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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/10 20060101AFI20221110BHJP
   A47L 9/00 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
A47L9/10 D
A47L9/00 101
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019040488
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020141856
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-204929(JP,A)
【文献】中国実用新案第203852304(CN,U)
【文献】特開昭50-149147(JP,A)
【文献】特開2004-249010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00 - 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容する本体ケースと、この本体ケースに着脱可能な集塵装置とを備えた掃除機本体を具備した電気掃除機であって、
前記本体ケースは、接続口を有し、
前記集塵装置は、
塵埃を溜める集塵部と、
この集塵部と連通して後部に位置し、前記集塵装置を前記本体ケースに取り付けた状態で前記接続口と連通する連通口と、
係止片を備え、外部操作により前記係止片が回動して前記集塵装置を前記本体ケースに対して係脱する係止機構と、
前記掃除機本体の姿勢に応じて自重により移動可能な球状の規制体であるロック手段と
前記係止片および前記ロック手段が収容される収容空間部と、
前記収容空間部に位置する支持壁部と、
前記収容空間部に位置し、前記係止片側の端部が前記支持壁部に向かい前記係止片の回動方向に対し交差する方向に延びる規制部と、
前記支持壁部と前記規制部の前記端部との間に区画される開口部と、を有し、
前記ロック手段は、前記掃除機本体の前側を上方に向けた状態で前記収容空間部内において前記開口部を介して前記支持壁部と前記規制部との間から前記係止片と前記規制部の前記端部との間に介在される位置に移動して前記係止片の回動範囲を制限することにより前記係止機構の動作をロックする
ことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
前記ロック手段は、前記掃除機本体の前側を上方に向けない状態で前記収容空間部内において前記開口部を介して前記支持壁部と前記規制部との間に移動することにより前記係止機構の動作のロックを解除する
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、本体ケースに着脱可能な集塵装置を備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば掃除機本体と、この掃除機本体に対して接続されるホース体などの風路体である管部とを備えた、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機がある。近年、この電気掃除機では、掃除機本体として、電動送風機などを収容した本体ケースと、この本体ケースに対して着脱可能な集塵カップとを備えるものが用いられることがある。
【0003】
集塵カップは、内部に溜めた塵埃を目視しやすくし、かつ、本体ケースに対して取り付けやすくすることなどを目的として、本体ケースに対して前方から取り付けられる構成が採用される。この場合、集塵カップには、本体ケースに装着した状態でこの本体ケース側の接続口に対して接続される吸気口や排気口が後部に配置されることとなる。
【0004】
ところで、キャニスタ型の電気掃除機の場合、掃除が終了すると、掃除機本体の前側を上方に向けて略90°立てる姿勢として床面、あるいは収納スタンド(充電台)などに収納する場合がある。このとき、集塵カップは、吸気口や排気口が下方を向くこととなるため、例えばこの姿勢のまま集塵カップ内の塵埃を廃棄するために集塵カップを本体ケースから取り外してしまうと、集塵カップ内に溜めた塵埃が特に吸気口からこぼれ出ることが懸念される。こぼれ出た塵埃は、それ自体が不衛生であるだけでなく、集塵カップの排気口と接続される本体ケース側の接続口などから本体ケース内に入り込むと、電動送風機を駆動させた際に電動送風機側へと吸い込まれることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-67614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、掃除機本体の前側を上方に向けた状態で集塵装置が本体ケースから外れて塵埃が連通口を介して集塵部からこぼれることを防止できる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の電気掃除機は、電動送風機を収容する本体ケースと、この本体ケースに着脱可能な集塵装置とを備えた掃除機本体を具備した電気掃除機である。