(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/053 20210101AFI20221111BHJP
【FI】
A61B5/053 ZDM
(21)【出願番号】P 2021549901
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(86)【国際出願番号】 CN2019082729
(87)【国際公開番号】W WO2020210949
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】521375313
【氏名又は名称】麦層移動健康管理有限公司
【氏名又は名称原語表記】MSHEAF HEALTH MANAGEMENT TECHNOLOGIES LIMITED
【住所又は居所原語表記】Room 812, 8/F, Ocean Centre, Harbour City, TST Kowloon, Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】易 成
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲りん▼
(72)【発明者】
【氏名】何 碧霞
(72)【発明者】
【氏名】謝 鵬
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/158166(WO,A1)
【文献】特開平10-107758(JP,A)
【文献】特表2013-531525(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0067063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法であって、体液、血流、及び/又は心血管循環組織の変化を捉えるために使用され、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの特徴を有する異なる周波数の複数の同期交流電流を生成して、人体又は動物の体内に伝達することと、人体又は動物の体内組織及びその変化によって変調された交流電流を受けることと、前記変調された交流電流を増幅し、デジタル信号にデジタル変換することと、前記デジタル信号を前処理し、前記前処理は、前記デジタル信号を直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスにセグメント化し、高速フーリエ変換(FFT)を使用して前記直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスを復調して、周波数領域信号を取得することと、前記周波数領域信号に基づいて、目標組織の状態を推定することと、を含
み、
前記周波数領域信号に基づいて、目標組織の状態を推定することは、前記周波数領域信号を分離し、分離された前記周波数領域信号をフィルタリングすることと、目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算することと、前記抵抗と静電容量の値を使用して、前記目標組織の状態を推定することとを含み、
前記周波数領域信号を分離することは、前記周波数領域信号の複素インピーダンスで、システム識別とチャネル推定法により人体システム伝達関数を計算することを含む、ことを特徴とする体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法。
【請求項2】
逆高速フーリエ変換(IFFT)又は直交周波数分割多重(OFDM)を使用して、異なる周波数の複数の同期交流電流を同時に生成することは、周波数領域から時間領域に同期された異なる周波数の複数の前記交流電流を生成することを含み、異なる周波数の前記交流電流は周期的であり、前記交流電流の強度、位相及び/又は周波数は調整可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法。
【請求項3】
人体又は動物の体内組織の変化によって変調された交流電流を受けることは、前記交流電流の周期を決定して、各前記周期で前記変調された交流信号を同期的に受けることを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法。
【請求項4】
目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算することは、前記人体システム伝達関数に基づいて、前記目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算することを含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法。
【請求項5】
前記抵抗と静電容量の値を使用して前記目標組織の状態を推定することは、前記抵抗と静電容量の値を使用してマルチコンパートメントモデリングを実行することを含み、各コンパートメントは、並列の抵抗と静電容量で構成され、コンパートメントは直列、並列、又は直並列に接続される、ことを特徴とする請求項
1に記載の体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法。
【請求項6】
前記マルチコンパートメントモデリングは、2コンパートメントモデリングであり得、結合組織は電極と目標組織との間にある、ことを特徴とする請求項
5に記載の体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法。
【請求項7】
前記周波数の範囲は10KHz~1MHzである、ことを特徴とする請求項1に記載の体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実現するためのシステムであって、端末とプロセッサを含み、前記端末は、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの特徴を有する異なる周波数の複数の同期交流電流を生成するための発生器と、前記交流電流を人体又は動物の体内に伝達し、人体又は動物の体内組織の変化によって変調された交流電流を受けるための1つ又は複数のセンサと、前記変調された交流電流を増幅し、デジタル信号にデジタル変換するための1つ又は複数の増幅器と、前記デジタル信号を直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスにセグメント化し、高速フーリエ変換(FFT)を使用して前記直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスを復調して、周波数領域信号を取得するための前処理モジュールと、を含み、前記プロセッサは、抵抗と静電容量の値を計算するために、及び/又は前記抵抗と静電容量の値を使用して目標組織の状態を推定するために使用され
、
前記前処理モジュールはまた、前記周波数領域信号を分離し、分離された前記周波数領域信号をフィルタリングするために使用され、前記分離は、前記周波数領域信号の複素インピーダンスで、システム識別とチャネル推定法により人体システム伝達関数を計算することを含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記発生器は、周波数領域から時間領域に異なる周波数の複数の前記交流電流を生成するために使用され、異なる周波数の前記交流電流は周期的であり、前記交流電流の強度、位相及び/又は周波数は調整可能である、ことを特徴とする請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記交流電流の周期を決定し、各前記周期で前記変調された交流信号を同期的に受信するために使用される、ことを特徴とする請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサは、異なる部位から単一又は複数のデータを収集するために使用される、ことを特徴とする請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
