(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】長方形膜を有する埋込可能ポンプシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 60/135 20210101AFI20221111BHJP
A61M 60/148 20210101ALI20221111BHJP
A61M 60/165 20210101ALI20221111BHJP
A61M 60/205 20210101ALI20221111BHJP
A61M 60/422 20210101ALI20221111BHJP
A61M 60/531 20210101ALI20221111BHJP
A61M 60/538 20210101ALI20221111BHJP
A61M 60/876 20210101ALI20221111BHJP
【FI】
A61M60/135
A61M60/148
A61M60/165
A61M60/205
A61M60/422
A61M60/531
A61M60/538
A61M60/876
(21)【出願番号】P 2019553574
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 IB2018052215
(87)【国際公開番号】W WO2018178939
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518357656
【氏名又は名称】コルウェーブ エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ル デュク ドゥ リレ, ルイ-エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】コルナ, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルヴェ, ジャン-バプティスト
(72)【発明者】
【氏名】ボッターブッシュ, カール エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, アレクサンドラ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0146333(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0288543(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0014999(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/122
A61M 60/135
A61M 60/205
A61M 60/247
A61M 60/422
A61M 60/531
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的支援補助デバイスにおいて使用される埋込可能血液ポンプであって、
入口と出口とを有する筐体であって、前記筐体は、患者内に埋込されるように構成されている、筐体と、
前記筐体内に配置されている長方形膜と、
前記筐体内に配置されている磁石アセンブリであって、1つ以上の磁石を備える磁石アセンブリと、
前記筐体内に配置されている電磁アセンブリであって、前記電磁アセンブリは、電気的にアクティブ化されると、前記1つ以上の磁石に印加される磁場を生成することにより、前記長方形膜の波様変形を誘発し、これにより、前記入口から、前記長方形膜に沿って、前記出口から外に血液を圧送するように構成されている、電磁アセンブリと
を備え、
前記電磁アセンブリは、第1の電磁石部分と第2の電磁石部分とを備え、
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、独立して電気的にアクティブ化される、埋込可能血液ポンプ。
【請求項2】
前記磁石アセンブリは、前記第1の電磁石部分と前記第2の電磁石部分との間に配置されている、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項3】
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分のそれぞれにおける電流の方向に依存する極性を有する前記磁場を生成する、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項4】
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記電流が同一の方向に印加されるとき、同一の極性を呈する、請求項3に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項5】
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記電流が同一の方向に印加されるとき、異なる極性を呈する、請求項3に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項6】
前記電磁アセンブリに印加される交流は、前記磁石アセンブリを往復運動させ、これにより、前記長方形膜を往復運動させることにより、前記波様変形を誘発する、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項7】
前記電磁アセンブリは、第1の電磁石部分および第2の電磁石部分を備え、前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記磁石アセンブリを前記第1の電磁石部分と前記第2の電磁石部分との間で往復運動させるように構成されている、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項8】
前記長方形膜における前記波様変形は、前記長方形膜に沿って、前記磁石アセンブリに結合されている前記長方形膜の端部から前記長方形膜の対向する端部に向かって伝搬する、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項9】
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成することより、前記血液をある流量で圧送するように構成されており、前記電磁アセンブリは、前記流量を調節するために、前記電磁アセンブリに印加される電流を操作することによって、調節された磁場を生成するように構成されている、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項10】
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成することにより、1分あたり1リットル~5リットルの前記流量で前記血液を圧送するように構成されている、請求項9に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項11】
前記埋込可能血液ポンプは、搭載構造をさらに備え、前記搭載構造は、前記筐体内に配置されており、かつ、前記筐体に固着されており、前記磁石アセンブリは、前記搭載構造に固着されている線形ガイドに沿って前記筐体内で移動するように構成されている、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項12】
前記搭載構造は、形状が長方形であり、前記搭載構造を通した血流を可能にするために、前記搭載構造の表面を通して入口を備える、請求項11に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項13】
前記埋込可能血液ポンプは、前記筐体内に配置されている膜アセンブリをさらに備え、前記膜アセンブリは、前記筐体に固着されている搭載構造を備え、膜保持器が、前記膜保持器の一方の端部において前記搭載構造に固着されており、前記膜保持器の対向する端部において前記長方形膜に結合されている、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項14】
前記膜保持器は、前記搭載構造に添着されるように構成されている部分と、前記長方形膜に結合されるように構成されている可撓性部分とを備える、請求項13に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項15】
前記膜保持器は、前記電磁アセンブリを支持するように構成されており、前記膜保持器は、前記電磁アセンブリと電気的に連通する、請求項13に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項16】
前記膜アセンブリは、前記
長方形膜を前記膜保持器に結合するように構成されている膜クランプをさらに備え、前記膜クランプは、前記電磁アセンブリと電気的に連通する、請求項13に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項17】
前記埋込可能血液ポンプは、前記出口に隣接して前記筐体内に配置されている漏斗アセンブリをさらに備え、前記漏斗アセンブリは、上部漏斗部分と底部漏斗部分とを備え、前記上部漏斗部分は、前記長方形膜の少なくとも一部にわたって位置付けられており、前記底部漏斗部分は、前記長方形膜の少なくとも一部の下方に位置付けられている、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項18】
前記底部漏斗部分の上面および前記上部漏斗部分の底面は、流動チャネルが前記筐体の出口に接近するにつれて狭化する前記流動チャネルを提供するように構成されている、請求項17に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項19】
前記埋込可能血液ポンプは、第1のガイド支柱および第2のガイド支柱をさらに備え、前記第1のガイド支柱および前記第2のガイド支柱のそれぞれは、第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1のガイド支柱および前記第2のガイド支柱は、前記上部漏斗部分と前記底部漏斗部分との間の距離に及ぶように構成されており、前記第1のガイド支柱の第1の端部および前記第2のガイド支柱の第1の端部は、前記第1のガイド支柱および前記第2のガイド支柱が、相互に平行に位置付けられるように、前記底部漏斗部分に結合されるように構成されており、前記第1のガイド支柱の第2の端部および前記第2のガイド支柱の第2の端部は、前記上部漏斗部分に結合されるように構成されている、請求項17に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項20】
前記埋込可能血液ポンプは、第1のガイド支柱受容部分と第2のガイド支柱受容部分とをさらに備え、前記第1のガイド支柱受容部分は、前記長方形膜内に配置されており、かつ、前記第1のガイド支柱を受け取るように構成されており、前記第2のガイド支柱受容部分は、前記長方形膜内に配置されており、かつ、前記第2のガイド支柱を受け取るように構成されている、請求項19に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項21】
前記第1のガイド支柱および前記第2のガイド支柱は、前記長方形膜を緊張状態に保ち、前記第1のガイド支柱および前記第2のガイド支柱に沿った前記長方形膜の端部の移動をガイドし、かつ、可能にするように構成されている、請求項20に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項22】
前記磁石アセンブリは、前記長方形膜の上方に位置付けられている第1の磁石と、前記長方形膜の下方に位置付けられている第2の磁石とを備える、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項23】
前記第1の磁石は、前記第2の磁石とは異なる極性を有し、前記電磁アセンブリは、前記磁場に応答して、前記第1の磁石または前記第2の磁石に向かって、または、それから離れるように移動する、請求項22に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項24】
前記電磁アセンブリに印加される交流は、前記電磁アセンブリおよび前記長方形膜を前記第1の磁石と前記第2の磁石との間で往復運動させる、請求項23に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項25】
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成することにより、前記血液をある流量で圧送するように構成されており、前記電磁アセンブリは、前記流量を調節するために、それにわたって前記電磁アセンブリが前記第1の磁石と前記第2の磁石との間で往復運動する距離を操作することによって、調節された磁場を生成するように構成されている、請求項23に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項26】
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成することにより、前記血液をある流量で圧送するように構成されており、前記電磁アセンブリは、前記流量を調節するために、それによって前記電磁アセンブリが前記第1の磁石と前記第2の磁石との間で往復運動する周波数を操作することによって、調節された磁場を生成するように構成されている、請求項23に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項27】
前記埋込可能血液ポンプは、前記入口と前記患者の心臓との間に結合されている入口カニューレと、前記出口と前記患者の鎖骨下動脈との間に結合されている出口カニューレとをさらに備える、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【請求項28】
前記埋込可能血液ポンプは、再充電可能バッテリによって通電されるように構成されており、
前記埋込可能血液ポンプは、経皮ケーブルを介して体外コントローラと電気的に連通するように動作可能に結合されており、前記体外コントローラは、前記再充電可能バッテリと電気的に連通して動作可能に結合されるように構成されている電力コネクタを備える、請求項1に記載の埋込可能血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年11月29日に出願された米国仮出願第62/592,349号、2017年5月11日に出願された米国仮出願第62/505,023号、および2017年3月31日に出願された米国仮出願第62/480,333号に対する優先権を主張するものであり、これらの各々の全内容は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、概して、心臓ポンプに関し、より具体的には、ポンプを通して血液を推進させるために膜を採用する、略長方形外形を有する埋込可能ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、2つの心室および2つの心房を伴う4つの主要な小室から成る。概して、右側心臓は、身体から右心房の中に貧酸素血液を受け取り、これを右心室を介して肺に圧送する。左側心臓は、肺から左心房の中に富酸素血液を受容し、身体全体を通した分配のためにこれを左心室を介して大動脈に圧送する。冠動脈疾患、高血圧(高血圧症)、弁逆流症および石灰化、梗塞または虚血の結果としての心筋への損傷、心筋炎、先天性心欠損、異常な心臓リズム、または種々の感染性疾患を含む、いくつかの病気のうちのいずれかに起因して、左心室は、あまり効果的ではなくされ、したがって、身体全体を通して酸素化血液を適正に圧送することが不可能であり得る。
【0004】
疾病管理予防センター(CDC)は、米国で約510万人がある形態の心不全を患っていると推定している。心不全は、概して、4つの異なる段階にカテゴリ化され、最も重度のものは、末期心不全である。末期心不全は、患者が医療処置にもかかわらず、安静時に心不全症状を有する場合に診断され得る。患者は、減少された駆出率によって特徴付けられる収縮期心不全を有し得る。収縮期心不全を伴う患者では、心室の壁は、弱く、健康な患者と同程度に力強く圧搾しない。その結果、収縮期の間、低減された体積の酸素化血液が、循環の中に排出され、その状況が、負のスパイラルで死ぬまで続く。患者は、代替として、拡張期心不全(HFpEF)を有し得、心筋は、堅いまたは厚い状態になり、影響を受ける小室が血液を充填することを困難にする。末期心不全と診断された患者は、約50%の1年死亡率を有する。
【0005】
心不全の進行した段階を呈するが、末期心不全にはまだ到達していない患者のカテゴリが存在する。本カテゴリにおける患者は、重度の症候性心不全を有するが、ある程度の保全された終末器官機能を有し得る。典型的には、これらの患者の病状は、短い時間周期にわたって急速に悪化し、最終的に、左心室補助デバイス(LVAD)および/または心臓移植を要求し得る。現在、心臓移植の唯一の代替は、機械的インプラントである。近年、機械的インプラントは、設計において改良されているが、典型的には、そのようなインプラントは、患者の寿命を多くても数年しか延ばさず、いくつかの併存症を含むであろう。
【0006】
幸いにも、まだ末期心不全に到達していない患者は、より小型のポンプの埋込によって、完全支援LVADおよび/または心臓移植を回避または延長し得る。その病状が従来の完全支援LVADをまだ正当としていない本カテゴリにおける患者は、部分的流動支援を提供し、あまり侵襲性ではない外科手術を要求する、部分的支援補助デバイスを用いて効果的に処置され得る。比較のために、LVADデバイスの埋込は、典型的には、胸骨切開術および心肺バイパス術を要求する。
【0007】
1つのそのような部分的支援補助デバイスは、CircuLite Synergyマイクロポンプデバイスである。CircuLite Synergyマイクロポンプデバイスは、部分的流動支援を提供し、LVAD埋込または心臓移植への仲立ちの役割を果たし得る。少なくとも米国特許第6,116,862号および第8,512,012号に説明されるデバイスと類似するCircuLiteデバイスは、AAバッテリと類似する円筒形形状を有し、インペラを有する回転ポンプを組み込む。ポンプは、1分あたり最大3リットルの血液を移動させ、酸素化血液を左心房から鎖骨下動脈に直接送達するように設計される。P. Mohite, A Sabashnikov, A. Simon, A Weymann, N. Patil, B. Unsoeld, C. Bireta、およびA. Popov,「Does CircuLite Synergy assist device as partial ventricular support have a place in modern management of advanced heart failure?」, Expert Rev. Med. Devices(2014年12月2日オンライン公開、ページ1-12)を参照されたい。ポンプを患者の脈管に接続するために、ePTFEグラフトが、酸素化血液をそれに送達するようにポンプ出口と鎖骨下動脈との間に位置付けられる一方、流入カニューレが、ポンプ入口と左心房との間に外科手術的に接続される。
