(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】情報選択装置、情報選択方法および情報選択プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9035 20190101AFI20221110BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20221110BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06Q30/02 398
(21)【出願番号】P 2020183789
(22)【出願日】2020-11-02
(62)【分割の表示】P 2016005436の分割
【原出願日】2016-01-14
【審査請求日】2020-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光山 誠一
(72)【発明者】
【氏名】北川 直毅
(72)【発明者】
【氏名】倉原 智紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 一紀
【審査官】成瀬 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-515665(JP,A)
【文献】特開2011-141838(JP,A)
【文献】特開2012-242983(JP,A)
【文献】特開2015-011080(JP,A)
【文献】特開2009-276868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め登録された
同一の社会的集団に属する各利用者の情報
であって、当該社会的集団における序列もしくは役割を示す情報に基づいて、
当該社会的集団に属する複数の利用者を特定するとともに、当該利用者のうち所定の対象の購入する許諾を行う許諾利用者と、当該許諾利用者の許諾に従って前記所定の対象を購入する購入利用者と
を特定する特定部と、
前記特定部により特定された利用者の行動履歴に基づいて、前記購入利用者が興味を有すると推定される情報の種別を選択し、前記購入利用者と前記許諾利用者とに対し、前記選択された種別の情報であって、前記購入利用者であるか前記許諾利用者であるかに応じて異なる内容の情報を、各利用者に対して提供する情報として選択する選択部と
を有することを特徴とする情報選択装置。
【請求項2】
前記特定部は、前記利用者に関する情報として、共通の組織に属する旨、または、所定の人間関係を有する旨
をさらに示す情報に基づいて、前記共通の社会的集団に属する
複数の利用者
を特定する
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報選択装置。
【請求項3】
前記選択部は、共通の社会的集団に属する複数の利用者の行動履歴のうち共通する行動履歴、共通の社会的集団に属する複数の利用者の行動履歴のうち共通しない行動履歴の少なくともいずれか一方に基づいて、前記利用者に対して提供する情報を選択する
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の情報選択装置。
【請求項4】
前記選択部は、共通の社会的集団に属する複数の利用者の行動履歴のうち共通する行動履歴に基づいて、当該社会的集団の
興味関心の対象を推定し、推定した
興味関心の対象と対応する内容の情報を、前記利用者に提供する情報として選択する
ことを特徴とする請求項1~
3のうちいずれか1つに記載の情報選択装置。
【請求項5】
前記選択部は、情報提供先となる利用者と同じ社会的集団に属する利用者の行動履
歴のうち、当該情報提供先となる利用者の行動履歴と共通性を有しない行動履歴と対応する内容の情報を、当該情報提供先となる利用者に提供する情報として選択する
ことを特徴とする請求項1~
4のうちいずれか1つに記載の情報選択装置。
【請求項6】
前記特定部は、第1の社会的集団に属する複数の利用者と、第2の社会的集団に属する複数の利用者とを特定し、
前記選択部は、前記第1の社会的集団に属する各利用者の行動履歴のうち共通する行動履歴に基づいて、当該第1の社会的集団の
興味関心の対象を推定し、推定した
興味関心の対象と対応する内容の情報を、前記第2の社会的集団に属する利用者に対して提供する情報として選択する
ことを特徴とする請求項1~
4のうちいずれか1つに記載の情報選択装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記特定部により特定された各利用者の行動履歴のうち共通しない行動履歴に基づいて、各利用者の
興味関心の対象を個別に推定し、利用者ごとに、当該利用者について推定した
興味関心の対象と対応する情報を、当該利用者に提供する情報として選択する
ことを特徴とする請求項1~
6のうちいずれか1つに記載の情報選択装置。
【請求項8】
前記選択部はさらに、前記社会的集団における前記利用者の役割に基づいて、当該利用者に対して提供する情報を選択する
ことを特徴とする請求項1~
7のうちいずれか1つに記載の情報選択装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記利用者に対して配信された情報を当該利用者が選択した場合には、当該情報と同種の情報であって、内容が異なる情報を前記利用者に対して提供する情報として選択する
ことを特徴とする請求項1~
8のうちいずれか1つに記載の情報選択装置。
【請求項10】
前記選択部は、所定の広告に関する情報が前記利用者に対して配信された際に、当該利用者が当該情報を選択した場合は、前記利用者に対して提供する情報として、当該情報に関する広告の対象の購入を提案する情報を選択する
ことを特徴とする請求項
9に記載の情報選択装置。
【請求項11】
情報選択装置が実行する情報選択方法であって、
予め登録された
同一の社会的集団に属する各利用者の情報
であって、当該社会的集団における序列もしくは役割を示す情報に基づいて、
当該社会的集団に属する複数の利用者を特定するとともに、当該利用者のうち所定の対象の購入する許諾を行う許諾利用者と、当該許諾利用者の許諾に従って前記所定の対象を購入する購入利用者と
を特定する特定工程と、
前記特定工程により特定された利用者の行動履歴に基づいて、前記購入利用者が興味を有すると推定される情報の種別を選択し、前記購入利用者と前記許諾利用者とに対し、前記選択された種別の情報であって、前記購入利用者であるか前記許諾利用者であるかに応じて異なる内容の情報を、各利用者に対して提供する情報として選択する選択工程と
を含むことを特徴とする情報選択方法。
【請求項12】
コンピュータに、
予め登録された
同一の社会的集団に属する各利用者の情報
であって、当該社会的集団における序列もしくは役割を示す情報に基づいて、
当該社会的集団に属する複数の利用者を特定するとともに、当該利用者のうち所定の対象の購入する許諾を行う許諾利用者と、当該許諾利用者の許諾に従って前記所定の対象を購入する購入利用者と
を特定する特定手順と、
前記特定手順により特定された利用者の行動履歴に基づいて、前記購入利用者が興味を有すると推定される情報の種別を選択し、前記購入利用者と前記許諾利用者とに対し、前記選択された種別の情報であって、前記購入利用者であるか前記許諾利用者であるかに応じて異なる内容の情報を、各利用者に対して提供する情報として選択する選択手順と
を実行させることを特徴とする情報選択プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報選択装置、情報選択方法および情報選択プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介して、各種情報を利用者に提供する技術が知られている。このような情報配信する技術の一例として、利用者の属性や行動履歴等を示すログの内容に応じて、利用者が興味を有すると推定される情報を推定し、推定された情報を配信する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、配信対象となる情報に対して利用者が興味を有するか否かを精度良く推定できない場合がある。
【0005】
