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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】プリンタ及びプリンタ用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20221110BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
B41J29/00 T
B41J29/13
B41J29/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018231684
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020093432
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】相澤 和之
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-282392(JP,A)
【文献】特開2018-112559(JP,A)
【文献】特開2002-216243(JP,A)
【文献】特開2006-003678(JP,A)
【文献】特開2018-077396(JP,A)
【文献】特開2010-025960(JP,A)
【文献】特開2003-165261(JP,A)
【文献】特開2013-175046(JP,A)
【文献】特開2016-190376(JP,A)
【文献】特開2013-154478(JP,A)
【文献】特開2013-217992(JP,A)
【文献】特開2012-118203(JP,A)
【文献】特開平05-004421(JP,A)
【文献】特表2003-527705(JP,A)
【文献】米国特許第05513922(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 29/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に対向する底面を含む複数の外面を有すると共に、開口部を通じて記録紙を収納可能な記録紙収納部が形成されたプリンタ筐体と、
前記プリンタ筐体に連結され、前記開口部を開放可能に閉塞するプリンタカバーと、
複数の前記外面のうち、前記底面以外の外面に離脱可能に取り付けられ、所定の情報を表示可能なプリンタ用表示装置と、
前記プリンタ筐体と前記プリンタ用表示装置との間に接続されると共に、少なくとも前記情報に関連するデータを通信する接続ケーブルと、を備え、
前記プリンタ用表示装置は、
前記外面に対して分離可能に取り付けられる固定部と、
前記情報を表示する表示部が設けられた表示部本体と、
前記固定部に対して前記表示部本体を相対変位可能に、前記固定部と前記表示部本体とを互いに連結するヒンジ部と、を備え
前記プリンタ筐体は、複数の前記外面として互いに向かい合う前面及び後面を少なくとも有し、
前記プリンタカバーは、前記前面に設けられ、
前記プリンタ用表示装置は、前記後面に分離可能に取り付けられ、
前記ヒンジ部は、前記設置面、及び前記プリンタ用表示装置が取り付けられる前記外面に対してそれぞれ平行に延びる回転軸線を有し、
前記表示部本体は、前記ヒンジ部を介して前記回転軸線回りに回転可能に前記固定部に連結され、
前記プリンタ筐体は、複数の前記外面として、前記底面に対して向い合う天面をさらに有し、
前記表示部本体は、前記固定部に対して重ね合わされる第1位置と、前記表示部の全面が前記天面よりも上方に位置する第2位置との間を、前記回転軸線回りの回転によって変位可能とされている、ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記表示部本体は、前記第1位置から前記回転軸線回りに180度の回転角度範囲内で回転可能とされ、
前記第2位置は、前記表示部本体が前記第1位置から前記回転軸線回りに135度以上回転した位置とされている、プリンタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記固定部は、
前記外面に対して分離可能に取り付けられる第1ベース部と、
前記ヒンジ部を介して前記表示部本体が連結される第2ベース部と、
少なくとも1つ以上の補助ヒンジ部を介して、前記第1ベース部に対して前記第2ベース部を相対変位可能に、前記第1ベース部と前記第2ベース部とを連結する連結体と、を備えている、プリンタ。
【請求項4】
設置面に対向する底面を含む複数の外面を有すると共に、開口部を通じて記録紙を収納可能な記録紙収納部が形成されたプリンタ筐体と、前記プリンタ筐体に連結され、前記開
口部を開放可能に閉塞するプリンタカバーと、を備えるプリンタに分離可能に取り付けられると共に、前記プリンタ筐体との間に接続された接続ケーブルを通じてデータが通信されるプリンタ用表示装置であって、
複数の前記外面のうち、前記底面以外の外面に対して分離可能に取り付けられる固定部と、
所定の情報を表示可能な表示部が設けられた表示部本体と、
前記固定部に対して前記表示部本体を相対変位可能に、前記固定部と前記表示部本体とを互いに連結するヒンジ部と、を備え
前記プリンタ筐体は、複数の前記外面として互いに向かい合う前面及び後面を少なくとも有し、
前記プリンタカバーは、前記前面に設けられ、
前記プリンタ用表示装置は、前記後面に分離可能に取り付けられ、
前記ヒンジ部は、前記設置面、及び前記プリンタ用表示装置が取り付けられる前記外面に対してそれぞれ平行に延びる回転軸線を有し、
前記表示部本体は、前記ヒンジ部を介して前記回転軸線回りに回転可能に前記固定部に連結され、
前記プリンタ筐体は、複数の前記外面として、前記底面に対して向い合う天面をさらに有し、
前記表示部本体は、前記固定部に対して重ね合わされる第1位置と、前記表示部の全面が前記天面よりも上方に位置する第2位置との間を、前記回転軸線回りの回転によって変位可能とされている、ことを特徴とするプリンタ用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ及びプリンタ用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の店舗等において、例えば売上を入力し、入出金或いはレシート等を発行する装置として、POS(Point of sale systems)を管理することができるPOSシステムが採用されている。この種のPOSシステムとしては、例えばPOS端末、プリンタ、液晶ディスプレイ等の表示装置及びキャッシュドロワ等の周辺機器で構成されている。
【0003】
POSシステムを構成するプリンタとしては、種々のものが知られているが、例えば接続ケーブル等を介して表示装置に接続されたプリンタが知られている。
