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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】マイクロ断層可視化装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20221111BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G01N21/17 620
A61B10/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018162957
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020034488
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 壮一
(72)【発明者】
【氏名】古川 大介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高文
(72)【発明者】
【氏名】西野 佳昭
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207394(JP,A)
【文献】特開2012-183390(JP,A)
【文献】特開2017-225811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
A61B 9/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象における所定の物理量を断層可視化するマイクロ断層可視化装置であって、
光源と、
前記光源からの光を、前記測定対象を経由するサンプルアームと、参照鏡を経由するリファレンスアームとに分けるビームスプリッタと、
前記サンプルアームに導かれた光を前記測定対象の奥行方向に走査させるAスキャンを実行する奥行方向走査部と、
前記Aスキャンの軸を前記奥行方向と垂直な方向にずらしてBスキャンを実行するために駆動される横方向走査部と、
前記測定対象にて反射した物体光と前記参照鏡にて反射した参照光とが重畳された干渉光を検出する光検出装置と、
前記奥行方向走査部および前記横方向走査部を制御しつつ、前記光検出装置を経て入力された光干渉信号を処理し、前記測定対象における前記物理量の断層分布を演算する処理部と、
算出された物理量の断層分布を可視化する態様で表示する表示装置と、
を備え、
前記処理部は、前記横方向走査部を断続的に駆動し、前記横方向走査部の停止中に前記光干渉信号の取得を実行し、
前記奥行方向走査部は、
前記参照鏡を往復回動させる駆動回路と、
前記参照鏡の回動に同期したパルス信号を出力する出力回路と、
を含み、
前記処理部は、
前記パルス信号に基づき、前記参照鏡の一方向への回動開始で立ち上り、他方向への回動開始で立ち下がるトリガ信号を取得し、
前記トリガ信号の立ち上がりおよび立ち下がりの一方をトリガとして前記横方向走査部の駆動を開始し、
前記トリガ信号の立ち上がりおよび立ち下がりの他方をトリガとして前記光干渉信号の取得を開始することを特徴とするマイクロ断層可視化装置。
【請求項2】
前記横方向走査部がガルバノスキャナであることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ断層可視化装置。
【請求項3】
測定対象における所定の物理量を断層可視化するマイクロ断層可視化装置であって、
光源と、
前記光源からの光を、前記測定対象を経由するサンプルアームと、参照鏡を経由するリファレンスアームとに分けるビームスプリッタと、
前記サンプルアームに導かれた光を前記測定対象の奥行方向に走査させるAスキャンを実行する奥行方向走査部と、
前記Aスキャンの軸を前記奥行方向と垂直な方向にずらしてBスキャンを実行するために駆動される横方向走査部と、
前記測定対象にて反射した物体光と前記参照鏡にて反射した参照光とが重畳された干渉光を検出する光検出装置と、
前記奥行方向走査部および前記横方向走査部を制御しつつ、前記光検出装置を経て入力された光干渉信号を処理し、前記測定対象における前記物理量の断層分布を演算する処理部と、
算出された物理量の断層分布を可視化する態様で表示する表示装置と、
を備え、
前記処理部は、前記横方向走査部を断続的に駆動し、前記横方向走査部の停止中に前記光干渉信号の取得を実行し、
前記奥行方向走査部は、前記参照鏡を含むレゾナントスキャナであり、
前記処理部は、前記物理量の断層分布の演算処理において、前記レゾナントスキャナの駆動に伴って生じるシステムノイズを除去することを特徴とするマイクロ断層可視化装置。
【請求項4】
前記処理部は、
連続取得したAスキャンデータについて前記奥行方向の所定範囲の自己相関を演算し、その自己相関に基づいて位相差を算出し、
算出された位相差に基づいて前記システムノイズを算出することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ断層可視化装置。
【請求項5】
前記処理部は、
隣接する2ラインのAスキャンデータについて自己相関を順次演算し、その2ラインごとの位相差を演算し、
前記2ラインを含む3ライン以上かつ設定ライン未満の所定ライン区間において、所定の高剛性領域について領域平均位相差を算出し、
前記2ラインごとの位相差から前記領域平均位相差を減算することにより、各ラインについて前記システムノイズを算出することを特徴とする請求項4に記載のマイクロ断層可視化装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記所定ライン区間に対応するラインについて、各2ライン間について算出された位相差から前記システムノイズを除去し、
システムノイズ除去後の位相差に基づいてドップラー変調周波数を演算し、
前記ドップラー変調周波数に基づいて変位速度を算出し、
前記変位速度に基づいて前記物理量の断層分布を演算することを特徴とする請求項5に記載のマイクロ断層可視化装置。
【請求項7】
前記測定対象が生体組織であり、
前記物理量が前記生体組織の血流速度であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のマイクロ断層可視化装置。
【請求項8】
光コヒーレンストモグラフィーを用いることにより、測定対象における所定の物理量を断層可視化するマイクロ断層可視化方法であって、
前記測定対象の奥行方向に光を走査させるAスキャンを、前記奥行方向と垂直な方向に1ラインずつずらしつつ繰り返し実行し、二次元断層画像を生成するための設定ライン数のAスキャンデータを得るスキャン工程と、
隣接する2ラインのAスキャンデータについて自己相関を順次演算し、その2ラインごとの位相差を演算する位相差演算工程と、
前記2ラインごとの位相差に基づいて各ラインのシステムノイズを算出するノイズ演算工程と、
各2ライン間について算出された位相差から前記システムノイズを除去するノイズ除去工程と、
システムノイズ除去後の位相差に基づいてドップラー変調周波数を演算するドップラー変調周波数演算工程と、
ドップラー変調周波数に基づいて変位速度を算出する変位速度演算工程と、
前記変位速度に基づいて前記物理量の断層分布を表示する表示工程と、
