(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】吸水性樹脂入り油性芳香液
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20221111BHJP
A61L 9/04 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A61L9/01 X
A61L9/04
(21)【出願番号】P 2022018907
(22)【出願日】2022-02-09
【審査請求日】2022-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508254129
【氏名又は名称】株式会社プラネット
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 忠樹
(72)【発明者】
【氏名】溝端 秀吾
【審査官】寺▲崎▼ 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-260564(JP,A)
【文献】特開2007-191188(JP,A)
【文献】特開平09-117499(JP,A)
【文献】特開2008-119477(JP,A)
【文献】特開2014-180389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
B65D 67/00-79/02、
81/18-81/30、
81/38、85/88
B65D 85/00-85/28、
B65D 85/575
B65D 83/00-83/76
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性樹脂入り油性芳香液であって、
前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、芳香液と吸水性樹脂からなり、
前記
芳香液は、油性溶剤と香料を含んでなり、
前記吸水性樹脂は、水をあらかじめ含有させて膨張させた、
球形状からなり、
前記吸水性樹脂および前記
芳香液の比重は、ともに0.8~1.1であることを特徴とする吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項2】
前記油性溶剤は、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、ベンジルベンゾエート、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、キャリアオイルから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項3】
前記キャリアオイルは、植物油である、ことを特徴とする請求項2に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項4】
前記植物油は、ホホバオイルまたはグレープシード油である、ことを特徴とする請求項3に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項5】
前記吸水性樹脂は、色素を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項6】
前記色素によって着色される色は、赤色、橙色、黄色、青色、紫色、水色、桃色、または緑色から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項7】
前記吸水性樹脂は、アミノ酸、および/またはアクリル酸ナトリウムからなるモノマーの重合体または共重合体からなる樹脂である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項8】
前記香料は、天然精油、もしくは調合香料である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項9】
前記天然精油は、ベルガモット、ペパーミント、ローズマリー、レモングラス、サイプレス、スイートオレンジ、レモン、ライム、ジャスミン、サンダルウッド、ネロリ、マジョラム、ゼラニウム、イランイラン、フランキンセンス、ユーカリ、ローズオットー、グレープフルーツ、カモマイル、ラベンダー、ヒノキ、もしくはティートリーから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項8に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項10】
前記調合香料は、グリーンローズ、ホワイトムスク、シトラス、フローラル、フローラルブーケ、グリーン、フローラルアルデハイド、シプレ―、オリエンタルウッディ、パウダリー、フルーティ、ムスク、サボン、フゼア、アルデハイドから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項8に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項11】
前記
芳香液内に消臭原料をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項12】
前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、添加剤をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項13】
前記添加剤は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素、界面活性剤から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項12に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項14】
