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特許7174964ナノバブル生成用流路部材、これを用いた集積流路ユニット及びナノバブル生成器
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  • 特許-ナノバブル生成用流路部材、これを用いた集積流路ユニット及びナノバブル生成器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】ナノバブル生成用流路部材、これを用いた集積流路ユニット及びナノバブル生成器
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/2375 20220101AFI20221111BHJP
【FI】
B01F23/2375
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021510366
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 KR2020004646
(87)【国際公開番号】W WO2020242040
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0064273
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514110808
【氏名又は名称】ユ ヤン ホ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヤン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、テ クン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ア ラン
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-187549(JP,A)
【文献】特開2014-147870(JP,A)
【文献】特開2017-185457(JP,A)
【文献】特開2017-077262(JP,A)
【文献】特開2003-027583(JP,A)
【文献】特開昭60-187594(JP,A)
【文献】特開2012-154495(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225510(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/073345(WO,A1)
【文献】特開2005-283366(JP,A)
【文献】特開2007-322007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/20-23/80
B01F 25/00-25/90
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディがベンディング(bending)可能な単一管からなり、流体の表面積及び摩擦面積拡張のために前記単一管の流路内部に複数の流路が稠密形成されるよう流路空間を分割する一つ以上の分割壁が流動方向に沿って一体に前記ボディの長手方向にわたって連続形成され、
上記ボディは、ベンディング及び巻取自在になるために、シリコーン、ゴム材及び軟性樹脂材のうちいずれか一つの軟性に富んだ素材からなり、押出成形により製造されて上記分割壁がボディの長手方向に連続形成されることを特徴とするナノバブル生成用流路部材。
【請求項2】
上記分割壁を含む流路の内表面には流体の摩擦面積をさらに拡張するための一つ以上の突出部及び微細凹凸のうちいずれか一つ以上が流動方向に沿ってボディに一体に連続形成されることを特徴とする請求項1に記載のナノバブル生成用流路部材。
【請求項3】
上記流路の両端部のうち少なくともいずれか一端部以上は、連結管の挿入のために上記分割壁が取り除かれた管継手が備えられることを特徴とする請求項1に記載のナノバブル生成用流路部材。
【請求項4】
ボディがベンディング(bending)可能な単一管からなり、流体の表面積及び摩擦面積拡張のために前記単一管の流路内部流路空間を稠密に分割する一つ以上の空間仕切りが流動方向に沿って一体に前記ボディの長手方向にわたって連続形成され、
上記空間仕切りは、先端が流路空間上に位置されて全体の流路空間が統合連通され、
上記ボディは、ベンディング及び巻取自在になるために、シリコーン、ゴム材及び軟性樹脂材のうちいずれか一つの軟性に富んだ素材からなり、押出成形により製造されて上記空間仕切りがボディの長手方向に連続形成されることを特徴とするナノバブル生成用流路部材。
【請求項5】
