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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】リール式閉鎖システム
(51)【国際特許分類】
   A44B 99/00 20100101AFI20221111BHJP
   A43C 11/16 20060101ALI20221111BHJP
   A43C 11/20 20060101ALI20221111BHJP
   A45C 13/10 20060101ALI20221111BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A44B99/00 611N
A43C11/16
A43C11/20
A45C13/10 Z
A61F5/02 N
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019547099
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 US2018019994
(87)【国際公開番号】W WO2018160583
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】62/465,342
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512279729
【氏名又は名称】ボア テクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヒップウッド,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,エリック
(72)【発明者】
【氏名】トルーデル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ソダーバーグ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ニッケル,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング,オロンド
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,コーディー
(72)【発明者】
【氏名】ラングレー,グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ルーシー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ピケンズ,アシュリー
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-516828(JP,A)
【文献】特開2010-042639(JP,A)
【文献】特表2016-520401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 99/00
A43C 11/16
A43C 11/20
A45C 13/10
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引張部材と結合され、前記引張部材に張力をかけるように動作可能であるリール式張力装置用のインサート成形コンポーネントであって、
前記リール式張力装置のベース部材であって、ポリマー材料で作られており、上端部と底面を備えた下端部とを有し、前記リール式張力装置の1つ以上のコンポーネントがその中に配置可能である内部空洞を有する、ベース部材と、
前記ベース部材の前記底面と実質的に同一平面上にあり、かつ前記ベース部材の前記下端部の外周の少なくとも一部から横方向に延びる布地材料であって、前記インサート成形コンポーネントが形成されるとき、前記布地材料は前記ベース部材の少なくとも一部内に配置され、前記ベース部材の前記少なくとも一部の前記ポリマー材料が前記布地材料の両側に配置されるように、前記布地材料を介して前記ポリマー材料を注入することにより、前記ベース部材が前記布地材料上にインサート成形される、布地材料と
を備える、インサート成形コンポーネント。
【請求項2】
前記ベース部材の前記内部空洞が、前記リール式張力装置のハウジングコンポーネントを受け入れるように構成されている、請求項1に記載のインサート成形コンポーネント。
【請求項3】
前記ベース部材は、前記リール式張力装置のハウジングコンポーネントであり、前記引張部材が前記ハウジングコンポーネントの内側部分から前記ハウジングコンポーネントの外側部分へ通過するように、前記ハウジングコンポーネントは入口および出口ポートを含み、前記引張部材はこれらを通って配置される、請求項1に記載のインサート成形コンポーネント。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記布地材料上にインサート成形されるので、前記ベース部材の前記下端部全体の前記ポリマー材料が前記布地材料の両側に配置されるように、前記布地材料が前記ベース部材の前記下端部全体内に配置される、請求項1に記載のインサート成形コンポーネント。
【請求項5】
前記ベース部材の前記下端部の前記ポリマー材料は、前記布地材料の底面上に環状リングを形成する、請求項4に記載のインサート成形コンポーネント。
【請求項6】
前記ベース部材が少なくとも1つのより薄いポリマー材料セクションを含み、前記布地材料が前記ベース部材の前記より薄いポリマー材料セクションの上面に見える、請求項1に記載のインサート成形コンポーネント。
【請求項7】
前記ベース部材は、ガラス充填ポリプロピレン材料、コポリエステル材料、またはそれらの組合せで作られている、請求項1に記載のインサート成形コンポーネント。
【請求項8】
前記布地材料は靴に取り付け可能である、請求項1に記載のインサート成形コンポーネント。
【請求項9】
リール式張力システムのコンポーネントであって、
前記リール式張力システムの第1のコンポーネントであって、ポリマー材料で作られ、上端部、下端部、および前記リール式張力システムの第2のコンポーネントが配置可能な内部空洞を有する、第1のコンポーネントと、
前記第1のコンポーネントの前記下端部近くに配置され、かつ前記第1のコンポーネントの外周の少なくとも一部から横方向に延びる布地材料であって、前記第1のコンポーネントの少なくとも一部の前記ポリマー材料を前記布地材料を介して飽和または含浸させるように、および前記第1のコンポーネントの前記少なくとも一部の前記ポリマー材料が前記布地材料の底面の軸方向下方および前記布地材料の上面の軸方向上方に延びるように、前記第1のコンポーネントの前記ポリマー材料を前記布地材料を介して注入することにより前記第1のコンポーネントと一体的に結合される、布地材料と
を備えた、リール式張力システムのコンポーネント。
【請求項10】
前記第1のコンポーネントはベース部材であり、前記ベース部材の前記内部空洞は、リール式張力装置のハウジングコンポーネントを受け入れるように構成される、請求項9に記載のコンポーネント。
【請求項11】
前記第1のコンポーネントはガイド部材であり、前記内部空洞は、物品の経路の周りに引張部材をガイドするために、前記リール式張力システムの前記引張部材を受け入れるように構成される、請求項9に記載のコンポーネント。
【請求項12】
前記第1のコンポーネントの前記下端部全体の前記ポリマー材料は、前記布地材料を介して飽和または含浸しているので、前記下端部全体の前記ポリマー材料は、前記布地材料の前記底面の軸方向下方および前記布地材料の前記上面の軸方向上方に延びる、請求項9に記載のコンポーネント。
【請求項13】
前記第1のコンポーネントの前記下端部の前記ポリマー材料が、前記布地材料の前記底面上に環状リングを形成する、請求項12に記載のコンポーネント。
【請求項14】
前記布地材料は、前記布地材料の本体から横方向外側に延びる複数のタブを備え、前記タブの少なくとも1つは開口部を含む、請求項9に記載のコンポーネント。
【請求項15】
前記布地材料は、前記第1のコンポーネントのかなり薄いセクションまたはセグメントの上面から見える、請求項9に記載のコンポーネント。
【請求項16】
リール式張力システムのコンポーネントを形成する方法であって、
布地材料を提供するステップと、
ダイまたは金型内に前記布地材料を配置するステップと、
前記リール式張力システムの第1のコンポーネントの形状を画定する前記ダイまたは金型内の空隙または空間を埋めるように、前記布地材料を介してポリマー材料を注入するステップと、
前記ポリマー材料が硬化し、前記リール式張力システムの前記第1のコンポーネントを形成するように、前記ポリマー材料を冷却するステップと
を含み、
前記第1のコンポーネントの少なくとも一部の前記ポリマー材料は前記布地材料の底面の軸方向下方および前記布地材料の上面の軸方向上方に延びるように、前記第1のコンポーネントの前記少なくとも一部の前記ポリマー材料を前記布地材料を介して飽和または含浸させる、方法。
【請求項17】
前記布地材料は前記ダイまたは前記金型の下端部内に配置され、前記ポリマー材料は前記ダイまたは前記金型の下端部から前記ダイまたは前記金型の上端部に向かって前記布地材料を介して注入される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリマー材料は、前記布地材料を通して注入され、冷却されるので、底端部全体の前記ポリマー材料が前記布地材料の前記底面の軸方向下方に延び、前記布地材料の前記上面の軸方向上方に延びるように、前記第1のコンポーネントの前記底端部全体の前記ポリマー材料を前記布地材料を通して飽和または含浸させる、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー材料は、前記ポリマー材料が前記布地材料の前記底面の上部に環状リングを形成するように、前記布地材料を介して注入され、冷却される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー材料は、ガラス充填ポリプロピレン材料、コポリエステル材料、またはそれらの組合せからなる、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマー材料は、前記布地材料を介して注入され、冷却されて、前記ポリマー材料が前記第1のコンポーネントのかなり薄いセクションまたはセグメントの上面から見えるようになる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「摩擦ベースの張力メカニズムを採用したリール式閉鎖システム」というタイトルの、2017年3月1日に提出された仮米国特許出願番号62/465,342の優先権を主張する。前述の仮米国特許出願の開示全体は、本明細書に完全に記載されているかのように、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
[0002]本開示は、装具、医療機器、靴、衣類、衣料品などの様々な物品のためのリール式閉鎖装置に関する。このような物品は、通常、物品を身体部分の周りに配置し、身体部分の周りで閉じたり締め付けたりすることができる閉鎖システムを含む。閉鎖システムは通常、身体部分の周りで物品を維持または固定するために使用される。例えば、靴は通常、個人の足の上に置かれ、靴ひもが張られて結ばれ、靴を足の周りで閉じて固定する。従来の閉鎖システムは、身体部分での物品の適合性および/または快適性を高める努力の中で修正されてきた。例えば、靴ひもの構成および/またはパターンは、靴を履く際のフィット感および/または快適性を高めるために修正されてきた。また、従来の閉鎖システムは、身体部分の周りで物品が閉じられて固定される時間を短縮する努力の中で修正されてきた。これらの変更により、様々なプルコード、ストラップ、および張力装置を使用して、物品をすばやく閉じて足に固定できるようになってきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]本明細書で説明する実施形態は、ひもまたは引張部材に張力を与え、それによって物品または他の品物を締め付けるために使用することのできる、リール式張力装置、およびそのためのコンポーネントを提供する。一態様によれば、リール式張力装置用のインサート成形コンポーネントは、リール式張力装置のベース部材と布地材料とを含む。ベース部材は、典型的には、ポリマー材料で作られており、上端部と、底面を備えた下端部とを含む。ベース部材は、内部空洞を有し、その内部に、リール式張力装置の1つ以上のコンポーネントが配置可能である。布地材料は、ベース部材の底面と実質的に同一平面上にあり、ベース部材の下端部の外周の少なくとも一部から横方向に延びる。ベース部材は、布地材料を介してポリマー材料を注入することにより、布地材料上にインサート成形されるので、インサート成形コンポーネントが形成されるとき、布地材料はベース部材の少なくとも一部内に配置され、ベース部材の少なくとも一部のポリマー材料は布地材料の両側に配置される。
【0004】
[0004]別の態様によれば、リール式張力システムのコンポーネントは、第1のコンポーネントを含み、それはポリマー材料で作られ、上端部、下端部、およびリール式張力システムの第2のコンポーネントを配置可能な内部空洞を含む。コンポーネントは、第1のコンポーネントの下端部付近に配置され、第1のコンポーネントの外周の少なくとも一部から横方向に延びる布地材料も含む。布地材料は、布地材料を介して第1のコンポーネントのポリマー材料を注入することにより、第1のコンポーネントと一体的に結合され、第1のコンポーネントの少なくとも一部のポリマー材料は布地材料を介して飽和または含浸し、第1のコンポーネントの少なくとも一部のポリマー材料は、布地材料の底面の軸方向下方および布地材料の上面の軸方向上方に延びる。
【0005】
[0005]別の態様によれば、リール式張力システムのコンポーネントを形成する方法は、布地材料を提供すること、布地材料をダイまたは金型内に配置すること、およびリール式張力システムの第1のコンポーネントの形状を画定するダイまたは金型内の空隙または空間を埋めるように、布地材料を介してポリマー材料を注入することを含む。
この方法はまた、ポリマー材料が硬化して、リール式張力システムの第1のコンポーネントを形成するように、ポリマー材料を冷却することを含む。第1のコンポーネントの少なくとも一部のポリマー材料が布地材料の底面の軸方向下方および布地材料の上面の軸方向上方に延びるように、第1のコンポーネントの少なくとも一部のポリマー材料を布地材料を介して飽和または含浸させる。
【0006】
