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▶ ヘティッヒ−オーエヌイー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ヒンジ及びヒンジを開閉する方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 3/14 20060101AFI20221110BHJP
   E05F 3/06 20060101ALI20221110BHJP
   E05F 3/20 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
E05D3/14 A
E05F3/06
E05F3/20 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019572158
(86)(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018065604
(87)【国際公開番号】W WO2019001957
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】102017114473.0
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503226235
【氏名又は名称】ヘティッヒ-オーエヌイー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステューク, カイ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, マルク
(72)【発明者】
【氏名】ポイシュベグ, イェンス
(72)【発明者】
【氏名】フィルゲス, カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ, アレクサンダー
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-501756(JP,A)
【文献】国際公開第2009/003458(WO,A1)
【文献】特表2009-528463(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181984(JP,U)
【文献】米国特許第7600295(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 3/14
E05F 3/06
E05F 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に固定可能な側部(2)と、側部(2)に対して回転可能でドアに固定可能なヒンジ部(3)と、側部(2)に配置されてハウジング(11)とピストンロッド(12)を有する線形ダンパ(10)を有して、側部(2)とヒンジ部(3)に回転可能に取り付けられた2つのレバー(4、5)が側部(2)とヒンジ部(3)の間に配備されたヒンジ(1)において、
ピストンロッド(12)の移動を制御するカーブである制御カーブ(45)が1つのレバー(4)上に形成され、閉じ動作中に制御カーブは線形ダンパ(10)を圧縮し、線形ダンパのハウジング(11)は側部(2)に移動不能に固定され、ピストンロッド(12)は制御カーブ(45)により移動可能であり、
前記制御カーブ(45)は、少なくとも1つの横方向ウェブ(44)に形成され、線形ダンパ(10)に作動可能に接続されたピン(14)が制御カーブ(45)に沿ってスライドする、ヒンジ(1)。
【請求項2】
壁に固定可能な側部(2)と、側部(2)に対して回転可能でドアに固定可能なヒンジ部(3)と、側部(2)に配置されてハウジング(11)とピストンロッド(12)を有する線形ダンパ(10)を有して、側部(2)とヒンジ部(3)に回転可能に取り付けられた2つのレバー(4、5)が側部(2)とヒンジ部(3)の間に配備されたヒンジ(1)において、
ピストンロッド(12)の移動を制御するカーブである制御カーブ(45)が1つのレバー(4)上に形成され、閉じ動作中に制御カーブは閉じ位置に達する前に線形ダンパ(10)を圧縮し、開き動作中に制御カーブは最大の開き位置に達する前に線形ダンパ(10)を圧縮し、線形ダンパのハウジング(11)は側部(2)に移動不能に固定され、ピストンロッド(12)は制御カーブ(45)により移動可能であり、
