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特許7174844インデューサとインペラの間に軸方向に細長い環状シール要素を備えたポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】インデューサとインペラの間に軸方向に細長い環状シール要素を備えたポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/18 20060101AFI20221110BHJP
   F04D 29/16 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
F04D29/18 A
F04D29/16
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021520597
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2018056605
(87)【国際公開番号】W WO2020081092
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】グロタ,スティーヴン
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02962206(US,A)
【文献】特開平01-211694(JP,A)
【文献】米国特許第02984189(US,A)
【文献】米国特許第04097186(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/18
F04D 29/16
F04D 29/26
F04D 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心に回転可能なシャフトと、
前記シャフトに取り付けられたインデューサであって、インデューサブレード、および前記インデューサブレードの外側端部に取り付けられたインデューサシュラウドを有する、インデューサと、
前記インデューサの下流の前記シャフトに取り付けられたインペラであって、インペラブレード、および前記インペラブレードの外側端部に取り付けられたインペラシュラウドを有する、インペラと、
前記インデューサシュラウドと前記インペラシュラウドとの間にシールを提供するように前記インデューサシュラウドの軸方向端部に配置された、軸方向に細長い環状シール要素と、
を備えた、ポンプであって、
前記インデューサシュラウドが、前記軸方向に細長い環状シール要素の半径方向内側にリップを含み、前記軸方向に細長い環状シール要素および前記リップが、それらの間の半径方向空間に軸方向に延びるスロットを画定し、
前記リップが、前記インペラシュラウドの軸方向縁部から離間されており、
前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記ポンプの動作力の下で可撓性および弾性を有するように構成された、ポンプ。
【請求項2】
前記インデューサシュラウドが、前記インデューサシュラウドを通る通路を画定する内径表面を有し、前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記内径表面から径方向にオフセットされていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、軸方向の長さおよび径方向の厚さを画定し、前記軸方向の長さの前記径方向の厚さに対するアスペクト比が3~10であることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記インデューサシュラウドの拡大された基部から自由先端部へと軸方向に突出することを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項5】
前記自由先端部を含む、前記軸方向に細長い環状シール要素の遠位部分が、前記インペラシュラウドと半径方向に重なり、かつ、前記軸方向に細長い環状シール要素の近位部分が、前記インペラシュラウドと重ならないことを特徴とする請求項4に記載のポンプ。
【請求項6】
前記インペラシュラウドと重なる前記遠位部分の軸方向長さが、前記軸方向に細長い環状シール要素の前記拡大された基部から前記自由先端部までの全軸方向長さの25%以下であることを特徴とする請求項5に記載のポンプ。
【請求項7】
前記軸方向に細長い環状シール要素は、その弾性が前記インペラシュラウドに径方向のクランプ力を提供するように屈曲した状態にあることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項8】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、鋼、チタンベース合金、ニッケルベース合金、アルミニウム、または複合材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項9】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記インデューサシュラウドと一体であることを特徴とする請求項1に記載のポンプ。
【請求項10】
中心軸の周りで回転可能なインデューサであって、回転可能なインデューサブレードと、前記インデューサブレードの外側端部に取り付けられたインデューサシュラウドと、前記インデューサシュラウドの軸方向端部に配置された軸方向に細長い環状シール要素と、を備え