前記紫外線吸収剤は、
芳香液のうち0.01~10重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項15】
前記紫外線吸収剤は、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、およびサリチル酸エチルヘキシルから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13または14に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項16】
前記酸化防止剤は、
芳香液のうち0.1~5重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項17】
前記酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエンまたはトコフェロールである、ことを特徴とする請求項13または16に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項18】
前記色素は、緑色3号、赤色225号、黄色204号、青色403号、紫色201号から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項19】
前記界面活性剤は、
芳香液のうち0.01~10重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項20】
前記界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコールから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13または19に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【請求項21】
前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、芳香剤あるいは消臭剤である、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性樹脂入り油性芳香液に係り、その目的は油性溶剤と香料を混合させた芳香液に、吸水性樹脂を加え、芳香液と吸水性樹脂の比重が相互に近い値となるよう設計することで、芳香液中の吸水性樹脂が沈みづらく、芳香液表面に出現しづらく、芳香液中を浮遊するという美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液の提供にある。
【背景技術】
【0002】
近年の芳香剤(消臭剤)は、芳香性能(消臭性能)が十分に備わっていることを前提として、そのデザインや彩りなどの外観が使用者にとって満足のいく見映えであることが求められている。
【0003】
特許文献1には消臭性又は芳香性を有する物質を含有する液体中に吸水性樹脂が浸漬された空気清浄剤が、特許文献2には内容液内を浮遊する装飾物(吸水性ポリマー)を有した液体ボトルが記載されている。
上述した発明はともに、液体あるいは内容液として水が使用されている。
液体あるいは内容液として水を使用した場合、ガラス、プラスチックなどの透明容器を通して内部を視認した時、液あるいは液に含まれている吸水性樹脂(吸水性ポリマー)の輪郭がぼやけて見える。
輪郭がぼやけて見えるため、液や吸水性樹脂(吸水性ポリマー)に対して赤、青、黄色、緑などの鮮やかな色を着色したり、その他の装飾を施したとしても、美観性が損なわれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-043403号公報
【文献】特開2007-191188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は係る事情に照らし、油性溶剤と香料を混合させた芳香液に、吸水性樹脂を加え、芳香液と吸水性樹脂の比重が相互に近い値となるよう設計することで、芳香液中の吸水性樹脂が沈みづらく、芳香液表面に出現しづらく、芳香液中を浮遊するという美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供せんとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、吸水性樹脂入り油性芳香液であって、
前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、芳香液と吸水性樹脂からなり、
前記芳香液は、油性溶剤と香料を含んでなり、
前記吸水性樹脂は、水をあらかじめ含有させて膨張させた、球形状からなり、
前記吸水性樹脂および前記芳香液の比重は、ともに0.8~1.1であることを特徴とする吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記油性溶剤は、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、ベンジルベンゾエート、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、キャリアオイルから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記キャリアオイルは、植物油である、ことを特徴とする請求項2に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記植物油は、ホホバオイルまたはグレープシード油である、ことを特徴とする請求項3に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記吸水性樹脂は、色素を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0011】
