(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】携帯用飲料製品を作る方法およびそのための充填ライン
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20221111BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20221111BHJP
A23L 2/54 20060101ALI20221111BHJP
A23F 5/24 20060101ALI20221111BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A23L2/00 W
A23L2/00 Q
A23L2/54
A23F5/24
A47J31/06 210
A47J31/06 323
(21)【出願番号】P 2020565854
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2018063839
(87)【国際公開番号】W WO2019223884
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】511049244
【氏名又は名称】アリステラ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリッツィオ、アドリアナ
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506347(JP,A)
【文献】特表2006-518314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-2/84
A23F 3/00-5/50
A47J 31/00-31/60
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用飲料製品を作る方法であって、前記製品は、少なくとも1つの第2の成分との、液体の第1の成分の浸出または溶解による、飲料の調製に適しており、前記方法が、
a)開口を備えた缶の形態の携帯容器を設ける工程と、
b)少なくとも1つの除去可能なバリアを備える封止手段をあらかじめ備えた分離装置を設ける工程と、
c)前記分離装置、または前記分離装置の一部が、前記少なくとも1つの第2の成分を入れることができ、フィルタ装置として機能することができるように、前記分離装置、または前記分離装置の一部が中空形状の浸出チャンバにされる工程と、
d)所定量の前記第1の成分を前記容器内に入れる工程と、
e)前記分離装置およびその封止手段が、前記容器の第1のチャンバおよび前記容器の第2のチャンバを、封止されるように画定するように、前記容器に対して所定の位置に、前記分離装置を前記容器内に入れる工程であって、前記第1のチャンバは前記所定量の前記第1の成分を収容し、前記分離装置は、前記第1の成分が前記第1のチャンバから前記第2のチャンバ内へ流れるための連通路を備え、前記連通路は前記除去可能なバリアによって塞がれており、
f)前記第2のチャンバ内部に中空のフィルタ装置である前記浸出チャンバを位置付ける工程を含み、前記浸出チャンバは、前記少なくとも1つの第2の成分を収容している、または収容するのに適しており、
g)少なくとも1つの第2の成分を前記第2のチャンバ内の前記浸出チャンバ内へ入れる工程と、
h)前記携帯用飲料製品を作るために、前記分離装置を入れ、前記第2の成分を入れた後、カバーによって前記容器の前記開口を塞ぐ工程と
を備え、
i)前記分離装置が、前記携帯用飲料製品に対する、ユーザの動作に応じて、前記除去可能なバリアが除去されて、よって前記連通路が開放されるように位置付けられ、
j)前記第1のチャンバから前記連通路に入った前記第1の成分が前記浸出チャンバ内を横断して前記浸出チャンバから出て前記第2のチャンバ内へ流れるように、前記浸出チャンバ内が前記連通路内と連通し、
k)前記連通路の軸方向に対して直交する方向に沿った、前記浸出チャンバ内の空間の断面は、前記方向に沿った、前記連通路内の空間の断面よりも大きい、
携帯用飲料製品を作る方法。
【請求項2】
前記方法が、前記液体の前記第1の成分が前記容器内に導入される工程と、前記第2のチャンバが前記分離装置の上方にあるように前記分離装置が液面の上方に配置される工程と、前記分離装置が前記容器の壁に対して好適な高さにおいて配置される工程とを含み、前記好適な高さは、前記第1のチャンバ内に収容された前記第1の成分の容積と同じまたはそれ以上の容積を前記第2のチャンバが有するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器内への挿入の前または後に、前記少なくとも1つの第2の成分を前記フィルタ装置に装填し、前記第1の成分内で溶解可能な固体状の、または前記第1の成分と接触すると浸出処理を発生するように構成された前記少なくとも1つの第2の成分を装填する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
