(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】保持装置及び保持システム
(51)【国際特許分類】
F16M 11/14 20060101AFI20221111BHJP
F16M 11/04 20060101ALI20221111BHJP
F16M 11/00 20060101ALI20221111BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20221111BHJP
F16M 13/02 20060101ALI20221111BHJP
B64G 1/10 20060101ALI20221111BHJP
B64G 1/64 20060101ALI20221111BHJP
B64G 4/00 20060101ALI20221111BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
F16M11/14 C
F16M11/14 Z
F16M11/04 C
F16M11/04 L
F16M11/00 A
F16M13/00 S
F16M13/02 D
B64G1/10 500
B64G1/64 100
B64G4/00 105
H04N5/222 100
(21)【出願番号】P 2019069082
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 恵佑
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-141900(JP,A)
【文献】特開昭62-116400(JP,A)
【文献】特開2003-185088(JP,A)
【文献】特開2004-050154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16M 11/00 - 13/08
B64G 1/10
B64G 1/64
B64G 4/00
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準方向の第1の側を向く第1凹面又は第1凸面を有するガイド部材と、
前記ガイド部材を前記基準方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材と前記ガイド部材との間に、前記基準方向に反発力を発生させる反発力発生部と、
前記支持部材に設けられ、前記ガイド部材の前記第1凹面又は前記第1凸面に接触した対象部材との間で吸引力を発生させて、前記反発力に抗して、前記対象部材及び前記ガイド部材を前記基準方向の第2の側に吸引する第1吸引部と、
を備え、
前記基準方向に見たときに、前記第1凹面又は前記第1凸面の外縁内に前記第1吸引部が配置されている保持装置。
【請求項2】
前記反発力発生部は、
前記支持部材に取付けられた第1磁石と、
前記ガイド部材に取付けられ、前記第1磁石に対して前記反発力を発生させる第2磁石と、
を有する請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記第1凹面又は前記第1凸面は、球面の一部である請求項1又は2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記吸引力の大きさを調節する吸引力調節部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記吸引力調節部は、前記ガイド部材に対して前記第1吸引部を前記基準方向に移動させる請求項4に記載の保持装置。
【請求項6】
前記第1吸引部は、電磁石であり、
前記吸引力調節部は、前記電磁石に供給する電力を調節する請求項4に記載の保持装置。
【請求項7】
対象部材に取付けられる補助具と、
前記補助具との間で吸引力を発生させる保持装置と、
を備え、
前記保持装置は、
基準方向の第1の側を向く第1凹面又は第1凸面を有するガイド部材と、
前記ガイド部材を前記基準方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材と前記ガイド部材との間に、前記基準方向に反発力を発生させる反発力発生部と、
前記支持部材に設けられ、前記ガイド部材の前記第1凹面又は前記第1凸面に接触した前記補助具との間で前記吸引力を発生させて、前記反発力に抗して、前記補助具及び前記ガイド部材を前記基準方向の第2の側に吸引する第1吸引部と、
を有し、
前記補助具は、
前記第1凹面に係合する第2凸面又は前記第1凸面に係合する第2凹面と、
前記第1吸引部との間で前記吸引力を発生させる第2吸引部と、
を有し、
前記基準方向に見たときに、前記第1凹面又は前記第1凸面の外縁内に前記第1吸引部が配置され、
前記第2凸面又は前記第2凹面の外縁の内側に前記第2吸引部が配置されている保持システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置及び保持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、離れた位置にある対象部材を引き寄せて保持するための保持装置として、特許文献1の保持装置が知られている。特許文献1の保持装置では、オス側とワイヤ支持部との間に配置されたガイドワイヤに、メス側を係合させる。ガイドワイヤに沿って、オス側とメス側とを相対的に移動させる。オス側とメス側が正対したら、メス側の電磁石によりオス側の結合ピンをメス側に引きつけ、結合ピンをメス側のラッチピンに係止させる。以上の工程により、オス側にメス側を結合させる。
