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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】検知装置、検知方法及び検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/20 20170101AFI20221110BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221110BHJP
   G06M 7/00 20060101ALI20221110BHJP
   G06F 16/532 20190101ALI20221110BHJP
【FI】
G06T7/20 300Z
H04N7/18 D
G06M7/00 301Q
G06F16/532
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021040897
(22)【出願日】2021-03-15
(65)【公開番号】P2022140869
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】394013002
【氏名又は名称】三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 凌太
(72)【発明者】
【氏名】山足 光義
(72)【発明者】
【氏名】中尾 尭理
(72)【発明者】
【氏名】西濱 令
(72)【発明者】
【氏名】阿部 紘和
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-227593(JP,A)
【文献】特開2003-274388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/20
H04N 7/18
G06M 7/00
G06F 16/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データに含まれる対象物の移動軌跡が移動方向の条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出部と、
前記クエリ抽出部によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、前記クエリ抽出部によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検索部と
を備える検知装置。
【請求項2】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出部と、
前記クエリ抽出部によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、前記クエリ抽出部によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索し、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データが閾値以上の数だけ検索された場合に通知する検索部と
を備える検知装置。
【請求項3】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出部と、
前記クエリ抽出部によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像と、前記処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含む1つ以上の他の画像データである関連クエリ画像とのそれぞれから計算された前記対象物の特徴量に基づき前記処理対象のクエリ画像と前記関連クエリ画像とを1つ以上のグループに分類し、前記1つ以上のグループそれぞれを対象として、対象のグループに含まれる前記画像データから計算された前記対象物の特徴量についての統計量を計算する統計量計算部と、
前記統計量計算部によって計算された前記1つ以上のグループそれぞれについての前記統計量に基づき、前記クエリ抽出部によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検索部と
を備える検知装置。
【請求項4】
前記移動方向の条件は、前記対象物が前記カメラの奥側から手前側に向かって移動したことを示すという条件である
請求項1に記載の検知装置。
【請求項5】
前記クエリ抽出部は、前記判定対象の画像データに含まれる前記対象物が滞留エリアに滞在する時間が滞在時間の条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記クエリ画像を抽出する
請求項1から4までのいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記移動方向の条件は、前記移動軌跡を示す移動ベクトルと、前記画像データの横方向の直線との成す角によって設定される
請求項1に記載の検知装置。
【請求項7】
前記クエリ抽出部は、複数のカメラによって撮像されて得られた画像データのうち、特定のカメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記クエリ画像を抽出する
請求項1から6までのいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記検索部は、
前記ギャラリ画像である画像データを順に検索対象の画像データとして、前記処理対象のクエリ画像の対象物が前記検索対象の画像データに含まれるか否かを判定する同一性判定部と、
前記同一性判定部によって前記処理対象のクエリ画像に含まれる対象物が含まれると判定された場合に、前記検索対象の画像データの同一情報に前記処理対象のクエリ画像の識別子である画像識別子を追加し、前記処理対象のクエリ画像についての同一リストに、前記検索対象の画像データの画像識別子を追加するとともに、前記処理対象のクエリ画像についての同一リストに、前記検索対象の画像データの同一情報に存在する画像識別子を追加するリスト追加部と、
前記処理対象のクエリ画像についての同一リストに存在する画像識別子の数が前記閾値以上になった場合に通知する通知部と
を備える請求項2に記載の検知装置。
【請求項9】
前記検知装置は、さらに、
前記処理対象のクエリ画像と、前記処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含む他の画像データである関連クエリ画像とのそれぞれから計算された前記対象物の特徴量から、前記対象物の特徴量についての統計量を計算する統計量計算部
を備え、
前記検索部は、前記統計量計算部によって計算された前記統計量に基づき、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する