粉末状の前記少なくとも1つの第2の成分を選択する工程を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程b)が、前記分離装置に、邪魔板、隔膜、脆性バリアのいずれかを設ける工程を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記分離装置にハウジングを設け、前記ハウジングにフィルタ装置を配置する工程を含み、前記フィルタ装置が、前記少なくとも1つの第1の成分を収容し、または収容することに適している、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記分離装置に貫通孔状のハウジングを設け、連通路が前記分離装置の一部になるように、封止された状態で、前記貫通孔を介して連通路を固定し、前記連通路を前記除去可能なバリアによって塞ぐ工程を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
2つ以上の部材を採用して前記分離装置を形成し、固有の分離装置構造とするために、前記2つ以上の部材を封止されるように連結する工程を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
連結される前記2つ以上の部材のうちの少なくとも1つを管の形状に形成して、前記分離装置のハウジング内に、前記管を封止されるように挿入する工程を含み、前記ハウジングが貫通孔の形状で実現され、前記管の一方の端部が前記除去可能なバリアによって塞がれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも第1の構成要素および第2の構成要素を含む前記分離装置を設けることを含み、前記方法が、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に脆性シールを設けるように前記第1の構成要素を位置付ける工程、および、
前記脆性シールを破断し、ハウジングを介して前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへの前記連通路を開放するように、前記ユーザによって前記第2の構成要素が操作され得るように、前記第1の構成要素に対して、前記第2の構成要素を所定の位置に位置付ける工程
を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のチャンバが前記第1のチャンバの上方にあるように前記分離装置を位置付ける工程を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
マイクロ波加熱に適した材料でできた前記容器を選択する工程を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のチャンバから空気を抜き、前記第2のチャンバ内に、不活性ガスを導入する工程、
選択された量のプロペラントガスを前記第1のチャンバ内に導入する工程
の少なくとも1つを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記容器の底部外面に、強磁性材料を含有する部材を適用する工程を含み、好ましくは粘着ラベル状の前記強磁性材料を含有する部材を選択する工程を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記容器の過剰な圧力を回避するように構成された安全手段を、前記容器の1つまたは複数の構造部分に設ける工程を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
断熱層または断熱要素を、前記容器の少なくとも1つの表面に設ける工程を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
携帯用飲料製品であって、前記製品は、少なくとも1つの第2の成分との、液体の第1の成分の浸出または溶解による、飲料の調製に適しており、前記製品が、
a)開口を備えた缶の形態を有する携帯容器と、
b)少なくとも1つの除去可能なバリアを備える封止手段をあらかじめ備えた分離装置であって、前記分離装置、または前記分離装置の一部が、前記少なくとも1つの第2の成分を入れることができ、フィルタ装置として機能することができるように、前記分離装置、または前記分離装置の一部が中空形状の浸出チャンバにされた分離装置と
