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特許7174591距離測定のための時間分解型センサー及びその時間分解方法並びに3次元イメージセンサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】距離測定のための時間分解型センサー及びその時間分解方法並びに3次元イメージセンサー
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4865 20200101AFI20221110BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20221110BHJP
【FI】
G01S7/4865
G01S17/894
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018200328
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2019101023
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】62/595,508
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/878,392
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 一 兵
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0124652(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0124653(US,A1)
【文献】特開2012-251862(JP,A)
【文献】STOPPA, David 外7名,“A 32x32-Pixel Array with In-Pixel Photon Counting and Arrival Time Measurement in the Analog Domain”,2009 PROCEEDINGS OF ESSCIRC,2009年,Pages 204-207,<DOI: 10.1109/ESSCIRC.2009.5325970 >
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間分解型センサーであって、
各々がアクティブシャッター信号に応答し、物体から反射されて入射する1つ以上の光子を検出することに基づいて出力信号を生成する1つ以上の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記1つ以上のSPADの出力信号に結合され、前記アクティブシャッター信号の開始に応答して活性化され、前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して非活性化される第1イネーブル信号、及び前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して活性化され、前記アクティブシャッター信号の終了に応答して非活性化される第2イネーブル信号を生成する論理回路と、
前記第1イネーブル信号及び前記第2イネーブル信号に連結されるディファレンシャル時間・電荷コンバーター(DTCC)回路と、を備え、
前記DTCC回路は、
端子及び接地電圧に連結された第2端子を有するキャパシターデバイスと、
第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第1スイッチングデバイスと、
第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第2スイッチングデバイスと、
第1フローティング拡散ノードの第1電荷に対応する第1電圧、及び第2フローティング拡散ノードの残留電荷に対応する第2電圧を出力する出力回路と、を有し、
前記第1スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、
前記第1スイッチングデバイスの第2端子は、前記第1フローティング拡散ノードに連結され、
前記第1スイッチングデバイスの第3端子は、前記第1イネーブル信号により活性化されるスイッチングデバイスの出力端子に連結され、
前記第1スイッチングデバイスは、前記第1イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの第1電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達し、
前記第2スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、
前記第2スイッチングデバイスの第2端子は、前記第2フローティング拡散ノードに連結され、
前記第2スイッチングデバイスの第3端子は、前記第2イネーブル信号により活性化されるスイッチングデバイスの出力端子に連結され、
前記第2スイッチングデバイスは、前記第2イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達し、
前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第1電圧比率は、前記1つ以上の検出された光子の飛行時間と遅延時間との間の差に比例し、

前記遅延時間は、前記1つ以上の光子が検出される光パルスの送信開始時点とランプ関数に従って変化する駆動信号の変化の開始時点との間の時間を示し、
前記飛行時間は、前記光パルスの送信開始時点と前記1つ以上のSPADの出力信号に相当する帰還光パルスが受信される時点との間の時間を示すことを特徴とする時間分解型センサー。
【請求項2】
前記駆動信号は、
前記1つ以上の光子が検出される光パルスの送信開始時点に応答して前記アクティブシャッター信号の終了時点まで変化を開始し、
前記第1イネーブル信号が活性化されると、前記第1スイッチングデバイスの第3端子に連結され、
前記第2イネーブル信号が活性化されると、前記第2スイッチングデバイスの第3端子に連結されることを特徴とする請求項1に記載の時間分解型センサー。
【請求項3】
前記キャパシターデバイスは、キャパシターを含むことを特徴とする請求項に記載の時間分解型センサー。
【請求項4】
前記キャパシターデバイスは、ピン型フォトダイオードを含むことを特徴とする請求項に記載の時間分解型センサー。
【請求項5】
前記第1及び第2スイッチングデバイスは、トランジスタを含むことを特徴とする請求項に記載の時間分解型センサー。
【請求項6】
前記時間分解型センサーは、3次元イメージングシステムの一部を含むことを特徴とする請求項に記載の時間分解型センサー。
【請求項7】
3次元イメージセンサーであって、
各々がアクティブシャッター信号に応答し、物体から反射されて入射する1つ以上の光子を検出することに基づいて出力信号を生成する1つ以上の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を含むアレイと、
前記1つ以上のSPADの出力信号に結合され、前記アクティブシャッター信号の開始に応答して活性化され、前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して非活性化される第1イネーブル信号、及び前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して活性化され、前記アクティブシャッター信号の終了に応答して非活性化される第2イネーブル信号を生成する1つ以上の論理回路と、
各々が対応する前記論理回路の第1及び2イネーブル信号に連結されるディファレンシャル時間・電荷コンバーター(DTCC)回路と、を含む1つ以上の時間分解型センサーを備え、
前記DTCC回路は、
端子及び接地電圧に連結された第2端子を有するキャパシターデバイスと、
第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第1スイッチングデバイスと、
第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第2スイッチングデバイスと、
第1フローティング拡散ノードの第1電荷に対応する第1電圧、及び第2フローティング拡散ノードの残留電荷に対応する第2電圧を出力する出力回路と、を有し、
前記第1スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、
前記第1スイッチングデバイスの第2端子は、前記第1フローティング拡散ノードに連結され、
前記第1スイッチングデバイスの第3端子は、前記第1イネーブル信号により活性化されるスイッチングデバイスの出力端子に連結され、
前記第1スイッチングデバイスは、前記第1イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの第1電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達し、
前記第2スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、
前記第2スイッチングデバイスの第2端子は、前記第2フローティング拡散ノードに連結され、
前記第2スイッチングデバイスの第3端子は、前記第2イネーブル信号により活性化されるスイッチングデバイスの出力端子に連結され、
前記第2スイッチングデバイスは、前記第2イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達し、
