(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】電磁非破壊品質検査方法ならびにその検査回路およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/82 20060101AFI20221111BHJP
G01B 7/06 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
G01N27/82
G01B7/06 M
(21)【出願番号】P 2021566213
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(86)【国際出願番号】 CN2020101933
(87)【国際公開番号】W WO2021258436
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】202010577819.X
(32)【優先日】2020-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521485782
【氏名又は名称】ジャンイン ティェンルン インフォメーション テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】フゥ ジョウイー
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-226836(JP,A)
【文献】特開2007-218801(JP,A)
【文献】特開2005-345282(JP,A)
【文献】特開2001-324479(JP,A)
【文献】特開2001-324396(JP,A)
【文献】特開平10-026609(JP,A)
【文献】特開2012-002633(JP,A)
【文献】米国特許第05552979(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72 - G01N 27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップ:
S1、一次RL回路を磁化コイルの磁化回路とし、磁化コイルを一次RL回路のインダクタンス素子として、自動制御電子スイッチが、既定の磁化コイルの最大電流I
maxおよび最小電流I
minにより、一次RL回路に直流励振応答および零入力応答を交互に行わせる;
直流励振応答のときには、磁化コイルを流れる直流電流が規則的な増加を呈し、零入力応答を行うときには、磁化コイルの電流が規則的な減少を呈する;
S2、一次RL回路の直流励振応答および零入力応答の下、電流の大きさが交互に変化する直流電流が流された磁化コイルが、磁界強度が交互に変化する直流磁界を生成する;
S3、電磁感受性を有する検査対象を、S2に記載の磁界強度が交互に変化する直流磁界の中に置き、検査対象が、磁界強度が交互に変化する磁界によって磁化される一方で、検査対象は、磁化コイルの磁束密度または磁束の変化も引き起こし、さらに、磁化コイルのインダクタンスの変化をもたらす。検査対象に差異的な変化が生じたことが検出されたとき、磁束密度または磁束の変化を引き起こすことにより、磁化コイルのインダクタンスが検査対象の差異的な変化に伴い変化する;
S4、RL回路における磁化コイルのインダクタンスを検査することにより、検査対象の差異的な変化を検査し、これにより、品質欠陥が発生したかどうかを判断するか、または磁化コイルのインダクタンスを検査することにより、検査対象の電磁特性を解析し、これにより、検査対象の関連特性を解析する;を含むことを特徴とする、電磁非破壊品質検査方法。
【請求項2】
S4におけるRL回路における磁化コイルインダクタンスを検査する方法が、自動制御電子スイッチが磁化コイルをインダクタンス素子とする一次RL回路を制御することにより、直流励振応答状態および零入力応答状態に循環して入るようにし、直流励振応答状態のときに、磁化コイルの電流が指数関数的な増加を呈し、零入力応答状態のときに、磁化コイルの電流が指数関数な減少を呈し、磁化コイルの最大電流I
maxおよび最小電流I
minを予め設定しておき、回路における他のパラメータを変えずに保つ場合、磁化コイルの電流変化プロセスの時間と磁化コイルのインダクタンスの大きさは関係をなし、各応答状態の電流変化プロセスの時間またはこの2つの応答状態が循環し変化する周波数をサンプリングして、RL回路において磁化コイルのインダクタンスを変化させる信号を増幅することを特徴とする、請求項1に記載の電磁非破壊品質検査方法。
【請求項3】
磁化コイルをインダクタンス素子とする一次RL回路が直流励振応答状態にある時間、または磁化コイルをインダクタンス素子とする一次RL回路が零入力応答状態にある時間、または以上の2つの状態時間の和をサンプリングし、いずれも磁化コイルのインダクタンスの大きさを線形に表すことができることを特徴とする、請求項2に記載の電磁非破壊品質検査方法。
【請求項4】
S4において、次の方法:
所定の磁化コイルを通る磁化電流の最大電流I
maxおよび最小電流I
