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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】蓄電装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/38 20060101AFI20221110BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221110BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20221110BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/1395
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021023045
(22)【出願日】2021-02-17
(62)【分割の表示】P 2016133258の分割
【原出願日】2016-07-05
(65)【公開番号】P2021077659
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2015142050
(32)【優先日】2015-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 清文
【審査官】川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特許第6840476(JP,B2)
【文献】特開2013-191552(JP,A)
【文献】特開2013-187097(JP,A)
【文献】特開2011-48992(JP,A)
【文献】特開2012-227047(JP,A)
【文献】特開2015-111566(JP,A)
【文献】特開2007-42620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/84
H01M 10/00-10/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と活物質層とを有する負極と、正極と、を有し、
前記活物質層は、複数の活物質粒子と、前記複数の活物質粒子同士の間にあるグラフェン及び結着材と、を有し、
前記複数の活物質粒子はシリコン粒子であり、
前記複数の活物質粒子の一と前記グラフェンとの間には空隙が設けられ
前記複数の活物質粒子の一と前記結着材との間には空隙が設けられている蓄電装置の作製方法であって、
酸化グラフェンと、前記結着材となる材料と、表面にシリコン酸化膜が形成されたシリコン粒子と、分散媒と、を混合して混合物を形成し、前記混合物に固練り処理をした後、前記シリコン酸化膜をエッチングして除去することによって前記空隙を形成し、前記酸化グラフェンを還元して前記グラフェンを生成する、蓄電装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電極、蓄電池、蓄電装置、及び電子機器に関する。
【0002】
本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態
様は、物、方法、又は製造方法に関する。本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュ
ファクチャ、又は組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。そのため、より具
体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、
発光装置、蓄電装置、記憶装置、撮像装置、それらの駆動方法、又は、それらの製造方法
を一例として挙げることができる。
【0003】
本明細書において電子機器とは、電気によって駆動する装置全般を指し、電気光学装置
、および情報端末装置などをすべて含む。電子機器は蓄電池を内蔵する場合がある。本明
細書において内蔵とは、取り外して交換できないように内部に持つこと、は言うまでもな
く、内部に持ち、かつバッテリーパックなどとして自由に取り外しできるものも含む。
【背景技術】
【0004】
近年、リチウムイオン蓄電池、リチウムイオンキャパシタ、空気電池等、種々の蓄電装
置の開発が盛んに行われている。特に高出力、高エネルギー密度であるリチウムイオン蓄
電池は、携帯電話やスマートフォン、ノート型コンピュータ等の携帯情報端末、携帯音楽
プレーヤ、デジタルカメラ等の電子機器、あるいは医療機器、ハイブリッド車(HEV)
、電気自動車(EV)、またはプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリー
ンエネルギー自動車など、半導体産業の発展と併せて急速にその需要が拡大し、充電可能
なエネルギーの供給源として現代の情報化社会に不可欠なものとなっている。
【0005】
蓄電池の基本的な構成は、正極と負極との間に、電解液又は固体電解質である電解質を
介在させたものである。正極及び負極は、それぞれ、集電体と、集電体上に設けられた活
物質と、を有する構成が代表的である。リチウムイオン蓄電池の場合は、リチウムを吸蔵
および放出、並びに合金化および脱合金化することができる材料を、正極および負極の活
物質として用いる。
【0006】
活物質と電解質との接触面積を大きくするために、活物質を粒子状とすることが好適で
ある。そこで、粒子状の活物質に、結着材(バインダともいう)、導電助剤等を混合し活
物質層としたものを集電体上に設けて、正極または負極である電極とすることもある。
【0007】
負極活物質としては、例えば炭素またはシリコンなど、キャリアとなるイオン(以下、
キャリアイオンと示す)の吸蔵および放出、並びにキャリアイオンとの合金化および脱合
金化が可能な材料が用いられる。例えば、シリコンは、黒鉛に比べ、重量あたり約10倍
のキャリアイオンと合金化することが可能であるため、理論容量が大きく、リチウムイオ
ン蓄電池の大容量化という点において優れている。
【0008】
一般的に、キャリアイオンの理論容量が大きく、かつキャリアイオンの吸蔵・放出反応
をする活物質、またはキャリアイオンとの合金化・脱合金化反応をする活物質は、サイク
ルに伴い、体積も大きく変化する。例えば、理論容量の大きなシリコンを活物質に用いる
と、キャリアイオンとの合金化、及び脱合金化に伴い、体積が大きく変化する。そのため
、シリコンの体積の変化に伴う応力によって、集電体とシリコンとの接触領域、活物質同
士の接触領域が減少し、導電パスが損なわれ、電池特性が劣化してしまうという問題があ
る。そこで、集電体上に、シリコンからなる層を形成し、該シリコンからなる層上にグラ
ファイトからなる層を設けることで、シリコンからなる層の膨張収縮に伴う応力を緩和し
、電池特性の劣化を低減する報告がされている(特許文献1参照)。
【0009】
また、炭素膜でシリコン粒子1個または複数個と空隙を包むように被覆した複合材料を
負極活物質として用いることが報告されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2001-283834号公報
【非特許文献】
【0011】
【文献】”A pomegranate-inspired nanoscale design for large-volume-change lithium battery anodes”, Nian Liu, Zhenda Lu, Jie Zhao, Matthew T. McDowell, Hyun-Wook Lee, Wenting Zhao and Yi Cui, Nature Nanotechnology Letters 16, February, 2014.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非特許文献1では、粒子径が約80nmのシリコン粒子が1個または複数個と空隙を包
むように被覆した炭素膜が設けられている。この複合材料は、シリコン粒子表面を酸化し
てシリコン酸化膜を形成し、該シリコン酸化膜の表面に炭素膜を被覆して、該シリコン酸
化膜をエッチングにより除去することで、炭素膜に覆われたシリコン粒子の周りに空隙が
形成されている。
【0013】
しかしながら、非特許文献1に記載された複合材料では、粒径が80nmという小さな
シリコン粒子を用いている。このような粒径が小さなシリコン粒子は、高価であり、量産
化の観点からリチウムイオン蓄電池の負極活物質に用いるのには実用的ではない。
【0014】
また上述したように、シリコン粒子はキャリアイオンとの合金化、及び脱合金化に伴い
シリコンの体積の変化が大きい。そのため、キャリアイオンとの合金化、及び脱合金化を
繰返す間に、力学的に破壊され、微粉化が生じることがある。微粉化することでリチウム
イオン蓄電池としての機能を維持することが困難になる。ここで微粉化とは、例えば膨張
や収縮により材料が繰り返し割れることにより微細化することである。この微粉化により
、例えば集電体から剥離する、剥離した粉がセパレータの空隙に詰まる、正極の表面に付
着する、などの現象が生じる可能性がある。また、膨張と収縮にともない、シリコン粒子
同士の接触や、シリコン粒子と集電体との接触が悪くなり、導電パスが損なわれることが
ある。導電パスが損なわれることにより、充放電のサイクルに伴い容量が低下してしまう
【0015】
非特許文献1に記載された複合材料において、このようなシリコン粒子の微粉化が進ん
だ場合、シリコン粒子、及び空隙を被覆している炭素膜の厚さが10nm以下と非常に薄
いため、シリコン粒子の破片が炭素膜を破って、セパレータの空隙や正極表面に付着して
しまうことも懸念される。また、このように薄い炭素膜で微粉化したシリコン粒子を留め
ておけるかも懸念される。このような問題に対して、シリコン粒子、及び空隙を被覆する
膜として、物理的に強固かつ導電性に優れた性質を有する膜を用いることが望ましい。
【0016】
上記を鑑み、本発明の一態様は、容量の大きい蓄電装置を提供することを課題の一とす
る。または、本発明の一態様は、エネルギー密度の高い蓄電装置を提供することを課題の
一とする。または、本発明の一態様は、信頼性の高い蓄電装置を提供することを課題の一
とする。または、本発明の一態様は、寿命の長い蓄電装置を提供することを課題の一とす
る。または、本発明の一態様は、低コストな蓄電装置を提供することを課題の一とする。
【0017】
または、本発明の一態様は、容量の大きい電極を提供することを課題の一とする。また
は、本発明の一態様は、エネルギー密度の高い電極を提供することを課題の一とする。ま
たは、本発明の一態様は、信頼性の高い電極を提供することを課題の一とする。または、
本発明の一態様は、寿命の長い電極を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は
、低コストな電極を提供することを課題の一とする。
【0018】
または、本発明の一態様は、新規な材料、新規な電極、新規な蓄電池、または、新規な
蓄電装置などを提供することを課題の一とする。
【0019】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様は、負極と、正極と、を有し、負極は、集電体と活物質層と、を有し、
活物質層は、活物質粒子と、活物質粒子の周囲を覆うグラフェン化合物及び結着材と、を
有し、かつ活物質粒子と、グラフェン化合物と、結着材とに接する空隙を有することを特
徴とする蓄電装置である。
【0021】
または、本発明の一態様は、負極と、正極と、を有し、負極は、集電体と活物質層と、
を有し、活物質層は、活物質粒子と、活物質粒子の周囲を覆うグラフェン化合物および結
着材と、を有し、かつ活物質粒子と、グラフェン化合物と、結着材とに接する第1の空隙
を有し、かつグラフェン化合物と、結着材とに接する第2の空隙を有することを特徴とす
る蓄電装置である。
【0022】
または、本発明の一態様は、負極と、正極と、を有し、負極は、集電体と活物質層と、
を有し、活物質層は、活物質粒子と、活物質粒子の周囲を覆うグラフェン化合物及び結着
材と、を有し、かつ活物質粒子と、グラフェン化合物と、結着材とに接する複数の空隙を
有することを特徴とする蓄電装置である。
【0023】
また、上記構成において、グラフェン化合物は、2層以上100層以下の還元した酸化
グラフェンを含み、還元した酸化グラフェンの層間距離は0.335nm以上0.7nm
以下であることが好ましい。
【0024】
また、上記構成において、活物質粒子はシリコンであることが好ましい。
【0025】
また、上記構成において、結着材は、ポリイミドであることが好ましい。
【0026】
また、上記構成において、活物質粒子は、平均粒子径が0.5μm以上1.5μm以下
であることが好ましい。
【0027】
また、上記構成において、活物質粒子は、シリコンウェハを粉砕して作製されることが
好ましい。
【0028】
または、本発明の一態様は、上記のいずれか一に記載の蓄電装置と、操作ボタンと、表
示装置と、を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様によれば、容量の大きい蓄電装置を提供することができる。または、本
発明の一態様は、エネルギー密度の高い蓄電装置を提供することができる。または、本発
明の一態様は、信頼性の高い蓄電装置を提供することができる。または、本発明の一態様
は、寿命の長い蓄電装置を提供することができる。または、本発明の一態様は、低コスト
な蓄電装置を提供することができる。
【0030】
または、本発明の一態様は、容量の大きい電極を提供することができる。または、本発
明の一態様は、エネルギー密度の高い電極を提供することができる。または、本発明の一
態様は、信頼性の高い電極を提供することができる。または、本発明の一態様は、寿命の
長い電極を提供することができる。本発明の一態様は、低コストな電極を提供することが
できる。
【0031】
または、本発明の一態様は、新規な材料、新規な電極、新規な蓄電池、または、新規な
蓄電装置などを提供することができる。
【0032】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】電極の断面を説明する図。
図2】電極の断面を説明する図。
図3】電極の作製方法を説明する図。
図4】電極の作製方法を説明する図。
図5】蓄電池を説明する図。
図6】蓄電池の断面図を説明する図。
図7】粒子の断面を説明する図。
図8】電極の断面を説明する図。
図9】蓄電池の作製方法を説明する図。
図10】蓄電池の作製方法を説明する図。
図11】蓄電池を説明する図。
図12】面の曲率半径を説明する図。
図13】フィルムの曲率半径を説明する図。
図14】蓄電池の断面図の一部を説明する図。
図15】蓄電池の断面図の一部を説明する図。
図16】蓄電池の断面図の一部を説明する図。
図17】コイン型蓄電池を説明する図。
図18】円筒型蓄電池を説明する図。
図19】蓄電装置の例を説明するための図。
図20】蓄電装置の例を説明するための図。
図21】蓄電装置の例を説明するための図。
図22】蓄電装置の例を説明するための図。
図23】蓄電装置の例を説明するための図。
図24】電子機器の一例を説明する図。
図25】電子機器の一例を説明する図。
図26】電子機器の一例を説明する図。
図27】電子機器の一例を説明する図。
図28】負極活物質層の断面SEM写真。
図29】負極活物質層の断面SEM写真。
図30】蓄電池の充放電サイクルと放電容量の関係を示す図。
図31】蓄電池の充放電サイクルと放電容量の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明
は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であ
れば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈
されるものではない。
【0035】
なお、本明細書で説明する各図において、正極、負極、活物質層、セパレータ、外装体
などの各構成要素の大きさや厚さ等は、個々に説明の明瞭化のために誇張されている場合
がある。よって、必ずしも各構成要素はその大きさに限定されず、また各構成要素間での
相対的な大きさに限定されない。
【0036】
「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている
場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気
信号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。
【0037】
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に
応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電
膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という
用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0038】
また、本明細書等で説明する本発明の構成において、同一部分又は同様の機能を有する
部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。ま
た、同様の機能を有する部分を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付
さない場合がある。
【0039】
また、本明細書等において、第1、第2、第3などとして付される序数詞は、便宜上用
いるものであって工程の順番や上下の位置関係などを示すものではない。そのため、例え
ば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる
。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いら
れる序数詞は一致しない場合がある。
【0040】
また、本明細書において可撓性とは、物体が柔軟であり、曲がることが可能である性質
を指す。物体にかかる外力に応じて物体が変形することができる性質であり、弾性や変形
前の形状への復元性の有無を問題にはしない。可撓性を有する蓄電池は、外力に応じて変
形することができる。可撓性を有する蓄電池は、変形した状態で固定して使用することも
でき、繰り返し変形させて使用してもよく、変形していない状態で使用することもできる
。また、本明細書等において、外装体の内部とは、リチウムイオン蓄電池において外装体
で囲われた領域を指し、正極、負極、活物質層、セパレータ等の構造物、及び、電解液等
が存在する領域である。
【0041】
また、この発明を実施するための形態に記載の内容は、適宜組み合わせて用いることが
できる。
【0042】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の電極について説明する。
【0043】
リチウムイオン蓄電池等の蓄電池において長寿命化を実現するためには、充電と放電(
充放電)のサイクルを繰り返し行う際に、電極等の蓄電池の構成部材の劣化を小さく抑え
ることが重要である。
【0044】
蓄電池の長寿命化により、例えば電池交換の頻度を少なくすることができ、蓄電池を搭
載した機器の利便性が向上することができる。例えば、蓄電池は5年以上の寿命を有する
ことがより好ましい。または例えば、蓄電池は1800サイクル以上の充放電に耐える寿
命を有することがより好ましい。
【0045】
また、車載や、屋外での使用を考慮すると、蓄電池はより広い温度範囲で動作できるこ
とが好ましい。例えば、45℃を超える環境においても安定して動作することがより好ま
しい。
【0046】
リチウムイオン蓄電池に用いられる電極は、活物質を有する。多くの活物質は、充放電
に伴い、膨張や収縮が生じる。
【0047】
ここで一例として電極が、集電体と、集電体上の活物質層と、を有する場合を考える。
ここで活物質層は、活物質を有する。また、活物質層は結着材や導電助剤を有してもよい
【0048】
また、ウェアラブル機器に搭載することができる蓄電池が求められている。さらにウェ
アラブル機器は、装着する部位に合わせて変形できる柔軟性を有することが好ましい。蓄
電池がウェアラブル機器の変形に応じて変形することができれば、ウェアラブル機器の内
