(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーション及び方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/00 20060101AFI20221110BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221110BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20221110BHJP
B60L 53/54 20190101ALI20221110BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20221110BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20221110BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20221110BHJP
H01M 8/0656 20160101ALI20221110BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20221110BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
C01B3/00 Z
H02J7/00 P
H02J7/00 303E
B60L53/53
B60L53/54
H01M8/00 Z
H01M8/00 A
H01M8/10 101
H01M8/12 101
H01M8/0656
H01M8/04 Z
H01M10/44 Q
(21)【出願番号】P 2020568590
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2019092010
(87)【国際公開番号】W WO2020062956
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】201811115081.4
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520335934
【氏名又は名称】国家能源投資集団有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA ENERGY INVESTMENT CORPORATION LIMITED
(73)【特許権者】
【識別番号】515244302
【氏名又は名称】北京低▲炭▼清潔能源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピクルス ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】グー アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】リー シィェンミン
(72)【発明者】
【氏名】シン スリンダー
(72)【発明者】
【氏名】アレン ジェフ
【審査官】佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122399(JP,A)
【文献】特開2016-044828(JP,A)
【文献】特開2004-355838(JP,A)
【文献】特開2016-100934(JP,A)
【文献】特開2008-011614(JP,A)
【文献】特表2013-518380(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108460713(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107204476(CN,A)
【文献】中国実用新案第207225130(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 - 6/34
B60L 53/00 - 53/80
C25B 1/02 - 1/044
F02M 21/02 - 21/06
F17C 1/00 - 13/12
G06Q 50/06
H01M 8/00 - 8/2495
H01M 10/44
H02J 3/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーションであって、
電力を供給する
