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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/74 20180101AFI20221111BHJP
【FI】
F24F11/74
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018096047
(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2019184218
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2018071361
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小野 恭裕
(72)【発明者】
【氏名】宮村 真
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-032038(JP,A)
【文献】特開2014-169839(JP,A)
【文献】特開2003-254595(JP,A)
【文献】特開2005-121316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0370366(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に配置される室内機と、室外に配置される室外機とを有し、前記室内機と前記室外機とにより冷媒サイクルを構成する空気調和機と、
前記室内に配置される送風機と、
前記室内の任意の位置に移動可能に配置される端末装置と、
前記空気調和機と前記送風機と前記端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記端末装置に設けた前記端末装置の周囲の温度又は湿度を検出するセンサ部を有する室内情報検出手段と、
前記室内情報検出手段による室内情報である前記端末装置の周囲の温度又は湿度に基づいて、前記送風機と連動して前記空気調和機を制御する制御部と、を備える、
空気調和システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記空気調和機の冷暖房運転時において、前記室内情報検出手段による前記送風機の周囲の温度又は前記端末装置の周囲の温度が設定温度に到達したときに、前記空気調和機を運転条件が通常運転時よりも風量が抑制される風量抑制運転となるように制御すると共に、前記送風機を運転条件が通常運転となるように制御する、請求項に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記空気調和機の暖房運転時において、前記空気調和機の運転開始から前記送風機の周囲の温度又は前記端末装置の周囲の温度が設定温度に到達するまでの間は、前記空気調和機及び前記送風機の両方を運転条件が通常運転時よりも風量が増量される風量増量運転となるように制御すると共に、前記送風機を送風方向が上向きになるように制御する、請求項に記載の空気調和システム。
【請求項4】
室内に配置される室内機と、室外に配置される室外機とを有し、前記室内機と前記室外機とにより冷媒サイクルを構成する空気調和機と、
前記室内の任意の位置に移動可能に配置される送風機と、
前記空気調和機と前記送風機との間で通信を行う通信手段と、
前記空気調和機に設けた前記室内の衣類の位置情報を検出するセンサ部と、前記送風機に設けた前記送風機の周囲の衣類の位置情報を検出するセンサ部とを有する位置検出手段と、
前記位置検出手段による前記衣類の位置情報に基づいて、前記送風機からの送風が前記衣類に直接当たるように前記送風機を制御する制御部と、を備える、
空気調和システム。
【請求項5】
前記制御部は、衣類乾燥時に、前記空気調和機を運転条件が通常運転時よりも風量が抑制される風量抑制運転となるように制御すると共に、前記送風機を運転条件が通常運転時よりも風量が増量される風量増量運転となるように制御する、請求項に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内の冷暖房(冷房又は暖房)を行うエアコンディショナ等の空気調和機と、扇風機及びサーキュレータ等の送風機とを組み合わせて使用することにより、空気調和機による冷暖房の効果(冷房効果又は暖房効果)を向上させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-130600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の空気調和システムでは、空気調和機及び送風機を用いて、実用性、省エネ性及び快適性を向上させるための具体的な運転条件については開示されていない。