請求項6に係る発明は、前記色素によって着色される色は、赤色、橙色、黄色、青色、紫色、水色、桃色、または緑色から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0012】
請求項7に係る発明は、前記吸水性樹脂は、アミノ酸、および/またはアクリル酸ナトリウムからなるモノマーの重合体または共重合体からなる樹脂である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0013】
請求項8に係る発明は、前記香料は、天然精油、もしくは調合香料である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0014】
請求項9に係る発明は、前記天然精油は、ベルガモット、ペパーミント、ローズマリー、レモングラス、サイプレス、スイートオレンジ、レモン、ライム、ジャスミン、サンダルウッド、ネロリ、マジョラム、ゼラニウム、イランイラン、フランキンセンス、ユーカリ、ローズオットー、グレープフルーツ、カモマイル、ラベンダー、ヒノキ、もしくはティートリーから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項8に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0015】
請求項10に係る発明は、前記調合香料は、グリーンローズ、ホワイトムスク、シトラス、フローラル、フローラルブーケ、グリーン、フローラルアルデハイド、シプレ―、オリエンタルウッディ、パウダリー、フルーティ、ムスク、サボン、フゼア、アルデハイドから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項8に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0016】
請求項11に係る発明は、前記芳香液内に消臭原料をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0017】
請求項12に係る発明は、前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、添加剤をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0018】
請求項13に係る発明は、前記添加剤は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素、界面活性剤から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項12に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0019】
請求項14に係る発明は、前記紫外線吸収剤は、芳香液のうち0.01~10重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0020】
請求項15に係る発明は、前記紫外線吸収剤は、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、およびサリチル酸エチルヘキシルから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13または14に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0021】
請求項16に係る発明は、前記酸化防止剤は、芳香液のうち0.1~5重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0022】
請求項17に係る発明は、前記酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエンまたはトコフェロールである、ことを特徴とする請求項13または16に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0023】
請求項18に係る発明は、前記色素は、緑色3号、赤色225号、黄色204号、青色403号、紫色201号から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0024】
請求項19に係る発明は、前記界面活性剤は、芳香液のうち0.01~10重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0025】
請求項20に係る発明は、前記界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコールから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13または19に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【0026】
請求項21に係る発明は、前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、芳香剤あるいは消臭剤である、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液に関する。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に係る発明によれば、吸水性樹脂入り油性芳香液であって、
前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、芳香液と吸水性樹脂からなり、前記芳香液は、油性溶剤と香料を含んでなり、前記吸水性樹脂は、水をあらかじめ含有させて膨張させた、球形状からなり、前記吸水性樹脂および前記芳香液の比重は、ともに0.8~1.1であることを特徴とする吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、芳香液中の吸水性樹脂が沈みづらく、芳香液表面に出現しづらく、芳香液中を浮遊するという美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0028】