【0003】
また、保持装置が対象部材を保持する際の反動を抑えるために、特許文献2の保持装置のように、磁気による吸引力及び反発力を利用する方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-109734号公報
【文献】特表2013-514532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸引力及び反発力を用いて対象部材を保持する際の反動を抑えても、対象部材の向きを所望の向きに調節したうえで保持することはできない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、対象部材の向きを所望の向きに調節したうえで、反動を抑えて対象部材を保持することができる保持装置及び保持システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の保持装置は、基準方向の第1の側を向く第1凹面又は第1凸面を有するガイド部材と、前記ガイド部材を前記基準方向に移動可能に支持する支持部材と、前記支持部材と前記ガイド部材との間に、前記基準方向に反発力を発生させる反発力発生部と、前記支持部材に設けられ、前記ガイド部材の前記第1凹面又は前記第1凸面に接触した対象部材との間で吸引力を発生させて、前記反発力に抗して、前記対象部材及び前記ガイド部材を前記基準方向の第2の側に吸引する第1吸引部と、を備え、前記基準方向に見たときに、前記第1凹面又は前記第1凸面の外縁内に前記第1吸引部が配置されていることを特徴としている。
【0008】
この発明を、例えばガイド部材が第1凹面を備え、対象部材が、第1凹面に係合する第2凸面と、第1吸引部との間で吸引力を発生させる第2吸引部と、を備え、対象部材がガイド部材に対する基準方向の第1の側に配置されている場合で説明する。保持装置は、宇宙空間等の、地上よりも重力が小さい環境で好適に用いられる。
【0009】
第1吸引部と第2吸引部との間で吸引力が発生することで、対象部材の第2吸引部が保持装置に対して基準方向の第2の側に吸引される。この際に、対象部材の中で第2吸引部が基準方向の第2の側の端部に配置されるように、対象部材の向きが変化していく。
対象部材の第2吸引部が第1吸引部に吸引されると、基準方向に見たときに第1凹面の外縁内に第1吸引部が配置されているため、第2吸引部が第1凹面の中央部に向かって吸引され、保持装置の第1凹面に対象部材の第2凸面が係合する。ガイド部材、及びガイド部材の第1凹面に係合して第1凹面に接触した対象部材は、反発力発生部による反発力に抗して、吸引力により支持部材に対して基準方向の第2の側に吸引される。ガイド部材及び対象部材が支持部材に対して基準方向の第2の側に吸引される際にも、第1吸引部と第2吸引部との間で吸引力が発生することで、第1凹面及び第2凸面の形状に応じて、第1凹面に第2凸面が係合した状態で、対象部材の中で第2吸引部が基準方向の第2の側の端部に配置されるように、対象部材の向きがさらに変化し、対象部材の向きが所望の向きになる。
【0010】
ガイド部材及び対象部材が一体となって支持部材に対して基準方向の第2の側に移動する中で、例えば保持装置の第1吸引部と第2吸引部との間に作用する吸引力の大きさと、保持装置の反発力発生部により作用する反発力の大きさと、が等しくなる基準方向の位置で、支持部材に対するガイド部材及び対象部材の基準方向の位置が保持される。この際に、反発力発生部により作用する反発力により、支持部材に対してガイド部材及び対象部材が基準方向の第2の側に移動する速度が抑えられ、保持装置により保持する際の反動を抑えて対象部材を保持することができる。
一方で、ガイド部材が第1凸面を備える場合でも、対象部材が、第1凸面に係合する第2凹面と、第1吸引部との間で吸引力を発生させる第2吸引部と、を備えている場合に、上記と同様の作用効果により、対象部材の向きを所望の向きに調節したうえで、保持装置により保持する際の反動を抑えて対象部材を保持することができる。
【0011】
また、上記の保持装置において、前記反発力発生部は、前記支持部材に取付けられた第1磁石と、前記ガイド部材に取付けられ、前記第1磁石に対して前記反発力を発生させる第2磁石と、を有してもよい。
この発明によれば、第1磁石と第2磁石との間に発生する反発力の大きさは、第1磁石と第2磁石との距離の2乗に反比例する。例えば弾性体により発生する反発力の大きさに比べて、第1磁石と第2磁石との距離が短くなるに従い反発力を急激に大きくし、保持装置により保持する際の反動を効果的に抑えることができる。
【0012】
また、上記の保持装置において、前記第1凹面又は前記第1凸面は、球面の一部であってもよい。
この発明によれば、第1凹面と第2凸面との間に、回転方向に対して幾何的な拘束がないため、第1凹面に係合した対象部材の第2凸面が、第1凹面に接触した状態で、第1凹面に対して容易に向きを変化させることができる。
ガイド部材が第1凸面を備える場合でも、同様の作用により、第1凸面に係合した対象部材の第2凹面が、第1凸面に接触した状態で、第1凸面に対して容易に向きを変化させることができる。
【0013】
また、上記の保持装置において、前記吸引力の大きさを調節する吸引力調節部を備えてもよい。
