(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/14 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
F24C15/14 B
F24C15/14 C
(21)【出願番号】P 2018179225
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敦
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-163719(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102005024426(DE,A1)
【文献】国際公開第2012/099326(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第2003-0079527(KR,A)
【文献】国際公開第2018/029873(WO,A1)
【文献】特開2007-093091(JP,A)
【文献】特開2013-076473(JP,A)
【文献】特開2014-126228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C15/00-15/40
F24C 7/02
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内にて前面に食材を出し入れする開口部を有した調理庫と、
前記ハウジングに鉛直軸線回りに回動可能に支持されて前記開口部を開閉自在に塞ぐ扉本体と、
前記扉本体の前記調理庫側に設けられたインナガラスと、
前記インナガラスの下側に設けられて、前記インナガラスから落下した水を受けて底部に設けた排水口から排出する第1樋部材と、
前記第1樋部材の排水口を前記扉本体の開閉に応じて開閉する排水口開閉装置と、
前記ハウジングの前面にて前記扉本体を閉じたときに前記第1樋部材の排水口の下側に設けられて前記排水口開閉装置により開放された前記排水口から排出される水を受ける第2樋部材とを備えた加熱調理器であって、
前記第1樋部材の底部には
鉛直方向下向きに延びて下端に前記排水口が形成された排水筒部を備え、前記排水筒部の下端の排水口を水平方向の一方が低くなるように傾斜させたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記排水筒部の下端の排水口は後側が低くなるように傾斜しており、
前記排水口開閉装置は前記排水筒部の下側に配置されて前記排水筒部の下側を開閉自在に覆う止水板と、前記止水板の上面に設けられたパッキンシートと、前記パッキンシートの上面における前記排水筒部の外側に設けられて前記パッキンシートを前記止水板に取り付けるための取付板とを備え、前記止水板は前記排水筒部より前側で水平軸線回りに回動可能に支持され、前記止水板の上面の前記パッキンシートを前記排水口に密着させた状態から前記止水板を下側に回動させるようにして前記排水口を開放するようにしたものであり、前記取付板には前記排水筒部が配置される位置よりも後側に通水用の通水切欠部を形成したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
前記止水板の左右方向の少なくとも一方には上側に折り曲げた折曲部を形成したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項2または3に記載の加熱調理器において、
前記止水板には前記排水筒部の下側に前記排水筒部の外径よりも大きな凹部を形成したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項2~4の何れか1項に記載の加熱調理器において、
前記パッキンシートの後縁には前記排水筒部が配置される左右方向の位置にて斜め下方に突き出る突出部を形成したことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の調理庫内で食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されており、この加熱調理器は、ハウジング内に設けた調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置とを備えている。また、この加熱調理器では、調理庫内はヒータと対流ファンの作動によって熱風が対流するようになっているとともに、調理庫内を対流する熱風には蒸気発生装置から供給される蒸気が供給され、調理庫内に収納した食材はヒータと対流ファンと蒸気発生装置とを作動させたときの蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0003】
