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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】飲用液を保存するための二重壁ポット
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20221110BHJP
   B65D 77/04 20060101ALN20221110BHJP
【FI】
B65D81/38 E
B65D77/04 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021117817
(22)【出願日】2021-07-16
(62)【分割の表示】P 2018556996の分割
【原出願日】2017-05-03
(65)【公開番号】P2021165175
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】102016108242.2
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507047481
【氏名又は名称】ピーアイ デザイン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ボダム、ヨルゲン
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-302316(JP,A)
【文献】登録実用新案第3069874(JP,U)
【文献】特開2001-146277(JP,A)
【文献】実開昭50-049582(JP,U)
【文献】米国特許第04560075(US,A)
【文献】米国特許第04281520(US,A)
【文献】特開2010-023926(JP,A)
【文献】実開昭58-149979(JP,U)
【文献】実開平06-012337(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 77/04
A47G 19/14
A47J 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲用液を保存するための二重壁ポットであって、
- 飲用液を収容するための空洞(34)を取り巻いて、少なくとも1つの支持面(46)を形成している、内容器(12)、および、
- 互いに着脱自在に接続可能な2つのシェル(16,18)を有する外容器(14)を含み、前記外容器(14)が、接続状態において前記内容器(12)を少なくとも部分的に取り巻いており、かつ、接続状態において前記支持面(46)上に支持される、二重壁ポットにおいて、
前記外容器(14)が、接続状態において前記2つのシェル(16,18)を固定するための固定装置(20)を有しており、前記固定装置(20)が、前記2つのシェル(16,18)を着脱自在に接続するためのスナップ式接続部(22)を有しており、
前記スナップ式接続部(22)が、前記2つのシェル(16,18)の第1のシェル(16)の底面に形成された突起(24)と、前記2つのシェル(16,18)の第2のシェル(18)の底面に形成された凹部(26)と、を含み、前記突起(24)および凹部(26)は互いに対応し合うように構成されており、
前記外容器(14)が、接続状態において前記2つのシェル(16,18)をシールするシール(54)を有しており、前記シール(54)は、前記第1のシェル(16)が接続状態において前記第2のシェル(18)と接触する接触面の全体に沿って延びていることを特徴とする、二重壁ポット。
【請求項2】
前記内容器(12)が縦軸(L)を画定しており、前記支持面(46)が、前記内容器(12)の縦軸(L)に対して傾斜している部分(43)により形成されることを特徴とする、請求項1に記載の二重壁ポット。
【請求項3】
前記内容器(12)が、前記空洞(34)の中に飲用液を注ぎ、また前記空洞(34)から飲用液を注ぐための、開口部(36)を有しており、その際に前記開口部(36)を始端として、前記内容器(12)の縦軸(L)に対して広がっている広がり部分(42)を有しており、前記広がり部分(42)上に前記支持面(46)が配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の二重壁ポット。
【請求項4】
前記広がり部分(42)が、前記内容器(12)の凸状に膨出した部分(41)の一部であるか、または前記凸状に膨出した部分(41)へと移行していることを特徴とする、請求項3に記載の二重壁ポット。
【請求項5】
前記開口部(36)を始端として、かつ、縦軸(L)に対して前記内容器(12)がテーパ部(38)を有しており、前記テーパ部(38)には前記広がり部分(42)が連続することを特徴とする、請求項3または4に記載の二重壁ポット。
【請求項6】
前記内容器(12)が少なくとも1つの当接面(48)を形成しており、前記外容器(14)が接続状態において前記当接面(48)と当接することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二重壁ポット。
