(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電子デバイス構成
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/02 20060101AFI20221110BHJP
G05B 19/042 20060101ALI20221110BHJP
H02H 9/00 20060101ALI20221110BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20221110BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20221110BHJP
【FI】
H04Q9/02 B
G05B19/042
H02H9/00 Z
H04B5/02
H04W76/10
(21)【出願番号】P 2018544778
(86)(22)【出願日】2017-01-25
(86)【国際出願番号】 GB2017050188
(87)【国際公開番号】W WO2017144846
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-01-24
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・スチュワート・パーフィット
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-80289(JP,A)
【文献】特開2005-333169(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0296598(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0041930(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0007336(US,A1)
【文献】国際公開第2015/025267(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/042
H02H 9/00
H04Q 9/02
H04B 5/02
H04W 76/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路を絶縁するための複数の絶縁用構成
に、マイクロプロセッサベース制御素子及び不揮発性記憶装置によって構成され得る絶縁デバイスであって、
前記複数の絶縁用構成のうちのいずれか1つに選択的に変更可能に配置された前記絶縁デバイスと、
該絶縁デバイスと通信する無線送受信機であって、前記絶縁デバイス
を無線構成データに基づいて前記複数の絶縁用構成のうちの1つへ選択的に構成するための
前記無線構成データを受信するように構成され、選択的な前記絶縁用構成を構成又はチェックするための無線質問データを伝送するように構成され、かつ、前記絶縁デバイスの状態及び診断情報に関連するデータを伝送するように構成される前記無線送受信機とを備える、機能的電子デバイス。
【請求項2】
前記無線送受信機が、前記絶縁デバイスが電力供給された状態にない間に無線構成データを受信するように構成されている、請求項1に記載の機能的電子デバイス。
【請求項3】
不揮発性メモリ機能性を含む、請求項1に記載の機能的電子デバイス。
【請求項4】
前記無線送受信機が、RFIDデバイスを備える、請求項1に記載の機能的電子デバイス。
【請求項5】
前記無線送受信機が、近距離場通信機能性を用いる、請求項1に記載の機能的電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アイソレーション(絶縁)及び/またはバリア機能性を提供する電子デバイスなどの機能的電子デバイスの構成に関し、必要に応じて、本質的に安全な環境で動作するデバイスに関し得る。
【0002】
絶縁及び/もしくはバリア、または実際に一般的な安全、機能性などの特性を提供する電子デバイスは、プロセス制御環境における制御システムに関する一般的な使用を見出す。
【0003】
そのような環境において動作するための多種多様なプロセス制御システムが知られており、何らかの形態のデバイス/回路絶縁を必要とする。
【0004】
部品素子及びそれぞれの配線素子の選択が一般的に知られ、工場で設定されるように、アイソレータ(絶縁器)などの既知のデバイスが、特定の機能的要件を念頭に置いて一般的に製造される一方で、最近では、ますます高性能なバリア/絶縁デバイス、特に、例えば、いわゆるユニバーサル絶縁器が登場している。これらの絶縁器は、1つのデバイス内の可能な機能の絶えず増加する選択肢を提供し得る。したがって、そのようなデバイスの正確な機能性は設定されず、いくつかの可能な機能的要件のうちの1つを満たすようなユニバーサル絶縁器を構成することが可能になる。センサのタイプ及び範囲を設定する必要があるため、そのような構成は、熱電対及びRTD絶縁器に関しても知られている。
【0005】
しかしながら、必要とされる機能性のためにそのような既知のユニバーサル絶縁器を構成するために、構成ユニットは、シリアルラインまたはプラグインデバイスのいずれかによってデバイスに接続されており、これらの両方は、既に組み立てられたデバイスへの物理的接続を必要とする。必要とされる再構成の選択を達成するために、スイッチが採用されることが一般的に必要とされる。
【0006】
