(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】オプション部材、背凭れおよび椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 7/64 20060101AFI20221110BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A47C7/64 A
A47C7/38
(21)【出願番号】P 2018206858
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】井澤 晶一
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 新平
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-141210(JP,U)
【文献】特開2007-190221(JP,A)
【文献】特開2005-110705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/64
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子の背凭れに設けられるオプション部材であって、
背凭れ本体に取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットに対し上下方向にスライド移動するオプション部材本体と、
前記オプション部材本体に取り付けられ前記オプション部材本体とともに上下方向に移動する被操作体と、を備え、
前記ブラケットには、係合部が設けられ、
前記被操作体は、
操作者によって操作されるレバー部と、
係合方向において前記係合部に係合する被係合部が設けられ、前記被係合部を前記係合方向に移動させる動作部と、を有し、
前記係合部および前記被係合部のうち何れか一方は、上下方向に並んで複数配置され、
前記動作部は、前記レバー部への操作により前記係合方向に沿って移動
し、
前記オプション部材本体および前記被操作体の一方には、前記係合方向に沿って延びる凹溝が設けられ、
前記オプション部材本体および前記被操作体の他方には、前記係合方向に沿って延び前記凹溝に挿入される凸条部が設けられる、
オプション部材。
【請求項2】
椅子の背凭れに設けられるオプション部材であって、
背凭れ本体に取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットに対し上下方向にスライド移動するオプション部材本体と、
前記オプション部材本体に取り付けられ前記オプション部材本体とともに上下方向に移動する被操作体と、を備え、
前記ブラケットには、係合部が設けられ、
前記被操作体は、
操作者によって操作されるレバー部と、
係合方向において前記係合部に係合する被係合部が設けられ、前記被係合部を前記係合方向に移動させる動作部と、を有し、
前記係合部および前記被係合部のうち何れか一方は、上下方向に並んで複数配置され、
前記動作部は、前記レバー部への操作により前記係合方向に沿って移動し、
前記係合方向は、係合部側から被係合部側に向かうに従い上側に第1角度で傾斜する方向である、
オプション部材。
【請求項3】
前記係合方向に沿って前記動作部を前記ブラケット側に押し付ける付勢部材を備える、請求項1
又は2に記載のオプション部材。
【請求項4】
前記ブラケットは、
前記背凭れ本体に連結される連結部と、
前記連結部の後方で前記オプション部材本体を支持する支持部と、を有し、
前記レバー部は、前記支持部の上側に位置する、
請求項1~3の何れか一項に記載のオプション部材。
【請求項5】
前記係合部は、水平方向に沿って突出する突起であり、
前記被係合部は、水平方向に沿って凹む凹部であり、
前記係合部は、根元から先端まで前記係合方向に傾斜する第1傾斜面を有し、
前記被係合部は、開口から底部まで前記係合方向に傾斜する第2傾斜面を有する、請求項
2に記載のオプション部材。
【請求項6】
前記オプション部材本体は、前記レバー部の操作方向において前記レバー部と隙間を介して配置される支点部を有する、
請求項1~
5の何れか一項に記載のオプション部材。
【請求項7】
前記オプション部材は、着衣がかけられるハンガーとしの機能を有し、
