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▶ レゲット・アンド・プラット・カナダ・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】空気圧マッサージ
(51)【国際特許分類】
   F15C 1/04 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
F15C1/04
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021507988
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 CA2018000183
(87)【国際公開番号】W WO2020041854
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】16/116,433
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516197218
【氏名又は名称】レゲット・アンド・プラット・カナダ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】オムア,ウェード
(72)【発明者】
【氏名】クネルセン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ブレンディア,ホリア
(72)【発明者】
【氏名】コルジャ,レナト
(72)【発明者】
【氏名】マクミレン,ロバート・ジェイ
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-517855(JP,A)
【文献】米国特許第3306538(US,A)
【文献】特開2014-147836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15C 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体式切換モジュールであって、
モジュール本体を備え、前記モジュール本体が、
入口通路と、
前記入口通路に流体連通された第1のノズルと、
前記第1のノズルに流体連通された第1の空気スプリッタと、
前記空気スプリッタの第1の側に流体連通された第1の移送通路と、
前記空気スプリッタの第2の側に流体連通された第2の移送通路と、
前記第1の移送通路に流体連通された第2のノズルと、
前記第2のノズルに流体連通された第2の空気スプリッタと、
前記第2の空気スプリッタの第1の側に流体連通された第1のブラダ通路と、
前記第2の空気スプリッタの第2の側に流体連通された第2のブラダ通路と、
前記第1のブラダ通路に流体連通された第1の通気通路と、
前記第2のブラダ通路に流体連通された第2の通気通路と
を画定し、
前記第1の空気スプリッタは、2つの等しくない空気圧力フィールドを作り出して、前記第1のノズルから前記第1の移送通路に向かって空気流れを偏向させるように構成され、
前記第2の空気スプリッタは、2つの等しくない空気圧力フィールドを作り出して、前記空気流れを前記第1のブラダ通路に向けて偏向させるように構成され、
第1のフィードバックゾーンから前記第1の移送通路への圧力フィードバックにより、第1のスプリッタゾーンは、前記空気流れを前記第1の移送通路から前記第2の移送通路に切り替える、流体式切換モジュール。
【請求項2】
前記第1のノズルに流体連通された第1のノッチと、前記第2のノズルに流体連通された第2のノッチとをさらに備える、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項3】
前記第1の空気スプリッタに連通された第1の固定の空気流れ付勢構造部と、前記第2の空気スプリッタに連通された第2の固定の空気流れ付勢構造部とをさらに備える、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項4】
前記第2の通気通路および前記第1の移送通路に流体連通された第1のフィードバック通路をさらに備える、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項5】
前記第1の通気通路内に配置される第1の通気孔をさらに備える、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項6】
前記第2の通気通路内に配置される第2の通気孔をさらに備える、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項7】
前記第1の空気スプリッタおよび前記第2の空気スプリッタの各々が半径を画定する、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項8】
前記第2の移送通路に流体連通された第3のノズルと、
前記第3のノズルに流体連通された第3の空気スプリッタと、
前記第3の空気スプリッタの第1の側に流体連通された第3のブラダ通路と、
前記第3の空気スプリッタの第2の側に流体連通された第4のブラダ通路と、
前記第3のブラダ通路に流体連通された第3の通気通路と、
前記第4のブラダ通路に流体連通された第4の通気通路と
をさらに備える、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項9】
前記第3のノズルに流体連通された第3のノッチをさらに備える、請求項8に記載の流体式切換モジュール。
【請求項10】
前記第4の通気通路および前記第2の移送通路に流体連通された第2のフィードバック通路をさらに備える、請求項9に記載の流体式切換モジュール。
【請求項11】
前記第3の通気通路内に配置される第3の通気孔と、前記第2のフィードバック通路内に配置される第4の通気孔とをさらに備える、請求項8に記載の流体式切換モジュール。
【請求項12】
内部に空気通路が形成された空気圧モジュールであって、前記空気通路が、
第1の上流位置にある第1の入口ゾーンと、
前記第1の入口ゾーンから下流にある第1のスプリッタゾーンと、
前記第1のスプリッタゾーンから下流にあり、前記第1のスプリッタゾーンに流体的に接続される第1の移送ゾーンと、
前記第1のスプリッタゾーンから下流にあり、前記第1のスプリッタゾーンに流体的に接続される第2の移送ゾーンと、
