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特許7174741マイクロサンプリングチップ及びそのマイクロサンプリングチップを用いる検査装置
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  • 特許-マイクロサンプリングチップ及びそのマイクロサンプリングチップを用いる検査装置 図1
  • 特許-マイクロサンプリングチップ及びそのマイクロサンプリングチップを用いる検査装置 図2
  • 特許-マイクロサンプリングチップ及びそのマイクロサンプリングチップを用いる検査装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】マイクロサンプリングチップ及びそのマイクロサンプリングチップを用いる検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
G01N1/00 101G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020145575
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040731
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】519367935
【氏名又は名称】ピコテクバイオ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520146525
【氏名又は名称】Zigen.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳則
(72)【発明者】
【氏名】大野 剛嗣
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211212(JP,A)
【文献】特開平10-082759(JP,A)
【文献】特開2005-201833(JP,A)
【文献】特表2016-525698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
G01N 27/26 -27/49
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置本体と前記検査装置本体の先端に装着されるマイクロサンプリングチップとを備えた検査装置であって、
前記マイクロサンプリングチップは、
先端及び基端を有し、前記先端に液状のサンプルを吸入するための吸入口が設けられており、前記先端から前記基端に向かって伸びる吸入流路を介して前記吸入口と流体連通する保持空間を備えたチップ本体と、
一端及び他端を有し、前記一端と前記他端との間の距離が弾性的に伸縮することによって内部空間の容積が変化し、前記一端が前記チップ本体に対して固定されて前記保持空間と流体連通し、前記一端と前記他端との距離が伸びるときに前記吸入口から前記保持空間内へサンプルを吸入するための吸入力を発生させるように設けられている蛇腹ポンプと、
少なくとも一部が前記保持空間内に吸入されたサンプルと接触するように設けられたセンサ部と、を備え、
前記蛇腹ポンプは、前記一端が前記チップ本体の前記先端と同じ方向を向き、前記他端が前記チップ本体の前記基端と同じ方向を向くように設けられ、前記チップ本体の前記基端において前記蛇腹ポンプの前記他端が露出しており
前記検査装置本体は、先端面に中空筒形状の突起を有し、前記マイクロサンプリングチップは、前記チップ本体の前記基端に、前記保持空間とは空間的に分離され、前記検査装置本体の前記突起と嵌合する凹部が設けられており、前記検査装置本体の前記突起が前記チップ本体の前記凹部に嵌め込まれることによって前記マイクロサンプリングチップが前記検査装置本体の前記先端に装着され、前記蛇腹ポンプは、前記チップ本体の前記凹部内に収容されており、
前記検査装置本体は、
前記マイクロサンプリングチップの前記基端に露出した前記蛇腹ポンプの前記他端を前記マイクロサンプリングチップの先端側へ向かって一定量だけ一時的に押し込む動作を行なうためのポンプ駆動部と、
前記マイクロサンプリングチップに設けられた前記センサ部を用いて前記マイクロサンプリングチップの前記保持空間内に吸入されたサンプルの測定を行なう測定部と、を備えている、検査装置
【請求項2】
前記センサ部は、サンプルの電気化学測定を行なうための複数の電極が設けられ、前記保持空間を画する前記基端側の壁面を略垂直に貫通する電極基板であり、前記電極基板の一端が前記保持空間内に配置され、前記チップ本体の基端において前記電極基板の各電極に対してアクセス可能なように前記電極基板の他端が前記チップ本体の前記基端において露出している、請求項1に記載の検査装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属測定に代表される環境検査、尿試験紙を利用することを代表とする生化学検査、臨床検査、残留農薬を検出することに代表される食物検査などの検査を行なうためのマイクロサンプリングチップ及びその検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カドミウム、コバルト、水銀、銅、亜鉛、鉛といった重金属は人体に有害であり、水や土壌に含まれる重金属量を把握することは非常に重要である。重金属の測定方法として種々の方法が提案され、実施もなされている(特許文献1、2参照。)。また、穀物、野菜、果実など食物へ農薬を散布することによる残留農薬の問題は深刻であり、2013年にはインドでモノクロトホスが野菜に残留していたことによって、23人の児童が死亡するといった重大な事件が起こっている。