を備え、
c)前記分離装置およびその封止手段が、前記容器の第1のチャンバおよび前記容器の第2のチャンバを、封止されるように画定するように、前記容器に対して所定の位置に、前記分離装置が前記容器内に入れられ、
d)前記第1のチャンバは前記所定量の前記第1の成分を収容しており、
e)前記分離装置は、前記第1の成分が前記第1のチャンバから前記第2のチャンバ内へ流れるための連通路を備え、
f)前記連通路は前記除去可能なバリアによって塞がれており、
g)前記第2のチャンバ内部に中空のフィルタ装置である前記浸出チャンバが位置付けられ、
h)前記浸出チャンバは、前記少なくとも1つの第2の成分を収容している、または収容するのに適しており、
i)前記浸出チャンバ内には少なくとも1つの第2の成分が入れられ、
j)カバーによって前記容器の前記開口が塞がれ、
k)前記分離装置が、前記携帯用飲料製品に対する、ユーザの動作に応じて、前記除去可能なバリアが除去されて、よって前記連通路が開放されるように位置付けられ、
l)前記第1のチャンバから前記連通路に入った前記第1の成分が前記浸出チャンバ内を横断して前記浸出チャンバから出て前記第2のチャンバ内へ流れるように、前記浸出チャンバ内が前記連通路内と連通し、
m)前記連通路の軸方向に対して直交する方向に沿った、前記浸出チャンバ内の空間の断面は、前記方向に沿った、前記連通路内の空間の断面よりも大きい、
携帯用飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯用飲料製品を作る方法に関する。特に、本発明は、ユーザが消費時点で飲料を調製することを可能にする、飲料缶の製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用飲料製品を作る、従来技術の方法は、開口を備えた携帯容器、たとえば缶を備え、所定量の飲料を容器内に注入し、容器を塞ぐ基本工程を含んでいる。
【0003】
この方法はたとえば、飲料缶のために使用される。飲料缶は、通常、空気を抜いた後に、飲料で充填され、および好適に、缶の上縁に圧着された蓋でただちに塞がれる。上記方法は、飲料に気泡を人工的に加えるために気体、通常、二酸化炭素を加える工程を含み得る。
【0004】
この方法は、レディトゥドリンク飲料製品、たとえばソフトドリンク缶を提供する。しかし、消費時点で飲料の自己調製を可能にする製品の製造には好適でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、飲料製品の製造のための方法であって、上記製品が、少なくとも第1の液体の成分を第2の成分と接触させることにより、飲料の自己調製を可能にする、飲料製品の製造のための方法を提供することを目的とする。本発明は、第1の成分および第2の成分をいずれも単一のパッケージ内に収容し、消費時点で飲料の調製を可能にする、製品の製造のための方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の、および最も概括的な実施形態では、その目的が、請求項1に記載の方法によって達成される。一部の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
第2の実施形態では、上記方法は、以下の工程、すなわち、液体の第1の成分が容器内に導入される工程と、第2のチャンバが分離装置の上方にあるように分離装置が液面の上方に配置される工程と、分離装置が容器の壁に対して好適な高さにおいて配置される工程とを含み、好適な高さは、第1のチャンバ内に収容された第1の成分の容積と同じまたはそれ以上の容積を第2のチャンバが有するように選択される。
【0008】
第3の実施形態では、上記方法は、第2のチャンバ内部に中空のフィルタ装置を位置付ける工程を含み、フィルタ装置は、少なくとも1つの第2の成分を収容している、または収容するのに適している。
【0009】
第4の実施形態では、上記方法は、容器内への挿入の前に、少なくとも1つの第2の成分をフィルタ装置に装填する工程を含む。
【0010】
第5の実施形態では、上記方法は、容器内への挿入の後に、少なくとも1つの第2の成分をフィルタ装置に装填する工程を含む。
【0011】
上記第4の実施形態および第5の実施形態では、上記方法は好ましくは、第1の成分内で溶解可能な固体状の、または第1の成分と接触すると、浸出処理を発生するように構成された少なくとも1つの第2の成分を装填する工程を含む。
【0012】