前記第1の移送ゾーンから下流にあり、前記第1の移送ゾーンに流体的に接続される第2の入口ゾーンと、
前記第2の入口ゾーンから下流に配置される第2のスプリッタゾーンと、
前記第2のスプリッタゾーンから下流にあり、前記第2のスプリッタゾーンに流体的に接続される第1のブラダゾーンと、
前記第2のスプリッタゾーンから下流にあり、前記第2のスプリッタゾーンに流体的に接続される第2のブラダゾーンと、
前記第1のブラダゾーンに流体的に接続される第1の通気ゾーンと、
前記第2のブラダゾーンに流体的に接続される第2の通気ゾーンと、
前記第2の通気ゾーンおよび前記第1の移送ゾーンに流体的に接続される第1のフィードバックゾーンと
を備え、
前記第1のスプリッタゾーンは、2つの等しくない空気圧力フィールドを作り出して、前記第1の入口ゾーンから前記第1の移送ゾーンに向かって空気流れを偏向させるように構成され、前記第1のフィードバックゾーンから前記第1の移送ゾーンへの圧力フィードバックにより、前記第1のスプリッタゾーンは、前記空気流れを前記第1の移送ゾーンから前記第2の移送ゾーンに切り替える、空気圧モジュール。
【請求項13】
前記空気通路が、
前記第2の移送ゾーンから下流にあり、前記第2の移送ゾーンに流体的に接続される第3の入口ゾーンと、
前記第3の入口ゾーンから下流にある第3のスプリッタゾーンと、
前記第3のスプリッタゾーンから下流にあり、前記第3のスプリッタゾーンに流体的に接続される第3のブラダゾーンと、
前記第3のスプリッタゾーンから下流にあり、前記第3のスプリッタゾーンに流体的に接続される第4のブラダゾーンと
をさらに有する、請求項12に記載の空気圧モジュール。
【請求項14】
前記空気通路が、
前記第3のブラダゾーンに流体的に接続される第3の通気ゾーンと、
前記第4のブラダゾーンに流体的に接続される第4の通気ゾーンと
をさらに有する、請求項13に記載の空気圧モジュール。
【請求項15】
前記空気通路が、前記第4の通気ゾーンおよび前記第2の移送ゾーンに流体的に接続される第2のフィードバックゾーンをさらに有する、請求項14に記載の空気圧モジュール。
【請求項16】
流体式切換モジュールであって、
第1のサブシステムであって、
加圧空気の供給源に流体連通されるように構成される入口通路、および
前記加圧空気の供給源から空気流れを受け取るために、前記入口通路から下流にあり、前記入口通路に流体連通された第1の空気スプリッタ
を有し、
前記第1の空気スプリッタが第1の出口および第2の出口を有し、
前記第1の空気スプリッタが、前記空気流れを前記第1の出口の方に偏向させるために、2つの等しくない空気圧力フィールドを作り出すように構成される
第1のサブシステムと、
第2のサブシステムであって、
前記第1の空気スプリッタから前記空気流れを受け取るために、前記第1の空気スプリッタから下流にあり、前記第1の出口を通して前記第1の空気スプリッタに流体連通された第2の空気スプリッタであって、
前記第2の空気スプリッタが第1のブラダに流体連通されるように構成される第3の出口、および第2のブラダに流体連通されるように構成される第4の出口を有し、
前記第2の空気スプリッタが、前記第1のブラダを膨張させるべく前記空気流れを前記第3の出口の方に偏向させるために、2つの等しくない空気圧力フィールドを作り出すように構成される
第2のサブシステムと、
第3のサブシステムであって、
前記第1の空気スプリッタから前記空気流れを受け取るために、前記第2の出口を通して前記第1の空気スプリッタに流体連通され、前記第1の空気スプリッタから下流にある第3の空気スプリッタであって、
前記第3の空気スプリッタが第3のブラダに流体連通されるように構成される第5の出口、および第4のブラダに流体連通されるように構成される第6の出口を有し、
前記第3の空気スプリッタが、前記第3のブラダを膨張させるべく前記空気流れを前記第1の空気スプリッタから前記第5の出口の方に偏向させるために、2つの等しくない空気圧力フィールドを作り出すように構成される
第3の空気スプリッタ
を備える、第3のサブシステムと
を備え、
前記第2のサブシステムは、前記第1のブラダが第1の圧力フィードバックを作り出すのに十分な第1の閾値の空気圧力に達したときに、前記第2のブラダを膨張させて前記第1のブラダを収縮させるために前記第3の出口から前記第4の出口の方に前記空気流れを切り換えて偏向させるように前記第2の空気スプリッタが構成されるように、構成され、
前記第2のブラダが第2の圧力フィードバックを作り出すのに十分な第2の閾値の空気圧力に達したときに、前記第2の圧力フィードバックによって前記第1のサブシステムは、前記第2のブラダを収縮させて前記第3のブラダを膨張させるために前記第1の出口から前記第2の出口の方に前記空気流れを切り換えて偏向させ、
前記第3のブラダが第3の圧力フィードバックを作り出すのに十分な第3の閾値の空気圧力に達したときに、前記第3の圧力フィードバックによって前記第3のサブシステムは、前記第4のブラダを膨張させて前記第3のブラダを収縮させるために前記第5の出口から前記第6の出口の方に前記空気流れを切り換えて偏向させ、
前記第4のブラダが第4の圧力フィードバックを作り出すのに十分な第4の閾値の空気圧力に達したときに、前記第4の圧力フィードバックによって前記第1のサブシステムは、前記第1のブラダを膨張させて前記第4のブラダを収縮させるために前記第2の出口から前記第1の出口の方に前記空気流れを偏向させ、
前記流体式切換モジュールが、所定の順番で、前記第1のブラダ、前記第2のブラダ、前記第3のブラダ、および前記第4のブラダを膨張および収縮させるように構成される、
流体式切換モジュール。
【請求項17】
前記第1のブラダに流体連通された第1の通気孔であって、前記第1のブラダが前記第1の閾値の空気圧力に達したとき、前記第1のブラダからの空気流れが前記第1の通気孔を通して排出されて前記第1のブラダを収縮させる、第1の通気孔と、
前記第2のブラダに流体連通された第2の通気孔であって、前記第2のブラダが前記第2の閾値の空気圧力に達したとき、前記第2のブラダからの空気流れが前記第2の通気孔を通して排出されて前記第2のブラダを収縮させる、第2の通気孔と、
前記第3のブラダに流体連通された第3の通気孔であって、前記第3のブラダが前記第3の閾値の空気圧力に達したとき、前記第3のブラダからの空気流れが前記第3の通気孔を通して排出されて前記第3のブラダを収縮させる、第3の通気孔と、
