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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20221110BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20221110BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20221110BHJP
   F25D 21/14 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
F25D23/00 301N
F25D11/00 101B
F25B49/02 520H
F25B49/02 520K
F25D23/00 A
F25D21/14 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019007795
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020118318
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義康
(72)【発明者】
【氏名】影山 奨太
(72)【発明者】
【氏名】都築 優奈
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-219278(JP,A)
【文献】特開2004-020112(JP,A)
【文献】特開2008-249239(JP,A)
【文献】特開2005-140409(JP,A)
【文献】特開平10-103838(JP,A)
【文献】特開平09-329386(JP,A)
【文献】特開2013-029253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
F25B 1/00 ~ 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検知する庫内温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記圧縮機に運転を指示しているという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項2】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検知する庫内温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記凝縮器の温度が周囲温度より所定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項3】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記圧縮機に運転を指示しているという条件の下で、一定時間ごとの前記蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項4】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記凝縮器の温度が周囲温度より所定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの前記蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項5】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、一定時間ごとの前記凝縮器の温度と周囲温度との差が、前記圧縮機が運転されていない場合の温度差より大きく、前記圧縮機が運転されている場合の温度差より小さいことが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項6】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、
前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記凝縮器の温度が周囲温度より一定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度から前記蒸発器の温度を減じた温度が、前記冷凍回路内の冷媒循環量の低下に起因して生じる庫内温度と前記蒸発器の温度との差以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項7】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検知する庫内温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
庫内温度が所定の冷却温度範囲の下限温度まで低下すると前記圧縮機の運転を停止し、その後に庫内温度が前記冷却温度範囲の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、
前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、周囲温度の変化幅が一定幅以内であるという条件の下で、前記圧縮機の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項8】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
回転数が可変の圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検知する庫内温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
庫内温度と目標温度との差に応じて前記圧縮機の回転数を変更する回転数変更処理と、
前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、前記圧縮機の回転数が最高回転数になっている状態で一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項9】
冷却貯蔵庫であって、
開口を有する貯蔵庫本体と、
前記開口を開閉する扉と、
回転数が可変の圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検知する庫内温度センサと、
周囲温度を検知する周囲温度センサと、
前記扉が開かれたことを検知する検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
庫内温度と目標温度との差に応じて前記圧縮機の回転数を変更する回転数変更処理と、
前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、第1の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第1の一定値以上であることが第1の一定回数以上連続すると前記圧縮機の回転数をその時点の回転数に固定し、その後に第2の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第2の一定値以上であることが第2の一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する、冷却貯蔵庫。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫であって、
前記所定の処理は、前記凝縮器ファンを運転する処理、前記蒸発器で冷却された空気を庫内に循環させる庫内ファンを運転する処理、前記蒸発器を除霜する除霜運転を禁止する処理、及び、冷媒漏れを警報する処理の少なくとも一つを含む、冷却貯蔵庫。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫であって、
前記凝縮器ファン及び前記庫内ファンのうち少なくとも一方は回転数が可変であり、
前記所定の処理は、前記凝縮器ファン及び前記庫内ファンのうち回転数が可変な少なくとも一つのファンを最高速で回転させる処理を含む、冷却貯蔵庫。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫であって、
前記所定の処理は、前記庫内ファンを逆回転させる処理を含む、冷却貯蔵庫。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫であって、
庫外の空気を庫内に送り込むエアポンプを備え、
前記所定の処理は、前記エアポンプを動作させて庫外の空気を庫内に送り込む処理を含む、冷却貯蔵庫。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫であって、
前記蒸発器に付着した霜が解けた水である除霜水を受けるドレンパンと、
前記ドレンパンによって受けられた除霜水を庫外に排出する排水パイプと、
前記排水パイプから分岐して上に向かって延びており、上に向かって延びた端部が庫外に露出している分岐パイプと、
を備える、冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫において、冷凍回路の冷媒漏れの発生を検知するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の冷却貯蔵庫は、通常冷却モードで運転している間に、庫内検知温度Tmが、庫内設定温度Tsよりも高い温度に予め設定した警戒温度Teを上回る状態が継続して所定時間に達した時は、冷媒漏れが発生した可能性があると判断して、漏れ警戒モードで制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-219278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合にも庫内温度が高くなる。このため、上述した特許文献1に記載の冷却貯蔵庫は、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に、冷媒漏れが発生した可能性があると誤判断する可能性がある。特許文献1に記載の冷却貯蔵庫では、冷媒漏れが発生した可能性があると誤判断した場合は漏れ警戒モードでの制御が不必要に行われる。
【0005】
本明細書では、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に冷媒漏れに関する所定の処理が不必要に実行されることを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、庫内温度を検知する庫内温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記圧縮機に運転を指示しているという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0007】