調理庫の前面には食材を出し入れする開口部が設けられており、ハウジングの前面部には調理庫の開口部を開閉する扉が設けられている。ハウジングの前面には開口部周縁部にパッキンが設けられ、扉の調理庫側にはインナガラスが設けられ、扉はインナガラスがパッキンに密着した状態で調理庫の開口部を閉止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の加熱調理器は、調理庫内に収容した食材を蒸気を含んだ熱風を対流させて加熱調理するものであり、インナガラスには加熱調理の際の蒸気が結露した水滴が付着し、インナガラスに付着した水滴が扉を開放したときにインナガラスに沿って流れ落ちる。このため、
図12に示したように、扉101のインナガラス102の下側には落下する水滴を受ける第1樋部材103が設けられている。第1樋部材103の底面には排水口103aが形成されており、ハウジング100の前面には扉101を閉じたときの第1樋部材103の下側に第2樋部材104が設けられている。また、第1樋部材103の下側には排水口開閉装置105が設けられており、排水口開閉装置105は扉101を開放したときに第1樋部材103の排水口103aを閉じ(
図12(b)に示した)、扉101を閉止したときに第1樋部材103の排水口103aを開放し(
図12(a)に示した)、第1樋部材103で受けた水は排水口103aを通って第2樋部材104に送られる。第1樋部材103に多量の水が溜まっているときに、扉101を閉止して排水口開閉装置105によって第1樋部材103の排水口103aを開放したときに、第1樋部材103に溜まる水は排水口103aから広がって流れ出し、排水口103aから流れ出した水を第2樋部材104で受けることができず、加熱調理器を設置した設置台や床を汚すおそれがあった。本発明は、加熱調理器の扉のインナガラスに付着した水が飛散して周囲を汚さないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、ハウジング内にて前面に食材を出し入れする開口部を有した調理庫と、ハウジングに鉛直軸線回りに回動可能に支持されて開口部を開閉自在に塞ぐ扉本体と、扉本体の調理庫側に設けられたインナガラスと、インナガラスの下側に設けられて、インナガラスから落下した水を受けて底部に設けた排水口から排出する第1樋部材と、第1樋部材の排水口を扉本体の開閉に応じて開閉する排水口開閉装置と、ハウジングの前面にて扉本体を閉じたときに第1樋部材の排水口の下側に設けられて排水口開閉装置により開放された排水口から排出される水を受ける第2樋部材とを備えた加熱調理器であって、第1樋部材の底部には鉛直方向下向きに延びて下端に排水口が形成された排水筒部を備え、排水筒部の下端の排水口を水平方向の一方が低くなるように傾斜させたことを特徴とする加熱調理器。
【0007】
上記のように構成した加熱調理器においては、第1樋部材の底部には鉛直方向下向きに延びて下端に排水口が形成された排水筒部を備え、排水筒部の下端の排水口を水平方向の一方が低くなるように傾斜させたので、第1樋部材の水は鉛直方向下向きに延びる排水筒部に沿って流れて排水口の水平方向の一方が下方に傾斜して低くなった部分から流れ落ち、第1樋部材で受けた水を周囲に飛散させることなく第2樋部材に流すことができ、加熱調理器の周囲に水を飛散させないようにすることができた。
【0008】
上記のように構成した加熱調理器においては、排水筒部の下端の排水口は後側が低くなるように傾斜しており、排水口開閉装置は排水筒部の下側に配置されて排水筒部の下側を開閉自在に覆う止水板と、止水板の上面に設けられたパッキンシートと、パッキンシートの上面における排水筒部より外側に設けられてパッキンシートを止水板に取り付けるための取付板とを備え、止水板は排水筒部より前側で水平軸線回りに回動可能に支持され、止水板の上面のパッキンシートを排水口に密着させた状態から止水板を下側に回動させるようにして排水口を開放するようにしたものであり、取付板には排水筒部が配置される位置よりも後側に通水用の通水切欠部を形成するのが好ましい。このようにしたときには、第1樋部材で受けた水は排水筒部の後部に沿って排水口から流れ落ち、第1樋部材で受けた水を周囲に飛散させることなくパッキンシートの上面に流すことができるとともに、パッキンシートの上面に流れ落ちた水は通水切欠部によって取付板に遮られることなく第2樋部材に流れ落ちるようになり、加熱調理器の周囲に水を飛散させないようにすることができた。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、止水板の左右方向の少なくとも一方には上側に折り曲げた折曲部を形成するのが好ましい。このようにしたときには、止水板のパッキンシートの上側を流れ落ちる水が左右に流れ落ちないようになった。
【0010】
