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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】ウインドスクリーンとマイクロホン装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/08 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
H04R1/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020516002
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 JP2018038961
(87)【国際公開番号】W WO2019207820
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2018081978
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-207800(JP,A)
【文献】特開平09-093680(JP,A)
【文献】特開2012-175379(JP,A)
【文献】特開2016-201583(JP,A)
【文献】米国特許第5444790(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を収音する収音部と、
前記収音部の動作状態を報知する発光部と、
を備えるマイクロホンに取り付けられるウインドスクリーンであって、
前記収音部を覆うウインドスクリーン本体と、
前記ウインドスクリーン本体を前記マイクロホンに固定する固定部材と、
を有してなり、
前記ウインドスクリーン本体は、
前記収音部が配置される挿入穴、
を備え、
前記固定部材は、
前記挿入穴の外部に配置される導光部、
を備え、
前記導光部は、前記発光部からの光を導光する、
ことを特徴とするウインドスクリーン。
【請求項2】
前記導光部は、前記発光部を覆う、
請求項1記載のウインドスクリーン。
【請求項3】
前記ウインドスクリーン本体の長手方向における前記導光部の長さは、前記マイクロホンの長手方向における前記発光部の長さよりも長い、
請求項2記載のウインドスクリーン。
【請求項4】
前記導光部は、リング状である、
請求項2記載のウインドスクリーン。
【請求項5】
前記導光部は、
前記ウインドスクリーン本体の長手方向において、前記ウインドスクリーン本体の外周面と連続する外周面、
を備える、
請求項1記載のウインドスクリーン。
【請求項6】
前記ウインドスクリーン本体の前記外周面は、
前記ウインドスクリーン本体の長手方向において、前記挿入穴の底部側から前記挿入穴の開口部側に向けて傾斜する、
請求項5記載のウインドスクリーン。
【請求項7】
前記発光部からの前記光は、前記導光部の前記外周面と、前記導光部の下面と、から前記導光部の外部に放射される、
請求項5記載のウインドスクリーン。
【請求項8】
前記固定部材は、
前記挿入穴の内部に配置される位置決部、
を備え、
前記位置決部は、前記導光部を前記発光部に位置決めする、
請求項1記載のウインドスクリーン。
【請求項9】
前記位置決部は、
前記マイクロホンの外周面に配置される合溝に合する合部、
を備える、
請求項8記載のウインドスクリーン。
【請求項10】
前記固定部材は、前記マイクロホンに対して着脱可能である、
請求項1記載のウインドスクリーン。
【請求項11】
音声を収音する収音部と、
前記収音部の動作状態を報知する発光部と、
前記収音部と前記発光部とを覆うウインドスクリーンと、
を有してなり、
前記ウインドスクリーンは、請求項1乃至10のいずれかに記載のウインドスクリーンである、
ことを特徴とするマイクロホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドスクリーンとマイクロホン装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロホンの中には、例えば、会議用のマイクロホンのように、マイクロホンの動作状態(マイクロホンのON/OFFなどの状態)を会議の参加者や、発話者自身に報知する発光部(LED(Light Emitting Diode))を備えるマイクロホンがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたマイクロホンは、マイクロホンの動作状態を報知する発光部(LED)と、発光部からの光を外部に向けて拡散させるカバーと、を備える。発光部は、マイクロホンの先端側(発話者(音源)側)の部分など、会議の参加者から視認可能な位置に配置される。特許文献1に開示されたマイクロホンは、カバーを介してLEDからの光を外部に向けて拡散させることにより、マイクロホンの動作状態を会議の参加者や発話者自身に報知する。