前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第1電圧比率は、前記1つ以上の検出された光子の飛行時間と遅延時間との間の差に比例し、

前記遅延時間は、前記1つ以上の光子が検出される光パルスの送信開始時点とランプ関数に従って変化する駆動信号の変化の開始時点との間の時間を示し、
前記飛行時間は、前記光パルスの送信開始時点と前記1つ以上のSPADの出力信号に相当する帰還光パルスが受信される時点との間の時間を示すことを特徴とする3次元イメージセンサー。
【請求項8】
前記駆動信号は、
前記1つ以上の光子が検出される光パルスの送信開始時点に応答して前記アクティブシャッター信号の終了時点まで変化を開始し、
前記第1イネーブル信号が活性化されると、前記第1スイッチングデバイスの第3端子に連結され、
前記第2イネーブル信号が活性化されると、前記第2スイッチングデバイスの第3端子に連結されることを特徴とする請求項に記載の3次元イメージセンサー。
【請求項9】
前記キャパシターデバイスは、キャパシターを含むことを特徴とする請求項に記載の3次元イメージセンサー。
【請求項10】
前記キャパシターデバイスは、ピン型フォトダイオードを含むことを特徴とする請求項に記載の3次元イメージセンサー。
【請求項11】
前記第1及び第2スイッチングデバイスは、トランジスタを含むことを特徴とする請求項10に記載の3次元イメージセンサー。
【請求項12】
前記時間分解型センサーは、3次元イメージングシステムの一部を含むことを特徴とする請求項11に記載の3次元イメージセンサー。
【請求項13】
時間分解型センサーの時間分解方法であって、
ランプ関数に従って駆動信号を変化させるステップと、
アクティブシャッター信号を生成するステップと、
前記アクティブシャッター信号の間に物体から反射されて1つ以上の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)に入射する1つ以上の光子を検出するステップと、
前記1つ以上の光子の検出に基づいて出力信号を生成するステップと、
前記出力信号に基づいて、前記アクティブシャッター信号の開始に応答して活性化され、前記出力信号に応答して非活性化される第1イネーブル信号、及び前記出力信号に応答して活性化され、前記アクティブシャッター信号の終了に応答して非活性化される第2イネーブル信号を生成するステップと、
前記第1イネーブル信号が活性化されると、第1フローティング拡散ノードに第1電荷を形成するためにキャパシターデバイスの電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達するステップと、
前記第2イネーブル信号が活性化されると、第2フローティング拡散ノードに第2電荷を形成するために前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達するステップと、
前記第1電荷に基づいて第1電圧を出力し、前記第2電荷に基づいて第2電圧を出力するステップと、を有し、
前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第1電圧比率は、前記1つ以上の光子の飛行時間と遅延時間との間の差に比例し、

前記遅延時間は、前記1つ以上の光子が検出される光パルスの送信開始時点とランプ関数に従って変化する駆動信号の変化の開始時点との間の時間を示し、
前記飛行時間は、前記光パルスの送信開始時点と前記1つ以上のSPADの出力信号に相当する帰還光パルスが受信される時点との間の時間を示すことを特徴とする時間分解方法。
【請求項14】
前記駆動信号は、前記1つ以上の光子が検出される光パルスの送信開始時点に応答して前記アクティブシャッター信号の終了時点まで変化を開始し、
前記第1フローティング拡散ノードに第1電荷を形成するためにキャパシターデバイスの電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達するステップは、前記第1イネーブル信号が活性化されるときの前記駆動信号のレベルに更に基づいて行われ、
前記第2フローティング拡散ノードに第2電荷を形成するために前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達するステップは、前記第2イネーブル信号が活性化されるときの前記駆動信号のレベルに更に基づいて行われることを特徴とする請求項13に記載の時間分解方法。
【請求項15】
前記キャパシターデバイスは、キャパシターを含むことを特徴とする請求項14に記載の時間分解方法。
【請求項16】
前記キャパシターデバイスは、ピン型フォトダイオードを含むことを特徴とする請求項14に記載の時間分解方法。
【請求項17】
前記キャパシターデバイスの電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達するステップ及び前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達するステップは、活性化される前記第1イネーブル信号に応答する第1スイッチングデバイス及び活性化される前記第2イネーブル信号に応答する第2スイッチングデバイスにより、それぞれ遂行されることを特徴とする請求項16に記載の時間分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定のための装置及び方法に関し、より詳細には、距離測定のためのピクセルで単一光子アバランシェダイオード(SPAD)とピン型フォトダイオード(PPD)又はキャパシターとを使用する時間分解型センサー及びその時間分解方法並びに3次元イメージセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)イメージングシステムは、先端運転者支援システム(ADAS)のための高速3Dイメージングシステム及び自律走行のための高速3Dイメージングシステムのような多様なアプリケーションに益々使用されている。既存の3Dイメージング技術は、例えばTOF(Time-of-Flight:飛行時間)ベースの距離イメージング、立体映像システム、及び/又は構造化され照明技術のような技術が活用される。
【0003】
TOF技術で、3Dオブジェクト(object)の範囲(又は距離)は、既知の光速度に基づいて、そしてレーザーパルス又は光パルスがカメラと3Dオブジェクトとの間を移動するのに要する往復時間を測定することによって解決される。TOFカメラは、スキャナレス(Scannerless)方式を使用して、各レーザーパルス又は光パルスでシーン(scene)全体をキャプチャー(capture)する。TOFアプリケーションの例としては、人、物体(object)、又は他の車両の動きを追跡するために、実時間距離イメージをベースにした能動的歩行者の安全又は衝突前(precrash)の感知のような高級自動車アプリケーション、ビデオゲームコンソールにおけるゲームとの相互作用、及び例えば物事を分類してロボットがベルトコンベア上の物品を見つけるのに役立つ産業機械ビジョンを含む。SPAD(single-photon avalanche diode:単一光子アバランシェダイオード)センサーを使用するTOFベースのシステムは、TDC(time-to-digital counter:時間・デジタルカウンター)が各ピクセルの内部に配置される場合、低い空間分解能、低いフィルファクタ(fill factor)、及び高い消費電力を有する。更に、ディファレンシャル時間・電荷コンバーター(DTCC:differential time-to-charge converter)をセンサーの一部として使用する場合、距離精度が低下する。
【0004】
立体撮像又はステレオビジョンシステムは、シーンの2つの異なるビュー(views)を獲得するために、又は3次元物体の異なるビューを獲得するために、互いに水平に配置された2つのカメラを使用する。二つのイメージを比較することにより、3Dオブジェクトの相対的な奥行き情報が得られる。ステレオビジョンは、ロボットのような分野で自律システムやロボット周辺の3Dオブジェクトの相対的な位置に関する情報を抽出するのに非常に重要である。ロボット立体イメージングを使用する他のアプリケーションには、ロボットシステムとして、立体奥行き情報を使用してロボットが別の方法では2つの別個のオブジェクトに区別できない遮蔽されたイメージ構成要素を分離するオブジェクト認識機能が含まれる。例えば、ステレオビジョンを使用するロボットは、ある物体が第二の物体の前にあると二つの物体を区別することができないため、第二の物体を部分的に又は完全に隠す。3次元ステレオディスプレイは、エンターテイメント及び自動化システムにも使用される。
【0005】
SL(Structured-Light)技法は、投射された光のパターン及び撮影カメラを利用して物体の3次元形状を測定する技術である。グリッド(grid)、水平バー(bars)、又は他の平行なストライプ(stripes)パターンのような既知のパターンの光がシーン又はシーン内の3Dオブジェクト上に投影され、投影されたパターンは、3Dオブジェクトの表面に当たって変形又は変位する。このような変形は、SLビジョンシステムが物体の奥行きと表面情報を決定する。即ち、狭帯域の光を3Dの表面に投射すると、プロジェクターの視点と異なる視点から歪んで見える照明ラインが生じる。歪みは、3Dオブジェクトの照明された表面の幾何学的再構成のために使用される。SLベースの3Dイメージング技術は、3Dシーンの指紋撮影、製造プロセス中の構成要素のインライン検査、ヘルスケア環境で人体の形状や人体の皮膚の微細構造の実時間測定を得る等の様々な応用分野で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8514284号明細書
【文献】米国特許第8642938号明細書