請求項2に係る発明によれば、前記油性溶剤は、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、ベンジルベンゾエート、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、キャリアオイルから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、これらの油性溶剤を選択することで、さらに美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0029】
請求項3に係る発明によれば、前記キャリアオイルは、植物油である、ことを特徴とする請求項2に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、キャリアオイルを選択することで、さらに美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0030】
請求項4に係る発明によれば、前記植物油は、ホホバオイルまたはグレープシード油である、ことを特徴とする請求項3に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、植物油を選択することで、さらに美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0031】
請求項5に係る発明によれば、前記吸水性樹脂は、色素を含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、さらに美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0032】
請求項6に係る発明によれば、前記色素によって着色される色は、赤色、橙色、黄色、青色、紫色、水色、桃色、または緑色から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、これらの色素を選択することで、さらに美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0033】
請求項7に係る発明によれば、前記吸水性樹脂は、アミノ酸、および/またはアクリル酸ナトリウムからなるモノマーの重合体または共重合体からなる樹脂である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、選択された吸水性が高い樹脂を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0034】
請求項8に係る発明によれば、前記香料は、天然精油、もしくは調合香料である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、吸水性樹脂入り油性芳香液の使用用途によって香料を選定することができる、という有利な効果を奏する。
【0035】
請求項9に係る発明によれば、前記天然精油は、ベルガモット、ペパーミント、ローズマリー、レモングラス、サイプレス、スイートオレンジ、レモン、ライム、ジャスミン、サンダルウッド、ネロリ、マジョラム、ゼラニウム、イランイラン、フランキンセンス、ユーカリ、ローズオットー、グレープフルーツ、カモマイル、ラベンダー、ヒノキ、もしくはティートリーから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項8に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、吸水性樹脂入り油性芳香液の使用用途によって天然精油を選定することができる、という有利な効果を奏する。
【0036】
請求項10に係る発明によれば、前記調合香料は、グリーンローズ、ホワイトムスク、シトラス、フローラル、フローラルブーケ、グリーン、フローラルアルデハイド、シプレ―、オリエンタルウッディ、パウダリー、フルーティ、ムスク、サボン、フゼア、アルデハイドから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項8に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、吸水性樹脂入り油性芳香液の使用用途によって調合香料を選定することができる、という有利な効果を奏する。
【0037】
請求項11に係る発明によれば、前記芳香液内に消臭原料をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、吸水性樹脂入り油性芳香液に消臭原料を任意の割合で配合することができる、という有利な効果を奏する。
【0038】
請求項12に係る発明によれば、前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、添加剤をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、添加剤由来の効果を付与させることで、吸水性樹脂入り油性芳香液の性能を向上させることができる、という有利な効果を奏する。
【0039】
請求項13に係る発明によれば、前記添加剤は、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素、界面活性剤から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項12に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、添加剤由来の効果を付与させることで、吸水性樹脂入り油性芳香液の性能を向上させることができる、という有利な効果を奏する。