加速器をさらに含み、前記加速器は、目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算するために使用され、前記計算は、前記人体システム伝達関数に基づく計算を含む、ことを特徴とする請求項
8に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記抵抗と静電容量の値によりマルチコンパートメントの等価回路を構築し、各コンパートメントは、並列に接続された抵抗と静電容量を含み、複数のコンパートメントは直列、並列、又は直並列に接続される、ことを特徴とする請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、前記プロセッサの処理結果とデータを記憶するためのデータベースを含み得、前記プロセッサは、前記データベースを検索し得る、ことを特徴とする請求項
8~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサはリモートであり得、リアルタイムモードでのシステムの動作をリモートで監視し得る、ことを特徴とする請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記端末は、システムを制御及び/又は結果を表示するためのマンマシンインターフェースをさらに含む、ことを特徴とする請求項
8~15のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体インピーダンス及びバイオリアクタンスの測定は、血流量及び体液レベルを測定するための非侵襲的方法として広く探求されている。これらの技術は、医学分野で広く受け入れられているが、幾つかの欠点がある。まず、すべての計算されるパラメータは、周波数に関連するインピーダンスに基づいている。それらは、心血管の状態を間接的に表すことしかできない。また、それらは周波数に関連するため、周波数選択性の影響を受ける。次に、結合組織のインピーダンスは、インピーダンスの測定において重要な役割を果たす。従来の生体インピーダンスとバイオリアクタンスの測定は、周囲組織のインピーダンスと目標組織のインピーダンスの混合結果であるが、場合によっては、どちらが主導的地位を占めるかを判断することが困難である。従って、混合インピーダンスは個人によって異なり、同じ人であっても、組織の状態によって異なる。従って、生体インピーダンスとリアクタンスは、体液と心血管循環の特徴を表すための良好な候補ではない。
【0003】
電気的な観点から、生体組織の特徴は導体と非導体に現れる。導体は導電率(抵抗率の逆数)で測定でき、非導体は静電容量又は誘電率で測定できる。広く認められている人体組織モデルはColeモデルである。基本的には、交流電流は主に細胞外液によって伝導され、細胞外液は主に1KHzなどの低周波抵抗である。交流電流の周波数が高くなると、交流電流は細胞外液と細胞を通過する。細胞には、キャパシターと同様に機能する膜があるため、交流電圧には相変化がある。周波数が増加し続けて、1MHzを超えると、総インピーダンスにおける細胞の膜効果は無視できるようになり、総インピーダンスは再び純粋な抵抗になる。Coleモデルはこの行為を説明する。
【0004】
任意の組織が変化すると、基本的にその抵抗(又はコンダクタンス)と静電容量が変化する。従って、組織の変化を示すために、組織の抵抗と静電容量の変化の測定は、結合組織のインピーダンスとリアクタンスを含む生体インピーダンスとバイオリアクタンスの混合よりも信頼性が高い。組織のコンダクタンスと静電容量は周波数に関連するため、周波数帯域を選択する必要がある。組織の情報は主に10KHz~1MHzの周波数帯域内にあると一般に信じられている。組織のコンダクタンスと静電容量を測定するために、10KHz~1MHzの周波数帯域の多周波数交流励起(電流)を使用する。高速(逆)フーリエ変換(FFT/IFFT)又は直交周波数分割多重(OFDM)法は、同期した多周波数を生成及び復調するために一般的に使用される方法である。各周波数の位相は制御可能であり、任意に調整できる。これは、ランダムシーケンスによって生成される準多周波数同期信号よりも優れている。オームの法則によれば、多周波数交流の電流から組織のコンダクタンスと静電容量を計算することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の問題を解決するために、体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法及びそのシステムを提案し、体液の変化、血液の流れ及び心血管循環の変化を捉えて、目標組織の特徴情報の正確な検出を実現し、さらに、人体や生体の状態を取得することを目的とする。前記方法は、主に生体の健康状態の監視、心血管系の弾性力学の測定と検証に使用され、主に非治療目的の情報検出に使用される。
【0006】
上記の目的を実現するために、本発明は、以下の技術的解決策を提供する。
【0007】
体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法であって、前記方法は、体液、血流、及び/又は心血管循環組織の変化を捉えるために使用される。前記方法は、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの特徴を有する異なる周波数の複数の同期交流電流を生成して、人体又は動物の体内に伝達することと、人体又は動物の体内組織及びその変化によって変調された交流電流を受けることと、前記変調された交流電流を増幅し、デジタル信号にデジタル変換することと、前記デジタル信号を前処理し、前記前処理は、前記デジタル信号を直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスにセグメント化し、高速フーリエ変換(FFT)を使用して前記直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスを復調して、周波数領域信号を取得することと、前記周波数領域信号に基づいて、目標組織の状態を推定することと、を含む。
【0008】
好ましくは、逆高速フーリエ変換(IFFT)又は直交周波数分割多重(OFDM)を使用して、異なる周波数の複数の同期交流電流を同時に生成することは、周波数領域から時間領域に同期された異なる周波数の複数の前記交流電流を生成することを含み、異なる周波数の前記交流電流は周期的であり、前記交流電流の強度、位相及び/又は周波数は調整可能である。
【0009】
好ましくは、人体又は動物の体内組織の変化によって変調された交流電流を受けることは、前記交流電流の周期を決定して、各前記周期で前記変調された交流信号を同期的に受信することを含む。
【0010】
好ましくは、前記周波数領域信号に基づいて目標組織の状態を推定することは、前記周波数領域信号を分離し、分離された前記周波数領域信号をフィルタリングすることと、前記周波数領域信号に基づいて抵抗と静電容量の値を計算することと、前記抵抗と静電容量の値を使用して、前記目標組織の状態を推定することと、を含む。
【0011】
好ましくは、前記周波数領域信号を分離することは、前記周波数領域信号の複素インピーダンスで、システム識別とチャネル推定法により人体システム伝達関数を計算することを含む。
【0012】
好ましくは、目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算することは、前記人体システム伝達関数に基づいて、前記目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算することを含む。