【文献】米国特許第9182490号明細書
【文献】米国特許第9425233号明細書
【文献】米国特許第9621860号明細書
【文献】米国特許第9677931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、直接飛行時間(TOF:Time-of-Flight)距離を測定するための時間分解型センサー及びその時間分解方法並びに3次元イメージセンサー方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による時間分解型センサーは、各々がアクティブシャッター信号に応答し、物体から反射されて入射する1つ以上の光子を検出することに基づいて出力信号を生成する1つ以上の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、前記1つ以上のSPADの出力信号に結合され、前記アクティブシャッター信号の開始に応答して活性化(active)され、前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して非活性化(inactive)される第1イネーブル信号、及び前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して活性化され、前記アクティブシャッター信号の終了に応答して非活性化される第2イネーブル信号を生成する論理回路と、前記第1イネーブル信号及び前記第2イネーブル信号に連結されるディファレンシャル時間・電荷コンバーター(DTCC)回路と、を備え、前記DTCC回路は、第1の端子及び接地電圧に連結された第2端子を有するキャパシターデバイスと、第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第1スイッチングデバイスと、第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第2スイッチングデバイスと、第1フローティング拡散ノードの第1電荷に対応する第1電圧、及び第2フローティング拡散ノードの残留電荷に対応する第2電圧を出力する出力回路と、を有し、前記第1スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、前記第1スイッチングデバイスの第2端子は、前記第1フローティング拡散ノードに連結され、前記第1スイッチングデバイスの第3端子は、前記第1イネーブル信号に連結され、第1スイッチングデバイスは、前記第1イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの第1電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達し、前記第2スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、前記第2スイッチングデバイスの第2端子は、前記第2フローティング拡散ノードに連結され、前記第2スイッチングデバイスの第3端子は、前記第2イネーブル信号に連結され、前記第2スイッチングデバイスは、前記第2イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達し、前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第1電圧の第1比率は、前記1つ以上の検出された光子の飛行時間に比例し、前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第2電圧の第2比率は、前記1つ以上の検出された光子の飛行時間に比例する。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による3次元(3D)イメージングセンサーは、各々がアクティブシャッター信号に応答し、物体から反射されて入射する1つ以上の光子を検出することに基づいて出力信号を生成する1つ以上の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を含むアレイと、前記1つ以上のSPADの出力信号に結合され、前記アクティブシャッター信号の開始に応答して活性化され、前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して非活性化される第1イネーブル信号、及び前記1つ以上のSPADの出力信号に応答して活性化され、前記アクティブシャッター信号の終了に応答して非活性化される第2イネーブル信号を生成する1つ以上の論理回路と、各々が対応する論理回路の第1及び2イネーブル信号に連結されるディファレンシャル時間・電荷コンバーター(DTCC)回路と、を含む1つ以上の時間分解型センサーを備え、前記DTCC回路は、第1の端子及び接地電圧に連結された第2端子を有するキャパシターデバイスと、第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第1スイッチングデバイスと、第1端子、第2端子、及び第3端子を有する第2スイッチングデバイスと、第1フローティング拡散ノードの第1電荷に対応する第1電圧、及び第2フローティング拡散ノードの残留電荷に対応する第2電圧を出力する出力回路と、を有し、前記第1スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、前記第1スイッチングデバイスの第2端子は、前記第1フローティング拡散ノードに連結され、前記第1スイッチングデバイスの第3端子は、前記第1イネーブル信号に連結され、前記第1スイッチングデバイスは、前記第1イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの第1電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達し、前記第2スイッチングデバイスの第1端子は、前記キャパシターデバイスの第1端子に連結され、前記第2スイッチングデバイスの第2端子は、前記第2フローティング拡散ノードに連結され、前記第2スイッチングデバイスの第3端子は、前記第2イネーブル信号に連結され、前記第2スイッチングデバイスは、前記第2イネーブル信号に応答して前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達し、前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第1電圧の第1比率は、前記1つ以上の検出された光子の飛行時間に比例し、前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第2電圧の第2比率は、前記1つ以上の検出された光子の飛行時間に比例する。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による時間分解型センサーの時間分解方法は、アクティブシャッター信号を生成するステップと、前記アクティブシャッター信号の間に物体から反射されて1つ以上の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)に入射する1つ以上の光子を検出するステップと、前記1つ以上の光子の検出に基づいて出力信号を生成するステップと、前記出力信号に基づいて、前記アクティブシャッター信号の開始に応答して活性化(active)され、前記出力信号に応答して非活性化(inactive)される第1イネーブル信号、及び前記出力信号に応答して活性化され、前記アクティブシャッター信号の終了に応答して非活性化される第2イネーブル信号を生成するステップと、前記第1イネーブル信号が活性化(アクティブ)されると、第1フローティング拡散ノードに第1電荷を形成するためにキャパシターデバイスの電荷を前記第1フローティング拡散ノードに伝達するステップと、前記第2イネーブル信号が活性化されると、第2フローティング拡散ノードに第2電荷を形成するために前記キャパシターデバイスの残留電荷を前記第2フローティング拡散ノードに伝達するステップと、前記第1電荷に基づいて第1電圧を出力し、前記第2電荷に基づいて第2電圧を出力するステップと、を有し、前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第1電圧の第1比率は、前記1つ以上の光子の飛行時間に比例し、前記第1電圧と前記第2電圧との和に対する前記第2電圧の第2比率は、前記1つ以上の光子の飛行時間に比例する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、低い照明、悪天候、強い周辺光のような困難な条件の下で運転者のための改善された視野を提供し、高い安全性を提供する自律走行システムを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による4トランジスタPPDピクセルのセルの回路の一例を示す概略図である。
図2図1に示したPPDピクセルの一例の相対的な信号タイミング図である。
図3】本発明の一実施形態による時間分解型センサーの一例を示すブロック図である。
図4図3の時間分解型センサーのSPAD回路の一例を示す概略図である。
図5図3の時間分解型センサーの論理回路の一例を示す概略図である。
図6図3の時間分解型センサーのPPD回路の一例を示す概略図である。
図7図3の時間分解型センサーの一例の相対的な信号タイミング図である。
図8】本発明の一実施形態による時間分解型センサーの他の例を示すブロック図である。
図9図8の時間分解型センサーの第2PPD回路の一例を示す概略図である。
図10図8の時間分解型センサーの一例の相対的な信号タイミング図である。
図11】本発明の一実施形態による時間分解型センサーの更に他の例を示すブロック図である。