様々な不利点及び制限が、そのような既知の構成の配置に関して特定されている。例えば、シリアルラインの使用を採用する際、その構成は、特定のシステム要件に対して不利に固有のものである。また、プラグインデバイスに関連するケーブルを採用する場合、そのようなケーブルは、一般的に、紛失するかもしくは損傷を受ける、またはさもなければ要件の特定の時間及び位置において利用可能でない可能性があり、これは、構成プロセスを中断またはさらには阻止する場合がある。次いで、これは、ユニバーサル絶縁器が使用されることになるシステム全体の立ち上げ/使用に重大な問題を引き起こし得る。また、必要とされる再構成を使用可能にするために、絶縁ユニットを取り外す必要があり、既知のシステムで生じた破壊のレベルを増加させるという関連した不利点もある。
【0007】
また、アイソレータ(絶縁)デバイスへのそのような物理的接続は、電磁両立性(EMC)問題を提示し得、したがって、構成プロセスが開始する前に、構成に対する責任を有する操作者は、地上に足を付けるように注意する必要がある。そのような既知の構成配置では、絶縁器が構成プロセスの間に電力供給状態でなければならない場合があるということは、更なる不利点である。
【0008】
本発明は、構成可能な機能性を有し、かつ既知のそのようなデバイスよりも1つ以上の利点を提供する機能的電子デバイスを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、回路の絶縁を提供するための絶縁デバイスであって、絶縁デバイスの機能の変更のための構成可能な機能性を提供するように配置されており、かつデバイスの選択的構成のための無線構成データを受信するための無線受信手段を含む、絶縁デバイスを提供する。
【0010】
無線構成データを受信するために配置されている機能的デバイス内の無線受信手段の提供を通して、機能的デバイスのはるかに柔軟で、効率的で、信頼性があり、また潜在的に費用効率の良い構成が達成され得る。
【0011】
特に、本発明の機能的デバイスは、操作者が、遠隔で、適切な距離から、ならびに、例えば、デバイスが電力供給されたまたは電力供給されていない状態の間、任意の状況において、デバイスが組み立てモードまたは実際に組み立て後試験モードにある間、デバイスが機能的システム内に取り付けられるか、またはそのようなシステム内の取り付けのために手動で取り扱われる間、また、現場に、例えば、フィールド内に位置付けられる間などだが、それらに制限されない、任意の適切な状況において、デバイスを構成することを可能にする。
【0012】
有利に、電子絶縁デバイスは、構成された状態に関するデータの無線伝送のための手段を含む。
【0013】
このような方法で、デバイスの任意の以前の構成は、容易に遠隔でチェックされ、必要に応じて、試験の間、または使用のためにフィールド内に取り付けられるときに再チェックされ得る。
【0014】
したがって、有利に、無線受信手段は、デバイスが電力供給されている間に無線構成データを受信するように配置されている。
【0015】
代替的に、無線受信手段は、デバイスが電力供給された状態にない間に無線構成データを受信するように配置されている。
【0016】
更なる利点として、デバイスは、不揮発性メモリ機能性を含む。
【0017】
1つの特に有利な実施形態では、無線受信手段は、RFIDデバイスを備える。
【0018】
また、機能的電子デバイスは、近距離場通信機能性を含み得る。特に、無線受信手段は、近距離場通信機能性を呈し得る。
【0019】
更なる例として、電子機能的デバイスは、モバイルが使用可能であるように配置され得る。
【0020】
電子機能デバイスの1つの特定の実施形態は、絶縁デバイスを備える。特に、絶縁デバイスは、ユニバーサル絶縁器を備え得る。
【0021】
本発明の別の例では、電子機能デバイスは、バリアデバイスを備え得る。
【0022】
特に、機能的電子デバイスは、本質的に安全な環境内で動作するデバイスの安全機能性を提供するように配置されている。
【0023】
したがって、認識されるように、本発明は、ユニバーサル絶縁器などの機能的デバイスの構成を達成し、維持し、有利に遠隔的な方法で容易にチェックするための、特に効率的で、適合可能で、かつ費用効率の良い手段を提供する。その構成は、組み立て中、組み立て後、立ち上げ中、または後でフィールド試験及び現場使用シナリオにおいて、維持、チェック、及び達成され得る。
【0024】
一例によれば、本発明は、デバイスから得られたデータがデバイス状態及び/または診断情報を含み得るように配置され得る。
【0025】
スマートフォンなどの任意の通信デバイスは、適切なアプリケーションを介してRFIDチップを用いて対話する設備をますます有している。したがって、構成ユニットは、次いで、有利に、スマートフォンデバイス、ラップトップコンピュータ、及びタブレットデバイスなどの既知の一般的に利用可能な通信デバイス内に組み込まれ得る。
【0026】
RFIDデバイスの費用及びフットプリントはまた、現在ユニバーサル絶縁器の構成のために使用されるものなど、外部EEPROM(登録商標)よりも有利に小さい。
【0027】
さらに、高価なコネクタ及び関連部品が不要である。
【0028】
したがって、デバイスは、機能的デバイスの近傍にあるときはいつでも、有利に、その構成を点検及びチェックし得る。
【0029】
また、必要に応じて、及び必要とされるときに、複数のデバイスは、構成ユニットからの構成/質問伝送の同時受信を通して、容易に構成/チェックされ得る。
【0030】
本発明は、添付の図面を参照して、単なる例として以下に更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】既知のユニバーサル
絶縁器及び構成接続性に関する既知のオプションの概略ブロック図である。
【
図1B】本質的に安全なシステムに関する使用のために
絶縁キャビネット内に取り付けられるものなど、システムに取り付けられたときの複数のそのような既知のユニバーサル
絶縁デバイスの取り付けの斜視図である。
【
図2A】本発明の一実施形態によるユニバーサル