【0040】
請求項14に係る発明によれば、前記紫外線吸収剤は、芳香液のうち0.01~10重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、紫外線の影響を抑えることができる吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0041】
請求項15に係る発明によれば、前記紫外線吸収剤は、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、およびサリチル酸エチルヘキシルから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13または14に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、これらの紫外線吸収剤を選択することで、紫外線の影響をさらに抑えることができる吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0042】
請求項16に係る発明によれば、前記酸化防止剤は、芳香液のうち0.1~5重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、酸化の影響を抑えることができる吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0043】
請求項17に係る発明によれば、前記酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエンまたはトコフェロールである、ことを特徴とする請求項13または16に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、これらの酸化防止剤を選択することで、酸化の影響をさらに抑えることができる吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0044】
請求項18に係る発明によれば、前記色素は、緑色3号、赤色225号、黄色204号、青色403号、紫色201号から1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、これらの色素を選択することで、美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0045】
請求項19に係る発明によれば、前記界面活性剤は、芳香液のうち0.01~10重量%を占める、ことを特徴とする請求項13に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0046】
請求項20に係る発明によれば、前記界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコールから1つ以上選択される、ことを特徴とする請求項13または19に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、さらに美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる、という有利な効果を奏する。
【0047】
請求項21に係る発明によれば、前記吸水性樹脂入り油性芳香液は、芳香剤あるいは消臭剤である、ことを特徴とする請求項1~20のいずれか1項に記載の吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を芳香剤あるいは消臭剤として提供できる、という有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸水性樹脂入り油性芳香液の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明に係る吸水性樹脂入り油性芳香液の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0050】
本発明は、芳香液と吸水性樹脂からなる、美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液である。芳香液と吸水性樹脂の比重が相互に近い値となるよう設計することで、芳香液中の吸水性樹脂が沈みづらく、芳香液表面に出現しづらく、芳香液中を浮遊するようにすることができる。本発明における吸水性樹脂は、あらかじめ水を含有させたものを用いることが好ましい。含有させる水には、色素や防腐剤などを含ませることができる。
【0051】
芳香液は、油性溶剤、香料、消臭原料、添加剤から1つ以上選択されて調製される液である。
【0052】
吸水性樹脂は、本発明の外観上の美観性を向上させるために投入される。芳香液に油性溶剤を採用しているため、特許文献1や特許文献2のような芳香液が水である場合に比べて、芳香液中に投入された吸水性樹脂の輪郭や、吸水性樹脂と樹脂に吸収された水の境目がはっきりと見える。吸水性樹脂として使用される樹脂は水に浸漬させることで、浸漬前より体積が数倍から数百倍まで膨張する。浸漬させる時間をコントロールすることで、吸水性樹脂の体積、ひいては比重を任意に設定することができる。吸水性樹脂の比重は、水の含浸度合いに応じて0.8~1.2となる。水を最大に含浸した場合(すなわち膨張具合が目視によりほとんど確認できなくなった場合)の吸水性樹脂の比重は、1.0~1.2の範囲にある。
吸水性樹脂を水に浸漬させると、吸水性樹脂表面が水で覆われるため、油性の芳香液に投入することで水と油の界面が生じ、光の屈折により吸水性樹脂の輪郭をさらにはっきりと映し出すことが出来る。特許文献1や特許文献2のような水性の芳香液では界面が存在しないため、吸水性樹脂の輪郭がぼやけて映っていたと考えられる。