例えば、利用者の行動履歴には、利用者個人の趣味や関心に基づく履歴と、業務上の行動等といった利用者の社会的な行動の履歴とが混在する。このため、従来技術では、利用者が個人的に興味を有していない情報を、利用者の社会的な行動の履歴に基づいて、利用者が興味を有する情報であると推定してしまう恐れがある。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者が興味を有する可能性が高い情報を選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る情報選択装置は、情報選択装置は、共通の社会的集団に属する複数の利用者を特定する特定部と、前記特定部により特定された利用者の行動履歴に基づいて、当該利用者と同じ社会的集団に属する他の利用者に対して提供する情報を選択する選択部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、利用者が興味を有する可能性が高い情報を選択することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報配信装置が実行する処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報配信装置が有する機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る行動履歴データベースに登録される情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るグループデータベースに登録される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るユーザデータベースに登録される情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る特定処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る選択処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る選択部が選択する情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る選択処理および配信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報選択装置、情報選択方法および情報選択プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報選択装置、情報選択方法および情報選択プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.情報配信装置が実行する情報配信処理について〕
まず、
図1を用いて、情報選択装置の一例である情報配信装置10の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報配信装置が実行する処理の一例を示す図である。
図1では、情報配信装置10が実行する処理の一例として、任意の利用者であるユーザの行動履歴を示すログに応じて、ユーザに配信する情報を選択し、選択した情報をユーザに配信する情報配信処理の一例について説明する。
【0012】
なお、以下の説明では、ユーザU01~U04の行動履歴を示すログ(以下、履歴情報と記載する場合がある。)を収集し、収集した履歴情報に基づいて、各ユーザU01~U04に配信する情報を選択して配信する処理の一例について記載するが、実施形態は、これに限定されるものではない。すなわち、情報配信装置10は、任意の数のユーザの履歴情報に基づいて、各ユーザに対して配信する情報を選択してよい。また、以下の説明では、ユーザU01が使用する端末装置100と、ユーザU03が使用する端末装置101とに情報を配信する例について記載するが、情報配信装置10は、任意の数の端末装置に対し、情報を配信してよい。また、以下の説明では、端末装置101は、端末装置100と同上の機能を発揮するものとして、説明を省略する。
【0013】
〔1-1.配信対象となる情報について〕
まず、情報配信装置10が配信する情報について説明する。情報配信装置10が配信する情報とは、所定のクライアントが情報配信装置10に登録する情報であり、テキスト、動画像、静止画像、および音声等、任意のコンテンツである。また、情報配信装置10が配信する情報は、広告そのものや広告内に配置されるテキストや動画像等、広告に関する任意のコンテンツであるものとする。
【0014】
なお、実施形態は、これに限定されるものではなく、営利若しくは非営利の広告に関するコンテンツ、他のユーザのメールアドレス等、他のユーザに関するコンテンツ、ゲーム、メール、ツイート、ブログの記事等、端末装置100に対して配信可能な任意のコンテンツであってもよい。すなわち、情報配信装置10が配信する情報は、ユーザのログに基づいて配信される情報であれば、任意の情報が適用可能である。
【0015】
〔1-2.履歴情報について〕
次に、履歴情報について説明する。履歴情報とは、ユーザと対応付けられる任意のログであり、例えば、ターゲットログである。例えば、履歴情報には、ユーザがウェブ上で行った検索や閲覧サイトの履歴を示すログであるユーザ履歴、任意の商品についての資料請求を行った旨を示すログ等が含まれていてもよい。また、履歴情報には、例えば、各種のコンテンツが閲覧されたか否か、コンテンツがタップされる等選択されたか否か、所定のウェブページからコンテンツやコンテンツが配置されたウェブページに対するリンクが設定されたか否かといった情報が含まれていてもよい。また、履歴情報には、ウェブ検索エンジン等を利用してコンテンツが検索されたか否か、ショートメッセージサービスやマイクロブログ等でコンテンツに関する情報が発信(ツイート等)されたか否か等を示すログが含まれていてもよい。
【0016】
ここで、履歴情報には、SNS(Social Networking Service)といったインターネット上のサービスや、実店舗等でユーザに関する各種の情報を登録した旨や、登録された情報の内容が含まれる。例えば、履歴情報には、氏名、年齢、性別、住所、年収、勤務先、勤務部署、および勤務内容といった情報のみならず、ユーザが興味を有する音楽や映画のタイトル等といった情報が含まれているものとする。すなわち、履歴情報には、インターネットを通じて取得可能なユーザの行動の履歴のみならず、インターネットを通じてユーザが入力した情報等が含まれる。
【0017】
また、履歴情報には、ユーザが各種コンテンツの閲覧等に使用したハードウェアに関連する各種の情報が含まれる。例えば、履歴情報には、ユーザがコンテンツの閲覧に使用した端末装置100に対して付与されたIP(Internet Protocol)アドレス、端末装置100の機種名や型番などといった端末装置100の種別を示すデバイス情報、端末装置100上で動作するOS(Operating System)やアプリケーションプログラムを示すシステム情報等が含まれている。
【0018】
〔1-3.情報配信装置10について〕
情報配信装置10は、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される情報処理装置である。情報配信装置10は、図示を省略したネットワークN(例えば、インターネット等)を介して、ユーザU01が使用する端末装置100と、ユーザU03が使用する端末装置101と通信可能に接続されている。
【0019】
端末装置100は、ユーザU01によって利用される情報処理装置であり、ユーザが情報を閲覧するために利用される。具体例を挙げると、端末装置100は、スマートフォンやタブレット端末やPDA(Personal Digital Assistant)等の移動端末や、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PC等である。
【0020】
ここで、各ユーザに情報を配信する場合、情報の配信対象となるユーザの履歴情報に基づいて、そのユーザが興味を有すると推定される情報を選択し、選択した情報を配信するといった態様が考えられる。しかしながら、履歴情報には、ユーザ個人の趣味や関心に基づく履歴(以下、個人履歴と記載する場合がある。)と、ユーザの社会的な行動の履歴(以下、社会履歴と記載する場合がある。)とが混在する。このため、単にユーザの行動履歴に基づいて、配信対象となる情報を選択した場合、ユーザが個人的には興味を有していない情報を、ユーザが個人的に興味がある情報と推定してしまう恐れがある。
【0021】
そこで、情報配信装置10は、以下の情報配信処理を実行する。まず、情報配信装置10は、共通の社会的集団に属するユーザを特定する特定処理を実行する。続いて、情報配信装置10は、特定されたユーザの行動履歴に基づいて、特定されたユーザと共通の社会的集団に属する他のユーザに対して提供する情報を選択する選択処理を実行する。その後、情報配信装置10は、選択した情報をユーザへと配信する。
【0022】
〔1-4.特定処理について〕
以下、情報配信装置10が実行する特定処理および選択処理について具体的に説明する。まず、情報配信装置10が実行する特定処理について説明する。まず、情報配信装置10は、現実に存在する共通の組織に属するユーザや、所定の人間関係を有するユーザを、共通の社会的集団に属するユーザとして特定する。例えば、情報配信装置10は、共通の社会的集団として、共通の会社、共通の部署、共通のグループ、家族、またはサークル等といった現実世界における社会的な関係性を有する集団に属するユーザ等、現実に存在する共通の組織に属するユーザを共通の社会的集団として特定する。また、例えば、情報配信装置10は、両親、兄弟、姉妹、親戚等といった所定の血縁関係を有するユーザや、友人関係にあるユーザ、恋人、配偶者、パートナー等、社会的な行動や思想、目的、趣向等に所定の共通性を有するユーザ等、所定の人間関係を有するユーザを共通の社会的集団に属するユーザとして特定する。
【0023】
ここで、情報配信装置10が共通の社会的集団に属するユーザを特定する手法については、任意の手法が適用可能である。例えば、情報配信装置10は、各ユーザが使用するハードウェアに関連する情報の共通性に基づいて、共通の社会的集団に属するユーザを特定してもよい。すなわち、情報配信装置10は、各ユーザが使用するハードウェアに関連する情報の名寄せ結果に基づいて、共通の社会的集団に属するユーザを特定してもよい。
【0024】
例えば、同一の会社、同一の部署、同一の家庭等からインターネットにアクセスする場合には、全体またはドメインが共通するIPアドレスがハードウェアに付与されていると予測される。そこで、情報配信装置10は、行動履歴に含まれるIPアドレスの共通性に基づいて、共通する社会的集団に属するユーザを特定してもよい。例えば、情報配信装置10は、同一のIPアドレスが付与されたハードウェアを使用する複数のユーザを、同一の家庭や同一の会社に属するユーザとして特定してもよい。また、情報配信装置10は、同一ドメインのIPアドレスが付与されたハードウェアを使用する複数のユーザを、同一の会社または同一の部署に属するユーザとして特定してもよい。