【0005】
本実施の形態は、室内において検出された室内情報に基づいて、空気調和機及び送風機の運転条件を自動的に調整することができ、実用性、省エネ性及び快適性を向上させることのできる空気調和システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一態様によれば、室内に配置される空気調和機と、前記室内に配置される送風機と、前記室内に配置される端末装置と、前記空気調和機と前記送風機と前記端末装置との間で通信を行う通信手段と、前記室内に配置される室内情報検出手段とを備え、前記空気調和機は、前記室内情報検出手段による室内情報に基づいて前記送風機を制御する制御部を備える、空気調和システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本実施の形態によれば、室内において検出された室内情報に基づいて、空気調和機及び送風機の運転条件を自動的に調整することができ、実用性、省エネ性及び快適性を向上させることのできる空気調和システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システムの機能構成を示すブロック図。
図2】本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システムの機能構成(通信部の具体的構成)を示すブロック図。
図3】本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システムの冷房運転時制御の一例を示すフローチャート。
図4】本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システムの暖房運転時制御の一例を示すフローチャート。
図5】本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システムの衣類乾燥運転時制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1から図5を参照して、本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10について説明する。
【0012】
[空気調和システムの機能構成例]
図1は、本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の機能ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、空気調和システム10は、空気調和機(エアコンディショナ)11と、室内に配置される送風機(扇風機又はサーキュレータ)30と、室内に配置される端末装置としてのリモートコントローラ(以下、「リモコン」という。)40と、室内に配置される端末装置としての子機(マーカ)50A,50Bとを備える。
【0014】
空気調和機11は、室内に配置される空気調和機本体(室内機)12と、室外に配置される室外機13とを備える。空気調和機11は、送風機30と連動して動作することが可能である。
【0015】
空気調和機本体12は、空気調和機11全体を制御する制御部14と、通信部15と、室内機構成要素(熱交換器16、室内ファン17、上下風向板18、左右風向板19、上下風向板18を駆動する第一モータM1、左右風向板19を駆動する第二モータM2等)と、センサ部20とを備える。
【0016】
制御部14は、空気調和機11の運転条件(送風温度、送風湿度、風量、風向範囲、運転時間等)を制御する。
【0017】
具体的には、制御部14は、第一モータM1を駆動して、上下風向板18を上下方向にスイング(揺動)させる。また、制御部14は、第二モータM2を駆動して、左右風向板19を左右方向にスイング(揺動)させる。これにより、空気調和機本体12の空気吹出口(不図示)からの送風が上下方向及び左右方向にスイングし、室内の広い範囲(任意の方向)にわたって風を送れるようになる。
【0018】
通信部15は、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Wi-SUN(登録商標)等の近距離無線通信方式、又は赤外線通信等で他の機器(送風機30、リモコン40、子機50A,50B)との間で通信するためのインターフェースである。制御部14は、通信部15を制御して、送風機30、リモコン40及び子機50A,50Bとの間で情報を送受信する。
【0019】