本願発明者は、冷凍回路の冷媒漏れが発生している場合は蒸発器に低温の冷媒が十分に供給されないことによって蒸発器の温度が上昇し、一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することを見出した。このため、一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続した場合は冷媒漏れに関する所定の処理(凝縮器ファンを回転させる処理、冷媒漏れが発生した可能性があることを使用者に報知する処理など)を実行することが望ましい。
ただし、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合、あるいは圧縮機に運転を指示していない場合も、庫内温度が上昇することによって一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することがある。このため、単に一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続しただけでは当該所定の処理が不必要に実行される可能性がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、扉が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、圧縮機に運転を指示しているという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0008】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、庫内温度を検知する庫内温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記凝縮器の温度が周囲温度より所定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0009】
圧縮機に運転を指示しても圧縮機(あるいは圧縮機を制御する制御基板)が故障していることによって実際には圧縮機が運転されていないこともあり得る。
通常、冷媒漏れが発生しても圧縮機が運転されていれば凝縮器の温度が周囲温度よりある程度高くなる。逆に言うと、圧縮機が停止している場合は凝縮器の温度が周囲温度よりある程度高くなることはない。このため、凝縮器温度センサによって検知された温度が周囲温度センサによって検知された温度より所定値以上高い場合は圧縮機が運転されていると判断できる。
上記の冷却貯蔵庫によると、単に圧縮機に運転を指示していることではなく、凝縮器温度センサによって検知された温度が周囲温度センサによって検知された温度より所定値以上高いことを条件の一つとしているので、圧縮機が故障によって停止している場合に、冷媒漏れが発生していないにもかかわらず冷媒漏れが発生していると判断されて冷媒漏れに関する所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0010】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記圧縮機に運転を指示しているという条件の下で、一定時間ごとの前記蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0011】
従来、冷却貯蔵庫において、冷凍回路の冷媒漏れの発生を検知するものが知られている(例えば、特開2004-20112号公報参照)。具体的には、特許文献1に記載の冷却貯蔵庫は、圧縮機が運転を開始すると連続運転時間の計時を開始し、連続運転時間の所定時間(例えば2時間)経過を計時すると、蒸発器に設けられている温度センサの検出温度が設定された異常温度以上か否かを判断する。そして、予め設定されていた所定時間(例えば、30秒)経過を計時すると、再びその時点の温度センサの検出温度がマイナス8℃以上か否かが判断される。そして、今回が2回目であるときには、漏れ検知フラグがセットされ、冷却異常を検知することにより冷媒漏れを間接的に検知し、圧縮機の停止信号を出力し、圧縮機を停止させる。
しかしながら、上述した特開2004-20112号に記載の冷却貯蔵庫によると、周囲温度が高い場合でも冷媒漏れが発生した可能性があると判断してしまうため、不必要なときに圧縮機を停止させる可能性がある。圧縮機を停止させると庫内温度が上昇するため、庫内の食材が傷む虞がある。
本願発明者は、冷凍回路の冷媒漏れが発生している場合は蒸発器に低温の冷媒が十分に供給されないことによって蒸発器の温度が上昇し、一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することを見出した。
このため、一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続した場合は冷媒漏れに関する所定の処理(凝縮器ファンを回転させる処理、冷媒漏れが発生した可能性があることを使用者に報知する処理など)を実行することが望ましい。
ただし、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合も、庫内温度が上昇することによって一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することがある。このため、単に一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続しただけでは当該所定の処理が不必要に実行される可能性がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、扉が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、圧縮機に運転を指示しているという条件の下で、一定時間ごとの蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると当該所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0012】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記凝縮器の温度が周囲温度より所定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの前記蒸発器の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0013】
圧縮機に運転を指示しても圧縮機(あるいは圧縮機を制御する制御基板)が故障していることによって実際には圧縮機が運転されていないこともあり得る。
通常、冷媒漏れが発生しても圧縮機が運転されていれば凝縮器の温度が周囲温度よりある程度高くなる。逆に言うと、圧縮機が停止している場合は凝縮器の温度が周囲温度よりある程度高くなることはない。このため、凝縮器温度センサによって検知された温度が周囲温度センサによって検知された温度より所定値以上高い場合は圧縮機が運転されていると判断できる。
上記の冷却貯蔵庫によると、単に圧縮機に運転を指示していることではなく、凝縮器温度センサによって検知された温度が周囲温度センサによって検知された温度より所定値以上高いことを条件の一つとしているので、圧縮機が故障によって停止している場合に、冷媒漏れが発生していないにもかかわらず冷媒漏れが発生していると判断されて所定の処理が不必要に実行されることをより確実に抑制できる。
【0014】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、一定時間ごとの前記凝縮器の温度と周囲温度との差が一定範囲内であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0015】
従来、冷却貯蔵庫において、冷凍回路の冷媒漏れの発生を検知するものが知られている(例えば、特開2005-140409号公報参照)。具体的には、特開2005-140409号公報に記載の冷蔵庫は、冷媒の凝縮温度と周囲温度との差温が所定値(2℃)以下の場合に高圧側冷媒回路異常と判定し、冷媒の凝縮温度と周囲温度との差温が所定値(20℃)以上の場合に低圧側冷媒回路異常と判定し、それぞれ異なる色の発光手段により報知する。また、当該冷蔵庫は、冷媒回路の異常時に庫内温度が所定値(-5℃)以上に上昇した場合は冷蔵庫の食品を出すことを音声メッセージやブザー音によって促している。
ところで、圧縮機が故障によって停止していることによって冷媒の凝縮温度と周囲温度との差温が所定値(2℃)以下になる場合もある。上述した特許文献1に記載の冷蔵庫によると、圧縮機が故障によって停止していることによって冷媒の凝縮温度と周囲温度との差温が所定値(2℃)以下になった場合も高圧側冷媒回路異常と判定されるので、高圧側冷媒回路異常と誤報知してしまう可能性がある。このため冷蔵庫の保守を行う作業者が迅速で的確な修理を行うことができない虞がある。
本願発明者は、鋭意検討の結果、以下の知見を得た。
・圧縮機が運転されていない場合は凝縮器の温度が上昇しないので、凝縮器の温度が周囲温度に近い温度になる。このため、凝縮器の温度と周囲温度との差が所定の範囲(例えば1~3K)の下限値(1K)より小さくなる。
・圧縮機が運転されている場合は凝縮器の温度が高くなるので、凝縮器の温度と周囲温度との差が当該所定の範囲の上限値(3K)より大きくなる。
・凝縮器の温度と周囲温度との差が当該所定の範囲内である場合は、高圧側冷媒回路あるいは低圧側冷媒回路からの冷媒漏れの状態で圧縮機が運転されている可能性が高い。
このため、凝縮器の温度と周囲温度との差が所定範囲内であることが一定回数以上連続した場合は冷媒漏れに関する所定の処理(凝縮器ファンを回転させる処理、冷媒漏れが発生した可能性があることを使用者に報知する処理など)を実行することが望ましい。
ただし、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合も、凝縮器の温度が上昇することによって冷媒漏れの状態でも凝縮器の温度と周囲温度との差が所定範囲外になる(例えば3Kより大きくなる)ことがある。このため、単に凝縮器の温度と周囲温度との差が所定範囲内であることが一定回数以上連続しただけでは当該所定の処理が実行されない可能性がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、扉が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、凝縮器の温度と周囲温度との差が所定範囲内であることが一定回数以上連続すると当該所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が実行されないことを抑制できる。
そして、上記の冷却貯蔵庫によると、圧縮機が故障によって停止している場合は凝縮器の温度と周囲温度との差が所定範囲外となる(例えば1Kより小さくなる)ので当該所定の処理が実行されない。このため、圧縮機が故障によって停止している場合に当該所定の処理が不必要に実行されることも抑制できる。
【0016】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、前記凝縮器の温度を検知する凝縮器温度センサと、前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、前記凝縮器の温度が周囲温度より第1の一定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度から前記蒸発器の温度を減じた温度が第2の一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0017】