[0006]別の態様によれば、リール式張力装置は、内部領域を有するハウジングと、ハウジングの内部領域内に配置され、それに対して回転可能なスプールとを含む。リール式張力装置はまた、スプールに動作可能に結合され、スプールをハウジングの内部領域内で第1の方向に回転させて引張部材をスプールの周りに巻き付け、それにより引張部材に張力をかけるノブ部材を含む。リール式張力装置は、荷重保持機構を更に含み、当該機構は、スプールと結合され、しかもハウジングの内部領域内でスプールの第1の方向への回転を可能とし、ハウジングの内部領域内でスプールの第2の方向への回転を防止して、引張部材がスプールの周りから巻き戻されるのを防止するように構成される。
リール式張力装置は、荷重保持機構とは別個であり、しかもノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成して引張部材の張力の調整を可聴的に知らせるように構成された可聴コンポーネントを更に含む。
【0007】
[0007]別の態様によれば、リール式張力装置は、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、スプールに動作可能に結合され、ハウジング内でスプールを第1の方向に回転させて引張部材をスプールの周りに巻き付けるノブ部材と、スプールに結合され、ハウジング内でスプールの第1の方向への回転を可能とし、ハウジング内でスプールの第2の方向への回転を防止して、引張部材がスプールの周りから巻き戻されるのを防止するように構成された荷重保持機構と、ノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成して引張部材の調整を知らせるように構成された可聴コンポーネントとを含む。
【0008】
[0008]別の態様によれば、リール式張力装置を構成する方法は、リール式張力装置を提供することを含み、リール式張力装置は、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、スプールに動作可能に結合され、スプールをハウジング内で第1の方向に回転させて引張部材をスプールの周りに巻き付けるノブ部材と、スプールに結合され、ハウジング内でスプールの第1の方向への回転を可能とし、ハウジング内でスプールの第2の方向への回転を防止して、引張部材がスプールの周りから巻き戻されるのを防止するように構成された荷重保持機構とを含む。
この方法はまた、リール式張力装置と可聴コンポーネントとを結合することを含み、可聴コンポーネントは、ノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成し、引張部材の調整を知らせるように構成される。
【0009】
[0009]別の態様によれば、物品を締め付けるためのリール式張力装置は、内部領域を有するハウジングと、ハウジングの内部領域内に配置され、それに対して回転可能なスプールと、スプールと動作可能に結合され、スプールをハウジングの内部領域内で回転させるノブ部材と、スプールに結合された荷重保持機構とを含む。荷重保持機構は、円筒形部材と摩擦係合するばねを含み、スプールに回転力を与える引張部材の張力などノブ部材以外の源からスプールに加えられる力に応答して、ハウジングの内部領域内でスプールが回転するのを防ぐ。ノブは荷重保持機構と動作可能に結合されているため、ノブの第1の方向への回転によりばねと円筒形部材の摩擦係合が減少し、ハウジングの内部領域内でスプールの第1の方向への回転が可能になり、それにより引張部材はスプールの周りに巻き付けられる。また、ノブは荷重保持機構と動作可能に結合されているため、ノブを第2の方向へ回転させると、ばねと円筒形部材の摩擦係合も減少し、ハウジングの内部領域内でスプールの第2の方向への回転が可能になり、それによって引張部材はスプールの周りから巻き戻される。
【0010】
[0010]別の態様によれば、リール式張力装置は、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、スプールをハウジング内で回転させるためにスプールと動作可能に結合されたノブ部材と、ハウジング内のスプールの不要な回転を防ぐために、円筒形部材と摩擦係合するばねを含む荷重保持機構とを含む。
ノブ部材は荷重保持機構と動作可能に結合されているため、ノブ部材の第1の動作により、ばねと円筒形部材との摩擦係合が減少し、ハウジング内でスプールの回転が可能になり、スプールの周りに引張部材が巻き付けられ、ノブ部材の第2の動作によりまた、ばねと円筒形部材との摩擦係合も減少し、ハウジング内でスプールの回転が可能になり、引張部材はスプールの周りから巻き戻される。
【0011】
[0011]別の態様によれば、リール式張力装置を用いて物品を組み立てる方法は、リール式張力装置を提供することを含み、リール式張力装置は、
ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置されるスプールと、スプールをハウジング内で回転させるためにスプールと動作可能に結合されたノブ部材と、ハウジング内でスプールの不要な回転を防止するために円筒形部材と摩擦係合するばねを含む荷重保持機構とを含む。
ノブ部材は荷重保持機構と動作可能に結合されるので、ノブ部材の第1の動作により、ばねと円筒形部材の摩擦係合が減少し、ハウジング内のスプールの回転が可能になり、引張部材はスプールの周りに巻き付けられ、そしてノブ部材の第2の動作によりまた、ばねと円筒形部材の摩擦係合も減少し、ハウジング内のスプールの回転が可能となり、引張部材はスプールの周りから巻き戻される。
この方法はまた、リール式張力装置部材を物品と結合することを含む。
【0012】
[0012]本発明は、添付の図面と併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】典型的にはベース部材に結合されたハウジングに取り付けられたノブを示す、組み立てられたリールシステムの斜視図を示す。
図2図1のリールシステムの分解斜視図を示し、リールシステムの様々な内部コンポーネントを示す。
図3図1のリールシステムの分解斜視図を示し、リールシステムの様々な内部コンポーネントを示す。
図4】可聴コンポーネントまたは機構のつめ部材またはビームを示す。
図5図1のリールシステムのノブ部材の斜視図を示す。
図6図1のリールシステムで使用することができる上部ハブを示す。
図7図1のリールシステムで使用することができる下部ハブを示す。
図8図6図7の上部ハブおよび下部ハブとともに使用することができるコイルばねを示す。
図9図1のリールシステムで使用されるスプールの実施形態を示す。
図10図6図8の解放ハブおよび上部ハブ、下部ハブ、およびコイルばねの分解斜視図を示す。
図11図10の解放ハブ、上部ハブ、下部ハブ、およびコイルばねの組立て図を示す。
図12図1のリールシステムのノブ部材およびハウジングを示しており、ノブ部材は、ハウジングに対して締め付け方向に回転する。
図13】ノブ部材がハウジングに対して緩む方向に回転するノブ部材およびハウジングを示す。
図14】可聴ノイズを生成するために使用することのできる図1のリールシステムの可聴コンポーネントまたは機構の斜視図を示す。
図15】ベース部材、織布材料または布地、およびベース部材と織布材料または布地の結合の図を示す。
図17】ベース部材、織布材料または布地、およびベース部材と織布材料または布地の結合の別の図を示す。
図18】ベース部材、織布材料または布地、およびベース部材と織布材料または布地の結合の別の図を示す。
図19】ベース部材、織布材料または布地、およびベース部材と織布材料または布地の結合の別の図を示す。
図23】ベース部材、織布材料または布地、およびベース部材と織布材料または布地の結合の別の図を示す。
図24】ベース部材、織布材料または布地、およびベース部材と織布材料または布地の結合の別の図を示す。
図25】ベース部材、織布材料または布地、およびベース部材と織布材料または布地の結合の別の図を示す。
図16図1のリールシステムのハウジングおよびハウジングの様々な特徴を示す。
図20図1のリールシステムのスプールおよびハウジングに取り付けることができる停止コードまたは機構を示す。
図21図1のリールシステムで使用することができるコイルばねおよび解放ハブアセンブリの代替実施形態を示す。
図22図1のリールシステムで使用することができるコイルばねおよび解放ハブアセンブリの代替実施形態を示す。
図26図1のリールシステムで使用することができ、単一のハブおよびコイルばねを含む摩擦ベースの荷重保持機構の代替実施形態を示す。
図27図1のリールシステムで使用することができ、単一のハブおよびコイルばねを含む摩擦ベースの荷重保持機構の代替実施形態を示す。
図28図1のリールシステムで使用することができ、単一のハブおよびコイルばねを含む摩擦ベースの荷重保持機構の代替実施形態を示す。
図29図1のリールシステムで使用することができ、単一のハブおよびコイルばねを含む摩擦ベースの荷重保持機構の代替実施形態を示す。
図30図1のリールシステムで使用することができ、単一のハブおよびコイルばねを含む摩擦ベースの荷重保持機構の代替実施形態を示す。
【0014】
[0030]添付の図では、類似のコンポーネントおよび/または機能には同じ参照ラベルが付いている場合がある。更に、同じタイプの様々なコンポーネントは、類似のコンポーネントおよび/または機能を区別する文字を参照ラベルにつづけることによって区別することができる。本明細書で最初の数値参照ラベルのみを使用する場合、説明は、文字接尾辞に関係なく、同じ最初の数値参照ラベルを持つ類似のコンポーネントおよび/または機能のいずれかに適用される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0031]以下の説明は、例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図するものではない。むしろ、例示的な実施形態に関する以下の説明は、1つ以上の例示的な実施形態を実施するための実施可能な説明を当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることを理解すべきである。
【0016】
[0032]本明細書の実施形態は、ひもまたは引張部材に張力をかけ、それによって物品または他の品物を締め付けるために使用することのできるリール式の閉鎖装置または張力装置を説明する。本明細書では、リール式張力装置は、リールシステムまたは単に閉鎖装置とも呼ばれる。物品は、パック(すなわち、バックパック、ブックバッグなど)、衣料品(すなわち、帽子、手袋、ベルトなど)、スポーツ衣料(ブーツ、スノーボードブーツ、スキーブーツなど)、医療用装具(つまり、背部装具、膝装具、手首装具、足首装具など)、および/またはその他の様々な品物またはアパレルを含む様々な品物であってもよい。閉鎖システムが使用され得る特定の実施形態は、靴、ブーツ、サンダルなどの履物を含む。
【0017】
[0033]本明細書のリールシステムは、摩擦ベースの張力調整機構を採用し、これは、ひも、コード、または引張部材(以下、引張部材)に張力をかけ、引張部材の張力を維持するために使用される。本明細書で説明する摩擦ベースの張力調整機構は、引張部材の張力を維持する荷重保持機能を提供するために、ボスまたはハブなどの円筒形部材と摩擦係合するばね(例えば、コイルばね)を有する荷重保持機構を採用する。
具体的には、ばねと円筒形部材の摩擦係合は、ハウジング内のスプールの不要な回転を防ぐために採用されている。リールシステムは引張部材の張力を維持するために使用されるため、スプールの不要な回転とは、ユーザによって開始されず、引張部材の緩みまたは張力解除をもたらすスプールの回転を意味する。別の言い方をすれば、システムは、ひもを緩めたりひもを張力解除するというユーザのアクションだけに応答してスプールが回転するように設計されており、このアクションは、通常、リールシステムのノブコンポーネントを緩める方向に回転させることを含むが、レバーを操作したり、ボタンを押したり、ノブを軸方向に上に引いたりするなど、他のアクションを含めることもできる。ユーザがこのアクションを行わない場合、ばねと円筒形部材は、摩擦係合してハウジング内のスプールの回転を防止するように設計される。
【0018】
[0034]リールシステムは、典型的には、ユーザが握って回転できるように設計されたノブを含む。ノブ部材は、荷重保持機構と動作可能に結合されているので、ノブ部材の第1の動作(例えば、ノブの締め付け方向への回転)により、ばねと円筒形部材の摩擦係合が減少し、ハウジング内でスプールの回転が可能となり、引張部材はスプールの周りに巻き付けられる。ノブ部材はまた、荷重保持機構と動作可能に結合されているので、ノブ部材の第2の動作(例えば、ノブの緩む方向への回転)により、ばねと円筒形部材の摩擦係合が減少し、ハウジング内でスプールの回転が可能となり、引張部材はスプールの周りから巻き戻される。
【0019】
[0035]例示的な実施形態では、コイルばねは、ハブ部材または中央の円筒形ボスの外側に配置されるまたは巻き付けられる。コイルばねは、荷重保持機能を提供するために、ハブ部材または中央の円筒形ボスの周りで収縮するように構成される。一実施形態では、ハブ部材または中央の円筒形ボスは、スプールに固定された上部ハブ部材と、ハウジングに固定された下部ハブ部材とを含むことができる。上部ハブ部材は、下部ハブ部材の直径よりわずかに大きい直径を有してもよい。このような実施形態では、下部ハブ部材と接合する上部ハブ部材の遠位端は先細になっていてもよい。別の実施形態では、ハブ部材または中央の円筒形ボスは内側ハブ部材であってもよく、リールシステムはまた、内側ハブ部材上に配置され、ノブ部材およびばねと動作可能に結合される外側ハブ部材を含んでもよく、ノブ部材が緩む方向に回転するとばねと内側ハブ部材の摩擦係合が減少する。このような実施形態では、外側ハブ部材は、ノブ部材が緩む方向に回転すると外側ハブが緩む方向に回転するように、ノブ部材と結合されてもよい。ばねは、外側ハブ部材と結合されたタングを含んでもよく、外側ハブ部材が緩む方向に回転するとばねの直径が拡大し、それによりばねと内側ハブ部材との摩擦係合が減少する。
更に別の実施形態では、コイルばねを、ボスまたはハブの円筒形チャネルまたは凹部内に配置してもよい。このような実施形態では、コイルばねは、荷重保持機能を提供するために、半径方向外側に曲がり、円筒形チャネルまたは凹部の内壁と摩擦係合するように付勢される。
【0020】