前記第4のブラダの流体連通された第4の通気孔であって、前記第4のブラダが前記第4の閾値の空気圧力に達したとき、前記第4のブラダからの空気流れが前記第4の通気孔を通して排出されて前記第4のブラダを収縮させる、第4の通気孔と
をさらに備える、請求項16に記載の流体式切換モジュール。
【請求項18】
前記第1、第2、および第3のサブシステムの各々が固定の空気流れ付勢構造部を有する、請求項16に記載の流体式切換モジュール。
【請求項19】
前記固定の空気流れ付勢構造部が、前記流体式切換モジュールの壁に形成されたノッチを備える、請求項18に記載の流体式切換モジュール。
【請求項20】
前記第1のブラダゾーンが第1のブラダに流体連通されるように構成され、前記第2のブラダゾーンが第2のブラダに流体連通されるように構成され、前記第3のブラダゾーンが第3のブラダに流体連通されるように構成され、前記第4のブラダゾーンが第4のブラダに流体連通されるように構成され、前記流体式空気圧モジュールが、所定の順番で、前記第1のブラダ、前記第2のブラダ、前記第3のブラダ、および前記第4のブラダを膨張および収縮させるように構成される、請求項14に記載の空気圧モジュール。
【請求項21】
前記第1の通気通路は、前記第1のブラダ通路と連通した第1のブラダの膨張中に空気流れが前記第1の通気通路から前記第1のブラダ通路に引き込まれるように、前記第2のノズルに対して配置される、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【請求項22】
前記第2の通気通路および前記第1の移送通路と流体連通する第1のフィードバック通路をさらに含み、前記第1のフィードバック通路から前記第1の移送通路への圧力フィードバックにより、前記第1のスプリッタゾーンは、前記空気流れを前記第1の移送通路から前記第2の移送通路に切り替える、請求項1に記載の流体式切換モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、例えばオフィス家具および家庭用家具などの商業的利用および住宅用途のための、より詳細には乗り物座席システム(飛行機、自動車など)内で使用されるための、空気圧マッサージシステムに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
[0002]流体式切換モジュールの実施形態では、流体式切換モジュールが、入口通路と、入口通路に流体連通された第1のノズルと、第1のノズルに流体連通された空気スプリッタと、空気スプリッタの第1の側に流体連通された第1の移送通路とを画定するモジュール本体を有する。モジュール本体が、空気スプリッタの第2の側に流体連通された第2の移送通路と、第1の移送通路に流体連通された第2のノズルと、第2のノズルに流体連通された第2の空気スプリッタとをさらに画定する。第1のブラダ通路が第2の空気スプリッタの第1の側に流体連通され、第2のブラダ通路が第2の空気スプリッタの第2の側に流体連通される。モジュール本体が、第1のブラダ通路に流体連通された第1の通気通路と、第2のブラダ通路に流体連通された第2の通気通路とをさらに画定する。
【0003】
[0003]通気通路を形成する空気圧モジュールの実施形態では、空気通路が、第1の上流位置にある第1の入口ゾーンと、入口ゾーンの下流に配置される第1のスプリッタゾーンと、第1のスプリッタゾーンに流体的に接続される移送ゾーンとを有する。空気通路は、第2の上流位置にあり、移送ゾーンに流体的に接続される第2の入口ゾーンと、第2の入口ゾーンの下流に配置される第2のスプリッタゾーンと、第2のスプリッタゾーンに流体的に接続される第1のブラダゾーンと、第2のスプリッタゾーンに流体的に接続される第2のブラダゾーンとをさらに有する。空気通路が、第1のブラダゾーンに流体的に接続される第1の通気ゾーンと、第2のブラダゾーンに流体的に接続される第2の通気ゾーンと、第2の通気ゾーンおよび移送ゾーンに流体的に接続される第1のフィードバックゾーンとをさらに有する。
【0004】
[0004]空気圧システムの実施形態では、空気圧システムが、加圧空気の供給源と、加圧空気の供給源に接続される流体式切換モジュールと、流体式切換モジュールに接続される第1のブラダと、流体式切換モジュールに接続される第2のブラダと、流体式切換モジュールに接続される第3のブラダと、流体式切換モジュールに接続される第4のブラダとを備える。流体式切換モジュールが、流体式切換モジュールのいかなる部分も動かさずに、所定の順番で、第1のブラダ、第2のブラダ、第3のブラダ、および第4のブラダを膨張および収縮させる。
【0005】
[0005]詳細な説明および添付図面を考察することにより本開示の他の態様が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006]流体式切換モジュールを有する空気圧システムを示す概略図である。
図2】[0007]図1の流体式切換モジュールを示す前方斜視図である。
図3】[0008]図1の流体式切換モジュールを示す背面斜視図である。
図4】[0009]図1の流体式切換モジュールを示す分解図である。
図5】[0010]カバーが取り外された状態の、図1の流体式切換モジュールを示す正面図である。
図6】[0011]線6-6によって識別される、図5の流体式切換モジュールの一部分を示す拡大図である。
図7】[0012]線7-7によって識別される、図5の流体式切換モジュールの一部分を示す拡大図である。
図8】[0013]線8-8によって識別される、図5の流体式切換モジュールの一部分を示す拡大図である。
図9】[0014]図5の流体式切換モジュールの空気通路を示す概略図である。
図10A】[0015]図5の流体式切換モジュールを通じた空気流れ動作を示す概略図である。
図10B図5の流体式切換モジュールを通じた空気流れ動作を示す概略図である。
図10C図5の流体式切換モジュールを通じた空気流れ動作を示す概略図である。
図10D図5の流体式切換モジュールを通じた空気流れ動作を示す概略図である。