部または表面等において、蓄電池を配置する位置の選択の幅が広がり、好ましい。
【0049】
このように、ウェアラブル機器に搭載した蓄電池は、ウェアラブル機器の変形に伴い外
力が加わり、変形する場合がある。蓄電池の変形に伴い電極が湾曲し、活物質同士、活物
質と導電助剤、または活物質と結着材、などの接触が悪くなる場合がある。
【0050】
よって例えば、ウェアラブル機器に搭載した蓄電池等においては、電極が変形している
状態においても、活物質同士、活物質と導電助剤、または活物質と結着剤、などの密着性
の低下を抑制できることがより重要であるといえる。
【0051】
また、例えばリチウムイオン蓄電池等のキャリアイオンの酸化還元反応を用いた蓄電池
では、充放電に伴い、活物質へのキャリアイオンの挿入・脱離や、キャリアイオンとなる
金属との合金化・脱合金化反応などが起こる。
【0052】
ここで蓄電池の電極の電気抵抗が高い場合には過電圧が生じ、例えば活物質の表面等で
過電圧に起因する反応が生じる場合がある。例えば、負極ではその反応電位が低い場合が
多く、負極の電気抵抗が高い場合にはキャリアイオンとなる金属の析出が活物質の表面等
で生じる場合がある。よって、蓄電池の電極の抵抗は低いことが好ましい。
【0053】
また、例えば充電に伴う活物質の膨張により、充電過程または充電後に、電極の各構成
要素において接触が悪くなり、導電パスが損なわれる場合がある。このような場合には、
放電を行った後でも、充電時に活物質へ挿入、あるいは吸蔵、または合金化したキャリア
イオンが、活物質から脱離できずに活物質内へ残存することがある。このように活物質内
へ残存するキャリアイオンは、蓄電池の容量を低下させる原因となる場合があり好ましく
ない。
【0054】
活物質内のキャリアイオンの残存は、例えば元素分析等を用いて評価することができる
。元素分析としては例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS:Induct
ively Coupled Plasma Mass Spectrometry)、
X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectro
scopy)等が挙げられる。
【0055】
蓄電池の電極の抵抗を低くするためには、例えば集電体と活物質層との密着性を高める
ことが好ましい。
【0056】
または蓄電池の電極の抵抗を低くするためには、例えば活物質同士の密着性を高める、
活物質と導電助剤との接触面積を増やすことが好ましい。
【0057】
本実施の形態では、まず、リチウム蓄電池の負極及びその作製方法について図1を用い
て以下に説明する。
【0058】
<負極の構造1>
ここで、図1(A)は負極101の断面図を示す。負極101において、負極活物質層
107は負極集電体109に接して形成される。図1(B)は図1(A)において破線で
囲む領域の拡大図を示す。
【0059】
負極活物質層107は、負極活物質121と、当該負極活物質121を覆うように分散
されて形成されるグラフェン化合物123と、当該グラフェン化合物に接するように分散
された結着材122と、空隙124、空隙125を有する。ここで、グラフェン化合物1
23として、導電性を有するグラフェン化合物を用いることが好ましい。例えば還元した
酸化グラフェンを用いればよい。また、グラフェン化合物123はシート状の形状を有す
ることが好ましい。また、グラフェン化合物123は、複数の還元した酸化グラフェンが
部分的に重なりシート状となっていてもよい。
【0060】
図1(B)に示すように、負極活物質層107の内部において概略均一にシート状のグ
ラフェン化合物123が分散する。図1(B)においてはグラフェン化合物123を模式
的に太線で表しているが、実際には炭素分子の単層又は多層の厚さを有する薄膜である。
複数のグラフェン化合物123と結着材122は、負極活物質121及び空隙124、並
びに空隙125を包むように、囲うように、覆うように、あるいは負極活物質121の表
面上に張り付くように形成されている。そのため、グラフェン化合物123と負極活物質
121が互いに面接触している。また、グラフェン化合物123同士も互いに面接触する
ことで、複数のグラフェン化合物123により三次元的な電気伝導のネットワークを形成
している。以上の理由から、導電性を有するグラフェン化合物を導電助剤に用いることが
好ましい。
【0061】
グラフェン化合物123の形成についての詳細は後述するが、本実施の形態では、グラ
フェン化合物として、酸化グラフェンを還元した材料を用いる。複数のグラフェン化合物
123により三次元的な電気伝導のネットワークが形成される理由は、グラフェン化合物
123の形成に、極性分散媒中での分散性が極めて高い酸化グラフェンを用いるからであ
る。負極活物質層107に残留するグラフェン化合物123は部分的に重なり合う。なぜ
なら該グラフェン化合物123は均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散液から分
散媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元して、還元した酸化グラフェンを含むグラフェ
ン化合物としているからである。またグラフェン化合物123は互いに面接触する程度に
分散していることで電気伝導の経路を形成している。なお、酸化グラフェンの還元は、例
えば加熱処理により行ってもよいし、還元剤を用いて行ってもよい。
【0062】
また、負極活物質層の作製方法の詳細は後述するが、負極活物質層の形成過程において
、酸化グラフェンを混合する際に、固練り処理を行うことで、酸化グラフェンがさらに負
極活物質層107に分散され、良好な三次元的な電気伝導のネットワークが形成すること
ができる。
【0063】
従って、活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グラフ
ェン化合物123は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、少ない導電助剤
の量で、粒状の負極活物質121とグラフェン化合物123との電気伝導性を向上させる
ことができる。よって、負極活物質121の負極活物質層107における比率を増加させ
ることができる。これにより、蓄電装置の放電容量を増加させることができる。
【0064】
また、グラフェン化合物同士が結合することにより、網目状のグラフェン化合物(以下
グラフェンネットあるいはグラフェン化合物ネットと呼ぶ)を形成することができる。活
物質をグラフェン化合物ネットが被覆する場合に、グラフェン化合物ネットは粒子間を結
合するバインダとしても機能することができる。よって、バインダの量を少なくすること
ができる、又は使用しないことができるため、電極体積や電極重量に占める活物質の比率
を向上させることができる。すなわち、蓄電装置の容量を増加させることができる。
【0065】
結着材122は、負極活物質121の表面に層状に存在してもよい。グラフェン化合物
123は、結着材122の表面に接する領域を有することが好ましい。結着材122は例
えば、負極活物質121と、グラフェン化合物123との間に位置する。また好ましくは
、負極活物質121上に結着材122が設けられ、さらに結着材122上にグラフェン化
合物123が設けられる。
【0066】
また、図1(B)に示した構造は、負極活物質層107に一様に形成されていなくても
良く、例えば、負極活物質層107中に、部分的に上記構造が形成された領域を有してい
れば良い。
【0067】
<負極の構造2>
また、図2には、上記で説明した負極の構造とは一部の構造が異なる負極の構造につい
て説明する。図2(A)は負極101の断面図を示し、図2(B)は図2(A)において
破線で囲む領域の拡大図を示す。
【0068】
負極活物質層107は、負極活物質121と、当該負極活物質121を覆うように分散
されて形成されるグラフェン化合物123と、当該グラフェン化合物に接するように分散
された結着材122と、空隙125を有する。ここで、グラフェン化合物123としては
、例えば還元した酸化グラフェンを用いればよい。また、グラフェン化合物123はシー
ト状の形状を有することが好ましい。また、グラフェン化合物123は、複数の還元した
酸化グラフェンが部分的に重なりシート状となっていてもよい。
【0069】
図2(B)では、図1(B)と同様に負極活物質層107の内部において概略均一にシ
ート状のグラフェン化合物123が分散する。複数のグラフェン化合物123と結着材1
22は、負極活物質121及び空隙125を包むように、囲うように、覆うように、ある
いは負極活物質121の表面上に張り付くように形成されている。そのため、グラフェン
化合物123と負極活物質121が互いに面接触している。また、グラフェン化合物12
3同士も互いに面接触することで、複数のグラフェン化合物123により三次元的な電気
伝導のネットワークを形成している。
【0070】
また、図2(C)では、図2(B)に示す空隙125より、空隙の領域が大きい場合の
負極活物質層107の拡大図を示す。図2(C)において、空隙125は負極活物質12
1と同等程度の大きさを有している。複数のグラフェン化合物123と結着材122は、
負極活物質121及び空隙125を包むように、囲うように、覆うように、あるいは負極
活物質121の表面上に張り付くように形成されている。
【0071】
また、図2(B)、または図2(C)に示した構造は、負極活物質層107に一様に形
成されていなくても良く、例えば、負極活物質層107中に、部分的に上記構造が形成さ
れた領域を有していれば良い。
【0072】
結着材122は、負極活物質121の表面に層状に存在してもよい。グラフェン化合物
123は、結着材122の表面に接する領域を有することが好ましい。結着材122は例
えば、負極活物質121と、グラフェン化合物123との間に位置する。また好ましくは
、負極活物質121上に結着材122が設けられ、さらに結着材122上にグラフェン化
合物123が設けられる。
【0073】
キャリアイオンとの合金化、またはキャリアイオンの吸蔵により、体積が膨張する負極
活物質では、充放電により体積の膨張と収縮に伴う応力によって、集電体と負極活物質と
の密着性が低下することがある。そのことで集電体に皺が発生し、負極活物質が集電体か
ら剥がれる恐れがある。これにより、負極活物質と集電体との接触が悪くなり、導電パス
が損なわれることがある。導電パスが損なわれることにより、充放電のサイクルに伴い容
量が低下してしまうことがある。
【0074】
しかしながら、本発明の一態様では、図1及び図2で示したように、負極活物質121
が充放電により体積の膨張と収縮を繰り返しても、当該周囲に空隙124、及び負極活物
質層107全体に分散した空隙125を有しているため、体積の膨張と収縮に伴う応力を
緩和することができる。その結果、負極活物質が集電体から剥がれることを抑制し、導電
パスが維持されることで、充放電のサイクルに伴う容量の低下を防ぐことができる。
【0075】
また、キャリアイオンとの合金化、またはキャリアイオンの吸蔵により、体積が膨張す
る負極活物質では、充放電により負極活物質自身に割れが生じることで負極活物質層が脆
くなり、負極活物質層の一部が崩落してしまう恐れがある。また、負極活物質が微粉化す
る可能性がある。充放電により負極活物質層の一部に崩落や負極活物質に微粉化が生じる
と、負極活物質同士の導電パスが切断され、電気化学的な反応に関与できない負極活物質
が増加する。それにより、充放電のサイクルに伴い容量が低下してしまう。さらには、微
粉化した負極活物質が集電体から剥離する、剥離した粉がセパレータの空隙に詰まる、正
極の表面に付着する、などの現象が生じる可能性がある。それにより、蓄電池の容量が低
下する場合がある。
【0076】
しかしながら、本発明の一態様では、図1及び図2で示したように、負極活物質層10
7に分散しているグラフェン化合物123と結着材122が負極活物質121を覆ってい
る。そのため、グラフェン化合物123と結着材122が負極活物質層107の崩落や、
微粉化した負極活物質121がセパレータや正極に付着する現象を妨げることが可能であ
る。また仮に負極活物質層107が崩落したとしても、微粉化した負極活物質121は空
隙125内に留め置くことができる。即ち、充放電にともない負極活物質121の体積が
膨張と収縮を繰り返しても、グラフェン化合物123と結着材122が負極活物質121
を負極活物質層107の内部に留めておくことができ、負極活物質121同士の導電パス
を維持することができる。
【0077】
また、負極活物質層107は、空隙124及び空隙125により、多孔質な構造を有し
ている。その結果、負極活物質層107は、空隙124及び空隙125により負極活物質
の膨張により体積が増加する分の空間を予め確保している。さらに、上述したようにグラ
フェン化合物123は複数の還元した酸化グラフェンが重なり合った構造を有しているた
め、柔軟性を持つ。そのため、充電により負極活物質121が空隙124及び空隙125
と異なる形状に膨張しても、グラフェン化合物123が負極活物質121の形状に応じて
変形することができる。従って、膨張で生じる応力を分散し、負極活物質層107の一部
が崩落することを防ぐことができる。
【0078】
<負極活物質>
負極活物質121としては、例えばシリコン(Si)など、キャリアイオンとの合金化
及び脱合金化が可能な材料が用いられる。シリコンは、黒鉛に比べ、重量あたり約10倍
のキャリアイオンと合金化することが可能であるため、理論容量が大きく、蓄電装置の大
容量化という点において優れている。
【0079】
また、負極活物質121として、Si以外にも、例えば、Mg、Ca、Ga、Al、G
e、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、As、Hg及びInのうち少なくとも
一つを有する材料を有することが好ましい。また、負極活物質121は、MgSi、M
Ge、MgSn、SnS、VSn、FeSn、CoSn、NiSn
、CuSn、AgSn、AgSb、NiMnSb、CeSb、LaSn
LaCoSn、CoSb、InSb、SbSn等を有してもよい。また、負極活
物質121は、二酸化チタン(TiO)、リチウムチタン酸化物(LiTi12
)、リチウム-黒鉛層間化合物(Li)、五酸化ニオブ(Nb)、酸化タン
グステン(WO)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物や、リチウムと遷移金属の
複窒化物であるLiN型構造をもつLi3-xN(M=Co、Ni、Cu)を用い
ることができる。
【0080】
本実施の形態では、粒子状の負極活物質121としてシリコン粒子を用いる。当該シリ
コン粒子は、シリコンウェハを粉砕して作製するため、市販のシリコン粒子と比べ非常に
安価に作製することができる。シリコン粒子の平均粒子径としては0.5μm以上3μm
以下であることが好ましく、平均粒子径0.5μm以上1.5μm以下であることがより
好ましい。ここで、粒子径とは、例えば、粒子の体積を球に換算し、その直径を粒子径と
すればよい。または、例えば粒子の断面を観察し、その面積を円に換算し、その直径を粒
子径とすればよい。なお平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)またはTEMによる
観察、またはレーザ回折・散乱法を用いた粒度分布計等によって測定することができる。
【0081】
なお、活物質とは、キャリアであるイオンの挿入及び脱離、または合金化及び脱合金化
に関わる物質を指す。例えば、正極又は負極、あるいはその両方である電極を作製する時
には、活物質と共に、導電助剤、結着材、分散媒等の他の材料を混合したものを活物質層
として集電体上に形成する。よって、活物質と活物質層は区別される。よって正極活物質
及び正極活物質層、並びに、負極活物質及び負極活物質層は区別される。
【0082】
また、図示してはいないが、負極活物質121は、その表面層に、負極活物質121の
主成分の元素と共通の元素を有する化合物を含む層を有していてもよい。例えば、負極活
物質121の表面層に、負極活物質121の主成分の元素の酸化物を有してもよい。また
は、例えば、負極活物質121の表面層に、負極活物質121の主成分の元素の窒化物、
硫化物、リン化物、フッ化物等を有してもよい。
【0083】
例えば、負極活物質121は、負極活物質121の主成分の元素にSi、Mg、Ca、
Ga、Al、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、Zn、Cd、As、Hg及びInの
少なくとも一つの元素を有し、負極活物質121の表面層は該元素の酸化物を有してもよ
い。例えば、本発明の一態様の負極活物質は、負極活物質121の主成分の元素にSiを
有し、表面層にシリコン酸化物を有してもよい。または、例えば本発明の一態様の負極活
物質は、負極活物質121の主成分の元素にSnを有し、表面層にスズ酸化物を有しても
よい。
【0084】
<空隙>
空隙は、グラフェン化合物123と結着材122によって、その形状が維持されている
。空隙としては、充電に伴い負極活物質121が膨張する際、その前後の体積の差分を有
していれば良い。また空隙は、図1(B)の空隙124に示すように負極活物質を覆うよ
うに設ければ良い。具体的には、例えばシリコンを負極活物質として用いた場合、充電に
伴う膨張によって、膨張前のシリコンの体積に比べ理論上、2倍以上、場合によっては4
倍以上の体積に膨張する。従って、図1(B)における空隙124としては、充電に伴う
シリコン粒子の体積の膨張で生じる応力を緩和するために、空隙の体積をシリコン粒子の
体積の4倍以上とすることが好ましい。一方で、空隙は負極活物質において電極反応には
関与しないため、空隙の体積が大き過ぎると、負極活物質の体積当たりの容量が低下する
。そのため、空隙の体積はシリコン粒子の体積の5倍以下であることがさらに好ましい。
また、図1(B)の空隙125については、シリコン粒子の体積より小さい体積を有して
いても良い。また、図2(B)または図2(C)に示すように、負極活物質121の周囲
に複数個の空隙を設けても良い。ここで、空隙の体積とは、例えば、空隙の直径から空隙
の体積を算出すればよい。または、例えば空隙の断面を観察し、その面積を円に換算し、
その直径から体積を算出すればよい。なお、空隙の直径は、SEM(走査型電子顕微鏡)
またはTEMによる観察によって測定することができる。
【0085】
図2(B)における空隙125については、空隙の直径が負極活物質121の平均粒子
径より小さい体積を有することが好ましい。具体的には、空隙の直径が100nm以上6
00nm以下であることが好ましく、200nm以上400nm以下であることがさらに
好ましい。また、負極活物質121の周囲に設けられた複数の空隙125の体積の合計が
、充電に伴い負極活物質121が膨張する際、その前後の体積の差分と同等であることが
好ましい。具体的には、負極活物質121がシリコンである場合、シリコン粒子の周囲に
設けられた複数の空隙125の体積の合計が、シリコン粒子の体積の4倍以上とすること
が好ましい。このように、複数の空隙125が負極活物質121の周囲に設けられること
で、充電に伴う負極活物質121の膨張により生じる応力を緩和することができる。
【0086】
図2(C)における空隙125については、空隙の直径が負極活物質121の平均粒子
径と同等であることが好ましい。具体的には、空隙の直径としては0.5μm以上3μm
以下であることが好ましく、0.5μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。
また、負極活物質121の周囲に設けられた複数の空隙125の体積の合計が、充電に伴
い負極活物質121が膨張する際、その前後の体積の差分と同等であることが好ましい。
具体的には、負極活物質121がシリコンである場合、シリコン粒子の周囲に設けられた
複数の空隙125の体積の合計が、シリコン粒子の体積の4倍以上とすることが好ましい
。このように、複数の空隙125が負極活物質121の周囲に設けられることで、充電に
伴う負極活物質121の膨張により生じる応力を緩和することができる。なお、空隙の直
径は、SEM(走査型電子顕微鏡)またはTEMによる観察によって測定することができ
る。
【0087】
<結着材>
結着材としては、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、イソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ
フッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルクロライ
ド、エチレンプロピレンジエンポリマー、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、ポリスチ
レン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレートPM
MA)、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオ
キシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド等の材料を用いることが好ましい。また、結
着材として、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンゴ
ム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエ
ン共重合体などのジエン系のゴム材料、フッ素ゴムを用いることができる。
【0088】
本実施の形態では、結着材122にポリイミドを用いる。特にポリイミドは、耐熱性が
高く、強度が高いため、充放電に伴う上記負極活物質の膨張及び収縮に耐えることができ
、好ましい。なお、電極の作製工程において、混合される物質は、ポリイミドの前駆体で
あり、後の加熱処理にて当該前駆体がイミド化され、ポリイミドとなる。
【0089】
また負極活物質層107の総量に対する結着材122の含有量は、10wt%以上40
wt%以下が好ましく、20wt%以上40wt%以下がより好ましく、25wt%以上
35wt%以下がさらに好ましい。
【0090】
<導電助剤>
本実施の形態では、導電性を有するグラフェン化合物を導電助剤として用いる。また、
導電助剤としては、例えば繊維状の炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等
を用いることができる。負極活物質層107の総量に対する導電助剤の含有量は、5wt
%以上40wt%以下が好ましく、10wt%以上20wt%以下がより好ましい。
【0091】
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤
により、活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤
を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
【0092】
導電助剤としては、グラフェン化合物の他に、例えば、炭素繊維などを用いることがで
きる。炭素繊維としては、例えばメソフェーズピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊
維等の炭素繊維を用いることができる。また炭素繊維として、カーボンナノファイバーや
カーボンナノチューブなどを用いることができる。また、炭素繊維として、気相成長炭素
繊維(VGCF(登録商標):Vapor-Grown Carbon Fiber)を
用いることができる。また、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金などの金属粉
末や金属繊維、導電性セラミックス材料等を用いることができる。
【0093】
以下にグラフェン、またはグラフェン化合物について説明をする。グラフェンは、炭素
原子が1原子層配列したものであり、炭素原子間にπ結合を有する。
【0094】
グラフェンを基本骨格として有する化合物を「グラフェン化合物(「グラフェンコンパ
ウンド:Graphene Compound」ともいう)」と呼ぶ。
【0095】
以下に、グラフェン化合物について詳細を説明する。
【0096】
グラフェン化合物のうち、グラフェンが2層以上100層以下重なったものを、マルチ
グラフェンと呼ぶ場合がある。グラフェンおよびマルチグラフェンは、例えば、長手方向
の長さが50nm以上100μm以下または800nm以上50μm以下である。
【0097】
グラフェン化合物は例えば、グラフェンまたはマルチグラフェンに、炭素以外の原子、
または炭素以外の原子を有する原子団が修飾された化合物であってもよい。また、グラフ
ェンまたはマルチグラフェンに、アルキル基等の炭素を主とした原子団が修飾された化合
物であってもよい。なお、原子団を、置換基、官能基、または特性基等と呼ぶ場合がある
。ここで、グラフェン化合物は、上述の原子または原子団が修飾されたグラフェンも含む
【0098】
ここで、グラフェン化合物の表面と裏面に、それぞれ異なる原子や原子団を修飾しても
よい。また、グラフェン化合物が多層グラフェンを有する場合に、それぞれの層に異なる
原子や原子団を修飾してもよい。
【0099】
上述の原子団を修飾したグラフェンの一例として、酸素が修飾されたグラフェンまたは
マルチグラフェンを用いてもよい。また、例えば、酸素を含む官能基を修飾されたグラフ
ェンまたはマルチグラフェンを用いてもよい。ここで酸素を含む官能基として例えば、エ
ポキシ基、カルボキシル基などのカルボニル基、または水酸基等が挙げられる。酸素が修
飾されたグラフェンを酸化グラフェンと呼ぶ場合がある。
【0100】
酸化グラフェンの作製方法の一例を説明する。酸化グラフェンは、上記グラフェンまた
はマルチグラフェンを酸化して得ることができる。または、酸化グラフェンは、酸化グラ
ファイトを分離して得ることができる。酸化グラファイトは、グラファイトを酸化して得
ることができる。ここで、酸化グラフェンに、さらに上述の原子または原子団を修飾して
もよい。
【0101】
また、酸化グラフェンを還元することで導電性の高いグラフェン化合物を得ることでき
る。また、酸化グラフェンを還元して得られるグラフェン化合物を、還元した酸化グラフ
ェンまたは、「RGO(Reduced Graphene Oxide)」と呼ぶ場合
がある。なお、還元した酸化グラフェンまたは、RGOには、酸化グラフェンに含まれる
酸素は全て脱離されずに、一部の酸素または酸素を含む原子団が結合した状態で残存する
場合がある。例えばRGOは、エポキシ基、カルボキシル基などのカルボニル基、または
水酸基等の官能基を有する場合がある。
【0102】
グラフェン化合物は、複数のグラフェン化合物が部分的に重なりながら1枚のシート状
となっていてもよい。このようなグラフェン化合物を、グラフェン化合物シートと呼ぶ場
合がある。グラフェン化合物シートは例えば、厚さが0.33nm以上50μm以下、よ
り好ましくは0.34nmより大きく10μm以下の領域を有する。グラフェン化合物シ
ートに、炭素以外の原子、炭素以外の原子を有する原子団、またはアルキル基等の炭素を
主とした原子団等が修飾されてもよい。また、グラフェン化合物シートが有する複数の層
のそれぞれにおいて、異なる原子または原子団が修飾されていてもよい。
【0103】
グラフェン化合物は、炭素で構成される六員環の他に、炭素で構成される五員環や、炭
素で構成される七員環以上の多員環を有してもよい。ここで、六員環以外の多員環の近傍
では、リチウムイオンが通過可能な領域が生じる場合がある。
【0104】
また例えば、複数のグラフェン化合物が集まって、シート状の形状となっていてもよい
【0105】
グラフェン化合物は平面的な形状を有するため、面接触を可能とする。
【0106】
導電性の高いグラフェン化合物、例えばグラフェンまたはマルチグラフェンは薄くても
導電性が高く、また面接触によりグラフェン同士、あるいはグラフェンと活物質との間の
接触面積を増加させることができる。よって、体積あたりの量が少なくても効率よく導電
パスを形成することができる。
【0107】
グラフェン化合物によっては絶縁体として用いることができる。例えばグラフェン化合
物シートをシート状の絶縁体として用いることができる。ここで例えば、酸化グラフェン
はグラフェンと比較して絶縁性が高い場合がある。また、原子団が修飾されたグラフェン
化合物は、修飾する原子団の種類により、絶縁性を高めることができる場合がある。
【0108】
ここで、本発明の一態様のグラフェン化合物は、グラフェン前駆体を有してもよい。グ
ラフェン前駆体には例えば、上述の酸化グラフェンや、酸化グラファイトなどを含んでも
よい。
【0109】
なお、アルカリ金属を有するグラフェンや、酸素等の炭素以外の元素を有するグラフェ
ンを、グラフェン類似体と呼ぶ場合がある。本発明の一態様のグラフェン化合物には、グ
ラフェン類似体も含む。
【0110】
また、本発明の一態様のグラフェン化合物は、層間に原子、原子団、およびそれらのイ
オンを有してもよい。例えば、グラフェンの層間にリチウム化合物や、リチウムイオンを
有してもよい。なお、グラフェン化合物が層間に原子、原子団、およびそれらのイオンを
有することにより、グラフェンの物性、例えば電気伝導性やイオン伝導性が変化する場合
がある。また、例えばマルチグラフェンと比べて、層間距離が大きくなる場合がある。
【0111】
またグラフェン化合物は、高い導電性を有するという優れた電気特性と、高い柔軟性お
よび高い機械的強度を有するという優れた物理特性と、を有する場合がある。また、グラ
フェン化合物は平面的な形状を有するため、接触抵抗の低い面接触を可能とする。また、
薄くても導電性が非常に高い場合があり、少ない量で効率よく活物質層内で導電パスを形
成することができる。そのため、導電性を有するグラフェン化合物を導電助剤として用い
ることにより、活物質と導電助剤との接触面積を増大させることができるため好ましい。
また、電気的な抵抗を減少できる場合があるため好ましい。ここで本発明の一態様におけ
るグラフェン化合物として、還元した酸化グラフェンを用いることが特に好ましい。
【0112】
また、粒径の小さい活物質、例えば平均粒子径が1μm以下の活物質を用いる場合には
、活物質の比表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このよ
うな場合には、少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェン化合物
を用いることが、特に好ましい。
【0113】
また、グラフェン化合物が還元した酸化グラフェンである場合、隣り合う還元した酸化
グラフェンとの層間距離は0.335nm以上0.7nm以下であることが好ましい。
【0114】
還元した酸化グラフェンの層間距離は例えば、還元した酸化グラフェンの断面を透過型
電子顕微鏡(TEM)により観察することにより評価することができる。また、還元した
酸化グラフェンの層間距離は例えば、X線回折(XRD)を用いて、面間隔として算出す
ることができる。
【0115】
本発明の一態様のグラフェン化合物は、還元した酸化グラフェンを用いるが、還元した
酸化グラフェン全体に対して、XPS(X線光電子分光法)で測定される酸素濃度が例え
ば、好ましくは0.3atomic%以上20atomic%以下、より好ましくは1a
tomic%以上11atomic%以下、さらに好ましくは3atomic%以上10
atomic%以下である。
【0116】
また、グラフェン化合物をXPSで測定した場合に、炭素のC1sに相当する束縛エネ
ルギーのスペクトルを波形分離して解析することにより、C1sの全体のスペクトルに対
して、spを示唆するピークが占める割合を面積比として見積もることができる。ここ
で、本発明の一態様のグラフェン化合物は、spの割合は、C1sの全体のスペクトル
に対して50%以上90%以下であることが好ましい。spの割合を高めることにより
例えば、グラフェン化合物の導電性を高めることができる。
【0117】
なお、上記記載に示す面間隔、酸素濃度、等の物性値は一例であり、本発明の一態様の
グラフェン化合物は、これに限定されるものではない。
【0118】
<負極集電体>
負極集電体109には、銅、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、
及びこれらの合金など、導電性が高い材料を用いることができる。また負極集電体109
に用いる集電体材料としては、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料が好まし
い。また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上
させる元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応
してシリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを
形成する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、
タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。負極集電
体109は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル
状等の形状を適宜用いることができる。負極集電体109は、厚さが5μm以上30μm
以下のものを用いるとよい。
【0119】
また、負極集電体として炭素材料を用いてもよい。
【0120】
<負極の作製方法1>
本発明の一態様に係る負極の作製方法について、図3を用いて以下に説明する。
【0121】
図3は、図1に示す負極の作製方法のフロー図である。
【0122】
<ステップS101>
ステップS101として、シリコンウェハを粉砕して、負極活物質となるシリコン粒子
を作製する。
【0123】
例えば、8インチの丸型シリコンウェハをガラス切り、またはカッター等を用いて直径
0.5cm以上1.5cm以下になるように切り分けた後、乳鉢等でさらに直径1mm以
下になるようにさらに粗く粉砕してシリコン粉末を得る。更にボールミル装置を用いてシ
リコン粉末をさらに細かく粉砕する。具体的には、例えば該シリコン粉末、分散媒、金属
製またはセラミック製のボールとともに容器に入れ、容器を回転させる。ボールミル処理
は200rpm以上500rpm以下で、3時間以上6時間以下の条件で粉砕処理を行う
ことが好ましい。ボールミル処理を行うことにより、シリコン粉末の微粒子化を行うこと
ができ、作製後の電極用材料の微粒子化を図ることが可能となる。このようにしてシリコ
ン粒子を得る。なお、分散媒としては原料が溶解しない材料を分散媒として用いることが
できる。また、ボールミル処理後に篩を用いて粒子径の小さいシリコン粒子を分離するこ
とが好ましい。ここで、篩の穴径は10μm以上100μm以下の篩を用いることが好ま
しい。こうして、平均粒子径が0.5μm以上5μm以下のシリコン粒子を得ることがで
きる。
【0124】
一般的に市販されている粒子径の小さい(例えば、平均粒子径が100nm以下)シリ
コン粒子は高価である。一方で、本発明の一態様では、シリコンウェハを粉砕してシリコ
ン粒子を作製している。シリコンウェハを用いることで、非常に安価にシリコン粒子を作
製することができる。また、負極活物質となるシリコン粒子は抵抗値が低いことが好まし
い。本発明の形態では、不純物(例えば、ホウ素、リン、アンチモン等)を含んだ低抵抗
なシリコンウェハを用いることができ、抵抗率の低いシリコン粒子を負極活物質として用
いることができる。ただし、本発明の一態様においてシリコン粒子は、シリコンウェハを
粉砕して作製したシリコン粒子に限定されない。
【0125】
<ステップS102>
ステップS101の粉砕処理により得たシリコン粒子を加熱処理して、シリコン粒子の
表面にシリコン酸化膜を形成する。
【0126】
例えば、ステップS101で作製したシリコン粒子を大気雰囲気において700℃以上
1000℃以下、0.5時間以上5時間以下で加熱処理を行うことが好ましい。該加熱処
理によって、シリコン粒子の表面には、厚さ100nm以上900nm以下のシリコン酸
化膜が形成されることが好ましく、厚さ150nm以上450nm以下であることがより
好ましい。また、シリコン粒子の粒子半径がシリコン酸化膜の厚さより小さいシリコン粒
子は、全て酸化されてシリコン酸化物となる場合がある。なお、このステップで形成され
るシリコン酸化膜は、後述するステップにおいてエッチング処理により除去され、空隙と
なる。この空隙は、充電に伴い体積が膨張した際の負極活物質の体積と同じ、またはそれ
より大きい体積を有している。このため、充電に伴うシリコン粒子の体積の膨張で生じる
応力を緩和することができる。
【0127】
<ステップS103>
次いで、酸化グラフェン、結着材、及びS102で得られたシリコン粒子を混合し、混
合物Aを作製する。
【0128】
例えば、ステップS102で得られたシリコン粒子に、グラフェン化合物、結着材、分
散媒を混合した混合物を添加し、固練り(高粘度における混練)処理を行い、次いで通風
乾燥機にて分散媒を揮発除去する。固練り処理を行うことにより、シリコン粒子、グラフ
ェン化合物、及び結着材を均一に混合することができる。ここで添加するグラフェン化合
物として、酸化グラフェンを用いることが好ましい。
【0129】
本実施の形態では、導電助剤として酸化グラフェン、結着材としてポリイミドの前駆体
、分散媒としてN-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone(NM
P))を用いる。該固練り処理により、酸化グラフェンが均一に分散し、単層または2層
以上100層以下の酸化グラフェンがシリコン粒子表面に付着する。また、分散媒の揮発
除去を行うことにより、シリコン粒子表面に酸化グラフェンと結着材が固定化する。なお
、混合物Aの総量に対するシリコン粒子の含有量は40wt%以上80wt%以下が好ま
しく、50wt%以上70wt%以下がさらに好ましい。また、混合物Aの総量に対する
導電助剤の含有量は、10wt%以上30wt%以下が好ましく、15wt%以上25w
t%以下がより好ましい。また、混合物Aの総量に対する結着材の含有量は、10wt%
以上30wt%以下が好ましく、15wt%以上25wt%以下がより好ましい。
【0130】
分散媒としては原料が溶解しない材料を分散媒として用いることができる。例えば、分
散媒として、水、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、
ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)及びジメチルスルホ
キシド(DMSO)のいずれか一種又は二種以上の混合液を用いることができる。
【0131】
なお、ポリイミドの前駆体は、後の加熱処理にてイミド化され、ポリイミドとなる。
【0132】
ここで、酸化グラフェンの作製方法について説明する。本実施の形態では、グラフェン
化合物として酸化グラフェンを用いる。酸化グラフェンは、例えば、単結晶グラファイト
粉末に、過マンガン酸カリウムの硫酸溶液、過酸化水素水等を加えて酸化反応させて酸化
グラファイトを含む分散液を作製する方法を用いて作製することができる。当該酸化グラ
ファイトは、グラファイトの炭素の酸化により、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシ
ル基、ヒドロキシル基等の官能基を有する。
【0133】
また、酸化グラファイトが上記のような官能基を有することで、複数のグラフェンの層
間距離がグラファイトと比較して長くなる。
【0134】
次に、酸化グラファイトを含む分散液に、超音波振動を加えることで、層間距離が長い
酸化グラファイトを劈開し、酸化グラフェンを分離すると共に、酸化グラフェンを含む分
散液を作製することができる。そして、酸化グラフェンを含む分散液から分散媒を取り除
くことで、酸化グラフェンを得ることができる。
【0135】
酸化グラフェンは極性を有する溶液中においては、官能基によりマイナスに帯電するた
め、異なる酸化グラフェン同士で凝集しにくい。このため、極性を有する液体においては
、均一に酸化グラフェンが分散しやすい。
【0136】
また、用いる酸化グラフェンの一辺の長さ(フレークサイズともいう)は1μm以上5
0μm以下であることが好ましい。
【0137】
<ステップS104>
ステップS103において作製した混合物Aに含まれる、シリコン粒子表面に形成した
シリコン酸化膜をエッチング処理により除去して混合物Bを作製する。その後、混合物B
の洗浄と乾燥を行い、加熱処理を行う。
【0138】
エッチング処理により除去した該シリコン酸化膜の領域が、空隙124となり形成され