浸漬させる水にあらかじめ色素を添加させておくと、樹脂は色素入りの水を吸収するため、色のついた吸水性樹脂となる。浸漬させる水にあらかじめ防腐剤を添加させておくと、樹脂に吸収された水の腐敗を抑制することができる。吸水性樹脂に水を含有させずに芳香液内に加えて、吸水性樹脂入り油性芳香液として使用してもよい。本発明において、吸水性樹脂は球形状のものを使用することが好ましい。
【0053】
吸水性樹脂として使用される樹脂は、水を吸収し、吸収した水を保持してくれる樹脂であり、本発明の美観性を損なわないものであれば特に限定はなく、網目構造をもつ高分子化合物であることが望ましい。吸水性樹脂として使用される樹脂として、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、アセタール樹脂、アリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、等がある。好ましくは、アミノ酸、アクリル酸ナトリウム、およびアクリル酸塩系からなる群から選択されるモノマーの重合体または共重合体からなる樹脂を使用することが望ましい。
【0054】
油性溶剤は、芳香液の成分の1つとして使用される。水との相溶性が低く、水と分離する溶剤であれば特に限定されない。油性溶剤は、例えばイソパラフィン、ノルマルパラフィン、ベンジルベンゾエート、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、キャリアオイルがある。キャリアオイルは植物油であり、植物油は、例えばホホバオイル、グレープシード油、キャノーラ油、コーン油、パーム油、大豆油、米油、ヒマワリ油、オリーブ油、菜種油、ヒマシ油、アマニ油、アーモンド油、綿実油、等がある。
本発明の油性溶剤として、エタノール、ジプロピレングリコールなどの、水との相溶性が高い溶剤を用いると、吸水性樹脂にあらかじめ含有されている水が、吸水性樹脂周囲に存在する芳香液に向かって浸透するために、吸水性樹脂が収縮する恐れがあり、美観性を損なう一因となり得る。
本発明の油性溶剤として、エタノール、ジプロピレングリコールなどの、水との相溶性が高い溶剤を用いると、香料と混合する際に分離、もしくは白濁する恐れがあり、美観性を損なう一因となり得る。
【0055】
香料は、芳香液の成分の1つとして使用される。香りを提供でき、吸水性樹脂入り油性芳香液の美観性を損なわない香料であれば特に限定されない。芳香液中の香料の配合割合は1~100重量%とするため、香料に吸水性樹脂を直接加えて吸水性樹脂入り油性芳香液とすることもできる。本発明において、香料は天然精油、もしくは調合香料である。天然精油として、ベルガモット、ペパーミント、ローズマリー、レモングラス、サイプレス、スイートオレンジ、レモン、ライム、ジャスミン、サンダルウッド、ネロリ、マジョラム、ゼラニウム、イランイラン、フランキンセンス、ユーカリ、ローズオットー、グレープフルーツ、カモマイル、ラベンダー、ヒノキ、もしくはティートリー、等がある。調合香料として、グリーンローズ、ホワイトムスク、シトラス、フローラル、フローラルブーケ、グリーン、フローラルアルデハイド、シプレ―、オリエンタルウッディ、パウダリー、フルーティ、ムスク、サボン、フゼア、アルデハイド、等がある。香料は、複数の成分を配合させたものを使用してもよい。
【0056】
消臭原料は、芳香液の成分の1つとして使用される。消臭機能を提供でき、吸水性樹脂入り油性芳香液の美観性を損なわず、芳香液に溶解するもしくは元々液体である消臭原料であれば特に限定されない。芳香液中の消臭原料の配合割合は1~100重量%とするため、消臭原料に吸水性樹脂を直接加えて吸水性樹脂入り油性芳香液とすることもできる。本発明に使用する消臭原料の例として、フェノール樹脂、シクロデキストリン、塩化ベンザルコニウム、非イオン性界面活性剤、等がある。
【0057】
添加剤は、目的に応じて吸水性樹脂入り油性芳香液のもつ性能を改善させるために加えられるものであれば特に限定されない。本発明には1種類以上の添加剤を加えてもよい。本発明に好適に使用される添加剤として、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素、界面活性剤がある。
【0058】
紫外線吸収剤は、紫外線の影響を和らげるために本発明である吸水性樹脂入り油性芳香液に添加される。紫外線の影響を和らげることで、吸水性樹脂、香料、色素などの、有機化合物の劣化を抑制することができる。紫外線吸収剤は、使用目的や使用用途に合わせて添加するものであり、その種類は特に限定されるものではない。紫外線吸収剤として好適に使用されるものとして、例えば、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、オキシベンゾン-3、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、等がある。
紫外線吸収剤は、吸水性樹脂入り油性芳香液が芳香機能あるいは消臭機能を十分に備える限りにおいて、任意の量を吸水性樹脂入り油性芳香液に配合することが出来る。好ましくは、芳香液のうち0.01~10重量%を占める量が望ましい。
【0059】
酸化防止剤は、香料、油性溶剤の酸化を抑制するために本発明である吸水性樹脂入り油性芳香液に添加される。酸化防止剤は、使用目的や使用用途に合わせて添加するものであり、その種類は特に限定されるものではない。酸化防止剤として好適に使用されるものとして、例えば、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、トコフェロール、カテキン、等がある。
酸化防止剤は、吸水性樹脂入り油性芳香液が芳香機能あるいは消臭機能を十分に備える限りにおいて、任意の量を吸水性樹脂入り油性芳香液に配合することが出来る。好ましくは、芳香液のうち0.1~5重量%を占める量が望ましい。
【0060】