【0025】
また、同一の会社に属するユーザや、同一の部署に属するユーザには、同一種別のハードウェアや、同一バージョンのOSやアプリケーションがインストールされたハードウェアが支給される場合がある。そこで、情報配信装置10は、各ユーザが使用するハードウェアの種別、または、ハードウェアが実行するOSやアプリケーション等といったプログラムの種別の少なくともいずれか一方を示す種別情報を収集し、収集した種別情報の共通性に基づいて、共通する社会的集団に属するユーザを特定してもよい。
【0026】
また、情報配信装置10は、ハードウェアの種別とソフトウェアの種別との組み合わせを示す種別情報の共通性に基づいて、共通する社会的集団に属するユーザを特定してもよい。例えば、情報配信装置10は、所定のメッセージダイジェスト関数を用いて、行動履歴に含まれるデバイス情報とシステム情報とのハッシュ値をフィンガープリント(FP:Finger Print)として算出する。そして、情報配信装置10は、算出したフィンガープリントの名寄せ結果に基づいて、同一の部署に属するユーザを特定してもよい。
【0027】
また、情報配信装置10は、各ユーザが閲覧したコンテンツの履歴、および、ユーザが予め登録した情報の少なくともいずれか一方の共通性に基づいて、共通する社会的集団に属するユーザを特定してもよい。例えば、情報配信装置10は、スケジュール管理用ウェブページ、会社内掲示板、会社用SNS、登録制の情報検索システム等、ビジネス向けのコンテンツの閲覧履歴に基づいて、共通する会社や部署に属するユーザを特定してもよい。
【0028】
また、情報配信装置10は、各ユーザがSNS等に投稿した勤務先や部署の情報、サークルや家族の情報等に基づいて、共通の社会的集団に属するユーザを特定してもよい。例えば、情報配信装置10は、所定のAPI(Application Programming Interface)を用いて、各種のSNSから各ユーザが登録した勤務先や部署の情報、名前、家族の情報等を収集し、収集した情報に基づいて、共通の社会的集団に属するユーザを特定してもよい。
【0029】
また、情報配信装置10は、上述した情報を適宜組み合わせて共通の社会的集団に属するユーザを特定してもよく、上述した情報以外の情報を用いて共通の社会的集団に属するユーザを特定してもよい。例えば、情報配信装置10は、IPアドレスの共通性、フィンガープリントの共通性、ビジネス向けコンテンツの閲覧履歴の共通性、各ユーザが予め登録した情報の共通性等から、各ユーザが共通の社会的集団に属するスコアを算出し、算出スコアの値が所定の閾値よりも高い複数のユーザを共通の社会的集団に属するユーザとして特定してもよい。
【0030】
すなわち、情報配信装置10は、性別や年齢が共通する複数のユーザをグルーピングするのではなく、現実社会において所定の関連性を有すると推定される複数のユーザ(例えば、共通する目的や興味を有するグループに属するユーザ)を共通の社会的集団に属するユーザとして特定する。なお、情報配信装置10は、絶対的に共通する社会的集団に属するユーザを特定せずとも、ある程度の確実性で共通の社会的集団に属すると予測される複数のユーザを、共通の社会的集団に属するユーザとして特定すればよい。
【0031】
〔1-5.選択処理について〕
次に、情報配信装置10が実行する選択処理について説明する。例えば、情報配信装置10は、特定処理によって所定の社会的集団に属するユーザの行動履歴を抽出する。そして、情報配信装置10は、抽出した行動履歴の共通性または非共通性の少なくともいずれか一方に基づいて、所定の社会的集団に属する他のユーザに対して提供する情報を選択する。
【0032】
例えば、共通する社会的集団に属する複数のユーザの行動履歴のうち、共通する行動履歴は、各ユーザが社会的集団として有する興味、すなわちその社会的集団の目的や興味(以下、興味関心と総称する。)を示していると予測される。一方、共通する社会的集団に属する複数のユーザの行動履歴のうち、共通しない行動履歴は、各ユーザの個人的な興味を示していると予測される。そこで、情報配信装置10は、各ユーザの行動履歴の共通性または非共通性に基づいて、その社会的集団が興味を有する情報の分野や、各ユーザが個人的に興味を有する情報の分野を特定する。
【0033】
例えば、第1のユーザの行動履歴に、音楽関連のウェブサイトと旅行関連のウェブサイトとを頻繁に閲覧している旨のログが含まれており、第1のユーザと同一の部署に属すると特定された第2のユーザの行動履歴に、映画関連のウェブサイトと旅行関連のウェブサイトとを頻繁に閲覧している旨のログが含まれているものとする。このような場合、双方に共通するログ、すなわち旅行関連のウェブサイトを頻繁に閲覧している旨のログは、例えば、第1のユーザおよび第2のユーザが属する部署で慰安旅行先を検索している旨を示し得る。すなわち、旅行関連のウェブサイトを頻繁に閲覧している旨のログは、第1のユーザおよび第2のユーザが属する部署の興味が旅行関連にある旨を示す情報であると言える。
【0034】
一方、第1のユーザの行動履歴のうち、第2のユーザの行動履歴と共通しない行動履歴、すなわち音楽関連のウェブサイトを閲覧した旨のログは、第1のユーザが音楽関連の情報に対して個人的な興味を有する旨を示す情報であると言える。また、第2のユーザの行動履歴のうち、第1のユーザの行動履歴と共通しない行動履歴、すなわち映画関連のウェブサイトを閲覧した旨のログは、第2のユーザが映画関連の情報に対して個人的な興味を有する旨を示す情報であると言える。
【0035】
そこで、情報配信装置10は、第1のユーザの行動履歴および第2のユーザの行動履歴の共通性または非共通性の少なくともいずれか一方に基づいて、各ユーザが属する共通の社会的集団の興味を示す行動履歴や、各ユーザの個人的な興味を示す行動履歴を抽出する。そして、情報配信装置10は、抽出した行動履歴に基づいて、各ユーザに対して提供する情報を選択する。
【0036】
例えば、情報配信装置10は、第1のユーザの行動履歴および第2のユーザの行動履歴の非共通性に基づいて、第1のユーザの興味関心を推定し、推定した興味関心に基づいて、第1のユーザに提供する情報を選択してもよい。そして、情報配信装置10は、選択した情報を第1のユーザが使用する端末装置100に配信してもよい。
【0037】
なお、例えば、情報配信装置10は、第1のユーザの興味を示す情報として、選択した情報を第2のユーザが使用する端末装置100に配信してもよい。例えば、情報配信装置10は、「第1のユーザはこんなことに興味があるみたいですよ。」等というように、第1のユーザの興味を示す情報である旨と共に、選択した情報を第2のユーザが使用する端末装置100に表示させてもよい。
【0038】
また、情報配信装置10は、第1のユーザの行動履歴と第2のユーザの行動履歴とのうち、共通する行動履歴を抽出し、抽出した行動履歴を用いて、各ユーザが属する共通の社会的集団が興味を有すると推定される情報を選択する。そして、情報配信装置10は、選択した情報を第1のユーザおよび第2のユーザに配信する。なお、情報配信装置10は、第1のユーザおよび第2のユーザとともに、共通する社会的集団に第3のユーザが属する場合には、第3のユーザに対して、その社会的集団が興味を有すると推定される情報を配信してもよい。
【0039】
また、情報配信装置10は、第1のユーザの行動履歴と第2のユーザの行動履歴とのうち、共通性を有する行動履歴であって、第3のユーザの行動履歴と共通性を有しない行動履歴に基づいて、第3のユーザに提供する情報を選択してもよい。また、情報配信装置10は、例えば、第1のユーザの行動履歴および第2のユーザの行動履歴と、第3のユーザの行動履歴との間に共通性がない場合であっても、各ユーザが共通する社会的集団に属するのであれば、第1のユーザの行動履歴および第2のユーザの行動履歴の共通性に基づいて選択された情報を第3のユーザに配信してもよい。また、情報配信装置10は、各ユーザの行動履歴に共通性が無くとも、各ユーザが共通する社会的集団に属するのであれば、第1のユーザの行動履歴に基づいて選択された情報を、第2のユーザおよび第3のユーザに対して配信してもよい。
【0040】
すなわち、情報配信装置10は、共通する社会的集団に属する各ユーザの行動履歴に基づいて、配信対象とする情報を選択するのであれば、その社会的集団が興味を有すると推定される情報を選択してもよく、その社会的集団に属する各ユーザが個人的に興味を有すると推定される情報を選択してもよい。また、情報配信装置10は、選択した情報をその社会的集団に属するユーザに提供するのであれば、どのユーザに配信してもよい。例えば、情報配信装置10は、情報の選択時に行動履歴を用いたユーザのみならず、情報の選択時に行動履歴を用いなかったユーザや、他のユーザと行動履歴の共通性を有しないユーザに対し、選択された情報を配信してもよい。
【0041】
また、情報配信装置10は、第1の社会的集団に属する複数のユーザと、第2の社会的集団に属する複数のユーザとを特定し、第1の社会的集団に属する各ユーザの行動履歴の共通性に基づいて、第1の社会的集団の興味関心を推定し、推定した興味関心に基づいて、第2の社会的集団に属するユーザに対して提供する情報を選択してもよい。すなわち、情報配信装置10は、各ユーザが属する社会的集団の興味関心を示す行動履歴に基づいて選択された情報を、他の社会的集団に属するユーザに対して提供してもよい。
【0042】