本体ケースは、接続口を有する。集塵装置は、集塵部と、連通口と、係止機構と、ロック手段と、収容空間部と、支持壁部と、規制部と、開口部と、を備える。集塵部は、塵埃を溜める。連通口は、集塵部と連通して後部に位置し、集塵装置を本体ケースに取り付けた状態で接続口と連通する。係止機構は、係止片を備え、外部操作により係止片が回動して集塵装置を本体ケースに対して係脱する。ロック手段は、掃除機本体の姿勢に応じて自重により移動可能な球状の規制体である。収容空間部は、係止片およびロック手段が収容される。支持壁部は、収容空間部に位置する。規制部は、収容空間部に位置し、係止片側の端部が支持壁部に向かい係止片の回動方向に対し交差する方向に延びる。開口部は、支持壁部と規制部の端部との間に区画される。ロック手段は、掃除機本体の前側を上方に向けた状態で収容空間部内において開口部を介して支持壁部と規制部との間から係止片と規制部の端部との間に介在される位置に移動して係止片の回動範囲を制限することにより係止機構の動作をロックする
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の電気掃除機の集塵装置が本体ケースに対して係止機構により係止された状態で電気掃除機の掃除機本体の前側が上方に向いた状態の一部を示す断面図である。
図2】(a)は同上集塵装置が本体ケースに対して係止機構により係止された状態の一部を示す断面図、(b)は同上集塵装置が本体ケースに対して取り外し可能となった状態の一部を示す断面図である。
図3】同上集塵装置を後方から示す斜視図である。
図4】同上本体ケースを前方から示す斜視図である。
図5】同上電気掃除機の収納状態を示す斜視図である。
図6】同上電気掃除機の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0010】
図5および図6において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示す。この電気掃除機11は、風路形成体である管部12を備えている。また、この電気掃除機11は、掃除機本体13を備えている。
【0011】
管部12は、掃除機本体13に対して着脱可能に設けられている。この管部12は、接続管部15を備えている。また、この管部12は、ホース体16を備えている。さらに、この管部12は、手元操作部17を備えている。また、この管部12は、延長管18を備えていてもよい。さらに、この管部12は、吸込口体19を備えていてもよい。
【0012】
接続管部15は、掃除機本体13に接続される部分である。この接続管部15は、管部12の基端部に位置している。
【0013】
ホース体16は、可撓性を有して長尺状に形成され、接続管部15の先端側に連通している。
【0014】
手元操作部17は、ホース体16の先端側、すなわち接続管部15とは反対側に位置している。この手元操作部17には、把持部21が設けられている。またこの手元操作部17には、操作設定用の設定手段(設定部)である設定ボタン22が設けられている。
【0015】
把持部21は、例えば手元操作部17からホース体16側に向かってループ状に突設されている。
【0016】
設定ボタン22は、把持部21の上部に配置されている。
【0017】
延長管18は、例えば硬質の合成樹脂などにより長尺の筒状に形成されている。この延長管18は、ホース体16の先端側(手元操作部17)に対して着脱可能に接続される。
【0018】
吸込口体19は、例えば延長管18の先端側などに着脱可能に接続される。本実施形態に置いて、この吸込口体19としては、例えば床ブラシが用いられる。
【0019】
掃除機本体13は、本体ケース24を備えている。また、この掃除機本体13は、本体ケース24に対して着脱可能に係止される集塵装置25を備えている。さらに、この掃除機本体13は、電動送風機26を備えている。また、この掃除機本体13は、図示しないが、本体制御部を備えている。さらに、この掃除機本体13は、図示しないが、電源部を備えている。また、この掃除機本体13は、走行輪29などの走行部を備えていてもよい。そして、本実施形態において、この掃除機本体13は、走行部などにより、被掃除面としての床面上を少なくとも前後方向に沿って走行(移動)可能に構成されている。なお、以下、前後方向および左右方向は、掃除機本体13の走行(移動)方向を基準とする。
【0020】