[0036]摩擦ベースの張力調整機構により、従来のシステムで一般的に使用されている荷重保持機能を提供するつめまたは柔軟なアームが不要になる。このような従来のシステムでは、つめまたはアームは、一般に、荷重保持機能を提供するために歯と係合する。つめ/アームおよび歯は、締め付け方向のノブの回転など、つめ/アームの一方向の動きを可能にするように傾斜しているか、またはそのように構成されていることが多く、それによってリール式装置を可能にする。ノブが反対方向に回転すると、つめ/アームと歯がロック係合し、引張部材の張力を緩めるシステムの1つ以上のコンポーネントの回転が防止される。本明細書の実施形態は、荷重保持能力を提供するように機能するつめまたはアームを完全に含まなくてもよい。他の実施形態では、リールシステムは、荷重保持機能を提供するために、摩擦ベースの機構とつめまたはアームとの組合せを含んでもよい。
【0021】
[0037]本明細書で説明する荷重保持機構(すなわち、ばねおよびハブ部材)は、人間の耳で検出可能な可聴ノイズを生成しない場合がある。したがって、リールシステムは、ノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成して引張部材の調整を知らせるように構成された可聴コンポーネントを含んでもよい。可聴コンポーネントは、引張部材に張力をかけることに応答して可聴ノイズを生成し、引張部材を緩めることに応答して可聴ノイズを生成するように構成されてもよい。引張部材に張力をかけることに応答して生成される可聴ノイズは、引張部材を緩めることに応答する可聴ノイズとは異なってもよい。可聴コンポーネントは、スプールの上面に結合されてもよい。
【0022】
[0038]本明細書のシステムは、一般に、荷重保持つめまたはアームを欠いているが、例示的な実施形態では、システムが作動するときに可聴ノイズまたは音を生成するために別個のつめシステム、部材、またはビームを使用してもよい。例えば、つめシステム、部材、またはビームは、ノブが回転するときに主にクリック音を生成するために使用され、クリック音はシステムが引張部材を引っ張ったり緩めたりするために使用されていることを可聴的にユーザに示す。つめシステム、部材、またはビームは、システムのユーザが期待および/または望んでいる可聴フィードバックを提供してもよい。つめシステム、部材、またはビームは、引張部材またはノブ部材を介してかなりの回転力がスプールに加えられたときに、ハウジング内のスプールの回転を防ぐことができない場合がある。例えば、ユーザがノブ部材を緩む方向に回転させると、つめシステム、部材、またはビームは、ノブ部材の回転をそれほど妨げない可能性がある。
【0023】
[0039]リール式閉鎖装置の追加の特徴および態様は、本明細書で以下に提供されるいくつかの図面の説明を参照すると明らかになるであろう。
【0024】
[0040]図1は、リールシステム100の組立斜視図を示す。組み立てられたリールシステム100は、ハウジング102に取り付けられたノブ170を示しており、ハウジング102は、典型的にはベース部材220と結合される。ハウジング102は、ハウジング102をベース部材220から取り外したり除去したりできるように、ベース部材220と結合される。ハウジング102とベース部材の結合は、両方のコンポーネント上に配置された嵌合機能の係合を介して達成される。図1は、ハウジング102の前部をベース部材220に結合するために、ベース部材220の前部タブ222内に配置可能なリップまたはフランジ部材106を示す。図16は、ハウジング102の反対側に配置されたタブ110を示す。タブ110は、ベース部材220の周囲を部分的に囲む壁224の内面上の対応するスロット内で適合するように設計されている。図16はまた、ハウジング102のレースポート104を示す。レースポートは、引張部材がハウジング102の内部へのアクセスを可能とするために、引張部材が挿入される開口部105を含む。図17に示すように、ベース部材220は、レースポート104を収容する形状およびサイズの前部タブ222の両側に開口部または領域を含み、単一コンポーネントであるベース部材220およびハウジング102の外観を示す。
【0025】
[0041]ハウジング102は、ベース部材220の外面およびノブ170の外面に対応するように形作られる。例えば、ハウジング102がベース部材220に取り付けられると、これらのコンポーネントの外面は、それらが連続または合わせ面として見えるように整列する。ハウジング102およびベース部材220の外面が一致していることは、両方のコンポーネントの縁部を見えないようにするまたは隠すのに役立つ。この方法では、ユーザはコンポーネントの別々の縁部を容易に認識せず、むしろ別個のコンポーネントを一体ユニットとして視覚的に認識する。ハウジング102の外面は、同様にノブ170と整列しているので、外面が一緒に流れるように見える。ノブ170とハウジング102の外面とが整列することにより、周囲の物体に引っかかってシステムを開けたり、ハウジング102からノブ170を外したりする可能性のある隆起部または縁部が排除または最小化される。ハウジング102、ノブ170、およびベース部材220の形状は、ユーザが望む視覚的に魅力的な外観を提供する。
【0026】
[0042]ノブ170は、スナップ係合または嵌合を介してハウジング102に結合される。具体的には、ノブ170の内面は、ハウジング102の半径方向外向きに突出するリブ114上でスナップするように構成される半径方向内向きに突出するタブ176を含む。ノブ170は、2つのコンポーネントが互いにスナップ嵌めされると、半径方向外側にわずかに曲がることができる。スナップ嵌め係合または結合により、ネジ、ボルト、または他の同様の機械的留め具を使用せずにコンポーネントを一緒に取り付けることができる。ノブとハウジングのスナップ嵌め結合の例示的な実施形態は、2014年6月5日に出願され、「統合閉鎖装置のコンポーネントおよび方法」と題された米国特許出願第14/297,047号に更に記載されており、その全体の開示は本明細書で参照することにより組み込まれる。
【0027】
[0043]図1および図5は、場合によっては刻み付き構成を有し得る、テクスチャード加工またはパターン化された外側リム173を有するノブ170を示す。テクスチャード加工またはパターン化された外側リムは、ノブ170のリム173のグリップ表面を強化することができ、および/または美的アピールのために使用することができる。場合によっては、ノブ170は、アルミニウムまたはステンレス鋼などの金属材料で作られていてもよい。このような場合、テクスチャード加工またはパターン化された外側リム173は、ノブ170のグリップ特性を著しく高めることができる。他の例では、ノブ170は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンなどのプラスチック材料で作られてもよい。
【0028】
[0044]図2および図3は、リールシステム100の分解斜視図を示す。リールシステム100の内部コンポーネントは、図2および図3に見ることができる。「内部コンポーネント」という用語は、ハウジング102の内部領域116内およびノブ170の軸方向下方に配置されて、組み立てられた図では内部コンポーネントが見えないシステムコンポーネントを意味する。内部コンポーネントには、スプール140、摩擦ベースの荷重保持機構120、可聴フィードバックアセンブリ160、および停止コードまたは機構230(図20を参照)が含まれる。これらのコンポーネントのそれぞれは、様々なコンポーネントの詳細な斜視図を提供する図2~20に関連してより詳細に説明される。
【0029】
[0045]スプール140は、ハウジング102の内部領域116内に回転可能に配置される。スプール140の詳細な斜視図が図9に示される。スプール140は、ハウジング102の中央ボス115に取り付けられた円筒形結合ポスト190の周りを回転するように構成される。円筒形結合ポスト190は、スプール140の中央開口部148を通して挿入され、円筒形結合ポスト190の遠位端をハウジングの中央ボス115の開口部内に挿入または圧入することにより、ハウジング102の中央ボス115に取り付けられる (図16を参照)。図16は、中央ボス115の開口部内に圧入または挿入された円筒形結合ポスト190を示す。円筒形結合ポスト190は、締まり嵌め、接着剤結合、溶接(RF、音波など)などを介して中央ボス115に固定することができる。スプールの開口部148は、スプール140と円筒形結合ポスト190との間の摩擦力を最小化し、それによりスプール140がハウジング102の内部領域116内で円筒形結合ポスト190の周りを自由に回転できるように、十分に大きい。
【0030】
[0046]スプールの開口部148は、スプール140の上面の凹部内の中央に配置される。スプール140の上面の凹部は、円筒形結合ポスト190のキャップを収容するような形状および大きさである。円筒形結合ポスト190のキャップがスプール140の凹部内に配置されると、キャップの上面はスプール140の上面と整列することができる。
【0031】
[0047]スプール140は、環状チャネル144などのひも巻き取り領域を含み、その周りに引張部材(図示せず)が巻き付けられたり、巻き戻されたりして、引張部材に張力をかけたり緩めたりする。スプール140は、ノブ170と動作可能に結合されており、ノブ170の締め付け方向(例えば、時計回り)および緩む方向(例えば、反時計回り)への回転により、ハウジング102の内部領域116内でのスプール140が対応して回転する。ノブ170は、スプール140の窓150内に配置された1つ以上の駆動コンポーネントまたはタブ174を含む。図示の実施形態では、リールシステム100は、3つの駆動タブ174および3つの窓150を含むが、より多くのまたはより少ないこれらのコンポーネントを所望に応じて使用することができる。
【0032】
[0048]駆動タブ174は窓150よりも小さいサイズであり、駆動タブ174が窓150の対向する内側または縁部152の間の窓150内である程度回転できる。窓150内の駆動タブ174の相対的な回転により、引張部材の締め付けまたは緩みを生じさせることなく、ノブ170をハウジング102の周りである程度回転させることができる。本明細書で説明されるように、より小さいサイズの駆動タブ174は、摩擦ベースの荷重保持機構120の解放を促進する。図12および図13に示す駆動タブ174は、窓150の対向する側部152間で回転し、スプール140をハウジング102の内部領域116内で回転させることによって、引張部材に張力をかけたり緩めたりすることを可能にする方法で使用される。
【0033】
[0049]スプール140の底面または後面は、摩擦ベースの荷重保持機構120が配置される大きな円筒形の開口部またはチャネル142を含む。図10に示すように、摩擦ベースの荷重保持機構120は、上部ハブ126、下部ハブ122、コイルばね134、および解放スリーブ130を含み、それらの全てまたは大部分は、スプール140の開口部またはチャネル142内で同軸に整列して配置される。上部ハブ126、下部ハブ122、および解放スリーブ130は全て、軸方向に延びる歯を含む。具体的には、上部ハブ126は軸方向に延びる歯128を含み、下部ハブは軸方向に延びる歯124を含み、解放スリーブ130は軸方向に延びる歯132を含む。上部ハブ126および下部ハブ122の軸方向に延びる歯128および124は、歯が反対方向に延びるように配向される。解放スリーブ130は、その軸方向に延びる歯132が上部ハブ126の軸方向に延びる歯128と同じ方向に延びるように配向される。
【0034】
[0050]上部ハブ126は、スプール140の円筒形開口部142内に配置されており、その軸方向に延びる歯128がスプール140の対応する開口部158内に挿入され、これにより上部ハブ126はスプール140にロックまたは固定される。上部ハブ126をスプール140に固定することは、上部ハブ126がスプール140に対して並進または回転しないことを意味する。むしろ、スプール140の回転運動または移動は、2つのコンポーネントが互いに固定されるため、上部ハブ126の対応する回転運動または移動を引き起こす。下部ハブ122も同様にハウジング102の内部領域116内に配置され、その軸方向に延びる歯124がハウジング102の対応する開口部107に挿入され、下部ハブ122をハウジング102にロックまたは固定する。ベース部材220と結合されると、ハウジング102はベース部材220に対して適所に固定される。下部ハブ122はハウジング102にロックまたは固定されるため、下部ハブ122はベース部材およびハウジングに対して適所に固定され、したがって、下部ハブ122はリールシステム100に対して回転可能または並進可能ではない。
【0035】
[0051]コイルばね134は、上部ハブ126および下部ハブ122上に配置される。コイルばね134、上部ハブ126、および下部ハブ122が解放スリーブ130の円筒形内部領域内に配置されるように、解放スリーブ130はコイルばね134上に配置される。コイルばね134は、コイルばね134がこれらのハブ126および122の外面の周りで収縮することができるように、上部ハブ126および下部ハブ122を取り囲んでいる。具体的には、コイルばね134の内径は、上部ハブ126および下部ハブ122の外径とほぼ同じか、わずかに小さい。コイルばね134は、前記ハブ122および126の外面の周りを収縮することにより、上部ハブ126および下部ハブ122と摩擦係合する。コイルばね134と上部ハブ126および下部ハブ122との摩擦係合は、摩擦ベースの荷重保持機構120の荷重保持の特性または機能を提供する。具体的には、上部ハブ126および下部ハブ122の周りのコイルばね134の収縮により、上部ハブ126が下部ハブ122の周りまたはそれに対して回転することを防止することにより、上部ハブ126および下部ハブ122を互いにロックまたは固定する。このように上部ハブ126と下部ハブ122を一緒にロックすると、スプール140が上部ハブ126に固定されるため、スプール140がハウジング102に対して適所にロックされる。これにより、スプール140がハウジング102の内部領域116内でスピンまたは回転することが防止され、引張部材に存在する張力が維持される。
【0036】