請求項1又は2に記載の検知装置。
【請求項10】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データに含まれる対象物の移動軌跡が移動方向の条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出し、
抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検知方法。
【請求項11】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出し、
抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索し、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データが閾値以上の数だけ検索された場合に通知する検知方法。
【請求項12】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出し、
抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像と、前記処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含む1つ以上の他の画像データである関連クエリ画像とのそれぞれから計算された前記対象物の特徴量に基づき前記処理対象のクエリ画像と前記関連クエリ画像とを1つ以上のグループに分類し、前記1つ以上のグループそれぞれを対象として、対象のグループに含まれる前記画像データから計算された前記対象物の特徴量についての統計量を計算し、
前記1つ以上のグループそれぞれについての前記統計量に基づき、過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検知方法。
【請求項13】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データに含まれる対象物の移動軌跡が移動方向の条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出処理と、
前記クエリ抽出処理によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、前記クエリ抽出処理によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検索処理と
を行う検知装置としてコンピュータを機能させる検知プログラム。
【請求項14】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出処理と、
前記クエリ抽出処理によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、前記クエリ抽出処理によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索し、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データが閾値以上の数だけ検索された場合に通知する検索処理と
を行う検知装置としてコンピュータを機能させる検知プログラム。
【請求項15】
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出処理と、
前記クエリ抽出処理によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像と、前記処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含む1つ以上の他の画像データである関連クエリ画像とのそれぞれから計算された前記対象物の特徴量に基づき前記処理対象のクエリ画像と前記関連クエリ画像とを1つ以上のグループに分類し、前記1つ以上のグループそれぞれを対象として、対象のグループに含まれる前記画像データから計算された前記対象物の特徴量についての統計量を計算する統計量計算処理と、
前記統計量計算処理によって計算された前記1つ以上のグループそれぞれについての前記統計量に基づき、前記クエリ抽出処理によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検索処理と
を行う検知装置としてコンピュータを機能させる検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の画像データに基づき不審者等を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設又は交通施設等の施設内をうろついている不審者を検知することにより、犯罪等の発生を未然に防ぐことが可能になる。現在は、監視カメラによって撮像されて得られた画像データを人が監視して、うろついている人を目視で探すといった方法により、不審者を検知している。施設が大きくなり、施設内にいる人が多くなると、不審者を検知するための負担が重くなる。
【0003】
特許文献1には、複数のカメラのフレーム画像から検知された人の特徴量及び人の画像データを蓄積しておき、ユーザによって指定された画像データに含まれる人と類似する人を蓄積された画像データから検索することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-160001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術を用いることにより、監視カメラ等によって撮像されて得られた画像データから機械的に対象者を探すことが可能になる。しかし、特許文献1に記載された技術では、施設内をうろついている不審者等を検知することはできない。
特に、監視カメラ等によって撮像されて得られる画像データは膨大な量になる。そのため、膨大な量の画像データから不審者を検知する処理は負荷が重くなってしまう。
本開示は、処理負荷を抑えつつ、施設内をうろつく不審者等を検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る検知装置は、
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データを前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出部と、
前記クエリ抽出部によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、前記クエリ抽出部によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検索部と
を備える。
【0007】
前記クエリ抽出部は、前記判定対象の画像データに含まれる前記対象物が滞留エリアに滞在する時間が滞在時間の条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記クエリ画像を抽出する。