を備えることを特徴とするマイクロ断層可視化方法。
【請求項9】
前記2ラインを含む3ライン以上かつ前記設定ライン数未満の所定ライン区間において、所定の高剛性領域について領域平均位相差を算出する領域平均位相差演算工程をさらに備え、
前記ノイズ演算工程は、前記2ラインごとの位相差から前記領域平均位相差を減算することにより、各ラインのシステムノイズを算出し、
前記ノイズ除去工程は、前記所定ライン区間に対応するラインについて、各2ライン間について算出された位相差から前記システムノイズを除去することを特徴とする請求項8に記載のマイクロ断層可視化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象における所定の物理量を断層可視化する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療診断技術の更なる発展に向けて光干渉断層画像法(Optical Coherence Tomography:以下「OCT」という)の臨床応用が進められている。OCTは、低コヒーレンス光干渉を利用した断層画像法であり、マイクロスケールの高空間分解能にて生体組織等の形態分布を可視化できる。また、2次元OCTの取得レートはビデオレート以上であり、高時間分解能も有している。このようなOCTの利点を活かし、生体組織の力学特性や血行動態などを断層可視化する手法も提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/010461号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、OCTの光学系には光スキャナ等の光学機構が配置されており、それらの制御分解能が高いほど鮮明なOCT画像を得ることができる。一方、OCT画像の分解能が上がっても、光学機構の特性に起因するノイズの低減は別途必要である。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、OCT画像の生成に際して光学機構の特性等に起因するシステムノイズを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、測定対象における所定の物理量を断層可視化するマイクロ断層可視化装置である。この装置は、光源と、光源からの光を、測定対象を経由するサンプルアームと、参照鏡を経由するリファレンスアームとに分けるビームスプリッタと、サンプルアームに導かれた光を測定対象の奥行方向に走査させるAスキャンを実行する奥行方向走査部と、Aスキャンの軸を奥行方向と垂直な方向にずらしてBスキャンを実行するために駆動される横方向走査部と、測定対象にて反射した物体光と参照鏡にて反射した参照光とが重畳された干渉光を検出する光検出装置と、奥行方向走査部および横方向走査部を制御しつつ、光検出装置を経て入力された光干渉信号を処理し、測定対象における物理量の断層分布を演算する処理部と、算出された物理量を断層可視化する態様で表示する表示装置と、を備える。処理部は、横方向走査部を断続的に駆動し、横方向走査部の停止中に光干渉信号の取得を実行する。
【0007】
本発明の別の態様は、光コヒーレンストモグラフィーを用いることにより、測定対象における所定の物理量を断層可視化するマイクロ断層可視化方法である。この方法は、測定対象の奥行方向に光を走査させるAスキャンを、奥行方向と垂直な方向に1ラインずつずらしつつ繰り返し実行するスキャン工程と、Aスキャンによる光干渉データをサンプリングするサンプリング工程と、サンプリングされた光干渉データに基づき、測定対象における物理量の断層分布を演算する演算工程と、測定対象における物理量を断層可視化する表示工程と、を備える。サンプリング工程は、Aスキャンを奥行方向と垂直な方向に1ラインずらす処理が行われる間は、光干渉データのサンプリングを停止する。
【0008】
本発明のさらに別の態様も、マイクロ断層可視化方法である。この方法は、測定対象の奥行方向に光を走査させるAスキャンを、奥行方向と垂直な方向に1ラインずつずらしつつ繰り返し実行し、二次元断層画像を生成するための設定ライン数のAスキャンデータを得るスキャン工程と、隣接する2ラインのAスキャンデータについて自己相関を順次演算し、その2ラインごとの位相差を演算する位相差演算工程と、2ラインごとの位相差に基づいて各ラインのシステムノイズを算出するノイズ演算工程と、各2ライン間について算出された位相差からシステムノイズを除去するノイズ除去工程と、システムノイズ除去後の位相差に基づいてドップラー変調周波数を演算するドップラー変調周波数演算工程と、ドップラー変調周波数に基づいて変位速度を算出する変位速度演算工程と、変位速度に基づいて物理量の断層分布を表示する表示工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、OCT画像の生成に際して光学機構の特性等に起因するシステムノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係るマイクロ断層可視化装置の構成を概略的に表す図である。
図2】光干渉データのサンプリング処理を表すタイミングチャートである。
図3】ガルバノ駆動ノイズの低減による効果を表す図である。
図4】ガルバノ駆動ノイズの低減による効果を表す図である。
図5】システムノイズ低減処理を表す図である。
図6】システムノイズ低減処理を表す図である。
図7】システムノイズ低減処理を表す図である。
図8】システムノイズ低減処理を表す図である。
図9】制御演算部により実行されるマイクロ断層可視化処理の流れを示すフローチャートである。
図10】第1の実験結果を表す図である。
図11】第2の実験の方法および結果を表す図である。
図12】第2の実験の方法および結果を表す図である。
図13】第2の実験の方法および結果を表す図である。
図14】第2の実験の方法および結果を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態は、OCTを用いるマイクロ断層可視化装置である。この装置は、光源、ビームスプリッタ、奥行方向走査部、横方向走査部、光検出装置、処理部および表示装置を備え、測定対象における所定の物理量を断層可視化する。「測定対象」は、皮膚や軟骨等の生体組織であってもよいし、再生皮膚や再生軟骨等の再生組織(培養細胞からなる組織)であってもよい。あるいは、内部に反射する構造(界面)がある材料であってもよい。
【0012】
この装置の光学系には、サンプルアームとリファレンスアームが設けられる。「ビームスプリッタ」はカプラーを含んでよい。奥行方向走査部は、サンプルアームに導かれた光を測定対象の奥行方向に走査させるいわゆるAスキャンを実行する。「奥行方向走査部」は、参照鏡の駆動による機械的走査によりAスキャンを実行するものでもよい。あるいは、分光器を用いたスペクトル干渉信号の逆フーリエ変換や、光源から出射するレーザの波長掃引のスペクトル干渉信号の逆フーリエ変換など、これらのソフト的走査によりAスキャンを実行するものでもよい。TD-OCT(Time Domain OCT)を採用する場合、「奥行方向走査部」はリファレンスアームに配置される光スキャナであってよい。SD-OCT(Spectral Domain OCT)が採用される場合、「奥行方向走査部」は分光器であってもよい。SS-OCT(Swept Source OCT)が採用される場合、「奥行方向走査部」は波長掃引光源であってよい。「横方向走査部」は、ガルバノミラー、レゾナントミラー、ポリゴンミラー等の各種ミラーを用いて光走査を行う光スキャナでよい。