【0008】
CircuLiteデバイスは、患者に臨床利益を提供する代替を提供するが、デバイスに関するいくつかの問題が、文書化されている。CircuLiteデバイスの臨床試験の間に観察される1つの問題は、血栓症に起因する故障である(同文献)。CircuLiteデバイスは、インペラを採用し、約14mm×49mmのAAバッテリのものに匹敵するサイズを有する。1分あたり最大3リットルの血液の出力流を生産するために、約14mmの直径を有するインペラは、高RPMで回転されなければならない。しかしながら、RPMが高くなるほど、血液に印加される剪断応力が、より大きくなり、したがって、血栓症のリスクが、より大きくなる。
【0009】
CircuLiteデバイスに関するさらに別の問題は、流入カニューレの構成および入口を左心房の中に挿入する必要性である。厚く筋肉質である左心室と異なり、心房壁は、比較的に薄く、脆弱である。この理由から、流入カニューレリングが、カニューレを心腔に固定するために使用されることができない。その結果、カニューレ挿入部位が、漏出しやすいことが観察された(同文献)。また、約14mmの直径および略円形の断面では、CircuLiteデバイスは、患者の胸部から顕著に突出し、いくつかの患者は、これを審美的ではないと見出し得る。
【0010】
他の部分的支援ポンプデバイスは、CircuLite Synergyデバイスと類似する問題に悩まされる。HeartWareは、CircuLiteデバイスと類似するデバイスを生産するが、これは、20mmの直径を有する。HeartWare製品は、CircuLiteデバイスと同一の短所に悩まされると考えられる。
【0011】
他の部分的支援ポンプデバイスは、円筒形形状を有し、CircuLiteおよびFoundry LLC.に譲渡されている米国特許第6,723,039号に説明されるもの等のインペラを有する遠心ポンプを利用する。第’039号特許に説明される埋込可能ポンプは、CircuLite Synergyデバイスとほぼ同様の部分的循環支援を提供する。さらに、別の部分的支援ポンプデバイスは、AbiomedのSymphonyデバイスであり、これは、遠心ポンプを採用し、また、胸部領域内に埋込される。
【0012】
血液を軸方向に加速する他のタイプの部分的支援ポンプデバイスも、公知である。例えば、米国特許第7,736,296号に説明されるポンプと類似するAbiomedのインペラポンプは、形状が円筒形であり、血液を一方の端部において入口面積の中に引動する。第’296号特許に説明されるように、ポンプは、対向する端部から排出される血液を促進するハブから延在するいくつかのブレードを有する、軸方向流動ポンプを伴う。Abiomedのインペラポンプは、左心室および大動脈内に埋込されることが意図されるが、Procyrionによる類似するデバイス、すなわち、Aortixデバイスは、類似する方式で機能するが、大動脈内に懸下される大動脈内ポンプである。Procyrionの米国特許第8,012,079号および第9,572,915号は、Aortixデバイスと類似するポンプを説明し、その端部のうちの一方から他方に血液を推進させるためにインペラを有する軸方向流動ポンプを議論している。
【0013】
全ての前述のデバイスは、臨床利益をもたらし得る部分的支援ポンプデバイスであるが、部分的支援ポンプデバイスはそれぞれ、CircuLite Synergyデバイスと類似する短所を共有する。具体的には、これらのポンプはそれぞれ、血液循環を部分的に支援するために、高速で回転する比較的に小型のブレードまたはインペラを有する。CircuLiteに関して上記に議論される理由から、これらのポンプも、過剰な剪断応力および血球への外傷によって引き起こされる血栓症の増加されたリスク、および血小板活性化のリスクを提示すると考えられる。さらに、AbiomedのSymphonyデバイスのようなポンプは、使用時に不快な騒音を生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
故に、血液損傷を殆ど伴わずに血液循環を部分的に支援するための軽量、小型サイズ、および送達機構を有するエネルギー効率的埋込可能ポンプの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、血液に低剪断力を印加しながら広い範囲の流量を生産することが可能な波状膜を有する埋込可能ポンプシステムを提供し、それによって、公知のシステムに対して溶血および血小板活性化を低減させることによって、公知の部分的支援補助デバイスおよび方法の欠点を克服する。
【0016】
本発明の一側面によると、埋込可能血液ポンプシステムは、それぞれ、相互に電気的に結合される、埋込可能ポンプと、コントローラと、再充電可能バッテリとを含む。本システムはさらに、圧送パラメータを設定および変更するために、コントローラと通信するプログラマを備えてもよい。
【0017】
埋込可能血液ポンプは、部分的支援補助デバイスにおいて使用されてもよい。埋込可能ポンプは、筐体と、筐体内に配置される、長方形膜と、筐体内に配置され、1つ以上の磁石を含む、磁石アセンブリと、筐体内に配置される、電磁アセンブリとを含んでもよい。筐体は、入口と、出口とを有し、患者内に埋込され、好ましくは、心臓と流体連通するように構成される。電磁アセンブリは、電気的にアクティブ化されると、1つ以上の磁石に印加される磁場を生成し、長方形膜の波様変形を誘発し、それによって、入口から、長方形膜に沿って、出口から外に血液を圧送してもよい。
【0018】
電磁アセンブリは、第1の電磁石部分と、第2の電磁石部分とを含んでもよい。磁石アセンブリは、第1の電磁石部分と第2の電磁石部分との間に配置されてもよい。第1の電磁石部分および第2の電磁石部分は、独立して電気的にアクティブ化されてもよい。第1の電磁石部分および第2の電磁石部分は、第1の電磁石部分および第2の電磁石部分のそれぞれにおける電流の方向に依存する極性を有する磁場を生成してもよい。第1の電磁石部分および第2の電磁石部分は、電流が同一の方向に印加されるとき、同一の極性または異なる極性を呈してもよい。電磁アセンブリに印加される交流は、磁石アセンブリを往復運動させ、それによって、長方形膜を往復運動させ、波様変形を誘発してもよい。
【0019】
本発明の原理に従って構築される埋込可能血液ポンプは、丸形または斜角縁および入口および出口を有する略長方形筐体を有してもよい。埋込可能血液ポンプは、一方の端部における可動磁石および他方におけるガイド支柱によって、長方形筐体内にされる長方形膜を含む、膜アセンブリを有する。血液を入口から出口に推進させるために、可動磁石は、筐体内に同様に配置される電磁アセンブリに誘引される。電磁アセンブリは、第1の電磁石部分が可動磁石の上方に位置付けられ、第2の電磁石部分が可動磁石の下方に位置付けられるように配列される、第1の電磁石部分と、第2の電磁石部分とを含んでもよい。
【0020】
電気信号が、コントローラおよび/またはバッテリから電磁石部分に送信されてもよく、これは、電磁部分に磁場を生成させ、したがって、可動磁石を第1の電磁石部分または電磁部分のいずれかに誘引させる。可動磁石は、第1の電磁石部分または第2の電磁石部分のいずれかに向かって移動し得る。電磁アセンブリに印加される電流は、次いで、逆転され、可動磁石を他方の電磁部分に誘引させてもよい。電磁石部分に印加される電流を交互にし、したがって、可動磁石を第1または第2の電磁石部分のいずれかに向かって移動させることによって、波様変形が、長方形膜において誘発され得る。血液が長方形膜に送達されると、波様変形は、エネルギーを血液に伝達し、それによって、血液を長方形膜の上部および底部に沿って、最終的に、埋込可能ポンプの出口から推進させ得る。血液は、出口カニューレを通して右鎖骨下動脈または他の動脈に指向され、酸素化血液を残りの身体に送達し得る。
【0021】
電磁アセンブリは、磁石アセンブリを第1の電磁石部分と第2の電磁石部分との間で往復運動させる、第1の電磁石部分と、第2の電磁石部分とを含んでもよい。長方形膜における波様変形は、長方形膜に沿って、磁石アセンブリに結合される長方形膜の端部から長方形膜の対向する端部に向かって伝搬してもよい。電磁アセンブリは、磁場を生成し、血液をある血流量において圧送してもよく、電磁アセンブリは、血流量を調節するために、電磁アセンブリに印加される電流を操作することによって、調節された磁場を生成してもよい。電磁アセンブリは、磁場を生成し、1分あたり1~5リットルの血流量において血液を圧送してもよい。
【0022】
埋込可能ポンプは、筐体内に配置され、筐体に固着される、搭載構造を含んでもよい。磁石アセンブリは、搭載構造に固着される線形ガイドに沿って筐体内で移動してもよい。搭載構造は、形状が長方形であり、搭載構造を通した血流を可能にするために、搭載構造の表面を通して円形入口を含んでもよい。
【0023】
埋込可能ポンプは、筐体に固着される搭載構造と、膜保持器の一方の端部において搭載構造に固着され、膜保持器の対向する端部において長方形膜に結合される膜保持器とを含む、筐体内に配置される膜アセンブリを有してもよい。膜保持器は、搭載構造に添着されるように構成される部分と、長方形膜に結合されるように構成される可撓性部分とを含んでもよい。膜保持器は、電磁的であり、電磁アセンブリと電気連通してもよい。膜アセンブリは、膜を膜保持器に結合するように構成される、膜クランプを含んでもよい。膜クランプは、電磁的であり、電磁アセンブリと電気連通してもよい。
【0024】
埋込可能ポンプは、出口に隣接して筐体内に配置される、漏斗アセンブリを含んでもよい。漏斗アセンブリは、上部漏斗部分と、底部漏斗部分とを有し、上部漏斗部分は、長方形膜の少なくとも一部にわたって位置付けられ、底部部分は、長方形膜の少なくとも一部の下方に位置付けられてもよい。底部漏斗部分の上面および上部漏斗部分の底面は、流動チャネルが筐体の出口に接近するにつれて狭化する流動チャネルを提供してもよい。埋込可能ポンプは、それぞれ、第1の端部と、第2の端部とを有する、第1および第2のガイド支柱を含んでもよい。第1および第2のガイド支柱は、上部および底部漏斗部分の間の距離に及び、第1および第2のガイド支柱が、相互に平行に位置付けられるように、第1および第2のガイド支柱の第1の端部は、底部漏斗部分に結合され、第1および第2のガイド支柱の第2の端部は、上部漏斗部分に結合されてもよい。第1および第2のガイド支柱受容部分が、第1のガイド支柱受容部分が第1のガイド支柱を受け取り、第2のガイド支柱受容部分が第2のガイド支柱を受け取るように含まれてもよい。第1および第2のガイド支柱は、長方形膜を緊張状態に保ち、第1および第2のガイド支柱に沿った長方形膜の端部の移動をガイドおよび可能にしてもよい。
【0025】
磁石アセンブリは、長方形膜の上方に位置付けられる第1の磁石部分と、長方形膜の下方に位置付けられる第2の磁石部分とを含んでもよい。第1の磁石部分は、第2の磁石部分とは異なる極性を有してもよく、電磁アセンブリは、磁場に応答して、第1の磁気部分または第2の磁気部分に向かって、またはそれから離れるように移動してもよい。電磁アセンブリに印加される交流は、電磁アセンブリおよび長方形膜を第1の磁石部分と第2の磁石部分との間で往復運動させてもよい。電磁アセンブリは、磁場を生成し、血液をある血流量において圧送してもよく、電磁アセンブリは、血流量を調節するために、それにわたって電磁アセンブリが第1の磁石部分と第2の磁石部分との間で往復運動する距離を操作することによって、調節された磁場を生成してもよい。電磁アセンブリは、磁場を生成し、血液をある血流量において圧送してもよく、電磁アセンブリは、血流量を調節するために、それによって電磁アセンブリが第1の磁石部分と第2の磁石部分との間で往復運動する周波数を操作することによって、調節された磁場を生成してもよい。
【0026】
埋込可能血液ポンプはさらに、入口と患者の心臓との間に結合される入口カニューレと、出口と患者の鎖骨下動脈との間に結合される出口カニューレとを含んでもよい。
【0027】
一側面によると、埋込可能血液ポンプに通電するためのシステムが、提供される。本システムは、埋込可能血液ポンプに通電するように構成される、再充電可能バッテリと、経皮ケーブルを介して埋込可能血液ポンプと電気連通して動作可能に結合される、体外コントローラとを含んでもよい。体外コントローラは、再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合される、電力コネクタを含んでもよい。体外コントローラの電力コネクタは、直接再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されてもよい。
【0028】
本システムは、体外コントローラの電力コネクタと電気連通して動作可能に結合される、第1の端部と、再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、第2の端部とを有する、延長ケーブルを含んでもよい。体外コントローラの電力コネクタは、延長ケーブルを介して遠隔で再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されてもよい。本システムはまた、体外コントローラの電力コネクタと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、第1の端部と、第2の再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、第2の端部とを有する、第2の延長ケーブルを含んでもよい。
【0029】
体外コントローラは、再充電可能バッテリが体外コントローラの電力コネクタから結合解除されると、埋込可能血液ポンプに通電するように構成される、内部バッテリを有してもよい。体外コントローラは、第2の再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、第2の電力コネクタを含んでもよい。本システムは、再充電可能バッテリが体外コントローラの電力コネクタから結合解除されると、体外コントローラの電力コネクタと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、電力供給源を含んでもよい。
【0030】
埋込可能血液ポンプと併用するためのシステムもまた、提供され、本システムは、電磁アセンブリに電気的に結合されるコントローラを含む。コントローラは、電磁アセンブリを電気的にアクティブ化し、磁場の生成を引き起こす。コントローラは、皮下に埋込されてもよい。
【0031】
一側面によると、埋込可能血液ポンプは、搭載構造によって長方形筐体に固着される膜保持器によって長方形筐体内に懸下される長方形膜を含む、膜アセンブリを有する。血液を入口から出口に推進させるために、長方形膜は、少なくとも1つの電磁巻線に接続され、これは、長方形筐体内に同様に配置される磁石アセンブリに向かって移動させられる。磁石アセンブリは、第1の磁石部分が長方形膜および電磁巻線の一部の上方に位置付けられ、第2の磁石部分が長方形膜および電磁巻線の一部の下方に位置付けられるように配列される、第1の磁石部分と、第2の磁石部分とを含んでもよい。
【0032】
電気信号が、コントローラおよび/またはバッテリから電磁巻線に送信されてもよく、これは、電磁巻線に磁場を生成させ、したがって、これを第1の磁石部分または第2の磁石部分のいずれかに向かって移動させる。電磁巻線は、第1の磁石部分または第2の磁石部分のいずれかに向かって移動し、それによって、電磁巻線に接続される長方形膜を第1の磁石部分または第2の磁石部分のいずれかに向かって移動させ得る。電磁巻線に印加される電流は、次いで、逆転され、電磁巻線および長方形膜を他方の磁石部分に誘引させてもよい。電磁巻線に印加される電流を交互にすることによって、電磁巻線は、移動させられ、それによって、波様変形が、長方形膜において誘発され得る。血液が長方形膜に送達されると、波様変形は、エネルギーを血液に伝達し、それによって、血液を長方形膜の上部および底部に沿って、最終的に、埋込可能ポンプの出口から推進させ得る。血液は、出口カニューレを通して右鎖骨下動脈または他の動脈に指向され、酸素化血液を残りの身体に送達し得る。
【0033】
埋込可能ポンプを埋込および使用する方法もまた、本明細書に提供される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
部分的支援補助デバイスにおいて使用するための埋込可能血液ポンプであって、
入口と、出口とを有する筐体であって、前記筐体は、患者内に埋込されるように構成される、筐体と、
前記筐体内に配置される長方形膜と、
前記筐体内に配置され、1つ以上の磁石を備える磁石アセンブリと、
前記筐体内に配置される電磁アセンブリであって、前記電磁アセンブリは、電気的にアクティブ化されると、前記1つ以上の磁石に印加される磁場を生成し、前記長方形膜の波様変形を誘発し、それによって、前記入口から、前記長方形膜に沿って、前記出口から外に血液を圧送するように構成される、電磁アセンブリと
を備える、埋込可能血液ポンプ。
(項目2)
前記電磁アセンブリは、第1の電磁石部分と、第2の電磁石部分とを備える、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目3)
前記磁石アセンブリは、前記第1の電磁石部分と前記第2の電磁石部分との間に配置される、項目2に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目4)
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、独立して電気的にアクティブ化される、項目3に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目5)
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分のそれぞれにおける電流の方向に依存する極性を有する前記磁場を生成する、項目3に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目6)
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記電流が同一の方向に印加されるとき、同一の極性を呈する、項目5に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目7)
前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記電流が同一の方向に印加されるとき、異なる極性を呈する、項目5に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目8)
