(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】シリンジ用の調製補助具
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20221111BHJP
A61J 1/20 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A61J1/05 351A
A61J1/20 314C
(21)【出願番号】P 2019062318
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505180313
【氏名又は名称】株式会社モリモト医薬
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松本 一平
(72)【発明者】
【氏名】大神 貴史
(72)【発明者】
【氏名】盛本 修司
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-528337(JP,A)
【文献】特表2010-528789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調製に用いる第一の調製材料が封入されている密封容器を収容するケースと、
プランジャを有し且つ調製に用いる第二の調製材料が充填されているシリンジを保持するホルダーと、を備え、
前記ケースと前記ホルダーとは、前記シリンジと前記密封容器とを連通させる針部材が前記密封容器に刺通する刺通方向に沿って、前記針部材を介して前記密封容器と前記シリンジとが連通する連通位置まで相対的にスライド可能に係合するよう構成され、
前記ホルダー及び前記シリンジの少なくとも何れか一方を係合対象として係合した状態で前記ケースに対して前記ホルダーを前記連通位置までスライドさせるスライド用係合部と、前記連通位置に配置されている前記シリンジの前記プランジャに係合した状態で該プランジャを前記密封容器側へ押し込む押込用係合部とを有する操作部材をさらに備え、
前記係合対象と前記操作部材との間には、前記操作部材への前記刺通方向における押込力により、前記スライド用係合部と前記係合対象との係合状態を解除して、前記押込用係合部と前記プランジャとを係合させる切替構造が設けられる、
シリンジ用の調製補助具。
【請求項2】
前記切替構造は、前記操作部材への前記刺通方向における押込力により前記ホルダーを前記操作部材に対して前記刺通方向に延びる仮想線を中心とする周方向に回転させることで、前記スライド用係合部と前記係合対象との係合状態を解除するように構成される、
請求項1に記載のシリンジ用の調製補助具。
【請求項3】
前記ケースと前記操作部材とは、筒状であり且つそれぞれの軸線方向において前記ホルダーを挿入可能であり、
前記操作部材を前記ケースに外嵌させることで前記ケースとの間に前記ホルダーを収容可能な収容空間が形成され、
前記ケースと前記操作部材との間には、前記シリンジを保持した前記ホルダーを収容した状態で、前記収容空間を密封し且つ前記ケースと前記操作部材との相対的なスライドを規制する密封ロック構造が設けられる、
請求項1又は請求項2に記載のシリンジ用の調製補助具。
【請求項4】
前記操作部材を、前記押込用係合部で前記プランジャを前記密封容器側に押し込んだ位置で前記ケースに保持可能な保持構造を備える、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のシリンジ用の調製補助具。
【請求項5】
前記針部材は、前記シリンジの先端に設けられ、
前記ホルダーは、
前記シリンジを保持するための筒状の差込口部であって、前記シリンジを前記針部材側から差し込むための差込口部を有し、
該差込口部は、前記シリンジの差込方向における奥側の内径よりも前記差込方向における手前側の内径の方が大きくなるように形成されている、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のシリンジ用の調製補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射を行う際に密封容器内の調製材料とシリンジ内の調製材料とを混合するシリンジ用の調製補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記のシリンジ用の調製補助具(以下、補助具と称する)として種々のものが提案されており、例えば、特許文献1に開示されている補助具(薬液を準備するための装置)は、注射器として使用する管状ボデーであって、薬液が充填されたカートリッジが内装される管状ボデー(以下、第一ボデーと称する)と、カートリッジ内の薬液とは別の薬液が充填されたバイアルを保持する内部筒状サポートと、該内部筒状サポートが内装され且つ第一ボデーに嵌め合わされる管状ボデー(以下、第二ボデーと称する)と、カートリッジとバイアルとの間に配置される両頭針とを備えており、該第一ボデーと第二ボデーとは、それぞれの軸線方向の向きを一致させた状態で相対的にスライド可能となっている。
【0003】
バイアルと内部筒状サポートとは筒状である。バイアルの先端側の開口はメタルキャップによって塞がれており、バイアルの後端側の開口は開放されている。内部筒状サポートの先端側の開口、及び後端側の開口は、何れも開放されている。
【0004】
さらに、内部筒状サポートには、径方向における内外に亘って貫通する貫通孔が形成されている。貫通孔は、第二ボデーの後述する弾性アームの突出部を抜き差しするための孔である。
【0005】
第二ボデーは、内部筒状サポートに対するスライドを規制する弾性アームであって、径方向に弾性変形可能な弾性アームと、バイアル内の薬液を押し出すための円筒状プッシャ(いわゆる、プランジャ)とを有する。
【0006】
弾性アームは、第二ボデーの軸線方向に沿って延びている。また、弾性アームの内面には、第二ボデーの先端側から後端側になるにつれて径方向内側に向かうように傾斜する傾斜面と、該傾斜面よりも第二ボデーの後端側に位置し且つ第二ボデーの径方向内側に向かって突出する突出部とが形成されている。
【0007】
そして、弾性アームは、第二ボデーの径方向で変形していない(撓んでいない)状態においては、突出部が内部筒状サポートの貫通孔に挿入されるように構成されている。
【0008】
円筒状プッシャは、第二ボデー内において後端から先端側に向けて延びており、内部筒状サポートの後端側の開口、及びバイアルの後端側の開口を通じてバイアルの内部に挿入されている。
【0009】
両頭針は、中心線が延びる方向を第一ボデー及び第二ボデーの軸線が延びる方向に合わせた姿勢でカートリッジとバイアルとの間に配置されている。そのため、両頭針の一方の端部はカートリッジに向けて配置され両頭針の他方の端部はバイアルに向けて配置されている。
【0010】
上記構成の補助具によれば、第一ボデーと第二ボデーとを相対的にスライドさせてカートリッジとバイアルの間の距離を縮めると、両頭針の一方の端部がカートリッジに挿入され、両頭針の他方の端部がバイアル内部に挿入され、カートリッジの内部とバイアルの内部とが両頭針を介して連通する。
【0011】
そして、第一ボデーと第二ボデーとをスライドさせ続けると、傾斜面が第一ボデーの内側の開口端に接触する。これにより、傾斜面が第二ボデーの径方向外側に向かって押しのけられ、弾性アームが該径方向外側に向かって撓む。
【0012】
これに伴い、突出部が内部筒状サポートの貫通孔から外れるため、第二ボデーが内部筒状サポートに対してスライド可能となる。
【0013】