絶縁器の概略図である。
【
図2B】例えば、本質的に安全なシステムの
絶縁キャビネット内の
絶縁システムの一部を形成する、本発明の実施形態によるユニバーサル
絶縁器のアレイの斜視図である。
【0032】
最初に
図1Aを参照すると、例えば、本質的に安全な環境内で動作するように配置されているフィールドデバイスに
絶縁を提供するように配置され得るユニバーサル
絶縁器の概略図が提供される。
【0033】
絶縁器は、対向する矢印によって図示されるように、不揮発性記憶素子112と通信しているマイクロプロセッサベース制御素子111を備える。マイクロプロセッサベースの制御素子111及び不揮発性記憶装置112の組み合わせは、例えば、デジタル領域またはアナログ領域内であるかどうか、及び絶縁されるフィールドデバイスの性質に応じた、絶縁の方法によって必要とされるような、絶縁デバイスのための構成可能な複数の構成のうちの適切な1つを提供する。
【0034】
採用される絶縁器101の特定の構成は、構成ユニットの使用を通して制御され、該構成ユニットは、例えば、プラグインコネクタ121またはシリアルコネクタ122によってマイクロプロセッサベース制御素子に接続する。
【0035】
図示されるように、プラグインコネクタ121は、ソケット131内で受容されるように配置されている一方で、コネクタ122は、図解されるように、コネクタスロット132内で受容されるように配置されている。
【0036】
そのような既知の構成可能なユニバーサル
絶縁器101の使用の詳細が、
図1Bに関して図解される。ここでは、複数の7つの
絶縁ユニット101~107が図解され、ソケットのうちの1つ135は、構成データの構成された
絶縁器105への配信のための構成ユニットと関連付けられたプラグ121を受容するように配置され、
絶縁器105は、特定のLED145の照明を通して、構成の選択及び/または方法を示す。
【0037】
したがって、
図1及び
図2を参照すると認識されるように、シリアルラインの使用が結果としてシステム要件のみに特有の特定の構成になる限り、その構成は不利に制限される一方で、プラグ121の使用は、要件の特定の位置において、損傷を受けていないケーブルの容易な利用可能性を必要とする。
【0038】
ここで
図2Aを参照すると、本発明の一実施形態の概略図が提供される。
【0039】
図2Aは、構成プロセスの一部で使用するためにマイクロシステム制御素子211を利用する、本発明の構成可能な機能的デバイスの例として、構成可能なユニバーサル
絶縁器201を図解する。
【0040】
しかしながら、既知の構成可能なユニバーサル絶縁デバイスのシリアル入力/ソケットよりむしろ、絶縁器201によって提供される本発明の例は、一般的にほぼ10mm程度の小さなアンテナを有し、かつ不揮発性記憶装置機能性を提供するRFIDユニットを採用する。
【0041】
このように、ユニバーサル絶縁器201への構成可能なデータの通信、及びユニバーサル絶縁器201からの構成されたデータの伝送は、既知のスマートフォン221及びラップトップ222などの、特に費用効率の良い、かつ一般的に容易に利用可能な通信デバイス、ならびに通信使用可能のタブレットデバイスなどの他のデバイスによって、無線方法において有利に採用され得る。
【0042】
図2Bを参照すると、7つの
絶縁デバイス201~207の取り付けとして(1つの
絶縁デバイス205が選択される)、再度、そのRFIDデバイス(
図2Bには図示せず)及び操作者のスマートフォン221によって適切な無線/遠隔構成のための照明されたLED245によって示されるように、本発明のそのような
絶縁器201の採用が図解される。
【0043】
したがって、認識されるように、本発明の絶縁器201のマイクロプロセッサ制御素子211と通信する能力は、組み立て作業台上であろうと、試験作業台上であろうと、操作者の手の中であろうと、または一般的にフライ生産上のものであろうと、もしくはフィールド内に取り付けられる場合であろうと、電力供給されるまたはされない間、任意の状況において、オペレータがある距離をおいて絶縁器201を構成することを可能にする。
【0044】
したがって、構成ユニットは、スマートフォンなどの入手が容易な通信デバイス内に容易に組み込まれ得、該通信デバイスは、RFIDチップとの通信のために容易に配置され得、特に先行技術において見出されるような既知のEEPROM及びコネクタの使用の特に費用効率の良い代替物を提供する。
【0045】
加えて、操作者は、
絶縁デバイス201の近傍にあるときはいつでも、その構成を容易に特定、点検、及びチェックし得、必要とされる場合、例えば、
図2Bに図解されるような複数の
絶縁デバイス201~207の各々は、例えば、
絶縁キャビネット内に取り付けられるとき、ハンドヘルドデバイス221から構成データの受信によって同時に構成され得る。
【0046】
当然のことながら、本発明が前述の実施形態の正確な詳細に制限されず、かつ構成可能な絶縁デバイスとの遠隔通信が、近距離場通信(NFC)プロトコルまたはそれ以外のものを含む任意の適切な無線伝送/受信技術によるものであり得ることが認識されるべきである。
【0047】
したがって、ユニットの電源を切るときでさえ、その構成は、有利に記憶され得る。また、無線構成データの伝送/受信の使用のために絶縁デバイスとの直接接触が必要とされず、したがって、構成及びその後の点検、プロセスは、より信頼性があり、効率的な方法で、特に、操作者にとってのEMC問題を呈していない方法で達成され得る。
【0048】
さらに、絶縁器が、本質的に安全なデバイスである場合、かつそれが例えば、ゾーン2などの危険なゾーン内に取り付けられる一方で、コネクタベースの構成/通信が動作の間に禁止される場合、本明細書に記載されるようなタイプの通信が可能になるであろう。