図12図11の時間分解型センサーの一例の相対的な信号タイミング図である。
図13図11の時間分解型センサーを使用する時間分解方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、当業者は、開示される実施形態がこのような特定の細部事項なしに実施されることを理解するだろう。他の例で、公知の方法、手順、構成要素、及び回路は、ここに開示される主題を曖昧にしないために詳細に説明されない。
【0014】
本明細書全体に亘って「一実施」又は「実施例」は、本実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、又は特性が本明細書に開示される少なくとも一つの実施例に含まれるということを意味する。従って、本明細書全体に亘って「一実施例で」又は「実施例で」又は「一実施例により」(又は類似した意味を有する他の語句)の句の出現は、全て必ずしも同じ実施例を示すわけではない。なお、特定のフィーチャー、構造、又は特性は、一以上の実施形態で、任意の適合する方法で結合される。これに関連して、本明細書に使用されるように、「例示的な」という単語は、「例示、実例、又は例示を提供する」ことを意味する。「例示的な」ものであり、ここで説明される任意の実施例は、他の実施例よりも必ずしも好ましいか、有利であると解釈してはならない。なお、ここで議論の文脈によって、単数は対応する複数の形態を含み、複数の用語は、相応する単数形態を含む。本明細書に図示されて議論される様々な図面(構成要素も含む)は、単に例示的な目的のためのものであり、実際の尺度で描かれたものではない。同様に、様々な波形及びタイミング図が単に例示的な目的のために図示される。例えば、一部の要素の寸法は、明確性のために、他の要素に比べて誇張される。なお、適切なものと考えられる場合、参照符号は対応する及び/又は類似する要素を示すために図面の間で反復される。
【0015】
本明細書で使用される用語は、単に特定の例示的な実施形態を説明するためのものであり、請求された要旨を限定しようとするものではない。ここで使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別の意味として指示しない限り、複数形を含む。本明細書で使用される用語「~含む」及び/又は「含む~」は、言及される特徴、整数、ステップ、動作、構成要素、及び/又は構成要素の存在を示すが、存在を排除しないものと理解される。また、一つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はグループの追加を含む。ここで使用される「第1」、「第2」などの用語は、前に明示された名詞のラベルとして使用され、明示的に定義されない限り、全てのタイプの順序(例えば、空間的、時間的、論理的など)を示唆しない。なお、同一の又は類似する機能を有する部品、構成要素、ブロック、回路、ユニット、又はモジュールを示すために二つ以上の図面に亘って同じ参照番号が使用される。しかし、このような使い方は説明の簡素化及び議論の容易さのためのみに使用される。そのような構成要素又はユニットの構成や構造的細部事項が全ての実施例に亘って同一であることを意味せず、共通して参照される部品/モジュールが、本明細書に開示される特定の実施形態の教示を具現する唯一の方法であることを意味するものではない。
【0016】
別に定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的な用語を含む)は、本発明の属する技術分野における当業者によって一般的に理解される同じ意味を有する。一般的に使用される辞典に定義されたこのような用語は、本明細書及び/又は関連技術の脈絡からの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明らかに定義されない限り、理想化されたり過度に形式的な感覚で解釈したりしてはならない。
【0017】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、これに限定されないものの、低い照明、悪天候や強い周辺光のような困難な条件の下で運転者のための改善された視野を提供し、TOFシステムのピクセルから単一光子アバランシェダイオード(SPAD)回路、ロジック回路、及びピン型フォトダイオード(PPD)回路を結合することにより、自律走行システムの性能を向上させるために使用される。このようなシステムは、制御された電荷の移動、光子カウンティング、及びシングルエンドディファレンシャル時間・電荷変換(single-ended-to-differential time-to-charge conversion)に基づく距離測定を提供する。一実施例で、PPD回路は一つよりも多くの伝送ゲート及び1つ以上のストレージノードを含む。
【0018】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、VTX信号のスロープの変化によって引き起こされるか、又は時間分解型センサーにおけるピクセル間に存在するPPDの容量の変化によって引き起こされる距離測定誤差を有しない時間分解型センサーを提供する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による4トランジスタPPDピクセルのセル100の回路の一例を示す概略図である。4トランジスタPPDピクセルのセル100は、PPD101、第1トランジスタ103、第2トランジスタ105、第3トランジスタ107、及び第4トランジスタ109を含む。PPD101は、カソード(cathode)、及び接地電位に連結されたアノード(anode)を含む。PPD101は、キャパシターに類似した方法で電荷を貯蔵する。一実施例で、PPD101は、光に反応しないようにカバー(cover)され、光感知素子の代わりに時間・電荷コンバーター(time-to-charge converter)として使用される。
【0020】
第1トランジスタ103は、PPD101のカソードに連結された第1のソース/ドレイン(S/D)端子、PPD101から電荷を伝達するためのTX信号を受信するゲート端子、及びPPD101から電荷が伝達される第2のS/D端子を含む。一実施例で、伝達される電荷は電子である。他の実施例で、伝達される電荷が正孔である異なるデザインを有するPPDが使用される。
【0021】
第2トランジスタ105は、画素のVPIX電圧を受信する第1のS/D端子、第1トランジスタ103の第2のS/D端子に連結されたゲート端子、及び第2のS/D端子を含む。第2トランジスタ105のゲート端子と第1トランジスタ103の第2のS/D端子との間の導電経路は、フローティング拡散(floating diffusion:FD)ノードである。第2トランジスタ105は、FDノードに貯蔵された電荷を第2トランジスタ105の第2のS/D端子の電圧に変換するように動作する。
【0022】
PPD101からFDノードに伝達される電荷は、TX信号によって調整される。一実施例で、VTX信号は、VTX信号がPPD101の電荷をFDノードに次第に伝達するランプ形状を有するTX信号として印加される。PPD101からFDノードに伝達される電荷量は、VTX信号の電圧レベルの関数であり、VTX電圧の上昇は時間の関数である。即ち、PPD101からFDノードに伝達される電荷は、また時間の関数である。PPD101からFDノードへの電荷の伝達中に、例えば入射する光子の検出に応答して第1トランジスタ103がターンオフされると、PPD101からFDノードへの電荷の伝達は中断される。FDノードに伝達される電荷量が多いほど、FDノードでより大きな電圧の減少及びそれに伴うPPD101の電圧上昇をもたらす。FDノードに伝達される電荷量及びPPD101上に残留する電荷量は両方共に入射される光子の飛行時間(Time-of-Flight:TOF)の関数である。VTX信号及び入射される光子の検出に基づいてPPD101からFDノードへの電荷の伝達は、電荷のシングルエンドディファレンシャル変換(single-ended-to-differential conversion)と見なされる。
【0023】
第3トランジスタ107は、画素に対するVPIX電圧を受信する第1のS/D端子、FDノードの充電レベルをリセットするRST信号を受信するゲート端子、並びにFDノード及び第1トランジスタ103の第2のS/D端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0024】
第4トランジスタ109は、第2トランジスタ105の第2のS/D端子に連結された第1のS/D端子、SEL信号を受信するゲート端子、及び画素出力(PIXOUT)データラインに連結された第2のS/D端子を含む。SEL信号は、PPD101の残留電荷がPIXOUT2信号としてFDノードに伝達された後、FDノードに伝達された電荷に対応する電圧をPIXOUT1信号、又は後続してPPD101に残留する電荷に対応する電圧であるPIXOUT2信号のいずれか1つを読み取るためにピクセルを選択するために使用される。一実施例で、PIXOUT1信号とPIXOUT2信号との和に対するPIXOUT1信号の比率は、ピクセルによって受信された光信号のTOFと遅延時間との差に比例する。このような特徴は、以下の数学式1で表される。
【数1】
【0025】
数学式1に表された比率は、物体(object)の奥行き又は距離を決定するために使用され、PIXOUT1+PIXOUT2が測定毎に変化しない場合、測定毎の値の変化にそれほど敏感ではない。
【0026】