そして、内部筒状サポートに対して第二ボデーをさらにスライドさせて円筒状プッシャをバイアル内で前進させると、該バイアル内の調製材料がカートリッジ内へと押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上記従来の補助具では、バイアル内でプランジャを前進させる際に、第一ボデーで弾性アームを押しのけている状態、すなわち、第一ボデーに弾性アームが押し付けられている状態になるため、第一ボデーに対する弾性アームの押し付け力が、第二ボデーと第一ボデーとを相対的にスライドさせる際の負荷となる。
【0016】
そのため、上記従来の補助具では、第一ボデーに対して第二ボデーをスライドさせ難くなり、プランジャを動かし難くなることがある。
【0017】
従って、上記従来の補助具のような、プランジャを押し込む操作とともに別の操作も行うように構成されたものにおいては、プランジャの押し込み操作に対して負荷が増加し、プランジャの操作性が悪くなることがあった。
【0018】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、プランジャを簡単に押すことができるシリンジ用の調製補助具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のシリンジ用の調製補助具は、
調製に用いる第一の調製材料が封入されている密封容器を収容するケースと、
プランジャを有し且つ調製に用いる第二の調製材料が充填されているシリンジを保持するホルダーと、を備え、
前記ケースと前記ホルダーとは、前記シリンジと前記密封容器とを連通させる針部材が前記密封容器に刺通する刺通方向に沿って、前記針部材を介して前記密封容器と前記シリンジとが連通する連通位置まで相対的にスライド可能に係合するよう構成され、
前記ホルダー及び前記シリンジの少なくとも何れか一方を係合対象として係合した状態で前記ケースに対して前記ホルダーを前記連通位置までスライドさせるスライド用係合部と、前記連通位置に配置されている前記シリンジの前記プランジャに係合した状態で該プランジャを前記密封容器側へ押し込む押込用係合部とを有する操作部材をさらに備え、
前記係合対象と前記操作部材との間には、前記操作部材への前記刺通方向における押込力により、前記スライド用係合部と前記係合対象との係合状態を解除して、前記押込用係合部と前記プランジャとを係合させる切替構造が設けられる。
【0020】
上記構成のシリンジ用の調製補助具によれば、密封容器内の第一の調製材料をシリンジに移す際に操作部材を押込操作すると、スライド用係合部がホルダー又はシリンジの少なくとも何れか一方に係合し、前記刺通方向に沿ってホルダーをケースに対して連通位置までスライドさせることで、針部材が密封容器に刺通し密封容器とシリンジとが針部材を介して互いに連通する。
【0021】
ここで、切替構造が、押込操作時の押込力によってスライド用係合部とホルダー又はシリンジの少なくとも何れか一方との係合による負荷を解除して、押込用係合部とプランジャとを係合させるように構成されているため、プランジャの押込時に要する力を抑えることができる。
【0022】
従って、前記シリンジ用の調製補助具は、プランジャを押し込む際に操作部材にかかる負荷を抑え、プランジャを簡単に押すことができる。
【0023】
本発明のシリンジ用の調製補助具において、
前記切替構造は、前記操作部材への前記刺通方向における押込力により前記ホルダーを前記操作部材に対して前記刺通方向に延びる仮想線を中心とする周方向に回転させることで、前記スライド用係合部と前記係合対象との係合状態を解除するように構成されていてもよい。
【0024】
かかる構成によれば、操作部材を押し込む操作によってホルダーを操作部材に対して回転させるだけでスライド用係合部とホルダー及びシリンジの少なくとも何れか一方との係合状態を解除することができるため、操作性の良さが高まる。
【0025】
本発明のシリンジ用の調製補助具において、
前記ケースと前記操作部材とは、筒状であり且つそれぞれの軸線方向において前記ホルダーを挿入可能であり、
前記操作部材を前記ケースに外嵌させることで前記ケースとの間に前記ホルダーを収容可能な収容空間が形成され、
前記ケースと前記操作部材との間には、前記シリンジを保持した前記ホルダーを収容した状態で、前記収容空間を密封し且つ前記ケースと前記操作部材との相対的なスライドを規制する密封ロック構造が設けられていてもよい。
【0026】
上記構成のシリンジ用の調製補助具によれば、例えば、注射に使用した後のシリンジを収容したホルダーを収容空間内に収容したうえで、密封ロック構造により収容空間を密封し且つケースと操作部材との相対的なスライドを規制することで、第一の調製材料や、第二の調製材料、調製された薬剤の暴露を防止できる。
【0027】
本発明のシリンジ用の調製補助具は、
前記操作部材を、前記押込用係合部で前記プランジャを前記密封容器側に押し込んだ位置で前記ケースに保持可能な保持構造を備えていてもよい。
【0028】
上記構成のシリンジ用の調製補助具によれば、保持構造により、押込用係合部でプランジャを密封容器側に押し込んだ位置で操作部材をケースに保持させることができるため、操作部材とケースとが分離し難くなる。従って、例えば、シリンジ内の第二の調製材料が液状である場合においては、第二の調製材料を密封容器に移した状態で操作部材とケースとを手に持って振ることによって、第一の調製材料と第二の調製材料とを混ぜ合わせ易くなる。
【0029】
本発明のシリンジ用の調製補助具において、
前記針部材は、前記シリンジの先端に設けられ、
前記ホルダーは、
前記シリンジを保持するための筒状の差込口部であって、前記シリンジを前記針部材側から差し込むための差込口部を有し、
該差込口部は、前記シリンジの差込方向における奥側の内径よりも前記差込方向における手前側の内径の方が大きくなるように形成されていてもよい。
【0030】
かかる構成によれば、差込口部にシリンジを針部材から差し込む際に、針部材と差込口部とを接触し難くすることで、針部材の曲がりや破損を抑えることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明のシリンジ用の調製補助具は、プランジャを簡単に押すことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の外観図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具のケースの正面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具のケースの平面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具のホルダーの正面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具のホルダーの側面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の操作部材の平面図である。
【
図9】
図9は、
図8のIX-IX線における断面斜視図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係るシリンジの縦断面図である。
【
図11】
図11は、同実施形態に係るシリンジの平面図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る密封容器の縦断面図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用前の状態の縦断面図である。
【
図14】
図14は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態の説明図であり、シリンジの針部材を密封容器に穿刺した状態の説明図である。
【
図15】
図15は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態の説明図であり、プランジャを押し込んだ状態の説明図である。
【
