(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-09
(45)【発行日】2022-11-17
(54)【発明の名称】高圧アプリケーションを動作させるための高圧デバイス
(51)【国際特許分類】
H01H 9/22 20060101AFI20221110BHJP
【FI】
H01H9/22
(21)【出願番号】P 2021534679
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2019084576
(87)【国際公開番号】W WO2020126727
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】102018221908.7
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】キルシュナー,マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】マイブリンク,トーマス
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-221979(JP,A)
【文献】特開2015-115988(JP,A)
【文献】特開平11-132215(JP,A)
【文献】特開平09-037562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0362856(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/22
H02M 7/42-7/98
B60R 16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧アプリケーションを動作させるための高圧デバイス(10)であって、
少なくとも1つの電圧搬送要素(34)のための接触保護カバー(38)の開放を認識するための検出手段(50)であって、検出手段(50)によって、前記接触保護カバー(38)の完全な取外しの前に信号(74)を出力可能である、検出手段(50)と、
前記検出手段(50)に接続され、前記検出手段(50)の前記出力信号(74)に基づいて、前記電圧搬送要素(34)を高圧ネットワークから切り離すことができる切断デバイス(58)と、を少なくとも備え、
前記検出手段(50)が、前記接触保護カバー(38)を固定する少なくとも1つの接続手段(42)に配置されるので、前記接触保護カバー(38)の取外しを確認するために前記接続手段(42)の解除を検出可能であ
り、
前記切断デバイス(58)と前記電圧搬送要素(34)とが、前記高圧デバイス(10)の構造的に互いに分離された領域(18、22)に配置される、
ことを特徴とする高圧デバイス(10)。
【請求項2】
前記検出手段(50)がセンサであることを特徴とする、請求項1に記載の高圧デバイス(10)。
【請求項3】
前記センサ(50)がホールセンサまたは振動回路であることを特徴とする、請求項2に記載の高圧デバイス(10)。
【請求項4】
前記検出手段(50)が、前記接続手段(42)のための収容部(46)に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の高圧デバイス(10)。
【請求項5】
前記検出手段(50)が、前記切断デバイス(58)と同じ領域(18)に配置されることを特徴とする、請求項
1から4のいずれか一項に記載の高圧デバイス(10)。
【請求項6】
前記接触保護カバー(38)が蓋体として形成され、前記蓋体が、前記電圧搬送要素(34)が収容される前記領域(22)を閉じることを特徴とする、請求項
1から5のいずれか一項に記載の高圧デバイス(10)。
【請求項7】
前記蓋体(38)が板金から形成されることを特徴とする、請求項
6に記載の高圧デバイス(10)。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の高圧デバイス(10)を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧アプリケーションを動作させるための高圧デバイス、特に電圧搬送要素への接触保護を保証することができる高圧デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野での現在のHVシステム(パワーエレクトロニクス、HVバッテリ、電気モータなど)は、接触保護手段や切断システムなどの安全システムによって安全保護される。これにより、まだ電圧を搬送している要素への意図しない接触がさらに防止される。したがって、電圧搬送要素への接触前に、これらの要素が電圧供給源から切り離されることが保証されなければならない。
【0003】
欧州特許出願公開第2705970号明細書では、バッテリによる感電の危険を低減するための車両の安全システムが述べられている。この安全システムでは、動作プラグを外すと車両の電圧のオフ切り替えが行われる。
【0004】