第1トランジスタ103、第2トランジスタ105、第3トランジスタ107、及び第4トランジスタ109は、それぞれnチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(n型MOSFET)又はpチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(p型MOSFET)である。しかし、本発明の実施形態は、任意の他の適切なトランジスタが使用され、n型MOSFET又はp型MOSFETを使用することに制限されない。
【0027】
図2は、図1に示したPPDピクセルのセル100の一例の相対的な信号タイミング図200である。図2に示すように、VPIX信号は、PPDピクセルのセル100を初期化するために低い論理電圧(論理0又は0V)で開始され、その後PPDピクセルセル100の動作中に高い論理電圧(論理1又は3V)にスイッチングされる。RST信号は、FDノードの電荷を0クーロン(Coulombs)に設定し、PPD101の電荷を飽和容量に設定するために、PPDピクセルのセル100の初期化中に、ロジック0からロジック1に変更されて再びロジック0に戻る(但し、PPD101から電荷を設定するための回路は図1に示されていない)。
【0028】
距離測定作動の間、SHUTTER信号がハイ(high)に活性化され、VTX信号がランプアップ(ramp up)を開始する。SHUTTER信号が活性化される時間は、物体から反射された光子(フォトン検出イベント)を受信するためのPPDピクセルのセル100の最小測定距離に対応する。
【0029】
初期化後、PPD101は、完全に充電され(図2の「PPDの充電(CHARGE IN PPD)」信号)、VTX信号が0Vから線形的に上昇するにつれてPPD101の電荷がFDノードに伝達される。光検出イベントが発生すると、SHUTTER信号は非アクティブ状態になり、TX信号で第1トランジスタ101に印加されたVTX信号は非活性化(非アクティブ)状態になる。(SHUTTER信号及びVTX信号はTOFセンサーの最大距離に該当する時間に非アクティブ状態になる)。PPD101からFDノードに伝達された電荷量は、VTX信号が第1トランジスタ101のゲートにどれくらいの長い間に印加されたかの関数である。図2の「FDの充電(CHARGE IN FD)」信号によって分かるように、PPD101からFDノードに伝達された電子が多ければ多いほど、FDノードの電圧がより低くなる。
【0030】
一実施例で、VTX信号は理想的に線形であり、理想的にTOFピクセルアレイの他のピクセル全体に亘って均一である。しかし、実際には、TOFピクセルアレイの異なるピクセルに印加されるVTX信号は、ピクセル毎に異なり、これによりピクセル毎のVTX信号の変化に依存する距離測定でエラーが発生し、また測定毎に異なる。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態による時間分解型センサー300の一例を示すブロック図である。時間分解型センサー300は、SPAD回路301、論理回路303、及びPPD回路305を含む。
【0032】
SPAD回路301は、光子を検出するためのSPAD、VSPAD電圧を受信する第1入力、電子シャッターの開閉を制御するSHUTTER信号を受信する第2入力、VDD電圧を受信する第3入力、及び検出イベント(DE)信号を出力する出力を含む。光子を受信したことに応答して、SPAD回路301は、VSPAD電圧からSPAD降伏(breakdown)電圧以下の電圧に速く移動した後、次第にVSPAD電圧に復帰するパルス信号を出力する。
【0033】
論理回路303は、SPAD回路301から出力されたDE信号に連結された第1入力、PPD回路305のPPDに残留する電荷をFDノードに完全に伝達するためのTXRMD信号を受信する第2入力、及びTXEN信号を出力する出力を有する。
【0034】
PPD回路305は、論理回路303から出力されたTXEN信号に連結された第1入力、PPD回路305のPPDからFDノードに電荷を部分的又は完全に伝達するためのVTX信号を受信する第2入力、FDノードの電荷をリセットしてPPDの電荷をプリセットするRST信号を受信する第3入力、PPD回路305のためのVPIXの電圧を受信する第4入力、PIXOUT1信号(FDノードの電荷を表す)又はPIXOUT2信号(PPDに残留する電荷を表す)の中の1つを読み取るSEL信号を受信する第5入力、及びSEL信号に応答してPIXOUT1信号及びPIXOUT2信号を出力するPIXOUT出力を含む。
【0035】
図4は、図3の時間分解型センサー300のSPAD回路301の一例を示す概略図である。一実施例で、SPAD回路301は、抵抗401、SPAD403、キャパシター405、P型MOSFETトランジスタ407、及びバッファ409を含む。抵抗401は、VSPAD電圧を受信する第1端子、及び第2端子を含む。SPAD403は、接地電位に連結されたアノード(anode)、及び抵抗401の第2端子に連結されたカソード(cathode)を含む。他の実施例で、抵抗401とSPAD403との位置は、互いに入れ変わる。SPAD403は光に反応する。光子を受信したことに応答して、SPAD403は、VSPAD電圧から降伏電圧以下に急速に移動した後、次第にVSPAD電圧に復帰するパルス信号を出力する。一実施例で、降伏電圧は、特定の臨界電圧である。
【0036】
キャパシター405は、SPAD403のカソードに連結された第1端子、及び第2端子を含む。他の実施例で、キャパシター405は省略される。p型MOSFET407は、キャパシター405の第2端子に連結された第1のS/D端子、SHUTTER信号を受信するゲート、及びVPIX電圧(VDD)を受信する第2のS/D端子を含む。バッファ409は、キャパシター405の第2端子に連結された入力、及びDE信号を出力する出を含む。DE信号は、SPAD回路301のDE出力に対応する。他の実施例で、バッファ409はインバータである。
【0037】
図5は、図3の時間分解型センサー300の論理回路303の一例を示す概略図である。論理回路303は、ラッチ501及び2入力ORゲート503を含む。
【0038】
ラッチ501は、SPAD回路301から出力されたDE信号に連結された入力、及び出力を含む。DE信号に応答して、ラッチは、例えば論理1から論理0に移行し、論理0に維持される論理信号を出力する。即ち、ラッチ501は、パルス型信号を、論理1から論理0に移行してリセットされるまで論理1に復帰せずに論理0に維持される信号に変換する。ラッチ出力は、リーディングエッジ(leading edge)がSPAD回路301の設計に依存して、正(positive)に移行するか又は負(negative)に移行するDE信号のリーディングエッジによってトリガ(trigger)される。
【0039】
2入力ORゲート503は、ラッチ501の出力に連結された第1入力、TXRMD信号を受信する第2入力、及びTXEN信号を出力する出力を含む。2入力ORゲート503は、論理和機能を遂行し、その結果をTXEN信号として出力する。特に、2入力ORゲート503の出力は、SHUTTERが論理1のときに光子がSPAD回路301によって受信されるか、又はPPD回路305のPPDの残留電荷がFDノードに完全に伝達されてPIXOUT2信号として読み取られるときに発生するTXRMD信号が論理1である場合に、論理1になる。
【0040】
図6は、図3の時間分解型センサー300のPPD回路305の一例を示す概略図である。PPD回路305は、PPD601、第1トランジスタ603、第2トランジスタ605、第3トランジスタ607、第4トランジスタ609、及び第5トランジスタ611を含む。
【0041】
PPD601は、接地電位に連結されたアノード(陽極)、及びカソード(陰極)を含む。PPD601は、キャパシターに類似の方法で電荷を貯蔵する。一実施例で、PPD601は、カバーされて光に反応せずに、光感知素子の代わりに時間・電荷コンバーターとして使用される。
【0042】
第1トランジスタ603は、論理回路303のTXEN信号出力に連結されたゲート端子、VTX信号を受信する第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。第1トランジスタ603は、VTX信号を受信し、TXEN信号の制御下で、VTX信号が第1トランジスタ603を通過して第1トランジスタ603の第2のS/D端子からTX信号を出力する。
【0043】
第2トランジスタ605は、第1トランジスタ603の第2のS/D端子に連結されたゲート端子、PPD601のカソードに連結された第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。第2トランジスタ605は、ゲート端子からTX信号を受信し、第1のS/D端子からPPD601の電荷をFDノードに連結された第2のS/D端子に伝達する。FDノードと接地との間に寄生容量が有るが、これは図6に示されない。一実施例で、物理的容量がFDノードと接地との間に連結される。
【0044】
第3トランジスタ607は、RST信号を受信するゲート端子、VPIX電圧を受信する第1のS/D端子、及び第2のトランジスタ605の第2のS/D端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0045】
第4トランジスタ609は、第2トランジスタ605の第2のS/D端子に連結されたゲート端子、第3トランジスタ607の第1のS/D端子に連結された第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。
【0046】
第5トランジスタ611は、SEL信号を受信するゲート端子、第4トランジスタ609の第2のS/D端子に連結された第1のS/D端子、及びPPD回路305のPIXOUTの出力である第2のS/D端子を含む。第5トランジスタ611は、FDノードの電荷(PIXOUT1)、又はPPD601の残留電荷(PIXOUT2)を読み取るためにピクセルを選択するSEL信号を受信する。