【0013】
好ましくは、前記抵抗と静電容量値を使用して前記目標組織の状態を推定することは、前記抵抗と静電容量の値を使用してマルチコンパートメントモデリングを実行することを含み、各コンパートメントは、並列の抵抗と静電容量で構成され、コンパートメントは直列、並列、又は直並列に接続される。
【0014】
好ましくは、前記マルチコンパートメントモデリングは、2コンパートメントモデリングであり得、結合組織は電極と目標組織との間にある。
【0015】
好ましくは、前記周波数の範囲は10KHz~1MHzである。
【0016】
上記の目的を実現するために、本発明は、以下の技術的解決策をさらに提供する。
【0017】
上記の方法のいずれかを実現するための方法であって、前記システムは端末とプロセッサを含む。前記端末は、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの特徴を有する異なる周波数の複数の同期交流電流を生成するための発生器と、前記交流電流を人体又は動物の体内に伝達し、人体又は動物の体内組織の変化によって変調された交流電流を受けるための1つ又は複数のセンサと、前記変調された交流電流を増幅し、デジタル信号にデジタル変換するための1つ又は複数の増幅器と、OFDMシンボルの特性を用いて、デジタル信号をセグメント化してOFDMシンボルシーケンスとして入力する前処理モジュールと、を含む。高速フーリエ変換(FFT)を使用して直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを復調して、周波数領域信号を取得する。前記プロセッサは、抵抗と静電容量の値を計算するために、及び/又は前記抵抗と静電容量の値を使用して目標組織の状態を推定するために使用される。
【0018】
好ましくは、前記発生器は、周波数領域から時間領域に異なる周波数の複数の前記交流電流、即ち、OFDMシンボルを生成するために使用される。異なる周波数の前記交流電流は周期的であり、即ち、OFDMシンボルは繰り返し出力される。前記交流電流の強度、位相及び/又は周波数は調整可能である。
【0019】
好ましくは、前記プロセッサは、前記交流電流の周期、即ち、OFDMシンボルの長さを決定し、各前記周期で前記変調された交流信号を同期に受信するために使用される。
【0020】
好ましくは、前記センサは、異なる部位から単一又は複数のデータを収集するために使用される。
【0021】
好ましくは、前記前処理モジュールはまた、前記周波数領域信号を分離し、分離された前記周波数領域信号をフィルタリングするために使用される。
【0022】
好ましくは、前記システムは加速器をさらに含む。前記加速器は、前記周波数領域信号に基づいて抵抗と静電容量の値を計算するために使用される。前記計算は、システム識別又はチャネル推定プログラムを使用することを含む。
【0023】
好ましくは、前記プロセッサは、前記抵抗と静電容量の値によりマルチコンパートメントの等価回路を構築し、各コンパートメントは、並列に接続された抵抗と静電容量を含み、複数のコンパートメントは直列、並列、又は直並列に接続される。
【0024】
好ましくは、前記システムは、前記プロセッサの処理結果とデータを記憶するためのデータベースを含み得る。前記プロセッサは、前記データベースを検索することができる。
【0025】
好ましくは、前記プロセッサはリモートであり得、リアルタイムモードでのシステムの動作をリモートで監視し得る。
【0026】
好ましくは、前記端末は、システムを制御及び/又は結果を表示するためのマンマシンインターフェースをさらに含む。
【0027】
本発明は、体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法及びシステムに関する。従来技術と比較して、本発明は、異なる周波数の複数の同期周期的交流電流を同時に人体に適用し、体内組織で変調された信号を受信した上で復調し、心血管系と周囲の組織からの情報を指定された周波数の搬送波から抽出する。システム識別又はチャネル推定プログラムを実行することで、心血管循環系と周囲の組織の組み合わせ情報を取得する。次に、システム伝達関数から心血管系とその周囲の組織の抵抗と静電容量を計算する。その結果、心血管系とその周囲の組織を区別する。計算された抵抗と静電容量を使用して、体液と心血管循環組織の状態を表す。それにより、対応する状態情報を正確且つ確実に取得することができ、目標組織の正確な測定を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下、添付の図面及び実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明する。
【
図1】本発明の好ましい実施例に係る端末システムの模式図である。
【
図2】本発明の好ましい実施例に係る端末の機能又は構造の模式図である。
【
図3】本発明の好ましい実施例に係るシステムの構造模式図である。
【
図4】本発明の好ましい実施例に係るマルチコンパートメントモデル測定回路の模式図である。
【
図5】本発明の好ましい実施例に係るシステムテスト回路の構造模式図である。
【
図6a-6c】本発明の好ましい実施例に係るシステムテストが抵抗ネットワーク上の時間領域信号と周波数応答を測定する結果の模式図である。
【
図7a-7b】本発明の好ましい実施例に係る、理想的に放出された10個の同期トーンの波形図である。
【
図8】本発明の好ましい実施例に係るシステムが実際に信号を受信する模式図である。
【
図9】本発明の好ましい実施例に係る外部信号の受信の模式図、即ち、人体信号の模式図である。
【
図10a-10b】本発明の好ましい実施例に係る内部抵抗ネットワークの振幅と位相応答の模式図である。
【
図11a-11b】本発明の好ましい実施例に係る、実測された人体の振幅と位相応答の模式図である。
【
図12a-12b】本発明の好ましい実施例に係る、修正された人体の振幅と位相応答の示意 図である。
【
図13】本発明の好ましい実施例に係るシステム識別後の伝達関数と人体の周波数応答の模式図である。
【
図14a-14c】本発明の好ましい実施例に係る大動脈測定の2コンパートメントモデルの動脈結果の模式図である。
【
図15a-15c】本発明の好ましい実施例に係る大動脈測定の2コンパートメントモデルの周辺結果の模式図である。
【
図16a-16c】本発明の好ましい実施例に係る心室測定の2コンパートメントモデルの心室結果の模式図である。
【
図17a-17c】本発明の好ましい実施例に係る心室測定の2コンパートメントモデルの周辺結果の模式図である。
【
図18a-18c】本発明の好ましい実施例に係る上胸部測定の2コンパートメントモデルの動脈結果の模式図である。
【
図19a-19c】本発明の好ましい実施例に係る上胸部測定の2コンパートメントモデルの周辺結果の模式図である。
【
図20a-20c】本発明の好ましい実施例に係る右肺測定の2コンパートメントモデルの動脈/静脈結果の模式図である。
【
図21a-21c】本発明の好ましい実施例に係る右肺測定の2コンパートメントモデルの周辺結果の模式図である。
【
図22a-22c】本発明の好ましい実施例に係る左肺測定の2コンパートメントモデルの動脈/静脈結果の模式図である。
【
図23a-23c】本発明の好ましい実施例に係る左肺測定の2コンパートメントモデルの周辺結果の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、添付の図面を併せて、本発明さらに詳細に説明する。これらの図面はすべて、簡略化された模式図であり、単に本発明の基本構造を例示的に説明するためのものであるため、本発明に関連する構造のみを示している。
【0030】