【0008】
前記クエリ抽出部は、前記判定対象の画像データに含まれる対象物の移動軌跡が移動方向の条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データから前記クエリ画像を抽出する。
【0009】
前記移動方向の条件は、前記移動軌跡を示す移動ベクトルと、前記画像データの横方向の直線との成す角によって設定される。
【0010】
前記クエリ抽出部は、複数のカメラによって撮像されて得られた画像データのうち、特定のカメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記クエリ画像を抽出する。
【0011】
前記検索部は、前記処理対象のクエリ画像に含まれる対象物を含む画像データが閾値以上の数だけ検索された場合に通知する。
【0012】
前記検索部は、
前記ギャラリ画像である画像データを順に検索対象の画像データとして、前記処理対象のクエリ画像の対象物が前記検索対象の画像データに含まれるか否かを判定する同一性判定部と、
前記同一性判定部によって前記処理対象のクエリ画像に含まれる対象物が含まれると判定された場合に、前記検索対象の画像データの同一情報に前記処理対象のクエリ画像の識別子である画像識別子を追加し、前記処理対象のクエリ画像についての同一リストに、前記検索対象の画像データの画像識別子を追加するとともに、前記処理対象のクエリ画像についての同一リストに、前記検索対象の画像データの同一情報に存在する画像識別子を追加するリスト追加部と、
前記処理対象のクエリ画像についての同一リストに存在する画像識別子の数が前記閾値以上になった場合に通知する通知部と
を備える。
【0013】
前記検知装置は、さらに、
前記処理対象のクエリ画像と、前記処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含む他の画像データである関連クエリ画像とのそれぞれから計算された前記対象物の特徴量から、前記対象物の特徴量についての統計量を計算する統計量計算部
を備え、
前記検索部は、前記統計量計算部によって計算された前記統計量に基づき、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する。
【0014】
前記検知装置は、さらに、
前記処理対象のクエリ画像と、前記処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含む1つ以上の他の画像データである関連クエリ画像とのそれぞれから計算された前記対象物の特徴量に基づき前記処理対象のクエリ画像と前記関連クエリ画像とを1つ以上のグループに分類し、前記1つ以上のグループそれぞれを対象として、対象のグループに含まれる前記画像データから計算された前記対象物の特徴量についての統計量を計算する統計量計算部
を備え、
前記検索部は、前記統計量計算部によって計算された前記1つ以上のグループそれぞれについての前記統計量に基づき、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含むギャラリ画像を検索する。
【0015】
本開示に係る検知方法は、
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データを前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出し、
抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する。
【0016】
本開示に係る検知プログラムは、
カメラによって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして、前記判定対象の画像データに対象物が含まれ、かつ、前記判定対象の画像データが条件を満たす場合に、前記判定対象の画像データを前記対象物についての部分画像をクエリ画像として抽出するクエリ抽出処理と、
前記クエリ抽出処理によって新たに抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像として、前記処理対象のクエリ画像に基づき、前記クエリ抽出処理によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、前記処理対象のクエリ画像の対象物を含む画像データを検索する検索処理と
を行う検知装置としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本開示では、条件を満たす画像データからクエリ画像を抽出し、新たに抽出されたクエリ画像に基づき、過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、クエリ画像の対象物を含む画像データを検索する。これにより、検索対象とする画像データの数を絞りつつ、決められた範囲をうろつく不審者等を検知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態1に係る検知装置10の構成図。
図2】実施の形態1に係る検知装置10の処理の概要を示すフローチャート。
図3】実施の形態1に係るクエリ抽出処理(図2のステップS1)のフローチャート。
図4】実施の形態1に係るクエリ判定処理(図3のステップS15)のフローチャート。
図5】実施の形態1に係る滞留エリアの説明図。
図6】実施の形態1に係る滞在判定処理(図4のステップS155)の説明図。
図7】実施の形態1に係る滞在判定処理(図4のステップS155)の説明図。
図8】実施の形態1に係る滞在判定処理(図4のステップS155)の説明図。
図9】実施の形態1に係る方向判定処理(図4のステップS156)の説明図。
図10】実施の形態1に係る検索処理(図2のステップS2)のフローチャート。
図11】実施の形態1に係る同一リスト更新の具体例の説明図。
図12】実施の形態1に係る同一リスト更新の具体例の説明図。
図13】実施の形態1に係る同一リスト更新の具体例の説明図。
図14】実施の形態1に係る同一リスト更新の具体例の説明図。
図15】変形例4に係る検知装置10の構成図。
図16】実施の形態2に係る検知装置10の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る検知装置10の構成を説明する。
検知装置10は、コンピュータである。
検知装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0020】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0021】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0022】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)である。また、ストレージ13は、SD(登録商標,Secure Digital)メモリカード、CF(CompactFlash,登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。