上記空間仕切りを含む流路の内表面には流体の摩擦面積拡張のための一つ以上の突出部及び微細凹凸のうち少なくともいずれか一つ以上が流動方向に沿ってボディに一体に連続形成されることを特徴とする請求項4に記載のナノバブル生成用流路部材。
【請求項6】
上記流路は、チューブ型のボディからなり、
チューブ型ボディには外径の膨脹変形を防止するための膨脹防止部材が備えられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナノバブル生成用流路部材。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナノバブル生成用流路部材が連続迂回して流路が集積形成されたことを特徴とする集積流路ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナノバブル生成用流路部材を含んでなることを特徴とするナノバブル生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の断面積に対する断面周りの長さを長くして流体の体積当たりの摩擦面積を極大化させ、単一流路の長さを継手なしに数十メートル以上連続形成することができ、高密度集積が可能で、ナノバブル生成能力を画期的に向上させるナノバブル生成用流路部材、これを用いた集積流路ユニット及びナノバブル生成器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に微細気泡はサイズによってマイクロバブルとナノバブルとに分けられる。
【0003】
マイクロバブルは、50μm以下の非常に微細な気泡であり、水面に0.1cm/secという非常に遅い速度で浮び上がって生成後2~3分内に消滅するのに比べて、ナノバブルは、マイクロバブルがさらに微細化された数百nm以下の極めて小さな極微細気泡であり、通常の気泡及びマイクロバブルとは色々異なる特性を有している。
【0004】
液体中にある直径数ミリメートル以上の一般的な気泡は生成と同時に浮かび上がって液体の表面で弾けるのに対して、ナノバブルは浮力が小さいため液体中に数十時間存続することができる。
【0005】
このように、ナノバブルが長時間液体にとどまる場合、バブル内部の気体がその表面を通して液体中に徐々に溶解しながら次第にそのサイズがより小さくなり、バブルのサイズが小さくなるほど体積に対する表面積の割合が大きくなるため、ナノバブル内部の気体が液体に溶解する速度と効率がより高くなる。
【0006】
ナノバブルの活用は、漁業、農業分野において各種養殖、水耕栽培に利用され、医療分野では精密検査、物理治療、生活分野においては汚廃水、汚廃油の高純度浄水/浄油処理、殺菌、消毒、脱臭、洗浄など実に多様な分野で使われている。
【0007】
例えば、水処理の場合、水中に空気を効果的に注入することにより水質改善処理時間の短縮が可能になり、廃水又は廃油処理の場合、例えばオゾンなど酸化性の強い気体を効果的に注入することにより、廃水又は廃油に含まれた多様な悪臭物質を効果的に分解又は除去することができる。
【0008】
ナノバブルの生成は、気液混合流体が圧力を受け流動しながら流路の内面と接する流体の表面層で発生する摩擦に対して摩擦抗力を減らそうと微細化される過程を通してなされる。
【0009】
ナノバブル生成装置の従来技術では、摩擦が生じる流路を長くするためにチャンバ内部に迂回流路を造成する構造、又は流体に剪断圧力をかけるためのカッタ型回転体を利用する構造などが用いられている。
【0010】
このような従来技術は、チャンバの空間内で流路が形成され、ナノバブルの生成に必要な長さの流路を備えるために、チャンバ内に層間部材をジグザグに設けて迂回流路を造成したり回転体を多重設置したりする方式で構成されることにより、機器が複雑な構造の大型重量体となる。
【0011】
これにより、機器の製作が複雑でコストがかかりすぎるなど、費用対生産性が見合わないという問題点がある一方で、空間占有が大きく小規模事業場や家庭用としての利用には困難がある。
【0012】
また、流路の長さを限定するしかなく、ナノバブルの微細化品質及び生成量が充分ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の問題点を解決するためのものであり、
本発明の目的は、ナノバブル生成の基となる流路の断面積に対する断面周りの長さを長くして流体の体積当たりの摩擦面積を極大化させ、ベンディングが自在な単一管で流路の長さが継手なしに数十メートル以上連続できることにより、卓越したナノバブル生成能力及び経済性を実現するナノバブル生成用流路部材を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、作業者の力だけでも任意の屈曲ベンディングが自在で狭小空間に対して詰め込んで設置するのが容易であり、高密度集積が可能でナノバブル生成機器が簡単な構成でできるようにするナノバブル生成用流路部材及びこれを用いた集積流路ユニットを提供することにある。
