(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】自動拡管装置、自動拡管方法およびエキスパンダ交換方法
(51)【国際特許分類】
B21D 39/20 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
B21D39/20 C
B21D39/20 Z
(21)【出願番号】P 2019034373
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤崎 憲二
(72)【発明者】
【氏名】杉森 正
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-290172(JP,A)
【文献】実開昭60-082046(JP,U)
【文献】特開2006-335143(JP,A)
【文献】特開平11-042577(JP,A)
【文献】特開平06-039760(JP,A)
【文献】実開平05-089336(JP,U)
【文献】特開2009-023082(JP,A)
【文献】特開2011-235298(JP,A)
【文献】実開昭58-057334(JP,U)
【文献】実開平07-015128(JP,U)
【文献】実公平07-031853(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/20
B21D 39/08
B21D 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブの拡管加工を行う拡管装置と、
前記拡管装置を支持して移動させるロボットと、
を備える自動拡管装置であって、
前記拡管装置は、
先端側が小径となるテーパ部が外周面に形成されたマンドレル、前記マンドレルにスライド自在かつ回転自在に外嵌された筒状のフレーム部材、および前記フレーム部材に回転自在に保持され前記フレーム部材の軸方向に対して傾斜して配置された複数のローラを有するエキスパンダと、
前記エキスパンダの前記マンドレルを回転駆動する回転駆動機と、
前記エキスパンダの前記フレーム部材をクランプするクランプ装置と、
前記クランプ装置を前記エキスパンダの軸方向に移動させる移動装置と、
を有
し、
前記フレーム部材は、前記ローラを保持する円筒状のフレームと、前記フレームの外周面に取り付けられたカラーと、を有し、
前記カラーは、前記フレームの外周面に固定されたカラー後輪と、前記カラー後輪に対して前記エキスパンダの先端側にボールリテーナを介して回転自在に配置されるカラー前輪と、を有し、
前記クランプ装置は、前記フレーム部材の前記カラー前輪をクランプする、自動拡管装置。
【請求項2】
前記クランプ装置は、前記エキスパンダの軸方向において前記フレーム部材に当接する当接部を有する、請求項1に記載の自動拡管装置。
【請求項3】
前記エキスパンダが軸方向外力を受けている間、前記エキスパンダを前記軸方向外力の方向に移動させるように前記ロボットを動作させることで前記ロボットによる前記拡管装置の支持位置を前記エキスパンダの軸方向の動きに追従させる制御を行う制御装置を備える、請求項1
又は請求項
2に記載の自動拡管装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記移動装置によって前記クランプ装置が前記マンドレルの先端側に移動させられ、かつ前記クランプ装置によって前記フレーム部材がクランプされた状態において、前記移動装置による前記クランプ装置の軸方向位置の保持力を解除する制御を行う、請求項
3に記載の自動拡管装置。
【請求項5】
前記クランプ装置は、前記エキスパンダの前記フレーム部材を径方向両側から挟んでクランプする一対のクランパと、一対の前記クランパを前記エキスパンダの前記フレーム部材に対してそれぞれ進退移動させる一対のエアチャックと、を有する、請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の自動拡管装置。
【請求項6】
前記回転駆動機の回転軸と前記マンドレルとを接続するカップリングを備え、
前記カップリングは、弾性部材によって前記回転駆動機とは反対側に付勢される被押圧部を有し、前記被押圧部を前記回転駆動機側に押圧することで前記マンドレルが挿入可能な状態にし、前記マンドレルが挿入された状態で前記被押圧部への押圧力を解除することで前記マンドレルが取り付けられる、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の自動拡管装置。
【請求項7】
チューブの拡管加工を行う拡管装置と、前記拡管装置を支持して移動させるロボットと、を備える自動拡管装置を用いて拡管作業を行う自動拡管方法であって、
前記拡管装置は、
先端側が小径となるテーパ部が外周面に形成されたマンドレル、前記マンドレルにスライド自在かつ回転自在に外嵌された筒状のフレーム部材、および前記フレーム部材に回転自在に保持され前記フレーム部材の軸方向に対して傾斜して配置された複数のローラを有するエキスパンダと、
前記エキスパンダの前記マンドレルを回転駆動する回転駆動機と、
前記エキスパンダの前記フレーム部材をクランプするクランプ装置と、