この発明によれば、保持装置が対象部材を保持した状態で、吸引力調節部により第1吸引部と対象部材との間で発生する吸引力の大きさを小さくすることで、吸引力の大きさが反発力発生部により作用する反発力の大きさよりも小さくなり、支持部材に対してガイド部材及び対象部材が基準方向の第1の側に移動する。支持部材に対してガイド部材が基準方向の第1の側への移動を止めると、対象部材に作用する慣性力が吸引力の大きさよりも大きい場合等には、保持装置から対象部材を基準方向の第1の側に解放することができる。
【0014】
また、上記の保持装置において、前記吸引力調節部は、前記ガイド部材に対して前記第1吸引部を前記基準方向に移動させてもよい。
この発明によれば、ガイド部材に係合した対象部材と第1吸引部との基準方向の距離を調節することで、第1吸引部と対象部材との間に発生する吸引力の大きさを調節することができる。
【0015】
また、上記の保持装置において、前記第1吸引部は、電磁石であり、前記吸引力調節部は、前記電磁石に供給する電力を調節してもよい。
この発明によれば、電磁石に供給する電力を調節することで、第1吸引部と対象部材との間に発生する吸引力の大きさを調節することができる。
【0016】
また、本発明の保持システムは、対象部材に取付けられる補助具と、前記補助具との間で吸引力を発生させる保持装置と、を備え、前記保持装置は、基準方向の第1の側を向く第1凹面又は第1凸面を有するガイド部材と、前記ガイド部材を前記基準方向に移動可能に支持する支持部材と、前記支持部材と前記ガイド部材との間に、前記基準方向に反発力を発生させる反発力発生部と、前記支持部材に設けられ、前記ガイド部材の前記第1凹面又は前記第1凸面に接触した前記補助具との間で前記吸引力を発生させて、前記反発力に抗して、前記補助具及び前記ガイド部材を前記基準方向の第2の側に吸引する第1吸引部と、を有し、前記補助具は、前記第1凹面に係合する第2凸面又は前記第1凸面に係合する第2凹面と、前記第1吸引部との間で前記吸引力を発生させる第2吸引部と、を有し、前記基準方向に見たときに、前記第1凹面又は前記第1凸面の外縁内に前記第1吸引部が配置され、前記第2凸面又は前記第2凹面の外縁の内側に前記第2吸引部が配置されていることを特徴としている。
【0017】
この発明を、例えばガイド部材が第1凹面を備え、補助具が第2凸面を備え、対象部材に取付けられた補助具がガイド部材に対する基準方向の第1の側に配置されている場合で説明する。
第1吸引部と第2吸引部との間で吸引力が発生することで、補助具の第2吸引部が保持装置に対して基準方向の第2の側に吸引される。この際に、補助具の中で第2吸引部が基準方向の第2の側に配置されるように、補助具及び対象部材の向きが変化していく。
補助具の第2吸引部が第1吸引部に吸引されると、基準方向に見たときに第1凹面の外縁内に第1吸引部が配置されているため、第2凸面の外縁の内側に配置された第2吸引部が第1凹面の中央部に向かって吸引され、保持装置の第1凹面に補助具の第2凸面が係合する。ガイド部材、及びガイド部材の第1凹面に係合して第1凹面に接触した補助具は、反発力発生部による反発力に抗して、吸引力により支持部材に対して基準方向の第2の側に吸引される。ガイド部材及び補助具が支持部材に対して基準方向の第2の側に吸引される際にも、第1吸引部と第2吸引部との間で吸引力が発生することで、第1凹面及び第2凸面の形状に応じて、第1凹面に第2凸面が係合した状態で、補助具の中で第2吸引部が基準方向の第2の側に配置されるように、補助具及び対象部材の向きがさらに変化し、対象部材の向きが所望の向きになる。
【0018】
ガイド部材及び補助具が一体となって支持部材に対して基準方向の第2の側に移動する中で、例えば保持装置の第1吸引部と第2吸引部との間に作用する吸引力の大きさと、保持装置の反発力発生部により作用する反発力の大きさと、が等しくなる基準方向の位置で、支持部材に対するガイド部材、補助具、及び対象部材の基準方向の位置が保持される。この際に、反発力発生部により作用する反発力により、支持部材に対してガイド部材、補助具、及び対象部材が基準方向の第2の側に移動する速度が抑えられ、保持装置により保持する際の反動を抑えて対象部材を保持することができる。
一方で、ガイド部材が第1凸面を備え、補助具が第2凹面を備えている場合に、上記と同様の作用効果により、対象部材の向きを所望の向きに調節したうえで、保持装置により保持する際の反動を抑えて対象部材を保持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の保持装置及び保持システムによれば、対象部材の向きを所望の向きに調節したうえで、反動を抑えて対象部材を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態の保持装置を模式的に示す断面図である。
【
図2】同保持装置が対象部材を保持する工程を模式的に説明する断面図である。
【
図3】同保持装置が対象部材を保持する工程を模式的に説明する断面図である。
【
図4】同保持装置が対象部材を解放する工程を模式的に説明する断面図である。
【
図5】同保持装置が対象部材を解放する工程を模式的に説明する断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態の保持装置が用いられる人工衛星を模式的に示す断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態の変形例における保持装置が用いられる人工衛星を模式的に示す断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態の保持システムを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る保持装置の第1実施形態を、