本発明は、組織の抵抗と静電容量及びそれらの変化パターンなど、生体内組織の電気特性を検出するための非侵襲的技術に関する。その目標は、体液の変化、血液の流れ及び心血管循環組織の変化を捉え、生体の健康状態の監視、心血管系の弾性力学の検出と検証に使用し、非治療目的の情報検出にも使用することである。
【0031】
本発明によって提供される方法は、体液と血流、動脈、心臓及び肺の状態を含む人又は動物の組織状態を検出するために使用され、組織の抵抗と静電容量の変化を抽出することで、心血管循環、体液及び心血管組織(心臓と肺を含む)状態との定量的相関性を取得する。これに基づいて、本発明の一実施例によって提供される測定方法は、少なくとも以下を含む。
【0032】
1.逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの特徴を有する異なる周波数の複数の同期交流電流を生成して、人体又は動物の体内に伝達する。
【0033】
具体的には、送信端で、本実施例は、逆高速フーリエ変換(IFFT)又は直交周波数分割多重(OFDM)などのデジタル信号処理技術を使用して、周波数領域から時間領域に異なる周波数の複数の交流電流(AC)、いわゆる直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスを生成する。前記異なる周波数の複数の交流電流は周期的であり、OFDMシンボルの長さが周期とされ、異なる周波数の複数の交流電流が同時に人体に適用される。ここで、前記交流電流の強度、位相及び/又は周波数は調整可能である。
【0034】
2.人体又は動物の体内組織の変化によって変調された交流電流を受ける。
【0035】
具体的には、受信端では、交流電流の周期、即ち、OFDMシンボルの長さを決定し、変調された交流信号、即ち、人体によって変調されたOFDMシンボルを各周期で受信する。オプションの実施例では、OFDMシンボルの特徴に従って、その周期と開始点を見つける。次に、各OFDM シンボルを復調して、周波数領域信号を得る。
【0036】
オプションの実施例では、異なる周波数の複数の交流電流は、電極を通過しながら人体に注入され、幾つかの外部の電子部品とループを形成する。電流が人体内で伝播されるとき、それは、ループにおける身体組織と組織変化によって調整される。受信回路と注入回路は部分的に重なるので、重なる部分の人体組織で変調された信号を検出することができる。
【0037】
3.変調された交流電流を増幅し、デジタル信号にデジタル変換する。
【0038】
オプションの実施例では、受信される人体又は動物体によって変調された交流電流は、電流信号、又は変換された電圧信号であり得る。それはまとめて変調されたOFDMシンボルシーケンスと呼ばれる。それは、増幅された後、デジタル信号に変換される。オプションの実施例では、心電図(ECG)信号も変調信号に重ね合わされる。デジタル変換の前にローパスフィルタリングで心電図(ECG)を分離し、個別に増幅し、デジタルフォーマット信号に変換して、次の処理にさらすことができる。
【0039】
4.デジタル信号を前処理する。前処理は、デジタル信号を直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスにセグメント化し、高速フーリエ変換(FFT)を使用して直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスを復調して、周波数領域信号を取得することを含む。
【0040】
具体的には、発射信号の周期と信号の特性、即ち、OFDMシンボルの周期と特性に従って、デジタル信号をOFDMシンボルのシーケンスにセグメント化し、高速フーリエ変換(FFT)を使用して、各OFDMシンボルを復調して、周波数領域信号を得る。
【0041】
オプションの実施例では、受信されたデジタル信号においてOFDMシンボルの特徴を見つける。周期は既知である。特徴的なセグメントを見つけた後、OFDMシンボルの開始点を決定することができる。このときの受信された信号は、OFDMシンボルを単位としてのシーケンスになる。高速フーリエ変換(FFT)を使用して各OFDMシンボルを復調し、信号を周波数領域に変換することができる。
【0042】
5.周波数領域信号に基づいて、目標組織の状態を推定する。
【0043】
具体的には、周波数領域信号を分離し、分離された周波数領域信号をフィルタリングする。周波数領域信号に従って人体組織のシステム伝達関数を計算し、システム伝達関数から組織の抵抗と静電容量の値を計算する。抵抗と静電容量の値を使用して、目標組織の状態を推定する。
【0044】
オプションの実施例では、異なる周波数(トーンとも呼ばれる)の複数の交流電圧の実数部と虚数部、又は振幅と位相の変化を同時に検出する。複数のトーンの振幅と位相から人体のシステム伝達関数を計算し、人体のシステム伝達関数のパラメータから人体内の組織の抵抗と静電容量を計算する。
【0045】
計算された抵抗と静電容量を使用して、体液と心血管循環組織の状態を表す。具体的には、抵抗と静電容量の値を使用して、マルチコンパートメントモデリングを実行する。各コンパートメントは、並列の抵抗と静電容量で構成され、コンパートメントは互いに直列、並列、又は直並列に接続される。
【0046】
オプションの実施例では、2コンパートメントRC(抵抗と静電容量)モデルは、目標組織をシミュレートするために使用される。マルチコンパートメントを使用して、人体をシミュレートすることができる。例えば、胸腔の測定では、1方のコンパートメントは、心血管循環系の主要部分である動脈、及び/又は心房と心室を表す。他方のコンパートメントは、電極と心血管循環系の間の結合組織を表す。各コンパートメントは、統合された抵抗と静電容量で構成された並列RCネットワークによって表される。心臓又は動脈系は電極に直接接続されていないため、2つのコンパートメントは直列に接続される。結合組織は常に測定電極と心臓動脈の間にある。次に、システム識別又はチャネル推定技術は、統合されたR(抵抗)とC(静電容量)の値を計算するために使用される。RとCの値は、体液、血流、及び心血管循環組織を推定するために使用される。2コンパートメントモデルの利点は、心血管循環系を周囲の組織から分離することである。
図4に示すように、2コンパートメントモデルに基づいて、1つの並列RCネットワークに、2つの互いに直列に接続された並列RCネットワークが並列に接続される3コンパートメントモデルもある。オプションの実施例では、3コンパートメントモデルは、実際の人体組織により適しているが、計算量が大きく、安定性が低い。
【0047】
本発明の別の実施例によって提供される方法は以下を含む。
【0048】
1.逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの特徴を有する異なる周波数の複数の同期交流電流を生成して、人体又は動物の体内に伝達する。
【0049】
具体的には、送信端で、本実施例は、デジタル信号処理技術、例えば、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成し、即ち、周波数領域から時間領域に異なる周波数の複数の交流電流(AC)を生成する。該異なる周波数の複数の交流電流は周期的であり、周期はOFDMシンボルの長さである。また、異なる周波数の複数の交流電流は人体に同時に適用される。ここで、前記交流電流の強度、位相及び/又は周波数は調整可能である。
【0050】
オプションの実施例では、これらの交流電流の組み合わせによる周期(OFDMシンボル)は、
図7aと
図7bに示される。ここで、
図7aは、1024点の逆高速フーリエ変換(IFFT)による元のタイムシーケンス図の結果(OFDMシンボル)である。ここでは、10個の直交する同期の正弦波がある。
図7bは、4倍の元のタイムシーケンス図の結果である。時間領域では、このシーケンスは無限に繰り返される。
【0051】
2.人体又は動物の体内組織の変化によって変調された交流電流を受ける。
【0052】