図16】
図16は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態の説明図であり、収容空間を密閉してケースと操作部材とをロックした状態の説明図である。
【
図17】
図17は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態での拡大図であり、ケースに対する操作部材の押し込みを開始する直前の操作部材周辺の拡大図である。
【
図18】
図18は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態での拡大図であり、シリンジの針部材を密封容器に刺通している状態における操作部材周辺の拡大図である。
【
図19】
図19は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態での拡大図であり、切替構造がシリンジとホルダーを回転させている状態における操作部材周辺の拡大図である。
【
図20】
図20は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態での拡大図であり、シリンジとホルダーを回転させた後、プランジャを押している状態における操作部材周辺の拡大図である。
【
図21】
図21は、同実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の使用状態での拡大図であり、プランジャに対する押し付けを解除した状態における操作部材周辺の拡大図である。
【
図22】
図22は、本発明の他の実施形態に係るキャップを備えたシリンジ用の調製補助具の一部拡大縦断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の別の実施形態に係るキャップを備えたシリンジ用の調製補助具の一部拡大縦断面図である。
【
図24】
図24は、本発明のさらに別の実施形態に係るシリンジ用の調製補助具の針ユニットの正面図である。
【
図26】
図26は、
図24に示す針ユニットを備えたシリンジ用の調製補助具の針ユニットの説明図であって、使用前の状態の説明図である。
【
図28】
図28は、
図26に示すシリンジ用の調製補助具の針ユニットの使用状態の説明図であって、針部材の先端側の針先が密封容器(バイアル)の密栓に貫通した状態の説明図である。
【
図29】
図29は、
図26に示すシリンジ用の調製補助具の針ユニットの使用状態の説明図であって、針部材の基端側の針先がシリンジのシール部材に貫通した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係るシリンジ用の調製補助具(以下、調製補助具と称する)について添付図面を参照しつつ説明を行う。
【0034】
調製補助具1は、
図1に示すように、調製に用いる第一の調製材料が封入されている密封容器6を収容するケース2と、ケース2内に対して抜差可能であり且つシリンジを保持可能であるホルダー3(
図2参照)と、ホルダー3が挿入されているケース2に外嵌させるカバーとして構成される操作部材4と、を備えている。なお、
図2では、説明の都合上、シリンジ5を部分的に図示している。また、
図13、
図14に示すように、ケース2とホルダー3とは、密封容器6にシリンジ5の針部材52を刺通する刺通方向に沿って、針部材52を介して密封容器6とシリンジ5とが連通する連通位置まで相対的にスライド可能に係合するよう構成されている。なお、本実施形態では、ケース2とホルダー3とを相対的にスライドさせる方向を前後方向と称する。なお、調製補助具1には、ケース2と操作部材4の位置関係を固定するために、ケース2と操作部材4とに跨るようにフィルム状の固定材Sが巻き付けられていてもよい(
図1参照)。
【0035】
ここで、本実施形態のシリンジ5は、
図10に示すように、調製に用いる第二の調製材料が充填されるシリンジ本体部50と、該シリンジ本体部50内の第二の調製材料を押し出すためのプランジャ51と、シリンジ本体部50のノズル500に直接的又は間接的に設けられる針部材(注射針)52と、該針部材52を覆うキャップ53と、を備えている。また、シリンジ本体部50の鍔部には、フィンガーグリップ54が取り付けられている。キャップ53は弾性を有しており、針部材52を突き通すことが可能である。なお、フィンガーグリップ54は、
図11に示すように、平面視においては横幅W1の方が縦幅W2よりも大きくなるように形成されている。また、フィンガーグリップ54は、シリンジ本体部50に取り付けられた状態において、長手方向における一端部側と他端部側とがシリンジ本体部50から相反する方向(シリンジ本体部50の径方向において相反する方向)に延出するように構成されている。
【0036】
本実施形態に係るシリンジ5では、
図10に示すように、ノズル500に対して間接的に針部材52が設けられている。より具体的に説明すると、ノズル500には、筒状の針基520が外嵌されており、該針基520の先端部に針部材52が設けられている。このように、本実施形態では、針基520と針部材52とによって、いわゆる、ディスポ針が構成されている。なお、ノズル500には針部材52が直接的に設けられていてもよい。
【0037】
キャップ53は、弾性を有する材料で構成されている。例えば、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、シリコンゴム、熱可塑性エラストマー等を使用できる。本実施形態に係るキャップ53は、筒状であり基端側が針基520に外嵌するように構成された筒状部530と、該筒状部530の先端に連続し且つ針部材52を刺通可能な封止部531と、を有する。
【0038】
筒状部530には、封止部531が該筒状部530の軸線方向でスライド可能となる状態で内嵌されている。そのため、封止部531を他の部位に突き当てた状態でシリンジ本体部50を前進させると、シリンジ本体部50とともに筒状部530が封止部531に対して前進するため、針部材52が前進して封止部531の先端の前方に進出するようになっている。
【0039】
密封容器6は、所謂バイアルであり、
図12に示すように、第一の調製材料が充填される容器本体60と、容器本体60の取出口を塞ぐ密栓61と、を備えている。密栓61の外周部61aは、容器本体60の首部60aよりも大きい外径を有し、鍔状に外向きに突き出ている。
【0040】
なお、調製補助具1に収容されるシリンジ本体部50及び容器本体60の少なくとも何れか一方には液状の調製材料が充填される。すなわち、シリンジ本体部50又は容器本体60の一方には液状の調製材料が充填され、シリンジ本体部50又は容器本体60の他方には液状又は粉末の調製材料が充填される。
【0041】
図3乃至
図5に示すように、ケース2は、筒状に形成されている。本実施形態に係るケース2は、有底筒状であり且つ密封容器6を収容可能なケース本体部20と、ケース本体部20内において密封容器6を位置決めする位置決部21と(
図4参照)、ケース本体部20に形成され且つケース本体部20の軸線方向でホルダー3をガイドするホルダー用ガイド部22と(
図4参照)、ケース本体部20に形成され且つケース本体部20の軸線方向で操作部材4をガイドする操作部材用ガイド部23と、ケース本体部20の外面に形成され且つ操作部材4の内面に密接する密接部24と、を有する。
【0042】
ケース本体部20の軸線方向は、ケース2の軸線方向でもある。また、密封容器6に対するシリンジ5の針部材52の刺通方向は、ケース本体部20の軸線方向に沿う方向である。なお、ケース本体部20の底面側は、前後方向におけるケース2の前方側となり、ケース本体部20の開口側は、前後方向におけるケース2の後方側となっている。
【0043】
位置決部21は、ケース本体部20内において、該ケース本体部20の径方向で密封容器6を位置決めできるように構成されている。
