TSE1及び第2のエクスカーション123TSE2に関する第1の時系列データ(第1の構成要素パラメータ123の場合)が第1の構成要素111Aの正常動作を示し、第1のエクスカーション125TSE1及び第2のエクスカーション125TSE2に関する第2の時系列データ(第2の構成要素パラメータ125の場合)が第2の構成要素111Bの正常動作を示す。しかしながら、図3Cでは、第1の構成要素111Aの第3のエクスカーション123TSE3に関する第1の時系列データは、グラフの右手側の方に第1のセンサデータスパイク300(例えば、センサ値の大きな変化)を示す。単独で考えられる第3のエクスカーション123TSE3に関する第1の時系列データにおける第1のセンサデータスパイク300は異常の示度となり、第1の構成要素パラメータ123の障害を示すことができるが、第1のセンサデータスパイク300が第2の構成要素111Bの第3のエクスカーション125TSE3に関する第2の時系列データに関連して考慮されると、第3のエクスカーション125TSE3に関する第2の時系列データは対応する第2のセンサデータスパイク310を含むことが分かる。対応する第1のセンサデータスパイク300及び第2のセンサデータスパイク310は、第1の構成要素パラメータ123と第2の構成要素パラメータ125との間の関係140を示すことができ、本開示の諸態様は、障害分析でこの関係140を識別することができる。例えば、第2のデータスパイク310は、正常動作条件下で第1の構成要素パラメータ123に影響を引き起こす第2の構成要素111Bのモード変化の結果とすることができる。したがって、ビークルシステム110は第1の時系列データ123TS及び第2の時系列データ125TSなどの時系列データを解釈するときに異なる動作状態または動作モードを有することを認識することが望ましい。第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125などのビークルシステム110パラメータが様々な動作モードで明確な挙動を示すことが正常であることも認識されるべきである。
【0019】
図1図4A及び図4Bを参照すると、複数のビークルシステム110構成要素111の様々な動作モード及びこれらの構成要素111のそれぞれの構成要素パラメータ(例えば、第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125を含むことができる複数の構成要素パラメータ460)は、ビークル100の任意適当なコントローラ及び/またはビークルシステム110のコントローラによって複数の構成要素111のうちの1つに送られた制御信号400によって引き起こされ得る。例えば、図4Aは、第1の構成要素111Aに関する第1の時系列データ123TS、第2の構成要素111Bに関する第2の時系列データ125TS、及び第3の構成要素111Cに関する第3の時系列データ126TSを制御信号400と比較したプロット図を示す。図4Aに見られるように、制御信号400は、第1の時系列データ123TSが3つの動作モード、例えばモードA、モードB及びモードCを示すように第1の時系列データ123TSの動作モードの変化を引き起こしており、隣り合うモードA、B、Cの間の変化はモード変化410、411で示されている。制御信号400が第1の構成要素111A、第2の構成要素111B、及び第3の構成要素111Cを変化させると、これらの構成要素はそれぞれ、挙動の変化が正常なビークルシステム110の挙動を識別するために本明細書に記載されている障害検出システム199によって使用される、明確に異なる挙動を示す。したがって、障害検出システム199は、内容領域専門家を実質的に必要とせずにビークルシステム110の専門知識を取り入れる教師なしシステムである。正常なビークルシステム110の挙動が識別されると、複数のセンサ101は、(図4Bに示されているように、モード変化411後の第2の時系列データ125TS及び第3の時系列データ126TSのモード変化遅延ΔXにより)性能劣化を検出しかつ/または本明細書に記載されている障害を予測するために監視することができる。
【0020】
図1及び図4Cを参照すると、モード変化410、411に加えて、障害検出システム199はサブモード変化を識別するように構成され、サブモードは、第1の構成要素111A、第2の構成要素111B、第3の構成要素111Cなどのビークルシステム110構成要素相互間の下位関係140をさらに識別することができる。例えば、構成要素パラメータは互いに独立して制御され得るにしても、複数の動作モードが実質的に同時に起こる(例えば、1つの構成要素パラメータの1つまたは複数のモード変化が別の構成要素パラメータの少なくとも1つのモードの中で起こる)複雑な動作モードを識別することが望ましいことがある。一例として、図4Cは、制御信号400が第1の構成要素パラメータ123のモード変化410、411を引き起こし、それによって第1の構成要素パラメータ123は3つの動作モード、例えばモードA、モードB、モードCを示すのを示している。この例では、制御信号400Aがモード変化412の時点で第3の構成要素111Cに送られてもよく、そこで第3の構成要素パラメータ126の第3のモード変化412は第2の構成要素パラメータ125の変化をもたらすが、第1の構成要素パラメータ123の変化はもたらさない。第2の構成要素パラメータ125のモード変化412の時点での変化は、第1の構成要素パラメータ123の動作モードBの中に第2の構成要素パラメータ125と第3の構成要素パラメータ126との間の別の関係140を示すことができる。したがって、障害検出システム199は、正常なビークルシステム110の挙動を識別するための内容領域専門家を実質的に必要とせずにビークルシステム110サブモードの専門知識を取り入れることもできる。
【0021】
図1図5A及び図5Bを参照すると、複数の構成要素パラメータ460(図4A図4C)の動作モードを検出し、複数の構成要素パラメータ相互間の関係140を識別するために、ビークル制御モジュール120は、複数のビークル構成要素111に対応する第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125などの複数の構成要素パラメータ460相互間の関係140の存在を決定するように構成された関係決定モジュール131を含む。例えば、複数の構成要素パラメータ460相互間の1つまたは複数の関係140の存在を決定する(図9A、本明細書に記載されているブロック920)ために、関係決定モジュール131は、複数の構成要素パラメータ460(図4A図4C)のうちの1つまたは複数(またはそれぞれ)を、カテゴリカル(図5Aに示されている例)または連続的(図5Bに示されている例)の一方であるものとして分類する(図9B、ブロック921)ように構成される。他の態様では、構成要素パラメータの任意適当な類別が使用されてもよい。カテゴリカルな構成要素パラメータは、例えば、オン/オフ、開/閉などの離散状態/動作モードを表すセンサ値を含む。カテゴリカルな構成要素パラメータの一例として、図5Aは、例えば環境システム110G(図10参照)の弁の開閉位置を表す時系列データを示す。連続的な構成要素パラメータは、無数のセンサ値の可能性(例えば、百分比、電圧、電流、温度など)を有することができるセンサ値を含む。連続的な構成要素パラメータの一例として、図5Bは、例えば環境システム110G(図10参照)の弁が開いている百分率を表す時系列データを示す。関係決定モジュール131は、例えば、構成要素パラメータで示される一意/個別の値を数えることにより複数の構成要素パラメータ460(図4A図4C)を類別するように構成され得る。一例として、構成要素パラメータが約15個未満の一意/個別の値(または他の任意適当な値)を有する場合、構成要素パラメータはカテゴリカルとして分類され、そうでない場合は構成要素パラメータは連続的として分類される。
【0022】
図1図4A図4C図5A、及び図5Bを参照すると、複数の構成要素パラメータ460がカテゴリカルまたは連続的として分類されると、ビークル制御モジュール120は、関係決定モジュール131などにより、複数の構成要素パラメータのうちの1つ(例えば、第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125の一方など)への、複数の構成要素パラメータのうちの別のもの(例えば、第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125の他方など)によって引き起こされた影響を決定することにより、複数の構成要素パラメータ460相互間の関係140の存在を決定する。ビークル制御モジュール120は、ビークルシステム制御信号400(図4A図4C)に基づいてそれぞれの時系列データのうちの1つまたは複数におけるモード変化410~412(図4A図4C参照)事象を識別する(図9B、ブロック922)ように構成される。モード変化410~412事象は、複数の構成要素パラメータ460のカテゴリカルな分類及び連続的な分類によって異なり得る。例えば、カテゴリカルな分類を有する構成要素パラメータ(図5Aに示されている第1の構成要素パラメータ123など)に関するモード変化411事象は、第1の構成要素パラメータ123の各値の変化で識別される。連続的な分類を有する構成要素パラメータ(図5Bに示されている第2の構成要素パラメータ125など)に関するモード変化410~412事象は、その第2の構成要素パラメータ125に関する第2の時系列データ125TSにおける値の所定の時間窓内での有意な変化501、502によって識別される。例えば、値の有意な変化は、約5秒(または他の適当な時間)の時間窓内での2つの標準偏差より大きい第2の時系列データ125TSの値の変化と定義され得る。モード変化410~412事象は増大または減少として識別することができ、構成要素パラメータの値の増加または減少は、本明細書に記載されている複数の構成要素パラメータ460のうちの他の構成要素パラメータと異なるタイプの挙動をもたらし得る。