また、情報配信装置10は、社会的集団における各ユーザの役割に基づいて、各ユーザに対して提供する情報を選択してもよい。例えば、第1のユーザと第2のユーザとが家族等の共通する社会的集団に属する際、第1のユーザが夫等のコンバージョンを有するユーザである場合には、第2のユーザが個人的に興味を有すると推定される情報を第1のユーザに配信してもよい。例えば、情報配信装置10は、妻が個人的に興味を有すると推定された商品や物件の情報を夫に通知してもよい。また、情報配信装置10は、ある部署における部長に対し、部下が検索した慰安旅行先の情報を通知してもよく、部長のみがよくアクセスする旅行先の情報をその部署の部下に対して通知してもよい。
【0043】
また、情報配信装置10は、情報の配信先となるユーザに応じて、配信する情報を変化させてもよい。具体的には、情報配信装置10は、第1のユーザに対して提供された情報を第1のユーザが選択した場合には、配信された情報と同種の情報であって、内容が異なる情報を、第1のユーザと共通する社会的集団に属する第2のユーザに対して提供する情報として選択してもよい。例えば、情報配信装置10は、ある家族の子供があるゲームの広告を選択した場合は、その家族の親に対し、そのゲームの広告と共に購入ページへのリンクが設定された広告を配信してもよい。
【0044】
〔1-6.情報配信処理の一例〕
次に、
図1を用いて、情報配信装置10が実行する情報配信処理の一例を説明する。なお、以下の説明では、情報配信装置10は、配信対象となる情報として、不動産に関する不動産情報、旅行に関する旅行情報、化粧品に関する化粧品情報、食品に関する食品情報、音楽に関する音楽情報、映画に関する映画情報等、配信対象となる情報C10を保持するものとする。また、情報C10は、例えば、広告であるものとする。
【0045】
まず、情報配信装置10は、複数のユーザの中から、共通の社会的集団に属する複数のユーザ(以下、グループと記載する場合がある。)を特定する(ステップS1)。例えば、
図1に示す例では、4人のユーザU01~U04を、グループG01に属するユーザとして特定する。続いて、情報配信装置10は、グループG01の各ユーザU01~U04の行動履歴の共通性および非共通性を演算する(ステップS2)。
【0046】
例えば、
図1に示す例では、ユーザU01の行動履歴L01、ユーザU02の行動履歴L02、ユーザU03の行動履歴L03、およびユーザU04の行動履歴L04を概念的に示す図を記載した。ここで、
図1に示す例では各行動履歴L02~L04は、その一部が相互に重複しており、行動履歴L01は、他の行動履歴L02~L04と重複していないものとする。
【0047】
ここで、各行動履歴L02~L04のうち、内容が類似若しくは重複する範囲S01は、グループG01全体としての興味関心を示していると予測される。また、行動履歴L03のうち、他の行動履歴L02、L04と重複していない範囲S02は、ユーザU03の個人的な興味関心を示していると予測される。そこで、情報配信装置10は、各ユーザU01~U04の行動履歴L01~L04の共通性および非共通性の演算結果に基づいて、各ユーザU01~U04に配信する情報を選択する(ステップS3)。
【0048】
そして、情報配信装置10は、
図1中(A)に示すように、範囲S01に含まれる行動履歴に基づいて、グループG01の興味関心を満たすと推定される情報C01を選択する。例えば、情報配信装置10は、範囲S01に含まれる行動履歴に基づいて、不動産情報や旅行情報等を配信対象となる情報C01として選択する。
【0049】
また、情報配信装置10は、
図1中(B)に示すように、範囲S02に含まれる行動履歴に基づいて、ユーザU03の個人的な興味関心を満たすと推定される情報C02を選択する。例えば、情報配信装置10は、範囲S02に含まれる行動履歴に基づいて、化粧品情報や映画情報等を配信対象となる情報C02として選択する。
【0050】
そして、情報配信装置10は、選択した情報C01、C02を、グループG01のユーザU01~U04に対して配信する(ステップS4)。例えば、情報配信装置10は、範囲S01に含まれる行動履歴に基づいて選択された情報C01を、グループG01に含まれるユーザU01~U04のうち、行動履歴が範囲S01と重複していないユーザU01の端末装置100へと送信する。すなわち、情報配信装置10は、グループG01に属しているにもかかわらず、興味関心が他のユーザU02~U04とは異なるユーザU01に対し、ユーザU02~U04が共通して興味関心を有する情報、すなわち、ユーザU02~U04が社会的に興味関心を有する情報を通知することができる。なお、情報配信装置10は、情報C01を、グループG01に含まれる全てのユーザU01~U04に対して配信してもよく、例えば、行動履歴に範囲S01が含まれるユーザU02~U04に対してのみ、情報C01を配信してもよい。
【0051】
また、情報配信装置10は、範囲S02に含まれる行動履歴に基づいて選択された情報C02を、ユーザU03が使用する端末装置101に配信する。この結果、情報配信装置10は、ユーザU03が社会的に興味を有する情報ではなく、ユーザU03が個人的に興味を有すると推定される情報C02を配信することができる。なお、情報配信装置10は、ユーザU03が個人的に興味を有すると推定される情報C02を、ユーザU03が個人的に興味を有する旨とともに、ユーザU01、U02、U04に配信してもよい。また、情報配信装置10は、例えば、ユーザU03の行動履歴L03と類似または重複する範囲が最も多い行動履歴を特定し、特定した行動履歴と対応するユーザに対して、ユーザU03が興味を有すると推定される情報C02を配信してもよい。
【0052】
また、情報配信装置10は、ユーザU02の行動履歴L02と、ユーザU03の行動履歴U03との共通部分のうち、範囲S01と重複しない部分に基づいて選択した情報を、ユーザU02、U03が興味を有する情報として、ユーザU01やユーザU04に配信してもよい。このように、情報配信装置10は、任意の演算態様により求められた行動履歴に基づいて、配信対象となる情報を選択してよい。
【0053】
〔1-7.演算について〕
なお、上述した例では、情報配信装置10は、行動履歴L01~L04の共通性や非共通性の演算結果に基づいて、配信対象とする情報C01、C02を選択した。ここで、情報配信装置10は、任意の演算手法により、配信対象とする情報を選択してよい。例えば、情報配信装置10は、各ユーザU01~U04の行動履歴L01~L04を個別に用いて、配信対象とする情報の分野ごとに各ユーザU01~U04が有する興味関心の強さを示すスコアを付与し、スコアの値が所定の値よりも高くなった分野を、グループG01が興味関心を有する情報の分野として特定してもよい。
【0054】
また、このようなスコアは、広告の配信のみならず、例えば、ダイレクトメールの送付や営業先の選択等に用いられてもよい。例えば、情報配信装置10は、ある分野のスコアが所定の閾値よりも高くなった場合には、その分野に関連する営業を行うように、商社等の各種営業元等に提示してもよい。
【0055】
〔2.情報配信装置の構成〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報配信装置10の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る情報配信装置が有する機能構成の一例を示す図である。
図2に示すように、情報配信装置10は、通信部20と、記憶部30と、制御部40とを有する。通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、インターネット等のネットワークNと有線または無線で接続され、端末装置100、101との間で情報の送受信を行う。
【0056】
〔2-1.記憶部が記憶するデータベース〕
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部30は、配信情報データベース31、行動履歴データベース32、グループデータベース33、およびユーザデータベース34を記憶する。
【0057】
配信情報データベース31は、配信対象となる各種の情報が登録される。例えば、配信情報データベース31には、不動産情報、旅行情報、化粧品情報、食品情報、音楽情報、および映画情報等といった、カテゴリ別に分類された広告が配信対象となる情報として登録されている。
【0058】
行動履歴データベース32には、任意のユーザの行動履歴が登録される。例えば、
図3は、実施形態に係る行動履歴データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図3に示すように、行動履歴データベース32には、「ログID」、「IPアドレス」、「デバイス情報」、「システム情報」、「ユーザID」、および「行動内容」等といった項目を有する情報が登録される。また、「行動内容」には、「閲覧URL(Uniform Resource Locator)」、「選択情報」、「登録情報」等といった項目が含まれる。
【0059】
ここで、「ログID」とは、各行動履歴を識別するための識別子である。また、「IPアドレス」とは、ユーザが使用するハードウェアに付与されたIPアドレスである。また、「デバイス情報」とは、ユーザが使用するハードウェアの種別を示す情報である。また、「システム情報」とは、ユーザが使用するプログラムの種別を示す情報である。また、「ユーザID」とは、各行動履歴が示す行動を行ったユーザを識別するための識別子である。
【0060】