具体的には、受信端では、交流電流の周期、即ち、OFDMシンボルの長さを決定し、人体によって変調されたOFDMシンボルの交流信号を各周期で受信する。オプションの実施例では、OFDMシンボルの特徴に従って、その周期と開始点を見つける。次に、各OFDMシンボルを復調して、周波数領域信号を得る。
【0053】
オプションの実施例では、異なる周波数の複数の交流電流は、電極を通過しながら人体に注入され、幾つかの外部の電子部品とループを形成する。オプションの実施例では、電流が人体内で伝播されるとき、それは、ループにおける身体組織と組織変化によって調整される。受信回路と注入回路は部分的に重なるので、重なる部分の人体組織で変調された信号を検出することができる。
【0054】
オプションの実施例では、受信端でサンプリングすることによって得られた数百万の点のシーケンスは
図8に示される。前端の小振幅部分は、内部抵抗の測定シーケンスであり、後ろの大振幅のシーケンスは、外部で測定された人体のシーケンスである。オプションの実施例では、毎回の測定において、システムのランダムな誤差を低減するために、内部の周波数応答を使用して外部の周波数応答を修正する。心電信号が高周波数信号に結合されたため、内部抵抗の大振幅のパルスは擬似心電データである。オプションの実施例では、変調電圧信号を受信した後、事前に決定されたシステム時間遅延に従って、OFDMシンボルを受信する開始点を見つけ、受信された信号をOFDMシンボルシーケンスに変換し、即ち、受信端を送信端と同期させる。
【0055】
3.変調された交流電流を増幅し、デジタル信号に変換する。
【0056】
オプションの実施例では、受信される人体又は動物体によって変調された交流電流は、受信回路中で電流信号又は電圧信号であり得る。オプションの実施例では、心電図(ECG)信号も変調信号に重ね合わされる。デジタル変換の前にローパスフィルタリングで心電図(ECG)を分離することができる。様々なニーズに応じて、様々な信号をサンプリングし、サンプリングされた信号を変調し増幅し、デジタルフォーマット信号に変換して次の処理にさらす。
【0057】
4.デジタル信号を前処理する。前処理は、デジタル信号を直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスにセグメント化し、高速フーリエ変換(FFT)を使用して直交周波数分割多重(OFDM)シンボルシーケンスを復調して、周波数領域信号を取得することを含む。
【0058】
具体的には、発射信号の周期と信号の特性、即ち、OFDMシンボルの周期と特性に従って、デジタル信号をOFDMシンボルのシーケンスにセグメント化し、高速フーリエ変換(FFT)を使用して、各OFDMシンボルを復調して、周波数領域信号を得る。
【0059】
オプションの実施例では、同期の受信された信号を復調する。受信されたデジタル信号においてOFDMシンボルの特徴を見つける。周期が既知である。特徴的なセグメントを見つけた後、OFDMシンボルの開始点を決定することができる。このときの受信された信号は、OFDMシンボルを単位としてのシーケンスである。高速フーリエ変換(FFT)を使用して各OFDMシンボルを復調し、信号を周波数領域に変換することができる。
【0060】
オプションの実施例では、
図9に示すように、これは振幅周波数応答図である。システムは、10個のトーンと幾つかの干渉を受信し、干渉は、それらの10個のトーンに影響を与えない。この周波数応答からこれらの10個のトーンの応答を抽出する。合計10個の内部トーン及び10個の外部トーンが得られる。内部の10個のトーンの応答は
図10に示される。外部の10個のトーンの応答は
図11a~11bに示される。外部の周波数応答には、内部の周波数応答が含まれる。
【0061】
オプションの実施例では、外部周波数応答から内部周波数応答を除去する模式図は
図12a~12bに示される。ここでも、人体の周波数応答を得るための修正には、外部抵抗ネットワークが必要である。
【0062】
オプションの実施例では、人体システムの周波数応答を得た後、システム識別を行う。ただし、それは位相ノイズにも非常に敏感である。そのため、位相と振幅のタイムシーケンスを得た後、それらをフィルタリングする必要がある。人間の心拍動は基本的に1~2ヘルツであるため、10ヘルツのローパスフィルタを使用することができる。
【0063】
5.周波数領域信号を分離し、分離された周波数領域信号をフィルタリングする。
【0064】
具体的には、人体のマルチコンパートメントモデルを想定した後、システム識別を行う。システムが識別可能である場合、システム伝達関数の各正の係数が得られる。即ち、システム伝達関数の負の根が得られる。正の根又は複素根を得る場合、モデルが間違っていることを意味する。その原因は、幾つかの音調の干渉が比較的大きな影響を与えるためである。各人の干渉は、異なる周波数で現れる可能性がある。これには、10個のトーンの周波数が調整可能である必要がある。
【0065】
システム識別のプロセスは、周波数応答での測定点の最小誤差を求めることである。オプションの実施例では、10点(周波数)測定を採用する。高い精度が必要な場合、周波数点を増加させることができる。ただし、信号の総エネルギーは人体の安全性によって制限される。そのため、周波数点の増加により、各トーンの信号対ノイズ比が低下する。
【0066】
6.目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算する。
【0067】
具体的には、人体システム伝達関数に基づいて、目標組織と周辺組織の抵抗と静電容量の値を計算する。これは、抵抗と静電容量ネットワークから直接導き出すことができる。
【0068】
オプションの実施例では、狭い周波数帯域の観点から、10KHz~1MHzの間で、周波数の変化による組織のRC値の変化が比較的小さい。2つのコンパートメントの抵抗と静電容量の変化を心電図(ECG)のタイミング基準と組み合わせることで、心血管の状態を推定することができる。
【0069】
オプションの実施例では、
図9に示される10個のトーンの応答から情報を抽出する。この情報は、心血管系と周囲の組織から得られる。次に、システム識別又はチャネル推定プログラムを実行し、システム伝達関数を算出する。この例では、得られたシステム伝達関数は次のとおりである。
【0070】
この関数から算出された2コンパートメントモデル(20オームの抵抗で修正)は、
60.83オーム(ohms)と6.06ナノファラド(nF)の並列接続、及び
10.37オーム(ohms)と4.23マイクロファラド(μF)の並列接続である。
【0071】
ここでは、心血管循環系と周囲の組織を区別することができず、推測のために他の情報が必要である。オプションの実施例では、心電図(ECG)が参照として使用される。同時に、印加電界の位置と分布が組み合わされる。これらの抵抗と静電容量は4つのタイムシーケンスを形成する。それらを心電図と組み合わせることで、様々な情報を心血管循環系と周囲の組織から分離して、心血管系とその周囲の組織の抵抗と静電容量を得ることができる。
【0072】
7.抵抗と静電容量の値を使用して、目標組織の状態を推定する。
【0073】
具体的には、前記抵抗と静電容量の値を使用して、マルチコンパートメントモデリングを実行する。各コンパートメントは、並列の抵抗と静電容量で構成され、コンパートメントは直列、並列、又は直並列に接続される。
【0074】
オプションの実施例では、2コンパートメントRC(抵抗と静電容量)モデルは、目標組織をシミュレートするために使用される。マルチコンパートメントを使用して、人体をシミュレートすることができる。例えば、胸腔の測定では、1方のコンパートメントは、心血管循環系の主要部分である動脈、心房及び心室を表す。他方のコンパートメントは、電極と心血管循環系の間の結合組織を表す。各コンパートメントは、統合された抵抗と静電容量で構成された並列RCネットワークによって表される。心臓及び動脈系は電極に直接接続されていないため、2つのコンパートメントは直列に接続される。結合組織は常に測定電極と心臓動脈の間にある。次に、システム識別又はチャネル推定技術は、統合されたR(抵抗)とC(静電容量)の値を計算するために使用される。RとCの値は、体液、血流、及び心血管循環組織を推定するために使用される。2コンパートメントモデルの利点は、心血管循環系を周囲の組織から分離することである。