【0047】
PPD601からFDノードに伝達される電荷は、TX信号によって制御される。一実施例で、VTX信号は第1トランジスタ603を介して連結されてTX信号になる。VTX信号はPPD601からFDノードに電荷を徐々に伝達するために上向きにランプ(ramp)される。PPD601からFDノードに伝達される電荷量は、TX信号のレベルの関数であり、TX信号のランピング(ramping)は、時間の関数である。即ち、PPD601からFDノードに伝達される電荷は時間の関数である。PPD601からFDノードへの電荷伝達中に、入射する光子を検出するSPAD回路301に応答して第2のトランジスタ605がターンオフされると、PPD601からFDノードへの電荷伝達が中断される。FDノードに伝達される電荷量及びPPD601に残留する電荷量は両方共に入射する光子のTOFに関連する。TX信号及び入射する光子の検出に基づくPPD601からFDノードへの電荷の伝達は、電荷の時間に対するシングルエンドディファレンシャル変換(single-ended-to-differential conversion)を提供することと見なされる。
【0048】
第4トランジスタ609は、FDノードに貯蔵された電荷を第4トランジスタ609の第2のS/D端子の電圧に変換するように動作する。SEL信号は、FDノードに伝達された電荷に対応するPIXOUT1信号、又は後続してPPD601に残留する電荷がFDノードに伝達された後に、PPD601に変わらず残留する電荷に対応するPIXOUT2信号を判読するためのピクセルを選択するために使用される。一実施例で、PIXOUT1信号とPIXOUT2信号との和に対するPIXOUT1信号の比率は、数学式1で表されたように、ピクセルによって受信された光信号のTOFと遅延時間との間の差に比例する。VTXが上向きにランプが開始された後、光パルスが送信される実施例で、遅延時間は負(negative)である。
【0049】
時間分解型センサー300に対し、数学式1で表された割合は、物体の奥行きや距離を決定するために使用され、測定する度にPIXOUT1+PIXOUT2が変わらない場合、比率は、測定間の変化にそれほど敏感ではない。一実施例で、VTX信号は理想的に線形であり、理想的にTOFピクセルアレイの複数のピクセルの全体に亘って均一である。しかし、実際には、TOFピクセルアレイの異なるピクセルに印加されるVTX信号は、ピクセル毎に異なり、これによりピクセル毎のVTX信号の変化に依存する距離測定でエラーが発生し、また測定毎に異なる。
【0050】
一実施例で、第1トランジスタ603、第2トランジスタ605、第3トランジスタ607、第4トランジスタ609、及び第5トランジスタ611は、それぞれn型MOSFET又はp型MOSFETである。しかし、本発明の実施形態には、任意の他の適切なトランジスタが使用され、n型MOSFET又はp型MOSFETを使用することに制限されない。
【0051】
図7は、図3の時間分解型センサー300の一例の相対的な信号タイミング図700である。図7において、シャッターオフ(初期)の期間中、RST信号、VTX信号及びTX信号は、それぞれハイ(論理1)になり、続いてロー(論理0)に戻ってPPD回路305をリセットする。TXEN信号はハイ状態である。PPD601は、初期化期間で、飽和(full-well)容量に充電される。VTX信号及びTX信号はローレベルになってPPD回路305の第2トランジスタ605をターンオフさせる。VPIXの電圧が高くなり、それに応じてFDノードがリセットされる。RST信号が0に又は直後に戻ると、光パルスが対象物(object)に向かって送信される。次にVTX信号が上向きにランプを開始し、SHUTTER信号はハイ状態に高くなってシャッターオン(Shutter On)期間が開始される。
【0052】
VTX信号が上向きに上昇するにつれて、TX信号もまた上昇してFDノードの電荷がTX信号に応答して減少し始める。戻ってきた(帰還)光パルスはTXEN信号をローレベル(ロジック0)にし、これによりFDノードとPPD601との間の電荷の伝達を停止させる。
【0053】
遅延時間(Tdly)は、光パルスの送信開始時点とTX信号が上向きにランプを開始する時点との間の時間を示す。飛行時間(Ttof)は、光パルスの送信が開始される時点と帰還光パルスが受信される時点との間の時間を示す。電子シャッター時間(Tsh)は、電子シャッターが開放された時点から電子シャッターが閉鎖される時点までの時間(シャッターオン期間)を示す。一実施例で、電子シャッター時間(Tsh)はVTX信号のランピング時間よりも短いか又は同一である。
【0054】
伝達された電荷は、読み出し電荷伝達期間中、PIXOUT1信号として読み出される。SHUTTER信号がローレベルのうちにRST信号がハイになって再びFDノードの充電をリセットした後、TXRMD、TXEN、及びTX信号がハイレベルになってPIXOUT2信号を読み取るためにPPD601の残留電荷をFDノードに伝達する。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態による時間分解型センサー800の他の例を示すブロック図である。時間分解型センサー800は、SPAD回路801、論理回路803、及び第2PPD回路805を含む。
【0056】
SPAD回路801は、光子を検出するSPAD、VSPAD電圧を受信する第1入力、電子シャッターの開閉を制御するSHUTTER信号を受信する第2入力、VDD電圧を受信する第3入力(VDD)、及び検出イベント(DE)信号を出力する出力を有する。光子を受信したことに応答して、SPAD回路801は、VSPAD電圧から0に迅速に動いた後、徐々にVSPADに戻るパルス信号を出力する。一実施例で、SPAD回路801は、図3に示したSPAD回路301と同一である。
【0057】
論理回路803は、SPAD回路801のDE出力に連結された第1入力、第2PPD回路805のPPDに残留する電荷を完全に伝達するためのTXRMD信号を受信する第2入力、及びTXEN信号を出力する出力を含む。一実施例で、論理回路803は、図3に示した論理回路303と同一である。
【0058】
第2PPD回路805は、論理回路803から出力されたTXEN信号に連結された第1入力、TXRMD信号を受信するために論理回路803の第2入力に連結された第2入力、第2PPD回路805のPPDから第2PPD回路805の第1フローティング拡散ノード(FD1)に電荷を部分的又は完全に伝達するためのVTX信号を受信する第3入力、FD1ノードから電荷をリセットするためのRST信号を受信してPPDの電荷をプリセットする第4入力、第2PPD回路805のためのVPIXの電圧を受信する第5入力、及びPIXOUT1出力のFDノード1の電荷に対応するPIXOUT1信号を読み取り、PIXOUT2出力で第2PPD回路805のPPDに残留する電荷に対応するPIXOUT2信号を読み取るSEL信号を受信する第6入力を含む。
【0059】
図9は、図8の時間分解型センサー800の第2PPD回路805の一例を示す概略図である。第2PPD回路805は、PPD901、第1トランジスタ903、第2トランジスタ905、第3トランジスタ907、第4トランジスタ909、第5トランジスタ911、第6トランジスタ913、第7トランジスタ915、第8トランジスタ917、及び第9トランジスタ919を含む。
【0060】
PPD901は、接地電位に連結された陽極(アノード)、及び陰極(カソード)を含む。PPD901は、キャパシターに類似の方式で電荷を貯蔵する。一実施例で、PPD901は、カバーされて光に反応せずに、光感知素子の代わりに時間・電荷コンバーター(time-to-charge converter)として使用される。
【0061】
第1トランジスタ903は、論理回路803の出力に接続されてTXEN出力を受信するゲート端子、PPD901からの電荷の伝達を制御するためのVTX電圧を受信する第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。
【0062】
第2トランジスタ905は、第1トランジスタ903の第2のS/D端子に連結されてPPD901から電荷を伝達するためのTX信号を受信するゲート端子、PPD901のカソードに連結された第1のS/D端子、PPD901から電荷が伝達される第1フローティング拡散ノード(FD1)に連結された第2のS/D端子を含む。FD1ノードは第1静電容量を有する。図9には示さなかったが、FD1ノードと接地との間に寄生容量が有る。一実施例で、物理的容量がまたFD1ノードと接地との間に連結される。PPD901から第2のトランジスタ905を介してFD1ノードに伝達される電荷はTX信号によって制御される。
【0063】
第3トランジスタ907は、FD1ノード及び第2のトランジスタ905の第2のS/D端子に連結されるゲート端子、VPIX電圧が入力される第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。第3トランジスタ907は、FD1ノードに貯蔵された電荷を第3のトランジスタ907の第2のS/D端子の電圧に変換するように動作する。
【0064】
第4トランジスタ909は、FD1ノードの充電レベルを設定するためのRST信号を受信するゲート端子、VPIX電圧を受信する第1のS/D端子、及び第2トランジスタ905のS/D端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0065】
第5トランジスタ911は、FD1ノードの電荷を読み出すためのSEL信号を受信するゲート端子、第3トランジスタ907の第2のS/D端子に連結された第1のS/D端子、及びFD1ノードの電荷に対応する電圧をPIXOUT1信号として出力するためのピクセル出力PIXOUT1データラインに連結された第2のS/D端子を含む。