また、通信部15は、操作者が自身の、スマートフォン、スマートウォッチ及びタブレット型端末等の携帯端末を用いて室外から空気調和システム10の運転条件を設定させるための機能を有していてもよい。このような機能があると、操作者が室内に入る前にあらかじめ運転条件を設定し、空気調和システム10を制御することができ、操作者が室内に戻った時には、室内をより快適な環境にすることが可能となる。
【0020】
室外機13は、空気調和機本体12に接続される。室外機13は、例えば屋外に配置されるものであり、冷媒を圧縮する圧縮機21、熱交換器22、室外ファン23及び膨張弁(不図示)等を備えて構成される。圧縮機21、室外機13の熱交換器22、膨張弁及び空気調和機本体(室内機)12の熱交換器16の順で冷媒配管により接続され、冷媒が循環する冷媒サイクルを構成する。
【0021】
室外機13の熱交換器22は、圧縮機21により圧縮された高温高圧の気体の冷媒ガスを室外ファン23によって空冷することで凝縮させる。この冷媒ガスの凝縮により室外機13の熱交換器22にて発生した熱は、室外ファン23により室外機13の吸込口から吸い込まれた空気に与えられ、室外機13外に吹き出される。
【0022】
膨張弁は、室外機13の熱交換器22から冷媒を減圧し、減圧された冷媒ガスは、室外機13の熱交換器22にて蒸発する。室内ファン17により空気調和機本体12内に吸い込まれた空気は、空気調和機本体12の熱交換器16によって吸熱される。この吸熱された空気は、空気調和機本体12外へ吹き出される。このように、冷媒の凝縮及び蒸発によって、室外機13及び空気調和機本体12における空気が熱交換され、室内の空気が空調される。
【0023】
センサ部20は、例えば、室内の人の有無を検出する人感センサ(人検出手段)、空気調和機本体12周囲の温度を検出する温度センサ、空気調和機本体12周囲の湿度を検出する湿度センサ、室内における送風機30、リモコン40及び子機50A,50Bの位置を検出する位置検出センサ(位置検出手段)、風向センサ、風量センサ等を備えて構成される。人感センサ(人検出手段)は、室内の人の存在、動き及び位置の内の少なくとも一つを検出するものであり、例えば、赤外線センサ又は撮像装置により構成される。
【0024】
リモコン40は、端末装置の一種であり、リモコン40全体を制御するための制御部41と、通信部42と、操作部43と、表示部44と、センサ部45とを備える。リモコン40は、室内の任意の位置に配置することが可能であり、室内に移動可能に設置される。
【0025】
通信部42は、空気調和機本体12の通信部15と同様に、例えば、WiFi、Bluetooth、Wi-SUN等の近距離無線通信方式、又は赤外線通信等で他の機器(空気調和機本体12、送風機30、子機50A,50B)との間で通信するためのインターフェースである。制御部41は、通信部42を制御して、空気調和機本体12との間で情報を送受信する。具体的には、制御部41は、通信部42を介して、操作部43において操作された内容及び、センサ部45にて検出された各種情報を空気調和機本体12に送信する。
【0026】
操作部43は、運転の開始及び停止を指示するための運転開始/停止ボタン、温度を調節するための温度調節ボタン、風向を切り替えるための風向切替ボタン、冷房運転モード、暖房運転モード、自動運転モード又は衣類乾燥運転モードを選択するための運転モード切替ボタン等の各種ボタンを含み、操作者の操作を受け付ける。
【0027】
センサ部45は、空気調和機本体12のセンサ部20と同様に、例えば、室内の人の有無を検出する人感センサ(人検出手段)、リモコン40周囲の温度を検出する温度センサ、リモコン40周囲の湿度を検出する湿度センサ、室内における空気調和機本体12、送風機30及び子機50A,50Bの位置を検出する位置検出センサ(位置検出手段)、風向センサ、風量センサ等を備えて構成される。人感センサ(人検出手段)は、室内の人の存在、動き及び位置の内の少なくとも一つを検出するものであり、例えば、赤外線センサ又は撮像装置により構成される。
【0028】
子機50A,50Bは、携帯装置の一種であり、マーカとして機能するものである。子機50A,50Bはそれぞれ、通信部51と、センサ部52とを備える。子機50A,50Bは、室内の任意の位置に配置することが可能であり、室内に移動可能に設置される。
【0029】
通信部51は、空気調和機本体12の通信部15と同様に、例えば、WiFi、Bluetooth、Wi-SUN等の近距離無線通信方式、又は赤外線通信等で他の機器(空気調和機本体12、送風機30、リモコン40)との間で通信するためのインターフェースである。
【0030】