また、「行動内容」とは、対応付けられた「ユーザID」が示すユーザによって行われた行動の内容を示す情報である。例えば、「閲覧URL」は、ユーザが閲覧したウェブページ等のコンテンツにアクセスするためのURLである。また、「選択情報」とは、対応付けられた「閲覧URL」が示すウェブページ上でユーザが選択した静止画像、動画像、音楽、広告等、各種のコンテンツを示す情報である。また、「登録情報」とは、対応付けられた「閲覧URL」が示すウェブページ上でユーザが入力または登録を行った情報の内容である。
【0061】
例えば、ログID「ID1」が示す行動履歴は、ユーザID「ユーザ#1」が示すユーザにより、デバイス情報「デバイス#1」が示すハードウェアであって、システム情報「システム#1」が示すプログラムが動作するハードウェアが使用され、そのハードウェアにIPアドレス「アドレス#1」が付与されている旨を示す。また、ログID「ID1」が示す行動履歴は、上述したハードウェアを用いて、ユーザID「ユーザ#1」が示すユーザにより、閲覧URL「URL#1」において、登録情報「情報#1」が登録された旨を示す。
【0062】
なお、行動履歴データベース32には、
図3に示した情報以外にも、インターネットを介して取得可能な任意の情報が登録されていてもよい。また、
図3に示す例では、行動履歴データベース32に登録される情報として、「ID1」、「アドレス#1」、「デバイス#1」、「システム#1」、「ユーザ#1」、「URL#1」、「情報#1」等といった概念的な値を記載したが、実際には、例えば各種数値や型番などの文字列が登録されることとなる。
【0063】
グループデータベース33は、同一のグループに属したユーザを示す情報が登録される。例えば、
図4は、実施形態に係るグループデータベースに登録される情報の一例を示す図である。
図4に示す例では、グループデータベース33には、「グループID」、「名寄せ情報」、「ユーザID」、および「共通興味スコア」といった項目を有する情報が登録される。また、「名寄せ情報」には、「IPアドレス」や「FP」等といった項目が含まれる。また、「共通興味スコア」には、「不動産」、「旅行」、「化粧品」等といった項目が含まれる。
【0064】
ここで、「グループID」とは、共通する社会的集団であるグループを識別する識別子である。また、「名寄せ情報」とは、対応付けられた「グループID」が示すグループにユーザが属するか否かを判定する際に用いた情報である。また、「ユーザID」とは、対応付けられた「グループID」が示すグループに属するユーザを識別する識別子である。また、「共通興味スコア」とは、対応付けられた「グループID」が示すグループが、配信対象となる情報の各分野に対して有する興味関心の度合いを示すスコアである。
【0065】
例えば、
図4に示す例では、グループデータベース33には、グループID「グループ#1」が示すグループに、IPアドレスが「アドレス#1」であるハードウェアを使用し、かつ、そのハードウェアのフィンガープリントの値が「FP#1」であるユーザが属している旨を示す情報が登録されている。また、この情報は、グループID「グループ#1」が示すグループに、ユーザID「ユーザ#1」、「ユーザ#2」が示すユーザが属している旨を示す。また、この情報は、グループID「グループ#1」が示すグループについて、不動産分野の情報に対するスコアが「スコア#1」であり、旅行分野の情報に対するスコアが「スコア#2」であり、化粧品分野の情報に対するスコアが「スコア#3」である旨を示す。
【0066】
なお、グループデータベース33には、
図4に示す共通興味スコア以外にも、任意の分野に対する共通興味スコアが登録されていてもよい。また、グループデータベース33には、同一のユーザを識別するユーザIDが複数のグループIDと対応付けて登録されていてもよい。また、
図4に示す例では、グループデータベース33に登録される情報として、「グループ#1」、「アドレス#1」、「FP#1」、「スコア#1」といった概念的な値を記載したが、実際には、例えば各種数値や文字列が登録されることとなる。
【0067】
ユーザデータベース34は、情報の配信対象となるユーザの情報が登録される。例えば、
図5は、実施形態に係るユーザデータベースに登録される情報の一例を示す図である。例えば、ユーザデータベース34には、「ユーザID」と「興味スコア」といった項目を含む情報が登録される。ここで、「興味スコア」には、「不動産」、「旅行」、「化粧品」等といった項目が含まれる。
【0068】
ここで、「興味スコア」とは、対応付けられた「ユーザID」が示すユーザが各分野に対して有する興味関心の度合いを示すスコアである。例えば、
図5に示す例では、ユーザID「ユーザ#1」が示すユーザの不動産分野の情報に対するスコアが「スコア#11」であり、旅行分野の情報に対するスコアが「スコア#12」であり、化粧品分野の情報に対するスコアが「スコア#13」である旨の情報が登録されている。なお、
図5に示す例では、ユーザデータベース34に登録される情報として、「スコア#11」といった概念的な値を記載したが、実際には、例えば各種数値や文字列が登録されることとなる。
【0069】
〔2-2.制御部が有する構成の一例〕
図2に戻って、説明を続ける。制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報配信装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0070】
図2に示すように、制御部40は、収集部41、特定部42、選択部43、配信部44を有し、以下に説明する情報配信処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部40の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報配信処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部40が有する各処理部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0071】
収集部41は、各ユーザの行動履歴を収集する。例えば、収集部41は、図示を省略した各種のログサーバ等から、ログを収集し、収集したログを用いて、アクセス元のIPアドレス、デバイス情報、システム情報、アクセスを行ったユーザのユーザID、および行動内容を対応付けた行動履歴を生成する。そして、収集部41は、生成した行動履歴を行動履歴データベース32に登録する。なお、収集部41が行動履歴を収集する処理については、公知の技術が用いられるものとして、具体的な処理の内容については、説明を省略する。
【0072】
特定部42は、共通の組織や所定の人間関係を有するグループ等、共通の社会的集団に属するユーザを特定する。例えば、特定部42は、ユーザU01が使用するハードウェアに関連する情報の共通性に基づいて、共通の社会的集団に属するユーザを特定する。具体的には、特定部42は、ユーザが使用するハードウェアに付与されたIPアドレスの共通性、ハードウェアの種別を示すデバイス情報、およびハードウェアが実行するプログラムの種別を示すシステム情報の少なくともいずれか1つの共通性に基づいて、共通する社会的集団に属するユーザを特定する。
【0073】
例えば、特定部42は、行動履歴データベース32に登録された各行動履歴を、IPアドレス、デバイス情報、およびシステム情報で名寄せする。より具体的には、特定部42は、デバイス情報とシステム情報とからフィンガープリントの値を算出し、IPアドレスとフィンガープリントの値との組合せごとにグループを設定する。続いて、特定部42は、IPアドレスとフィンガープリントの値との組をユーザごとに算出し、算出したIPアドレスとフィンガープリントの値とが一致するグループに各ユーザが属していると判定する。そして、特定部42は、各グループのグループIDと、IPアドレスおよびフィンガープリントの組と、グループに属するユーザのユーザIDとをグループデータベース33に登録する。
【0074】
また、特定部42は、ユーザが閲覧したコンテンツの履歴、すなわち、行動履歴に含まれる「閲覧URL」の共通性や、「登録情報」の共通性等に基づいて、ユーザが各グループに属するか否かを判定してもよい。例えば、特定部42は、IPアドレスとフィンガープリントの値との組合せに基づいて同一のグループに含まれると判定されたユーザの行動履歴から、各ユーザが閲覧した「閲覧URL」を参照する。そして、特定部42は、参照した「閲覧URL」の類似性を判定し、他のユーザの「閲覧URL」との類似性が低いユーザをそのグループから除外してもよい。また、特定部42は、「閲覧URL」の類似性に基づいて、ユーザのグループ分けを行ってもよい。また、特定部42は、ユーザが登録した情報の内容に基づいて、ユーザが所属する社会的集団を特定し、特定した社会的集団の同一性に基づいて、ユーザのグループ分けを行ってもよい。
【0075】
なお、特定部42は、スコアリングの技術を用いて、各ユーザが属するグループを特定してもよい。例えば、特定部42は、ユーザごとに、行動履歴に含まれるIPアドレスとフィンガープリントの値との組を全て抽出し、抽出したIPアドレスとフィンガープリントの値との組と、各グループの名寄せ情報との類似度や一致度を示すスコアを算出する。そして、特定部42は、算出したスコアの値が所定の閾値よりも高いグループに、ユーザが属していると判定してもよい。
【0076】
また、特定部42は、スコアを算出する際に、閲覧URLの類似性や選択情報の内容、登録情報の内容等に基づいたスコアの修正を行ってもよい。このような処理を実行した場合、ユーザが複数のハードウェアを使用している場合にも、適切にユーザが属する1つまたは複数のグループを特定することができる。
【0077】
ここで、
図6を用いて、特定部42が実行する処理の一例について説明する。
図6は、実施形態に係る特定処理の一例を示す図である。なお、