【0013】
後述の実施例に示すように、リファレンスアームに配置する第1の光スキャナをレゾナントスキャナとし、サンプルアームに配置する第2の光スキャナをガルバノスキャナとしてもよい。第1の光スキャナの駆動によりAスキャンが実行され、奥行方向の一次元走査データ(「Aスキャンデータ」ともいう)が得られる。Aスキャンごとに第2の光スキャナを駆動することにより、奥行方向と垂直方向(横方向)の走査を含むBスキャンが実行され、二次元走査データ(「Bスキャンデータ」ともいう)が得られる。
【0014】
サンプルアームの物体光と、リファレンスアームの参照光とが合波(重畳)されて干渉光となり、光検出装置により検出される。この干渉光が光干渉信号として処理部に入力される。処理部は、光スキャナ(第2の光スキャナ)を断続的に駆動(ステップ駆動)し、その光スキャナの駆動中は光干渉信号(Aスキャンデータ)のサンプリングを停止する。言い換えれば、その光スキャナの停止中に光干渉信号の取得を実行する。光干渉信号の取得中にその光スキャナを停止させる。このため、取得される光干渉信号には、光スキャナ(第2の光スキャナ)の駆動に伴うノイズ(「光スキャナ駆動ノイズ」ともいう)が混入し難い。すなわち、この態様によれば、光スキャナ駆動ノイズを低減できる。
【0015】
処理部は、測定対象の内部組織の変形や変位によって生じる所定の物理量を、測定対象の断層位置に対応づけて演算し、その演算結果に基づいて物理量の断層分布を演算する。測定対象が生体組織である場合、「物理量」は血行動態(血流速度等)や組織液の流動(透水性)であってもよい。あるいは、粘弾性であってもよい。
【0016】
奥行方向走査部は、参照鏡を往復回動させる駆動回路と、参照鏡の回動に同期したパルス信号を出力する出力回路を含んでもよい。処理部は、そのパルス信号に基づくトリガ信号を取得する。トリガ信号は、参照鏡の一方向への回動開始で立ち上り、他方向への回動開始で立ち下がる矩形パルスでもよい。出力回路がパルス信号に基づいてトリガ信号を生成し、処理部に出力してもよい。あるいは、処理部が、出力回路から受け取ったパルス信号に基づいてトリガ信号を生成してもよい。
【0017】
処理部は、トリガ信号の立ち上がりおよび立ち下がりの一方を駆動トリガとして光スキャナの駆動を開始し、他方をサンプリングトリガとして光干渉信号(Aスキャンデータ)の取得を開始する。光スキャナは、サンプリングトリガがオンになると同時又はそれ以前に一旦停止し、トリガ信号が再びオンになると同時に駆動を再開する。それによりステップ駆動が実現される。Aスキャンデータ1回分のサンプリングは、駆動トリガがオンになると同時又はそれ以前に完了する。このような制御により、光スキャナの駆動中はAスキャンデータのサンプリングを停止できる。
【0018】
奥行方向走査部がレゾナントスキャナである場合、Aスキャンの実行時にシステムノイズが発生する。このシステムノイズは、レゾナントスキャナの駆動に起因するノイズのほか、光学機器や制御機器の応答遅れ(時定数)に起因するものを含む。また、光学系に依存する位相差の不安定性や、測定対象における体動等の揺らぎも含みうる。このため、処理部は、物理量の断層分布の演算処理においてそのシステムノイズを除去する。具体的には、処理部は、連続取得したAスキャンデータについて奥行方向の所定範囲の自己相関を演算し、その自己相関に基づいて位相差を算出してもよい。そして、算出された位相差に基づいてシステムノイズを算出してもよい。
【0019】
具体的には、処理部は、隣接する2ラインのAスキャンデータについて自己相関を順次演算し、その2ラインごとの位相差を演算してもよい。自己相関は、奥行方向所定範囲に積分範囲を設定する自己相関積分(Auto-Correlation Integral)であってもよい。この詳細については後述する。処理部は、2ラインを含む3ライン以上かつ設定ライン数未満の所定ライン区間において、所定の高剛性領域について領域平均位相差を算出する。「高剛性領域」は、剛体変位がなされる又は推定される領域として予め設定してもよい。例えば測定対象が皮膚である場合、表皮領域を高剛性領域として設定してもよい。あるいは、乗算相関値が基準値以上となる領域として設定してもよい。そして、2ラインごとの位相差から領域平均位相差を減算することにより、各ラインについてシステムノイズを算出してもよい。システムノイズは、各ラインにおいてショットノイズのように発生するため、領域平均位相差の算出過程で打ち消されて低減される。これを逆に利用し、2ライン間の位相差から領域平均位相差を減算することで、システムノイズを推定するものである。
【0020】
処理部は、上記所定ライン区間に対応するラインについて、各2ライン間について算出された位相差からシステムノイズを除去してもよい。そして、システムノイズ除去後の位相差に基づいてドップラー変調周波数を演算し、そのドップラー変調周波数に基づいて変位速度を算出してもよい。
【0021】
また、上記技術を利用したマイクロ断層可視化プログラムを構築してもよい。このプログラムは、測定対象の奥行方向に光を走査させるAスキャンを、奥行方向と垂直な方向に1ラインずつずらして繰り返し実行する機能と、Aスキャンによる光干渉データをサンプリングする機能と、Aスキャンを奥行方向と垂直な方向に1ラインずらす処理が行われる間、光干渉データのサンプリングを停止する機能と、サンプリングされた光干渉データに基づき、測定対象における物理量の断層分布を演算する機能と、測定対象における物理量を断層可視化する機能と、をコンピュータに実現させることができる。このプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。
【0022】
さらに、以下のマイクロ断層可視化プログラムを構築してもよい。このプログラムは、測定対象の奥行方向に光を走査させるAスキャンを、奥行方向と垂直な方向に1ラインずつずらしつつ繰り返し実行し、二次元断層画像を生成するための設定ライン数のAスキャンデータを得る機能と、隣接する2ラインのAスキャンデータについて自己相関を順次演算し、その2ラインごとの位相差を演算する機能と、2ラインごとの位相差に基づいて各ラインのシステムノイズを算出する機能と、各2ライン間について算出された位相差からシステムノイズを除去する機能と、システムノイズ除去後の位相差に基づいてドップラー変調周波数を演算する機能と、ドップラー変調周波数に基づいて変位速度を算出する機能と、変位速度に基づいて物理量の断層分布を表示する機能と、をコンピュータに実現させることができる。このプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。
【0023】
このプログラムは、さらに、2ラインを含む3ライン以上かつ設定ライン数未満の所定ライン区間において、所定の高剛性領域について領域平均位相差を算出する機能と、2ラインごとの位相差から領域平均位相差を減算することにより、各ラインのシステムノイズを算出する機能と、所定ライン区間に対応するラインについて、各2ライン間について算出された位相差からシステムノイズを除去する機能と、をコンピュータに実現させることができる。このプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態を具体化した実施例について詳細に説明する。
