(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/16 20060101AFI20221111BHJP
G01N 1/12 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G01N1/16 A
G01N1/12 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022146689
(22)【出願日】2022-09-15
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202210085602.6
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522366772
【氏名又は名称】生▲態▼▲環▼境部土壤与▲農▼▲業▼▲農▼村生▲態▼▲環▼境▲監▼管技▲術▼中心
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王玉
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼弘
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼▲榮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼安富
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼▲棟▼源
(72)【発明者】
【氏名】王玉晶
(72)【発明者】
【氏名】▲衛▼▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】▲韓▼甄
(72)【発明者】
【氏名】郭▲観▼林
(72)【発明者】
【氏名】王奕宸
(72)【発明者】
【氏名】薛▲茘▼▲棟▼
(72)【発明者】
【氏名】郭磊
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105445430(CN,A)
【文献】中国実用新案第211348190(CN,U)
【文献】特開昭58-223038(JP,A)
【文献】特開昭55-122133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
G01N 33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステムであって、隣り合う2つの観測井間の地下水内にある複数のモニタリング装置(4)を備え、第1観測井(1)及び第2観測井(2)の口元の下方の観測井内壁にデータ受信機が固定され、
前記モニタリング装置(4)は、移動方向案内機構Aと、データ伝送機構Bと、急変点巡回機構Cとを備え、データ伝送機構Bは移動方向引動機構Aと急変点巡回機構Cとの間に位置し、モニタリング装置(4)が初期動作状態にある時、移動方向引動機構A及び急変点巡回機構Cがいずれも水流に平行な方向に沿って設けられ、急変点巡回機構Cは移動方向引動機構Aの後方に位置し、データ伝送機構Bは水流に垂直な方向に沿って設けられ、移動方向案内機構Aとデータ伝送機構Bと急変点巡回機構Cとの間を各々可撓性ケーシング管(16)で接続し、可撓性ケーシング管(16)の端部が電磁結合機構(19)を介して移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cと接続し、
前記移動方向案内機構Aは、第1機体を含み、第1機体の前端に内向回転翼(8)が設けられ、内向回転翼(8)の中心が前方に突出され、プロペラ翼が後ろに向き、プロペラ翼に抵抗力センサーが設けられ、第1機体の後端が可撓性ケーシング管(16)を介してデータ伝送機構Bの一端と接続し、第1機体の両側壁にサイドスラスタ(9)が対称に設けられ、対応する第1機体の両側壁に各々嵌合溝(18)が設けられ、サイドスラスタ(9)が嵌合溝(18)内に位置し、サイドスラスタ(9)の一端が第1機体に回転可能に連結され、
前記データ伝送機構Bは、胴体を備え、胴体の中央にサンプリングチャンバー(10)が設けられ、サンプリングチャンバー(10)にチャンバードアが設けられ、サンプリングチャンバー(10)内に複数のハッチが設けられ、胴体内に複数の固定板が設けられ、各固定板に複数のサイドプロペラ(11)が設けられ、サイドプロペラ(11)に対応する胴体にチャンバードアが設けられ、胴体にもデータ送信モジュール(14)が設けられ、データ送信モジュール(14)はデータを送信し、第1観測井(1)又は第2観測井(2)のデータ受信機(3)が受信し、
前記急変点巡回機構Cは、第2機体を備え、第2機体の左右両側に飛行翼(12)が対称に設けられ、飛行翼(12)は第2機体内に突き出し・引っ込み可能に設けられる、