前記オプション部材本体は、前記支点部から左右方向にそれぞれ延び前記着衣の肩部を支持する一対の肩支持部を有し、
前記レバー部は、前記支点部の前方に位置する、
請求項
6に記載のオプション部材。
【請求項8】
着座者の背中を支える前記背凭れ本体と、
前記背凭れ本体に取り付けられる請求項1~
7の何れか一項に記載のオプション部材と、を備える、
背凭れ。
【請求項9】
請求項
8に記載の背凭れを備える、椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプション部材、背凭れおよび椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、事務用等として用いられる椅子には、背凭れ部の背面側に衣服を吊下げるためのハンガーユニットや着座者の頭部を支えるヘッドレスト等のオプション部材が取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-136024号公報
【文献】特開2014-083126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オプション部材は、背凭れに対して上下方向に位置調整される。従来の椅子では、一方の手で可動部分と固定部分との係合を解除し他方の手で可動部分を上下に移動させる必要があった。このため、片手が塞がった状態でオプション部材の位置調整を行うことがでず、オプション部材の操作性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、位置調整を容易に行うことができるオプション部材、並びにそれを備えた背凭れおよび椅子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のオプション部材は、椅子の背凭れに設けられるオプション部材であって、背凭れ本体に取り付けられるブラケットと、前記ブラケットに対し上下方向にスライド移動するオプション部材本体と、前記オプション部材本体に取り付けられ前記オプション部材本体とともに上下方向に移動する被操作体と、を備え、前記ブラケットには、係合部が設けられ、前記被操作体は、操作者によって操作されるレバー部と、係合方向において前記係合部に係合する被係合部が設けられ、前記被係合部を前記係合方向に移動させる動作部と、を有し、前記係合部および前記被係合部のうち何れか一方は、上下方向に並んで複数配置され、前記動作部は、前記レバー部への操作により前記係合方向に沿って移動する。
【0007】
上述の構成によれば、レバー部の操作によって動作部が係合方向に移動し、ブラケットおよび動作部材に設けられた係合部と被係合部との係合か解除される。このため、係合部と被係合部との係合を解除させた状態でオプション部材本体を上下に移動させることで、ブラケットに対するオプション部材本体の上下方向位置調整を容易に行うことができる。
また、上述の構成によれば、レバー部を有する被操作体が、オプション部材本体とともにブラケットに対して上下方向に移動する。このため、レバー部を操作しながら、オプション部材を上下に移動させることができる。したがって、オプション部材本体とレバー部とを片手で同時に操作することでき、オプション部材本体の位置調整の容易性が高まる。
【0008】
上述のオプション部材において、前記係合方向に沿って前記動作部を前記ブラケット側に押し付ける付勢部材を備える、構成としてもよい。
【0009】
上述の構成によれば、付勢部材が動作部をブラケット側に押し付けるため、操作者がレバー部の操作を解除することで、係合部が被係合部に自動的に係合される。すなわち、操作者は、レバー部を係合解除と反対方向に操作する必要がなく、操作者のレバー部の操作を容易とすることができる。
また、上述の構成によれば、付勢部材が動作部をブラケット側に押し付けるため、衝撃などによって係合部と被係合部との係合が解除されることを抑制できる。
【0010】
上述のオプション部材において、前記オプション部材本体および前記被操作体の一方には、前記係合方向に沿って延びる凹溝が設けられ、前記オプション部材本体および前記被操作体の他方には、前記係合方向に沿って延び前記凹溝に挿入される凸条部が設けられる、構成としてもよい。
【0011】