【0003】
また、医療や食品検査の現場において、その場で的確に必要な検査をできることは、その後の診断や予防、安心を保障することにおいて重要である。その場で検査を数分のうちに検出でき、その疾患や食品の安全、残留農薬の有無を測定できることによって、患者にはできるだけ早い診断、投薬が実現し、飲料水や食品については、飲食前の安全を保障できる。
【0004】
ろ紙などの紙媒体に発色試薬を固定した試験紙を利用した、ヒトの尿中や血中における特定物質の検査、イムノアッセイ、残留農薬の検査、土壌汚染の検査が一般的に行なわれている。しかし、試験紙を使用して現場において簡易迅速に検査を行なうことのできる技術は確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-174054号公報
【文献】特開2009-034041号公報
【文献】特許第6677273号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気化学測定や試験紙等を用いて行なう検査は、サンプルを測定用電極や試験紙といったセンサ部分に接触させて行なわれるが、センサ部分に接触させるサンプル量の定量性は検査結果の正確性や再現性にとって重要な要素である。そのため、サンプル量の制御を高精度に行なう必要がある。特に、数十μLといった少量のサンプルを用いる場合には、0.1μL単位の精度が必要であり、安価なピペットではそのような高精度のサンプル量の制御は困難である。空気中に露出した電極や試験紙に少量のサンプルを滴下する検査方法では、サンプルの空気中への蒸発によって検査中にサンプル濃度が変化する場合がある。
【0007】
また、一定量のサンプルを検査に供するために用いられるピペットの先端には、コンタミネーションを防止するために使い捨てのチップが装着されるが、サンプルを吸入する際に勢いでサンプルがピペットの本体側に付着してしまう場合があり、コンタミネーションが確実に防止されているとはいえない。一方で、容器に入れられたサンプルにセンサ部分を浸して測定する検査方法では、センサに接触するサンプル量の定量性が得られない。センサ部分の表面での電荷や熱の影響で拡散が起こり、その影響でサンプルの表面濃度が変化して測定値の再現性が低下するという問題がある。
【0008】
特許文献3(特許第6677273号)には、ポンプ機能を備えたマイクロサンプリングチップに関する技術が開示されており、開示のマイクロサンプリングチップを使用することにより上記問題を解決することができる。一方で、この技術には、マイクロサンプリングチップの製造の容易さやサンプル吸入量の定量性に改善の余地がある。
【0009】
本発明は、ポンプ機能を搭載しながらも製造が容易であり、かつ、サンプル吸入量の定量性の良好なマイクロサンプリングチップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るマイクロサンプリングチップは、先端及び基端を有し、前記先端に液状のサンプルを吸入するための吸入口が設けられており、前記先端から前記基端に向かって伸びる吸入流路を介して前記吸入口と流体連通する保持空間を備えたチップ本体と、一端及び他端を有し、前記一端と前記他端との間の距離が弾性的に伸縮することによって内部空間の容積が変化し、前記一端が前記チップ本体に対して固定されて前記保持空間と流体連通し、前記一端と前記他端との距離が伸びるときに前記吸入口から前記保持空間内へサンプルを吸入するための吸入力を発生させるように設けられているポンプ部と、少なくとも一部が前記保持空間内に吸入されたサンプルと接触するように設けられたセンサ部と、を備え、前記ポンプ部は、前記一端が前記チップ本体の前記先端と同じ方向を向き、前記他端が前記チップ本体の前記基端と同じ方向を向くように設けられ、前記チップ本体の前記基端において前記ポンプ部の前記他端が露出している。
【0011】
本発明に係るマイクロサンプリングチップの第1の態様では、前記ポンプ部は、伸縮方向に対して垂直な断面の形状が円形状である円筒状の部材であり、伸縮の前後における前記断面の直径が略同一である。ポンプ部が球状、半球状などの形状を有するものである場合、ポンプ部を押圧することによって圧縮した後、ポンプ部の押圧を解除しても、ポンプ部が圧縮されて潰れた状態から圧縮前の状態に戻らないような事態が生じ得る。これに対し、ポンプ部を、伸縮の前後において伸縮方向に垂直な断面の直径が変化しない円筒形状の部材とすることで、ポンプ部が潰れた状態で圧縮前の状態に戻らなくなるような事態が生じにくくなる。
【0012】
上記のようなポンプ部の一例は、蛇腹ポンプである。
【0013】
本発明に係るマイクロサンプリングチップの第2の態様では、前記チップ本体の前記基端に前記保持空間とは空間的に分離された凹部が設けられており、前記一端を除く前記ポンプ部の主要部分が前記凹部内に収容されている。このような態様により、前記ポンプ部がむき出しにならないので、前記ポンプ部に対して側方から物体が衝突するような事態を容易に防止することができ、マイクロサンプリングチップの取り扱いが容易になる。また、マイクロサンプリングチップの基端に凹部が設けられていることにより、当該マイクロサンプリングチップの基端を保持することが容易になる。