前記制御カーブ(45)は、少なくとも1つの横方向ウェブ(44)に形成され、線形ダンパ(10)に作動可能に接続されたピン(14)が制御カーブ(45)に沿ってスライドする、ヒンジ(1)。
【請求項3】
線形ダンパ(10)は、閉じ位置から30°から110°の角度範囲にて長手方向の最大延びを有する、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項4】
線形ダンパ(10)は、閉じ位置から35°から80°の角度範囲にて長手方向の最大延びを有する、請求項1又は2に記載のヒンジ
【請求項5】
線形ダンパ(10)は、ホルダ(15)を介して側部(2)に固定される、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項6】
線形ダンパ(10)のハウジング(11)は、回転可能な状態に側部(2)に取り付けられる、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項7】
制御カーブ(45)はレバー(4)に一体に形成される、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項8】
ピン(14)はホルダ(15)又は側部(2)に線形にガイドされる、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項9】
レバー(4)は、U字形に形成されて、ピン(14)が押圧する2つの制御カーブ(45)を備える、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項10】
制御カーブ(45)はU字形のレバー(4)に形成され、該レバーはヒンジ部(3)の少なくとも1つの位置にて他のレバー(5)に重なる、請求項に記載のヒンジ。
【請求項11】
線形ダンパ(10)のカップ形のハウジング(11)が挿入されるホルダ(15)が側部(2)に固定される、請求項に記載のヒンジ。
【請求項12】
線形ダンパ(10)のカップ形のハウジング(11)が形成されるホルダ(15)が側部(2)に固定される、請求項に記載のヒンジ。
【請求項13】
側部(2)は設置プレート(30)及び保持要素(31)上に調整可能に保持され、支持調整ユニット(50)及び深さ調整ユニット(40)が配備された、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項14】
ヒンジ部(3)を閉じ領域内の閉じ方向に予め張力をかけるためにばね(60)が設けられている、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項15】
線形ダンパ(10)は、ピストンロッド(12)を備え、該ピストンロッドにばね(75)が間接的又は直接的に付加されて、ピストンロッドが自動的に延びる、請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項16】
ピストンロッド(12)は、開閉動作中に制御カーブ(45)によって固定されたダンパハウジング(11)の方向に間接的又は直接押圧される、請求項15に記載のヒンジ。
【請求項17】
ピストンロッド(12)のストローク動作は、2mmから6mmの範囲である、請求項15に記載のヒンジ。
【請求項18】
ピストンロッド(12)のストローク動作は、3mmから5mmの範囲である、請求項15に記載のヒンジ。
【請求項19】
ホルダ(15)は、第1のレバー(4)及び第2のレバー(5)の少なくとも1つの軸(8、9)によって、側部(2)上に保持される、請求項11又は12に記載のヒンジ。
【請求項20】
ホルダ(15)は、第1のレバー(4)及び第2のレバー(5)の両方の軸(8、9)を用いて、側部(2)上に保持される、請求項11又は12に記載のヒンジ。
【請求項21】