【0023】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標,High-Definition Multimedia Interface)のポートである。
検知装置10には、通信インタフェース14を介して1台以上のカメラ40が接続されている。また、検知装置10には、通信インタフェース14を介して記憶装置50が接続されている。
【0024】
検知装置10は、機能構成要素として、取得部111と、検知部112と、特徴量計算部113と、追跡部114と、クエリ抽出部115と、検索部116とを備える。検索部116は、同一性判定部117と、リスト追加部118と、通知部119とを備える。検知装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、検知装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、検知装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0025】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0026】
***動作の説明***
図2から図13を参照して、実施の形態1に係る検知装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る検知装置10の動作手順は、実施の形態1に係る検知方法に相当する。また、実施の形態1に係る検知装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る検知プログラムに相当する。
【0027】
図2を参照して、実施の形態1に係る検知装置10の処理の概要を説明する。
(ステップS1:クエリ抽出処理)
取得部111は、カメラ40によって撮像されて得られた画像データを順に判定対象の画像データとして取得する。クエリ抽出部115は、複数の画像データのうち、対象物が含まれる画像データであって、条件を満たす画像データから対象物についての部分画像をクエリ画像として切り出す。クエリ画像は、画像データから対象物の検知された部分画像を切り出した画像である。以降、クエリ画像を切り出すことを、クエリ画像の抽出と表現する。
【0028】
(ステップS2:検索処理)
検索部116は、クエリ抽出部115によって抽出されたクエリ画像を処理対象のクエリ画像に設定する。検索部116は、処理対象のクエリ画像に基づき、クエリ抽出部115によって過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含む画像データを検索する。
【0029】
図3を参照して、実施の形態1に係るクエリ抽出処理(図2のステップS1)を説明する。
ここで、検知装置10に接続された各カメラ40は、一意なカメラID(IDentifier)が割り当てられており、対象物を検知する対象エリアの一部を撮像するように設置されている。対象物は、人と動物と車といったものである。実施の形態1では、対象物として人を例に説明する。対象エリアは、商業施設と交通施設といった施設である。
各カメラ40は、既定のフレームレートの映像データを取得している。各カメラ40は、映像データを構成する新しいフレームの画像データが取得されると、画像データをカメラID及び画像データの撮像時刻とともに接続された検知装置10に送信する。
【0030】
(ステップS11:画像取得処理)
取得部111は、カメラ40から送信された画像データとカメラIDと撮像時刻とを取得する。取得部111は、画像データとカメラIDと撮像時刻とを関連付けて記憶装置50に書き込む。取得部111は、取得された画像データを判定対象の画像データに設定する。
【0031】
(ステップS12:検知処理)
検知部112は、判定対象の画像データから対象物を検知する。
具体的には、検知部112は、判定対象の画像データを入力として、画像データに含まれる各対象物について、画像データにおいて対象物が存在する領域と対象物であることの確信度と対象物の属性とを出力する検知モデルを用いる。つまり、検知部112は、ステップS11で取得された判定対象の画像データを検知モデルに入力として与え、対象物が存在する領域と対象物であることの確信度と対象物の属性とを取得することにより、対象物を検知する。実施の形態1では、対象物は人である。そのため、検知部112は、画像データを検知モデルに入力として与えることにより、画像データにおいて人が存在する領域と、人であることの確信度と、人の属性とを取得する。人の属性は、具体例としては、性別と年齢層と等である。
【0032】
ステップS13からステップS16の処理がステップS12で検知された各対象物を処理対象として実行される。
【0033】
(ステップS13:特徴量計算処理)
特徴量計算部113は、処理対象の対象物について特徴量を計算する。ここでは、特徴量は、複数次元ベクトルで表される数値情報とする。なお、特徴量の計算方法は、どのような方法であっても構わない。また、特徴量は、任意の整数N,Mに基づくN行M列の行列として表される数値情報であってもよい。
【0034】
(ステップS14:追跡処理)
追跡部114は、処理対象の対象物の追跡を行う。
具体的には、追跡部114は、過去追跡期間にステップS11で取得された画像データから検知された対象物から、処理対象の対象物を特定することにより追跡を行う。実施の形態1では、対象物は人であるため、追跡部114は、過去追跡期間にステップS11で取得された画像データから検知された人から、処理対象の人と同じ人を特定し、過去追跡期間に割り当てられた対象物IDと同一のIDを処理対象の人に割り当て、ステップS11で記憶された画像データと紐付けされる
例えば、追跡部114は、ステップS13で計算された特徴量の類似度と、位置関係とに基づき、各対象物の追跡を行う。なお、具体的な追跡方法は、どのような方法でも構わない。
ステップS12の検知処理で各対象物に対象物IDを付与すると、同じ人に異なる対象物IDを付与してしまう可能性が高い。ステップS14の追跡処理で同じ人と特定した後、対象物IDを付与することにより、同じ人に同じ対象物IDを付与することができる。
【0035】
(ステップS15:クエリ判定処理)
クエリ抽出部115は、処理対象の対象物について、判定対象の画像データにおける処理対象の対象物の部分画像をクエリ画像とするか否かを判定する。クエリ判定処理については後述する。
【0036】
(ステップS16:データ送信処理)