前記クランプ装置を前記エキスパンダの軸方向に移動させる移動装置と、
を有し、
前記移動装置が前記フレーム部材を前記マンドレルの先端側に移動させる工程と、
前記クランプ装置が前記フレーム部材をクランプする工程と、
前記ロボットが前記エキスパンダを前記チューブ内に挿入する工程と、
前記ロボットが前記回転駆動機によって正回転させられる前記マンドレルを前記エキスパンダの先端側に送る工程と、
前記回転駆動機は予め設定された負荷トルクが検出されると回転を停止し逆回転する工程と、
前記ロボットが前記回転駆動機によって逆回転させられる前記マンドレルを前記エキスパンダの基端側に送る工程と、
前記回転駆動機の逆回転による負荷トルクがなくなると前記ロボットが前記エキスパンダを前記チューブから抜去する工程と、
を含む、自動拡管方法。
【請求項8】
前記マンドレルを前記エキスパンダの先端側に送る工程および前記マンドレルを前記エキスパンダの先端側に送る工程において、前記エキスパンダが軸方向外力を受けている間、前記エキスパンダを前記軸方向外力の方向に移動させるように前記ロボットを動作させることで前記ロボットによる前記拡管装置の支持位置が前記エキスパンダの軸方向の動きに追従させられる、請求項
7に記載の自動拡管方法。
【請求項9】
前記移動装置によって前記クランプ装置が前記マンドレルの先端側に移動させられ、かつ前記クランプ装置によって前記フレーム部材がクランプされた状態において、前記移動装置による前記フレーム部材の軸方向位置の保持力を解除する制御が行われる、請求項8または請求項
8に記載の自動拡管方法。
【請求項10】
チューブの拡管加工を行う拡管装置と、前記拡管装置を支持して移動させるロボットと、を備える自動拡管装置におけるエキスパンダ交換方法であって、
前記拡管装置は、
先端側が小径となるテーパ部が外周面に形成されたマンドレル、前記マンドレルにスライド自在かつ回転自在に外嵌された筒状のフレーム部材、および前記フレーム部材に回転自在に保持され前記フレーム部材の軸方向に対して傾斜して配置された複数のローラを有するエキスパンダと、
前記エキスパンダの前記マンドレルを回転駆動する回転駆動機と、
前記エキスパンダの前記フレーム部材をクランプするクランプ装置と、
前記クランプ装置を前記エキスパンダの軸方向に移動させる移動装置と、
前記回転駆動機の回転軸と前記マンドレルとを接続するカップリングと、
を有し、
前記カップリングは、弾性部材によって前記回転駆動機とは反対側に付勢される被押圧部を有し、前記被押圧部を前記回転駆動機側に押圧することで前記マンドレルが挿入可能な状態にし、前記マンドレルが挿入された状態で前記被押圧部への押圧力を解除することで前記マンドレルが取り付けられるものであり、
前記クランプ装置をアンクランプ状態にする工程と、
前記移動装置が前記クランプ装置を前記回転駆動機側に移動させることで、前記カップリングの前記被押圧部を前記回転駆動機側に押圧する工程と、
前記エキスパンダの前記マンドレルを前記カップリングに挿入する工程と、
前記移動装置が前記クランプ装置を前記回転駆動機とは反対側に移動させて前記被押圧部への押圧を解除することで、前記カップリングに前記マンドレルを取り付ける工程と、
を含む、エキスパンダ交換方法。
【請求項11】
前記移動装置が前記クランプ装置を前記回転駆動機側に移動させることで、前記エキスパンダの前記マンドレルが取り付けられた前記カップリングの前記被押圧部を前記回転駆動機側に押圧する工程と、
前記ロボットが前記エキスパンダの先端を下方に向ける工程と、
を含む、請求項
10に記載のエキスパンダ交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動拡管装置、自動拡管方法およびエキスパンダ交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チューブの拡管加工を行う拡管装置と、該拡管装置を支持して移動させるロボットとを備える自動拡管装置が提案されている(例えば、特許文献1)。拡管装置は、例えば熱交換機を構成するチューブと該チューブを取付ける管板との接合を、エキスパンダによってチューブの外径を広げて管板に形成された取付け孔の内面に圧接固定することで行う。
特許文献1に記載の自動拡管装置では、拡管装置は、拡管対象であるチューブの位置までロボットによって移動させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、チューブの内径とエキスパンダの外径との間の隙間が小さいことから、ロボットによってエキスパンダを移動させてチューブの位置に正確に正対させて該チューブ内に挿入することが困難な場合がある。
【0005】
例えば特許文献1に記載の自動拡管装置では、拡管工具(エキスパンダ)がチューブに挿入された場合にのみ拡管工具挿通確認機構が動作して拡管加工を行なうことができる状態であることが検出されるようになっている。そして、拡管工具がチューブに挿入されていない場合、拡管加工を行なうべきでないことが指示され、位置ずれを解消させるべくロボットの動作を補正する工程が生じる。このため、拡管作業の効率が低下してしまう。
【0006】