電力網である給電ユニット、蓄電池システム、電力を水素に変換できる電力-水素変換装置、水素貯蔵システム、水素を電力に変換できる水素-電力変換装置、充電器、及び水素充填機を備え、
前記給電ユニットは、前記蓄電池システムに電力を供給し、
前記蓄電池システムは、前記給電ユニット及び前記水素-電力変換装置の各々から供給される電力を貯蔵し、
前記電力-水素変換装置は、前記給電ユニット又は前記蓄電池システムから供給される電力を水素に変換し、
前記水素貯蔵システムは、前記電力-水素変換装置が変換した水素を貯蔵し、
前記水素-電力変換装置は、前記水素貯蔵システムから提供される水素を電力に変換し、
前記充電器は、前記蓄電池システムから供給される電力により電気自動車を充電し、
前記水素充填機は、前記水素貯蔵システムから供給される水素を水素動力車に充填する
供給ステーション。
【請求項2】
前記給電ユニットは、前記電力-水素変換装置に電力を提供し、
前記充電器は、前記給電ユニットから供給される電力により前記電気自動車を充電する、請求項1に記載の供給ステーション。
【請求項3】
前記充電器は、前記水素-電力変換装置から供給される電力により前記電気自動車を充電する、請求項1に記載の供給ステーション。
【請求項4】
前記電力-水素変換装置は、電解槽及び/又は可逆式燃料電池であり、前記電解槽は、アルカリ電解槽、プロトン交換膜電解槽、固体酸化物電解槽、及び可逆式電解槽から選択される少なくとも1つであり、
前記水素-電力変換装置は、燃料電池及び/又は可逆式電解槽であり、前記燃料電池は、プロトン交換膜燃料電池、固体酸化物燃料電池、及び可逆式燃料電池から選択される少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか1項に記載の供給ステーション。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項に記載の供給ステーションを利用して、充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な方法であって、
蓄電池システムを使用して電気自動車を充電し、水素貯蔵システムを使用して水素動力車に水素を充填し、
電力を水素に変換できる電力-水素変換装置と水素を電力に変換できる水素-電力変換装置とを使用して、水素と電力の変換を実現し、充電と水素充填との配分を調整することを含む方法。
【請求項6】
電力網を使用して前記蓄電池システム及び/又は前記電気自動車を充電することをさらに含み、
前記電力網と前記蓄電池システムの電力出力が前記電気自動車の電力需要を満たすことができない場合に、前記水素-電力変換装置により水素貯蔵システム中の水素を電力に変換して前記蓄電池システム及び/又は前記電気自動車に供給する、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
水素出力が前記水素動力車の水素需要を満たすことができない場合に、前記蓄電池システム及び/又は電力網によって提供される電力を前記電力-水素変換装置により水素に変換し前記水素動力車に充填する、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
電力網による前記電気自動車への充電が不要である場合に、前記電力網を使用して前記蓄電池システムを充電し、
前記水素貯蔵システムが前記水素動力車の水素需要を満たすことができる場合に、前記電力網によって提供される電力を前記電力-水素変換装置により水素に変換して前記水素貯蔵システムに貯蔵する、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
前記電力-水素変換装置は、電解槽及び/又は可逆式燃料電池であり、前記電解槽は、アルカリ電解槽、プロトン交換膜電解槽、固体酸化物電解槽、及び可逆式電解槽から選択される少なくとも1つであり、
前記水素-電力変換装置は、燃料電池及び/又は可逆式電解槽であり、前記燃料電池は、プロトン交換膜燃料電池、固体酸化物燃料電池、及び可逆式燃料電池から選択される少なくとも1つである、請求項
5~
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
電力を前記電気自動車に供給する前に、電力を前記電気自動車に適したレベルに変換し、水素を前記水素動力車に供給する前に、水素を前記水素動力車に適したレベルに変換することをさらに含む、請求項
5~