前記インデューサシュラウドが、前記軸方向に細長い環状シール要素の半径方向内側にリップを含み、前記軸方向に細長い環状シール要素および前記リップが、それらの間の半径方向空間に軸方向に延びるスロットを画定し、
前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記インデューサの動作力の下で可撓性および弾性を有するように構成された、インデューサ。
【請求項11】
前記インデューサシュラウドが、前記インデューサを通る通路を画定する内径表面を有し、前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記内径表面から径方向にオフセットされていることを特徴とする請求項10に記載のインデューサ。
【請求項12】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、軸方向の長さおよび径方向の厚さを画定し、前記軸方向の長さの前記径方向の厚さに対するアスペクト比が3~10であることを特徴とする請求項10に記載のインデューサ。
【請求項13】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記インデューサシュラウドの拡大された基部から自由先端部へと軸方向に突出することを特徴とする請求項10に記載のインデューサ。
【請求項14】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、鋼、チタンベース合金、ニッケルベース合金、アルミニウム、または複合材料で形成されていることを特徴とする請求項10に記載のインデューサ。
【請求項15】
前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記インデューサシュラウドと一体であることを特徴とする請求項10に記載のインデューサ。
【請求項16】
中心軸を中心に回転可能なシャフトに、インデューサブレード、および前記インデューサブレードの外側端部に取り付けられたインデューサシュラウドを有するインデューサと、インペラブレード、および前記インペラブレードの外側端部に取り付けられたインペラシュラウドを有するインペラと、を取り付け、
前記インデューサシュラウドと前記インペラシュラウドとの間にシールを提供するように、軸方向に細長い環状シール要素を用いて前記インデューサシュラウドと前記インペラシュラウドとを互いに取り付ける、
ことを備えた、ポンプの組み立て方法であって、
前記インデューサシュラウドが、前記軸方向に細長い環状シール要素の半径方向内側にリップを含み、前記軸方向に細長い環状シール要素および前記リップが、それらの間の半径方向空間に軸方向に延びるスロットを画定し、
前記リップが、前記インペラシュラウドの軸方向縁部から離間されており、
前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記ポンプの動作力の下で可撓性および弾性を有するように構成された、組み立て方法。
【請求項17】
前記インデューサシュラウドが、前記インデューサシュラウドを通る通路を画定する内径表面を有し、前記軸方向に細長い環状シール要素が、前記内径表面から径方向にオフセットされており、前記軸方向に細長い環状シール要素が、軸方向の長さおよび径方向の厚さを画定し、前記軸方向の長さの前記径方向の厚さに対するアスペクト比が3~10であることを特徴とする請求項16に記載の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府に援助を受けた研究または開発に関する声明)
本発明は、米国空軍によって授与された契約番号FA9300-07-C-0001の下で政府の支援を受けてなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
ポンプは一般的に知られており、流体を加圧するために使用される。例えば、遠心ポンプは、インデューサセクションおよびインペラセクションを含みうる。インデューサセクションは、インペラセクションに入る前に、最初に流体の圧力を所望のレベルに上昇させる。次いで、インペラセクションは流体の圧力をさらに高める役割を果たす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一例によるポンプは、中心軸を中心に回転可能なシャフトと、シャフトに取り付けられたインデューサと、を含む。インデューサは、インデューサブレード、およびそのインデューサブレードの外側端部に取り付けられたインデューサシュラウドを有する。インペラが、インデューサの下流のシャフトに取り付けられる。インペラは、インペラブレード、およびそのインペラブレードの外側端部に取り付けられたインペラシュラウドを有する。インデューサシュラウドとインペラシュラウドとの間にシールを提供するように、インデューサシュラウドの軸方向端部に、軸方向に細長い環状シール要素が配置される。
【0004】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、インデューサシュラウドが、そのインデューサシュラウドを通る通路を画定する内径表面を有し、軸方向に細長い環状シール要素が、その内径表面から径方向にオフセットされる。
【0005】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素が、軸方向の長さおよび径方向の厚さを画定し、軸方向の長さの、径方向の厚さに対するアスペクト比が3~10である。