図10E図5の流体式切換モジュールを通じた空気流れ動作を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0016]本開示の任意の実施形態を詳細に説明する前に、本開示のその用途が、以下の説明に記載されるかまたは以下の図面に示される構成要素の構成および配置の細部のみに限定されないことを理解されたい。本開示は他の実施形態を支援することができ、多様な手法で実施または実行され得る。また、本明細書で使用される術語および用語が説明を目的としており、限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。本明細書での、「including」、「comprising」、または「having」、およびその変化形は、以下で列記されるアイテムおよびその同等物さらには追加のアイテムを包含することを意図される。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」、「前方」、「後方」という用語、および他の方向を表す用語は、任意特定の向きを必要とすることを意図されず、説明のみを目的として使用されるものである
【0008】
[0017]図1を参照すると、空気圧システム10(すなわち、空気圧マッサージシステム、振動空気圧システム、など)が示されている。空気圧システム10は、空気圧供給源14(例えば、空気ポンプ、空気圧縮機など)、第1のブラダ18、第2のブラダ22、第3のブラダ26、および第4のブラダ30を有する。空気圧システム10は、空気圧供給源14およびブラダ18、22、26、30に流体的に接続される流体式切換モジュール34をさらに有する。いくつかの実施形態では、空気圧供給源10が電気モータによって駆動される。言い換えると、空気圧が専用の電気モータによって発生する。代替的実施形態では、空気圧供給源10は、空気圧モジュール、または既存の乗り物空気圧システム内にある任意の空気圧供給源を有する、圧縮空気の任意適切な供給源である。
【0009】
[0018]後でより詳細に説明されるように、空気圧システム10は、電気バルブまたは機械バルブを一切使用することなく、ブラダ18、22、26、30を周期的に膨張および収縮させることによりマッサージ効果を作り出すのに利用される。具体的には、空気圧供給源10が加圧空気の供給を流体式切換モジュール34に提供し、流体式切換モジュール34のいかなる部分も動かさずに、所定の順番で、ブラダ18、22、26、30までの空気の流れを制御する。具体的には、空気の流れが、ブラダ18、22、26、30の膨張および収縮を交互に(つまり、同時に膨張しない)繰り返し行ってそれによりマッサージ効果を作り出すように、流体式切換モジュール34によって制御される。いくつかの実施形態では、空気圧システム10がシートの中に一体化される。シートは、下記の説明に関して乗り物の乗員コンパートメント内にある任意の乗り物シートであってよいが、シートは乗り物の用途のみに必ずしも限定されない。
【0010】
[0019]図1~2を参照すると、流体式切換モジュール34は、基部38およびカバー42を有する。モジュール34は、基部38の1つの側部50に形成される5つの空気接続部46A~46Eをさらに有する。具体的には、基部38は、空気圧供給源コネクタ46A、第1のブラダコネクタ46B、第2のブラダコネクタ46C、第3のブラダコネクタ46D、第4のブラダコネクタ46Eを有する。
【0011】
[0020]図4を参照すると、空気通路54が基部38内に形成される。具体的には、空気通路54が、フロア62およびカバー42と共にチャネル58によって部分的に画定される。言い換えると、空気通路54が、少なくとも、フロア62、カバー42、およびフロア62とカバー42との間を延在する側壁によって部分的に画定される。図5を参照すると、空気接続部46A~46Eが、フロア62を通過する対応する孔66A~66Eを介して空気通路54に流体的に接続される。加えて、大気への通気孔70、74、78、82(図3)が基部38(より具体的には、フロア62)に形成され、それにより、空気通路54を大気に流体連通させる。空気通路54および通気孔70、74、78、82の動作は後でより詳細に説明される。一般に、空気通路54および通気孔70、74、78、82は、所定の順番で、空気圧供給源14からブラダ18、22、26、30までの空気の流れを受動的に制御する(つまり、追加の機械的なまたは電気的なバルブを用いない)。
【0012】
[0021]図9を参照すると、空気通路54が複数の「ゾーン」および「サブシステム」を画定する。具体的には、空気通路54は、第1のサブシステム86(図9では斜線を付される)、第1のサブシステム86に流体的に接続される第2のサブシステム90、および第1のサブシステム86に流体的に接続される第3のサブシステム94を有する。第1のサブシステム86は、空気供給源接続部46Aを有する、第1の上流位置にある入口ゾーン98と、入口ゾーン98の下流に配置される第1のスプリッタゾーン102とを有する。第1のサブシステム86は、第1の移送ゾーン106、および第2の移送ゾーン110をさらに有する。第1のスプリッタゾーン102は、第1の移送ゾーン106および第2の移送ゾーン110に流体的に接続される。第1の移送ゾーン106は第2のサブシステム90の入口ゾーン114に流体連通される。同様に、第2の移送ゾーン110は第3のサブシステム94の入口ゾーン118に流体連通される。
【0013】
[0022]継続して図9を参照すると、第2のサブシステム90は、第2の上流位置にある入口ゾーン114と、入口ゾーン114に流体的に接続される第2の空気スプリッタゾーン122とを有する。第2のサブシステム90は、第1のブラダゾーン126と、第2のスプリッタゾーン122に流体的に接続される第2のブラダゾーン130とをさらに有する。第1のブラダ接続部46Bが第1のブラダゾーン126内に配置され、第2のブラダ接続部46Cが第2のブラダゾーン130内に配置される。加えて、第2のサブシステム90は、第1のブラダゾーン126に流体的に接続される第1の通気ゾーン134と、第2のブラダゾーン130に流体的に接続される第2の通気ゾーン138を有する。第1の通気孔70が第1の通気ゾーン134内に配置され、第2の通気孔74が第2の通気ゾーン138内に配置される。さらに、第2のサブシステム90は、第1のサブシステム86の第2の通気ゾーン138および第1の移送ゾーン106に流体的に接続されるフィードバックゾーン142を有する。
【0014】
