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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/14 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H01H13/14 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021515867
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2020011215
(87)【国際公開番号】W WO2020217771
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2019082927
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 達也
(72)【発明者】
【氏名】歌川 博紀
(72)【発明者】
【氏名】亀井 邦浩
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-287968(JP,A)
【文献】特開2014-216262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に対して上下方向に移動可能に設けられる操作部材と、
前記操作部材を上方に付勢する付勢手段と、
前記操作部材の第1の水平方向における一端部および他端部を連結し、前記一端部と前記他端部との間で上下方向への移動を連動させることにより、前記操作部材の傾きを抑制する傾き抑制部材と
を備え、
前記傾き抑制部材は、
前記第1の水平方向に沿って延在し、前記支持体によって回動可能に軸支される主軸部と、
前記主軸部の両端部の各々から、前記第1の水平方向と交差する第2の水平方向の同じ側に延在する一対の腕部と、
前記一対の腕部の各々の先端部から、前記第1の水平方向に沿って延在し、前記操作部材の前記一端部および前記他端部によって回動可能に軸支される一対の副軸部と
を備え、
前記一対の腕部は、
互いに長さが異なる短尺腕部および長尺腕部を有する
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記操作部材を間に挟んで、各々の前記主軸部が互いに平行になるように配置された、一対の前記傾き抑制部材を備え、
前記操作部材の前記一端部において、前記一対の傾き抑制部材のうちの一方の傾き抑制部材の前記長尺腕部と、前記一対の傾き抑制部材のうちの他方の傾き抑制部材の前記短尺腕部とが互いに対向して配置され、
前記操作部材の前記他端部において、前記一対の傾き抑制部材のうちの一方の傾き抑制部材の前記短尺腕部と、前記一対の傾き抑制部材のうちの他方の傾き抑制部材の前記長尺腕部とが互いに対向して配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記一対の傾き抑制部材として、同一形状を有する2つの部材が、前記第1の水平方向において互いに反転して用いられている
ことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
2組の前記一対の傾き抑制部材が、平面視において互いに直交するように配置されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記短尺腕部の長さをL1とし、前記長尺腕部の長さをL2とした場合において、
式{L1×SIN(θ1)=L2×SIN(θ1-θ2)-ΔH}を満たす
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の入力装置。
但し、
θ1は、前記操作部材の前記短尺腕部側が押下されたときの、前記短尺腕部の回動角度であり、
θ2は、前記操作部材の前記短尺腕部側が押下されたときの、前記傾き抑制部材の捻じれによって生じ得る、前記短尺腕部の回動角度に対する前記長尺腕部の回動角度の不足分であり、
ΔHは、前記操作部材の前記短尺腕部側が押下されたときの、前記傾き抑制部材の軸支部の上下方向のガタによって生じ得る、前記操作部材の前記短尺腕部側の部分と、前記操作部材の前記長尺腕部側の部分との高低差である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、上下動可能な操作体を備えたプッシュスイッチにおいて、操作体の長手方向における両端で軸支される一対の第1軸部と、操作体の長手方向に沿って延在し、一対の第1軸部を連結する第2軸部とを有する、傾き防止レバーを備える構成が開示されている。
【0003】
この構成によれば、操作体の一端側の部分が押下された場合、傾き防止レバーの一端側の第1軸部が下方へ回動し、これと連動して、傾き防止レバーの他端側の第1軸部が下方へ回動することにより、操作体の他端側の部分が押し下げられて、操作体の傾きが抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-50049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、傾き防止レバーの捻じれ、傾き防止レバーの軸支部のガタ等により、傾き防止レバーの回動が減衰し、傾き防止レバーの一端側の第1軸部の回動角度よりも、傾き防止レバーの他端側の第1軸部の回動角度が小さくなり、操作体の傾きが生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の入力装置は、支持体に対して上下方向に移動可能に設けられる操作部材と、操作部材を上方に付勢する付勢手段と、操作部材の第1の水平方向における一端部および他端部を連結し、一端部と他端部との間で上下方向への移動を連動させることにより、操作部材の傾きを抑制する傾き抑制部材とを備え、傾き抑制部材は、第1の水平方向に沿って延在し、支持体によって回動可能に軸支される主軸部と、主軸部の両端部の各々から、第1の水平方向と交差する第2の水平方向の同じ側に延在する一対の腕部と、一対の腕部の各々の先端部から、第1の水平方向に沿って延在し、操作部材の一端部および他端部によって回動可能に軸支される一対の副軸部とを備え、一対の腕部は、互いに長さが異なる短尺腕部および長尺腕部を有する。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、傾き抑制部材の回動角度の減衰による操作部材の傾きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る入力装置の平面図