図4に示すように、2コンパートメントモデルに基づいて、1つの並列RCネットワークに、2つの互いに直列に接続された並列RCネットワークが並列に接続される3コンパートメントモデルもある。オプションの実施例では、3コンパートメントモデルは、実際の人体組織により適しているが、計算量が大きく、安定性が低い。
【0075】
オプションの実施例では、2コンパートメント又はマルチコンパートメントモデルの推定において、人体システムの位相測定は最も重要である。ハードウェアには、十分な帯域幅応答と非常に小さな歪みが必要である。どのシステムでも歪みが発生するため、これらの歪みを検出して相殺するには、チャネル推定が必要である。まず、歪みは、同期した多周波数の周期性電流の発生回路である駆動部分に出現する。次に、リード線がある。最後に、受信増幅回路がある。オプションの実施例では、2コンパートメント又はマルチコンパートメントモデルは、
図5に示されるような、歪みを検出するテストプラットフォームをさらに含む。このシステムは、高精度の抵抗ネットワークを測定し、受信された周波数応答を得る。送出された各周波数の電流はゼロ位相であるため、測定された位相応答はシステムの総歪みである。この歪みは振幅歪みをさらに含み、修正の必要がある。
【0076】
本発明はまた、2コンパートメントモデルのRとC値を測定する技術を提供する。マルチコンパートメントモデルも同様に扱うことができる。
【0077】
オプションの実施例では、2コンパートメントモデル測定を行うために、718Hzの速度で10個の周波数応答を提供する。これらの10個の周波数応答は、受信された信号の復調から得られ、統合されたRとC値を推定するために使用される。従って、2コンパートメントのRとC値は、1秒あたり718回と推定され、心血管の変化を示すために十分に高い必要がある。より多くの周波数応答を使用することができるが、より多くの計算が必要となる。
【0078】
オプションの実施例では、波形に加えて、心周期に伴う目標組織の抵抗と静電容量の変化を観察することで、2コンパートメントモデルの正確さを証明する。幾つかの非侵襲的実験は、幾つかの必要な条件を検証することもできる。表1は、2コンパートメントモデルの正確さを検証するための4組の試験を提供する。第1組の実験は、通常の状態下での測定である。第2組の実験では、受信電極の下方に塩と水の混合物が加えられ、送信電極の方向に1.5cm延びた。第3組の実験では、送信電極と受信電極の下に、ビタミンEを有する厚さ0.4mmのウェットペーパータオルが加えられた。第4組の実験では、3におけるウェットペーパータオルが、厚さ4.5mmの脱毛した新鮮な豚の皮によって置き換えられた。すべての電極は同様なマーキングポイントに貼り付けられた。これらの実験は、相加性を証明するためのものである。即ち、周辺の抵抗と静電容量を変更することで、組織のものは変更すべきではない。
【0079】
第1組の実験の通常のテストは、参照値を提供する。第2組の実験では、受信電極の領域が拡大されて送信電極に近づく。これは、受信回路の電流が大きくなることに相当するため、受信される入力電圧が大きくなる。受信電極の導電面積が増加するため、周辺組織の電界分布も変化する。これにより、周辺抵抗と静電容量が変化する。臓器の変化が小さいはずである。実験結果は、この推論を証明した。第3組の実験は、抵抗の層を追加することに相当する。静電容量の変化が大きくない。臓器の抵抗と静電容量の変化は大きくないはずである。実験結果は、この推論をよく証明した。第4組の実験は、抵抗と静電容量の層を追加することに相当する。その結果、総抵抗が増加し、静電容量が減少する。接触面がうまくフィットすることができないため、電界分布は変化する。それは測定結果に大きな影響を与えるため、第4の結果は単に参考になる。器官の静電容量の絶対値が周辺のものよりもはるかに小さい場合でも、器官の変化比率は周辺よりもはるかに小さい。これらの3組の実験は、基本的に2コンパートメントモデルの相加性を証明する。
【0080】
【0081】
本発明の別の実施例は、上記の方法を実現するためのシステムをさらに提供する。このシステムは、端末、加速器、及びプロセッサを含む。前記端末は、発生器と、1つ又は複数のセンサと、1つ又は複数の増幅器と、前処理モジュールとを含む。
【0082】
前記発生器は、周波数領域から時間領域に、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルの特性を有する異なる周波数の複数の同期周期性交流電流を生成する。具体的には、逆高速フーリエ変換(IFFT)を使用して、直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを生成し、OFDMシンボルをタイムシーケンスとして、異なる周波数の複数の交流電流を同時に生成する。
【0083】
前記1つ又は複数のセンサは、生成された複数の交流電流を人体又は動物の体内に伝達し、人体又は動物の体内組織の変化によって変調された交流電流を感知し受信するために使用される。
【0084】
前記1つ又は複数の増幅器は、受信された交流電流を増幅し、デジタル信号にデジタル変換するために使用される。
【0085】
前記前処理モジュールは、直交周波数分割多重(OFDM)技術を使用して、受信されたデジタル信号をOFDMシンボルシーケンスにセグメント化し、次に高速フーリエ変換(FFT)を使用して、前記デジタル信号を復調し分離して、分離された信号をフィルタリングする。
【0086】
前記加速器は、高速フーリエ変換(FFT)又は直交周波数分割多重(OFDM)を計算するために使用される。
【0087】
前記加速器は、リアルタイムのチャネル推定とシステム識別を計算するために使用される。
【0088】
前記加速器は、前記デジタル信号に従って、関連する抵抗と静電容量の値を計算するために使用される。
【0089】
前記プロセッサは、前記抵抗と静電容量の値を使用して組織の状態を推定するために使用される。
【0090】
プロセッサは、単一のコンピュータ又は複数のコンピュータ、あるいは数学加速器アレイであり得る。端末は、人間とシステムを接続する処理ソフトウェアとマンマシンインターフェースをさらに含む。コンピュータはリモートであり得る。人(医者)は、リアルタイムモードでのシステムの動作をリモートで観察することができる。
【0091】
好ましくは、本発明は、体内の抵抗及び静電容量の変化と体液及び心血管循環組織の特徴との間の相互関係を検出するシステム/方法を提供する。
【0092】
本発明は、体内組織の抵抗と静電容量から、例えば、抵抗と静電容量の変化曲線の傾き値、一階微分の傾き値、時間帯、正規化された振幅の変化、統合された形状領域、異なる状態の比率などを含むがそれらに限定されない特徴情報を抽出して、人体の血行力学と体液状態を表すためのシステム/方法を提供する。
【0093】
本発明は、計算された目標組織の抵抗及び静電容量の変化と動脈弾性とを関連付けるためのシステム/方法を提供する。
【0094】
本発明は、計算された目標組織の抵抗及び静電容量の変化と心筋問題状態とを関連付けるためのシステム/方法を提供する。
【0095】
本発明は、AC電流の周波数と周波数値、タイムシーケンスと強度を変更するシステム/方法を提供する。
【0096】
本発明は、上記のすべての情報を使用して、体液状態を含む心血管循環の健康状態を評価するためのシステム/方法を提供する。
【0097】
上記の方法及びシステムを使用することで、目標組織に対する正確な検出を実現することができ、検出の正確さを向上させることができる。