前記電磁アセンブリに印加される交流は、前記磁石アセンブリを往復運動させ、それによって、前記長方形膜を往復運動させ、前記波様変形を誘発する、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目9)
前記電磁アセンブリは、第1の電磁石部分および第2の電磁石部分を備え、前記第1の電磁石部分および前記第2の電磁石部分は、前記磁石アセンブリを前記第1の電磁石部分と前記第2の電磁石部分との間で往復運動させるように構成される、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目10)
前記長方形膜における前記波様変形は、前記長方形膜に沿って、前記磁石アセンブリに結合される前記長方形膜の端部から前記長方形膜の対向する端部に向かって伝搬する、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目11)
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成し、前記血液をある血流量において圧送するように構成され、前記電磁アセンブリは、血流量を調節するために、前記電磁アセンブリに印加される前記電流を操作することによって、調節された磁場を生成するように構成される、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目12)
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成し、1分あたり1~5リットルの前記血流量において前記血液を圧送するように構成される、項目11に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目13)
前記筐体内に配置され、前記筐体に固着される搭載構造をさらに備え、前記磁石アセンブリは、前記搭載構造に固着される線形ガイドに沿って前記筐体内で移動するように構成される、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目14)
前記搭載構造は、形状が長方形であり、前記搭載構造を通した血流を可能にするために、前記搭載構造の表面を通して入口を備える、項目13に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目15)
前記筐体内に配置される膜アセンブリをさらに備え、前記膜アセンブリは、前記筐体に固着される搭載構造を備え、膜保持器が、前記膜保持器の一方の端部において前記搭載構造に固着され、前記膜保持器の対向する端部において前記長方形膜に結合される、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目16)
前記膜保持器は、前記搭載構造に添着されるように構成される部分と、前記長方形膜に結合されるように構成される可撓性部分とを備える、項目15に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目17)
前記膜保持器は、電磁的であり、前記電磁アセンブリと電気連通する、項目15に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目18)
前記膜アセンブリはさらに、前記膜を前記膜保持器に結合するように構成される膜クランプを備え、前記膜クランプは、電磁的であり、前記電磁アセンブリと電気連通する、項目15に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目19)
前記出口に隣接して前記筐体内に配置される漏斗アセンブリをさらに備え、前記漏斗アセンブリは、上部漏斗部分と、底部漏斗部分とを備え、前記上部漏斗部分は、前記長方形膜の少なくとも一部にわたって位置付けられ、前記底部部分は、前記長方形膜の少なくとも一部の下方に位置付けられる、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目20)
前記底部漏斗部分の上面および前記上部漏斗部分の底面は、流動チャネルが前記筐体の出口に接近するにつれて狭化する前記流動チャネルを提供するように構成される、項目19に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目21)
第1および第2のガイド支柱をさらに備え、前記第1および第2のガイド支柱のそれぞれは、第1の端部と、第2の端部とを有し、前記第1および第2のガイド支柱は、前記上部漏斗部分と前記底部漏斗部分との間の距離に及ぶように構成され、前記第1および第2のガイド支柱の第1の端部は、前記第1および第2のガイド支柱が、相互に平行に位置付けられるように、前記底部漏斗部分に結合されるように構成され、前記第1および第2のガイド支柱の第2の端部は、前記上部漏斗部分に結合されるように構成される、項目19に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目22)
第1および第2のガイド支柱受容部分をさらに備え、前記第1のガイド支柱受容部分は、前記第1のガイド支柱を受け取るように構成され、前記第2のガイド支柱受容部分は、前記第2のガイド支柱を受け取るように構成される、項目21に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目23)
前記第1および第2のガイド支柱は、前記長方形膜を緊張状態に保ち、前記第1および第2のガイド支柱に沿った前記長方形膜の端部の移動をガイドし、かつ、可能にするように構成される、項目22に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目24)
前記磁石アセンブリは、前記長方形膜の上方に位置付けられる第1の磁石部分と、前記長方形膜の下方に位置付けられる第2の磁石部分とを備える、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目25)
前記第1の磁石部分は、前記第2の磁石部分とは異なる極性を有し、前記電磁アセンブリは、前記磁場に応答して、第1の磁気部分または第2の磁気部分に向かって、またはそれから離れるように移動する、項目24に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目26)
前記電磁アセンブリに印加される交流は、前記電磁アセンブリおよび前記長方形膜を前記第1の磁石部分と前記第2の磁石部分との間で往復運動させる、項目25に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目27)
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成し、前記血液をある血流量において圧送するように構成され、前記電磁アセンブリは、血流量を調節するために、それにわたって前記電磁アセンブリが前記第1の磁石部分と前記第2の磁石部分との間で往復運動する距離を操作することによって、調節された磁場を生成するように構成される、項目25に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目28)
前記電磁アセンブリは、前記磁場を生成し、前記血液をある血流量において圧送するように構成され、前記電磁アセンブリは、血流量を調節するために、それによって前記電磁アセンブリが前記第1の磁石部分と前記第2の磁石部分との間で往復運動する周波数を操作することによって、調節された磁場を生成するように構成される、項目25に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目29)
前記入口と前記患者の心臓との間に結合される入口カニューレと、前記出口と前記患者の鎖骨下動脈との間に結合される出口カニューレとをさらに備える、項目1に記載の埋込可能血液ポンプ。
(項目30)
項目1に記載の埋込可能血液ポンプに通電するためのシステムであって、前記システムは、
前記埋込可能血液ポンプに通電するように構成される再充電可能バッテリと、
経皮ケーブルを介して前記埋込可能血液ポンプと電気連通して動作可能に結合される体外コントローラであって、前記体外コントローラは、前記再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される電力コネクタを備える、体外コントローラと
を備える、システム。
(項目31)
前記体外コントローラの電力コネクタは、直接前記再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、項目30に記載のシステム。
(項目32)
延長ケーブルをさらに備え、前記延長ケーブルは、前記体外コントローラの電力コネクタと電気連通して動作可能に結合されるように構成される第1の端部と、前記再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される第2の端部とを有し、
前記体外コントローラの電力コネクタは、前記延長ケーブルを介して遠隔で前記再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、項目30に記載のシステム。
(項目33)
第2の延長ケーブルをさらに備え、前記第2の延長ケーブルは、前記体外コントローラの電力コネクタと電気連通して動作可能に結合されるように構成される第1の端部と、第2の再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される第2の端部とを有する、項目32に記載のシステム。
(項目34)
前記体外コントローラはさらに、内部バッテリを備え、前記内部バッテリは、前記再充電可能バッテリが前記体外コントローラの電力コネクタから結合解除されると、前記埋込可能血液ポンプに通電するように構成される、項目30に記載のシステム。
(項目35)
前記体外コントローラはさらに、第2の再充電可能バッテリと電気連通して動作可能に結合されるように構成される第2の電力コネクタを備える、項目30に記載のシステム。
(項目36)
電力供給源をさらに備え、前記電力供給源は、前記再充電可能バッテリが前記体外コントローラの電力コネクタから結合解除されると、前記体外コントローラの電力コネクタと電気連通して動作可能に結合されるように構成される、項目30に記載のシステム。
(項目37)
前記システムはさらに、前記電磁アセンブリに電気的に結合されるコントローラを備え、前記コントローラは、前記電磁アセンブリを電気的にアクティブ化し、前記磁場の生成を引き起こすように構成される、項目1に記載の埋込可能血液ポンプと併用するためのシステム。
(項目38)
前記コントローラは、皮下に埋込されるように構成される、項目37に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、埋込可能ポンプと、コントローラと、バッテリと、プログラマと、モバイルデバイスとを備える、本発明のポンプシステムの例示的実施形態を描写する。
【0035】
【
図2】
図2は、埋込可能ポンプのための外科手術埋込アプローチを描写する。
【0036】
【
図3】
図3は、埋込可能ポンプのための血管内埋込アプローチを描写する。
【0037】
【0038】
【
図5A】
図5Aおよび5Bは、それぞれ、コントローラの例示的実施形態の電子コンポーネントの斜視図および概略図である。
【
図5B】
図5Aおよび5Bは、それぞれ、コントローラの例示的実施形態の電子コンポーネントの斜視図および概略図である。
【0039】
【
図6】
図6は、ポンプシステムにおいて使用するための体外バッテリの平面図である。
【0040】
【
図7】
図7Aおよび7Bは、それぞれ、プログラマの例示的実施形態の電子コンポーネントの斜視図および概略図である。
【0041】
【
図8】
図8は、搭載構造を伴わないポンプアセンブリの斜視図である。
【0042】
【
図9】
図9Aおよび9Bは、搭載構造を伴うポンプアセンブリの斜視図である。
【0043】
【
図10】
図10A-10Cは、ポンプアセンブリにおいて使用するための種々の長方形膜の図である。
【0044】
【0045】
【
図12】
図12は、漏斗アセンブリを含むポンプアセンブリの裁断断面図である。
【0046】
【0047】
【
図14】
図14は、埋込可能筐体の代替実施形態の斜視図である。
【0048】
【
図15】
図15は、可動電磁アセンブリを有する代替電磁アクチュエータの斜視図である。
【0049】
【
図16】
図16は、二重コイル電磁アクチュエータを有する代替電磁アクチュエータの斜視図である。
【0050】
【
図17】
図17は、カムを伴う機械的アクチュエータを有する代替機械的アクチュエータの斜視図である。
【0051】
【
図18】
図18A-Cは、
図1-3のポンプシステムにおいて使用するための代替埋込可能ポンプの斜視図である。
【0052】
【0053】
【0054】
【
図21】
図21Aおよび21Bは、それぞれ、ポンプアセンブリの漏斗部分の斜視図および平面図である。
【0055】
【
図22】
図22Aおよび22Bは、ポンプアセンブリの膜保持器の斜視図である。
【0056】
【
図23】
図23A-Cは、ポンプアセンブリにおいて使用するための種々の長方形膜の図である。
【0057】
【
図24】
図24Aおよび24Bは、ポンプアセンブリの裁断断面図である。
【0058】
【
図25】
図25Aおよび25Bは、波状膜を有するポンプアセンブリの裁断断面図である。
【0059】
【
図26】
図26は、ポンプアセンブリの単一の電磁巻線実施形態の斜視図である。
【0060】
【
図27】
図27は、二重磁石電磁アクチュエータの斜視図である。
【0061】
【
図28】
図28は、二重コイル電磁アクチュエータの斜視図である。
【0062】
【
図29】
図29は、カムを伴う機械的アクチュエータの斜視図である。
【0063】
【
図30-1】
図30A-Hは、本発明のコントローラにバッテリを結合するための種々の構成を図示し、
図30Iは、電力供給源に結合されたコントローラを図示する。
【
図30-2】
図30A-Hは、本発明のコントローラにバッテリを結合するための種々の構成を図示し、
図30Iは、電力供給源に結合されたコントローラを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の埋込可能ポンプシステムは、部分的支援補助デバイスとしての使用のために特に非常に好適であり、左心室補助デバイス(LVAD)または心臓移植の実装を正当としない段階における心不全を有する患者における部分的支援循環のために特に好適な波状膜ポンプを含む。ポンプシステムはまた、後期においてLVADから利益を享受し得る低減された駆出率を伴う心不全(HFrEF)を呈する患者、および現在LVADから利益を享受しない保全された駆出率を伴う心不全(HFpEF)を呈する患者のために好適であり得る。本発明の原理に従って構築される埋込可能ポンプシステムは、埋込可能ポンプ、バッテリ、およびコントローラ、および体外プログラマを含んでもよい。埋込可能ポンプは、好ましくは、入口および出口を有する筐体と、可撓性膜と、電磁部分および磁石部分を有する電磁アクチュエータとを含む。部分的支援補助デバイスとして構成されるとき、入口カニューレが、患者の左心房の中に挿入されてもよく、出口カニューレが、患者の鎖骨下動脈と流体連通して留置されてもよい。埋込可能ポンプ内の電磁アクチュエータをアクティブ化することによって、膜は、波立つように誘発され、それによって、血液を入口カニューレを通してポンプの中に引き込ませ、出口カニューレを通して鎖骨下動脈の中に排出させる。流量および拍動性が、電磁アクチュエータアセンブリの周波数、振幅、およびデューティサイクルのうちの1つ以上のものを変更することによって操作されてもよい。
【0065】
本明細書に説明される膜ポンプは、血液損傷を殆ど引き起こさない様式で部分的循環支援のために望ましい流量を達成し、それによって、初期の部分的支援補助デバイスを悩ませた血栓形成に関する問題を回避することによって、従来技術における短所を克服する。本明細書に説明される埋込可能ポンプは、概して、振動膜流体サーキュレータを開示する、Drevetの米国特許第6,361,284号、第6,658,740号、第7,323,961号、および第9,080,564号(そのそれぞれの全開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる)に優る改良物である。より具体的には、これらの特許は、吸入口オリフィスと、送達オリフィスとを有する構造内に配置される変形可能膜を開示している。吸入口端部において、膜は、膜に励起力を提供する部材に取り付けられ、膜における波を送達オリフィスに向かって進行させ、それによって、エネルギーを構造内の流体に伝達し、最終的に、流体を送達オリフィスから指向する。本発明は、これらの特許の教示を部分的支援補助デバイスとして使用するための本明細書に説明される埋込可能ポンプシステムに組み込む。
【0066】
ここで
図1を参照すると、本発明の原理に従って構築されるポンプシステム1が、説明される。システム1は、例証的に、埋込可能ポンプ2と、コントローラ3と、バッテリ4と、プログラマ5と、随意に、モバイルデバイス6上で起動するようにプログラムされるソフトウェアモジュールとを含む。埋込可能ポンプ2は、患者内に埋込されるように構成され、鎖骨下動脈の下かつ右大胸筋の正面の皮下または筋肉内ポケットの中に位置付けられてもよい。埋込可能ポンプ2は、入口カニューレ7および出口カニューレ8に接続されてもよい。入口カニューレ7は、埋込可能ポンプ2を第1の心腔または身体管腔、例えば、心臓Hの左心房LAに接続してもよく、出口カニューレ8は、埋込可能ポンプを第2の心腔または身体管腔、例えば、右鎖骨下動脈SAに接続してもよい。出口カニューレ8は、埋込可能ポンプ2と鎖骨下動脈SAとの間の流体連通のために好適な任意の種類のグラフトであってもよい。例えば、出口カニューレ8は、ePTFEグラフトまたは他の合成材料であってもよい。
【0067】
コントローラ3およびバッテリ4は、
図1に図示されるように、体外にあり、患者によって装着されるベルトまたは衣類上に設置されるように定寸されてもよい。バッテリ4は、ベルトに統合されるケーブルを介してコントローラ3に電気的に結合されてもよい。コントローラ3およびバッテリ4は、2つの別個のユニットであってもよい、または同一のユニットに組み込まれてもよい。コントローラ3およびバッテリ4が体外にある場合、ケーブル9は、皮下ポケットから腹部の右上象限までトンネルされてもよく、その点において、ケーブル9は、身体から退出してもよい。故に、ケーブル9は、皮下ポケット内のポンプから患者の身体を通して腹部に、かつ腹部の外に、かつ身体の外部上の体外コントローラ3および/またはバッテリ4まで延在してもよい。このように、コントローラ3およびバッテリ4の両方が、ケーブル9を介して埋込可能ポンプ2に電気的に結合されてもよい。