例えば、下記特許文献1には、正面側にプリンタ(サーマルプリンタ)を着脱自在に支持し、且つ背面側に表示装置を着脱可能に支持する支持部を有するプリンタスタンドが知られている。このプリンタスタンドによれば、プリンタを単独での設置姿勢(例えば横置き姿勢)とは異なる姿勢で支持するプリンタ支持機能と、表示装置を介して各種の情報を表示する広告媒体等としての広告機能と、の2つの機能を主に発揮することが可能とされている。
なお、それ以外のプリンタとして、例えば接続ケーブル等を介して自立型の表示装置に接続されたプリンタも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-230330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のプリンタスタンドの場合には、表示装置が支持部の背面側に固定されるため、表示装置を視認できる角度(視野角)が限定され易い。そのため、プリンタスタンドの姿勢に対応して、表示装置を視認する方向が限定されてしまう。従って、プリンタスタンドの設置後、表示装置の向きを容易に変化させることができず、各種の情報を効果的に表示させることが難しかった。
さらに、プリンタ及び表示装置がプリンタスタンドに支持されているので、これらを設置するためには、サイズが大きいプリンタスタンド自身の設置スペースを確保する必要がある。そのため、設置スペースを大きく確保する必要があり、設置場所が限定され易く、改善の余地があった。
【0006】
さらに、支持部の正面側にプリンタが支持され、支持部の背面側に表示装置が支持されているので、例えばプリンタで印刷されたレシート等の印刷物を受け取る受取者が、表示装置に表示される各種の情報を視認することが難しい。そのため、このような使い方に対応することができず、使い勝手が悪かった。さらには、プリンタ及び表示装置に加えて、これらを支持するプリンタスタンドが必要となるため、その分だけ部品点数が多くなってしまい、コスト高を招き易かった。
【0007】
さらに、自立型の表示装置に接続された従来のプリンタの場合には、上述したプリンタスタンドを利用する場合とは異なり、プリンタとは別個に表示装置を設置できるので、視認性に関しては十分に確保することが可能となる。しかしながら、プリンタ及び表示装置の設置場所をそれぞれ確保する必要があるので、やはり多くの設置スペースが必要となってしまう。さらには、表示装置自体が転倒する場合があり、故障に繋がる可能性が高くなるうえ、設置の信頼性が十分ではなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、高い視認性を確保することができると共に、省スペース化及び低コスト化を図ることができるプリンタ、及びプリンタ用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るプリンタは、設置面に対向する底面を含む複数の外面を有すると共に、開口部を通じて記録紙を収納可能な記録紙収納部が形成されたプリンタ筐体と、前記プリンタ筐体に連結され、前記開口部を開放可能に閉塞するプリンタカバーと、複数の前記外面のうち、前記底面以外の外面に離脱可能に取り付けられ、所定の情報を表示可能なプリンタ用表示装置と、前記プリンタ筐体と前記プリンタ用表示装置との間に接続されると共に、少なくとも前記情報に関連するデータを通信する接続ケーブルと、を備え、前記プリンタ用表示装置は、前記外面に対して分離可能に取り付けられる固定部と、前記情報を表示する表示部が設けられた表示部本体と、前記固定部に対して前記表示部本体を相対変位可能に、前記固定部と前記表示部本体とを互いに連結するヒンジ部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプリンタによれば、プリンタ筐体における底面以外の外面にプリンタ用表示装置を分離可能に直接的に取り付けているので、従来のようなプリンタスタンドを用いることなく、プリンタ用表示装置を保持することができる。そのため、プリンタスタンド分の設置スペースを省略することができ、プリンタ筐体分の設置スペースだけでプリンタ用表示装置も含めたプリンタ全体を設置することができる。従って、省スペース化を図ることができ、プリンタ周辺のスペースを効率的に利用してスペースの有効利用を図ることができる。さらに、従来のようなプリンタスタンドが不要となるので、その分の部品コストを削減することができ、プリンタ全体の低コスト化に繋げることができる。
【0011】
特にプリンタ用表示装置は、固定部と表示部が設けられた表示部本体とがヒンジ部を介して連結されており、ヒンジ部を利用して固定部に対して表示部本体を相対変位させることができる。これにより、プリンタの設置位置を変更することなく、表示部の向きを必要に応じて任意に調整することができる。従って、設置場所に関係なく、良好な視認性で表示部を視認させることができ、使用者に対して表示内容(各種の情報)を明瞭に伝えることができる。
【0012】
なお、プリンタ筐体からプリンタ用表示装置を分離させて取り外すこともできるので、接続ケーブルのケーブル範囲内において、プリンタ用表示装置をプリンタから分離させた状態で単独で設置する使い方も行える。従って、例えばプリンタ用表示装置を、プリンタに隣り合うように据え置き設置して利用することや、壁掛け固定して利用すること等が可能となる。このように、状況に応じた多様な使い方を行うことができ、使い易く汎用性に優れたプリンタとすることできる。
【0013】
(2)前記プリンタ筐体は、複数の前記外面として互いに向かい合う前面及び後面を少なくとも有し、前記プリンタカバーは、前記前面に設けられ、前記プリンタ用表示装置は、前記後面に分離可能に取り付けられても良い。
【0014】
この場合には、プリンタカバーとプリンタ用表示装置とを、プリンタ筐体を挟んで互いに反対側に位置するように配置することができる。通常、記録紙の排出口はプリンタカバー側に設けられる場合が多いため、プリンタ用表示装置とは反対側に排出口を通じて記録紙を排出することができる。そのため、例えば店舗の店員側に排出口を向け、店舗を利用する顧客側にプリンタ用表示装置を向けた状態でプリンタを設置するといった使い方を行うことができる。この場合において、プリンタ用表示装置を利用して顧客に対して各種の情報を提供しながら、記録紙を店員側に受け渡すことができるので、使い勝手の良い操作性に優れたプリンタとすることができる。特に、表示部の向きを、先に述べたように任意に調整できるので、プリンタの設置場所等に影響されることなく、顧客に対して視認性に優れた角度となるように表示部を向けることができる。
【0015】
(3)前記ヒンジ部は、前記設置面、及び前記プリンタ用表示装置が取り付けられる前記外面に対してそれぞれ平行に延びる回転軸線を有し、前記表示部本体は、前記ヒンジ部を介して前記回転軸線回りに回転可能に前記固定部に連結されても良い。
【0016】
この場合には、回転軸線が設置面及びプリンタ用表示装置が取り付けられる外面に対してそれぞれ平行に延びているので、回転軸線回りに表示部本体を上下に回転させながら固定部に対して相対変位させることができる。そのため、表示部本体を例えば上方に向けて開くように回転させることで、表示部が上向きになるように角度調整することができる。これにより、例えば使用者が立った姿勢において、下向きに視線を向けることで、表示部を良好に視認することができる。従って、プリンタ用表示装置の視認性をさらに高めることができ、より一層使い易いプリンタとすることができる。