図4ないし図6に示す本体ケース24は、例えば合成樹脂などにより中空状に形成されている。この本体ケース24は、掃除機本体13を把持するためのハンドル31を備えている。また、この本体ケース24は、管部12(接続管部15)が接続される本体吸込口32を備えている。さらに、この本体ケース24は、電動送風機26、本体制御部、および、電源部を収容する収容部33を備えている。さらに、この本体ケース24は、集塵装置25を支持する支持部34を備えている。そして、この本体ケース24は、集塵装置25が取り付けられる取付部35を備えている。また、この本体ケース24は、接続口である吸込接続口36を備えている。さらに、この本体ケース24は、排気接続口37を備えている。また、この本体ケース24は、吸込シール部材38を備えていてもよい。また、この本体ケース24は、シール部材39を備えていてもよい。さらに、この本体ケース24は、リブ40を備えていてもよい。また、この本体ケース24は、図示しないが、本体吸込口32と集塵装置25とを連通する吸込風路部を備えている。そして、この本体ケース24は、図示しないが、集塵装置25と電動送風機26の吸込側とを連通する連通風路部を備えている。また、この本体ケース24は、係止受部44を備えている。さらに、この本体ケース24は、図示しないが、排気孔を備えている。
【0021】
ハンドル31は、本体ケース24の上部に、例えばループ状に位置している。このハンドル31は、本体ケース24の収容部33に設けられ、取付部35の上方後側に位置している。また、このハンドル31は、上側が後方に向けて傾斜するように設けられている。
【0022】
本体吸込口32は、吸込風路部を介して吸込接続口36と連通する部分である。この本体吸込口32は、本体ケース24の前部に配置されている。この本体吸込口32は、支持部34の前端部に開口されている。
【0023】
収容部33は、本体ケース24の後部を構成している。この収容部33は、取付部35に位置する前端部が、本体ケース24に取り付けられた集塵装置25の一側部である後部と対向する対向部46となっている。
【0024】
支持部34は、集塵装置25の下部を支持するものである。この支持部34は、本体ケース24の前部を構成している。また、この支持部34は、収容部33の前端側の下部から前方に向かって突設されている。さらに、この支持部34は、有底円筒状に設けられ、上側が開口されている。
【0025】
取付部35は、収容部33の前端部と支持部34の上部との間に区画されている。すなわち、この取付部35は、本体ケース24の前端部に位置し、前部、上部および左右両側部が開放された空間部である。この取付部35は、後部が対向部46により区画されている。また、この取付部35は、ハンドル31の下方に位置している。
【0026】
吸込接続口36は、吸込風路部の下流端を構成し、本体ケース24(取付部35)に取り付けられた集塵装置25の上流側(吸込側)に連通するものである。この吸込接続口36は、収容部33の前部に開口されている。すなわち、この吸込接続口36は、取付部35に位置している。また、この吸込接続口36は、対向部46に開口されている。このため、この吸込接続口36は、前後方向に沿って開口方向を有している。
【0027】
排気接続口37は、連通風路部の上流端を構成し、本体ケース24(取付部35)に取り付けられた集塵装置25の下流側(排気側)に連通するものである。この排気接続口37は、収容部33の前部に開口されている。すなわち、この排気接続口37は、取付部35に位置している。また、この排気接続口37は、対向部46に開口されている。このため、この排気接続口37は、前後方向に沿って開口方向を有している。また、この排気接続口37は、吸込接続口36に対して上方に離れて位置している。
【0028】
吸込シール部材38は、集塵装置25の上流側と吸込接続口36とを気密に接続する、弾性を有するシールパッキンである。この吸込シール部材38は、吸込接続口36の周囲を囲んで枠状に配置されている。
【0029】
同様に、シール部材39は、集塵装置25の下流側と排気接続口37とを気密に接続する、弾性を有するシールパッキンである。このシール部材39は、排気接続口37の周囲を囲んで枠状に配置されている。
【0030】
リブ40は、集塵装置25から排気されて排気接続口37に吸い込まれる空気を整流するとともに、集塵装置25が本体ケース24に対して取り外されている状態での排気接続口37の内部への大きな異物の混入を防止するものである。また、このリブ40は、シール部材39を取り付ける台座を兼ねている。このリブ40は、排気接続口37内に配置されている。また、このリブ40は、例えば縦横に交差する格子状に設けられている。
【0031】
吸込風路部は、本体吸込口32と吸込接続口36とを連通し、支持部34から収容部33の前部に亘るL字状に形成されている。
【0032】
連通風路部は、排気接続口37と電動送風機26の吸込側とを連通している。なお、この連通風路部には、図示しないが、電動送風機26の吸込側にフィルタが設けられていてもよい。
【0033】
係止受部44は、集塵装置25を本体ケース24に対して係止保持する部分である。この係止受部44は、収容部33の前部に凹設されている。すなわち、この係止受部44は、対向部46に凹設されている。また、この係止受部44は、例えば排気接続口37の上方に配置されている。
【0034】
排気孔は、電動送風機26の排気側と連通し、この電動送風機26を通過した空気を本体ケース24の外部に排気するものである。この排気孔は、例えば本体ケース24の後部に多数設けられている。