上記のように構成した加熱調理器においては、止水板には排水筒部の下側に排水筒部の外径よりも大きな凹部を形成するのが好ましい。このようにしたときには、止水板の角度の精度が高くないときに、止水板の上面のパッキンシートと排水筒部の下端の排水口との間に隙間が生じるおそれがあるが、止水板の上面のパッキンシートを排水筒部に押しつけたときに、パッキンシートは止水板の凹部内で排水筒部に密着できるように弾性変形するので、排水口から水が漏出するのを防ぐことができた。
【0011】
上記のように構成した加熱調理器においては、パッキンシートの後縁には排水筒部が配置される左右方向の位置にて斜め下方に突き出る突出部を形成するのが好ましい。排水口からパッキンシートの上面に流れ落ちた水の一部は第2樋部材に流れ落ちずに表面張力によってパッキンシートの後縁に多く残るおそれがあるが、パッキンシートの後縁には排水筒部が配置される左右方向の位置にて斜め下方に突き出る突出部が形成されているので、パッキンシートの後縁に残る水は突出部に集まって第2樋部材に流れ落ちるようになり、パッキンシートの後縁に残る水を少なくすることができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
【
図3】A-A断面図であり、第1及び第2樋部材と排水口開閉装置の拡大図(a)と、扉を少し開放して止水板を閉止位置としたときの当該拡大図(b)である。
【
図4】第1樋部材と排水口開閉装置とを斜め後ろから見た部分斜視図(a)と、(a)のパッキンシートを二点鎖線で示した部分斜視図(b)である。
【
図5】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
【
図7】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
【
図8】前後方向の中央部よりも少し後側の縦方向断面図である。
【
図9】排水タンクと洗浄ノズルとの間の洗浄水経路の概略図である。
【
図11】排水口開閉装置を変形した他の実施形態の
図4に相当する斜め後ろから見た部分斜視図である。
【
図12】従来の加熱調理器の
図3に相当する断面図及び各拡大図(a)、(b)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。
図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。
【0014】
図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉30が設けられている。なお、扉30に関する以後の説明では、扉30を閉めたときの位置関係によって説明する。ハウジング11の前面には調理庫20の開口部20aの外側の周囲にゴム製のパッキン11aが設けられており、調理庫20の開口部20aは扉30がパッキン11aに密着することで密閉されている。ハウジング11の前面下部には第2樋部材11bが設けられており、第2樋部材11bは調理庫20内で食材を加熱調理した際に扉30に付着した水を受けるようにしたものである。第2樋部材11bは後述する第2排水管15に接続されており、第2樋部材11bで受けた水は第2排水管15を通ってハウジング11の外側に排出される。
【0015】
図1~
図3に示したように、扉30はハウジング11の右側の端部で鉛直軸線回りに回動可能に支持されており、調理庫20の開口部を開閉自在に塞ぐものである。
図2に示したように、扉30はハウジング11の右側の端部に回動可能に支持された扉本体31と、扉本体31の調理庫20側に設けられたインナガラス32と、インナガラス32の下側に設けられた第1樋部材33と、第1樋部材33の排水口33bを開閉する排水口開閉装置40とを備えている。
【0016】
図1及び
図2に示したように、扉本体31は機械室12を除いた部分のハウジング11の前面を覆っており、扉本体31にはインナガラス32を介して調理庫20内を視認できるようにしたアウタガラス31aが設けられている。また、扉本体31の左側部には取手部31bが設けられており、扉30は取手部31bを操作することによって開閉される。
【0017】
図2に示したように、扉本体31に支持されたインナガラス32は調理庫20の開口部20aよりも大きく、扉30を閉じたときにパッキン11aと密着して開口部20aを塞いでいる。扉本体31にはインナガラス32の下側に第1樋部材33が設けられており、第1樋部材33はインナガラス32の左右方向の長さと略同じ長さとなっている。
図3及び
図4に示したように、第1樋部材33の底部には左右方向の中央部に下方に延びる排水筒部33aが形成されており、排水筒部33aの下端には第1樋部材33で受けた水を排出する排水口33bが形成されている。排水筒部33aの下端の排水口33bは後側が低くなるように(水平方向の一方が低くなるように)傾斜している。第1樋部材33は扉30を閉じた状態でハウジング11の前面下部に設けた第2樋部材11bの上側に配置されている。
【0018】
図2~