【0017】
(4)前記プリンタ筐体は、複数の前記外面として、前記底面に対して向い合う天面をさらに有し、前記表示部本体は、前記固定部に対して重ね合わされる第1位置と、前記表示部が前記天面よりも上方に位置する第2位置との間を、前記回転軸線回りの回転によって変位可能とされても良い。
【0018】
この場合には、表示部が設けられた表示部本体を、第1位置から回転軸線回りに回転させながら第2位置に変位させることで、表示部を天面よりも上方に位置させることができる。これにより、例えば記録紙の排出口が設けられるプリンタカバーとプリンタ用表示装置とが、プリンタ筐体を挟んで互いに反対側に配置される場合であっても、表示部本体を第2位置まで変位させることで、排出口側から表示部を視認することが可能となる。従って、記録紙を受け取る受取者自身が表示部を視認することが可能となり、受取者に対して必要な情報を伝えることができる。このように、表示部本体を第2位置に変位させることで、従来のプリンタスタンドではなし得ない、多様な使い方を行うことができ、使い勝手に優れたプリンタとすることができる。
【0019】
(5)前記表示部本体は、前記第1位置から前記回転軸線回りに180度の回転角度範囲内で回転可能とされ、前記第2位置は、前記表示部本体が前記第1位置から前記回転軸線回りに135度以上回転した位置とされても良い。
【0020】
この場合には、表示部本体を第2位置に変位させたときに、表示部本体を第1位置から回転軸線回りに135度以上回転した位置、すなわち135度~180度の角度範囲内に収まる位置にセットすることができる。これにより、排出口側から表示部をより明瞭に視認し易くなり、視認性がさらに向上したプリンタとすることができる。
【0021】
(6)前記固定部は、前記外面に対して分離可能に取り付けられる第1ベース部と、前記ヒンジ部を介して前記表示部本体が連結される第2ベース部と、少なくとも1つ以上の補助ヒンジ部を介して、前記第1ベース部に対して前記第2ベース部を相対変位可能に、前記第1ベース部と前記第2ベース部とを連結する連結体と、を備えても良い。
【0022】
この場合には、補助ヒンジ部及び連結体を利用して、第1ベース部に対して第2ベース部を相対変位させることができると共に、変位した第2ベース部に対してヒンジ部を利用して表示部本体をさらに相対変位させることができるので、表示部本体の位置をさらに自由に調整することができる。従って、表示部の向きをより微細且つ自由に調整することができ、さらに良好な視認性で表示部を視認させることができる。
【0023】
(7)本発明に係るプリンタ用表示装置は、設置面に対向する底面を含む複数の外面を有すると共に、開口部を通じて記録紙を収納可能な記録紙収納部が形成されたプリンタ筐体と、前記プリンタ筐体に連結され、前記開口部を開放可能に閉塞するプリンタカバーと、を備えるプリンタに分離可能に取り付けられると共に、前記プリンタ筐体との間に接続された接続ケーブルを通じて少なくとも前記情報に関連するデータが通信されるプリンタ用表示装置であって、複数の前記外面のうち、前記底面以外の外面に対して分離可能に取り付けられる固定部と、所定の情報を表示可能な表示部が設けられた表示部本体と、前記固定部に対して前記表示部本体を相対変位可能に、前記固定部と前記表示部本体とを互いに連結するヒンジ部と、を備えていることを特徴とする。
【0024】
本発明に係るプリンタ用表示装置によれば、先に述べたプリンタと同様の作用効果を奏功することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るプリンタ及びプリンタ用表示装置によれば、高い視認性を確保することができると共に、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る第1実施形態を示す図であって、サーマルプリンタ(プリンタ)を具備するPOSシステムのブロック図である。
図2図1に示すサーマルプリンタを前面側から見た斜視図である。
図3図2に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図4図2に示すサーマルプリンタを後面側から見た斜視図である。
図5図4に示すサーマルプリンタの側面図である。
図6図4に示すサーマルプリンタを底面側から見た斜視図である。
図7図4に示す状態からプリンタ用表示装置を取り外した状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図8図4に示す表示部本体を固定部に対して重なるように配置した状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図9図8に示すサーマルプリンタの側面図である。
図10図8に示すサーマルプリンタを底面側から見た斜視図である。
図11図8に示す表示部本体を固定部に対して上向きに180度回転させた状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図12図11に示すサーマルプリンタの側面図である。
図13図11に示すサーマルプリンタを底面側から見た斜視図である。
図14図7において取り外したプリンタ用表示装置を壁掛け固定して使用している状態を示すプリンタ用表示装置の斜視図である。
図15図7において取り外したプリンタ用表示装置を設置面上に設置して使用している状態を示すプリンタ用表示装置の斜視図である。
図16図7において取り外したプリンタ用表示装置をケーシングの天面上に設置して使用している状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図17図7において取り外したプリンタ用表示装置をケーシングの天面上に設置して使用している状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図18】本発明に係る第2実施形態を示す図であって、サーマルプリンタを後面側から見た斜視図である。
図19図18に示すサーマルプリンタの側面図である。
図20図18に示すプリンタ用表示装置の斜視図である。
図21図18に示す状態からプリンタ用表示装置を上向きに45度回転させた状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図22図21に示すサーマルプリンタの側面図である。
図23図21に示す状態からプリンタ用表示装置を設置面に水平な面内方向に45度回転させた状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図24図23に示すサーマルプリンタの側面図である。
図25図23に示すサーマルプリンタを後面側から見た背面図である。
図26図23に示すサーマルプリンタの上面図である。