本発明は、拡管作業の効率を向上させることができる自動拡管装置、自動拡管方法およびエキスパンダ交換方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る自動拡管装置は、チューブの拡管加工を行う拡管装置と、前記拡管装置を支持して移動させるロボットと、を備える自動拡管装置である。前記拡管装置は、エキスパンダと、回転駆動機と、クランプ装置と、移動装置と、を有する。前記エキスパンダは、マンドレル、筒状のフレーム部材、および複数のローラを有している。マンドレルには、先端側が小径となるテーパ部が外周面に形成されている。筒状の前記フレーム部材は、前記マンドレルにスライド自在かつ回転自在に外嵌されている。複数の前記ローラは、前記フレーム部材に回転自在に保持され前記フレーム部材の軸方向に対して傾斜して配置されている。前記回転駆動機は、前記エキスパンダの前記マンドレルを回転駆動する。前記クランプ装置は、前記エキスパンダの前記フレーム部材をクランプする。前記移動装置は、前記クランプ装置を前記エキスパンダの軸方向に移動させる。前記フレーム部材は、前記ローラを保持する円筒状のフレームと、前記フレームの外周面に取り付けられたカラーと、を有している。前記カラーは、前記フレームの外周面に固定されたカラー後輪と、前記カラー後輪に対して前記エキスパンダの先端側にボールリテーナを介して回転自在に配置されるカラー前輪と、を有している。前記クランプ装置は、前記フレーム部材の前記カラー前輪をクランプする。
【0008】
本発明に係る自動拡管方法は、チューブの拡管加工を行う拡管装置と、前記拡管装置を支持して移動させるロボットと、を備える自動拡管装置を用いて拡管作業を行う自動拡管方法である。前記拡管装置は、先端側が小径となるテーパ部が外周面に形成されたマンドレル、前記マンドレルにスライド自在かつ回転自在に外嵌された筒状のフレーム部材、および前記フレーム部材に回転自在に保持され前記フレーム部材の軸方向に対して傾斜して配置された複数のローラを有するエキスパンダと、前記エキスパンダの前記マンドレルを回転駆動する回転駆動機と、前記エキスパンダの前記フレーム部材をクランプするクランプ装置と、前記クランプ装置を前記エキスパンダの軸方向に移動させる移動装置と、を有している。前記自動拡管方法は、前記移動装置が前記フレーム部材を前記マンドレルの先端側に移動させる工程と、前記クランプ装置が前記フレーム部材をクランプする工程とを含む。また、前記自動拡管方法は、前記ロボットが前記エキスパンダを前記チューブ内に挿入する工程と、前記ロボットが前記回転駆動機によって正回転させられる前記マンドレルを前記エキスパンダの先端側に送る工程とを含む。また、前記自動拡管方法は、前記回転駆動機は予め設定された負荷トルクが検出されると回転を停止し逆回転する工程と、前記ロボットが前記回転駆動機によって逆回転させられる前記マンドレルを前記エキスパンダの基端側に送る工程とを含む。また、前記自動拡管方法は、前記回転駆動機の逆回転による負荷トルクがなくなると前記ロボットが前記エキスパンダを前記チューブから抜去する工程を含む。
【0009】
本発明に係るエキスパンダ交換方法は、チューブの拡管加工を行う拡管装置と、前記拡管装置を支持して移動させるロボットと、を備える自動拡管装置におけるエキスパンダ交換方法である。前記拡管装置は、先端側が小径となるテーパ部が外周面に形成されたマンドレル、前記マンドレルにスライド自在かつ回転自在に外嵌された筒状のフレーム部材、および前記フレーム部材に回転自在に保持され前記フレーム部材の軸方向に対して傾斜して配置された複数のローラを有するエキスパンダと、前記エキスパンダの前記マンドレルを回転駆動する回転駆動機と、前記エキスパンダの前記フレーム部材をクランプするクランプ装置と、前記クランプ装置を前記エキスパンダの軸方向に移動させる移動装置と、前記回転駆動機の回転軸と前記マンドレルとを接続するカップリングと、を有している。前記カップリングは、弾性部材によって前記回転駆動機とは反対側に付勢される被押圧部を有し、前記被押圧部を前記回転駆動機側に押圧することで前記マンドレルが挿入可能な状態にし、前記マンドレルが挿入された状態で前記被押圧部への押圧力を解除することで前記マンドレルが取り付けられるものである。前記エキスパンダ交換方法は、前記クランプ装置をアンクランプ状態にする工程と、前記移動装置が前記クランプ装置を前記回転駆動機側に移動させることで、前記カップリングの前記被押圧部を前記回転駆動機側に押圧する工程とを含む。また、前記エキスパンダ交換方法は、前記エキスパンダの前記マンドレルを前記カップリングに挿入する工程と、前記移動装置が前記クランプ装置を前記回転駆動機とは反対側に移動させて前記被押圧部への押圧を解除することで、前記カップリングに前記マンドレルを取り付ける工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、拡管作業の効率を向上させることができる自動拡管装置、自動拡管方法およびエキスパンダ交換方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自動拡管装置の概略側面図である。
【
図2】
図1のA方向から見た拡管装置の平面図である。
【
図3】