図4に示したように、第1樋部材33の下側には排水口33bを開閉する排水口開閉装置40が設けられている。排水口開閉装置40は扉30の開閉に応じて第1樋部材33の排水口33bを開閉するものであり、排水口開閉装置40は扉30が開放されたときに排水口33bを閉止し、扉30が閉止されたときに排水口33bを開放する。排水口開閉装置40は第1樋部材33の前側に取り付けられた支持板41と、支持板41に水平軸線回りに回動可能に支持された止水板42と、止水板42の上面に設けたパッキンシート43と、パッキンシート43を止水板42に取り付けるための取付板44とを備えている。
【0019】
図3及び
図4に示したように、止水板42は第1樋部材33の排水筒部33aの下側に配置されて、排水筒部33aの下端の排水口33bにパッキンシート43を密着させて、排水口33bを開閉自在に塞ぐようにしたものである。止水板42は排水筒部33aの前側で支持板41の下部に水平軸線回りに回動可能に支持され、排水筒部33aの下端の排水口33bにパッキンシート43を密着させる閉止位置(
図3の(b)に示した)と、閉止位置から下側に回動させて排水筒部33aの下端の排水口33bからパッキンシート43を離間させる開放位置(
図3の(a)に示した)との間で回動可能に支持されている。止水板42及びパッキンシート43は閉止位置にあるときに排水筒部33aの下端の排水口33bと同様に後側が低くなるように傾斜しており、閉止位置から開放位置に回動させたときに後側がさらに低くなるように傾斜する。
【0020】
図3及び
図4(b)に示したように、止水板42には排水筒部33aの下側に貫通孔よりなる凹部42aが形成されており、凹部42aは排水筒部33aの外形よりも大きく形成されている。排水筒部33aの下端の排水口33bの傾斜角度と止水板42の傾斜角度との公差により、排水口33bとパッキンシート43との間に隙間が形成されるおそれがあるが、パッキンシート43が凹部42a内で隙間に応じて弾性変形するため、排水筒部33aの下端の排水口33bがパッキンシート43によって隙間なく塞がれるようになっている。
図4に示したように、止水板42の左右両側部には上側に折り曲げた折曲部42bが形成されており、排水口33bから流れ落ちた水は止水板42の上面のパッキンシート43から左右に流れにくくなっている。
【0021】
図3及び
図4に示したように、パッキンシート43は排水筒部33aの下端の排水口33bに止水板42を隙間なく密着させるものである。また、排水筒部33aの下端の排水口33bから流れ落ちる水はパッキンシート43の上面に沿って後側に流れ落ちる。
図4(a)に示したように、パッキンシート43の後縁には排水筒部33aが配置される左右位置で斜め下方に突き出る突出部43aが形成されており、突出部43aはパッキンシート43の後縁に残る水を集めて第2樋部材11bに流れやすくする機能を有している。
図4に示したように、パッキンシート43の上面には取付板44が設けられており、パッキンシート43は取付板44の上側から挿通されたねじによって止水板42に取り付けられている。取付板44の中央部には略半円形の半円形切欠部44aと、半円形切欠部44aの後側に連続する通水切欠部44bとが形成されている。取付板44は半円形切欠部44aによって排水筒部33aの外側位置に配置され、排水筒部33aは取付板44に遮られることなくパッキンシート43に接触することができる。取付板44の通水切欠部44bは排水筒部33aより後側に形成されており、排水筒部33aの排水口33bから流れ落ちた水はパッキンシート43の上面で受けられてから通水切欠部44bによって取付板44に遮られることなく第2樋部材11bに流れ落ちる。
【0022】
図3に示したように、支持板41と止水板42との間にはばね部材45が設けられており、ばね部材45は止水板42を第1樋部材33の排水筒部33aの下端の排水口33bに当接するように上側に付勢している。止水板42の下側には扉開閉検知部46が一体的に設けられており、止水板42は扉開閉検知部46と一体的に回動する。
図3(a)に示したように、扉30が調理庫20の開口部20aを密封した状態で閉止したときには、扉開閉検知部46は第2樋部材11bに押しつけられて下側に回動しており、止水板42は扉開閉検知部46とともに下側に回動した状態で排水筒部33aの排水口33bを開放している。
図3(b)に示したように、扉30を開放したときには、扉開閉検知部46は第2樋部材11bに押しつけられないようになってばね部材45によって上側に回動するようになり、止水板42は扉開閉検知部46とともに上側に回動して排水筒部33aの排水口33bを閉止するようになる。
【0023】
図2及び
図5に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する収容室21とし、調理庫20の左側部を収容室21に熱風を送り出す加熱室22としている。
図3及び