【0014】
本発明に係るマイクロサンプリングチップの第3の態様では、前記センサ部は、サンプルの電気化学測定を行なうための複数の電極が設けられ、前記保持空間を画する前記基端側の壁面を略垂直に貫通する電極基板であり、前記電極基板の一端が前記保持空間内に配置され、前記チップ本体の基端において前記電極基板の各電極に対してアクセス可能なように前記電極基板の他端が前記チップ本体の前記基端において露出している。このような態様により、当該マイクロサンプリングチップを使用してサンプルの電気化学測定を容易に行なうことができる。
【0015】
本発明に係る検査装置は、上述のマイクロサンプリングチップと、前記マイクロサンプリングチップの基端を脱着可能に保持する検査装置本体と、を備えたものである。当該検査装置において、前記検査装置本体は、前記マイクロサンプリングチップの基端に露出したポンプ部の端面を前記マイクロサンプリングチップの先端側へ向かって一定量だけ一時的に押し込む動作を行なうためのポンプ駆動部と、前記マイクロサンプリングチップに設けられたセンサ部を用いて前記マイクロサンプリングチップの保持空間内に吸入されたサンプルの測定を行なう測定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るマイクロサンプリングチップでは、ポンプ部を搭載することによって独自のポンプ機能を実現しているので、保持空間へのサンプル吸入量の高い定量性を得ることができる。また、チップ本体とポンプ部とを別々に形成した後、チップ本体にポンプ部を接着することによって本マイクロサンプリングチップを形成することが可能である。そうすると、チップ本体とポンプ部のそれぞれを樹脂成形によって容易に形成することが可能であるため、本マイクロサンプリングチップの製造が容易である。
【0017】
本発明に係る検査装置では、製造が容易でかつサンプル吸入量の定量性が高い本発明のマイクロサンプリングチップを使用するので、検査精度の高い装置を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】マイクロサンプリングチップの一実施例を示す斜視図である。
図2】同実施例の断面図である。
図3】マイクロサンプリングチップを備えた検査装置の一実施例を示す概略断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るマイクロサンプリングチップと検査装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
マイクロサンプリングチップの一実施例について、図1及び2を用いて説明する。
【0021】
この実施例のマイクロサンプリングチップ1は、後述する検査装置本体100(図3参照)の先端に装着され、検査装置本体100とともに検査装置を構成するものである。マイクロサンプリングチップ1は、チップ本体2、ポンプ部4及び電極基板6(センサ部)を備えている。
【0022】
チップ本体2は先端(図2において下端)及び基端(図2において上端)を有し、先端にサンプルを吸入するための吸入口8を備えている。チップ本体2の内部には、チップ本体2の先端から基端へ向かって伸びる吸入流路10と、吸入流路10を介して吸入口8と流体連通する保持空間12と、保持空間12から水平方向へ伸びる接続流路14と、が設けられている。チップ本体2の基端には円筒形状の凹部16が設けられている。
【0023】
ポンプ部4はチップ本体2の凹部16内に収容されている。ポンプ部4は、一端4a(図2において下端)及び他端4b(図2において上端)を有し、一端4aがチップ本体2の先端と同じ方向を向き、他端4bがチップ本体2の基端と同じ方向を向いている。ポンプ部4は、一端4aと他端4bとの距離が弾性的に伸縮する略円筒形状の蛇腹ポンプである。ポンプ部4は、伸縮の前後において内部空間の容積が変化するものの、伸縮方向に対して垂直な断面の直径は実質的に変化しない。ポンプ部4は、ポリエチレンなどのプラスチックによって形成されている。ポンプ部4の一端4aは、接続流路14に対して上方から流体的に接続された状態でチップ本体2に固定されている。なお、ポンプ部4は、必ずしも蛇腹ポンプである必要はなく、一端4aと他端4bとの距離が弾性的に伸縮し、かつ、伸縮方向に垂直な断面の直径が伸縮の前後において略同一であるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0024】
ポンプ部4の他端4bはチップ本体2の基端において露出しており、チップ2の基端側から先端に向かってポンプ部4の他端4bを押圧することによってポンプ部4の内部空間を縮小させることができる。ポンプ部4の内部空間を縮小させた後で他端4bへの押圧を解除すると、ポンプ部4は自身の弾性力によって他端4bが元の位置まで戻り、それによってポンプ部4の内部空間が拡張する。ポンプ部4の内部空間が拡張する際、吸入口8から保持空間12へ向かって流体を吸入する吸入力が発生する。これにより、吸入口8の先端からサンプルを吸入し、吸入したサンプルを保持空間12内に保持することができる。
【0025】