【0044】
より具体的に説明すると、位置決部21は、ケース本体部20内の内底面上に複数(本実施形態では3つ)形成されており、複数の位置決部21は、ケース本体部20の内面の周方向で間隔をあけて並ぶように形成されている。
【0045】
また、各位置決部21は、
図4及び
図5に示すように、底面上において内周面からケース本体部20の径方向内側に向かって延びる底受部210と、該底受部210の外側の一端からケース本体部20の上方側に向かって延出する横受部211と、を有する。各底受部210の上に密封容器6が載置されている状態においては、該密封容器6とケース本体部20との間に横受部211が介在した状態になる。
【0046】
ホルダー用ガイド部22は、ケース本体部20の内周面に形成された一対のガイド溝220により構成されている。一対のガイド溝220は、ケース本体部20の開口端から内底面に向かって延びている。また、一対のガイド溝220は、ケース本体部20の軸線方向に沿って延びており、ケース本体部20の周方向で間隔をあけて互いに平行な姿勢となっている。そのため、一対のガイド溝220の間には、ガイド溝220の底面よりもケース本体部20の内側(ケース本体部20の径方向における内側)に張り出した張出部221が形成されている。
【0047】
なお、本実施形態では、一対のガイド溝220と張出部221とで構成されるホルダー用ガイド部22がケース本体部20に対して2つ設けられており、一方のホルダー用ガイド部22と他方のホルダー用ガイド部22とは、ケース本体部20の中心(径方向における中心)を介して対称となる位置に設けられている。
【0048】
また、一対のガイド溝220のうちの一方は、調製前にホルダー3をケース本体部20に挿入する際に使用する第一のガイド溝220aであり、他方のガイド溝220は、調整中から調製後にケース本体部20に挿入したホルダー3をケース本体部20に対して一定角度回転した位置に保持するための第二のガイド溝220bである。なお、各ホルダー用ガイド部22において、第一のガイド溝220aと第二のガイド溝220bのそれぞれの形成位置(中心位置)は、ケース2の中心軸線を中心とする周方向において45度又は約45度ずれており、回転対象の位置関係となっている。なお、第二のガイド溝220bの長さは、第一のガイド溝220aよりも長い。
【0049】
操作部材用ガイド部23は、
図3及び
図4に示すように、ケース本体部20の外面(より具体的には、ケース本体部20の開口縁部の外面)に突設されている。また、ケース本体部20には、一対の操作部材用ガイド部23が形成されており、該一対の操作部材用ガイド部23は、ケース本体部20の径方向における中心を境として対称となる位置に形成されている。さらに、本実施形態においては、一方の操作部材用ガイド部23の裏側に一方のホルダー用ガイド部22の第一のガイド溝220aが形成され、他方の操作部材用ガイド部23の裏側に他方のホルダー用ガイド部22の第一のガイド溝220aが形成されている。
【0050】
密接部24は、操作部材4の内面(操作部材4の開口縁部の内周面)に密接することで、ケース2と操作部材4との間の隙間を塞ぐ密閉構造を構成している。
【0051】
本実施形態に係る密接部24は、ケース本体部20の周方向全周において連続するように形成されている。また、密接部24には、ケース本体部20の後端側から前端側になるにつれて徐々に外側(ケース本体部20の径方向外側)に張り出すテーパーリング部240と、該テーパーリング部240の前方側に連設されている前側リング241と、を有する。リング241の高さ(ケース本体部20の表面からの突出量)は全周に亘って一定であり、リング241の幅(前記前後方向における幅)も全周に亘って一定である。なお、テーパーリング部240の前端部(前側リング241に連続している端部)の高さ(ケース本体部20の表面からの径方向外方への突出量)は、全周に亘って前側リング241の高さと同一となるように設定されている。
【0052】
ホルダー3は、
図6及び
図7に示すように、筒状であり且つシリンジ5を抜差可能な収容部30と、該収容部30に差し込まれたシリンジ5を抜け止めするための抜止部31と、収容部30の先端(シリンジ5を差し込む差込方向における先端)に延設されている延設部32と、該延設部32の先端に形成され且つ密封容器6を保持可能な容器保持部33と、を有する。
【0053】
また、ホルダー3は、容器保持部33の側からケース2内に挿入され、ケース2に挿入された状態において、該ケース2の中心線を中心とする周方向で回転可能である。
【0054】
収容部30は、上述のように筒状であり、後端側がシリンジ5を内部に差し込むための差込口部Oとなっている。また、収容部30の先端側は、内径が一定又は略一定となるように形成されているのに対して、差込口部Oは、前端側(奥側)から後端側(手前側)になるにつれて内径が徐々に大きくなるように形成されている(すなわち、テーパー状に形成されている)。
【0055】
抜止部31は、収容部30の後端に立設された一対の壁部310を有する。各壁部310は、収容部30の径方向において対向配置されている。そのため、各壁部310の隣り合う側端同士の間には、スペースが形成されている。
【0056】
各壁部310は、収容部30の軸線方向に沿って真っすぐに延びる立設部311と、該立設部311の先端部(前記前後方向における後端側の端部)に連設され且つ収容部30の周方向の一端が該周方向に沿って他の壁部310側に延出する延出部312と、を有する。立設部311と延出部312とは、収容部30の軸線方向に直交する断面形状が円弧状をなす板状に形成されており、延出部312の周方向での長さが、立設部311の周方向での長さよりも長くなっている。そのため、上述のスペースは、前記前後方向における後方側よりも前方側の方が幅広くなっている。
【0057】
また、ホルダー3は、差込口部Oにシリンジ5を挿し込んでフィンガーグリップ54の長方形状の両端部を前記スペース内に配置することで、シリンジ5がホルダー3に装着される。このようにすると、フィンガーグリップ54の回転が前記スペースの範囲内に制限される。また、フィンガーグリップ54を立設部311の一端に当接させた状態においては、該フィンガーグリップ54が延出部312に当接するため、シリンジ5がホルダー3に対して抜け止めされる。
【0058】
延設部32は、収容部30の軸線方向に沿って延び且つ互いに対向配置された一対の長板部320と、該一対の長板部320のそれぞれにつながる接続板321と、を有する。なお、各図において採番しないが、接続板321にはシリンジ5を挿通するための貫通孔が形成されている。
【0059】
長板部320は、収容部30の軸線方向に直交する方向での断面形状が円弧状である。また、接続板321は平面視形状が円板状である。さらに、本実施形態では、3つの接続板321が収容部30の軸線方向で間隔をあけて並んでおり、最も後端側の接続板321の貫通孔のサイズが、他の2つの接続板321の貫通孔のサイズよりも大きくなっている。
【0060】
長板部320には、該長板部320の内外に動くように構成された可動爪322が形成されている。可動爪322は、前記前後方向において壁部310の前方に形成されている。そのため、ホルダー3を後端側から見ると、可動爪322は壁部310の間のスペースから外れた位置に形成されている。
【0061】
また、可動爪322は、長板部320の長手方向に沿って延び且つ可撓性を有する可撓部322aと、該可撓部322aの外面から外方に向かって突出する突出爪部322bと、を有する。さらに、可撓部322aは前端部を支点として先端側が内外方向に撓むアーム状に形成され、可撓部322aの先端部に突出爪部322bを備えている。
【0062】