図5に示したように、調理庫20の左右方向の中央部より左側にはファンカバー23が設けられており、ファンカバー23は調理庫20内を収容室21と加熱室22とに通風可能に仕切っている。ファンカバー23には多数の孔よりなる吸込口23aが設けられており、収容室21内の空気は吸込口23aを通って加熱室22に送られる。また、ファンカバー23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に通風空間23bが形成されるように調理庫20に取り付けられており、加熱室22の空気は通風空間23bを通って収容室21に送られる。
【0024】
図3及び
図5に示したように、調理庫20の収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。各支持フレーム24は前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部と支持するレール24bとを備えている。
【0025】
図5及び
図6に示したように、調理庫20の左側部にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は調理庫20を加熱するものであり、対流ファン26は調理庫20内の空気を対流させるものである。ヒータ25は調理庫20の左側壁に環状に巻回されている。また、環状に巻回されたヒータ25の内側には対流ファン26が配置されている。ヒータ25と対流ファン26を作動させると、収容室21の空気は吸込口23aを通って加熱室22に送られ、対流ファン26から遠心方向外向きに噴き出された空気は加熱室22内にてヒータ25によって加熱されて熱風となり、加熱された熱風はファンカバー23と調理庫20の各壁との間の通風空間23bを通って収容室21に送られる。
図6に示したように、調理庫20の左側壁には温度センサ27が設けられており、温度センサ27は調理庫20内の温度を検出している。
【0026】
図7に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置50が設けられている。蒸気発生装置50は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、調理庫20から排水を流すための排水タンク13の上側に立設している。蒸気発生装置50は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器51と、蒸気発生容器51内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器51の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル52と、蒸気発生容器51内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒53とを備えている。蒸気送出筒53は
図6に示した調理庫20の蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器51内で発生した蒸気は蒸気送出筒53を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0027】
図3、
図5、
図8及び
図9に示したように、調理庫20の天井壁には洗浄ノズル60が設けられており、調理庫20の底壁には排水口20cが形成されており、洗浄ノズル60と排水口20cとは洗浄水経路によって接続されている。排水口20cは第1排水管14によって排水タンク13に接続されている。排水タンク13には第2排水管15が接続されており、第2排水管15には排水弁16が介装されている。排水タンク13内の水は排水弁16を開放することで第2排水管15を通ってハウジング11の外側に排出される。また、第2排水管15には排水弁16よりも上流側に洗浄水供給管61の導入端部が接続されており、洗浄水供給管61の導出端部は調理庫20の天井壁に設けた洗浄ノズル60に接続されている。洗浄水供給管61にはポンプ62が介装されており、排水タンク13内に貯めた洗浄水はポンプ62によって洗浄ノズル60に送られる。なお、排水タンク13には洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管63が接続されており、給水管63には給水弁64が介装されている。調理庫20内を洗浄するときに給水弁64を開放すると、給水管63から排水タンク13内に洗浄水が供給される。調理庫20内を洗浄するときには、排水タンク13内に洗浄水を貯えるようにするために排水弁16を閉止するようにしている。上述した洗浄水経路は、この実施形態では、第1排水管14、排水タンク13、第2排水管15の一部及び洗浄水供給管61により構成されている。
【0028】