図2】第1実施形態に係る入力装置の側面図
図3】第1実施形態に係る入力装置の正面図
図4】第1実施形態に係る入力装置が備えるスタビライザの構成を示す図
図5】第1実施形態に係る入力装置の動作を示す図
図6】第1実施形態に係る入力装置における、スタビライザの捻じれによる影響を低減する構成を説明するための図
図7】従来の入力装置における操作部材のガタの影響による傾きを説明するための図
図8】第1実施形態に係る入力装置における操作部材の傾きを低減する構成を説明するための図
図9】第2実施形態に係る入力装置の平面図
図10】第2実施形態に係る入力装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、第1実施形態について説明する。なお、以降の説明では、一例として、図中Z軸正方向を上とし、図中Z軸負方向を下として説明し、この場合にZ軸に直交する方向を水平方向として説明するが、部品の配置や操作方向等がこれに限定されるものではない。すなわち、配置される部品同士の相対的な位置関係や、相対的な操作方向等が、本発明の要旨を満足するものであれば、図中Z軸の方向に関するものに限らず、図中X軸やY軸もしくは任意の方向に関するものであっても構わない。
【0010】
(入力装置100の構成)
図1は、第1実施形態に係る入力装置100の平面図である。図2は、第1実施形態に係る入力装置100の側面図である。図3は、第1実施形態に係る入力装置100の正面図である。
【0011】
図1図3に示す入力装置100は、例えば、自動車等の車両の電気部品の動作を制御するための操作パネルとして使用される装置である。但し、これに限らず、入力装置100は、例えば、家電製品、携帯情報端末等、様々な用途に使用可能である。入力装置100は、後述する操作部材110の操作面に対するタッチ操作と、操作部材110の押下操作との双方が可能である。例えば、入力装置100は、操作部材110の操作面に対するタッチ操作により、機能の選択を行った後、操作部材110の押下操作により、機能の選択を確定することができる。
【0012】
図1図3に示すように、入力装置100は、操作部材110、筐体120、スタビライザ132(「一対の傾き制御部材のうちの一方の傾き抑制部材」の一例)、スタビライザ134(「一対の傾き制御部材のうちの他方の傾き抑制部材」の一例)、回路基板140、およびコイルスプリング150を備える。
【0013】
<操作部材110>
操作部材110は、操作面(上面)において操作体(例えば、ユーザの指)による押下操作がなされる部材である。操作部材110は、例えば、合成樹脂素材が用いられて形成される。操作部材110は、筐体120に対して上下方向へ移動可能に設けられる。操作部材110の操作面は、上方からの平面視において、X軸方向(「第1の水平方向」の一例)を長手方向とし、Y軸方向(「第1の水平方向と交差する第2の水平方向」の一例)を短手方向とする長方形状を有する。操作部材110は、コイルスプリング150によって、上方へ付勢されている。このため、操作部材110は、ユーザによる押下操作がなされていないとき、所定の高さ位置にある。また、操作部材110は、ユーザによる押下操作から解放されると、所定の高さ位置に自動的に復帰する。
【0014】
操作部材110は、操作部112およびスライド部114を有して構成されている。操作部112は、上面に操作面を有する概ね平板状の部分である。操作部112は、タッチパネル112A(図2および図3参照)が内蔵されている。タッチパネル112Aは、操作面における操作体の接触位置を検知し、図示を省略する信号路(例えば、電気ケーブル、コネクタ等)を介して、当該接触位置に応じた検知信号を出力することができる。
【0015】
スライド部114は、操作部112の下側において、操作部112と一体的に形成された、立体形状(概ね、X軸方向を長手方向とし、Y軸方向を短手方向とする直方体形状)を有する部分である。スライド部114は、筐体120の収容空間120Aの内部に収容されて、操作部材110の上下動に伴って、収容空間120Aの内部で上下方向にスライドする。また、スライド部114は、操作部材110の押下操作がなされて、下方にスライドしたときに、当該スライド部114の下側において、回路基板140の上面に実装されている、プッシュスイッチ142を押下することができる。
【0016】
操作部材110は、軸受部116a,軸受部116b,軸受部116c,軸受部116dを有する。
【0017】
軸受部116aは、操作部112の下面におけるY軸負側において、スライド部114よりもX軸負側の位置(「操作部材の第1の水平方向における一端部」の一例)から、下方に延在して設けられており、X軸方向に貫通して設けられた軸受穴116aaにより、スタビライザ132の一端に設けられたX軸方向に延びる副軸部132E(図4参照)を回動可能に軸支する。
【0018】
軸受部116bは、操作部112の下面におけるY軸負側において、スライド部114よりもX軸正側の位置(「操作部材の第1の水平方向における他端部」の一例)から、下方に延在して設けられており、X軸方向に貫通して設けられた軸受穴116baにより、スタビライザ132の他端に設けられたX軸方向に延びる副軸部132C(図4参照)を回動可能に軸支する。なお、軸受部116a,116bは、互いに同一の高さ位置で、スタビライザ132の副軸部132E,132Cを軸支する。
【0019】
軸受部116cは、操作部112の下面におけるY軸正側において、スライド部114よりもX軸正側の位置から、下方に延在して設けられており、X軸方向に貫通して設けられた軸受穴116caにより、スタビライザ134の一端に設けられたX軸方向に延びる副軸部134E(図4参照)を回動可能に軸支する。
【0020】
軸受部116dは、操作部112の下面におけるY軸正側において、スライド部114よりもX軸負側の位置から、下方に延在して設けられており、X軸方向に貫通して設けられた軸受穴116daにより、スタビライザ134の他端に設けられたX軸方向に延びる副軸部134C(図4参照)を回動可能に軸支する。なお、軸受部116c,116dは、互いに同一の高さ位置で、スタビライザ134の副軸部134E,132Cを軸支する。
【0021】
<筐体120>
筐体120は、上部および下部が開口した収容空間120Aを有する、筒状の部材である。筐体120は、「支持体」の一例であり、操作部材110、スタビライザ132,134、および回路基板140を支持する。筐体120は、例えば、合成樹脂素材が用いられて形成される。収容空間120Aには、上部開口から、操作部材110のスライド部114が上下方向へスライド可能に収容される。上方からの平面視において、収容空間120Aの開口形状は、スライド部114の外形状と略同形状である。例えば、図1に示す例では、収容空間120Aの開口形状は、スライド部114の外形状と同様に、X軸方向を長手方向とする長方形状である。これにより、本実施形態の入力装置100は、スライド部114の水平方向(X軸方向およびY軸方向)へのガタが抑制されたものとなっている。