第6の実施形態では、上記方法は、分離装置の上面の一部の上に直接、少なくとも1つの成分を載せる工程を含む。たとえば、具体的な実施形態では、上記方法は、邪魔板(baffle)状の分離装置を選択し、および、邪魔板の上に第2の成分を載せる工程を含む。
【0013】
第7の実施形態では、上記方法は、分離装置から独立したフィルタ構造により、少なくとも1つの第2の成分を完全にまたは部分的に包む工程を含む。好ましい実施形態では、上記方法は、網、布、不織材料でできたフィルタ、ナイロンまたは他のプラスチックでできたフィルタのいずれかの形態のフィルタ構造を選択する工程を含む。
【0014】
第8の実施形態では、上記方法は、粉末状の少なくとも1つの第2の成分を選択する工程を含む。好ましい具体的な実施形態によれば、上記方法は、純粋なコーヒー、またはコーヒーを含有している粉末を第2の成分として選択する工程を含む。一部の具体的な実施形態では、上記方法は、第2の成分内にフリーズドライ(凍結乾燥)製品を含める工程を含み得る。たとえば、上記方法は、肉または野菜を含むフリーズドライ製品を選択する工程を含み得る。
【0015】
第9の実施形態では、上記方法は、邪魔板状、隔膜(septum)状、脆性バリア状のいずれかの除去可能なバリアを備えた分離装置を設けることを含み得る。上記方法は、ユーザの所定の動作に応じて除去され、または破断されるように設計された除去可能なバリアを選択する工程を含む。具体的な実施形態では、上記方法は、ユーザによって穿孔される脆性バリアを備えた分離装置を備える工程を含む。別の実施形態では、上記方法は、第1のチャンバに収容された液体の圧力の増加により、除去可能なバリアの破断または除去を実現するために分離装置を配置する工程を含む。このような圧力の増加は、容器を加熱することによってなされ得る。
【0016】
第10の実施形態では、上記方法は、分離装置に、脆性バリアと、連通路を開放するために脆性バリアを穿孔するように構成された穿孔手段とを設ける工程を備える。
【0017】
より好ましくは、上記方法は、ユーザによって動作させることが可能な穿孔手段を容器に設ける工程を含む。具体的な実施形態によれば、上記方法は、使用するために容器をユーザが開ける際にユーザによってアクセス可能な位置に穿孔手段を配置する工程を含む。
【0018】
第11の実施形態では、上記方法は、分離装置にハウジングを設け、少なくとも1つの第1の成分を収容し、または収容することに適しているフィルタ装置をハウジング内に配置する工程を含む。具体的な実施形態では、上記方法は、中空チャンバ状のハウジングを設ける工程を含む。より好ましくは、上記方法は、第1のチャンバから第2のチャンバへ流れる際に、液体の第1の成分が中空チャンバを横断し、フィルタ装置に入るように、中空チャンバを配置して連通路の一部を形成する工程を備える。
【0019】
フィルタ装置に入るための、液体の第1の成分の、中空チャンバの通過は、方法の過程で採用される成分の性質に応じた浸出処理をもたらし得る。たとえば、一部の実施形態では、上記方法は、高温の第1の液体成分が粉末と接触する際に浸出が行われるように粉末状の第2の成分を選択する工程を備える。
【0020】
第12の実施形態によれば、上記方法は、分離装置、または分離装置の一部が、少なくとも1つの第2の成分を入れることができ、フィルタ装置として機能することができるように、分離装置、または分離装置の一部が中空形状にされる工程を含む。
【0021】
第13の実施形態では、上記方法は、分離装置に貫通孔状のハウジングを設け、連通路が分離装置の一部になるように、封止された状態で、貫通孔を介して連通路を固定し、連通路を除去可能なバリアによって塞ぐ工程を含む。
【0022】
第14の実施形態では、上記方法は、2つ以上の部材を採用して分離装置を形成し、固有の分離装置構造とするために、2つ以上の部材を封止されるように連結する工程を含む。
【0023】
第15の実施形態では、上記方法は、連結される2つ以上の部材のうちの少なくとも1つを管の形状に形成して、分離装置のハウジング内に、管を封止されるように挿入する工程を含み、ハウジングが貫通孔の形状で実現され、管の一方の端部が脆性バリアによって塞がれる。
【0024】
第16の実施形態によれば、上記方法は少なくとも第1の構成要素および第2の構成要素を含む分離装置を設けることを含み、上記方法は、
第1のチャンバと第2のチャンバとの間に脆性シールを設けるように第1の構成要素を位置付ける工程、
脆性シールを破断し、ハウジングを介して第1のチャンバから第2のチャンバへの連通路を開放するようにユーザによって第2の構成要素が操作され得るように、第1の構成要素に対して、第2の構成要素を所定の位置に位置付ける工程を含む。
【0025】
好ましい実施形態では、上記方法は、脆性バリアを穿孔し、および、上記連通路を開けるように構成された移動可能な穿孔手段の形態の第2の構成要素を設けることを含み得る。