ことを特徴とする、工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【請求項2】
前記移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cには、いずれも測位モジュールが設けられ、測位モジュールはGPS測位を用いることを特徴とする、請求項1に記載の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【請求項3】
前記可撓性ケーシング管(16)は、プラスチック素材で作られていることを特徴とする、請求項1に記載の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【請求項4】
第1観測井(1)内に設置用ロッド(6)が設けられ、第1観測井(1)の高さ方向に沿って間隔をあけて複数の棚板が設けられ、棚板は設置用ロッド(6)の軸方向に沿って配設され、設置用ロッド(6)に固結され、棚板に各々モニタリング装置(4)が配置されることを特徴とする、請求項1に記載の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【請求項5】
前記電磁結合機構は、内側クランプリング(20)と、外側クランプリングとを備え、内側クランプリング(20)及び外側クランプリングは両方とも機構の端部に固結され、内側クランプリング(20)は外側クランプリングの中心に位置し、内側クランプリング(20)の外面と外側クランプリングの内面との間に可撓性ケーシング管の端部が挿入される隙間があり、内側クランプリング(20)と外側クランプリングの環状外面に独立した環状挟持板(32)が設けられ、環状挟持板(32)は自動クランプモジュールを介して内側クランプリング(20)、外側クランプリングに連結され、内側クランプリング(20)及び外側クランプリング内には円周方向に沿って間隔をあけて複数の貫通穴が設けられ、貫通穴内にクランプモジュールが設けられ、
前記クランプモジュールは、永久磁石体(23)と、磁束集中体(24)と、鉄心(26)と、コイル(30)と、押し棒(31)とを備え、永久磁石体(23)は貫通穴の内壁に固定され、永久磁石体(23)の内面が磁束集中体(24)に連結され、磁束集中体(24)内に空洞(25)が形成され、鉄心(26)は空洞(25)内に移動自在に設けられ、鉄心(26)の表面にコイル(30)が巻かれ、鉄心(26)の頂部に押し棒(31)が固定され、押し棒(31)の頂端が環状挟持板(32)に固結され、押し棒(31)の下端が内側クランプリング(20)及び外側クランプリングの外側に位置し、内側クランプリング(20)及び外側クランプリングの外側に位置する押し棒(31)には上から下にリミットプレート(27)、バネ(29)及びアジャストナット(28)が順次設けられ、リミットプレート(27)とアジャストナット(28)との間はバネ(29)で連結され、リミットプレート(27)は内側クランプリング及び外側クランプリングの環状内面に固定され、押し棒(31)とリミットプレート(27)との間が摺動可能に連結され、アジャストナット(28)はボルトで鉄心(26)の底端に固定される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【請求項6】
前記内側クランプリング(20)と外側クランプリングの環状内面には、いずれも凹溝が設けられ、鉄心の下端は凹溝内に設けられて、内側クランプリング及び外側クランプリングの環状内面を滑らかな表面にさせることを特徴とする、請求項5に記載の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【請求項7】
前記内側クランプリング(20)と外側クランプリングとの間の隙間、外側クランプリングの環状外面及び可撓性ケーシング管(16)の端部には、いずれも位置センサーが設けられることを特徴とする、請求項5に記載の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【請求項8】
前記外側クランプリングの環状挟持板は、円弧状を呈し、環状挟持板の外面には複数の滑り止め突起が間隔をあけて設けられることを特徴とする、請求項5に記載の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水原位置モニタリング分野に関し、特に、地下水水質連続モニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、工業団地内の土壌・地下水への測定は、例えば水深、水面の高さ、温度、塩分、水質などのパラメータの測定を用いることが許可される。これらの測定方法は、通常、指定されたサイトで完了した観測井内に測定機器を配設し、測定機器のフィードバックからデータ及び結論を整理することに依存している。上記の測定方法は、通常、特定のサイトしか測定できず、ある区域の地下水の水質の連続的な測定を実現できない。上記の問題点に着目し、現在は、ある区域内に連続複数のサイトを配設することで、データの平滑化処理を介して地下水の水質の連続測定を行うが、モニタリング結果と実際の地下水質との間にはどうしてもずれがあり、例えば該区域内に異常サイトがある場合、又は該区域の地下水の水質が滑らかに変化しない場合、上記の方法でモニタリングを実施すると、モニタリング結果が不正確になる。