線形ダンパ(10)はホルダ(15)を介して側部(2)上に固定され、該ホルダ(15)は、レバー(4)と支持調整ユニット(50)の間に線形ダンパ(10)とともに配置される、請求項13に記載のヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に固定可能な側部と側部に対して回転可能でドアに固定可能なヒンジ部と側部に配置されてハウジングとピストンロッドを有する線形ダンパを有して、側部とヒンジ部に2つのレバーが配備され、各レバーは側部とヒンジ部に回転可能に取り付けられる、ヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ実用新案公報2020006003196号は、ヒンジ部が支持レバーとガイドレバーを介して側部に回転可能に取り付けられる家具ヒンジを開示している。片持ちレバーがガイドレバー上に形成され、片持ちレバー上に、ハウジングと、ハウジングに対して変位可能なピストンロッドとを有する線形ダンパが回転可能に取り付けられている。そのような線形ダンパは、閉じ動作の減衰に適しているが、線形ダンパの回転により、側部において必要な設置スペースが大きいとの問題が生じている。
【0003】
従って、本発明の目的は、最適な減衰動作を行い、小さな設置スペースを有するヒンジを提供することである。
この目的は、請求項1又は2の特徴を有するヒンジ、及び請求項19の特徴を有する方法によって達成される。
【発明の概要】
【0004】
本発明に従ったヒンジにおいて、1つのレバー上に制御カーブが形成され、閉じ動作中に制御カーブは線形ダンパを圧縮し、線形ダンパのハウジングは側部に移動不能に固定され、ピストンロッドは制御カーブにより移動可能である。従って、ハウジングが動かないように固定され、ヒンジ部分の回転中にピストンロッドのみが移動するため、特にコンパクトな構造が得られる。
【0005】
本発明に従った更なるヒンジにおいて、ヒンジ部を回転させるために制御カーブが1つのレバー上に形成され、閉じ動作中に制御カーブは閉じ位置に達する直前に線形ダンパを圧縮し、開き動作中に制御カーブは最大の開き位置に達する直前に線形ダンパを圧縮する。そのような制御カーブの使用により、線形ダンパの減衰挙動は、開閉挙動に最適に適合させることができ、開き又は閉じ動作中の減衰力のレベルは、制御カーブの輪郭によって自由に選択することができる。閉じ動作中に発生する減衰力は、開き動作中よりも大幅に大きいと具体化され得て、付随的に同じ力又はより大きな力で開口部の減衰を行うこともできる。更にヒンジはコンパクトに構成され得る、何故なら線形ダンパは側面に配置されており、レバーの制御カーブを介して影響を受けるからである。
【0006】
線形ダンパは、閉じ位置の前の30°から110°、好ましくは35°から80°の角度範囲で長手方向に最大に延びているのが好ましい。この場合、閉じ位置は、ドアがヒンジの上に固定されたときにヒンジによって事前に決定された位置であり、ドアは閉じた位置にある。ドアの開き時に、ヒンジ部は、ドア及び/又はヒンジ部の最大開き位置まで、側部に対して回転する。最大開き位置は例えば90°と180°の間であり、特に105°と140°の間である。
【0007】
線形ダンパの安定した固定のために、線形ダンパはホルダを介して側部に固定されるのが好ましい。線形ダンパのハウジングは、この場合、特にホルダ内で、側部に回転可能に固定され得る。この目的から、ホルダは、ダンパのカップ形状のハウジングが挿入される開口部を含み得る。この場合、ホルダはヒンジの2つの軸に固定され、該軸は何れの場合もレバーを固定するために配備され、ホルダを固定するために追加の要素は不要である。
【0008】
代替の実施形態において、ダンパのハウジング及びホルダは、例えば、プラスチック製の射出成形部品として一体的に具体化することができ、そのため、ダンパのハウジングは側部に直接固定される。
更なる実施形態において、制御カーブが少なくとも1つの湾曲したウェブに形成されて、制御カーブに沿ってピンがスライドし、線形ダンパを作用させる。従って、ピンは線形ダンパと制御カーブの間に配置される。この場合、ピストンロッドに横方向の力がかからないように、ピンはホルダ又は側部上で直線的にガイドされる。ピンを適切にガイドするために、レバーはU字型に形成され、ピンが押圧する2つの制御カーブが形成される。
制御カーブは、ヒンジ部の回転軸に対して外側に配置されるレバーに形成されることが好ましい。従って、制御カーブを簡単な方法で形成することができ、これにより、中間開き角度の範囲で線形ダンパの長手方向の最大の延びが可能になる。