る。例えば、この空隙124は、充電に伴い体積が膨張した際のシリコン粒子の体積と同
じ、またはそれより大きい体積を有していれば良い。具体的には、粒子径が1.0μmの
シリコン粒子が充電によって、4倍の体積になる場合、空隙124の直径は1.6μm以
上の直径を有していれば良い。また、熱酸化により内部まで全て酸化されたシリコン粒子
についてもエッチング処理により除去され、空隙125が形成される。エッチング処理と
しては、特に限定されるものではないが、例えばフッ素系の水溶液を用いることができる
。具体的には、例えば、ステップS103で作製した混合物Aに、フッ化水素アンモニウ
ム(NHHF)を7.13%とフッ化アンモニウム(NHF)を15.4%含む混
合溶液(ステラケミファ社製、商品名LAL500)を滴下して、エッチングすることが
好ましい。エッチング処理時間としては、1分以上10分以下が好ましい。なお、エッチ
ング処理時間を制御することにより、シリコン粒子表面のシリコン酸化膜を完全に除去せ
ずに、該シリコン酸化膜を残存させることもできる。
【0139】
また、エッチング処理後の洗浄、及び乾燥として、純水による水洗を複数回繰り返した
後、真空乾燥を行うことが好ましい。なお、真空乾燥における処理温度は100℃以上1
50℃以下、処理時間は10時間以上が好ましい。
【0140】
また、加熱処理として、真空炉を用いて加熱処理をすることが好ましい。また加熱温度
は300℃以上500℃以下が好ましく、350℃以上450℃以下がより好ましい。ま
た加熱時間は30分以上2時間以下が好ましい。当該加熱処理によって、混合物Bに含ま
れるポリイミドの前駆体がイミド化され、ポリイミドを形成する。また同時に、当該加熱
処理によって、混合物Bに含まれるグラフェン化合物が還元される。本実施の形態では、
ステップS103にて混合するグラフェン化合物に酸化グラフェンを用いるため、当該加
熱処理により酸化グラフェンが還元され、還元した酸化グラフェンを形成する。これによ
り、グラフェン化合物の導電性を高めることができる。
【0141】
<ステップS105>
ステップS104で得られた混合物Bを用いて、スラリーを作製する。
【0142】
混合物Bに結着材と分散媒を混合し、スラリーを形成する。例えば、混合物Bに結着材
と分散媒を加え、攪拌機において攪拌処理を行い混合する。攪拌処理として、例えば10
00rpm以上3000rpm以下の条件において、3分以上10分以下の処理時間で行
うことが好ましい。また、攪拌処理後に固練り処理を行うことがより好ましい。
【0143】
なお、スラリーの総量に対する混合物Bの含有量は70wt%以上95wt%以下が好
ましく、80wt%以上90wt%以下がさらに好ましい。またスラリーの総量に対する
結着材の含有量は、5wt%以上30wt%以下が好ましく、10wt%以上20wt%
以下がより好ましい。
【0144】
また、結着材は上述した結着材を用いることができるが、ステップS103で用いた結
着材と同じ結着材を用いることが好ましい。本実施の形態では、結着材として、ポリイミ
ドの前駆体を用いる。
【0145】
また、分散媒はステップS103で上述した分散媒を用いることができるが、ステップ
S103で用いた分散媒と同じ分散媒を用いることが好ましい。本実施の形態では、分散
媒として、N-メチルピロリドン(N-methylpyrrolidone(NMP)
)を用いる。
【0146】
<ステップS106>
ステップS105において作製したスラリーを用いて、負極集電体109上にスラリー
を塗工する。
【0147】
まず、負極集電体109上に、スラリーを塗布する。ここで、スラリーを塗布する前に
、負極集電体109上に表面処理を行ってもよい。表面処理としては例えば、コロナ放電
処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等が挙げられる。ここでアンダーコートとは、
集電体上にスラリーを塗布する前に、活物質層と集電体との界面抵抗を低減する目的や、
活物質層と集電体との密着性を高める目的で集電体上に形成する膜を指す。なお、アンダ
ーコートは、必ずしも膜状である必要はなく、島状に形成されていてもよい。また、アン
ダーコートが活物質として容量を発現しても構わない。アンダーコートとしては、例えば
炭素材料を用いることができる。炭素材料としては例えば、黒鉛や、アセチレンブラック
、ケッチェンブラック(登録商標)等のカーボンブラック、カーボンナノチューブなどを
用いることができる。
【0148】
スラリーの塗布には、スロットダイ方式、グラビア、ブレード法、およびそれらを組み
合わせた方式等を用いることができる。また、塗布には連続塗工機などを用いてもよい。
【0149】
次に、スラリーに含まれる分散媒を揮発させる。スラリーに含まれる分散媒の揮発工程
は、50℃以上200℃以下、好ましくは60℃以上150℃以下の温度範囲で行うとよ
い。
【0150】
例えば、30℃以上70℃以下、10分以上の条件で大気雰囲気下でホットプレートで
加熱処理を行い、その後、例えば、室温以上100℃以下、1時間以上10時間以下の条
件で減圧環境下にて加熱処理を行えばよい。
【0151】
あるいは、乾燥炉等を用いて加熱処理を行ってもよい。乾燥炉を用いる場合は、例えば
30℃以上120℃以下の温度で、30秒以上20分以下の加熱処理を行えばよい。
【0152】
または、温度は段階的に上げてもよい。例えば、60℃以下で10分以下の加熱処理を
行った後、65℃以上の温度で更に1分以上の加熱処理を行ってもよい。
【0153】
このようにして形成された活物質層の厚さは、例えば好ましくは5μm以上300μm
以下、より好ましくは10μm以上150μm以下であればよい。
【0154】
ここで、スラリーから分散媒を揮発させる際に、活物質、導電助剤および結着材が動く
ことにより互いの分散性が低下する場合がある。例えば、活物質層内において結着材の濃
度分布が大きくなる、などの可能性がある。ここで該スラリーの粘度が高いほど、分散媒
の揮発後の分散性の変化が小さく好ましい場合がある。また、スラリーから分散媒を揮発
させる速度が遅いほど、分散性の変化が小さく好ましい場合がある。
【0155】
スラリーは負極集電体109の両面に塗工してもよいし、片面のみに塗工してもよい。
または、部分的に両面にスラリーを塗工した領域を有しても構わない。
【0156】
<ステップS107>
次いで、スラリーが塗布された負極集電体109の加熱処理を行う。
【0157】
当該加熱処理は、真空炉を用いて加熱処理をすることが好ましい。また加熱温度は30
0℃以上500℃以下が好ましく、350℃以上450℃以下がより好ましい。また加熱
時間は30分以上2時間以下が好ましい。当該加熱処理によりスラリーが焼成されて、上
記ポリイミドの前駆体がイミド化されポリイミドとなる。また、同時に、当該加熱処理に
より、グラフェン化合物がさらに熱還元される。以上のようにして、負極活物質層107
を形成する。
【0158】
本実施の形態における、ステップS104及びステップS107の加熱処理により、グ
ラフェン化合物の熱還元が進み、グラフェン化合物の導電性を高めることが可能である。
本実施の形態では、ステップS103にて混合するグラフェン化合物に酸化グラフェンを
用いているため、当該加熱処理によって、酸化グラフェンが還元され、還元した酸化グラ
フェンの導電性を高めることができる。
【0159】
また、本実施の形態では、スラリー焼成及び酸化グラフェン還元のための加熱工程を、
結着材が分解されない温度、例えば300℃以上500℃以下の温度、好ましくは350
℃以上450℃以下で行う。これにより、結着材が分解されることを防ぐことができる。
また、結着材が分解されない温度で加熱することにより、負極の破壊を抑制できる。負極
が破壊されないので、リチウムイオン蓄電池の信頼性が低下されるのを防ぐことが可能で
ある。
【0160】
また、上述のように、本実施の形態では、添加するグラフェン化合物に酸化グラフェン
を用いている。酸化グラフェンはグラファイトを酸化することによって形成されるが、当
該酸化によって形成された官能基が分散性に寄与するため、酸化グラフェンは分散性が高
い。しかしながら、酸化グラフェンを還元する過程において、当該分散性に寄与する官能
基が還元されて減少するため、還元した酸化グラフェンの分散性は低い。
【0161】
酸化グラフェンと活物質を混合した後に、当該混合物を加熱して形成した電極(負極)
では、官能基が還元されて減少する前に酸化グラフェンが分散されているため、当該還元
した酸化グラフェンは均一に分散されている。よって、本発明の一態様の電極(負極)を
用いたリチウムイオン蓄電池は、その電気特性が良好である。
【0162】
<ステップS108>
以上述べた作製工程にて、負極集電体109上に形成された負極活物質層107を有す
る負極101を形成する。
【0163】
本発明の一態様に係る別の負極の作製方法について、図4を用いて以下に説明する。
【0164】
<負極の作製方法2>
図4は、図2に示す負極の作製方法のフロー図である。
【0165】
<ステップS201>
シリコンウェハを粉砕して、負極活物質となるシリコン粒子を作製する。なお、ステッ
プS201は、ステップS101に記載した工程と同様である。
【0166】
<ステップS202>
次いで、S201で作製したシリコン粒子、酸化シリコン粒子、グラフェン化合物、及
び結着材を混合し、混合物Aを作製する。
【0167】
例えば、シリコン粒子に、酸化シリコン粒子、グラフェン化合物、結着材、分散媒を混
合した混合物を添加し、固練り(高粘度における混練)処理を行い、その後通風乾燥機に
て分散媒の揮発除去を行う。固練り処理を行うことにより、シリコン粒子、酸化シリコン
粒子、グラフェン化合物、及び結着材を均一に混合することができる。ここでグラフェン
化合物として、酸化グラフェンを用いることが好ましい。
【0168】
ここで、図2(B)に示す負極活物質層107においては、酸化シリコン粒子は、平均
粒子径が100nm以上500nm以下であることが好ましく、200nm以上300n
m以下であることがさらに好ましい。また、図2(C)に示す負極活物質層107におい
ては、酸化シリコン粒子は、平均粒子径が0.5μm以上3.0μm以下であることが好
ましく、0.5μm以上1.5μm以下であることがさらに好ましい。酸化シリコン粒子
の作製方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、四塩化珪素、酸素、及び
水素を同時に反応させてシリコン酸化物を製造する高温加水分解法や、シリコンや金属等
の原材料を熱エネルギーによって蒸気化し、酸素雰囲気下で酸化反応させて酸化物微粒子
を生成する物理気相合成法(Physical Vapor Synthesis Me
thod)等により作製すればよく、特に限定されるものではない。また、酸化シリコン
粒子は市販のものを用いても良い。
【0169】
結着材、及び分散媒に関しては、ステップS103で記載した結着材、及び分散媒と同
様のものを用いることができる。また混合方法については、ステップS103に記載した
工程と同様である。
【0170】
<ステップS203>
ステップS202において作製した混合物Aに含まれる、酸化シリコン粒子をエッチン
グ処理により除去して混合物Bを作製する。その後、混合物Bの洗浄と乾燥を行い、加熱
処理を行う。
【0171】
エッチング処理により、除去した該酸化シリコン粒子の領域が空隙125となり形成さ
れる。また、エッチング処理工程については、ステップS104に記載した工程と同様の
工程である。
【0172】
<ステップS204>
ステップS203で得られた混合物Bを用いて、スラリーを作製する。スラリーの作成
工程については、ステップS105で記載した工程と同様である。
【0173】
<ステップS205>
ステップS204において作製したスラリーを用いて、負極集電体109上にスラリー
を塗工する。スラリーの塗工工程については、ステップS106に記載した工程と同様で
ある。
【0174】
<ステップS206>
次いで、スラリーが塗布された負極集電体109の加熱処理を行う。加熱処理工程につ
いては、ステップS107に記載した工程と同様である。
【0175】
<ステップS207>
以上述べた作製工程にて、負極集電体109上に形成された負極活物質層107を有す
る負極101を形成する。
【0176】
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形
態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定
されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載さ
れているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様
として、リチウムイオン蓄電池に適用した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これ
に限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、様々な蓄
電池、鉛蓄電池、リチウムイオンポリマー蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カ
ドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固
体電池、空気電池、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、一次電池、キャパシタ、または、
電気二重層キャパシタ、ウルトラ・キャパシタ、スーパー・キャパシタ、リチウムイオン
キャパシタ、などに適用してもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応
じて、本発明の一態様は、リチウムイオン蓄電池に適用しなくてもよい。また、本発明の
一態様として、グラフェン、グラフェン化合物、または、酸化グラフェンなどを有する場
合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、
状況に応じて、本発明の一態様は、様々な材質を有していてもよい。または例えば、場合
によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様は、グラフェン、グラフェン化合物
、または、酸化グラフェンなどを有していなくてもよい。
【0177】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である電極を用いた蓄電装置の一例を示す。
【0178】
なお、本明細書等において、蓄電装置とは、蓄電機能を有する素子および装置全般を指
す。例えば、リチウムイオン蓄電池、リチウムイオンキャパシタ、および電気二重層キャ
パシタなどを含む。
【0179】
〈薄型蓄電池〉
図5に、蓄電装置の一例として、薄型の蓄電池について示す。図5は、薄型の蓄電池の
一例を示す。薄型の蓄電池は、可撓性を有する構成とすれば、可撓性を有する部位を少な
くとも一部有する電子機器に実装すれば、電子機器の変形に合わせて蓄電池も曲げること
もできる。
【0180】
図5は薄型の蓄電池500の外観図を示す。また、図6(A)および図6(B)は、図
5に一点鎖線で示すA1-A2断面およびB1-B2断面を示す。薄型の蓄電池500は
、正極集電体501および正極活物質層502を有する正極503と、負極集電体504
および負極活物質層505を有する負極506と、セパレータ507と、電解液508と
、外装体509と、を有する。外装体509内に設けられた正極503と負極506との
間にセパレータ507が設置されている。また、外装体509内は、電解液508で満た
されている。
【0181】
負極506は、実施の形態1に示す負極101を適宜用いて形成すればよい。
【0182】
正極503における正極集電体501及び正極活物質層502については、それぞれ以
下に示す正極集電体及び正極活物質層を適宜用いることができる。
【0183】
<正極集電体>
正極集電体501には、ステンレス、金、白金、アルミニウム、チタン等の金属、及び
これらの合金など、導電性が高く、正極の電位で溶出しない材料を用いることができる。
また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させ
る元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応して
シリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成
する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タン
タル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。正極集電体5
01は、箔状、板状(シート状)、網状、パンチングメタル状、エキスパンドメタル状等
の形状を適宜用いることができる。正極集電体501は、厚さが5μm以上30μm以下
のものを用いるとよい。また、正極集電体501の表面に、グラファイトなどを用いてア
ンダーコート層を設けてもよい。
【0184】
<正極活物質層>
正極活物質層502は、正極活物質の他、正極活物質の密着性を高めるための結着材(
バインダ)、正極活物質層502の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0185】
正極活物質層502に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型
の結晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質とし
て、例えば、LiFeO、LiCoO、LiNiO、LiMn、V
Cr、MnO等の化合物を用いる。
【0186】
特に、LiCoOは、容量が大きいこと、LiNiOに比べて大気中で安定である
こと、LiNiOに比べて熱的に安定であること等の利点があるため、好ましい。
【0187】
また、LiMn等のマンガンを含むスピネル型の結晶構造を有するリチウム含有材
料に、少量のニッケル酸リチウム(LiNiOやLiNi1-xMO(0<x<1)
(M=Co、Al等))を混合すると、これを用いた蓄電装置の特性を向上させることが
でき好ましい。
【0188】
また、正極活物質として、組成式LiMnで表すことができるリチウムマ
ンガン複合酸化物を用いることができる。ここで、元素Mは、リチウム、マンガン以外か
ら選ばれた金属元素、またはシリコン、リンを用いることが好ましく、ニッケルであるこ
とがさらに好ましい。また、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体を測定する場合、放
電時に0<a/(b+c)<2、かつc>0、かつ0.26≦(b+c)/d<0.5を
満たすことが好ましい。なお、リチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の金属、シリコン
、リン等の組成は、例えばICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)を用いて測定す
ることができる。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子全体の酸素の組成は、例えばE
DX(エネルギー分散型X線分析法)を用いて測定することが可能である。また、ICP
-MS分析と併用して、融解ガス分析、XAFS(X線吸収微細構造)分析の価数評価を
用いることで求めることができる。なお、リチウムマンガン複合酸化物とは、少なくとも
リチウムとマンガンとを含む酸化物をいい、クロム、コバルト、アルミニウム、ニッケル
、鉄、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、インジウム、ガリウム、銅、チタン、ニオブ、
シリコン、およびリンなどからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいても
よい。
【0189】
なお、高容量を発現させるために、表層部と中心部で、結晶構造、結晶方位または酸素
含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン複合酸化物とすることが好ましい。このよ
うなリチウムマンガン複合酸化物とするために、組成式がLiMnNi(1.