上述の構成によれば、被操作体は、オプション部材本体に対して平行移動する。このため、操作者によるレバー部の操作が直線的となり、操作者のレバー部の操作を容易とすることができる。また、被操作体に複数の被係合部が設けられる場合、被操作体が平行移動することで、何れの被係合部に係合部が係合する場合であっても、係合の解除に必要なレバー部の操作ストロークが変わらない。結果的に、操作者のレバー部の操作が容易となる。
【0012】
上述のオプション部材において、前記ブラケットは、前記背凭れ本体に連結される連結部と、前記連結部の後方で前記オプション部材本体を支持する支持部と、を有し、前記レバー部は、前記支持部の上側に位置する、構成としてもよい。
【0013】
上述の構成によれば、レバー部がブラケットの支持部より上側に位置するため、操作者は支持部の上側からレバー部にアクセスしてレバー部の操作を行うことができる。このため、操作者のレバー部の操作を容易とすることができる。
【0014】
上述のオプション部材において、前記係合方向は、係合部側から被係合部側に向かうに従い上側に第1角度で傾斜する方向である、構成としてもよい。
【0015】
上述の構成によれば、係合部と被係合部とは、斜め上側方向に沿って係合する。すなわち、係合方向が、重力方向と反対側の成分を有するため、動作部に突発的な力が付与された場合であっても、係合部と被係合部との係合が解除され難い。
また、上述の構成において、レバー部の操作方向が係合方向と一致する場合、レバー部の操作方向が、斜め上側となる。このため、立位の操作者にとって、レバー部の操作が容易となる。
【0016】
上述のオプション部材において、前記係合部は、水平方向に沿って突出する突起であり、前記被係合部は、水平方向に沿って凹む凹部であり、前記係合部は、根元から先端まで前記係合方向に傾斜する第1傾斜面を有し、前記被係合部は、開口から底部まで前記係合方向に傾斜する第2傾斜面を有する、構成としてもよい。
【0017】
上述の構成によれば、係合部および被係合部が係合方向と同角度で傾斜する傾斜面(第1傾斜面および第2傾斜面)を有する。このため、動作部の移動方向と平行な方向に係合部と被係合部とを係合させることができ、操作者のレバー部の操作が容易となる。
【0018】
上述のオプション部材において、前記オプション部材本体は、前記レバー部の操作方向において前記レバー部と隙間を介して配置される支点部を有する、構成としてもよい。
【0019】
上述の構成によれば、操作者は、レバー部と支点部とを挟み込むように握り、レバー部を支点部に近づけることでレバー部の操作を行うことができる。このため、レバー部の操作が容易となるとともに、レバー部の操作を行いながら支点部を上下方向に移動させることで、オプション部材本体の位置調整を行うことができる。
【0020】
上述のオプション部材において、前記オプション部材は、着衣がかけられるハンガーとしの機能を有し、前記オプション部材本体は、前記支点部から左右方向にそれぞれ延び前記着衣の肩部を支持する一対の肩支持部を有し、前記レバー部は、前記支点部の前方に位置する、構成としてもよい。
【0021】
上述の構成によれば、着衣として前方に開胸するジャケット等をかける場合に、レバー部が着衣の開胸部から露出する。このため、肩支持部に着衣をかけた状態であって、操作者がレバー部を容易に操作することができる。
【0022】
本発明の一態様の背凭れは、着座者の背中を支える前記背凭れ本体と、前記背凭れ本体に取り付けられる上記のオプション部材と、を備える。
【0023】
上述の構成によれば、オプション部材を備える背凭れを提供できる。
【0024】
本発明の一態様の椅子は、上記の背凭れを備える。
【0025】
上述の構成によれば、オプション部材を備える椅子を提供できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、位置調整を容易に行うことができるオプション部材、並びにそれを備えた背凭れおよび椅子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】
図3は、一実施形態のハンガーユニット(オプション部材)の斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のハンガーユニットの分解図である。
【
図5】