【0003】
工業団地の状況は複雑で変化しやすいため、現在、工業団地内のある区域の地下水状況を実際に連続的に監視できる有効な技術的手段が不足しており、該区域の地下水を総合的に正しく判断することができていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術に存在する上記の欠陥を克服し、工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステムを提案することである。状況が非常に複雑な地下水への連続モニタリングを実現し、かつ地下水への正確なモニタリングも実現し、地下水試料・土壌試料について原位置サンプリングを行うこともでき、検出・モニタリングの信頼性を確保する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的手段として、工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステムであって、隣り合う2つの観測井間の地下水内にある複数のモニタリング装置を備え、第1観測井及び第2観測井の口元の下方の観測井内壁にデータ受信機が固定され、
前記モニタリング装置は、移動方向案内機構Aと、データ伝送機構Bと、急変点巡回機構Cとを備え、データ伝送機構Bは移動方向引動機構Aと急変点巡回機構Cとの間に位置し、モニタリング装置4が初期動作状態にある時、移動方向引動機構A及び急変点巡回機構Cがいずれも水流に平行な方向に沿って設けられ、急変点巡回機構Cは移動方向引動機構Aの後方に位置し、データ伝送機構Bは水流に垂直な方向に沿って設けられ、移動方向案内機構Aとデータ伝送機構Bと急変点巡回機構Cとの間を各々可撓性ケーシング管で接続し、可撓性ケーシング管の端部が電磁結合機構を介して移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cと接続し、
前記移動方向案内機構Aは、第1機体を含み、第1機体の前端に内向回転翼が設けられ、内向回転翼の中心が前方に突出され、プロペラ翼が後ろに向き、プロペラ翼に抵抗力センサーが設けられ、第1機体の後端が可撓性ケーシング管を介してデータ伝送機構Bの一端と接続し、第1機体の両側壁にサイドスラスタが対称に設けられ、対応する第1機体の両側壁に各々嵌合溝が設けられ、サイドスラスタが嵌合溝内に位置し、サイドスラスタの一端が第1機体に回転可能に連結され、
前記データ伝送機構Bは、胴体を備え、胴体の中央にサンプリングチャンバーが設けられ、サンプリングチャンバーにチャンバードアが設けられ、サンプリングチャンバー内に複数のハッチが設けられ、胴体内に複数の固定板が設けられ、各固定板に複数のサイドプロペラが設けられ、サイドプロペラに対応する胴体にチャンバードアが設けられ、胴体にもデータ送信モジュールが設けられ、データ送信モジュールはデータを送信し、第1観測井1又は第2観測井のデータ受信機が受信し、
前記急変点巡回機構Cは、第2機体を備え、第2機体の左右両側に飛行翼が対称に設けられ、飛行翼は第2機体内に突き出し・引っ込み可能に設けられる。
【0006】
本発明において、前記移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cには、いずれも測位モジュールが設けられ、測位モジュールはGPS測位を用い、各機構の位置をリアルタイムで把握することができ、各機構のアクションをデプロイするのに便利である。
【0007】
前記可撓性ケーシング管は、プラスチック素材で作られており、ねじれ、伸縮することができる。
【0008】
第1観測井内に設置用ロッドが設けられ、第1観測井の高さ方向に沿って間隔をあけて複数の棚板が設けられ、棚板は設置用ロッドの軸方向に沿って配設され、設置用ロッドに固結され、棚板に各々モニタリング装置が配置される。
【0009】
前記電磁結合機構は、内側クランプリングと、外側クランプリングとを備え、内側クランプリング及び外側クランプリングは両方とも機構の端部に固結され、内側クランプリングは外側クランプリングの中心に位置し、内側クランプリングの外面と外側クランプリングの内面との間に可撓性ケーシング管の端部が挿入される隙間があり、内側クランプリングと外側クランプリングの環状外面に独立した環状挟持板が設けられ、環状挟持板は自動クランプモジュールを介して内側クランプリング、外側クランプリングに連結され、内側クランプリング及び外側クランプリング内には円周方向に沿って間隔をあけて複数の貫通穴が設けられ、貫通穴内にクランプモジュールが設けられ、