【0023】
図1及び図6A図6Cを参照すると、モード変化事象410~412(図4A図4C)が識別されると、ビークル制御モジュール120は、関係140が複数の構成要素パラメータ460のうちの1つまたは複数の間に存在するかどうかを、例えば下記式を用いて関係の計算を行う(図9B、ブロック923)ことにより決定するように構成される。
【0024】
【数1】
【0025】
ただし、式中の各括弧は、真であれば1と評価され、偽であれば0と評価される。式中の括弧がいずれも真でない場合、式は0と決定され、第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間に直接関係がないことが決定される(式は2つの構成要素パラメータに対して書かれているが、任意の数の構成要素パラメータに適応し得ることに留意されたい)。さらに、t1は、モード変化410~412の前後のパラメータの間の強い相関関係に対する閾値(例えば、約0.9のr2値)であり、t2は、モード変化410~412の前後のパラメータの間の強い相関関係に対する閾値(例えば、約0.6のr2値)である。ここで式は、下記の4つのパートを含み、
【0026】
【数2】
【0027】
であり、xは、従属構成要素パラメータに対する時系列の開始からの経過時間を表し、yは、時間xでの従属パラメータに対するセンサ値を表し、下付き文字「a」はモード変化の後を意味し、下付き文字「b」はモード変化の前を意味し、下付き文字「ba」はモード変化の前後を意味する。一態様では、ビークル制御モジュール120は、上記式を複数の構成要素パラメータ460の少なくとも1つの組合せに適用するように構成される(例えば、上記式は2つの構成要素パラメータに適用される)。他の態様では、ビークル制御モジュール120は、上記式を複数の構成要素パラメータ460のすべての組合せに適用するように構成される(例えば、図4Aを参照すると、組合せは、第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125、第1の構成要素パラメータ123及び第3の構成要素パラメータ126、第2の構成要素パラメータ125及び第3の構成要素パラメータ126、などを含むことができる)。上記式の例示的な適用例として、図4Aを参照すると、制御信号400は、第1の構成要素パラメータ123が2つのモード変化410、411事象を有するように第1の構成要素111Aに印加される。したがって、第1の構成要素パラメータ123は、上記式を適用する目的のためにモード変化410、411を定義するための構成要素制御パラメータ(x)と見なされる。第2の構成要素パラメータ125及び第3の構成要素パラメータ126は、本明細書では従属構成要素パラメータと呼ばれる、というのは、第2の構成要素パラメータ及び第3の構成要素パラメータの値は、図4Aに示されているモード変化410、411の時点での第2の構成要素パラメータ125及び第3の構成要素パラメータ126の変化で示されているように(上記式の結果に基づいて)第1の構成要素パラメータに依存する/関係することができるからである。上に書かれた式は、第2の構成要素パラメータ125及び第3の構成要素パラメータ126のそれぞれが第1の構成要素パラメータ123との関係を有しているかどうかを決定するために、第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125と第1の構成要素パラメータ123及び第3の構成要素パラメータ126とに適用されるであろう。
【0028】
上記式のパート1を使用すると、ビークル制御モジュール120は、モード変化事象410、412の前後のそれぞれの時系列データ(第1の時系列データ123TS及び/または第2の時系列データ125TSなど)のうちの1つまたは複数の所定の特性を比較することにより、複数の構成要素パラメータ460(第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125など)のうちの1つへの、複数の構成要素パラメータ460(第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125など)のうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定するように構成される。ビークル制御モジュール120は、所定の特性を比較するためのモード変化410~412の前後の所定の期間T1、T2(約30秒または他の適当な期間など、図6A及び図6B参照)を定義するように構成され得る。一態様では、それぞれのモード変化410~412の前の期間T1及びそれぞれのモード変化410~412の後の期間T2は互いに同じでも異なっていてもよい。一例として、図6A及び図6Bは、モード変化411の前後の第1の時系列データ123TS及び第2の時系列データ125TSを示す。この場合、所定の特性は、モード変化411事象を横切るそれぞれの時系列データ123TS、125TSのうちの1つまたは複数の決定係数r2である。ビークル制御モジュール120は決定係数r2の所定の閾値を定義することができ、決定係数r2が閾値を上回る場合、時系列データ(第1の時系列データ123TS及び第2の時系列データ125TSなど)に対応する構成要素パラメータ123、125の間の任意の可能な関係は無視される。一態様では、決定係数r2の所定の閾値は、モード変化の両側の時系列データのセグメントに対して約0.9以上または約0.0であり、モード変化の片側のみの時系列のセグメントに対して0.6以上または約0.0である(他の態様では、所定の閾値は、0.0~1.0の任意適当な値とすることができる)。図6Aに示されているように、第1の時系列データ123TS及び第2の時系列データ125TSの決定係数r2は約0.98であり、したがって、第1の構成要素パラメータ123と第2の構成要素パラメータ125との間に関係が存在しないことが決定される。図6Bに示されているように、第1の時系列データ123TS及び第2の時系列データ125TSの決定係数r2は約0.64であり、したがって、第1の構成要素パラメータ123と第2の構成要素パラメータ125との間に関係140が存在し得ることが決定される。
【0029】
図1及び図6Cを参照すると、関係決定モジュール131が、複数の構成要素パラメータ460の間に関係140が存在し得ることを決定する場合、ビークル制御モジュール120は、上記式のパート2を用いて、モード変化(モード変化411など)の前か後のどちらかに複数の構成要素パラメータ460の間に相関関係が存在するかどうかを決定する。図6Cで分かるように、相関関係がモード変化411の後に存在するが、モード変化411の前には存在しない例を示している。
【0030】
図1及び図6Dを参照すると、関係決定モジュール131が、複数の構成要素パラメータ460の間に関係140が存在し得ること決定する場合、ビークル制御モジュール120は、上記式のパート3を用いて、構成要素パラメータが連続的として類別される場合にモード変化事象を横切るそれぞれの時系列データの勾配の変化を決定する。例えば、ビークル制御モジュール120は、モード変化(モード変化411など)の前後に複数の構成要素パラメータ460の間に相関関係が存在するかどうかを決定するとともに、構成要素パラメータ123、125の一方の勾配Mx(構成要素パラメータは連続的な分類を有する)が変化しているかどうかを決定するように構成される。図6Dは、第2の構成要素パラメータ125に関する時系列データ125TSの勾配Mxが正勾配Mxから負勾配Mxに変化している場合の説明図である。
【0031】