[0023]継続して図9を参照すると、第3のサブシステム94は第2のサブシステム90に類似する。第3のサブシステム94は、第3の上流位置にある入口ゾーン114と、入口ゾーン114に流体的に接続される第3の空気スプリッタゾーン146とを有する。第3のサブシステム94は、第3のブラダゾーン150と、第3のスプリッタゾーン146に流体的に接続される第4のブラダゾーン154とをさらに有する。第3のブラダ接続部460が第3のブラダゾーン150内に配置され、第4のブラダ接続部46Eが第4のブラダゾーン154内に配置される。加えて、第3のサブシステム94は、第3のブラダゾーン150に流体的に接続される第3の通気ゾーン158と、第4のブラダゾーン154に流体的に接続される第4の通気ゾーン162とを有する。第3の通気孔78が第3の通気ゾーン158内に配置され、第4の通気孔82が第4の通気ゾーン162内に配置される。さらに、第3のサブシステム94は、第1のサブシステム86の第4の通気ゾーン162および第2の移送ゾーン110に流体的に接続されるフィードバックゾーン166を有する。
【0015】
[0024]図5~8を参照すると、空気通路54は、複数の、「通路」、「壁」、「寸法」などをさらに画定する。第1の入口ゾーン98が空気供給源コネクタ46Aに流体連通された入口通路170を有し、流入空気ストリーム軸174(図6)を画定する。空気供給源コネクタ46Aの孔66Aが、約1.0mmから約3.0mmの範囲内にある直径178を画定する。入口通路170はノズル182に向かって下流の方が狭くなっている。具体的には、入口通路170は入口幅寸法186を有し、ノズル182は入口幅寸法186より小さいノズル幅寸法190を画定する。示される実施形態では、入口幅寸法186が直径178と等しい。入口幅寸法186は、約1.25倍から約5.5倍の範囲内でノズル幅寸法190より大きい。
【0016】
[0025]図6を参照すると、ノズル182の下流に第1のスプリッタゾーン102が存在する。第1のスプリッタゾーン102は、空気スプリッタ194、第1の出口通路198、第2の出口通路202、およびノッチ206(つまり、空気流れ付勢構造部)を有する。空気スプリッタ194がノズル182から約2.0mmから約3.0mmの距離208に配置される。いくつかの実施形態では、距離208はノズル幅190の約4倍と等しい。空気スプリッタ194は、湾曲しており、少なくとも1つの半径210を画定する。代替的実施形態では、空気スプリッタは尖頭形である。言い換えると、空気スプリッタ194は凹形または凸形であってよい。具体的には、空気スプリッタ194は、流入空気ストリーム軸174に位置合わせされる中心点214を有する。第1の出口通路198が第1の壁218を有し、第2の出口通路202が第1の壁218の反対側に配置される第2の壁222を有する。第1の壁218は、第1の角度226を画定するように流入空気ストリーム軸174を基準として方向付けられる。同様に、第2の壁222は、第2の角度230を画定するように流入空気ストリーム軸174を基準として方向付けられる。第1の角度226および第2の角度230は、約15度から約25度の範囲内にある。いくつかの実施形態では、第1の角度226が第2の角度230と等しい。
【0017】
[0026]ノッチ206は、第1の出口通路198の上流かつノズル182の下流に配置される。より具体的には、ノッチ206はノズル182と第1の壁218との間に配置される。言い換えると、ノッチ206が第1の壁218の一部分に取って代わる。後でより詳細に説明されるように、ノッチ206は、第2の出口通路202を通って流れる前に最初に第1の出口通路198を通って流れるように、ノズル182からの空気流れを付勢する。ノッチ206は、約0.025mmから約0.50mmの範囲内にある寸法234を画定する。ノッチのサイズが大きくなるほど、対応する出力チャネル198の方に向かう付勢効果が強くなる。しかし、ノッチのサイズが過度に大きくなると空気流れに不安定さが生じる可能性がある。代替的実施形態では、ノッチ206は、低圧力エリアを発生させるために壁218内にある、溝、スロット、または他の適切な幾何学的構造部であってよい。
【0018】
[0027]継続して図6を参照すると、第1のスプリッタゾーン102の下流に第1および第2の移送ゾーン106、110の両方が存在する。具体的には、第1の出口通路198が第1の移送ゾーン106に流体連通される。同様に、第2の出口通路202が第2の移送ゾーン110に流体連通される。第1の移送ゾーン106は2つの湾曲した壁242を備える移送通路238を有し、第2の移送ゾーン110は同様に2つの湾曲した壁250を備える移送通路246を有する。
【0019】
[0028]第1の移送ゾーン106の下流に第2のサブシステム90の入口ゾーン114が存在する。図7を参照すると、移送通路238が、空気ストリーム軸258を画定する入口通路254に流体連通される。入口通路254はノズル262の方に向かって狭くなっており、ノズル262はノズル182より狭い。具体的には、ノズル262は、ノズル190より小さいノズル幅寸法266を画定する。ノズル幅寸法266は、ノズル幅190と同等であるか、または約100%から約50%の範囲内でノズル幅190より小さい。
【0020】
[0029]ノズル262の下流に第2のスプリッタゾーン122が存在する。第2のスプリッタゾーン122は、空気スプリッタ270、第1の出口通路274、第2の出口通路278、およびノッチ282を有する。空気スプリッタ270は、ノズル262から約2.0mmから約3.0mmの距離284に配置される。いくつかの実施形態では、距離284がノズル幅266の約4倍と等しい。空気スプリッタ270は、湾曲しており、少なくとも1つの半径286を画定する。空気スプリッタ194と同様に、空気スプリッタ270が凹形または凸形であってよい。具体的には、空気スプリッタ270は、流入空気ストリーム軸258に位置合わせされる中心点290を有する。第1の出口通路274は第1の壁294を有し、第2の出口通路278は、第1の壁294の反対側に配置される第2の壁298を有する。第1の壁294は、第1の角度302を画定するように流入空気ストリーム軸258を基準として方向付けられる。同様に、第2の壁298は、第2の角度306を画定するように流入空気ストリーム軸258を基準として方向付けられる。第1の角度302および第2の角度306の両方が約15度から約25度の範囲内にある。いくつかの実施形態では、第1の角度302が第2の角度306と等しい。
【0021】
[0030]ノッチ282が第1の出口通路274の上流に配置される。より具体的には、ノッチ282はノズル262と第1の壁294と間に配置される。言い換えると、ノッチ282が第1の壁294の一部分に取って代わる。ノッチ282は、約0.025mmから約0.5mmの範囲内にある寸法310を画定する。後でより詳細に説明されるように、ノッチ282は、第2の出口通路278を通って流れる前に最初に第1の出口通路274を通って流れるように、ノズル262からの空気流れを付勢する。