図27図23に示す状態からプリンタ用表示装置を設置面に水平な面内方向にさらに回転させて、表示部を前方側に向けた状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図28図27に示すサーマルプリンタを後面側から見た背面図である。
図29】本発明に係るサーマルプリンタの変形例を示す図であって、プリンタ用表示装置を取り外した状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図30】本発明に係るサーマルプリンタの別の変形例を示す図であって、プリンタ用表示装置を取り外した状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、POSシステムに用いられるサーマルプリンタを例に挙げて説明する。
【0028】
図1に示すように、POSシステム1は、物品販売の売上実績等を単品単位で集計するシステムであって、情報処理装置2及びサーマルプリンタ3を主に備え、例えばコンビニエンスストア、小売店、レストラン等の各種の店舗に設置される。また、POSシステム1は、店舗において顧客が購入した商品名や価格等の会計情報を含む各種の情報を、顧客に表示することが可能とされている。
なお、POSシステム1は、情報処理装置2及びサーマルプリンタ3だけでなく、その他の周辺機器をさらに備えていても構わない。
【0029】
情報処理装置2としては、例えばデスクトップ型或いはタブレット型のパーソナルコンピュータ等が挙げられるが、この場合に限定されるものではない。情報処理装置2とサーマルプリンタ3とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等の接続ケーブル4によって直接的に接続(有線接続)されている。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば情報処理装置2とサーマルプリンタ3とは、無線通信手段等を介して無線接続されていても構わないし、ネットワークを介して接続されていても構わない。
【0030】
図1図4に示すように、サーマルプリンタ3は、ロール状の記録紙(感熱紙)Pに印刷を行って、該記録紙Pを例えばチケットやレシート等として利用することが可能とされ、記録紙Pに各種の情報を印刷するプリンタ本体5と、各種の情報を表示するプリンタ用表示装置6と、プリンタ本体5とプリンタ用表示装置6との間に接続されると共に、少なくとも各種の情報に関連するデータを通信するUSBケーブル(本発明に係る接続ケーブル)7と、を主に備えている。
【0031】
サーマルプリンタ3は、例えば店舗の店頭に設置され、情報処理装置2によって動作が制御されている。そのため、プリンタ本体5は、情報処理装置2から送信された各種の情報を記録紙Pに印刷すると共に、印刷した記録紙Pを排出するように制御されている。また、プリンタ用表示装置6は、情報処理装置2から送信された各種の情報を表示するように制御されている。
【0032】
図2図4に示すように、サーマルプリンタ3は、店頭の設置面S上に設置され、全体としてはキューブ状に形成されている。
本実施形態では、図2に示す状態において、設置面Sに対して垂直な方向を上下方向L1といい、設置面Sに対して平行な面内において互いに直交する方向を前後方向L2及び左右方向L3という。なお、前後方向L2のうち、前方を矢印FWで示し、後方を矢印BAで示す。従って、図2では、紙面に対して左下側が前方、右上側が後方とされている。
【0033】
プリンタ本体5は、ケーシング(本発明に係るプリンタ筐体)10と、プリンタカバー11と、プラテンユニット12と、ヘッドユニット13と、を備え、記録紙Pが前方に排出される、いわゆる前出しタイプとされている。
【0034】
ケーシング10は、合成樹脂材料や金属材料或いはこれらを適宜組み合わせることで、前方に開口部20を有するキューブ状に形成され、設置面Sに対向する底面22を含む複数の外面21を有している。
複数の外面21のうち、底面22に対して上下方向L1に向い合う外面21を天面23という。また複数の外面21のうち、前方側に位置する外面21を前面24といい、後方側に位置する外面21を後面25という。これら前面24及び後面25は、前後方向L2に向かい合っている。さらに、複数の外面21のうち、左右方向L3に向かい合う外面21を一対の側面26という。
【0035】
ケーシング10の内部には、ケーシング10の前面24に形成された開口部20を通じてロール状の記録紙Pを収納可能な記録紙収納部30が形成されている。そのため、記録紙収納部30は、プリンタカバー11が開いたときに前方に開放される。これにより、記録紙収納部30内に前方からロール状の記録紙Pを投入することが可能とされている。
【0036】
プリンタカバー11は、ケーシング10の前面24側の下部に、図示しない回転軸部を介して連結されており、開口部20を開放可能に閉塞している。なお、プリンタカバー11は、回転軸部回りに略90度の角度範囲で回転するように連結されている。
図2に示すように、プリンタカバー11を閉じた際、該プリンタカバー11の先端とケーシング10との間には、若干の隙間があくように設計されている。記録紙Pは、この隙間を利用してケーシング10の内部から前方に引き出されて排出される。よって、この隙間は記録紙Pの排出口31として機能する。
【0037】
図2及び図3に示すように、上述のように構成されたプリンタカバー11には、操作ボタン32及び補助基板33Aを有する操作ユニット34が設けられている。
操作ボタン32は、例えば電源ボタンや紙送りボタンとされ、プリンタカバー11の外面に押下可能に露出した状態で配置されている。図示の例では、後述する解除レバー37の下方に上下方向L1に一列に並ぶように配置されている。
【0038】
補助基板33Aは、図示しない複数の電子部品や操作ボタン32の押下によってONとなる図示しないスイッチ(例えばメンブレンスイッチ等)が実装された基板であり、メイン基板33Bに対して電気的接続されている。図3に示すように、メイン基板33Bは、プリンタ本体5におけるケーシング10の天面23の内側に設けられ、情報処理装置2からの制御信号に基づいてサーマルプリンタ3の作動を総合的に制御する。
なお、補助基板33Aは、プリンタカバー11の内面側であって、操作ボタン32の裏側に位置するように配置されていると共に、プリンタカバー11の内面側に取り付けられた保護カバー35によって覆われている。
【0039】
さらにプリンタカバー11の先端側の内面には、プラテンユニット12が取り付けられている。プラテンユニット12は、記録紙Pを前方に向けて送り出すプラテンローラ36を主に備えており、プリンタカバー11の開閉動作に伴って移動し、ヘッドユニット13に対して組み合わせ可能とされている。
【0040】
ヘッドユニット13は、図示しないサーマルヘッド(印字ヘッド)を主に備えており、ケーシング10の内部に取り付けられている。具体的には、ヘッドユニット13は、記録紙収納部30の上方であって、ケーシング10の前面24寄りに取り付けられている。