【0015】
本発明のまた他の目的は、上記ナノバブル生成用流路部材、集積流路ユニットを用いて機器を小型化及び軽量化させることにより、製作コストを節減し、空間活用性を向上させて大型設備だけでなく小規模事業場及び一般家庭用に至るまで活用を容易にするナノバブル生成器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する本発明によるナノバブル生成用流路部材は、
ボディがベンディング(bending)可能な単一管からなり、流体の表面積及び摩擦面積拡張のために流路内部に流路空間を分割する一つ以上の分割壁が流動方向に沿って一体に連続形成され、
上記ボディは、ベンディング及び巻取自在になるために、シリコーン、ゴム材及び軟性樹脂材のうちいずれか一つの軟性に富んだ素材からなり、押出成形により製造されて上記分割壁がボディの長手方向に連続形成されることを特徴とする。
【0017】
上記分割壁を含む流路の内表面には流体の摩擦面積をさらに拡張するための一つ以上の突出部及び微細凹凸のうちいずれか一つ以上が流動方向に沿ってボディに一体に連続形成されることができる。
【0018】
上記流路の両端部のうち少なくともいずれか一端部以上の一部区間に連結管の挿入のために上記分割壁が取り除かれた管継手が備えられることができる。
【0019】
上記目的を達成する本発明の他の一実施例として、
ボディがベンディング(bending) 可能な単一管からなり、流体の表面積及び摩擦面積拡張のために流路内部に流路空間を分割する一つ以上の空間仕切りが流動方向に沿って一体に連続形成され、
上記空間仕切りは、先端が流路空間上に位置されて全体の流路空間が統合連通され、
上記ボディは、ベンディング及び巻取自在になるために、シリコーン、ゴム材及び軟性樹脂材のうちいずれか一つの軟性に富んだ素材からなり、押出成形により製造されて上記空間仕切りがボディの長手方向に連続形成されることを特徴とする。
【0020】
上記空間仕切りを含む流路の内表面には流体の摩擦面積拡張のための一つ以上の突出部及び微細凹凸のうち少なくともいずれか一つ以上が流動方向に沿ってボディに一体に連続形成されることができる。
【0021】
上記流路は、チューブ型のボディからなり、
チューブ型ボディには外径の膨脹変形を防止するための膨脹防止部材が備えられることができる。
【0022】
本発明による集積流路ユニットは、
上記ナノバブル生成用流路部材が連続迂回して流路が集積形成されることを特徴とする。
【0023】
本発明によるナノバブル生成器は、
上記ナノバブル生成用流路部材を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
上記構成を有する本発明によるナノバブル生成用流路部材は、
流路内部に分割壁又は空間仕切りが形成されることにより、流路の断面積に対する断面周りの長さを極大化させて流体の表面積及び摩擦面積を顕著に増大させ、ベンディングが自在な軟性素材の単一管で流路の長さを継手なしに数十メートル以上連続形成することができ、高密度集積が可能でナノバブル生成能力及び経済性を画期的に向上させるという顕著な効果がある。
【0025】
また、作業者の力だけでも任意の屈曲ベンディングが自在で狭小空間に対して詰め込んで設置しやすいことにより、ナノバブルの活用分野を拡散させることができる。
【0026】
また、上記ナノバブル生成用流路部材を高密度集積してナノバブル生成機器の構造を簡素化、小型化及び軽量化することにより製作コストが節減され、空間活用性を向上させて大型設備だけではなく小規模事業場及び一般家庭用に至るまでナノバブルの活用範囲を大幅に広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による一実施例のナノバブル生成用流路部材の構成を示した図面であり、(a)は斜視図、(b)は(a)の縦断面拡大図、(c)、(d)は他の実施例の縦断面図である。
図2】(a)、(b)、(c)は、それぞれ本発明による一実施例のナノバブル生成用流路部材の縦断面図である。
図3】本発明による一実施例のナノバブル生成用流路部材の構成を示した図面であり、(a)は一部省略した横断面図であり、(b)は(a)のA-A線断面図である。
図4】(a)、(b)、(c)は、それぞれ本発明による一実施例のナノバブル生成用流路部材の構成を示した縦断面図である。
図5】本発明による一実施例のナノバブル生成用流路部材の構成を示した縦断面図である。
図6】(a)、(b)は、本発明による一実施例の流路部材膨脹防止部材が備えられた構成を示した図面である。