従来、冷却貯蔵庫において、冷凍回路の冷媒漏れを検知するものが知られている(例えば、特開2006-10126号公報参照)。具体的には、特開2006-10126号公報に記載の冷蔵庫は、蒸発器の配管温度を検知する蒸発温度センサーと蒸発器周囲を通過する冷気の温度を検知する冷気温度センサーとの温度差が所定値より大きく、かつ蒸発温度センサーの検知温度が冷媒の沸点近傍以下になると冷媒漏れと判断して、漏洩対応制御(除霜間隔を延ばすなど)に移行する。
しかしながら、上述した特開2006-10126号公報に記載の冷蔵庫によると、蒸発器周囲を通過する冷気の温度を検知する冷気温度センサーを備える必要があるので部品点数が増加し、製造コストが上昇するという問題がある。
本願発明者は、冷媒漏れの初期段階では冷凍回路内の冷媒循環量が低下するため、蒸発器の入り口の温度に近い蒸発器温度センサの検知温度が低下する一方、蒸発器の冷却能力が低下するために庫内温度が上昇し、庫内温度が蒸発器の温度より一定値以上高くなることを見出した。
このため、一定時間ごとの庫内温度から蒸発器の温度を減じた温度が一定値以上であることが一定回数以上連続した場合は冷媒漏れに関する所定の処理(凝縮器ファンを回転させる処理、冷媒漏れが発生した可能性があることを使用者に報知する処理など)を実行することが望ましい。
ただし、周囲温度が高い場合や、扉開閉が頻繁に行われて蒸発器の異常着霜が想定される場合、又は、圧縮機が故障によって停止している場合も、庫内温度が上昇することによって一定時間ごとの庫内温度から蒸発器の温度を減じた温度が一定値以上であることが一定回数以上連続することがある。このため、単に一定時間ごとの庫内温度から蒸発器の温度を減じた温度が一定値以上であることが一定回数以上連続しただけでは当該所定の処理が不必要に実行される可能性がある。
ここで、圧縮機が運転されている場合は凝縮器の温度が高くなるので、凝縮器の温度が周囲温度より一定値以上高くなる。このため、凝縮器の温度が周囲温度より一定値以上高い場合は圧縮機が運転されている可能性が高い。
上記の冷却貯蔵庫によると、扉が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、凝縮器の温度が周囲温度より一定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度から蒸発器の温度を減じた温度が一定値以上であることが一定回数以上連続すると当該所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や、扉開閉が頻繁に行われて蒸発器の異常着霜が想定される場合、又は、圧縮機が故障によって停止している場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
そして、上記の冷却貯蔵庫によると、冷媒漏れを検知する上では蒸発器周囲を通過する冷気の温度を検知する冷気温度センサーが不要であるので、冷気温度センサーを備えていない冷却貯蔵庫の場合に、特開2006-10126号公報に記載の冷蔵庫に比べて冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0018】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、庫内温度を検知する庫内温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、庫内温度が所定の冷却温度範囲の下限温度まで低下すると前記圧縮機の運転を停止し、その後に庫内温度が前記冷却温度範囲の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、周囲温度の変化幅が一定幅以内であるという条件の下で、前記圧縮機の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0019】
従来、冷却貯蔵庫において、冷凍回路の冷媒漏れの発生を検知するものが知られている(例えば、特開2002-340462号公報参照)。具体的には、特許文献1に記載の電気冷蔵庫は、圧縮機へ入力される電流値を検出し、同検出した電流値と予め設定した電流値との差からガス漏れと判断する。また、当該電気冷蔵庫は、冷却器に温度センサを設け、同温度センサの温度上昇を、圧縮機へ入力される電流値とともに監視し、温度上昇値が予め設定した温度上昇値よりも高い場合はガス漏れと判断する。
しかしながら、上述した特開2002-340462号公報に記載の電気冷蔵庫によると、圧縮機に入力される電流値を検出する部品や冷却器の温度を検出する温度センサが必要であるので部品点数が増加し、製造コストが上昇するという問題がある。
本願発明者は、冷凍回路の冷媒漏れが発生している場合は、庫内温度が上昇することにより、圧縮機の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなることを見出した。このため、圧縮機の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなる場合は冷媒漏れに関する所定の処理(凝縮器ファンを回転させる処理、冷媒漏れが発生した可能性があることを使用者に報知する処理など)を実行することが望ましい。
ただし、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合又は周囲温度の変化が大きい場合も、庫内温度が上昇することによって圧縮機の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなることがある。このため、単に圧縮機の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなるだけでは当該所定の処理が不必要に実行される可能性がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、扉が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、周囲温度の変化幅が一定幅以内であるという条件の下で、圧縮機の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなると当該所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合又は周囲温度の変化が大きい場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
そして、上記の冷却貯蔵庫によると、冷媒漏れを検知する上では圧縮機に入力される電流値を検出する部品や蒸発器の温度を検知する温度センサが不要であるので、電流値を検出する部品や蒸発器の温度を検知する温度センサを備えていない冷却貯蔵庫の場合に、特開2002-340462号公報に記載の電気冷蔵庫に比べて冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0020】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、回転数が可変の圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、庫内温度を検知する庫内温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、庫内温度と目標温度との差に応じて前記圧縮機の回転数を変更する回転数変更処理と、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、前記圧縮機の回転数が最高回転数になっている状態で一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0021】
従来、冷却貯蔵庫において、冷凍回路の冷媒漏れの発生を検知するものが知られている(例えば、特開2016-31209号公報参照)。具体的には、特許文献1に記載の冷凍サイクル装置は、モータの運転状態での電気的な状態に関する情報である運転情報を検出する情報検出手段と、情報検出手段の運転情報の検出結果に応じて冷凍サイクルでの冷媒漏れを判定する漏れ判定手段とを備え、モータが通常周波数帯域に比べて高い高周波数で運転されている状態での運転情報の検出結果に応じて冷凍サイクルでの冷媒漏れを判定する。また、特開2016-31209号公報には、情報検出手段は運転情報としてモータの入力電力を検出することが記載されている。
しかしながら、上述した特許文献1に記載の冷凍サイクル装置によると、モータの入力電力を検出する部品を備える必要があるので部品点数が増加し、製造コストが上昇するという問題がある。
本願発明者は、冷凍回路の冷媒漏れが発生している場合は、庫内温度が上昇することにより、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することを見出した。このため、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続した場合は冷媒漏れに関する所定の処理(凝縮器ファンを回転させる処理、冷媒漏れが発生した可能性があることを使用者に報知する処理など)を実行することが望ましい。
ただし、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合も、庫内温度が上昇することによって一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することがある。このため、単に一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続しただけでは当該所定の処理が不必要に実行される可能性がある。
また、回転数が可変の圧縮機の場合は圧縮機の回転数が変更されることによって一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続する可能性もある。すなわち圧縮機の回転数が変更されることによって冷媒漏れと誤判断される可能性もある。
上記の冷却貯蔵庫によると、扉が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると当該所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
また、上記の冷却貯蔵庫によると、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続したか否かを圧縮機の回転数が最高回転数である状態で判断するので(言い換えると圧縮機の回転数が固定されている状態で判断するので)、圧縮機の回転数が可変であることの影響も排除できる。