[0052]コイルばね134は、ノブ170が締め付け方向(例えば、図12の矢印A)に回転すると、コイルばね134が、ハウジング102の周りの位置に固定された下部ハブ122の周りを回転できるように設計される。コイルばね134は、典型的には、上部ハブ126の周りの適所に固定されたままであり、上部ハブ126、解放スリーブ130、スプール140、およびノブ170とともに締め付け方向に回転する。上部ハブ126、コイルばね134、および解放スリーブ130の適切な整列を維持することは、本明細書で説明するように、リールシステム100の一貫した反復可能な張力感および緩み感および性能を実現する上で重要である。これらのコンポーネントが締め付け方向に回転すると、引張部材がスプール140の環状チャネル144の周りに巻き付けられ、これにより引張部材の張力が増加する。ノブ170の締め付け方向への回転が停止すると、コイルばね134が上部ハブ126および下部ハブ122の周りで収縮し、それによってこれらのコンポーネントを一緒にロックまたは固定し、スプール140および他のコンポーネントの緩む方向(例えば、図13の矢印B)の回転が防止される。引張部材の張力は、典型的には、スプール140を緩む方向の回転に向けて付勢し、これにより、コイルばね134と上部ハブ126および下部ハブ122との摩擦係合が増加する。これらのコンポーネントの摩擦係合の増加により、上部ハブ126と下部ハブ122が更にロックされるか、より固定される。
【0037】
[0053]解放スリーブ130は、ハブ126および122が互いに対して回転することを可能にし、これにより、スプール140がハウジング102の内部領域116内で回転することを可能にするために、上部ハブ126および下部ハブ122の周りのコイルばね134の摩擦係合を調整するために使用される。具体的には、解放スリーブ130は、ノブ170と動作可能に結合されており、ノブ170が緩む方向に回転すると、解放スリーブ130の下部が緩む方向に回転する。図13に示すように、ノブ170が緩む方向に回転すると、ノブ170の駆動タブ174が解放スリーブ130の軸方向に延びる歯132に係合し、解放スリーブ130が緩む方向に回転する。
【0038】
[0054]図11に示すように、解放スリーブ130の反対側の端部は、コイルばね134の半径方向に延びるタング136に取り付けられており、解放スリーブ130が緩む方向に回転すると、タング136が押され、コイルばね134がわずかに開く。具体的には、解放スリーブ130が緩む方向に回転すると、タング136が緩む方向に押されて回転し、この結果、コイルばね134の下部コイル部分が半径方向に開いたり拡大したりすることにより下部コイル部分と下部ハブ122の摩擦係合が減少する。コイルばね134と下部ハブ122との摩擦係合の減少により、コイルばね134の下部コイル部分が下部ハブ122の周りで緩む方向に回転することが可能になる。
【0039】
[0055]コイルばね134の上部は、上部ハブ126の周りの適所に固定されたままであるため、コイルばね134の上部は、上部ハブ126の周りで、またはそれに対して回転しない。コイルばね134の下部は解放スリーブ130を介して下部ハブ122の周りで回転可能であるため、上部ハブ126およびコイルばね134は緩む方向に回転することができる。このようにして、解放スリーブ130は、上部ハブ126を下部ハブ122からロック解除または結合解除することを可能にし、これにより、ノブ170の緩む方向への回転に応答して、上部ハブ126およびコイルばね134を緩む方向に回転させることができる。上部ハブ126はスプール140に取り付けられているため、上部ハブ126と下部ハブ122の結合を解除すると、ノブ170の緩む方向の回転に応答してスプール140を緩む方向に回転させることができ、これにより、引張部材を環状チャネル144から巻き戻されるので引張部材の張力が減少する。ノブ170の緩む方向の回転が止まると、コイルばね134の下部は下部ハブ122の周りで収縮し、このことにより、上部ハブ126と下部ハブ122をロックまたは結合し、これにより、上部ハブ126、コイルばね134、およびスプール140が更に緩む方向に回転することが防止される。
【0040】
[0056]解放スリーブ130は、コイルばね134よりも半径方向に大きいサイズであり、解放スリーブ130がコイルばね134と摩擦係合しないか、最小限に係合することを保証し、この係合によりコイルばね134に対する解放スリーブ130の回転が妨げられる。
【0041】
[0057]上記で簡単に説明したように、上部ハブ126、コイルばね134、解放スリーブ130、およびスプール140の向きを維持することが望ましい。これらのコンポーネントの適切な向きは、ノブ170を緩む方向に回転させると、解放スリーブ130がタング136に一貫した反復可能な方法で係合することを保証するために重要であり、それにより引張部材の締め付けと緩みが相対的に一定に維持される。
図12および図13に示すように、軸方向に延びる歯132および駆動タブ174は、スプール140の窓150内に配置される。タング136の反復可能かつ一貫した係合を達成するために、窓150内で軸方向に延びる歯132および駆動タブ174の向きまたは相対位置を維持することが重要である。さもなければ、駆動タブ174は、解放スリーブ130の軸方向に延びる歯132と適切に係合せず、解放スリーブ130を回転させ、上記の通りコイルばね134の下部コイル部分を開く。
【0042】
[0058]これらのコンポーネントの向きを維持するには、コイルばね134の上部コイル部分が上部ハブ126の周りに固定されたままであることが重要である。具体的には、コイルばね134が上部ハブ126に対して回転せず、下部ハブ122に対してまたはその周りでのみ回転することが重要である。コイルばね134が下部ハブ122のみを中心に回転し、上部ハブ126に固定または固定されたままになるようにするために、上部ハブ126は下部ハブ122よりわずかに大きい直径を有してもよい、上部ハブ126は下部ハブ122よりも大きな摩擦係数を有する材料で作られてもよい、下部ハブ122は上部ハブ126と比較して摩擦係数を実質的に減少させる表面仕上げを有してもよい、などの上部および下部ハブ構成のうち1つ以上を使用してもよい。これらのオプションの任意の組合せを使用して、コイルばね134が下部ハブ122の周りでのみ回転することを保証することができる。
【0043】
[0059]例えば、図6および図7に示すように、上部ハブ126は、下部ハブ122の直径Dよりも大きい直径Dを有してもよい。上部ハブ126の直径Dがより大きいことにより、コイルばね134が上部ハブ126の周りで収縮し、下部ハブ122よりも上部ハブ126とより摩擦係合することが保証される。いくつかの実施形態では、上部ハブ126と下部ハブ122との間の直径の差は約2mmである。直径2mmの差は、システムの荷重保持力に大きな影響を与えることなく、コイルばね134が上部ハブ126と摩擦係合および固定されたままになることを保証するのに十分であり、このことは、上部ハブ126と下部ハブ122の直径の差が大きすぎる場合に発生する可能性がある。上部ハブ126と下部ハブ122との間の直径の差が大きすぎる場合、コイルばね134は下部ハブ122の周りに十分に収縮できない可能性があり、したがって、コイルばね134は上部ハブ126および下部ハブ122を一緒にロックまたは固定できない可能性がある。
【0044】
[0060]コイルばね134が異なるサイズのハブの周りに適切に収縮できることを保証するために、上部ハブ126は、先細の遠位端127を含み、これは、より大きな直径の上部ハブ126とより小さな直径の下部ハブ122との間の移行を提供する。先細の遠位端127は、2つのハブ間の境界面に粗い段または急な縁部が形成されないことを保証するが、これらの粗い段または急な縁部は、コイルばね134が下部ハブ122の外側表面を把持し収縮する能力を制限することにより、リールシステム100の保持力に悪影響を及ぼす可能性がある。先細の遠位端127により、コイルばね134は、上部ハブと下部ハブのサイズの違いにもかかわらず、下部ハブ122の外面の周りを締め付けて把持することができる。更に、上部ハブ126は、下部ハブ122よりも大きな摩擦係数を有する材料で作られていてもよい。例えば、上部ハブ126はアルミニウム製であり、下部ハブ122は真鍮または青銅製である。下部ハブ122の表面仕上げは、更に、または代替として、下部ハブ122の摩擦係数を低下させることができる。例えば、下部ハブ122は、上部ハブ126と比較して研磨された表面仕上げを有してもよく、これにより、下部ハブ122の摩擦係数を実質的に減少させることができる。
【0045】
[0061]コンポーネントの向きを維持するには、解放スリーブ130とコイルばねのタング136の適切な整列を確保することも重要である。解放スリーブ130とタング136との整列は、解放スリーブ130の緩む方向の回転によりタング136に直ちに確実に係合されるために重要である。場合によっては、解放スリーブ130の遠位端は、中にタング136が配置されるノッチまたはスロットを含んでもよい しかしながら、本実施形態では、図11に示すように、タング136は解放スリーブ130の遠位端に直接挿入される。タング136を解放スリーブ130の遠位端に直接挿入する1つの方法は、タング136を解放スリーブ130に熱かしめすることによるものである。タング136を解放スリーブ130に直接挿入すると、製造公差に関連する問題が排除または実質的に最小限に抑えられ、製造公差は、解放スリーブ130の周りのタング136の相対位置を変化させ、ノブ170と解放スリーブ130の逆回転に応答してコイルばね134が開く方法に大きく影響する可能性がある。
【0046】
[0062]コイルばね134は上下のハブの周りに複数回巻き付けられているため、ハブ126と122いずれかの直径の変化は解放スリーブ130に対するタング136の位置に大きく影響する可能性がある。例えば、いずれかのハブの直径が変化すると、解放スリーブ130に対するタング136の位置が変化し、これは方程式V=NπΔDによってモデル化できて、ここで、Vは解放スリーブ130の周りのタング136の位置の変動、Nはコイルばね134の巻数、ΔDはいずれかのハブの直径の変化である。
ハブ126および122のいずれかまたは両方の直径のわずかな変動がタング136の位置を最大1 mm変化させることがあり、このことはコイルばね134が解放スリーブ130の逆回転に対応して開いたり拡大したりする度合いに大きく影響することが観察されている。タング136を熱かしめまたは他の方法を介して解放スリーブ130の遠位端に直接挿入することにより、リールシステム100のコンポーネントの変動が及ぼす可能性のある影響が無効化される。むしろ、タング136を解放スリーブ130に直接挿入することにより、システムで経験される変動に関係なく、適切かつ正確な整列が保証される。解放スリーブ130の周りのタング136の位置決めの変動を排除または低減することにより、典型的には、より一貫した再現性のあるシステム性能、および引張部材に張力をかけたり緩めたりする感触が得られる。
【0047】
[0063]いくつかの実施形態では、コイルばね134を、上部ハブ126および下部ハブ122の周りに約7回巻き付けてもよい。
【0048】
[0064]図12および図13は、引張部材の張力を調整する際のノブ170、スプール140、および解放スリーブ130の相互作用を示す。図12は、スプールの環状チャネル144の周りに引張部材を巻き付けることにより引張部材の張力を増加させるために使用されるこれらのコンポーネントを示し、一方、図13は、スプールの環状チャネル144の周囲から引張部材を巻き戻すことにより引張部材の張力を減少させるために使用されるこれらのコンポーネントを示す。図では、ノブ170の上面が取り除かれており、ノブ170の駆動タブ174、解放スリーブ130の軸方向に延びる歯132、スプール140の上面、およびスプールの窓150が見える。図12に示すように、ノブ170が矢印Aで表される締め付け方向に回転すると、駆動タブ174が解放スリーブ130の第1の歯132aとスプールの窓150の前縁部152aに接触する(図13では、第1の歯132aが露出して示されている)。駆動タブ174と第1の歯132aとの接触により、解放スリーブ130がスプール140に対して回転し、これにより、第1の歯132aが窓150から出てスプール140の上面の下で回転する。このように解放スリーブ130を回転させると、図12に示すように、第2の歯132bが駆動タブ174の反対側の窓150内に向かって回転する。
【0049】
[0065]駆動タブ174とスプールの窓150の前縁部152aとの間での接触により、ノブ170とスプール140との間で回転力が伝達される。したがって、ノブ170の締め付け方向への回転により、スプールは締め付け方向に同様に回転し、これにより、引張部材がスプールの環状チャネル144の周りに巻き付けられる。図示のように、本実施形態は、3つの駆動タブ174、窓150、および第1の歯132aを含むが、より多くのまたはより少ないこれらのコンポーネントを使用してもよい。いくつかの実施形態では、解放スリーブ130は第1の歯132aを含まず、代わりに、コイルばね134およびタング136を介して回転力が解放スリーブ130に伝達される。
【0050】
[0066]図13に示されるように、矢印Bで示される反対方向(すなわち、緩む方向)へのノブ170の回転により、駆動タブ174は窓150内で逆回転または反対方向に回転する。本明細書に説明の通り、駆動タブ174のこの逆回転により、駆動タブは第2の歯132bに接触して第2の歯132bおよび解放スリーブ130を緩む方向に回転させ、これにより解放スリーブ130はコイルばねのタング136を回転させ、コイルばね134の直径を開いたり拡大したりする。駆動タブ174の回転は、駆動タブ174が窓の第2の縁部152bに接触するまで、第2の歯132bを窓150からスプール140の上面の下に押し出す。第1の歯132aは、図示の通り、窓内で同時に回転する。このようにして、ノブ170は緩む方向に回転可能であり、解放スリーブ130と係合し、それにより下部ハブ122の周りのコイルばね134の摩擦係合を減少させ、これにより、スプール140、上部ハブ126、およびコイルばね134が緩む方向に回転し、これにより、スプールの環状チャネル144から引張部材を巻き戻すことにより、引張部材の張力が減少する。
引張部材の張力、および/または第2の縁部152bを押す駆動タブ174は、スプール140を緩む方向に回転させることができる。
【0051】
[0067]駆動タブ174は、第1の縁部152aと第2の縁部152gとの間の窓150内で回転可能であるため、ノブ170は、スプール140と係合してスプール140を締め付け方向または緩む方向に回転させる前に、スプール140に対してある程度回転する。いくつかの実施形態では、ノブ170は、スプールに係合する前にスプール140に対して3~20度回転することができるが、5~10度の間の回転がより一般的である。スプール140の周りのノブ170の相対的回転は、駆動タブ174が第2の縁部152bに接触する前に第2の歯132bに確実に接触するために重要である。これにより、解放スリーブ130がスプール140に対して回転し、上部ハブ126および下部ハブ122に対して回転することができ、これにより、前述の通り、コイルばね134が開き、コイルばね134と下部ハブ122の摩擦係合が減少する。