9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両エネルギー供給の分野に関し、具体的には、充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーション及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼロエミッション車は電気自動車及び水素動力燃料電池車を含み、ゼロエミッション車の普及に伴って、人口密度の低い長距離の県跨ぎ又は州間道路で、これらの2種の車両に高速に給油する必要がある。
【0003】
超長距離のインフラストラクチャーでは、独立した水素充填又は充電ステーションの解決策を用いることができるが、これは非常に高価であり、複数種の充填をサポートするようにより効果的で柔軟な供給ステーションを使用してもよい。水素は中型/重型車両、バスに利点をもたらし、最終的に乗用車両の重要なシェアになる可能性がある。ゼロエミッション車での電気自動車の使用は加速しているが、充電には長い時間がかかり、また、県跨ぎ又は州間高速道路で大電力充電器に接続する機会は限られている。
【0004】
これらの技術の1つが支配的である場合に、ステーションを再配置するように、ステーション装置に対して同程度の容量及び接続方法(占用面積などを含む)を配置すべきである。この他、直流(DC)高速充電器に基づく電気自動車の充電解決策(現在、開発中の例は350kWに近い)は、充電時間(30分間)を最小限に抑えるように、送電網の圧力(需要のピーク及び高価な使用時間コスト)を下げるための緩衝電池システムが必要になる。電気自動車(EV)の充電器の電力は、送電網又はローカルの分散型エネルギーから直接供給できる。
【0005】
現在、エネルギーと電力密度の要件を満たす必要がある長距離の県跨ぎ又は州間道路でのガソリンスタンドは、具体的には、高電圧を必要とする長距離電気自動車及び長距離水素動力車(トラックを含む)に対するのに十分なエネルギーを貯蔵しなければならない。電気自動車の充電に必要な時間を短縮できるため、高電圧充電は非常に有用であるが、高電圧に必要な電力出力を提供するには、大型の電池貯蔵システムが必要である。その課題は、高エネルギー密度を有する電池を使用するか、送電網から大量の電気エネルギーを抽出するかのいずれかで、大電力レベルを要求することである。現在のシステムは電池貯蔵のみを使用し、しかし、電池のエネルギー密度の制限により、高電圧システムへの給電に必要なエネルギーレベルに適するために非常に大きな(且つ高価な)システムが必要である。システムは100メガワット以上の範囲に入ると、手頃な価格が課題である。
【0006】
複合供給ステーションは、再配置可能な潜在力があり、施設コストの償却、送電網接続、及び支払い方法によって各ステーションのコストを削減する。
【0007】
US7523770B2は、異なるレベルの液体燃料、H2及び電力を含む複数種の燃料源を有する自動車用サービスステーションを開示している。該ステーションは、各燃料を使用する車両に適した異なる充填ステーションを通じて様々なタイプの車両に適用できる。さらに、車両の要求を伝達して、正確な充填技術で車両を適切なサービスブロックにガイドする無線通信システムを説明している。US7523770B2では、複数種の燃料が貯蔵されることのみが限定されており、しかし、1つの燃料の需要が非常に高い場合に、該燃料の貯蔵が使い果たされるリスクがある。
【0008】
US20030008183A1は、炭化水素燃料を、水素及び電気の少なくとも一方に変換して、後に車両に供給するためのエネルギー供給ステーションを開示しており、前記ステーションは、燃料を受け取り、燃料を処理し二酸化炭素を含む出力媒体を生成するように配置された1つ又は複数の化学変換器と、化学成分を出力媒体と分離する分離段と、二酸化炭素を収集するための分離段を有する流体回路に設けられた収集要素と、車両にインタフェース接続するための車両インタフェースと、を備える。該ステーションの特徴の1つは、改質器や燃料電池などの手段により、オンサイトで可変的に電力と水素を生成して、燃料の需要を満たすということである。US20030008183A1は、炭化水素燃料からオンサイトで電力及び水素に変換することを説明しているが、このような変換に必要な化学プロセスは、複数のユニットの操作に関し、その応答時間及び電力密度が制限されている。
【0009】