6≦a≦1.848、0.19≦c/b≦0.935、2.5≦d≦3)の範囲とするこ
とが好ましい。さらに、Li1.68Mn0.8062Ni0.318の組成式であ
らわされるリチウムマンガン複合酸化物を用いることが特に好ましい。本明細書等におい
て、Li1.68Mn0.8062Ni0.318の組成式であらわされるリチウム
マンガン複合酸化物とは、材料の量の割合(モル比)を、LiCO:MnCO:N
iO=0.84:0.8062:0.318とすることにより形成したリチウムマンガン
複合酸化物をいう。そのため該リチウムマンガン複合酸化物は、組成式Li1.68Mn
0.8062Ni0.318で表されるが、この組成からずれることもある。
【0190】
ここで、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有するリチウムマンガン
複合酸化物の粒子の断面図の例を図7に示す。
【0191】
図7(A)に示すように、結晶構造、結晶方位または酸素含有量が異なる領域を有する
リチウムマンガン複合酸化物は、第1の領域331と、第2の領域332と、第3の領域
333を有することが好ましい。第2の領域332は、第1の領域331の外側の少なく
とも一部に接する。ここで、外側とは、粒子の表面により近いことを示す。また、第3の
領域333は、リチウムマンガン複合酸化物を有する粒子の、表面と一致する領域を有す
ることが好ましい。
【0192】
また、図7(B)に示すように、第1の領域331は、第2の領域332に覆われない
領域を有してもよい。また、第2の領域332は、第3の領域333に覆われない領域を
有してもよい。また、例えば第1の領域331に第3の領域333が接する領域を有して
もよい。また、第1の領域331は、第2の領域332および第3の領域333のいずれ
にも覆われない領域を有してもよい。
【0193】
第2の領域332は、第1の領域331と異なる組成を有することが好ましい。
【0194】
例えば、第1の領域331と第2の領域332の組成を分けて測定し、第1の領域33
1がリチウム、マンガン、元素Mおよび酸素を有し、第2の領域332がリチウム、マン
ガン、元素Mおよび酸素を有し、第1の領域331のリチウム、マンガン、元素M、およ
び酸素の原子数比はa1:b1:c1:d1で表され、第2の領域332のリチウム、マ
ンガン、元素M、および酸素の原子数比はa2:b2:c2:d2で表される場合につい
て説明する。なお、第1の領域331と第2の領域332のそれぞれの組成は、例えばT
EM(透過型電子顕微鏡)を用いたEDX(エネルギー分散型X線分析法)で測定するこ
とができる。EDXを用いた測定では、リチウムの組成の測定が困難な場合がある。その
ため、以下では、第1の領域331と第2の領域332の組成の違いは、リチウム以外の
元素について述べる。ここで、d1/(b1+c1)は2.2以上が好ましく、2.3以
上であることがより好ましく、2.35以上3以下であることがさらに好ましい。また、
d2/(b2+c2)は2.2未満であることが好ましく、2.1未満であることがより
好ましく、1.1以上1.9以下であることがさらに好ましい。またこの場合でも、第1
の領域331と第2の領域332を含むリチウムマンガン複合酸化物粒子全体の組成は、
前述の0.26≦(b+c)/d<0.5を満たすことが好ましい。
【0195】
また、第2の領域332が有するマンガンは、第1の領域331が有するマンガンと異
なる価数を有してもよい。また、第2の領域332が有する元素Mは、第1の領域331
が有する元素Mと異なる価数を有してもよい。
【0196】
より具体的には、第1の領域331は、層状岩塩型の結晶構造を有するリチウムマンガ
ン複合酸化物であることが好ましい。また第2の領域332は、スピネル型の結晶構造を
有するリチウムマンガン複合酸化物であることが好ましい。
【0197】
ここで、各領域の組成や、元素の価数に空間的な分布がある場合には、例えば複数の箇
所についてその組成や価数を評価し、その平均値を算出し、該領域の組成や価数としても
よい。
【0198】
また、第2の領域332と第1の領域331との間に、遷移層を有してもよい。ここで
遷移層とは、例えば組成が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移
層とは、結晶構造が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、遷移層とは
、結晶の格子定数が連続的、あるいは段階的に変化する領域である。または、第2の領域
332と第1の領域331との間に、混合層を有してもよい。ここで混合層とは、例えば
異なる結晶方位を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは、例
えば異なる結晶構造を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。あるいは、混合層とは
、例えば異なる組成を有する2以上の結晶が混合する場合を指す。
【0199】
第3の領域333には、炭素または金属化合物を用いることができる。ここで、金属と
しては例えばコバルト、アルミニウム、ニッケル、鉄、マンガン、チタン、亜鉛、リチウ
ム等が挙げられる。金属化合物の一例として、これらの金属の酸化物や、フッ化物などが
挙げられる。
【0200】
第3の領域333は、上記の中でも、炭素を有することが特に好ましい。炭素は導電性
が高いため、炭素で被覆された粒子を蓄電装置の電極に用いることにより、例えば電極の
抵抗を低くすることができる。また、第3の領域333が炭素を有することで、第3の領
域333と接する第2の領域332を酸化することができる。また、第3の領域333は
導電性を有するグラフェン化合物(後述)を有してもよい。導電性を有するグラフェン化
合物は、優れた電気特性に加え、柔軟性並びに機械的強度が高いという優れた物理特性を
有する。またリチウムマンガン複合酸化物の粒子を効率よく被覆することができる。
【0201】
第3の領域333が、導電性を有するグラフェン化合物をはじめとする炭素を有するこ
とで、リチウムマンガン複合酸化物を正極材料に用いた蓄電装置の、サイクル特性を向上
させることができる。
【0202】
炭素を含む層の膜厚は、0.4nm以上40nm以下とすることが好ましい。
【0203】
また、リチウムマンガン複合酸化物は、例えば、一次粒子の平均粒子径が、5nm以上
50μm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好
ましい。また比表面積が5m/g以上15m/g以下であることが好ましい。また、
二次粒子の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。なお平均粒子
径は、SEM(走査型電子顕微鏡)またはTEMによる観察、またはレーザ回折・散乱法
を用いた粒度分布計等によって測定することができる。また比表面積は、ガス吸着法によ
り測定することができる。
【0204】
または、正極活物質として、複合材料(一般式LiMPO(Mは、Fe(II)、M
n(II)、Co(II)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式L
iMPOの代表例としては、LiFePO、LiNiPO、LiCoPO、Li
MnPO、LiFeNiPO、LiFeCoPO、LiFeMnPO
、LiNiCoPO、LiNiMnPO(a+bは1以下、0<a<1、
0<b<1)、LiFeNiCoPO、LiFeNiMnPO、LiN
CoMnPO(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)
、LiFeNiCoMnPO(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g
<1、0<h<1、0<i<1)等のリチウム化合物を用いることができる。
【0205】
特にLiFePOは、安全性、安定性、高容量密度、初期酸化すなわち充電時に引き
抜けるリチウムイオンの存在、等、正極活物質に求められる事項をバランスよく満たして
いるため、好ましい。
【0206】
または、一般式Li(2-j)MSiO(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co
(II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一
般式Li(2-j)MSiOの代表例としては、Li(2-j)FeSiO、Li
2-j)NiSiO、Li(2-j)CoSiO、Li(2-j)MnSiO、L
(2-j)FeNiSiO、Li(2-j)FeCoSiO、Li(2-
j)FeMnSiO、Li(2-j)NiCoSiO、Li(2-j)Ni
MnSiO(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2-j)Fe
NiCoSiO、Li(2-j)FeNiMnSiO、Li(2-j)
CoMnSiO(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1
)、Li(2-j)FeNiCoMnSiO(r+s+t+uは1以下、0<
r<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を用いることができ
る。
【0207】
また、正極活物質として、A(XO(A=Li、Na、Mg、M=Fe、
Mn、Ti、V、Nb、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナシコ
ン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe(MnO
Fe(SO、LiFe(PO等がある。また、正極活物質として、L
MPOF、LiMP、LiMO(M=Fe、Mn)の一般式で表され
る化合物、NaFeF、FeF等のペロブスカイト型フッ化物、TiS、MoS
等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO(M=Mn
、Co、Ni)等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(V
、V13、LiV等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を用い
ることができる。
【0208】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類
金属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナ
トリウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バ
リウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。例えば、NaFeOや、Na
2/3[Fe1/2Mn1/2]Oなどのナトリウム含有層状酸化物を正極活物質とし
て用いることができる。
【0209】
なお、図示しないが、正極活物質の表面に炭素層などの導電性材料を設けてもよい。炭
素層などの導電性材料を設けることで、電極の導電性を向上させることができる。例えば
、正極活物質への炭素層の被覆は、正極活物質の焼成時にグルコース等の炭水化物を混合
することで形成することができる。
【0210】
粒状の正極活物質の一次粒子の平均粒径は、50nm以上100μm以下のものを用い
るとよい。
【0211】
<導電助剤>
導電助剤としては、例えば炭素材料、金属材料、又は導電性セラミックス材料等を用い
ることができる。また、導電助剤として繊維状の材料を用いてもよい。正極活物質層50
2の総量に対する導電助剤の含有量は、1wt%以上10wt%以下が好ましく、1wt
%以上5wt%以下がより好ましい。
【0212】
導電助剤により、電極中に電気伝導のネットワークを形成することができる。導電助剤
により、活物質どうしの電気伝導の経路を維持することができる。活物質層中に導電助剤
を添加することにより、高い電気伝導性を有する活物質層を実現することができる。
【0213】
導電助剤としては、実施の形態1で記載した負極活物質層107に用いる導電助剤と同
様の導電助剤を用いることができる。
【0214】
とくに、導電性を有するグラフェン化合物は、優れた電気特性に加え、柔軟性並びに機
械的強度という優れた物理特性を有する場合がある。そのため、導電性を有するグラフェ
ン化合物を、導電助剤として用いることにより、活物質同士の接触点や、接触面積を増大
させることができる。
【0215】
また、導電性を有するグラフェン化合物は、平面的な形状を有するため接触抵抗の低い
面接触が可能である。また、導電性を有するグラフェン化合物は、薄くても導電性が非常
に高く、少ない量でも効率よく活物質層内で導電パスを形成することができる。
【0216】
平均粒子径の小さい活物質、例えば1μm以下の活物質を用いる場合には、活物質の比
表面積が大きく、活物質同士を繋ぐ導電パスがより多く必要となる。このような場合には
、導電性が非常に高く少ない量でも効率よく導電パスを形成することができるグラフェン
化合物を用いることが、特に好ましい。
【0217】
以下では、実施の形態1の負極活物質層107と同様に、正極活物質層502に、導電
助剤として、導電性を有するグラフェン化合物を用いる場合の断面構成例を説明する。
【0218】
図8(A)に、正極活物質層502の縦断面図を示す。正極活物質層502は、粒状の
正極活物質322と、導電助剤としてのグラフェン化合物123と、結着材(バインダと
もいう。図示せず)と、を含む。ここでグラフェン化合物123は、導電性を有するグラ
フェン化合物である、還元した酸化グラフェンであることが好ましい。
【0219】
正極活物質層502の縦断面においては、図8(A)に示すように、正極活物質層50
2の内部において概略均一にシート状のグラフェン化合物123が分散する。図8(A)
においてはグラフェン化合物123を模式的に太線で表しているが、実際には炭素分子の
単層又は多層の厚さを有する薄膜である。複数のグラフェン化合物123は、複数の粒状
の正極活物質322を包むように、囲うように、覆うように、あるいは複数の粒状の正極
活物質322の表面上に張り付くように形成されているため、互いに面接触している。ま
た、グラフェン化合物123どうしも互いに面接触することで、複数のグラフェン化合物
123により三次元的な電気伝導のネットワークを形成している。
【0220】
これはグラフェン化合物123の形成に、極性分散媒中での分散性が極めて高い酸化グ
ラフェンを用いるためである。均一に分散した酸化グラフェンを含有する分散液から分散
媒を揮発除去し、酸化グラフェンを還元して、還元した酸化グラフェンとするため、正極
活物質層502に残留するグラフェン化合物123は部分的に重なり合い、互いに面接触
する程度に分散していることで電気伝導の経路を形成している。なお、酸化グラフェンの
還元は、例えば熱処理により行ってもよいし、還元剤を用いて行ってもよい。
【0221】
従って、正極活物質と点接触するアセチレンブラック等の粒状の導電助剤と異なり、グ
ラフェン化合物123は接触抵抗の低い面接触を可能とするものであるから、少ない導電
助剤の量で、粒状の正極活物質322とグラフェン化合物123との電気伝導性を向上さ
せるができる。よって、正極活物質322の正極活物質層502における比率を増加させ
ることができる。これにより、蓄電装置の放電容量を増加させることができる。
【0222】
また、グラフェン化合物同士が結合することにより、網目状のグラフェン化合物(以下
グラフェンネットと呼ぶ)を形成することができる。正極活物質をグラフェンネットが被
覆する場合に、グラフェンネットは粒子間を結合するバインダとしても機能することがで
きる。よって、バインダの量を少なくすることができる、又は使用しないことができるた
め、電極体積や電極重量に占める正極活物質の比率を向上させることができる。すなわち
、蓄電装置の容量を増加させることができる。
【0223】
図8(B)は、図8(A)の破線で囲まれる領域の拡大図を示す。結着材323は、正
極活物質322の表面に層状に存在してもよい。グラフェン化合物123は、結着材32
3の表面に接する領域を有することが好ましい。結着材323は例えば、正極活物質32
2と、グラフェン化合物123との間に位置する。また好ましくは、正極活物質322上
に結着材323が設けられ、さらに結着材323上にグラフェン化合物123が設けられ
る。
【0224】
<電解液>
電解液508の溶媒としては、非プロトン性有機溶媒が好ましく、例えば、エチレンカ
ーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、クロロ
エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクト
ン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチル
カーボネート(EMC)、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、1,3-ジオキサン、
1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド、ジエチルエ
ーテル、メチルジグライム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、テトラヒドロフラン、ス
ルホラン、スルトン等の1種、又はこれらのうちの2種以上を任意の組み合わせおよび比
率で用いることができる。
【0225】
また、電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する
安全性が高まる。また、蓄電池の薄型化および軽量化が可能である。ゲル化される高分子
材料の代表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエ
チレンオキサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等
がある。
【0226】
また、電解液の溶媒として、難燃性および難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を
一つ又は複数用いることで、蓄電装置の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇し
ても、蓄電装置の破裂や発火などを防ぐことができる。イオン液体は、カチオンとアニオ
ンからなり、有機カチオンとアニオンとを含む。電解液に用いる有機カチオンとして、四
級アンモニウムカチオン、三級スルホニウムカチオン、および四級ホスホニウムカチオン
等の脂肪族オニウムカチオンや、イミダゾリウムカチオンおよびピリジニウムカチオン等
の芳香族カチオンが挙げられる。また、電解液に用いるアニオンとして、1価のアミド系
アニオン、1価のメチド系アニオン、フルオロスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキ
ルスルホン酸アニオン、テトラフルオロボレートアニオン、パーフルオロアルキルボレー
トアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、又はパーフルオロアルキルホスフェ
ートアニオン等が挙げられる。
【0227】
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、キャリアにリチウムイオンを用いる場
合、例えばLiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiAlCl、L
iSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、Li12Cl
12、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiC(C
SO、LiN(CFSO、LiN(CSO)(CFSO
)、LiN(CSO等のリチウム塩を一種、又はこれらのうちの二種以上
を任意の組み合わせおよび比率で用いることができる。
【0228】
また、蓄電装置に用いる電解液は、粒状のごみや電解液の構成元素以外の元素(以下、
単に「不純物」ともいう)の含有量が少ない高純度化された電解液を用いることが好まし
い。具体的には、電解液に対する不純物の重量比を1%以下、好ましくは0.1%以下、
より好ましくは0.01%以下とすることが好ましい。
【0229】
また、電解液にビニレンカーボネート、プロパンスルトン(PS)、tert-ブチル
ベンゼン(TBB)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、リチウムビスオキサラ
トボレート(LiBOB)などの添加剤を添加してもよい。添加剤の濃度は、例えば溶媒
全体に対して0.1wt%以上5wt%以下とすればよい。
【0230】
また、ポリマーを電解液で膨潤させたポリマーゲル電解質を用いてもよい。
【0231】
ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド(PEO)などのポリアルキレンオキ
シド構造を有するポリマーや、PVDF、およびポリアクリロニトリル等、およびそれら
を含む共重合体等を用いることができる。例えばPVDFとヘキサフルオロプロピレン(
HFP)の共重合体であるPVDF-HFPを用いることができる。また、ポリマーは、
多孔質形状を有してもよい。
【0232】
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、
PEO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることがで
きる。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、
蓄電池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
【0233】
セパレータ507としては、例えば、紙、不織布、ガラス繊維、セラミックス、ナイロ
ンまたはポリアミド、ビニロンまたはポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル、アク
リル、ポリオレフィン、ポリウレタンを用いた合成繊維等で形成されたものを用いること
ができる。セパレータ507は袋状に加工し、正極503または負極506のいずれか一
方を包むように配置することが好ましい。例えば、図9(A)に示すように、正極503
を挟むようにセパレータ507を2つ折りにし、正極503と重なる領域よりも外側で封