図1及び図6Eを参照すると、関係決定モジュール131が、複数の構成要素パラメータ460の間に関係140が存在し得ることを決定する場合、ビークル制御モジュール120は、上記式のパート4を用いて、構成要素パラメータがカテゴリカルまたは連続的として類別される場合にモード変化事象を横切るそれぞれの時系列データの大きさの変化を決定する。例えば、ビークル制御モジュール120は、モード変化(モード変化411など)の前か後のどちらかに複数の構成要素パラメータ460の間に相関関係が存在するかどうかを決定するとともに、構成要素パラメータ123、125の一方の勾配Mx(構成要素パラメータはカテゴリカルな分類または連続的な分類を有する)が異なるかどうかを決定するように構成される。ここで、平均μ及び標準偏差σは、モード変化411の前の間隔に対して計算される。第1の時系列データ123TS及び/または第2の時系列データ125TSにおける任意のセンサ値が例えば2つの標準偏差(他の態様では、3つより多いまたは少ない標準偏差が使用されてもよい、または他の任意適当な閾値が使用されてもよい)から外れた場合、値の変化は有意なパラメータ値の変化として識別される。図6Eは、勾配Mxが異ならない例を示し、決定係数r2に対する値は決定係数r2に対する所定の閾値を上回る(例えば、有意な値の変化がない)。
【0032】
図1及び図7を参照すると、複数の構成要素パラメータ460の間の関係140が識別されると、ビークル制御モジュール120は任意適当な方法で関係にスコアをつける(図9B、ブロック924)ように構成される。例えば、関係にスコアをつけるために、式のパート1~パート4の値は式に従って組み合わされる、ただし、
パート1は、従属構成要素パラメータに関する時系列データの全セグメント(モード変化411の前後、例えば図4A参照)に対する強い関係がない場合に1と評価し、
パート2は、従属構成要素パラメータに関する時系列データの勾配の一方(モード変化の前または後、前後ではない)が強い相関関係を有する場合に1と評価し、
パート3は、勾配の両方(モード変化の前後)が強い相関関係を有し、勾配の方向が異なる場合に1と評価し、
パート4は、勾配の両方(モード変化の前後)が強い相関関係を有し、モード変化後の値のうちの少なくとも1つがモード変化の前の平均から2標準偏差より大きく離れている場合に1と評価する。
【0033】
パート1が1と評価しかつパート2~4の和が0より大きい場合、ビークル制御モジュールは、構成要素パラメータ相互間に関係が存在することを決定して構成要素パラメータの組合せで評価される。上記式に基づいて、関係スコア141は0~3の値とすることができる。
【0034】
関係スコア141は、平均関係スコア142をもたらすためにビークルの複数のエクスカーションにわたって平均化され(図9B、ブロック925)、平均関係スコア142は、複数の構成要素パラメータ460に関する関係百分率(図7参照)として表すことができる。例えば、ビークル制御モジュール120の例示的な関係出力700が図7に示してあり、ユーザインタフェース175上に提示されるエクスカーション後ビークル整備レポート176に含められてもよい。例示的な目的だけのために、関係出力700は、航空機100Aの環境システム110G(図10参照)からの12個のセンサパラメータ(例えば複数の構成要素パラメータ460)を表す。関係出力700におけるパラメータ1は構成要素制御パラメータを表し、パラメータ2は従属構成要素パラメータを表し、またはその逆も同様である(例えば、上記式を適用する目的のため)。
【0035】
上述したように、モード変化410~412事象(例えば図4A参照)は増加または減少として識別することができ、この場合、構成要素パラメータの値の増加または減少(例えば変化のタイプ)が、複数の構成要素パラメータ460のうちの他の構成要素パラメータで異なるタイプの挙動をもたらし得る。変化のタイプは、構成要素制御パラメータの変化のタイプがどのようにして従属構成要素パラメータに影響を及ぼすのかを識別するために関係出力700に示すことができる。例えば、左エコノミー冷却弁に対する増大変化(+)は、左凝縮器入口温度に対する勾配変化をもたらす。関係出力700において、関係百分率が高いほど、構成要素パラメータ相互間の関係は大きくなる。
【0036】
図1図8A及び図8Bを参照すると、ビークル制御モジュール120は、複数の構成要素パラメータ460(第1の構成要素パラメータ123及び第2の構成要素パラメータ125など)の間の1つまたは複数の関係140に基づいてそれぞれの時系列データ(第1及び第2の構成要素パラメータ123、125に関する第1及び第2の時系列データ123TS、125TSの一方または両方など)における異常を識別する(図9A、ブロック930)ように構成される。ビークル制御モジュール120は、任意適当なデータ供給源またはデータベースから、複数の構成要素パラメータ460に関するそれぞれの履歴時系列データ(第1の履歴時系列データ123HS及び第2の時系列データ125HSなど)を受信するまたはその他の方法で取得するように構成される。例えば、ビークル制御モジュールは、第1の構成要素パラメータ123に関する履歴データを含む第1の履歴時系列データ123HSを取得するとともに、第2の構成要素パラメータ125に関する履歴データを含む第2の履歴時系列データ125HSを取得する。それぞれの履歴時系列データ123HS、125HSはそれぞれ、正常構成要素動作123HN、125HN及び異常構成要素動作123HA、125HAの一方または両方に対応するものとしてラベル付けされたそれぞれの構成要素データを含む。ビークル制御モジュール120は、1つまたは複数の制御信号に基づいて動作モード/サブモードを決定すること、上記式を上述した方法で使用すること、などにより、上述した方法でラベル付き履歴時系列データ123HS、125HSを使用して複数の構成要素パラメータ460の間の1つまたは複数の履歴関係145の存在を決定するように構成される。ビークル制御モジュール120は、履歴関係145を使用して訓練される任意適当な機械学習アルゴリズム/モデル132Mを含む異常識別モジュール132を含む。異常識別モジュール132は、関係140を履歴関係145と比較し、それによって例えば第1の時系列データ123TS及び第2の時系列データ125TSの一方または両方における任意の異常を検出するように構成される。一例として、図8Aを参照すると、異常識別モジュール132の訓練に基づいて、障害検出システム199は、正常構成要素動作下で、第2の構成要素パラメータ125に関する第2の時系列データ125TSの勾配Mxはモード変化411の前後で異なるものとする(例えば、勾配Mxはモード変化411の前で正であり、モード変化411の後で負であるものとする)ことを学習した。図8Bは、第2の構成要素パラメータ125の性能が、第2の構成要素パラメータ125に関する第2の時系列データ125TSがモード変化411の前後に正勾配Mxを有するように劣化している例を示す。この異常(例えば、モード変化411の前後の第2の時系列データ125TSの正勾配)は、異常識別モジュール132によって切迫障害として識別され、ユーザインタフェース175によって異常177の表示としてオペレータに提示され得る。一態様では、異常177の表示は、エクスカーション(フライト)後ビークル整備レポート176に含められてもよい。
【0037】
ビークル制御モジュールは、それぞれの時系列データにおける異常に基づいて複数の構成要素パラメータ460のうちの1つまたは複数に対応するビークルシステム110構成要素の故障を予測するように構成される。例えば、異常検出モジュールの訓練に基づいて、ビークルシステム110構成要素に障害が起こるまでビークルシステム110構成要素の劣化した性能がどのくらい持続し得るのかを知ることができる。例えば、図8Bに示されている第2の構成要素パラメータ125の劣化した性能が持続または向上すると、異常識別モジュール132は、第2の構成要素111Bがその間に故障し得る故障時間フレームを決定するように構成される。この故障時間フレームは、ユーザインタフェース175上で障害178の予測としてオペレータに提示され得る。一態様では、障害178の予測は、エクスカーション(フライト)後ビークル整備レポート176に含められてもよい。
【0038】
一態様では、ビークル制御モジュール120は、ユーザインタフェースに、複数の構成要素パラメータ460の間の1つまたは複数の関係(例えば、図7の関係出力700または他の任意適当な提示書式に示されている)、異常の表示177、及び障害の予測178のうちの1つまたは複数をオペレータにグラフで提示させるように構成される。異常の表示177及び/または障害の予測178は、本明細書に例示されている時系列データグラフや棒グラフなどのグラフの形で、または他の任意適当な提示書式で提示され得る。したがって、関係出力700、異常の表示177、及び障害の予測178のうちの1つまたは複数は、制御信号の変化及び影響を受けた構成要素パラメータの予期される挙動に追従して関連付けられる構成要素パラメータ群を含む。オペレータ(整備要員とすることができる)は、異常の表示177及び障害の予測178及び/またはエクスカーション(フライト)後ビークル整備レポート176で提供された情報に基づいて任意適当な予防整備を行う(図9A、ブロック940)ことができる。一態様では、ビークル障害検出システム199は、ビークル制御モジュール120などにより、オペレータにエクスカーション後ビークル整備レポート176の予防整備是正処置179を提供するように(例えば、ビークルシステム内の構成要素を交換する、ビークルシステム内の締め具をしっかり締める、などを行うように)構成される。エクスカーション後ビークル整備レポート176は、エクスカーション後にビークル制御モジュール120によって自動的に作られてもよく、ビークル障害検出システム199による異常の検出に応答してかつ/またはビークルのオペレータ/整備要員のリクエストを受けてビークル制御モジュール120によって作られてもよい。他の態様では、ビークル障害検出システム199は、ビークル制御モジュール120及び/または後述するインターロック197などにより、異常の検出に応答してビークルシステムの構成要素またはビークルシステム全体を「ロックアウトする(lock out)」ように構成される。ビークルシステムロックアウト表示174には、異常の表示177、障害の予測178及び是正処置179のうちの1つまたは複数を提供することができる。