図1から
図5を参照しながら説明する。保持装置は、宇宙空間等の、地上よりも重力が小さい環境で好適に用いられる。
図1に示す本実施形態の保持装置1は、対象部材100を保持し、保持した対象部材100を解放するのに用いられる。なお、
図1以下では、対象部材100の一部を破断して示している。
対象部材100は、本体101と、永久磁石である第2吸引部102と、図示しない第2電極と、撮像部と、充電池と、を備えている。
【0022】
本体101は、不透明の樹脂等の非磁性体で、球殻状に形成されている。本体101の外面の一部は、第2凸面101aである。第2凸面101aは、球面の一部であり、半球以下の曲面である。本体101における第2凸面101aの中心に位置する部分には、本体101の外面から径方向の内側に向かって凹んだ窪み101bが形成されている。窪み101bは、第2凸面101aの外縁の内側に配置されている。
本実施形態では、本体101における第2凸面101aとは異なる部分に、窓孔101cが形成されている。窓孔101cは、本体101の壁部を径方向に貫通している。窓孔101cには、透明の樹脂等の非磁性体で形成された窓部104が固定されている。本体101及び窓部104は、全体として球殻状に形成されている。
【0023】
第2吸引部102は、第1磁極(例えばN極)及び第2磁極(例えばS極)を備えている。第2吸引部102は、本体101の窪み101b内に、第1磁極が径方向の外側を向くように配置されている。第2吸引部102は、第2凸面101aの外縁の内側に配置されている。より詳しくは、第2凸面101aの外縁を含む面上におけるこの外縁の中心から、第2凸面101aの面上における中心に向かう方向に見たときに、第2吸引部102は、第2凸面101aの外縁の内側に配置されている。
第2吸引部102の中心には、図示しない孔が形成されている。すなわち、第2吸引部102は、リング状に形成されている。
【0024】
第2電極は、第2吸引部102の孔内に配置されている。
撮像部及び充電池は、本体101内に配置されている。
撮像部は、集光レンズユニット、撮像素子、制御基板、及びメモリ等を備えている。集光レンズユニットは、本体101内で窓部104に対向するように配置されている。撮像素子は、集光レンズユニットの焦点が撮像素子の受光面上に位置するように配置されている。撮像素子は、対象部材100の外部からの光が、窓部104及び集光レンズユニットを通して受光面に結像した像を信号に変換する。撮像素子は、変換した信号を制御基板に送る。制御基板は、送られた信号を適宜処理しメモリに送る。メモリは、送られた信号を記憶する。
【0025】
充電池は、第2電極、撮像部の撮像素子、制御基板、及びメモリに電気的に接続されている。充電池には、電力が蓄えられている。充電池は、電力を撮像素子、制御基板、及びメモリに供給する。充電池は、対象部材100の外部から第2電極を介して供給された電力を蓄える。
なお、対象部材100の構成は特に限定されず、対象部材は、本体101の第2凸面101a及び第2吸引部102を備えていればよい。第2吸引部は、電磁石であってもよい。ただし、第2吸引部として永久磁石を用いた方が、対象部材100で消費する電力が少なくなるので好ましい。
【0026】
保持装置1は、支持部材10と、ガイド部材20と、反発力発生部25と、第1吸引部35と、吸引力調節部40と、を備えている。
支持部材10は、箱状に形成されている。支持部材10は、底壁部11と、底壁部11の外縁部から立ち上がるように設けられた側壁部12と、側壁部12が立ち上がる先端部に、底壁部11に対向するように設けられた天壁部13と、案内部材14と、を備えている。
この例では、底壁部11の厚さ方向が基準方向Xとなっている。側壁部12は、底壁部11から基準方向Xの第1の側X1(以下、単に第1の側X1とも言う)に立ち上がっている。天壁部13には、天壁部13を基準方向Xに貫通する貫通孔13aが形成されている。貫通孔13aは、天壁部13の中央部に形成されている。
例えば、案内部材14は基準方向Xに沿って延びるように配置されている。案内部材14は、側壁部12等に固定されている。
【0027】
ガイド部材20は、基準方向Xの第1の側X1とは反対の第2の側X2(以下、単に第2の側X2とも言う)に向かって凸となるように湾曲した板状に形成されている。ガイド部材20は、樹脂等の非磁性体で形成されている。ガイド部材20の第1の側X1の外面には、第1の側X1を向く第1凹面21が形成されている。第1凹面21は、球面の一部である。第1凹面21を規定する球面の半径は、対象部材100の第2凸面101aを規定する球面の半径と同等か、第2凸面101aを規定する球面の半径よりも大きいことが好ましい。第1凹面21は、半球以下の曲面である。
ガイド部材20における第1凹面21の中心に位置する部分には、ガイド部材20を基準方向Xに貫通する貫通孔22が形成されている。貫通孔22は、第1吸引部35及び後述する第1電極が基準方向Xに挿通可能な大きさに形成されている。
【0028】
反発力発生部25は、第1永久磁石(第1磁石)26と、第2永久磁石(第2磁石)27と、を備えている。