図6に示す例では、ユーザU01~U09をグループ分けする処理の一例について記載した。また、
図6に示す例では、各ユーザU01~U09が使用するハードウェアのIPアドレスと、フィンガープリントの値の一例について記載した。
【0078】
例えば、ユーザU01~U04は、「IPアドレス#1」が付与されたハードウェアであって、フィンガープリントの値が「FP#1」であるハードウェアを使用している。このような場合、ユーザU01~U04は、例えば、同じ家庭や部署等に属するユーザであると予測される。そこで、特定部42は、ユーザU01~U04をグループG01に属するユーザであると判定する。
【0079】
一方、ユーザU05~U09は、同一の「IPアドレス#2」が付与されたハードウェアを使用している。しかしながら、ユーザU05、U06、U09が使用するハードウェアのフィンガープリントの値が「FP#2」であるのに対し、ユーザU07、U08が使用するハードウェアのフィンガープリントの値が「FP#3」である。このような場合、ユーザU05~U09は、同一の会社に属するユーザであるが、ユーザU05、U06、U09と、ユーザU07、U08とは、異なる部署に属するユーザであると予測される。
【0080】
そこで、特定部42は、以下の処理を実行する。まず、特定部42は、使用するハードウェアに同一のIPアドレスが付与されたユーザU05~U09を、グループG02に属するユーザであると判定する。続いて、特定部42は、IPアドレスとフィンガープリントの値との組が同じユーザU05、U06、U09をグループG03に属するユーザであると判定し、ユーザU07、U08をグループG04に属するユーザであると判定する。このように、特定部42は、グループの階層性を考慮したグループ分けを行ってもよい。
【0081】
図2に戻り、説明を続ける。選択部43は、ユーザの行動履歴に基づいて、そのユーザと共通の社会的集団に属する他のユーザに対して提供する情報を選択する。具体的には、選択部43は、共通の社会的集団に属する複数のユーザの行動履歴の共通性または非共通性の少なくともいずれか一方に基づいて、共通する社会的集団に属する他のユーザに対して提供する情報を選択する。
【0082】
具体的には、選択部43は、共通の社会的集団に属する複数のユーザの共通性に基づいて、社会的集団の興味関心を推定し、推定した興味関心に基づいて、社会的集団に属する他のユーザに提供する情報を選択する。また、選択部43は、各ユーザの行動履歴の非共通性に基づいて、各ユーザの興味関心を推定し、推定した興味関心に基づいて、各ユーザに提供する情報を選択する。
【0083】
また、選択部43は、社会的集団に属する複数のユーザの行動履歴のうち、共通性を有する行動履歴であって、その社会的集団に属する他のユーザの行動履歴と共通性を有しない行動履歴に基づいて、他のユーザに提供する情報を選択する。例えば、選択部43は、ユーザU01~U04の行動履歴のうち共通する行動履歴を抽出する。そして、選択部43は抽出した行動履歴のうち、ユーザU01の行動履歴と共通しない行動履歴を特定し、特定した行動履歴に基づいて、ユーザU01に配信する情報を選択する。このような処理を実行することで、選択部43は、ユーザU01が個人的に興味を有する情報を配信対象とすることができる。
【0084】
例えば、
図7は、実施形態に係る選択処理の一例を示す図である。なお、
図7に示す例では、グループG01にユーザU02とユーザU03とが属する場合の処理の一例について記載した。例えば、
図7中(A)に示す例では、ユーザU02の行動履歴L02とユーザU03の行動履歴L03との一部が重複している。このような行動履歴の重複部分は、ユーザU02およびユーザU03が共通して興味を有する情報、すなわち、ユーザU02がグループG01として興味を有する情報を示すと考えられる。そこで、選択部43は、ユーザU02の行動履歴L02とユーザU03の行動履歴L03との重複部分を用いて、ユーザU02がグループG01として興味を有する情報C03を選択する。
【0085】
また、
図7中(B)に示すように、ユーザU02の行動履歴L02のうち、ユーザU03の行動履歴L03と重複していない範囲は、ユーザU02が個人的に興味を有する情報を示すと考えられる。そこで、選択部43は、ユーザU02の行動履歴L02のうち、ユーザU03の行動履歴L03と重複しない部分を用いて、ユーザU02が個人的に興味を有する情報C04を選択する。
【0086】
また、
図7中(C)に示すように、ユーザU02の行動履歴L02と、ユーザU03の行動履歴L03とが重複していない場合、各ユーザU02、U03は、共通する社会的集団に属しているにも関わらず、互いが興味を有する情報の分野が解らないと予測される。そこで、選択部43は、行動履歴L02を用いて、ユーザU02が興味を有する情報C05を選択し、選択した情報C05を、ユーザU03に通知する情報とする。すなわち、選択部43は、一方のユーザが興味を有すると推定される情報を、同一グループの他方のユーザに通知する。なお、選択部43は、各ユーザの行動履歴に基づいて、各ユーザが各分野に対して有する興味の度合い、すなわち、興味スコアを先に算出し、算出した興味スコアの値に基づいて、各ユーザが共通して興味を有する分野や、各ユーザが個人的に興味を有する分野を特定してもよい。
【0087】
以下、選択部43が実行する処理の一例について説明する。まず、選択部43は、各ユーザの行動履歴を抽出し、抽出した行動履歴に基づいて、各ユーザが情報の各分野に対して有する興味関心の度合い、すなわち興味スコアを算出する。そして、選択部43は、算出したスコアをユーザデータベース34に登録する。
【0088】
また、選択部43は、グループデータベース33に登録されたグループを1つ選択し、選択したグループに属するユーザを特定する。また、選択部43は、特定したユーザのユーザIDと対応付けられた興味スコアをそれぞれ抽出する。そして、選択部43は、抽出した興味スコアの値に基づいて、選択したグループの共通興味スコアの値を算出し、算出した値をグループデータベース33に登録する。例えば、選択部43は、情報の種別ごとに、各ユーザの興味スコアの値の和を算出し、算出した和の値を共通興味スコアとしてもよい。
【0089】
続いて、選択部43は、情報の配信対象となるユーザが属するグループを特定する。例えば、選択部43は、ユーザID「ユーザ#1」が示すユーザが属するグループとして、グループID「グループ#1」が示すグループを特定する。そして、選択部43は、例えば、特定したグループが興味関心を有する情報を配信対象とする場合は、グループID「グループ#1」と対応付けられた情報の分野のうち、共通興味スコアの値が所定の閾値よりも高い分野を特定する。そして、選択部43は、特定した分野の情報を配信情報データベース31から取得する。
【0090】
一方、選択部43は、例えば、情報の配信対象となるユーザが個人的に興味を有する情報を配信する場合、そのユーザのユーザIDと対応付けられた興味スコアの値をユーザデータベース34から抽出する。また、選択部43は、情報の配信対象となるユーザが属するグループの各共通興味スコアの値を抽出する。そして、選択部43は、興味スコアの値が所定の閾値よりも高く、かつ、共通興味スコアの値が所定の閾値よりも低い情報の分野を特定し、特定した分野の情報を配信情報データベース31から取得する。
【0091】
なお、選択部43は、各ユーザの序列に基づいて、配信対象とする情報を選択してもよい。例えば、選択部43は、共通するグループに属する各ユーザの登録情報に基づいて、どのユーザにコンバージョンの権利があるのか、どのユーザがグループのリーダーであるのか、どのユーザが夫や妻であるのか、どのユーザが親でどのユーザが子であるのかといった序列や役割を特定する。
【0092】
そして、選択部43は、情報の配信先となるユーザの序列に基づいて、配信する情報を選択する。例えば、選択部43は、情報の配信先となるユーザが夫であると特定した場合は、そのユーザと共通するグループに属し、かつ、妻であると特定されたユーザの興味スコアに基づいて選択された情報を配信対象として選択してもよい。また、選択部43は、情報の配信先となるユーザがグループのリーダーであると特定した場合は、そのユーザの興味スコアの値が所定の閾値よりも高く、かつ、そのグループの共通興味スコアの値が所定の閾値よりも低い分野の情報を、そのグループに属する他のユーザに対して配信する情報として選択してもよい。
【0093】
なお、選択部43は、第1の社会的集団に属する各ユーザの行動履歴の共通性に基づいて、第1の社会的集団の興味関心を推定し、推定した興味関心に基づいて、第2の社会的集団に属するユーザに対して提供する情報を選択してもよい。例えば、選択部43は、グループID「グループ#1」と対応付けられた共通興味スコアの値が所定の閾値よりも高い分野を特定し、特定した分野の情報を、グループID「グループ#2」が示すグループに属するユーザに配信する情報として選択してもよい。
【0094】
また、選択部43は、ユーザに対して配信された情報をユーザが選択した場合には、配信された情報の同種の情報であって、内容が異なる情報を他のユーザに対して提供する情報として選択してもよい。例えば、選択部43は、広告に関する情報をユーザに配信した際に、その情報をユーザが選択した場合には、そのユーザと共通する社会的集団に属する他のユーザに対し、広告対象の購入を提案する情報を選択してもよい。
【0095】
例えば、