【0039】
ここで図1及び図9Aを参照して、障害検出システムの例示的な動作について説明する。本開示の諸態様によれば、それぞれの時系列データ123TS、125TSがビークルシステム110に結合された複数のセンサ101で検出され(図9A、ブロック910)、ここで、各時系列データ123TS、125TSは複数の構成要素パラメータ460のうちの構成要素パラメータ123、125に対応する。ビークル制御モジュール120は複数のセンサに結合され、図9Bに関して上述した方法で複数の構成要素パラメータ460の間の1つまたは複数の関係の存在を決定する(図9A、ブロック920)。ビークル制御モジュール120は、複数の構成要素パラメータ460の間の1つまたは複数の関係に基づいてそれぞれの時系列データ123TS、125TSにおける異常を識別する(図9A、ブロック930)。それぞれの時系列データ123TS、125TSにおける少なくとも異常の表示177は、ビークル制御モジュール120に結合されたユーザインタフェース175でオペレータに提示される(図9A、ブロック940)。
【0040】
図1を参照すると、ビークル制御モジュール120は、ビークル100の始動時にかつ/またはビークル100の任意適当な指定された操作(例を挙げると、例えば、錨をおろす、宇宙ステーションとのドッキング、ビークルのロボットアームを操作する、など)の前に上述した障害検出及び障害予測分析を行うことができる。他の態様では、ビークル制御モジュール120は、ビークル100の運転停止時に上述した障害検出及び障害予測分析を行うことができる。例えば、ビークル障害検出システム199は、ビークル制御モジュール120とビークルシステム110のうちの1つまたは複数とに結合されたビークルインターロック197を含むことができる。ビークルインターロック197は、構成要素の障害/故障の示度となる異常挙動の検出に基づいてビークル100の操作(インターロック197に結合されたビークルシステム110に対応する)を妨げるように構成される。この場合、ビークル制御モジュール120がビークルシステム110構成要素の異常挙動を検出した場合、ビークルインターロック197は、ビークルシステム構成要素及び/またはビークルシステムの動作を妨げることにより、あるいは、ビークルシステム構成要素及び/またはビークルシステムの限定動作能力を与えることにより、ビークルシステム構成要素及び/またはビークルシステムを「ロックアウトする」ことができる。例えば、宇宙船(本明細書に記載されている障害検出システム199を含む)のロボットアームに関して異常挙動が検出された場合、ビークルインターロック197は、予防整備の実施を可能にするためにロボットアームの操作を妨げることができる。他の態様では、上述したように、ビークルインターロック197は、ビークルシステム110構成要素の異常挙動がビークル障害検出システム199によって検出されたときにビークル構成要素/システムの使用を限定/制限するように構成され得る。ビークルインターロック197は、どのビークル構成要素及び/またはシステムがロックアウトされているのかを示するためにビークルシステムロックアウト表示174がユーザインタフェース175を介してオペレータに提示されるように、ビークル制御モジュール120と通信するように構成される。
【0041】
図10及び図11を参照すると、本開示の例が、図11に示されている航空機の製造及び保守点検方法1100の状況で説明され得る。他の態様では、本開示の例は、上述したように、例えば自動車、海洋、航空宇宙などの任意適当な産業で応用することができる。航空機の製造に関しては、生産開始までの間、例示的な方法1100は、航空機100Aの仕様及び設計(ブロック1110)ならびに材料調達(ブロック1120)を含むことができる。生産中、航空機100Aの構成要素及び部分組立品の製造(ブロック1130)ならびにシステム統合(ブロック1140)を行うことができる。その後、航空機100Aは、就航中(ブロック1160)に置かれるために認証及び搬送(ブロック1150)を経ることがある。就航中の間、航空機100Aは、日常整備及び保守点検(ブロック1170)の予定がなされ得る。日常整備及び保守点検は、本明細書に記載されている障害決定を含みかつ/またはこの障害決定によって促進され得る、航空機100Aの1つまたは複数のシステムの改変、再構成、改修などを含むことができる。
【0042】
例示的な方法1100のプロセスはそれぞれ、システムインテグレータ、第三者、及び/またはオペレータ(例えば顧客)によって実行または実施されてもよい。この説明のために、システムインテグレータは、制限なく、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含むことができ、第三者は、制限なく、任意の数の売主、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、保守点検組織などとすることができる。
【0043】
本明細書に示されるまたは説明される装置、システム、及び方法は、製造及び保守点検方法1100の段階のうちのいずれか1つまたは複数の段階で用いられてもよい。例えば、構成要素及び部分組立品の製造(ブロック1130)に対応する構成要素または部分組立品は、航空機100Aが就航中(ブロック1160)である間に生産される構成要素または部分組立品と同様の方法で製作または製造することができる。同様に、装置または方法の実現物の1つまたは複数の例、あるいはそれらを組み合わせたものは、例えば制限なく、航空機100Aが就航中(ブロック1160)である間にかつ/または整備及び保守点検(ブロック1170)中に利用することができる。
【0044】
下記は、本開示の諸態様に従って提供される。
【0045】
A1.ビークルシステムに結合され、第1の構成要素パラメータの第1の時系列データを検出するように構成された第1のセンサと、
ビークルシステムに結合され、第2の構成要素パラメータの第2の時系列データを検出するように構成された第2のセンサと、
第1のセンサ及び第2のセンサに結合されたビークル制御モジュールであって、
第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係の存在を決定し、
第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係に基づいて第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方における異常を識別する
ように構成された、ビークル制御モジュールと、
ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースであって、第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方における異常の表示をオペレータに提示するように構成された、ユーザインタフェースと
を備えるビークル障害検出システム。
【0046】
A2.ビークル制御モジュールが、第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方における異常に基づいて第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方または両方に対応するビークルシステム構成要素の故障を予測するように構成され、ユーザインタフェースが、ビークルシステム構成要素の故障の予測をオペレータに提示するように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0047】
A3.ユーザインタフェースが、第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係をオペレータにグラフで提示するように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0048】
A4.ビークル制御モジュールが、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータのそれぞれをカテゴリカルまたは連続的の一方であるものとして分類するように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0049】