そして、上記の冷却貯蔵庫によると、冷媒漏れを検知する上ではモータの入力電力を検出する部品が不要であるので、モータの入力電力を検出する部品を備えていない冷却貯蔵庫の場合に、特開2016-31209号公報に記載の冷凍サイクル装置に比べて冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0022】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開口を有する貯蔵庫本体と、前記開口を開閉する扉と、回転数が可変の圧縮機、凝縮器、凝縮器ファン及び蒸発器を有する冷凍回路と、庫内温度を検知する庫内温度センサと、周囲温度を検知する周囲温度センサと、前記扉が開かれたことを検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、庫内温度と目標温度との差に応じて前記圧縮機の回転数を変更する回転数変更処理と、前記扉が開かれたことが前記検知部によって検知されておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、第1の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第1の一定値以上であることが第1の一定回数以上連続すると前記圧縮機の回転数をその時点の回転数に固定し、その後に第2の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第2の一定値以上であることが第2の一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0023】
従来、冷却貯蔵庫において、冷凍回路の冷媒漏れの発生を検知するものが知られている(例えば、特開2016-31209号公報参照)。具体的には、特開2016-31209号公報に記載の冷凍サイクル装置は、モータの運転状態での電気的な状態に関する情報である運転情報を検出する情報検出手段と、情報検出手段の運転情報の検出結果に応じて冷凍サイクルでの冷媒漏れを判定する漏れ判定手段とを備え、モータが通常周波数帯域に比べて高い高周波数で運転されている状態での運転情報の検出結果に応じて冷凍サイクルでの冷媒漏れを判定する。また、特開2016-31209号公報には、情報検出手段は運転情報としてモータの入力電力を検出することが記載されている。
しかしながら、上述した特開2016-31209号公報に記載の冷凍サイクル装置によると、モータの入力電力を検出する部品を備える必要があるので部品点数が増加し、製造コストが上昇するという問題がある。
本願発明者は、冷凍回路の冷媒漏れが発生している場合は、庫内温度が上昇することにより、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することを見出した。このため、一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続した場合は冷媒漏れに関する所定の処理(凝縮器ファンを回転させる処理、冷媒漏れが発生した可能性があることを使用者に報知する処理など)を実行することが望ましい。
ただし、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合も、庫内温度が上昇することによって一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続することがある。このため、単に一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続しただけでは、冷媒漏れが発生していると誤判断する可能性がある。
また、回転数が可変の圧縮機の場合は圧縮機の回転数が変更されることによって一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続する可能性もある。すなわち、圧縮機の回転数が変更されることによって冷媒漏れと誤判断される可能性もある。
上記の冷却貯蔵庫によると、扉が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、第1の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第1の一定値以上であることが第1の一定回数以上連続すると圧縮機の回転数をその時点の回転数に固定し、その後に第2の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第2の一定値以上であることが第2の一定回数以上連続すると当該所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる上、圧縮機の回転数が可変であることの影響も排除できる。
そして、上記の冷却貯蔵庫によると、冷媒漏れを検知する上ではモータの入力電力を検出する部品が不要であるので、モータの入力電力を検出する部品を備えていない冷却貯蔵庫の場合に、特開2016-31209号公報に記載の電気冷蔵庫に比べて冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0024】
前記所定の処理は、前記凝縮器ファンを運転する処理、前記蒸発器で冷却された空気を庫内に循環させる庫内ファンを運転する処理、前記蒸発器を除霜する除霜運転を禁止する処理、及び、冷媒漏れを警報する処理の少なくとも一つを含んでもよい。
【0025】
凝縮器ファンを運転すると、庫外での冷媒漏れの場合に、庫外に漏れた冷媒を拡散することができる。このため、冷媒が可燃性冷媒である場合に、可燃性冷媒が一か所に滞留することによる危険性を低減できる。
また、庫内ファンを運転すると、庫内での冷媒漏れの場合に、扉と貯蔵庫本体との僅かな隙間などから冷媒を庫外に少しずつ拡散させることができる。このため、冷媒が可燃性冷媒である場合に、庫外に漏れ出した可燃性冷媒が一か所に滞留することによる危険性を低減できる。
また、除霜運転を禁止すると、冷却貯蔵庫に収納されている食材に悪影響を与えることを抑制できる。具体的には、一般に除霜運転では圧縮機を停止させるので庫内温度が上昇する。通常であればその後に圧縮機の運転が再開されて庫内温度が低下するので食材に悪影響を与えることはないが、冷媒漏れが発生しているとその後に圧縮機を運転しても庫内温度が低下しないため、庫内温度が上昇したままとなり、庫内の食材が傷む虞がある。除霜運転を禁止すると庫内の食材が傷む可能性を抑制できる。
また、冷媒漏れを警報すると、使用者に断熱扉の開閉を控えるよう促すことができる。断熱扉の開閉が控えられると庫内温度が上昇しにくくなるので、庫内の食材が傷む可能性を抑制できる。また、冷媒漏れを警報すると、使用者に室内の換気を促すことができる。このため、庫外に漏れ出した可燃性冷媒が室内に滞留することによる危険性を低減できる。また、冷媒漏れを警報すると、使用者が冷却貯蔵庫の製造メーカーにサービス依頼を早期に行うことができるので、庫内の食材が傷む可能性を抑制できる。
【0026】
前記凝縮器ファン及び前記庫内ファンのうち少なくとも一方は回転数が可変であり、前記所定の処理は、前記凝縮器ファン及び前記庫内ファンのうち回転数が可変な少なくとも一つのファンを最高速で回転させる処理を含んでもよい。
【0027】
上記の冷却貯蔵庫によると、凝縮器ファンを最高速で回転させることにより、庫外での冷媒漏れの場合に冷媒を早く拡散させことができる。また、庫内ファンを最高速で回転させることにより、庫内での冷媒漏れの場合に冷媒を早く庫外に拡散させことができる。これにより、可燃性冷媒が1か所に滞留することによる危険性をより確実に低減できる。
【0028】
前記所定の処理は、前記庫内ファンを逆回転させる処理を含んでもよい。
【0029】
庫内ファンを逆回転させると冷気循環方向が逆転するので、扉に向かって庫内冷気を吹き付ける圧力が高くなる。このため、庫内の冷媒を扉と貯蔵庫本体との僅かな隙間などから庫外により確実に拡散させることができる。
【0030】
庫外の空気を庫内に送り込むエアポンプを備え、前記所定の処理は、前記エアポンプを動作させて庫外の空気を庫内に送り込む処理を含んでもよい。
【0031】
上記の冷却貯蔵庫によると、エアポンプから庫内に空気が送り込まれることによって庫内の圧力が高くなるので、扉と貯蔵庫本体との僅かな隙間から冷媒を庫外により確実に拡散させることができる。
【0032】
前記蒸発器に付着した霜が解けた水である除霜水を受けるドレンパンと、前記ドレンパンによって受けられた除霜水を庫外に排出する排水パイプと、前記排水パイプから分岐して上に向かって延びており、上に向かって延びた端部が庫外に露出している分岐パイプと、を備えてもよい。
【0033】
上記の冷却貯蔵庫によると、冷媒漏れが発生したとき、庫内ファンを回転させると、庫内に漏洩した冷媒が排水パイプから分岐パイプを介して庫外に排気され易くなる。これにより、可燃性冷媒が1か所に滞留することによる危険性をより確実に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態1に係る冷却貯蔵庫の正面図
図2図1に示すA-A線の断面図
図3】冷凍回路の模式図
図4】冷凍ユニット及びその周辺の部分断面図
図5】冷却貯蔵庫の電気的構成を示すブロック図
図6】操作部の模式図
図7】冷却運転のタイミングチャート
図8】冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図9】実施形態2に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図10】実施形態3に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図11】実施形態5に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図12】実施形態6に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図13】実施形態7に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図14】実施形態8に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図15】実施形態9に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図16】実施形態10に係る冷媒漏れ検知のタイミングチャート
図17】実施形態11に係る貯蔵庫本体の斜視図(斜め前側から見た図)
図18】冷媒漏れ検知のタイミングチャート(斜め後側から見た図)
図19】他の実施形態に係る冷却貯蔵庫の断面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図7に基づいて説明する。以降の説明において上下方向及び左右方向とは図1に示す上下方向及び左右方向を基準とし、前後方向とは図2に示す前後方向を基準とする。
【0036】
(1)冷蔵庫の全体構成
図1から図8を参照して、実施形態1に係る冷蔵庫1(冷却貯蔵庫の一例)の全体構成について説明する。
図1に示すように、冷蔵庫1は主に業務に用いられる2ドア式の冷蔵庫である。冷蔵庫1は前側に開口11(図2参照、上側開口11A及び下側開口11B)を有する貯蔵庫本体10、上側開口11Aを開閉する断熱扉12(12A)、下側開口11Bを開閉する断熱扉12(12B)、貯蔵庫本体10の上方に配されている機械室13、機械室13の前面に設けられている操作部14、貯蔵庫本体10の下面に設けられている4つの脚部15などを備えている。
【0037】
図1及び図2に示すように、貯蔵庫本体10の開口11は上下方向の概ね中央において左右方向に延びる角柱状の前面枠16によって上側開口11Aと下側開口11Bとに仕切られている。
【0038】