【0052】
[0068]駆動タブ174が、同時にまたはほぼ同時に、第2の歯132bおよび第2の縁部152bに接触すると、コイルばね134は十分に開かず、下部ハブ122と摩擦係合したままになる。コイルばね134と下部ハブ122のこの摩擦係合は、ユーザが引張部材を緩めるために相当な力をかけることを必要とし、および/またはシステムがロック、ジャム、またはそうでなければ故障しているという感覚を与えることができる。したがって、窓150および駆動タブ174に対する解放スリーブの歯132aおよび132bの適切な向きを維持することは、より一貫した快適なユーザ体験を提供するために非常に望ましい。コイルばね134を上部ハブ126に固定し、タング136を解放スリーブ130に直接挿入する上記のアプローチは、上部ハブ126、コイルばね134、解放スリーブ130、およびスプール140の適切な向きを確実に維持するのに役立ち、これにより、リールシステム100のより均一で一貫した感触および動作を提供する。
【0053】
[0069]図26図30を簡単に参照すると、コイルばね182と摩擦係合する単一のハブ180を含む摩擦ベースの荷重保持機構の代替の実施形態が示されている。ハブ180およびコイルばね182は、スプール140の開口部またはチャネル142内に同軸に整列して配置されるように構成される。ハブ180は、ハブ180をハウジング102に固定する軸方向に延びる歯124を含む。コイルばね182は、図30に示すように、スプール140の下端部のチャネル141内に配置されることによりスプール140と結合するように構成されたU字形タング184を含む。U字形タング184は、ハブ180の上端部がスプール140と係合する軸方向に延びる歯を含む必要性を排除し、この設計は、本明細書で説明される上部ハブ126で採用されてもよい。タング184はまた、図26~30に示されるU字形以外の形状を有してもよい。スプール140は、ハブ180の軸方向に延びる歯124とハブ180のタング184との係合を介してハウジング102に固定される。
【0054】
[0070]図27は、単一のハブ180の外面の周りに巻かれたコイルばね182を示す。本明細書で説明されるように、コイルばね182は、ハブ180の周りで収縮するように設計され、それにより、ハブ180と摩擦係合して、ハウジング102内のスプール140の不要な回転を防止する。コイルばね182とハブ180との摩擦係合は、摩擦ベースの荷重保持機構の荷重保持の特性または機能を提供する。具体的には、ハブ180の周りのコイルばね182の収縮により、ばね182がハブ180の周りにロックまたは固定され、これにより、スプール140がハブ180に固定されているため、スプール140がハウジング102に対して適所にロックまたは固定される。したがって、ハウジング102内のスプール140の不要な回転が防止される。
【0055】
[0071]ノブ170、スプール140、およびコイルばね182は、ノブ170が締め付け方向(例えば、図12の矢印A)に回転すると、スプール140およびコイルばね182が、ハウジング102の周りの適所に固定されているハブ180の周りを回転できるように設計されている。スプール140およびコイルばね182をハブ180の周りで回転可能にするために、ノブ170は、スプール140の対応する凹部143および145内に配置された軸方向に延びる突起171および175を含む。軸方向に延びる突起171および175は、スプール140の対応する凹部143および145と接触して係合し、ユーザからノブ170に加えられる回転力を伝達する。回転力により、スプール140はハブ180の周りで回転する。コイルばね182は、U字形タング184とスプール140との結合により、ハブ180の周りを回転することができる。具体的には、スプール140が締め付け方向に回転すると、スプール140の回転が回転力をU字形タング184に伝達し、これによりコイルばね182の直径が拡大し、コイルばね184とハブ180の摩擦係合がコイルばね182のハブ180周りの回転が可能になる点まで減少する。ノブ170の締め付け方向の回転を止めると、コイルばね182はハブ180と直ちに再係合し、これにより、スプール140はハウジング102に対して適所にロックまたは固定される。
【0056】
[0072]ノブ170、スプール140、およびコイルばね182は、ノブ170が緩む方向(例えば、図13の矢印B)に回転すると、スプール140およびコイルばね182も、ハウジング102の周りの適所に固定されているハブ180の周りを回転できるように設計されている。ノブは、ノブ170が緩む方向に回転したとき、コイルばね182の上部タング186と接触して係合するように構成された解放突起179を含む。解放突起179と上部タング186との係合は、回転力を上部タング186に伝達し、これにより、コイルばね182の直径が拡大し、コイルばね182とハブ180との摩擦係合がハブ180の周りのコイルばね182の回転が可能になる点まで減少する。コイルばね182とハブ180との摩擦係合が減少するため、引張部材の張力、および/またはノブ170にかかる回転力により、スプール140が緩む方向に回転する。ノブ170の緩む方向の回転を止めると、コイルばね182は直ちにハブ180と再係合し、これにより、スプール140はハウジング102に対して適所にロックまたは固定される。
【0057】
[0073]リール式張力装置を用いて物品を組み立てる方法は、リール式張力装置を提供することを含んでもよく、リール式張力装置は、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、ハウジング内でスプールを回転させるため、スプールと動作可能に結合されるノブ部材と、ハウジング内のスプールの不要な回転を防ぐために円筒形部材と摩擦係合するばねを含む荷重保持機構とを含む。ノブ部材は、荷重保持機構と動作可能に結合されるため、ノブ部材の第1の動作により、ばねと円筒形部材との摩擦係合が減少し、ハウジング内でスプールの回転が可能となり引張部材がスプールに巻き付けられ、そしてノブ部材の第2の動作により、ばねと円筒形部材の摩擦係合が減少し、ハウジング内でのスプールの回転が可能となり引張部材がスプールの周りから巻き戻される。この方法はまた、リール式張力装置部材を物品と結合することを含んでもよい。
【0058】
[0074]ばねは、円筒形ハブ部材の外側に巻き付けられたコイルばねであってもよく、コイルばねは、ハブ部材の外面の周りに収縮することによりハブ部材と摩擦係合する。いくつかの実施形態では、ハブ部材は、スプールに固定される上部ハブ部材と、ハウジングに固定される下部ハブ部材とを含んでもよい。上部ハブ部材は、下部ハブ部材の直径よりわずかに大きい直径を有してもよく、下部ハブ部材と接合する上部ハブ部材の遠位端は先細であってもよい。代替的または追加的に、ハブ部材は内側ハブ部材であってもよく、リール式張力装置はまた、内側ハブ部材上に配置され、ノブ部材およびばねと動作可能に結合される外側ハブ部材を含んでもよく、ノブ部材を緩む方向に回転させると、ばねと内側ハブ部材の摩擦係合が減少する。外側ハブ部材は、ノブ部材が緩む方向に回転すると外側ハブが緩む方向に回転するように、ノブ部材と結合される。ばねは、外側ハブ部材と結合するタングを含んでもよく、外側ハブ部材が緩む方向に回転するとばねの直径が拡大し、それによりばねと内側ハブ部材の摩擦係合が減少する。他の実施形態では、円筒形部材は円筒形チャネルまたは凹部を含むことができ、ばねは、円筒形チャネルまたは凹部の内壁と摩擦係合するように半径方向外側に付勢されるコイルばねであってもよい。
【0059】
[0075]摩擦ベースの荷重保持機構120は、典型的には、静音機構であり、これは、摩擦ベースの荷重保持機構120が本質的に可聴音を生成しないか、生成される可聴ノイズの量を最小化することを意味する。本明細書で使用される非検出可能/検出不可能な可聴ノイズの説明は、MIL-STD-1474D、Req.2、20~32ページに概説されているものよりも低いノイズレベルを指し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。場合によっては、リールシステム100の使用に関する可聴フィードバックを提供することが望ましい場合がある。可聴フィードバックを提供するために、リールシステム100は、リールシステム100が作動するときに可聴クリック音を発生するつめシステムなどの別個の可聴機構を含んでもよい。図14は、可聴クリック音を生成するために使用できるシステムのコンポーネントのアセンブリを示し、図4は可聴機構のつめ部材160を示す。つめ部材160は、細長い本体、第1の端部162、および第2の端部164を含む。第1の端部162は、スプール140の上面と結合するように構成され、第2の端部164は、ハウジング102の内部領域116に位置する歯112と相互作用するように構成される。
【0060】
[0076]図14に示すように、つめ部材160の第1の端部162は、スプール140の結合スロットまたは凹部156内に配置される。本実施形態では、つめ部材160の第1の端部162を曲げてスプール140のスロットまたは凹部156内にフィットするループを形成するが、つめ部材の第1の端部162をスプールに取り付ける他の方法を採用してもよい。ハウジング102内に配置されると、つめ部材160は、第1の端部162と第2の端部164との間で曲がり屈曲する。つめ部材160の細長い本体は、スプール140の中央部分159の半径方向外側に配置され、中央部分159の周りで曲げられる。いくつかの実施形態では、つめ部材160は、スプール140の外側突出部157の半径方向内側に配置されてもよい。外側突出部157は、リールシステム100の組み立て中につめ部材160を所定の位置に保持し、および/または所望の可聴音を生成するために、つめ部材160の柔軟性に影響を与えてもよい。
【0061】
[0077]つめ部材160の第2の端部164は、ハウジング102の内面および歯112に接触する。第2の端部164は、第2の端部164がハウジング102の内面の周りを容易に摺動し、歯112の内外に偏向するように成形されてもよい。一実施形態では、つめ部材の第2の端部164は、U字形を有し、これにより、第2の端部164は、ハウジングの内面の周りを容易に摺動でき、このような動きを邪魔したり妨げたりするつめ部材160の第2の端部164と歯112との係合を最小限に抑える。従来のつめとは異なり、つめ部材160の第2の端部164は、ハウジング102内でのスプール140の回転を制限するかまたはかなり抵抗するようには設計されない。
【0062】
[0078]スプール140がハウジング102内で締め付ける方向または緩める方向に回転すると、第2の端部164は、ハウジング102の隣接する歯112の内外に偏向される。第2の端部164は、第2の端部164が跳ねるか跳ね返ってハウジング102の各歯112と係合するときに、可聴クリック音を生成する。スプール140が一方向に回転すると、つめ部材160に張力がかかり、第2の端部164がハウジング102の各歯112に引き入れられたり引き出されたりする。スプール140が反対方向に回転すると、つめ部材160が圧縮され、第2の端部164が各歯112に押し入れられたり、押し出されたりする。このようにして、リールシステム100が引張部材に張力をかけたり緩めたりの両方を行うように動作するとき、可聴クリック感が生成される。
【0063】
[0079]つめ部材160の第2の端部164を、スプールの回転方向に関係なく本質的に均一な音を生成するように構成してもよく、またはスプール140が締め付ける方向に回転する場合と緩める方向に回転する場合とで異なる音を生成するように構成してもよい。例えば、第2の端部164は、各歯112と係合するように引っ張られたときと、各歯と係合するように押されたときとでわずかに異なる応答をするように構成され、それにより異なる可聴音を生成することができる。つめ部材160の厚さ、つめ部材160の長さ、および/またはシステムで使用される歯の数を選択することにより、音を調整することもできる。いくつかの実施形態では、スプール140は、約20~40個の歯、より一般的には約25~35個の歯を含むことができる。特定の実施形態では、スプール140は32個の歯を含むことができる。リールシステム100はまた、複数のつめ部材(例えば、2つ以上)を実装することができ、各つめ部材は引張部材を引っ張る間または緩める間に使用される。他の実施形態では、可聴機構は、可聴音を生成するために係合する戻り止め、またはスプライン歯と相互作用する線形つめビームを含んでもよい。
【0064】
[0080]リール式張力装置を構成する方法は、リール式張力装置を提供することを含むことができ、リール式張力装置は、ハウジングと、ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、スプールに動作可能に結合されてスプールをハウジング内で第1の方向に回転させて、引張部材をスプールの周りに巻き付けるノブ部材と、スプールと結合され、ハウジング内でスプールの第1の方向への回転を可能とし、ハウジング内でスプールの第2の方向への回転を防止し、引張部材がスプールの周りから巻き戻されるのを防止するように構成された荷重保持機構とを含む。
本方法は、可聴コンポーネントをリール式張力装置に結合することも含み、可聴コンポーネントは、ノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成し、引張部材の調整を知らせるように構成される。本方法は、可聴コンポーネントによって生成される可聴ノイズを調整する可聴コンポーネントを調整することも含み得る。
【0065】
[0081]荷重保持機構は、人間の耳で検出可能な可聴ノイズを生成しない場合がある。可聴コンポーネントは、引張部材に張力をかけることに応答して可聴ノイズを生成し、引張部材を緩めることに応答して可聴ノイズを生成するように構成されてもよい。引張部材に張力をかけることに応答して生成される可聴ノイズは、引張部材を緩めることに応答する可聴ノイズとは異なってもよい。可聴コンポーネントは、ハウジングと係合して可聴ノイズを生成するつめ部材またはビームを含んでもよい。つめ部材またはビームは、引張部材またはノブ部材を介してかなりの回転力がスプールに加えられたときに、ハウジング内のスプールの回転を防ぐことができない場合がある。リール式張力装置の荷重保持機構は、つめ部材またはビームを含まなくてもよい。
【0066】