図5は、一実施形態のハンガーユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明におけるオプション部材、背凭れおよびそれを備えた椅子を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
なお、以下の各図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0029】
以下の説明において、椅子の背凭れに背中を向けて正規姿勢で着座した人の正面を向く向きを「前」と呼び、それと逆側の向きを「後」と呼ぶものとする。また、椅子に正規姿勢で着座した人の上方を向く向きを「上」、それと逆側の向きを「下」と呼び、椅子に正規姿勢で着座した人の左方を「左」、右方を「右」と呼ぶこととする。また、椅子の左右方向を「幅方向」と呼ぶ。
【0030】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、「X方向」は、
図1に示す椅子の「幅方向」と平行な方向とする。「Z方向」は、X方向と直交する方向であって
図1の「上下方向」とする。「Y方向」は、X方向とZ方向との両方と直交する「前後方向」とする。
【0031】
(椅子)
図1は、本実施形態の一態様における椅子1の構成を示す正面図である。
図2は、本実施形態の一態様における椅子1の構成を示す背面図である。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の椅子1は、床面上に載置される脚部2と、脚部2の上端に設置されるボックス状の支基3と、着座者が着座する座体4と、支基3の上面に取り付けられ座体4を支持する座受部材5と、支基3から後部上方側に延出して座体4に着座した着座者の背中を支持する背凭れ6と、を備える。
【0033】
脚部2は、キャスタ7a付きの多岐脚7と、多岐脚7の中央部より起立し、昇降機構であるガススプリングを内蔵する脚柱8と、を備える。
【0034】
支基3は、脚柱8の上端部に取り付けられる。支基3には、脚柱8の昇降調整機構と背凭れ6の傾動調整機構が内蔵される。
【0035】
座体4は、骨格部を成す座体外周枠本体部13と、座体外周枠本体部13に張設された座体用面材14と、を有して備える。
【0036】
座体外周枠本体部13は、例えば合成樹脂によって形成され、上面視では四隅が丸みを帯びた略長方形状とされる。座体外周枠本体部13の外周縁部には、座体外周枠本体部13の内方に向かって凹む溝13mが周方向に連続して形成される。
【0037】
座体用面材14は、多数の孔が形成されたメッシュ状であり、その外周端部が、座体外周枠本体部13に形成された溝13mに巻き込まれ、溝13m内に挿入される縁材によって座体外周枠本体部13に固定される。
【0038】
背凭れ6は、座体4に着座した着座者の背中からの荷重を支持する。背凭れ6は、その一部が支基3内の傾動調整機構に連結される。
【0039】
(背凭れ)
以下、本実施形態における背凭れ6の具体的な構成について説明する。
図2に示すように、背凭れ6は、着座者の背中を支える背凭れ本体20と、背凭れ本体20に取り付けられるハンガーユニット(オプション部材)30と、を備える。
【0040】
背凭れ本体20は、外周枠部材28と、外周枠部材28に張設された背凭れ用面材29と、外周枠部材28を支持する背凭れ支持部材22と、を備える。なお、背凭れ支持部材22の後方には、背凭れ支持部材22の締結部を覆う化粧板23が取り付けられている。
【0041】
外周枠部材28は、矩形枠状である。外周枠部材28は、幅方向(X方向)に離間した一対の縦杆28aと、上杆28bと、下杆28cと、を有する。上杆28bは、一対の縦杆28aの上端部同士を繋ぐ。上杆28bには、ハンガーユニット30が取り付けられる。下杆28cは、一対の縦杆28aの下端部同士を繋ぐ。外周枠部材28は、背凭れ支持部材22に固定される。外周枠部材28は、例えば、樹脂、アルミ合金等により作製される。
【0042】
背凭れ用面材29は、多数の孔が形成されたメッシュ状の布である。背凭れ用面材29は、外周端部において、外周枠部材28に設けられた溝(図示略)に巻き込まれて外周枠部材28に固定される。座体4に着座した着座者の背中は、背凭れ用面材29の前面に接触する。外周枠部材28に布状の背凭れ用面材29を帳設することにより、着座者の背中を適度な弾力で支持することができる。
