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特許7175045画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法及び画像解析プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20221111BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20221111BHJP
【FI】
A61B5/11 210
G06T7/00 660Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021182653
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】521373696
【氏名又は名称】株式会社フットルック
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(72)【発明者】
【氏名】舩越 達
(72)【発明者】
【氏名】下田 英毅
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-168529(JP,A)
【文献】特開2009-232942(JP,A)
【文献】特開2016-209546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の部位の画像情報を読み取る画像読取装置と、前記画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置と、を備える画像解析システムであって、
前記画像読取装置が、
前記被測定者の部位が接触する接触板と、
前記接触板に対して、前記部位が接触している面の反対側の面に光を照射することにより、前記画像情報を取得する画像取得部と、を備え、
前記画像解析装置が、
前記画像情報から、前記部位が前記接触板に接触している接触領域を検出し、前記接触領域に関する接触情報を求める接触領域検出部と、
前記接触情報を基に求められる、前記接触領域の面積を二等分する、直交する2本の二等分線の交点の位置を、前記被測定者の重心位置として求める重心検出部と、を備え
前記重心検出部が、
前記接触情報を基に、前記接触領域全体を含む矩形状の領域を、前記重心位置を探索する探索領域として設定する探索領域設定部と、
前記探索領域の縦方向の辺である2本の縦辺間の中央に第1分割線を設定し、前記第1分割線と一方の前記縦辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積と、前記第1分割線と他方の前記縦辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積の差が最小となるように前記第1分割線を移動し、前記移動された第1分割線を前記二等分線の1本とし、第1二等分線として出力する第1二等分線決定部と、
前記探索領域の横方向の辺である2本の横辺間の中央に第2分割線を設定し、前記第2分割線と一方の前記横辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積と、前記第2分割線と他方の前記横辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積の差が最小となるように前記第2分割線を移動し、前記移動された第2分割線を前記二等分線のもう1本とし、第2二等分線として出力する第2二等分線決定部と、
前記第1二等分線と前記第2二等分線の交点の位置を前記重心位置とする重心決定部と、を備えることを特徴とする画像解析システム。
【請求項2】
前記部位が足裏である請求項1に記載の画像解析システム。
【請求項3】
被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置であって、
前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力し、
前記画像情報から、前記部位が前記接触板に接触している接触領域を検出し、前記接触領域に関する接触情報を求める接触領域検出部と、
前記接触情報を基に求められる、前記接触領域の面積を二等分する、直交する2本の二等分線の交点の位置を、前記被測定者の重心位置として求める重心検出部と、を備え
前記重心検出部が、
前記接触情報を基に、前記接触領域全体を含む矩形状の領域を、前記重心位置を探索する探索領域として設定する探索領域設定部と、
前記探索領域の縦方向の辺である2本の縦辺間の中央に第1分割線を設定し、前記第1分割線と一方の前記縦辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積と、前記第1分割線と他方の前記縦辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積の差が最小となるように前記第1分割線を移動し、前記移動された第1分割線を前記二等分線の1本とし、第1二等分線として出力する第1二等分線決定部と、
前記探索領域の横方向の辺である2本の横辺間の中央に第2分割線を設定し、前記第2分割線と一方の前記横辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積と、前記第2分割線と他方の前記横辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積の差が最小となるように前記第2分割線を移動し、前記移動された第2分割線を前記二等分線のもう1本とし、第2二等分線として出力する第2二等分線決定部と、
前記第1二等分線と前記第2二等分線の交点の位置を前記重心位置とする重心決定部と、を備えることを特徴とする画像解析装置。
【請求項4】