第1永久磁石26は、支持部材10の底壁部11に連結部材29を介して取付けられている。第1永久磁石26は、第3磁極(例えばN極)及び第4磁極(例えばS極)を備えている。第1永久磁石26は、第3磁極が第1の側X1に位置するように配置されている。
第2永久磁石27は、連結部材30を介してガイド部材20に取付けられている。第2永久磁石27は、第1永久磁石26と同様に構成され、第3磁極が第2の側X2に位置するように配置されている。第2永久磁石27は、第1永久磁石26よりも第1の側X1に配置され、第1永久磁石26及び第2永久磁石27は基準方向Xに並べて配置されている。
反発力発生部25は、第1永久磁石26と第2永久磁石27とが基準方向Xに反発力を発生させることにより、支持部材10とガイド部材20との間に、基準方向Xに反発力を発生させる。
反発力発生部25は、第1吸引部35及び吸引力調節部40を、基準方向Xに直交する直交方向Yに挟むように一対配置されている。
【0029】
連結部材30は、案内部材14に対して直交方向Yに接触している。連結部材30、及び連結部材30に取付けられた第2永久磁石27は、支持部材10の案内部材14に対して、直交方向Yに移動不能であり、基準方向Xに移動可能である。すなわち、支持部材10は、ガイド部材20を基準方向Xに移動可能に支持している。
【0030】
第1吸引部35は、対象部材100の第2吸引部102と同様に構成された永久磁石であり、第1磁極及び第2磁極を備えている。第1吸引部35は、基準方向Xを軸とする円柱状に形成されている。第1吸引部35は、第2磁極が第1の側X1に位置するように、吸引力調節部40に支持されている。第1吸引部35は、ガイド部材20の貫通孔22に対して基準方向Xに並べて配置されている。第1吸引部35は、ガイド部材20の貫通孔22に基準方向Xに挿通可能である。
第1吸引部35は、ガイド部材20の第1凹面21に接触した対象部材100の第2吸引部102との間で吸引力を発生させる。第1吸引部35は、反発力発生部25が発生させる反発力に抗して、対象部材100及びガイド部材20を第2の側X2に吸引する。
基準方向Xに見たときに、第1凹面21の外縁内に第1吸引部35が配置されている。
第1吸引部35の第1の側X1の外面に、第1電極(不図示)が配置されている。
【0031】
吸引力調節部40は、調節部本体41と、ロッド42と、を備えている。
例えば、調節部本体41内には、図示はしないがモータと、モータの回転軸に固定されたウォームホイールと、制御部と、が備えられている。
制御部は、第1電極及びモータに電気的に接続されている。制御部には、保持装置1の外部から電力が供給される。制御部は、第1電極及びモータに電力を供給する。制御部は、モータの回転軸を、回転軸の軸線回りの第1の向きと、第1の向きとは反対の第2の向きと、に回転させることができる。調節部本体41は、支持部材10の底壁部11における第1の側X1の面に固定されている。
ロッド42は、基準方向Xに延びるように配置されている。ロッド42には、ウォームホイールと噛み合うウォームが形成されている。ロッド42の第1の側X1の端部に、第1吸引部35が固定されている。第1吸引部35は、吸引力調節部40を介して支持部材10に固定されている。
【0032】
モータの回転軸が所定の向きに回転することで、調節部本体41に対してロッド42は第1の側X1又は第2の側X2に移動する。ロッド42と一体になって第1吸引部35及び第1電極がガイド部材20に対して基準方向Xに移動して、ガイド部材20に係合する対象部材100の第2吸引部102と第1吸引部35との距離が変化することで、吸引力調節部40は、第1吸引部35と第2吸引部102との間に発生する吸引力の大きさを調節する。
【0033】
次に、以上のように構成された保持装置1の動作について説明する。予め、保持装置1の支持部材10は、例えば宇宙ステーションの船内実験室の壁等に取付けられている。対象部材100は、ガイド部材20に対する第1の側X1に配置されている。
第1吸引部35と第2吸引部102との間で吸引力が発生することで、対象部材100の第2吸引部102が保持装置1に対して基準方向Xの第2の側X2に吸引される。
なお、
図1以下において、第1吸引部35と第2吸引部102との間で発生する吸引力を白抜きの矢印で示し、第1永久磁石26と第2永久磁石27との間で発生する反発力を塗りつぶした矢印で示す。
第2吸引部102が吸引される際に、
図2に示すように、対象部材100の中で第2吸引部102が第2の側X2の端部に配置されるように、対象部材100の向きが変化していく。
【0034】
対象部材100の第2吸引部102が第1吸引部35に吸引されると、基準方向Xに見たときに第1凹面21の外縁内に第1吸引部35が配置されているため、第2凸面101aの外縁の内側に配置された第2吸引部102が第1凹面21の中央部に向かって吸引され、保持装置1の第1凹面21に対象部材100の第2凸面101aが係合する。ガイド部材20、及びガイド部材20の第1凹面21に係合して第1凹面21に接触した対象部材100は、反発力発生部25による反発力に抗して、吸引力により支持部材10に対して第2の側X2に吸引される。ガイド部材20及び対象部材100が支持部材10に対して第2の側X2に吸引される際にも、第1吸引部35と第2吸引部102との間で吸引力が発生することで、