クエリ抽出部115は、ステップS15で処理対象の対象物についてのクエリ画像と判定された場合に、ステップS13で計算された処理対象の対象物についての特徴量を検索部116に送信して、検索処理(図2のステップS2)の実行を促す。
【0037】
図4を参照して、実施の形態1に係るクエリ判定処理(図3のステップS15)を説明する。
(ステップS151:カメラ判定処理)
クエリ抽出部115は、判定対象の画像データが、検知装置10に接続されたカメラ40のうち、クエリ画像を取得するための特定のカメラ40によって撮像されて得られた画像データであるか否かを判定する。
クエリ抽出部115は、判定対象の画像データが、特定のカメラ40によって撮像されて得られた画像データである場合には、処理をステップS152に進める。一方、クエリ抽出部115は、判定対象の画像データが、特定のカメラ40によって撮像されて得られた画像データでない場合には、処理を終了する。
【0038】
(ステップS152:位置判定処理)
クエリ抽出部115は、処理対象の対象物がクエリ画像を取得するための検知領域内であるか否かを判定する。具体的には、クエリ抽出部115は、ステップS12で特定された処理対象の対象物が存在する領域の基準位置が、検知領域内であるか否かを判定する。実施の形態1では、基準位置は、対象物である人の足元の位置とする。例えば、対象物が存在する領域が対象物を囲む矩形領域である場合には、クエリ抽出部115は、矩形領域の下辺の中心点の位置を足元の位置とすればよい。検知領域は、事前に設定される領域であり、ステップS151における特定のカメラ40についての撮像領域内の領域である。検知領域は、例えば、対象物が十分な大きさで撮像可能な領域等が設定される。
クエリ抽出部115は、処理対象の対象物が検知領域内である場合には、処理をステップS153に進める。一方、クエリ抽出部115は、処理対象の対象物が検知領域内でない場合には、処理を終了する。
【0039】
(ステップS153:過去判定処理)
クエリ抽出部115は、判定対象の画像データの取得元のカメラ40によって過去追跡期間に、処理対象の対象物が検知されていたか否かを判定する。具体的には、クエリ抽出部115は、ステップS14で追跡された結果を参照することにより、過去追跡期間に取得された画像データから、処理対象の対象物が検知されていたか否かを判定する。
クエリ抽出部115は、処理対象の対象物が検知されていた場合には、処理をステップS154に進める。一方、クエリ抽出部115は、処理対象の対象物が検知されていない場合には、処理を終了する。
この判定は、後述するステップS156及びステップS157の処理において、処理対象の対象物の移動軌跡に基づく判定を行うために、過去に処理対象の対象物が検知されている必要があるので行われる。
【0040】
(ステップS154:滞留エリア判定処理)
クエリ抽出部115は、判定対象の画像データの取得元のカメラ40が、滞留エリアが設定されているか否かを判定する。滞留エリアは、カメラ40毎に、設定されている場合と、設定されていない場合とがある。図5に示すように、滞留エリアは、カメラ40の撮像領域内の領域であって、検知領域に隣接する領域である。
クエリ抽出部115は、滞留エリアが設定されている場合には、処理をステップS155に進める。一方、クエリ抽出部115は、滞留エリアが設定されていない場合には、処理をステップS156に進める。
【0041】
(ステップS155:滞在判定処理)
クエリ抽出部115は、判定対象の画像データに含まれる対象物が滞留エリアに滞在する時間が滞在時間の条件を満たすか否かを判定する。
具体的には、クエリ抽出部115は、判定対象の画像データの取得元のカメラ40によって取得された過去滞在時間分の画像データにおいて、対象物が滞留エリアに継続している場合には、滞在時間の条件を満たすと判定する。例えば、図6に示すように、過去滞在時間分の画像データから得られる対象物の軌跡が滞留エリア内である場合には、クエリ抽出部115は、滞在時間の条件を満たすと判定する。一方、図7に示すように、過去滞在時間分の画像データから得られる対象物の軌跡が滞留エリアから出ている場合には、クエリ抽出部115は、滞在時間の条件を満たさないと判定する。
ここで、対象物の軌跡は、ステップS12で特定された処理対象の対象物が存在する領域の基準位置の軌跡である。
【0042】
ステップS152を考慮すると、図6に示すように、滞在時間の条件を満たし、かつ、判定対象の画像データにおいて処理対象の対象物が検知領域内である場合に、処理がステップS156に進められる。なお、図8に示すように、ステップS154で滞留エリアが設定されていないと判定された場合には、滞在時間の条件を満たすか否かに関わらず、判定対象の画像データにおいて処理対象の対象物が検知領域内である場合に、処理がステップS156に進められる。
【0043】
(ステップS156:方向判定処理)
クエリ抽出部115は、判定対象の画像データの取得元のカメラ40の奥側から手前側に向かって処理対象の対象物が移動したか否かを判定する。これにより、クエリ抽出部115は、対象物の前面側が撮像されたか否かを判定する。なお、対象物が前を向いて移動していることが前提である。
具体的には、クエリ抽出部115は、過去にステップS11で取得された画像データから検知された処理対象の対象物の位置よりも、処理対象の対象物の位置がカメラ40の手前側であるか否かを判定する。クエリ抽出部115は、手前側であれば、奥側から手前側に向かって処理対象の対象物が移動したと判定する。ここでは、クエリ抽出部115は、過去にステップS11で取得された画像データから検知された処理対象の対象物の基準位置よりも、処理対象の対象物の基準位置がカメラ40の手前側であるか否かを判定する。
図9に示すように、画像データの幅方向にx軸が取られ、奥行方向にy軸が取られているとする。y軸の座標値は、手前側(画像データの下側)ほど大きな値をとるとする。この場合には、クエリ抽出部115は、過去にステップS11で取得された画像データから検知された処理対象の対象物の基準位置のy座標が、処理対象の対象物の基準位置のy座標よりも小さければ、奥側から手前側に向かって処理対象の対象物が移動したと判定する。
クエリ抽出部115は、奥側から手前側に向かって処理対象の対象物が移動した場合には、処理をステップS157に進める。一方、クエリ抽出部115は、奥側から手前側に向かって処理対象の対象物が移動していない場合には、処理を終了する。
【0044】
(ステップS157:角度判定処理)
クエリ抽出部115は、図9に示すように、処理対象の対象物の移動ベクトルと、検知領域における画像データの横方向の直線との成す角の余弦値の絶対値が閾値以下であるか否かを判定する。これにより、クエリ抽出部115は、処理対象の対象物が、カメラ40に向かって斜めに移動するのではなく、ある程度以上カメラ40の方を向いて移動しているか否かを判定する。
クエリ抽出部115は、成す角の余弦値の絶対値が閾値以下である場合には、処理をステップS158に進める。一方、クエリ抽出部115は、成す角の余弦値の絶対値が閾値以下でない場合には、処理を終了する。