図7】本発明による一実施例の集積流路ユニットを示した図面であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)の平面図である。
図8】本発明による一実施例の集積流路ユニットの概略的な縦断面図である。
図9】本発明による一実施例のナノバブル生成器の概略的な縦断面図である。
図10】本発明による一実施例のナノバブル生成器の概略的な適用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明のナノバブル生成用流路部材に対する実施例を添付図面を参考としてより詳しく説明する。
【0029】
あらゆる物体は速度を伴う圧力を受ける場合、熱が発生し、速度と圧力が臨界点に至る時点から摩擦面が熱を伴いながら細かく砕けて摩擦力を減らそうとする現象が現われる。
【0030】
このような現象は、氷上でスケートブレードが通る所に熱が発生して氷が溶け滑らかになる現象からも容易に見ることができる。
【0031】
例えば、水に酸素が混合された気液混合流体に摩擦力が加えられる場合、流体に含まれた酸素気泡は摩擦力を最小化するために細かく分化されて微細化され、微細気泡が生成された水は微細気泡生成処理以前に比べて温度が上昇し滑めらかになる特性を有する。
【0032】
このような原理により、気液混合流体は臨界速度以上の流速で流路を経由する途中に流体の表面層で流路内面との摩擦圧力を減らすために流体に含まれた気泡の微細化が進むと共に臨界流動距離以後からナノバブルが生成される。
【0033】
したがって、単位体積の流体において流路の内面と接する流体の表面層の面積、摩擦係数、流速が高いほど、摩擦持続時間が長いほど、液体中に含まれている気体が多いほど、量的質的により優れたナノバブルを生成することができる。
【0034】
本発明は、このような流体の摩擦によるナノバブル生成原理及び流体の摩擦効率に着眼して発明されたものである。
【0035】
本発明による第1実施例のナノバブル生成用流路部材1は、図1乃至図3に示されているように、ボディがベンディング(bending) 可能な単一管からなり、流体の表面積及び摩擦面積拡張のために流路10の内部に流路空間Sを分割する一つ以上の分割壁11が流動方向に沿って一体に形成され、上記ボディはベンディング及び巻取自在になるためにシリコーン、ゴム材及び軟性樹脂材のうちいずれか一つの軟性に富んだ素材からなり、押出成形により製造されて上記分割壁がボディの長手方向に連続形成されるものである。
【0036】
上記において 「流路空間S」とは、流路の長手方向に対して直交する断面上空間を意味する。
【0037】
上記分割壁11を含む流路10の内表面には、図2に示されているように、流体の摩擦面積をさらに拡張するための一つ以上の突出部13及び微細凹凸(図示せず) のうちいずれか一つ以上が流動方向に沿ってボディに一体に連続形成されることができる。
【0038】
また、上記流路10の両端部のうち少なくともいずれか一端部以上は、図3に示されているように、連結管の挿入のために上記分割壁11が取り除かれた管継手15が備えられることができる。
【0039】
上記管継手15は、押出成形されるナノバブル生成用流路部材1において連結管挿入時の干渉を防止するために上記分割壁11を任意の区間だけ取り除いて形成される。
【0040】
上記構成による空間分割型の流路10の断面(以下 、「断面」とは、上記流路部材のボディにおいて流動方向に対して直交する縦断面を意味する。図1等参照。)形状は多様な形態であり得る。
【0041】
単一管からなる上記ナノバブル生成用流路部材1は、断面上外郭が円形、楕円形、多角形など多様な形態であり得、分割形態も放射状をはじめとして多様に形成されることができる(図1乃至図3)。
【0042】
上記構成のナノバブル生成用流路部材1は、流路が分割壁11により断面上小さな面積に分割されて稠密形成されることにより、流路空間Sをなす断面上単位面積当たりの周りの長さが顕著に長くなり、ここに上記突出部13などが追加形成されるにより気液混合流体の表面積である流路内壁との摩擦面積を画期的に増大させることができる。
【0043】
これにより、ナノバブル生成能力を画期的に向上させ、その一方で、ナノバブル生成量当たりの流路の長さを縮めることができる。
【0044】
本発明による第2実施例のナノバブル生成用流路部材1Aは、図4及び図5に示されているように、ボディがベンディング(bending) 可能な単一管からなり、流体の表面積及び摩擦面積拡張のために流路10Aの内部に流路空間Sを分割する一つ以上の空間仕切り12が流動方向に沿って一体に形成され、上記空間仕切り12は先端が流路空間S上に位置されて全体の流路空間が統合連通され、上記ボディはベンディング及び巻取自在になるためにシリコーン、ゴム材及び軟性樹脂材のうちいずれか一つの軟性に富んだ素材からなり、押出成形により製造されて上記空間仕切り12がボディの長手方向に連続形成されるものである。