[0082]場合によっては、リールシステム100のコンポーネントを、布地がコンポーネントと一体的に形成されるか、またはコンポーネント内に一体化されるように、布地材料上に直接形成することが有益な場合がある。いくつかの実施形態では、布地材料は、コンポーネントを靴に取り付けるなど、コンポーネントを物品に取り付けることを容易にし得る。特定の実施形態において、コンポーネントは、布地材料が金型またはダイ内に配置され、ポリマー材料が布地材料の上または布地材料を介して注入されるインサート成形によって布地材料上に形成されてもよい。リールシステムのコンポーネントは、上端部と、下端部と、およびリール式張力システムの第2のコンポーネントが配置可能な内部空洞とを含む第1のコンポーネントであってもよい。第1のコンポーネントの特定の例は、リールシステムのハウジングと結合するように構成されたベース部材またはバイオネットである。第1のコンポーネントの別の例は、本明細書に記載のシステムのスプールおよび他のコンポーネントと結合するように構成されたハウジングである。第1のコンポーネントの更に別の例は、物品の経路の周りに引張部材をガイドするためにリールシステムの引張部材を受け入れるように構成された内部空洞を含むガイド部材である。
【0067】
[0083]コンポーネントが布地材料上に形成されるとき、布地材料は、コンポーネントの下端部近くに配置され、コンポーネントの外周の少なくとも一部から、より一般的にはコンポーネントの外周全体の周りに横方向に延びてもよい。布地材料は、コンポーネントのポリマー材料(すなわち、熱可塑性または熱硬化性材料)を布地材料を介して注入することにより、第1のコンポーネントと一体的に結合することができるので、コンポーネントの少なくとも一部のポリマー材料は、布地材料の底面の軸方向下方および布地材料の上面の軸方向上方に延びるポリマー材料で、布地材料を介して飽和または含浸する。
いくつかの実施形態では、コンポーネントの下端部全体が布地材料の底面の軸方向下方および布地材料の上面の軸方向上方に延びるように、ポリマー材料は布地材料を介して飽和または含浸させてもよい。このような実施形態では、コンポーネントの下端部のポリマー材料は、布地材料の底面に環状リングを形成してもよい。他の実施形態では、下端部の一部のみが布地材料の上下に軸方向に延び、下端部の残りの部分は布地材料の片側のみに位置してもよい。
【0068】
[0084]ここで図15図17図19、および図23図25を参照すると、布地200などの織布材料片に取り付けられたベース部材220が示されている。布地は、ポリマーベースの布地など、本質的にどんな布地でもよい。特定の実施形態では、布地は500デニールのポリエステル布地であってもよい。図17は、布地200に取り付けられていないベース部材220を示し、図18は、布地200に取り付けられたベース部材220の斜視図を示す。図18に示すように、布地200は、ベース部材220が布地200に取り付けられた後、ベース部材220の底面と実質的に同一平面にある。布地200は、ベース部材220の外周の少なくとも一部から、より一般的には、ベース部材220の外周全体の周りに横方向に延びる。図15および図24は、布地200およびベース部材220の底面図を示しており、ベース部材220および布地200の代替の取付け構成を示す。図23は、布地200上にベース部材220を形成する前の布地200の実施形態の底面図を示す。図19は、取り付けられたベース部材220および布地200の実施形態の断面図を示す。
【0069】
[0085]例示的な実施形態では、ベース部材220は、布地200に直接注入される。これは、布地200の底面を介してベース部材220の材料をインサート成形または注入することにより達成され、その結果、非常に高い接着強度が得られ、布地200からのベース部材220の分離が防止または最小化される。例えば、布地200の底面を介してベース部材の材料を直接注入すると、材料が分離し始める前に50Kgの力を受けることが可能になる場合がある。ベース部材220の材料は、通常、布地200を介して注入されるポリマー材料(すなわち、熱可塑性または熱硬化性材料)であるので、ベース部材220が形成されるとき、布地200はベース部材220の少なくとも一部内に配置されるため、ポリマー材料は布地200の両側に配置される。ベース部材220内の布地200の配置を図15図19、および図24に示す。
【0070】
[0086]図17に示されるように、ベース部材220は、図16に示されるようにハウジング102を受け入れて解放可能に結合するように構成された内部空洞を含むシステムのコンポーネントであってもよい。他の実施形態では、ベース部材は、図16に示されるようなハウジングコンポーネントであってもよく、布地200に直接注入され、布地200と一体に形成され得る。このような実施形態では、別個のベース部材220およびハウジング102の必要性を排除することができ、これらのコンポーネントを布地200と一体的に結合される単一のコンポーネントに一体化することができる。ハウジングコンポーネントは、引張部材またはひもが配置されるレースポート104を含んでもよい。
【0071】
[0087]場合によっては、ベース部材の材料を布地200に注入して、布地200内の材料の飽和または一体化を変化させてもよい。布地200内のベース部材の材料の飽和または一体化という用語は、注入プロセス後に布地200の内部に配置されたままであるベース部材の材料の量を指す。ベース部材の材料が布地200内で高度に飽和/一体化されると、注入されたベース部材材料は、布地200の両側に、および布地の内部を介して本質的に配置される。ベース部材の材料が布地200内で飽和/一体化が少ない場合、注入されたベース部材材料は、布地200を完全に貫通しないか、または布地200の片側に本質的に配置される。布地は、布地200内でベース部材の材料の飽和/一体化が少ない領域でより見やすくなる。特定の実施形態では、ベース部材の材料は、ガラス充填ポリプロピレンおよび/またはコポリエステルである。
【0072】
[0088]一実施形態では、ベース部材の材料の飽和/一体化は、ベース部材のセグメント間または部分間で異なるため、ベース部材の材料は、ベース部材の一方のセグメントまたは部分では布地200を介して高度に飽和/一体化され、ベース部材の他方のセグメントまたは部分では布地200を介した飽和/一体化が少ない。
このような実施形態では、布地200内のベース部材の材料の変化は、図15および図19のクロスハッチングまたは陰影領域によって示される。クロスハッチングまたは陰影領域は、ベース部材の材料が布地200により飽和または一体化されている布地200の部分を表す。ベース部材の材料がこれらの領域により集中しており、布地200の底面から見やすいため、これらの領域は、暗く見えるか、わずかに異なる色に見える場合がある。ベース部材の材料の飽和/一体化の変化は、2つの材料間の結合または接着強度の増加、ベース部材の強度の増加など、望ましい特性を提供するように設計できる。
【0073】
[0089]布地200とベース部材220との間の結合または接着の強度は、ベース部材の材料が布地200内で高度に飽和/一体化されると、実質的に増加することができる。しかしながら、ベース部材内の材料がより少ないために、ベース部材の材料が布地200内で高度に飽和/一体化されると、ベース部材220自体の強度が低下する可能性がある。ベース部材220の強度の低下は、ベース部材220がハウジング102などのシステムの他のコンポーネントと相互作用する方法に悪影響を与える可能性がある。例えば、前部タブ222の反対側の壁224は、ベース部材220のサイズおよび/または重量を低減するために、材料のより薄い部分である可能性がある。ベース部材220が壁224の近くで薄すぎる場合、壁224は、ハウジング102によって壁224に加えられる圧力または力から亀裂が発生または破損する可能性がある。したがって、布地200内のベース部材の材料が飽和しているためにこれらの材料間の結合/接着の増加が達成される一方で、壁224が比較的強く補強されたままになるように、ベース部材220および布地200を構築することが望ましい場合がある。
【0074】
[0090]場合によっては、ベース部材220は、前面タブ222の近くでより大きな外力を受ける可能性がある。外力は、ベース部材220を布地200から剥がすか、または剥がす原因となり、したがって、前部タブ222付近の結合/接着強度の増加が望ましい場合がある。壁224は、主にベース部材220をハウジング102と結合するために使用される場合があり、したがって、壁224に隣接するベース部材220を補強または強化することがより望ましい場合がある。前部タブ222の近くでのこの増加した結合/接着強度、および壁224の近くでのベース部材220の一層の強化は、図15および図19に示すように、前面タブ222の近くのベース部材の材料の飽和/一体化を増加させる一方で、壁224の近くでのベース部材の材料の飽和/一体化を減少させることにより達成される可能性がある。
【0075】
[0091]一実施形態では、布地200内のベース部材の材料の飽和/一体化の量は、布地200を介してベース部材の材料を注入する注入孔226の配置に基づいて制御することができる。ベース部材の材料は、注入孔226の周りの布地200に、より完全に飽和/一体化する可能性があり、したがって、注入孔226は、結合/接着強度を高めることが望まれるベース部材220の領域に隣接して配置してもよく、コンポーネントの強度を高めることが望まれる領域には配置しなくてもよい。図15および図19は、クロスハッチングまたは陰影が示され、典型的にはベース部材の材料および布地200の飽和/一体化の増加が望まれる前部タブ222の近くに配置された注入孔226を示す。このようにして、コンポーネントの完全性を損なうことなく、所望の強度の設計された組合せを提供するように孔パターンを設計することができる。
【0076】
[0092]別の実施形態では、ベース部材の材料が布地200を通じて高度に飽和/一体化されるか、または布地200を通じてわずかに飽和/一体化されるように、ベース部材の材料の飽和/一体化はベース部材に対して比較的均一であってもよい。図24は、布地を通るポリマー材料の均一な飽和/一体化を示す布地200の底面図を示す。図24では、ベース部材の材料は、布地200を介して高度に飽和/一体化されており、その結果、布地200は、ベース部材220の本質的に下端部全体のポリマー材料内に配置される。ベース部材220のポリマー材料内に配置される布地200の説明は、ポリマー材料は布地200の両側に配置される、または位置づけられることを意味する。ベース部材220は、図17に示すように本質的に円筒形の構成(すなわち、円形下端部および中空内部)を有するので、布地200の両側のポリマー材料の配置により、図24に示すように、布地200の底面上に環状リング223が形成される。ベース部材220の下端部が異なる構成(例えば、平面、楕円形など)を有する場合、布地200の底面に形成される形状は、ベース部材220の下端部の形状に対応するであろう。
【0077】
[0093]図25に示すように、いくつかの実施形態では、ベース部材220は、1つ以上のより薄い材料セクション225を含む。布地200は、ベース部材の材料内に配置される、または位置づけられるため、布地200は、ベース部材220のより薄い材料セクション225の上面で見ることができる。図23は、ベース部材の材料が布地200を介して注入される前の布地200の図を示す。布地200は、布地200を通るポリマー材料の飽和/一体化を促進して図24に示す環状リング223を形成するように配置された注入孔226を含む。図23はまた、布地200が、布地200の本体から横方向外側に延びる複数のタブ240を含むことを示している。1つ以上のタブ240は、図示のように開口部241を含んでもよい。
【0078】
[0094]布地200内の材料飽和/一体化の変化はベース部材220に関して示されているが、引張部材のためのガイド部材およびその他のコンポーネントなどのシステムの他のコンポーネントも同様に、布地に直接注入できることを理解すべきである。したがって、上記の一般的な説明は、任意のリールシステムのコンポーネントに関するものであり、特にベース部材に関するものではない。
【0079】
[0095]リール式張力システムのコンポーネントを形成する方法は、布地材料を提供すること、および布地材料をダイまたは金型内に配置することを含み得る。この方法はまた、ポリマー材料が、リール式張力システムの第1のコンポーネントの形状を画定するダイまたは金型内の空隙または空間を埋めるように、布地材料を介してポリマー材料を注入することを含む。この方法はまた、ポリマー材料が硬化して、リール式張力システムの第1のコンポーネントを形成するように、ポリマー材料を冷却することを含んでもよい。第1のコンポーネントの少なくとも一部のポリマー材料が、布地材料を介して飽和または含浸しているので、第1のコンポーネントのポリマー材料は、布地材料の底面の軸方向下方および布地材料の上面の軸方向上方に延びる。布地材料は、ポリマー材料がダイまたは金型の下端部からダイまたは金型の上端部に向かって布地材料を介して注入されるように、ダイまたは金型の下端部内に配置されてもよい。ダイまたは金型の下端部は、第1のコンポーネントの下端部に対応してもよい。ポリマー材料は、第1のコンポーネントの下端部全体のポリマー材料を布地材料を介して飽和または含浸するように、布地材料を介して注入され冷却される。このような場合、底部全体のポリマー材料は、布地材料の底面の軸方向下方および布地材料の上面の軸方向上方に延びてもよい。ポリマー材料は、ポリマー材料が布地材料の底面の上に環状リングを形成するように、布地材料を介して注入され冷却される。ポリマー材料は、ガラス充填ポリプロピレン材料、コポリエステル材料、またはそれらの組合せを含むか、またはそれらで構成されてもよい。ポリマー材料は、ポリマー材料を第1のコンポーネントのかなり薄いセクションまたはセグメントの上面から見えるように、布地材料を介して注入され冷却される。
【0080】
[0096]次に図20を参照すると、スプール140およびハウジング102に取り付けられた停止コードまたは機構230が示されている。停止コード230は、環状チャネル144とは別個の停止コードチャネル232の周りに巻かれている。引張部材が環状チャネル144から巻き戻されると、停止コード230が停止コードチャネル232の周りに巻き付くように、停止コード230は、停止コードチャネル232の周りに巻き付けられる。停止コード230および停止コードチャネル232の長さおよび配置は、引張部材が環状チャネル144から完全にまたはほとんど巻き戻されると、停止コード230が停止コードチャネル232にほぼまたは完全に巻き付き、これにより、ハウジング102の内部領域116内でのスプール140の更なる回転が防止される。このようにして、停止コード230は、環状チャネル144の周りの引張部材の逆巻き、すなわち、スプールが緩む方向に回転するときの環状チャネル144の周りの引張部材の巻き付けを防ぐ。停止コードの機能および配置は、2013年6月21日に出願され、「リール式レーシングシステム」と題された米国特許第9,259,056号に更に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