【0022】
[0031]第2のスプリッタゾーン122の下流に、第1のブラダゾーン126、第2のブラダゾーン130、第1の通気ゾーン134、および第2の通気ゾーン138が存在する。具体的には、第1の出口通路274が第1のブラダゾーン126および第1の通気ゾーン134に流体連通される。同様に、第2の出口通路278が第2のブラダゾーン130および第2の通気ゾーン138に流体連通される。第1のブラダゾーン126は、2つの対向する壁318を備える通路314および第1のブラダコネクタ46Bを有する。同様に、第2のブラダゾーン130は、2つの対向する壁326を備える通路322および第2のブラダコネクタ46Cを有する。第1の通気ゾーン134は、2つの湾曲する壁334を備える通路330および第1の通気孔70を有する。同様に、第2の通気ゾーン138は、2つの湾曲する壁342を備える通路338および第2の通気孔74を有する。第1の通気孔70が第1の通気孔直径346を画定し、第2の通気孔74が第2の通気孔直径350を画定する。
【0023】
[0032]図6、7、および9を参照すると、フィードバックゾーン142が、2つの湾曲する壁352を有するフィードバック通路351を有する。フィードバック通路254が第2の通気ゾーン138の通路338に流体連通され、第1の移送ゾーン106の移送通路238に流体連通される。後でより詳細に説明されるように、フィードバックゾーン142は、第2のサブシステム90から第3のサブシステム94への空気流れの切り換えを受動的に行う。
【0024】
[0033]第3のサブシステム94は第2のサブシステム90に類似する。いくつかの実施形態では、第3のサブシステム94は第2のサブシステム90と同じである(つまり、完全に等しい)。第2の移送ゾーン110の下流に第3のサブシステム94の入口ゾーン118が存在する。図8を参照すると、移送通路246が、空気ストリーム軸358を画定する入口通路354に流体連通される。入口通路354は、ノズル362の方に向かって狭くなっており、ノズル362はノズル182より狭い。具体的には、ノズル362は、ノズル幅190より小さいノズル幅寸法366を画定する。ノズル幅寸法366は、ノズル幅190と同等であるか、または約100%から約50%の範囲内でノズル幅190より小さい。
【0025】
[0034]ノズル362の下流に第3のスプリッタゾーン146が存在する。第3のスプリッタゾーン146は、空気スプリッタ370、第1の出口通路374、第2の出口通路378、およびノッチ382を有する。空気スプリッタ370は、ノズル362から約2.0mmから約3.0mmの距離384に配置される。いくつかの実施形態では、距離384がノズル幅366の約4倍と等しい。空気スプリッタ370は、湾曲しており、少なくとも1つの半径386を画定する。空気スプリッタ270と同様に、空気スプリッタ370が凹形または凸形であってよい。具体的には、空気スプリッタ370は、流入空気ストリーム軸358に位置合わせされる中心点390を有する。第1の出口通路374が第1の壁394を有し、第2の出口通路378が第1の壁394の反対側に配置される第2の壁398を有する。第1の壁394は、第1の角度402を画定するように流入空気ストリーム軸358を基準として方向付けられる。同様に、第2の壁398は、第2の角度406を画定するように流入空気ストリーム軸358を基準として方向付けられる。第1の角度402および第2の角度406の両方が約15度から約25度の範囲内にある。いくつかの実施形態では、第1の角度402が第2の角度406と等しい。
【0026】
[0035]ノッチ382が第1の出口通路374の上流に配置される。より具体的には、ノッチ382がノズル362と第1の壁394と間に配置される。言い換えると、ノッチ382が第1の壁394の一部分に取って代わる。ノッチ382は、約0.025mmから約0.5mmの範囲内にある寸法410を画定する。後でより詳細に説明されるように、ノッチ382は、第2の出口通路378を通って流れる前に最初に第1の出口通路374を通って流れるように、ノズル362からの空気流れを付勢する。
【0027】
[0036]第3のスプリッタゾーン146の下流に、第3のブラダゾーン150、第4のブラダゾーン154、第3の通気ゾーン158、および第4の通気ゾーン162が存在する。具体的には、第1の出口通路374が第3のブラダゾーン150および第3の通気ゾーン158に流体連通される。同様に、第2の出口通路378が第4のブラダゾーン154および第4の通気ゾーン162に流体連通される。第3のブラダゾーン150は、2つの対向する壁148を備える通路414および第3のブラダコネクタ46Dを有する。同様に、第4のブラダゾーン154は、2つの対向する壁426を備える通路422および第4のブラダコネクタ46Eを有する。第3の通気ゾーン158は、2つの湾曲する壁434を備える通路430および第3の通気孔78を有する。同様に、第4の通気ゾーン162は、2つの湾曲する壁442を備える通路438および第4の通気孔82を有する。第3の通気孔78が第3の通気孔直径446を画定し、第4の通気孔82が第4の通気孔直径450を画定する。
【0028】
[0037]フィードバックゾーン166は、2つの湾曲する壁452を有するフィードバック通路451を有する。フィードバック通路451は、第4の通気ゾーン162の通路438に流体連通され、第2の移送ゾーン110の移送通路246に流体連通される。後でより詳細に説明されるように、フィードバックゾーン166は、第3のサブシステム94から第2のサブシステム90への空気流れの切り換えを受動的に行う。
【0029】
[0038]動作中、ポンプ14が空気コネクタ46Aのところで加圧空気の供給を提供する。空気通路54が、ブラダ18、22、26、30を周期的にかつ順番に膨張および収縮させるために加圧空気の供給を受動的に制御する。言い換えると、空気通路54は、追加の電気的なまたは機械的な、バルブ、スイッチ、または他の外部制御装置を用いず、所定の順番で、ブラダ18、22、26、30の各々を膨張および収縮させる。示される実施形態では、所定の順番は、各々のブラダ18、22、26、30の非同時の膨張を含む(つまり、最初に第1のブラダを膨張させ、次いで第2のブラダを膨張させ、次いで第3のブラダを膨張させる、などである)。
【0030】