【0006】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素が、インデューサシュラウドの拡大された基部(enlarged base section)から自由先端部(free tip)へと軸方向に突出する。
【0007】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、自由先端部を含む、軸方向に細長い環状シール要素の遠位部分は、インペラシュラウドと半径方向に重なり、かつ、軸方向に細長い環状シール要素の近位部分は、インペラシュラウドと重ならない。
【0008】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、インペラシュラウドと重なる遠位部分の軸方向長さは、軸方向に細長い環状シール要素の拡大された基部から自由先端部までの全軸方向長さの25%以下である。
【0009】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素は、その弾性がインペラシュラウドに径方向のクランプ力を提供するように、屈曲した状態(flexed state)にある。
【0010】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素が、鋼、チタンベース合金、ニッケルベース合金、アルミニウム、または複合材料で形成される。
【0011】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素は、インデューサシュラウドと一体である。
【0012】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、インデューサシュラウドは、軸方向に細長い環状シール要素の半径方向内側にリップを含む。軸方向に細長い環状シール要素およびリップは、それらの間の半径方向空間に軸方向に延びるスロットを画定する。
【0013】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、リップは、インペラシュラウドの軸方向縁部から離間されている。
【0014】
本開示の一例による中心軸の周りで回転可能なインデューサは、回転可能なインデューサブレードを含む。インデューサシュラウドが、インデューサブレードの外側端部に取り付けられるとともに、インデューサシュラウドの軸方向端部に、軸方向に細長い環状シール要素が取り付けられる。
【0015】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、インデューサシュラウドが、インデューサを通る通路を画定する内径表面を有し、軸方向に細長い環状シール要素が、内径表面から径方向にオフセットされる。
【0016】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素が、軸方向の長さおよび径方向の厚さを画定し、軸方向の長さの、径方向の厚さに対するアスペクト比が3~10である。
【0017】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素が、インデューサシュラウドの拡大された基部から自由先端部へと軸方向に突出する。
【0018】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素は、鋼、チタンベース合金、ニッケルベース合金、アルミニウム、または複合材料で形成される。
【0019】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、軸方向に細長い環状シール要素は、インデューサシュラウドと一体である。
【0020】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、インデューサシュラウドは、軸方向に細長い環状シール要素の半径方向内側にリップを含む。軸方向に細長い環状シール要素およびリップは、それらの間の半径方向空間に軸方向に延びるスロットを画定する。
【0021】
本開示の一例によるポンプの組み立て方法が、中心軸を中心に回転可能なシャフトに、インデューサと、インペラと、を取り付けることを含む。インデューサは、インデューサブレード、およびそのインデューサブレードの外側端部に取り付けられたインデューサシュラウドを有し、インペラは、インペラブレード、およびそのインペラブレードの外側端部に取り付けられたインペラシュラウドを有する。軸方向に細長い環状シール要素を用いてインデューサシュラウドとインペラシュラウドとを互いに取り付けることにより、インデューサシュラウドとインペラシュラウドとの間にシールを提供する。
【0022】
前述の実施形態のいずれかのさらなる実施形態では、インデューサシュラウドは、そのインデューサシュラウドを通る通路を画定する内径表面を有する。軸方向に細長い環状シール要素は、内径表面から径方向にオフセットされる。軸方向に細長い環状シール要素は、軸方向の長さおよび径方向の厚さを画定し、軸方向の長さの、径方向の厚さに対するアスペクト比が3~10である。
【0023】
本開示の様々な特徴および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。詳細な説明に添付の図面は、以下のように簡単に説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】例示のポンプを示す図である。
図2図1のポンプの選択された部分の拡大図を示す図である。
図3】ベースライン条件下でシュラウドに対してシールするシール要素を示す図である。
図4】第1の歪み状態の下でシュラウドに対してシールするシール要素を示す図である。