【0026】
上記方法は、第1の構成要素とともに、または第1の構成要素の後に、第2の構成要素を挿入することを含み得る。上記方法は、第1の構成要素および第2の構成要素が、手作業で、または、より好ましくは、自動化プロセスにおいて機械的に挿入される工程を含み得る。
【0027】
第17の実施形態では、上記方法は、ハウジングを介して連通路内に挿入されるロッド状の第2の構成要素を設ける工程を含む。
【0028】
第18の実施形態では、上記方法は、第2のチャンバが第1のチャンバの上方にあるように分離装置を位置付ける工程を含む。たとえば、上記方法は、容器が鉛直方向に配置され、分離装置が容器に対して好適な高さに配置され、よって、容器の容積が、底部側の第1のチャンバおよび上側の第2のチャンバに分割される工程を含む。
【0029】
第19の実施形態では、上記方法は、分離装置の挿入前に、容器を殺菌する工程を含む。
【0030】
第20の実施形態では、上記方法は、携帯容器として缶を設ける工程を含む。
【0031】
第21の実施形態では、上記方法は、金属またはアルミニウム缶を選択する工程を備える。アルミニウムは、効率的にリサイクルすることが可能であるので好ましい。上記方法は、アルミニウムおよびプラスチックでできた缶を選択する工程を含み得る。
【0032】
より好ましくは、上記方法は、標準サイズの金属缶を選択する工程を含む。たとえば、上記方法は、25cm3、33cm3、または50cm3の標準サイズの缶の装備を含み得る。
【0033】
第22の実施形態では、上記方法は、マイクロ波加熱に適した材料でできた容器を選択する工程を含む。
【0034】
第23の実施形態では、上記方法は水を容器内に入れる工程を含む。
【0035】
第24の実施形態では、上記方法は、第2のチャンバから空気を抜き、および、第2のチャンバ内に不活性ガスを導入する工程を含む。好ましくは、上記方法は、窒素を不活性ガスとして選択する工程を含む。
【0036】
第25の実施形態では、上記方法は、選択された量のプロペラントガスを第1のチャンバ内に導入する工程を含む。
【0037】
プロペラントガスは、ユーザの動作に応じて、第1のチャンバから第2のチャンバへの、第1の液体の流れを促進するように選択し得る。一部の実施形態では、上記方法は、プロペラントガスがさらに、発泡剤および/またはテクスチャリング剤であって、すなわち、所望の発泡および/またはテクスチャを飲料に付与するための、発泡および/またはテクスチャリング剤としてふるまうように選択される工程を含む。一部の実施形態では、上記方法は、圧力下のプロペラントガスの導入を含む。
【0038】
第26の実施形態では、上記方法は、窒素を上記プロペラントガスとして選択する工程を含む。窒素の、プロペラントガスとしての装備は、コーヒー、またはコーヒーの調製に好適な、コーヒーを基にした成分である第2の成分との組み合わせが特に好ましい。なお、窒素は、コーヒーの調製において、適合する発泡効果をもたらす。
【0039】
第27の実施形態では、上記方法は、容器の底部外面に強磁性材料を含有する少なくとも1つの部材を適用する工程を含む。この部材は、容器の誘導加熱を可能にする。
【0040】
第28の実施形態では、上記方法は、粘着ラベル状の強磁性材料を含有する部材を選択する工程を含む。これは、強磁性部材を、たとえば、金属缶の底部に適用する工程を容易にする。
【0041】
第29の実施形態では、上記方法は、容器の過剰な圧力を回避するように構成された安全手段を、容器の1つまたは複数の構造部分に設ける工程を含む。
【0042】
第30の実施形態では、上記方法は、容器内部が過剰な圧力の場合に破断するように構成された弱化部を、容器の1つまたは複数の構造部分に設ける工程を含む。たとえば、上記方法は、より薄い部分が過剰な圧力の場合に破断し得るように、容器の、またはカバーのより薄い部分を作る工程を備える。
【0043】
第31の実施形態では、上記方法は、断熱層または断熱要素を、容器の少なくとも1つの表面に設ける工程を含む。より好ましくは、上記方法は、リングの形状の断熱要素を選択し、容器周りにリングを配置する工程を含む。よって、上記方法は、容器が高温である場合にも、容器から直接飲むことを可能にする。
【0044】
第32の実施形態では、上記方法は、純粋なコーヒー、またはコーヒーを含有している粉末を第2の成分として選択する工程を備える。
【0045】
上述した実施形態では、上記方法は、第1のチャンバ内に収容された第1の成分の容積と同じまたはそれ以上の容積を第2のチャンバが有するように、容器に対して、分離装置が位置付けられると規定する。上記方法は、飲料の調製中に、第1のチャンバから第2のチャンバへ進むことが意図された第1の成分の容積に少なくとも等しい容積を第2のチャンバが有するように、容器に対して、分離装置が位置付けられるとも規定し得る。