【0022】
筐体120は、軸受部122a,122b,122c,122dを有する、軸受部122a,122bは、筐体120のY軸負側の側面からY軸負側に向かって突出して設けられており、X軸方向に貫通して設けられた軸受穴122aa,122baにより、スタビライザ132の中央部に設けられたX軸方向に延びる主軸部132Aを、回動可能に軸支する。筐体120のY軸負側の側面において、軸受部122aは、X軸負側に設けられており、軸受部122bは、X軸正側に設けられている。なお、軸受穴122aa,122baは、スタビライザ132の回動(副軸部132C,132Eの上下動)に伴って、スタビライザ132の主軸部132AがY軸方向に移動できるように、僅かにY軸方向に長い長穴形状を有している。また、図示はしてないが、軸受穴122aa,122baは、Y軸負側がスナップイン機能を有する開口とし、主軸部132AをY軸負側から開口に向かって押し込むことで挿入可能としてもよい。
【0023】
軸受部122c,122dは、筐体120のY軸正側の側面からY軸正側に向かって突出して設けられており、X軸方向に貫通して設けられた軸受穴122ca,122daにより、スタビライザ134の中央部に設けられたX軸方向に延びる主軸部134Aを、回動可能に軸支する。筐体120のY軸正側の側面において、軸受部122dは、X軸負側に設けられており、軸受部122cは、X軸正側に設けられている。なお、軸受部122a,122b,122c,122dは、互いに同一の高さ位置に設けられている。なお、軸受穴122ca,122daは、スタビライザ134の回動(副軸部134C,134Eの上下動)に伴って、スタビライザ134の主軸部134AがY軸方向に移動できるように、僅かにY軸方向に長い長穴形状を有している。また、図示はしてないが、軸受穴122ca,122daは、Y軸正側がスナップイン機能を有する開口とし、主軸部134AをY軸正側から開口に向かって押し込むことで挿入可能としてもよい。
【0024】
<スタビライザ132,134>
スタビライザ132,134は、操作部材110のX軸方向における一端側と他端側とを連結し、操作部材110の一端側と他端側とで上下方向への移動を連動させることにより、操作部材110の傾きを抑制する棒状の部材である。
【0025】
スタビライザ132は、操作部材110のスライド部114のY軸負側の側方に主軸部132A(図4参照)が設けられており、操作部材110のX軸負側に設けられた軸受部116aと、操作部材110のX軸正側に設けられた軸受部116bとを連結する。スタビライザ132は、筐体120の軸受部122a,122bによって回動可能、かつY軸方向に移動可能に軸支されている。
【0026】
スタビライザ134は、操作部材110のスライド部114のY軸正側の側方に主軸部134A(図4参照)が設けられており、操作部材110のX軸正側に設けられた軸受部116cと、操作部材110のX軸負側に設けられた軸受部116dとを連結する。スタビライザ134は、筐体120の軸受部122c,122dによって回動可能、かつY軸方向に移動可能に軸支されている。
【0027】
例えば、スタビライザ132,134は、金属素材から成る丸棒状の素材が折り曲げ加工されることによって形成される。なお、スタビライザ132,134の形状の詳細については、図4を用いて後述する。
【0028】
<回路基板140>
回路基板140は、各種電子部品が実装される、比較的硬質な平板状の部材である。回路基板140は、筐体120の下部開口を閉塞するように、筐体120に取り付けられる。回路基板140としては、例えば、PWB(Printed Wiring Board)が用いられる。回路基板140の上面における中央には、プッシュスイッチ142が実装されている。プッシュスイッチ142は、いわゆるメタルドームスイッチである。プッシュスイッチ142は、操作部材110のスライド部114によって上方から押下されたときに、内部に設けられたメタルドーム状の可動接点部材(図示せず)の頂部が反転動作することによって、オン状態に切り替わる。このとき、プッシュスイッチ142は、可動接点部材の反転動作により、操作部材110の操作面にクリック感を呈示することができる。プッシュスイッチ142は、オン状態に切り替わることにより、図示を省略する信号路(例えば、電気ケーブル、コネクタ等)を介して、外部装置へオン信号を出力することができる。
【0029】
<コイルスプリング150>
コイルスプリング150は、「付勢手段」の一例である。コイルスプリング150は、操作部材110と回路基板140との間において、上下方向に弾性変形可能に設けられている。コイルスプリング150は、操作部材110を上方に付勢する。これにより、コイルスプリング150は、操作部材110に対する押下操作が解放されたとき、操作部材110を所定の高さ位置に自動的に復帰させることができる。
【0030】
(スタビライザ132,134の構成)
図4は、第1実施形態に係る入力装置100が備えるスタビライザ132,134の構成を示す図である。
【0031】
図4に示すように、スタビライザ132は、主軸部132A、長尺腕部132B、副軸部132C、短尺腕部132D、および副軸部132Eを有する。
【0032】
主軸部132Aは、断面形状が円形であり、操作部材110のスライド部114のY軸負側の側方においてX軸方向(「第1の水平方向」の一例)に沿って直線的に延在し、筐体120に設けられた軸受部122a,122bの軸受穴122aa,122baを貫通して配置されることにより、軸受部122a,122bによって回動可能、かつY軸方向に移動可能に軸支される部分である。
【0033】
長尺腕部132Bは、主軸部132AのX軸正側の端部から、Y軸正方向(「第1の水平方向と交差する第2の水平方向の同じ側」の一例)に直線的に延在する部分である。長尺腕部132Bは、長さL2を有する。
【0034】
副軸部132Cは、断面形状が円形であり、長尺腕部132Bの先端部からX軸負方向に直線的に延在し、操作部材110に設けられた軸受部116bの軸受穴116baを貫通して配置されることにより、軸受部116bによって回転可能に軸支される部分である。
【0035】
短尺腕部132Dは、主軸部132AのX軸負側の端部から、Y軸正方向(「第1の水平方向と交差する第2の水平方向の同じ側」の一例)に直線的に延在する部分である。短尺腕部132Dは、長さL1(但しL2>L1)を有する。