以上から、単一のインフラストラクチャーの解決策も複合供給ステーションも、高電圧を必要とする長距離電気自動車及び長距離水素動力車(トラックを含む)の需要を満たすことができず、また、絶えずに変化する電力と水素の需要を満たすことができないことがわかっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来のエネルギー供給ステーションが絶えずに変化する電力と水素需要を満たすことができないという問題を克服するために、充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーション及び方法を提供することであり、本発明に係る充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーションを使用することにより、絶えずに変化する電力と水素需要を満たすことができると同時に、コストを最適化することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を実現するために、本発明の第1態様は、充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーションを提供し、該供給ステーションは、
給電ユニット、蓄電池システム、電力を水素に変換できる装置、水素貯蔵システム、水素を電力に変換できる装置、充電器、及び水素充填機を備え、
給電ユニットは蓄電池システムと導通して電力を供給し、
蓄電池システムは電力を水素に変換できる装置と導通して、蓄電池システムによって提供される電力を水素に変換し、
電力を水素に変換できる装置は水素貯蔵システムと連通して前記水素を水素貯蔵システムに貯蔵し、水素貯蔵システムは水素を電力に変換できる装置と連通して、水素貯蔵システムによって提供される水素を電力に変換し、充電器は前記蓄電池システムと導通して電気自動車を充電し、水素充填機は水素貯蔵システムと連通して水素動力車に水素を充填する。
【0012】
本発明の第2態様は、充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な方法を提供し、該方法は、
蓄電池システムを使用して電気自動車を充電し、水素貯蔵システムを使用して水素動力車に水素を充填し、
電力を水素に変換できる装置及び水素を電力に変換できる装置を使用して、水素と電力の変換を実現し、充電と水素充填の配分を実現することを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーション及び方法は、従来技術に比べて、以下の利点を有する。
(1)本発明に係る供給ステーションは、利用可能な水素と電力の比率を動的に調整できる能力を持つ。
(2)本発明に係る供給ステーションは、電力又は化学物質の形式でエネルギーを貯蔵し、燃料の需要を満たし、資本コストを最適化することができる。
(3)本発明に係る供給ステーションは、送電網接続よりも高いレートで高電圧充電を提供する能力を持つ。
(4)本発明で使用される再配置可能な配分技術は、複数種の条件で電力と水素を供給し、柔軟性と絶えずに変化する燃料基準の互換性を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】、本発明に係る充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーションの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で開示される範囲の端点及び任意の値は、この正確な範囲又は値に限定されず、これら範囲又は値は、これら範囲又は値に近い値を含むと理解されるべきである。数値の範囲に対しては、各範囲の端点値の間、各範囲の端点値と個々の点の値の間、及び個々の点の値同士を互いに組み合わせて、1つ以上の新しい数値の範囲を構成でき、これら数値の範囲は、本明細書に具体的に開示されるとみなされるべきである。
【0016】
本発明の第1態様は、充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な供給ステーションを提供し、
図1に示すように、該供給ステーションは、
給電ユニット1、蓄電池システム2、電力を水素に変換できる装置3、水素貯蔵システム4、水素を電力に変換できる装置5、充電器6、及び水素充填機7を備え、
給電ユニット1は蓄電池システム2と導通して電力を供給し、
蓄電池システム2は電力を水素に変換できる装置3と導通して、蓄電池システム2によって提供される電力を水素に変換し、
電力を水素に変換できる装置3は水素貯蔵システム4と連通して前記水素を水素貯蔵システム4に貯蔵し、
水素貯蔵システム4は水素を電力に変換できる装置4と連通して、水素貯蔵システム4によって提供される水素を電力に変換し、
充電器6は前記蓄電池システム2と導通して電気自動車を充電し、
水素充填機7は水素貯蔵システム4と連通して水素動力車に水素を充填する。