止部514により封止することで、正極503をセパレータ507内に確実に担持するこ
とができる。そして、図9(B)に示すように、セパレータ507に包まれた正極503
と負極506とを交互に積層し、これらを外装体509内に配置することで薄型の蓄電池
500を形成するとよい。
【0234】
図10には、リード電極に集電体を溶接する例を示す。図10(A)に示すように、セ
パレータ507に包まれた正極503と、負極506と、を交互に重ねる。次に、正極5
03を正極リード電極510に、負極506を負極リード電極511に、それぞれ溶接す
る。正極503を正極リード電極510に溶接する例を図10(B)に示す。正極503
は、超音波溶接などを用いて溶接領域512で正極リード電極510に溶接される。また
、正極503は、図10(B)に示す湾曲部513を有することにより、薄型の蓄電池5
00の作製後に外から力が加えられて生じる応力を緩和することができ、薄型の蓄電池5
00の信頼性を高めることができる。
【0235】
図5および図6に示す薄型の蓄電池500において、正極リード電極510および負極
リード電極511を用いて正極503、或いは負極506と超音波接合させて正極リード
電極510および負極リード電極511を外側に露出している。また、外部との電気的接
触を得る端子の役割を正極503および負極506で兼ねることもできる。その場合は、
リード電極を用いずに、正極503および負極506の一部を外装体509から外側に露
出するように配置してもよい。
【0236】
また、図5では正極リード電極510と負極リード電極511は同じ辺に配置されてい
るが、図11に示すように、正極リード電極510と負極リード電極511を異なる辺に
配置してもよい。このように、本発明の一態様の蓄電池は、リード電極を自由に配置する
ことができるため、設計自由度が高い。よって、本発明の一態様の蓄電池を用いた製品の
設計自由度を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電池を用いた製品の生産性
を高めることができる。
【0237】
薄型の蓄電池500において、外装体509には、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリアミド等の材料からなる膜上に、アルミニウ
ム、ステンレス、銅、ニッケル等の可撓性に優れた金属薄膜を設け、さらに該金属薄膜上
に外装体の外面としてポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の絶縁性合成樹脂膜を設
けた三層構造のフィルムを用いることができる。
【0238】
また図6では、一例として、向かい合う正極活物質層と負極活物質層の組の数を5組と
しているが、勿論、電極活物質層の組は5組に限定されず、多くてもよいし、少なくても
よい。電極活物質層数が多い場合には、より多くの容量を有する蓄電池とすることができ
る。また、電極活物質層数が少ない場合には、薄型化でき、可撓性に優れた蓄電池とする
ことができる。
【0239】
上記構成において、薄型の蓄電池500の外装体509は、最小の曲率半径が例えば、
3mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上10mm以下となるように変形する
ことができる。蓄電池の外装体であるフィルムは、1枚または2枚で構成されており、積
層構造の蓄電池である場合、湾曲させた蓄電池の断面構造は、外装体であるフィルムの2
つの曲線で挟まれた構造となる。
【0240】
面の曲率半径について、図12を用いて説明する。図12(A)に示される、曲面17
00を切断した平面1701において、曲面1700に含まれる曲線1702の一部を円
の弧に近似して、その円の半径を曲率半径1703とし、円の中心を曲率中心1704と
する。図12(B)に曲面1700の上面図を示す。図12(C)に、平面1701で曲
面1700を切断した断面図を示す。曲面を平面で切断するとき、曲面に対する平面の角
度や切断位置に応じて、断面に現れる曲線の曲率半径は異なるものとなるが、本明細書等
では、最も小さい曲率半径を面の曲率半径とする。
【0241】
2枚のフィルムを外装体として電極・電解液など1805を挟む蓄電池を湾曲させた場
合には、蓄電池の曲率中心1800に近い側のフィルム1801の曲率半径1802は、
曲率中心1800から遠い側のフィルム1803の曲率半径1804よりも小さい(図1
3(A))。蓄電池を湾曲させて断面を円弧状とすると曲率中心1800に近いフィルム
の表面には圧縮応力がかかり、曲率中心1800から遠いフィルムの表面には引っ張り応
力がかかる(図13(B))。外装体の表面に凹部または凸部で形成される模様を形成す
ると、このように圧縮応力や引っ張り応力がかかったとしても、ひずみによる影響を許容
範囲内に抑えることができる。そのため、蓄電池は、曲率中心に近い側の外装体の最小の
曲率半径が例えば、3mm以上30mm以下、より好ましくは3mm以上10mm以下と
なるように変形することができる。
【0242】
なお、蓄電池の断面形状は、単純な円弧状に限定されず、一部が円弧を有する形状にす
ることができ、例えば図13(C)に示す形状や、波状(図13(D))、S字形状など
とすることもできる。蓄電池の曲面が複数の曲率中心を有する形状となる場合は、複数の
曲率中心それぞれにおける曲率半径の中で、最も曲率半径が小さい曲面において、2枚の
外装体の曲率中心に近い方の外装体の最小の曲率半径が例えば、3mm以上30mm以下
、より好ましくは3mm以上10mm以下となるように変形することができる。
【0243】
次に、正極、負極およびセパレータの積層の様々な例を示す。
【0244】
図14(A)には、薄型の蓄電池500の別の構成として、正極111及び負極115
を6層ずつ積層する例について示す。正極111が有する正極集電体151の片面に正極
活物質層152が設けられている。また、負極115が有する負極集電体155の片面に
負極活物質層156が設けられている。
【0245】
また、図14(A)に示す構成では、正極111の正極活物質層152を有さない面同
士が接し、負極115の負極活物質層156を有さない面同士が接するように、正極11
1及び負極115が積層される。このような積層順とすることで、正極111の正極活物
質層152を有さない面同士、負極115の負極活物質層156を有さない面同士という
、金属同士の接触面をつくることができる。金属同士の接触面は、活物質とセパレータと
の接触面と比較して摩擦係数を小さくすることができる。
【0246】
そのため、薄型の蓄電池500を湾曲したとき、正極111の正極活物質層152を有
さない面同士、負極115の負極活物質層156を有さない面同士が滑ることで、湾曲の
内径と外径の差により生じる応力を逃がすことができる。ここで湾曲の内径とは例えば、
薄型の蓄電池500を湾曲させる場合に、薄型の蓄電池500の外装体において、湾曲部
の内側に位置する面が有する曲率半径を指す。そのため、薄型の蓄電池500の劣化を抑
制することができる。また、信頼性の高い薄型の蓄電池500とすることができる。
【0247】
また、図14(B)に、図14(A)と異なる正極111と負極115の積層の例を示
す。図14(B)に示す構成では、正極集電体151の両面に正極活物質層152を設け
ている点において、図14(A)に示す構成と異なる。図14(B)のように正極集電体
151の両面に正極活物質層152を設けることで、薄型の蓄電池500の単位体積あた
りの容量を大きくすることができる。
【0248】
また、図14(C)に、図14(B)と異なる正極111と負極115の積層の例を示
す。図14(C)に示す構成では、負極集電体155の両面に負極活物質層156を設け
ている点において、図14(B)に示す構成と異なる。図14(C)のように負極集電体
155の両面に負極活物質層156を設けることで、薄型の蓄電池500の単位体積あた
りの容量をさらに大きくすることができる。
【0249】
また、図14に示す構成では、セパレータ153が正極111を袋状に包む構成であっ
たが、本発明はこれに限られるものではない。ここで、図15(A)に、図14(A)と
異なる構成のセパレータ153を有する例を示す。図15(A)に示す構成では、正極活
物質層152と負極活物質層156との間にシート状のセパレータ153を1枚ずつ設け
ている点において、図14(A)に示す構成と異なる。図15(A)に示す構成では、正
極111及び負極115を6層ずつ積層しており、セパレータ153を6層設けている。
【0250】
また、図15(B)に図15(A)とは異なるセパレータ153を設けた例を示す。図
15(B)に示す構成では、1枚のセパレータ153が正極活物質層152と負極活物質
層156の間に挟まれるように複数回折り返されている点において、図15(A)に示す
構成と異なる。また、図15(B)の構成は、図15(A)に示す構成の各層のセパレー
タ153を延長して層間をつなぎあわせた構成ということもできる。図15(B)に示す
構成では、正極111及び負極115を6層ずつ積層しており、セパレータ153を少な
くとも5回以上折り返す必要がある。また、セパレータ153は、正極活物質層152と
負極活物質層156の間に挟まれるように設けるだけでなく、延長して複数の正極111
と負極115を一まとめに結束するようにしてもよい。
【0251】
また図16に示すように正極、負極およびセパレータを積層してもよい。図16(A)
は第1の電極組立体130、図16(B)は第2の電極組立体131の断面図である。図
16(C)に、図14(A)と異なる構成のセパレータ153を有する例を示す。なお、
図16(C)では図を明瞭にするため、第1の電極組立体130、第2の電極組立体13
1およびセパレータ153を抜粋して示す。
【0252】
図16(C)に示すように、薄型の蓄電池500は、複数の第1の電極組立体130お
よび複数の第2の電極組立体131を有する。
【0253】
図16(A)に示すように、第1の電極組立体130では、正極集電体151の両面に
正極活物質層152を有する正極111a、セパレータ153、負極集電体155の両面
に負極活物質層156を有する負極115a、セパレータ153、正極集電体151の両
面に正極活物質層152を有する正極111aがこの順に積層されている。また図16
B)に示すように、第2の電極組立体131では、負極集電体155の両面に負極活物質
層156を有する負極115a、セパレータ153、正極集電体151の両面に正極活物
質層152を有する正極111a、セパレータ153、負極集電体155の両面に負極活
物質層156を有する負極115aがこの順に積層されている。
【0254】
さらに図16(C)に示すように、複数の第1の電極組立体130および複数の第2の
電極組立体131は、捲回したセパレータ153によって覆われている。
【0255】
〈コイン型蓄電池〉
次に蓄電装置の一例として、コイン型の蓄電池の一例について、図17を参照して説明
する。図17(A)はコイン型(単層偏平型)の蓄電池の外観図であり、図17(B)は
、その断面図である。
【0256】
コイン型の蓄電池300は、正極端子を兼ねた正極缶301と負極端子を兼ねた負極缶
302とが、ポリプロピレン等で形成されたガスケット303で絶縁シールされている。
正極304は、正極集電体305と、これと接するように設けられた正極活物質層306
により形成される。
【0257】
また、負極307は、負極集電体308と、これに接するように設けられた負極活物質
層309により形成される。
【0258】
正極304は、正極503の記載を参照すればよい。正極活物質層306は、正極活物
質層502を参照すればよい。負極307は、負極506を参照すればよい。負極活物質
層309は、負極活物質層505の記載を参照すればよい。セパレータ310は、セパレ
ータ507の記載を参照すればよい。電解液は、電解液508の記載を参照すればよい。
【0259】
なお、コイン型の蓄電池300に用いる正極304および負極307は、それぞれ活物
質層は片面のみに形成すればよい。
【0260】
正極缶301、負極缶302には、電解液に対して耐食性のあるニッケル、アルミニウ
ム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金、例えばステンレス
鋼等を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウ
ム等を被覆することが好ましい。正極缶301は正極304と、負極缶302は負極30
7とそれぞれ電気的に接続する。
【0261】
これら負極307、正極304およびセパレータ310を電解質に含浸させ、図17
B)に示すように、正極缶301を下にして正極304、セパレータ310、負極307
、負極缶302をこの順で積層し、正極缶301と負極缶302とをガスケット303を
介して圧着してコイン形の蓄電池300を製造する。
【0262】
〈円筒型蓄電池〉
次に蓄電装置の一例として、円筒型の蓄電池を示す。円筒型の蓄電池について、図18
を参照して説明する。円筒型の蓄電池600は、図18(A)に示すように、上面に正極
キャップ(電池蓋)601を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)602を有してい
る。これら正極キャップ601と電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキ
ン)610によって絶縁されている。
【0263】
図18(B)は、円筒型の蓄電池の断面を模式的に示した図である。中空円柱状の電池
缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで
捲回された蓄電池素子が設けられている。図示しないが、蓄電池素子はセンターピンを中
心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶60
2には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又は
これらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)、を用いることが
できる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を被覆すること
が好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電
池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、蓄電池素子
が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電
解液は、コイン型の蓄電池と同様のものを用いることができる。
【0264】
正極604は、正極503を参照すればよい。また負極606は、負極506を参照す
ればよい。また、負極606は、例えば実施の形態1に示す負極の作製方法を参照するこ
とができる。円筒型の蓄電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活
物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接
続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子60
3および負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。
正極端子603は安全弁機構612に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵
抗溶接される。安全弁機構612は、PTC素子(Positive Temperat
ure Coefficient)611を介して正極キャップ601と電気的に接続さ
れている。安全弁機構612は蓄電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キ
ャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子6
11は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流
量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(Ba
TiO)系半導体セラミックス等を用いることができる。
【0265】
図18に示すような円筒型の蓄電池のように電極を捲回する際には、捲回時に電極に大
きな応力が作用する。また、電極の捲回体を筐体に収納した場合に、電極には常に捲回軸
の外側に向かう応力が作用する。このように電極に大きな応力が作用したとしても、活物
質が劈開してしまうことを防止することができる。
【0266】
なお、本実施の形態では、蓄電池として、コイン型、円筒型および薄型の蓄電池を示し
たが、その他の封止型蓄電池、角型蓄電池等様々な形状の蓄電池を用いることができる。
また、正極、負極、およびセパレータが複数積層された構造、正極、負極、およびセパレ
ータが捲回された構造であってもよい。例えば、他の蓄電池の例を図19乃至図23に示
す。
【0267】
〈薄型の蓄電池の構成例〉
図19および図20に、薄型の蓄電池の構成例を示す。図19(A)に示す捲回体99
3は、負極994と、正極995と、セパレータ996と、を有する。
【0268】
捲回体993は、セパレータ996を挟んで負極994と、正極995とが重なり合っ
て積層され、該積層シートを捲回したものである。この捲回体993を角型の封止容器な
どで覆うことにより角型の蓄電池が作製される。
【0269】
なお、負極994、正極995およびセパレータ996からなる積層の積層数は、必要
な容量と素子体積に応じて適宜設計すればよい。負極994はリード電極997およびリ
ード電極998の一方を介して負極集電体(図示せず)に接続され、正極995はリード
電極997およびリード電極998の他方を介して正極集電体(図示せず)に接続される
【0270】
図19(B)および図19(C)に示す蓄電池990は、外装体となるフィルム981
と、凹部を有するフィルム982とを熱圧着などにより貼り合わせて形成される空間に上
述した捲回体993を収納したものである。捲回体993は、リード電極997およびリ
ード電極998を有し、フィルム981と、凹部を有するフィルム982との内部で電解
液に含浸される。
【0271】
フィルム981と、凹部を有するフィルム982は、例えばアルミニウムなどの金属材
料や樹脂材料を用いることができる。フィルム981および凹部を有するフィルム982
の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときにフィルム981と、凹部
を有するフィルム982を変形させることができ、可撓性を有する蓄電池を作製すること
ができる。
【0272】
また、図19(B)および図19(C)では2枚のフィルムを用いる例を示しているが
、1枚のフィルムを折り曲げることによって空間を形成し、その空間に上述した捲回体9
93を収納してもよい。
【0273】
また蓄電装置の外装体や、封止容器を樹脂材料などにすることによって可撓性を有する
蓄電装置を作製することができる。ただし、外装体や、封止容器を樹脂材料にする場合、
外部に接続を行う部分は導電材料とする。
【0274】
例えば、可撓性を有する別の薄型蓄電池の例を図20に示す。図20(A)の捲回体9
93は、図19(A)に示したものと同一であるため、詳細な説明は省略することとする
【0275】
図20(B)および図20(C)に示す蓄電池990は、外装体991の内部に上述し
た捲回体993を収納したものである。捲回体993は、リード電極997およびリード
電極998を有し、外装体991、992の内部で電解液に含浸される。外装体991、
992は、例えばアルミニウムなどの金属材料や樹脂材料を用いることができる。外装体
991、992の材料として樹脂材料を用いれば、外部から力が加わったときに外装体9
91、992を変形させることができ、可撓性を有する薄型蓄電池を作製することができ
る。
【0276】
本発明の一態様に係る活物質を含む電極を、可撓性を有する薄型蓄電池に用いることに
より、薄型蓄電池を繰り返し折り曲げることによって電極に応力が作用したとしても、活
物質が劈開してしまうことを防止することができる。
【0277】
以上により、劈開面の少なくとも一部にグラフェンで覆われた活物質を電極に用いるこ
とにより、蓄電池の電圧の低下や、放電容量の低下を抑制することができる。これにより
、充放電に伴う蓄電池のサイクル特性を向上させることができる。
【0278】
〈蓄電システムの構造例〉
また、蓄電システムの構造例について、図21乃至図23を用いて説明する。ここで蓄
電システムとは、例えば、蓄電装置を搭載した機器を指す。
【0279】
図21(A)および図21(B)は、蓄電システムの外観図を示す図である。蓄電シス
テムは、回路基板900と、蓄電池913と、を有する。蓄電池913には、ラベル91
0が貼られている。さらに、図21(B)に示すように、蓄電システムは、端子951と
、端子952と、アンテナ914と、アンテナ915と、を有する。
【0280】
回路基板900は、端子911と、回路912と、を有する。端子911は、端子95
1、端子952、アンテナ914、アンテナ915、および回路912に接続される。な
お、端子911を複数設けて、複数の端子911のそれぞれを、制御信号入力端子、電源
端子などとしてもよい。
【0281】
回路912は、回路基板900の裏面に設けられていてもよい。なお、アンテナ914
およびアンテナ915は、コイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。ま
た、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘
電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ914若しくはアンテナ91
5は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能
することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、
アンテナ914若しくはアンテナ915を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界
だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
【0282】
アンテナ914の線幅は、アンテナ915の線幅よりも大きいことが好ましい。これに