【0068】
代替実施形態では、コントローラ3および/またはバッテリ4は、生体適合性筐体内に封入され、患者の腹部内または任意の他の好適な皮下場所内で皮下に埋込されるように定寸されてもよい。本代替実施形態では、コントローラ3および/またはバッテリ4は、体外プログラミングデバイスおよび/または充電デバイスとの双方向通信のための無線送受信機を含んでもよい。バッテリ4が皮下に埋込される場合、第2の体外バッテリが、埋込されたバッテリ4の近傍に患者によって装着されてもよく、これは、バッテリ4を経皮的に充電し得る。理解されるであろうように、前述の代替実施形態は、経皮ケーブル9の使用を回避し、したがって、頻繁な感染源を排除する。
【0069】
バッテリ4は、好ましくは、再充電されることが必要になる前に、数時間またはさらには数日の周期にわたって埋込可能ポンプ2およびコントローラ3に給電することが可能な再充電可能バッテリを備える。バッテリ4は、再充電可能バッテリに関して従来のように、別個の充電回路(図示せず)を含んでもよい。バッテリ4は、好ましくは、患者の日常活動を妨害しないように、ベルトまたはホルスタ上で携帯するために好適な筐体内に配置される。しかしながら、上記に解説されるように、バッテリは、埋込されてもよく、したがって、バッテリは、生体適合性筐体内に配置されてもよい。
【0070】
プログラム5は、動作パラメータを構成し、コントローラ3に提供するために、臨床医または医療専門家による使用のためのコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ等)上でプログラムされたソフトウェアルーチンを実行するようにプログラムされる。構成および動作パラメータデータは、コントローラ3と関連付けられるメモリ内に記憶され、埋込可能ポンプ2の動作を制御するためにコントローラによって使用される。下記にさらに詳細に説明されるように、コントローラ3は、プログラマ5によって決定された具体的パラメータにおいて動作するように埋込可能ポンプ2に指図する。プログラマ5は、ケーブル10を介してコントローラ3に結合されてもよい。プログラマ5を使用して、埋込可能ポンプ2の動作パラメータが、設定され、周期的に、例えば、患者が臨床医を訪問するときに調節される。
【0071】
本発明の別の側面によると、従来のラップトップ、スマートフォン、タブレット、またはスマートウォッチであり得るモバイルデバイス6は、例えば、WiFiまたはBluetooth(登録商標)通信を介して、コントローラ3と双方向かつ無線で通信するためのアプリケーションプログラムを含んでもよい。好ましくは、モバイルデバイス6は、患者または患者の介護者によって使用される。モバイルデバイス6上のアプリケーションプログラムは、コントローラ3内に記憶される埋込可能ポンプ2の限定された数の動作パラメータを修正または調節するために、患者が命令をコントローラ3に送信することを可能にするようにプログラムされてもよい。代替として、または加えて、モバイルデバイス6は、埋込可能ポンプ2の動作に関連するデータまたはコントローラ3によって生成されるアラートまたはステータスメッセージをコントローラ3から受信し、それをモバイルデバイス6の画面11上に表示するようにプログラムされてもよい。
【0072】
ここで
図2を参照すると、埋込可能ポンプ2は、
図2に図示されるような外科手術アプローチを使用して埋込されてもよい。外科手術アプローチは、例えば、鎖骨下動脈の下かつ右大胸筋の正面の位置において、埋込可能ポンプ2が位置付けられる皮下ポケットを作成するステップを伴う。切開が、右鎖骨下動脈SAにおいて行われ、その中に流出カニューレ8の端部が、位置付けられる。流出カニューレ8は、右鎖骨下動脈SAに吻合されてもよい。流出カニューレ8の対向する端部は、皮下ポケットの中に挿入され、埋込可能ポンプ2と結合される。心臓に到達するために、ミニ開胸術が、実施されてもよく、心膜が、流入カニューレ7の端部を左心房LAの中に挿入するために開放される。流入カニューレ7は、縫合糸を使用して左心房に固着されてもよい。流入カニューレ7の対向する端部は、肋間腔を通して、最終的に、皮下ポケットの中にトンネルされ、埋込可能ポンプ2と結合されてもよい。
【0073】
代替として、埋込可能ポンプ2は、
図3に図示される血管内アプローチを使用して埋込されてもよい。外科手術アプローチのように、血管内アプローチは、例えば、鎖骨下動脈の下かつ右大胸筋の正面の位置において、埋込可能ポンプ2が位置付けられる皮下ポケットを作成するステップを伴う。血管内アプローチはまた、右鎖骨下動脈SAにおいて行われる切開を伴い、その中に流出カニューレ8の端部が、位置付けられ、右鎖骨下動脈SAに吻合される。流出カニューレ8の対向する端部は、同様に、皮下ポケットの中に挿入され、埋込可能ポンプ2と結合されてもよい。しかしながら、上記に説明される外科手術アプローチと異なり、右心房に到達するために、流入カニューレ7は、右鎖骨下静脈を通して挿入される。本アプローチでは、切開は、右鎖骨下静脈SVにおいて行われ、ガイドワイヤが、挿入され、上大静脈SVCを通して右心房RAに前進される。右心房RAに到達することに応じて、経中隔穿刺技法が、ガイドワイヤを左心房LAの中に前進させるために使用されてもよい。流入カニューレ7が、次いで、ガイドワイヤにわたって左心房LAに前進されてもよく、心房中隔に係留されてもよい。
【0074】
ここで
図4A-4Cを参照すると、埋込可能ポンプ2が、より詳細に図示される。埋込可能ポンプ2は、チタン等の生体適合性材料から作製され、上記に説明されるように患者の胸部内に埋込されるように定寸される、ポンプ筐体12を含む。ポンプ筐体12は、略長方形形状を有してもよい、または一方または両方の端部において狭化してもよく、液密ポンプ筐体12を形成するために、例えば、ねじ山または溶接によってともに嵌合する2つ以上の部分であってもよい。ポンプ筐体12は、ポンプアセンブリ16がポンプ筐体12内に配置されるために好適な任意のサイズを有してもよい。ポンプ筐体は、それぞれ、それを通して血液が流入および流出し得る、入口13と、出口14とを含む。
図4Cのポンプ筐体12は、出口14に向かって血流を促進するための狭化逓減特徴を実証する。ポンプはまた、埋込可能ポンプ2をケーブル9に取り付けるための電気ポート15を含んでもよい。電気ポート15は、ケーブル9が、ポンプ筐体12を横断し、ポンプアセンブリ16に液密様式で接続することを可能にしてもよい。ケーブル9は、電気ワイヤをコントローラ3およびバッテリ4からポンプアセンブリ16に送達してもよい。
【0075】
図5Aおよび5Bに関して、コントローラ3が、より詳細に図示される。
図1に描写されるように、コントローラ3は、患者の身体の外部上に装着されるように定寸および構成されてもよい、または皮下に埋込されるように定寸および構成されてもよい。コントローラ3は、入力ポート17と、出口ポート18と、バッテリポート19と、インジケータライト20と、ディスプレイ21と、ステータスライト22と、ボタン23とを含む。入力ポート17は、ケーブル10を周期的かつ可撤式に受け取り、例えば、USB接続を介して、プログラマ5とコントローラ3との間に電気接続を確立するように構成される。このように、臨床医は、埋込可能ポンプ2の動作を制御するために、コントローラ3に結合し、コントローラ3内に記憶される動作パラメータを設定または調節してもよい。加えて、プログラマ5がコントローラ3に結合されると、臨床医はまた、プログラマ5のディスプレイ38上で処理および表示するために、作動統計等の埋込可能ポンプの動作に関連するデータをコントローラ3からダウンロードしてもよい。代替として、または加えて、コントローラ3は、そのような情報をプログラマ5と無線で通信するために無線送受信機を含んでもよい。本代替実施形態では、コントローラ3とプログラマ5との間の無線通信は、シリアル番号等のコントローラの一意の識別番号と関連付けられる暗号キーを用いて暗号化されてもよい。
【0076】
バッテリポート19は、
図1に図示されるベルトに組み込まれ得るバッテリ4に接続されるケーブルを可撤式に受け取るように構成される。バッテリ4は、患者がバッテリを完全充電されたバッテリと周期的に交換することを可能にするために、ベルトから除去され、コントローラ3から接続解除されてもよい。患者は、少なくとも2つのバッテリを自身に利用可能にするであろうことが予期され、したがって、一方のバッテリが、コントローラおよび埋込可能ポンプ2に通電するためにコントローラ3に結合される間、他方のバッテリが、再充電ステーションに接続されてもよい。代替として、または加えて、バッテリポート19は、患者が、例えば、眠るためにベッドで仰臥位になりながらバッテリ4を除去することを可能にする、実質的により大型のバッテリ/充電器の組み合わせ等の電力供給源に直接結合されるケーブルを受け取るように構成されてもよい。
【0077】
出力ポート18は、ケーブル9に電気的に結合され、これは、ポンプ筐体12の電気ポート15を通して埋込可能ポンプ2に結合される。ケーブル9は、コントローラ3内に記憶される構成設定および動作パラメータに従って、埋込可能ポンプ2に通電するためのエネルギーを提供する。ケーブル9はまた、コントローラ3が、埋込可能ポンプ2内に配置されるセンサからデータを受信することを可能にしてもよい。一実施形態では、ケーブル9は、経皮的に延在するように設計され、生体適合性コーティングを有する電気ケーブルであってもよい。ケーブル9は、感染のリスク、潜在的に危険な物質の移送を低減させるために、またはこれが患者の皮膚を通して延在する場所で治癒を助長するために、医薬品を含浸されてもよい。
【0078】
上記に言及されるように、コントローラ3は、インジケータライト20と、ディスプレイ21と、ステータスライト22と、ボタン23とを含んでもよい。インジケータライト20は、バッテリ4の残り寿命等の本システムの動作に関連する情報を視覚的に表示してもよい。ディスプレイ21は、リアルタイムポンプ性能データ、心拍数等の患者の生理学的データ、および/または標的ポンプ圧力または流量等の埋込可能ポンプの動作パラメータ等を表示する、デジタル液晶ディスプレイであってもよい。あるパラメータ条件が事前プログラムされた閾値を超えると決定されると、アラームが、鳴らされてもよく、アラートが、ディスプレイ21上に表示されてもよい。ステータスライト22は、コントローラまたは埋込可能ポンプのある機能性がアクティブであるかどうかを示すためにオンまたはオフにされる発光ダイオード(LED)を備えてもよい。ボタン23は、ディスプレイ21をウェイクアップさせる、アラームを設定または停止する等のために使用されてもよい。
【0079】
図5Bに関して、
図5Aのコントローラ3の例証的実施形態のコンポーネントが、説明される。
図5Aに関連して説明されるコントローラ3のコンポーネントに加えて、コントローラ3はさらに、マイクロプロセッサ25と、メモリ26と、バッテリ27と、随意の送受信機28と、増幅器回路29とを含む。マイクロプロセッサ25は、埋込可能ポンプ2の動作を制御するためのプログラミングがメモリ26内に記憶される、汎用マイクロプロセッサであってもよい。メモリ26はまた、埋込可能ポンプ2に関する構成設定および動作パラメータを記憶してもよい。バッテリ27は、電力をコントローラ3に供給し、バッテリ4が周期的にスワップアウトされるとき、動作の連続性を提供する。随意の送受信機28は、BLUETOOTH(登録商標)、ZigBee、および/またはWi-FiまたはWi-Fi Direct等の任意のIEEE 802.11無線規格を含む、いくつかの周知の通信規格のうちのいずれかを介して、プログラマ5および/またはモバイルデバイス6との無線通信を促進する。コントローラ3はさらに、コントローラ3と埋込可能ポンプ2との間で転送される電気信号を増幅するための増幅器回路29を含んでもよい。
【0080】
ここで
図6を参照すると、バッテリ4が、説明される。バッテリ4は、電力を埋込可能ポンプ2に提供し、また、電力をコントローラ3に提供してもよい。上記に説明されるように、バッテリ4は、皮下に埋込されてもよい、または体外にあってもよい。バッテリ4は、筐体内に配置される単一のバッテリまたは複数のバッテリから成ってもよく、体外使用のために構成されるとき、ベルト上等の患者の身体の外部上に装着されるように定寸および構成される。代替として、バッテリ4が患者の中に埋込される場合、バッテリ4は、生体適合性筐体内に配置されてもよい。バッテリ寿命インジケータ31が、バッテリの残量を示すために、バッテリ4の外部上に提供されてもよい。コントローラは、コントローラ3のバッテリポート19をバッテリ4の出力ポート32に接続するケーブルを介してバッテリ4に接続されてもよい。一実施形態では、バッテリ4は、再充電可能バッテリの技術分野で公知なように、別個の充電ステーションを使用して再充電可能であってもよい。代替として、または加えて、バッテリ4は、バッテリが従来の住宅用電源コンセント、例えば、120/240V、50/60Hz AC電力を使用して再充電されることを可能にするために、変圧器およびケーブルに可撤式に結合され得るポート33を含んでもよい。
【0081】
ここで
図7A-7Bを参照すると、プログラマ5が、説明される。プログラマ5は、コントローラ3を構成し、コントローラ3が埋込可能ポンプ2の動作を制御するために使用する動作パラメータを設定するためのプログラムされたソフトウェアルーチン34をロードされる従来のラップトップ、デスクトップ、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチであってもよい。上記に議論されるように、プログラマ5は、典型的には、臨床医のオフィスまたは病院に位置し、ケーブル10を介して、または無線でコントローラ3に結合され、コントローラ3を初期設定し、次いで、必要に応じて動作パラメータを調節するために要求されるように、その後コントローラ3を周期的に調節する。プログラマ5のプログラムされたルーチンを使用して設定されるコントローラ3の動作パラメータは、限定ではないが、印加される電圧、ポンプ周波数、ポンプ振幅、標的
流量、拍動性等を含んでもよい。最初に埋込されるとき、外科医または臨床医は、初期動作パラメータをコントローラ3に通信するためにプログラマ5を使用してもよい。埋込に続いて、患者は、再び、プログラマ5を使用して行われ得る動作パラメータの調節のために、臨床医のオフィスに周期的に戻ってもよい。
【0082】
プログラマ5は、タッチスクリーン能力を有する任意のタイプの従来のパーソナルコンピュータデバイスであってもよい。
図7Bに図示されるように、プログラマ5は、好ましくは、プロセッサ35と、メモリ36と、入力/出力デバイス37と、ディスプレイ38と、バッテリ39と、通信ユニット40とを含む。メモリ36は、プログラマのためのオペレーティングシステムおよびコントローラ3と通信するために必要とされるプログラムされたルーチンを記憶する、非一過性コンピュータ可読媒体であってもよい。プロセッサ35によって実行されると、非一過性コンピュータ可読媒体上に記憶されるプログラムされたルーチンからの命令は、本明細書に説明される機能性の実行を引き起こす。通信ユニット40は、BLUETOOTH(登録商標)、ZigBee、および/またはWi-FiまたはWi-Fi Direct等の任意のIEEE 802.11無線規格等のいくつかの周知の通信プロトコルのうちのいずれかを含んでもよい。
図7Aに図示されるように、コントローラ3をプログラムし、それと通信するために使用されるプログラムされたルーチンはまた、それを用いてコントローラ3が埋込可能ポンプ2を制御する動作パラメータを識別する、プログラマ5の画面上の表示のためのデータを提供してもよい。プログラムされたルーチンはまた、プログラマ5が、コントローラ3から、埋込可能ポンプによって通信された動作データまたは生理学的データをダウンロードし、プログラマが有線または無線接続を介してコントローラに結合される間にリアルタイムでその情報を表示することを可能にしてもよい。転送されたデータは、次いで、処理され、プログラマ5の画面上で表示されてもよい。
【0083】
ここで
図8を参照すると、ポンプアセンブリ16が、図示される。ポンプアセンブリ16は、例証的に、膜アセンブリ49と、磁石アセンブリ41と、電磁アセンブリ42と、搭載構造44(図示せず)と、随意に、ばねシステム60を含み得る線形ガイド45とを含む。線形ガイド45は、磁石アセンブリ41が、線形ガイド45に沿って上下に線形に移動することを可能にしてもよい。
図11を参照して下記により詳細に議論されるばねシステム60は、磁石アセンブリ41が自然位置から逸脱する際、ばね力を中立中心位置に向かって印加するように構成されてもよい。
【0084】
ここで
図9Aおよび9Bを参照すると、ポンプアセンブリ16が、搭載構造44を示すように図示される。ポンプアセンブリ16は、ポンプ筐体12内に嵌合するように定寸および構成される。搭載構造44は、任意の周知の固定技法を使用してポンプ筐体12に搭載されてもよい。例えば、搭載構造44は、ポンプ筐体12内のねじ山付き溝に対応するねじ山付き溝を含んでもよく、複数のねじを使用してポンプ筐体12に結合されてもよい。代替として、搭載構造44は、ポンプ筐体12に溶接されてもよい。
【0085】
搭載構造44は、入口13に隣接してポンプ筐体12内に配置されるように定寸および構成される。搭載構造44は、正方形断面を伴う長方形形状を有してもよい。搭載構造44は、入口13において受容される血液が搭載構造44を通して流動することを可能にする、入口チャネル71を有してもよい。搭載構造44は、入口チャネル71を通して進入する血液が、上側流動チャネル72および下側流動チャネル73に分離することを可能にし得る、流入分離器52を含んでもよい。
【0086】
電磁石アセンブリ42および線形ガイド45は、搭載構造44に結合される、またはそれに別様に組み込まれてもよい。電磁石アセンブリ42は、それぞれ、電流が印加されると、電磁性質を呈する電磁巻線を有する、第1の電磁石57と、第2の電磁石58とを含んでもよい。第1の電磁石57は、
図9Aおよび9Bに図示されるように、搭載構造44の上側フランジ部分53に結合されてもよい。第2の電磁石58は、同様に、下側フランジ部分54に結合されてもよい。本構成では、第1の電磁石57は、第2の電磁石58の直上に位置付けられてもよく、間隙が、第1の電磁石57と第2の電磁石58との間に存在してもよい。
【0087】
線形ガイド45は、1つの端部において上側フランジ部分53に結合され、別の端部において下側フランジ部分54に結合されてもよく、第1の電磁石57と第2の電磁石58との間の間隙に及んでもよい。線形ガイド45は、相互に平行に、かつ入口チャネル71を通した血流の方向に垂直に配列されてもよい。
【0088】
磁石アセンブリ41は、線形ガイド45に沿って線形に移動するように構成される、上側磁石51を含んでもよい。磁石51は、永久磁石であってもよく、単一の磁石であるか、または磁石51を形成するようにともに結合される複数の磁石を含むかのいずれかであってもよい。磁石51は、形状が長方形であってもよく、それを通して線形ガイド45が挿入され、延在し得る、磁石51を通して延在する線形ガイド受容部分を有してもよい。このように、磁石51は、第1の電磁石57に向かって上に移動し、第2の電磁石58に向かって下に移動してもよい。