図1のB方向から見た拡管装置の斜視図である。
【
図5】
図4のクランプ装置が先端側に移動させられた状態を示す断面図である。
【
図7】自動拡管方法の内容を示すフローチャートである。
【
図8】自動拡管装置の拡管作業時の動作を説明するための平面図である。
【
図10】エキスパンダ交換方法におけるエキスパンダの取付け作業の内容を示すフローチャートである。
【
図11】自動拡管装置のエキスパンダ取付け作業時の動作を説明するための平面図である。
【
図12】
図11から続く、自動拡管装置のエキスパンダ取付け作業時の動作を説明するための平面図である。
【
図13】エキスパンダ交換方法におけるエキスパンダの取外し作業の内容を示すフローチャートである。
【
図14】自動拡管装置のエキスパンダ取外し作業時の動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る自動拡管装置1について、
図1~
図6を適宜参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自動拡管装置1の概略側面図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の自動拡管装置1は、拡管装置3と、ロボット2と、制御装置10と、ツールストッカ11とを備えている。なお、
図1においては、ロボット2によって拡管装置3が移動させられて拡管装置3の位置および姿勢が3通りに変化させられた状態を同時に示している。
【0015】
拡管装置3は、チューブTの拡管加工を行う。拡管装置3は、熱交換機を構成するチューブTと該チューブTを取付ける管板TBとの接合を、エキスパンダ4によってチューブTの外径を広げて管板TBに形成された取付け孔TBaの内面に圧接固定することで行う。ロボット2は、拡管装置3を支持して移動させる。拡管装置3は、ロボット2のアーム21の先端部に固定されている。ロボット2として、ここでは多関節ロボットが使用されている。制御装置10は、記憶手段に予め記憶されたプログラムをCPUが実行することで、自動拡管装置1の各部の動作を制御するコンピュータである。ツールストッカ11は、少なくとも一つのエキスパンダ4を保管する。
【0016】
図2は、
図1のA方向から見た拡管装置3の平面図である。
図3は、
図1のB方向から見た拡管装置3の斜視図である。
図4は、
図1のC-C線に沿う断面図である。
図5は、
図4のクランプ装置が先端側に移動させられた状態を示す断面図である。
図6は、ローラ43の傾斜を模式的に示す図である。
【0017】
図2、
図3に示すように、拡管装置3は、エキスパンダ4と、回転駆動機6と、クランプ装置7と、移動装置8と、カップリング9とを有している。
【0018】
図4、
図5に示すように、エキスパンダ4は、マンドレル41、筒状のフレーム部材42、および複数のローラ43を有している。マンドレル41には、先端側が小径となるテーパ部411が外周面に形成されている。フレーム部材42は、マンドレル41にスライド自在かつ回転自在に外嵌されている。複数のローラ43は、フレーム部材42に回転自在に保持されている。
【0019】
マンドレル41は、該マンドレル41の先端側(以下、「前側」ともいう)に位置するテーパ部411と、テーパ部411の基端側(以下、「後側」ともいう)に位置する円柱形状の円柱部412とを有している。マンドレル41の先端部には、キャップナット413がねじ締結によって固定されている。また、マンドレル41の後端部には、角型シャンク414が設けられている。マンドレル41の角型シャンク414は、カップリング9を介して、回転駆動機6の回転軸61と接続される。
【0020】
フレーム部材42は、ローラ43を保持する円筒状のフレーム44と、フレーム44の外周面に取り付けられた環状のカラー45とを有している。カラー45は、フレーム44の外周面に固定されたカラー後輪451と、カラー後輪451に対して前側(エキスパンダ4の先端側)にボールリテーナ452を介して回転自在に配置されるカラー前輪453とを有する。
【0021】
フレーム44の中空部の内径はマンドレル41の円柱部412の外径より僅かに大きくなっている。マンドレル41は、円筒状のフレーム44の中空部を貫通して挿入されている。フレーム44の先端側には例えば120度の間隔で周方向均等に長溝であるローラ溝421が複数形成されている。各ローラ溝421はフレーム44の長手方向に関し同一位置に配置されている。ローラ溝421には裁頭円錐形状のローラ43が係止されて保持されている。ローラ43は、ローラ溝421から、フレーム44の径方向の外側および内側に一部露出している。
【0022】
フレーム44の後端側は、一段外径を小さくしてその外周面に雄ねじが形成されており、この雄ねじに、内周面に雌ねじ形成されたカラー後輪451がねじ込まれている。カラー後輪451は、止めナット454によってフレーム44に固定される。なお、カラー後輪451のフレーム44への固定方法は、止めナット454を用いた方法以外に、例えば六角穴付止めねじを用いた方法であってもよい。カラー後輪451の前面にボールリテーナ452が配置され、ボールリテーナ452の前面にカラー前輪453が配置された状態で、これらは止め輪455によって軸方向において一体化されてカラー45を構成している。