より、アンテナ914により受電する電力量を大きくできる。
【0283】
蓄電システムは、アンテナ914およびアンテナ915と、蓄電池913との間に層9
16を有する。層916は、例えば蓄電池913による電磁界を遮蔽することができる機
能を有する。層916としては、例えば磁性体を用いることができる。
【0284】
なお、蓄電システムの構造は、図21に示す構造に限定されない。
【0285】
例えば、図22(A-1)および図22(A-2)に示すように、図21(A)および
図21(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれにアンテナを設け
てもよい。図22(A-1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、図2
2(A-2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図21(A)
および図21(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図21(A)および図2
1(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
【0286】
図22(A-1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでア
ンテナ914が設けられ、図22(A-2)に示すように、蓄電池913の一対の面の他
方に層917を挟んでアンテナ915が設けられる。層917は、例えば蓄電池913に
よる電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層917としては、例えば磁性体を用
いることができる。
【0287】
上記構造にすることにより、アンテナ914およびアンテナ915の両方のサイズを大
きくすることができる。
【0288】
または、図22(B-1)および図22(B-2)に示すように、図21(A)および
図21(B)に示す蓄電池913のうち、対向する一対の面のそれぞれに別のアンテナを
設けてもよい。図22(B-1)は、上記一対の面の一方側方向から見た外観図であり、
図22(B-2)は、上記一対の面の他方側方向から見た外観図である。なお、図21
A)および図21(B)に示す蓄電システムと同じ部分については、図21(A)および
図21(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
【0289】
図22(B-1)に示すように、蓄電池913の一対の面の一方に層916を挟んでア
ンテナ914およびアンテナ915が設けられ、図22(B-2)に示すように、蓄電池
913の一対の面の他方に層917を挟んでアンテナ918が設けられる。アンテナ91
8は、例えば、外部機器とのデータ通信を行うことができる機能を有する。アンテナ91
8には、例えばアンテナ914およびアンテナ915に適用可能な形状のアンテナを適用
することができる。アンテナ918を介した蓄電システムと他の機器との通信方式として
は、NFCなど、蓄電システムと他の機器の間で用いることができる応答方式などを適用
することができる。
【0290】
又は、図23(A)に示すように、図21(A)および図21(B)に示す蓄電池91
3に表示装置920を設けてもよい。表示装置920は、端子919を介して端子911
に電気的に接続される。なお、表示装置920が設けられる部分にラベル910を設けな
くてもよい。なお、図21(A)および図21(B)に示す蓄電システムと同じ部分につ
いては、図21(A)および図21(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用できる。
【0291】
表示装置920には、例えば充電中であるか否かを示す画像、蓄電量を示す画像などを
表示してもよい。表示装置920としては、例えば電子ペーパー、液晶表示装置、エレク
トロルミネセンス(ELともいう)表示装置などを用いることができる。例えば、電子ペ
ーパーを用いることにより表示装置920の消費電力を低減することができる。
【0292】
又は、図23(B)に示すように、図21(A)および図21(B)に示す蓄電池91
3にセンサ921を設けてもよい。センサ921は、端子922を介して端子911に電
気的に接続される。なお、図21(A)および図21(B)に示す蓄電システムと同じ部
分については、図21(A)および図21(B)に示す蓄電システムの説明を適宜援用で
きる。
【0293】
センサ921としては、例えば、力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距
離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射
線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むものを用いること
ができる。センサ921を設けることにより、例えば、蓄電システムが置かれている環境
を示すデータ(温度など)を検出し、回路912内のメモリに記憶しておくこともできる
【0294】
本実施の形態で示す蓄電池や蓄電システムには、本発明の一態様に係る電極が用いられ
ている。そのため、蓄電池や蓄電システムの容量の大きくすることができる。また、エネ
ルギー密度を高めることができる。また、信頼性を高めることができる。また、寿命を長
くすることができる。
【0295】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0296】
(実施の形態3)
本実施の形態では、可撓性を有する蓄電池を電子機器に実装する例について説明する。
【0297】
実施の形態2に示す可撓性を有する蓄電池を電子機器に実装する例を図24に示す。可
撓性を有する蓄電池を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又
はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジ
タルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置とも
いう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機
などが挙げられる。
【0298】
また、可撓性を有する蓄電池を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または
外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0299】
図24(A)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体740
1に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、
スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、蓄
電装置7407を有している。
【0300】
図24(B)は、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機74
00を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電装
置7407も湾曲される。また、その時、曲げられた蓄電装置7407の状態を図24
C)に示す。蓄電装置7407は薄型の蓄電池である。蓄電装置7407は曲げられた状
態で固定されている。なお、蓄電装置7407は集電体7409と電気的に接続されたリ
ード電極7408を有している。
【0301】
図24(D)は、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は
、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び蓄電装置7104を備える
。また、図24(E)に曲げられた蓄電装置7104の状態を示す。蓄電装置7104は
曲げられた状態で使用者の腕への装着時に、筐体が変形して蓄電装置7104の一部また
は全部の曲率が変化する。なお、曲線の任意の点における曲がり具合を相当する円の半径
の値で表したものを曲率半径であり、曲率半径の逆数を曲率と呼ぶ。具体的には、曲率半
径が40mm以上150mm以下の範囲内で筐体または蓄電装置7104の主表面の一部
または全部が変化する。蓄電装置7104の主表面における曲率半径が40mm以上15
0mm以下の範囲であれば、高い信頼性を維持できる。
【0302】
図24(F)は、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200
は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7
205、入出力端子7206などを備える。
【0303】
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、イン
ターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することがで
きる。
【0304】
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行う
ことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面
に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7
207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0305】
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オ
フ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を
持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティング
システムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
【0306】
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能
である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリー
で通話することもできる。
【0307】
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクター
を介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充
電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により
行ってもよい。
【0308】
携帯情報端末7200の表示部7202には、本発明の一態様の電極を備える蓄電装置
を有している。例えば、図24(E)に示した蓄電装置7104を、筐体7201の内部
に湾曲した状態で、またはバンド7203の内部に湾曲可能な状態で組み込むことができ
る。
【0309】
携帯情報端末7200はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋セ
ンサ、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサや、タッチセンサ、加圧センサ、加速度セ
ンサ、等が搭載されることが好ましい。
【0310】
図24(G)は、腕章型の表示装置の一例を示している。表示装置7300は、表示部
7304を有し、本発明の一態様の蓄電装置を有している。また、表示装置7300は、
表示部7304にタッチセンサを備えることもでき、また、携帯情報端末として機能させ
ることもできる。
【0311】
表示部7304はその表示面が湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うこと
ができる。また、表示装置7300は、通信規格された近距離無線通信などにより、表示
状況を変更することができる。
【0312】
また、表示装置7300は入出力端子を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接
データのやりとりを行うことができる。また入出力端子を介して充電を行うこともできる
。なお、充電動作は入出力端子を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0313】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0314】
(実施の形態4)
本実施の形態では、蓄電装置を搭載することのできる電子機器の一例を示す。
【0315】
図25(A)および図25(B)に、2つ折り可能なタブレット型端末の一例を示す。
図25(A)および図25(B)に示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、
筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9
631aと表示部9631bを有する表示部9631、表示モード切り替えスイッチ96
26、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629
、操作スイッチ9628、を有する。図25(A)は、タブレット型端末9600を開い
た状態を示し、図25(B)は、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
【0316】
また、タブレット型端末9600は、筐体9630aおよび筐体9630bの内部に蓄
電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐
体9630bに渡って設けられている。
【0317】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示さ
れた操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部96
31aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領
域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部96
31aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9
631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表
示画面として用いることができる。
【0318】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一
部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボー
ド表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれること
で表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
【0319】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時に
タッチ入力することもできる。
【0320】
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを
切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えス
イッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用
時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末
は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検
出装置を内蔵させてもよい。
【0321】
また、図25(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示
しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表
示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネ
ルとしてもよい。
【0322】
図25(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9
633、DCDCコンバータ9636を含む充放電制御回路9634有する。また、蓄電
体9635として、本発明の一態様に係る蓄電体を用いる。
【0323】
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630aお
よび筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより
、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、タブレット型端末9600の
耐久性を高めることができる。また、本発明の一態様の蓄電体を用いた蓄電体9635は
可撓性を有し、曲げ伸ばしを繰り返しても充放電容量が低下しにくい。よって、信頼性の
優れたタブレット型端末を提供できる。
【0324】
また、この他にも図25(A)および図25(B)に示したタブレット型端末は、様々
な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻
などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッ
チ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有す
ることができる。
【0325】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル
、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、
筐体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う
構成とすることができる。なお蓄電体9635としては、リチウムイオン蓄電池を用いる
と、小型化を図れる等の利点がある。
【0326】
また、図25(B)に示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図25
(C)にブロック図を示し説明する。図25(C)には、太陽電池9633、蓄電体96
35、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至スイッチ
SW3、表示部9631について示しており、蓄電体9635、DCDCコンバータ96
36、コンバータ9637、スイッチSW1乃至スイッチSW3が、図25(B)に示す
充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0327】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する
。太陽電池で発電した電力は、蓄電体9635を充電するための電圧となるようDCDC
コンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電
池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ963
7で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部963
1での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにして蓄電体9635の
充電を行う構成とすればよい。
【0328】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、
圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段による蓄
電体9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信
して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成と
してもよい。
【0329】
図26に、他の電子機器の例を示す。図26において、表示装置8000は、本発明の
一態様に係る蓄電装置8004を用いた電子機器の一例である。具体的に、表示装置80
00は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ
部8003、蓄電装置8004等を有する。本発明の一態様に係る蓄電装置8004は、
筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を
受けることもできるし、蓄電装置8004に蓄積された電力を用いることもできる。よっ
て、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時でも、本発明の一態様に係
る蓄電装置8004を無停電電源として用いることで、表示装置8000の利用が可能と
なる。
【0330】
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発
光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Dev
ice)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field
Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0331】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用な
ど、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0332】
図26において、据え付け型の照明装置8100は、本発明の一態様に係る蓄電装置8
103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、
