(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】整流子及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 13/14 20060101AFI20221110BHJP
H02K 13/00 20060101ALI20221110BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
H02K13/14
H02K13/00 D
H02K15/02 P
(21)【出願番号】P 2021500528
(86)(22)【出願日】2020-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2020086093
(87)【国際公開番号】W WO2021114544
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】201911288987.0
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521006990
【氏名又は名称】深▲セン▼市凱中精密技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡 勇
(72)【発明者】
【氏名】陳 雷
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-206346(JP,A)
【文献】特開2007-300705(JP,A)
【文献】特開2009-303408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子であって、本体を備え、
前記本体は、中部に軸孔が設けられる円筒状構造であり、その周方向に分布している複数の整流子片(4)を備え、前記複数の整流子片(4)の各々の両端がそれぞれ接続部品(3)及びフック部(1)に接続され、前記フック部(1)は複数であり、前記本体の前記
複数のフック部(1)から
離れた側に
前記接続部品(3)が設けられ
、前記接続部品(3)が複数であり、前記複数の接続部品(3)が前記本体の軸線周りに設置され、環状バリスタが前記複数の接続部品(3)に取り付けられ、
前記接続部品(3)の前記本体の前記軸線を向く側が前記環状バリスタ(2)の外面に接続され、前記接続部品(3)の前記本体に沿う周方向寸法が前記整流子片(4)の寸法よりも小さく、前記接続部品(3)の前記本体の軸線方向における高さは前記環状バリスタ(2)の前記本体の軸線方向における高さよりも小さいことを特徴とする整流子。
【請求項2】
前記
複数の整流子片(4)
の各々と
、対応する前記接続部品(3)
とは一体構造であることを特徴とする請求項
1に記載の整流子。
【請求項3】
製造方法であって、請求項1
または請求項2に記載の整流子に適用され、まず、
前記環状バリスタ(2)を前記整流子と接続し、さらに、前記整流子の前記フック部(1)を回転子コイルと接続することを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は整流子の技術分野に関し、具体的には、整流子及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
整流子はブラシ付き電動機の主な部材の1つであり、電動機モータに幅広く応用されており、電気及び電子機器の点数及び種類が増加し続けるに伴い、電磁環境がますます複雑になり、電磁干渉が発生しやすい。
【0003】
マイクロ電動機の動作時、そのカーボンブラシと整流子の表面に電気火花及び電気ノイズが発生し、高周波電気ノイズを除去し、マイクロ直流電動機の電磁両立性基準要件を満たすために、これらのノイズを処理する必要があり、従来の解決方法は、マイクロ電動機の整流子片及びコイルに環状バリスタのような電子部品を取り付けることである。
【0004】
実際の製造では、
図1に示すように、まず、回転子4’の巻線を整流子1’のフック部3’に巻き付け、整流子1’を回転子コイルと接続し、さらに環状バリスタのような電子部品2’を整流子1’に套設し、且つ整流子1’のフック部3’と半田付けし、前記巻線が前記電子部品2’と前記フック部3’との間に位置する。このような接続方式は以下の欠陥がある。
【0005】
1.巻線を巻き付けてから電子部品2’を取り付ける必要があり、すなわち、電子部品2’の取り付けと巻線巻き付け工程が特定の優先順位があるため、製造プロセスの最適化、製造資源の合理的な構成に不利である。
【0006】
2.整流子1’と回転子4’を接続した後、電子部品2’を取り付け、回転子4’の寸法が大きいため、製造の自動化が困難であり、一般には、電子部品2’を手動で取り付けるため、製造効率が低い。
【0007】
3.手動半田付け中、前記巻線が前記電子部品2’と前記フック部3’との間に位置するため、フック部3’に接続されたコイルに誤接触ことで電動機の性能低下につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
従って、本願は、上記接続方式の欠陥を解決するように、整流子及び製造方法を提供する。
【0009】
本願の技術案は以下の通りである。
【0010】
整流子であって、本体を備え、本体にフック部が設けられ、本体のフック部から遠い側に電子部品を取り付ける接続部品が設けられる。
【0011】
接続部品は複数であり、本体の軸線周りに設置される。
【0012】
接続部品の軸線を向く側が電子部品の外面に接続される。
【0013】
接続部品はL型であり、接続部品の両側壁が電子部品に接続される。
【0014】
接続部品の本体の軸線方向における高さは電子部品の本体の軸線方向における高さよりも小さい。
【0015】
電子部品にスロットが設けられ、接続部品が対応するスロット内に挿入されて電子部品に接続される。
【0016】
本体はその周方向に分布している複数の整流子片を備え、整流子片の両端がそれぞれ接続部品及びフック部に接続される。
【0017】
整流子片と接続部品は一体構造である。
【0018】
電子部品はバリスタである。
【0019】
製造方法であって、上記整流子に適用され、まず、電子部品を整流子と接続し、さらに整流子のフック部を回転子コイルと接続する。
【0020】
本願の有益な効果について、
1.本願に係る整流子は、本体を備え、本体にフック部が設けられ、本体のフック部から遠い側に電子部品を取り付ける接続部品が設けられる。従来技術に比べて、本願は、電子部品が本体のフック部から遠い側に設置されることによって、電子部品の取り付けと巻線巻き付け工程が特定の優先順位がなく、同時に行ってもよく、まず、電子部品を接続部品と接続し、さらに回転子の巻線を整流子のフック部に巻き付けるようにしてもよく、従って、製造プロセスの最適化、製造資源の合理的な構成に有利であり、また、電子部品の取り付け時、コイルに誤接触することがなく、マイクロ電動機の性能を確保し、電子部品を本体の接続部品に取り付ける時、整流子の寸法が回転子の寸法よりも小さく、且つ接続部品が治具として機能できるため、自動取り付けを実現しやすく、製造効率を大幅に向上させる。