【0023】
ローラ43は、フレーム44の径方向内側において、マンドレル41のテーパ部411の外周面に、その長手方向中心軸まわりに回転しながら、その側面が接触する。一方、ローラ43は、フレーム44の径方向外側において、拡管加工時に、拡管されるチューブTの内周面に、その長手方向中心軸まわりに回転しながら、マンドレル41との接触部とはほぼ反対側の側面が接触する。
【0024】
図6に示すように、ローラ43は、その中心軸がフレーム部材42の軸方向(マンドレル41の軸方向と同じ)に対して所定角度θだけ傾斜して配置されている。ローラ43は、マンドレル41のテーパ部411のテーパとは方向が逆で傾きが半分のテーパを有する裁頭円錐形状である。
【0025】
図4、
図5に示すように、キャップナット413の後端側には、後側が小径となるテーパ面416が形成されている。この構成では、フレーム部材42が前側に移動させられてツール径が最小となったときに、フレーム44の前端部がテーパ面416に当接する。これにより、フレーム部材42の中心軸とマンドレル41の中心軸とが合致するように求心させられる。したがって、マンドレル41の先端部の自重による垂れ下がりを抑制でき、エキスパンダ4のチューブT内への挿入性が向上する。ここで、ツール径とは、エキスパンダ4による拡管加工の加工径をいい、複数のローラ43に外接する包絡線で形成される外接円の直径を意味する。
【0026】
図2、
図3に示すように、回転駆動機6は、エキスパンダ4のマンドレル41を、カップリング9を介して回転駆動する。回転駆動機6として、ここではサーボモータが使用されている。
【0027】
クランプ装置7は、エキスパンダ4のフレーム部材42、具体的にはフレーム部材42のカラー前輪453(
図4参照)をクランプする。クランプ装置7は、一対のクランパ71と、一対のエアチャック72と、一対のエアチャック72を支持する支持部材73とを有している。一対のクランパ71は、エキスパンダ4のフレーム部材42を径方向両側から挟んでクランプする。一対のエアチャック72は、エア圧によって、一対のクランパ71をエキスパンダ4のフレーム部材42に対してそれぞれ進退移動させる。一対のエアチャック72は、支持部材73の前面に固定されている。支持部材73は、矩形板状を呈している。支持部材73の中央部には、貫通孔731(
図4参照)が形成されている。貫通孔731は、カラー後輪451が軸方向に挿通可能な大きさに形成されている。
【0028】
図3、
図4に示すように、クランパ71は、クランパ本体部711と、クランパ本体部711を支持するクランパ支持部712とを有する。クランパ本体部711には、フレーム部材42のカラー前輪453の外周面に接触する円弧面713が形成されている。クランパ支持部712は、
図1のA方向から見てL字状を呈している。クランパ支持部712のエキスパンダ4に臨む側には、カラー前輪453の外径よりも小さい内径を有する円弧面714(
図4参照)が形成されている。そして、クランパ支持部712の前側の面には、エキスパンダ4の軸方向においてフレーム部材42のカラー前輪453に当接する当接部715が設けられている。
【0029】
図2、
図3に示すように、移動装置8は、クランプ装置7をエキスパンダ4の軸方向に移動させる。移動装置8は、回転駆動機6のケーシング62に、取付け板63を介して固定されている。移動装置8として、ここでは電動シリンダ装置が使用されているが、流体圧を用いる流体圧シリンダ装置が使用されてもよい。移動装置8は、駆動力を発生させる本体部81と、本体部81によって進退移動させられるロッド82とを有している。ロッド82の先端は、クランプ装置7の支持部材73の一端部に固定されている。支持部材73の他端部には、ガイド棒83が固定されている。ガイド棒83は、回転駆動機6のケーシング62に固定されたガイドブッシュ84内にスライド自在に挿通されている。これにより、移動装置8は、クランプ装置7をスムーズに移動させることができる。
【0030】
図4に示すように、カップリング9は、回転駆動機6の回転軸61とマンドレル41とを接続する。カップリング9は、接続部材91と、被押圧部92とを有している。接続部材91は、回転軸61に接続する中空部が形成された第1接続部911と、マンドレル41の後端部である角型シャンク414に接続する角型の中空部が形成された第2接続部912とを有する。被押圧部92は、接続部材91の第2接続部912が挿入される貫通孔921が形成されている。
【0031】
第2接続部912には、ボール93が収容される貫通孔913が形成されている。マンドレル41の角型シャンク414の外面には、ボール93の一部が嵌入可能な凹部415が形成されている。被押圧部92の貫通孔921の内周面には、ボール93の一部が嵌入可能な凹部922が形成されている。
【0032】
被押圧部92は、弾性部材94によって回転駆動機6とは反対側に付勢されている。弾性部材94の被押圧部92とは反対側の端部は、リテーナ95に支持されている。つまり、弾性部材94は、被押圧部92とリテーナ95との間に収縮されて配置されている。リテーナ95は、第1接続部911の後端に設けられた凸部914によって後方への移動が規制される。被押圧部92は、第2接続部912に装着された止め輪915によって前方への移動が規制される。