【0043】
背凭れ支持部材22は、外周枠部材28の後方に配置される。背凭れ支持部材22は、外周枠部材28を支持する。また、背凭れ支持部材22は、座体4を支持する。背凭れ支持部材22と外周枠部材28および座体4との取り付け手段についての具体的な説明は省略するが、例えば、複数の締結具が用いられる。
【0044】
背凭れ支持部材22は、一対の側杆部22Aと、第1横杆部22Bと、第2横杆部22Cと、一対の延出部(図示略)と、を有する。一対の側杆部22Aは、それぞれ外周枠部材28の一対の縦杆28aに沿って上下方向に延びる。背凭れ支持部材22は、一対の側杆部22Aにおいて、外周枠部材28を支持する。第1横杆部22Bは、左右方向に沿って延び一対の側杆部22Aの上端部同士を繋ぐ。第2横杆部22Cは、第1横杆部22Bより下側に位置する。第2横杆部22Cは、側杆部22Aの下端から左右方向に沿って延びる。第2横杆部22Cは、一対の側杆部22A同士を繋ぐ。延出部(図示略)は、第1横杆部22Bの下端から前方に向かって延びる。背凭れ支持部材22は、一対の延出部22Dにおいて座体4に取り付けられる。
【0045】
(ハンガーユニット(オプション部材))
ハンガーユニット30は、椅子1の背凭れ6に設けられる。ハンガーユニット30には、着衣がかけられる。ハンガーユニット30は、如何様な長さの着衣であっても裾の床面への接触を防ぐことができるように、着衣をかける部分(肩支持部35b)の上下位置を調整することができる。
【0046】
図3は、ハンガーユニット30の斜視図である。
図4は、ハンガーユニット30の分解図である。
図5は、ハンガーユニット30の断面図である。
【0047】
図3に示すように、ハンガーユニット30は、ブラケット31と、本体(オプション部材本体)33と、被操作体36と、コイルばね(付勢部材)30Sと、キャップ部材30Cと、を備える。なお、
図4において、コイルばね38の図示は省略されている。
【0048】
図5に示すように、ブラケット31は、背凭れ本体20に連結される連結部31aと、連結部31aから後方に延びる腕部31bと、腕部の後端に接続される支持部32と、を有する。
【0049】
連結部31aは、幅方向に延びる。連結部31aは、外周枠部材28の上杆28bに固定される。すなわち、ブラケット31は、連結部31aにおいて背凭れ本体20に取り付けられる。連結部31aには、幅方向に並ぶ一対の固定孔31aaが設けられる。固定孔31aaには、上杆28bのねじ穴にねじ止めされる留めねじが挿入される。また、連結部31aの後方には、固定孔31aaの後方の開口および留めねじの頭部を覆う化粧板30Aが取り付けられる。
【0050】
腕部31bは、連結部31aと支持部32とを繋ぐ。腕部31bは、後方に向かうに従って下側に傾斜して延びる。このため、支持部32は、連結部31aより下側に位置する。
【0051】
図3に示すように、支持部32は、連結部31aの後方で本体33を支持する。支持部32は、腕部31bに繋がる基部32aと、基部32aから後方に延びる一対の側部32bと、一対の側部32bの前端部からそれぞれ幅方向内側に延びる一対のガイド部32cと、を有する。支持部32は、基部32aと、一対の側部32bと、一対のガイド部32cとにより、上下方向から見て後方に開口するC字形状を構成する。
【0052】
図5に示すように、基部32aは、本体33および被操作体36の前方に位置する。基部32aは、後方を向く後面32eを有する。後面32eは、前後方向において被操作体36と対向する。後面32eには、水平方向に沿って後方側に突出する突起状の係合部32dが設けられる。すなわち、ブラケット31には、係合部32dが設けられる。係合部32dは、根元から先端まで水平方向に対し、後述する係合方向EDに傾斜する第1傾斜面32daを有する。係合部32dは、後述する被操作体36の被係合部37bと係合する。
【0053】
図4に示すように、本体33は、上下方向に沿って延びる本体基部34と、本体基部34の上端部に接続されるハンガー部35と、を有する。
【0054】
本体基部34の前方を向く面には、一対のガイド壁34aが設けられる。ガイド壁34aは、上下方向に沿って延びる。一対のガイド壁34aの間には、被操作体36が配置される。
【0055】