図8は、実施形態に係る選択部が選択する情報の一例を示す図である。例えば、選択部43は、ある家族の子供に対して配信する情報として、「ムービーを再生する!」等といったテキストが配置されるとともに、そのテキストを選択した際にゲームの宣伝動画が再生される情報C06を選択する。そして、選択部43は、例えば、情報C06がユーザ(すなわち、ある家族の子供)が選択し、宣伝動画が再生された場合には、その家族の親に対して配信する情報として、情報C06のうち「ムービーを再生する!」等といったテキストを、「今すぐ購入する!」等といったテキストであって、ゲームの購入ページへとリンクが設定されたテキストに変更した情報C07を選択する。すなわち、選択部43は、あるユーザが広告に関する動画像を閲覧した場合には、そのユーザと共通する社会的集団に属する他のユーザに対し、閲覧された動画像に関する広告の広告対象を購入するよう提案する情報を配信対象として選択する。
【0096】
図2に戻り、説明を続ける。配信部44は、選択部43によって選択された情報を配信する。例えば、配信部44は、情報の配信先となるユーザを特定し、特定したユーザを選択部43に通知する。そして、配信部44は、通知されたユーザに配信する情報として選択部43が選択した情報を、特定したユーザに対して配信する。
【0097】
〔3.情報配信装置が実行する処理の手順〕
次に、
図9~
図10を用いて、実施形態に係る情報配信装置10が実行する処理の流れの一例について説明する。
図9は、実施形態に係る特定処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、
図10は、実施形態に係る選択処理および配信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0098】
まず、
図9を用いて、特定処理の流れの一例について説明する。なお、例えば、情報配信装置10は、所定の時間間隔若しくは所定のタイミングで、
図9に示す特定処理を実行する。まず、情報配信装置10は、行動履歴を読出し(ステップS101)、ハードウェアに関する情報に基づいた名寄せを行う(ステップS102)。そして、情報配信装置10は、ハードウェアに関連する情報の共通性に基づいて、各グループに属する利用者を特定し(ステップS103)、処理を終了する。
【0099】
次に、
図10を用いて、選択処理および配信処理の流れの一例を説明する。なお、例えば、情報配信装置10は、情報の配信要求を受付けた際に、情報の配信要求元のユーザに対して情報を配信するため、
図10に示す選択処理および配信処理を実行する。例えば、情報配信装置10は、情報配信対象となるユーザが属するグループを特定し(ステップS201)、特定したグループに属する各ユーザの行動履歴を抽出し(ステップS202)、抽出した行動履歴の共通性または非共通性に基づいて、配信対象とする情報を選択する(ステップS203)。そして、情報配信装置10は、選択した情報を配信し(ステップS204)、処理を終了する。
【0100】
〔4.変形例〕
上述した実施形態に係る情報配信装置10は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、上記の情報配信装置10の他の実施形態について説明する。
【0101】
〔4-1.選択処理について〕
上述した情報配信装置10は、行動履歴の共通性や非共通性に基づいて、配信対象とする情報を選択した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、情報配信装置10は、各ユーザの行動履歴から各ユーザの興味関心を有する分野を特定し、共通するグループに属する各ユーザが興味関心を有する分野の共通性や非共通性に基づいて、配信対象とする情報を選択してもよい。
【0102】
すなわち、情報配信装置10は、あるグループにおいて各ユーザが社会的に興味関心を有する分野と、各ユーザが個人的に興味関心を有する分野との切り分けを行うことができるのであれば、行動履歴の共通性や非共通性を用いてもよく、各ユーザが興味関心を有する分野の共通性や非共通性を用いてもよい。なお、各ユーザが興味関心を有する分野は、各ユーザの行動履歴に基づいて特定されるため、各ユーザが興味関心を有する分野の共通性や非共通性に基づいて情報を選択する処理は、各ユーザの行動履歴の共通性や非共通性に基づいて情報を選択する処理の概念に含まれるものである。
【0103】
なお、情報配信装置10は、共通のグループに属するユーザのうち、任意の数のユーザの行動履歴の共通性や非共通性に基づいて情報を選択してよく、選択した情報を任意の数のユーザに配信してよい。
【0104】
〔4-2.時間帯等に応じた選択について〕
また、情報配信装置10は、情報を配信する時間帯や、情報の配信先となる端末装置100の種別に応じて、配信対象とする情報を変更してもよい。例えば、情報配信装置10は、情報を配信する時間帯がユーザのプライベートな時間帯(例えば、通勤時間帯や夜間等)である場合や、配信先の端末装置100がスマートフォンである場合等には、ユーザに配信する情報としてそのユーザが個人的に興味関心を有すると推定される情報を選択する。すなわち、情報配信装置10は、そのユーザの行動履歴のうち、同一グループに属する他のユーザの行動履歴と共通しない範囲を用いて、配信対象となる情報を選択してもよい。
【0105】
また、情報配信装置10は、情報配信する時間帯が業務中等のソーシャルな時間帯である場合や、配信先の端末装置100がPC等である場合には、ユーザに配信する情報としてそのユーザが社会的に興味関心を有すると推定される情報を選択する。すなわち、情報配信装置10は、そのユーザの行動履歴のうち、同一グループに属する他のユーザの行動履歴と共通する範囲を用いて、配信対象とする情報を選択してもよい。
【0106】
なお、情報配信装置10は、配信対象となるユーザのユーザIDのみならず、情報の配信先となるユーザが使用する端末装置100のIPアドレス等を用いて、情報配信時にユーザが属している可能性が高いグループを選択する。すなわち、情報配信装置10は、情報配信時においてユーザが会社のグループに属しているか、家族のグループに属しているかを判断する。そして、情報配信装置10は、選択したグループにおける行動履歴の共通性や非共通性に基づいて、配信対象とする情報を選択してもよい。すなわち、情報配信装置10は、配信先となるユーザの状態に応じて、そのユーザが現在属している可能性が高いグループを選択し、選択したグループに応じて、配信対象とする情報を選択してもよい。
【0107】
また、情報配信装置10は、配信する情報が誰の興味関心に基づいて選択された情報であるかを端末装置100に表示させてもよい。また、情報配信装置10は、興味関心の元となるユーザの序列を示す情報を端末装置100に表示させてもよい。例えば、情報配信装置10は、ある家庭において、妻が個人的に興味を有すると推定される情報を選択し、選択した情報と、妻がその情報に興味を有している旨の情報とを夫の端末装置100に表示させてもよい。また、情報配信装置10は、あるグループのリーダーが個人的に興味を有すると推定される情報を選択し、選択した情報と、リーダーがその情報に興味を有している旨の情報とを、そのグループの他のユーザが使用する端末装置100に表示させてもよい。
【0108】
また、情報配信装置10は、あるグループについて、アクセサリーの分野の共通興味スコアの値が所定の閾値よりも高い場合には、そのグループに属する全てのユーザに対し、アクセサリーの分野に関する情報を配信してもよい。なお、情報配信装置10は、必ずしも情報をユーザに配信する必要はない。例えば、情報配信装置10は、あるグループについて、共通興味スコアの値が所定の閾値よりも高い情報の分野が存在する場合には、その分野に関する営業をそのグループに対して直接行わせてもよい。
【0109】
〔4-3.特定処理について〕
また、情報配信装置10は、共通する社会的集団に属するユーザをある程度特定できるのであれば、任意の手法を用いて、上述した特定処理を実行してよい。ここで、情報配信装置10は、例えば、社会的な組織、興味関心を共有する組織、所定の人間関係を有する組織等、社会的な関連性を有する集団であるのならば、任意の粒度のグループを社会的集団として設定してよい。また、情報配信装置10は、共通する社会的集団に属するユーザを確実に特定する必要はない。例えば、情報配信装置10は、ある会社のある部署に属するユーザを特定する際に、同一の会社に属するユーザであるが、異なる部署に属するユーザを特定してしまってもよい。
【0110】
〔4-4.ターゲティングについて〕
ここで、情報配信装置10は、ターゲティングを行ってもよい。例えば、情報配信装置10は、収入、職業、学歴等のデモグラフィック属性や、ライフスタイルやユーザの好み等のサイコグラフィック属性等、ユーザの属性情報等に基づいて、配信対象となる情報を選択し、選択した情報のうち、行動履歴の共通性や非共通性等に基づいて選択された分野の情報を配信対象としてもよい。このような処理を実行することで、情報配信装置10は、ターゲティングの精度を向上させることができる。
【0111】
〔4-5.コンテンツについて〕
情報配信装置10は、任意の情報を配信対象とすることができる。例えば、情報配信装置10は、広告以外にも、ニュースや動画像、音楽等のコンテンツを配信対象にしてもよい。また、情報配信装置10は、例えば、広告主の端末装置から、配信対象となる情報として、各種広告の登録を受付けてもよい。なお、広告主は、広告の入稿を代理店に依頼する場合もある。この場合、情報配信装置10に広告を入稿するのは代理店となる。本明細書では、配信する情報が広告である場合、広告主とは、実際の広告主だけでなく代理店を含む概念であり、広告主の端末装置といった表記は、広告主が使用する装置だけでなく代理店によって利用される装置を含む概念であるものとする。
【0112】