被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析方法であって、
前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力する入力ステップと、
前記画像情報から、前記部位が前記接触板に接触している接触領域を検出し、前記接触領域に関する接触情報を求める接触領域検出ステップと、
前記接触情報を基に求められる、前記接触領域の面積を二等分する、直交する2本の二等分線の交点の位置を、前記被測定者の重心位置として求める重心検出ステップと、を含み、
前記重心検出ステップが、
前記接触情報を基に、前記接触領域全体を含む矩形状の領域を、前記重心位置を探索する探索領域として設定する探索領域設定ステップと、
前記探索領域の縦方向の辺である2本の縦辺間の中央に第1分割線を設定し、前記第1分割線と一方の前記縦辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積と、前記第1分割線と他方の前記縦辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積の差が最小となるように前記第1分割線を移動し、前記移動された第1分割線を前記二等分線の1本とし、第1二等分線とする第1二等分線決定ステップと、
前記探索領域の横方向の辺である2本の横辺間の中央に第2分割線を設定し、前記第2分割線と一方の前記横辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積と、前記第2分割線と他方の前記横辺で挟まれた範囲における前記接触領域の面積の差が最小となるように前記第2分割線を移動し、前記移動された第2分割線を前記二等分線のもう1本とし、第2二等分線とする第2二等分線決定ステップと、
前記第1二等分線と前記第2二等分線の交点の位置を前記重心位置とする重心決定ステップと、を含むことを特徴とする画像解析方法。
【請求項5】
コンピュータに、請求項に記載の画像解析方法を実行させるための画像解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の足の裏等の部位に関して重心位置の解析等を行う画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
直立した状態での人の足の裏(足裏)の画像(以下、「足裏画像」とする)が、病院、靴屋等で利用されている。例えば、病院や整骨院では、足裏画像から足の裏にかかる圧力の分布や重心の位置を求めることにより、体のバランスや歪み等の診断に利用することができる。足指の角度を計算することにより、外反母趾や内反小趾の診断に利用することができる。靴屋では、足裏画像から足裏の長さや横幅等を測定することにより、顧客に適切な靴の選定を行うことができ、オーダーメイドでの靴の提供にも利用できる。
【0003】
足裏画像から求められる情報の1つである重心位置については、圧力センサや荷重センサ等を使用して求める方法が多く提案されている(例えば、特開2009-254811号公報(特許文献1))。重心は、物体の各部分に働く重力の合力が作用するとみなされる点であるから、モーメント演算により重心位置を求めるべく、モーメント演算に使用する圧力を圧力センサや荷重センサ等により検出する。一方、センサを使用する方法はコストの増加や装置の複雑化等を招くとして、低コスト化や装置のコンパクト化等を図るために、足裏画像を利用して重心位置を求める方法が提案されている。
【0004】
例えば、特開2009-232942号公報(特許文献2)に開示されている重心位置解析法では、足の底圧は足裏画像の接地面画像の輝度と相関していることを利用して重心位置を求めている。被測定者は内部に光を投射させたガラス板の上に足を載せ、ガラス板の下から被測定者の足を撮影する。この際、皮膚接触部分では光は乱反射するが、皮膚のガラスへの接触面積は圧力に比例して増大するので、接触面の光の量は圧力に比例して輝度値(光量)が増加することになる。よって、足裏画像の接地部領域の各画素での輝度値と座標軸(X座標、Y座標)との積の全画素の合計を輝度モーメントとして計算し、その輝度モーメントを接地部領域の全輝度値の合計で除することで、足の重心位置(重心座標)を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-254811号公報
【文献】特開2009-232942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の方法で重心位置を求めるためには、接地部領域の全画素での輝度値と座標軸との積和演算、接地部領域の全輝度値の加算演算等が必要であり、演算量は少なくない。
【0007】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、足裏画像等の画像情報から、演算量を抑えた簡易な方法で重心位置を求めることができる画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被測定者の部位の画像情報を読み取る画像読取装置と、前記画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置と、を備える画像解析システムに関し、本発明の上記目的は、前記画像読取装置が、前記被測定者の部位が接触する接触板と、前記接触板に対して、前記部位が接触している面の反対側の面に光を照射することにより、前記画像情報を取得する画像取得部と、を備え、前記画像解析装置が、前記画像情報から、前記部位が前記接触板に接触している接触領域を検出し、前記接触領域に関する接触情報を求める接触領域検出部と、前記接触情報を基に求められる、前記接触領域の面積を二等分する少なくとも2本の二等分線の交点より、前記被測定者の重心位置を求める重心検出部と、を備えることにより達成される。