図3に示すように、第1凹面21に第2凸面101aが係合した状態で、対象部材100の中で第2吸引部102が第2の側X2の端部に配置されるように、対象部材100の向きがさらに変化し、対象部材100の向きが、対象部材100の中で第2吸引部102が第2の側X2の端部に配置される所望の向きになる。
【0035】
ガイド部材20及び対象部材100が一体となって支持部材10に対して第2の側X2に移動する中で、例えば保持装置1の第1吸引部35と第2吸引部102との間に作用する吸引力の大きさと、保持装置1の一対の反発力発生部25により作用する反発力の大きさと、が等しくなる基準方向Xの位置で、支持部材10に対するガイド部材20及び対象部材100の基準方向Xの位置が保持される。
なお、支持部材10に対するガイド部材20及び対象部材100が保持される位置はこれに限られず、
図3に示すように第1吸引部35に対象部材100の第2吸引部102が接触する位置等でもよい。
本実施形態の保持装置1によれば、対象部材100の基準方向Xの位置が保持される際に、反発力発生部25により作用する反発力により、支持部材10に対してガイド部材20及び対象部材100が第2の側X2に移動する速度が抑えられる。従って、対象部材100の向きを所望の向きに調節したうえで、保持装置1により保持する際の反動を抑えて対象部材100を保持することができる。
保持装置1が対象部材100を保持する際の反動を抑えることで、対象部材100の跳ね返りを抑制することができる。
【0036】
反発力発生部25は、第1永久磁石26と第2永久磁石27とを備えている。第1永久磁石26と第2永久磁石27との間に発生する反発力の大きさは、第1永久磁石26と第2永久磁石27との距離の2乗に反比例する。例えば弾性体により発生する反発力の大きさに比べて、第1永久磁石26と第2永久磁石27との距離が短くなるに従い反発力を急激に大きくし、保持装置1により保持する際の反動を効果的に抑えることができる。
第1凹面21は、球面の一部である。第1凹面21と対象部材100の第2凸面101aとの間に、回転方向に対して幾何的な拘束がないため、第1凹面21に係合した第2凸面101aが、第1凹面21に接触した状態で、第1凹面21に対して容易に向きを変化させることができる。
【0037】
保持装置1に対象部材100が保持されると、保持装置1の第1電極に対象部材100が第2電極が電気的に接続され、保持装置1の制御部から、第1電極及び第2電極を介して対象部材100の充電池に電力が供給される。
【0038】
例えば、充電池に電力が供給されてから一定時間経過した後で、吸引力調節部40の制御部は、モータの回転軸を所定の向きに回転させることで、
図4に示すようにロッド42とともに第1吸引部35及び第1電極を第2の側X2に移動する。保持装置1が対象部材100を保持した状態で第1吸引部35と対象部材100の第2吸引部102との間で発生する吸引力の大きさを小さくすることで、吸引力の大きさが一対の反発力発生部25により作用する反発力の大きさよりも小さくなり、支持部材10に対してガイド部材20及び対象部材100が第1の側X1に移動する。支持部材10に対してガイド部材20が第1の側X1への移動を止めると、対象部材100に作用する慣性力が吸引力の大きさよりも大きい場合等には、
図5に示すように保持装置1から対象部材100を第1の側X1に解放することができる。
【0039】
なお、吸引力の大きさを小さくする際に、反発力発生部25による反発力のため、ガイド部材20が第1の側X1に移動する。保持装置1の第1吸引部35と対象部材100の第2吸引部102と間の距離が大きくなることで、吸引力がさらに小さくなる。この結果、対象部材100の解放時に必要となる対象部材100の推力を小さくすることができる。
対象部材が自ら推力を発生する機能を持つ場合には、その推力を利用して保持装置1から対象部材を解放することが可能である。その場合、上記の工程において、反発力発生部25による反発力によりガイド部材20が第1の側X1に移動し、保持装置1の第1吸引部35と対象部材100の第2吸引部102と間の距離が大きくなることで、これらの間に作用する吸引力が小さくなるため、反発力発生部25がない場合に比べて、解放時に必要な推力を小さくすることができる。
保持装置1から解放された対象部材100は、充電池に蓄えられた電力により動作する。対象部材100は、撮像部で船内実験室の像を撮影し、メモリに記憶する。
【0040】
吸引力調節部40は、ガイド部材20に対して第1吸引部35を第2の側X2に移動させる。ガイド部材20に係合した対象部材100と第1吸引部35との基準方向Xの距離を調節することで、第1吸引部35と対象部材100の第2吸引部102との間に発生する吸引力の大きさを調節することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、第1吸引部は電磁石であり、吸引力調節部は電磁石に供給する電力を調節してもよい。このように構成しても、電磁石に供給する電力を調節することで、第1吸引部と対象部材100の第2吸引部102との間に発生する吸引力の大きさを調節することができる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図6及び
図7を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように本実施形態の保持装置2は、宇宙空間に配置された第1人工衛星110を修理するためにも好適に用いられる。保持装置2は、第1人工衛星110を修理する側の第2人工衛星3に搭載して用いられる。