一般的なシステムの1つは、電気ループによりすべての取外し可能な部品(プラグや蓋体など)を照会することができ、それに対応してこの照会ループが中断すると、HV安全関連領域をオフ切り替えすることができ、非通電にすることができる。多くの製品では、これは既存のプラグ(車両信号プラグや空調コンプレッサのタップなど)の2つの追加のピンにより行われる。蓋体または他の取外し可能な部品には、プラグを引く前に蓋体が取り外されるのを防止する機械的な機構が提供される。したがって、蓋体の開放前に、このプラグが事前に引き抜かれて、システム全体の放電が行われる。
【0005】
本発明の背景には、電圧をオフ切り替えするためのこれらの安全システムの複雑さがある。そのような安全システムでは、大抵は、接触保護カバーが取り外されたときに電圧がオフ切り替えされることを保証するために、複数の構成要素が提供されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、接触保護カバーが取り外されるときに電圧をオフ切り替えすることができる改良された安全システムを備える、高圧アプリケーションを動作させるための高圧デバイスを提供することである。この安全システムは、さらに、経済的に実現可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の特徴を備える高圧アプリケーションを動作させるための高圧デバイスによって解決される。従属するそれぞれの従属請求項は、本発明の有利な発展形態を表す。
【0008】
本発明は、高圧アプリケーションを動作させるための高圧デバイスを提供する。ここで、この高圧デバイスは、少なくとも1つの電圧搬送要素のための接触保護カバーの開放を認識するための検出手段であって、検出手段によって、接触保護カバーの完全な取外しの前に信号を出力可能である、検出手段と、検出手段に接続され、検出手段の出力信号に基づいて、電圧搬送要素を高圧ネットワークから切り離すことができる切断デバイスと、を少なくとも備え、検出手段が、接触保護カバーを固定する少なくとも1つの接続手段に配置されるので、接触保護カバーの取外しを確認するために接続手段の解除を検出可能である。
【0009】
本発明の文脈における接触保護カバーとは、電圧搬送要素に直接接触できないようにすることができる各種のカバーを意味する。ここで、電圧搬送要素は、ユーザが触れると感電するおそれのある構成要素である。このために、この電圧搬送部品を高圧ネットワークから切り離して、電圧搬送部品を非通電にする必要がある。これにより、ユーザが、感電することなくこの要素に触れることが可能になる。
【0010】
高圧ネットワークからのそのような切離しを確実に保証するために、ユーザがこの電圧搬送要素に触れるおそれがあることを確実に認識しなければならない。これは、接触保護カバーの取外しによって実現される。
【0011】
本発明では、接触保護カバーの取外し前に既に信号が生成されるので、電圧搬送要素が高圧ネットワークから切り離される。ここで、この信号は、接触保護カバーを固定している接続手段の解除によりトリガされる。これにより、電圧搬送要素は、早期に高圧ネットワークから切り離される。さらに、検出のために追加の可動要素は必要とされない。むしろ、接続手段の解除のみが検出され、接続手段は、いずれにせよ可動でなければならない。これにより、これらの追加の可動要素のための設置空間を節約することができる。これにより、そのような安全システムは単純化され、より経済的に製造することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、検出手段はセンサである。センサは、様々な設計で市販されている。様々なセンサタイプにより、接続手段の解除を様々な方法で検出することができる。さらに、所望の検出に応じて、対応するセンサを選択することができる。これにより、高圧デバイスを経済的に製造することができる。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施形態では、センサは、ホールセンサまたは振動回路である。ホールセンサは、非接触センサの原理により摩耗を受けにくく、耐用年数が非常に長いという利点がある。さらに、測定結果の信頼性が非常に高い。共振回路は、コンパクトな設計様式を有し、非接触でも動作することがあり、したがって長い耐用年数が実現され得るという利点がある。
【0014】
好ましくは、検出手段は、接続手段のための収容部に配置される。ここで、好ましくは、収容部は、接触保護カバーとは別個の構成要素によって形成される。これにより、検出手段を何も変更する必要なく、接続手段を解除し、接触保護カバーを取り外すことができる。これにより、そのような高圧デバイスの安全性が向上される。
【0015】
有利な形態では、切断デバイスと電圧搬送要素とが、高圧デバイスの構造的に互いに分離された領域に配置される。ここで、好ましくは、構造的に分離された領域は、異なるハウジング設置空間によって形成される。これにより、検出手段から切断デバイスへの信号伝送を保証するための手段が提供されなければならない。好ましくは、そのような信号伝送は、信号線によって提供される。しかし、そのような構成は、切断デバイスを高圧デバイスの回路構成に統合することができるという利点を有する。
【0016】
有利には、検出手段は、切断デバイスと同じ領域に配置される。これにより、領域を構造的に分離する構造部品をまたぐ必要はない。これは、検出手段と切断デバイスとの間での信号線の案内を単純化する。さらに、信号線のための通路が短くされる。これにより、検出手段と切断デバイスとの間の信号伝送が単純化され、したがってそのような安全システムを備えた高圧デバイスを経済的に製造することができる。