電極基板6は、表面又は内面に、サンプルの電気化学測定を行なうための複数の電極が形成された平板である。電極基板6は、保持空間12を画する壁面のうちチップ本体2の基端側に位置する壁面を略垂直に貫通しており、一端が保持空間12内に配置され、他端がチップ本体2の基端において露出しており、チップ本体2の基端において電極基板6に形成されている各電極に対して電気的にアクセスすることができる。
【0026】
ポンプ部4を駆動して保持空間12内にサンプルを導入すると、電極基板6の一端がサンプルと接触する。この状態で、電極基板6の各電極に対して必要な電圧を印加するとともに所定の電極間を流れる電流を測定することにより、サンプルの電気化学測定を行なうことができる。チップ本体2の吸入口8からポンプ部4までの空間は、吸入口8を除いて密閉されており、吸入口8から吸入されたサンプルがチップ本体2の基端側において漏れることはない。
【0027】
上記のマイクロサンプリングチップ1を用いた検査装置の実施例について、図3を参照しながら説明する。
【0028】
検査装置は、マイクロサンプリングチップ1と検査装置本体100によって構成される。マイクロサンプリングチップ1は使い捨てであり、1サンプルごとに1つのマイクロサンプリングチップ1が検査装置本体100の先端に装着されて使用される。
【0029】
検査装置本体100は、マイクロサンプリングチップ1を保持するためのチップ保持部102を先端に備えている。この実施例において、チップ保持部102は、検査装置本体100の先端面に設けられた中空円筒形状の突起である。チップ保持部102の外径は、マイクロサンプリングチップ1の基端の凹部16の内径と略同一になっており、チップ保持部102がマイクロサンプリングチップ1の凹部16に嵌め込まれることによってマイクロサンプリングチップ1の凹部16の内面とチップ保持部102の外周面との間の摩擦により、マイクロサンプリングチップ1が検査装置本体100の先端に装着された状態で維持されるようになっている。なお、検査装置本体100がマイクロサンプリングチップ1を保持するための構造はこのような態様に限定されず、マイクロサンプリングチップ1が検査装置本体100の先端に脱着可能に保持される構造であればいかなる構造であってもよい。
【0030】
検査装置本体100は、さらに、押圧棒104、駆動機構106、差込みスロット108、端子110及び測定部112を備えている。押圧棒104は、検査装置本体100の先端においてポンプ部4の伸縮方向(図において上下方向)に動作し、マイクロサンプリングチップ1のポンプ部4を押圧するためのものである。駆動機構106は、ステッピングモータ等を用いて押圧棒104を駆動するためのものである。
【0031】
差込みスロット108は、検査装置本体100の先端にマイクロサンプリングチップ1が装着されたときに、マイクロサンプリングチップ1の電極基板6の基端側端部(図において上端部)が挿し込まれるように設けられている。差込みスロット108の内面に端子110が露出しており、差込みスロット108に電極基板6が挿し込まれたときに、電極基板6に形成されている各電極に対して端子110が電気的に接触するようになっている。
【0032】
端子110には測定部112が電気的に接続されている。測定部112は、端子110を介して電極基板6の所定の電極に電圧を印加してサンプルの電気化学測定を行なうための電気回路である。
【0033】
上記のように、マイクロサンプリングチップ1自身がポンプ部4を備えることによって、検査装置本体100から独立したポンプ機能を実現しており、マイクロサンプリングチップ1の吸入口8からサンプルを吸入した後、検査装置をどのような態勢にしても、測定対象のサンプルが検査装置本体100に付着することがない。これにより、サンプルのコンタミネーションが防止される。
【0034】
また、ポンプ部4によってマイクロサンプリングチップ1独自のポンプ機能が実現されているため、ポンプを作動させる際に、マイクロサンプリングチップ1のチップ本体2に応力が作用しにくく、ポンプを作動させる際の押圧力によるチップ本体2の変形が抑制され、マイクロサンプリングチップ1が破損するといった事態が生じにくい。さらに、マイクロサンプリングチップ1は、ポンプ部4をチップ本体2とは別に製造した後でチップ本体2に対して接着することによって容易に形成することができる。チップ本体2とポンプ部4のそれぞれを樹脂成型によって安価に製造することができるため、マイクロサンプリングチップ1を安価に製造することができる。
【0035】
なお、上記実施例では、センサ部として電極基板6を備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、サンプルに接触したときにサンプル中の成分に応じた呈色反応を示す少なくとも1つの呈色体をセンサ部として保持空間12内に配置してもよい。この場合、検査装置本体100は、保持空間12内に配置された呈色体の呈色度合いを撮像するためのカメラと、カメラの撮像画像に基づいて呈色体の呈色度合いをRGB等によって数値化する演算部と、を備えることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 マイクロサンプリングチップ
2 チップ本体
4 ポンプ部
4a ポンプ部の一端
4b ポンプ部の他端
6 電極基板
8 吸入口
10 吸入流路
12 保持空間
14 接続流路
16 凹部
100 検査装置本体
102 チップ保持部
104 押圧棒
106 駆動機構
108 差込みスロット
110 端子
112 測定部
図1
図2
図3