【0089】
膜アセンブリ49は、膜コネクタ47と、長方形膜48とを含んでもよい。下記により詳細に議論されるように、長方形膜48は、形状が略長方形であってもよく、膜コネクタ47によって磁石51に接続されてもよい。磁石51は、それを通してねじの形態における膜コネクタ47が長方形膜48の端部を磁石51に結合するために使用され得る、ねじ山付き受容部分を含んでもよい。代替として、膜コネクタ47は、膜48を磁石51に咬持する咬持デバイスであってもよい。膜コネクタ47は、任意の周知の機構または技法、例えば、エポキシ、ねじ等であり得ることを理解されたい。
【0090】
図9Aおよび9Bに図示されるように、磁石51に結合される膜48は、磁石51とともに上下に移動し得る。ばねシステム60は、随意に、
図11に図示されるように、線形ガイド45に結合されてもよい。ばねシステムは、磁石51を中立位置に位置付けるように設計されてもよい。例えば、中立位置は、流入分離器52と同一の平面であってもよい。したがって、磁石51は、線形ガイド45に沿って上下に進行し得るが、磁石51は、中立位置に戻るように設計されてもよい。
【0091】
電磁アセンブリ42の第1の電磁石57および第2の電磁石58は、コイルに巻回され得る1つ以上のより小型の金属ワイヤを含んでもよく、電気ポート15を介して接続されるケーブル9を介してバッテリおよび/またはコントローラと電気連通してもよい。第1の電磁石57および第2の電磁石58は、相互に電気連通してもよい、および/または独立して動作し、ケーブル9を介したコントローラ3および/またはバッテリ4への別個の有線接続を有するように構成されてもよい。第1の電磁石57および第2の電磁石58に印加される電流は、適用される動作パラメータに応じて、逆転され得る。第1の電磁石57および第2の電磁石58のワイヤは、隣接する伝導性材料への短絡を防止するために、絶縁されてもよい。
【0092】
埋込可能ポンプ筐体12は、チタン、ステンレス鋼、またはポンプアセンブリ16をポンプ筐体12に搭載するために好適な任意の他の剛性生体適合性材料から成ってもよい。磁石アセンブリ41は、鉄、ニッケル、コバルト、または種々の合金等の磁気性質を呈する1つ以上の材料から成ってもよい。複数の磁石が磁石アセンブリ41を構成する場合、磁石は、Vacoflux等の高飽和合金から作製される金属部分によって連結されてもよい。搭載構造も、Vacofluxから作製されてもよい。電磁アセンブリ42内のコイルに巻回される1つ以上のより小型の金属ワイヤは、銅または適切な電磁性質を有する任意の他の金属から作製されてもよい。
【0093】
ここで
図10A-10Cを参照すると、種々の長方形膜が、より詳細に図示される。長方形膜48は、全般的に薄い長方形形状をとってもよい。好ましい実施形態では、長方形膜48は、薄い平面形状を有し、弾性性質および良好な耐久性を有するエラストマから作製される。例えば、長方形膜48は、埋込可能ポンプの作動が長方形膜を移動させ、ポンプを通して血液を圧送する波様変形を生成するように、長方形膜48の長さおよび断面全体を通して可撓性であってもよい。長方形膜48は、一方の端部から他方まで均一な厚さを有してもよい。またさらなる代替として、長方形膜48は、本明細書にさらに説明されるように、厚さが変動し、より複雑な幾何学形状を呈してもよい。例えば、長方形膜48は、膜が一方の端部から他方まで延在するにつれて低減された厚さを有してもよい、および/または直角または斜角または丸形角を有してもよい。代替として、または加えて、長方形膜48は、膜の平面に垂直な方向における膜のばね力を強化するために、ばね等の金属要素を組み込んでもよい。さらに別の実施形態では、長方形膜48は、波状形状で事前形成されてもよい。
【0094】
図10A-10Cは、本明細書に説明される埋込可能ポンプにおいて使用され得る種々の長方形膜を図示する。示されるように、長方形膜はそれぞれ、長方形膜の遠位端から血流路に直交する方向に延在する、突出部を有する。
図10Aに図示されるように、長方形膜48’は、2つの支柱受容部分67および68を有する。支柱受容部分67および68は、
図13A-Bに示されるように、線形ガイド45に平行であり、ポンプ筐体12の上部側から底部側まで延在し得る、支柱55のものよりもわずかに大きい直径を有してもよい。代替として、支柱55は、
図12に図示されるように、上側漏斗部分64と下側漏斗部分56との間に延在してもよい。また、
図10Aに示されるように、長方形膜48’は、それぞれ、長方形膜48の主要本体から血流路に平行な方向に突出する延在された部分69および70を有し、延在された部分69および70の間に空間を生成する。延在された部分69および70は、それぞれ、その中に支柱受容部分67および68を有し、流体が埋込可能ポンプ2の出口14からより自由に逃散することを可能にしてもよい。代替として、
図10Bでは、長方形膜48’’の主要本体は、いかなる延在された部分も伴わずに膜の全長に延在する。
図10Bでは、長方形膜48’’の主要本体は、2つの支柱受容部分67’および68’を有する。さらに別の代替では、
図10Cに示されるように、長方形膜48’’’は、支柱受容部分を含まない。これは、出口14に最も近傍の長方形膜48’’’の遠位端がより自由に移動することを可能にしてもよい。
【0095】
ここで
図11を参照すると、ばねシステム60の一実施形態が、より詳細に図示される。ばねシステム60は、随意に、線形ガイド45に結合される、またはそれに別様に組み込まれてもよい。上記に言及されるように、ばねシステム60は、磁石51が中立位置から逸脱するとき、磁石51にばね力を提供してもよい。
図11に図示されるように、中立位置は、上側フランジ部分53と下側フランジ部分54との間で等距離であってもよい。しかしながら、ばねシステム60は、上側フランジ部分53と下側フランジ部分54との間の任意の位置に中立位置を設定するように設計されてもよい。ばねシステム60は、上側ばね部分65と、下側ばね部分66とを含んでもよい。上側ばね部分65および下側ばね部分66は、磁石51が中立位置から逸脱する際、増加された抵抗を提供するばね力を集合的に印加してもよい。
【0096】
ここで
図12を参照すると、漏斗アセンブリ50が、図示される。漏斗アセンブリ50は、随意に、
図12に図示されるように、出口14に近傍のポンプ筐体12内に配置され、血液が入口13から出口14に進行するにつれて、埋込可能ポンプ2を通した血流をさらに狭化してもよい。漏斗アセンブリ50は、上側漏斗部分64と、下側漏斗部分56とを含んでもよい。
図12に図示されるように、漏斗の厚さは、概して、出口14に向かって増加する。加えて、流動チャネルの幅は、これが出口14に向かって内向きに移動するにつれて狭化してもよい。上側漏斗部分64および下側漏斗部分56は、漏斗部分がポンプ筐体12に固着されることを可能にするために、上側漏斗部分64および下側漏斗部分56を通して、または少なくとも途中まで延在するねじ山付き部分を含んでもよい。
【0097】
ここで
図13Aおよび13Bを参照すると、埋込可能ポンプ2の断面図が、図示される。
図13Aでは、長方形膜48は、線形ガイド45と支柱55との間に緊張状態で懸下されるように見える。本構成では、膜48は、ポンプ筐体12内に懸下される。上記に解説されるように、血液は、入口13においてポンプ筐体に進入し、入口チャネル71を介して搭載構造44を通して進行し得る。入口チャネル71を通して進行した後、血液は、流入分離器52の周囲を進行しなければならない。流入分離器52は、血流を上側流動チャネル72および下側流動チャネル73に分離する。上側流動チャネル72は、一方の側上の磁石51の上面および膜48および他方の側上のポンプ筐体12の内面によって画定される。下側流動チャネル73は、一方の側上の磁石51の底面および膜48および他方の側上のポンプ筐体12の内面によって画定される。上側流動チャネル72および下側流動チャネル73は、出口14において合流する。このように、入口チャネル71から退出し、流入分離器52の周囲を進行した後、血液は、これが出口14に到達するまで、膜48の上面および底面に沿って進行する。
【0098】
埋込可能ポンプは、磁石51を線形ガイド45に沿って上下に移動させることによって、血液を入口13から出口14に圧送するようにアクティブ化されてもよい。このように、磁石51は、第1の電磁石57に向かって上に、または第2の電磁石58に向かって下に移動してもよい。磁石51を上に移動させるために、電流が、第1の電磁石57が、磁石51を誘引し、したがって、磁石51を第1の電磁石57に向かって移動させる磁場を生成するように、第1の電磁石57に印加されてもよい。同時に、第2の電磁石58が、第2の電磁石58に第1の電磁石57の反対の極性を有する磁場を生成させる電流を用いて誘発され、それによって、第1の電磁石57が磁石51を誘引する間に第2の電磁石58から磁石51を反発させてもよい。このように、第1の電磁石57および第2の電磁石58は、磁石51を移動させるためにともに機能してもよい。代替として、第2の電磁石58は、第1の電磁石57が通電される間に通電されない場合がある。
【0099】
磁石51を下に移動させるために、電流が、第2の電磁石58が、磁石51を誘引し、したがって、磁石51を第2の電磁石58に向かって移動させる磁場を生成するように、第2の電磁石58に印加されてもよい。同時に、第1の電磁石57が、第1の電磁石57に第2の電磁石58の反対の極性を有する磁場を生成させる電流を用いて誘発され、それによって、第2の電磁石58が磁石51を誘引する間に第1の電磁石57から磁石51を反発させてもよい。代替として、第1の電磁石57は、第2の電磁石58が通電される間に通電されない場合がある。
【0100】
第1の電磁石57および第2の電磁石58は、電流が第1の電磁石57および第2の電磁石58を通して同一の方向に印加されると、反対の極性を生成するように設計されてもよい。このように、同一の電流が、所望の効果を達成するために、第1の電磁石57および第2の電磁石58に同時に印加されてもよい。代替として、第1の電磁石57および第2の電磁石58は、電流が同一の方向に印加されると、同一の極性を生成するように設計されてもよい。本構成では、同一の電流は、第1の電磁石57および第2の電磁石58に同時に印加されないであろう。
【0101】
ばねシステム60は、磁石51が中立位置から逸脱すると、ばね力を呈するため、第1の電磁石57および/または第2の電磁石58が、磁石51を第1の電磁石57に向かって上に移動させるとき、ばねシステム60は、中立位置に向かって磁石51に下向きばね力を付与し得る。同様に、第1の電磁石57および/または第2の電磁石58が、磁石51を第2の電磁石58に向かって下向きに移動させるとき、ばねシステム60は、中立位置に向かって磁石51に上向きばね力を付与し得る。磁石51が中立位置からさらに逸脱するほど、より大きいばね力が、磁石51に印加される。
【0102】
電磁アセンブリ42に印加される電気信号のタイミングおよび強度を操作することによって、磁石51が上下に移動する周波数は、改変されてもよい。例えば、電磁アセンブリ42内に誘発される電流をより頻繁に交互にすることによって、磁石51は、所与の周期により多い回数で上下に循環させられてもよい。電磁アセンブリ42に印加される電圧を増加させることによって、磁石51は、より速い速度で進行し、中立位置からより長い距離を進行させられてもよい。
【0103】
磁石51が膜コネクタ47を介して長方形膜48に結合されるため、磁石51の移動は、長方形膜48の端部に適用される。
図13Bは、長方形膜48に適用されている磁石51による移動を図示する。
図13Bに示されるように、電流が、磁石51が第1の電磁石57に向かって誘引されるように、第1の電磁石57および/または第2の電磁石58において誘発されている。磁石51の移動は、磁石51に結合される膜48の端部もまた上下に移動させ、それによって、膜48における波様変形を引き起こしている。第1の電磁石57および第2の電磁石58に交流を誘発することによって、膜48は、上側流動チャネル72と下側流動チャネル73との間で波状になり、磁石51に結合される長方形膜48の縁から出口14に向かって移動する長方形膜48における波様形成を誘発し得る。
【0104】
長方形膜48が磁石51に直接取り付けられるため、磁石51がある距離を上向きまたは下向きに進行すると、磁石51に取り付けられる長方形膜48の端部もまた、同一の距離を進行する。例えば、磁石51が中立位置の上方に3mm進行するとき、磁石51に取り付けられる長方形膜48の端部もまた、同一の方向に3mm進行する。同様に、磁石51が上下に往復運動する周波数は、磁石51に結合される長方形膜48の端部が同一の距離を進行する同一の周波数である。好ましくは、周波数は、0~150Hzであるが、他の周波数も、本明細書に説明されるシステムを使用して達成されてもよい。
【0105】
故に、血液が入口チャネル71に、かつ流入分離器52の周囲に送達されるとき、これは、長方形膜48の上部および底部の両方に沿って、最終的に、出口14から推進される。波状長方形膜において形成される波は、磁石51が上下に移動する速度および磁石51が上下に移動する距離を変更することによって操作されてもよい。膜から血液へのエネルギーの伝達は、膜48の長さに沿って出口14に向かって指向され、長方形膜48の両側に沿って血液を推進させる。
【0106】
図13Bでは、磁石51は、上向きに移動している。磁石51が上向きに移動するにつれて、磁石51の底面と搭載構造44との間の下側流動チャネル73への進入口は、サイズが減少し始める一方、磁石51の上面と搭載構造44との間の上側流動チャネル72への進入口は、同時にサイズが減少し始め、血液を磁石51に最も近傍の下側流動チャネル73に充填させる。磁石51が、続けて、第2の電磁石58に向かって下向きに移動されるにつれて、下側流動チャネル73は、磁石51の近傍で狭化し始め、膜48における波様変形が出口14に向かって伝搬されるにつれて狭化し続ける。波が長方形膜48を横断して伝搬するにつれて、下側流動チャネル73内の血液は、出口14に向かって推進される。同時に、磁石51が下に移動するにつれて、上側流動チャネル72への進入口は、拡大し始め、入口チャネル71からの血液が本領域の中に流動することを可能にする。続けて、磁石51が、再び上向きに押進されると、上側流動チャネル72は、磁石51の近傍で狭化し始め、波様変形を膜48を横断して伝搬させ、血液を出口14に向かって推進させる。好ましくは、波伝搬の速度は、1~1.5m/秒であるが、他の伝搬速度も、本明細書に説明されるシステムを使用して達成されてもよい。
【0107】
磁石51が上下に移動する周波数および振幅を変更することによって波状膜において形成される波を操作することによって、上側流動チャネル72および下側流動チャネル73内の圧力勾配、および最終的に、埋込可能ポンプ2を通して移動する血液の流量が、調節されてもよい。磁石51を適切に制御することは、富酸素血液が、左心房から右鎖骨下動脈に、および必要に応じて身体全体を通して、効果的かつ安全に圧送されることを可能にする。本明細書に説明されるポンプは、血液を左心房から右鎖骨下動脈に圧送するように説明されるが、本明細書に説明される埋込可能ポンプ2は、血液を異なる面積から異なる面積に、例えば、左心室から大動脈に圧送するために使用され得る。
【0108】
単に血液を左心房から鎖骨下動脈に圧送することに加えて、本発明の埋込可能ポンプ2は、ポンプ効率の損失を伴わずに生理学的拍動性を厳密に模倣するように動作されてもよい。拍動性は、所望の流動出力を生成するために、磁石51が移動する周波数および振幅を変更することによって、または低流動出力の周期または流動出力のない周期を生成するために、ある時間周期にわたって磁石アセンブリ41の移動を中止することによって、ほぼ瞬間的に達成され得る。1分あたりの設定された回転数に到達し、所望の流体変位および拍動性を達成するために、ある時間周期を要求する典型的な回転ポンプと異なり、埋込可能ポンプ2は、所望の流動出力をほぼ瞬間的に達成し得、同様に、ポンプアセンブリの可動コンポーネントの小さい移動質量によって生成される非常に低い慣性に起因して、出力をほぼ瞬間的に中止し得る。要求に応じて開始および停止する能力は、圧力および流れにおける急速な変化を可能にする。周波数および振幅とともに、長方形膜48が設定された時間周期にわたって励起される時間のパーセンテージによって定義されるデューティサイクルも、ポンプ効率の損失を伴わずに所望の流動出力および拍動性を達成するために調節されてもよい。周波数および振幅を一定に保持しても、流量は、デューティサイクルを0~100%に操作することによって改変され得る。
【0109】
本発明の別の側面によると、コントローラ3は、選択された周波数、振幅、およびデューティサイクルにおいて動作し、広い範囲の生理学的流量および生理学的拍動性を達成するようにプログラマ5によってプログラムされてもよい。例えば、プログラマ5は、患者が、典型的には、眠っているときの時間周期の間、所与の周波数、振幅、および/またはデューティサイクルにおいて埋込可能ポンプ2を動作させるようにコントローラ3に指図してもよく、患者が、典型的には、起きているときの時間周期の間、異なる周波数、振幅、および/またはデューティサイクルにおいて埋込可能ポンプ2を動作させるようにコントローラ3に指図してもよい。コントローラ3または埋込可能ポンプ2はまた、患者が仰臥位である、または歩行しているかどうかを決定するために、加速度計または位置インジケータを含んでもよく、その出力は、ポンプ動作パラメータの1つのセットを別のものに移動させるために使用されてもよい。患者がある不快感を被る、または医師がパラメータが最適化されていないと決定するとき、医師は、所望の機能性を達成するために、少なくとも周波数、振幅、およびデューティサイクルのうちの1つ以上のものを改変してもよい。代替として、コントローラ3またはモバイルデバイス6は、患者の必要性に合うように周波数、振幅、およびデューティサイクルのうちの1つ以上のものを改変するように構成されてもよい。
【0110】
埋込可能ポンプ2はさらに、患者の要求に従って、流動出力および拍動性を調節するための1つ以上の付加的センサを備えてもよい。センサは、埋込可能ポンプ2に組み込まれてもよい、または代替として、または加えて、患者内またはその上の別の場所に埋込されてもよい。センサは、好ましくは、コントローラ3と電気連通し、埋込可能ポンプ2の性能を測定する動作パラメータまたは心拍数または血圧等の患者の生理学的パラメータを測定する生理学的センサを監視してもよい。1つ以上の生理学的センサを使用することによって、拍動流は、例えば、血圧または筋収縮を監視し、感知された出力に従ってデューティサイクルを同期させることによって、患者の心周期と同期されてもよい。
【0111】