図10に示したように、加熱調理器10は制御装置70を備えており、制御装置70は、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27、蒸気発生装置50、ポンプ62及び給水弁64に接続されている。制御装置70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置70は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理する調理プログラムと、調理庫20内を洗浄する洗浄プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置50を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置50を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、食材の調理に応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間を記憶させた上記の各調理プログラムがROMに予め設定されているとともに、ユーザのニーズに応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間とした各調理プログラムを設定可能となっている。また、洗浄プログラムは、洗剤を含んだ洗浄水を噴射させながら循環させる1回の洗浄モードと、洗剤を含まない洗浄水を噴射させながら循環させる3回(複数回)の濯ぎモードとを実行するものである。
【0029】
調理プログラムの例えばコンビモード調理プログラムを実行したときには、制御装置70は温度センサ27の検出温度に基づいてヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置50の作動を制御する。調理庫20内の空気はヒータ25と対流ファン26の作動によって熱風となって循環するとともに、循環する熱風には蒸気発生装置50から供給される蒸気が含まれるようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0030】
また、洗浄プログラムを実行したときには、制御装置70は排水弁16を閉止させるとともに給水弁64を所定時間開放させることで、排水タンク13内に洗浄水を貯えるようにする。排水タンク13内に洗浄水が貯えられると、制御装置70は、ポンプ62とヒータ25と対流ファン26とを作動させることで、排水タンク13内に貯えられた洗浄水は洗浄水供給管61を通って洗浄ノズル60に送られ、洗浄ノズル60から噴射された洗浄水はヒータ25と対流ファン26によって加熱されながら調理庫20の周壁内面及びインナガラス32の調理庫20側となる背面に吹き付けられ、調理庫20の周壁内面及びインナガラス32の背面に付着した汚れは洗浄水によって洗い落とされる。
【0031】
加熱調理プログラム及び洗浄プログラムを実行した後では、扉30のインナガラス32には水が付着していることがある。扉30が閉止されているときには、排水口開閉装置40の扉開閉検知部46は第2樋部材11bに押しつけられて下側に回動しており、止水板42は扉開閉検知部46とともに下側に回動した状態で排水筒部33aの排水口33bを開放している。扉30を開放したときには、扉開閉検知部46は第2樋部材11bに押しつけられないようになってばね部材45により上側に回動するようになり、止水板42は扉開閉検知部46とともに上側に回動してパッキンシート43を排水筒部33aの排水口33bに密着させて排水口33bが閉止するようになる。扉30を開放しているときに、インナガラス32を流れ落ちる水は第1樋部材33で受けられ、第1樋部材33の排水口33bはパッキンシート43を上面に設けた止水板42によって塞がれているため、インナガラス32から流れ落ちた水は第1樋部材33で溜まるようになる。
【0032】
扉30を再び閉じると、扉開閉検知部46は第2樋部材11bに再び押しつけられて下側に回動するようになり、止水板42は扉開閉検知部46とともに下側に回動する。排水筒部33aの排水口33bはパッキンシート43が上面に設けられた止水板42が離間して開放され、第1樋部材33で受けた水は排水口33bからパッキンシート43の上面に流れ落ち、パッキンシート43の上面に流れ落ちた水は第2樋部材11bで受けられて第2排水管15を介してハウジング11の外側に排出される。
【0033】
上記のように構成した加熱調理器10においては、第1樋部材33の底部には下方に延びて下端に排水口33bが形成された排水筒部33aを備え、排水筒部33aの下端の排水口33bを水平方向の一方として後側が低くなるように傾斜させた。第1樋部材33で受けた水は排水筒部33aの水平方向の一方として後側に沿って排水口33bから流れ落ちるため、第1樋部材33で受けた水を周囲に飛散させることなく第2樋部材11bに流すことができ、加熱調理器10の周囲に水を飛散させないようにすることができた。なお、この実施形態では、排水筒部33aの水平方向の一方として後側を低くなるように傾斜させたが、これに限られるものでなく、排水筒部33aの水平方向の一方として前側、左側または右側等を低くするように傾斜させたときにも、第1樋部材33で受けた水を周囲に飛散させることなく第2樋部材11bに流すことができる。