[0039]図10Aを参照すると、ポンプ14からの加圧空気が流体式切換モジュール34によって受け取られ、空気通路54の入口通路170に入る。入力通路170内の圧力(つまり、入口圧力)が、ブラダ18、22、26、30に対して可能である最大の出力圧力対出力流量の比を決定する。入口通路170がノズル182を形成するように狭まっていることにより、空気流れが加速する。過度に高い空気速度は過剰な乱流を作り出し、それによりモジュール34の動作および安定性を低下させる。
【0031】
[0040]加圧空気がノズル182から出るとき、空気流れが第1の空気スプリッタ194に接触する。第1のスプリッタ194が2つの出口通路198、202の各々の通路の間で空気流れを分割する。周囲空気が入ることにより、最初に、低圧フィールドが、角度付けられた隣接する壁218、222の両方に沿って発生する。しかし、第1の壁218にノッチ206が存在する結果として、角度付けられた隣接する壁218、222の両方に沿って発生する低圧フィールドはそれぞれ異なるものとなる。具体的には、第1の壁218に沿う低圧フィールドは、第2の壁222に沿う低圧フィールドより強くなる。低圧フィールドの差異は、付勢用ノッチ206を備える第1の壁218および対応する第1の出口通路198の方に向かうように空気流れを偏向させる。2つの壁218、222のうちの1つの壁に空気流れを引き寄せる物理現象はCoanda効果として知られる。Coanda効果とは、オリフィスから発生する流体の噴流が隣接する平坦なまたは湾曲する表面(例えば、壁218)に沿って移動して周囲から流体を取り込む傾向のことである。したがって、最初に、空気流れが第1の空気スプリッタ194から第2のサブシステム90まで流れる。空気流れ中心線174を基準とした壁218、222(図6)の角度226、230は、低圧フィールドの強さと、空気ストリームが下流の壁218、222に引き寄せられる箇所とを制御するように設計される。
【0032】
[0041]継続して図10Aを参照すると、空気流れが移送通路238を通って移動するとき、最初に、空気流れが、Venturi効果により、フィードバック通路351を通る空気の追加の流入分を引き入れる。具体的には、追加の空気流れが通気孔74から移送通路238の中に引き入れられる。しかし、移送通路238がノズル182のところの入力圧力の約15%から約25%に達すると、フィードバック通路351を通る空気流れが通気孔74に向かう流れへと反転する。言い換えると、最初に、移送通路238を通る空気流れがVenturi効果を作り出し、移送通路238内の圧力を閾値に到達させるまで(例えば、入口圧力の約28%)、フィードバック通路351を通して追加の空気流れを引き入れる。したがって、この可変方向の空気流れは、図10Aでは双方向矢印として示される(つまり、最初に移送通路238の方に流れ、次いで第2の通気通路338の方に流れる)。移送通路238は、入力圧力の約40%から約60%に達してそこで一時的に安定し、第2のサブシステム90に対する入口圧力を一時的に安定させる。
【0033】
[0042]継続して図10Aを参照すると、第2のサブシステム90の第2の空気スプリッタ270は、第1のサブシステム86の第1の空気スプリッタ194とほぼ同じように動作する。具体的には、周囲空気が入ることにより、低圧フィールドが、角度付けられた隣接する壁294、298の両方に沿って発生する。付勢用ノッチ282により低圧フィードの間に差異が生じ、ノズル262からの空気ストリームが角度付けられた壁294および第1の出口通路274の方に向かうように偏向する。言い換えると、ノッチ282を備える壁294の方により強い低圧力エリアが形成され、それによりその方向に空気流れが付勢される。上記と同様に、Coanda効果により壁への引き寄せが発生し、空気流れが第1のブラダ出力通路314の方に誘導され、第1のブラダ18を膨張させる。
【0034】
[0043]第1のブラダ18が膨張し始めると、Venturi効果により追加の空気が第1の通気通路330から第1のブラダ流路314の中に引き入れられる。Venturi効果による通気孔70からの追加の空気流れが、約1.0倍から約1.1倍で通路314内の空気流れを増大させる。第1のブラダ18が最大圧力の約50%に達すると、第1の通気通路330内の空気流れが反転する。したがって、第1の通気通路330を通る空気流れは、双方向矢印として図10Aに示される。第1のブラダ18は入力圧力の約1/3の最大圧力に達する。第1のブラダ18が最大圧力に達すると、第2の空気スプリッタ270のところの空気流れが偏向され、空気流れが、第2のブラダ22に対応している、第2の出力通路28および第2のブラダ通路322の方に切り換わる。
【0035】
[0044]図10Bを参照すると、膨張した第1のブラダ18からの背圧により第2の空気スプリッタ270のところの空気流れが切り換えられ、第2の出口通路278の方に偏向する。図10Bに示される状態では、第1のブラダ18が第1の通気通路330および第1の通気孔70を通して収縮し始め、第2のブラダ22が膨張し始める。第2のブラダ22が膨張すると、第2の通気通路338と第1の移送通路238との間に接続されるフィードバック通路351内の圧力の増大により第1のサブシステム86へのフィードバックが発生する。第2のブラダ22が入力圧力の約35%から約50%の圧力に達すると、フィードバック通路351内の圧力が、第1の空気スプリッタ194のところの空気流れを切り換えて第2の出口通路202の方に偏向させるのに十分な大きさとなる。言い換えると、第2のブラダ222内の圧力が閾値に達すると、フィードバック通路351を通した圧力フィードバックが第1の空気スプリッタ194のところの空気流れを偏向させて第3のサブシステム94に対応している第2の出力通路202の方に切り換える。
【0036】
[0045]図10Cを参照すると、第1のブラダ18および第2のブラダ22の両方が収縮した状態(破線の矢印で示されるように)では、空気流れが第1の空気スプリッタ194のとろで偏向させられて移送通路110を通って第3のサブシステム94の方に向かうように移動するようになる。空気が移送通路110を通って移動するとき、最初に、空気流れが、Venturi効果により、フィードバック通路451を通る空気の追加の流入分を引き入れる。しかし、移送通路246が入力圧力の約15%から約25%に達すると、フィードバック通路451を通る空気流れが通気孔82に向かう流れへと反転する。言い換えると、最初に、移送通路246を通る空気流れがVenturi効果を作り出し、移送通路246内の圧力を閾値に到達させるまで、フィードバック通路451を通して追加の空気流れを引き入れる。したがって、この可変方向の空気流れは、図10Cでは双方向矢印として示される(つまり、最初に移送通路246の方に流れ、次いで第4の通気通路438の方に流れる)。移送通路246は、入力圧力に約40%から約60%に達して一時的にそこで安定し、第3のサブシステム94に対する入口圧力を一時的に安定させる。