コントローラ3は、生理学的センサ測定値を現在の埋込可能ポンプ出力と比較してもよい。センサ測定値を分析することによって、要求が現在の出力を超えると決定される場合、周波数、振幅、および/またはデューティサイクルは、現在の要求を満たすように自動的に調節されてもよい。同様に、コントローラは、現在の出力が要求を超えると決定し、したがって、周波数、振幅、および/またはデューティサイクルを変更することによって出力を改変してもよい。代替として、または加えて、要求が現在の出力を超えると決定されるとき、アラームが、コントローラ3から鳴らされてもよい。同様に、動作センサからの動作測定値が、所定の閾値に対して比較されてもよく、測定値が所定の閾値を超える、または誤動作が検出される場合、アラームが、コントローラ3から鳴らされてもよい。
【0112】
埋込可能ポンプ2は、最大効率が達成される動作点において生理学的流量、圧力勾配、および拍動性を生産するように定寸および成形される。好ましくは、埋込可能ポンプ2は、溶血と関連付けられる閾値よりも低い圧力勾配において1分あたり1~5リットルに及ぶ流量を達成するように定寸および成形される。しかしながら、本明細書に説明される埋込可能ポンプ2は、溶血と関連付けられる閾値よりも低い圧力勾配において種々の他の流量を達成するように定寸および構成されてもよい。また、1分あたり60拍の典型的な生理学的パルスを模倣するために、埋込可能ポンプ2は、1秒あたり約1回拍動してもよい。そのような拍動性を達成するために、50%のデューティサイクルが、0.5秒の「オン」周期および0.5秒の「オフ」周期と併用されてもよい。所与のシステムに関して、具体的動作周波数、振幅、および電圧における最大効率が、血流チャネルおよび間隙の形状およびサイズ、ばねシステムの弾性性質、可動部分の質量、膜幾何学形状、および膜の弾性性質および摩擦性質のうちの1つ以上のものを操作することによって、50%のデューティサイクルにおいて1分あたり1~3リットルの流量を生産しながら達成されてもよい。このように、埋込可能ポンプ2は、最適な動作パラメータにおいて機能し続けながら生理学的循環を部分的に支援するために、望ましい出力を生産するように設計されてもよい。
【0113】
デューティサイクルを調節することによって、埋込可能ポンプ2は、生理学的圧力勾配において広い範囲の出力流を生成するように構成されてもよい。例えば、ポンプシステム1は、50%のデューティサイクルにおいて1分あたり1~3リットルを生産するように構成されてもよく、最適な動作周波数は、120Hzであり得る。本システムに関して、流動出力は、例えば、デューティサイクルのみを変更することによって、1分あたり3リットルまで増加される、または1分あたり1リットルまで減少されてもよい。デューティサイクルおよび周波数は、相互に独立して動作するため、デューティサイクルは、120Hzの周波数に影響を及ぼさないまま、0~100%に操作されてもよい。
【0114】
本明細書に説明される埋込可能ポンプシステムは、健康な心臓によって付与されるものと同様に、血液に低から中程度の剪断力を印加することによって、溶血および血小板活性化を回避しながら、部分的支援流量および生理学的圧力勾配および拍動性を達成するように調整されてもよい。可動コンポーネントは、相互に堅く添着され、機械的軸受またはギヤ等の摩擦を誘発するであろういかなる部分も組み込まない。入口チャネル71および上側流動チャネル72および下側流動チャネル73は、少なくとも0.5mmのクリアランスが全ての可動コンポーネントの間に維持されるようにチャネルおよび間隙を定寸することによって、摩擦を同様に回避するように定寸および構成される。同様に、磁石51は、摩擦を回避するために、搭載構造44等の非可動コンポーネントから少なくとも0.5mmだけ分離されるように定寸および構成される。
【0115】
ポンプシステム1の他の実施形態は、より少ないまたは付加的コンポーネントまたは異なる形状またはサイズを有するコンポーネントを含んでもよい。例えば、
図14は、出口14’に向かって狭化する埋込可能筐体12’を図示する。本構成では、長方形膜は、その中に配置され、これが出口14’に接近するにつれて同様に狭化してもよい。本実施形態では、埋込可能筐体12’の狭化は、血流を出口14’から指向することに役立ち得る。
【0116】
他の実施形態は、
図4-13に説明されるものとは異なる磁石および電磁部分を有する電磁アクチュエータを採用してもよい。例えば、
図15は、ポンプアセンブリの代替実施形態を図示する。
図15に示されるポンプアセンブリ16’は、電磁アセンブリ42’と、磁石アセンブリ41’と、第1の支持構造61と、第2の支持構造62と、膜保持器59と、長方形膜48とを含む。膜保持器59は、埋込可能筐体12内に配置され、ねじ、溶接、または膜保持器59を埋込可能筐体12に堅く結合するために適切な任意の他の周知の技法を使用して、それに搭載されるように構成される。膜保持器59は、電磁アセンブリ42’および長方形膜48を支持するように構成される。
【0117】
第1の支持構造61および第2の支持構造62もまた、埋込可能筐体内に配置され、ねじまたは溶接等の任意の周知の技法を使用して、それに搭載されるように構成される。第1の支持構造61および第2の支持構造62は、それぞれ、1つ以上の正の永久磁石および負の永久磁石を有する、磁石アセンブリ41’の一部を支持してもよい。磁石アセンブリ41’は、磁場が第1の支持構造61および第2の支持構造62の上部端に生成され、反対の極性を有する磁場が第1の支持構造61および第2の支持構造62の底部端の近傍に生成されるように、第1の支持構造61および第2の支持構造62に搭載されてもよい。第1の支持構造61および第2の支持構造62は、電磁アセンブリ42’がその間に嵌合し、間隙に平行な平面内で移動するために十分に大きい間隙が2つの間に存在するように、埋込可能筐体12に搭載されてもよい。
【0118】
膜保持器59は、可撓性であってもよく、電磁アセンブリ42’が第1の磁場に向かって上に移動し、第2の磁場に向かって下に移動することを可能にしてもよい。電磁アセンブリ42’が上下に移動するにつれて、電磁アセンブリ42’に結合される膜48の端部もまた、上下に移動させられる。また、電磁アセンブリ42’が上下に移動するにつれて、膜保持器59は、弾性的に変形され、ばね力を電磁アセンブリ42’に印加し、電磁アセンブリ42’を膜保持器59が変形されない中立位置に戻す。
【0119】
長方形膜48の端部が上下に移動するにつれて、波様変形が、上記に説明されるように、膜48に沿って出口14に向かって伝搬される。本実施形態では、電磁アセンブリ42’に印加される電流は、磁石アセンブリ41’が定常のままである間に電磁アセンブリ42’を上下に移動させる。磁石51が移動する実施形態と異なり、
図15に図示される実施形態では、電磁アセンブリ42’は、一方の方向に電流を誘発することによって、一方の磁場に誘引され、したがって、それに向かって移動し得、逆に、対向する方向に電流を誘発することによって、反対の極性を有する他方の磁場に誘引され、したがって、それに向かって他方の方向に移動し得る。
【0120】
電磁アクチュエータの別の実施形態が、
図16に図示される。
図16では、膜において波を伝搬するための代替システムが、説明される。
図16に示されるように、本代替システムは、長方形膜75、第1の磁石79、第1のコイル78、および第1の強磁性ケーシング81、および第2の磁石80、第2のコイル77、および第2の強磁性ケーシング82を含んでもよい。第1の磁石79および第2の磁石80は、膜75にもまた結合されるロッド76によって接続される。第1のコイル78および第2のコイル77は、コントローラ3および/またはバッテリ4に接続されてもよい。コントローラは、第1のコイル78および第2のコイル77内に電流を誘発し、交互にしてもよく、これは、第1の磁石79および第2の磁石80を連携して上下に移動させる。第1の磁石79および第2の磁石80が上下に移動するにつれて、ロッド76は、上下に移動され、ロッド76に接続される膜75の部分を上下に移動させ得る。このように、膜75は、波状にされてもよい。膜75は、これが1つの端部から別のものに移動するにつれて、厚さが変動してもよい。
図16に示される代替電磁アクチュエータは、ポンプ筐体12内に嵌合し、本明細書に説明される様式で血液ポンプとして機能するように設計および構成されてもよい。
【0121】
ここで
図17を参照すると、電磁アクチュエータ実施形態が、図示される。
図17に示されるシステムは、長方形膜95と、ロッド96と、ガイド97と、カム98と、コイル99のアセンブリと、回転磁石100と、非同期モータを形成する99および100の組み合わせと、コネクタ101とを含む。コイル99は、コントローラ3および/またはバッテリ4と電気連通してもよく、コイル99と同一の軸上の回転磁石100内で移動するように通電されてもよい。回転磁石100は、他方の端部においてカム98に接続されるコネクタ101に接続されてもよい。膜95は、一方の端部においてロッド96に接続される。ロッド96は、ロッド96がその縦方向軸に沿ってのみ自由に移動するように、一方の端部においてカム98に接続され、ガイド97によって誘導される。磁石100の回転がコイルアセンブリ99によって生成される磁場によって引き起こされる際、磁石100の回転の移動は、コネクタ101を介してカム98によってロッド96に伝送され、これは、その縦方向軸を上下に移動する。ロッド96がその縦方向軸を上下に移動するにつれて、ロッド96に接続される膜95の端部は、上下に移動し、波様変形を膜95に沿って伝搬させる。
図17に示される代替電磁アクチュエータは、ポンプ筐体12内に嵌合し、本明細書に説明される様式で血液ポンプとして機能するように設計および構成されてもよい。
【0122】
ここで
図18A-18Cを参照すると、埋込可能ポンプ2の代わりにシステム1において使用され得る埋込可能ポンプ102が、より詳細に図示される。埋込可能ポンプ102は、チタン等の生体適合性材料から作製され、上記に説明されるように患者の胸部内に埋込されるように定寸される、ポンプ筐体112を含む。ポンプ筐体112は、液密ポンプ筐体112を形成するために、例えば、ねじ山または溶接によってともに嵌合する2つ以上の部分であってもよい。一実施形態では、ポンプ筐体112は、60~80mmの長さ、30~60mmの幅、および7~15mmの高さを有するように定寸および構成される。しかしながら、ポンプ筐体112は、ポンプアセンブリ116がポンプ筐体112内に配置されるために好適な任意の他のサイズを有してもよい。ポンプ筐体は、それぞれ、それを通して血液が流入および流出し得る、入口113と、出口114とを含む。ポンプはまた、埋込可能ポンプ102をケーブル9に取り付けるための電気ポート115を含んでもよい。電気ポート115は、ケーブル9が、ポンプ筐体112を横断し、ポンプアセンブリ116に液密様式で接続することを可能にしてもよい。ケーブル9は、電気ワイヤをコントローラ3およびバッテリ4からポンプアセンブリ116に送達してもよい。
【0123】
図19Aおよび19Bを参照すると、ポンプアセンブリ116が、より詳細に図示される。ポンプアセンブリ116は、膜アセンブリ149と、磁石アセンブリ141と、電磁アセンブリ142と、固定要素144および145と、漏斗アセンブリ150とを含んでもよい。膜アセンブリ149は、搭載構造146と、膜保持器147と、長方形膜148とを含んでもよい。電磁アセンブリ142は、それぞれ、電磁巻線を有する、第1のコイル157と、第2のコイル158とを含んでもよい。磁石アセンブリ141は、上側磁石ユニット151と、下側磁石ユニット152とを含んでもよい。
【0124】
ポンプアセンブリ116は、ポンプ筐体112内に嵌合するように定寸および構成される。固定要素144および145、搭載構造146、および漏斗アセンブリ150は、任意の周知の固定技法を使用してポンプ筐体112に搭載されてもよい。例えば、固定要素144および145、搭載構造146、漏斗アセンブリ150は、ポンプ筐体112内のねじ山付き溝に対応するねじ山付き溝を含んでもよく、複数のねじを使用してポンプ筐体112に結合されてもよい。代替として、固定要素144および145、搭載構造146、漏斗アセンブリ150は、ポンプ筐体112に溶接されてもよい。
【0125】
ここで
図20を参照すると、ポンプアセンブリ116の分解図が、図示される。
図20に示されるように、上側磁石ユニット151および下側磁石ユニット152は、いくつかのより小型の磁石を含んでもよい、または代替として、単一の磁石のみを含んでもよい。また、
図20に示されるように、上側磁石ユニット151および下側磁石ユニット152の両方は、形状が長方形であってもよく、漏斗アセンブリ150によって支持されるように定寸および構成されてもよい。上側磁石ユニット151および下側磁石ユニット152はまた、ポンプ筐体112に固着されてもよく、上側磁石ユニット151および下側磁石ユニット152をポンプ筐体112に固着させるように設計される固着部分を含んでもよい。
【0126】
漏斗アセンブリ150は、
図20に図示されるように、上側漏斗153と、下側漏斗154とを含んでもよい。上側漏斗153および下側漏斗154は、それぞれ、上側磁石ユニット151および下側磁石ユニット152を支持するためのフランジ付き部分を含んでもよい。上側漏斗153は、ポンプ筐体112に固着される上面を有してもよく、下側漏斗154は、ポンプ筐体112に固着される下面を有してもよい。下側漏斗154および上側漏斗153がポンプ筐体に固着されるとき、間隙が、
図19Aに図示されるように、下側漏斗154と上側漏斗153との間に存在する。
【0127】
下側漏斗154と上側漏斗153との間に、長方形膜148が、懸下され、上側漏斗153および下側漏斗154の長さに延在してもよい。支柱155および156が、ポンプ筐体112の出口114に隣接する上側漏斗153および下側漏斗154の遠位端の近傍で上側漏斗153と下側漏斗154との間に延在する。支柱155および156は、平行方式で位置付けられ、それらの間の流体流動を可能にするために十分な距離だけ分離される。長方形膜148は、長方形膜148の遠位端において支柱155および156に接続される。長方形膜148は、長方形膜148の遠位端において、支柱155および156を受容するように定寸および構成される2つの孔を有してもよい。支柱155および156はさらに、支柱155および156に沿って自由に移動し、長方形膜148を支柱155および156に係留する役割を果たす、接続要素を含んでもよい。
【0128】
図20および
図19Aおよび19Bに示されるように、膜保持器147が、長方形膜148の遠位端に位置付けられる。
図20に図示されるように、膜保持器147はまた、上側磁石ユニット151と下側磁石ユニット152との間に位置付けられる。加えて、膜保持器147は、第1のコイル157と第2のコイル158との間に位置付けられる。膜保持器147は、膜クランプ159に結合するように設計されてもよい。長方形膜148を膜保持器147に固着させるために、長方形膜148の近位端が、長方形膜148を受容するように設計される膜保持器147の端部にわたって設置されてもよい。続けて、膜クランプ159が、膜保持器147を被覆し、膜保持器147に咬持または別様に固着される長方形膜148の部分にわたって設置されてもよい。膜クランプ159は、膜保持器147にスナップ嵌合する、または別様に膜保持器147に螺合するように設計されてもよい。このように、長方形膜148は、膜保持器147に固着されてもよい。代替として、長方形膜148は、いくつかの周知の固着技法、例えば、エポキシ、ねじ等を使用して、膜クランプ159の使用を伴わずに膜保持器147に固着されてもよい。膜保持器147の近位端において、膜保持器147は、搭載構造146に固着される。上記に解説されるように、搭載構造146は、ポンプ筐体112に固着される。
【0129】
電磁アセンブリ142の第1のコイル157および第2のコイル158は、コイルに巻回され得る1つ以上のより小型の金属ワイヤを含んでもよく、電気ポート115を介して接続されるケーブル9を介してバッテリおよび/またはコントローラと電気連通してもよい。第1のコイル157および第2のコイル158は、相互に電気連通してもよい、および/または独立して動作し、ケーブル9を介したコントローラ3および/またはバッテリ4への別個の有線接続を有するように構成されてもよい。第1のコイル157および第2のコイル158に印加される電流は、適用される動作パラメータに応じて、逆転され得る。第1のコイル157および第2のコイル158のワイヤは、隣接する伝導性材料への短絡を防止するために、絶縁されてもよい。
【0130】
第1のコイル157および第2のコイル158は、膜保持器147の遠位端の一部を一方の側上で第1のコイル157に固着させ、他方の側上で第2のコイル158に固着させるための膜保持器受容部分150を含んでもよい。このように、第1のコイル157および第2のコイル158は、搭載構造146上に搭載される膜保持器147のみによって支持される。第1のコイル157および第2のコイル158と膜保持器147との間の接続はさらに、共振効果を低減させるために、ばねシステムを含んでもよい。第1のコイル157および第2のコイル158は、上側磁石ユニット151および下側磁石ユニット152が第1のコイル157と第2のコイル158との間に位置付けられるが、第1のコイル157および第2のコイル158に接触するように膜保持器147に対して位置付けられる。第1のコイル157および第2のコイル158は、上側漏斗153および下側漏斗154が、第1のコイル157および第2のコイル158に接触することなく第1のコイル157と第2のコイル158との間に位置付けられるように定寸されてもよい。
【0131】
固定要素144および145は、第1のコイル157および第2のコイル158が、固定要素144および145に接触することなく固定要素144および145の間に位置付けられるように、ポンプ筐体112に固着されてもよい。固定要素144および145は、磁気性質を有してもよく、したがって、磁石アセンブリ141によって生成される磁場をループし、別様に生成される磁場に寄与してもよい。このように、第1のコイル157は、一方の側上の固定要素145と、他方の側上の磁石アセンブリ141、膜保持器147、長方形膜148、および漏斗アセンブリ150との間に位置付けられる。同様に、第2のコイル158は、一方の側上の固定要素144と、他方の側上の磁石アセンブリ141、膜保持器147、長方形膜148、および漏斗アセンブリ150との間に他方の側上で位置付けられる。また、本構成では、長方形膜148は、漏斗アセンブリ150内に懸下され、膜保持器147は、磁石アセンブリ141内に懸下され、長方形膜148および膜保持器147は、第1のコイル157および第2のコイル158によって両側上で囲繞される。
【0132】