【0035】
図3図5および図6に示す集塵装置25は、集塵カップとも呼ばれ、電動送風機26の動作により吸い込んだ含塵空気から塵埃を分離して捕集するものである。この集塵装置25は、本実施形態において、含塵空気を内部で旋回させて塵埃を遠心分離(サイクロン分離)して捕集する、サイクロンカップである。この集塵装置25は、本体部51を備えている。また、この集塵装置25は、塵埃を分離する分離部52を備えている。さらに、この集塵装置25は、塵埃を溜める集塵部53を備えている。また、この集塵装置25は、含塵空気が導入される連通口である吸気口54を備えている。そして、この集塵装置25は、塵埃が分離された空気を排出する排気口55を備えている。また、この集塵装置25は、この集塵装置25を本体ケース24に対して係止する係止機構である係止部56を備えている。さらに、この集塵装置25は、ロック手段としての規制体57(図1)を備えている。なお、以下、集塵装置25において、上下方向とは、集塵装置25の軸方向における一端側と他端側とをいうものとする。すなわち、集塵装置25における上下方向は、集塵装置25単体の状態での上下方向を基準とするものとし、本体ケース24に対して装着した状態での集塵装置25の上下方向とは必ずしも一致しない場合もある。
【0036】
本体部51は、例えば円筒状(円柱状)に形成されている。この本体部51は、本実施形態において、第1の本体部としてのカップ部58と、第2の本体部としての分離本体部59とに分割されている。
【0037】
カップ部58は、本体部51の下部を構成するものである。このカップ部58は、全体として有底円筒状に形成されている。このカップ部58は、例えば透明な合成樹脂などにより形成され、内部が目視可能となっている。また、このカップ部58は、本実施形態において、有底円筒状の第1の本体構成部としてのカップ部本体部61と、分離本体部59を支持する第2の本体構成部としての本体支持部62とを一体に備えている。また、このカップ部58には、集塵装置25の把持用の集塵装置ハンドル63が設けられている。
【0038】
カップ部本体部61は、カップ部58の下部を構成している。このカップ部本体部61は、分離本体部59に対して外径寸法が小さく形成されている。
【0039】
本体支持部62は、カップ部58の上端部に位置している。この本体支持部62は、カップ部本体部61に対して拡大して形成されている。この本体支持部62は、分離本体部59と略等しい外径寸法を有している。
【0040】
集塵装置ハンドル63は、カップ部58の側部に突設されている。この集塵装置ハンドル63は、例えばカップ部本体部61の側部に配置されている。
【0041】
分離本体部59は、本体部51の上部を構成するものである。この分離本体部59は、カップ部58の上部に対して着脱可能となっている。また、この分離本体部59の下部には、図示しないが、円筒状の筒部が突設されている。この筒部は、カップ部58の内部に上方から挿入されている。さらに、この筒部には、空気が通過する開口およびこの開口を覆うフィルタが設けられている。
【0042】
分離部52は、本体部51の内部に設けられている。この分離部52は、少なくとも1ステージの遠心分離(サイクロン分離)部を備えている。本実施形態において、分離部52は、例えば吸気口54を介して導入された含塵空気から粗塵を遠心分離する第1遠心分離部と、この第1遠心分離部により粗塵が分離された含塵空気から細塵を遠心分離する第2遠心分離部とを備えている。第1遠心分離部は、カップ部58と分離本体部59の下部の筒部とにより構成されている。さらに、この第1遠心分離部は、粗塵を分離した含塵空気を、分離本体部59の筒部の開口(フィルタ)を介して第2遠心分離部へと通過させるようになっている。また、第2遠心分離部は、分離本体部59の内部に区画され、カップ部58の上方に位置している。
【0043】
集塵部53は、分離部52で分離された塵埃を溜める部分である。この集塵部53は、本体部51の内部に設けられている。本実施形態において、この集塵部53は、カップ部58の内部に区画されている。
【0044】
吸気口54は、集塵装置25の上流端となるものである。この吸気口54は、本体部51の本体ケース24に対向する一側部である後部に設けられている。本実施形態において、この吸気口54は、カップ部58の後部に開口されている。したがって、この吸気口54は、集塵部53と連通している。また、この吸気口54は、カップ部58の内部へと、含塵空気をカップ部58内面の接線方向に沿って導入するようになっている。そして、この吸気口54は、集塵装置25を本体ケース24に取り付けた状態で、吸込接続口36(図4)に連通するように構成されている。
【0045】
排気口55は、集塵装置25の下流端となるものである。この排気口55は、本体部51の本体ケース24に対向する一側部である後部に設けられている。すなわち、この排気口55は、吸気口54と同側に配置されている。本実施形態において、この排気口55は、分離本体部59の後部に開口されている。そして、この排気口55は、集塵装置25を本体ケース24に取り付けた状態で、排気接続口37に連通するように構成されている。