【請求項7】
前記外容器(14)が追加のシール(52)をさらに有しており、前記追加のシール(52)を利用して前記外容器(14)が前記支持面(46)上に支持されることを特徴とする、請求項乃至のいずれか1項に記載の二重壁ポット。
【請求項8】
前記内容器(12)と前記外容器(14)との間に空隙(50)が形成されるように、前記外容器(14)が接続状態において前記内容器(12)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項7に記載の二重壁ポット。
【請求項9】
前記追加のシール(52)により前記空隙(50)がシールされることを特徴とする、請求項8に記載の二重壁ポット。
【請求項10】
前記固定装置(20)が、前記2つのシェル(16,18)と接続可能な弾性ストラップ(32)を含むことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の二重壁ポット。
【請求項11】
前記内容器(12)がガラス製であり、前記外容器(14)がプラスチック製であることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の二重壁ポット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲用液を保存するための二重壁ポットに関する。
【背景技術】
【0002】
二重壁ポットは、特に以下の理由から、飲用液を保存するために頻繁に導入される。すなわち一方では、単壁のポットと比べて高い断熱性をもたらすことができるために、温かい飲み物はより長い時間にわたり温かいまま、また冷たい飲み物はより長い時間にわたり冷たいままである。他方では、利用者にとって、二重壁ポットは掴み易さにおいて優れたものとなっている。これは、飲み物の温度が利用者の手に伝わるのは比較的僅かな範囲だけに限られるために、利用者は、手に火傷を負ったり、またはひんやり感を味わったりすることなく、ポットを掴むことができるからである。後者の特性のために、二重壁ポットは、温かい飲み物および冷たい飲み物を単に保存するだけではなく、これらを直接飲むこともできる保温保冷水筒として設計されることも多い。
【0003】
そのような二重壁の保温保冷水筒は、例えば(特許文献1)から知られており、そこでは実質的に中空円筒形状の外容器を、同じく実質的に中空円筒形状の内容器の周りに押しばめすることができるようになっている。この外容器は弾性接続片を有しており、これが内容器の陥凹部にはまり込むことによって、外容器が実質的に形状同士の係合により内容器に取り付けられるようにしている。もっとも、この押しばめおよび取付け工程が首尾よく運ぶのは、内容器が、特定の形状、例えば実質的中空円筒形状、または内容器の底面から拡幅する円錐形状を有する場合に限られている。
【0004】
(特許文献2)には、内容器と外容器とを有する二重壁ポットが開示されている。この外容器は2つの部材を有しており、その内一方の部材はねじキャップとして実施され、他方の部材の周囲にねじ付けられ得るようになっている。
【0005】
(特許文献3)にも、内容器と外容器とを有する二重壁ポットが開示されている。この内容器は、具体的にはティーポットであって、外容器によりこれを断熱できるようになっている。外容器は互いに切り離すことができる2つの部材を有しており、それによりティーポットを外容器から切り離すことができるようになっている。
【0006】
(特許文献4)および(特許文献5)にも、さらなる二重壁ポットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102013114552号明細書
【文献】独国実用新案第1850137号明細書
【文献】独国特許出願公開第453809号明細書
【文献】独国特許出願公開第718821号明細書
【文献】独国実用新案第102008012296号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1実施形態の課題は、内容器と外容器とを有しており、内容器の形状に本質的に関係なく外容器を内容器に取り付けることができる、飲用液、特にコーヒーなどの温かい飲み物を保存するための二重壁ポットを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載の特徴により解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題となっている。
本発明の1実施形態は、飲用液、特にコーヒーなどの温かい飲み物を保存するための二重壁ポットであって、飲用液を収容するための空洞を取り巻いている、少なくとも1つの支持面を形成している、内容器と、互いに着脱自在に接続可能な少なくとも2つのシェルが含まれる外容器とを含み、外容器が、接続状態において内容器を少なくとも部分的に取り巻き、また接続状態において支持面上に支持されるようになっている、二重壁ポットに関する。
【0010】