【0017】
さらなる有利な実施形態では、接触保護カバーは、電圧搬送要素が収容されている領域を閉じる蓋体として形成される。それにより、閉鎖要素によって同時に接触保護を実現することができ、したがって、蓋体の他に別個の接触保護カバーは必要ない。これにより、そのような高圧デバイスをより経済的に製造することができる。
【0018】
より有利で発展的な実施形態では、蓋体は板金から形成される。板金の利点は、例えばダイカストに比べて費用対効果が高いことである。さらに、板金は、より容易に加工することができる。これにより、より経済的に製造可能な高圧デバイスを提供することができる。
【0019】
本発明はさらに、本発明による高圧デバイスを備えた車両を含む。そのような車両によって、高圧デバイスについて述べた利点が達成される。
【0020】
本発明の例示的な実施形態を、図面に示し、以下の記載においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】高圧アプリケーションを動作させるための高圧デバイスの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】接触保護カバーが開いた状態での
図1による高圧デバイスの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3】接続手段の解除前後の検出手段の動作原理の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、高圧アプリケーション(図示せず)を動作させるための高圧デバイス10の例示的な実施形態が示されている。図示される例示的な実施形態での高圧デバイス10は、ハウジング14を備える。ハウジング14は、構造的に第1の領域18と第2の領域22とに分割され、2つの領域18、22は互いに分離されている。ここでは見やすいようにハウジングカバー26(
図2参照)なしで示されている第1の領域18に、高圧アプリケーションを動作させるための回路構成30が配置される。
【0023】
第2の領域22には、電圧搬送要素34(
図2参照)が配置される。この図では、第2の領域22が接触保護カバー38と共に示されている。ここでは蓋体として形成されているこの接触保護カバー38は、ユーザが電圧搬送要素34に触れないようにする。接触保護カバー38は、ここではねじとして形成されている接続手段42によって固定される。ここで、接続手段42は、ハウジング14によって形成される接続手段のための収容部46に収容される。
【0024】
これらの収容部46のうちの2つは、第1の領域18と第2の領域22との両方に隣接する。この例示的な実施形態では、両方の領域18、22に隣接するこれらの収容部46のうちの1つに検出手段50が配置され、検出手段50は、第1の領域18に位置決めされ、第1の領域18には、高圧アプリケーションを動作させるための回路構成30も配置される。
【0025】
検出手段50は、この例示的な実施形態ではセンサとして形成されている。このセンサ50は、信号線54を介して、回路構成30に配置された切断デバイス58と接続されている。回路構成30と同じ領域18内検出手段50を配置することにより、回路構成30、したがって切断デバイス58への信号線54の簡単な接続が保証される。
【0026】
図2は、接触保護カバー38が開かれた状態での
図1による高圧デバイス10の例示的な実施形態を示す。この図では、第1の領域18を覆うハウジングカバー26がハウジング14に取り付けられているが、接触保護カバー38は示されておらず、したがって第2の領域22内を見ることができる。接触保護カバー38を取り外す前に、4つの接続手段42が解除された。ここで、接続手段42の解除が検出手段50によって認識され、それにより電圧搬送要素34が高圧ネットワークから切り離された。
【0027】
図2には、任意選択のキャップ62が示されている。このキャップ62は、高圧デバイス10の動作状態において、ここでは接点として形成されている電圧搬送要素34に被せて配置され、既に上方に倒されている。これにより、電圧搬送要素34へのアクセスが可能にされる。この位置で、導電体(図示せず)を高圧デバイス10の開口部66に挿入し、電圧搬送要素34と接触させることができる。
【0028】
図3は、接続手段42の解除前後の検出手段50の動作原理の例示的な実施形態を示す。ここではホールセンサとして形成された検出手段50に基づいて動作原理を明らかにする。ここで、
図3Aは、接続手段42が解除される前の状態を示す。ここで、この例示的実施形態では、収容部46は、接続手段42のためのねじ山68を形成する。ここで、検出手段50は、収容部46の高さに配置され、接続手段42は、挿入状態で、検出手段50によって形成される測定位置70の領域内にある。これにより、検出手段50は、接続手段42の存在を認識する。
【0029】
図3Bには、接続手段42が解除された後の状態が示されている。接続手段42が測定位置70の領域から出るとき、検出手段50は、測定値の変化に基づいて、接続手段42が取り外される、または取り外されたことを確認する。これにより、検出手段50は、信号線54を介して信号74を切断デバイス58に送り、接触保護カバー38が取り外される前に電圧搬送要素34を高圧ネットワークから切り離すことができるようにする。