【0036】
副軸部132Eは、断面形状が円形であり、短尺腕部132Dの先端部からX軸正方向に直線的に延在し、操作部材110に設けられた軸受部116aの軸受穴116aaを貫通して配置されることにより、軸受部116aによって回転可能に軸支される部分である。
【0037】
図4に示すように、スタビライザ134は、主軸部134A、長尺腕部134B、副軸部134C、短尺腕部134D、および副軸部134Eを有する。
【0038】
主軸部134Aは、断面形状が円形であり、操作部材110のスライド部114のY軸正側の側方においてX軸方向に沿って直線的に延在し、筐体120に設けられた軸受部122c,122dの軸受穴122ca,122daを貫通して配置されることにより、軸受部122c,122dによって回動可能、かつY軸方向に移動可能に軸支される部分である。
【0039】
長尺腕部134Bは、主軸部134AのX軸負側の端部から、Y軸負方向に直線的に延在する部分である。長尺腕部132Bは、長さL2を有する。
【0040】
副軸部134Cは、断面形状が円形であり、長尺腕部134Bの先端部からX軸正方向に直線的に延在し、操作部材110に設けられた軸受部116dの軸受穴116daを貫通して配置されることにより、軸受部116dによって回転可能に軸支される部分である。
【0041】
短尺腕部134Dは、主軸部134AのX軸正側の端部から、Y軸負方向に直線的に延在する部分である。短尺腕部134Dは、長さL1を有する。
【0042】
副軸部134Eは、断面形状が円形であり、短尺腕部134Dの先端部からX軸負方向に直線的に延在し、操作部材110に設けられた軸受部116cの軸受穴116caを貫通して配置されることにより、軸受部116cによって回転可能に軸支される。
【0043】
なお、図1および図4に示すように、本実施形態の入力装置100では、上方からの平面視において、操作部材110のスライド部114を間に挟んで、主軸部132Aと主軸部134Aとが互いに平行になるように、一対のスタビライザ132,134が配置される。
【0044】
特に、本実施形態の入力装置100は、一対のスタビライザ132,134として、円形の断面形状を有する金属製の棒がクランク曲げ加工によって成形された同一形状を有する2つのスタビライザが、X軸方向において互いに反転して用いられている。
【0045】
これにより、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のスライド部114のX軸正側の側方において、スタビライザ132の長尺腕部132Bと、スタビライザ134の短尺腕部134Dとが互いに対向して配置される。
【0046】
また、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のスライド部114のX軸負側の側方において、スタビライザ132の短尺腕部132Dと、スタビライザ134の長尺腕部134Bとが互いに対向して配置される。
【0047】
(入力装置100の動作)
図5は、第1実施形態に係る入力装置100の動作を示す図である。図5(a)は、操作部材110に対する押下操作がなされていない状態の入力装置100のX軸正側の側面を表している。図5(b)は、操作部材110に対する押下操作がなされた状態の入力装置100のX軸正側の側面を表している。
【0048】
図5(b)に示すように、操作部材110の操作部112に対する下方への押下操作がなされると、操作部材110が下方へ移動する。このとき、操作部材110のスライド部114が、収容空間120Aの内部で下方へスライドすることによって、操作部材110の下方への移動がガイドされる。そして、操作部材110が下方へ所定量移動すると。操作部材110のスライド部114によって、プッシュスイッチ142が上方から押下される。その結果、プッシュスイッチ142は、オフ状態からオン状態に切り替わり、外部装置へオン信号を出力する。
【0049】
さらに、操作部材110の操作部112に対する押下操作が解除されると、コイルスプリング150からの上方への付勢力により、操作部材110は、上方へ移動して、所定の高さ位置に自動的に復帰する。これにより、入力装置100は、図5(a)に示す状態に復帰する。また、プッシュスイッチ142は、オン状態からオフ状態に切り替わり、外部装置へオン信号を出力しなくなる。
【0050】
ここで、図5(b)に示すように、操作部材110のX軸正側においては、操作部材110が下方へ移動する際、操作部材110の軸受部116bの軸受穴116baによって、スタビライザ132の副軸部132Cが下方へ押し下げられる。これにより、スタビライザ132が、筐体120の軸受部122a,122bによって軸支された主軸部132Aの中心を回動軸として、X軸正側から見て時計回りに回動する。
【0051】
同時に、操作部材110の軸受部116cの軸受穴116caによって、スタビライザ134の副軸部132Eが下方へ押し下げられる。これにより、スタビライザ134が、筐体120の軸受部122c,122dによって軸支された主軸部134Aの中心を回動軸として、X軸正側から見て反時計回りに回動する。
【0052】
スタビライザ132の回動により、スタビライザ132の反対側(X軸負側)の端部においては、短尺腕部132Dが同方向に回動し、よって、短尺腕部132Dの先端に設けられた副軸部132Eが、操作部材110のX軸負側に設けられた軸受部116aの軸受穴116aaを下方に押し下げる。
【0053】
また、スタビライザ134の回動により、スタビライザ134の反対側(X軸負側)の端部においては、長尺腕部134Bが同方向に回動し、よって、長尺腕部134Bの先端に設けられた副軸部134Cが、操作部材110のX軸負側に設けられた軸受部116dの軸受穴116daを下方に押し下げる。
【0054】
これにより、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のX軸正側の部分が押下された場合、操作部材110のX軸正側の部分が下方へ移動するのに追従して、操作部材110のX軸負側の部分も、スタビライザ132,134によって押し下げられることにより、下方へ移動することとなる。すなわち、操作部材110のX軸正側の部分と、操作部材110のX軸負側の部分とが、同時に下方へ移動し、よって、操作部材110の傾きが抑制されることとなる。
【0055】