前記クランプモジュールは、永久磁石体と、磁束集中体(導磁体)と、鉄心と、コイルと、押し棒とを備え、永久磁石体は貫通穴の内壁に固定され、永久磁石体の内面が磁束集中体に連結され、磁束集中体内に空洞が形成され、鉄心は空洞内に移動自在に設けられ、鉄心の表面にコイルが巻かれ、鉄心の頂部に押し棒が固定され、押し棒の頂端が環状挟持板に固結され、押し棒の下端が内側クランプリング及び外側クランプリングの外側に位置し、内側クランプリング及び外側クランプリングの外側に位置する押し棒には上から下にリミットプレート、バネ及びアジャストナットが順次設けられ、リミットプレートとアジャストナットとの間はバネで連結され、リミットプレートは内側クランプリング及び外側クランプリングの環状内面に固定され、押し棒とリミットプレートとの間が摺動可能に連結され、アジャストナットはボルトで鉄心の底端に固定される。
【0010】
前記内側クランプリングと外側クランプリングの環状内面には、いずれも凹溝が設けられ、鉄心の下端は凹溝内に設けられ、内側クランプリング及び第2外側クランプリングの環状内面を滑らかな表面にさせる。
【0011】
前記内側クランプリングと外側クランプリングとの間の隙間、外側クランプリングの環状外面及び可撓性ケーシング管の端部には、いずれも位置センサーが設けられる。位置センサーを介して、可撓性ケーシング管の端部を内側クランプリングと外側クランプリングとの間に正確に挿入又は外側クランプリングの外側に嵌めさせることができる。
【0012】
前記外側クランプリングの環状挟持板は、円弧状を呈し、環状挟持板の外面には複数の滑り止め突起が間隔をあけて設けられることで、可撓性ケーシング管と外側クランプリングとの間の摩擦力が増加し、可撓性ケーシング管と外側クランプリングとの間の連結をより強固にさせる。
【発明の効果】
【0013】
(1)可撓性ケーシング管は、移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cの3つの部分をつながる重要な部分とし、プラスチック素材を用い、制御の下でねじれ及び伸縮が可能で、移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cの3つの部分を接続又は分離させることができ、或いは上記の3つの機構の相対位置を調整することができ、モニタリング装置の柔軟性及び多機能性を大幅に向上させ、非常に複雑な地下水環境内で該装置を安全に前進させると共に地下水をモニタリングできるようにさせ、
(2)一定時間ごとに1回モニタリング装置を投じ込む時、設置用ロッド上のある高さにあるモニタリング装置を地下水に浸入させ、測定データの途切れのない取得を確保し、大々的にリアルタイムの連続データとして使用でき、
(3)電磁結合機構を介して、移動方向案内機構Aとデータ伝送機構Bと急変点巡回機構Cとの間を結合して使用し得、また互いに分離することも可能で、分離後も再度結合して使用できることを実現する。急変点巡回機構Cを介してモニタリングデータの急変点への巡回モニタリングを実現し、
(4)該システムを介して地下水試料・土壌試料に対して原位置サンプリングを行うこともでき、検出・モニタリングの信頼性がより保証される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図6】初期状態にあるクランプモジュールの概略断面図である。
【
図7】クランプ状態にあるクランプモジュールの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明白かつ理解しやすくするため、以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の具体的実施形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明を完全に理解するため、以下の描写では、具体的詳細を説明している。しかしながら、本発明は、本明細書に記載されたものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者は、本発明の概念から逸脱することなく類推することができる。したがって、本発明は、以下に開示される具体的実施形態によって限定されない。
【0017】