[実施例]
図1は、実施例に係るマイクロ断層可視化装置の構成を概略的に表す図である。本実施例の装置は、生体組織の血流速度をマイクロスケールにて断層計測し、可視化する。この断層計測のために、OCTによる検出を利用する。
【0025】
図1に示すように、OCT装置1は、光源2、サンプルアーム4、リファレンスアーム6、光学機構8,10、光検出装置12、処理部14および表示装置16を備える。各光学要素は、光ファイバにて互いに接続されている。なお、図示の例ではマイケルソン干渉計をベースとした光学系が示されているが、マッハツェンダー干渉計その他の光学系を採用することもできる。本実施例のOCTは、TD-OCT(Time Domain OCT)として実現されている。
【0026】
光源2は、スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode:以下「SLD」と表記する)からなる広帯域光源である。光源2から出射された光は、カプラー18にて分けられ、その一方がサンプルアーム4に導かれ、他方がリファレンスアーム6に導かれる。カプラー18は、光源2からの光をサンプルアーム4とリファレンスアーム6とに向けて分波する機能と、サンプルアーム4およびリファレンスアーム6のそれぞれから戻ってきた光を合波して干渉させる機能を有する。
【0027】
光学機構8は、コリメータレンズ30、ガルバノスキャナ32および対物レンズ34を含む。ガルバノスキャナ32は、2軸のガルバノミラーと、それらを駆動するガルバノ駆動回路36を含む。対物レンズ34は、測定対象(以下「対象W」という)に対向配置される。対象Wは、本実施例では皮膚などの生体組織である。以下、対象Wの奥行方向をz方向、これに垂直な方向をx方向およびy方向として説明する。
【0028】
カプラー18を経た光は、コリメータレンズ30を介してガルバノスキャナ32に導かれ、x方向やy方向に走査されて対象Wに照射される。この光は、対象Wの表面および断面にて反射して後方散乱光(反射光)となる。この反射光は、物体光として偏波コントローラ20を介してカプラー18に導かれる。偏波コントローラ20は、物体光がカプラー18に入射する際の偏光状態を調整する。
【0029】
光学機構10は、RSOD方式(Rapid Scanning Optical Delay Line)の機構である。本実施例ではこのRSODとして、光が後述の回折格子42に往復1回ずつ照射されるシングルパス型を採用しているが、往復2回ずつ照射されるダブルパス型を採用してもよい。光学機構10は、コリメータレンズ40、回折格子42、湾曲ミラー44およびレゾナントスキャナ46を含む。
【0030】
レゾナントスキャナ46は、参照鏡50と、参照鏡50を回動(励振)させるアクチュエータ52と、アクチュエータ52を駆動するレゾナント駆動回路54と、参照鏡50の回転速度を検出する速度センサ56を含む。レゾナントスキャナ46は、駆動コイルと機械共振を利用して高速走査を可能にした光スキャナである。速度センサ56は、ホール素子等を含む磁気センサであってもよく、参照鏡50の回転速度に応じたアナログ信号(正弦波信号)を出力する。
【0031】
カプラー18を経た光は、コリメータレンズ40を介して回折格子42に導かれる。この光は、回折格子42によって波長ごとに分光され、それぞれ湾曲ミラー44によって参照鏡50上の異なる位置に集光される。参照鏡50を微小角にて回動させることで、高速光路走査および周波数変調が可能となる。参照鏡50からの反射光は、参照光として偏波コントローラ22を介してカプラー18に導かれる。偏波コントローラ22は、反射された参照光が再びカプラー18に入射する際の偏光状態を調整する。物体光と参照光とはカプラー18にて合波(重畳)され、その干渉光が光検出装置12により検出される。なお、変形例においては、回折格子42を経た光を湾曲ミラー44に代えてレンズによって参照鏡50に集光してもよい。
【0032】
光検出装置12は、光検出器60およびフィルタ62を含む。カプラー18を経ることで得られた干渉光は、光検出器60にて光干渉信号として検出される。この光干渉信号は、フィルタ62によりノイズが低減され、処理部14に入力される。干渉光の一部は、サーキュレータ24を介して光検出器60に直接入力される。それにより、光干渉信号に重畳された同相ノイズを低減しその光干渉信号を増幅した後、さらにフィルタ62によって必要な周波数帯の信号のみを取り出す。
【0033】
処理部14は、制御演算部70、A/D変換器72およびD/A変換器74を含む。光検出装置12を経た光干渉信号は、A/D変換器72を介して制御演算部70に入力される。
【0034】
制御演算部70は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有する。制御演算部70は、これらのハードウェアおよびソフトウェアによって、光学系全体の制御と、OCTによる画像出力のための演算処理を行う。制御演算部70の指令信号は、D/A変換器74を介して光源2や光学機構8,10等の各駆動回路に入力される。後述のように、速度センサ56の検出信号(同期信号)は、レゾナント駆動回路54を介して処理部14に入力される。
【0035】
制御演算部70は、光検出装置12に入力された光干渉信号を処理し、OCTによる対象Wの断層画像を取得する。そして、その断層画像データに基づき、後述の手法により対象Wの内部の物理量(本実施例では血流速度)の断層分布を演算する。
【0036】
表示装置16は、例えば液晶ディスプレイからなり、制御演算部70にて演算された対象Wの内部の物理量(血流速度)を断層可視化する態様で画面に表示する。
【0037】
以下、血流速度の演算処理方法について詳細に説明する。
上述のように、OCTにおいて、サンプルアーム4を経た物体光(測定対象からの反射光)と、リファレンスアーム6を経た参照光とが合波され、光検出装置12により光干渉信号として検出される。制御演算部70は、この光干渉信号を干渉光強度に基づく対象Wの断層画像として取得できる。
【0038】
(基本演算処理)
OCTによりドップラー変調信号を検出することにより、皮膚組織の血流速度分布を算出できる。本実施例では上述のように、RSOD方式による奥行方向(z方向)走査手法を採用する。その際に高解像度かつ高精度、リアルタイムに流速検出を行うために、ヒルベルト変換および隣接自己相関法を適用する。
【0039】
OCTの光軸方向(奥行方向)の分解能であるコヒーレンス長lは、光源の自己相関関数によって決定される。ここでは、コヒーレンス長lを自己相関関数の包括線の半値半幅とし、下記式(1)にて表すことができる。
【数1】
ここで、λはビームの中心波長であり、Δλはビームの半値全幅である。
【0040】
一方、光軸垂直方向(ビーム走査方向)の分解能は、集光レンズによる集光性能に基づき、ビームスポット径Dの1/2とされる。そのビームスポット径ΔΩは、下記式(2)にて表すことができる。
【数2】
ここで、dは集光レンズに入射するビーム径、fは集光レンズの焦点距離である。
【0041】