シェルとは、この明細書の範囲内においては、多面体、湾曲体、および/または膨出体であると解釈されるものである。外容器に、互いに着脱自在に接続可能な少なくとも2つのシェルが含まれていることによって、内容器を、例えば球状の膨出体として構成可能であるが、これは、例えば(特許文献1)に示される保温保冷水筒の場合は、全く不可能となっているか、または可能であるとしても条件付きの場合だけに限られている。これについて外容器は、内容器の形状と多少なりとも合致した形状を有していてもよい。しかしながら基本的に内容器の形状は、外容器の形状に本質的に関係なく選択可能である。しかしながら外容器が接続状態にあるときの外容器の内容器に対する相対的な位置を画定するために、外容器は、接続状態において、内容器により、特にその端面または外表面により形成される支持面上に支持されるようになっている。これについては、厳密に数学的な意味で、直線状の接触部がもたらされるようにすることもでき、この場合は、面同士の接触部がどこにも存在しないかもしれない。しかし実際は常に何らかの支持面が存在することになる。外容器は、接続状態においてこの支持面内で内容器と当接し、それにより外容器の位置決めが行われることになる。したがって、外容器が内容器に対して任意の相対運動を行うことはもはや不可能となり、それにより二重壁ポットの利便性が格段と向上する。
【0011】
シェルが着脱自在に互いに接続可能であることによって、例えば洗浄目的でこれらを第1の容器から簡単に取り外すことができる。洗浄が終了した後には、これらのシェルを手早い操作で内容器に再び接続することができる。外容器を内容器から簡単に取り外すことができるために、特に内容器の外表面およびシェルの内表面をまるごと、丹念に洗浄することが可能となる。特に、少なくとも2つのシェルを、摩擦係合を利用して互いに接続可能であるように、構成することができる。その場合は、シェルを互いに接続するために、さらなる構成部品はもはや不要となる。そのためには両方のシェルに、互いに若干のオーバサイズを有している、互いに対応し合う突起および凹部が含まれていてもよい。これらの突起をこれらの凹部の中にはめ込むと、圧ばめ状態が成立し、シェルはそれによって互いに接続されることになる。
【0012】
さらなる1実施形態によると、内容器が縦軸を画定しており、支持面は、内容器のこの縦軸に対して傾斜している部分により形成されるようになっている。既に言及したように、内容器は球状に構成されたものであってもよく、それにより内容器はいずれにせよ縦軸に関して傾斜している部分を有することになる。したがって支持面は、例えば凸状もしくは凹状に反ったものであっても、または平坦なものであってもかまわない、内容器の外表面により形成されることになる。この支持面をもたらすために特段の措置を講じる必要はない。それよりもむしろ外容器および特に接続可能なシェルは、市販の内容器も使用可能であるように設計されてもよい。この限りにおいて、既存の内容器に、外容器を後付けできるようになっている。そのためには内容器に特段の措置または変更を施す必要はないため、この後付けは比較的簡単な様式で実行することができる。
【0013】
さらに発展させた1実施形態において、内容器は、空洞の中に飲用液を入れたり、また空洞から飲用液を注いだりするための、開口部を有していてもよく、その際には、この開口部を始端として、内容器の縦軸に関してフレア部が内容器に備えられ、これに支持面が配置されている。考えられる任意の飲用液を保存するために使用される市販の内容器は通常、特にティーポットおよびコーヒーポットの場合がそうであるように、拡幅する、凸状に膨出した、多くの場合は円錐状または球台状の部分を有している。この限りにおいて、本発明の提案にしたがったポットをもたらすために、内容器に、数ある慣行の形状とは相違する形状を備える必要はない。それにより、本発明の提案にしたがった二重壁の保温保冷容器は、非常に簡単に実現することができる。
【0014】
さらに発展させた1実施形態では、フレア部が、内容器の凸状に膨出した部分の一部であるか、またはこの凸状に膨出した部分に移行するものであってもよい。この実施形態においても、本発明の提案にしたがった考えを言い表すならば、フレア部が存在する限りは、内容器の特定の形状に頼らざるを得ないことはないのである。しかし、既に前に示唆したように、飲み物を保存するためのポットでは通常、少なくとも部分的に凸状に膨出している内容器が使用されるために、これらの内容器を、設計構造の大幅な変更を不要として、本発明の提案にしたがった外容器と一緒に使用することができる。
【0015】
さらなる1実施形態では、内容器が、開口部を始端として縦軸に対してテーパ部を有していてもよく、これにフレア部が連続している。このテーパ部は、例えば円錐状であってもよく、それによりこのテーパ部は、特にコーヒーフィルタを受け入れるために適したものとなっている。このような構成によって、コーヒーフィルタのための別体のドリッパを使用する必要がなくなり、これには特に、ドリッパの別途調達が不要であり、ドリッパを紛失したり置き忘れる心配もないという長所がある。内容器は、テーパ部からフレア部への移行領域に、くびれ部を形成している。