【0033】
被押圧部92を回転駆動機6側に押圧することで、マンドレル41がカップリング9に挿入可能な状態となる。これは、凹部922がボール93に臨む位置に移動して、ボール93が径方向外側に移動可能となるためである。一方、マンドレル41がカップリング9に挿入されボール93の一部が凹部415に嵌入した状態で被押圧部92への押圧力を解除することで、マンドレル41がカップリング9に取り付けられる。これは、凹部922とボール93の軸方向位置がずれて、ボール93が径方向外側に移動不可となるためである。
【0034】
次に、本実施形態の自動拡管装置1の動作について説明する。自動拡管装置1の動作は、制御装置10によって制御される。
図7~
図9を参照して、自動拡管装置1を用いて拡管作業を行う自動拡管方法について説明する。
図7は、自動拡管方法の内容を示すフローチャートである。
図8は、自動拡管装置1の拡管作業時の動作を説明するための平面図である。
図9は、拡管する様子を示す拡大断面図である。
【0035】
図7に示すように、まず、ロボット2が、拡管装置3のエキスパンダ4を拡管対象となるチューブTの端面に対向する位置に移動させる(S1)。拡管対象となるチューブTの位置は、管板TBの取付け孔TBaの位置データ(設計データ)を取り込むことや、管板TBの取付け孔TBaの画像を取り込んで画像処理することによって特定できる。
【0036】
続いて、回転駆動機6が回転動作を開始し(S2)、クランプ装置7がアンクランプ状態にされる(S3、
図8(a)参照)。なお、回転駆動機6の回転動作の開始時期は、後記するステップS8の前であれば適宜変更され得る。
【0037】
続いて、移動装置8がクランプ装置7を軸方向先端側に移動させる。このとき、移動装置8は、クランプ装置7の当接部715がフレーム部材42のカラー前輪453に当接した状態で、フレーム部材42をマンドレル41の先端側に移動させる(S4、
図8(b)参照)。したがって、ローラ43は、マンドレル41のテーパ部411の小径側に位置されることになり、ローラ43の径方向外側への突出量が最も小さくなる。つまり、ツール径が最小となる。
【0038】
続いて、クランプ装置7がフレーム部材42のカラー前輪453をクランプする(S5)。そして、移動装置8によるクランプ装置7の軸方向位置の保持力が解除される(S6)。具体的には、移動装置8はブレーキ解除状態、つまり外力に倣って動くフローティング状態となる。
【0039】
続いて、ロボット2が拡管装置3のエキスパンダ4をチューブT内に挿入する(S7、
図8(c)参照)。ここで、フレーム部材42のカラー45のカラー前輪453の前端面がチューブTの端面に接触する。
【0040】
そして、ロボット2が回転駆動機6によって正回転させられるマンドレル41をエキスパンダ4の先端側に送る(S8、
図8(d)参照)。これにより、拡管加工が行われる。
図9に示すように、拡管加工中、カラー45のカラー前輪453はチューブTの端面に接触し、回転も軸方向の位置移動もしない。しかし、マンドレル41が回転駆動されるので、マンドレル41の回転により、ローラ43はチューブTの内周面上を自転しながらフレーム44とともに公転するが軸方向には移動しない。フレーム44はローラ43の自転により自己の中心軸線まわりを公転するのみであり、軸方向には移動しない。一方、マンドレル41の中心軸とローラ43の中心軸とが所定角度θだけ傾斜しているフィードアングルが設けられているため、マンドレル41は回転させられると自然と軸方向に送られる作用が働く。このため、マンドレル41は、回転しながら、ローラ43のフィードアングルの作用によって先端側に移動、すなわち自己推進する。このマンドレル41の前方移動によってローラ43のマンドレル41との接触位置がテーパ部411の大径側に移動するので、ツール径が増大し、チューブTは拡管加工を受ける。
【0041】
ステップS8において、エキスパンダ4が自己推進させられる軸方向外力を受けている間、エキスパンダ4を軸方向外力の方向に移動させるようにロボット2が動作させられる。これにより、ロボット2による拡管装置3の支持位置がエキスパンダ4のマンドレル41の軸方向の動きに追従させられる。
【0042】
このように、エキスパンダ4は、拡管加工時に自ら前進(自己推進)する方向に軸方向外力がかかり、拡管後に抜き出す際にも自ら抜き出る(自己後退)方向に軸方向外力がかかる。この軸方向外力とロボット2の動力とが互いに押し付け合わないように、ロボット2は、軸方向外力である負荷に合わせて、ロボット2に備わる駆動用モータのトルク制御を行う。具体的には、ロボット2の動作がエキスパンダ4の自己推進および自己後退に追従させられるよう、モータ電流の制御によって制限をかけ、ロボット2に外力が印加されると、ロボット2はこの外力に従って動作する。
【0043】
回転駆動機6は、予め設定された負荷トルクが検出された場合、回転を停止し逆回転する(S9)。負荷トルクは、回転駆動機6に流れる電流値に基づいて得られる。
【0044】