【0009】
また、本発明は、被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析装置に関し、本発明の上記目的は、前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力し、前記画像情報から、前記部位が前記接触板に接触している接触領域を検出し、前記接触領域に関する接触情報を求める接触領域検出部と、前記接触情報を基に求められる、前記接触領域の面積を二等分する少なくとも2本の二等分線の交点より、前記被測定者の重心位置を求める重心検出部と、を備えることにより達成される。
【0010】
また、本発明は、被測定者の部位の画像情報を用いて前記部位に関する解析を行う画像解析方法に関し、本発明の上記目的は、前記被測定者の部位を接触板に接触させて取得される前記画像情報を入力する入力ステップと、前記画像情報から、前記部位が前記接触板に接触している接触領域を検出し、前記接触領域に関する接触情報を求める接触領域検出ステップと、前記接触情報を基に求められる、前記接触領域の面積を二等分する少なくとも2本の二等分線の交点より、前記被測定者の重心位置を求める重心検出ステップと、を含むことにより達成される。
【0011】
さらに、本発明の上記目的は、コンピュータに、上記の画像解析方法を実行させるための画像解析プログラムにより達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムによれば、被測定者の部位が接触板に接触している接触領域の面積を基にして重心位置を求めるので、多くの演算量を必要とする演算を用いずに、簡易な方法で画像情報から重心位置を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る画像解析システムの構成例(第1実施形態)を示す図である。
図2】画像読取装置の使用例及び動作例を説明するための平面図である。
図3】画像解析装置の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。
図4】重心検出部の構成例を示すブロック図である。
図5】探索領域の設定例を示すイメージ図である。
図6】画像解析システムの動作例(第1実施形態)を示すフローチャートである。
図7】重心検出部の動作例を示すフローチャートである。
図8】接触情報及び重心位置の表示例を示す図である。
図9】画像解析装置の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。
図10】画像解析装置の構成例(第3実施形態)を示すブロック図である。
図11】モアレ画像の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、被測定者の足裏等の部位を接触板に接触させて撮影された画像(画像情報)から、部位が接触板に接触している領域である接触領域を検出し、接触領域の面積を基に重心位置を求める。具体的には、接触領域における各点の圧力はバラツキが少ないと推測し、接触領域の面積を二等分する二等分線を複数求め、それらの二等分線の交点から重心位置を求める。重心を通る線が必ずしも面積を二等分するとは限らないが、二等分線の中には重心を通るものがあり、少なくとも重心の近傍を通るので、二等分線の交点の位置を近似的に重心位置とする。交点が複数ある場合は、それらの交点から求められる点、例えば幾何中心(重心)等の位置を重心位置とする。
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付し、説明を省略することがある。また、以下では、本発明を実施するための主要な構成及び動作を中心にして説明しており、本発明を実施するために必要となる汎用的な処理、例えばデータ送受信処理、画面表示処理等については説明を簡略又は省略している。
【0016】
本発明に係る画像解析システムの構成例(第1実施形態)を図1に示す。なお、本実施形態の画像解析システムの解析対象は足裏とするが、その他の人体の部位、例えば手のひら等も解析の対象とすることができる。
【0017】
図1に示されるように、画像解析システム1は、画像読取装置10及び画像解析装置20を備え、画像読取装置10と画像解析装置20はケーブル30で接続されている。
【0018】
画像読取装置10は一般的なコピー機が有しているスキャナ機能と同様な機能を有しており、ガラス板(接触板)11に載置された対象物をスキャンして、画像として取り込む。本実施形態では、被測定者はガラス板11の上に両足を載せて直立した状態となって足裏をスキャンされるので、ガラス板11は被測定者の体重に耐えうる強度が必要であり、例えば耐荷重200kgを持つように設計されており、被測定者の両足が載るだけの十分な面積をもつ矩形状に形成されている。
【0019】
図2は画像読取装置10の平面図である。画像読取装置10は略直方体の形状をしており、面積が広い上面にガラス板11が嵌着されている。図2において、上面の長辺の方向(図2での縦方向)をX軸、短辺の方向(図2での横方向)をY軸とし、右下端を原点とする。被測定者は、つま先と踵を結ぶ線がY軸と略同じ方向で、両足がX軸上で並ぶように、破線で示した位置に、直立した状態で、両足をガラス板11に載せる。
【0020】