ガイド壁34aの幅方向外側を向く面は、ブラケット31の側部32bの幅方向内側を向く面と対向する。ガイド壁34aの幅方向外側を向く面には、上下方向に沿って延びるレール溝34bが設けられる。レール溝34bには、ブラケット31に設けられたガイド部32cが挿入される。これにより、本体33は、ブラケット31に対し上下方向にスライド移動することができる。
【0056】
ガイド壁34aの幅方向内側を向く面には、それぞれ軸方向内側に突出する複数の凸条部34dが設けられる。複数の凸条部34dは、上下方向に沿って並ぶ。凸条部34は、後方に向かうに従って上側に傾斜する方向に延びる。凸条部34dは、後述する係合方向EDに沿って延びる。
【0057】
ハンガー部35には、着衣がかけられる。ハンガー部35は、本体基部34の上端に繋がる支点部35aと、支点部35aから左右方向にそれぞれ延びる一対の肩支持部35bと、を有する。一対の肩支持部35bは、それぞれ着衣の肩部を支持する。
【0058】
図5に示すように、支点部35aは、後述する被操作体36のレバー部38と対向する第1対向面35aaを有する。第1対向面35aaは、前方を向く。また、第1対向面35aaは、前方に向かうに従い上側に傾斜する。第1対向面35aaには、コイルばね30Sが収容される第1収容凹部35abが設けられる。第1収容凹部35abの底面には、コイルばね30Sの位置ずれを抑制する第1ガイド突起35acと、が設けられる。
【0059】
被操作体36は、本体33に取り付けられる。被操作体36は、本体33のスライド移動ととともに上下方向に移動する。
【0060】
図4に示すように、被操作体36は、上下方向に沿って延びる動作部37と、動作部37の上端に接続されるレバー部38と、を有する。
【0061】
レバー部38は、操作者によって操作される。後述するように、操作者がレバー部38を操作することで、ブラケット31と被操作体36との係合が解除され、本体33のブラケット31に対する上下方向への移動が可能となる。レバー部38は、幅方向に沿って延びる板状である。
【0062】
図5に示すように、レバー部38は、ブラケット31の支持部32の上側に位置する。本実施形態によれば、レバー部38が支持部32より上側に位置するため、操作者は支持部32の上側からレバー部38にアクセスしてレバー部38の操作を行うことができる。このため、操作者のレバー部38の操作を容易とすることができる。
【0063】
また、レバー部38は、本体33の支点部35aの前方に位置する。本実施形態によれば、前方が開胸する着衣(ジャケット等)をハンガー部35にかけた状態で、レバー部38が着衣の開胸部から露出する。このため、ハンガー部35に着衣をかけた状態であっても、操作者がレバー部38を容易に操作することができる。
【0064】
レバー部38の操作方向ODは、前後方向に対して上側に傾斜する方向である。レバー部38は、後方を向く第2対向面38bを有する。第2対向面38bは、前方に向かうに従って上側に傾斜する。第2対向面38bの法線方向は、操作方向ODと略一致する。第2対向面38bは、本体33の第1対向面35aaと操作方向ODにおいて隙間を介して対向する。第2対向面38bには、コイルばね30Sが収容される第2収容凹部38cが設けられる。また、第2収容凹部38cの底面には、コイルばね30Sの位置ずれを抑制する第2ガイド突起38dと、が設けられる。
【0065】
本実施形態によれば、本体33の支点部35aが、レバー部38の操作方向ODにおいてレバー部38と隙間を介して配置される。このため、操作者は、レバー部38と支点部35aとを挟み込むように握り、レバー部38を支点部35aに近づけることでレバー部38の操作を行うことができる。これにより、操作者によるレバー部38の操作が容易となる。また、本実施形態によれば、レバー部38の操作を行いながら支点部35aを操作して本体33を上下方向に移動させ易い。
【0066】
図4に示すように、動作部37は、横断面矩形の棒体である。動作部37は、本体33の一対のガイド壁34aの間に配置される。動作部37の幅方向外側を向く一対の面には、それぞれ複数の凹溝37aが設けられる。複数の凹溝37aは、上下方向に沿って並ぶ。凹溝37aは、後方に向かうに従って上側に傾斜する方向に延びる。凹溝37aは、後述する係合方向EDに沿って延びる。凹溝37aには、ガイド壁34aの幅方向内側を向く面に設けられた凸条部34dが挿入される。