【0017】
本発明に記載の蓄電池システム2と水素貯蔵システム4は、それぞれ電力と水素の貯蔵ユニットであり、電力を水素に変換できる装置3と水素を電力に変換できる装置5は、水素と電力を相互に変換するユニットであり、充電器6と水素充填機7は、それぞれ電力及び水素を電気自動車及び水素動力車に供給する。
【0018】
本発明の特定の実施形態によれば、給電ユニット1及び/又は蓄電池システム2によって提供される電力が電気自動車と完全に一致せず、たとえば、電圧又は電流が低すぎる又は高すぎる場合に、充電器6を使用して電力を電気自動車に適するように変換することができる。
【0019】
本発明の特定の実施形態によれば、水素貯蔵システム4によって提供される水素が水素動力車と完全に一致せず、たとえば、流量又は圧力が高すぎる又は低すぎる場合に、水素充填機7を使用して水素を水素動力車に適するように処理することができる。
【0020】
本発明は、前記電気自動車と水素動力車を特に限定せず、前記電気自動車は、本分野で一般的に使用される様々な電力により駆動される車両であってもよく、前記水素動力車は、本分野で一般的に使用される様々な水素により駆動される車両であってもよい。
【0021】
本発明の好ましい実施形態によれば、給電ユニット1は電力を水素に変換できる装置3と導通して、電力を水素に変換できる装置3に必要な電力を提供する。給電ユニット1によって提供される電力は、電力を水素に変換できる装置3に作用して、電力を水素に変換する。この好ましい実施形態により、水素の需要が大きい場合に、電力を水素に変換できる装置3を使用して、給電ユニット1によって提供される電力を水素に変換し水素動力車に水素を充填することができ、水素の需要が小さい場合に、変換された水素を水素貯蔵システム4に貯蔵することができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、給電ユニット1は充電器6と導通して電気自動車を充電する。この好ましい実施形態により、給電ユニット1は直接に充電器6を介して電気自動車を充電する。電気自動車の電力源は蓄電池システム2であってもよく、給電ユニット1であってもよい。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、水素を電力に変換できる装置5は蓄電池システム2及び/又は充電器6と導通して電気自動車を充電する。水素を電力に変換できる装置5は、蓄電池システム2と導通してもよく、充電器6と導通してもよく、又は蓄電池システム2及び充電器6と導通してもよい。水素を電力に変換できる装置5は、水素貯蔵システム4に貯蔵される水素を電力に変換し、蓄電池システム2及び/又は充電器6に供給して電気自動車を充電する。この好ましい実施形態により、電気自動車の充電ピーク期間で、電気自動車の電力源は蓄電池システム2、給電ユニット1及び水素を電力に変換できる装置5から変換される電力であってもよく、高電圧、充電時間の短い長距離電気自動車の需要を満たし、この好ましい実施形態により、蓄電池システム及び給電ユニットへのエネルギー供給の要求を低減させ、独立した電気自動車の供給ステーションに比べて、占用面積及び投資コストはより小さい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記給電ユニット1は電力網である。本発明は前記電力網の電圧レベルを特に限定せず、供給ステーションの負荷及び交通流量に応じて適切に選択する。好ましくは、前記電力網の電圧は240~800Vである。
【0025】
本発明に係る供給ステーションによれば、前記電力を水素に変換できる装置3は特に限定されず、本分野で一般的に使用される様々な電力を水素に変換できる装置であってもよく、たとえば、前記電力を水素に変換できる装置3は電解槽及び/又は可逆式燃料電池であり、具体的には、前記電解槽は、アルカリ電解槽、プロトン交換膜電解槽、固体酸化物電解槽、及び可逆式電解槽から選択される少なくとも1つである。電解槽と可逆式燃料電池はいずれも市販されている。
【0026】
本発明に係る供給ステーションによれば、前記水素を電力に変換できる装置5は特に限定されず、本分野で一般的に使用される様々な水素を電力に変換できる装置であってもよく、たとえば、前記水素を電力に変換できる装置5は燃料電池及び/又は可逆式電解槽であり、具体的には、前記燃料電池は、プロトン交換膜燃料電池、固体酸化物燃料電池、及び可逆式燃料電池から選択される少なくとも1つである。燃料電池と可逆式電解槽はいずれも市販されている。
【0027】