【0046】
本発明の態様は、請求項に記載の生産ラインでもある。
【発明の効果】
【0047】
本発明の特徴および利点は以下のように要約することが可能である。
【0048】
本発明の方法は、封止されたパッケージ内への、第1の成分および第2の成分両方を詰め込むこと(packing)を含み、2つの成分は分離装置によって一時的に分離される。上記方法は、連通路を設ける工程を含み、連通路には、除去可能なバリアを除去する、ユーザの動作に応じて第1の成分が入る。
【0049】
本発明の方法によって得ることが可能な製品では、除去可能なバリアが除去され、第1の成分が連通路を通って流れる際に調製することが可能である。飲料は第2のチャンバ内で収集され、第2のチャンバは飲料の消費のために、ユーザによってアクセスすることが可能である。たとえば、第2のチャンバは、容器のカバーを取り外すことにより、またはカバーの好適な開口を開けることによってアクセスすることが可能である。
【0050】
一部の実施形態では、上記方法は、分離装置内の、中空フィルタチャンバを設けることを含み、よって、浸出処理が中空フィルタチャンバ内で行われる。
【0051】
したがって、意図された飲料の調製に、真水、またはいずれかの他の新鮮な成分はユーザには必要でない。一方、飲料は、第2の成分と第1の成分が接触する際に、容器を加熱源に接触させることにより、ユーザの動作に応じて新たに調製される。もたらされる調製したての飲料のフレーバーはしたがって、従来のあらかじめ充填された飲料のものよりも良好である。
【0052】
本発明の方法は、自己調製可能な缶コーヒーを作るための、好ましい適用分野において使用することが可能である。上記方法はしかし、異なる飲料製品を作るためにも使用することが可能である。
【0053】
プロペラントガスを提供する工程は、飲料の調製、および、第1のチャンバから第2のチャンバへの液体の移送を容易にする。一部の実施形態では、好適なプロペラントガスの提供は、所望のテクスチャおよびフレーバーを最終的な飲料に付与する発泡効果ももたらす。
【0054】
本発明の方法は、容器が、容器の加熱による、飲料の調製のために準備される工程を含み得る。上記方法は、容器の加熱が第1のチャンバ内の第1の成分のわずかな加圧をもたらすように容器を準備する工程を含む場合があり、および上記加圧は、第2のチャンバへの連通路を介した流れを促進する。
【0055】
強磁性アプライアンスを設ける工程は、誘導による、容器の加熱を可能にする。断熱要素を設ける工程は、高温の容器から直接飲むことを可能にするので、これらの実施形態において有利である。
【0056】
本発明は次に、好ましい、限定的でない実施形態を参照して明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明の一実施形態による、飲料製品を作る方法の実施形態の略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、飲料製品を作る方法の実施形態の略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、飲料製品を作る方法の実施形態の略図である。
【
図4】
図1~3の方法によって得られた飲料製品の使用法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1では、上部開口2を備えたアルミニウム缶1は、充填ヘッド4により、水3などの液体である第1の成分で充填される。この充填動作の前に、たとえば、窒素または他の不活性ガスの吸入により、空気を缶1から除去することが可能である。
【0059】
充填ヘッド4は、所定量の液体3を、それが缶1の底部において所望の液面5に達するまで供給する。
【0060】
図2は、開口2を介して缶1内に分離装置10が導入される、次の工程を示す。この例では、分離装置10は容器11を含む。
【0061】
一旦、分離装置10が缶1内に完全に挿入されると、缶1の内部空間は、第1のチャンバ12および第2のチャンバ13に分割される。
【0062】
第1のチャンバ12は、分離装置10の下方にあり、充填ヘッド4によって予め導入されている所定の量の水を収容している。
【0063】
第2のチャンバ13は、容器11によって設けられ、飲料の調製中に第2のチャンバへ入る量である、意図された量の水3を収集するように設計されている。好ましくは、第2のチャンバ13は、第1のチャンバ12(
図3)内に収容された水の容積よりも大きな容積を有している。しかし、剰余水が、飲料の調製後も第1のチャンバ内に残留してもよい。