【0004】
会議用のマイクロホンは、発話者の口元近くで使用されやすい。そのため、「P」や「T」などの音が発話者に発音されると、その音圧により振動板が強く振動して、いわゆるポップノイズが生成される。
【0005】
このようなポップノイズを低減するために、会議用のマイクロホンは、金属の網や、連続発泡体などで構成されるウインドスクリーンが収音部を覆うように取り付けられて、使用される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-201583号公報
【文献】特開2005-347984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のとおり、発光部を備えるマイクロホンにおいて、発光部は、マイクロホンの収音部の近く(マイクロホンの先端側)に配置される。そのため、発光部を備えるマイクロホンにウインドスクリーンを取り付けると、発光部がウインドスクリーンに覆い隠され、会議の参加者や発話者自身は発光部からの光を視認することができない。一方、発光部を覆い隠さない程度の大きさ(長さ)のウインドスクリーンを使用する場合、会議の参加者は、発光部からの光を視認することができる。しかし、マイクロホンを発話者に向けたとき、発話者は、ウインドスクリーンにより、発光部からの光を視認することができない。また、発話者による発光部からの光の視認性を向上させるために発光部を大きくすると、マイクロホンの小型化が妨げられると共に、マイクロホンのデザイン性が損なわれる。
【0008】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、発光部からの光の視認性が良好なウインドスクリーンと、マイクロホン装置と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるウインドスクリーンは、音声を収音する収音部と、収音部の動作状態を報知する発光部と、を備えるマイクロホンのウインドスクリーンであって、収音部を覆うウインドスクリーン本体と、ウインドスクリーン本体をマイクロホンに固定する固定部材と、を有してなり、ウインドスクリーン本体は、収音部が配置される挿入穴、を備え、固定部材は、挿入穴の外部に配置される導光部、を備え、導光部は、発光部からの光を導光する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発光部からの光の視認性が良好なウインドスクリーンと、マイクロホン装置と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかるマイクロホン装置の実施の形態を示す外観図である。
図2図1のマイクロホン装置のAA線における部分拡大断面図である。
図3】本発明にかかるウインドスクリーンの実施の形態を示す、図1のAA線における断面図である。
図4図3のウインドスクリーンが備える固定部材の斜視図である。
図5図1のマイクロホン装置の分解斜視図である。
図6図1のマイクロホン装置が備えるマイクロホンに、図3のウインドスクリーンが装着されたときのマイクロホンとウインドスクリーンとの位置関係を示す模式図である。
図7図6のマイクロホン装置のBB線における部分拡大断面図である。
図8図1のマイクロホン装置の使用状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるマイクロホン装置とウインドスクリーンと
の実施の形態について説明する。
【0013】
●マイクロホン装置●
●マイクロホン装置の構成
図1は、本発明にかかるマイクロホン装置の実施の形態を示す外観図である。
マイクロホン装置1は、音源(不図示)からの音波を収音して、音波に応じた電気信号を出力する。マイクロホン装置1は、マイクロホン10と、ウインドスクリーン20と、を有してなる。
【0014】
以下の説明において、図1の紙面上側の方向を上方といい、図1の紙面下側の方向を下方という。
【0015】
●マイクロホンの構成
マイクロホン10は、音源からの音波を収音して、音波に応じた電気信号を出力する。マイクロホン10は、例えば、会議室などでマイクロホンスタンド(不図示)に着脱可能に取り付けられるグースネック型のマイクロホンである。マイクロホン10は、ユニット部11と、調節部12と、接続部13と、を備える。
【0016】
図2は、図1のマイクロホン装置1のAA線における部分拡大断面図である。
同図は、マイクロホン10を非断面で示し、ウインドスクリーン20を断面で示す。
【0017】