A5.ビークル制御モジュールが、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方への、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの他方によって引き起こされる任意の影響を決定することにより第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係の存在を決定するように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0050】
A6.ビークル制御モジュールが、
ビークルシステム制御信号に基づいて第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方におけるモード変化事象を識別し、
第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方の所定の特性をモード変化事象の前後で比較することにより、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方への、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの他方によって引き起こされる任意の影響を決定する
ように構成された、段落A5に記載のビークル障害検出システム。
【0051】
A7.モード変化事象が、第1の時系列データ及び第2の時系列データのそれぞれ1つの値の増加または値の減少の一方である、段落A6に記載のビークル障害検出システム。
【0052】
A8.所定の特性が、モード変化事象を横切る第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方の決定係数である、段落A6に記載のビークル障害検出システム。
【0053】
A9.ビークル制御モジュールが、第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の相関関係をモード変化事象の前後で決定するように構成された、段落A5に記載のビークル障害検出システム。
【0054】
A10.第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方が連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切る第1の時系列データ及び第2の時系列データのそれぞれ1つの勾配の変化を決定するように構成され、
第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方がカテゴリカルまたは連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切る第1の時系列データ及び第2の時系列データのそれぞれ1つの大きさの変化を決定するように構成された、
段落A9に記載のビークル障害検出システム。
【0055】
A11.ビークル制御モジュールが、
関係にスコアをつけ、
ビークルの複数のエクスカーションにわたってスコアを平均する
ように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0056】
A12.各エクスカーションがビークルの個々のフライトである、A11項に記載のビークル障害検出システム。
【0057】
A13.ユーザインタフェースが、異常の表示及び異常に基づいた故障予測をフライト後のビークル整備レポートで提示するように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0058】
A14.ビークル制御モジュールが
第1の構成要素パラメータに関する第1の履歴時系列データを受信し、第1の履歴時系列データは、正常第1の構成要素動作及び異常第1の構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされた第1の構成要素データを含み、
第2の構成要素パラメータに関する第2の履歴時系列データを受信し、第2の履歴時系列データは、正常第2の構成要素動作及び異常第2の構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされた第2の構成要素データを含み、
第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の履歴関係の存在を決定し、
第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係を履歴関係と比較すること
により異常を識別するように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0059】
A15.ビークル制御モジュールに結合されたビークルインターロックをさらに備え、ビークルインターロックが異常挙動の検出に基づいてビークルの運転を妨げるように構成された、段落A1に記載のビークル障害検出システム。
【0060】
B1.ビークルシステムに結合され、それぞれの時系列データを検出する複数のセンサであって、時系列データがそれぞれ、複数の構成要素パラメータのうちの1つの構成要素パラメータに対応する、複数のセンサと、
複数のセンサに結合されたビークル制御モジュールであって、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定し、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係に基づいてそれぞれの時系列データにおける異常を識別する
ように構成された、ビークル制御モジュールと、
ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースであって、それぞれの時系列データにおける異常の表示をオペレータに提示するように構成された、ユーザインタフェースと
を備える、ビークル障害検出システム。
【0061】
B2.ビークル制御モジュールが、それぞれの時系列データにおける異常に基づいて複数の構成要素パラメータのうちの1つまたは複数に対応するビークルシステム構成要素の故障を予測するように構成され、ユーザインタフェースが、ビークルシステム構成要素の故障の予測をオペレータに提示するように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0062】
B3.ユーザインタフェースが、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係をオペレータにグラフで提示するように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0063】
B4.ビークル制御モジュールが、複数の構成要素パラメータのそれぞれをカテゴリカルまたは連続的の一方であるものとして分類するように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0064】
B5.ビークル制御モジュールが、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定することにより複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定するように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0065】
B6.ビークル制御モジュールが、
ビークルシステムの制御信号に基づいてそれぞれの時系列データのうちの1つまたは複数におけるモード変化事象を識別し、
それぞれの時系列データのうちの1つまたは複数の所定の特性をモード変化事象の前後で比較することにより、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定する
ように構成された、段落B5に記載のビークル障害検出システム。
【0066】
B7.モード変化事象が、それぞれの時系列データの値の増加または値の減少の一方である、段落B6に記載のビークル障害検出システム。
【0067】
B8.所定の特性が、モード変化事象を横切るそれぞれの時系列データのうちの1つまたは複数の決定係数である、段落B6に記載のビークル障害検出システム。
【0068】
B9.ビークル制御モジュールが、複数の構成要素パラメータの間の相関関係をモード変化事象の前後で決定するように構成された、段落B5に記載のビークル障害検出システム。
【0069】
B10.構成要素パラメータが連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切るそれぞれの時系列データの勾配の変化を決定するように構成され、
構成要素パラメータがカテゴリカルまたは連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切るそれぞれの時系列データの大きさの変化を決定するように構成された、
段落B9に記載のビークル障害検出システム。
【0070】