なお、本実施形態の入力装置100は、平面視で中央を通るZ軸についてX軸正側と負側とが点対称構造を有している。このため、X軸正側が押下された場合と同様の作用効果を奏して、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のX軸負側の部分が押下された場合、操作部材110のX軸負側の部分が下方へ移動するのに追従して、操作部材110のX軸正側の部分も、スタビライザ132,134によって押し下げられることにより、下方へ移動することとなる。すなわち、操作部材110のX軸負側の部分と、操作部材110のX軸正側の部分とが、同時に下方へ移動し、よって、操作部材110の傾きが抑制されることとなる。
【0056】
(スタビライザ134の捻じれによる影響を低減する構成)
図6は、第1実施形態に係る入力装置100における、スタビライザ134の捻じれによる影響を低減する構成を説明するための図である。図6では、X軸正側から見たスタビライザ134を表している。図6(a)は、スタビライザ134が完全なる剛体であるためスタビライザ134の捻じれが生じていない状態を表す。図6(b)は、スタビライザ134の捻じれが生じている状態を表す。
【0057】
例えば、操作部材110のX軸正側が押下された場合、図6(a)および図6(b)に示すように、まず、スタビライザ134のX軸正側の端部に設けられた副軸部134Eが下方に押し下げられ、これにより、スタビライザ134のX軸正側の端部に設けられた短尺腕部134Dが、X軸正側から見て反時計回りに回動する。このときの、副軸部134Eの下方への移動量をD1とし、短尺腕部134Dの回動角度をθ1とする。同時に、スタビライザ134の主軸部134Aおよび長尺腕部134Bも、X軸正側から見て反時計回りに回動する。
【0058】
ここで、図6(a)に示すように、スタビライザ134の捻れが生じない場合、長尺腕部134Bの回転角度は、短尺腕部134Dの回転角度と同じθ1となる。この場合、本実施形態の入力装置100では、図6(a)に示すように、長尺腕部134Bの長さL2が、短尺腕部134Dの長さL1よりも長いため、長尺腕部134Bの先端に設けられている副軸部134Cの下方への移動量D2は、短尺腕部134Dの先端に設けられている副軸部134Eの下方への移動量D1よりも大きくなる。
【0059】
但し、実際には、スタビライザ134は完全なる剛体では無いため、図6(b)に示すように、負荷による弾性変形によってスタビライザ134に捻れが生じ、長尺腕部134Bの回動角度に不足が生じ(回動角度の不足分をθ2とする)、長尺腕部134Bの回動角度が短尺腕部134Dの回動角度であるθ1に満たない場合がある。この場合、副軸部134Cの下方への移動量D2が減衰してしまう。
【0060】
但し、本実施形態の本実施形態の入力装置100は、この移動量D2の減衰分を考慮して、長尺腕部134Bの長さL2を、短尺腕部134Dの長さL1よりも長くしている。このため、本実施形態の本実施形態の入力装置100は、図6(b)に示すように、スタビライザ134に捻れが生じて、長尺腕部134Bの回動角度が減衰した場合であっても、長尺腕部134Bの先端に設けられている副軸部134Cの下方への移動量D2(減衰後の移動量を図6(b)では「D2'」と表示)を、例えば短尺腕部134Dの先端に設けられている副軸部134Eの下方への移動量D1と等しくすることができる。すなわち、長尺腕部134Bの長さL2を、短尺腕部134Dの長さL1よりも長くする構成とすることで、スタビライザ134の捻れによる影響を低減して、操作部材110を水平状態としたまま下方へ移動させることができる。
【0061】
(従来の入力装置における操作部材110のガタの影響による傾き)
図7は、従来の入力装置における操作部材110のガタの影響による傾きを説明するための図である。図7では、従来の入力装置として、本実施形態の入力装置100に対し、長尺腕部134Bの長さL2と短尺腕部134Dの長さL1とを仮に等しくした構成のものを用いている。
【0062】
また、図7では、Y軸負側から見たスタビライザ134を、筐体120の軸受部122c,122dと、操作部材110の軸受部116c,116dとともに表している。図7(a)は、傾きが生じていない状態のスタビライザ134を表す。図7(b)は、傾きが生じている状態のスタビライザ134を表す。
【0063】
図7(a)に示す例では、スタビライザ134の主軸部134Aと、当該主軸部134Aを軸支する、軸受部122c,122dの軸受穴122ca,122daとの間に、回転可能に保持するための上下方向の微小な隙間(ガタ)を有する。この場合、操作部材110のX軸正側が押下されたとき、図7(b)に示すように、X軸正側の軸受部122cの軸受穴122caの内部では、主軸部134Aが下方に移動し、X軸負側の軸受部122dの軸受穴122daの内部では、主軸部134Aが上方に移動する(すなわち、軸受部122c,122dに対する、スタビライザ134のガタ内の移動方向が、X軸正側とX軸負側とでそれぞれ上下方向逆になっている)。このため、図7(b)に示すように、軸受部122c,122dに対して(すなわち、筐体120に対して)、スタビライザ134が押下された側であるX軸正側に下がるように傾いてしまう。
【0064】
また、図7(a)に示す例では、スタビライザ134の副軸部134E,134Cと、当該副軸部134E,134Cを軸支する、軸受部116c,116dの軸受穴116ca,116daとの間に、回転可能に保持するための上下方向の微小な隙間(ガタ)を有する。この場合、操作部材110のX軸正側が押下されたとき、図7(b)に示すように、X軸正側の軸受部116cの軸受穴116caの内部では、副軸部134Eが上方に移動し、X軸負側の軸受部116dの軸受穴116daの内部では、副軸部134Cが下方に移動する(すなわち、軸受部116c,116dに対する、スタビライザ134のガタ内の移動方向が、X軸正側とX軸負側とでそれぞれ上下方向逆になっている)。このため、図7(b)に示すように、スタビライザ134に対して、操作部材110が、押下された側であるX軸正側が下がるように傾いてしまう。
【0065】
その結果、従来の入力装置では、図7(b)に示すように、操作部材110のX軸正側の軸受部116cの高さ位置H1と、操作部材のX軸負側の軸受部116dに高さ位置H2との間に、高低差ΔHが生じてしまう。この高低差ΔHにより、操作部材110が、押下された側であるX軸正側が下がるように傾いてしまう。
【0066】
(入力装置100における操作部材110の傾きを低減する構成)
以上説明してきたように、操作部材110の傾きには、スタビライザ134の捻じれによる影響、および、スタビライザ134の軸受部のガタによる影響があり、結果としてそれらの影響の合計が操作部材110の傾きとなる。そこで、本実施形態の入力装置100は、図8に示すように、これらの影響を全て含んだ高低差ΔHが解消するように、長尺腕部134Bの長さL2を、短尺腕部134Dの長さL1よりも長くしているのである。図8は、第1実施形態に係る入力装置100における操作部材110の傾きを低減する構成を説明するための図である。