ユニット部11は、音源に向けられて音源からの音波を収音する。ユニット部11は、第1ケース111と、第2ケース112と、第3ケース113と、マイクロホンユニット114と、回路基板115(図7参照)と、発光表示部116と、を備える。第1ケース111とマイクロホンユニット114とは、本発明における音声を収音する収音部を構成する。
【0018】
第1ケース111は、マイクロホンユニット114を収容する。第1ケース111は、金属製で有底円筒状である。第1ケース111は、第1音波導入口111h1と第2音波導入口111h2とを備える。第1音波導入口111h1と第2音波導入口111h2それぞれは、音源からの音波をマイクロホンユニット114に導入する。第1音波導入口111h1と第2音波導入口111h2それぞれは、複数のスリット状の孔により構成される。第1音波導入口111h1は、第1ケース111の上端面(底面)に配置される。第2音波導入口111h2は、第1ケース111の外周面の3か所に、第1ケース111の周方向において等角度(本実施の形態では120°)間隔で配置される。
【0019】
第2ケース112は、回路基板115と発光表示部116とを収容する。第2ケース112は、金属製で円筒状である。第2ケース112は、合溝112aを備える。合溝112aは、後述するウインドスクリーン20の合部233a-233c(図4参照)が合される溝である。合溝112aは、第2ケース112の外周面(マイクロホン10の外周面)に、同外周面の周方向に沿って全周にリング状に配置される。
【0020】
第3ケース113は、調節部12(後述する第1フレキシブルパイプ121)の上端を収容する。第3ケース113は、金属製で、下端に向かって先細りの円錐台筒状である。
【0021】
マイクロホンユニット114は、第1音波導入口111h1と第2音波導入口111h2それぞれから第1ケース111内に導入された音波を収音して、同音波を電気信号に変換する。マイクロホンユニット114は、例えば、コンデンサ型の電気音響変換器である。マイクロホンユニット114は、第1ケース111に収容される。
【0022】
なお、マイクロホンユニットは、コンデンサ型の電気音響変換器に限定されない。すなわち、例えば、マイクロホンユニットは、ダイナミック型の電気音響変換器でもよい。
【0023】
回路基板115(図7参照)は、マイクロホンユニット114からの音声信号を出力コネクタ(不図示)に出力する平衡伝送回路(不図示)などの回路や、収音部の動作状態を報知するLED(Light Emitting Diode)115a,115b(図7参照)などを実装する。回路基板115は、第2ケース112に収容される。
【0024】
「収音部の動作状態」は、マイクロホン10の電源がONの状態(マイクロホンユニット114が音波を収音可能な状態)と、マイクロホン10の電源がOFFの状態(マイクロホンユニット114が音波を収音不可能な状態)と、を含む。
【0025】
発光表示部116は、LED115a,115bからの光をユニット部11の外部に表示(報知)する。発光表示部116は、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Polymethyl methacrylate)などの透光性を有する樹脂製である。発光表示部116は、リング状である。発光表示部116は、LED115a,115bが発光するとLED115a,115bからの光を外部に略均一に放射し、LED115a,115bが発光を停止するとLED115a,115bからの光の放射を停止する。発光表示部116は、第2ケース112に収容される。
【0026】
第1ケース111は、第2ケース112に接続される。第2ケース112は、第3ケース113に接続される。このとき、発光表示部116の外周面の一部は、第2ケース112と第3ケース113とに挟持されて、ユニット部11の外部にリング状に露出される。すなわち、ユニット部11の外部に露出される発光表示部116の一部は、収音部の動作状態を報知する、本発明における発光部として機能する。このとき、ユニット部11の外部に露出される発光表示部116の一部(以下「発光部116」ということもある。)の外径は、第2ケース部112の外径と、第3ケース部113の上端部の外径と、同じである。
【0027】
図1に戻る。
調節部12は、ユニット部11と接続部13とを連結すると共に、接続部13に対するユニット部11の位置を調節する。調節部12は、第1フレキシブルパイプ121と、ジョイント122と、第2フレキシブルパイプ123と、を備える。
【0028】
第1フレキシブルパイプ121と第2フレキシブルパイプ123とは、屈曲してユニット部11の位置を調節する。ジョイント122は、第1フレキシブルパイプ121と第2フレキシブルパイプ123とを連結する。