図1に示すように、本発明の工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステムは、隣り合う2つの観測井間にあるモニタリング装置4を備え、本実施例において、第1観測井1と第2観測井2との間の地下水内に複数のモニタリング装置4が流され、第1観測井1内において一定時間ごとに1回モニタリング装置4が投じ込まれ、モニタリング装置4は第1観測井1を通って地下水に入った後、水流の方向に沿って第2観測井2の方向に移動する。第1観測井1と第2観測井2の口元下方の観測井内壁にデータ受信機が固定され、対応するモニタリング装置4にデータ送信モジュールが設けられ、データ受信機はモニタリング装置から発せられた情報を受信するために用いられ、情報インタラクション方式は無線電波の形を用いる。データ受信機は、観測井周辺の一定範囲内の情報データを受信し、受信したデータを処理し、土壌・地下水の関連パラメータを直感的な方法で表示できる。
【0018】
モニタリング装置4には対応する測定機器が搭載され、モニタリング装置4が地下水とともに漂流する過程で、測定機器は与えられた頻度に従って情報記録を実行し、これらの記録の情報をデータ送信モジュールに一様に伝送し、データ送信モジュールは一定の送信頻度で外部に送信し、これらの送信された信号は第1観測井1又は第2観測井2のデータ受信機3に受信されると共に処理することができる。データ受信機3の受信範囲には一定の制限があるため、第1観測井1において一定時間ごとに1回投げ込みを実施し、測定データを途切れることなく取得することを確保し、このようにして取得されたデータは多少の遅延があるが、大々的にリアルタイムの連続データとして使用できる。
【0019】
本実施例において、第1観測井1では設置用ロッド6を介してモニタリング装置を一定時間の間隔で投じ込むことを実現する。第1観測井1の高さ方向に沿って間隔をあけて複数の棚板が設けられ、棚板は設置用ロッド6の軸方向に沿って配設され、設置用ロッド6に固結され、棚板に各々モニタリング装置が配置される。一定時間の間隔でモニタリング装置を投じ込む必要がある場合、設置用ロッド6を下方に移動させ、設置用ロッド6上のある高さにあるモニタリング装置を地下水に浸入させる。
【0020】
第1観測井1及び第2観測井2は、既存の観測井又は測定のため選択され、新たに完成した観測井を用いることができる。第1観測井1と第2観測井2は連なっており、第1観測井1は水ポテンシャルの高い地域に位置し、第2観測井2が第1観測井1のよりも低い水位に位置しているため、第1観測井1を通過した地下水が自動的に第2観測井2の方向に流れる。第1観測井1及び第2観測井2の頂部には、開閉扉5が設けられ、開閉扉5の開閉操作により、外部環境の干渉を大幅に減少させることができる。
【0021】
図2~
図4に示すように、モニタリング装置4は、移動方向案内機構Aと、データ伝送機構Bと、急変点巡回機構Cとを備え、データ伝送機構Bは移動方向引動機構Aと急変点巡回機構Cとの間に位置し、モニタリング装置4が初期動作状態にある時、移動方向引動機構A及び急変点巡回機構Cがいずれも水流に平行な方向に沿って設けられ、急変点巡回機構Cは移動方向引動機構Aの後方に位置し、データ伝送機構Bは水流に垂直な方向に沿って設けられ、移動方向案内機構Aとデータ伝送機構Bと急変点巡回機構Cとの間を各々可撓性ケーシング管16で接続し、可撓性ケーシング管16の端部が電磁結合機構19を介して各々移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cと接続する。
【0022】
移動方向案内機構Aは、第1機体を備え、第1機体の前端に内向回転翼8が設けられ、内向回転翼8は推進用プロペラであり、水中で連続的に回転して推進力を発生して、モニタリング装置4全体の前進を確保する。内向回転翼8の中心が前方に突出され、プロペラ翼が後ろに向くため、モニタリング装置4は水中又は土壌中に障害物をプロペラ翼の内向方向に沿ってモニタリング装置4の周辺に押し分けることができるようにさせる。プロペラ翼に抵抗力センサーが設けられ、抵抗力センサーにより、各プロペラ翼の前進過程中に受ける抵抗力を判断し、抵抗力に基づきデータを記録して、前進方向の調整を実現できる。第1機体の後端は、可撓性ケーシング管16を介してデータ伝送機構Bの一端に接続される。第1機体の両側壁にサイドスラスタ9が対称に設けられ、対応する第1機体の両側壁に各々嵌合溝18が設けられ、モニタリング装置4が動作していない時、サイドスラスタ9が嵌合溝18内にある。サイドスラスタ9の一端は、第1機体に回転可能に連結され、モニタリング装置4が動作している時、サイドスラスタ9を嵌合溝18から取り出し、サイドスラスタ9を介して、モニタリング装置4の横方向位置を調整できる。
【0023】