色素は、本発明である吸水性樹脂入り油性芳香液の美観性を付与することを目的に添加される。芳香液および/または吸水性樹脂に赤色、橙色、黄色、青色、紫色、水色、桃色、緑色等の様々な着色を施し、美しい彩りを提供することができる。色素は、使用目的や使用用途に合わせて添加するものであり、その種類は特に限定されるものではない。複数の種類の色素を混合させ、新たな色を作成して使用してもよい。色素として好適に使用されるものとして、例えば、褐色201号、黒色401号、紫色201号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色201号、青色202号、青色203号、青色204号、青色205号、青色403号、青色404号、緑色201号、緑色202号、緑色204号、緑色205号、緑色3号、緑色401号、緑色402号、黄色201号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色205号、黄色4号、黄色401号、黄色402号、黄色403号、黄色404号、黄色405号、黄色406号、黄色407号、黄色5号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、橙色206号、橙色207号、橙色401号、橙色402号、橙色403号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、赤色2号、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色218号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色223号、赤色225号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、赤色3号、赤色401号、赤色404号、赤色405号、赤色501号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色505号、赤色506号、等がある。
【0061】
界面活性剤は、本発明において油性溶剤と香料が分離した際に、油性溶剤と香料間に働く相溶性を調整するために加えられる。前記の機能を持つ界面活性剤であれば、その種類は特に限定はされない。本発明において、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、等が使用される。
界面活性剤は、吸水性樹脂入り油性芳香液が芳香機能あるいは消臭機能を十分に備え、美観性も保たれる限りにおいて、任意の量を吸水性樹脂入り油性芳香液に配合することが出来る。界面活性剤を入れすぎると、吸水性樹脂にあらかじめ含まれている水が吸水性樹脂周囲に存在する芳香液に向かって浸透し、芳香液の白濁や吸水性樹脂の収縮を引き起こすため、美観性を損なう一因となりうる。好ましくは、芳香液のうち0.01~10重量%を占める量が望ましい。
【0062】
吸水性樹脂および芳香液の比重は、標準物質が水である場合におよそ0.8~1.1の範囲になることが好ましい。本発明は、芳香液と吸水性樹脂の比重が相互に近い値となるよう設計することで、芳香液中の吸水性樹脂が沈みづらく、芳香液表面に出現しづらく、芳香液中を浮遊する吸水性樹脂入り油性芳香液を提供するものである。芳香液に含まれる油性溶剤は、その比重の値が1より小さいことが多い。水の含浸度合に応じて、吸水性樹脂の比重が0.8~1.2、水を最大に含浸させた場合(すなわち膨張具合が目視によりほとんど確認できなくなった場合)は1.0~1.2の範囲にあることを踏まえると、芳香液の比重を大きくして吸水性樹脂の比重に近づけるための例として、比重が1より大きい油性溶剤(ベンジルベンゾエートなど)を任意の割合で芳香液に配合すること、あるいは芳香液中の主要な油性溶剤より比重の大きい他の添加剤や香料、消臭原料を、それぞれ任意の割合で芳香液に配合することで、芳香液および吸水性樹脂の比重が相互に近い値となるよう設計することができる。比重が相互に近い値となった芳香液および吸水性樹脂を組合せた吸水性樹脂入り油性芳香液にすることで、芳香液中の吸水性樹脂は浮遊することとなる。その後吸水性樹脂は、水を含有した吸水性樹脂のほうが芳香液よりも比重が大きい場合が多いので、芳香液中でゆっくりと沈降する状態となることが多い。
本発明において、比重はJIS規格B7525-3:2018「浮ひょう型比重計」に準じて測定する。20℃での芳香液の密度を20℃における水の密度で除することで比重の値を求める。
【0063】
本発明は、香料あるいは消臭原料の配合割合に応じて、芳香剤あるいは消臭剤として使用できる。
【0064】
芳香剤あるいは消臭剤としての一実施形態として、ラタン、竹ひごなどの天然物から、パルプ芯、フェルト芯などの繊維加工を施したスティック状の吸い上げ芯1を、吸水性樹脂2が含まれている芳香液3に浸けることで、内容液である芳香液3を吸い上げて使用する(
図1)。吸水性樹脂2および芳香液3が含まれている容器4は、内容液が必要以上に揮散するのを防ぐために、蓋5によってある程度密閉することができ、蓋5の中央には、吸い上げ芯1が数本まとめて通過する程度の穴が設けられている。
【0065】
本発明は吸い上げシートと揮散パッドを用いて芳香剤あるいは消臭剤として使用することもできる。吸い上げシートと揮散パッドを用いる場合、揮散パッドを容器本体の開口部に設置し、吸い上げシートは内容液内に投入しておき、この吸い上げシートと揮散パッドを接続した状態で放置しておくことで、吸い上げシートにより内容液を揮散パッドまで吸い上げて、揮散パッドから空気中に内容液を拡散することで空気の消臭や脱臭を行うこととなる。
吸い上げシートや揮散パッドの材質としては、紙やパルプ、レーヨン、フェルト剤等のように多孔性材料で液体保持能力を有するものであれば、特に限定されない。
本発明を芳香剤、消臭剤として使用する際に用いる揮散体の材質、サイズ、形状は特に限定されない。
【0066】