図5】第2の歪み状態の下でシュラウドに対してシールするシール要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、ポンプ20の選択された部分を概略的に示す。一例として、これに限定しないが、ポンプ20はターボポンプである。ポンプ20は、概して、中心軸(A)を中心に回転可能なシャフト22と、シャフト22上に回転するように取り付けられたポンプセクション24と、ポンプセクション24に隣接してシャフト22に取り付けられたタービンセクション25と、を含む。一例として、タービンセクション25は、シャフト22を回転させ、ポンプセクション24を駆動する役割を果たす。
【0026】
ポンプセクション24は、軸方向入口24aから流体を取り込み、流体を加圧して、径方向出口24bから加圧流体を排出する。ポンプセクション24は、インデューサ26およびインペラ28を含む。インデューサ26およびインペラ28は、図2の拡大図に示される。
【0027】
インデューサ26はシャフト22に取り付けられるとともに、1つまたは複数のインデューサブレード30と、1つまたは複数のインデューサブレード30の外側端部34に取り付けられたインデューサシュラウド32と、を含む。この場合、インデューサ26は軸方向に配置され、1つまたは複数のブレード30の外側端部34は、径方向の外側端部である。
【0028】
インペラ28もまた、シャフト22に取り付けられるとともに、1つまたは複数のインペラブレード36と、1つまたは複数のインペラブレード36の外側端部40に取り付けられたインペラシュラウド38と、を含む。ブレード30およびシュラウド32を含むインデューサ26と、ブレード36およびシュラウド38を含むインペラ28と、は共にシャフト22と同時に回転する。この点に関して、インデューサ26およびインペラ28は、締結具42を使用してシャフトに固定することができる。
【0029】
出口24bで排出された流体は比較的高圧であり、シュラウド38の外部に沿った漏れ経路44に沿って、インペラ28の上流にある1つまたは複数の場所に逃げる可能性がある。そのような場所の1つは、位置L1で表された、ダンパシール46とシュラウド32の外部または外径との間である。しかしながら、そのような逆流は圧力損失を示すが、位置L1でのインデューサ26への逆流は、一般に、減衰の目的のために望ましい。逆流圧力損失の別の潜在的な場所は、インデューサ26とインペラ28との間、より具体的には、L2で表されるシュラウド32とシュラウド38との間で発生する可能性がある。L1での逆流とは異なり、L2での逆流は望ましくない。これに関して、ポンプ20は、インデューサシュラウド32の軸方向端部52に配置された軸方向に細長い環状シール要素50を含む。シール要素50は、中心軸Aの周りに連続的に延在しており、シュラウド32/38が互いに対して移動する動的条件下でさえ、インデューサシュラウド32とインペラシュラウド38との間にシールを提供する。
【0030】
この例では、シール要素50は、インデューサシュラウド32上の基部52から自由先端部54まで軸方向に突出している。自由先端部54の領域において、シール要素50は、インペラシュラウド38と半径方向に重なっている。例えば、シール要素50は、ベース52から最も遠い遠位部分50aと、ベース52に最も近い近位部分と、を含む。遠位部分は、インペラシュラウド38と重なり合うシール要素50のセクションである。例えば、シール要素50の軸方向の全長に対して、遠位部分50aは、軸方向の全長の25%以下である。
【0031】
シール要素50は、径方向の厚さが比較的薄く、軸方向の長さが比較的長い。例えば、シール要素50は、軸方向の長さおよび径方向の厚さを画定し、軸方向長さの径方向厚さに対するアスペクト比は、3~10である。こうしたアスペクト比により、シール要素50が弾性および可撓性を有するのを可能にしており、その弾性を介して、シール要素50は、インペラシュラウド38の周囲およびインペラシュラウド38上にクランプ力を提供する。インデューサシュラウド32の残りの部分は、シール要素50よりも厚く、したがって、より大きな剛性を提供する。
【0032】
示される例では、シール要素50は、インデューサシュラウド32と一体である。すなわち、シール要素50およびシュラウド32の残りの部分は、単一のモノリシック部品である。例えば、シール要素50を含むシュラウド32は、鋼、チタンベース合金、ニッケルベース合金、アルミニウム、複合材料などで形成される。
【0033】
シール要素50に隣接するシュラウド32の残りの部分は、インデューサ26を通る通路Pを画定する内径表面32aを含む。一般に、内径表面32aは円筒形である。シール要素50は、内径面32aから半径方向にオフセットされている。この場合、シール要素50は、内径面32aの半径方向外側にオフセットされている。そのようなオフセットは、シール要素50の内側に半径方向の空間または間隙を残す。そのような間隙がインデューサ26を通る流れに関して許容できない場合、シュラウド32は、シール要素50の半径方向内側にリップ56を設けることができる。例えば、リップ56は、軸方向に延在し、シール要素50とリップ56との間の半径方向の空間に軸方向に延在するスロットを画定するように、シール要素50から半径方向内側に間隔を置いて配置される。この例では、リップ56の遠位端すなわち軸方向端部は、インペラシュラウド38の近くにあってもよいが、インペラシュラウド38から離間している。
【0034】