【0098】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0099】
図1は、本発明の一実施例によって提供される端末システムの配置の模式図である。
【0100】
具体的には、「1」は人間本体であり、「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」は、人体又は動物体(模式図は人体を例とする)に接続された電極又はコンタクトである。「2」は、多周波成分で構成される広帯域信号を生成する信号発生器である。生成された信号は、電線又はケーブル「5」と「6」によって「A」と「D」に接続される。「A」と「D」を選択することによって、生成又は励起された信号は、関連する動脈、肺及び心臓を通過することができ、それにより、この場合、幾つかの主要な動脈が通過している胸腔を通過する。信号の流れは、血流又は動脈の縦方向に従う。生成された信号は、「A」から「D」又は「D」から「A」へと人間主体の内部を通過する。「3」は信号検出器であり、電線又はケーブル「8」、「9」及び「10」を介して、点「B」と「C」、「B」と「E」、及び「E」と「C」から電圧信号を収集する。「E」点は、特別な点であり、1対の電極で構成され得、出力と受信の両方が可能である。「4」は信号プロセッサであり、「2」と「3」を制御し調和させる。「4」はまた、「B」、「C」、及び「E」から収集された信号を処理し、それらから生体情報を抽出する。
【0101】
図2は、本発明の別の実施例によって提供される端末システムの機能又は構造模式図である。
【0102】
具体的には、この端末は、信号を取得するだけでなく、励起電流を人体又は動物体の組織に送ることもできる。「25」は、時間領域と周波数領域の両方で作動する信号発生器である。オプションの実施例では、「25」は、多周波数信号を生成する。時間領域では、多周波数信号は、複数の正弦波又は余弦波の合計である。周波数領域では、多周波数信号は、複数のトーンの合計である。信号発生器「25」は、トーンを時間領域における複数の正弦信号に変換する。
【0103】
オプションの実施例では、生成されたデジタル正弦信号は、ディジタルアナログ変換器「26」を通過して、アナログ信号となり、アナログ増幅器「11」によって増幅されて、広帯域電流を出力するように広帯域電流ポンプ機器「12」を駆動する。広帯域電流ポンプ機器「12」から始まり、低電力の多周波数正弦波は、コンタクト「A」と「D」を介して人体に入る。複雑な媒体としての人体又は動物体は、電流を変調する。この変調される電流及び他の生体電気信号は、点「B」と「C」、「B」と「E」、及び「E」と「C」からピックアップされる。
【0104】
オプションの実施例では、これらの信号はすべて非常に弱いため、それは、まず、アナログ前置増幅器セット「27」で増幅される。「27」の主要な機能は、高インピーダンス入力信号と低インピーダンス入力信号の低インピーダンス入力信号への変換を調整することである。
【0105】
オプションの実施例では、「27」の後、信号は、1つの経路を通ってインピーダンスカルジオグラフィICG増幅器に入り、別の経路を通って生体信号増幅器に入る。インピーダンスICG信号と生体信号には、異なるゲインと異なるフィルタが必要である。具体的には、ICG信号は、ICG増幅器セット「14」に入る。生体信号は、生体信号増幅器セット「28」に入る。
【0106】
オプションの実施例では、信号が増幅された後、ICG信号は、高分解能及び高速アナログデジタル変換器セットである高分解能ADC(「IGC Hi-RES ADC BANK」)「15」によってデジタル変換される。生体信号は、低分解能ADC(「Bio-ADC BANK」)「29」によってデジタル化される。ADC「29」は、低分解能及び低サンプリングレートのアナログデジタル変換器セットである。デジタル信号は、デジタル信号プロセッサ「16」によって処理される。オプションの実施例では、デジタル信号プロセッサ「16」は、異なる生体信号の復調、フィルタリング及び抽出するなど、デジタル信号を前処理する。
【0107】
図3は、本発明の別の実施例によって提供される、本発明の方法を実現するシステムの構造模式図である。
【0108】
具体的には、「17」は、励起信号を送信する経路である。「18」は、人体から変調信号及び他の生体信号を取得する経路である。オプションの実施例では、端末システム「19」は、復調及びフィルタリングなどの幾つかの前処理を実行するが、これらのタスクに限定されない。端末システム「19」は、独自のマンマシンインターフェースを持つこともできる。
【0109】
オプションの実施例では、端末システム「19」は、「24」を介して数学加速器「21」に接続される。数学加速器「21」は、システム識別又はチャネル推定の計算を実行してRCモデル値を取得するために使用される。中間結果は、ローカルコンピュータ「20」に送信される。
【0110】
オプションの実施例では、ローカルコンピュータ「20」は、パラメータ計算、特徴抽出、及びデータ分析などのすべての最終処理を完了する。オプションの実施例では、ローカルコンピュータ「20」の結果とデータは、データベースサーバー「22」に記憶することもできる。データベースサーバー「22」は、クラウドサーバーであり得る。従って、分析された結果とデータは、ローカルコンピュータ「20」及び/又はクラウドサーバーから検索することができる。
【0111】
図4は、本発明の別の実施例によって提供されるマルチコンパートメントモデル測定回路の模式図である。
【0112】
具体的には、「AC」は、多周波AC電流源である。L1とL4は、本体と接触する駆動リード線である。L2とL3は、本体とも接触する受信リード線である。「Zo」は、接続ケーブルのインピーダンスである。「Cs」は、被験者の皮膚の静電容量である。「Rs」は、被験者の皮膚の抵抗力である。「Cp」、「Rp」、「Cs」、「Rs」、「Ci」及び「Ri」は、組織RCモデルを構成する。「Cp」は、周辺又は結合組織の静電容量である。「Rp」は、周辺又は結合組織の抵抗である。「Ci」は、血液循環系又は関心の組織の静電容量である。「Ri」は、血液循環系又は目標組織の抵抗である。「Cs」は、受信電極間の心血管組織に平行な結合組織の静電容量である。「Rs」は、受信電極間における心血管組織に平行な結合組織の抵抗である。
【0113】
オプションの実施例では、マルチコンパートメントモデルは、「Cs」と「Rs」を除去することで、2コンパートメントモデルに単純化することができる。2つのコンパートメントRCが直列に接続される。3コンパートメントRCモデルを用いることで、実際の状況に近づくことができるが、より多くの計算が必要になり、その安定性が悪化する。
【0114】
図5は、本発明の別の実施例によって提供される、外部抵抗ネットワークを用いて純粋な抵抗応答を測定する模式図である。「40」は、本発明によって提供されるシステムであり、「41」は、測定される抵抗ネットワークであり、「42」は、リードワイヤである。このプラットフォームで測定されるシステム応答は、理論上の送信から最終的な実際の受信までの全体的な応答である。それは、システムの送信特性と受信特性、及びリードワイヤの特性を含む。
【0115】
図6a~6cは、本発明の別の実施例によって提供されるシステムが測定する抵抗ネットワーク上の時間領域信号と周波数応答である。同じパワーを持つ異なる周波数の10個のメイン搬送波があり、10個のトーンを表す。それらは、それぞれ、14.36KHz、33.03KHz、73.24KHz、96.21KHz、116.32KHz、136.42KHz、160.83KHz、203.91KHz、280.02KHz及び348.95KHzである。それらは変調情報を運ぶ。
図6aは、受信及び分離後に得られた1周期の時間領域信号、即ち、OFDMシンボルである。