データ伝送機構Bは、胴体を備え、胴体の中央にサンプリングチャンバー10が設けられ、サンプリングチャンバー10にチャンバードアが設けられ、サンプリングチャンバー10内に複数のハッチが設けられる。チャンバードアが開けられ、異なるハッチを介して、ある区域の水試料又は土壌試料の採取を実現できる。モニタリング装置4が回収された後、チャンバーを開けて原位置の水試料又は土壌試料を取ることができる。胴体内にサイドプロペラ11がさらに設けられ、本実施例において、胴体内に複数の固定板が設けられ、各固定板に複数のサイドプロペラ11が設けられ、サイドプロペラ11に対応する胴体にチャンバードアが設けられ、チャンバードアが開けられた後、サイドプロペラ11が水中に露出され、サイドプロペラ11を回転することにより、データ伝送機構Bを水平方向に推進させる。同時に胴体にデータ送信モジュール14がさらに設けられ、モニタリング装置4に搭載されたセンサーがデータ検出を完了した後、検出されたデータをデータ送信モジュール14により無線電波の形で発することができ、第1観測井1又は第2観測井2のデータ受信機3が受信することから、検出データのリアルタイム取得を実現する。
【0024】
前記急変点巡回機構Cは、第2機体を備え、第2機体の左右両側に飛行翼12が対称に設けられ、飛行翼12は伸縮機能を有する。モニタリング装置4全体が一体の場合、すなわち、各機構間が分離状態にない場合、飛行翼12が突き出され、この時急変点巡回機構Cが順流漂流の役割を果たす。急変点巡回機構C内に設別個の動力ユニットが設けられ、急変点巡回機構Cが他の機構から分離される時、単独で作動し、飛行翼12は引っ込まれ、急変点巡回機構Cが急変点7近傍で往復運動検出を行い、この過程中のデータを保存する。急変点7とは、地下水の全体的な生態環境の中に隠れているいくつかの特殊区域があり、これらの特殊区域にいくつかの異常のデータがあることを意味する。
【0025】
本出願では、可撓性ケーシング管16は、プラスチック素材で作られており、ねじれ、伸縮することができる。移動方向案内機構Aの内向回転翼8とサイドスラスタ9、データ伝送機構Bのサイドプロペラ11、急変点巡回機構Cの飛行翼12を各々制御することにより、移動方向案内機構Aと、データ伝送機構Bと、急変点巡回機構Cとの間の相対位置を調整及び制御し、この時移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cをつながる可撓性ケーシング管16は、ねじれ及び伸縮により異なる位置にある移動方向案内機構Aとデータ伝送機構Bと急変点巡回機構Cとの間の接続を実現することで、モニタリング装置4全体が地下水中でねじれて前進することができ、該装置を非常に複雑な地下水環境内で安全に前進させることができる。
【0026】
本出願では、移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cにはいずれも測位モジュールが設けられ、移動方向案内機構Aに第3測位モジュール17が設けられ、データ伝送機構Bに第2測位モジュール15が設けられ、急変点巡回機構Cに第1測位モジュール13が設けられる。測位モジュールは、GPS測位を用い、各機構の位置をリアルタイムで把握することができ、各機構のアクションをデプロイするのに便利である。
【0027】
また、本出願では、電磁結合機構を介して移動方向案内機構Aとデータ伝送機構Bと急変点巡回機構Cとの間の連結又は分離も実現でき、データ伝送機構Bの両端、移動方向案内機構Aの後端、急変点巡回機構Cの前端に各々電磁結合機構が設けられる。
図5~
図7に示すように、電磁結合機構は、内側クランプリング20と、外側クランプリングとを備え、内側クランプリング20及び外側クランプリングは両方とも機構の端部に固結され、内側クランプリング20は外側クランプリングの中心に位置し、可撓性ケーシング管16の端部を挿入できるように、内側クランプリング20の外面と外側クランプリングの内面との間に一定の隙間がある。本実施例において、それぞれ第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22である2つの外側クランプリングを備える。第1外側クランプリング21は、第2外側クランプリング22の端面外側に位置する。内側クランプリング20、第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22の環状外面は、いずれも独立した環状挟持板32であり、環状挟持板32は自動クランプモジュールを介して内側クランプリング20、第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22に連結される。
【0028】