第1人工衛星110は、装置本体111と、第3吸引部112と、第2吸引力調節部113と、を備えている。
【0043】
装置本体111の外面には、第3凹面111aが形成されている。第3凹面111aは、第2の側X2を向いている。装置本体111における第3凹面111aの中心に位置する部分には、装置本体111の外面から第1の側X1に凹んだ窪み111bが形成されている。
第3吸引部112は、対象部材100の第2吸引部102と同様に構成された永久磁石である。第3吸引部112は、第1磁極が第2の側X2に位置するように、窪み111b内に配置されている。
第2吸引力調節部113は、吸引力調節部40の調節部本体41、ロッド42と同様に構成された調節部本体115、ロッド116を備えている。調節部本体115は、窪み111bの底部に固定されている。ロッド116の第2の側X2の端部には、第3吸引部112が固定されている。
【0044】
この実施形態では、制御モジュール(対象部材)120が補助具121に取付けられている。なお、保持装置2及び補助具121で、保持システム4を構成する。
制御モジュール120は、例えば第1人工衛星110を制御する。なお、対象部材は制御モジュール120に限定されない。
【0045】
補助具121は、本体123と、第2吸引部124と、を備えている。本体123は、樹脂等の非磁性体で板状に形成されている。本体123は、本体123の厚さ方向が基準方向Xに沿うように配置されている。
本体123における第1の側X1を向く外面には、第1人工衛星110の第3凹面111aに係合する第3凸面123aが形成されている。本体123における第2の側X2を向く外面には、第2凹面123bが形成されている。本体123における第2凹面123bの中心に位置する部分には、本体123を基準方向Xに貫通する貫通孔(符号省略)が形成されている。なお、この貫通孔は、本体123を基準方向Xに貫通していなくてもよい。
第2吸引部124は、対象部材100の第2吸引部102と同様に構成された永久磁石である。第2吸引部124は、第1磁極が第2の側X2に位置するように、本体123の貫通孔内に配置されている。
【0046】
補助具121は、第3凸面123aが第1人工衛星110の第3凹面111aに係合し、第2吸引部124と第3吸引部112との間で吸引力を発生させることで、第1人工衛星110に保持されている。
補助具121に取付けられた制御モジュール120は、第1人工衛星110を制御する。
【0047】
第2人工衛星3は、装置本体50と、装置本体50に取付けられた第1アーム51、第2アーム52と、を備えている。
例えば、第1アーム51及び第2アーム52は基準方向Xに伸縮可能である。第1アーム51は、第1人工衛星110を保持したり、この保持を解消したりすることができる。
第2アーム52の先端には、第2アーム52との間でなす角度を変更可能な関節53が取付けられている。関節53内には、第2アーム52と関節53とがなす角度を保持した保持状態と、この保持を解除した解除状態と、に切換え可能なブレーキ機構が内蔵されている。
【0048】
保持装置2は、本実施形態の保持装置1の支持部材10及びガイド部材20に代えて、支持部材55及びガイド部材60を備えている。
支持部材55は底壁部11を備えている。底壁部11は、第2人工衛星3の関節53に固定されている。
ガイド部材60は、第1の側X1に向かって凸となるように湾曲した板状に形成されている。ガイド部材60の第1の側X1の外面には、第1の側X1を向く第1凸面61が形成されている。第1凸面61は、球面の一部であることが好ましい。
ガイド部材60における第1凸面61の中心に位置する部分には、ガイド部材60を基準方向Xに貫通する貫通孔62が形成されている。貫通孔62は、第1吸引部35が通過可能な大きさに形成されている。
基準方向Xに見たときに、第1凸面61の外縁内に第1吸引部35が配置される。
【0049】
以上のように構成された第1人工衛星110及び第2人工衛星3において、制御モジュール120を新しい制御モジュール120に交換するときには、以下の工程を行う。
第2人工衛星3の第1アーム51で第1人工衛星110の装置本体111を保持し、第2人工衛星3の装置本体50に対して第1人工衛星110の装置本体111が移動しないようにする。
関節53内のブレーキ機構を解除状態にして第2アーム52を伸ばすと、保持装置2の第1吸引部35と補助具121の第2吸引部124との間に発生する吸引力により、第2アーム52と関節53とがなす角度が変化し、保持装置2の第1凸面61に補助具121の第2凹面123bが係合する。この際に前述のように、保持装置2に対する制御モジュール120の向きを所望の向きに調節したうえで、反動を抑えて保持装置2に制御モジュール120が保持される。ブレーキ機構を、保持状態にする。
【0050】
第2吸引力調節部113により装置本体111に対して第3吸引部112を第1の側X1に移動させ、第2アーム52を縮ませる。すると、第1人工衛星110から補助具121が解放される。
第2人工衛星3において、ブレーキ機構を適宜解除状態にして、保持装置2から補助具121を解放し、保持装置2に新しい制御モジュール120が取付けられた補助具121(以下、補助具121Aとも言う)を保持させる。
第2吸引力調節部113により装置本体111に対して第3吸引部112を第2の側X2に移動させ、第2アーム52を伸ばすと、第1人工衛星110に補助具121Aが保持される。