【0009】
ヒンジ部上にドアを最適に設定及び配置すべく、側部は設置プレート及び保持要素上で調整可能に保持されるのが好ましく、支持調整ユニット及び深さ調整ユニットは、さら側部に設けられるのが好ましい。更に、閉じ領域にてヒンジ部に予め張力をかけるために閉じばねが設けられて、ヒンジ部に保持されたドアの信頼性のある閉鎖を確実にするのが好ましい。ドアを閉じる際に、ダンパの減衰効果が始まる前に、閉じ力を生成するようにばねが構成され得る。更に、ダンパの延び位置でピストンロッドに予め張力をかけるべく、更なるばねが設けられる。閉じばねはピストンロッドのばねに対して閉じ減衰段階で作用し、ピストンロッドの延びを可能にするばねは、閉じ手順中に張力がかけられる。
【0010】
本発明に従った方法において、線形ダンパは、最大開き位置までの開き動作中に長手方向の最大の延びを経験し、閉じ動作中も最大の延びを通過する。従って、ダンパは開き方向と閉じ方向の両方で減衰力を提供することができ、線形ダンパはアイドルストローク範囲で圧縮されるため、付随的に開き方向に減衰力は提供されない。閉じ方向では、いずれの場合でも、閉じ位置に到達する前に、ヒンジ部の閉じ動作の減衰が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は添付の図面を参照して代表的な実施形態を基にして以下に詳細に説明される。
図1】本発明に従ったヒンジの分解斜視図である。
図2】閉じ位置における図1のヒンジの破断側面図である。
図3】中間開き位置における図2のヒンジの図である。
図4】中間開き位置における図2のヒンジの図である。
図5】最大開き位置における図2のヒンジの図である。
図6】ヒンジ部の開き位置に対するダンパの長手方向の延びを示すグラフである。
図7】設置位置における図1のヒンジを部分的に破断した斜視図である。
図8A図7のヒンジの断面図である。
図8B図7のヒンジの断面図である。
図9A】ヒンジのピストンロッドの端部領域における断面図である。
図9B】ヒンジのピストンロッドの端部領域における断面図である。
図10A】ヒンジの修正された例示的な実施形態の図である。
図10B】ヒンジの修正された例示的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に家具又は家庭用器具用のヒンジ1は、家具本体の側壁又は別の壁に固定可能な側部2を備える。ヒンジ部3は、側部2に回転可能に取り付けられ、ヒンジ部3には、ヒンジ1を介して閉じ位置から開き位置に回動可能なドアが固定される。この目的のために、側部2とヒンジ部3との間に2つのレバー4及び5が設けられている。レバー4はU字形に形成されており、レバー4は横方向ウェブ44を備えている。この場合、レバー4は、ウェブ44上に開口部47を備え、該開口部47から軸6が挿入されてヒンジ部3にレバー4を回転可能に取り付ける。さらに、離間した軸7も軸6と一体に形成され、軸6はレバー5の眼部56を通して挿入されてレバー5をヒンジ部3に回転可能に取り付ける。レバー5は、複数の個々の平らな部品から構成することもでき、その結果、レバー5は、互いに重ねたときに軸7及び軸9に対応する穴を有することになる。
【0013】
U字形に形成され、2つの脚部20及び接続ウェブ21を含む側部2は、脚部20に開口部22を有し、開口部22を通って軸8が挿入されて、レバー4を側部2に回転可能に取り付ける。さらに、脚部20には開口部23が形成されており、開口部23を通してレバー5を側部2に回転可能に取り付けるために軸9が挿入される。
【0014】
ヒンジ部3の減衰動作を減衰すべく、線形ダンパ10が設けられ、該線形ダンパ10はカップ状のハウジング11と、ハウジング11に対して移動可能なピストンロッド12とを備える。ピストン13は、ピストンロッド12に固定され、ハウジング11に対するピストン13の移動中に減衰力を生成する。線形ダンパ10はコンパクトな構造を有し、ピストンロッド12のストローク運動は、好ましくは2mmから6mmの範囲、特に3mmから5mmの範囲が好ましい。
【0015】