容器保持部33は、長板部320の先端から延出し且つ可撓性を有する複数の可撓アーム部330と、可撓アーム部330の先端部の内面から内側に向かって突出する内爪部331と、内爪部331の後方側で可撓アーム部330の内面から内側に向かって突出する突出部332と、を有する。本実施形態では、各長板部320に可撓アーム部330が一つずつ連設されており、各可撓アーム部330の内爪部331が対向配置されている。突出部332も各可撓アーム部330に形成され、互いに対向配置されている。
【0063】
各可撓アーム部330は、板状であり、且つ長手方向に直交する方向での断面形状が円弧状となっている。また、対向する一対の可撓アーム部330は、先端側であるほど互いに接近するようにして長板部320から延出している。
【0064】
内爪部331及び突出部332も、長手方向に直交する方向での断面形状が円弧状となるように構成されている。また、容器保持部33では、可撓アーム部330の内面と該内面から内側に突出する内爪部331とが段状となるように連続し、可撓アーム部330の内面と該内面から内側に突出する突出部332もまた段状となるように連続している。これにより、可撓アーム部330の内面には、一つの凹部333が形成されている。
【0065】
操作部材4は、
図2に示すように、筒状であり、一方の端部側の開口が塞がれ、他方の端部側の開口が開放されている。また、操作部材4をケース2に対して外嵌させると、ケース2と操作部材4との間には、ホルダー3を収容するための収容空間が形成される。
【0066】
操作部材4は、
図8及び
図9に示すように、操作部材4自身を操作部材用ガイド部23に案内させる被ガイド部40と、ホルダー3及びシリンジ5の少なくとも何れか一方を係合対象(本実施形態では、シリンジ5のフィンガーグリップ54)として係合した状態で、ケース2に対してホルダー3を連通位置までスライドさせるスライド用係合部41と、連通位置に配置されているシリンジ5のプランジャ51に係合した状態で該プランジャ51を密封容器6側へ押し込む押込用係合部42と、シリンジ5のプランジャ51への押し込みが完了したときに前記刺通方向においてシリンジ5及びホルダー3の少なくとも何れか一方(本実施形態では、シリンジ5のフィンガーグリップ54)に当接させる当接部43と、前記他方の端部の内周面に形成された段部44、とを有する。
【0067】
被ガイド部40は、操作部材4の内周面に対して、軸線方向に沿って延びるように形成された溝である。また、被ガイド部40には、
図9に示すように、調製前に操作部材用ガイド部23に嵌合させる第一の被ガイド部400と、調製後に操作部材用ガイド部23に嵌合させる第二の被ガイド部401と、が含まれている。また、被ガイド部40(即ち、第一の被ガイド部400と第二の被ガイド部401の夫々)は、操作部材4の軸線方向周りで180度回転対称の位置に一対備えられている。
【0068】
第一の被ガイド部400は、段落0076で後述している切替構造から軸線方向において外れた位置(前記前後方向におけるスライド用係合部41の前方から外れた位置)に形成されており、第二の被ガイド部401は、段落0076で後述している切替構造と軸線方向において並ぶ位置(前記前後方向におけるスライド用係合部41の前方)に形成されている。また、第一の被ガイド部400の中心位置と、スライド用係合部41の中心位置とは、操作部材4の中心軸線を中心とする周方向において90度又は約90度ずれた位置に形成されている。
【0069】
ホルダー3の可動爪322が第一のガイド溝220aに嵌合している状態で、第一の被ガイド部400を操作部材用ガイド部23に嵌合させると、前記前後方向における係合対象(フィンガーグリップ54)の後方にスライド用係合部41が配置される(
図2参照)。
【0070】
また、第一の被ガイド部400が操作部材用ガイド部23に嵌合している状態で、ホルダー3の可動爪322が第二のガイド溝220bに嵌合すると、係合対象(フィンガーグリップ54)の後方には当接部43が配置される。
【0071】
さらに、ホルダー3の可動爪322が第二のガイド溝220bに嵌合している状態で、第二の被ガイド部401を操作部材用ガイド部23に嵌合させると、係合対象の後方には押込用係合部42に配置される。すなわち、係合対象(フィンガーグリップ54)がスライド用係合部41からも当接部43からも外れた位置に配置される。
【0072】
スライド用係合部41は、操作部材4の内周面から該操作部材4の径方向内側に向かって一定厚さで略矩形状に突出したリブ状に形成され、操作部材4の軸線方向周りで180度回転対称の位置に一対備えられている。スライド用係合部41は、上述のように(
図2参照)、ホルダー3の可動爪322を第一のガイド溝220aに嵌合させた上で、第一の被ガイド部400を操作部材用ガイド部23に嵌合させた状態においては、係合対象であるフィンガーグリップ54の後方(前記前後方向における後方)に配置されるように構成されており、操作部材4が押込操作されてケース2側にスライドすると、フィンガーグリップ54を押してシリンジ5及びホルダー3を前記刺通方向に前進させるようになっている。
【0073】
また、スライド用係合部41には、前記前後方向において操作部材4の内底面42とは反対側の端部に、シリンジ5に対向配置されてフィンガーグリップ54を押圧する対向面410が含まれている。この対向面410は、操作部材4の周方向における一端側から他端側になるにつれて、前記前後方向における後方側(すなわち、操作部材4の内底面42側)に向かうように傾斜している。
【0074】
押込用係合部42は、操作部材4の内底面42で構成されている。そのため、操作部材4では、スライド用係合部41が押込用係合部42よりも前方側に形成されている。
【0075】
当接部43は、周方向でスライド用係合部41に隣接し、操作部材4の内周面から操作部材4の径方向内側に向かってスライド用係合部41と同じ厚さで略矩形状に突出したリブ状に形成され、操作部材4の軸線方向周りで180度回転対称の位置に一対備えられている。当接部43は、前記前後方向において操作部材4の内底面42(押込用係合部42)とは反対側の端部に当接面430を備え、この当接面430は、前記前後方向において操作部材4の内底面42(押込用係合部42)とスライド用係合部41の対向面410の中間に位置している。スライド用係合部41及び当接部43の周方向の各中心は、操作部材4の軸線方向周りで互いに略45度の回転対称の位置にある。
【0076】
調製補助具1は、シリンジ5及びホルダー3が操作部材4に対して回転すると、前記前後方向で係合対象がスライド用係合部41と対向している状態と、前記前後方向で係合対象が当接部43と対向している状態とに切り替わるようになっている。
【0077】
そして、本実施形態では、前記刺通方向において操作部材4が受ける押込力により、ホルダー3をケース2及び操作部材4に対して回転させることでスライド用係合部41と係合対象との係合状態を解除して、押込用係合部42とプランジャ51とを係合させる切替構造が操作部材4に設けられている。この切替構造は、スライド用係合部41の対向面410により構成されている。なお、押込用係合部42とプランジャ51とが係合している状態のとき前後方向で係合対象が当接部43と対向している。
【0078】
当接部43は、押込用係合部42とプランジャ51とが係合している状態のとき前記前後方向で対向している係合対象(フィンガーグリップ54)に当接することで操作部材4の前記刺通方向における前進(スライド)、即ちプランジャ51の押し込みを止めるように構成されている。
【0079】
また、本実施形態に係る操作部材4は、当接部43が係合対象の後方に配置されている状態でのケース2に対する操作部材4の差込量よりも、押込用係合部42が係合対象の後方に配置されている状態(すなわち、係合対象(フィンガーグリップ54)の後方にスライド用係合部41と当接部43のいずれも位置していない)でのケース2に対する操作部材4の差込量の方が大きくなるように構成されている。
【0080】