サーマルヘッドは、記録紙Pの幅方向に延びるように形成されていると共に、プリンタカバー11が閉じたときにプラテンローラ36に対向する位置に配置されている。サーマルヘッドは、記録紙Pの幅方向に沿ってライン状に並んだ複数の発熱素子を有し、プラテンローラ36側に付勢されている。これにより、プラテンローラ36とヘッドユニット13との間で記録紙Pを挟み込むことができると共に、プラテンローラ36によって送り出される記録紙Pに対してサーマルヘッドを適切に押し付けることができ、良好な印刷が可能とされている。
【0041】
なお、プリンタカバー11が閉じた際、プラテンユニット12とヘッドユニット13とは互いに組み合わさって一体的に連結される。これにより、プリンタカバー11は閉状態でロックされる。
さらにケーシング10には、前面24と天面23と一方の側面26とが交差する角部に、プリンタカバー11のロックを解除して、該プリンタカバー11の開操作を行う際の解除レバー37が設けられている。解除レバー37は、例えば下方に向けて押下げ操作可能とされ、押下げ操作に伴ってヘッドユニット13とプラテンユニット12との組み合わせを解除することが可能とされている。これにより、図3に示すようにプリンタカバー11のロックが解除される。
【0042】
図4図7に示すように、プリンタ用表示装置6は、プリンタ本体5に対して離脱可能(取り外し可能)に取り付けられている。
プリンタ用表示装置6は、プリンタ本体5のケーシング10における後面25に離脱可能に取り付けられる固定部40と、各種の情報を表示する表示部51が設けられた表示部本体50と、固定部40に対して表示部本体50を相対変位可能に、固定部40と表示部本体50とを互いに連結するヒンジ部60と、を備えている。
【0043】
ケーシング10の後面25側について簡単に説明する。
図6及び図7に示すように、ケーシング10の後面25には、固定部40が取り付けられる取付面70がケーシング10の略上側半分に位置するように形成されていると共に、USBケーブル7が引き出される接続用凹部71が取付面70の下方に位置するように形成されている。なお、図7では、USBケーブル7の図示を省略している。
【0044】
本実施形態では、プリンタ用表示装置6は、取付面70に対して複数(4つ)の固定ねじ72を利用して取り付けられている。なお、固定ねじ72の数は4つに限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0045】
図7に示すように、取付面70には、複数の固定ねじ72がそれぞれ螺着されるねじ孔73が複数形成されている。図示の例では、ねじ孔73は固定ねじ72に対応して4つ形成され、左右方向L3及び上下方向L1にそれぞれ間隔をあけて配列されるように形成されている。
図6及び図7に示すように、接続用凹部71は、取付面70よりも前方側に凹むように形成されていると共に、下方に開口するように形成されている。接続用凹部71は、下方を向いた第1壁面75と後方を向いた第2壁面76とで画成される。これら第1壁面75及び第2壁面76には、プリンタ本体5に対して周辺機器を接続するための各種の接続用コネクタが設けられている。
【0046】
このように構成されたケーシング10の後面25側には、USBケーブル7が第1壁面75から下方に向けて引き出されるように接続されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、USBケーブル7は第2壁面76から引き出されるように接続されていても構わない。
【0047】
USBケーブル7の先端部には、雄型のUSBコネクタ7aが取り付けられている。USBケーブル7は、USBコネクタ7aを介して表示部本体50に取り外し可能に接続可能とされている。これにより、USBケーブル7は、ケーシング10と表示部本体50との間を接続している。
なお、USBケーブル7の基端部に図示しない雄型のUSBコネクタを取り付け、このUSBコネクタを介してUSBケーブル7を第1壁面75側に取り外し可能に接続しても構わない。
【0048】
USBケーブル7は、ケーシング10における後面25の内側に配置され、メイン基板33Bに対して電気的接続された外部接続基板33Cと、表示部本体50内に配置された後述する表示制御基板54とを電気的接続しており、少なくとも表示部51に表示する各種情報に関連するデータ(通信信号)を通信している。なお、本実施形態では、USBケーブル7は、プリンタ本体5側から表示部本体50側に電力を供給する機能も果たしている。
ただし、表示部本体50への電力供給(給電方法)は、この場合に限定されるものではなく、例えばプリンタ本体5以外の周辺機器から電力を供給しても構わないし、表示部本体50に二次電池等の電源部を内蔵することで電源部から電力が供給されても構わない。
【0049】
以下、プリンタ用表示装置6について詳細に説明する。
図4図7に示すように固定部40は、取付面70に対して後方から重なるプレート状に形成されている。図示の例では、固定部40は、左右方向L3に沿った横幅がケーシング10の横幅よりも小さく形成されていると共に、上方から下方に向かうにしたがって横幅が漸次小さくなる平面視台形状に形成されている。ただし、固定部40の形状はこの場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
固定部40には、固定ねじ72を挿通させる図示しない複数の挿通孔が形成されている。挿通孔は、取付面70に形成されたねじ孔73の数及び位置に対応するように形成されている。
【0050】
従って、挿通孔を通じて固定ねじ72をねじ孔73に螺着することで、取付面70に固定部40を固定することができる。また、固定ねじ72を取り外すことで、取付面70から固定部40を取り外すことが可能となる。このように、固定ねじ72を利用して、プリンタ本体5におけるケーシング10の後面25に、プリンタ用表示装置6を離脱可能に取り付けることが可能とされている。
特に、固定ねじ72を利用するので、取付面70に対して固定部40を適切に密着させた状態で強固に固定することができる。従って、プリンタ用表示装置6をがたつき少なく取り付けることができ、安定した取付状態を維持することができる。
【0051】
なお、固定部40の下部には、該固定部40を前後方向L2に貫通すると共に、下方に開口した逃げ孔41が形成されている。逃げ孔41は、固定部40における左右方向L3の中央部分に形成されていると共に、下方に向かうにしたがって左右方向L3に沿った開口幅が漸次広くなる平面視台形状に形成されている。ただし、逃げ孔41の形状はこの場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0052】
表示部本体50は、所定の厚みを有する平面視矩形状の表示ケース52を備えている。表示ケース52は、上下方向L1よりも左右方向L3に長い矩形状に形成されている。図示の例では、表示ケース52の左右方向L3に沿った横幅は、固定部40の横幅よりも僅かに大きく、且つケーシング10の横幅よりも小さく形成されている。従って、プリンタ用表示装置6は、ケーシング10の横幅サイズ内に収まるように設計されている。