図2に示すように、機械室13は上側が開放されている。機械室13には冷凍ユニット17の一部、図示しない電装箱、操作部14、図示しない電源部などが収容されている。冷凍ユニット17は後述する冷凍回路18(図3参照)をユニット化したものである。図示しない電装箱には後述する制御部40(図5参照)が収容されている。また、操作部14の基板には図示しない周囲温度サーミスタ29(図5参照)が設けられている。周囲温度サーミスタ29は冷蔵庫1の周囲温度を検出するものである。
【0039】
図3を参照して、冷凍回路18について説明する。冷凍回路18は圧縮機20、凝縮器21、ドライヤ22、減圧機構23(キャピラリチューブ等)及び蒸発器24を有しており、これらが冷媒配管25によって循環接続されている。圧縮機20は回転数が可変なインバータ圧縮機であってもよいし、回転数が一定の一定速圧縮機であってもよい。また、冷凍回路18は凝縮器21を冷却する凝縮器ファン26も有している。
【0040】
図4を参照して、冷凍ユニット17及びその周辺の構成について説明する。冷凍ユニット17は冷凍回路18を断熱性のユニット台19に取り付けることによってユニット化したものである。ユニット台19は貯蔵庫本体10の天井壁10Aに形成されている開口10Bより一回り大きい形に形成されており、開口10Bを塞ぐように天井壁10Aの上に配置されている。
【0041】
圧縮機20、凝縮器21、ドライヤ22及び減圧機構23はユニット台19の上側に取り付けられている。凝縮器21の前側には空気中の塵埃が凝縮器21に付着して凝縮能力が低下することを防止するための図示しないフィルターが設けられている。また、凝縮器21の冷媒管にはフィルターの目詰まりを検出するための目詰サーミスタ28(図5参照)が取り付けられている。目詰サーミスタ28は凝縮器温度センサの一例である。
【0042】
蒸発器24はユニット台19の下側に取り付けられており、天井(天井壁10A及びユニット台19)と次に説明するエアダクト27とによって形成されている冷却ダクト31内に収容されている。蒸発器24には図示しない除霜サーミスタ32(図5参照)が取り付けられている。除霜サーミスタ32は後述する除霜運転の終了を判断するためのものである。除霜サーミスタ32は蒸発器温度センサの一例である。
【0043】
エアダクト27は天井との間に冷却ダクト31を形成するものであるとともに、蒸発器24に付着した霜が溶けた水である除霜水を受けるドレンパンとしても機能する。エアダクト27は後側に向かって下に傾斜する略平板状の底壁27A、底壁27Aの左右の縁部から上側に立ち上がっている側壁27B、及び、底壁27Aの後側の縁部から上側に僅かに立ち上がっている後壁27Cを有している。
【0044】
底壁27Aの前側部分には冷却ダクト31内に空気を吸い込むための円形の吸込口27Eが形成されている。後壁27Cは貯蔵庫本体10の後側の壁10Cから前側に離間しており、後壁27Cと貯蔵庫本体10の後側の壁10Cとの間に吹出口27Fが形成されている。また、後壁27Cには左右方向の概ね中央から後側に向かって延びる断面U字状の排水溝27Dが一体に形成されている。貯蔵庫本体10の後側の壁10Cの内部には排水通路10Dが形成されており、排水溝27Dは後側の端部が排水通路10Dに挿入されている。エアダクト27によって受けられた除霜水は排水溝27Dから排水通路10Dを介して庫外に排出される。
【0045】
エアダクト27の吸込口27Eには上側から庫内ファン33が装着されている。庫内ファン33が回転すると庫内の空気が吸込口27Eから冷却ダクト31に吸い込まれ、蒸発器24によって冷却されて吹出口27Fから庫内に吹き出される。
冷却ダクト31内において庫内ファン33と蒸発器24との間には庫内サーミスタ34が配されている。庫内サーミスタ34は庫内温度を検出するものである。庫内サーミスタ34は庫内温度センサの一例である。
【0046】
(2)冷蔵庫の電気的構成
図5を参照して、冷蔵庫1の電気的構成について説明する。冷蔵庫1は制御部40を備えている。制御部40には操作部14、圧縮機20、庫内ファン33、凝縮器ファン26、庫内サーミスタ34、目詰サーミスタ28、周囲温度サーミスタ29、除霜サーミスタ32などが接続されている。
【0047】
制御部40はCPUやRAMなどが1チップ化されたマイクロコンピュータ40AやROM40Bなどが基板に実装されたものである。制御部40はROM40Bに記憶されている制御プログラムを実行することによって冷蔵庫1の各部を制御する。
【0048】
(3)操作部
図6を参照して、操作部14について説明する。操作部14は庫内温度や警報番号などを7セグ表示する表示部45、表示する情報に応じた図形や文字列を点灯させる複数の表示ランプ46(点検ランプ46A、フィルターランプ46B、霜取中ランプ46C、ECOランプ46D)、複数の操作ボタン47などを備えている。複数の操作ボタン47はユーザが設定温度などの各種の設定や冷蔵庫1に対する各種の指示を行うためのものである。
【0049】
(4)制御部によって実行される制御処理
制御部40は各種の制御処理を実行する。ここでは制御部40によって実行される制御処理のうち扉開検知、凝縮器21のフィルターの目詰まり検知、冷却運転、除霜運転、冷媒漏れ検知、及び、冷媒漏れに関する所定の処理について説明する。
【0050】
(4-1)扉開検知
扉開検知は、断熱扉12が開かれたことを検知する処理である。断熱扉12が開かれたことを検知する方法としては、庫内温度の上昇から判断する方法、人感センサ(検知部の一例)を用いる方法、扉開閉に連動する扉開閉スイッチ(検知部の一例)を用いる方法などの種々の方法が可能である。
【0051】
庫内温度の上昇から判断する方法では、庫内サーミスタ34によって庫内温度が1秒間隔などで繰り返し検知される。断熱扉12が開けられると外気が庫内に入り込むことによって庫内温度が短時間に大きく上昇する。このため、例えば5秒間に庫内温度が0.2K[ケルビン]以上上昇すると断熱扉12が開かれたと判断される。
【0052】
人感センサを用いる方法では、庫内に人感センサが設けられる。冷蔵庫1の前にいる人が断熱扉12を開けると人感センサによって赤外線が検知されることによって断熱扉12が開けられたことが検知される。
【0053】
扉開閉スイッチを用いる方法では、例えば断熱扉12に設けられるマグネットと、貯蔵庫本体10に設けられるリードスイッチとからなる扉開閉スイッチが用いられる。断熱扉12が開かれるとマグネットがリードスイッチから遠ざかることでリードスイッチがオン(あるいはオフ)になり、断熱扉12が開かれたことが検知される。逆に、断熱扉12が閉じられるとマグネットがリードスイッチに近づくことでリードスイッチがオフ(あるいはオン)になり、断熱扉12が閉じられたことが検知される。
【0054】
庫内温度の上昇から判断する方法の場合は人感センサや扉開閉スイッチなどの部品を備える必要がない。このため、本実施形態では部品点数の増加を抑制するために庫内温度の上昇から判断する方法を用いるものとする。すなわち、本実施形態では庫内サーミスタ34が庫内温度センサと検知部とを兼ねている。
【0055】
(4-2)凝縮器のフィルターの目詰まり検知
凝縮器21のフィルターが目詰まりすると凝縮器ファン26が回転しても凝縮器21と外気との間で十分に熱交換が行われず、冷却効率が低下する。このため制御部40は目詰サーミスタ28を用いてフィルターの目詰まりを検知する。
【0056】
具体的には、制御部40は目詰サーミスタ28によって凝縮器21の温度を所定のサンプリング間隔で検知し、凝縮器21の温度が所定の閾値以上である状態が一定時間以上継続した場合は凝縮器ファン26の回転数を上げる。制御部40は、凝縮器ファン26の回転数を上げても凝縮器21の温度が低下しない場合はフィルターが目詰まりしていると判断し、フィルターランプ46Bを点灯させてフィルターの清掃を促す。
【0057】
(4-3)冷却運転
図7を参照して、冷却運転について説明する。冷却運転は、圧縮機20及び凝縮器ファン26の運転/停止を切り替えることによって庫内温度を所定の冷却温度範囲内に維持するものである。冷却温度範囲の上限温度は例えば設定温度+1.7K[ケルビン]であり、下限温度は設定温度-2.0K[ケルビン]である。
【0058】
冷却運転では、制御部40は圧縮機20、凝縮器ファン26及び庫内ファン33を運転し、庫内温度が下限温度まで低下すると圧縮機20及び凝縮器ファン26を停止させる。これらを停止させると庫内温度が徐々に上昇する。制御部40は庫内温度が上限温度まで上昇すると圧縮機20及び凝縮器ファン26の運転を再開する。これを繰り返すことによって庫内温度が概ね冷却温度範囲内に維持される。
【0059】
(4-4)除霜運転
上述した冷却運転を行うと蒸発器24に霜が付着する。このため制御部40は所定の除霜開始条件が成立すると蒸発器24を除霜する除霜運転を開始する。除霜開始条件は、予め設定されている除霜開始時刻が到来した、前回の除霜運転が終了してから一定時間が経過した、ユーザによって除霜運転が指示されたなどである。
【0060】
除霜運転では、制御部40は圧縮機20を停止させる一方、除霜を促進するために庫内ファン33を回転させる。圧縮機20を停止させると蒸発器24の温度が徐々に上昇する。制御部40は除霜サーミスタ32によって検知された蒸発器24の温度が所定の除霜終了温度まで上昇すると除霜運転を終了して冷却運転を再開する。
【0061】
(4-5)冷媒漏れ検知
制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、圧縮機20に運転を指示しているという条件の下で、一定時間毎の庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れが発生したと判断し、後述する冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0062】
図8を参照して具体的に説明する。図8において時点P1は冷蔵庫1の電源がオンにされた時点である。制御部40は電源がオンにされると所定時間をおいて冷却運転を開始する(時点P2)。時点P3は冷却運転中に圧縮機20及び凝縮器ファン26が回転された時点である。時点P4は冷却運転中に冷媒漏れが発生した時点である。冷媒漏れが発生すると冷却能力が低下するため、圧縮機20が運転されていても庫内温度が上昇する。
【0063】
図8に示す例では、時点P3以降は庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P3以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P3以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。また、時点P3以降は常に圧縮機20に運転が指示されている。
このため、図8に示す例では、時点P3以降の期間は、断熱扉12が開かれたことが検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、圧縮機20に運転を指示しているという条件を満たしている。
【0064】
そして、図8に示す例では、上述した条件が満たされている状態で、30秒(一定時間の一例)ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K(一定値の一例)以上であることが6回(一定回数の一例)以上連続している。このため、制御部40は、庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回連続した時点P5において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0065】