そのため、当接部43が係合対象の後方に配置されている状態での操作部材4と密接部24との重なり量よりも、押込用係合部42が係合対象の後方に配置されている状態での操作部材4と密接部24との重なり量の方が大きくなる。
【0081】
何れの状態においても、ケース2と操作部材4とで形成される収容空間内は密封された状態になるが、係合対象の後方に当接部43が配置されている状態においては、操作部材4が密接部24に係止している状態、すなわち、操作部材4をケース2から取り外すことができる状態となる一方で、係合対象の後方に押込用係合部42が配置されている状態においては、操作部材4が密接部24に係止した状態でロックされ、ケース2から操作部材4を取り外せないようにすることができる。
【0082】
このように、密接部24は、収容空間を密封した状態で操作部材4をケース2に対して一時的に保持可能な保持構造としての機能と、収容空間を密封した状態でケース2に対する操作部材4のスライドを規制する密封ロック構造としての機能を併せ持つように構成されている。
【0083】
段部44は、操作部材4の開口端部の内周面側に切欠部440を形成することにより構成されている。これにより、段部44は、操作部材4の開口端部から順次、操作部材4の内周面よりも操作部材4の径方向外側に位置する外側面部441と、該外側面部441の軸方向内側端部から操作部材4の径方向内側に向かって直立する立面部442と、該立面部442の径方向内側端部に連続した操作部材4の内周面で構成される内側面部443と、を有する。
【0084】
なお、第一の被ガイド部400、第二の被ガイド部401は、切欠部440に連続しており、切欠部440から一方の端部側に向かって延びるように形成されている。
【0085】
また、段部44の外側面部441の内径が密接部24の前側リング241の外径よりも小径に形成され、操作部材4は、ケース2に被せた際に、外側面部441がテーパーリング部240によって拡径されて前面リング241に密接し且つ立面部442と内側面部443とによって形成される角部がテーパーリング部240に密接するように構成されている。そのため、操作部材4と密接部24との重なり量が小さい場合は、外側面部441が前側リング241の後方側に当接し且つ角部がテーパーリング部240の後方側(外径が小さい部分)に当接するため、操作部材4の段部44が密接部24に対して弱い嵌合力で外嵌され、操作部材4と密接部24との重なり量が大きい場合は、外側面部441が前側リング241の後方側から前方側に渡って当接し且つ角部がテーパーリング部240の前方側(外径が大きい部分)に当接するため、操作部材4の段部44が密接部24に対して強い嵌合力で外嵌される。
【0086】
本実施形態に係るシリンジ用の調製補助具1の構成は以上の通りである。続いて、調製補助具1の使い方について
図13~
図21を参照しつつ説明を行う。
【0087】
調製補助具1は、
図13に示すように、密封容器6内の第一の調製材料とシリンジ5内の第二の調製材料とを混ぜ合わせて調製するために、ケース2内に密封容器6を収容し、シリンジ5を収容した状態のホルダー3を該ケース2内に挿入してある。なお、調整補助具1の使用時においては、固定材Sを取り除いておく必要がある。
【0088】
このとき、ホルダー3の可動爪322がケース2の第一のガイド溝220aに嵌合し、ケース2の操作部材用ガイド部23が操作部材4の第一の被ガイド部400に嵌合している。また、スライド用係合部41の前方には、係合対象となるフィンガーグリップ54が配置されている(
図17参照)。
【0089】
そして、ケース2が操作部材4に対して前記刺通方向で相対的にスライドすると、スライド用係合部41がフィンガーグリップ54に対して前記前後方向で係合し、シリンジ5ごとホルダー3が前記刺通方向に沿ってスライドする(
図18参照)。なお、ケース2を操作部材4に対して前記刺通方向で相対的にスライドさせる場合、ケース2を操作部材4に対して押し込んでもよいし、操作部材4をケース2に対して押し込んでもよい。
【0090】
これに伴い、密封容器6が容器保持部33の間に差し込まれ、密封容器6(容器本体60の首部)に内爪部331が引っ掛かり、また、シリンジ5も前記刺通方向に沿って密封容器6側に前進するため、キャップ53から突き出た針部材52が密栓61を貫通して密封容器6内に到達する。このとき、ホルダー3の可動爪322がケース2の第一のガイド溝220aに嵌合し、ケース2の操作部材用ガイド部23が操作部材4の第一の被ガイド部400に嵌合しているため、ホルダー3の回転が規制されている。
【0091】
操作部材4をさらに押し込み続けると、ホルダー3の可動爪322がケース2の第一のガイド溝220aの終端に達して、ホルダー3及びシリンジ5が前記刺通方向に沿って前進できない状態になっている一方で、
図19に示すように、フィンガーグリップ54には、スライド用係合部41の対向面410からの押付力(フィンガーグリップ54を回転させようとする力)が加わり続け、シリンジ5ごとホルダー3が回転する。
【0092】
このとき、
図14に示すように、可動爪322(突出爪部322b)は、張出部221を越えて第一のガイド溝220aから第二のガイド溝220bまで移動する。そして、フィンガーグリップ54が、スライド用係合部41の対向面410の前方から当接部43の前方へと移動する。すなわち、フィンガーグリップ54とスライド用係合部41の対向面410との係合が解除され、操作部材4を前記刺通方向に沿ってさらに押込操作できるようになる。
【0093】
そして、操作部材4をさらに押込操作すると、
図15、
図20に示すように、押込用係合部42によってプランジャ51が押される。なお、シリンジ本体部50に充填されている第二の調製材料が粉末である場合は、プランジャ51が押されたときに、シリンジ本体部50内の空気だけが容器本体60に移る。一方、シリンジ本体部50に充填されている第二の調製材料が液状である場合は、プランジャ51が押されたときに、シリンジ本体部50内の第二の調製材料が容器本体60に移る。
【0094】
また、本実施形態では、係合対象の後方に当接部43が配置されている状態においては、押込用係合部42でプランジャ51を押し終えた際に操作部材4が密接部24に係止するため、収容空間を密封した状態で操作部材4をケース2に対して一時的に保持した状態になる。
【0095】
なお、シリンジ本体部50に充填されている第二の調製材料が液状である場合は、調製補助具1を振って密封容器6内の第一の調製材料と第二の調製材料とを混ぜ合わせることがあるが、上述のように操作部材4はケース2に対して一時的に保持されているため、調製補助具1を振った際にケース2からの操作部材4の脱落が防止され、これにより、第一の調製材料と第二の調製材料とを混ぜ合わせた混合液、第一の調製材料及び第二の調製材料が外部へ漏れることがなく、安全性が高まる。
【0096】
続いて、操作部材4をケース2に対して引き操作して、該操作部材4をケース2から取り外すと、ケース2内からシリンジ5を取り出せる状態になる。ケース2から操作部材4を取り外すと、シリンジ5内の第二の調製材料(液体)又は空気が注入された密封容器6の内部は、圧力が高まっているため、
図21に示すように、押込用係合部42による押付力が解除されたプランジャ51が自然に押し戻される。
【0097】
シリンジ本体部50に充填されている第二の調製材料が粉末である場合は、プランジャ51が押し戻されたときに、密封容器6内の第一の調製材料(液体)がシリンジ本体部50に移る。一方、シリンジ本体部50に充填されている第二の調製材料が液状である場合は、プランジャ51が押し戻されたときに、密封容器6内で第一の調製材料と第二の調製材料とが混合された加圧状態の薬剤がシリンジ本体部50に移る。
【0098】