【0053】
表示ケース52内には、各種の情報を表示する表示部51が設けられていると共に、表示部51の制御部を行う表示制御部53が実装された図示しない表示制御基板54(図1参照)が設けられている。表示制御部53は、例えばUSBケーブル7を通じて送信されてきた各種の情報に関連するデータに基づいて、表示部51に情報を表示させる制御を行う。
【0054】
表示部51は、表示ケース52の表面側に大きく露出するように配置されている。表示部51としては、例えばセグメント表示を行うカラー或いはモノクロの液晶ディスプレイ(LCD)や、単色或いはフルカラーの高微細な液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が挙げられる。ただし、表示部51の種類は、この場合に限定されるものではなく、各種の情報を表示できれば、その他のものを採用しても構わない。
さらには、表示部51として例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を採用する場合、立体画像表示機能やタッチパネル機能、各種の機能を具備させても構わない。この場合には、各機能に対応した表示部51を適宜選択すると共に、各機能を発揮するように表示制御部53に各種のプログラム等を組み込めば良い。
【0055】
表示ケース52の裏面(固定部40に対して向かい合う面)側には、USBケーブル7のUSBコネクタ7aが接続される図示しない雌型のUSBコネクタが形成されている。雌型のUSBコネクタは、固定部40に対して表示ケース52を重ね合わせるように配置したときに、固定部40に形成された逃げ孔41に向かい合う位置に形成されている。
これにより、雌型のUSBコネクタに対してUSBケーブル7のUSBコネクタ7aを接続した状態で、固定部40に対して表示ケース52を重ね合わせたとしても、逃げ孔41内にUSBケーブル7を逃がすことが可能とされている。そのため、USBケーブル7の影響を受けることなく、固定部40に対して表示部本体50を重ね合わせることが可能とされている。
【0056】
上述のように構成された固定部40の上端部と、表示部本体50の表示ケース52の上端部とは、ヒンジ部60を介して連結されている。ヒンジ部60は、設置面S及びケーシング10の後面25に対してそれぞれ平行に延びる、すなわち左右方向L3に沿って延びる回転軸線M1を有している。これにより、表示部本体50は、ヒンジ部60を介して回転軸線M1回りに回転可能に固定部40に連結されている。
【0057】
表示部本体50は、図8図10に示されるように固定部40に対して重ね合わされる第1位置P1と、図11図13に示すように、表示部51がケーシング10の天面23よりも上方に位置する第2位置P2と、の間を回転軸線M1回りの回転によって変位可能とされている。
具体的には、表示部本体50は、第1位置P1から、図11から図13に示すように回転軸線M1回りに180度の回転角度範囲で回転可能とされている。なお第2位置P2は、表示部本体50が第1位置P1から回転軸線M1回りに135度以上回転した位置とされている。
【0058】
ヒンジ部60は、回転軸線M1に沿って延びる図示しない回転軸を内部に有し、回転軸を利用して固定部40と表示ケース52とを回転可能に連結している。さらにヒンジ部60内には、回転軸線M1回りに表示部本体50を回転させたときに、任意の回転角度で表示部本体50を位置決めする図示しない角度調整機構を備えている。
角度調整機構としては、例えば回転軸に対して所定の回転抵抗力を付与するダンパー機構を含み、回転抵抗力によって無段階的に任意の回転角度で表示部本体50の姿勢を保持するものが挙げられる。
さらには別の角度調整機構として、例えば機械的負荷の変化等を利用して、段階的に任意の回転角度で表示部本体50の姿勢を保持するものが挙げられる。
【0059】
このように、ヒンジ部60内に角度調整機構が設けられているので、表示部本体50を回転軸線M1回りに回転させて任意の回転角度にセットしたときに、その位置で表示部本体50を維持することが可能とされている。
【0060】
(サーマルプリンタの作用)
次に、上述のように構成されたサーマルプリンタ3を利用する場合について説明する。
このサーマルプリンタ3によれば、図2及び図4に示すように、ケーシング10の前面24側にプリンタカバー11及び排出口31が配置され、ケーシング10の後面25側にプリンタ用表示装置6が配置されている。そのため、例えば店舗の店員側に排出口31を向け、店舗を利用する顧客側にプリンタ用表示装置6を向けた状態でプリンタを店頭に設置するといった使い方を行うことができる。従って、表示部51を利用して顧客に対して各種の情報を提供しながら、印刷した記録紙Pを店員側に受け渡すことができるので、使い勝手の良い操作性に優れたプリンタとすることができる。
【0061】
さらに、ケーシング10の後面25側にプリンタ用表示装置6を分離可能に直接的に取り付けているので、従来のようなプリンタスタンドを用いることなく、プリンタ用表示装置6を保持することができる。そのため、プリンタスタンド分の設置スペースを省略することができ、ケーシング10分の設置スペースだけでプリンタ用表示装置6も含めたサーマルプリンタ3の全体を設置することができる。従って、省スペース化を図ることができ、サーマルプリンタ3周辺のスペースを効率的に利用して、店頭におけるスペースの有効利用に繋げることができる。
さらに、従来のようなプリンタスタンドが不要となるので、その分の部品コストを削減することができ、サーマルプリンタ3全体の低コスト化に繋げることができる。
【0062】
特にプリンタ用表示装置6は、固定部40と表示部51が設けられた表示部本体50とがヒンジ部60を介して連結されており、ヒンジ部60を利用して固定部40に対して表示部本体50を相対変位させることができる。これにより、サーマルプリンタ3の設置位置を変更することなく、表示部51の向きを必要に応じて任意に調整することができる。従って、設置場所に関係なく、良好な視認性で表示部51を視認させることができ、例えば店員或いは顧客に対して表示内容(各種の情報)を明瞭に伝えることができる。
【0063】
表示部51の向きについて、より詳細に説明すると、回転軸線M1が左右方向L3に沿って延びているので、回転軸線M1回りに表示部本体50を上下に回転させながら、固定部40に対して相対変位させることができる。従って、表示部本体50を図8図10に示す第1位置P1から上方に向けて開くように回転させながら、表示部51が上向きになるように角度調整することができ、図4図6に示すように表示部本体50を第1位置P1から45度回転させた位置にセットすることができる。
これにより、例えば店員が立った姿勢において、下向きに視線を向けることで、表示部51を良好に視認することができる。従って、プリンタ用表示装置6の視認性をさらに高めることができる。
【0064】