【0037】
[0046]継続して10Cを参照すると、第3のサブシステム94の第3の空気スプリッタ370は、第2のサブシステム90の第2の空気スプリッタ270とほぼ同じように動作する。具体的には、周囲空気が入ることにより、低圧フィールドが、角度付けられた隣接する壁394、398の両方に沿って発生する。付勢用ノッチ382により低圧フィールドの間に差異が生じ、ノズル362からの空気ストリームが角度付けられた壁394および第1の出口通路374の方に向かうように偏向する。言い換えると、ノッチ382を備える壁394の方により強い低圧力エリアが形成され、それによりその方向に空気流れが付勢される。上記と同様に、Coanda効果により壁への引き寄せが発生し、空気流れが第3のブラダ出力通路414の方に誘導され、第3のブラダ26を膨張させる。
【0038】
[0047]第3のブラダ26が膨張し始めると、Venturi効果により追加の空気が第3の通気通路430から第3のブラダ流路414の中に引き入れられる。Venturi効果による第3の通気孔78からの追加の空気流れが、約1.0倍から約1.1倍で通路414内の空気流れを増大させる。第3のブラダ26が最大圧力の約50%に達すると、第3の通気通路430内の空気流れが反転する。したがって、第3の通気通路430を通る空気流れは、双方向矢印として図10Cに示される。第3のブラダ26は入力圧力の約1/3の最大圧力に達する。第3のブラダ26が最大圧力に達すると、第3の空気スプリッタ370のところの空気流れが偏向され、空気流れが、第4のブラダ30に対応している、第2の出力チャネル378および第4のブラダ通路422の方に切り換わる。
【0039】
[0048]図10Dを参照すると、第3のブラダ26からの背圧により第3の空気スプリッタ370のところの空気流れが第2の出口通路378の方に偏向する。図10Dに示される状態では、第3のブラダ26が第3の通気通路78を通して収縮し、第4のブラダ30が膨張する。第4のブラダ30が膨張すると、第4の通気通路438と第2の移送通路246との間に接続されるフィードバック通路451内の圧力の増大により第1のサブシステム86へのフィードバックが発生する。第4のブラダ30が入力圧力の約35%から約50%の圧力に達すると、フィードバック通路451内の圧力が、第1の空気スプリッタ194のところの空気流れを再び第1の出口通路198の方に流すように切り換えるのに十分な大きさとなる。言い換えると、第4のブラダ30内の圧力が閾値に達すると、フィードバック通路451を通したフィードバックが第1の空気スプリッタ194のところの空気流れを偏向させて第2のサブシステム90に対応している第1の出力チャネル198の方に切り換える。
【0040】
[0049]図10Eを参照すると、流体式モジュール34の動作が、ブラダ18、22、26、30を膨張および収縮させる別のサイクルを開始している。具体的には、図10Eに示される状態は、第1のブラダ18を膨張させるように空気流れが付勢されるという点で、図10Aに示される状態に類似する。しかし、図10Eは、第1のブラダ18が膨張しているのに対して、残りのブラダ22、26、30が収縮しているという点が異なる。空気コネクタ46Aのところで提供される入口圧力がある限り、ブラダ18、22、26、30の膨張および収縮が継続する。言い換えると、加圧空気供給源14が停止されるまで、ブラダ18、22、26、30の周期的な膨張および収縮が所定の順番で無制限に繰り返される。したがって、流体式モジュール34は、入口コネクタ46Aに対して加圧空気が供給されるときのブラダ18、22、26、30の膨張および収縮を介して、所定の順序付けられた継続的なマッサージ効果を実現する。
【0041】
[0050]対照的に、自動車シート内の従来の空気圧マッサージシステムは、所定のマッサージプログラムに従ってマッサージシークエンスおよびサイクル時間を制御する電気機械バルブモジュールに加圧空気を供給する空気圧ポンプを使用する。独立する各ブラダが、膨張および収縮を制御するために、モジュール内の別個の電気機械バルブを必要とする。基本的なマッサージシステムは、通常、3つのブラダを有するが、ハイエンドのマッサージシステムは最大で20個のブラダを有する可能性がある。ブラダを制御するのに必要となる複雑さおよび電子機器を原因として、電気機械モジュールのコストが増大する。これにより、例えば、低コストの乗り物にマッサージ機能を装備させることが困難となる。言い換えると、従来技術のデザインは、乗り物の電子システムとの通信を必要とする非常に複雑なモジュールを有することになり、それにより開発および生産コストが増大する。
【0042】
[0051]対照的に、流体式モジュール34は、動作または制御のために、電子機器を使用することまたは機械的構成要素を動かすことに依存しない。これらにより、モジュール34が、高い信頼性を有するようになり、反復可能性を有するようになり、高コスト効率となる。所定の順番または順序に従うように付勢されるカスケード式の通気式流体増幅器(つまり、サブシステム86、90、94)を使用することにより、所定のマッサージシークエンス(つまり、ブラダ18、22、26、30の周期的な膨張/収縮)が達成される。さらに、このシークエンスは、所定の静圧において空気流れを強制的に切り換えるフィードバックゾーン146、166を使用することによって画定される。通気式流体増幅器は、負荷時の誤った切り換えに対する反応能力を排除するように、さらには空気圧システム10の動作の完了時の自動の収縮のための通路を提供する追加的な利点をもたらすように、選択されるものである。
[0052]本開示の様々な特徴および利点が以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
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図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E