線形ダンパ10は、側部2上に配置されたホルダ15上に固定される。ホルダ15はU字形に形成されて、接続部分に開口部19を備えて、開口部19内にハウジング11の半径方向外側に突出する縁部がホルダ15に押圧されるまで、線形ダンパのハウジング11が挿入される。この場合、ホルダには2つのタブ29が形成されており、これらのタブは、ハウジング11がピストンロッド12の長手方向に移動することを制限する。ホルダ15は、開口部17及び18を備え、該開口部には側部2に挿入される軸8及び9が貫通する。ホルダ15及び線形ダンパ10は、側部2に回転可能に固定された状態で保持される。ホルダ15は更に、ピン14を案内するために使用される長孔16を含む。ピン14は、ピストンロッド12の前端部を押して、線形ダンパ10を圧縮する。ピン14はまた、ピストンロッド12に固定して接続することができ、その結果、ピストンロッド12を長孔16内に案内するための一種のハンマーヘッドがピストンロッド12に形成される。更に、線形ダンパ10には、ピストンロッド12を突出位置に予め張力をかけるためのばねが設けられている。ピン14は、この例示的な実施形態では円形として具体化されている。ピン14は、他の基本的形状、例えば長方形又は楕円形を有することもできる。長孔16内のガイドの接触面及び/又はピストンロッド12の接触又は固定面としての接触面をピン14に設けることができる。
【0016】
側部2は付随的に、本体の側壁に直接固定することができる。しかし、示された実施形態において、設置プレート30が側壁に固定され、その上に保持要素31が保持され、その上に側部2が調節可能に保持される。保持要素31は、支持調整ユニット50用のスロット付き開口部36と、深さ調整ユニット40用の開口部35とを備える。深さ調整ユニット40は、側部2の開口24を通って案内され、開口部35に係合する偏心ピン41を有する。支持調整ユニット50は、保持要素31の開口部36に組み込まれた案内溝51と、ねじ付き孔25によって側部2に係合されるねじ52とを有する。
【0017】
保持要素31はさらに、キャッチ要素34を介して設置プレート30にラッチされ、キャッチ要素34は軸32を介して保持要素31に回転可能に取り付けられ、さらにばね33を介して予め張力がかけられている。
ヒンジ1は更にばね60を備え、ばね60は脚部ばねとして形成され、レバー4に支持された第1のばねアーム61を備える。第2の対向するばねアーム62がレバー5に支持されており、この目的のために受け部63がレバー5上のウェブ55に形成されている。或いは、従来技術で知られている他の閉じばね装置も使用され得る。例えば、リーフばねを有する構成も使用され得る。
【0018】
図2ではヒンジ1は組立て位置にて示され、ヒンジ部3は閉じ位置に位置している。ヒンジ部3が図3に示すように開き位置に回転すれば、レバー4及びレバー5も回転する。レバー4が回転することにより、制御カーブ45は軸8を中心に回転し、それによりピン14は制御カーブ45に沿ってスライドする。開き方向への動作中に、線形ダンパ10の長手方向の延びが増加し、ピストンロッド12がハウジング11から延びる。
【0019】
図4に40°と65°の間の角度範囲で、中間開き位置が示され、線形ダンパは最大の長手方向の延びを経る。ピン14は受け部内にて制御カーブ45を押し、ピストンロッド12は最大限に延びた位置にある。ヒンジ部3が更に開く方向に移動すると、レバー4は再び反対方向に回転し、ピン14は再び制御カーブ45に沿ってスライドして戻る。従って、図5に示す位置に到達するまで、ピストンロッド12を引っ込めることにより、線形ダンパは再びわずかに圧縮される。この位置で、レバー4がそのウェブ44でレバー5とどのように重なるかが判る。最大の開き位置において、線形ダンパはまた閉じ位置よりも大幅に長い長手方向の延びがある。他の制御カーブ45も、例えば最大の開き位置で線形ダンパを制御するために使用され得て、また、特に最大の開き位置に到達する少し前により強力な開き減衰を実施する場合、線形ダンパ10はより強く引き込められる。制御カーブは、ピストンロッドが最大に開いた位置に引き込まれるように構成することもできるが、ダンパの長手方向の最大の延びからヒンジロッド3の最大開き位置までの角度範囲にわたるピストンロッドのストロークは非常に小さく、及び/又はピストンロッド12のストローク動作は非常に遅く、減衰効果は殆ど生じない。何れの場合でも、線形ダンパは、ヒンジ部3の開き動作中に長手方向の最大の延びを通過する。閉じ方向において、ヒンジ部3は図5に示す位置から出て図2に示す位置に戻り、線形ダンパはまた長手方向の最大の延びを通過し、閉じ位置に達する前に強く圧縮され、必要な減衰力が得られる。制御カーブ45とピストンロッド12の間のピン14の相互接続により、横方向の力は回避される、何故ならピン14はホルダ15の長孔16上で直線的に案内されるからである。