【0066】
第6トランジスタ913は、PPD901に残留する電荷を第2フローティング拡散ノード(FD2)に完全に伝達するためのTXRMD信号を受信するゲート端子、PPD901のカソードに連結された第1のS/D端子、及びFD2ノードに連結された第2のS/D端子を含む。FD2ノードは第2静電容量を有する。図9には示さなかったが、FD2ノードと接地との間に寄生容量が有る。一実施例で、物理的容量がまたFD2ノードと接地との間に連結される。一実施例で、FD2ノードの第2静電容量はFD1ノードの第1静電容量と同一である。PPD901内の任意の残留電荷が第6トランジスタ913を介してFD2ノードに伝達される。
【0067】
第7トランジスタ915は、ゲート端子が第6トランジスタ913の第2のS/D端子及びFD2ノードに連結され、VPIXの電圧を受信する第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。第7トランジスタ915は、FD2ノードに貯蔵された電荷を第7トランジスタ915の第2のS/D端子の電圧に変換するように動作する。
【0068】
第8トランジスタ917は、FD2ノードの充電レベルを設定するためのRST信号を受信するゲート端子、VPIX信号を受信する第1のS/D端子、及び第6トランジスタ913のソース端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0069】
第9トランジスタ919は、FD2ノードの電荷に対応する電圧を読み取るために画素を選択するSEL信号を受信するゲート端子、第7トランジスタ915の第2のS/D端子に連結された第1のS/D端子、及びPIXOUT2信号としてFD2ノードの電荷に対応する電圧を出力するためのピクセル出力PIXOUT2データラインに連結された第2のS/D端子を含む。
【0070】
VTX信号(及びTX信号)は、PPD901からFD1ノードに電荷を伝達するようにランプアップ(ramp-up)される。PPD901からFD1ノードに伝達される電荷量は、TX信号のレベルの関数であり、TX電圧の上昇は時間の関数である。即ち、PPD901からFD1ノードに伝達される電荷は、時間の関数である。PPD901からFD1ノードへの電荷伝達中に入射される光子を検出するSPAD回路801に応答して第2トランジスタ905がターンオフされると、PPD901からFD1ノードへの電荷伝達が停止され、FD1ノードに伝達された電荷量及びPPD901に残留する電荷量は両方共に入射する光子のTOFに関連する。TX信号及び入射する光子の検出に基づくPPD901からFD1ノードへの電荷伝達は、電荷の時間に対するシングルエンドディファレンシャル変換(single-ended-to-differential conversion)を提供する。
【0071】
時間分解型センサー800に対し、数学式1は、物体の奥行き又は距離を決定するために使用され、測定する度にPIXOUT1+PIXOUT2が変わらない場合、測定間の変化にあまり敏感ではない。一実施例で、VTX信号は理想的に線形であり、理想的にTOFピクセルアレイの異なるピクセルの全体に亘って均一である。しかし、実際には、TOFピクセルアレイの異なるピクセルに印加されるVTX信号は、ピクセル毎に異なり、これにより、ピクセル毎のVTX信号の変化に依存する距離測定でエラーが発生し、また、測定毎に異なる。
【0072】
一実施例で、第1トランジスタ903、第2トランジスタ905、第3トランジスタ907、第4トランジスタ909、第5トランジスタ911、第6トランジスタ913、第7トランジスタ915、第8トランジスタ917、及び第9トランジスタ919は、それぞれn型MOSFET又はp型MOSFETであるが、任意の他の適切なトランジスタが使用される。
【0073】
図10は、図8の時間分解型センサー800の一例の相対的な信号タイミング図1000である。図10の信号タイミング図は、図7の信号タイミング図と非常に類似しており、この類似性は、図7を参照して説明される。図10の信号タイミング図は、FD2信号を含むことにより、シャッターオン期間の終了(end)でPPD901の残留電荷がTXRMD信号の動作によってFD2のノードに伝達されるという点で差別化される。なお、PIXOUT1及びPIXOUT2信号は同時に読み出される。
【0074】
第2PPD回路805は、最大距離を決定するために不変の飽和(full-well)容量に依存するが、時間分解型センサー800の実際の具現は異なる第2PPD回路805の間の熱雑音に基づいてPPD901のフルウェル変化を経験する。なお、VTX信号は、ピクセルアレイのピクセルの位置により異なるランプ(スロープ)を有する。即ち、ピクセルにおけるVTX信号のランプ(スロープ)は、ピクセルがVTX信号のソースからどれぐらい近いかによって異なる。
【0075】
図11は、本発明の一実施形態による時間分解型センサー1100の更に他の例を示すブロック図である。時間分解型センサー1100は、1つ以上のSPAD回路(1101a、1101n)、論理回路1103、及び第3PPD回路1105を含む。
【0076】
1つ以上のSPAD回路1101は、それぞれSPAD111、抵抗113、キャパシター115、p型MOSFETトランジスタ117、及びバッファ119を含む。SPAD111は、接地電位に連結されたアノード、及びカソードを含む。抵抗113は、VSPAD電圧を受信する第1端子、及びSPAD111のカソードに連結された第2端子を含む。他の実施例で、SPAD111と抵抗113との位置は、互いに入れ変わる。SPAD111は光に反応する。光子を受信したことに応答して、SPAD111は、VSPAD電圧から降伏電圧以下に急速に移動した後、次第にVSPAD電圧に復帰するパルス信号を出力する。
【0077】
キャパシター115は、SPAD111のカソードに連結された第1端子、及び第2端子を含む。他の実施例で、キャパシター115は省略される。p型MOSFET117は、キャパシター115の第2端子に連結された第1のS/D端子、SHUTTER信号を受信するゲート、及びVPIX電圧(VDD)を受信する第2のS/D端子を含む。バッファ119は、キャパシター115の第2端子に連結された入力、及びSPAD回路1101の出力に対応するDE信号を出力する反転出力を含む。他の実施例で、バッファ119は非反転のバッファである。
【0078】
論理回路1103は、1つ以上のSPAD回路(1101a、1101n)のそれぞれのDE信号に連結された入力を含み、TXEN信号及びTXEN信号の反転信号であるTXENB信号を出力する。
【0079】
第3PPD回路1105は、キャパシターデバイス(SC)、第1トランジスタ151、第2トランジスタ153、第3トランジスタ155、第4トランジスタ157、第5トランジスタ159、第6トランジスタ161、第7トランジスタ163、第8トランジスタ165、第9トランジスタ167、第10トランジスタ169、第11トランジスタ171、第12トランジスタ173、及び第13トランジスタ175を含む。
【0080】
キャパシターデバイス(SC)は、接地電位に連結された第1端子、及び第2端子を含む。キャパシターデバイス(SC)は、キャパシターに類似の方式で電荷を貯蔵する。一実施例で、キャパシターデバイスはキャパシターである。他の実施例で、キャパシターデバイスは、光に反応しないようにカバーされたPPDである。いずれか一つの実施例で、キャパシターデバイス(SC)は、時間・電荷コンバーター(time-to-charge converter)の一部として使用される。
【0081】
第1トランジスタ151は、RST信号に連結されたゲート端子、接地電位に連結された第1のS/D端子、及びキャパシターデバイス(SC)の第2端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0082】
第2トランジスタ153は、TXA信号に連結されたゲート端子、第1フローティング拡散(FD1)ノードに連結された第1のS/D端子、並びに第1トランジスタ151の第2のS/D端子及びキャパシターデバイス(SC)の第2端子に連結された第2のS/D端子を含む。第1フローティング拡散(FD1)ノードは、図11にキャパシター記号で表示される。第1フローティング拡散(FD1)ノードと接地との間に寄生容量が有るが、これは図11に表示されない。一実施例で、物理的容量がFD1ノードと接地との間に連結される。
【0083】
第3トランジスタ155は、FD1ノード及び第2トランジスタ153の第1のS/D端子に連結されたゲート端子、VPIX電圧に連結された第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。第3トランジスタ155は、FD1ノードの電荷を第3トランジスタ155の第2のS/D端子の電圧に変換するように動作する。
【0084】
第4トランジスタ157は、RST信号に連結されたゲート端子、VPIX電圧に連結された第1のS/D端子、並びに第2トランジスタ153の第1のS/D端子及び第1フローティング拡散(FD1)ノードに連結された第2のS/D端子を含む。
【0085】
第5トランジスタ159は、TXEN信号に連結されたゲート端子、VTX信号に連結された第1のS/D端子、及び第2トランジスタ153のゲート端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0086】
第6トランジスタ161は、TXENB信号に連結されたゲート端子、接地電位に連結された第1のS/D端子、並びに第2トランジスタ153のゲート端子及び第5トランジスタ159の第2のS/D端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0087】