【0029】
接続部13は、マイクロホン10をマイクロホンスタンド(不図示)に接続する。接続部13は、コネクタケース131と出力コネクタ(不図示)とを備える。
【0030】
コネクタケース131は、出力コネクタと、調節部12(第2フレキシブルパイプ123)の下端と、を収容する。コネクタケース131は、金属製で、略円筒状である。
【0031】
出力コネクタは、回路基板115からの音声信号を出力する。出力コネクタは、例えば、JEITA RC-5236「音響機器用ラッチロック式丸形コネクタ」に規定されるピンプラグである。
【0032】
●ウインドスクリーンの構成
図3は、本発明にかかるウインドスクリーンの実施の形態を示す、図1のAA線における断面図である。
【0033】
ウインドスクリーン20は、マイクロホン装置1の外部からの風や、マイクロホン装置1の使用者(発話者)の呼気などから収音部(マイクロホンユニット114)を保護することにより、収音部によるポップノイズの生成を低減させる。ウインドスクリーン20は、ウインドスクリーン本体21と固定部材22とを備える。
【0034】
ウインドスクリーン本体21は、収音部を覆い、前述の風や呼気などから収音部を保護する。ウインドスクリーン本体21は、例えば、ポリウレタンなどの連続気泡性を有する樹脂製である。ウインドスクリーン本体21は、略円柱状である。ウインドスクリーン本体21の形状の詳細については、後述する。ウインドスクリーン本体21は、切欠溝21aと挿入穴21hとを備える。
【0035】
切欠溝21aは、ポップノイズを低減するための空気層を形成する。切欠溝21aは、ウインドスクリーン本体21の上部の外周面に、同外周面の周方向に沿って全周にリング状に配置される。
【0036】
挿入穴21hは、マイクロホン10の上端部(ユニット部11の一部)が挿入される円柱状の穴である。挿入穴21hは、ウインドスクリーン本体21の下端面に配置されて、同下端面に開口する。挿入穴21hの底部(挿入穴21hの上端面)は、上下方向(ウインドスクリーン本体21の長手方向:図3の紙面上下方向)において、ウインドスクリーン本体21の略中央部に配置される。挿入穴21hの開口部は、上下方向において、ウインドスクリーン本体21の下端面に配置される。
【0037】
ウインドスクリーン本体21の外径は、ウインドスクリーン本体21の長手方向(図3の紙面上下方向)において、中央部から下端部に向かうに連れて小さくなる(縮径される)ように構成される。すなわち、ウインドスクリーン本体21の外周面は、上下方向において、中央部(挿入穴21hの底部側)から下端部(挿入穴21hの開口部側)に向けて、ウインドスクリーン本体21の径方向中心側に傾斜する。
【0038】
なお、ウインドスクリーン本体の形状は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、ウインドスクリーン本体の外周面は、上下方向において、上端部側から下端部側に向けて傾斜してもよく、あるいは、傾斜しなくてもよい(すなわち、円柱状でもよい)。
【0039】
図4は、固定部材22の斜視図である。
【0040】
固定部材22は、ウインドスクリーン本体21をマイクロホン10(第2ケース112)に固定する。固定部材22は、例えば、PMMAなどの透光性を有する樹脂製である。固定部材22は、導光部221と、支持部222と、3つの合部223a,223b,223cと、3つの連結部224a,224b,224cと、スペーサ225と、を備える。支持部222と合部223a-223cと連結部224a-224cとスペーサ225とは、本発明における位置決部を構成する。すなわち、固定部材22は位置決部を備え、位置決部は支持部222と合部223a-223cと連結部224a-224cとスペーサ225とを備える。
【0041】
なお、合部と連結部それぞれの数は、「3」に限定されない。すなわち、例えば、合部と連結部それぞれの数は、「4」以上や「1」でもよく、同数でなくてもよい。
【0042】
導光部221は、発光部116(図2参照)からの光を導光する。導光部221は、リング状である。
【0043】
導光部221の上端部の外径は、図3に示されるように、ウインドスクリーン本体21の下端部の外径と同じである。導光部221の外径は、導光部221の上端部から下端部に向かうに連れて、連続的に小さくなる(縮径される)ように構成される。すなわち、導光部221の外周面は、上下方向において、上端部から下端部に向けて、導光部221の径方向中心側に傾斜する。上下方向に対する導光部221の外周面の傾斜角は、上下方向に対するウインドスクリーン本体21の下端部の外周面の傾斜角と同じである。導光部221の内径は、第1ケース111と第2ケース112と第3ケース113の上端部それぞれの外径と略同じである(導光部221の内径が僅かに大きい)。