【0045】
(ステップS158:クエリ特定処理)
クエリ抽出部115は、ステップS12において処理対象の対象物が検知された判定対象の画像データにおける部分画像をクエリ画像とすると判定する。そして、クエリ抽出部115は、対象物の部分画像を切り出しクエリ画像として抽出する。
【0046】
図10を参照して、実施の形態1に係る検索処理(図2のステップS2)を説明する。
検索部116は、図3のステップS16で特徴量が送信されると図10に示す処理を実行する。この際、検索部116は、図3のステップS16で送信された特徴量に対応するクエリ画像を処理対象のクエリ画像に設定する。
【0047】
(ステップS21:初期化処理)
検索部116の同一性判定部117は、処理対象のクエリ画像に対して画像識別子を割り当てる。画像識別子は、クエリ画像の識別子である。また、同一性判定部117は、同一リストを空にする。同一リストは、同一の対象物を含むと判定された他のクエリ画像の画像識別子のリストである。
【0048】
ステップS22からステップS26の処理が過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像を順に検索対象の画像データとして実行される。
各ギャラリ画像には、ステップS21で割り当てられた画像識別子と、図3のステップS16で送信された特徴量と、後述する処理で画像識別子が追加される同一情報とが対応付けられている。
【0049】
(ステップS22:同一リスト判定処理)
検索部116の同一性判定部117は、同一リストに、検索対象の画像データの画像識別子が含まれているか否かを判定する。
同一性判定部117は、同一リストにギャラリ画像の画像識別子が含まれていない場合には、処理をステップS23に進める。一方、同一性判定部117は、同一リストにギャラリ画像の画像識別子が含まれている場合には、処理をステップS25に進める。
【0050】
(ステップS23:同一性判定処理)
検索部116の同一性判定部117は、処理対象のクエリ画像の特徴量と、検索対象の画像データの特徴量とを比較して、処理対象のクエリ画像と同一の対象物が、検索対象の画像データに含まれるか否かを判定する。具体的には、同一性判定部117は、処理対象のクエリ画像の特徴量と検索対象の画像データの特徴量との類似度が基準値以上である場合には、処理対象のクエリ画像と同一の対象物が、検索対象の画像データに含まれると判定する。
同一性判定部117は、処理対象のクエリ画像と同一の対象物が、検索対象の画像データに含まれる場合には、処理をステップS24に進める。一方、同一性判定部117は、処理対象のクエリ画像と同一の対象物が、検索対象の画像データに含まれない場合には、処理をステップS26に進める。
【0051】
(ステップS24:第1ID追加処理)
検索部116のリスト追加部118は、同一リストに、検索対象の画像データの画像識別子を追加する。また、リスト追加部118は、同一リストに、検索対象の画像データについての同一情報に含まれる画像識別子を追加する。
【0052】
(ステップS25:第2ID追加処理)
検索部116のリスト追加部118は、検索対象の画像データについての同一情報に、処理対象のクエリ画像の画像識別子を追加する。
【0053】
(ステップS26:同一数判定処理)
検索部116のリスト追加部118は、同一リストに存在する画像識別子の数が閾値以上であるか否かを判定する。
リスト追加部118は、画像識別子の数が閾値以上である場合には、処理をステップS27に進める。一方、リスト追加部118は、画像識別子の数が閾値以上でない場合には、次のギャラリ画像を検索対象の画像データとしてステップS22の処理を実行する。なお、次のギャラリ画像がない場合には、リスト追加部118は、処理をステップS28に進める。
【0054】
(ステップS27:通知処理)
検索部116の通知部119は、通信インタフェース14を介して、検知装置10のユーザの端末等に、不審者等が検知されたことを通知する。
なお画像データに付与されている人の属性を用いて、予め定めた属性の場合のみ、検知を通知するように構成することもできる。また通知時に、人の属性も合わせて通知し、ユーザがその属性を用いて、通知結果を検索するように構成することもできる。
【0055】
(ステップS28:ギャラリ記憶処理)
検索部116の通知部119は、処理対象のクエリ画像をギャラリ画像として、ステップS13で計算された特徴量とともに記憶装置50に書き込む。
【0056】
図11から図14を参照して、実施の形態1に係る同一リスト更新の具体例を説明する。
図11に示すように、ギャラリ画像として、画像識別子がID1とID2との2つの画像データが記憶されており、クエリ画像として、画像識別子がID3の画像データが新たに抽出されたとする。ここで、クエリ画像の対象物は、どのギャラリ画像にも含まれていないとする。この場合には、どのギャラリ画像が検索対象の画像データになった場合にも、ステップS23では処理対象のクエリ画像の対象物が、検索対象の画像データに含まれないと判定される。そのため、同一リストと、全てのギャラリ画像についての同一情報とに、画像識別子は追加されない。
【0057】
図12に示すように、ギャラリ画像として、画像識別子がID1からID3の3つの画像データが記憶されており、クエリ画像として、画像識別子がID4の画像データが新たに抽出されたとする。ここで、クエリ画像の対象物は、画像識別子がID1のギャラリ画像に含まれているとする。この場合には、画像識別子がID1のギャラリ画像が検索対象の画像データになった場合に、ステップS23では処理対象のクエリ画像の対象物が、検索対象の画像データに含まれると判定される。そのため、ステップS24で同一リストにID1が追加され、ステップS25で画像識別子がID1のギャラリ画像についての同一情報にID4が追加される。
【0058】
図13に示すように、ギャラリ画像として、画像識別子がID1からID4の4つの画像データが記憶されており、クエリ画像として、画像識別子がID5の画像データが新たに抽出されたとする。ここで、クエリ画像の対象物は、画像識別子がID1とID4とのギャラリ画像に含まれているとする。この場合には、画像識別子がID1とID4とのギャラリ画像が検索対象の画像データになった場合に、ステップS23では処理対象のクエリ画像の対象物が、検索対象の画像データに含まれると判定される。そのため、ステップS24で同一リストにID1とID4とが追加され、ステップS25で画像識別子がID1とID4とのギャラリ画像についての同一情報にID5が追加される。
【0059】
ここでは、画像識別子がID1のギャラリ画像から画像識別子の昇順に検索対象の画像データになるとする。この場合には、画像識別子がID1のギャラリ画像が検索対象の画像データであるときに、ステップS24で同一リストにID1とID4とが追加される。つまり、検索対象の画像データとなっているギャラリ画像の画像識別子であるID1だけでなく、検索対象の画像データとなっているギャラリ画像の同一情報に含まれる画像識別子であるID4が、同一リストに追加される。