【0064】
分離装置10は、飲料、たとえばコーヒー15の調製のための別の成分15で充填された浸出チャンバ14を含む。
【0065】
第1のチャンバ12および第2のチャンバ13は容器11の壁によって分離される。
【0066】
分離装置10は、第1のチャンバ12と浸出チャンバ14との間の少なくとも1つの脆性シール16を含む。分離装置10は、浸出チャンバ14と第2のチャンバ13との間の透過性通路を含む。この例では、透過性通路は透過壁17を含む。
【0067】
脆性シール16は、容器11の表面の一部、たとえば、底壁18の一部であってもよい。
【0068】
缶1は次いで、缶1および容器11の上に蓋19をすることにより、封止されるように塞がれる。第2のチャンバ13は、たとえば、蓋19を取り外すことにより、または、蓋19上の好適な開口により、ユーザ(消費者)によってアクセス可能である。
【0069】
図4は、
図1~3の実施形態における装置の動作を示す。
【0070】
ユーザの所定の動作によって、脆性シール16が破断される。上記所定の動作は、好適な穿孔手段、たとえばカニューレまたは可動ロッドによる、シール16を穿孔することを含み得る。穿孔手段は分離装置の一部であってもよい。
【0071】
第1のチャンバ12内に最初収容されていた水3は、次いで、
図4の矢印によって示すように、浸出チャンバ14および透過壁17を通過して、第2のチャンバ13内に移送される。上記移送の駆動力は、缶1の加熱による、水3への加圧とすることができる。
【0072】
したがって、水3は成分15に接触し、浸出処理を開始する。得られた飲料は第2のチャンバ13内に収集される。飲料は、たとえば缶を開けることなどにより、ユーザによって直接、アクセス可能な第2のチャンバ13から消費することが可能である。
【0073】
図5~
図8は、第1の部品(ハウジング)111および第2の部品(フィルタ)112を含む分離装置110を設けることを含む方法の実施形態を示す。
【0074】
ハウジング111がまず、缶1内に導入され、次いで、フィルタ112がハウジング111内に嵌め込まれる。
【0075】
この方法は、脆性膜114によって塞がれた底部ダクト113を有するハウジング111を選択することを含む。ハウジング111は、底部ダクト113の端が水3に浸漬されるように位置付けられる。
【0076】
フィルタ112は、浸出チャンバ115と、底部ダクト116と、1つまたは複数の開口118を備えた上部ダクト117とを有するものが選択される。容器1内への挿入前に、浸出チャンバ115には第2の成分、たとえばコーヒーが充填される。
【0077】
フィルタ112は、上記ダクト116がハウジング111のダクト113に嵌め込まれるように位置付けられ、フィルタダクト116の外ねじ118がハウジングダクト113の内ねじ119に螺合する。フィルタ112は、底端部が膜114の上にとどまるように位置付けられる。容器1は、ハウジング111およびフィルタ112の挿入後、トップカバーで塞がれる。
【0078】
図7および
図8に示すように、ハウジング111に対して、フィルタ112を回転させることにより、ダクト116によって膜114を破断させ、ダクト116、浸出チャンバ115、上部ダクト117、および開口118を含む連通路を介して第1のチャンバ12から第2のチャンバ13への(たとえば加熱によって誘導された)水の流れを可能にする。浸出チャンバ115を横断する間、お湯によって、コーヒー粉末との浸出処理が行われ、調製したてのコーヒーがチャンバ13内に収集される。
【0079】
フィルタ112の回転は、ユーザによって、トップカバーを取り外すことにより、容器1が開放された後で行うことが可能である。
【0080】
図9は、ハウジング211として選択された第1の部品およびダクト212として選択された第2の部品を含む分離装置210を設けることを含む方法の別の実施形態を示す。膜214の穿孔は、上記実施形態のダクト116と同様に動作するダクト212の下端によって行われる。
【0081】
図9の実施形態では、方法は、ハウジング211の表面220上に第2の成分(たとえば、可溶性コーヒー)を堆積させるステップを含み、よって、浸出チャンバが必要でない。ダクト212で膜214を穿孔した後、連通路はダクト212自体によって形成される。水は、ダクト212および開口218を通って、チャンバ13内へ流れ、そこでは、ハウジング211内に収容された可溶性コーヒーと接触する。
【0082】
別の実施形態では、方法は、ハウジング211に対して固定された(すなわち、移動可能でない)ダクト212を設けるステップを含む。この場合、除去可能なバリア214を破断させるために、方法は、ダクト212内部に可動ロッドを設けることを含んでいてもよい。