画像読取装置10は、装置内部に光源、ミラー、レンズ及び画像読取手段(図示せず)を備え、CCD(Charge Coupled Device)方式で対象物の画像を取り込む。即ち、光源として白色光を用い、ガラス板11に載せられた対象物を、対象物が載せられた面とは反対の面から光源で照らし、その反射光がミラーで反射され、レンズを通って画像読取手段に対象物の像が入力される。光源は、図2(A)に示されるY軸方向の端から端までの1行を照射するようになっており、一定の速度でX軸方向に移動する。よって、画像読取手段には縮小された光の像が帯状に順次入力されることになる。画像読取手段は光信号を電気信号に変換するCCDイメージセンサ、アナログ・デジタル変換を行うA/Dコンバータ等で構成され、順次入力される光の像を、赤(Red)、緑(Green)及び青(Blue)で表現されるRGB色空間の値(以下、「RGB値」とする)に変換し、画像情報Vdとして出力する。Y軸方向の1行分の画像情報Vdは、図2(A)において右から左の順序で出力されるので、画像読取装置10は、図2(B)に示される矢印の順序で、画素単位で画像情報Vdを出力することになる。画像情報VdであるRGB値は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色を256階調(0~255)で表した値となっており、画像情報Vdは画素毎のRGB値であるvr、vg及びvb(i=1,2,…,I、Iは画素数)で構成されている。なお、光源、ミラー、レンズ及び画像読取手段より画像取得部が構成される。
【0021】
このように、画像読取装置10は、一般のコピー機が有する機能の内のスキャン機能のみを応用しているので、ピドスコープ等の従来の画像読取装置に比べると、コンパクトな構造となっている。
【0022】
なお、画像読取装置10は、CCD方式ではなく、CIS(Contact Image Sensor)方式で対象物の画像を取り込んでも良い。この場合、ミラーは不要となり、光源としてRGB3原色のLEDを使用し、画像読取手段ではCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを使用する。また、画像読取装置10は、対象物をスキャンして画像を取り込むのではなく、ガラス板11全体を撮影する機能を搭載し、対象物が載せられた面とは反対の面を1回撮影することにより、対象物の画像を取り込むようにしても良い。
【0023】
画像解析装置20は、画像情報Vdから被測定者の足裏の重心位置Cdを求め、重心の相対的な位置が視覚的にわかるように表示する。
【0024】
画像解析装置20の構成例を図3に示す。画像解析装置20は、入力制御部21、画像記憶部22、接触領域検出部23、接触情報記憶部24、重心検出部25及び表示制御部26を備える。画像解析装置20としては、デスクトップ型パソコンやノートパソコン等を使用し、入力制御部21、接触領域検出部23、重心検出部25及び表示制御部26は、パソコンで動作するプログラムとして実現される。なお、図3には本実施形態で必要な構成要素のみを示しており、パソコンが有するその他のハードウェア及びソフトウェアの構成要素は示していない。また、画像解析装置20として、パソコンではなく、専用の装置を使用しても良い。
【0025】
入力制御部21は、画像読取装置10に対象物のスキャンを開始させ、画像読取装置10から送信される画像情報Vdを入力し、画像記憶部22に格納する。
【0026】
画像解析装置20を構成するパソコンの画面上に、画像読取装置10に対象物のスキャンを開始させるための動作開始ボタンを設け、パソコンに接続しているマウス等により動作開始ボタンを押すと、入力制御部21はそのことを検知し、画像読取装置10に対して動作開始信号Sgを送信する。画像読取装置10は、動作開始信号Sgを受信したら、対象物のスキャンを開始する。なお、パソコンの画面上に動作開始ボタンを設けるのではなく、パソコンに接続しているキーボードの任意のキー(例えば、Enterキー等)を動作開始ボタンとして使用しても良い。また、画像解析装置20ではなく、画像読取装置10に動作開始ボタンを設けても良い。この場合、動作開始信号Sgの送受信は不要となるが、動作開始ボタンを押す前に、画像解析装置20を起動させ、画像読取装置10から送信される画像情報Vdを受信できる状態にしておく必要がある。
【0027】
画像読取装置10からは、図2(B)に示される矢印の順序で画像情報Vdが送信されるので、入力制御部21は、画像読取装置10でのスキャン終了まで画像情報Vdを順次入力し、その順序通りに画像情報Vdを画像記憶部22に格納する。例えば、順次出力される画像情報Vdを、アドレスの昇順で画像記憶部22に格納していく。
【0028】
画像記憶部22は、入力制御部21から出力される画像情報Vdを記憶する。画像記憶部22は、画像読取装置10での1回のスキャンにより生成される画像情報Vdを1つのファイルとして記憶しても良い。
【0029】
接触領域検出部23は、画像記憶部22に記憶されている画像情報Vdから接触領域を検出し、接触領域に関する情報(接触情報)Tdとして出力する。
【0030】
接触領域検出部23は、画像解析装置20が足裏全体における重心位置を的確に把握できるような画像を表示するために、接触領域だけではなく、ガラス板11に接触していない足裏の領域(以下、「非接触領域」とする)も検出する。つまり、接触領域検出部23は、足裏画像を、接触領域、非接触領域、及びガラス板11にて足が載っていない足裏以外の領域(以下、「非足裏領域」とする)の3つの領域に区分する。そのために、接触領域検出部23は、画像情報Vdに含まれる色情報を用いて、接触領域及び非接触領域を検出する。
【0031】
人体の表面には毛細血管が張り巡っているので、被測定者の部位を接触板に接触させて、接触した部位の皮膚に圧力を加えると、圧力が加わった箇所の毛細血管が圧迫され、血流が抑制される。人体の皮膚、特に手のひらや足裏の皮膚の色は、毛細血管内の血液の色である赤色を反映した色となっているので、皮膚に圧力が加わっていない通常の血流での皮膚の色と、皮膚に圧力が加わり抑制された血流での皮膚の色には違いが生じる。このような違いが生じる皮膚の色を反映した色情報を用いることにより、接触領域及び非接触領域を検出することができる。特に、人体の足裏の色は、病気等による異常がない場合、人種、性別、年齢に関わらず、圧力が加わっていない状態では、メラニンや毛細血管内の血液の色を反映して、肌色(うすだいだい、ペールオレンジ)となっている。足裏に圧力が加わると、上述のように毛細血管内の血流が抑制されるので、色が白色に変化する。このように圧力を加えることにより足裏の色が肌色から白色に変化する現象を利用して、接触領域検出部23は、画像情報Vdから接触領域及び非接触領域を検出する。つまり、接触領域検出部23は、接触領域及び非接触領域に対して、白色に関連する色の範囲及び肌色に関連する色の範囲をそれぞれ設定して対応付け、それら以外の色の範囲は非足裏領域に対応付ける。そして、その設定に基づいて、画像情報Vd中の各画素が属する領域を決定する。各領域に対して特定の番号(以下、「領域番号」とする)を、例えば、接触領域に1、非接触領域に2、非足裏領域に0を設定することとし、接触情報Tdは、画素毎に決定された領域番号r(以下、「領域値」とする)で構成される。