なお、本実施例では中心波長λ=1310nm、半値全幅Δλ=100nmとし、コヒーレンス長l=7.56μmとした。また、ビームスポット径ΔΩ=41.0μmとされ、xy方向の分解能はΔx=Δy=20.5μmとした。A/D変換器72によるAスキャンデータのサンプリング周波数を20MHzとしている。断層画像については、z方向の分解能に基づいて7.56μm/pixelとしてサンプリング信号を平均化したものを表示する。本実施例では、また、z方向の走査距離を1162μmとし、x方向の走査数Jsetを400(つまりAスキャン400回)とした。変形例においては、これらの値を適宜変更してもよい。
【0042】
OCTにより取得される光干渉信号I(z)は、下記式(3)に示す畳み込み積分にて得られる。
【数3】
ここで、Iincは測定対象への照射光強度、r(z)は測定対象内部の奥行きz座標における反射係数、G(z)はコヒーレンス関数である。fRSODは参照鏡走査(Aスキャン)によって生じるドップラー変調周波数、fは対象Wの内部の組織変動または流動によって生じるドップラー変調周波数、vは参照鏡走査速度である。なお、「ドップラー変調周波数」とは、光の反射対象が変位したり、対象の屈折率が時間変化することで生じ、「ドップラー効果によりシフトする周波数」を意味する。
【0043】
光干渉信号I(z)に高速フーリエ変換を施し、下記式(2)のヒルベルト変換を適用することで周波数領域にてπ/2位相を遅らせたスペクトルS^(f)を取得する。このスペクトルS^(f)に逆フーリエ変換を施すことで解析信号Γ(t)=s(t)+is^(t)を得る。
【0044】
この解析信号の実部s(t)と虚部s^(t)の二乗和の平方根(瞬時振幅)は、OCT断層画像の信号強度(信号包絡線)を与える。ヒルベルト変換を用いることにより、瞬時振幅だけでなく瞬時位相を求めることもできる。その瞬時位相の時間微分から瞬時周波数も算出できる。このため、本実施例のように高周波変調された信号を処理する場合には特に有効である。これにより、ドップラー変調周波数の検出解像度を高め、高精度かつリアルタイムな検出を実現できる。
【数4】
【0045】
ここでは、対象Wの内部の変動によって発生するドップラー変調周波数fをリアルタイムに得るために隣接自己相関法が用いられる。すなわち、奥行きz方向走査(Aスキャン)によって取得される光干渉信号(RF干渉信号)に関し、x方向走査において隣接したj,j+1番目の解析信号をそれぞれΓ,Γj+1とする。このとき、Γj+1は下記式(5)にて表される。
【数5】
ここで、ΔTは光干渉信号の取得時間間隔、つまりAスキャンの時間間隔を表している。A(t)は光干渉信号の振幅(つまり後方散乱強度)を表す。隣接した光干渉信号の振幅は等しいと仮定し、A(t)=A(t+ΔT)とする。
【0046】
レゾナントスキャナ46による参照鏡50の走査(回転駆動)は周期的であるため、そのドップラー変調周波数fRSODは一定と仮定する。このとき、解析信号ΓとΓj+1との隣接自己相関によって導出される位相差φを用いると、ドップラー変調周波数fは下記式(6)から算出できる。なお、Γ はΓの複素共役である。下記式(6)は、ヒルベルト変換により瞬時位相の検出が可能であることを利用したものである。さらにAスキャンNライン分の位相差φi,jについてアンサンブル平均処理を施し、また、z方向にピクセル平均(ピクセルごとの平均)を施すことで、ドップラー変調周波数fの検出精度を向上できる。
【数6】
【0047】
このドップラー変調周波数fを用いて下記式(7)を演算することにより、血流速度vを得ることができる。
【数7】
ここで、λは光源の中心波長、nは対象Wの内部の屈折率、θは血流の方向とビームの入射方向とがなす角度である。
【0048】
(ノイズ除去処理)
上記基本演算処理により血流速度の断層可視化が可能となるものの、その断層画像には様々な要因によるノイズが含まれる点で改善の余地がある。本実施例では、このようなノイズの低減による画像の鮮明化を図る。具体的には、ガルバノスキャナの駆動に伴って生じるもの、およびレゾナントスキャナの駆動に伴って生じるものを低減対象とする。
【0049】
(1)ガルバノ駆動ノイズの低減
OCT断層画像を取得するに際しては、z方向のAスキャン(一次元走査)をx方向にずらしながら繰り返し実行することによりBスキャン(二次元走査)を実現する。Bスキャンをy方向にずらしながら繰り返すことにより、三次元画像を得ることもできる。対象Wに対して奥行方向(深さ方向、z方向)の一次元画像がAスキャン画像であり、複数のAスキャン画像を奥行方向と垂直方向に複数ライン並べて得られる二次元画像がBスキャン画像である。以下、Aスキャンによるサンプリングデータを「Aスキャンデータ」、Bスキャンによるサンプリングデータを「Bスキャンデータ」ともいう。
【0050】
発明者らの検証によれば、Aスキャンの実行中にBスキャンのためのx方向走査をすることでノイズが発生することが分かった(以下、このノイズを「ガルバノ駆動ノイズ」ともいう)。そこで本実施例では、ガルバノスキャナ32を断続的に駆動(ステップ駆動)し、ガルバノミラーの停止中にAスキャンデータをサンプリングする。
【0051】
図2は、光干渉データのサンプリング処理を表すタイミングチャートである。図2(A)は処理部14で実行される信号処理を示し、上段からレゾナント制御信号、レゾナント速度信号、レゾナントクロック信号、データ取得信号、A/Dトリガ信号、ガルバノ制御信号を示す。図2(B)は図2(A)のA部拡大図である。
【0052】
図2(A)に示すように、制御演算部70は、OCT処理の実行に際してレゾナント駆動回路54へレゾナント制御信号を出力し、レゾナントスキャナ46を駆動する(つまり参照鏡50を励振させる)。これに伴い、速度センサ56が参照鏡50の回転速度を検出し、その検出信号をレゾナント駆動回路54へ出力する。レゾナント駆動回路54は、その検出信号に基づく同期信号をD/A変換器74へ出力する。この同期信号には、レゾナント速度信号とレゾナントクロック信号が含まれる。
【0053】
レゾナント速度信号は、速度センサ56から出力されたアナログ信号(正弦波信号)である。一方、レゾナントクロック信号は、レゾナント駆動回路54がそのアナログ信号から生成したデジタル信号である。具体的には、参照鏡50の回転速度が負から正(一方向から他方向)に切り替わったタイミングで立ち上がり、正から負(他方向から一方向)に切り替わったタイミングで立ち下がる矩形波信号である。本実施例では、レゾナントスキャナ46の駆動周波数が4kHzとされているため、レゾナントクロック信号の周期は約250μsecとなる。
【0054】
本実施例では、D/A変換器74が、これらの同期信号のうちレゾナントクロック信号のみをA/D変換器72へ出力する(バイパスさせる)。なお、変形例においては、レゾナント駆動回路54が同期信号としてレゾナントクロック信号のみを出力してもよい。そのレゾナントクロック信号をD/A変換器74およびA/D変換器72のそれぞれに直接出力してもよい。
【0055】
制御演算部70は、光干渉信号の取得タイミングに合わせてデータ取得信号をA/D変換器72へ出力する。A/D変換器72は、データ取得信号がオンにされている間、光干渉信号を取り込み、制御演算部70へ出力する。レゾナントクロック信号をA/Dトリガ信号として使うこともできる。
【0056】