[0097]停止コード230をリールシステム100に取り付けるために、停止コード230の近位端は、ハウジングの結合開口部108を介して挿入され、結び目は、停止コード230の近位端に結び付けられる。結び目は、結合開口部108と係合して、停止コード230の近位端が結合開口部108を通って引っ張られるのを防ぐ。停止コード230の遠位端は、スプール140の一対の開口部(図示せず)を介して同様に挿入され、結び目は停止コード230の遠位端に結び付けられる。結び目は、停止コード230の遠位端がスプール140を通って引っ張られるのを防ぐために、最上部の開口部(図示せず)と係合する。停止コード230の遠位端の結び目がスプールの開口部と係合すると、結び目はスプール140のスロット109内に配置される。場合によっては、停止コード230の小さな部分がスプールの環状チャネル144を横切って延びる。そのような場合、引張部材(図示せず)は停止コード230の周りに巻き付けられる。
【0082】
[0098]図21図22は、コイルばね400および解放ハブアセンブリの代替実施形態を示す。具体的には、コイルばね400は、上部ハブ326および下部ハブ322内に配置されるように構成される。コイルばね400の外径は、上部ハブ326および下部ハブ322の内径とほぼ同じサイズかわずかに大きいので、ばね400は外側に曲がって上部ハブ326および下部ハブ322と摩擦係合し、本明細書で説明した方法と同様の方法で2つのハブを一緒にロックする。図22に示すように、下部ハブ322は軸方向に延びる歯324を介してリールシステム500のハウジングに固定され、一方、上部ハブ326は軸方向に延びる歯328を介してリールシステム500のスプールに固定される。上部ハブ326と下部ハブ322を一緒にロックすると、上部ハブ326が下部ハブ322に対して回転するのが防止され、これにより、スプールがハウジングに対して適所にロックされる。
【0083】
[0099]下部ハブ322から上部ハブ326をロック解除するために、コイルばね400の直径が縮小される。コイルばね400は、半径方向内側に延び、解放スリーブ(図示せず)またはノブのコンポーネントと係合するタング402を含む。ノブを緩める方向に回転させると、解放スリーブまたはノブのコンポーネントを介してタング402が係合し、これにより、コイルばねが半径方向内側に収縮または移動する方向(すなわち、図21に示されているばねの反時計回り方向)に、コイルばね400が巻き取られる。このようにコイルばね400が移動すると、コイルばねの外径は、上部ハブ326が下部ハブ322からロック解除され、下部ハブ322に対して回転できる点まで減少し、スプールがハウジング内で緩む方向に回転できるようになる。
【0084】
[0100]上部ハブ326および下部ハブ322は、所望に応じてコイルばね400が他方のハブに固定されたまま一方のハブの周りで回転できることを保証するために、異なるサイズの内径を有してもよく、異なる材料で作られてもよく、および/または異なる表面仕上げを有してもよい。解放スリーブが使用される場合、解放スリーブは、解放スリーブとコイルばね400の摩擦係合を最小限にする方法で、コイルばね400の内部に完全にフィットする、円筒形スリーブであってもよい。加えて、タング402は上部ハブ326の外端部の近くに配置されて示されているが、他の実施形態では、タング402は下部ハブ322の外端に隣接して配置されてもよい。
【0085】
[0101]様々なコンポーネントのいくつかの実施形態および配置を本明細書で説明したが、様々な実施形態で説明した様々なコンポーネントおよび/またはコンポーネントの組合せを修正、再配置、変更、調整などできることを理解すべきである。例えば、説明された実施形態のいずれかのコンポーネントの配置は調整または再配置され、および/または現在は説明されていないまたは使用されていない実施形態のいずれかで、説明された様々なコンポーネントを使用することができる。したがって、様々な実施形態は、本明細書で説明される特定の配置および/またはコンポーネント構造に限定されないことを理解すべきである。
【0086】
[0102]加えて、本明細書に開示された特徴および要素の実行可能な組合せも開示されているとみなされることを理解すべきである。更に、本開示の実施形態に関して特徴が議論されないときはいつでも、当業者には、本発明のいくつかの実施形態がそのような特徴を暗黙的かつ具体的に除外し、それによって否定的請求制限に対する支持を提供できることを注意する。
【0087】
[0103]いくつかの実施形態を説明したが、当業者は、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替構成、および同等物を使用できることを認識するであろう。更に、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、多くの周知のプロセスおよび要素は説明されていない。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0088】
[0104]値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値の間の、文脈が特に明確に指示しない限り、下限値の単位の10分の1までの各介入値も具体的に開示されることが理解される。規定の範囲内の規定値または介入値との間の、およびその規定範囲内の他の規定値または介入値との間の、それぞれのより小さい範囲が包含される。これらのより小さい範囲の上限値および下限値は、独立して範囲に含まれるか除外されてもよく、いずれかの制限値、両方のどちらでもない制限値、または両方の制限値がより小さい範囲に含まれる各範囲も、規定の範囲内の具体的に除外された制限値を条件として、本発明に含まれる。規定の範囲に制限値の一方または両方が含まれる場合、含まれる制限値のいずれかまたは両方を除外する範囲も含まれる。
【0089】
[0105]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a process」への言及には複数のそのようなプロセスが含まれ、「the device」への言及には、当業者に知られている1つ以上のデバイスおよびその同等物への言及などが含まれる。
【0090】
[0106]また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「comprise」、「comprising」、「include」、「including」、および「includes」という言葉は、述べられた特徴、整数、コンポーネント、またはステップの存在を指定することを意図しているが、1つ以上の他の機能、整数、コンポーネント、ステップ、行為、またはグループの存在または追加を排除しない。
(項目1)
引張部材と結合され、前記引張部材に張力をかけるように動作可能であるリール式張力装置用のインサート成形コンポーネントであって、
前記リール式張力装置のベース部材であって、ポリマー材料で作られており、上端部と底面を備えた下端部とを有し、前記リール式張力装置の1つ以上のコンポーネントがその中に配置可能である内部空洞を有する、ベース部材と、
前記ベース部材の前記底面と実質的に同一平面上にあり、かつ前記ベース部材の前記下端部の外周の少なくとも一部から横方向に延びる布地材料であって、前記インサート成形コンポーネントが形成されるとき、前記布地材料は前記ベース部材の少なくとも一部内に配置され、前記ベース部材の前記少なくとも一部の前記ポリマー材料が前記布地材料の両側に配置されるように、前記布地材料を介して前記ポリマー材料を注入することにより、前記ベース部材が前記布地材料上にインサート成形される、布地材料と
を備える、インサート成形コンポーネント。
(項目2)
前記ベース部材の前記内部空洞が、前記リール式張力装置のハウジングコンポーネントを受け入れるように構成されている、項目1に記載のインサート成形コンポーネント。
(項目3)
前記ベース部材は、前記リール式張力装置のハウジングコンポーネントであり、前記引張部材が前記ハウジングコンポーネントの内側部分から前記ハウジングコンポーネントの外側部分へ通過するように、前記ハウジングコンポーネントは入口および出口ポートを含み、前記引張部材はこれらを通って配置される、項目1に記載のインサート成形コンポーネント。
(項目4)
前記ベース部材は、前記布地材料上にインサート成形されるので、前記ベース部材の前記下端部全体の前記ポリマー材料が前記布地材料の両側に配置されるように、前記布地材料が前記ベース部材の前記下端部全体内に配置される、項目1に記載のインサート成形コンポーネント。
(項目5)
前記ベース部材の前記下端部の前記ポリマー材料は、前記布地材料の底面上に環状リングを形成する、項目4に記載のインサート成形コンポーネント。
(項目6)
前記ベース部材が少なくとも1つのより薄いポリマー材料セクションを含み、前記布地材料が前記ベース部材の前記より薄いポリマー材料セクションの上面に見える、項目1に記載のインサート成形コンポーネント。
(項目7)
前記ベース部材は、ガラス充填ポリプロピレン材料、コポリエステル材料、またはそれらの組合せで作られている、項目1に記載のインサート成形コンポーネント。
(項目8)
前記布地材料は靴に取り付け可能である、項目1に記載のインサート成形コンポーネント。
(項目9)
リール式張力システムのコンポーネントであって、
前記リール式張力システムの第1のコンポーネントであって、ポリマー材料で作られ、上端部、下端部、および前記リール式張力システムの第2のコンポーネントが配置可能な内部空洞を有する、第1のコンポーネントと、
前記第1のコンポーネントの前記下端部近くに配置され、かつ前記第1のコンポーネントの外周の少なくとも一部から横方向に延びる布地材料であって、前記第1のコンポーネントの少なくとも一部の前記ポリマー材料を前記布地材料を介して飽和または含浸させるように、および前記第1のコンポーネントの前記少なくとも一部の前記ポリマー材料が前
記布地材料の底面の軸方向下方および前記布地材料の上面の軸方向上方に延びるように、前記第1のコンポーネントの前記ポリマー材料を前記布地材料を介して注入することにより前記第1のコンポーネントと一体的に結合される、布地材料と
を備えた、リール式張力システムのコンポーネント。
(項目10)
前記第1のコンポーネントはベース部材であり、前記ベース部材の前記内部空洞は、リール式張力装置のハウジングコンポーネントを受け入れるように構成される、項目9に記載のコンポーネント。
(項目11)
前記第1のコンポーネントはガイド部材であり、前記内部空洞は、物品の経路の周りに前記引張部材をガイドするために、前記リール式張力システムの引張部材を受け入れるように構成される、項目9に記載のコンポーネント。
(項目12)
前記第1のコンポーネントの前記下端部全体の前記ポリマー材料は、前記布地材料を介して飽和または含浸しているので、前記下端部全体の前記ポリマー材料は、前記布地材料の前記底面の軸方向下方および前記布地材料の前記上面の軸方向上方に延びる、項目9に記載のコンポーネント。
(項目13)
前記第1のコンポーネントの前記下端部の前記ポリマー材料が、前記布地材料の前記底面上に環状リングを形成する、項目12に記載のコンポーネント。
(項目14)
前記布地材料は、前記布地材料の本体から横方向外側に延びる複数のタブを備え、前記タブの少なくとも1つは開口部を含む、項目9に記載のコンポーネント。
(項目15)
前記布地材料は、前記第1のコンポーネントのかなり薄いセクションまたはセグメントの上面から見える、項目9に記載のコンポーネント。
(項目16)
リール式張力システムのコンポーネントを形成する方法であって、
布地材料を提供するステップと、
ダイまたは金型内に前記布地材料を配置するステップと、
前記リール式張力システムの第1のコンポーネントの形状を画定する前記ダイまたは金型内の空隙または空間を埋めるように、前記布地材料を介してポリマー材料を注入するステップと、
前記ポリマー材料が硬化し、前記リール式張力システムの前記第1のコンポーネントを形成するように、前記ポリマー材料を冷却するステップと
を含み、
前記第1のコンポーネントの少なくとも一部の前記ポリマー材料は前記布地材料の底面の軸方向下方および前記布地材料の上面の軸方向上方に延びるように、前記第1のコンポーネントの前記少なくとも一部の前記ポリマー材料を前記布地材料を介して飽和または含浸させる、方法。
(項目17)
前記布地材料は前記ダイまたは前記金型の下端部内に配置され、前記ポリマー材料は前記ダイまたは前記金型の下端部から前記ダイまたは前記金型の上端部に向かって前記布地材料を介して注入される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ポリマー材料は、前記布地材料を通して注入され、冷却されるので、底端部全体の前記ポリマー材料が前記布地材料の前記底面の軸方向下方に延び、前記布地材料の前記上面の軸方向上方に延びるように、前記第1のコンポーネントの前記底端部全体の前記ポリマー材料を前記布地材料を通して飽和または含浸させる、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記ポリマー材料は、前記ポリマー材料が前記布地材料の前記底面の上部に環状リングを形成するように、前記布地材料を介して注入され、冷却される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記ポリマー材料は、ガラス充填ポリプロピレン材料、コポリエステル材料、またはそれらの組合せからなる、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記ポリマー材料は、前記布地材料を介して注入され、冷却されて、前記ポリマー材料が前記第1のコンポーネントのかなり薄いセクションまたはセグメントの上面から見えるようになる、項目16に記載の方法。
(項目22)
リール式張力装置であって、
内部領域を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部領域内に配置され、それに対して回転可能なスプールと、
前記スプールに動作可能に結合され、前記スプールを前記ハウジングの前記内部領域内で第1の方向に回転させて、引張部材を前記スプールの周りに巻き付け、それにより前記引張部材に張力をかけるノブ部材と、