【0032】
接触領域検出部23は、RGB値を入力とし、領域値を出力とする関数Fを用いて、画像情報Vdから接触情報Tdを求める。画像記憶部22に記憶されている画像情報Vd中のRGB値vr、vg及びvbを格納された順序で読み出し、関数Fを用いて領域値rを求め、接触情報Tdとして順次出力する。関数Fは条件判定も含んだ関数である。例えば、以下の(1)~(5)の処理全体を関数Fとして定義する。
【0033】
(1)RGB値vr、vg及びvbを色相(Hue)、彩度(Saturation)及び明度(Value)で表現されるHSV色空間の値(以下、「HSV値」とする)vh、vs及びvvに変換する。
【0034】
(2)肌色に対応するH(色相)及びV(明度)の範囲(以下、「肌色範囲」とする)を予め設定し、vh及びvvが肌色範囲に属するか判定する。
【0035】
(3)vh及びvvが肌色範囲に属する場合、S(彩度)に対して0から所定の値までを2つの範囲に分け、前半の範囲に領域番号1(接触領域)を、後半の範囲に領域番号2(非接触領域)を割り当て、vsが属する範囲を調べる。
【0036】
(4)vsが属する範囲がある場合、その範囲に対して設定されている領域番号を領域値rとする。
【0037】
(5)vh及びvvが肌色範囲に属さない場合、又は、vsが属する範囲がない場合、領域値rを0(非足裏領域)とする。
【0038】
なお、関数Fとして、上記(2)及び(3)のように肌色に関連する色の範囲及び白色に関連する色の範囲(肌色範囲において、S=0は白色に相当する)を設定しての処理を行うのであれば、上記(1)~(5)以外の処理を定義しても良い。または、RGB値から算出される輝度等を用いて、関数Fを定義しても良い。
【0039】
接触情報記憶部24は、接触領域検出部23から出力される接触情報Tdを記憶する。接触情報Tdは、図2(B)の矢印で示される順序と同じ順序で出力されるので、接触情報記憶部24でも、その順序を保持するように接触情報Tdが記憶される。例えば、順次出力される接触情報Tdを、アドレスの昇順で接触情報記憶部24に記憶していく。
【0040】
重心検出部24は、接触情報記憶部24に記憶されている接触情報Tdを用いて、重心位置Cdを検出する。重心検出部24は、接触領域の面積を基に、重心位置Cdを求める。具体的には、接触領域を含む、重心位置Cdを探索するための探索領域を設定し、その探索領域に対して接触領域の面積を二等分する、直交する2本の二等分線を求め、それらの交点の位置を重心位置Cdとする。
【0041】
重心検出部24の構成例を図4に示す。重心検出部24は探索領域設定部251、二等分線決定部252(第1二等分線決定部)及び253(第2二等分線決定部)、並びに重心決定部254を備え、接触情報Tdは、探索領域設定部251、二等分線決定部252及び253に入力される。
【0042】
探索領域設定部251は、接触情報Tdに対して探索領域を設定する。探索領域として、接触領域及び非接触領域(以下、両領域を合わせて「足裏領域」とする)を含む矩形状の領域を設定する。探索領域の設定例を示すイメージを図5に示す。図5において、図2にて定義されたX軸及びY軸は、横方向がX軸、縦方向がY軸となり、左下端が原点となる。また、足裏領域101は接触領域と非接触領域が区別されずに一体として記載されている。接触情報Tdは、図5の実線で示される矩形状に配列された画素と同様の構成が形成される並びで、画素毎に領域値rを有する。この接触情報Tdに対して、探索領域102は、図5の破線で示されるように、外周が足裏領域101と接する矩形状の領域として設定される。即ち、足裏領域101の左右端に接してY軸と平行な縦方向の辺である縦辺102A及び102Bと、足裏領域101の上下端に接してX軸と平行な横方向の辺である横辺102C及び102Dからなる矩形内部を探索領域102とする。領域値rが1は接触領域を、2は非接触領域を表すので、領域値rから足裏領域101を判別し、足裏領域101内の各画素のX軸及びY軸上での位置(X座標、Y座標)を基に、縦辺102A及び102B並びに横辺102C及び102Dを設定する。即ち、足裏領域101内の各画素のX座標の中で最小のX座標の線を縦辺102A、最大のX座標の線を縦辺102Bとし、各画素のY座標の中で最大のY座標の線を横辺102C、最小のY座標の線を横辺102Dとする。設定された縦辺102A及び102Bは縦辺情報Svとして、横辺102C及び102Dは横辺情報Shとして出力される。縦辺情報Svは二等分線決定部252に、横辺情報Shは二等分線決定部253にそれぞれ入力される。
【0043】
二等分線決定部252は、接触情報Td及び縦辺情報Svより、縦辺102A及び102Bと平行で、接触領域の面積を二等分する二等分線(第1二等分線)を求める。縦辺102Aと102Bの間に分割線(第1分割線)を設定し、その分割線を移動させることにより、二等分線を求める。
【0044】