【0044】
導光部221の外周面は、上下方向(ウインドスクリーン本体21の長手方向)において、ウインドスクリーン本体21の外周面と連続する。換言すれば、導光部221は、上下方向においてウインドスクリーン本体21の外周面と連続する外周面を備える。
【0045】
なお、導光部の外径は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、導光部の外径は、ウインドスクリーン本体の外径より大きくてもよく、あるいは、ウインドスクリーン本体の外径より小さくてもよい。
【0046】
また、導光部の外周面は、上下方向において、ウインドスクリーン本体の外周面と連続しなくてもよい。すなわち、例えば、導光部の外周面は、上下方向において、傾斜しなくてもよく、あるいは、上下方向に対するウインドスクリーン本体の外周面の傾斜角と異なる傾斜角で傾斜してもよい。
【0047】
上下方向における導光部221の長さLは、上下方向における発光部116の長さL以上である(図2参照)。
【0048】
導光部221の上面の内縁部は、上方に延出して円筒状の支持部222を構成する。支持部222は、合部223a-223cと連結部224a-224cとを支持する。支持部222の内径は、導光部221の内径と同じである。支持部222の外径は、導光部221の外径よりも小さく、挿入穴21h内径以上である。
【0049】
支持部222の上面の一部は、上方に延出して柱状の合部223a-223cを構成する。合部223a-223cは、第2ケース112の合溝112aに合する。合部223a-223cは、支持部222の周方向において等角度(本実施の形態では120°)間隔で配置される。合部223a-223cの上端部は、支持部222の径方向中心側に突出する。
【0050】
支持部222の上面の他の一部は、上方に延出して柱状の連結部224a-224cを構成する。連結部224a-224cは、支持部222を介して、導光部221とスペーサ225とを連結する。上下方向における連結部224a-224cの長さは、上下方向における合部223a-223cの長さよりも長い。連結部224a-224cは、支持部222の周方向において等角度(本実施の形態では120°)間隔で、合部223a-223cの間に配置される。
【0051】
連結部224a-224cのそれぞれの上端は、支持部222の径方向中心側に屈曲して連結されて、リング状のスペーサ225を構成する。スペーサ225は、図2に示されるように、挿入穴21hの底部(底面)と、第1ケース111の上面(マイクロホン10の上端面)と、の間に隙間を形成する。
【0052】
このように、位置決部(支持部222,合部223a-223c,連結部224a-224c)は、導光部221と一体に構成される。
【0053】
●マイクロホン装置の組立て
図5は、マイクロホン装置1の分解斜視図である。
【0054】
先ず、固定部材22が、ウインドスクリーン本体21に取り付けられる。固定部材22の位置決部(支持部222,合部223a-223c,連結部224a-224c)は、挿入穴21hに挿入されて、挿入穴21hの内部に配置される。固定部材22の導光部221は、挿入穴21hの外部に配置される。ウインドスクリーン本体21の下端面は、導光部221の上面に当接する。このとき、挿入穴21h(図3参照)は、位置決部により拡径される。ウインドスクリーン本体21は、例えば、接着剤により、固定部材22に取り付けられる。
【0055】
次いで、ウインドスクリーン20が、マイクロホン10のユニット部11に取り付けられる。マイクロホン10は、上端側から挿入穴21h(固定部材22の内側)に挿入される。すなわち、マイクロホン10のユニット部11が、挿入穴21h(固定部材22の内側)に挿入される。
【0056】
ユニット部11のうち、第1ケース111と第2ケース112とが挿入穴21h(固定部材22の内側)に挿入されたとき、固定部材22の合部223a-223cの上端部は、第2ケース112の合溝112aに合される。その結果、ウインドスクリーン20は、マイクロホン10に固定(装着)される。このとき、収音部は、挿入穴21hに配置される。
【0057】
図6は、マイクロホン10にウインドスクリーン20が装着されたときのマイクロホン10とウインドスクリーン20との位置関係を示す模式図である。同図は、ウインドスクリーン本体21を二点鎖線で示し、発光部116を一点鎖線で示す。
【0058】
ウインドスクリーン20がマイクロホン10に固定されたとき、導光部221は、上下方向(図6の紙面上下方向)において、発光部116に位置決めされる。すなわち、位置決部は、導光部221を発光部116に位置決めする。その結果、導光部221は、発光部116の全面を覆う。