上で示唆したように、シュラウド32/38は共回転するが、シュラウド32/38は、熱膨張/収縮、回転による機械的歪み、または動作中のその他の力に起因して、互いに対して移動しうる。シュラウド32/38間の歪みに不一致がある場合、漏れ経路は、経路44に沿った吐出圧力の逆流のために開く可能性がある。しかし、その可撓性および弾性により、シール要素50は、インペラシュラウド38に対するクランプ力を維持し、それにより、そのような条件下でシールを維持する。これに関して、シール要素50は、ポンプ20の動作力の下で可撓性および弾性を有するように構成される。
【0035】
例えば、図3に概略的に示されるように、シュラウド32/38のいずれにも歪みがない場合、シール要素50は、インペラシュラウド38の表面に対してCで表されるクランプ力を提供するために弾性的に付勢される。クランプ力は、シュラウド38の周りの密封を維持して、経路44から、出口24bの上流のインデューサ26またはインペラ28への、漏れを低減または防止する。
【0036】
図4では、シュラウド32/38の間に相対的な歪みがあり、これは、図のシュラウド38の上向きの垂直方向の動きによって表される。シール要素50は可撓性および弾性を有しているので、シュラウド38の表面へのクランプ力Cを維持し、それによってシールを維持しながら、その動きに対応するように曲がる。同様に、図5は、歪みがシュラウド38を図の垂直方向下向きに移動させる反対のシナリオを示している。この場合も、シール要素50は可撓性および弾性を有しているので、シール要素50は屈曲してシュラウド38の表面との接触を維持し、クランプ力Cを印加し続けてシールを維持する。したがって、ポンプ20が動作しているとき、シール要素50は、弾性がインペラシュラウド38に継続的にクランプ力を提供してシュラウド38の表面に対するシールを維持するように屈曲状態にある。例えば、可撓性および弾性は、上で説明したアスペクト比とオーバーラップ率によって得ることができる。シール要素のアスペクト比が非常に小さいか、または高度に重なっている場合、シール要素が硬すぎて、操作の歪みに合わせて適切に移動できない可能性がある。一方、シール要素が非常に大きいアスペクト比および/または非常に小さいオーバーラップを有する場合、シール要素が円周方向の力の下でシュラウド38から浮き上がる可能性がある。
【0037】
シール要素50の可撓性および弾性はまた、ダンパシール46をシュラウド32/38間の歪みの相対的な差から切り離すことができる。例えば、シール要素50は、シュラウド32/38間の歪みの相対的な差に対応するように屈曲することにより、本質的に、そのような歪みの差がダンパシール46に伝達されないように緩衝器として機能する。例えば、もしシール要素50が無ければ、シュラウド32/38間の相対的な歪みは、ダンパ要素46の近くにシュラウド32の歪みを引き起こし、シールダンパ46を収束減衰シールから発散減衰シールに一時的に変換するが、これは望ましくない。しかしながら、シール要素50がシュラウド32/38間の歪みの相対的な差の多くを吸収するため、シュラウド32は、歪みをほとんどまたは全く経験せず、したがって、収束減衰シールとして維持される。
【0038】
さらに、インペラシュラウド38がスカロッピング(scalloping)を含む場合、シール要素50の可撓性および弾性は、シール要素50がブレード36間の接線方向にスカロッピングに追随することをさらに可能にする。
【0039】
ポンプ20はまた、組み立て方法を体系化することができ、これは、ポンプ20の最初の製造に関連して、またはポンプが分解され、その後再組み立てされる修理または改修プロセスに関連して実施され得る。この方法は、インデューサ26およびインペラ28をシャフト22に取り付けることを含み得る。例えば、最初の製造では、取り付けは、インデューサ26およびインペラ28をシャフト22上にスライドさせ、次いでインデューサ26およびインペラを、締結具42を用いて所定の位置に固定することを含み得る。別の例では、修理シナリオでは、取り付けは、インデューサ26またはインペラ28のいずれかをシャフト22上にスライドさせ、次にインデューサ26およびインペラ28を、締結具42を用いて所定の位置に固定することを含み得る。この方法は、軸方向に細長い環状シール要素50を用いてインデューサシュラウド32とインペラシュラウド38を一緒に取り付け、インデューサシュラウド32とインペラシュラウド38との間にシールを提供することをさらに含む。こうした取り付けは、インペラシュラウド38がシール要素50によって画定される環内に収容されるように、インデューサ26およびインペラ28を一緒にすることを含む。この取り付けは、インペラ28がパイロット58に受け入れられ、インデューサ26およびインペラ28が同軸に整列されるように、インデューサ26およびインペラ28を一緒にすることを含む。
【0040】
図示の例には複数の特徴の組み合わせが示されているが、本開示の様々な実施形態の利点を実現するためにそれらのすべてを組み合わせる必要はない。換言すれば、本開示の一実施形態に従って設計されたシステムは、必ずしも、図のいずれか1つに示される特徴のすべて、または複数の図に概略的に示される部分のすべてを含むとは限らない。さらに、1つの例示的な実施形態の選択された特徴は、他の例示的な実施形態の選択された特徴と組み合わされてもよい。
【0041】
前述の説明は、本質的に限定的ではなく例示的なものである。開示の例に対する変形および修正は、必ずしもその開示から逸脱しないことが当業者にとって明らかとなるであろう。本開示に付与の法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ決定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5