本発明に係る供給ステーションは、再配置することができ、利用可能な水素と電力の比率を動的に調整できる能力を持って、車両の需要に動的に応答する。本発明に係る供給ステーションは、電力又は化学的形態でエネルギーを貯蔵して、燃料の需要を満たし、電力と水素ステーションの費用を分担することにより、資本コストを最適化することができる。本発明に係る供給ステーションは、電力網からの電力を直接貯蔵することができ、又は水素を生成して貯蔵することに使用できるため、オフピーク期間でエネルギーを貯蔵し、風力又は太陽光により発電される電力網の安定性の向上により有利である。本発明に係る供給ステーションは、水素を電力に変換して使用することができ、電力網接続よりも高いレートで高電圧充電を提供する能力を持つ。また、本発明の別の利点は再構成可能性があることであり、該供給ステーションは新たな燃料配分要求と互換性があり、エネルギー供給の互換可能性は、新たな配分装置で改造する際に、該ステーションがエネルギー供給によって制限されないことを意味する。
【0028】
本発明の第2態様は、充電と水素充填とを同時又は個別に実行可能な方法を提供し、該方法は、
蓄電池システム2を使用して電気自動車を充電し、水素貯蔵システム4を使用して水素動力車に水素を充填し、
電力を水素に変換できる装置3と水素を電力に変換できる装置5を使用して、水素と電力の変換を実現し、充電と水素充填の配分を実現することを含む。
【0029】
本発明に係る方法によれば、蓄電池システム2によって提供される電力及び水素貯蔵システム4によって提供される水素は、電力を水素に変換できる装置3及び水素を電力に変換できる装置5により変換され、充電と水素充填の配分を実現することができる。具体的には、水素の需要が大きい場合に、電力を水素に変換できる装置3を使用して、蓄電池システム2によって提供される電力を水素に変換し水素動力車に水素を充填することができ、それにより、水素貯蔵システム4のエネルギーが使い果たされるリスクを軽減できるとともに、ピーク期間の水素貯蔵システム4の水素貯蔵容量に対する要求を低減させ、電力需要が大きい場合に、水素を電力に変換できる装置5を使用して、水素貯蔵システム4によって提供される水素を電力に変換し電気自動車を充電することができ、これにより、蓄電池システム2へのエネルギー供給の要求を低減させることができ、独立した電気自動車の供給ステーションに比べて、占用面積及び投資コストはより小さい。
【0030】
本発明の好ましい実施形態によれば、該方法は、電力網を使用して蓄電池システム2及び/又は電気自動車を充電することをさらに含む。より好ましくは、電力網と蓄電池システム2の電力出力が電気自動車の電力需要を満たすことができない場合に、水素を電力に変換できる装置5を介して水素貯蔵システム4中の水素を電力に変換して蓄電池システム2及び/又は電気自動車に供給する。この好ましい実施形態により、本発明に係る方法の蓄電池システム2及び電力網へのエネルギー供給の要求を低減させ、独立した電気自動車を充電する方法に比べて、本発明に係る方法は、占用面積のより小さい蓄電池システム2を使用することができる。
【0031】
前記電力網の電圧は上記のとおりであり、ここで繰り返し説明しない。
【0032】
本発明に係る方法によれば、好ましくは、水素出力が水素動力車の水素需要を満たすことができない場合に、電力を水素に変換できる装置3を介して、蓄電池システム2及び/又は電力網によって提供される電力を水素に変換し水素動力車に充填する。水素動力車の水素充填のピーク期間で、水素貯蔵システム4中の水素は使い果たされるリスクがあり、本発明に係る方法は、電力を水素に変換できる装置3を使用して、蓄電池システム2及び/又は電力網によって提供される電力を水素に変換し、さらに該リスクを軽減することができる。また、この好ましい実施形態は、水素貯蔵システム4の水素貯蔵容量への要求を低減させ、装置投入を削減する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、電力網による電気自動車への充電が不要である場合に、電力網を使用して蓄電池システム2を充電する。より好ましくは、電気自動車への充電が不要である場合に(すなわち電力網も蓄電池システム2も電気自動車を充電する必要がない)、電力網を使用して蓄電池システム2を充電する。電気自動車の電力使用のピーク期間ではない場合に、電力網を使用して蓄電池システム2を充電し蓄電池システム2の消耗した電力を補充し、そして、これは、風力又は太陽光により発電される電力網の安定性の向上により有利である。