(4-6)冷媒漏れに関する所定の処理
制御部40は、冷媒漏れに関する所定の処理として以下の処理を実行する。
・凝縮器ファン26を常時運転する。
・庫内ファン33を常時運転する。
・定期的に実施される除霜運転を実施しないように制御する。なお、非定期的に実施される除霜運転についても実施しないようにしてもよい。
・冷媒漏れを警報する。冷媒漏れの警報では、制御部40は操作部14の点検ランプ46Aを点滅させるとともに、表示部45に庫内温度と冷媒漏れを警報する警報番号とを交互に表示する。具体的には、制御部40は点検ランプ46Aが消灯しているときに庫内温度を表示し、点検ランプ46Aが点灯しているときに警報番号を表示する。
【0066】
なお、上述した処理は少なくとも一つを実行すればよく、必ずしも全てを実行しなくてもよい。実行する処理は適宜に選択可能である。
【0067】
(5)実施形態の効果
実施形態1に係る冷蔵庫1によると、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が50℃以下であり、且つ、圧縮機20に運転を指示しているという条件の下で、30秒毎の庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や断熱扉12の開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0068】
また、冷蔵庫1によると、冷媒漏れが発生した場合は凝縮器ファン26を常時運転する。凝縮器ファン26を常時運転すると、庫外での冷媒漏れの場合に、庫外に漏れた冷媒を拡散することができる。このため、冷媒が可燃性冷媒である場合に、可燃性冷媒が一か所に滞留することによる危険性を低減できる。
【0069】
また、冷蔵庫1によると、冷媒漏れが発生した場合は庫内ファン33を常時運転する。庫内ファン33を常時運転すると、庫内での冷媒漏れの場合に、断熱扉12と貯蔵庫本体10との僅かな隙間などから冷媒を庫外に少しずつ拡散させることができる。このため、冷媒が可燃性冷媒である場合に、庫外に漏れ出した可燃性冷媒が一か所に滞留することによる危険性を低減できる。
【0070】
また、冷蔵庫1によると、冷媒漏れが発生した場合は除霜運転を実施しないように制御する(言い換えると除霜運転を禁止する)。除霜運転では圧縮機20を停止させるので庫内温度が上昇する。通常であればその後に冷却運転が再開されると庫内温度が低下するので食材に悪影響を与えることはないが、冷媒漏れが発生しているとその後に冷却運転を再開しても庫内温度が低下しないため、庫内温度が高いままとなり、庫内の食材が傷む虞がある。除霜運転を禁止すると庫内温度の上昇を抑制できるので、庫内の食材が傷む可能性を抑制できる。
【0071】
また、冷蔵庫1によると、冷媒漏れが発生した場合は冷媒漏れを警報する。冷媒漏れを警報すると、使用者に断熱扉12の開閉を控えるよう促すことができ、庫内温度が上昇しにくくなる。このため庫内の食材が傷む可能性を抑制できる。また、冷媒漏れを警報すると、使用者に室内の換気を促すことができ、庫外に漏れ出した可燃性冷媒が室内に滞留することによる危険性を低減できる。また、冷媒漏れを警報すると、使用者が冷蔵庫1の製造メーカーにサービス依頼を早期に行うことができるので、庫内の食材が傷む可能性を抑制できる。
【0072】
<実施形態2>
実施形態2を図9によって説明する。前述した実施形態1では冷媒漏れが発生したと判断する条件の一つに「圧縮機20に運転を指示していること」が含まれている。実施形態2は実施形態1の「圧縮機20に運転を指示していること」という条件を「目詰サーミスタ28によって検知された凝縮器21の温度が周囲温度サーミスタ29によって検知された周囲温度より所定値以上高いこと」という条件に変更したものである。
【0073】
言い換えると、実施形態2に係る制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、目詰サーミスタ28によって検知された凝縮器21の温度が周囲温度センサによって検知された周囲温度より所定値以上高いという条件の下で、一定時間毎の庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0074】
図9を参照して具体的に説明する。図9において時点P4は冷却運転中に冷媒漏れが発生した時点である。図9に示す例では、時点P3以降は庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P3以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P3以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。また、少なくとも時点P6以降は、目詰サーミスタ28によって検知された凝縮器21の温度が周囲温度センサによって検知された周囲温度より3K(所定値の一例)以上高い。
【0075】
このため、図9に示す例では、時点P6以降の期間は、断熱扉12が開かれたことが検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、目詰サーミスタ28によって検知された凝縮器21の温度が周囲温度センサによって検知された周囲温度より所定値以上高いという条件を満たしている。
【0076】
そして、図9に示す例では、上述した条件が満たされている状態で、30秒(一定時間の一例)ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K(一定値の一例)以上であることが6回(一定回数の一例)以上連続している。このため、制御部40は、庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回連続した時点P7において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0077】
実施形態2に係る冷蔵庫1によると、単に圧縮機20に運転を指示していることではなく、凝縮器21の温度が周囲温度より3K以上高いことを条件の一つとしているので、圧縮機20が故障によって停止している場合に、冷媒漏れが発生していないにもかかわらず冷媒漏れが発生していると判断されて冷媒漏れに関する所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0078】
<実施形態3>
実施形態3を図10によって説明する。実施形態3に係る制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、圧縮機20に運転を指示しているという条件の下で、一定時間ごとの蒸発器24の温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0079】
図10を参照して具体的に説明する。図10に示す例では、時点P3以降は庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P3以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P3以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。また、時点P3以降は常に圧縮機20に運転が指示されている。
このため、図10に示す例では、時点P3以降の期間は、断熱扉12が開かれたことが検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、圧縮機20に運転を指示しているという条件を満たしている。
【0080】
そして、図10に示す例では、上述した条件が満たされている状態で、30秒(一定時間の一例)ごとの蒸発器24の温度の上昇幅が0.1K(一定値の一例)以上であることが6回(一定回数の一例)以上連続している。このため、制御部40は、蒸発器24の温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回連続した時点P8において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0081】
実施形態3に係る冷蔵庫1によると、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が50℃以下であり、且つ、圧縮機20に運転を指示しているという条件の下で、30秒ごとの蒸発器24の温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や断熱扉12の開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0082】
<実施形態4>
実施形態4は実施形態3の変形例である。実施形態4は実施形態3の「圧縮機20に運転を指示していること」という条件を実施形態2と同様に「目詰サーミスタ28によって検知された温度が周囲温度サーミスタ29によって検知された温度より所定値以上高いこと」という条件に変更したものである。
実施形態4は実施形態3の変形例である点を除いて実施形態2と実質的に同じであるので説明は省略する。
【0083】
<実施形態5>
実施形態5を図11によって説明する。実施形態5に係る制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、一定時間ごとの凝縮器21の温度と周囲温度との差が所定範囲内であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0084】
図11を参照して具体的に説明する。図11に示す例では、時点P3以降では庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P3以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P3以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。
このため、図11に示す例では、時点P3以降の期間は、断熱扉12が開かれたことが検知されておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件を満たしている。
【0085】
そして、図11に示す例では、上述した条件が満たされている状態で、30秒(一定時間の一例)ごとの凝縮器21の温度と周囲温度との差(=凝縮器21の温度―周囲温度)が1~3K(一定範囲の一例)内であることが6回(一定回数の一例)以上連続している。このため、制御部40は、凝縮器21の温度と周囲温度との差が1~3K内であることが6回連続した時点P9において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0086】