内側クランプリング20及び第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22内には円周方向に沿って間隔をあけて複数の貫通穴が設けられ、貫通穴内にクランプモジュールが設けられる。クランプモジュールは、永久磁石体23と、磁束集中体24と、鉄心26と、コイル30と、押し棒31とを備え、永久磁石体23は貫通穴の内壁に固定され、永久磁石体23の内面が磁束集中体24に連結され、磁束集中体24内に空洞25が形成され、鉄心26は空洞25内に移動自在に設けられ、鉄心26の表面にコイル30が巻かれ、鉄心26の頂部に押し棒31が固定され、押し棒31の頂端が環状挟持板32に固結される。押し棒31の下端は、内側クランプリング20、第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22の外側に位置する。内側クランプリング20、第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22の外側に位置する押し棒31には上から下にリミットプレート27、バネ29及びアジャストナット28が順次設けられ、リミットプレート27とアジャストナット28との間はバネ29で連結され、リミットプレート27は側クランプリング20、第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22の環状内面に固定され、押し棒31とリミットプレート27との間が摺動可能に連結され、アジャストナット28はボルトで鉄心26の底端に固定される。内側クランプリング20、第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22の環状内面が滑らかな表面であることを確保するため、内側クランプリング20、第1外側クランプリング21及び第2外側クランプリング22の環状内面には、いずれも凹溝が設けられ、鉄心26の下端は凹溝内に設けられる。内側クランプリング20と外側クランプリングとの間の隙間、外側クランプリングの環状外面及び可撓性ケーシング管16の端部には、いずれも位置センサーが設けられ、位置センサーを介して、可撓性ケーシング管16の端部を内側クランプリング20と外側クランプリングとの間に正確に挿入又は外側クランプリングの外側に嵌めさせることができる。
【0029】
本実施例は、内側クランプリング20内のクランプモジュールを例にして、クランプモジュールの動作過程を詳細に説明する。
図6は、初期状態にあるクランプモジュールを示し、この時バネ29は元の長さにあり、押し棒31の引っ張り作用の下で、環状挟持板32が内側クランプリング20の環状外側にフィットされ、この時可撓性ケーシング管16と各機構との間は分離状態を呈する。隣り合う2つの機構間の連結を実現する必要がある場合、位置センサーの誘導の下で、可撓性ケーシング管16の端部が内側クランプリング20と外側クランプリングとの間に正確に挿入され、この時コイル30に通電すると、永久磁石体23が発生する磁界の中で、コイル30は上向きの力を発生し、電流値が増加するにつれて、コイル30内で発生する力は徐々に増加する。コイル30内で発生する力が鉄心26、押し棒31及び環状挟持板32の重力と摩擦力より大きい場合、この力が鉄心26、押し棒31、環状挟持板32を上方に移動させ、環状挟持板32が上方に移動する間、内側クランプリング20と外側クランプリングとの間の隙間が小さくなることで、可撓性ケーシング管16の端部をクランプする。押し棒31の上方への移動過程で、押し棒底端のアジャストナット28も上昇し、この時リミットプレートとアジャストナット28との間のバネ29が圧縮され、バネ29内に弾性力が発生する。可撓性ケーシング管16に流す必要がある場合、コイル30への通電を停止し、この時バネ29の弾性力作用において、鉄心26、押し棒31及び環状挟持板32を元の位置に引っ張り、環状挟持板32の復帰を実現する。
【0030】
可撓性ケーシング管の直径が小さい場合、可撓性ケーシング管の端部を内側クランプリングと外側クランプリングとの間に挿入できる。可撓性ケーシング管の直径が大きい場合、可撓性ケーシング管を外側クランプリングの外側に嵌めることができる。この時、外側クランプリング内のクランプモジュールの動作過程も前述のとおりで、可撓性ケーシング管を外側クランプリングの外側に嵌める必要がある場合、まず位置センサーを介して、可撓性ケーシング管の一端を外側クランプリングの外側に挿入し、次にクランプモジュールが作動し、外側クランプリングの環状挟持板が張り出すことで、可撓性ケーシング管の端部を外側クランプリングの外部に留めさせる。可撓性ケーシング管16に流す必要がある場合、クランプモジュールの作動を停止させ、外側クランプリングの環状挟持板が復帰する。本実施例において、可撓性ケーシング管と外側クランプリングとの間の摩擦力を増加させるため、外側クランプリングの環状挟持板が円弧状を呈し、環状挟持板に複数の滑り止め突起が間隔をあけて設けられ、可撓性ケーシング管と外側クランプリングとの間の接続をより強固にさせる。
【0031】