センサ部52は、空気調和機本体12のセンサ部20と同様に、例えば、室内の人の有無を検出する人感センサ(人検出手段)、子機50A,50B周囲の温度を検出する温度センサ、子機50A,50B周囲の湿度を検出する湿度センサ、室内における空気調和機本体12、送風機30及びリモコン40の位置を検出する位置検出センサ(位置検出手段)、風向センサ、風量センサ等を備えて構成される。人感センサ(人検出手段)は、室内の人の存在、動き及び位置の内の少なくとも一つを検出するものであり、例えば、赤外線センサ又は撮像装置により構成される。
【0031】
なお、子機50A,50Bは、電源をオン・オフするためのスイッチを備えていてもよい。また、図示例では、空気調和システム10は、二つの子機50A,50Bを備えているが、一つの子機のみを備えていてもよいし、三つ以上の複数の子機を備えていてもよい。
【0032】
送風機30は、送風機30全体を制御する制御部31と、通信部32と、センサ部33とを備える。送風機30は、空気調和機11と連動して動作することが可能である。また、送風機30は、室内の任意の位置に配置することが可能であり、室内に移動可能に設置される。
【0033】
制御部31は、送風機30の運転条件(風量、風向範囲、運転時間等)を制御する。
【0034】
通信部32は、空気調和機本体12の通信部15と同様に、例えば、WiFi、Bluetooth、Wi-SUN等の近距離無線通信方式、又は赤外線通信等で他の機器(空気調和機本体12、リモコン40及び子機50A,50B)との間で通信するためのインターフェースである。
【0035】
センサ部33は、空気調和機本体12のセンサ部20と同様に、例えば、室内の人の有無を検出する人感センサ(人検出手段)、送風機30周囲の温度を検出する温度センサ、送風機30周囲の湿度を検出する湿度センサ、室内における空気調和機本体12、リモコン40及び子機50A,50Bの位置を検出する位置検出センサ(位置検出手段)、風向センサ、風量センサ等を備えて構成される。人感センサ(人検出手段)は、室内の人の存在、動き及び位置の内の少なくとも一つを検出するものであり、例えば、赤外線センサ又は撮像装置により構成される。
【0036】
なお、送風機30は、電源をオン・オフするためのスイッチを少なくとも備えている。また、図示例では、空気調和システム10は、一つの送風機30のみを備えているが、二つ以上の複数の送風機を備えていてもよい。
【0037】
[通信部の具体的構成例]
図2は、本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の機能ブロック図である。
【0038】
図2に示す空気調和システム10は、空気調和機11と、送風機30と、リモコン40と、子機(マーカ)50と、中継機器(ルータ)60とを備える。
【0039】
空気調和機11の通信部15と中継機器60との間では、例えば、WiFiによる無線通信が行われる。中継機器60は、例えば、WiFiによる無線通信を介して内部ネットワーク(ローカルエリアネットワーク)100にある携帯端末、又はスマートスピーカ等のその他端末機器と接続される。また、中継機器60は、例えば、インターネット回線を介して外部ネットワーク200にあるクラウドサーバ等と接続される。
【0040】
空気調和機11の通信部15とリモコン40の通信部42との間では、例えば、赤外線通信が行われる。
【0041】
その一方で、空気調和機11の通信部15と送風機30の通信部32との間、及び、空気調和機11の通信部15と子機50の通信部51との間では、例えば、Bluetoothによる無線通信が行われる。
【0042】
リモコン40は、一般的に空気調和機11に向けた状態で操作が行われるため、空気調和機11との間に障害物がない状態で赤外線通信による通信をすることができる。一方、送風機30及び子機50は、置かれる場所によって空気調和機11との間に障害物がある可能性があり、赤外線通信による通信では通信が不完全又は不安定になる可能性がある。そこで、空気調和機11と送風機30との間の通信、及び、空気調和機11と子機50との間の通信は、無線通信を採用することにより、空気調和機11との間に障害物があっても情報の送受信を安定して行うことが可能になる。
【0043】
[空気調和機と送風機とを連動する冷暖房運転時制御]
空気調和機11は、冷暖房機能(冷房機能及び暖房機能)を備える。また、前述のように、空気調和機11は、送風機30と連動して動作することが可能である。
【0044】
空気調和機11の制御部14は、空気調和機11の冷暖房運転開始時に、空気調和機11及び送風機30の両方を運転条件が通常運転時よりも風量が増量される風量増量運転となるように制御する。
【0045】