【0045】
上記「流路空間S」とは、やはり流路の長手方向に対して直交する断面上空間を意味する。
【0046】
上記のように、流路10Aの内面から空間仕切り12が流路空間Sに突出形成されることにより流路の断面上空間Sを稠密に分割造成して流路の断面上周りの長さ及び流体の表面積な摩擦面積を画期的に増大させることができる。
【0047】
上記流路10Aの断面はやはり多様な形態に形成されることができ、上記空間仕切り12は、流路10Aの断面が円形の場合、突出長さが半径の1/3以上であることが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
上記空間仕切り12は、流路10Aの断面が四角形の場合、対向する内面から交互に突出形成されることができ(図4b参照)、流路10Aの断面形状と関係なく空間仕切り12の突出長さが一様でなくても構わない(図4c参照)。
【0049】
上記空間仕切り12は、長く、稠密に形成されるほど流体の摩擦面積拡張に有利である。
【0050】
また、上記空間仕切り12を含む流路10Aの内表面には流体の摩擦面積拡張のための一つ以上の突出部13a(図5参照) 及び微細凹凸(図示せず) のうち少なくともいずれか一つ以上が流動方向に沿ってボディに一体に連続形成されることができる。
【0051】
上記本発明による第2実施例のナノバブル生成用流路部材1Aにも上記第1実施例の場合のように管継手15が備えられることができる。
【0052】
上記第1実施例のナノバブル生成用流路部材1と同様に上記構成の第2実施例のナノバブル生成用流路部材1Aも流路の断面上空間が上記空間仕切り12によって分割されて単位面積当たりの周りの長さが顕著に長くなることにより、気液混合流体の表面層、すなわち摩擦面積を画期的に拡張させることができ、ナノバブル生成が効率的になされることができる。
【0053】
上記ナノバブル生成用流路部材1、1Aを利用する流体は、水と空気とが混合された混合水、水と他の液体と空気とが混合された混合水、水と空気と例えば酸素(O)、オゾン(O)、水素(H)などのような付加気体とが混合された混合水、産業用オイルと酸素(O)、オゾン(O)、水素(H)などのような付加気体とが混合された混合油など多様に構成されることができる。
【0054】
上記流体は、送水過程で生成された気泡が含まれている水道水を含む。
【0055】
また、図6に示されているように、上記流路10、10Aは、チューブ型であり、チューブ型ボディには外径の膨脹変形を防止するための膨脹防止部材20が備えられることができる。
【0056】
ナノバブル生成用流路部材1、1Aが例えば、シリコーンなどのように、軟性の高い素材からなり、流体の圧力が高い場合、流路の直径が膨脹し得る。
【0057】
上記膨脹防止部材20は、流路をなすチューブ型ボディの外部に嵌められて流路の外径が一定に保たれるようにホールドするためものであり、コイルスプリング21型(図6a参照)、ネットチューブ22型(図6b参照)などであり得るが、これに限定されるものではない。
【0058】
また、上記ナノバブル生成用流路部材1、1Aは、例えば、シリコーンなどのように軟性に富んだ素材からなることにより多様な形態の屈曲ベンディングが作業者の力だけで自在に可能であり、押出成形によって製造されることにより分割壁11又は空間仕切り12が形成される流路部材を数十メートル以上連続形成することができる。
【0059】
本発明による一実施例の集積流路ユニット2は、上記ナノバブル生成用流路部材の特性を利用して、図7に示されているように、単一管からなる上記ナノバブル生成用流路部材1、1Aが連続迂回して流路10、10Aが集積形成されるものである。
【0060】
上記集積流路ユニット2は、流路部材の迂回集積に巻取ホイール30などの巻取手段を用いることができ、迂回集積されてなる流路部材束Wは流入口17から流出口18に至るまで流体が円滑に流動可能に巻取られるのは当然のことである。
【0061】
上記集積流路ユニット2は、数十メートル以上と長く形成される一本の流路部材1、1Aが束化されることにより、流路が高密度集積されて空間に対する流体の摩擦面、摩擦持続時間を画期的に増加させてナノバブル生成能力を向上させることができる。
【0062】
上記集積流路ユニット2に給水栓及び吐水栓の水圧又はポンプPなどの加圧手段を用いて流体を注入する場合、狭小空間でも容易にナノバブルを生成することができる(図8乃至図10参照)。
【0063】
本発明によるナノバブル生成器3は、図9に示されているように、上記ナノバブル生成用流路部材1、1Aを含んでなることにより、ナノバブル生成用流路部材1、1Aが上記集積流路ユニット2として束化されて設置されることができるのは当然のことである。
【0064】