なお、密閉容器6内の薬剤をシリンジ本体部50に移す際においては、ケース2を上方、操作部材4を下方に向けることによって、針部材52の先端部を密閉容器6内の薬剤に漬けておく必要がある。また、密閉容器6内の第一の調製材料、若しくは薬剤をシリンジ本体部50に移す場合は、プランジャ51を掴んで引き操作することにより、密封容器6内の薬剤をシリンジ5内に移すことも可能である。
【0099】
そして、ケース2内にホルダー3を残したまま、該ホルダー3から引き抜いたシリンジ5を使って注射を行う。なお、ホルダー3からシリンジ5を引き抜く際、シリンジ5のフィンガーグリップ54がホルダー3の隣り合う壁部310の間のスペースから外れるようにしてシリンジ5が後端側に引き出される。
【0100】
注射を行った後は、シリンジ5を再びホルダー3に挿入し、さらに、操作部材4をケース2に外嵌めさせる。この場合は、ホルダー3の可動爪322がケース2の第二のガイド溝220bに嵌合している状態で第二の被ガイド部401を操作部材用ガイド部23に嵌合させるため、係合対象であるフィンガーグリップ54がスライド用係合部41からも当接部43からも外れた位置に配置される。
【0101】
そして、操作部材4を押込操作し、操作部材4が前記刺通方向に沿ってスライドして密接部24に密接すると、収容空間を密封した状態でケース2に対する操作部材4のスライドを規制し、操作部材4がケース2から取り外せない状態になり(
図16参照)、収容空間内の第一の調製材料や、第二の調製材料、第一の調製材料と第二の調製材料とを混合した薬剤を外部に暴露させることなく、シリンジ5と密封容器6とを廃棄することができる。
【0102】
以上のように、本実施形態に係るシリンジ用の調製補助具1によれば、操作部材4を押込操作すると、スライド用係合部41がホルダー3又はシリンジ5の少なくとも何れか一方に係合してホルダー3を連通位置までスライドさせることで、密封容器6とシリンジ5とが針部材52を介して互いに連通し、切替構造が、押込操作時の押込力によってスライド用係合部41とホルダー3又はシリンジ5の少なくとも何れか一方との係合による負荷を解除して、押込用係合部42とプランジャ51とを係合させるように構成されているため、プランジャ51の押込時に要する力を抑えることができる。
【0103】
従って、調製補助具1は、プランジャ51を押し込む際に操作部材4にかかる負荷、すなわち、操作部材4をスライドさせるために必要な力を抑えることができる。よって、本実施形態に係る調製補助具1は、プランジャ51を簡単に押すことができるという優れた効果を奏し得る。
【0104】
また、切替構造が、操作部材4への刺通方向における押込力によりホルダー3を操作部材4に対して回転させることで、スライド用係合部41と係合対象との係合状態を解除するように構成されていているため、操作部材4を押し込む操作だけでスライド用係合部41とホルダー3及びシリンジ5の少なくとも何れか一方との係合状態を解除することができるため、操作性の良さが高まる。
【0105】
また、押込用係合部42でプランジャ51を密封容器6側に押し込んだ位置で、操作部材4を、前記ケース2に保持可能な保持構造を備えるため、該保持構造により、押込用係合部42でプランジャ51を密封容器6側に押し込んだ位置で操作部材4をケース2に保持させることで、操作部材4をケース2から脱落し難くすることができる。そのため、シリンジ本体部50に充填されている第二の調製材料が液状である場合は、調製補助具1を振って密封容器6内の第一の調製材料と第二の調製材料とを混ぜ合わせる際の安全性が高まる。
【0106】
さらに、ケース2と操作部材4との間には、シリンジ5を保持したホルダー3を収容した状態で、収容空間を密封し且つケース2と操作部材4との相対的なスライドを規制する密封ロック構造が設けられているため、例えば、注射に使用した後のシリンジ5を収容したホルダー3を収容空間内に収容したうえで、密封ロック構造により収容空間を密封し且つケース2と操作部材4との相対的なスライドを規制することで(すなわち、ケース2から操作部材4が外れないようにすることで)、第一の調製材料や、第二の調製材料、調製された薬剤の暴露を防止できる。
【0107】
そして、ホルダー3の差込口部Oは、前記シリンジ5の差込方向における奥側の内径よりも前記差込方向における手前側の内径の方が大きくなるように形成されているため、ホルダー3の差込口部Oにシリンジ5を針部材52から差し込む際に、針部材52と差込口部Oとを接触し難くすることで、針部材52の曲がりや破損を抑えることができる。
【0108】
なお、本発明の調製補助具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0109】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、容器本体60に充填される第一の調製材料と、シリンジ本体部50に充填される第二の調製材料とは、別種のものであってもよいし、同種のものであってもよい。
【0110】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、シリンジ本体部50に充填されている第二の調製材料が粉末である場合は、キャップ53を備えていなくてもよい。
【0111】
上記実施形態では、密閉容器6内で密封容器6内で第一の調製材料と第二の調製材料とを混合した薬剤を密封容器6からシリンジ本体部50に移すことを一例に挙げて調製補助具1の使い方を説明したが、例えば、密閉容器6内の第一の調整材料をシリンジ本体部50に移すことも可能である。
【0112】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、キャップ53の筒状部530は、
図22に示すように、薄肉にすることで可撓性を有するように構成されていてもよい。このようにすれば、筒状部530の基端部を外嵌させている針基520が外嵌したノズル500が封止部531に向けて押し付けられると、筒状部530の中央部が撓み、針部材52が前進する。これにより、針部材52を封止部531の先端の前方に進出させることができる。
【0113】
また、筒状部530は、
図23に示すように、蛇腹状であってもよい。この場合においては、筒状部530の基端部を外嵌させている針基520が外嵌したノズル500が封止部531に向けて押し付けられると、筒状部530が縮小(軸線方向において縮小)し、針部材52が前進する。これにより、針部材52を封止部531の先端の前方に進出させることができる。
【0114】
上記実施形態において、針部材52は、基端部が針基520に連設されている一方、先端部は収容空間内でシリンジ5が密封容器6側に前進した際に密栓61に突き刺さるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、針部材52は、収容空間内でシリンジ5が密封容器6側に前進した際に先端部が密栓61に突き刺さり、且つ基端部がノズル500の先端開口を覆うシール部材に突き刺さるように構成されていてもよい。
【0115】
この場合、針部材52として、基端部と先端部とが先鋭に形成された両頭針が採用されていてもよい。また、針部材52が両頭針である場合は、
図24に示すように、針部材52を保持するための針ユニット7を用いてもよい。
【0116】
以下、針部材52を両頭針52と称して針ユニット7について説明する。針ユニット7は、
図25に示すように、シリンジ5のノズル500に外嵌させた状態で固定する固定部70であって、ノズル500よりも前方側に延出する固定部70と、固定部70に対して前記刺通方向における前方側と後方側とでスライド可能に連結される保持部本体71であって、両頭針52を、前記刺通方向に沿って延びた姿勢で且つ先端側の針先と基端側の針先とを進出させた状態で保持する保持部本体71と、を備えている。
【0117】
固定部70は、筒状であり、基端部側にノズル500が挿通されるように構成されている。より具体的に説明すると、固定部70は、ノズル500に外嵌させる外嵌筒部700と、該外嵌筒部700の先端から延出する筒状の延出筒部701と、を有する。