制御演算部70は、光検出装置12からA/D変換器72を介して入力される光干渉データ(光干渉信号)をサンプリングする。図2(B)にも示すように、D/A変換器74は、レゾナントクロック信号(A/Dトリガ信号)の立ち上がりをトリガとしてガルバノ駆動回路36へガルバノ制御信号を出力し、x方向走査用のガルバノミラーを駆動する。ガルバノ制御信号の出力値に応じてガルバノミラーの触れ角(回動角度)が制御される。制御演算部70は、また、A/Dトリガ信号の立ち下がりをトリガとして光干渉データのサンプリングを開始する。
【0057】
参照鏡50が一方向へ回動する間にx方向走査用のガルバノミラーが駆動され、x方向走査位置がAスキャン1ライン分移動した後、そのガルバノミラーの駆動が停止される。その後、参照鏡50が他方向へ回動する間にAスキャン1回分の光干渉データ(Aスキャンデータ)がサンプリングされる。すなわち、ガルバノスキャナ32が断続的にステップ駆動され、光干渉データのサンプリングがガルバノスキャナ32の停止中に実行される。このため、OCT断層画像にガルバノ駆動ノイズが重畳されることが防止又は抑制される。
【0058】
ところで、図2(B)に示すように、ガルバノ制御信号の立ち上がりには時定数が存在する。そこで実施例では、その信号出力から所定時間の遅れをもってサンプリングを開始する。それにより、1ライン分のx方向走査を確実に終えた後にガルバノミラーを停止させ、安定した状態で光干渉データを取得できる。なお、ガルバノ制御信号の時定数(ガルバノスキャナの機械的遅れ)とAスキャンを1回実行する時間の和に比べて、レゾナントスキャナ46の回転駆動の周期が長いことは言うまでもない。本実施例では、ガルバノ制御信号が立ち下がる前にガルバノミラーが停止される。
【0059】
制御演算部70は、Bスキャン1回が完了するごとにデータ取得信号をオフにし、サンプリングした光干渉データに基づく演算処理を実行する。データ取得信号をオンとする期間は、BスキャンのためにAスキャンデータを断続的に取得するためのデータ取得期間T1とされている。データ取得信号がオフである期間は、信号取得待機期間T2とされている。OCT断層画像を三次元表示する場合には、この待機期間T2を利用してy方向走査用のガルバノミラーを駆動する。
【0060】
図3および図4は、ガルバノ駆動ノイズの低減による効果を表す図である。図3(A)は、上述のようにガルバノスキャナをステップ駆動した本実施例の演算結果を示す。図3(B)は、ガルバノスキャナを一定速度で線形駆動した比較例の演算結果を示す。比較例の線形駆動では、光干渉データのサンプリングがガルバノスキャナ32の駆動中にも実行される。各図の上段がOCT断層画像を示し、下段がその断層画像に基づいて算出された血流速度の断層分布を示す。図4は、図3下段における表皮付近(破線領域)の血流速度演算結果のばらつきを示す。図4(A)は本実施例による演算結果のばらつきを示し、図4(B)は比較例による演算結果のばらつきを示す。
【0061】
ここでは、OCT装置1に対象Wとして生体皮膚組織模擬資料(以下「バイオスキン」という)をセットし、血流速度の断層分布を演算した。このバイオスキンには血流が存在せず、外的負荷がかけられることもないため、本来であれば全断層にわたって血流速度はゼロになる。
【0062】
図3に示すように、本実施例によれば血流速度がゼロとなる領域が比較的大きく安定的に得られた。これに対し、比較例では本来ないはずの血流速度の分布がみられる。図4によれば、本実施例のほうが比較例よりも標準偏差が小さく抑えられている。すなわち、本実施例によるガルバノ駆動ノイズの低減が、血流速度の演算結果に有効に表れていることが分かる。
【0063】
(2)システムノイズの低減
上述のように、ガルバノスキャナ32をステップ駆動とし、その駆動停止中にサンプリングを行うことでノイズ低減が可能になる。しかし、図3(A)に示したように依然としてノイズは残存する。そこで、発明者らによりさらなる検証を行ったところ、レゾナントスキャナ46の駆動時にシステムノイズが混入していることが推察された。すなわち、レゾナントスキャナは電磁駆動により作動するため、二次誘導の発生等によりその走査周期に数100ピコ秒程度の変動が発生する。これがシステムノイズの一要因になっていると考えられる。本実施例では、以下の手法によりこのシステムノイズを低減する。
【0064】
図5図8は、システムノイズ低減処理を表す図である。図5および図6は、演算過程で得られる断層画像の例を示す。各図の横軸はx方向位置、縦軸はz方向位置を示す。図7および図8は、演算結果のばらつきを示す。各図の横軸は検出された血流速度、縦軸はその検出数を示す。以下、図5図8を適宜参照しつつ説明する。
【0065】
なお、図示の例は、OCT装置1に対象Wとしてバイオスキンをセットし、血流速度の断層分布を演算した結果を示す。このバイオスキンには血流がなく、外的負荷をかけることもないため、本来であれば血流速度はゼロになるはずである。
【0066】
図5(A)は、OCTにより取得されるBスキャン断層画像を示す。本実施例では、断層画像をAスキャンごとにリアルタイム表示する。このため、実際には同図の左側(x座標がゼロの位置)から右側へ徐々に表示されるところ、説明の便宜上二次元画像を示す(以下同様)。
【0067】
本実施例では、上記式(6)に示したサンプリング点ごとの自己相関(以下「ポイント自己相関」ともいう)に代えて、下記式(8)に示す積分型の自己相関(相関積分による自己相関:以下「自己相関積分」ともいう)を演算する。図5(B)はその自己相関積分の結果を示す。ここでは、隣接する2ラインのAスキャンデータについて自己相関を演算する際、奥行方向(z方向)に積分区間(-t/2≦t≦t/2)を設け、位相差の算出揺らぎを低減させる。その後、後述のように、その積分区間においてz座標の任意位置におけるドップラー変調周波数fを決定する。この積分区間の設定によってノイズを低減する程度を調整できる。
【数8】
ここで,Ri,jは座標(i,j)に対応する自己相関係数を表している。
【0068】
位相差φi,jを求めるに際し、下記式(9)によりAスキャンNライン分のアンサンブル平均を行うことにより、各ラインにおいてショットノイズのように揺らぐシステムノイズ(後述)を抑制できる。
【数9】
上記式(9)から得られるドップラー変調周波数fを用いて上記式(7)を演算することにより、血流速度vを得ることができる。
【0069】
ところで、上記式(9)のアンサンブル平均を施す場合、ライン数Nの増大はx,y方向の空間解像度の低減や、フレームレート(つまり時間解像度)の低減につながる。そこで、上記アンサンブル平均を施す前に、2ライン間の干渉信号の位相差φi,jからシステムノイズeを推定して除去する。
【0070】
すなわち、下記式(10)により、2ライン間のAスキャンデータについて、対象Wの組織の変位(本実施例では血流)によって発生した位相差φi,j を検出できる。
【数10】
ここで、位相差φi,jは、上記式(8)および(9)に基づき、2ライン間の自己相関積分にて得られる位相差である。この位相差φi,jからシステムノイズeを除去することにより位相差φi,j を得る。
【0071】
このシステムノイズeの推定には、下記式(11)に示すように2ライン間の自己相関積分により得られる領域平均位相差φ を用いる。
【数11】
ここで、領域平均位相差φ は、対象Wにおいて剛体変位と仮定できる高剛性領域の位相差を表し、システムノイズのように各ラインにおいてショットノイズのように突発的(ランダム)に発生するノイズがその平均処理で低減されたものである。このため逆に、2ライン間の位相差φi,jから領域平均位相差φ を減算することでシステムノイズeを推定できる。