図6bは、振幅周波数応答である。それらは、減衰が異なる幾つかのシステム欠陥を示し、人体を測定する前に修正する必要がある。
図6cは、位相周波数応答である。位相を決定したトーンは10個しかないため、他のトーンはランダムである。従って、全体的な外観はランダムである。
【0116】
図7a~7bは、本発明の別の実施例による、論理的に送信された10個の同期トーンの波形である。各トーンの位相と振幅は、制御可能で調整可能である。
図7aは、1024点の逆高速フーリエ変換(IFFT)の結果であり、即ち、1つのOFDMシンボルである。
図7bは、1024点の4倍のサンプリング速度の信号である。この信号は、ディジタルアナログ変換器(DAC)に繰り返し送られ、周期的なアナログ信号が生成される。
【0117】
図8は、本発明の別の実施例によって提供されるシステムが実際に受信した時間領域信号である。前端の小振幅部分は、内部抵抗の測定信号であり、後ろの大振幅のシーケンスは、外部で測定された人体の信号である。毎回の測定では、システムのランダムな誤差を低減するために、内部の周波数応答を用いて外部の周波数応答を修正する。心電信号が高周波数信号に結合されたため、内部シーケンスの大振幅のパルスは擬似心電データである。
【0118】
図9は、本発明の別の実施例によって提供される人体テストの振幅周波数応答である。それの高周波数端での減衰が抵抗よりも大きく、人体に静電容量があることが示される。
【0119】
図10a~10bは、それぞれ、本発明の別の実施例によって提供される内部抵抗の10トーンの振幅と位相応答である。その位相は、システムに位相歪みがあることを明確に示す。これは、送信回路によるものである。これを修正する必要がある。振幅には小さな高周波数減衰がある。これも修正する必要がある。
【0120】
図11a~11bは、それぞれ、本発明の別の実施例によって提供される、測定された人体の10トーンの振幅と位相応答である。その変化は内部のものよりも大きい。
【0121】
図12a~12bは、それぞれ、本発明の別の実施例によって提供される、内部と外部抵抗によって修正された10トーンの振幅と位相応答である。これは、人体の真の周波数応答である。振幅応答は、より高い周波数でより多く減衰する。位相応答は、より高い周波数でより多くの遅延を示す。それらは、人体の周波数応答がRCシステムに似ていることを示す。
【0122】
図13は、本発明の別の実施例によって提供される人体の10トーンの周波数応答(点)と、そのシステム識別後のシステム伝達関数(線)である。このシステム伝達関数から、マルチコンパートメントの抵抗と静電容量のモデルを求めることができる。これは、2次RC人体モデルに対する人体の周波数応答を示す。測定された周波数応答は、2次RCモデルと完全にマッチングする。ここでは、Coleモデル挙動が観察されていない。その理由は、血液が主な抵抗であるということである。それにより、Coleの中心周波数が高くなる可能性がある。小さなセグメント線形モデルを使用して、目標組織をモデリングする。
【0123】
図14a~14cは、本発明の別の実施例によって提供される大動脈測定の2コンパートメントモデルの動脈コンパートメントの結果である。Raは、大動脈コンパートメントモデルの抵抗であり、Caは、大動脈コンパートメントモデルの静電容量である。それらは、心拍動に緊密に従う。心臓の拡張末期の前に、動脈の血液備蓄が最も小さい。抵抗が最も高い。静電容量が最も低い。心臓の収縮末期に、動脈の体積が最も大きい。抵抗が最も小さく、静電容量が最も大きい。
【0124】
図15a~15cは、本発明の別の実施例によって提供される大動脈測定の2コンパートメントモデルの周辺コンパートメントの結果である。Rpは、周辺組織コンパートメントモデルの抵抗であり、Cpは、周辺組織コンパートメントモデルの静電容量である。それらは、心拍動の簡単なリズムの変化を示していない。
【0125】
図16a~16cは、本発明の別の実施例によって提供される心室測定の2コンパートメントモデルの心臓コンパートメントの結果である。Rhは、心臓コンパートメントモデルの抵抗であり、Chは、心臓コンパートメントモデルの静電容量である。それらは、心拍動に強く従う。心臓の拡張末期に、心臓の血液が最も多い。抵抗が最も小さい。静電容量が最も大きい。心臓の収縮末期に、心臓の体積が最も小さい。抵抗が最も大きく、静電容量が最も小さい。
【0126】
図17a~17cは、本発明の別の実施例によって提供される心室測定の2コンパートメントモデルの周辺コンパートメントの結果である。Rpは、周辺組織コンパートメントモデルの抵抗であり、Cpは、周辺組織コンパートメントモデルの静電容量である。心臓の拍動には明らかな変化がない。
【0127】
図18a~18cは、本発明の別の実施例によって提供される上胸部測定の2コンパートメントモデルの動脈コンパートメントの結果である。Ruは、胸部動脈と心臓を有する上胸部コンパートメントモデルの抵抗である。Cuは、上胸部コンパートメントモデルの静電容量である。それらは、心拍動に強く従う。心室の圧縮の前に、動脈の血液備蓄が最も小さい。抵抗が最も高い。静電容量が最も低い。心臓の収縮末期に、動脈の体積が最も大きい。抵抗が最も小さく、静電容量が最も大きい。
【0128】
図19a~19cは、本発明の別の実施例によって提供される上胸部測定の2コンパートメントモデルの周辺コンパートメントの結果である。Rpは、周辺組織コンパートメントモデルの抵抗であり、Cpは、周辺組織コンパートメントモデルの静電容量である。それらには、上胸部コンパートメントモデルのように明らかな変化がない。
【0129】
図20a~20cは、本発明の別の実施例によって提供される右肺測定の2コンパートメントモデルの動脈/静脈コンパートメントの結果である。「R右肺」は、右肺動脈/静脈コンパートメントモデルの抵抗であり、「C右肺」は、右肺動脈/静脈コンパートメントモデルの静電容量である。それらは、心拍動によって異なる。
【0130】
図21a~21cは、本発明の別の実施例によって提供される右肺測定の2コンパートメントモデルの周辺コンパートメントの結果である。Rpは、右肺の周辺組織コンパートメントモデルの抵抗であり、Cpは、右肺の周辺組織コンパートメントモデルの静電容量である。それらも、心拍動によって変化する。
【0131】
図22a~22cは、本発明の別の実施例によって提供される左肺測定の2コンパートメントモデルの動脈/静脈コンパートメントの結果である。「R左肺」は、左肺動脈/静脈コンパートメントモデルの抵抗であり、「C左肺」は、左肺動脈/静脈コンパートメントモデルの静電容量である。それらは、心拍動によって異なる。
【0132】
図23a~23cは、本発明の別の実施例によって提供される左肺測定の2コンパートメントモデルの周辺コンパートメントの結果である。Rpは、左肺周辺組織コンパートメントモデルの抵抗であり、Cpは、左肺周辺組織コンパートメントモデルの静電容量である。それらも、心拍動によって変化する。
【0133】
本出願は、体内組織の特徴情報を検出するための非侵襲的方法及びそのシステムを提供する。それは、異なる周波数の複数の交流電流を同時に人体に適用し、変調電圧信号を受信した後、受信された信号を復調し、次に、心血管系と周囲の組織からの情報を、指定された周波数の搬送波から抽出する。システム識別又はチャネル推定プログラムを実行することで、情報を心血管循環系及び周囲の組織から分離する。心血管系及びその周囲の組織の抵抗と静電容量をそれぞれ計算し、計算された抵抗と静電容量を使用して、体液と心血管循環の状態を表す。それにより、対応する状態情報を正確且つ確実に取得することができ、目標組織を正確に測定して、その健康状態を取得することができる。
【0134】
本発明の上記の理想的な実施例を示唆として、上記の説明内容を通じて、当業者は、本発明の技術的アイデアから逸脱しない範囲内に、様々な変更及び修正を行うことができる。本発明の技術的範囲は、明細書の内容に限定されず、特許請求の範囲に基づいて決定されなければならない。