また、空気調和機11の制御部14は、空気調和機11の冷暖房運転時において、室内情報検出手段(センサ部20,33,45,52)による室内情報の一つである室内温度が設定温度に到達したときに、空気調和機11を運転条件が通常運転時よりも風量が抑制される風量抑制運転(省エネモード)となるように制御すると共に、送風機30を運転条件が通常運転となるように制御する。なお、空気調和機11の制御部14は、室内温度を空気調和機11に設けたセンサ部20により取得してもよいし、送風機30に設けたセンサ部33により取得してもよいし、リモコン40に設けたセンサ部45により取得してもよいし、子機50A,50B,50に設けたセンサ部52により取得してもよい。
【0046】
空気調和機11の運転開始から室内温度の設定温度到達までの期間は、空気調和機11及び送風機30を共に例えば最大運転(最大能力運転)で運転することにより、室内温度の設定温度到達を迅速に完了することが可能になる。また、室内温度の設定温度到達の後は、空気調和機11からの風量をできる限り下げて、送風機30の送風運転を主体的に行うことにより、冷暖房効率を向上させることが可能になる。
【0047】
さらに、空気調和機11の制御部14は、空気調和機11の冷暖房運転時において、室内情報検出手段(センサ部20,33,45,52)により室内に居る人が検出されているときに、空気調和機11からの送風が室内に居る人に直接当たらないように空気調和機11及び送風機30を制御する。なお、空気調和機11の制御部14は、人の位置情報を空気調和機11に設けたセンサ部20により取得してもよいし、送風機30に設けたセンサ部33により取得してもよいし、リモコン40に設けたセンサ部45により取得してもよいし、子機50A,50B,50に設けたセンサ部52により取得してもよい。
【0048】
また、空気調和機11の制御部14は、空気調和機11の冷房運転時において、室内温度又は人の表面温度が所定の閾値以上の場合は、空気調和機11からの送風を人の存在する方向に向け、閾値よりも低い場合には、空気調和機11からの送風を人の存在する方向に向けないようにしてもよい。
【0049】
また、空気調和機11の制御部14は、空気調和機11の暖房運転時において、室内温度又は人の表面温度が所定の閾値以下の場合は、空気調和機11からの送風を人の存在する方向に向け、閾値よりも高い場合には、空気調和機11からの送風を人の存在する方向に向けないようにしてもよい。
【0050】
また、空気調和機11の制御部14は、空気調和機11の定常運転時に、空気調和機11からの送風を人の存在する方向に向けないようにし、空気調和機11からの送風を主に送風機30が配置される方向に向けるようにしてもよい。
【0051】
空気調和機11の冷房運転時に、室内の下側に溜まる傾向がある空気調和機11からの冷気を送風機30が循環させることにより、空気調和機11の冷房効果を高めることができ、快適性を向上させることが可能になる。また、空気調和機11からの送風が室内に居る人に直接当たらないようにすることにより、人の体への負担(冷え過ぎ)を低減することができ、快適性をより向上させることが可能になる。
【0052】
空気調和機11の冷房運転時に、空気調和機11の運転開始から室内温度が設定温度に到達するまでの期間は空気調和機11からの送風を例えば最大とし、室内温度が設定温度に到達した後には空気調和機11からの送風を抑制することにより、省エネ効果(節電効果)を得ることが可能になる。一般的に、空気調和機11の設定温度(冷房時の設定温度)を夏期に例えば2℃上げると、電気代を約20%も節約できるとされている。
【0053】
一方、空気調和機11の暖房運転時に、室内の上側に溜まる傾向がある空気調和機11からの暖気を送風機30が循環させることにより、空気調和機11の暖房効果を高めることができ、快適性を向上させることが可能になる。また、空気調和機11からの送風が室内に居る人に直接当たらないようにすることにより、人の体への負担(温め過ぎ)を低減することができ、快適性をより向上させることが可能になる。
【0054】
空気調和機11の暖房運転時に、空気調和機11の運転開始から室内温度が設定温度に到達するまでの期間は空気調和機11からの送風を例えば最大とし、室内温度が設定温度に到達した後には空気調和機11からの送風を抑制することにより、省エネ効果(節電効果)を得ることが可能になる。一般的に、空気調和機11の設定温度(暖房時の設定温度)を冬期に例えば2℃下げると、電気代を約20%も節約できるとされている。
【0055】
[空気調和機と送風機とを連動する衣類乾燥運転時制御]
空気調和機11は、その仕組み上、室内の水分を室外へ排出する除湿機能を備える。また、前述のように、空気調和機11は、送風機30と連動して動作することができ、空気調和システム10は、空気調和機11の除湿機能と送風機30の送風とを用いて洗濯後の衣類の乾燥を促進させる衣類乾燥運転を実現することが可能である。