【0072】
「高剛性領域」は、他の領域よりも剛性が高く、剛体変位がなされる又は推定される領域である。この高剛性領域は、他の領域と比較して乗算相関値(|R|=Πj=1 |Rij|)が高い傾向にある。このため、本実施例では、例えば乗算相関値が0.7以上の領域を「高剛性領域」とする。「剛体変位」は、例えば体動による変位が考えられる。図5(C)は、乗算相関値の分布を例示する。
【0073】
S,Nは、それぞれ高剛性領域を特定するz方向、x方向の領域を表し、領域S×Nを窓とする領域が領域平均位相差φ を求めるべき領域とされる。すなわち、領域Sは、高剛性領域(例えば皮膚では表皮)についてz方向に設定されるサンプリング領域を意味し、本実施例ではピクセル数(例えばS=5ピクセル)にて表される。領域Nは、x方向に設定される領域(窓幅)を意味し、本実施例では上記式(9)のライン数Nが設定される。ただし、ライン数N(例えばN=5ライン)はx方向の走査数Jset(Bスキャンデータ1フレーム分のAスキャン数)よりも十分に小さい値とする(N≪Jset)。
【0074】
なお、領域平均位相差φ は領域S×Nを移動して求められるため、下記式(12)に示すように、x方向への領域移動ごとに算出されたシステムノイズeをオーバーラップ領域S×(N-1)にて平均化して与えている。図5(D)は、このようにして得られるシステムノイズeの演算結果を示す。
【数12】
【0075】
下記式(13)に従って2ライン間の位相差φi,jからシステムノイズeを除去し、AスキャンNライン分のアンサンブル平均を施すことで、対象Wの内部の変形挙動(変位速度)による位相差φi,j を算出する。
【数13】
【0076】
このようにして得られた位相差φi,j を用いてドップラー変調周波数f=φi,j /2πを求め、上記式(7)を演算することにより血流速度vを得ることができ、その断層分布を表示できる。なお、上記式(13)について、位相差φi,jとシステムノイズeとの差の絶対値を用いてアンサンブル平均を行ってもよい。動脈と静脈で血流に方向性があるような場合、アンサンブル平均により位相差そのものが打ち消されることを防止できる。また、血流が存在する領域は自己相関が低くなることから、この断層表示を低自己相関領域に限定して行ってもよい。具体的には、乗算相関値が所定値以下(例えば0.7未満の領域)について上記式(13)の演算処理を行ってもよい。
【0077】
図6(A)は、位相差φi,jとシステムノイズeとの差の絶対値を示す。図6(B)は、その絶対値を用いて上記式(13)のアンサンブル平均を行い、血流速度vを演算した結果を示す。図6(C)は、さらに低相関領域(乗算相関値が0.7未満)について得た血流速度vの断層分布を示す。
【0078】
図7(A)および(B)は、システムノイズeを減算する前の位相差分布に基づいて血流速度を算出した場合を例示する。図7(A)は、比較例として上記式(6)に基づくポイント自己相関を用いた場合を示す。図7(B)は、実施例として上記式(8)に基づく自己相関積分を用いた場合を示す。両図において、速度ゼロ付近にピークをもつ演算結果が血流速度を示し、その両側にピークをもつ演算結果がシステムノイズを示している。
【0079】
これらの図を比較して明らかなように、本実施例によれば、比較例よりも血流速度とシステムノイズとを明確に識別できる。このため、上記式(13)に基づき、システムノイズeを減算した場合には図7(C)に示すように、血流速度vを精度よく検出できる。
【0080】
図8は、上記式(11),(12)についてライン数Nを変化させた場合を示す。図8(A)はN=2とした場合、図8(B)はN=6とした場合を示す。これらを比較すると、ライン数Nを大きくするほど、血流速度vをより高精度に検出できることが分かる。
【0081】
次に、制御演算部70が実行する具体的処理の流れについて説明する。
図9は、制御演算部70により実行されるマイクロ断層可視化処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、所定の演算周期で繰り返し実行される。制御演算部70は、光源2および光学機構8,10を駆動制御しつつ、OCTによる光干渉信号を取得する。
【0082】
制御演算部70は、まず、RAMの所定領域に記憶されるAスキャン回数Jscanおよび取得ライン数Jをそれぞれゼロクリアしておく(S10,S12)。ここで、「Aスキャン回数Jscan」は、Bスキャンを実行する過程でなされたAスキャンの実行回数に対応する。「取得ライン数J」は、血流速度のリアルタイム表示ごとにカウントされるAスキャンデータの取得回数に対応する。続いて、Aスキャンデータを1ライン分読み込み(S14)、Aスキャン回数Jscanおよび取得ライン数Jをそれぞれインクリメントする(S16)。
【0083】
制御演算部70は、その1ライン分のAスキャンデータに対して高速フーリエ変換を施して周波数解析する(S18)。続いて、光学機構10での変調周波数に対応づけるようにバンドパスフィルタリング処理を実行して信号SN比を向上させた後(S20)、ヒルベルト変換を実行する(S22)。このとき、Aスキャン回数Jscanが2ラインに満たなければ(S24のN)、S14に戻る。
【0084】
制御演算部70は、Aスキャン回数Jscanが2ライン以上であれば(S24のY)、S22のヒルベルト変換によって得られた解析信号を用いて、隣接する2ライン分のAスキャンデータについて上記式(8)に基づく自己相関積分を実行する。また、上記式(9)に基づいて2ライン間の位相差φi,jを算出する(S26)。このとき、位相差φi,jが算出されたライン数Jがアンサンブル平均を行うための設定ラインN(例えば5ライン)に到達していなければ(S28のN)、S14に戻る。このとき、S16により取得ライン数Jがインクリメントされるごとに、自己相関積分される2ライン(隣接するAスキャンデータの組み合わせ)はx方向にシフトされていく。
【0085】
制御演算部70は、取得ライン数JがNラインに到達していれば(S28のY)、そのNライン分のAスキャンデータについて隣接する2ラインごとに乗算相関値|R|を演算する(S30)。乗算相関値|R|が基準値|R|set(例えば0.7)以上の領域を、高剛性領域(S×N)として設定する。そして、この高剛性領域について上記式(11)に基づき領域平均位相差φ を演算し(S32)、上記式(12)に基づいてシステムノイズeを算出する(S34)。続いて、上記式(13)に基づき、各2ライン間の位相差φi,jからそのシステムノイズeをそれぞれ除去し、そのNライン分についてアンサンブル平均を施す(S36)。それにより、対象Wの内部の変形挙動による位相差φi,j の分布を算出できる。
【0086】
制御演算部70は、その位相差φi,j を用いてドップラー変調周波数fを算出し(S38)、上記式(7)を演算することにより変位速度vを得る(S40)。その変位速度vの分布を血流速度分布として断層表示する(S42)。このとき、Aスキャン回数JscanがBスキャン1回分のライン数Jset(本実施例では400ライン)に到達していなければ(S44のN)、S14に戻る。Aスキャン回数JscanがJsetラインに到達していれば(S44のY)、本処理を一旦終了する。