【0021】
2.本願に係る整流子は、接続部品がL型であり、接続部品の両側壁が電子部品に接続され、電子部品が接続部品と本体との間に位置することによって、電子部品を本体と強固に接続し、接続部品が治具として機能する。
【0022】
3.本願に係る整流子は、電子部品にスロットが設けられ、接続部品が対応するスロット内に挿入されて電子部品に接続されることによって、電子部品を本体と強固に接続し、接続部品が治具として機能する。
【0023】
4.本願に係る整流子は、整流子片と接続部品が一体構造であることによって、加工や製造が容易になり、整流子片と接続部品の接続強度を向上させる。
【0024】
5.本願に係る製造方法は、電子部品を整流子と接続し、さらに整流子のフック部を回転子コイルと接続し、電子部品及び整流子の寸法が小さいため、自動半田付けを実現しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願の具体的な実施形態又は従来技術の技術案をさらに明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明し、無論、以下で説明される図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労働をせずにこれらの図面に基づいてほかの図面が得られる。
【
図1】従来技術における整流子が電子部品に接続される構造模式図である。
【
図3】本願に係る整流子の第1実施形態の構造模式図である。
【
図4】本願に係る整流子の第2実施形態の構造模式図である。
【
図5】本願に係る整流子の第3実施形態の構造模式図である。
【
図6】本願に係る整流子の第4実施形態の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本願の技術案を明確かつ完全に説明し、勿論、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得られたほかの実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0027】
なお、本願の説明では、特に明確な規定及び限定しない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能接続、又は一体接続であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介する間接接続であってもよく、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者は、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0028】
また、以下で説明される本願の異なる実施形態に係る技術的特徴は互いに矛盾しない限り組み合わせることができる。
【0029】
実施例1
本実施例に係る整流子は、
図2-6に示すように、本体を備え、本体にフック部1が設けられ、本体のフック部1から遠い側に電子部品2を取り付ける接続部品3が設けられ、接続部品3が複数であり、本体の軸線周りに設置される。従来技術に比べて、本願は電子部品2が本体のフック部1から遠い側に設置されることによって、電子部品2の取り付けと巻線巻き付け工程が特定の優先順位がなく、同時に行ってもよく、まず電子部品2を接続部品3と接続し、さらに回転子の巻線を整流子のフック部1に巻き付けるようにしてもよく、従って、製造プロセスの最適化、製造資源の合理的な構成に有利であり、また、電子部品2の取り付け時、コイルに誤接触することがなく、マイクロ電動機の性能を確保し、電子部品2を本体の接続部品3に取り付ける時、整流子の寸法が回転子の寸法よりも小さく、且つ接続部品3が治具として機能できるため、自動取り付けを実現しやすく、製造効率を大幅に向上させ、なお、本実施例に係る電子部品2はバリスタであり、その構造が環状である。
【0030】
本体は、中部に軸孔が設けられる円筒状構造であり、その周方向に分布している複数の整流子片4を備え、整流子片4の両端がそれぞれ接続部品及びフック部1に接続され、整流子片4と接続部品3が一体構造である。
【0031】
接続部品3の軸線を向く側が電子部品2の外面に接続され、接続部品3の本体に沿う周方向寸法が整流子片4の寸法よりも小さい。
【0032】
図3に示すように、変形可能な実施形態1として、接続部品3はL型であり、接続部品3の両側壁が電子部品2に接続され、それによって電子部品2が本体と強固に接続し、接続部品3が治具として機能する。
【0033】
図4に示すように、変形可能な実施形態2として、接続部品3の本体の軸線方向における高さは電子部品2の本体の軸線方向における高さよりも小さい。
【0034】
図5に示すように、変形可能な実施形態3として、電子部品2にスロット5が設けられ、スロット5が前記本体の軸方向周りに均一に設けられ、接続部品3が対応するスロット5内に挿入されて電子部品2に接続され、それによって電子部品2が本体と強固に接続し、接続部品3が治具として機能する。
【0035】
図6に示すように、変形可能な実施形態4として、接続部品3の本体に沿う周方向寸法は整流子片4と同じである。
【0036】
使用時、本実施例に係る整流子のバリスタは電子機器間のEMC電磁両立性を大幅に向上させることができ、種々の電子機器の正常動作を確保し、電子製品の高品質、高標準の要件を満たす。
【0037】
実施例2
本実施例に係る製造方法は、実施例1に記載の整流子に適用され、まず、前記電子部品2を前記整流子と接続し、さらに前記整流子の前記フック部1を回転子コイルと接続し、電子部品2及び整流子の寸法が小さいため、自動半田付けを実現しやすく、従来技術では、マイクロ電動機メーカーは一般的に、異なる上流のサプライヤーから回転子、整流子、電子部品を購入し、まず、回転子を整流子と接続し、整流子に設けられたフック部を回転子コイルと接続し、さらに電子部品を整流子に套設し、且つ整流子のフック部に半田付けする。マイクロ電動機メーカーが自ら電子部品を取り付ける必要があるため、マイクロ電動機の製造効率の低下につながり、該製造方法を採用すると、マイクロ電動機メーカーは実施例1に記載の整流子を直接購入でき、マイクロ電動機の製造効率を向上させる。
【0038】
無論、上記の実施例は明確に説明するための例だけであり、実施形態を限定しない。当業者にとって、上記の説明をもとにほかの様々な変形や変更を行うことができる。ここではすべての実施形態を一々列挙する必要がない。上記の説明から由来する明らかな変形や変更も本願の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0039】
1’-整流子
2’-電子部品
3’-フック部
4’-回転子
1-フック部
2-電子部品
3-接続部品
4-整流子片
5-スロット