【0034】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明に係る方法は、外部水素源を使用して(たとえば、チューブトレーラーを介してもよい)水素貯蔵システム4に消耗した水素を補充することをさらに含む。
【0035】
本発明の好ましい実施形態によれば、水素貯蔵システム4が水素動力車の水素需要を満たすことができる場合に、電力を水素に変換できる装置3を使用して、電力網によって提供される電力を水素に変換して水素貯蔵システム4に貯蔵する。この好ましい実施形態により、水素使用のオフピーク期間で、電力網を使用して、電力を水素に変換できる装置3を介して水素貯蔵システム4に消耗した水素を補充する。この好ましい実施形態は、風力又は太陽光により発電される電力網の安定性の向上により有利である。
【0036】
本発明に係る方法によれば、前記電力を水素に変換できる装置3と水素を電力に変換できる装置5の選択は上記のとおりであり、ここで繰り返し説明しない。
【0037】
本発明の特定の実施形態によれば、該方法は、電力を電気自動車に供給する前に、電力を電気自動車に適したレベルに変換し、水素を水素動力車に供給する前に、水素を水素動力車に適したレベルに変換することをさらに含む。電力網及び/又は蓄電池システム2によって提供される電力は電気自動車と完全に一致しない可能性があり、電力を電気自動車に適したレベルに変換することができ、たとえば、電圧又は電流が低すぎる又は高すぎる場合に、充電器6を使用して電力を変換することができる。水素貯蔵システム4によって提供される水素が水素動力車と完全に一致しない場合に、水素を水素動力車に適したレベルに変換することができ、たとえば、流量又は圧力が高すぎる又は低すぎる場合に、水素充填機7を使用して水素を処理することができる。
【0038】
以下、特定の実施例で本発明を詳細に説明する。
【0039】
供給ステーションがサービスを提供する車両は、電気自動車(トラック及び自動車を含む)及び水素動力車(トラック及び自動車を含む)を含む。
【0040】
充電のための電力需要は以下の要因に関連する。(1)供給ステーションが同時にサービスを提供する電気自動車の数、(2)電気自動車の電池の充電容量、(3)電気自動車の目標充電時間。たとえば、30分間以内で電池容量2600kWhの1台の電動トラックを充電すると、5.2MWの電力が必要であり、5分間以内で電池容量100kWhの電気自動車を充電すると、1.2MWの電力が必要である。電気自動車の充電ステーションでは、電力は、送電網によって提供される電力とオンサイトの電池貯蔵によって提供される電力との組み合わせによって提供され、オンサイトの電池貯蔵は、充電需要のオフピーク期間で充電する。
【0041】
水素充填のための需要は以下の要因に関連する。(1)供給ステーションが同時にサービスを提供する水素動力車の数、(2)水素動力車の水素貯蔵タンクの容量、(3)水素動力車の目標水素充填時間。たとえば、水素動力車の水素貯蔵タンクの容量が100キログラムで、水素充填時間が30分間である1台のトラックに対して、200キログラム/時間の水素充填量が必要である。水素貯蔵タンクの容量が5キログラムで、水素充填時間が5分間である1台の水素動力自動車に対して、60キログラム/時間の水素充填量が必要である。水素充填ステーションでは、水素がオンサイトで貯蔵され、水素貯蔵システムは定期的に外部水素源を使用して(たとえば、チューブトレーラーを介してもよい)補充する。
【0042】
独立して設置された充電ステーションの電力と水素輸送の要求は上記車両の需要に応じて設定される。
【0043】
本発明に係る複合供給ステーションの利点は、水素を電力に変換できる装置(たとえば、燃料電池)の配置により、補充電力を提供し、複合ワークステーションで電力網のピーク値電力負荷を低減させることができ、同様に、電力を水素に変換できる装置(たとえば、電解槽)の配置により、水素の需要を部分的に満たすことができ、複合ワークステーションでオンサイトの水素貯蔵装置への要求を低減させ、電力を水素に変換できる装置の電力は、電力網又はオンサイトの蓄電池システムにより提供される。独立した単一の(EV又はH2)供給ステーションに比べて、ピークの電力網の電力負荷、オンサイトの電池貯蔵の要求、水素供給レートの要求、及びオンサイトの水素貯蔵容量の要求はいずれも低減する。
【0044】
表1は本発明に係る複合供給ステーションと独立したEV充電ステーションのデータ計算を示している。
【0045】
【0046】