実施形態5に係る冷蔵庫1によると、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が50℃以下であるという条件の下で、凝縮器21の温度と周囲温度との差が1~3K内であることが6回以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や断熱扉12の開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が実行されないことを抑制できる。
【0087】
そして、実施形態5に係る冷蔵庫1によると、圧縮機20が故障によって停止している場合は凝縮器21の温度と周囲温度との差が所定範囲外となるので当該所定の処理が実行されない。このため、圧縮機20が故障によって停止している場合に当該所定の処理が不必要に実行されることも抑制できる。
【0088】
また、一般に冷蔵庫1では低圧側冷媒配管から空気が侵入して凝縮器21に滞留すると凝縮圧力が上昇するが、凝縮温度は上昇せず、時間の経過と共に冷媒漏れが発生して凝縮温度が低下していくことが知られている。このため、前述した特開2005-140409号公報に記載の冷蔵庫1の場合には低圧側冷媒回路異常の場合でも冷媒の凝縮温度と周囲温度との差温が所定値(2℃)以下となり、高圧側冷媒回路異常と誤報知してしまう可能性がある。このため冷蔵庫1の保守を行う作業者が迅速で的確な修理を行うことができない虞がある。これに対し、実施形態5に係る冷蔵庫1によると、凝縮器21の温度と周囲温度との差が所定範囲以下の場合は当該所定の処理を実行しないので誤報知を抑制できる。
【0089】
<実施形態6>
実施形態6を図12によって説明する。実施形態6に係る制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、凝縮器21の温度が周囲温度より第1の一定値以上高いという条件の下で、一定時間ごとの庫内温度から蒸発器24の温度を減じた温度が第2の一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0090】
図12を参照して具体的に説明する。図12に示す例では、時点P3以降では庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P3以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P3以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。また、少なくとも時点P4以降は凝縮器21の温度が周囲温度より3K(第1の一定値の一例)以上高い。
【0091】
このため、図12に示す例では、時点P4以降の期間は、断熱扉12が開かれたことが検知されておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、凝縮器21の温度が周囲温度より第1の一定値以上高いという条件を満たしている。
【0092】
そして、図12に示す例では、上述した条件が満たされている状態で、30秒(一定時間の一例)ごとの庫内温度から蒸発器24の温度を減じた温度が5K(第2の一定値の一例)以上であることが時点P10を起点として6回連続している。このため、制御部40は、庫内温度から蒸発器24の温度を減じた温度が5K以上であることが6回連続した時点P11において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0093】
実施形態6に係る冷蔵庫1によると、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が50℃以下であり、且つ、凝縮器21の温度が周囲温度より3K以上高いという条件の下で、30秒ごとの庫内温度から蒸発器24の温度を減じた温度が5K以上であることが6回以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や、扉開閉が頻繁に行われて蒸発器24の異常着霜が想定される場合、又は、圧縮機20が故障によって停止している場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0094】
そして、実施形態6に係る冷蔵庫1によると、冷媒漏れを検知する上では蒸発器24の周囲を通過する冷気の温度を検知する冷気温度センサーが不要であるので、冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0095】
また、前述した特開2006-10126号公報に記載の冷蔵庫1では、冷凍室の設定温度が高い場合は蒸発温度が高いために、冷媒漏れが発生しても蒸発温度センサーの検知温度が冷媒の沸点近傍以下にならず、冷媒漏れを検知できない可能性がある。これに対し、実施形態6に係る冷蔵庫1によると、設定温度が高い場合であっても特開2006-10126号公報に記載の冷蔵庫1に比べて冷媒漏れを確実に検知できる。
【0096】
<実施形態7>
実施形態7を図13によって説明する。実施形態7に係る冷蔵庫1は、圧縮機20に入力される電流値を検出する部品や蒸発器24の温度を検知する除霜サーミスタ32を備えていないものとする。
また、前述したように、冷却運転では圧縮機20の運転/停止が切り替えられることによって庫内温度が概ね冷却温度範囲内に維持される。ここでは圧縮機20の1回の運転及び停止を1サイクルと定義する。
【0097】
実施形態7に係る制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、周囲温度の変化幅が一定幅以内であるという条件の下で、圧縮機20の運転時間が所定のサイクル回数内で連続して長くなると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0098】
図13を参照して具体的に説明する。図13において時点P13は冷却運転中に冷媒漏れが発生した時点である。図13に示す例では、時点P12以降では庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P12以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P12以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。また、少なくとも時点P12以降は周囲温度の変化幅が2℃以内(温度の中央値に対して±1℃以内、一定幅の一例)であるので、周囲温度の変化は小さい。
【0099】
このため、図13に示す例では、時点P12以降の期間は、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が所定温度以下であり、且つ、周囲温度の変化幅が一定幅以内であるという条件を満たしている。
【0100】
そして、図13に示す例では、上述した条件が満たされている状態で、圧縮機20の運転時間が10分、15分、20分というように3サイクル(所定のサイクル回数の一例)内で連続して長くなっている。このため、制御部40は、圧縮機20の運転時間が3サイクル内で連続して長くなった時点P14において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0101】
実施形態7に係る冷蔵庫1によると、断熱扉12が開かれておらず、周囲温度が50℃以下であり、且つ、周囲温度の変化幅が2℃以内であるという条件の下で、圧縮機20の運転時間が3サイクル内で連続して長くなると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や断熱扉12の開閉が頻繁に行われた場合又は周囲温度の変化が大きい場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0102】
そして、実施形態7に係る冷蔵庫1によると、冷媒漏れを検知する上では圧縮機20に入力される電流値を検出する部品や蒸発器24の温度を検知する除霜サーミスタ32が不要であるので、前述した特開2002-340462号公報に記載の電気冷蔵庫に比べて冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0103】
<実施形態8>
実施形態8を図14によって説明する。実施形態8に係る冷蔵庫1は圧縮機20としてインバータ圧縮機20を備えている。実施形態8に係る制御部40は、冷却運転において、予め設定されている冷却速度で庫内温度が目標温度(例えば設定温度あるいは下限温度)まで低下するように、庫内温度と目標温度との差に応じてインバータ圧縮機20の回転数を変更する。
【0104】
そして、実施形態8に係る制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、インバータ圧縮機20の回転数が最高回転数である状態で一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が一定値以上であることが一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0105】
図14を参照して具体的に説明する。図14に示す例では、時点P3以降では庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P3以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P3以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。
このため、図14に示す例では、時点P3以降の期間は、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件を満たしている。
【0106】
そして、図14に示す例では、時点P4でインバータ圧縮機20の回転数が高速(最高回転数の一例)まで上げられている。このため、時点P4以降の期間は、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が50℃以下であるという条件の下で、インバータ圧縮機20の回転数が最高回転数となっている。
【0107】
そして、図14に示す例では、時点P15以降の期間において、30秒(一定時間の一例)ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K(一定値の一例)以上であることが6回(一定回数の一例)以上連続している。このため、制御部40は、庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回連続した時点P16において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0108】
実施形態8に係る冷蔵庫1によると、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が50℃以下であるという条件の下で、インバータ圧縮機20の回転数が高速である状態で30秒ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や断熱扉12の開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる。
【0109】