【0118】
外嵌筒部700には、ノズル500が圧入されている。
【0119】
なお、ノズル500の周囲を取り囲むルアーロック部501が設けられている場合(
図27参照)、外嵌筒部700は、該ルアーロック部501の内周面に形成された雌ねじに対して外嵌筒部700の外面のねじ山を螺合させてもよい。また、ノズル500の周囲にルアーロック部501が設けられていない場合、外嵌筒部700は、ノズル500への圧入のみでシリンジ5に対して固定されるように構成されていてもよく、この場合においては、外嵌筒部700の外周面にねじ山が形成されていなくてもよい。
【0120】
延出筒部701の先端側の内周面と基端側の内周面とには、凹部(以下、先端側の内周面に形成された凹部を第一凹部701a、基端側の内周面に形成された凹部を第二凹部701bと称する)が形成されている。
【0121】
第一凹部701aと第二凹部701bとは、延出筒部701の内周面全周に亘って連続するように形成されている。すなわち、第一凹部701aと第二凹部701bとは環状の溝である。また、第一凹部701aと第二凹部701bとは前記刺通方向で一直線上に並ぶように形成されており、さらに、第二凹部701bは、ノズル500の先端よりも前方に配置されるように形成されている。なお、ノズル500の先端に開口を塞ぐシール部材500aが設けられている場合、第二凹部701bは、このシール部材500aよりも前方側に配置されるように形成される(
図27参照)。
【0122】
そして、延出筒部701の内周面には、前記刺通方向で真っ直ぐに延び且つ第一凹部701aと第二凹部701bとに連続する溝状のスライドガイド部701cが形成されている。
【0123】
保持部本体71は、固定部70に対して前記刺通方向における前方側に進出している進出状態と、前記進出状態での配置位置から前記刺通方向における後方側に移動した後退状態とに切替可能である。
【0124】
保持部本体71は、筒状であり且つ延出筒部701に対してスライド可能に内嵌されるスライド筒部710と、該スライド筒部710内で両頭針52を保持する針保持部711と、スライド筒部710の外面から突出し且つ第一凹部701a、第二凹部701bに係合可能な係合突起712と、を有する。
【0125】
係合突起712は、スライドガイド部701cを通じて第一凹部701aと第二凹部701bとの間を移動するように構成されている。また、係合突起712は、保持部本体71が進出状態である場合は第一凹部701aに係合し、保持部本体71が後退状態である場合は第二凹部701bに係合する。
【0126】
そのため、保持部本体71は、進出状態においては第一凹部701aと係合突起712との係合により配置位置が固定され、後退状態においては第二凹部701bと係合突起712との係合により配置位置が固定される。すなわち、針ユニット7では、第一凹部701aと第二凹部701bと係合突起712とによって、保持部本体71を、前記進出状態における配置位置と、前記後退状態における配置位置とに位置決め可能な位置決め構造(採番しない)を構成している。
【0127】
また、保持部本体71は、針保持部711で保持している両頭針52の基端側の針先部がスライド筒部710の後方側で露出した状態でシール部材(ノズル500の先端)に対向し、先端側の針先部がスライド筒部710の前方側で露出した状態で密封容器6(密栓61)に対向するように構成されている(
図26参照)。
【0128】
さらに、保持部本体71は、
図27に示すように、ホルダー3内に収容されるように構成されており、ホルダー3内に収容された状態においては、針保持部711が該ホルダー3の幅方向において容器保持部33の内側であり、且つ前記刺通方向において内爪部331よりも後方側に配置されるように構成されている。
【0129】
上記構成の針ユニット7を調製補助具1に用いる場合、
図26に示すように、収容空間内に使用前のシリンジ5を収容した状態で、両頭針52の基端部がノズル500の先端(シール部材500a)に対向し、両頭針52の先端部が密栓61に対向している。
【0130】
そして、スライド用係合部41でフィンガーグリップ54を押してホルダー3とシリンジ5とを密封容器6側にスライドさせると、
図28に示すように、針ユニット7全体が密封容器6側に前進し、両頭針52の先端部が密栓61に貫通する。
【0131】
この時点では、係合突起712と第一凹部701aとが係合しているため、係合突起712と第一凹部701aとの係合力により、保持部本体71の進出状態が維持される。すなわち、保持部本体71が固定部70に対して前記刺通方向における後方側に移動しないようになっている。そのため、両頭針52の基端側の針先は、ノズル500のシール部材500aに対して対向した状態のままである。
【0132】
そして、ホルダー3とシリンジ5とを密封容器6側にさらにスライドさせると、スライド筒部710の先端が密栓61に突き当たり、保持部本体71及び両頭針52がその場に留まる。そして、固定部70を前進させる力が係合突起712と第一凹部701aとの係合力を上回ると、係合突起712と第一凹部701aとの係合が解除され、保持部本体71に対して固定部70が前進する。これに伴い、
図29に示すように、シール部材500aも両頭針52の基端側の針先に向かって前進し、シール部材500aに両頭針52の基端側の針先が貫通する。
【0133】
そして、係合突起712と第二凹部701bとが係合することで、保持部本体71の後退状態が維持される。
【0134】
なお、上記の針ユニット7では、スライド筒部710が延出筒部701に対して内嵌されていたが、この構成に限定されない。例えば、スライド筒部710は、延出筒部701に対して外嵌されていてもよい。この場合、第一凹部701a、第二凹部701b、ガイド溝は、延出筒部701の外周面に形成され、係合突起712は、スライド筒部710の鍔内周面に形成されていればよい。
【0135】
また、上記の針ユニット7では、第一凹部701aと第二凹部701bとが延出筒部701に形成され、係合突起712がスライド筒部710に形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、第一凹部701aと第二凹部701bとがスライド筒部710に形成され、係合突起712が延出筒部701に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0136】
1…調製補助具、2…ケース、3…ホルダー、4…操作部材、5…シリンジ、6…密封容器、7…針ユニット、20…ケース本体部、21…位置決部、22…ホルダー用ガイド部、23…操作部材用ガイド部、24…密接部、30…収容部、31…抜止部、32…延設部、33…容器保持部、40…被ガイド部、41…スライド用係合部、42…押込用係合部、43…当接部、50…シリンジ本体部、51…プランジャ、52…針部材、53…キャップ、54…フィンガーグリップ、60…容器本体、61…密栓、70…固定部、71…保持部本体、210…底受部、211…横受部、220…ガイド溝、220a…第一のガイド溝、220b…第二のガイド溝、221…張出部、240…テーパーリング部、241…前側リング、310…壁部、311…立設部、312…延出部、320…長板部、321…接続板、322…可動爪、322a…可撓部、322b…突出爪部、330…可撓アーム部、331…内爪部、400…第一の被ガイド部、401…第二の被ガイド部、410…対向面、500…ノズル、500a…シール部材、501…ルアーロック部、520…針基、530…筒状部、531…封止部、700…外嵌筒部、701…延出筒部、701a…第一凹部、701b…第二凹部、701c…スライドガイド部、710…スライド筒部、711…針保持部、712…係合突起、O…差込口部