【0067】
図8に示すように、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のX軸正側が押下されて、スタビライザ134の捻じれ、および、スタビライザ134の軸受部のガタによる影響が生じた場合であっても、これらを要因として生じ得る上記高低差ΔHを考慮して、長尺腕部134Bの長さL2を、短尺腕部134Dの長さL1よりも長くしている。これにより、本実施形態の入力装置100は、操作部材のX軸負側の軸受部116dの高さ位置を、操作部材110のX軸正側の軸受部116cの高さ位置H1と等しくすることができる。すなわち、操作部材110を水平状態としたまま下方へ移動させることができる。
【0068】
(長さL1,L2の好適例)
なお、スタビライザ132,134の長尺腕部132B,134Bの長さL2、および、スタビライザ132,134の短尺腕部132D,134Dの長さL1は、下記数式(1)を満たすものであることが好ましい。
【0069】
L1×SIN(θ1)=L2×SIN(θ1-θ2)-ΔH・・・(1)
【0070】
但し、上記数式(1)において、各パラメータの意味は以下のとおりである。
【0071】
L1:短尺腕部132D,134Dの長さ(図4図6参照)
L2:長尺腕部132B,134Bの長さ(図4図6参照)
θ1:操作部材110の短尺腕部132D,134D側が押下されたときの、短尺腕部132D,134Dの回動角度(図6参照)
θ2:操作部材110の短尺腕部132D,134D側が押下されたときの、スタビライザ132,134の捻じれによって生じ得る、短尺腕部132D,134Dの回動角度に対する長尺腕部132B,134Bの回動角度の不足分(図6(b)参照)
ΔH:仮に長さL1,L2を同じ長さとした場合に、操作部材110の短尺腕部132D,134D側が押下されたときの、スタビライザ132,134の各軸受部のガタによって生じ得る、操作部材110のX軸負側の部分と、操作部材110のX軸負側の部分との高低差(図7(b)参照)
【0072】
例えば、θ1=10°とし、θ2=2°とし、ΔH=0.2mmとした場合、上記数式(1)により、L1=8mmとし、L2=11.4mmとすることが好ましい。なお、θ2は、例えば、実試験またはシミュレーション等によって導出されてもよい。また、ΔHは、例えば、スタビライザ132,134の各軸支部の最大公差量に基づいて導出されてもよい。
【0073】
これにより、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のX軸正側の部分が押下されたときの、スタビライザ134の捻じれと、操作部材110およびスタビライザ134のガタによる傾きとによる、操作部材110のX軸負側の部分の下方への移動量の不足分を補うことができる。
【0074】
なお、本実施形態の入力装置100は、X軸方向において互いに反転した一対のスタビライザ132,134が設けられており、平面視で中央を通るZ軸についてX軸正側と負側とが点対称構造を有しているため、操作部材110のX軸負側の部分が押下された場合であっても、操作部材110のX軸正側の部分が押下された場合と同様の効果を奏することができる。
【0075】
すなわち、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のX軸負側の部分が押下されたときの、スタビライザ132の捻じれと、操作部材110およびスタビライザ132のガタによる傾きとによる、操作部材110のX軸正側の部分の下方への移動量の不足分を補うことができる。
【0076】
したがって、本実施形態の入力装置100は、操作部材110のX軸正側の部分,X軸負側の部分のいずれが押下された場合であっても、操作部材110を水平状態で下方へ移動させることができる。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に、図9および図10を参照して、第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態に係る入力装置200の平面図である。図10は、第2実施形態に係る入力装置200の側面図である。
【0078】
図9に示すように、第2実施形態の入力装置200は、上方からの平面視において、操作部材110が概ね正方形状を有する点で、第1実施形態の入力装置100と異なる。この形状変更に伴い、第2実施形態の入力装置200は、コイルスプリング150が、X方向に2個、およびY方向に2個の合計4個設けられている点と、一対のスタビライザ132,134に加えて、一対のスタビライザ162,164を備える点で、第1実施形態の入力装置100と異なる。
【0079】
図9に示すように、第2実施形態の入力装置200では、上方からの平面視において、一対のスタビライザ132,134と、一対のスタビライザ162,164とは、互いに直交するように配置されている。なお、一対のスタビライザ162,164は、一対のスタビライザ132,134と同一の部材を用いている。
【0080】
一対のスタビライザ162,164は、一対のスタビライザ132,134と同様に作用することにより、操作部材110のY軸方向への傾きを抑制することができる。
【0081】
具体的には、スタビライザ162は、操作部材110のスライド部114のX軸正側の側方に主軸部162Aが設けられており、操作部材110のY軸負側に設けられた軸受部116eと、操作部材110のY軸正側に設けられた軸受部116fとを連結する。スタビライザ162は、主軸部162Aと、主軸部162AのY軸正側の端部からX軸負側に延在する長尺腕部162Bと、長尺腕部162Bの先端からY軸負側に延在する副軸部162Cと、主軸部162AのY軸負側の端部からX軸負側に延在する短尺腕部162Dと、短尺腕部162Dの先端からY軸正側に延在する副軸部162Eとを有する。スタビライザ162は、筐体120のX軸正側の側面からX軸正側に向かって突出して設けられた軸受部122e,122fによって、主軸部162Aが回動可能に軸支されている。
【0082】
スタビライザ162は、操作部材110のY軸負側が押下されて、副軸部162Eが押し下げられたとき、Y軸負側から見て反時計回りに回動することにより、副軸部162Eとは反対側の副軸部162Cが操作部材110のY軸正側を押し下げる。これにより、スタビライザ162は、操作部材110のY軸方向への傾きを抑制し、操作部材110の水平状態を維持することができる。