【0016】
さらに発展させた1実施形態は、内容器が少なくとも1つの当接面を形成しており、外容器は、接続状態においてこの当接面と当接することを特徴としている。この当接面についても同様に、これは厳密に数学的な意味で一本の直線であってもよいと言えるが、この直線は、現実においては面として成立することになる。したがって内容器が、当接面も、また支持面も形成しており、これらが空間的に切り離されている場合には、外容器は、接続状態において2つの面のところで内容器と接触することになる。この限りにおいて、外容器の内容器に対する位置調整は、それによって明確に定義されることになる。これが言えるのは特に、当接面が内容器のテーパ部により、支持面がフレア部により形成される場合であり、それにより支持面と当接面は、くびれ部を挟んで反対側に位置し、互いに対して逆向きに傾斜していることになる。したがって外容器は、内容器に対して縦軸に沿ってもはや相対的に変位し得ないか、または変位し得るとしても公差の範囲内にとどまるようになっている。
【0017】
さらなる1実施形態によると、外容器は第1のシールを有しており、これを利用して外容器は支持面上に支持されるようになっている。そこではこの第1のシールに、内容器を外容器との接触による損傷から保護する弾性シール要素が含まれてもよい。特に掻き傷が回避されることになる。このシール要素の弾性に基づいて、外容器は、接続状態においてシール要素が若干圧縮され、それによりプリテンションが加えられるように、実施されてもよい。それにより外容器は当接面に対して押し付けられるために、非常に厳格な公差に留意する必要なく、外容器は内容器に対して明確に位置決めされることになる。
【0018】
さらなる1実施形態は、外容器が、接続状態において、内容器と外容器との間に空隙が形成されるように、内容器を取り囲むことを特徴とする。外容器と内容器との間に空隙を備えることにより、以下の効果がもたらされる。すなわち、この空隙を利用して偏差を補償することができるために、外容器にも、また内容器にも、特段の公差を設ける必要はない。さらに、この空隙は断熱の補助として利用されるが、これは、この空隙内の空気が周囲と入れ替わることができるのは、比較的僅かな量だけにとどまり、滞留する空気も同様に断熱効果を示すからである。
【0019】
さらなる1実施形態においては、第1のシールによりこの空隙がシールされてもよい。この実施形態においては、空隙内の空気と周囲との入れ替えがさらに低減され、それにより断熱効果が高まるように、第1のシールが空隙をシールする。さらに、飲用液が、注ぎそこなうかまたは滴り落ちた場合に、空隙の内部に入り込むのが阻止される。
【0020】
さらなる1実施形態では、外容器が、接続状態において少なくとも2つのシェルを互いに対してシールする、第2のシールを有している。外容器は縦軸を画定している。この第2のシールは、そこでは、この縦軸を通って延びる平面内に部分的に、または完全に位置している。これによっても外容器の断熱効果が高まることになる、というのも、第2のシールがその機能を完全に果たし得る限り、接続状態にある両方のシェルが互いに当接している場所である接触面から、空隙内の空気は漏出し得ないからである。
【0021】
外容器に、接続状態にある少なくとも2つのシェルの位置を固定するための固定装置が備えられるようにしてもよい。この固定装置には、例えば、シェルを互いに接続するために利用される、ロックレバーが備えられてもよい。それによりシェルを信頼性に優れた様式で互いに接続し、シェルを再び引き離すことができる。シェルが無秩序に引き離されることが阻止される。
【0022】
さらに発展させた1実施形態は、この固定装置に、少なくとも2つのシェルと接続可能な弾性ストラップが含まれることを特徴とする。弾性ストラップは、製造も使用も簡単である上に、ちぎれたり、またはそれ以外の理由からもはや機能できなくなったりした場合には、簡単で低コストな様式で交換することができる。弾性ストラップは、例えばシェルに一周ぐるりと巻き付け、面ファスナを利用して固定されてもよい。その代わりに、またはそれに加えて、弾性ストラップを固定するために、弾性ストラップの相応に寸法決定された穴の中にはまり込むピンが使用されてもよい。
【0023】
さらに発展させた1実施形態では、固定装置が、少なくとも2つのシェルを着脱自在に接続するための、スナップ式接続部を有している。このスナップ式接続部は、簡単に製造可能であり、信頼性に優れ、利用者にとっても使いやすいものとなっている。利用者に求められるのは、両方のシェルを、外容器の周囲に配置し、互いに対して押し付けることだけであり、それにより両方のシェルは互いに接続されるようになっている。取り外す際には、相応にこれとは逆の手順を踏めばよい。
【0024】