【0046】
係止部56は、外部操作により作動可能に設けられ、本体ケース24に対して集塵装置25を着脱可能に係止するものである。この係止部56は、係止片65を備えている。また、この係止部56は、付勢部材66を備えている。さらに、この係止部56は、操作部67を備えている。また、この係止部56は、付勢体68を備えていてもよい。
【0047】
係止片65は、移動、本実施形態では回動により集塵装置25を本体ケース24に対して係脱するものである。この係止片65は、本体部51の本体ケース24に対向する一側部である後部に設けられている。本実施形態において、この係止片65は、分離本体部59の後部で、かつ、排気口55の上部に設けられている。この係止片65は、例えば本体部51(分離本体部59)に対して先端側が後方に突出する舌片状に設けられている。また、この係止片65は、左右方向に沿う回動軸65aにより上端側が集塵装置25(本体部51)に軸支され、この回動軸65aを中心として、先端側である下端側の爪部65bが前後方向に回動するように設けられている。爪部65bは、後方に向かって屈曲状に突設されている。さらに、この係止片65は、後述する操作部67の操作により作動されるための被操作部65cを、基端側に備えている。この被操作部65cは、回動軸65aよりも上方に位置している。
【0048】
付勢部材66は、係止片65を先端側が突出方向に回動するように付勢するものである。この付勢部材66は、例えばコイルばねが用いられる。そして、この付勢部材66の付勢により、係止受部44に先端側が挿入された係止片65が本体ケース24に対する集塵装置25の係止を保持するようになっている。
【0049】
操作部67は、外部操作により、係止片65を付勢部材66の付勢に抗して動作させるものである。具体的に、この操作部67は、外部操作により係止片65の爪部65bが付勢部材66の付勢に抗して非突出方向、すなわち係止受部44から退避する方向、本実施形態では前方に回動するように係止片65を移動(回動)させることで本体ケース24に対する集塵装置25の係止を解除するようになっている。この操作部67は、本実施形態において、例えば本体部51の上部に配置されている。すなわち、この操作部67は、分離本体部59の上部に配置されている。換言すれば、この操作部67は、集塵装置25の上端部に配置されている。また、この操作部67は、本実施形態において、上下方向に回動可能に設けられている。そして、この操作部67の後端部には、操作部67の操作により係止片65を作動させる作動部67aが設けられている。この作動部67aは、係止片65の被操作部65cの上方に対向して配置されている。
【0050】
付勢体68は、操作部67を復帰回動する方向に付勢するものである。この付勢体68は、例えばコイルばねが用いられている。
【0051】
規制体57は、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態での係止部56(係止片65)の動作をロックするものである。この規制体57は、集塵装置25に設けられた収容空間部69に位置し、掃除機本体13の姿勢に応じて自重(重力)により収容空間部69内を移動可能となっている。すなわち、この規制体57は、掃除機本体13の姿勢に応じて、その姿勢での収容空間部69内の下部に位置するようになっている。そして、この規制体57は、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態で係止片65の移動範囲内に移動してこの係止片65の移動を規制する。したがって、この規制体57は、係止片65に対して前方に位置しており、少なくとも前後方向に沿って移動可能となっている。本実施形態において、この規制体57は、集塵装置25に対して収容空間部69内を移動自在となっている。この規制体57は、本実施形態において例えば鉄球などの球体が用いられる。
【0052】
収容空間部69は、係止部56の前部に隣接して設けられている。この収容空間部69は、係止部56の係止片65の移動範囲に一部が配置されている。本実施形態において、この収容空間部69の後部は、係止片65の回動範囲のバックスペース、すなわち係止片65を退避する方向(本実施形態では前方)へと回動可能とするスペース、換言すれば、退避方向へと回動した係止片65の少なくとも背後側(前側)が収容されるスペースを構成している。この収容空間部69には、この収容空間部69の下部を構成する支持壁部71が設けられている。また、この収容空間部69には、規制体57の位置を規制する規制部72が設けられている。さらに、この収容空間部69は、係止片65の背後側に臨む開口部73を備えている。
【0053】
支持壁部71は、電気掃除機11の使用状態、すなわち掃除機本体13が床面上を走行可能な床面移動姿勢で規制体57の下部を支持するものである。この支持壁部71は、例えば前後方向に沿って設けられている。
【0054】