【0083】
スタビライザ162において、長尺腕部162Bは、長さL2を有する。また、短尺腕部162Dは、長さL1を有する。これにより、スタビライザ162は、操作部材110のY軸負側が押下されたとき、スタビライザ162の捻じれ、および、スタビライザ162の軸受部のガタによる傾きを低減して、操作部材110のY軸正側(長尺腕部162B側)の高さ位置を、操作部材110のY軸負側(短尺腕部162D側)の高さ位置と等しくすることができる。これにより、スタビライザ162は、操作部材110のY軸方向への傾きを抑制し、操作部材110の水平状態を維持することができる。
【0084】
また、スタビライザ164は、操作部材110のスライド部114のX軸負側の側方に主軸部164Aが設けられており、操作部材110のY軸正側に設けられた軸受部116gと、操作部材110のY軸負側に設けられた軸受部116hとを連結する。スタビライザ164は、主軸部164Aと、主軸部164AのY軸負側の端部からX軸正側に延在する長尺腕部164Bと、長尺腕部164Bの先端からY軸正側に延在する副軸部164Cと、主軸部164AのY軸正側の端部からX軸正側に延在する短尺腕部164Dと、短尺腕部164Dの先端からY軸負側に延在する副軸部164Eとを有する。スタビライザ164は、筐体120のX軸負側の側面からX軸負側に向かって突出して設けられた軸受部122g,122hによって、主軸部164Aが回動可能に軸支されている。
【0085】
スタビライザ164は、操作部材110のY軸正側が押下されて、副軸部164Eが押し下げられたとき、Y軸負側から見て時計回りに回動することにより、副軸部164Eとは反対側の副軸部164Cが操作部材110のY軸負側を押し下げる。これにより、スタビライザ164は、操作部材110のY軸方向への傾きを抑制し、操作部材110の水平状態を維持することができる。
【0086】
スタビライザ164において、長尺腕部164Bは、長さL2を有する。また、短尺腕部164Dは、長さL1を有する。これにより、スタビライザ164は、操作部材110のY軸正側が押下されたとき、スタビライザ164の捻じれ、および、スタビライザ164の軸受部のガタによる傾きを低減して、操作部材110のY軸負側(長尺腕部164B側)の高さ位置を、操作部材110のY軸正側(短尺腕部164D側)の高さ位置と等しくすることができる。これにより、スタビライザ164は、操作部材110のY軸方向への傾きを抑制し、操作部材110の水平状態を維持することができる。
【0087】
以上説明したように、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、筐体120に対して上下方向に移動可能に設けられる操作部材110と、操作部材110を上方に付勢するコイルスプリング150と、操作部材110のX軸方向における両端部を連結し、当該両端部の間で上下方向への移動を連動させることにより、操作部材110の傾きを抑制するスタビライザ132,134とを備える。
【0088】
ここで、スタビライザ132は、X軸方向に沿って延在し、筐体120によって回動可能に軸支される主軸部132Aと、主軸部132Aの両端部の各々から、Y軸方向に沿って延在する一対の腕部132B,132Dと、一対の腕部132B,132Dの各々の先端部から、X軸方向に沿って延在し、操作部材110の両端部によって回動可能に軸支される一対の副軸部132C,132Eとを備え、一対の腕部132B,132Dは、互いに長さが異なる短尺腕部132Dおよび長尺腕部132Bを有する。
【0089】
これにより、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、操作部材110の一端側(短尺腕部132D側)の部分が押下されたとき、スタビライザ132によって、操作部材110の一端側(短尺腕部132D側)の部分と、操作部材110の他端側(長尺腕部132B側)の部分との双方を押し下げることができる。この際、スタビライザ132において回動角度の減衰が生じた場合であっても、操作部材110の他端側(長尺腕部132B側)の部分の押し下げ量を、操作部材110の一端側(短尺腕部132D側)の部分の押し下げ量と等しくすることができる。したがって、第1,第2実施形態の入力装置100,200によれば、スタビライザ132の回動角度の減衰による操作部材110の傾きを抑制することができる。
【0090】
また、スタビライザ134は、X軸方向に沿って延在し、筐体120によって回動可能に軸支される主軸部134Aと、主軸部134Aの両端部の各々から、Y軸方向に沿って延在する一対の腕部134B,134Dと、一対の腕部134B,134Dの各々の先端部から、X軸方向に沿って延在し、操作部材110の両端部によって回動可能に軸支される一対の副軸部134C,134Eとを備え、一対の腕部134B,134Dは、互いに長さが異なる短尺腕部134Dおよび長尺腕部134Bを有する。
【0091】
これにより、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、操作部材110の他端側(短尺腕部134D側)の部分が押下されたとき、スタビライザ134によって、操作部材110の他端側(短尺腕部134D側)の部分と、操作部材110の一端側(長尺腕部134B側)の部分との双方を押し下げることができる。この際、スタビライザ134において回動角度の減衰が生じた場合であっても、操作部材110の一端側(長尺腕部134B側)の部分の押し下げ量を、操作部材110の他端側(短尺腕部134D側)の部分の押し下げ量と等しくすることができる。したがって、第1,第2実施形態の入力装置100,200によれば、スタビライザ134の回動角度の減衰による操作部材110の傾きを抑制することができる。
【0092】
また、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、操作部材110を間に挟んで、各々の主軸部132A,134Aが互いに平行になるように配置された、一対のスタビライザ132,134を備え、操作部材110のX軸正側において、スタビライザ132の長尺腕部132Bと、スタビライザ134の短尺腕部134Dとが互いに対向して配置され、操作部材110のX軸負側において、スタビライザ132の短尺腕部132Dと、スタビライザ134の長尺腕部134Bとが互いに対向して配置されている。
【0093】