【0056】
空気調和機11の制御部14は、衣類乾燥運転時(除湿運転時)に、空気調和機11を運転条件が通常運転時よりも風量が抑制される風量抑制運転(省エネモード)となるように制御すると共に、送風機30を運転条件が通常運転時よりも風量が増量される風量増量運転となるように制御する。
【0057】
衣類乾燥運転時に、空気調和機11は風量を下げて運転することにより、空気調和機11による除湿量を十分に確保することが可能になる。また、衣類乾燥運転時には、送風機30は風量を上げて運転することにより、洗濯物(衣類)の水気(水分)を飛ばして早く乾くようにすることができ、衣類の乾燥を効果的に促進することが可能になる。これらの相乗効果により、衣類乾燥までに要する時間を効果的に短縮することが可能になる。
【0058】
空気調和機11の制御部14は、衣類乾燥時(除湿運転時)には、さらに、送風機30からの送風が室内の衣類に直接当たるように送風機30を制御する。なお、空気調和機11の制御部14は、衣類の位置情報を空気調和機11に設けたセンサ部20により取得してもよいし、送風機30に設けたセンサ部33により取得してもよいし、リモコン40に設けたセンサ部45により取得してもよいし、子機50A,50B,50に設けたセンサ部52により取得してもよい。
【0059】
また、空気調和機11が、タイマー機能(自動運転停止機能)を備え、空気調和機11の制御部14は、タイマーの設定時間が経過したときに、空気調和機11の運転を自動的に停止するようにしてもよい。
【0060】
さらに、空気調和機11の制御部14は、タイマーの設定時間が経過していない場合であっても、室内情報検出手段(センサ部20,33,45,52)による室内情報(湿度センサによる室内の湿度)に基づいて、空気調和機11の運転を自動的に停止するようにしてもよい。
【0061】
[冷房運転時制御の一例]
本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の冷房運転時制御の一例を、図3に基づいて説明する。
【0062】
図3は、本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の冷房運転時制御の一例を示すフローチャートである。
【0063】
空気調和機11の冷房運転が開始されると、ステップS10では、空気調和機11が運転条件を最大運転(最大能力運転)にして運転されると共に、送風機30が運転条件を最大運転(最大能力運転)にして運転される。
【0064】
ステップS11では、リモコン40のセンサ部45により検出した室内温度が冷房運転時設定温度TC1よりも低いか否かを判定し、「YES」の場合はステップS12に移行し、「NO」の場合にはステップS11の判定処理を繰り返し行う。
【0065】
ステップS12では、空気調和機11からの送風がリモコン40のある場所以外へ送風されるように、空気調和機11の風向き制御がなされる。
【0066】
ステップS13では、空気調和機11のセンサ部20により検出した室内温度が設定温度TC1よりも高いか否かを判定し、「YES」の場合はステップS14に移行し、「NO」の場合にはステップS13の判定処理を繰り返し行う。
【0067】
ステップS14では、空気調和機11が運転条件を風量抑制運転(省エネモード)にして運転されると共に、送風機30が運転条件を通常運転にして運転される。
【0068】
ステップS15では、リモコン40のセンサ部45により検出した室内温度が設定温度TC1よりも高いか否かを判定し、「YES」の場合はステップS16に移行し、「NO」の場合にはステップS15の判定処理を繰り返し行う。
【0069】
ステップS16では、リモコン40のセンサ部45により検出した室内温度が第2の冷房運転時設定温度(閾値)TC2よりも高いか否かを判定し、「YES」の場合はステップS10に戻り、「NO」の場合にはステップS17に移行する。なお、第2の設定温度TC2は、設定温度TC1よりも高く設定される。
【0070】
ステップS17では、送風機30の運転条件を通常運転から強運転に変更し、ステップS15に戻る。
【0071】
なお、本制御処理は、空気調和機11の運転モードが変更された場合、空気調和機11及び送風機30の内のいずれかの運転が停止された場合等に、終了するものとする。
【0072】
[暖房運転時制御の一例]
本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の暖房運転時制御の一例を、図4に基づいて説明する。
【0073】