規制部72は、電気掃除機11の収納状態など、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態で開口部73側へと導かれた規制体57の移動を規制するものである。この規制部72は、支持壁部71に対して上方に離れて位置している。また、この規制部72は、開口部73に対向する位置にて上下方向に沿って屈曲されている。本実施形態において、この規制部72は、支持壁部71に接近する方向である下方向に向かって屈曲されている。
【0055】
開口部73は、係止片65の回動範囲のバックスペースに臨んで位置している。すなわち、この開口部73は、集塵装置25(本体部51(分離本体部59))の後部に配置されている。この開口部73は、規制体57の外形よりも小さく形成されており、収容空間部69からの規制体57の脱落を防止している。
【0056】
電動送風機26は、本体ケース24(収容部33)内に、例えば吸込側を上方に向けて配置されている。
【0057】
本体制御部は、設定ボタン22の操作に応じて電動送風機26の動作を制御するものである。この本体制御部は、例えばマイコンなどが好適に用いられる。
【0058】
電源部は、電動送風機26や本体制御部に給電する部分である。この電源部としては、例えば外部電源から給電されるコードリール装置、あるいは電池(二次電池)などが用いられる。
【0059】
走行輪29は、例えば大径に形成され、本体ケース24の後部両側などに回転自在に配置されている。
【0060】
次に、上記一実施形態の作用を説明する。
【0061】
集塵装置25を本体ケース24に対して取り付ける際には、集塵装置25(本体部51)の下部、本実施形態ではカップ部58の下部の前側を支持部34上に載置し、この位置を支点として集塵装置25(本体部51)の上部を後方に向かって回動させると、集塵装置25の本体部51の後側が対向部46へと接近する。このとき、集塵装置25は、吸気口54の周囲が吸込シール部材38に接触するとともに排気口55の周囲がシール部材39に接触し、吸気口54と吸込接続口36と、および、排気口55と排気接続口37とが、それぞれ密着される。そして、係止部56は、係止片65の爪部65bが対向部46に当接することで回動軸65aを中心として爪部65bが前方に退避するように回動される。このとき、規制体57は、支持壁部71上にてこの支持壁部71と規制部72との間に位置していることで、支持壁部71上に沿って前後方向に移動自在となっており、係止片65と非接触状態であることにより、あるいは係止片65と仮に接触しても収容空間部69内で支持壁部71に沿って前方に逃げる状態にあることにより、係止片65の回動を妨げない。そして、係止片65の爪部65bが係止受部44の位置となると付勢部材66の付勢によって係止片65が復帰回動することで係止片65の爪部65bが係止受部44に挿入され、集塵装置25が本体ケース24に係止される。この状態で、吸気口54と吸込接続口36と、および、排気口55と排気接続口37とが圧接されて気密に接続され、この接続状態で集塵装置25が取付部35に取り付けられて本体ケース24に保持される。
【0062】
したがって、掃除機本体13では、本体吸込口32から、吸込風路部、吸込接続口36、吸気口54、集塵装置25(分離部52)、排気口55、排気接続口37、連通風路部を介して電動送風機26の吸込側に連通する風路が気密に形成される。
【0063】
そして、使用者は、本体吸込口32に管部12(接続管部15)を接続し、把持部21を把持して設定ボタン22により電動送風機26の動作モードを設定すると、本体制御部がこの設定された動作モードに応じて電動送風機26を駆動させる。この電動送風機26の駆動により生じた負圧により、使用者は、例えば吸込口体19から塵埃を空気とともに吸い込む。この含塵空気は、吸込口体19から延長管18、手元操作部17、ホース体16、および、接続管部15を介して本体吸込口32へと吸い込まれる。この後、本体吸込口32から上記風路を介して集塵装置25へと吸い込まれた含塵空気は、分離部52により塵埃が分離されて排気口55から排気接続口37へと排出され、電動送風機26の吸込側へと吸い込まれ、この電動送風機26を冷却した後、排気孔から排出される。分離部52により分離された塵埃は、集塵部53に蓄積される。
【0064】
掃除が終了すると、使用者が設定ボタン22を操作することで、本体制御部が電動送風機26を停止させる。また、集塵装置25の集塵部53に溜められた塵埃は、必要に応じて集塵装置25を本体ケース24から取り外して廃棄することができる。
【0065】
ここで、本実施形態において、集塵装置25を本体ケース24に対して取り外す際には、図6に示すように、電気掃除機11を使用状態(床面移動姿勢)とする。したがって、この状態で、図2(a)に示すように、規制体57は、支持壁部71上にてこの支持壁部71と規制部72との間に位置していることにより、支持壁部71に沿って前後方向に移動自在となっており、係止片65と非接触状態であることで、あるいは係止片65と仮に接触しても収容空間部69内で支持壁部71に沿って前方に逃げる状態にあることで、係止片65の回動を妨げない状態となっている。そこで、操作部67を操作すると、図2(b)に示すように、この操作部67の回動によって下方へと移動した作動部67aが係止片65の被操作部65cを下方に押し込むことにより、係止片65が回動軸65aを中心として爪部65bが係止受部44から退避する方向へと回動する。そして、爪部65bが係止受部44から退避した位置となると、本体ケース24に対する集塵装置25の係止が解除されるので、この集塵装置25を本体ケース24から取り外す。この取り外した集塵装置25は、分離本体部59をカップ部58から取り外して、カップ部58内の塵埃をごみ箱などに廃棄する。