【0059】
また、ウインドスクリーン20がマイクロホン10に固定されたとき、マイクロホン10の上端面(第1ケース111の底部)は、スペーサ225に当接する。その結果、位置決部のうち、スペーサ225は、挿入穴21hの底部(底面)と、マイクロホン10の上端面と、の間に配置される。このとき、スペーサ225は、第1ケース111の第1音波導入口111h1を塞がない位置に配置される。
【0060】
一方、位置決部のうち、支持部222と合部223a-223cと連結部224a-224cとは、第1ケース111と第2ケース112と、挿入穴21hの内周面と、の間に配置される。このとき、連結部224a-224cは、マイクロホン10の径方向視において第2音波導入口111h2の間に配置される。すなわち、連結部224a-224cは、第2音波導入口111h2を塞がない位置に配置される。
【0061】
このように、位置決部は、図2にも示されるように、挿入穴21hの内面と、マイクロホン10のユニット部11の外面(上端面,外周面)と、の間に配置されて、これらの間に隙間を形成する。この隙間は、ポップノイズを低減するための空気層を構成する。そのため、マイクロホン装置1の外部からの風や、マイクロホン装置1の使用者(発話者)の呼気などに起因する、収音部のポップノイズの生成は、低減される。
【0062】
合部223a-223cが合溝112aに合された状態で、ウインドスクリーン20をマイクロホン10に対して上方向に引くことにより、合溝112aと合部223a-223cとの合は解除されて、ウインドスクリーン20はマイクロホン10から取り外される。すなわち、ウインドスクリーン20は、マイクロホン10に対して着脱可能である。
【0063】
●マイクロホン装置の動作
図7は、マイクロホン装置1の図6のBB線における部分拡大断面図である。
同図は、LED115aからの光が導光される様子を破線矢印で示す。
【0064】
マイクロホン装置1の使用者により、マイクロホン装置1の電源がONされると、マイクロホンユニット114(収音部)(図2参照)は収音可能となり、LED115a,115bは発光する(点灯する)。LED115a,115bからの光は、発光表示部116の内部に拡散されて、発光部116に導光される。発光部116に導光されたLED115a,115bからの光は、発光部116からマイクロホン10の外部に放射される。
【0065】
発光部116から放射された光は、導光部221に入射される。導光部221に入射された光は、導光部221の内部に拡散されて、導光部221の外周面と下面とから導光部221の外部に放射される。すなわち、LED115a,115bからの光の視認性は、導光部221の径方向(例えば、図7の紙面左右方向)から、導光部221の下方向(図7の紙面下方向)までの範囲において良好となる。その結果、導光部221の外周面や下面が向けられる方向からマイクロホン装置1を視認する人は、マイクロホン装置1(収音部)の動作状態を容易に確認することができる。
【0066】
前述のとおり、導光部221の上端部の外径は、ウインドスクリーン本体21の下端部の外径と同じである。導光部221の外周面は、上下方向において、ウインドスクリーン本体21の外周面と連続する。そのため、マイクロホン装置1の使用者(発話者)は、視線(視軸)をマイクロホン装置1の収音軸からずらすだけで、導光部221の一部を容易に視認可能である。
【0067】
図8は、マイクロホン装置1の使用状態を示す外観図である。
同図は、例えば、マイクロホン装置1の使用者が、第1フレキシブルパイプ121を自らの方向に折り曲げて、マイクロホン装置1の上端(ウインドスクリーン20の上端)を視認した状態を示す。同図は、使用者に導光部221の一部が三日月状に視認されて、マイクロホン装置1(収音部)の動作状態が使用者に認識可能であることを示す。
【0068】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、ウインドスクリーン20は、ウインドスクリーン本体21の挿入穴21hの外部に配置されて発光部116を覆い、発光部116からの光を外部に導光する導光部221を備える。そのため、ウインドスクリーン20は、マイクロホン10に取り付けられた状態で、マイクロホン10の発光部116からの光の視認性を阻害しない(確保する)。すなわち、本発明にかかるマイクロホン装置とウインドスクリーンとにおける発光部116からの光の視認性は、良好である。
【0069】
また、以上説明した実施の形態によれば、上下方向における導光部221の長さLは、上下方向における発光部116の長さLよりも長い。そのため、LED115a,115bからの光を放射する面積は、発光部116単体が同光を放射する場合と比較して、広くなる。その結果、LED115a,115bからの光の視認性は、向上する。