その後、画像識別子がID4のギャラリ画像が検索対象の画像データであるときには、ステップS22で検索対象の画像データの画像識別子であるID4が同一リストに含まれていると判定される。そのため、ステップS23の同一性判定処理はスキップされ、ステップS25で画像識別子がID4のギャラリ画像についての同一情報にID5が追加される。
このように、過去に同一の対象物を含むことが確認されている画像データに対する同一性判定処理が省略される。
【0060】
図14に示すように、ギャラリ画像として、画像識別子がID1からID5の5つの画像データが記憶されており、クエリ画像として、画像識別子がID6の画像データが新たに抽出されたとする。ここで、クエリ画像の対象物は、画像識別子がID1とID4とID5とのギャラリ画像に含まれているとする。この場合には、画像識別子がID1とID4とID5とのギャラリ画像が検索対象の画像データになった場合に、ステップS23では処理対象のクエリ画像の対象物が、検索対象の画像データに含まれると判定される。そのため、ステップS24で同一リストにID1とID4とID5とが追加され、ステップS25で画像識別子がID1とID4とID5とのギャラリ画像についての同一情報にID6が追加される。
【0061】
ここでは、画像識別子がID1のギャラリ画像から画像識別子の昇順に検索対象の画像データになるとする。この場合には、画像識別子がID1のギャラリ画像が検索対象の画像データであるときに、ステップS24で同一リストにID1とID4とID5とが追加される。
仮に閾値が3であるとする。すると、ステップS26において、画像識別子がID1のギャラリ画像が検索対象の画像データであるときに、同一リストに存在する画像識別子の数が閾値以上であると判定される。その結果、処理がループを抜けてステップS27に進められ、不審者等が検知されたことが通知される。つまり、画像識別子がID2以降のギャラリ画像を検索対象の画像データとして処理を行うことなく、不審者等が検知される。
【0062】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る検知装置10は、条件を満たす画像データからクエリ画像を抽出し、新たに抽出されたクエリ画像に基づき、過去に抽出されたクエリ画像であるギャラリ画像から、クエリ画像を含む画像データを検索する。これにより、検索対象とする画像データの数を絞りつつ、決められた範囲をうろつく不審者等を検知することが可能である。
【0063】
特に、実施の形態1に係る検知装置10は、滞在時間の条件を満たす画像データからクエリ画像を抽出する。そのため、単にカメラ40の前を通り過ぎただけの、不審な行動をとっていない対象物についてはクエリ画像として抽出されない。これにより、検索対象とする画像データの数を適切に絞ることが可能である。
【0064】
また、実施の形態1に係る検知装置10は、移動軌跡が移動方向の条件を満たす画像データからクエリ画像をとして抽出する。そのため、対象物を背面側から撮像して得られた画像データ等からクエリ画像が抽出されない。これにより、同一性の判定が困難な画像データを検索対象とすることがなくなり、検索対象とする画像データの数を適切に絞ることが可能である。
【0065】
また、実施の形態1に係る検知装置10は、同一リストに、検索対象の画像データの画像識別子だけでなく、検索対象の画像データについての同一情報に含まれる画像識別子も追加する。そして、同一リストに、検索対象の画像データの画像識別子が含まれている場合には、同一性判定処理を省略する。
これにより、同一性判定処理の回数を減らすことが可能であり、処理負荷を抑えることが可能である。また、同一リストに、検索対象の画像データの画像識別子だけでなく、検索対象の画像データについての同一情報に含まれる画像識別子も追加することにより、クエリ画像を含む画像データが閾値以上の数だけあることを早期に特定可能な場合がある。その結果、処理負荷を抑えることが可能である。
【0066】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、過去に抽出されたクエリ画像をギャラリ画像にすると説明した。しかし、撮像された時刻から制限時間以上経過したクエリ画像についてはギャラリ画像から除外してもよい。これにより、ある程度時間が経過してしまった情報を加味せずに、不審者等を検知することが可能になる。
【0067】
<変形例2>
実施の形態1では、ギャラリ画像の画像識別子の順に検索対象の画像データとした。しかし、検索対象の画像データとするギャラリ画像の順序は、これに限るものではない。例えば、特定のカメラ40について優先的に検索を行いたい場合には、特定のカメラ40によって取得されたギャラリ画像を先に検索対象の画像データとしてもよい。その他、優先的に検索したい条件に合致するギャラリ画像を先に検索対象の画像データとしてもよい。
これにより、優先的に検索したい条件に合致するギャラリ画像に対して先に同一性判定処理が行われ、早期に検索結果を得ることができる。
【0068】
<変形例3>
実施の形態1では、1つの検知装置10について説明した。しかし、カメラ40の台数が増えた場合等には、複数の検知装置10を備える検索システムを構成してもよい。これにより、各検知装置10の負荷を抑えつつ、広い範囲について不審者等を検知することが可能になる。
【0069】
<変形例4>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例4として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例4について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0070】
図15を参照して、変形例4に係る検知装置10の構成を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、検知装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0071】
電子回路15としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が想定される。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
【0072】
<変形例5>
変形例5として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0073】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路15とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0074】
実施の形態2.