【0020】
図6に表が示され、ヒンジ部3の開き角度に対するピストンロッドの位置が示される。閉じ位置において、ピストンロッド12は引込み位置にあり、開き動作中、線形ダンパの長手方向の最大の延びは、50°と75°の間の角度範囲にある。ヒンジ部3が大凡105°の最大開き位置に達すると、線形ダンパは再び少し圧縮され、最大に開いた位置までの回転動作中に、ヒンジ部3に作用する減衰力は小さいか、全くない。ヒンジ部3が閉じ方向に移動すると、ヒンジ部3を減速させるべく、減衰力が閉じ位置の前にて25°から40°の角度で作用し始める。しかし、ヒンジ部3は、ばね60を介して自動的に閉じ位置に移動する。
【0021】
ヒンジ1は、図7の設置位置に再び示され、線形ダンパのハウジング11は側部2に収容され、小さな構造容積のみを占めることが判る。この場合、ハウジング11は、支持調整ユニット50と軸8、9との間に配置される。ピストンロッド12の長手方向における線形ダンパの延びは、好ましくは20mm未満、特に18mm未満である。この小さな延びもかかわらず、十分に高い減衰力が提供される。
【0022】
ピストンロッド12を動かす駆動機構が、図8A及び図8Bに示される。ピストンロッド12は、ピン14によって駆動され、ピン14は、ピストンロッド12の端面を押し、ピストンロッド12に対して垂直に配列される。この場合、ピン14はホルダ15の長孔16に案内され、ピストンロッド12をカップ形状のハウジング11に押し込んで減衰力を発生させることができる。ばね75はベース上のハウジング11に支持されて、ばねはピストンロッド12に接続されたピストンに予め張力をかけて、ピストンロッド12を延び位置に移動させる。ピストンにスロットル要素を設けて、ハウジング11への後退運動を妨げ、ピストンロッドの引き抜きを容易にして減衰効果は一方向でのみ生じる。長孔16に沿ったピン14のガイドはまた、図9A及び図9Bにも示される。
【0023】
修正されたヒンジ1’が図10A及び図10Bに示され、ヒンジ1'は折り曲げられて形成され、この目的のために側部2'を備え、側部2'は前の例示的な実施形態のように、設置プレート30及び保持要素31上の第1の部分を使用して保持される。側部2'の第2の部分は階段状に形成され、支持調整ユニット50及び深さ調整ユニット40を越えて突出する壁部21’を含む。ヒンジ部3が回転可能に保持される2つのレバー4、5はこの壁部21’に固定される。この場合、また、線形ダンパは、側部2’の壁部21’にハウジング11を有するように配置される。線形ダンパ10とレバー4、5からなる完全なユニットは、側部2'の形状ごとに線形ダンパと駆動機構を変更する必要なく、全く形状の異なる側部2'に使用され得ることが判る。従って、線形ダンパ10及びヒンジ部3を備えたレバー4、5からなるユニットは、異なるヒンジタイプに使用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1、1’ ヒンジ
2、2’ 側部
3 ヒンジ部
4 レバー
5 レバー
6 軸
7 軸
8 軸
9 軸
10 線形ダンパ
11 ハウジング
12 ピストンロッド
13 ピストン
14 ピン
15 ホルダ
16 長孔
17 開口部
18 開口部
19 開口部
20 脚部
21 接続ウェブ
21’壁部
22 開口部
23 開口部
24 開口(aperture)
25 ねじ付き孔
28 段部
29 タブ
30 設置プレート
31 保持要素
32 軸
33 ばね
34 キャッチ要素
35 開口部
36 開口部
40 深さ調整ユニット
41 ピン
44 ウェブ
45 制御カーブ
47 開口部
50 支持調整ユニット
51 ガイド溝
52 ねじ
55 ウェブ
56 眼部
60 ばね
61 ばねアーム
62 ばねアーム
63 受け部
75 ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B