【0087】
本実施例によれば、AスキャンがNライン分なされるごとに血流速度分布が順次表示される。このライン数NをBスキャン1回分のライン数Jsetよりも十分に小さくしている(N≪Jset)。
【0088】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
以下、上述したマイクロ断層可視化処理によるノイズの低減効果を検証するために行った2種類の実験結果について説明する。これらの実験では、対象Wのモーションの影響を考慮するため、光学機構8に図示略の負荷機構(ピエゾアクチュエータ)を並設し、対象Wに周期的な負荷を与えた。具体的には、対象Wをバイオスキンとしてその表面に圧電素子を接触させ、片側振幅40μm、周波数0.25Hzの正弦波駆動力を付与した。
【0089】
(検証実験1)
検証実験1では、負荷機構を制御しつつ、対象Wの内部におけるz方向の変位速度(血流速度)の平均値(平均変位速度)を算出した。対象Wがバイオスキンであるため、本来であればその変位速度は負荷機構による表面の平均変位速度(58μm/s程度)と同等になるはずである。
【0090】
図10は、第1の実験結果を表す図である。図10(A)は、第1比較例として上記式(6)に基づくポイント自己相関を用いた場合であってシステムノイズeを除去しない場合を示す。図10(B)は、第2比較例として上記式(8)基づく自己相関積分を用いた場合であってシステムノイズeを除去しない場合を示す。図10(C)は、本実施例として上記式(8)基づく自己相関積分を用いた場合であってシステムノイズeを除去した場合を示す。各図の左側は設定ライン数Nを11ラインとした場合を示し、右側は5ラインとした場合を示す。各図の横軸はz方向位置を示し、縦軸は算出された変位速度(血流速度)を示す。
【0091】
図10(A)と(B)の比較により、ポイント自己相関を用いるよりも自己相関積分を用いる場合のほうが、変位速度のばらつきを効果的に抑制できることが分かる。一方で、いずれの場合にも、設定ライン数N、つまりアンサンブル平均をとるライン数を多くしたほうが、そのばらつきをより小さくできる。
【0092】
そして図10(C)に示す本実施例によれば、さらに変位速度のばらつきを抑制できる。設定ライン数Nを小さく設定しても、ばらつきの差も小さく抑えられる。また、検出される変位速度の平均値が真値と良好に一致している(確度高い)。言い換えれば、設定ライン数Nを少なくしても、変位速度を高精度に得られることが分かる。このことは、OCT検出によるリアルタイム処理化に加え、変位速度検出の空間解像度の向上に都合が良いことを意味する。
【0093】
(検証実験2)
検証実験2では、負荷機構により対象Wの表面の変位速度を大きく変化させている時刻において、変位速度の断層分布を演算した結果を示す。対象Wがバイオスキンであるため、本来であればその変位速度も負荷機構による表面の変位速度(65μm/sから35μm/s程度まで徐々に減少)と同等になるはずである。
【0094】
図11図14は、第2の実験の方法および結果を表す図である。
図11(A)は、負荷装置の制御過程を示す。同図の横軸は時間の経過を示し、縦軸は負荷機構による変位速度を示す。図11(B)および(C)は、実験過程で得られるOCT画像を例示する。図11(A)において、正弦波形は圧電素子の変位を表し、矩形パルスはBスキャン1回分のフレーム取得タイミングを示す。本実験では、点線枠で示された時間のフレーム(Bスキャン画像)、つまり対象Wの変位速度が大きく変化するフレームについての演算結果を示す。
【0095】
図12図14は、実験過程で得られた演算結果を示す。図12(A)は、OCTにより取得されるBスキャン断層画像を示す。図12(B)は、自己相関積分により得られた位相差φi,jを示す。図12(C)は、対象Wの表面付近に設定した領域平均位相差φ を示す。図13(A)は位相差φi,jから領域平均位相差φ を減算した差分画像を示し、図13(B)はその差分画像に基づくシステムノイズeの演算結果を示す。図12(B)に示した位相差分布から図13(B)に示したシステムノイズを除去すると、図13(C)に示す変位速度による位相差φi,j の分布が得られる。この位相差分布についてアンサンブル平均を施してドップラー変調周波数fを求め、変位速度を演算することにより、図14(A)に示す血流速度の断層分布が得られる。図14(B)は、その断層分布から得られる平均変位速度を表している。この結果は、上述した負荷機構による変位速度と整合している。すなわち、本実施例によるマイクロ断層可視化処理の有効性が確認された。
【0096】
以上説明したように、本実施例によれば、ガルバノ駆動ノイズの低減に加え、システムノイズの低減がなされ、変位速度を高精度に算出できるようになる。すなわち、光学機構の特性に起因するノイズを効果的に低減でき、OCTによる物理量の検出精度を向上させることができる。
【0097】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はその特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0098】
上記実施例では、測定対象を生体組織とし、物理量として血流速度を演算する例を示した。変形例においては、負荷機構による負荷を作用させつつ、変位速度を算出することにより、物理量として粘弾性を演算してもよい。また、測定対象を再生組織(培養細胞)などとしてもよい。上記装置はリアルタイム性を実現しやすいため、例えば生体の再生治療に適用し、組織の生着性をモニタリングしてもよい。上記装置は、軟骨診断や皮膚診断等の医療分野だけでなく、美容整形分野やコズメティック産業分野など、様々な用途および分野に応用できる。また、測定対象を高分子基材料(樹脂材料)とし、物理量として粘弾性等を演算してもよい。
【0099】
上記実施例では、OCTによる断層画像を二次元で取得する例を示したが、三次元で取得してもよい。すなわち、奥行方向(z方向)とx方向のみならず、y方向に走査し、組織の物理量を断層可視化してもよい。
【0100】
上記実施例ではTD-OCTを採用したが、SS-OCT(Swept Source OCT)、SD-OCT(Spectral Domain OCT)その他のOCTを採用してもよい。
【0101】
なお、本発明は上記実施例や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施例や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施例や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 OCT装置、2 光源、4 サンプルアーム、6 リファレンスアーム、8 光学機構、10 光学機構、12 光検出装置、14 処理部、16 表示装置、18 カプラー、30 コリメータレンズ、32 ガルバノスキャナ、34 対物レンズ、36 ガルバノ駆動回路、40 コリメータレンズ、42 回折格子、44 湾曲ミラー、46 レゾナントスキャナ、50 参照鏡、52 アクチュエータ、54 レゾナント駆動回路、56 速度センサ、60 光検出器、62 フィルタ、70 制御演算部、W 測定対象。
図1
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