埋込可能ポンプ筐体112、固定要素144および145、搭載構造146、および漏斗アセンブリ150は、チタン、ステンレス鋼、またはポンプアセンブリ116をポンプ筐体112に搭載するために好適な任意の他の剛性生体適合性材料から成ってもよい。これらのコンポーネントは、電気信号の不要な伝送を低減させるために、絶縁される、および/または非伝導性材料から作製されてもよい。磁石アセンブリ141は、鉄、ニッケル、コバルト、または種々の合金等の磁気性質を呈する1つ以上の材料から成ってもよい。複数の磁石が磁石アセンブリ141を構成する場合、磁石は、Vacoflux等の高飽和合金から作製される金属部分によって連結されてもよい。搭載構造も、Vacofluxから作製されてもよい。電磁アセンブリ142内のコイルに巻回される1つ以上のより小型の金属ワイヤは、銅または適切な電磁性質を有する任意の他の金属から作製されてもよい。
【0133】
ここで
図21Aおよび21Bを参照すると、漏斗アセンブリ150の一部が、図示される。図示される漏斗部分は、これらのユニットが置換可能であり得るため、上側漏斗153および下側漏斗154のいずれかであってもよい。
図21Aおよび21Bに図示されるように、漏斗部分の厚さは、これが漏斗出口161に向かって移動し、狭化するにつれて増加する。また、
図21Aおよび21Bに図示されるように、流動チャネルによって作成される流動チャネルの幅は、これが漏斗出口161に向かって移動するにつれて狭化する。漏斗は、磁気アセンブリ141の少なくとも一部を支持し、磁気アセンブリ141の少なくとも一部をポンプ筐体112に固着させるように設計される、フランジ付き部分162を含んでもよい。上側漏斗153および下側漏斗154はまた、上側漏斗153および下側漏斗154を通して、または少なくとも途中まで延在し、上側漏斗153および下側漏斗154がポンプ筐体112に固着されることを可能にする、ねじ山付き部分164を含んでもよい。
【0134】
ここで
図22Aおよび22Bを参照すると、膜保持器147が、図示される。これらの図に示されるように、膜保持器147は、搭載部分165および膜固着部分166を有する略長方形であってもよい。搭載部分165は、搭載構造146に固着されるように設計される。
図22Bに示されるように、少なくとも膜固着部分166は、可撓性であるように設計される。したがって、膜固着部分166は、搭載部分165に対して上下に撓曲し得る。少なくとも膜固着部分166を含む膜保持器147は、膜固着部分166が搭載部分165に対して偏向されるとき、ばね力を呈する弾性性質を有してもよい。膜固着部分166は、搭載部分165に対して上下に変形されると、撓曲し得るが、膜固着部分166は、任意の他の軸に沿った移動、例えば、傾斜または捩れ移動に堅く抵抗し得る。膜保持器147は、ちょうど説明された性質を有する任意の金属または材料から作製されてもよい。
【0135】
一実施形態では、膜保持器147および/または膜クランプ159は、電磁性質を呈してもよい。例えば、膜保持器147および/または膜クランプ159は、電磁アセンブリ142と電気連通してもよい。したがって、電磁アセンブリ142が電気的にアクティブ化されると、膜保持器147および/または膜クランプ159も、電気的にアクティブ化された状態になり、したがって、それらの電磁性質に起因して、磁場を生成し得る。電磁場を生成する際、膜保持器147および/または膜クランプ159は、上側磁石ユニット151または下側磁石ユニット152のいずれかに誘引された状態になり得る。
【0136】
ここで
図23A-23Cを参照すると、
図10A-10Cの上記に説明されるものと類似する長方形膜が、図示される。したがって、
図23A-23Cの長方形膜の説明は、上記に言及され得る。一般に、長方形膜148は、全般的に薄い長方形形状をとってもよい。好ましい実施形態では、長方形膜148は、薄い平面形状を有し、弾性性質および良好な耐久性を有するエラストマから作製される。長方形膜148は、一方の端部から他方まで均一な厚さを有してもよい。またさらなる代替として、長方形膜148は、厚さが変動し、より複雑な幾何学形状を呈してもよい。例えば、長方形膜148は、膜が一方の端部から他方まで延在するにつれて低減された厚さを有してもよい。代替として、または加えて、長方形膜148は、膜の平面に垂直な方向における膜のばね力を強化するために、ばね等の金属要素を組み込んでもよい。さらに別の実施形態では、長方形膜148は、波状形状で事前形成されてもよい。
【0137】
図23Aに図示されるように、長方形膜148は、2つの支柱受容部分167および168を有してもよい。支柱受容部分167および168は、支柱155および156のものよりもわずかに大きい直径を有してもよい。また、
図23Aに示されるように、長方形膜148は、延在された部分169および170を有してもよい。延在された部分169および170は、流体が埋込可能ポンプ102の出口114からより自由に逃散することを可能にしてもよい。代替として、
図23Bでは、長方形膜148’は、いかなる延在された部分も伴わずに膜の全長に延在してもよい。さらに別の代替では、
図23Cに示されるように、長方形膜148’’は、支柱受容部分を含まない場合がある。これは、出口114に最も近傍の長方形膜148’’の遠位端がより自由に移動することを可能にしてもよい。
【0138】
ここで
図24Aおよび24Bを参照すると、埋込可能ポンプ102の断面図が、図示される。
図24Aでは、長方形膜148および膜保持器147は、上方の上側漏斗153および上側磁石ユニット151と下方の下側漏斗154および下側磁石ユニット152との間に懸下されるように見える。長方形膜148は、膜保持器147と支柱155および156との間に緊張状態で保持されるように示される。また、
図24Aに示されるように、第2のコイル158が、搭載構造146によって片持ち梁構成において固着される膜保持器147によって埋込可能ポンプ筐体112内に懸下される。
【0139】
図24Aから、流動チャネルが、入口113と出口114との間に存在することが明白である。具体的には、血液は、入口113を通して、搭載構造146にわたって、かつその周囲に流動し、次いで、出口114に向かって、上側磁石ユニット151と膜保持器147および膜148の上面との間、および下側磁石ユニット152と膜保持器147および膜148の底面との間を流動し得る。血液が出口に接近するにつれて、血液は、次いで、上側漏斗153の底面と膜148の上面との間、および下側漏斗154の上面と膜148の底面との間を流動し得る。血液が漏斗アセンブリ150を通して流動するにつれて、流動チャネルは、狭化し始める。
【0140】
ここで
図24Bを参照すると、
図24Aに示されるものからの直交面に沿った断面図が、提供される。ちょうど説明されたように、血液は、入口113から進入し、膜保持器147および長方形膜148に沿って進行し得る。
図24Bに示されるように、血液は、第1のコイル157と第2のコイル158との間の空間内で流動し得、それぞれ、第1のコイル157および第2のコイル158と固定要素145および144との間まで流動し得る。下記により詳細に説明されるであろうように、第1のコイル157および第2のコイル158および固定要素、膜保持器147、および長方形膜148は全て、ポンプ筐体112に対して移動してもよい。逆に、搭載構造146、磁石アセンブリ141、固定要素144および145、および漏斗アセンブリ150は、ポンプ筐体112に対して定常のままである。したがって、本発明の一側面によると、本明細書に説明される埋込可能ポンプは、一次流路内に直接全ての可動部分を設置し、それによって、流動停滞のリスクを低減させることによって、血栓形成を回避する。流動停滞はさらに、流路内の全ての間隙を0.5mm以上に構成し、また、有意により遅い
流量を被り得る二次流路を排除することによって回避される。
【0141】
ここで
図25Aおよび25Bを参照すると、埋込可能ポンプは、第1のコイル157および第2のコイル158をポンプ筐体112に対して上下に移動させることによって、血液を入口113から出口114に圧送するようにアクティブ化されてもよい。膜保持器147のみによって拘束されるため、第1のコイル157および第2のコイル158は、一方の側上の膜保持器147、長方形膜148、磁石アセンブリ141、および漏斗アセンブリ150と、他方の側上の固定要素144および145との間で上下に移動し得る。第1のコイル157および第2のコイル158を上に移動させるために、電流が、第1のコイル157および第2のコイル158が、第1のコイル157および第2のコイル158を上側磁石ユニット151に向かって移動させる磁場を生成するように、第1のコイル157および第2のコイル158に印加されてもよい。逆に、第1のコイル157および第2のコイル158を下に移動させるために、電流が、第1のコイル157および第2のコイル158が、第1のコイル157および第2のコイル158を下側磁石ユニット152に向かって移動させる電場を生成するように、第1のコイル157および第2のコイル158に印加されてもよい。
【0142】
上側磁石ユニット151および下側磁石ユニット152は、電流が第1のコイル157および第2のコイル158を通して一方の方向に印加されると、第1のコイル157および第2のコイル158が上側磁石ユニット151に誘引されるが、電流が第1のコイル157および第2のコイル158に逆方向に印加されると、第1のコイル157および第2のコイル158が下側磁石ユニット152に誘引されるように、反対の極性を有してもよい。
【0143】
図25Aでは、電流が、第1のコイル157および第2のコイル158が上側磁石ユニット151に誘引されるように、第1のコイル157および第2のコイル158内で流動している。第1のコイル157および第2のコイル158は、コントローラ3によって、電気信号をバッテリ4から第1のコイル157および第2のコイル158に印加し、したがって、第1のコイル157および第2のコイル158内に電流を誘発し、第1のコイル157および第2のコイル158を囲繞する磁場を生成することによってアクティブ化されてもよい。膜保持器147は、第1のコイル157および第2のコイル158が固着され、懸下される可撓性部分を含むため、第1のコイル157および第2のコイル158は、上側磁石ユニット151に向かって上に自由に移動する。同様に、電流の方向が第1のコイル157および第2のコイル158内で逆転される場合、第1のコイル157および第2のコイル158は、下側磁石ユニット152に誘引され、したがって、下側磁石ユニット152に向かって下に移動するであろう。
【0144】
膜保持器147は、膜保持器147の縦方向面に垂直な方向において弾性的に変形されると、ばね力を呈するため、第1のコイル157および第2のコイル158が上側磁石ユニット151に向かって上に移動するとき、膜保持器147は、中立位置に向かって第1のコイル157および第2のコイル158に下向きばね力を付与する。同様に、第1のコイル157および第2のコイル158が下側磁石ユニット152に向かって下向きに移動するとき、膜保持器147は、中立位置に向かって第1のコイル157および第2のコイル158に上向きばね力を付与する。第1のコイル157および第2のコイル158が偏向されていない中立位置からさらに移動するほど、より大きいばね力が、第1のコイル157および第2のコイル158に印加される。
【0145】
電磁アセンブリ142に印加される電気信号のタイミングおよび強度を操作することによって、電磁アセンブリ142が上下に移動する周波数は、改変されてもよい。例えば、電磁アセンブリ142内に誘発される電流をより頻繁に交互にすることによって、電磁アセンブリ142は、所与の周期により多い回数で上下に循環させられてもよい。印加される電圧を増加させることによって、電磁アセンブリ142は、より速い速度で偏向され、より長い距離を進行させられてもよい。
【0146】
第1のコイル157および第2のコイル158が、膜保持器147の端部に堅く結合され、長方形膜148もまた、膜保持器147の同一の端部に結合されるため、第1のコイル157および第2のコイル158の移動は、長方形膜148の端部に適用される。
図25Aおよび125Bは、長方形膜148に適用されている第1のコイル157および第2のコイル158による移動を図示する。
図25Aに示されるように、電流が、第1のコイル157および第2のコイル158が上側磁石ユニット151に誘引されるように、第1のコイル157および第2のコイル158において誘発されている。第1のコイル157および第2のコイル158の移動は、膜固着部分166を第1のコイル157および第2のコイル158とともに上向きに移動させている。
図25Aでは、膜保持器147における変形が、明確に見られることができる。また、見られ得るように、長方形膜148は、膜固着部分166とともに上向きに進行している。
【0147】
長方形膜148が、第1のコイル157および第2のコイル158と同一の膜保持器147の部分に取り付けられるため、第1のコイル157および第2のコイル158がある距離を上向きまたは下向きに進行すると、膜保持器147に取り付けられる長方形膜148の端部もまた、同一の距離を進行する。例えば、第1のコイル157および第2のコイル158が膜保持器147の中立位置の上方に4mm進行するとき、膜保持器147に取り付けられる長方形膜148の端部もまた、同一の方向に4mm進行する。同様に、第1のコイル157および第2のコイル158が上下に往復運動する周波数は、長方形膜148が同一の距離を進行する同一の周波数である。好ましくは、周波数は、0~150Hzであるが、他の周波数も、本明細書に説明されるシステムを使用して達成されてもよい。
【0148】
ここで
図25Bを参照すると、
図2および3に図示され、上記に説明されるように、血液が、左心房の中に延在する入口カニューレ7から埋込可能ポンプ102に進入し、入口113の中に流動し、送達チャネル171の中に直接流動する。血液が出口114に向かって移動するにつれて、これは、上側磁石ユニット151と下側磁石ユニット152との間の間隙172を通して、次いで、上側漏斗153と下側漏斗154との間の間隙173の中に指向される。血液を送達チャネル171から間隙172に指向することによって、血液は、長方形膜148に送達される。第1のコイル157および第2のコイル158に交流を誘発することによって、膜148は、間隙172および73の間で波状になり、膜保持器147に結合される長方形膜148の縁から出口114に向かって移動する長方形膜148における波様形成を誘発し得る。故に、血液が送達チャネル171から長方形膜148に送達されるとき、これは、長方形膜148の上部および底部の両方に沿って、最終的に、出口114から推進される。波状長方形膜において形成される波は、第1のコイル157および第2のコイル158が上下に移動する速度および第1のコイル157および第2のコイル158が上下に移動する距離を変更することによって操作されてもよい。膜から血液へのエネルギーの伝達は、膜の長さに沿って出口114に向かって指向され、長方形膜148の両側に沿って血液を推進させる。
【0149】
図25Bは、膜固着部分166が上向きに移動するとき、膜保持器147および長方形膜148の下方の間隙172の下側部分が拡大し、血液を間隙172の下側部分に充填させることを示す。膜固着部分166が下向きに移動するにつれて、間隙172の下側部分は、出口114に向かって狭化し始め、波様変形を膜を横断して平行移動させる。波が長方形膜148を横断して伝搬するにつれて、間隙172の下側部分内の血液は、間隙173に向かって、最終的に、埋込可能ポンプ102から推進される。血液が間隙173内で出口14に向かって移動するにつれて、間隙173は、狭化し、血液を出口に向かって促進する。同時に、膜固着部分166が下向きに移動するにつれて、長方形膜148および膜保持器147の上面の上方の間隙172の上側部分は、拡大し始め、送達チャネル171からの血液が本領域の中に流動することを可能にする。続けて、膜固着部分166が、再び上向きに押進されると、間隙172の上側部分は、狭化し始め、波様変形を膜を横断して伝搬させ、血液を出口114に向かって推進させる。好ましくは、波伝搬の速度は、1~1.5m/秒であるが、他の伝搬速度も、本明細書に説明されるシステムを使用して達成されてもよい。
【0150】
膜固着部分166が上下に移動する周波数および振幅を変更することによって波状膜において形成される波を操作することによって、間隙172および間隙173内の圧力勾配、および最終的に、埋込可能ポンプ102を通して移動する血液の流量が、調節されてもよい。膜固着部分166を適切に制御することは、富酸素血液が、左心房から右鎖骨下動脈に、および必要に応じて身体全体を通して、効果的かつ安全に圧送されることを可能にする。本明細書に説明されるポンプは、血液を左心房から右鎖骨下動脈に圧送するように説明されるが、本明細書に説明される埋込可能ポンプは、血液を異なる面積から異なる面積に、例えば、左心室から大動脈に圧送するために使用され得る。
【0151】
単に血液を左心房から鎖骨下動脈に圧送することに加えて、本発明の埋込可能ポンプ102は、ポンプ効率の損失を伴わずに生理学的拍動性を厳密に模倣するように動作されてもよい。拍動性は、所望の流動出力を生成するために、膜固着部分166が移動する周波数および振幅を変更することによって、または低流動出力の周期または流動出力のない周期を生成するために、ある時間周期にわたって電磁アセンブリ142の移動を中止することによって、ほぼ瞬間的に達成され得る。1分あたりの設定された回転数に到達し、所望の流体変位および拍動性を達成するために、ある時間周期を要求する典型的な回転ポンプと異なり、埋込可能ポンプ102は、所望の流動出力をほぼ瞬間的に達成し得、同様に、ポンプアセンブリの可動コンポーネントの小さい移動質量によって生成される非常に低い慣性に起因して、出力をほぼ瞬間的に中止し得る。要求に応じて開始および停止する能力は、圧力および流れにおける急速な変化を可能にする。周波数および振幅とともに、長方形膜148が設定された時間周期にわたって励起される時間のパーセンテージによって定義されるデューティサイクルも、ポンプ効率の損失を伴わずに所望の流動出力および拍動性を達成するために調節されてもよい。周波数および振幅を一定に保持しても、流量は、デューティサイクルを0~100%に操作することによって改変され得る。
【0152】
本発明の別の側面によると、コントローラ3は、選択された周波数、振幅、およびデューティサイクルにおいて動作し、広い範囲の生理学的流量および生理学的拍動性を達成するようにプログラマ5によってプログラムされてもよい。例えば、プログラマ5は、患者が、典型的には、眠っているときの時間周期の間、所与の周波数、振幅、および/またはデューティサイクルにおいて埋込可能ポンプ102を動作させるようにコントローラ3に指図してもよく、患者が、典型的には、起きているときの時間周期の間、異なる周波数、振幅、および/またはデューティサイクルにおいて埋込可能ポンプ102を動作させるようにコントローラ3に指図してもよい。コントローラ3または埋込可能ポンプ102はまた、患者が仰臥位である、または歩行しているかどうかを決定するために、加速度計または位置インジケータを含んでもよく、その出力は、ポンプ動作パラメータの1つのセットを別のものに移動させるために使用されてもよい。患者がある不快感を被る、または医師がパラメータが最適化されていないと決定するとき、医師は、所望の機能性を達成するために、少なくとも周波数、振幅、およびデューティサイクルのうちの1つ以上のものを改変してもよい。代替として、コントローラ3またはモバイルデバイス6は、患者の必要性に合うように周波数、振幅、およびデューティサイクルのうちの1つ以上のものを改変するように構成されてもよい。