さらなる1実施形態によると、内容器はガラス製であり、外容器はプラスチック製である。ガラスは、その不活性特性により、飲用液の風味または易消化性にマイナスの影響を与えかねないガラスの成分物質が飲用液中に移行することがほぼ完全に排除され得るために、飲用液の保存に適している。それに加え、ガラスは洗浄性に優れるために、飲用液の残りが内容器の内部に永続的にこびりつくことが阻止される。もっとも、例えばスナップ式接続部を構成するための特殊な賦形については、ガラスを用いる場合にはコストをかなりかけない限りこれを作製するのは不可能であり、またその際の公差の遵守についても、ガラスを使用する場合には困難を極めることになる。この点、外容器に、特にシェルを準備するために、プラスチックを材料として使用すると、非常に好適である。つまり例えばプラスチックを使用した場合は、シールを受け入れるための溝を特に問題なく設けることができる。プラスチックを用いる場合には、複雑な形状も比較的簡単な様式で作り出すことができるが、その可能性は、ガラスを用いた場合には、ほぼ排除されることになる。この限りにおいて、二重壁ポットをもたらすために、ガラスが持つ飲料の保存面での長所を、プラスチックの良好な賦形性と組み合わせ得る。ガラスについては、例えば硼珪酸ガラスまたはソーダ石灰ガラス(ソーダガラス)が使用されてもよい。適切なプラスチックは、スチレンアクリロニトリル(SAN)またはTritan(商標)コポリエステルである。
【0025】
以下では本発明の例示的な実施形態について、添付図面を参照しながらより詳細に解説する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1a)】本発明にしたがった二重壁ポットの1実施例の断面図。
図1b)】図1a)に印を付した抜粋部分Xの拡大図。
図1c)】図1a)に印を付した抜粋部分Wの拡大図。
図2a)】本発明にしたがった二重壁ポットのこの実施例の側面図。
図2b)】図2a)に示される切断面B-Bに沿った断面図。
図2c)】図2b)に印を付した抜粋部分Zの拡大図。
図3a)】図2a)に示される切断面C-Cに沿った断面図。
図3b)】弾性ストラップの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1a)には、本発明にしたがった二重壁ポット10の1実施例が断面図で示されている。このポット10は、内容器12と外容器14とを有している。図示の実施例においては内容器12がガラス製であるのに対して、外容器14はプラスチック製である。外容器14は、図示の実施例においては第1のシェル16と第2のシェル18とを有しており、両者を着脱自在に互いに接続できるようになっている。そのために二重壁ポット10は固定装置20を有しており、これにはスナップ式接続部22が含まれている。特に図1b)から確認できるように、第1のシェル16は突起24を有しており、これが、第2のシェル18の相応に形成された凹部26にはまり込むようになっている。それ以外にもこの突起24は隆起部28を有しており、これが凹部26の孔30または溝にはまり込むことによって、形状同士の係合による接続部をもたらしている。
【0028】
さらに固定装置20には弾性ストラップ32が含まれており、弾性ストラップ32は、第1および第2のシェル16、18が接続された状態にあるときには、これらシェルの周囲に巻き付けられて固定されるようになっており、これについては以下でさらにより詳しく述べることにする。
【0029】
内容器12は空洞34を取り巻いており、この空洞34は縦軸Lを画定し、またこの空洞34の中には、開口部36から飲用液、例えばコーヒーまたは紅茶を、空洞34の中に注いだり、空洞34から再び注ぐことができるようになっている。内容器12は、この開口部36を始端として、縦軸L方向に見てテーパ部38を有しており、これは、図示の実施例においては円錐状に形成されている。このテーパ部38は、開口部36の領域内に、飲用液を例えばカップに適切に移せるようにするために利用される注ぎ口40を形成している(図2b)を参照)。それに加えてこのテーパ部は、コーヒーフィルタを受け入れるために利用されるようになっており、このため、この二重壁ポットを用いてコーヒーを直接入れることができる。
【0030】
このテーパ部38にはフレア部42が連続しており、フレア部42は凸状に膨出し、このため凸状に膨出した部分41を形成している。この凸状膨出部によって、縦軸Lに対して傾斜している部分43が形成されている。このフレア部42の直径は、ある地点からはもはや増大するのではなく、再び減少に転じ、平坦な底面領域44へと移行しているために、内容器12は、円錐状の部分以外にも、概ね球状または球台状の部分を併せ持つことになる。内容器12は、フレア部42上の外表面上に支持面46(図1c)を参照)を形成しており、外容器14は、接続状態においてこの支持面46上に支持されるようになっている。それ以外にも内容器12はそのテーパ部38上に当接面48を形成しており、外容器14は、接続状態においてこの当接面48のところで内容器12と接触する。その際にこの当接面48と支持面46は、内容器12に対する外容器14の相対的な位置を明確に決定するように、配置され配向されている。外容器14が接続状態において内容器12の周囲を把持している場合には、内容器12に対する外容器14の相対的な変位はもはや不可能となる。
【0031】