図4は、本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の暖房運転時制御の一例を示すフローチャートである。
【0074】
空気調和機11の暖房運転が開始されると、ステップS20では、空気調和機11が運転条件を最大運転(最大能力運転)にして運転されると共に、送風機30が運転条件を最大運転(最大能力運転)にして運転される。このとき、空気調和機11から排出された暖められた空気を室内に循環させるために、送風機30は送風方向を上向きになるように制御される。
【0075】
ステップS21では、リモコン40のセンサ部45により検出した室内温度が暖房運転時設定温度TW1よりも高いか否かを判定し、「YES」の場合はステップS22に移行し、「NO」の場合にはステップS21の判定処理を繰り返し行う。
【0076】
ステップS22では、空気調和機11からの送風がリモコン40のある場所以外へ送風されるように、空気調和機11の風向き制御がなされる。このとき、空気調和機11の運転条件は最大運転から通常運転に切り替えられる。
【0077】
ステップS23では、空気調和機11のセンサ部20により検出した室内温度が設定温度TW1よりも高いか否かを判定し、「NO」の場合はステップS24に移行し、「YES」の場合にはステップS23の判定処理を繰り返し行う。
【0078】
ステップS24では、空気調和機11が運転条件を最大運転にして運転されると共に、送風機30が運転条件を通常運転にして運転される。
【0079】
ステップS25では、リモコン40のセンサ部45により検出した室内温度が第2の暖房運転時設定温度(閾値)TW2よりも低いか否かを判定し、「YES」の場合はステップS20に戻り、「NO」の場合にはステップS25の判定処理を繰り返し行う。なお、第2の設定温度TW2は、設定温度TW1よりも低く設定される。
【0080】
なお、本制御処理は、空気調和機11の運転モードが変更された場合、空気調和機11及び送風機30の内のいずれかの運転が停止された場合等に、終了するものとする。
【0081】
[衣類乾燥運転時制御の一例]
本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の衣類乾燥運転時制御の一例を、図5に基づいて説明する。
【0082】
図5は、本技術を適用した一実施の形態に係る空気調和システム10の衣類乾燥運転時制御の一例を示すフローチャートである。
【0083】
空気調和機11の衣類乾燥運転が開始されると、ステップS30では、空気調和機11が運転条件を風量抑制運転(省エネモード)にして運転されると共に、送風機30が運転条件を最大運転(最大能力運転)にして運転される。
【0084】
ステップS31では、空気調和機11の衣類乾燥運転開始から所定時間Tが経過したか否かを判定し、「NO」の場合にステップS32に移行し、「YES」の場合は本制御処理を終了する。すなわち、「YES」の場合は、空気調和機11の衣類乾燥運転(除湿運転)を停止する。
【0085】
ステップS32では、子機50A,50B,50のセンサ部52により検出した室内湿度が所定湿度Hよりも低いか否かを判定し、「YES」の場合はステップS31に戻り、「NO」の場合にはステップS32の判定処理を繰り返す。
【0086】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は例示的なものであり、これに限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0087】
このように、本実施の形態はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本実施の形態の空気調和システムは、一般家庭及びオフィス等において、冷房、暖房及び除湿等に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10…空気調和システム、11…空気調和機、12…空気調和機本体、13…室外機、14…制御部、15…通信部(通信手段)、16…熱交換器、17…室内ファン、18…上下風向板、19…左右風向板、20…センサ部(室内情報検出手段)、21…圧縮機、22…熱交換器、23…室外ファン、30…送風機、31…制御部、32…通信部(通信手段)、33…センサ部(室内情報検出手段)、40…リモコン(端末装置)、41…制御部、42…通信部(通信手段)、43…操作部、44…表示部、45…センサ部(室内情報検出手段)、50A,50B,50…子機(マーカ、端末装置)、51…通信部(通信手段)、52…センサ部(室内情報検出手段)、60…中継機器(ルータ)、100…内部ネットワーク、200…外部ネットワーク、M1…第一モータ、M2…第二モータ
図1
図2
図3
図4
図5