【0070】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、導光部221はリング状で、導光部221の外径はウインドスクリーン本体21の外径以下である。そのため、発話者が視認する導光部221の面積は、制限される。すなわち、マイクロホン装置1の使用者(発話者)の目に向けて導光される光の量は、制限される。その結果、発話者は、LED115a,115bからの光(導光部221が放射する光)による眩しさを感じることなく、マイクロホン10の動作状態を視認することができる。
【0071】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、導光部221は、上下方向において傾斜するウインドスクリーン本体21の外周面と連続する外周面を備える。その結果、ウインドスクリーン20は、良好なデザイン性と、良好な光の視認性と、を兼ね備える。
【0072】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ウインドスクリーン20は、導光部221を発光部116に位置決めする位置決部を備える。そのため、マイクロホン装置1の使用者は、容易に導光部221で発光部116を覆うことができる。
【0073】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、位置決部は、マイクロホン10の外周面に配置される合溝112aに合される合部223a-223cを備える。合部223a-223cと合溝112aとの合は、ウインドスクリーン20をマイクロホン10に対して上方向に引くことにより解除される。そのため、ウインドスクリーン20は、マイクロホン10に対して容易に固定(装着)されると共に、マイクロホン10から容易に取り外すことができる。
【0074】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、位置決部は、挿入穴21hの内周面と、マイクロホン10の外面と、の間に配置される連結部224a-224cとスペーサ225とを備える。そのため、ウインドスクリーン20は、マイクロホン10に装着された状態で、発光部116からの光の視認性を確保すると共に、マイクロホン10との間にポップノイズを低減する空気層を形成する。
【0075】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ウインドスクリーン20は、マイクロホン10に着脱可能である。そのため、ウインドスクリーン20は、マイクロホン10から取り外されることで、マイクロホン10自体のデザイン性を確保することができる。また、発話者は、ウインドスクリーン20の有無を選択することができる。
【0076】
このように、本発明にかかるマイクロホン装置は、ウインドスクリーン本体21をマイクロホン10に固定する固定部材22が発光部116からの光を外部に向けて放射することにより、マイクロホン装置1(収音部)の動作状態を報知することができる。すなわち、固定部材22は、ウインドスクリーン本体21をマイクロホン10に固定する機能と、収音部の動作状態を報知する機能と、を備える。その結果、本発明にかかるマイクロホン装置の部品点数は、固定部材とは別に発光部からの光を導光する導光部を備える従来のマイクロホン装置の部品点数より少ない。
【0077】
また、導光部221が発光部116を拡径することと同じ機能を奏するため、本発明にかかるマイクロホン装置とウインドスクリーンとは、マイクロホン10の小型化やデザイン性を阻害しない。
【0078】
なお、以上説明した実施の形態は、固定部材22が連結部224a-224cとスペーサ225とを備える構成であった。これに代えて、本発明における固定部材は、合部のみを備える構成でもよい。この場合、本発明における固定部材は、ガンマイクなどの収音部が長いマイクロホンのウインドスクリーン本体に対しても使用可能である。すなわち、本発明における固定部材は、複数のウインドスクリーン本体間で共用可能となる。
【符号の説明】
【0079】
1 マイクロホン装置
10 マイクロホン
111 第1ケース(収音部)
112 第2ケース
112a 合溝
114 マイクロホンユニット(収音部)
116 発光部
20 ウインドスクリーン
21 ウインドスクリーン本体
21h 挿入穴
22 固定部材
221 導光部
223a 合部
223b 合部
223c 合部
224a 連結部
224b 連結部
224c 連結部
225 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8