これにより、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、操作部材110のX軸正側部分,X軸負側部分のいずれが押下された場合であっても、操作部材110のX軸正側部分の押し下げ量と、操作部材110のX軸負側部分の押し下げ量とを等しくすることができる。したがって、第1,第2実施形態の入力装置100,200によれば、操作部材110のX軸正側部分,X軸負側部分のいずれが押下された場合であっても、スタビライザ132,134の回動角度の減衰による操作部材110の傾きを抑制することができる。
【0094】
また、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、一対のスタビライザ132,134として、同一形状を有する2つの部材が、X軸方向において互いに反転して用いられている。
【0095】
これにより、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、スタビライザ132,134で共通の部材を製造すればよいため、部品コストを削減することができる。また、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、スタビライザ132,134の組み付け作業を行う際に、スタビライザ132,134に用いる部材を互いに区別する必要がないため、スタビライザ132,134の組み付け作業を容易且つ確実に行うことができる。
【0096】
また、第2実施形態の入力装置200は、一対のスタビライザ132,134と、一対のスタビライザ162,164とが、平面視において互いに直交するように配置されている。
【0097】
これにより、第2実施形態の入力装置200は、操作部材110のX軸正側部分,X軸負側部分,Y軸正側部分,Y軸負側部分のいずれが押下された場合であっても、操作部材110の傾きを抑制することができる。
【0098】
また、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、式{L1×SIN(θ1)=L2×SIN(θ1-θ2)-ΔH}を満たす。
【0099】
但し、各パラメータの意味は以下の通りである。
【0100】
L1:短尺腕部132D,134D,162D,164Dの長さ
L2:長尺腕部132B,134B,162B,164Bの長さ
θ1:操作部材110の短尺腕部132D,134D,162D,164D側が押下されたときの、短尺腕部132D,134D,162D,164Dの回動角度
θ2:操作部材110の短尺腕部132D,134D,162D,164D側が押下されたときの、スタビライザ132,134,162,164の捻じれによって生じ得る、短尺腕部132D,134D,162D,164Dの回動角度に対する長尺腕部132B,134B,162B,164Bの回動角度の不足分
ΔH:仮に長さL1,L2を同じ長さとした場合に、操作部材110の短尺腕部132D,134D,162D,164D側が押下されたときの、スタビライザ132,134,162,164の各軸受部のガタによって生じ得る、操作部材110のX軸負側の部分と、操作部材110のX軸負側の部分との高低差、および操作部材110のY軸負側の部分と、操作部材110のY軸負側の部分との高低差
【0101】
これにより、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、操作部材110のX軸正側またはX軸負側が押下された場合、スタビライザ132,134の捻じれと、スタビライザ132,134の軸受部のガタとの双方に起因して、スタビライザ132,134において押下されていない側の回動角度の減衰が生じた場合であっても、操作部材110のX軸正側部分の押し下げ量と、操作部材110のX軸負側部分の押し下げ量とを等しくすることができる。したがって、第1,第2実施形態の入力装置100,200によれば、スタビライザ132,134の回動角度の減衰による操作部材110の傾きを抑制することができる。
【0102】
さらに、第2実施形態の入力装置200は、操作部材110のY軸正側またはY軸負側が押下された場合、スタビライザ162,164の捻じれと、スタビライザ162,164の軸受部のガタとの双方に起因して、スタビライザ162,164において押下されていない側の回動角度の減衰が生じた場合であっても、操作部材110のY軸正側部分の押し下げ量と、操作部材110のY軸負側部分の押し下げ量とを等しくすることができる。したがって、第2実施形態の入力装置200によれば、スタビライザ162,164の回動角度の減衰による操作部材110の傾きを抑制することができる。
【0103】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0104】
例えば、第1実施形態の入力装置100は、スタビライザ132,134の双方を設ける構成を有するが、これに限らず、第1実施形態の入力装置100は、スタビライザ132,134のいずれか一方を設ける構成を有してもよい。
【0105】
また、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、操作部材110の押下操作を検知するプッシュスイッチ142を備えているが、これに限らず、第1,第2実施形態の入力装置100,200は、操作部材110の押下操作を検知するその他の検知手段(例えば、フォトセンサ、磁気センサ、光センサ等)を備えてもよい。
【0106】
本国際出願は、2019年4月24日に出願した日本国特許出願第2019-082927号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0107】
100,200 入力装置
110 操作部材
112 操作部
112A タッチパネル
114 スライド部
116a,116b,116c,116d 軸受部
116aa,116ba,116ca,116da 軸受穴
116e,116f,116g,116h 軸受部
120 筐体(支持体)
122a,122b,122c,122d 軸受部
122aa,122ba,122ca,122da 軸受穴
122e,122f,122g,122h 軸受部
132,134 スタビライザ(傾き抑制部材)
132A,134A 主軸部
132B,134B 長尺腕部
132C,134C 副軸部
132D,134D 短尺腕部
132E,134E 副軸部
140 回路基板
142 プッシュスイッチ
150 コイルスプリング(付勢手段)
162,164 スタビライザ(傾き抑制部材)
162A,164A 主軸部
162B,164B 長尺腕部
162C,164C 副軸部
162D,164D 短尺腕部
162E,164E 副軸部
図1
図2
図3
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図10