〔4-6.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0113】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0114】
例えば、
図2に示した各データベース31~34は、情報配信装置10が保持せずに、ストレージサーバ等に保持されていてもよい。この場合、情報配信装置10は、ストレージサーバにアクセスすることで、配信対象となる情報等を取得することとなる。
【0115】
また、例えば、上述してきた情報配信装置10は、端末装置100に情報を配信する配信処理を中心に実行するフロントエンドサーバ側と、特定処理や選択処理を中心に実行するバックエンドサーバ側に分散されてもよい。すなわち、情報配信装置10は、特定および選択を行う選択装置と、情報の配信を行う配信装置によって実現されてもよい。
【0116】
〔4-7.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報配信装置10は、例えば
図11に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図11は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0117】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一時記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。
【0118】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0119】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0120】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0121】
例えば、コンピュータ1000が情報配信装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、
図2に示した制御部40の機能を実現する。また、二次記憶装置1050上には、
図2に示した記憶部30内の情報、すなわち、配信情報データベース31、行動履歴データベース32、グループデータベース33、ユーザデータベース34が格納される。
【0122】
〔5.効果〕
上述したように、情報配信装置10は、共通のグループに属するユーザを特定し、特定されたユーザの行動履歴に基づいて、そのユーザと共通のグループに属する他のユーザに対して提供する情報を選択する。このため、情報配信装置10は、利用者が興味を有する可能性が高い情報を選択することができる。
【0123】
すなわち、情報配信装置10は、ユーザの行動履歴のうち、社会的な行動履歴と個人的な行動履歴とをグループ単位で切り分け、切り分けた行動履歴に基づいて、配信対象とする情報を選択する。このため、情報配信装置10は、ユーザが社会的に興味関心を有する情報と、ユーザが個人的に興味関心を有する情報との切り分けを行うことができるので、利用者が興味を有する情報の推定精度を向上させることができる。
【0124】
また、情報配信装置10は、ユーザが使用するハードウェアに関連する情報の共通性に基づいて、グループに属するユーザを特定する。具体的には、情報配信装置10は、ハードウェアに関連する情報として、各ユーザが使用するハードウェアが使用するIPアドレスを収集し、収集したIPアドレスの共通性に基づいて、共通のグループに属するユーザを特定する。また、情報配信装置10は、ハードウェアに関連する情報として、各ユーザが使用するハードウェアの種別、または、そのハードウェアが実行するプログラムの種別の少なくともいずれか一方の共通性に基づいて、共通するグループに属するユーザを特定する。
【0125】
このため、情報配信装置10は、各グループに属するユーザを特定することができる。例えば、情報配信装置10は、同一の会社に属するユーザや、同一の部署に属するユーザ、家族等のグループに属するユーザを特定することができる。
【0126】
また、情報配信装置10は、ユーザが閲覧したコンテンツの履歴を示す情報、およびユーザが予め登録した情報の少なくともいずれか一方の共通性に基づいて、共通するグループに属するユーザを特定する。このため、情報配信装置10は、各グループに属するユーザを精度良く特定することができる。
【0127】
また、情報配信装置10は、共通のグループに属するユーザとして、共通の組織に属するユーザ、または、所定の人間関係を有するユーザを特定する。このため、情報配信装置10は、会社や部署等といった組織や、家庭等のグループの一員としてユーザが興味関心を有すると推定される情報や、ユーザが個人的に興味関心を有すると推定される情報を選択することができる。
【0128】
上述したように、情報配信装置10は、共通のグループに属する複数のユーザの行動履歴の共通性または非共通性の少なくともいずれか一方に基づいて、そのグループに属する他のユーザに対して提供する情報を選択する。このため、情報配信装置10は、各ユーザがグループの一員としてユーザが興味関心を有すると推定される情報や、ユーザが個人的に興味関心を有すると推定される情報を選択することができる。
【0129】
また、行動履歴をユーザごとに収集した場合、スパースな内容の行動履歴を収集することとなる。しかしながら、情報配信装置10は、グループ単位での行動履歴の共通性や非共通性に基づいて、情報を選択するので、各ユーザがグループの一員としてユーザが興味関心を有すると推定される情報や、ユーザが個人的に興味関心を有すると推定される情報を精度良く選択することができる。
【0130】
また、情報配信装置10は、共通のグループに属する複数のユーザの行動履歴の共通性に基づいて、当該グループの目的を推定し、推定した目的に基づいて、そのグループに属するユーザに提供する情報を選択する。このため、情報配信装置10は、あるグループの興味関心に応じた情報を、そのグループに属するユーザに配信することができる。
【0131】
また、情報配信装置10は、共通するグループに属する複数のユーザの行動履歴のうち、共通性を有する行動履歴であって、そのグループに属する他のユーザの行動履歴と共通性を有しない行動履歴に基づいて、他のユーザに提供する情報を選択する。すなわち、情報配信装置10は、あるユーザに対し、そのユーザが属するグループの興味関心に応じた情報であって、そのユーザが興味関心を有していない情報を提供する。このため、情報配信装置10は、各ユーザに対して、そのユーザと共通するグループに属する他のユーザの興味関心を示すことができる。
【0132】
また、情報配信装置10は、第1のグループに属する複数のユーザと、第2のグループに属する複数のユーザとを特定し、第1のグループに属する各ユーザの行動履歴の共通性に基づいて、第1のグループの興味関心を推定し、推定した興味関心に基づいて、第2のグループに属するユーザに対して提供する情報を選択する。このため、情報配信装置10は、あるグループが興味関心を有する情報を、他のグループに対して提示することができる。
【0133】
また、情報配信装置10は、特定された各ユーザの行動履歴の非共通性に基づいて、ユーザの個人的な興味関心を推定し、推定した興味関心に基づいて、そのユーザに提供する情報を選択する。このため、情報配信装置10は、各ユーザが社会的に興味関心を有する情報を配信対象から除外し、個人的に興味関心を有する情報を配信することができる。
【0134】
また、情報配信装置10は、グループにおける各ユーザの役割に基づいて、各ユーザに対して提供する情報を選択する。このように、情報配信装置10は、情報配信先のユーザがリーダであるか、夫であるか、妻であるか、親であるか、子であるか等といったグループ内の序列に応じて、配信する情報を選択するので、配信した情報に対する関心をより強く起こさせることができる。
【0135】
また、情報配信装置10は、ユーザに対して配信された情報をそのユーザが選択した場合には、配信された情報と同種の情報であって、内容が異なる情報を共通するグループの他のユーザに対して提供する情報として選択する。例えば、情報配信装置10は、ユーザ広告に関する情報を選択した場合には、他のユーザに対して、その広告の広告対象を購入するよう提案する情報を選択する。より具体的な例を挙げると、情報配信装置10は、ユーザが宣伝動画を閲覧した場合には、そのユーザの両親など、共通する社会的集団に属する他のユーザに対し、宣伝動画に対応する商品や役務の購入を提案する情報を配信してもよい。
【0136】
すなわち、情報配信装置10は、ユーザが情報を選択したか否かに応じて、同一グループ内の他のユーザに配信する情報を切替える。このため、情報配信装置10は、例えば、あるグループ内においてコンバージョンの権利を有するユーザに対し、他のユーザが選択した旨を示すことで、コンバージョンに結びつく可能性を向上させることができる。
【0137】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0138】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、配信部は、配信手段や配信回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0139】
10 情報配信装置
20 通信部
30 記憶部
31 配信情報データベース
32 行動履歴データベース
33 グループデータベース
34 ユーザデータベース
40 制御部
41 収集部
42 特定部
43 選択部
44 配信部
100、101 端末装置