本発明による一実施例のナノバブル生成器3は、一つ以上の上記集積流路ユニット2が筐体50内に収容され、流路部材の流入口17及び流出口18は一つに統合されて筐体50の外部に連結される簡単な構造からなることができる。
【0065】
また、上記集積流路ユニット2である流路部材束Wを順に多数連結設置して流体を連続再循環させることもできる(図示せず)。
【0066】
上記ナノバブル生成器3は、図10に示されているように、流路の流入口17を通常の水道水給水栓71に直接連結し、流出口18に吐水栓73を連結設置することもできる。
【0067】
また、上記給水栓71と流入口17との間に酸素(O)、オゾン(O)、水素(H)などの付加気体供給手段4が追加できることは、当業者であればよく分かることである。
【0068】
以上、考察したように、本発明によるナノバブル生成用流路部材1、1Aは、流路の断面上空間を分割する分割壁11、空間仕切り12などが備えられることにより、流体の体積当たりの摩擦面を極大化させて摩擦力によるナノバブル生成が効率的になされると共に、このような流路部材が、例えば、シリコーンなどのように軟性に富んだ素材からなることにより多様な形態の屈曲ベンディングが作業者の力だけで自在に可能であり、押出成形によって数十メートル以上連続形成することができてスプールなどを用いる多重重畳巻取りで高密度集積が可能であるとの点が核心的特徴である。
【0069】
ナノバブルの生成は、上述したように、流体の表面層で流路をなすボディとの摩擦圧力を減らそうと気泡が微細化されるが、上記のように、ナノバブル生成用流路部材は流路の断面上単位面積当たりの周りの長さを顕著に増大させることにより、流体の摩擦面積を拡張してナノバブル生成能力を向上させることができる。
【0070】
また、流体の摩擦面積を拡張させるだけでなく、摩擦が数十メートルに至るまで持続的に生じるように誘導できることから、ナノバブル生成能力及び気泡の微細化が決めるナノバブルの品質を画期的に向上させることができる。
【0071】
また、上記微細気泡生成流路部材1、1Aを束化して構成される本発明による集積流路ユニット2は、流路10、10Aが高密度集積されることにより、機器の小型・軽量化を可能にして機器の取扱管理を容易にし、空間活用性が向上して大型設備だけではなく小規模事業場及び一般家庭用に至るまでナノバブルの活用範囲を大幅に拡大させることができる。
【0072】
また、一つのチューブ型流路部材を数十メートル以上形成して巻取るだけで集積流路ユニット2が簡単に製作可能であることにより、顕著に廉価な費用でナノバブルを生成及び利用できるようにする。
【0073】
また、上記微細気泡生成流路部材1、1A及び/又は集積流路ユニット2を用いて構成されるナノバブル生成器3は、ナノバブル生成量当たりの流路の長さを縮めることができ、従来技術において必須のものであった流路チャンバにこだわらず簡便に機器の製作が可能であり、これによって製作コストを画期的に節減することができる。
【0074】
また、ナノバブル生成用流路部材はベンディングが柔軟な素材からなることにより、例えば洗濯機や家庭用浴槽などの奥まった空間や多様な形態の屈曲が求められる空間にも設置が容易であり、多くの長所を持つナノバブルの活用分野を画期的に拡散させることができて、大型設備は勿論のこと小規模事業場及び一般家庭でも容易にナノバブルを生成することができる。
【0075】
このような本発明は、ナノバブルの特性とそれによる活用に関連して当業者に公知となり使用可能なあらゆる分野に適用されて多様な用途の製品として提供されることができる。
【0076】
以上、本発明の望ましい実施例を添付図面を参照して説明した。
【0077】
ここで、本明細書及び請求範囲に用いられている用語や単語は、通常又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、本発明の技術的思想に符合する意味や概念として解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載の実施例と図面に示されている構成は、本発明の望ましい一実施例に過ぎないだけであり、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解するべきである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明による微細気泡生成流路部材を用いて構成されるナノバブル生成器は、流体の摩擦効率を顕著に向上させてナノバブルが効率的に生成されると共に製作コストを画期的に節減することができ、小型、軽量化により大型設備は勿論のこと小規模事業場及び一般家庭でも容易にナノバブルを生成することができるなど、産業上の利用可能性を有する。
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