該モニタリングシステムの動作プロセスは、次の通りである。まず、工業団地内に位置する2つ以上の観測井を選択し、地下水の流れ方向に応じて第1観測井1及び第2観測井2を選択する必要がある。選択後、各選択した各観測井の口元の下方の内側位置にデータ受信機3を配設する。データ受信機の配設を完了すると、モニタリング装置4を投げ込むことができ、投げ込む前、モニタリング装置4に搭載された測定機器が適切に設置され、信号が正常に放出されることを保証する。次に設置用ロッド6を介して、所定の時間ごとに1つのモニタリング装置4を地下水中に入れる。モニタリング装置4に流された後、地下水の状況に合わせて漂流するが、この間でモニタリング装置4に搭載された測定機器は与えられた頻度でデータを連続的に収集し、経時的に記録し、記録結果をデータ伝送モジュール14により無線電波の形で発する。発せられた無線電波が第2観測井2の口元にあるデータ受信機3に受信されると共に処理し、リアルタイムの連続データ収集作業を完了する。データ受信機3の受信範囲には一定の制限があるため、1台目のモニタリング装置に流された後、設置用ロッド6で潜水機を連続的に流し、データのリアルタイム及び連続性を保証する。以上のステップにより、工業団地の土壌・地下水の状況をリアルタイム・連続的にモニタリングすることができる。急変点7に遭遇した時、電磁結合機構を利用して装置全体から急変点巡回機構Cを切り離し、急変点巡回機構Cが急変点7近傍を往復移動して検出させ、該工業団地の土壌・地下水の変化経路を横縦断面でまとめて与え、これをもって的を絞ったモニタリング行動を行う。なお、モニタリング装置4で地下水試料・土壌試料を原位置でサンプリングすることもでき、検出・モニタリングの信頼性がより保証される。
【0032】
以上、本発明により提供される工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステムを詳細に説明してきた。本明細書は、具体的実施例を使用して本発明の原理及び実施形態を描写し、以上の実施例の説明は本発明の方法及びこの中核の思想への理解を助けるためにのみ使用される。当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対して様々な改良及び潤色を行なうこともでき、かかる改良及び潤色も本発明の特許請求の保護範囲内に含まれることを指摘されたい。開示された実施例の上記の説明は、当業者に本発明を実施又は使用させることができる。これらの実施例に対する多種多様な修正は、当業者にとって自明であり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例で実施することができる。したがって、本発明は、本明細書に示される実施例に限定されることはなく、本明細書に開示される原理及び新規特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0033】
10・・・サンプリングチャンバー
1 ・・・第1観測井
11・・・サイドスラスタ
12・・・飛行翼
13・・・第1測位モジュール
14・・・データ送信モジュール
15・・・第2測位モジュール
16・・・可撓性ケーシング管
17・・・第3測位モジュール
18・・・嵌合溝
19・・・電磁結合機構
20・・・内側クランプリング
2 ・・・第2観測井
21・・・第1外側クランプリング
22・・・第2外側クランプリング
23・・・永久磁石体
24・・・磁束集中体
25・・・空洞
26・・・鉄心
27・・・リミットプレート
28・・・アジャストナット
29・・・バネ
30・・・コイル
3 ・・・データ受信機
31・・・押し棒
32・・・環状挟持板
4 ・・・モニタリング装置
5 ・・・開閉扉
6 ・・・設置用ロッド
7 ・・・急変点
8 ・・・内向回転翼
9 ・・・横向推動旋葉
【要約】
【課題】 工業団地における土壌・地下水のリアルタイム連続モニタリングシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、地下水原位置モニタリング分野に関し、特に、地下水水質連続モニタリングシステムに関する。隣り合う2つの観測井間の地下水内にある複数のモニタリング装置を備え、第1観測井及び第2観測井の口元下方の観測井内壁にデータ受信機が固定され、前記モニタリング装置は移動方向案内機構Aと、データ伝送機構Bと、急変点巡回機構Cとを備え、データ伝送機構Bは移動方向引動機構Aと急変点巡回機構Cとの間に位置し、移動方向案内機構Aとデータ伝送機構Bと急変点巡回機構Cとの間を各々可撓性ケーシング管で接続し、可撓性ケーシング管の端部が電磁結合機構を介して移動方向案内機構A、データ伝送機構B、急変点巡回機構Cと接続する。状況が非常に複雑な地下水への連続モニタリングを実現し、かつ地下水への正確なモニタリングも実現し、地下水試料・土壌試料について原位置サンプリングを行うこともでき、検出・モニタリングの信頼性を確保する。
【選択図】
図1