【0066】
一方、電気掃除機11を収納状態(収納姿勢)とする場合には、図5に示すように、例えば掃除機本体13の前側を上方に向けた状態で床面などに載置し、管部12を掃除機本体13に係止させる(スタンド収納)。このように、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態では、図1に示すように、収容空間部69の支持壁部71が上下方向に沿う状態となることにより、規制体57が支持壁部71に沿って下方へと自重落下し、規制部72の下部に入り込む位置まで移動して開口部73から係止部56の係止片65の上方に対向する。換言すれば、規制体57が、係止片65と規制部72との間に介在される。このため、操作部67を操作して係止片65を回動させようとしても、係止片65の背後側が開口部73に位置する規制体57に下方から当接し、この規制体57が規制部72によって上方から押さえられていることにより、規制体57が係止片65と規制部72との間に上下に挟まれた状態となり、係止片65の回動を妨げる。したがって、係止片65の爪部65bが係止受部44に対して充分に退避することができず、本体ケース24に対する集塵装置25の係止を解除することができない。すなわち、集塵装置25を本体ケース24から取り外すことができない。
【0067】
以上説明した一実施形態によれば、本体ケース24に対して集塵装置25を着脱可能に係止する係止部56の動作が、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態ではロック手段としての規制体57によりロックされることで、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態で集塵装置25が本体ケース24から外れることを防止できる。このため、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態で集塵装置25が本体ケース24から不用意に外れて、集塵部53に溜められた塵埃が、下方を向いている集塵装置25の吸気口54を介してこぼれることを防止できる。したがって、こぼれた塵埃が集塵装置25の排気接続口37などから本体ケース24内に入り込み、電動送風機26を駆動させた際に連通風路部内へと吸い込まれてこの連通風路部内のフィルタを目詰まりさせることなどを防止できる。すなわち、集塵装置25の分離性能とは関係なく発生するフィルタの目詰まりを効果的に防止できる。
【0068】
また、掃除機本体13の姿勢に応じて自重により移動可能な規制体57を設け、この規制体57が、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態で係止片65の移動(回動)範囲内に移動してこの係止片65の移動(回動)を規制することにより、本体ケース24に対して集塵装置25を着脱可能に係止する係止部56(係止片65)の動作を、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態でロックするロック手段を容易かつ安価に構成できる。
【0069】
なお、上記一実施形態において、係止機構の構造、および、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態では係止機構の動作をロックするロック手段の構造は、それぞれ他の様々な形態を採り得る。すなわち、係止部56は、係止片65が回動可能な構成だけでなく、例えば係止片65が直線状に移動可能な構成などとすることもできる。また、例えば規制体57としては、掃除機本体13の姿勢に応じて自重により回動するフラップなどを用い、掃除機本体13の前側を上方に向けた状態で係止片65の背後側に対向して突っ支いとなることで係止片65の移動を妨げる構成などとすることもできる。
【0070】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこの実施形態に限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
24 本体ケース
25 集塵装置
26 電動送風機
36 接続口である吸込接続口
53 集塵部
54 連通口である吸気口
56 係止機構である係止部
57 ロック手段としての規制体
65 係止片
69 収容空間部
71 支持壁部
72 規制部
73 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6