第7トランジスタ163は、SEL信号に連結されたゲート端子、第3トランジスタ155の第2のS/D端子に連結された第1のS/D端子、及び画素出力ライン(PIXA)に連結された第2のS/D端子を含む。
【0088】
記第8トランジスタ165は、TXB信号に連結されたゲート端子、第2フローティング拡散(FD2)ノードに連結された第1のS/D端子、並びに第1トランジスタ151の第2のS/D端子、キャパシターデバイス(SC)の第2端子、及び第2トランジスタ153の第2のS/D端子に連結された第2のS/D端子を含む。図11において、FD2ノードはキャパシター記号で表示される。図11には図示されないが、FD2ノードと接地との間に寄生容量が有る。一実施例で、物理的容量がFD2ノードと接地との間に連結される。
【0089】
第9トランジスタ167は、FD2ノード及び第8トランジスタ165の第1のS/D端子に連結されたゲート端子、VPIX電圧に連結された第1のS/D端子、及び第2のS/D端子を含む。第9トランジスタ167は、FD2ノードの電荷を第9トランジスタ167の第2のS/D端子の電圧に変換するように動作する。
【0090】
第10トランジスタ169は、RST信号に連結されたゲート端子、VPIX電圧に連結された第1のS/D端子、並びに第8トランジスタ165の第1のS/D端子及び第2フローティング拡散(FD2)ノードに連結された第2のS/D端子を含む。
【0091】
第11トランジスタ171は、TXENB信号に連結されたゲート端子、VTX信号に連結された第1のS/D端子、及び第8トランジスタ165のゲート端子に連結された第2のS/D端子を含む。
【0092】
第12トランジスタ173は、TXEN信号に連結されたゲート端子、接地電位に連結された第1のS/D端子、並びに第8トランジスタ165のゲート端子及び第11トランジスタ171の第2のS/D端子に接続された第2のS/D端子を含む。
【0093】
第13トランジスタ175は、SEL信号に連結されたゲート端子、第9トランジスタ167の第2のS/D端子に連結された第1のS/D端子、及びピクセル出力ライン(PIXB)に連結された第2のS/D端子を含む。
【0094】
図12は、図11の時間分解型センサー1100の一例の相対的な信号タイミング図1200である。図12の信号タイミング図は、図7及び図10の信号タイミング図と非常に類似しており、この類似性は、図7を参照して説明される。図12の信号タイミング図は、TXRMD信号及びTX信号を含まずに、代わりにTXENB、TXA信号、及びTXB信号を含むという点で、図10の信号タイミング図と異なる。
【0095】
図12の信号タイミング図で、TXENB信号はTXEN信号の反転信号である。SHUTTER信号がアクティブ(ハイレベル)のとき、TXEN信号が活性化されてVTX信号が第5トランジスタ159を通過してTXA信号をアクティブ(活性化)させる。キャパシターバイス(SC)の電荷は、第2トランジスタ153を介してFD1ノードに伝達される。一方、接地電位がTXB信号を非活性化させる第12トランジスタ173を通過する。
【0096】
検出イベント(DE)が発生したときに、TXEN信号が非活性化(非アクティブ)状態になり、TXENB信号が活性化される。TXEN信号が非活性化されると、TXA信号も非活性化され、電荷が第2トランジスタ153を介してキャパシターデバイス(SC)からFD1ノードに伝達されることが中断される。TXENB信号が活性化されると、TXB信号は活性化され、キャパシターデバイス(SC)から第8トランジスタ165を介してFD2ノードに電荷が伝達される。
【0097】
SHUTTER信号が終了すると、TXB信号が非活性化(非アクティブ)状態になり、電荷が第8トランジスタ165を介してキャパシターデバイス(SC)からFD2ノードに伝達されることが中断される。FD1ノード及びFD2ノードの電荷に関連する各電圧は、それぞれPIXA及びPIXB出力ラインから読み出される。
【0098】
VTX信号のスロープ(slope)の変化及びピクセルからピクセルへのキャパシターデバイス(SC)の静電容量の変化は、活性化SHUTTER信号の間に、第2トランジスタ153(TXA)及び第8トランジスタ165(TXB)が線形モードで動作する限り、距離測定誤差(エラー)を誘発しない。
【0099】
図13は、図11の時間分解型センサー1100を使用する時間分解方法1300のフローチャートである。この方法は、1301段階から始まる。1302段階において、アクティブシャッター信号が生成される。1303段階において、1つ以上のSPAD回路1101に入射する1つ以上の光子が、物体(object)から反射された1つ以上の検出された光子としてアクティブシャッター信号の間に検出される(検出イベント(DE))。1304段階において、検出イベント(DE)に基づいた出力信号が生成される。1305段階において、第1イネーブル信号TXEN及び第2イネーブル信号TXENBが検出イベント(DE)に対する出力信号に基づいて生成される。一実施例で、第1イネーブル信号は、アクティブシャッター信号の開始に応答して活性化され、出力信号に応答して非活性化(非アクティブ)され、第2イネーブル信号は、出力信号に応答して活性化(アクティブ)され、アクティブシャッター信号の終了(end)に応答して非活性化される。
【0100】
1306段階において、第1イネーブル信号が活性化(アクティブ)されると、第1フローティング拡散(FD1)ノードの第1電荷を形成するために、キャパシターデバイス(SC)の電荷を第1フローティング拡散(FD1)ノードに伝達する。1307段階において、第2イネーブル信号が活性化(アクティブ)されると、第2フローティング拡散(FD2)ノードの第2電荷を形成するために、キャパシターデバイス(SC)の残留電荷を第2フローティング拡散(FD2)ノードに伝達する。1308段階において、第1電荷に基づく第1電圧及び第2電荷に基づく第2電圧が出力される。第1電圧と第2電圧との和に対する第1電圧の第1比率は、1つ以上の検出された光子の飛行時間に比例し、第1電圧と第2電圧との和に対する第2電圧の第2比率は、1つ以上の検出された光子の飛行時間に比例する。1309段階において、この方法は終了する。
【0101】
一実施例で、第1電荷及び第2電荷を伝達するステップは、ランプ(ramp)関数に従って駆動信号(VTX)を変化させるステップを更に含み、駆動信号(VTX)は、、1つ以上の光子が検出される光パルスの開始時点に応答してアクティブシャッター信号の終了(end)時点まで変化を開始する。第1フローティング拡散ノードに第1電荷を形成するためにキャパシターデバイスの電荷を第1フローティング拡散ノードに伝達するステップは、第1イネーブル信号がアクティブ(活性化される)のときの駆動信号のレベルに基づいて行われ、キャパシターデバイスの残留電荷を第2フローティング拡散ノードに連結して第2フローティング拡散ノードに第2電荷を形成することは、第2イネーブル信号がアクティブのときの駆動信号のレベルに基づいて行われる。
【0102】
他の実施例で、第1電圧と第2電圧との和に対する第1電圧の第1比率は、1つ以上の検出された光子の飛行時間から遅延時間を引いた値に比例する。同様に、第1の電圧と第2電圧との和に対する第2電圧の第2比率は、1つ以上の検出された光子から遅延時間を引いた飛行時間に比例し、遅延時間は、光パルスが送信を開始する時点と駆動信号が変化を開始する時点との間の時間を含む。
【0103】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、直接飛行時間(TOF)距離測定を用いた方式により、運転者のための改善された視野を提供することができる自律走行システムの構成に有用である。
【符号の説明】
【0105】
100 PPDピクセルのセル
101、601、901 PPD
103、151、603 第1トランジスタ
105、153、605、905 第2トランジスタ
107、155、607、907 第3トランジスタ
109、157、609、909 第4トランジスタ
111、403 SPAD
113、401 抵抗
115、405 キャパシター
117、407 P型MOSFETトランジスタ
119、409 バッファ
159、611、911 第5トランジスタ
161、913 第6トランジスタ
163、915 第7トランジスタ
165、917 第8トランジスタ
167、919 第9トランジスタ
169 第10トランジスタ
171 第11トランジスタ
173 第12トランジスタ
175 第13トランジスタ
200、1000 信号タイミング図
300、800 時間分解型センサー
301、801、1101a、1101n SPAD回路
303、803、1103 論理回路
305、805、1105 PPD回路
501 ラッチ
503 2入力ORゲート
DE 検出イベント
FD フローティング拡散(ノード)
PIXB ピクセル出力ライン
PIXOUT 画素出力
PPD ピン型フォトダイオード
RST リセット信号(PPD回路の第3入力)
SC キャパシターデバイス
SEL ピクセルの出力選択信号(PPD回路の第5入力)
SHUTTER シャッターの開閉を制御する信号(SPAD回路の第2入力)
SPAD 単一光子アバランシェダイオード
TX 電荷を伝達するための信号(VTX)
TXEN 論理回路の出力
TXENB TXENの反転信号
TXRMD PPDの残留電荷をFDノードに伝達するための信号(論理回路の第2入力)
VDD SPADの回路の電源(SPAD回路の第3入力)
VPIX 画素電圧
VSPAD SPADの電源(SPAD回路の第1入力)
VTX PPDの電荷をFDノードに伝達するための信号(PPD回路の第2入力)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13