また、実施形態8に係る冷蔵庫1によると、30秒ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回以上連続したか否かをインバータ圧縮機20の回転数が高速である状態で判断するので(言い換えるとインバータ圧縮機20の回転数が固定されている状態で判断するので)、インバータ圧縮機20の回転数が可変であることの影響も排除できる。
【0110】
そして、実施形態8に係る冷蔵庫1によると、冷媒漏れを検知する上ではモータの入力電力を検出する部品が不要であるので、モータの入力電力を検出する部品を備えていない冷蔵庫1の場合に、前述した特開2016-31209号公報に記載の冷凍サイクル装置に比べて冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0111】
また、前述した特開2016-31209号公報に記載の冷凍サイクル装置では、庫内に収納される食材が極端に少ない場合や、RファンモータやFファンモータが故障して動かない場合、扉開閉の影響で冷却機に多量の霜が付着した場合などは、冷却器の温度が低下することで電力値が低下してしまうため、冷媒漏れが発生した可能性があると誤判断する虞がある。これに対し、実施形態8に係る冷蔵庫1によると、モータの入力電力を検出する部品を用いないのでこのような誤判断を抑制できる。
【0112】
<実施形態9>
実施形態9を図15によって説明する。実施形態9は実施形態8の変形例である。実施形態9に係る制御部40は、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件の下で、第1の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第1の一定値以上であることが第1の一定回数以上連続するとインバータ圧縮機20の回転数をその時点の回転数に固定し、その後に第2の一定時間ごとの庫内温度の上昇幅が第2の一定値以上であることが第2の一定回数以上連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0113】
図15を参照して具体的に説明する。図15に示す例では、時点P3以降では庫内温度が5秒間に0.2K以上上昇していないため、少なくとも時点P3以降は断熱扉12が開かれたことが検知されていない。また、少なくとも時点P3以降は周囲温度が50℃(所定温度の一例)以下である。
このため、図15に示す例では、時点P3以降の期間は、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が所定温度以下であるという条件を満たしている。
【0114】
そして、図15に示す例では、上述した条件が満たされている状態で、30秒(第1の一定時間の一例)ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K(第1の一定値の一例)以上であることが3回(第1の一定回数の一例)以上連続している。このため、制御部40は、庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが3回連続した時点P17において、インバータ圧縮機20の回転数を固定する。
【0115】
そして、図15に示す例では、時点P17でインバータ圧縮機20の回転数を固定した後、30秒(第2の一定時間の一例)ごとの庫内温度の上昇幅が0.1(第2の一定値の一例)K以上であることが3回(第2の一定回数の一例)以上連続している。このため、制御部40は、庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが3回連続した時点P18において、冷媒漏れに関する所定の処理を実行する。
【0116】
実施形態9に係る冷蔵庫1によると、断熱扉12が開かれておらず、且つ、周囲温度が50℃以下であるという条件の下で、30秒ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが3回連続するとインバータ圧縮機20の回転数をその時点の回転数に固定し、その後に30秒ごとの庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが3回連続すると冷媒漏れに関する所定の処理を実行するので、周囲温度が高い場合や扉開閉が頻繁に行われた場合に当該所定の処理が不必要に実行されることを抑制できる上、インバータ圧縮機20の回転数が可変であることの影響も排除できる。
【0117】
そして、実施形態9に係る冷蔵庫1によると、冷媒漏れを検知する上ではモータの入力電力を検出する部品が不要であるので、モータの入力電力を検出する部品を備えていない冷蔵庫1の場合に、前述した特開2016-31209号公報に記載の冷凍サイクル装置に比べて冷媒漏れを検知するための部品点数を抑制できる。
【0118】
なお、凝縮器ファン26や庫内ファン33も回転数が可変の場合は、インバータ圧縮機20の回転数の固定と同時にそれらのファンの回転数を固定してもよい。
【0119】
<実施形態10>
実施形態10を図16によって説明する。実施形態10は実施形態1~実施形態9の変形例である。ここでは実施形態1の変形例として説明する。
【0120】
図16に示すように、実施形態10に係る凝縮器ファン26及び庫内ファン33はOFF、ON(低速)、ON(高速)の3段階で回転数が可変である。実施形態10に係る制御部40は、冷媒漏れに関する所定の処理として、凝縮器ファン26及び庫内ファン33を最高速で常時運転する。
具体的には、制御部40は、庫内温度の上昇幅が0.1K以上であることが6回連続した時点P19において、凝縮器ファン26及び庫内ファン33の回転速度をそれぞれ高速(最高速の一例)に切り替える。
【0121】
実施形態10に係る冷蔵庫1によると、冷媒漏れが発生した場合は凝縮器ファン26を最高速で常時運転するので、庫外での冷媒漏れの場合に冷媒を早く拡散させことができる。これにより、可燃性冷媒が1か所に滞留することによる危険性をより確実に低減できる。
【0122】
また、冷蔵庫1によると、冷媒漏れが発生した場合は庫内ファン33を最高速で常時運転するので、庫内での冷媒漏れの場合に冷媒を早く庫外に拡散させことができる。これにより、可燃性冷媒が1か所に滞留することによる危険性をより確実に低減できる。
【0123】
<実施形態11>
実施形態11を図17ないし図18によって説明する。実施形態10は実施形態1~実施形態9の変形例である。
【0124】
図17に示すように、冷蔵庫1の貯蔵庫本体10は天井に開口10Bが形成されている。図示しない冷凍ユニット17は開口10Bを塞ぐように貯蔵庫本体10の上に配置される。図18は貯蔵庫本体10の背面図であり、裏面側の外装板及び左側の外装板を取り外した状態を示している。前述した図4に示すように、貯蔵庫本体10の後側の壁10Cの内部には排水通路10Dが形成されている。図19に示す排水パイプ50は排水通路10Dを形成しているものである。
【0125】
図18に示すように、排水パイプ50は途中で分岐している。具体的には、排水パイプ50の上端から下側に所定距離離間した位置から分岐パイプ51が上方に向かって僅かに傾斜しながら延びている。分岐パイプ51は上方に向かって僅かに傾斜した後に上に向かって延びている。貯蔵庫本体10の天井には分岐パイプ51を通すための貫通穴が形成されており、分岐パイプ51の上端はその貫通穴に通されている。分岐パイプ51の上端と貯蔵庫本体10の上面52とは概ね面一である。分岐パイプ51の上端と貯蔵庫本体10の上面52とが概ね面一であるので、分岐パイプ51の上端はユニット台19の上面より下側に位置する。
【0126】
実施形態11に係る冷蔵庫1によると、排水パイプ50は途中から分岐して上に向かって延びている分岐パイプ51を有している。このため、冷媒漏れが発生したとき、庫内ファン33を回転させると、庫内に漏洩した冷媒が排水パイプ50から分岐パイプ51を介して庫外に排気され易くなる。このため、可燃性冷媒が1か所に滞留することによる危険性をより確実に低減できる。
【0127】
また、冷蔵庫1によると、冷媒漏れが発生した場合は凝縮器ファン26を常時運転するので、分岐パイプ51から排気された冷媒を凝縮器ファン26によって拡散することができる。その場合に、分岐パイプ51の上端がユニット台19の上面より下側に位置するので、凝縮器ファン26の風は分岐パイプ51の排気側の開口に直接当たらない。このため、凝縮器ファン26からの風によって庫内の冷媒が分岐パイプ51から庫外に排気され難くなることを防止できる。
【0128】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0129】
(1)上記実施形態は冷媒漏れに関する所定の処理として庫内ファン33を常時運転する。その場合の庫内ファン33の回転方向は冷却運転時と同方向である。これに対し、庫内ファン33を冷却運転時とは逆回転させてもよい。庫内ファン33を逆回転させると冷気循環方向が逆転するので、ドアのパッキン側に向かって庫内冷気を吹き付ける圧力が高くなる。このため、庫内の冷媒をパッキンと貯蔵庫本体10との僅かな隙間などから庫外により確実に拡散させることができる。
【0130】
(2)上記実施形態において、図19に示すように、ユニット台19の上にエアポンプ60を配置するとともに、エアポンプ60から送り出された空気を庫内に導くための通路61をユニット台19に形成し、冷媒漏れが発生した場合はエアポンプ60を動作させて庫外の空気を庫内に送り込んでもよい。このようにすると、エアポンプ60から庫内に空気が送り込まれることによって庫内の圧力が高くなるので、断熱扉12のパッキンと貯蔵庫本体10との僅かな隙間から冷媒を庫外により確実に拡散させることができる。
【0131】
(3)上記実施形態5では一つの冷凍回路18が一つの凝縮器21を有しているが、複数の冷凍回路18が一つの凝縮器21を使用し、それぞれの冷凍回路18用の目詰サーミスタ28が凝縮器21に設けられる場合もある。実施形態5で説明した構成によれば、そのような場合にも、目詰サーミスタ28が検知した温度と周囲温度サーミスタ29が検知した温度との差から冷媒漏れをそれぞれ検知することが可能である。
【0132】
(4)上記実施形態10では凝縮器ファン26及び庫内ファン33の両方とも回転数が可変である場合を例に説明したが、いずれか一方のみ回転数が可変であってもよい。
【0133】
(5)上記実施形態11において、分岐パイプ51の排気側の端面の上部に排気ファンを設け、冷媒漏れが発生した場合は排気ファンを動作させて庫内の冷媒を庫外に排気してもよい。
【0134】
(6)上記実施形態で例示した各種の数値は一例であり、上記実施形態で例示したものに限定されるものではない。
【0135】
(7)上記実施形態では冷却貯蔵庫として冷蔵庫を例に説明したが、冷却貯蔵庫は冷凍庫であってもよいし、冷蔵庫と冷凍庫とを備えた冷凍冷蔵庫であってもよい。
【符号の説明】
【0136】
1…冷蔵庫(冷却貯蔵庫の一例)、10…貯蔵庫本体、12…断熱扉(扉の一例)、18…冷凍回路、20…圧縮機、21…凝縮器、24…蒸発器、26…凝縮器ファン、27…エアダクト(ドレンパンの一例)、28…目詰サーミスタ(凝縮器温度センサの一例)、29…周囲温度サーミスタ(周囲温度センサの一例)、32…除霜サーミスタ(蒸発器温度センサの一例)、34…庫内サーミスタ(庫内温度センサ及び検知部の一例)、40…制御部、60…エアポンプ、50…排水パイプ、51…分岐パイプ
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