B11.ビークル制御モジュールが、
1つまたは複数の関係にスコアをつけ、
ビークルの複数のエクスカーションにわたってスコアを平均する
ように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0071】
B12.各エクスカーションがビークルの個々のフライトである、B11項に記載のビークル障害検出システム。
【0072】
B13.ユーザインタフェースが、異常の表示及び異常に基づいた故障予測をフライト後のビークル整備レポートで提示するように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0073】
B14.ビークル制御モジュールが、
複数の構成要素パラメータに関するそれぞれの履歴時系列データを受信し、それぞれの履歴時系列データのそれぞれが、正常構成要素動作及び異常構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされたそれぞれの構成要素データを含み、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の履歴関係の存在を決定し、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係を1つまたは複数の履歴関係と比較すること
により異常を識別するように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0074】
B15.ビークル制御モジュールに結合されたビークルインターロックをさらに備え、ビークルインターロックが異常挙動の検出に基づいてビークルの運転を妨げるように構成された、段落B1に記載のビークル障害検出システム。
【0075】
C1.ビークルシステムに結合された複数のセンサでそれぞれの時系列データを検出するステップであって、時系列データがそれぞれ、複数の構成要素パラメータのうちの1つの構成要素パラメータに対応する、ステップと、
複数のセンサに結合されたビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定するステップと、
ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係に基づいてそれぞれの時系列データにおける異常を識別するステップと、
ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースで、それぞれの時系列データにおける異常の表示をオペレータに提示するステップと
を含む、ビークル障害検出のための方法。
【0076】
C2.ビークル制御モジュールで、それぞれの時系列データにおける異常に基づいて複数の構成要素パラメータのうちの1つまたは複数に対応するビークルシステム構成要素の故障を予測するステップと、
ユーザインタフェースで、ビークルシステム構成要素の故障の予測をオペレータに提示するステップと
をさらに含む、段落C1に記載の方法。
【0077】
C3.複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係をオペレータにグラフで提示するステップをさらに含む、段落C1に記載の方法。
【0078】
C4.ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータのそれぞれをカテゴリカルまたは連続的の一方であるものとして分類するステップをさらに含む、段落C1に記載の方法。
【0079】
C5.ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定することにより複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定するステップをさらに含む、段落C1に記載の方法。
【0080】
C6.ビークル制御モジュールで、ビークルシステムの制御信号に基づいてそれぞれの時系列データのうちの1つまたは複数におけるモード変化事象を識別するステップと、
ビークル制御モジュールで、それぞれの時系列データのうちの1つまたは複数の所定の特性をモード変化事象の前後で比較することにより、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定するステップと
をさらに含む、段落C5に記載の方法。
【0081】
C7.モード変化事象が、それぞれの時系列データの値の増加または値の減少の一方である、段落C6に記載の方法。
【0082】
C8.所定の特性が、モード変化事象を横切るそれぞれの時系列データのうちの1つまたは複数の決定係数である、段落C6に記載の方法。
【0083】
C9.ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータの間の相関関係をモード変化事象の前後で決定するステップをさらに含む、段落C5に記載の方法。
【0084】
C10.構成要素パラメータが連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切るそれぞれの時系列データの勾配の変化を決定し、
構成要素パラメータがカテゴリカルまたは連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切るそれぞれの時系列データの大きさの変化を決定する、
段落C9に記載の方法。
【0085】
C11.ビークル制御モジュールで、1つまたは複数の関係にスコアをつけるステップと、
ビークル制御モジュールで、ビークルの複数のエクスカーションにわたってスコアを平均するステップと
をさらに含む、段落C1に記載の方法。
【0086】
C12.各エクスカーションがビークルの個々のフライトである、段落C11に記載の方法。
【0087】
C13.異常の表示及び異常に基づいた故障予測が、ユーザインタフェースによってフライト後のビークル整備レポートで提示される、段落C1に記載の方法。
【0088】
C14.ビークル制御モジュールが、
複数の構成要素パラメータに関するそれぞれの履歴時系列データを受信し、それぞれの履歴時系列データのそれぞれが、正常構成要素動作及び異常構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされたそれぞれの構成要素データを含み、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の履歴関係の存在を決定し、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係を1つまたは複数の履歴関係と比較すること
により異常を識別する、段落C1に記載の方法。
【0089】
C15.ビークル制御モジュールに結合されたビークルインターロックで、異常挙動の検出に基づいてビークルの運転を妨げるステップをさらに含む、段落C1に記載の方法。
【0090】
上記の図では、様々な要素及び/または構成要素を接続している実線がある場合、その実線は、機械的結合、電気的結合、流体結合、光学的結合、電磁結合、無線結合、及びその他の結合、ならびにそれらの結合を組み合わせたものを表することがある。本明細書では、「結合される(coupled)」という用語は、直接的ならびに間接的に関連付けられることを意味する。例えば、部材Aは、部材Bに直接的に関連付けられてもよく、または、例えば別の部材Cを介して部材Bに間接的に関連付けられてもよい。様々な開示済み要素の間のすべての関係が必ずしも表されるわけではないことを理解されたい。したがって、図面に示されているもの以外の結合も存在することがある。様々な要素及び/または構成要素を表すブロックを接続する破線がある場合、その破線は、実線で表されたものと機能及び目的が似ている結合を表すが、破線で表された結合は、選択的に提供されてもよく、あるいは本開示の代替例に関係していてもよい。同様に、破線で表される要素及び/または構成要素がある場合、その要素は本開示の代替例を示す。実線及び/または破線で示されている1つまたは複数の要素が、本開示の範囲から逸脱することなく特定の例から除外され得る。環境要素がある場合、その要素は破線で表される。仮想(想像上の)要素が明瞭にするために示されることもある。当業者なら、各図に示されている形態のうちのいくつかは、図、他の作図、及び/または付随する開示に記載されている他の形態を含める必要なく様々な方法で組み合わされ得ることを理解するであろうが、そのような1つまたは複数の組合せは本明細書に明確には記載されていない。同様に、提示される例に限定されない追加の形態は、本明細書に示され記載されている形態の一部または全部と組み合わされてもよい。
【0091】