そして、ロボット2は、回転駆動機6によって逆回転させられるマンドレル41をエキスパンダ4の基端側に送る(S10)。マンドレル41は、逆回転しながら、ローラ43のフィードアングルの作用によって基端側に移動、すなわち自己後退する。このマンドレル41の後方移動によってローラ43のマンドレル41との接触位置がテーパ部411の小径側に移動するので、ツール径が減少する。
【0045】
ステップS10において、エキスパンダ4が自己後退させられる軸方向外力を受けている間、エキスパンダ4を軸方向外力の方向に移動させるようにロボット2が動作させられる。これにより、ロボット2による拡管装置3の支持位置がエキスパンダ4のマンドレル41の軸方向の動きに追従させられる。
【0046】
続いて、ロボット2が拡管装置3のエキスパンダ4をチューブTから抜き去り(S11、
図8(e)参照)、回転駆動機6が回転を停止する(S12)。
【0047】
次に、
図10~
図12を参照して、自動拡管装置1におけるエキスパンダ交換方法について説明する。
図10は、エキスパンダ交換方法におけるエキスパンダ4の取付け作業の内容を示すフローチャートである。
図11は、自動拡管装置1のエキスパンダ取付け作業時の動作を説明するための平面図である。
図12は、
図11から続く、自動拡管装置1のエキスパンダ取付け作業時の動作を説明するための平面図である。
【0048】
図10に示すように、まず、クランプ装置7がアンクランプ状態にされる(S11、
図11(a)参照)。
【0049】
続いて、移動装置8がクランプ装置7を回転駆動機6側に移動させることで、カップリング9の被押圧部92が回転駆動機6側に押圧される(S12、
図11(b)参照)。これにより、マンドレル41は、カップリング9に挿入可能な状態となる(
図4参照)。
【0050】
そして、ロボット2が、拡管装置3の先端を下方に向け、カップリング9がツールストッカ11に保管されたエキスパンダ4の直上位置に来るように拡管装置3を移動させる(S13、
図11(c)参照)。
【0051】
続いて、ロボット2が拡管装置3を下方に移動させる。これにより、エキスパンダ4のマンドレル41の角型シャンク414が、カップリング9の第2接続部912に形成された角型の中空部に挿入される(S14、
図12(a)参照)。
【0052】
続いて、移動装置8がクランプ装置7を回転駆動機6とは反対側に移動させることで、カップリング9の被押圧部92からクランプ装置7が離され、被押圧部92への押圧が解除される(S15、
図12(b)参照)。これにより、カップリング9にマンドレル41が取り付けられる。
【0053】
そして、ロボット2が拡管装置3を上方に移動させる。これにより、拡管装置3に取り付けられたエキスパンダ4がツールストッカ11から取り出される(S16、
図12(c)参照)。
【0054】
図13は、エキスパンダ交換方法におけるエキスパンダ4の取外し作業の内容を示すフローチャートである。
図14は、自動拡管装置1のエキスパンダ取外し作業時の動作を説明するための平面図である。
【0055】
図13に示すように、まず、クランプ装置7がアンクランプ状態にされる(S21、
図14(a)参照)。
【0056】
続いて、移動装置8がクランプ装置7を回転駆動機6側に移動させることで、エキスパンダ4のマンドレル41が取り付けられたカップリング9の被押圧部92が回転駆動機6側に押圧される(S22、
図14(b)参照)。これにより、マンドレル41は、カップリング9から抜出し可能な状態となる(
図4参照)。
【0057】
続いて、ロボット2が、拡管装置3をツールストッカ11に設けられたエキスパンダ保管用孔の位置まで移動させる(S23)。
【0058】
そして、ロボット2がエキスパンダ4の先端を下方に向けることで、エキスパンダ4が自重で落下し、カップリング9からマンドレル41が取り外される(S24、
図14(c)参照)。これにより、エキスパンダ4は、ツールストッカ11のエキスパンダ保管用孔に入り込んで係止される。
【0059】
なお、クランプ装置7がアンクランプ状態にされ、ロボット2がエキスパンダ4の先端を下方に向けた後に、被押圧部92が回転駆動機6側に押圧されてもよい。このようにすれば、ツールストッカ11のエキスパンダ保管用孔を狙ってエキスパンダ4を容易に入り込ませることができる。
【0060】
前記したように、本実施形態に係る自動拡管装置1は、拡管装置3と、拡管装置3を支持して移動させるロボット2とを備えている。そして、拡管装置3は、エキスパンダ4と、エキスパンダ4のマンドレル41を回転駆動する回転駆動機6と、エキスパンダ4のフレーム部材42をクランプするクランプ装置7と、クランプ装置7をエキスパンダ4の軸方向に移動させる移動装置8とを有している。
【0061】