【0034】
また、この加熱調理器10においては、排水筒部33aの下端の排水口33bは後側が低くなるように傾斜しており、排水口開閉装置40は排水筒部33aの下側に配置されて排水筒部33aの下側を開閉自在に覆う止水板42と、止水板42の上面に設けられたパッキンシート43と、パッキンシート43の上面における排水筒部33aより外側に設けられてパッキンシート43を止水板42に取り付けるための取付板44とを備えている。この排水口開閉装置40では、止水板42は排水筒部33aより前側で支持板41の下部に水平軸線回りに回動可能に支持され、止水板42の上面のパッキンシート43を排水口33bに密着させた状態(閉止位置)から、止水板42を下側に回動させるようにして排水口33bを開放する(開放位置)ようにして、排水口33bからパッキンシート43の上面に水を流すようにしている。止水板42は開放位置にあるときにも後側が低くなるように傾斜しており、止水板42を開放位置として排水口33bから水を排出するようにしたときには、水はパッキンシート43の上面を後側に流れていく。パッキンシート43を止水板42に取り付けるための取付板44は、排水筒部33aの先端の排水口33bをパッキンシート43に突き当てることができるように半円形切欠部44aが形成され、半円形切欠部44aの後側には水を後側に通すために通水切欠部44bが形成されている。排水口33bからパッキンシート43の上面に流れ落ちた水はこの通水切欠部44bによって取付板44に遮られことなく第2樋部材11bに流れ落ちるようなり、加熱調理器10の周囲に水を飛散させにくくすることができた。
【0035】
また、止水板42の左右方向の両側には上側に折り曲げた折曲部42bが形成されているので、止水板42の上側のパッキンシート43を流れ落ちる水が左右に流れ落ちないようになった。なお、止水板42の左右両側に折曲部42bを形成するようにしたものに限られるものでなく、止水板42の左側または右側に折曲部42bを形成するようにしたものであってもよい。
【0036】
また、止水板42には排水筒部33aの下側に排水筒部33aの外径よりも大きな凹部42aが形成されている。止水板42の排水筒部33aの下端の排水口33bに対する角度の精度が高くないときに、止水板42の上面のパッキンシート43と排水筒部33aの下端の排水口33bとの間に隙間が生じるおそれがある。止水板42の上面のパッキンシート43を排水筒部33aに押しつけたときに、パッキンシート43は止水板42の凹部42a内で排水筒部33aに密着できるように適度に弾性変形するので、排水口33bから水が漏出するのを防ぐことができた。なお、この実施形態では凹部42aは止水板42に形成した貫通孔であるが、これに限られるものでなく、止水板42の厚み方向に凹むように形成したものであってもよい。
【0037】
また、パッキンシート43の後縁には排水筒部33aが配置される左右方向の位置にて斜め下方に突き出る突出部43aが形成されている。排水口33bからパッキンシート43の上面に流れ落ちた水の一部は第2樋部材11bに流れ落ちずに表面張力によってパッキンシート43の後縁に多く残るおそれがあるが、パッキンシート43の後縁には排水筒部33aが配置される左右方向の位置にて斜め下方に突き出る突出部43aが形成されているので、パッキンシート43の後縁に残る水は突出部43aに集まって第2樋部材111bに流れ落ちるため、パッキンシート43の後縁に残る水を少なくすることができた。
【0038】
本発明は上記の実施形態に限られるものでなく、
図11(a)~(d)に示したように、排水口開閉装置40を種々に変形させた実施形態でも上述した作用効果の一部を得ることができる。
図11(a)は上述した実施形態から、止水板42の凹部42aと折曲部42bと、パッキンシート43の突出部43aと、取付板44の通水切欠部44bとを廃したものである。
図11(b)は上述した実施形態から、止水板の凹部42aと折曲部42bと、パッキンシート43の突出部43aとを廃したものである。
図11(c)は上述した実施形態から、止水板の折曲部42bと、パッキンシート43の突出部43aとを廃したものである。
図11(d)は上述した実施形態から、パッキンシート43の突出部43aを廃したものである。
【符号の説明】
【0039】
10…加熱調理器、20…調理庫、20a…開口部、30…扉、31…扉本体、32…インナガラス、33…第1樋部材、33a…排水筒部、33b…排水口、40…排水口開閉装置、42…止水板、42a…凹部、42b…折曲部、43…パッキンシート、43a…突出部、44…取付板、44b…通水切欠部。