上記の図9A図9B、及び図11において、ブロックは、動作及び/または動作の各部分を表し、様々なブロックを接続する線は、動作または動作の各部分の特定の順番または依存関係を何ら含意するものではない。破線で表されているブロックは、代替動作及び/または代替動作の各部分を示す。様々なブロックを接続する破線がある場合、その破線は、動作または動作の各部分の代替依存関係を表す。様々な開示済み動作の間のすべての依存関係が必ずしも表されていないことを理解されたい。本明細書に記載されている動作及び方法を説明する図9A図9B図11、及び付随する開示は、動作が実行されるべき順序を必ず決定するものと解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順番が示されているが、動作の順序は適切な場合に変更されてもよい。したがって、いくつかの動作は、異なる順番でまたは実質的に同時に実行されてもよい。さらに、当業者なら、記載されているすべての動作が実行されなくてもよいことを理解するであろう。
【0092】
以下の説明では、多くの具体的な詳細が、これらの詳細の一部または全部なしに実施され得る開示済み概念の完全な理解を提供するために記述されている。他の例では、既知の装置及び/またはプロセスの詳細が、本開示を不必要に曖昧にするのを回避するために除外されている。いくつかの概念について具体例に関連して説明するが、これらの例は限定するものではないことを理解されたい。
【0093】
特に示さない限り、「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、本明細書では単にラベルとして用いられ、これらの用語が参照する項目に順序、位置、または階層の要件を課すものではない。さらに、例えば「第2の」項目への言及は、例えば「第1の」すなわち低い番号を付けられた項目、及び/または、例えば「第3の(third)」すなわち高い番号を付けられた項目の存在を必要とするまたは排除するものではない。
【0094】
本明細書での「一例(one example)」への言及は、その例に関連して記載されている1つまたは複数の形態、構造、または特性が少なくとも1つの実装態様に含まれることを意味する。本明細書内の様々な箇所の「一例」という語句は、同じ例を参照する場合もありそうでない場合もある。
【0095】
本明細書では、特定の機能を実行する「ように構成された(configured to)」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、確かに、さらなる変更後に特定の機能を実行する可能性を単に有するのではなく、何ら改変することなく特定の機能を実行することができる。言い換えると、特定の機能を実行する「ように構成された」システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、具体的には、特定の機能を実行するために選択、生成、実装、利用、プログラム設定、及び/または設計される。本明細書では、「~ように構成された」は、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアの既存の特徴を表し、既存の特徴により、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、さらなる変更なしに特定の機能を実行することが可能になる。この開示の目的のために、特定の機能を実行する「ように構成された」ものとして記載されているシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、またはハードウェアは、付加的にまたは代替的に、その機能を実行する「ようになされた(adapted to)」かつ/または「よう動作する(operative to)」ものとして記述される場合がある。
【0096】
本明細書で開示される1つまたは複数の装置及び方法の様々な例は、種々の構成要素、形態、及び機能性を含む。本明細書で開示される1つまたは複数の装置、システム、及び方法の様々な例は、本明細書で開示される1つまたは複数の装置及び方法の他の例のいずれかの構成要素、形態、及び機能性のいずれかを任意に組み合わせて含むことがあり、そのような可能性はすべて本開示の範囲内にあることを意図していることが理解されるべきである。
【0097】
本明細書に記載の例の多くの変更形態は、前述の説明及び関連図面に提示されている教示の恩恵を受ける、本開示が関係している当業者に思いつくであろう。
【0098】
さらに、本開示は下記項による諸実施形態を含む。
【0099】
項1.ビークルシステムに結合され、それぞれの時系列データを検出する複数のセンサであって、時系列データがそれぞれ、複数の構成要素パラメータのうちの1つの構成要素パラメータに対応する、複数のセンサと、
複数のセンサに結合されたビークル制御モジュールであって、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定し、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係に基づいてそれぞれの時系列データにおける異常を識別する
ように構成された、ビークル制御モジュールと、
ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースであって、それぞれの時系列データにおける異常の表示をオペレータに提示するように構成された、ユーザインタフェースと
を備える、ビークル障害検出システム。
【0100】
項2.ビークル制御モジュールが、それぞれの時系列データにおける異常に基づいて複数の構成要素パラメータのうちの1つまたは複数に対応するビークルシステム構成要素の故障を予測するように構成され、ユーザインタフェースが、ビークルシステム構成要素の故障の予測をオペレータに提示するように構成された、項1に記載のビークル障害検出システム。
【0101】
項3.ビークル制御モジュールが、複数の構成要素パラメータのそれぞれをカテゴリカルまたは連続的の一方であるものとして分類するように構成された、項1または2に記載のビークル障害検出システム。
【0102】
項4.ビークル制御モジュールが、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定することにより複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定するように構成された、項1から3のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム。
【0103】
項5.ビークル制御モジュールが、
ビークルシステムの制御信号に基づいてそれぞれの時系列データのうちの1つまたは複数におけるモード変化事象を識別し、
それぞれの時系列データのうちの1つまたは複数の所定の特性をモード変化事象の前後で比較することにより、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定する
ように構成された、項4に記載のビークル障害検出システム。
【0104】
項6.ビークル制御モジュールが、
1つまたは複数の関係にスコアをつけ、
ビークルの複数のエクスカーションにわたってスコアを平均する
ように構成された、項1から5のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム。
【0105】
項7.ビークル制御モジュールが、
複数の構成要素パラメータに関するそれぞれの履歴時系列データを受信し、それぞれの履歴時系列データのそれぞれが、正常構成要素動作及び異常構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされたそれぞれの構成要素データを含み、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の履歴関係の存在を決定し、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係を1つまたは複数の履歴関係と比較すること
により異常を識別するように構成された、項1から6のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム。
【0106】
項8.ビークルシステムに結合され、第1の構成要素パラメータの第1の時系列データを検出する第1のセンサと、
ビークルシステムに結合され、第2の構成要素パラメータの第2の時系列データを検出する第2のセンサと、
第1のセンサ及び第2のセンサに結合されたビークル制御モジュールであって、
第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係の存在を決定し、
第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係に基づいて第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方における異常を識別する
ように構成された、ビークル制御モジュールと、
ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースであって、第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方における異常の表示をオペレータに提示するように構成された、ユーザインタフェースと
を備えるビークル障害検出システム。