【0067】
本実施形態によれば、動作部37の凹溝37aに本体33の凸条部34dが挿入される。このため、レバー部38への操作に伴い、凸条部34dの外周面が凹溝37aの内壁面に沿って滑り、動作部37が本体33に対して係合方向EDに沿って平行移動する。また、レバー部38の操作方向ODと、係合方向EDとが平行となる。本実施形態によれば、操作者によるレバー部38の操作が直線的となり、操作者のレバー部38の操作を容易とすることができる。
【0068】
本実施形態では、本体33に凸条部34dが設けられ、被操作体36に凹溝37aが向けられる場合について説明した。しかしながら、本体33および被操作体36の一方に凹溝37aが設けられ、他方に当該凹溝37aに挿入される凸条部34dが設けられていればよい。
【0069】
図5に示すように、動作部37は、前方を向く前面37cを有する。前面37cは、前後方向においてブラケット31の基部32aの後面32eと対向する。前面37cには、複数の被係合部37bが設けられる。すなわち、動作部37には、複数の被係合部37bが設けられる。複数の被係合部37bは、上下方向に並ぶ。被係合部37bは、水平方向に沿って後方側に凹む凹部である。被係合部37bは、係合方向EDにおいて係合部32dに係合する。動作部37は、被係合部37bを係合方向EDに移動させる。
【0070】
本実施形態によれば、複数の被係合部37bのうち何れか1つには、ブラケット31の係合部32dが係合する。これにより、被操作体36および本体33は、ブラケット31に対して上下方向に位置決めされる。また、係合部32dが係合する被係合部37bを変えることで、被操作体36および本体33の上下方向の位置調整が可能となる。
【0071】
本実施形態によれば、レバー部38の操作により被操作体36がブラケット31に対し係合方向EDに沿って平行移動する。このため、レバー部38を操作することで、係合部32dと被係合部37bとの係合を容易に解除できる。また、係合部32dと被係合部37bを解除した状態で、本体33および被操作体36をブラケット31に対し上下方向に移動させることで、係合部32dを他の被係合部37bに容易に係合させることができる。このため、本実施形態によれば、被操作体36および本体33をブラケット31に対し容易に位置調整できる。
【0072】
本実施形態によれば、レバー部38を有する被操作体36が、本体33とともにブラケット31に対して上下方向に移動する。このため、レバー部38を操作しながら、本体33を上下に移動させることができる。したがって、本体33とレバー部38とを片手で同時に操作することでき、本体33の位置調整の容易性が高まる。
【0073】
本実施形態において、係合部32dと被係合部37bとは、係合方向EDに係合する。係合方向EDは、少なくとも水平成分を有する。これにより、本体33に重力方向の応力が加わった際に、係合部32dと被係合部37bとの係合が解除されることを抑制できる。なお、本実施形態において、係合方向EDは、前後方向に沿う方向であるが、幅方向に沿う方向であってもよい。
【0074】
本実施形態において、係合方向EDは、水平方向に対し上側に第1角度αで傾斜する方向である。すなわち、係合部32dと被係合部37bとは、斜め上側方向に沿って係合する。本実施形態によれば、係合方向EDが重力方向と反対側の成分を有するため、動作部37に突発的な力が付与された場合であっても、係合部32dと被係合部37bとの係合が解除され難い。また、本実施形態では、レバー部38の操作方向ODが係合方向EDと一致する。このため、本実施形態において、レバー部38の操作方向ODは、斜め上側となる。結果的に、操作者が上側に引き上げることでレバー部38を操作することができ、立位の操作者によるレバー部38の操作が容易となる。
【0075】
なお、本実施形態では、ブラケット31に1つの係合部32dが設けられ、被操作体36に上下方向に並ぶ複数の被係合部37bが設けられる。しかしながら、ブラケット31に上下方向に並ぶ複数の係合部32dが設けられ、被操作体36に1つの被係合部37bが設けられていてもよい。すなわち、係合部32dおよび被係合部37bのうち何れか一方が、上下方向に並んで複数配置されていればよい。
【0076】