二等分線決定部252は、まず、縦辺102Aと102Bの間の中央に、縦辺102A及び102Bと平行な分割線を設定する。そして、縦辺102Aと分割線で挟まれた範囲での接触領域の面積と、分割線と縦辺102Bで挟まれた範囲での接触領域の面積を比較する。両面積が等しい場合、設定した分割線を二等分線とする。両面積が等しくない場合、面積が大きい接触領域を含む範囲の方に、分割線を所定の距離(例えば、画素の幅)だけ移動する。移動後の分割線に対して、上述のような両範囲での接触領域の面積を比較し、比較結果に応じて同様の処理を実行する。この分割線の移動と面積の比較を繰り返すことにより、二等分線を求める。分割線の移動による接触領域の面積の増減量は離散的な値であり、両面積が全く同じにならないことがあるので、その場合は、両面積の差が最小となる分割線を二等分線とする。「接触領域の面積を二等分する」とは、このように、両面積が等しい場合だけではなく、両面積の差が最小となる場合も含むものとする。求められた二等分線は二等分線Bvとして重心決定部254に入力される。なお、面積として、実際の面積だけではなく、画素数等を使用しても良い。また、二等分線を、他の方法、例えば接触領域全体の面積を求め、その半分の値を基にした方法等で求めるようにしても良い。
【0045】
二等分線決定部253は、接触情報Td及び横辺情報Shより、横辺102C及び102Dと平行で、接触領域の面積を二等分する二等分線(第2二等分線)を求める。二等分線決定部253は、横辺102Cと102Dの間の中央に分割線(第2分割線)を設定し、二等分線決定部252と同様に、その分割線を移動させることにより、二等分線を求める。求められた二等分線は二等分線Bhとして重心決定部254に入力される。
【0046】
重心決定部254は、二等分線Bv及びBhより重心位置Cdを求める。即ち、二等分線Bv及びBhの交点を重心として、その重心のX軸及びY軸上での位置(X座標、Y座標)を重心位置Cdとする。
【0047】
なお、重心検出部25は、直交する二等分線Bv及びBhの交点を重心として重心位置Cdを求めているが、直交していない二等分線の交点から重心位置Cdを求めても良く、3本以上の二等分線から重心位置Cdを求めても良い。後者において二等分線の交点が複数存在する場合、複数の交点から求められる幾何中心や任意の交点等の位置を重心位置Cdとする。
【0048】
表示制御部26は、接触情報記憶部24に記憶されている接触情報Td及び重心検出部25から出力される重心位置Cdを表示する。表示制御部26にはディスプレイが接続されており、接触情報Td及び重心位置Cdはディスプレイに表示される。具体的には、各領域番号(0、1、2)に対応した色を予め設定し、入力された接触情報Td中の領域値rに合わせて、対応する色を表示し、重心位置Cdは×印等を用いて表示する。接触情報Td中の領域値rは、図2(B)の矢印で示される順序と同じ順序で接触情報記憶部24に記憶されているので、表示制御部26は、接触情報記憶部24に記憶されている順番を基に決定される位置に、領域値rに応じた色を表示する。
【0049】
ケーブル30は、画像読取装置10と画像解析装置20を接続する。ケーブル30として、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の有線を使用し、画像読取装置10及び画像解析装置20それぞれが装備するUSBポート等にケーブル30を接続する。画像読取装置10と画像解析装置20を、有線ではなく、無線で接続しても良く、或いは、USBメモリ等の外付け記録媒体へのデータ書き込み機能を画像読取装置10に付加し、外付け記録媒体を介して、画像読取装置10から画像解析装置20へ画像情報Vdを送るようにしても良い。後者の場合、例えば、画像読取装置10により複数の被測定者の画像情報を取得して外付け記録媒体に記録し、後日、画像解析装置20を用いて各被測定者の重心位置を求めるということも可能となる。
【0050】
このような画像解析システム1の構成において、その動作例及び使用例を図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。図6において、破線の矢印は画像読取装置10と画像解析装置20の間でのデータの送受信を示す。
【0051】
先ず、画像読取装置10及び画像解析装置20を起動する。
【0052】
被測定者は、画像読取装置10のガラス板11に裸足の状態で両足を載せ、直立した状態となる。この際、通常の状態での重心位置が得られるように、画像読取装置10は、傾きがない平坦な場所に設置し、被測定者には計測であることを意識せずにリラックスした状態で直立してもらうようにする。被測定者の姿勢が整ったら、画像読取装置10に対象物のスキャンを開始させるために、測定者は画像解析装置20に設けられた動作開始ボタンを押下する。
【0053】
画像解析装置20は動作開始ボタンの押下を検知したら、入力制御部21より動作開始信号Sgを画像読取装置10に送信する(ステップS10)。
【0054】
画像読取装置10は、動作開始信号Sgを受信したら(ステップS20)、被測定者の足裏のスキャンを開始する(ステップS30)。被測定者には、スキャン中は動かないようにしてもらう。
【0055】
画像読取装置10は、光源を一定速度で移動させることにより、ガラス板11に載せられた足裏全体を照射し、その反射光がミラー及びレンズを介して画像読取手段に到達し、画像読取手段により画像情報Vdに変換される。画像情報Vdは、図2(B)の矢印で示される順序で画像解析装置20に送信される(ステップS40)。
【0056】
画像解析装置20は画像情報Vdを受信し(ステップS50)、入力制御部21が、受信した画像情報Vdを画像記憶部22に格納する(ステップS60)。
【0057】
画像情報Vdが画像記憶部22に格納されたら、接触領域検出部23は、画像記憶部22から画像情報Vd中のRGB値vr、vg及びvbを読み出す(ステップS70)。そして、関数Fを用いて、領域値rを求め(ステップS80)、接触情報Tdとして接触情報記憶部24に格納する(ステップS90)。
【0058】