表1から分かるように、独立したEV充電ステーションの場合に、32.8メガワットのピーク電力消費が必要であり、10MWの電力網接続を使用すると、EV充電ステーションのオンサイトの蓄電池システムは22.8MWhの貯蔵容量に達するために30分間の時間間隔を必要とする。本発明に係る複合供給ステーションは、10MWの電力網接続を使用し、ほかの22.8MWが燃料電池及びオンサイトの蓄電池システムの組合せによって提供され、燃料電池は50%の電池貯蔵を分担する場合に、11.4MWの貯蔵容量は燃料電池によって提供され、供給ステーションのオンサイトの蓄電池システムは、11.4MWhの貯蔵容量に達するために30分間しかかからない。本発明に係る供給ステーションは、蓄電池システムの貯蔵要求を22.8MWhから11.4MWhに低減させることができる。
【0047】
この例では、供給ステーションでサービスを提供する車両が連続している(すなわち30分間ごとに4台の電動トラックと10台の電気自動車がある)場合に、燃料電池を使用して蓄電池システムを直接補充する必要がある。供給ステーションがサービスを提供する車両が断続的に到着すると、オフピーク期間で、電力網及び/又は燃料電池を使用して蓄電池システムを充電することができる。
【0048】
蓄電池システムが30分間動作し、その後30分間のシャットダウン周期で充電される場合に、蓄電池システムは、30分間のシャットダウン周期で11.4MWhの貯蔵容量が必要であり、完全に充電するために、22.8MW(11.4MWh/0.5h)のパワーが必要である。電力網が10MWを提供すると、12.8MWの燃料電池容量を必要とする。
【0049】
蓄電池システムが30分間動作し、その後60分間のシャットダウン周期で充電される場合に、蓄電池システムは、60分間のシャットダウン周期で11.4MWhの貯蔵容量が必要であり、完全に充電するために、11.4MW(11.4MWh/1h)のパワーが必要である。電力網が10MWを提供すると、燃料電池の所要の電力は1.4MWしかない。
【0050】
燃料電池のパワーは供給ステーションがサービスを提供する具体的な交通流量に応じて設計されてもよい。
【0051】
表2は、本発明に係る複合供給ステーションと独立したH2水素充填ステーションのデータ計算を示している。
【0052】
【0053】
表2から分かるように、独立したH2水素充填ステーションの場合に、1040kg/hの最大負荷が必要であり、且つ30minごとの水素充填周期は、要求を満たすために、420kg(100×4+5×4)の貯蔵容量が必要である。
【0054】
電力網が電解装置(たとえば、電解槽)に動力を提供できる場合に、10MWの送電網接続は200キログラム/時間(50キロワット時/キログラムH2)の水素を生成することができる。これは、所要の水素の約半分を補充することができる。毎日の水素充填周期及び対応する時間手配に基づいて、電力網で給電される電解槽は、所要のオンサイトの貯蔵タンクのサイズ又は供給頻度を減少することができる。たとえば、30分間の水素充填周期及び30分間のシャットダウン周期で(24時間以内に、合計24回の水素充填周期である)、電解槽は200キログラム/時間で提供できる(水素充填とシャットダウン期間の両方で動作する場合)ことを意味する。これは、水素の1時間あたりの純減量が220(420-200)キログラム/時間であることを意味する。独立したH2ステーションに比べてH2の消耗率は略半分高い。このような場合に、独立したH2ステーションで24時間に必要なタンクのサイズは10080キログラム(24時間×420キログラム/時間)であり、複合供給ステーションに必要なタンクのサイズは5280キログラム(24時間×220キログラム/時間)である。
【0055】
本発明に係る供給ステーション及び方法は、電気自動車及び水素動力車の需要に応じて動的に調整することができ、従来技術による供給ステーション及び方法に比べて、装置投資を削減することができ、使用中の蓄電池システムの電気貯蔵容量及び水素貯蔵システムの水素貯蔵容量による制限を緩和する。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の技術的概念の範囲内で、本発明の技術案に対して様々な簡単な変形を行うことができ、任意のほかの適切な方式での様々な技術的特徴の組み合わせを含み、これらの簡単な変形及び組み合わせは同様に本発明に開示されている内容とみなされるべきであり、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0057】
1-給電ユニット
2-蓄電池システム
3-電力を水素に変換できる装置
4-水素貯蔵システム
5-水素を電力に変換できる装置
6-充電器
7-水素充填機