この構成では、移動装置8によってフレーム部材42をクランプ装置7を介してマンドレル41の先端側に移動させることで、フレーム部材42に保持されたローラ43をマンドレル41のテーパ部411の小径側に移動できる。したがって、エキスパンダ4のツール径を小さくすることができるため、エキスパンダ4をチューブT内に挿入することが容易となる。これにより、例えば複数のチューブTを連続で自動拡管させることも可能となり、拡管作業の効率を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、クランプ装置7は、エキスパンダ4の軸方向においてフレーム部材42に当接する当接部715を有する。この構成では、クランプ装置7がエキスパンダ4の先端側に移動すると、クランプ装置7の当接部715がフレーム部材42に当接してフレーム部材42をマンドレル41の先端側に移動できる。また、クランプ装置7の当接部715がフレーム部材42に当接した状態でクランプ装置7とフレーム部材42とをエキスパンダ4の軸方向において位置決めできる。これにより、クランプ装置7はフレーム部材42を確実にクランプできる。
【0063】
また、本実施形態では、フレーム部材42は、ローラ43を保持する円筒状のフレーム44と、フレーム44の外周面に取り付けられたカラー45とを有する。また、カラー45は、フレーム44の外周面に固定されたカラー後輪451と、カラー後輪451に対してエキスパンダ4の先端側にボールリテーナ452を介して回転自在に配置されるカラー前輪453とを有する。そして、クランプ装置7は、フレーム部材42のカラー前輪453をクランプする。この構成では、拡管加工中に、ローラ43のフィードアングルの作用によってエキスパンダ4が自己推進するとき、クランプ装置7によってクランプされたカラー前輪453が拡管対象であるチューブTの端面に押し付けられる。したがって、拡管加工中に、拡管対象であるチューブTがローラ43の回転につられて供回りすることを防止できる。
【0064】
また、本実施形態は、エキスパンダ4が軸方向外力を受けている間、ロボット2による拡管装置3の支持位置をエキスパンダ4の軸方向の動きに追従させる制御を行う制御装置10を備えている。制御装置10は、エキスパンダ4を軸方向外力の方向に移動させるようにロボット2を動作させることで追従させる制御を行う。この構成では、ローラ43のフィードアングルの作用によってエキスパンダ4が自己推進、自己後退する速度に応じて、ロボット2が拡管装置3の支持位置を自動追従させる。これにより、拡管対象であるチューブTに余計な力を与えることを回避できる。これにより、拡管作業の品質の向上が図られる。
【0065】
また、本実施形態では、制御装置10は、移動装置8によるクランプ装置7の軸方向位置の保持力を解除する制御を行う。保持力を解除する制御は、移動装置8によってクランプ装置7がマンドレル41の先端側に移動させられ、かつクランプ装置7によってフレーム部材42がクランプされた状態において行われる。この構成では、移動装置8は、外力に倣って動くフローティング状態となる。これにより、拡管加工中に、ローラ43のフィードアングルの作用によってマンドレル41が回転しながらチューブT内を進んでいく際に、エキスパンダ4がチューブTの端面に押し付けられた状態を維持できる。
【0066】
また、本実施形態では、クランプ装置7は、一対のクランパ71と、一対のエアチャック72とを有している。一対のクランパ71は、エキスパンダ4のフレーム部材42を径方向両側から挟んでクランプする。一対のエアチャック72は、一対のクランパ71をエキスパンダ4のフレーム部材42に対してそれぞれ進退移動させる。この構成では、エア圧を用いてフレーム部材42を確実にクランプできる。
【0067】
また、本実施形態は、回転駆動機6の回転軸61とマンドレル41とを接続するカップリング9を備えている。カップリング9は、弾性部材94によって回転駆動機6とは反対側に付勢される被押圧部92を有している。カップリング9は、被押圧部92を回転駆動機6側に押圧することでマンドレル41が挿入可能な状態にする。また、カップリング9は、マンドレル41が挿入された状態で被押圧部92への押圧力を解除することでマンドレル41が取り付けられる。この構成では、例えば移動装置8を用いて被押圧部92を回転駆動機6側に押圧したり被押圧部92への押圧力を解除したりできる。したがって、エキスパンダ4を自動的に交換するように構成することが可能となる。キスパンダ4は消耗工具であり定期的に交換が必要となるため、エキスパンダ4を自動的に交換可能とすることで長時間の作業も可能となり、拡管作業の効率を向上させることができる。
【0068】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではない。本発明は、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0069】
例えば、前記した実施形態では、ロボット2として、多関節ロボットが使用されているが、これに限定されるものではなく、例えば直交座標型ロボット等の各種ロボットが使用されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 自動拡管装置
2 ロボット
3 拡管装置
4 エキスパンダ
41 マンドレル
411 テーパ部
42 フレーム部材
43 ローラ
44 フレーム
45 カラー
451 カラー後輪
452 ボールリテーナ
453 カラー前輪
6 回転駆動機
61 回転軸
7 クランプ装置
71 クランパ
72 エアチャック
715 当接部
8 移動装置
9 カップリング
92 被押圧部
94 弾性部材
10 制御装置
T チューブ