吸引力調節部40により支持部材55に対して第1吸引部35を第2の側X2に移動させ、第2アーム52を縮ませると、第2人工衛星3から補助具121Aが解放され、第1人工衛星110に新しい制御モジュール120が取付けられる。
第1アーム51による第1人工衛星110の保持を解除し、第1人工衛星110の制御モジュール120の交換が終了する。
【0051】
なお、
図7に、本実施形態の変形例の第1人工衛星110A及び第2人工衛星3Aを示す。
第1人工衛星110Aは、第1人工衛星110に対して、第2吸引力調節部113を備えていない。
制御モジュール120が取付けられている補助具121Bの第2吸引部124Aは、磁性体で形成されている。
保持装置2Aの第1吸引部35Aは電磁石である。第1吸引部35Aは、極性や、動作のON/OFFを切り替えが可能である。
【0052】
以上のように構成された第1人工衛星110A及び第2人工衛星3Aにおいて、制御モジュール120を新しい制御モジュール120に交換するときには、以下の工程を行う。
制御モジュール120を第1人工衛星110Aから取り外すときには、第3吸引部112との間で吸引力が発生する向きに、第1吸引部35Aを励磁する。第3吸引部112と第2吸引部124Aとが吸着する。第1吸引部35Aの極性を反転させ、第1吸引部35Aと第2吸引部124Aとの間の吸着力が第3吸引部112と第2吸引部124Aと間の吸着力より大きければ、第3吸引部112と第2吸引部124Aとの間が離れて、制御モジュール120の取り外しが完了する。
【0053】
一方で、新しい制御モジュール120を取り付ける時には、第3吸引部112との間で吸引力が発生する向きに第1吸引部35Aを励磁する。第1吸引部35Aと第2吸引部124Aとが吸着し、第3吸引部112と第2吸引部124Aとが吸着する。第1吸引部35Aの動作をOFFし、第1吸引部35Aと第2吸引部124Aと間の吸着力よりも第1永久磁石26と第2永久磁石27との間の反発力が大きければ、第1吸引部35Aと第2吸引部124Aとの間が離れて、新しい制御モジュール120の取り付けが完了する。
【0054】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図8を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8に示すように本実施形態の保持システム5は、対象部材130に取付けられる補助具65と、補助具65との間で吸引力を発生させる保持装置1と、を備えている。
【0055】
補助具65は、本体66と、第2吸引部67と、を備えている。
本体66は、樹脂等の非磁性体で半球状に形成されている。本体66に形成された曲面である外面が、第2凸面66aである。第2凸面66aは、保持装置1の第1凹面21に係合する。
本体66における第2凸面66aの中心に位置する部分には、本体66の外面から径方向の内側に向かって凹んだ窪み66bが形成されている。窪み66bは、第2凸面66aの外縁の内側に配置されている。
第2吸引部67は、対象部材100の第2吸引部102と同様に構成された永久磁石である。第2吸引部67は、第1磁極が第2の側X2に位置するように、窪み66b内に配置されている。第2吸引部67は、第2凸面66aの外縁の内側に配置されている。
第2吸引部67は、保持装置1の第1吸引部35との間で吸引力を発生させる。
【0056】
対象部材130の形状及び材質は特に限定されず、本実施形態では、対象部材130は直方体状に形成されている。対象部材130の側面には、補助具65の本体66が取付けられる。
以上のように構成された本実施形態の保持システム5によれば、基準方向Xに見たときに第1凹面21の外縁内に第1吸引部35が配置され、第2凸面66aの外縁の内側に第2吸引部67が配置されているため、補助具65の第2吸引部67が第1吸引部35に吸引されると、保持装置1の第1凹面21に補助具65の第2凸面66aが係合する。そして、対象部材130の向きを所望の向きに調節したうえで、反動を抑えて対象部材130を保持することができる。
なお、補助具に第2凹面が形成され、保持装置のガイド部材に、この第2凹面に係合する第1凸面が形成されていてもよい。この場合、第2吸引部67は、第2凹面の外縁の内側に配置される。
【0057】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
例えば、前記第1実施形態から第3実施形態では、第1凹面及び第1凸面は球面の一部でなく、円錐の側面や、回転放物面等でもよい。
反発力発生部25をバネ等の弾性体で構成してもよい。
【0058】
保持システムにおいて、補助具が第2凸面及び第2凹面を備えなくてもよい。
保持装置は、連結部材29,30、第1電極、第2電極、及び吸引力調節部40を備えなくてもよい。
本実施形態では、保持装置を宇宙空間等で用いるとしたが、保持装置は水中等で用いられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,2,2A 保持装置
4,5 保持システム
10,55 支持部材
20,60 ガイド部材
21 第1凹面
25 反発力発生部
26 第1永久磁石(第1磁石)
27 第2永久磁石(第2磁石)
35,35A 第1吸引部
40 吸引力調節部
61 第1凸面
65,121,121B 補助具
100,130 対象部材
120 制御モジュール(対象部材)
X 基準方向
X1 第1の側
X2 第2の側