本実施形態では被操作体36は、レバー部38の操作により平行移動する。このため、被操作体36に複数の被係合部37bが設けられることで、何れの被係合部37bに係合部32dが係合する場合であっても、係合の解除に必要なレバー部38の操作ストロークが変わらない。結果的に、操作者のレバー部38の操作が容易となる。
【0077】
また、本実施形態では、ブラケット31に設けられた係合部32dが突起であり、被操作体36に設けられた被係合部37bが凹部である場合について説明した。しかしながら、係合部および被係合部は互いに係合するものであれば本実施形態の構成に限定されない。例えば、ブラケットに設けられた係合部が凹部であり、被操作体36に設けられた被係合部が突起であってもよい。
【0078】
被係合部37bは、開口から底部まで係合方向EDに傾斜する第2傾斜面37baを有する。また、係合部32dが被係合部37bに係合した状態で、第2傾斜面37baは、係合部32dの第1傾斜面32daと面接触する。
【0079】
本実施形態によれば、係合部32dおよび被係合部37bが係合方向EDと同角度で傾斜する傾斜面(第1傾斜面32daおよび第2傾斜面37ba)を有する。このため、動作部37の移動方向と平行な方向に係合部32dと被係合部37bとを係合させることができ、操作者のレバー部の操作が容易となる。
【0080】
コイルばね30Sは、本体33の第1対向面35aaとレバー部38の第2対向面38bとの間に係合方向EDに圧縮された状態で配置される。コイルばね30Sは、第1対向面35aaの第1収容凹部35abおよび第2対向面38bの第2収容凹部38cに収容される。
【0081】
コイルばね30Sは、係合方向EDに沿って動作部37をブラケット31側に押し付ける。本実施形態によれば、コイルばね30Sが動作部37をブラケット31側に押し付けるため、操作者がレバー部38の操作を解除することで、係合部32dが被係合部37bに自動的に係合される。すなわち、操作者は、レバー部38を係合解除と反対方向に操作する必要がなく、操作者のレバー部38の操作を容易とすることができる。また、本実施形態によれば、コイルばね30Sが動作部37をブラケット31側に押し付けるため、衝撃などによって係合部32dと被係合部37bとの係合が解除されることを抑制できる。
【0082】
なお、本実施形態では、付勢部材としてコイルばね30Sを採用する場合について説明した。しかしながら、付勢部材の構成は本実施形態に限定されない。付勢部材は、例えば、第1対向面35aaと第2対向面38bとの間に圧縮した状態で配置された板ばねであってもよい。
【0083】
図3に示すように、キャップ部材30Cは、本体33の下端部に固定される。また、キャップ部材30Cは、本体33に取り付けられる被操作体36の下端部を下側および前側から囲む。キャップ部材30Cは、被操作体36が本体33に対し下側又は前側に離脱することを抑制する。
【0084】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0085】
上述した実施形態では、オプション部材としてのハンガーユニット30が背凭れ6に設けられる構成について説明した。すなわち、上述の実施形態のハンガーユニット30は、着衣がかけられるハンガーとしての機能を有する。しかしながら、ヘッドレストなどの他の機能を有するオプション部材において上記の構成を採用してもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、レバー部38の操作方向ODと係合部32dおよび被係合部37bの係合方向EDとが互いに一致する場合について説明した。しかしながら、操作方向ODと係合方向EDとは一致しなくてもよい。例えば、被操作体36がリンク機構を有する場合には、操作方向ODと係合方向EDとが、互いに異なる方向となる。
【符号の説明】
【0087】
1…椅子、20…背凭れ本体、30…ハンガーユニット(オプション部材)、30S…コイルばね(付勢部材)、31…ブラケット、31a…連結部、32…支持部、32d…係合部、32da…第1傾斜面、33…本体(オプション部材本体)、34d…凸条部、35a…支点部、35b…肩支持部、36…被操作体、37…動作部、37a…凹溝、37b…被係合部、37ba…第2傾斜面、38…レバー部、ED…係合方向、OD…操作方向、α…第1角度