実施の形態2は、1つの対象物に対して複数のクエリ画像を抽出する点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明して、同一の点については説明を省略する。
【0075】
***構成の説明***
図16を参照して、実施の形態2に係る検知装置10の構成を説明する。
検知装置10は、機能構成要素として、統計量計算部120を備える点が図1に示す検知装置10と異なる。統計量計算部120の機能は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
【0076】
***動作の説明***
図10を参照して、実施の形態2に係る検知システム100の動作を説明する。
実施の形態2に係る検知システム100の動作手順は、実施の形態2に係る検知方法に相当する。また、実施の形態2に係る検知システム100の動作を実現するプログラムは、実施の形態2に係る検知プログラムに相当する。
【0077】
実施の形態2では、クエリ抽出部115は、1つの対象物について複数のクエリ画像を抽出する。
具体的には、クエリ抽出部115は、クエリ判定処理(図3のステップS15)においてクエリ画像と判定された場合には、クエリ画像と判定された元の画像データの前後基準時間に撮像時刻が含まれる画像データであって、同一の対象物が含まれている画像データのその対象物が検知された部分画像を関連クエリ画像に設定する。
あるいは、クエリ抽出部115は、クエリ判定処理(図3のステップS15)においてクエリ画像と判定された場合には、他のカメラ40のうち特定のカメラ40で撮像された画像データであって、同一の対象物が含まれている画像データにおけるその対象物が検知された部分画像を関連クエリ画像に設定する。
【0078】
統計量計算部120は、クエリ画像と関連クエリ画像との特徴量についての統計量を計算する。統計量は、例えば、平均値である。特徴量は複数次元ベクトルであるため、統計量が平均値である場合には、各次元の要素についての平均値が計算される。統計量計算部120は、クエリ画像の特徴量として統計量を設定する。
【0079】
図10を参照して、実施の形態2に係る検索処理(図2のステップS2)を説明する。
図10のステップS21からステップS22の処理と、ステップS24からステップS28の処理とは、実施の形態1と同じである。
【0080】
(ステップS23:同一性判定処理)
検索部116の同一性判定部117は、処理対象のクエリ画像の統計量と、検索対象の画像データの統計量とを比較して、処理対象のクエリ画像と同一の対象物が、検索対象の画像データに含まれるか否かを判定する。具体的には、同一性判定部117は、処理対象のクエリ画像の統計量と検索対象の画像データの統計量との類似度が基準値以上である場合には、処理対象のクエリ画像と同一の対象物が、検索対象の画像データに含まれると判定する。
【0081】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る検知装置10は、複数のクエリ画像(クエリ画像と関連クエリ画像)の特徴量から計算された統計量を用いて、ギャラリ画像との同一性判定を行う。
ギャラリ画像に含まれる対象物は、クエリ画像の対象物と異なる角度から撮像されている場合、又は、異なる姿勢になっている場合がある。複数のクエリ画像の特徴量から計算された統計量を用いることにより、様々な映り方の対象物についての特徴量を加味してギャラリ画像を検索することが可能になる。その結果、異なる角度から対象物を撮像したギャラリ画像と、異なる姿勢になっている対象物が含まれるギャラリ画像についても適切に検索することが可能になる。
【0082】
***他の構成***
<変形例6>
統計量計算部120は、複数のクエリ画像(クエリ画像と関連クエリ画像)を1つ以上のグループに分類し、1つ以上のグループそれぞれを対象として、対象のグループに含まれるクエリ画像(クエリ画像と関連クエリ画像)の特徴量についての統計量を計算してもよい。この際、統計量計算部120は、複数のクエリ画像の特徴量に基づき、複数のクエリ画像を1つ以上のグループに分類することが考えられる。特徴量を構成する要素のうち、対象物を撮像した角度の違いと、対象物の姿勢の違いとの少なくともいずれかによって変化する次元の要素に基づき、複数のクエリ画像を1つ以上のグループに分類することが考えられる。
この場合には、図9のステップS24では、検索部116は、1つ以上のグループそれぞれについての統計量に基づき、処理対象のクエリ画像と同一の対象物を含むギャラリ画像を検索する。
これにより、異なる角度から対象物を撮像したギャラリ画像と、異なる姿勢になっている対象物が含まれるギャラリ画像についてもより適切に検索することが可能になる。
【0083】
なお、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0084】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 検知装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、15 電子回路、111 取得部、112 検知部、113 特徴量計算部、114 追跡部、115 クエリ抽出部、116 検索部、117 同一性判定部、118 リスト追加部、119 通知部、120 統計量計算部、40 カメラ、50 記憶装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16