さらに、表示部本体50を回転軸線M1回りにさらに回転させて、第1位置P1から135度以上回転した位置、すなわち135度~180度の角度範囲内に収まる位置まで変位させることで、図11図13に示すように第2位置P2に変位させることができる。なお、図11図13では、表示部本体50が第1位置P1から180度回転した状態を図示している。
【0065】
表示部本体50を第2位置P2に変位させることで、表示部51をケーシング10の天面23よりも上方に位置させることができる。これにより、排出口31側から表示部51を視認することが可能となる。従って、印刷された記録紙Pを受け取る受取者(例えば店員)自身が表示部51を視認することが可能となり、受取者に対して必要な情報を伝えることができる。このように、表示部本体50を第2位置P2に変位させることで、従来のプリンタスタンドではなし得ない、多様な使い方を行うことができ、使い勝手に優れたサーマルプリンタ3とすることができる。
【0066】
特に、表示部本体50を第1位置P1から180度回転させることができるので、排出口31側から表示部51をより明瞭に視認し易くなり、視認性がさらに向上することができる。
なお、サーマルプリンタ3が印刷する記録紙Pを、顧客が受け取るチケットとして発券するような使い方を行った場合には、例えば顧客自身が表示部51を視認しながら、チケットを受け取るこができる。
【0067】
また、表示部本体50の回転角度に応じて、表示部51に表示する表示内容(各種の情報)の上下の向きを自動或いは任意に切り換える機能を具備させることが好ましい。このようにすることで、例えば図11に示すように表示部51に表示する表示内容(各図面では「ABC」としている)を適切に上下反転させることが可能となる。
表示内容の上下の向きを自動で切り替える場合には、例えばヒンジ部60の回転角度を検出する検出部を設け、該検出部の検出結果に基づいて表示制御部53が表示内容の上下を切り換えるように構成すれば良い。
また、表示内容の上下の向きを任意で切り替える場合には、例えばケーシング10或いは表示ケース52に外部操作可能なスイッチ等を設け、店員等によるスイッチのオンオフ等に基づいて表示制御部53が表示内容の上下を切り換えるように構成すれば良い。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のサーマルプリンタ3及びプリンタ用表示装置6によれば、高い視認性を確保することができると共に、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
【0069】
さらに、本実施形態のサーマルプリンタ3では、固定ねじ72を取り外すことで、ケーシング10からプリンタ用表示装置6を分離させて、取り外すことができる。これにより、USBケーブル7のケーブル範囲内において、プリンタ用表示装置6をプリンタから分離させた状態で単独で設置することも可能である。
【0070】
従って、例えば図14に示すように、プリンタ用表示装置6を、壁掛け固定して利用することや、図15に示すように、サーマルプリンタ3に隣り合うように店頭の設置面S上に設置して利用すること等が可能となる。なお、図14及び図15ではサーマルプリンタ3及びUSBケーブル7の図示を省略している。
【0071】
さらには、図16に示すように、ケーシング10の天面23上に、表示部51を排出口31側に向けた状態でプリンタ用表示装置6を設置して利用することや、図17に示すように、ケーシング10の天面23上に、表示部51をケーシング10の後面25側に向けた状態でプリンタ用表示装置6を設置して利用すること等も可能である。なお、図16及び図17ではUSBケーブル7の図示を省略している。
【0072】
このように、ケーシング10からプリンタ用表示装置6を取り外した状態で使用することもできるので、状況に応じた多様な使い方を行うことができ、使い易く汎用性に優れ、設計自由度の高いサーマルプリンタ3とすることできる。
【0073】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0074】
図18及び図19に示すように、本実施形態のサーマルプリンタ80は、固定部82、表示部本体50及びヒンジ部60を有するプリンタ用表示装置81を備えている。なお、本実施形態では、USBケーブル7の図示を省略している。
【0075】
図18図20に示すように、固定部82は、ケーシング10における後面25側の取付面70に対して固定ねじ72を利用して分離可能に取り付けられる第1ベース部90と、ヒンジ部60を介して表示部本体50が連結される第2ベース部91と、第1補助ヒンジ部(本発明に係る補助ヒンジ部)92及び第2補助ヒンジ部(本発明に係る補助ヒンジ部)93を介して、第1ベース部90に対して第2ベース部91を相対変位可能に第1ベース部90と第2ベース部91とを連結する連結プレート(本発明に係る連結体)94と、を備えている。
【0076】
第1ベース部90は、取付面70に対して後方から重なるプレート状に形成されている。図示の例では、第1ベース部90は、上下方向L1よりも左右方向L3に長い平面視矩形状に形成され、その左右方向L3に沿った横幅はケーシング10の横幅よりも小さく形成されている。第1ベース部90には、固定ねじ72を挿通させる挿通孔90a(図20参照)が形成されている。
【0077】
従って、挿通孔90aを通じて固定ねじ72をねじ孔73に螺着することで、取付面70に第1ベース部90を固定することができる。また、固定ねじ72を取り外すことで、取付面70から第1ベース部90を取り外すことが可能となる。このように、固定ねじ72を利用して、プリンタ本体5におけるケーシング10の後面25に、プリンタ用表示装置81を離脱可能に取り付けることが可能とされている。
【0078】
なお、第1ベース部90の下部には、該第1ベース部90を前後方向L2に貫通すると共に、下方に開口した第1逃げ孔95(図28参照)が形成されている。第1逃げ孔95は、第1ベース部90における左右方向L3の中央部分に形成されている。
【0079】
第2ベース部91は、第1ベース部90との間に間隔をあけた状態で第1ベース部90の後方側に配置され、第1ベース部90と同程度のサイズのプレート状に形成されている。第2ベース部91の下部には、該第2ベース部91を前後方向L2に貫通すると共に下方に開口した第2逃げ孔96(図28参照)が形成されている。第2逃げ孔96は、第2ベース部91における左右方向L3の中央部分に形成されている。
上述した第1逃げ孔95内及び第2逃げ孔96内に必要に応じてUSBケーブル7を逃がすことが可能とされている。そして、第2ベース部91の上端部と、表示部本体50の表示ケース52の上端部とがヒンジ部60を介して連結されている。
【0080】
連結プレート94は、第1ベース部90と第2ベース部91とを対向配置させた状態において、前後方向L2よりも上下方向L1に長いプレート状に形成されている。連結プレート94は、第1ベース部90における左右方向L3の一方側の端部に対して第1補助ヒンジ部92を介して連結され、且つ第2ベースにおける左右方向L3の一方側の端部に対して第2補助ヒンジ部93を介して連結されている。これにより、連結プレート94は、第1補助ヒンジ部92及び第2補助ヒンジ部93を介して第1ベース部90と第2ベース部91とを連結している。