【0153】
埋込可能ポンプ102はさらに、患者の要求に従って、流動出力および拍動性を調節するための1つ以上の付加的センサを備えてもよい。センサは、埋込可能ポンプ102に組み込まれてもよい、または代替として、または加えて、患者内またはその上の別の場所に埋込されてもよい。センサは、好ましくは、コントローラ3と電気連通し、埋込可能ポンプ102の性能を測定する動作パラメータまたは心拍数または血圧等の患者の生理学的パラメータを測定する生理学的センサを監視してもよい。1つ以上の生理学的センサを使用することによって、拍動流は、例えば、血圧または筋収縮を監視し、感知された出力に従ってデューティサイクルを同期させることによって、患者の心周期と同期されてもよい。
【0154】
コントローラ3は、生理学的センサ測定値を現在の埋込可能ポンプ出力と比較してもよい。センサ測定値を分析することによって、要求が現在の出力を超えると決定される場合、周波数、振幅、および/またはデューティサイクルは、現在の要求を満たすように自動的に調節されてもよい。同様に、コントローラは、現在の出力が要求を超えると決定し、したがって、周波数、振幅、および/またはデューティサイクルを変更することによって出力を改変してもよい。代替として、または加えて、要求が現在の出力を超えると決定されるとき、アラームが、コントローラ3から鳴らされてもよい。同様に、動作センサからの動作測定値が、所定の閾値に対して比較されてもよく、測定値が所定の閾値を超える、または誤動作が検出される場合、アラームが、コントローラ3から鳴らされてもよい。
【0155】
埋込可能ポンプ102は、最大効率が達成される動作点において生理学的流量、圧力勾配、および拍動性を生産するように定寸および成形される。好ましくは、埋込可能ポンプ102は、溶血と関連付けられる閾値よりも低い圧力勾配において1分あたり1~3リットルに及ぶ流量を達成するように定寸および成形される。しかしながら、本明細書に説明される埋込可能ポンプ102は、溶血と関連付けられる閾値よりも低い圧力勾配において種々の他の流量を達成するように定寸および構成されてもよい。また、1分あたり60拍の典型的な生理学的パルスを模倣するために、埋込可能ポンプ102は、1秒あたり約1回拍動してもよい。そのような拍動性を達成するために、50%のデューティサイクルが、0.5秒の「オン」周期および0.5秒の「オフ」周期と併用されてもよい。所与のシステムに関して、具体的動作周波数、振幅、および電圧における最大効率が、血流チャネルおよび間隙の形状およびサイズ、膜保持器の弾性性質、可動部分の質量、膜幾何学形状、および膜の弾性性質および摩擦性質のうちの1つ以上のものを操作することによって、50%のデューティサイクルにおいて1分あたり1~3リットルの流量を生産しながら達成されてもよい。このように、埋込可能ポンプ102は、最適な動作パラメータにおいて機能し続けながら生理学的循環を部分的に支援するために、望ましい出力を生産するように設計されてもよい。
【0156】
デューティサイクルを調節することによって、埋込可能ポンプ102は、生理学的圧力勾配において広い範囲の出力流を生成するように構成されてもよい。例えば、ポンプシステム1は、50%のデューティサイクルにおいて1分あたり1~3リットルを生産するように構成されてもよく、最適な動作周波数は、120Hzであり得る。本システムに関して、流動出力は、例えば、デューティサイクルのみを変更することによって、1分あたり3リットルまで増加される、または1分あたり1リットルまで減少されてもよい。デューティサイクルおよび周波数は、相互に独立して動作するため、デューティサイクルは、120Hzの周波数に影響を及ぼさないまま、0~100%に操作されてもよい。
【0157】
本明細書に説明される埋込可能ポンプシステムは、健康な心臓によって付与されるものと同様に、血液に低から中程度の剪断力を印加することによって、溶血および血小板活性化を回避しながら、部分的支援流量および生理学的圧力勾配および拍動性を達成するように調整されてもよい。可動コンポーネントは、相互に堅く添着され、機械的軸受またはギヤ等の摩擦を誘発するであろういかなる部分も組み込まない。送達チャネル171および間隙172および173は、少なくとも0.5mmのクリアランスが全ての可動コンポーネントの間に維持されるようにチャネルおよび間隙を定寸することによって、摩擦を同様に回避するように定寸および構成される。同様に、第1の電磁石157および第2の電磁石158および膜保持器147は、摩擦を回避するために、非可動コンポーネントから少なくとも0.5mmだけ分離されるように定寸および構成される。
【0158】
ポンプシステム1の他の実施形態は、より少ないまたは付加的コンポーネントを含んでもよい。例えば、
図26は、ポンプアセンブリ116’が磁石アセンブリ141’の間に位置付けられる1つの電磁石のみを有する電磁アセンブリ142’を含む、代替実施形態を図示する。磁石アセンブリ141’は、中間に間隙を伴う上側磁石ユニットと、中間に間隙を伴う下側磁石ユニットとを有する。ポンプアセンブリ116’はまた、近位端において搭載構造146に結合され、中間区分において電磁アセンブリ142’に結合され、遠位端において長方形膜148に結合される、修正された膜保持器147’を含む。電磁アセンブリ142’は、電気的にアクティブ化され、磁石アセンブリ141’の下側磁石ユニットおよび上側磁石ユニットに誘引されるため、電磁アセンブリ142’は、磁石アセンブリ141’内の間隙を通して上下に移動する。上記に説明される実施形態のように、修正された膜保持器147’が電磁アセンブリ142’とともに上下に移動するにつれて、修正された膜保持器147’に結合される長方形膜148の端部もまた、上下に進行し、それによって、長方形膜148を変形させ、波様変形を出口114に向かって伝搬させる。本実施形態では、長方形膜148の変位は、電磁アセンブリ142’の変位に比例するが、変位は、修正された膜保持器147’の設計に応じて、同一ではない場合がある。
【0159】
他の実施形態は、
図18A-26に説明されるものと異なる磁石および電磁部分を有する電磁アクチュエータを採用してもよい。例えば、
図27では、膜において波を伝搬させるための代替システムが、説明される。
図27に示されるように、本代替システムは、膜175、第1の磁石179、第1のコイル178、および第1の強磁性ケーシング181、および第2の磁石180、第2のコイル177、および第2の強磁性ケーシング182を含んでもよい。第1の磁石179および第2の磁石180は、膜175にもまた結合されるロッド176によって接続される。第1のコイル178および第2のコイル177は、コントローラ3および/またはバッテリ4に接続されてもよい。コントローラは、第1のコイル178および第2のコイル177内に電流を誘発し、交互にしてもよく、これは、第1の磁石179および第2の磁石180を連携して上下に移動させる。第1の磁石179および第2の磁石180が上下に移動するにつれて、ロッド176は、上下に移動され、ロッド176に接続される膜175の部分を上下に移動させ得る。このように、膜175は、波状にされてもよい。膜175は、これが1つの端部から他方に移動するにつれて、厚さが変動してもよい。
図27に示される代替電磁アクチュエータは、ポンプ筐体112内に嵌合し、本明細書に説明される様式で血液ポンプとして機能するように設計および構成されてもよい。
【0160】
ここで
図28を参照すると、別の電磁アクチュエータ実施形態が、図示される。
図28に示されるシステムは、膜183と、棒磁石184と、第1のコイル185と、第2のコイル186と、支柱202と、強磁性筐体187とを含む。本実施形態では、第1のコイル185および第2のコイル186は、コントローラ3および/またはバッテリ4と連通してもよい。第1のコイル185および第2のコイル186は、棒磁石184を誘引する電気信号を受信するように設計されてもよい。第1のコイル185および第2のコイル186はまた、棒磁石184を反発するように設計されてもよい。例えば、第1のコイル185は、第1のコイル185を棒磁石184に誘引させる電気信号を受信し得ると同時に、第2のコイル186は、第2のコイル186に棒磁石184を反発させる電気信号を受信し得る。第1のコイル185および第2のコイル186に印加される電流を交互にすることによって、棒磁石184は、支柱202に沿って、第1のコイル185および第2のコイル186に向かって、およびそれから離れるように上下に移動させられる。棒磁石184は、膜183の一方の端部の外周に沿って膜183に結合されてもよい。棒磁石184が支柱202を上下に移動するにつれて、棒磁石184に結合される膜183の端部は、上下に移動し、膜183に沿って伝搬する波様変形を引き起こし得る。
図28に示される代替電磁アクチュエータは、ポンプ筐体112内に嵌合し、本明細書に説明される様式で血液ポンプとして機能するように設計および構成されてもよい。
【0161】
ここで
図29を参照すると、別の電磁アクチュエータ実施形態が、図示される。
図29に示されるシステムは、膜195と、ロッド196と、ガイド197と、カム198と、コイル199のアセンブリと、回転磁石200と、非同期モータを形成する199および200の組み合わせと、コネクタ201とを含む。コイル199は、コントローラ3および/またはバッテリ4と電気連通してもよく、コイル199と同一の軸上の回転磁石200内で移動するように通電されてもよい。回転磁石200は、他方の端部においてカム198に接続されるコネクタ201に接続されてもよい。膜195は、一方の端部においてロッド196に接続される。ロッド196は、ロッド196がその縦方向軸に沿ってのみ自由に移動するように、一方の端部においてカム198に接続され、ガイド197によって誘導される。回転磁石200がコイルアセンブリ199によって生成される磁場によって回転させられるにつれて、回転磁石200の移動は、コネクタ201を介してカム198によってロッド196に伝送され、これは、その縦方向軸を上下に移動する。ロッド196がその縦方向軸を上下に移動するにつれて、ロッド196に接続される膜195の端部は、上下に移動し、波様変形を膜195に沿って伝搬させる。
図29に示される代替電磁アクチュエータは、ポンプ筐体112内に嵌合し、本明細書に説明される様式で血液ポンプとして機能するように設計および構成されてもよい。
【0162】
ここで
図30A-30Hを参照すると、上記に説明される埋込可能ポンプ2または102に通電するための種々の構成が、提供される。
図30Aに示されるように、コントローラ3は、上記に説明されるようにケーブル9に電気的に結合される出力ポート18を含み、これは、順に、埋込可能ポンプ2または102に結合される。コントローラ3はまた、バッテリ、バッテリに電気的に結合される延長ポート、またはAC/DC電力供給源に電気的に結合され得る、電力コネクタ203を含む。例えば、電力コネクタ203は、オス型であってもよい一方、対応するバッテリまたは延長ポートのコネクタは、メス型である。
【0163】
一実施形態では、
図30Bに示されるように、コントローラ3は、2つの電力コネクタ、例えば、第1の電力コネクタ203と、第2の電力コネクタ204とを含む。上記に説明されるように、第1の電力コネクタ203は、第1のバッテリ、第1のバッテリに電気的に結合される第1の延長ポート、または第1のAC/DC電力供給源に電気的に結合されてもよく、第2の電力コネクタ203は、第2のバッテリ、第2のバッテリに電気的に結合される第2の延長ポート、または第2のAC/DC電力供給源に電気的に結合されてもよい。本実施形態では、第1の電力コネクタ203および第2の電力コネクタ204の両方は、オス型であってもよい。加えて、コントローラ3は、エネルギーが第1または第2のバッテリ/電力供給源のうちの少なくとも1つからコントローラ3に選択的に伝送されるように、電源の間を切り替えるための回路を含む。例えば、回路は、断続的に、またはバッテリのうちの1つの残りの電力レベルが所定の閾値に到達した後に、第1および第2のバッテリの間を切り替えてもよい。
【0164】
ここで
図30C-Eを参照すると、構成が、図示され、コントローラ3は、コントローラ3およびバッテリ4が、患者によってともに、例えば、ハンドバッグ、ショルダーバッグ、またはホルスタを介して装着され得るように、バッテリ4に直接電気的に結合される。
図30Cに示されるように、
図30Aのコントローラ3は、電力コネクタ203を介してバッテリ4に電気的に結合されてもよく、電力コネクタ203は、オス型であり、バッテリ4は、対応するメス型コネクタを有する。例えば、
図30Dは、バッテリ4がより小型のサイズ、したがって、より低い容量を有する、バッテリ4に電気的に結合されるコントローラ3を図示し、
図30Eは、バッテリ4がより大型のサイズ、したがって、より高い容量を有する、バッテリ4に電気的に結合されるコントローラ3を図示する。当業者によって理解されるであろうように、バッテリ4は、患者の必要性に応じて、種々のサイズを有してもよい。
【0165】
ここで
図30F-Hを参照すると、構成が、図示され、コントローラ3は、コントローラ3およびバッテリ4の重量および体積が分散され、患者によって別個に、例えば、ベルトまたはベストを介して装着され得るように、バッテリ4に遠隔で電気的に結合される。
図30Fに示されるように、コントローラ3をバッテリ4に電気的に結合するケーブル214は、ケーブル214と第1の電力コネクタポート205との間の有線接合部である、歪み軽減体206を介して第1の電力コネクタポート205に電気的に結合される。電力コネクタポート205は、バッテリに電気的に結合され得る電力コネクタ207を含む。例えば、電力コネクタ207は、オス型であってもよい一方、対応するバッテリのコネクタは、メス型である。
【0166】
図30Gに示されるように、コントローラ3は、ケーブル214を介してバッテリ4に遠隔で電気的に結合されてもよい。ケーブル214は、1つの端部において、第2の電力コネクタポート208およびケーブル214と第2の電力コネクタポート208との間の有線接合部である歪み軽減体215を介してコントローラ3に電気的に結合され、別の端部において、第1のコネクタポート205および歪み軽減体206を介してバッテリ4に電気的に結合される。例えば、コントローラ3の電力コネクタ203は、オス型であってもよい一方、対応する第2の電力コネクタポート208のコネクタは、メス型であり、第1の電力コネクタポート205の電力コネクタ207は、オス型であってもよい一方、対応するバッテリ4のコネクタは、メス型である。
【0167】
一実施形態では、
図30Hに示されるように、コントローラ3は、単一の第2の電力コネクタポート208を介して、複数のバッテリ、例えば、バッテリ4Aおよびバッテリ4Bに遠隔で電気的に結合されてもよい。
図30Hに示されるように、第2の電力コネクタポート208は、コントローラ3がケーブル214Aを介してバッテリ4Aに遠隔で電気的に結合され、ケーブル214Bを介してバッテリ4Bに遠隔で電気的に結合されるように、第1の歪み軽減体215Aと、第2の歪み軽減体215Bとを含む。具体的には、ケーブル214Aは、1つの端部において、第2の電力コネクタポート208および第1の歪み軽減体215Aを介してコントローラ3に電気的に結合され、別の端部において、第1のコネクタポート205Aおよび歪み軽減体206Aを介してバッテリ4Aに電気的に結合され、ケーブル214Bは、一方の端部において、第2の電力コネクタポート208および第2の歪み軽減体215Bを介してコントローラ3に電気的に結合され、別の端部において、第1のコネクタポート205Bおよび歪み軽減体206Bを介してバッテリ4Bに電気的に結合される。本実施形態では、コントローラ3は、エネルギーがバッテリ4Aおよびバッテリ4Bのうちの少なくとも1つからコントローラ3に選択的に伝送されるように、バッテリ4Aとバッテリ4Bとの間を切り替えるための回路を含んでもよい。例えば、回路は、断続的に、またはバッテリのうちの1つの残りの電力レベルが所定の閾値に到達した後に、バッテリ4Aとバッテリ4Bとの間を切り替えてもよい。代替として、コントローラ3は、バッテリ4Aおよびバッテリ4Bからエネルギーを同時に受電してもよい。
【0168】
別の実施形態では、
図30Iに示されるように、コントローラ3は、AC/DC電力供給源209に電気的に結合され、これは、例えば、患者がベッドサイドで休んでいるとき、ACプラグ213を介して電源コンセントにプラグ接続されてもよい。具体的には、AC/DC電力供給源209は、ケーブル214が、一方の端部において、第2の電力コネクタポート208および歪み軽減体215を介してコントローラ3に電気的に結合され、別の端部において、第1の電力供給ポート210を介してAC/DC電力供給源209に電気的に結合されるように、ケーブル214を介してコントローラ3に電気的に結合される。加えて、AC/DC電力供給源209は、ケーブル212および第2の電力供給ポート211を介してプラグ213に電気的に結合される。
【0169】
コントローラ3は、内部バッテリが、バッテリ4が交換および/または再充電されるために要求される時間の間にコントローラ3および埋込可能ポンプ2または102に給電するように、内部バッテリを含んでもよい。故に、コントローラ3は、エネルギーが、バッテリ4がコントローラ3から接続解除されている間に内部バッテリから、およびバッテリ4がコントローラ3に電気的に結合されるときにバッテリ4からコントローラ3に伝送されるように、電源の間を切り替えるための回路を含んでもよい。加えて、回路は、内部バッテリが所望の量まで再充電されるまで、バッテリ4が、埋込可能ポンプ2または102にもまた通電しながら内部バッテリを充電することを可能にしてもよく、その点において、回路は、バッテリ4が、埋込可能ポンプ2または102のみに通電することを可能にする。同様に、コントローラ4がAC/DC電力供給源209に電気的に結合されるとき、回路は、内部バッテリが所望の量まで再充電されるまで、AC/DC電力供給源209が、埋込可能ポンプ2または102にもまた通電しながら内部バッテリを充電することを可能にしてもよく、その点において、回路は、AC/DC電力供給源209が、埋込可能ポンプ2または102のみに通電することを可能にする。
【0170】
本発明の種々の例証的実施形態が上記に説明されるが、種々の変更および修正が、本発明から逸脱することなくそれに行われ得ることが、当業者に明白となるであろう。例えば、ポンプシステム1は、異なるように順序付けられてもよく、種々のサイズおよび組成の付加的またはより少ないコンポーネントを含んでもよい。添付される請求項は、本発明の真の精神および範囲内に該当する、全てのそのような変更および修正を網羅することを意図している。