外容器14の形状は、内容器12の形状とほぼ合致するために、外容器14もまた、円錐状の部分と、球状の部分とを有している。
特に図1a)から明らかであるように、外容器14が閉じた状態において内容器12を図のように取り巻く場合は、内容器12と外容器14との間に空隙50が形成される。図1c)から明らかであるように、外容器14は第1のシール52を有しており、外容器14はこれを利用して支持面46の領域内で内容器12と接触する。図1b)から確認できるように、外容器14はさらに第2のシール54を有しており、これを利用して第1のシェル16は第2のシェル18に対してシールされる。この第2のシール54は、その全長を介して縦軸Lに沿って延びる平面に突出するようになっている。それにより、第1のシール52がその機能を完全に果たし得る限り、空隙50の第1のシール52によってシールされた部分に入っている空気が周囲に漏出し得ないこととなる。それにより第1の容器12の非常に効果的な断熱が達成されるために、第1の容器12の空洞34内に保存される飲み物の温度の周囲温度への順応は、極めて緩慢にしか行われないことになる。
【0032】
外容器14は、底面に、ポット10を台の上に確実に置けるようにするために利用される、若干数の脚部56を有している。
図2a)には、図1に示される二重壁ポット10の実施例の側面図が示されている。第1のシェル16には第1のピン58が、第2のシェル18には第2のピン60が備えられていることが分かるが、そこでは第1のピン58が、図2a)において選択されている図に関して実質的に鉛直方向に延びる第1のピン部分62を、第2のピン60が実質的に水平方向に延びる第2のピン部分64を有している。これらのピン58、60は、円錐状の部分が球状の部分に移行する領域に配置されており、その領域において内容器12と外容器14の双方がくびれ部66を形成している。
【0033】
図2b)および図2c)から確認できるように、第2のシール54は、図1b)に示されているように底面のところだけではなく、鉛直方向にも延びており、このため第2のシール54は、第1のシェル16が接続状態において第2のシェル18と接触する接触面の全体に沿って延びている。
【0034】
図3b)において確認できるように、弾性ストラップ32は、その両端部に、第1のピン58および第2のピン60に上からはめ合わせることができる穴68を2つずつ有している。これらの穴68は、図2a)に示されている第1のピン部分62および第2のピン部分64の配向と符合するように形成されている。それにより、弾性ストラップ32を両方のピン58、60に上からはめ合わせることができる向きを1つだけにすることができる。
【0035】
第1のシェル16を第2のシェル18と接続するために、これらのシェルは第1の容器12の周囲に位置決めされ、第1のシェル16の突起24が第2のシェル18の凹部26の中に形状同士を係合させてはまり込むまで、互いに向かって移動される。そこではこのスナップ式接続部22が、両方のシェル16、18が互いに接続された状態となると、利用者が明確なフィードバックを受けるように、構成されてもよい。続いて弾性ストラップ32は、一方の端部を両方のピン58、60上にはめ合わせ、両方のシェルに一周巻き付けた後、他方の端部が両方のピン58、60に上から押しばめされる。したがって両方のシェル16、18は、そのスナップ式接続部22だけではなく、この弾性ストラップ32によっても、互いに接続された状態となる。
【0036】
上述したように、これらのピン58、60は、円錐状の部分が球状の部分に移行する領域に配置されている。既に論じたように、内容器12と外容器14は、この領域にくびれ部66を形成している。ピン58、60がそこに配置されるために、弾性ストラップ32は外容器14のくびれ部66に沿って延びることになり、それにより弾性ストラップ32が滑って位置がずれることを回避している。穴68間の距離はくびれ部66の周長よりも小さいために、弾性ストラップ32を両方のシェル16、18の周囲にぐるりと巻き付ける際には、ぴんと張り渡すことが求められるが、それによっても、滑って位置がずれるのが回避されることになる。
【0037】
外容器14を内容器12から取り外すためには、弾性ストラップ32をピン58、60、したがって外容器14から外し、両方のシェル16、18を引き離す。取り外しは、特にポット10を洗浄するために勧められるものである。
【符号の説明】
【0038】
10…ポット、12…内容器、14…外容器、16…第1のシェル、18…第2のシェル、20…固定装置、22…スナップ式接続部、24…突起、26…凹部、28…隆起部、30…孔、32…弾性ストラップ、34…空洞、36…開口部、38…テーパ部、40…注ぎ口、41…凸状に膨出した部分、42…フレア部、43…傾斜している部分、44…底面領域、46…支持面、48…当接面、50…空隙、52…第1のシール、54…第2のシール、56…脚部、58…第1のピン、60…第2のピン、62…第1のピン部分、64…第2のピン部分、66…くびれ部、68…穴、L…縦軸。
図1a)】
図1b)】
図1c)】
図2a)】
図2b)】
図2c)】
図3a)】
図3b)】