【0081】
第1補助ヒンジ部92は、上下方向L1に沿って延びる回転軸線M2を有している。同様に第2補助ヒンジ部93は、上下方向L1に沿って延びる回転軸線M3を有している。これにより、2つの回転軸線M2、M3回りに回転させながら、第1ベース部90に対して第2ベース部92を設置面Sに平行な面内方向に開くように相対変位させることが可能とされている。
【0082】
(サーマルプリンタの作用)
上述のように構成されたサーマルプリンタ80を利用する場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。それに加え、さらに以下の作用効果を奏功することができる。
【0083】
すなわち、第1補助ヒンジ部92、第2補助ヒンジ部93及び連結プレート94を利用して、第1ベース部90に対して第2ベース部91を相対変位させることができると共に、変位した第2ベース部91に対してヒンジ部60を利用して表示部本体50をさらに相対変位させることができるので、表示部本体50の位置をさらに自由に調整することができる。従って、表示部51の向きをより微細且つ自由に調整することができ、さらに良好な視認性で表示部51を視認させることができる。
【0084】
例えば、図18及び図19に示すように第1位置P1に表示部本体50が位置している状態から、図21及び図22に示すように、表示部本体50を回転軸線M1回りに上向きに回転させて、上向き45度の回転角度位置にセットした後、図23図26に示すように、回転軸線M2回り及び回転軸線M3回りに第2ベース部91を回転させることで、表示部51の向きをさらに斜め後方45度を向くようにセットすることができる。
【0085】
さらには、この状態から図27及び図28に示すように、回転軸線M2回り及び回転軸線M3回りに第2ベース部91をさらに回転させて、第1ベース部90に対して設置面Sに平行な面内方向に180度開いた位置にセットすることで、表示部51を上向き45度の姿勢を保ったまま、前方に向けることができる。特に、連結プレート94を利用しているので、第1ベース部90に対して第2ベース部91が左右方向L3に隣り合うようにセットすることができる。従って、表示部51を前方に真っすぐ向けることが可能である。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0087】
例えば、上記各実施形態では、記録紙Pが前方に排出される前出しタイプのサーマルプリンタを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば記録紙Pが上方に排出される上出しタイプのサーマルプリンタであっても構わない。
また、上記各実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタを例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばインク滴を利用して記録紙Pに印刷するインクジェットプリンタ等であっても構わない。
【0088】
さらに上記各実施形態では、ケーシング10の後面25側にプリンタ用表示装置を取り付ける場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、底面22以外の外面21に取り付けられていれば構わない。例えば、ケーシング10の天面23或いは側面26にプリンタ用表示装置を取り付けても構わない。
【0089】
さらに上記各実施形態では、表示部本体50側に表示制御部53が実装された表示制御基板54を設けた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、固定部を、表示制御部53が実装された表示制御基板54を内部に有する固定ケースとして形成し、表示部本体50に表示部51だけを設ける構成としても構わない。この場合には、USBケーブル7を固定ケース側に接続すれば良い。
【0090】
さらに上記各実施形態では、固定ねじ72を利用してケーシング10の後面25における取付面70にプリンタ用表示装置を取り付けた場合を例に挙げて説明したが、固定ねじ72に限定されるものではなく、分離可能(取り外し可能)に取り付けられていれば、その他の手段を採用しても構わない。
【0091】
例えば図29に示すように、取付面70にねじ孔73に代えて、左右方向L3に間隔をあけて配置された一対の挟持部101を形成しても構わない。挟持部101は、上下方向L1に沿って延びると共に、後方に向けて突出した挟持片102と、挟持片102の先端に形成された係止突起103と、を備え、左右方向L3に弾性変形可能とされている。そして一対の挟持部101は、弾性力を利用してプリンタ用表示装置6の固定部40を左右方向L3から挟み込むように挟持することが可能とされている。
【0092】
このように構成したサーマルプリンタ100の場合であっても、取付面70に対してプリンタ用表示装置6を分離可能に取り付けることが可能となるので、各実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。なお、この場合には、固定部40の下端部を下方から支持する段部104を取付面70に形成することが好ましい。
【0093】
さらには図30に示すように、固定部40の下端部を下方から支持する段部111を取付面70に形成すると共に、固定部40を上方からスライド挿入可能とさせるスライド溝112を取付面70との間に画成させるための一対のガイド片113を上下方向L1に延びるように形成しても構わない。
このように構成したサーマルプリンタ110の場合であっても、取付面70に対してプリンタ用表示装置6を分離可能に取り付けることが可能となるので、各実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
【符号の説明】
【0094】
P…記録紙
S…設置面
M1…回転軸線
P1…第1位置
P2…第2位置
3、80、100、110…サーマルプリンタ(プリンタ)
6、81…プリンタ用表示装置
7…USBケーブル(接続ケーブル)
10…ケーシング(プリンタ筐体)
11…プリンタカバー
20…開口部
21…ケーシングの外面(プリンタ筐体の外面)
22…ケーシングの底面(プリンタ筐体の底面)
23…ケーシングの天面(プリンタ筐体の天面)
24…ケーシングの前面(プリンタ筐体の前面)
25…ケーシングの後面(プリンタ筐体の後面)
30…記録紙収納部
40、82…固定部
50…表示部本体
51…表示部
60…ヒンジ部
90…第1ベース部
91…第2ベース部
92…第1補助ヒンジ部(補助ヒンジ部)
93…第2補助ヒンジ部(補助ヒンジ部)
94…連結プレート(連結体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30