全ての領域値rが接触情報記憶部24に格納されたら(ステップS100)、重心検出部25は、接触情報Tdを読み出し、重心位置Cdを検出する(ステップS110)。重心検出部25の動作例については、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0059】
接触情報記憶部24から読み出された接触情報Tdは探索領域設定部251並びに二等分線決定部252及び253に入力される。探索領域設定部251は、接触情報Td中の領域値rから足裏領域101を判別し、足裏領域101内の各画素の座標(X座標、Y座標)より、探索領域102の縦辺102A及び102B並びに横辺102C及び102Dを求める(ステップS111)。縦辺102A及び102Bは、縦辺情報Svとして、二等分線決定部252に入力され、横辺102C及び102Dは、横辺情報Shとして、二等分線決定部253に入力される。
【0060】
二等分線決定部252は、接触情報Td及び縦辺情報Svを入力したら、縦辺102A及び102Bの間の中央に分割線を設定する(ステップS112)。そして、分割線と縦辺102A及び102Bとで挟まれた2つの範囲での接触領域の面積の比較と、その比較結果に応じた分割線の移動により、接触領域の面積を二等分する二等分線Bvを求める(ステップS113)。二等分線Bvは重心決定部254に入力される。
【0061】
同様に、二等分線決定部253は、接触情報Td及び横辺情報Shを入力したら、横辺102C及び102Dの間の中央に分割線を設定し(ステップS114)、分割線と横辺102C及び102Dとで挟まれた2つの範囲での接触領域の面積の比較と、その比較結果に応じた分割線の移動により、接触領域の面積を二等分する二等分線Bhを求める(ステップS115)。二等分線Bhも重心決定部254に入力される。
【0062】
重心決定部254は、入力した二等分線Bv及びBhより重心位置Cdを求める(ステップS116)。重心位置Cdは表示制御部26に入力される。
【0063】
なお、二等分線決定部252の動作(ステップS112及びS113)と二等分線決定部253の動作(ステップS114及びS115)は、逆の順番で実行されても、平行して実行されても良い。
【0064】
重心位置Cdを入力した表示制御部26は、接触情報記憶部24に記憶された接触情報Tdを読み出す(ステップS120)。そして、接触情報Td中の領域値rに対応する色を、予め設定された色の中から決定し、接触情報記憶部24に記憶されている順番に応じたディスプレイ上の位置に、決定した色を表示する。また、重心位置Cdに対応するディスプレイ上の位置に、重心位置を表す×印を表示する(ステップS130)。
【0065】
なお、画像解析装置20に、重心位置の表示を開始するボタンを、動作開始ボタンと同様の形態で用意し、そのボタンが押されたら、ステップS70~S130を実行するようにしても良い。
【0066】
接触情報Td及び重心位置Cdの表示例を図8に示す。図8には、接触情報Tdに基づいて、足裏領域101を構成する接触領域101A及び非接触領域101Bと、重心位置Cdに基づいて、重心位置103が表示されており、更に、探索領域102が表示されている。このように、足裏領域と共に重心位置を表示することにより重心位置を的確に把握することができると共に、足裏全体における重心の位置を見ることにより、被測定者の体の歪の推測等の一助とすることができる。
【0067】
なお、重心検出部25は、外周が足裏領域101と接する矩形状の領域を探索領域102として重心位置Cdを検出しているが、外周が接触領域101Aと接する矩形状の領域を探索領域102として重心位置Cdを検出しても良い。この場合、表示制御部26が、接触領域101A及び非接触領域101Bではなく、接触領域101Aのみを表示することにすると、接触領域検出部23での非接触領域101Bの検出は不要となり、接触情報Tdは接触領域を示す番号とそれ以外を示す番号の二値の情報となる。
【0068】
画像読取装置10は、図2(B)に示される矢印の順序で画像情報Vdを出力し、画像解析装置20は、その順序に従って接触情報Tdの算出、記憶及び表示を行っているので、ディスプレイの画面上での接触情報Tdの表示位置は一意に決まるが、画像情報Vd及び接触情報Tdに座標等の位置情報を付加し、位置情報を基に表示位置を決めるようにしても良い。また、画像記憶部22はRGB値からなる画像情報Vdを記憶しているが、記憶容量の削減等のために、圧縮された画像情報を記憶するようにしても良い。接触情報Tdも圧縮して、接触情報記憶部24に記憶するようにしても良い。更に、画像読取装置10から画像解析装置20に送信される画像情報Vdは、画像記憶部22に格納され、接触領域検出部23は画像記憶部22内の画像情報Vdから接触情報Tdを求めているが、画像情報Vdを画像記憶部22に格納せず、画像読取装置10から送信される画像情報Vdを順次用いて接触情報Tdを求めるようにしても良い。この場合、画像記憶部22は不要となる。
【0069】
本発明の他の実施形態について説明する。
【0070】
画像解析装置にプリンタ等を接続して印刷機能を付加し、接触情報及び重心位置をディスプレイに表示するだけではなく、印刷することも可能である。この場合の画像解析装置の構成例(第2実施形態)を図9に示す。第1実施形態の画像解析装置20と比べると、第2実施形態の画像解析装置40では、重心位置記憶部27及び印刷制御部28が追加されており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0071】
重心位置記憶部27は、重心検出部25から出力される重心位置Cdを記憶する。
【0072】
印刷制御部28にはプリンタ(図示せず)が接続されており、印刷制御部28は、接触情報記憶部24に記憶されている接触情報Td及び重心位置記憶部27に記憶された重心位置Cdを読み出し、プリンタに出力する。即ち、印刷制御部28は、接触情報Td中の領域値rを順次入力し、表示制御部26と同様の手順により領域値rに対応した色を決定し、プリンタに出力して印刷すると共に、重心位置Cdに対応する位置に×印等を印刷する。