【0107】
項9.ビークル制御モジュールが、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方への、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの他方によって引き起こされる任意の影響を決定することにより第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の関係の存在を決定するように構成された、項8に記載のビークル障害検出システム。
【0108】
項10.ビークル制御モジュールが、
ビークルシステム制御信号に基づいて第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方におけるモード変化事象を識別し、
第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方の所定の特性をモード変化事象の前後で比較することにより、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方への、第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの他方によって引き起こされる任意の影響を決定する
ように構成された、項9に記載のビークル障害検出システム。
【0109】
項11.モード変化事象が、第1の時系列データ及び第2の時系列データのそれぞれ1つの値の増加または値の減少の一方である、項10に記載のビークル障害検出システム。
【0110】
項12.所定の特性が、モード変化事象を横切る第1の時系列データ及び第2の時系列データの一方または両方の決定係数である、項10または11に記載のビークル障害検出システム。
【0111】
項13.ビークル制御モジュールが、第1の構成要素パラメータと第2の構成要素パラメータとの間の相関関係をモード変化事象の前後で決定するように構成された、項9から12のいずれか一項に記載のビークル障害検出システム。
【0112】
項14.第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方が連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切る第1の時系列データ及び第2の時系列データのそれぞれ1つの勾配の変化を決定するように構成され、
第1の構成要素パラメータ及び第2の構成要素パラメータの一方がカテゴリカルまたは連続的として類別される場合、ビークル制御モジュールは、モード変化事象を横切る第1の時系列データ及び第2の時系列データのそれぞれ1つの大きさの変化を決定するように構成された、
項13に記載のビークル障害検出システム。
【0113】
項15.ビークルシステムに結合された複数のセンサでそれぞれの時系列データを検出するステップであって、時系列データがそれぞれ、複数の構成要素パラメータのうちの1つの構成要素パラメータに対応する、ステップと、
複数のセンサに結合されたビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定するステップと、
ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係に基づいてそれぞれの時系列データにおける異常を識別するステップと、
ビークル制御モジュールに結合されたユーザインタフェースで、それぞれの時系列データにおける異常の表示をオペレータに提示するステップと
を含む、ビークル障害検出のための方法。
【0114】
項16.ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータのそれぞれをカテゴリカルまたは連続的の一方であるものとして分類するステップをさらに含む、項15に記載の方法。
【0115】
項17.ビークル制御モジュールで、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定することにより複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係の存在を決定するステップをさらに含む、項15または16に記載の方法。
【0116】
項18.ビークル制御モジュールで、ビークルシステムの制御信号に基づいてそれぞれの時系列データのうちの1つまたは複数におけるモード変化事象を識別するステップと、
ビークル制御モジュールで、それぞれの時系列データのうちの1つまたは複数の所定の特性をモード変化事象の前後で比較することにより、複数の構成要素パラメータのうちの1つへの、複数の構成要素パラメータのうちの別のものによって引き起こされる任意の影響を決定するステップと
をさらに含む、項17に記載の方法。
【0117】
項19.ビークル制御モジュールで、1つまたは複数の関係にスコアをつけるステップと、
ビークル制御モジュールで、ビークルの複数のエクスカーションにわたってスコアを平均するステップと
をさらに含む、項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【0118】
項20.ビークル制御モジュールが、
複数の構成要素パラメータに関するそれぞれの履歴時系列データを受信し、それぞれの履歴時系列データのそれぞれが、正常構成要素動作及び異常構成要素動作の一方または両方に対応するものとしてラベル付けされたそれぞれの構成要素データを含み、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の履歴関係の存在を決定し、
複数の構成要素パラメータの間の1つまたは複数の関係を1つまたは複数の履歴関係と比較すること
により異常を識別する、項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【0119】
したがって、本開示は例示される具体例に限定されるべきでなく、変更形態及び他の例は添付の特許請求の範囲内に含まれると意図されていることが理解されるべきである。さらに、前述の説明及び関連図は、要素及び/または機能の特定の例示的な組合せの状況で本開示の例を説明しているが、要素及び/または機能の様々な組合せが添付の特許請求の範囲から逸脱することなく代替実装態様によって提供され得ることが理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲内の括弧に入った参照番号は単に例示目的で提示され、特許請求された主題の範囲を本開示内に提供されている具体例に限定するものではない。
【符号の説明】
【0120】
100 ビークル
100A 航空機
100FRM 機体
100INT 内部
101 センサ
101A 第1のセンサ
101B 第2のセンサ
110 ビークルシステム
110A 推進システム
110B 主脚システム
110C 前脚システム
110D 電気システム
110E 油圧システム
110G 環境システム
111 構成要素
111A 第1の構成要素
111B 第2の構成要素
111C 第3の構成要素
120 ビークル制御モジュール
121 メモリ
122 第1の構成要素データ
123 第1の構成要素パラメータ
123HA 異常構成要素動作
123HN 正常構成要素動作
123HS 第1の履歴時系列データ
123TS 第1の時系列データ
123TSE1 第1のエクスカーション
123TSE2 第2のエクスカーション
123TSE3 第3のエクスカーション
124 第2の構成要素データ
125 第2の構成要素パラメータ
125HA 異常構成要素動作
125HN 正常構成要素動作
125HS 第2の履歴時系列データ
125TS 第2の時系列データ
125TSE1 第1のエクスカーション
125TSE2 第2のエクスカーション
125TSE3 第3のエクスカーション
126 第3の構成要素パラメータ
126TS 第3の時系列データ
130 プロセッサ
131 関係決定モジュール
132 異常識別モジュール
132M 機械学習アルゴリズム/モデル
140 関係、下位関係
141 関係スコア
142 平均関係スコア
145 履歴関係
174 ビークルシステムロックアウト表示
175 ユーザインタフェース
176 エクスカーション後ビークル整備レポート
177 異常の表示
178 障害の予測
179 予防整備是正処置
197 インターロック、ビークルインターロック
199 ビークル障害検出システム
200D 劣化時系列データ
200F 障害時系列データ
200N 正常時系列データ
300 第1のセンサデータスパイク
310 第2のセンサデータスパイク
400 制御信号
400A 制御信号
410 モード変化
411 モード変化
412 モード変化
460 構成要素パラメータ
501 値の有意な変化
502 値の有意な変化
700 例示的な関係出力
900 方法
1100 製造及び保守点検方法
MX 勾配
T1、T2 閾値、所定の期間
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11