本発明の吸水性樹脂入り油性芳香液は、芳香液および吸水性樹脂の比重が近い値となるよう設計し、最終的に芳香剤あるいは消臭剤として使用できるならば、芳香液の成分である油性溶剤、香料、消臭原料、添加剤、吸水性樹脂を、任意の割合で配合することができる。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
調合香料であるグリーンローズを20重量%、油性溶剤であるイソパラフィンを78重量%、消臭原料を2重量%で配合した芳香液に、アクリル酸ナトリウムを重合させたアクリル樹脂からなる吸水性樹脂を加えた吸水性樹脂入り油性芳香液を得た。このとき、吸水性樹脂は芳香液中を浮遊した。この芳香液の比重は約0.80であった。
【0068】
(実施例2)
天然精油であるスイートオレンジを4重量%、油性溶剤であるイソパラフィンを5重量%、ベンジルベンゾエート90重量%、消臭原料1重量%、少量の色素黄色204号で配合した芳香液に、あらかじめ赤色225号を含む水を含有させたアクリル樹脂からなる吸水性樹脂を加えた吸水性樹脂入り油性芳香液を得た。このとき、吸水性樹脂は芳香液中を浮遊した。この芳香液の比重は約1.10であった。
【0069】
(実施例3)
調合香料であるフローラルブーケを7重量%、油性溶剤であるイソパラフィンを77.67重量%、ベンジルベンゾエート15重量%、酸化防止剤であるBHTを0.3重量%、紫外線吸収剤であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシル0.03重量%、少量の色素青色403号で配合した芳香液に、あらかじめ青色403号を含む水を含有させたアクリル樹脂からなる吸水性樹脂を加えた吸水性樹脂入り油性芳香液を得た。このとき、吸水性樹脂は芳香液中を浮遊した。この芳香液の比重は約0.83であった。
酸化防止剤をトコフェロールに変更した場合の比重は約0.83であった。
紫外線吸収剤をt-ブチルメトキシジベンゾイルメタンおよびサリチル酸エチルヘキシルに変更した場合の比重はそれぞれ約0.83および約0.83であった。
【0070】
(実施例4)
調合香料であるホワイトムスクを10重量%、油性溶剤であるイソパラフィンを70重量%、ホホバオイルを10重量%、ミリスチン酸イソプロピルを9重量%、界面活性剤である高級アルコール1重量%、少量の色素紫色201号で配合した芳香液に、あらかじめ紫色201号を含む水を含有させたアミノ酸の樹脂からなる吸水性樹脂を加えた吸水性樹脂入り油性芳香液を得た。このとき、吸水性樹脂は芳香液中を浮遊した。この芳香液の比重は約0.82であった。
高級アルコールを10重量%、イソパラフィンを61重量%に変更した場合の比重は約0.85であった。
高級アルコールを0.01重量%、イソパラフィンを70.99重量%に変更した場合の比重は約0.81であった。
【0071】
(実施例5)
天然精油であるベルガモットを10重量%、油性溶剤であるイソパラフィンを70重量%、ミネラルオイルを10重量%、紫外線吸収剤であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシル10重量%、少量の色素赤色225号で配合した芳香液に、あらかじめ黄色204号を含む水を含有させたアクリル酸塩系の樹脂からなる吸水性樹脂を加えた吸水性樹脂入り油性芳香液を得た。このとき、吸水性樹脂は芳香液中を浮遊した。この芳香液の比重は約0.82であった。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを0.01重量%、ミネラルオイルを19.99重量%に変更した場合の比重は約0.80であった。
【0072】
(実施例6)
天然精油であるラベンダーを10重量%、油性溶剤であるイソパラフィンを70重量%、グレープシード油を15重量%、酸化防止剤であるBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)5重量%、少量の色素緑色3号で配合した芳香液に、あらかじめ黄色204号を含む水を含有させたアクリル酸塩系の樹脂からなる吸水性樹脂を加えた吸水性樹脂入り油性芳香液を得た。このとき、吸水性樹脂は芳香液中を浮遊した。この芳香液の比重は約0.84であった。
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を0.1重量%、グレープシード油を19.9重量%に変更した場合の比重は約0.83であった。
【0073】
(実施例7)
調合香料であるフローラルを10重量%、油性溶剤であるイソパラフィンを50重量%、ベンジルベンゾエートを40重量%、少量の色素緑色3号で配合した芳香液に、あらかじめ黄色204号を含む水を含有させたアクリル酸塩系の樹脂からなる吸水性樹脂を加えた吸水性樹脂入り油性芳香液を得た。このとき、吸水性樹脂は芳香液中を浮遊した。この芳香液の比重は約0.93であった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、芳香液と吸水性樹脂の比重が相互に近い値となるよう設計することで、芳香液中の吸水性樹脂が沈みづらく、芳香液表面に出現しづらく、芳香液中を浮遊するという美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液である。
本発明は、美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液であるため、例えば寝室、居間、トイレなどの居住空間や車中等におけるインテリアとして機能する、芳香剤あるいは消臭剤として使用することができる。
【符号の説明】
【0075】
2 吸水性樹脂
3 芳香液
【要約】
【課題】芳香性能あるいは消臭性能を十分に備えつつ、そのデザインや彩りなどの外観が、使用者にとって満足のいく芳香剤あるいは消臭剤が求められている。
【解決手段】芳香液と吸水性樹脂の比重が相互に近い値となるよう設計することで、芳香液中の吸水性樹脂が沈みづらく、芳香液表面に出現しづらく、芳香液中を浮遊するという美観性を備えた吸水性樹脂入り油性芳香液を提供できる。
【選択図】
図1