【0073】
なお、表示制御部26も、重心検出部25から重心位置Cdを入力するのではなく、重心位置記憶部27に記憶された重心位置Cdを使用するようにしても良い。また、表示制御部26を削除し、接触情報及び重心位置の出力をプリンタによる印刷のみに特化しても良い。この場合、重心位置記憶部27も削除可能である。
【0074】
第1実施形態では、画像情報Vdから重心位置のみを求めているが、画像情報Vdからはその他にも有用な情報を抽出することができるので、それらを求めることも可能である。この場合の画像解析装置の構成例(第3実施形態)を図10に示す。第1実施形態の画像解析装置20と比べると、第3実施形態の画像解析装置50では、関連情報抽出部29が追加され、表示制御部26が表示制御部56に代わっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0075】
関連情報抽出部29は、画像記憶部22に記憶された画像情報Vdから被測定者の足裏に関連する情報を抽出し、関連情報Rdとして表示制御部56に出力する。関連情報として、例えば、足裏の圧力分布、モアレ画像、足裏の長さ及び横幅、足指の角度等を抽出する。
【0076】
足裏の圧力分布は、接触領域検出部23での接触領域の検出と同様に、画像情報Vdに含まれる色情報を用いて求めることができる。足裏に圧力を加えることによる足裏の色の変化の割合は、加える圧力の大きさに依存することを利用して、圧力分布を求める。接触領域検出部23は足裏領域を接触領域及び非接触領域の2つに分類しているが、この分類する数を増やし(例えば16分類)、足裏領域を圧力に応じて段階的に分類した圧力分布を求める。この圧力分布を、段階毎に設定された色を用いて表示することにより、圧力の違いを分かり易く把握することができるようになり、足の内側及び外側並びに前及び後ろに圧力がどのようにかかっているのか、足の指がそれぞれ接地しているのか等、体のバランスを容易に確認することができる。また、重心位置と圧力分布を比較することにより、体の歪み等を推測することができる。なお、足裏の圧力分布を求めるとした場合、接触領域検出部23での接触領域及び非接触領域の検出を、圧力分布を用いて行っても良い。即ち、圧力分布と接触領域及び非接触領域とを対応付けることにより、圧力分布から接触領域及び非接触領域を決定する。
【0077】
モアレ画像は、モアレと呼ばれる光の干渉の現象を利用して、様々な物体の等高線を描く方法であるモアレ・トポグラフィーにより生成された画像のことである。足裏のモアレ画像の例を図11に示す。モアレ画像を利用することにより、目視では確認が難しい足裏の凹凸等の足裏の形を詳細に確認することが可能となる。例えば、土踏まずの形状がどうなっているか、タコや魚の目等がないか、等を確認することができる。
【0078】
足指の角度として、例えば親指の角度(外反母趾角)、小指の角度(内反小趾角)、開帳角(FICK角)を求める。足裏の画像にこれらの値を表示させることにより、外反母趾や内反小趾の診断に利用することができる。
【0079】
上述の実施形態(第1~第3実施形態)において、画像記憶部22に記憶された画像情報、接触情報記憶部24に記憶された接触情報及び第2実施形態での重心位置記憶部27に記憶された重心位置の内の少なくとも1つを、解析が終了した後も記憶したままとするか、或いは他の外部記録媒体に記録することにより、過去の解析結果との比較を可能とすることができる。これにより、治療や施術による効果、体のバランスの経年変化等を確認することが可能となる。
【0080】
上述の実施形態は、画像記憶部、接触情報記憶部及び重心位置記憶部をメモリとして、それ以外の構成要素の処理を、上述のようにプログラムとして実現することにより、コンピュータとメモリの構成で実現可能である。各構成要素は専用IC(Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアでも実現可能である。また、本発明は、上述の画像読取装置及び画像解析装置を備える画像解析システムとして実現しても、画像情報は既存製品等を利用して取得するようにして、画像解析装置として実現しても良い。更に、本発明は、方法又はプログラムとしての形態を取ることも可能である。
【0081】
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 画像解析システム
10 画像読取装置
11 ガラス板
20、40、50 画像解析装置
21 入力制御部
22 画像記憶部
23 接触領域検出部
24 接触情報記憶部
25 重心検出部
26、56 表示制御部
27 重心位置記憶部
28 印刷制御部
29 関連情報抽出部
30 ケーブル
101 足裏領域
102 探索領域
103 重心位置
251 探索領域設定部
252、253 二等分線決定部
254 重心決定部

【要約】
【課題】足裏画像等の画像情報から、演算量を抑えた簡易な方法で重心位置を求めることができる画像解析システム、画像解析装置、画像解析方法、及び画像解析プログラムを提供する。
【解決手段】被測定者の部位の画像情報を読み取る画像読取装置と、画像情報を用いて部位に関する解析を行う画像解析装置と、を備える画像解析システムであって、画像読取装置が、被測定者の部位が接触する接触板と、接触板に対して、部位が接触している面の反対側の面に光を照射することにより、画像情報を取得する画像取得部と、を備え、画像解析装置が、画像情報から、部位が接触板に接触している接触領域を検出し、接触領域に関する接触情報を求める接触領域検出部と、接触情報を基に求められる、接触領域の面積を二等分する少なくとも2本の二等分線の交点より、被測定者の重心位置を求める重心検出部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11