光源8102、蓄電装置8103等を有する。図26では、蓄電装置8103が、筐体8
101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例
示しているが、蓄電装置8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明
装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8103に
蓄積された電力を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給
が受けられない時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8103を無停電電源として用い
ることで、照明装置8100の利用が可能となる。
【0333】
なお、図26では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示して
いるが、本発明の一態様に係る蓄電装置は、天井8104以外、例えば側壁8105、床
8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓
上型の照明装置などに用いることもできる。
【0334】
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることがで
きる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発
光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0335】
図26において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは
、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室
内機8200は、筐体8201、送風口8202、蓄電装置8203等を有する。図26
では、蓄電装置8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、蓄
電装置8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室
外機8204の両方に、蓄電装置8203が設けられていても良い。エアコンディショナ
ーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8203に蓄積された
電力を用いることもできる。特に、室内機8200と室外機8204の両方に蓄電装置8
203が設けられている場合、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない時
でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8203を無停電電源として用いることで、エアコ
ンディショナーの利用が可能となる。
【0336】
なお、図26では、室内機と室外機で構成されるセパレート型のエアコンディショナー
を例示しているが、室内機の機能と室外機の機能とを1つの筐体に有する一体型のエアコ
ンディショナーに、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることもできる。
【0337】
図26において、電気冷凍冷蔵庫8300は、本発明の一態様に係る蓄電装置8304
を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、
冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、蓄電装置8304等を有する。図26では、
蓄電装置8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は
、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、蓄電装置8304に蓄積された電力
を用いることもできる。よって、停電などにより商用電源から電力の供給が受けられない
時でも、本発明の一態様に係る蓄電装置8304を無停電電源として用いることで、電気
冷凍冷蔵庫8300の利用が可能となる。
【0338】
なお、上述した電子機器のうち、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器などの電
子機器は、短時間で高い電力を必要とする。よって、商用電源では賄いきれない電力を補
助するための補助電源として、本発明の一態様に係る蓄電装置を用いることで、電子機器
の使用時に商用電源のブレーカーが落ちるのを防ぐことができる。
【0339】
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量
のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、蓄
電装置に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑え
ることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉83
02、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、蓄電装置8304に電力を
蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行
われる昼間において、蓄電装置8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用
率を低く抑えることができる。
【0340】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0341】
(実施の形態5)
本実施の形態では、車両に蓄電装置を搭載する例を示す。
【0342】
また、蓄電装置を車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)
、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実
現できる。
【0343】
図27において、本発明の一態様を用いた車両を例示する。図27(A)に示す自動車
8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または
、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能な
ハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現
することができる。また、自動車8400は蓄電装置を有する。蓄電装置は電気モーター
8406を駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)など
の発光装置に電力を供給することができる。
【0344】
また、蓄電装置は、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表
示装置に電力を供給することができる。また、蓄電装置は、自動車8400が有するナビ
ゲーションシステムなどの半導体装置に電力を供給することができる。
【0345】
図27(B)に示す自動車8500は、自動車8500が有する蓄電装置にプラグイン
方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することがで
きる。図27(B)に、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された
蓄電装置8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際
しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定
の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーション
でもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部から
の電力供給により自動車8500に搭載された蓄電装置8024を充電することができる
。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行
うことができる。
【0346】
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供
給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を
組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給
電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部
に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電装置の充電を行ってもよい。このような非接触
での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0347】
本発明の一態様によれば、蓄電装置のサイクル特性が良好となり、信頼性を向上させる
ことができる。また、本発明の一態様によれば、蓄電装置の特性を向上することができ、
よって、蓄電装置自体を小型軽量化することができる。蓄電装置自体を小型軽量化できれ
ば、車両の軽量化に寄与するため、航続距離を向上させることができる。また、車両に搭
載した蓄電装置を車両以外の電力供給源として用いることもできる。この場合、電力需要
のピーク時に商用電源を用いることを回避することができる。
【0348】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例
【0349】
本実施例では、本発明の一態様の負極について図3に示すフローに基づいて説明する。
【0350】
図3のステップS101乃至S105に基づき、電極の塗工に用いるスラリーを作製し
た。
【0351】
図3のステップS101において、シリコンウェハ(p型、面方位(100))を粉砕
して負極活物質121に用いるシリコン粒子を作製した。ボールミル処理の粉砕条件は、
シリコン粉末4g、3mm径のボール、アセトンを容器に入れ、400rpm、5時間と
した。また、篩は75μmの穴径の篩を用いた。
【0352】
図3のステップS102において、シリコン粒子表面を酸化し、シリコン酸化膜を形成
した。加熱処理条件は、大気雰囲気で900℃、1.5時間とした。
【0353】
図28は、上述のようにステップS102で作製したシリコン粒子の断面SEM写真で
ある。図28の断面SEM写真では、シリコン粒子の表面にシリコン酸化膜126が形成
されていることが示されている。また、粒子径の小さいシリコン粒子は、加熱処理によっ
て全てシリコン酸化膜126になる。
【0354】
図3のステップS103において、グラフェン化合物、結着材をステップS102で作
製したシリコン粒子に添加した。ここではグラフェン化合物に酸化グラフェンを用いた。
シリコン粒子、酸化グラフェン、ポリイミドの前駆体の混合比率を、60:20:20(
重量%)となるように配合した。具体的には、シリコン粒子1.0g、酸化グラフェン0
.33g、ポリイミドの前駆体2.4gとしたものを混合した。なお、ポリイミドの前駆
体は、全体の13.7%が加熱工程後でイミド化してポリイミドとなる。すなわち、イミ
ド化してポリイミドとなる重量は、0.33g(2.4g×0.137)である。
【0355】
また、上記の混合の手順として、酸化グラフェン、ポリイミドの前駆体及びNMP(分
散媒)6.0mlを混合した混合液を作成した。この混合液を適量(ここでは0.6ml
)、シリコン粒子と混合し、固練りと分散媒の揮発除去を行った。この混合、固練り、及
び分散媒の揮発除去の手順を混合液が無くなるまで複数回繰り返し行った。なお、固練り
の時間は40分、分散媒の揮発除去は110℃、10時間とした。
【0356】
ステップS104において、シリコン粒子表面に形成されているシリコン酸化膜をエッ
チング処理により除去した。エッチング処理には、フッ化水素アンモニウム(NHHF
)を7.13%とフッ化アンモニウム(NHF)を15.4%含む混合溶液(ステラ
ケミファ社製、商品名LAL500)を用いた。上記混合液をシリコン粒子に滴下後、5
分間放置して、純水を用いて複数回洗浄した。なお、ステップS104における真空乾燥
は、110℃、10時間とした。また加熱処理については、真空炉において400℃、1
時間とした。ここで、ステップS103において混合した酸化グラフェンは加熱処理によ
り熱還元されてグラフェンとなり、ポリイミドの前駆体は加熱処理によりイミド化されポ
リイミドとなる。
【0357】
図29は、上述のようにステップS104で作製した混合物の断面SEM写真である。
図29の断面SEM写真では、負極活物質121であるシリコン粒子、及びシリコン粒子
の周囲に設けられた空隙124が、グラフェン127とポリイミド128の混合物に覆わ
れていることが示されている。また、シリコン粒子が存在しない領域においても、空隙1
25がグラフェン127とポリイミド128によって覆われていることが示されている。
ここで、グラフェン127は100nm程度の厚さを有することから複数層から形成され
る還元した酸化グラフェンであることが示唆される。
【0358】
ステップS105において、ポリイミドの前駆体とステップS104で作製した混合物
を混合して、スラリーを作製した。混合物、ポリイミドの前駆体の混合比率を、85:1
5(重量%)となるように配合した。具体的には、混合物0.256g、ポリイミドの前
駆体0.3504gとしたものを混合し、NMP(分散媒)1.21gを加えて固練りを
行った。なお、固練りの時間は40分とした。
【0359】
図3のステップS106乃至ステップS108に基づいて、上記スラリーを負極集電体
に塗布し、分散媒の揮発除去、及び加熱処理を行い、負極を作製した。
【0360】
ステップS106において、負極集電体にスラリーを塗布し、分散媒の揮発除去を行っ
た。負極集電体として厚さ18μmの銅を用いた。また塗布方法としてブレード法を用い
て塗布した。なお、ブレードは集電体表面に対して100μmのギャップを有したブレー
ドを用いた。また、分散媒の揮発除去には通風乾燥機を用い、80℃、2時間とした。
【0361】
ステップS107において、加熱処理を行った。加熱処理は真空炉を用いて、400℃
、1時間とした。
【0362】
図30は、上述のように作製した負極を用いた場合のリチウムイオン蓄電池のサイクル
特性を示したものであり、ハーフセルを形成して測定した結果を示すものである。当該ハ
ーフセルでの特性の評価には、正極に金属リチウムを用いた。また、当該ハーフセル作製
において、CR2032タイプ(直径20mm高さ3.2mm)のコイン型の蓄電池を用
いた。また、充放電レートを1Cとして測定した。
【0363】
また、電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)
とを体積比で3:7の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF
)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。セパレータにはポリプロピレンを
用いた。
【0364】
図30において、縦軸に容量(mAh/g)、横軸にサイクル数を示す。当該測定にお
いて、充放電は200サイクル行われた。実線が充電、破線が放電を示している。
【0365】
<参考例1>
本参考例の負極における負極活物質層は、負極活物質としてシリコンウェハを粉砕した
シリコン粒子を用いるが、本発明の一態様で設けたシリコン粒子の周囲に存在する空隙を
設けない。
【0366】
参考例の負極の負極活物質は、上記実施例で示した図3のステップS102、及びステ
ップS104を省いた工程で作製した。具体的には、ステップS102におけるシリコン
粒子に加熱処理を施し、シリコン粒子表面にシリコン酸化膜を形成する工程と、ステップ
S104における該シリコン酸化膜を除去する工程を省いて作成した。
【0367】
図31は、上述のように作製した負極を用いた場合のリチウムイオン蓄電池のサイクル
特性を示したものであり、ハーフセルを形成して測定した結果を示すものである。当該ハ
ーフセルでの特性の評価には、正極に金属リチウムを用いた。また、当該ハーフセル作製
において、CR2032タイプ(直径20mm高さ3.2mm)のコイン型の蓄電池を用
いた。また、充放電レートを1Cとして測定した。
【0368】
また、電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)
とを体積比で3:7の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF
)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いた。セパレータにはポリプロピレンを
用いた。
【0369】
図31において、縦軸に容量(mAh/g)、横軸にサイクル数を示す。当該測定にお
いて、充放電は39サイクル行われた。実線が充電、破線が放電を示している。
【0370】
図31に示されるように、参考例の負極のサイクル特性は、サイクル数が10回を超え
たところで急激に容量が減少し、サイクル数が20回に達する前に、容量が保持できなく
なる。本参考例において、急激に容量が減少した原因として、充放電に伴うシリコン粒子
の体積の膨張と収縮で生じる応力によって、負極集電体とシリコン粒子との接触領域、活
物質同士の接触領域が減少するためである。この現象により、負極内部の導電パスが損な
われ、電池特性が劣化したためである。
【0371】
一方で、図30に示されるように、本発明の一態様に基づいて作製した負極のサイクル
特性は、サイクル数の増加に伴い、緩やかに容量が減少するが、サイクル数が200回に
達しても容量を保持している。これは、シリコン粒子が充放電に伴う体積の膨張と収縮を
繰り返しても、シリコン粒子の周囲、または負極活物質層に分布した空隙が、体積の膨張
と収縮により生じる応力を緩和したためである。それにより、負極内部の導電パスが維持
され、充放電のサイクルに伴う容量の低下を防ぐことが可能となった。
【符号の説明】
【0372】
101 負極
107 負極活物質層
109 負極集電体
111 正極
111a 正極
115 負極
115a 負極
121 負極活物質
122 結着材
123 グラフェン化合物
124 空隙
125 空隙
126 シリコン酸化膜
127 グラフェン
128 ポリイミド
130 電極組立体
131 電極組立体
151 正極集電体
152 正極活物質層
153 セパレータ
155 負極集電体
156 負極活物質層
157 外装体
300 蓄電池
301 正極缶
302 負極缶
303 ガスケット
304 正極
305 正極集電体
306 正極活物質層
307 負極
308 負極集電体
309 負極活物質層
310 セパレータ
322 正極活物質
323 結着材
331 第1の領域
332 第2の領域
333 第3の領域
500 蓄電池
501 正極集電体
502 正極活物質層
503 正極
504 負極集電体
505 負極活物質層
506 負極
507 セパレータ
508 電解液
509 外装体
510 正極リード電極
511 負極リード電極
512 溶接領域
513 湾曲部
514 封止部
600 蓄電池
601 正極キャップ
602 電池缶
603 正極端子
604 正極
605 セパレータ
606 負極
607 負極端子
608 絶縁板
609 絶縁板
611 PTC素子
612 安全弁機構
900 回路基板
910 ラベル
911 端子
912 回路
913 蓄電池
914 アンテナ
915 アンテナ
916 層
917 層
918 アンテナ
919 端子
920 表示装置
921 センサ
922 端子
951 端子
952 端子
981 フィルム
982 フィルム
990 蓄電池
991 外装体
992 外装体
993 捲回体
994 負極
995 正極
996 セパレータ
997 リード電極
998 リード電極
1700 曲面
1701 平面
1702 曲線
1703 曲率半径
1704 曲率中心
1800 曲率中心
1801 フィルム
1802 曲率半径
1803 フィルム
1804 曲率半径
7100 携帯表示装置
7101 筐体
7102 表示部
7103 操作ボタン
7104 蓄電装置
7200 携帯情報端末
7201 筐体
7202 表示部
7203 バンド
7204 バックル
7205 操作ボタン
7206 入出力端子
7207 アイコン
7300 表示装置
7304 表示部
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7407 蓄電装置
7408 リード電極
7409 集電体
8000 表示装置
8001 筐体
8002 表示部
8003 スピーカ部
8004 蓄電装置
8021 充電装置
8022 ケーブル
8024 蓄電装置
8100 照明装置
8101 筐体
8102 光源
8103 蓄電装置
8104 天井
8105 側壁
8106 床
8107 窓
8200 室内機
8201 筐体
8202 送風口
8203 蓄電装置
8204 室外機
8300 電気冷凍冷蔵庫
8301 筐体
8302 冷蔵室用扉
8303 冷凍室用扉
8304 蓄電装置
8400 自動車
8401 ヘッドライト
8406 電気モーター
8500 自動車
9600 タブレット型端末
9625 スイッチ
9626 スイッチ
9627 電源スイッチ
9628 操作スイッチ
9629 留め具
9630 筐体
9630a 筐体
9630b 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a 領域
9632b 領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 蓄電体
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9638 操作キー
9639 ボタン
9640 可動部
図1
図2
図3
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図5
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