前記スプールに結合され、前記ハウジングの前記内部領域内で前記スプールの前記第1の方向への回転を可能とし、前記ハウジングの前記内部領域内で前記スプールの第2の方向への回転を防止し、前記スプールの周りから前記引張部材が巻き戻されるのを防止するように構成された荷重保持機構と、
前記荷重保持機構とは別個であり、前記ノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成し、前記引張部材の張力の調整を可聴的に知らせるように構成された可聴コンポーネントと
を備える、リール式張力装置。
(項目23)
前記荷重保持機構は、人間が検出可能な可聴ノイズを発生させない、項目22に記載のリール式張力装置。
(項目24)
前記可聴コンポーネントは、前記引張部材の張力に応答する可聴ノイズを生成し、前記引張部材の緩みに応答する可聴ノイズを生成するように構成される、項目22に記載のリール式張力装置。
(項目25)
前記引張部材の張力に応答する前記可聴ノイズは、前記引張部材の緩みに応答する前記可聴ノイズとは異なる、項目24に記載のリール式張力装置。
(項目26)
前記可聴コンポーネントは、前記ハウジングの歯と係合して可聴ノイズを生成するつめ部材またはビームを含む、項目22に記載のリール式張力装置。
(項目27)
前記つめ部材またはビームは、前記引張部材またはノブ部材を介してかなりの回転力が前記スプールに加えられたときに、前記ハウジングの前記内部領域内での前記スプールの回転を防止できない、項目26に記載のリール式張力装置。
(項目28)
前記可聴コンポーネントは、前記スプールの上面に結合される、項目22に記載のリール式張力装置。
(項目29)
前記荷重保持機構は、つめ部材またはビームを含まない、項目22に記載のリール式張力装置。
(項目30)
リール式張力装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、
前記スプールに動作可能に結合され、前記スプールを前記ハウジング内で第1の方向に回転させて引張部材を前記スプールの周りに巻き付けるノブ部材と、
前記スプールに結合され、前記ハウジング内で前記スプールの前記第1の方向への回転を可能とし、前記ハウジング内で前記スプールの第2の方向への回転を防止し、前記スプールの周りから前記引張部材が巻き戻されるのを防止するように構成された荷重保持機構と、
前記ノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成して前記引張部材の調整を知らせるように構成された可聴コンポーネントと
を備える、リール式張力装置。
(項目31)
前記荷重保持機構は、人間の耳によって検出可能な可聴ノイズを生成しない、項目30に記載のリール式張力装置。
(項目32)
前記可聴コンポーネントは、前記引張部材の張力に応答する可聴ノイズを生成し、前記引張部材の緩みに応答する可聴ノイズを生成するように構成される、項目30に記載のリール式張力装置。
(項目33)
前記引張部材の張力に応答する前記可聴ノイズは、前記引張部材の緩みに応答する前記可聴ノイズとは異なる、項目32に記載のリール式張力装置。
(項目34)
前記可聴コンポーネントは、つめ部材またはビームを含む、項目30に記載のリール式張力装置。
(項目35)
前記つめ部材またはビームは、前記引張部材またはノブ部材を介してかなりの回転力が前記スプールに加えられたときに、前記ハウジング内の前記スプールの回転を防止できない、項目34に記載のリール式張力装置。
(項目36)
前記可聴コンポーネントは、前記スプールの上面に結合される、項目30に記載のリール式張力装置。
(項目37)
前記荷重保持機構は、つめ部材またはビームを含まない、項目30に記載のリール式張力装置。
(項目38)
リール式張力装置を構成する方法であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、
前記スプールに動作可能に結合され、前記スプールを前記ハウジング内で第1の方向に回転させて引張部材を前記スプールの周りに巻き付けるノブ部材と、
前記スプールに結合され、前記ハウジング内で前記スプールの前記第1の方向への回転を可能とし、前記ハウジング内で前記スプールの第2の方向への回転を防止し、前記スプールの周りから前記引張部材が巻き戻されるのを防止するように構成された荷重保持機構と
を含む前記リール式張力装置を提供するステップと、
可聴コンポーネントを前記リール式張力装置に結合するステップと
を含み、
前記可聴コンポーネントは、前記ノブ部材の動作に応答して可聴ノイズを生成し、前記引張部材の調整を知らせるように構成される、方法。
(項目39)
前記荷重保持機構は、人間の耳によって検出可能な可聴ノイズを生成しない、項目3
8に記載の方法。
(項目40)
前記可聴コンポーネントは、前記引張部材の張力に応答して可聴ノイズを生成し、前記引張部材の緩みに応答して可聴ノイズを生成するように構成される、項目38に記載の方法。
(項目41)
前記引張部材の張力に応答する前記可聴ノイズは、前記引張部材の緩みに応答する前記可聴ノイズとは異なる、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記可聴コンポーネントは、前記ハウジングと係合して可聴ノイズを生成するつめ部材またはビームを含む、項目38に記載の方法。
(項目43)
前記つめ部材またはビームは、前記引張部材またはノブ部材を介してかなりの回転力が前記スプールに加えられたときに、前記ハウジング内の前記スプールの回転を防ぐことができない、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記可聴コンポーネントによって生成される前記可聴ノイズを調整する、前記可聴コンポーネントを調整するステップを更に含む、項目38に記載の方法。
(項目45)
前記荷重保持機構は、つめ部材またはビームを含まない、項目38に記載の方法。
(項目46)
物品を締め付けるためのリール式張力装置であって、
内部領域を有するハウジングと、
前記ハウジングの前記内部領域内に配置され、それに対して回転可能なスプールと、
前記スプールを前記ハウジングの前記内部領域内で回転させるために、前記スプールと動作可能に結合されたノブ部材と、
前記スプールに結合された荷重保持機構であって、前記ノブ以外の源から前記スプールに加えられた力に応答して、前記ハウジングの前記内部領域内で前記スプールの回転を防止するために、円筒形部材と摩擦係合するばねを備える荷重保持機構と
を備え、
前記ノブは前記荷重保持機構と動作可能に結合されているため、
前記ノブを第1の方向へ回転させると、前記ばねと円筒形部材の前記摩擦係合が減少し、前記ハウジングの前記内部領域内で前記スプールの前記第1の方向への回転が可能となり、それにより引張部材が前記スプールの周りに巻き付けられ、
前記ノブを第2の方向に回転させると、前記ばねと円筒形部材の摩擦係合も減少し、前記ハウジングの前記内部領域内で前記スプールの前記第2の方向への回転が可能になり、それにより前記引張部材が前記スプールの周りから巻き戻される、リール式張力装置。
(項目47)
前記ばねは、ハブ部材の外側に巻き付けられたコイルばねであり、前記コイルばねは、前記ハブ部材の外面の周りに収縮することにより前記ハブ部材と摩擦係合する、項目46に記載のリール式張力装置。
(項目48)
前記ハブ部材は、前記スプールに固定された上部ハブ部材と、前記ハウジングに固定された下部ハブ部材とを備える、項目47に記載のリール式張力装置。
(項目49)
前記上部ハブ部材は、前記下部ハブ部材の直径よりもわずかに大きい直径を有する、項目48に記載のリール式張力装置。
(項目50)
前記上部ハブ部材の遠位端が前記下部ハブ部材と接合し、前記上部ハブ部材の前記遠位端が先細になっている、項目49に記載のリール式張力装置。
(項目51)
前記ハブ部材は内側ハブ部材であり、前記リール式張力装置は、前記内側ハブ部材上に配置され、かつ前記ノブ部材および前記ばねと動作可能に結合される外側ハブ部材を更に備えるため、前記ノブ部材が前記第2の方向に回転すると、前記ばねと前記内側ハブ部材との前記摩擦係合が減少する、項目47に記載のリール式張力装置。
(項目52)
前記外側ハブ部材は、前記ノブ部材が前記第2の方向に回転すると前記外側ハブが前記第2の方向へ回転するように前記ノブ部材と結合され、前記外側ハブ部材が前記第2の方向に回転すると前記ばねの直径が拡大し、それにより前記ばねと前記内側ハブ部材との前記摩擦係合が減少するように、前記ばねは前記外側ハブ部材と結合されるタングを含む、項目51に記載のリール式張力装置。
(項目53)
前記円筒形部材は円筒形チャネルまたは凹部を備え、前記ばねは、前記円筒形チャネルまたは凹部の内壁と摩擦係合するように半径方向外側に付勢されるコイルばねを備える、項目46に記載のリール式張力装置。
(項目54)
前記荷重保持機構は、人間が検出可能な可聴ノイズを発生させない、項目46に記載のリール式張力装置。
(項目55)
リール式張力装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、
前記スプールを前記ハウジング内で回転させるために、前記スプールと動作可能に結合されたノブ部材と、
前記ハウジング内の前記スプールの不要な回転を防止するために、円筒形部材と摩擦係合するばねを含む荷重保持機構と
を備え、
前記ノブ部材は、荷重保持機構と動作可能に結合されているため、
前記ノブ部材の第1の動作により、前記ばねと円筒形部材との前記摩擦係合が減少し、前記ハウジング内で前記スプールの回転が可能となり、引張部材が前記スプールの周りに巻き付けられ、
前記ノブ部材の第2の動作によりまた、前記ばねと円筒形部材の前記摩擦係合も減少し、前記ハウジング内で前記スプールの回転が可能となり、前記引張部材が前記スプールの周りから巻き戻される、リール式張力装置。
(項目56)
前記ばねは、ハブ部材の外側に巻き付けられたコイルばねであり、前記コイルばねは、前記ハブ部材の外面の周りで収縮することにより前記ハブ部材と摩擦係合する、項目55に記載のリール式張力装置。
(項目57)
前記ハブ部材は、前記スプールに固定された上部ハブ部材と、前記ハウジングに固定された下部ハブ部材とを備える、項目56に記載のリール式張力装置。
(項目58)
前記上部ハブ部材は、前記下部ハブ部材の直径よりもわずかに大きい直径を有する、項目57に記載のリール式張力装置。
(項目59)
前記上部ハブ部材の遠位端が前記下部ハブ部材と接合し、前記上部ハブ部材の前記遠位端が先細になっている、項目58に記載のリール式張力装置。
(項目60)
前記ハブ部材は内側ハブ部材であり、前記リール式張力装置は、前記内側ハブ部材上方に配置され、前記ノブ部材および前記ばねと動作可能に結合される外側ハブ部材を更に備
え、前記ノブ部材が前記第2の方向に回転すると、前記ばねと前記内側ハブ部材との前記摩擦係合が減少する、項目56に記載のリール式張力装置。
(項目61)
前記外側ハブ部材は、前記ノブ部材が前記第2の方向に回転すると前記外側ハブが前記第2の方向に回転するように、前記ノブ部材と結合され、前記外側ハブ部材が前記第2の方向に回転すると前記ばねの直径が拡大し、それにより前記ばねと前記内側ハブ部材との前記摩擦係合が減少するように、前記ばねは前記外側ハブ部材と結合されるタングを含む、項目60に記載のリール式張力装置。
(項目62)
前記円筒形部材が円筒形チャネルまたは凹部を備え、前記ばねが、前記円筒形チャネルまたは凹部の内壁と摩擦係合するように半径方向外側に付勢されるコイルばねを備える、項目55に記載のリール式張力装置。
(項目63)
リール式張力装置を使用して物品を組み立てる方法であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に回転可能に配置されたスプールと、
前記スプールを前記ハウジング内で回転させるために、前記スプールと動作可能に結合されたノブ部材と、
前記ハウジング内の前記スプールの不要な回転を防止するために、円筒形部材と摩擦係合するばねを含む荷重保持機構と
を含む前記リール式張力装置を提供するステップであって、
前記ノブ部材は、前記荷重保持機構と動作可能に結合されているため、
前記ノブ部材の第1の動作により、前記ばねと円筒形部材との前記摩擦係合が減少し、前記ハウジング内で前記スプールの回転が可能となり、引張部材が前記スプールの周りに巻き付けられ、
前記ノブ部材の第2の動作によりまた、前記ばねと円筒形部材の前記摩擦係合も減少して、前記ハウジング内で前記スプールの回転が可能となり、前記引張部材が前記スプールの周りから巻き戻される、ステップと、
前記リール式張力装置を前記物品と結合するステップとを含む、方法。
(項目64)
前記ばねは、円筒形ハブ部材の外側に巻き付けられたコイルばねであり、前記コイルばねは、前記ハブ部材の外面の周りで収縮することにより前記ハブ部材と摩擦係合する、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記ハブ部材は、前記スプールに固定された上部ハブ部材と、前記ハウジングに固定された下部ハブ部材とを備える、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記上部ハブ部材は、前記下部ハブ部材の直径よりもわずかに大きい直径を有する、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記上部ハブ部材の遠位端が前記下部ハブ部材と接合し、前記上部ハブ部材の前記遠位端が先細である、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記ハブ部材は内側ハブ部材であり、前記リール式張力装置は、前記内側ハブ部材上に配置され、かつ前記ノブ部材が前記第2の方向に回転すると前記ばねと前記内側ハブ部材との前記摩擦係合が減少するように、前記ノブ部材および前記ばねと動作可能に結合される外側ハブ部材を更に備える、項目64に記載の方法。
(項目69)
前記外側ハブ部材は、前記ノブ部材が前記第2の方向へ回転すると前記外側ハブが前記第2の方向へ回転するように、前記ノブ部材と結合され、前記ばねは、前記外側ハブ部材
が前記第2の方向へ回転すると前記ばねの直径の拡大をもたらし、それにより、前記ばねと前記内側ハブ部材との前記摩擦係合を減少させるように、前記外側ハブ部材と結合されるタングを含む、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記円筒形部材が円筒形チャネルまたは凹部を備え、前記ばねが、前記円筒形チャネルまたは凹部の内壁と摩擦係合するように半径方向外側に付勢されるコイルばねを備える、項目63に記載の方法。
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