minに基づき、自動制御電子スイッチがオンになり、一次RL回路が直流励振応答状態に入るようにする;
直流励振応答状態において、磁化コイルの磁化電流が上昇し、磁化コイルの磁化電流の上昇が所定の最大電流I
maxに達したとき、自動制御電子スイッチがオフになり、一次RL回路を零入力応答状態に切り替える;
零入力応答状態において、磁化コイルの磁化電流が低下し、磁化コイルの電流が所定の最小電流I
minまで低下したとき、自動制御電子スイッチがオンになり、一次RL回路を直流励振応答状態に切り替え、直流励振応答状態でのプロセスを繰り返す;
次に、前記一次RL回路が直流励振応答状態と零入力応答状態との間を交互に循環させる;
検査対象に差異的な変化が生じておらず、磁化コイルのインダクタンスに変化が生じていない場合、磁化コイルが直流励振応答状態にある時間および磁化コイルが零入力応答状態にある時間は、循環して繰り返されるときに、一定で不変である;
検査対象に差異的な変化が生じ磁化コイルのインダクタンスに変化が生じている場合、上記2つの応答状態の時間は、磁化コイルのインダクタンスの変化に伴い変化し、上記2つの応答状態の時間を検査するか、またはいずれか一方の応答状態の時間を検査するか、または2つの応答状態が循環して変化する周波数を検査すると、磁化コイルのインダクタンスの変化を高感度に検査することができる;により、磁化コイルを一次RL回路のインダクタンス素子とする磁化回路において、磁化コイルのインダクタンスの変化を検査することを特徴とする、請求項3に記載の電磁非破壊品質検査方法。
【請求項5】
S3において、生産ラインでリアルタイムで連続して操作している検査対象を、磁界強度が連続して交互に変化する直流磁界の中に置くことにより、検査対象のリアルタイムな連続インライン自動検査を実現することを特徴とする、請求項1に記載の電磁非破壊品質検査方法。
【請求項6】
磁化コイルの最大電流I
maxおよび最小電流I
minは、実際の検査対象に応じて異なる数値を設定し、これにより、検査対象を磁化するための磁界強度、ならびに磁化コイルが直流励振応答状態および零入力応答状態のプロセスにある時間、または2つの応答状態が循環して変化する周波数を調整することができることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の電磁非破壊品質検査方法。
【請求項7】
電力を供給する直流給電定電圧電源と、磁化コイルおよび電流制限抵抗からなる一次RL回路と、励磁電流電子スイッチのループとを含み、前記磁化コイルは、励磁電流電子スイッチがオフのときに磁化コイルから電流を流し続けるための還流ループに接続され、
前記励磁電流電子スイッチは、前記磁化コイルおよび前記電流制限抵抗からなる一次RL回路と前記直流給電定電圧電源の導通または遮断を制御し、一次RL回路が直流励振応答状態に入る、またはそこから出ることを制御するために用いられ、
励磁電流電子スイッチが導通しているときに、磁化電流は、前記直流給電定電圧電源の正極から、前記電流制限抵抗を経て、前記磁化コイルに流れ、前記励磁電流電子スイッチを経て、前記直流給電定電圧電源の負極に入り、
一次RL回路が直流励振応答状態に入り、磁化コイルの磁化電流が所定の最大電流I
maxに達したとき、励磁電流電子スイッチが遮断され、
前記励磁電流電子スイッチが遮断されたとき、還流ループが磁化コイルの還流通路を提供し、一次RL回路が零入力応答状態に入り、磁化電流が指数関数的に低下し、磁化電流が所定の最小電流I
minに達すると、励磁電流電子スイッチが再び導通し、このようにして、交互に循環して磁化コイルの直流励振応答および零入力応答を行うことを特徴とする、電磁非破壊品質検査用の検査回路。
【請求項8】
一次RL回路を直流励振応答状態にする際に、一次RL回路に給電する直流給電定電圧電源の電圧は可変であり、磁化コイルと一次RL回路をなす電流制限抵抗は、独立して選択することができ、これにより、異なる検査対象に適用できるよう、電流変化率を調整し、検査対象を磁化するための磁界強度の変化率を調整することができることを特徴とする、請求項7に記載の電磁非破壊品質検査用の検査回路。
【請求項9】
磁化コイルおよび電流制限抵抗からなる一次RL回路を直流給電定電圧電源および励磁電流電子スイッチにつなぐループを含む検査回路を含み、前記磁化コイルは、還流ループがつなげられ、
前記励磁電流電子スイッチは、前記磁化コイルおよび前記電流制限抵抗からなる一次RL回路と前記直流給電定電圧電源のループを制御するために用いられ、
励磁電流電子スイッチが導通しているときに、磁化電流は、前記直流給電定電圧電源の正極から、前記電流制限抵抗を経て、前記磁化コイルに流れ、前記励磁電流電子スイッチを経て、前記直流給電定電圧電源の負極に入り、磁化コイルが直流励振応答を行い、設定された最大電流I
maxに磁化コイルの磁化電流が達すると、励磁電流電子スイッチが遮断され、
前記励磁電流電子スイッチが遮断されたとき、還流ループが磁化コイルの還流通路を提供し、磁化コイルが零入力応答を行い、磁化電流が指数関数的に低下し、磁化電流が所定の最小電流I
minに達すると、励磁電流電子スイッチが再び導通し、このようにして、交互に循環して磁化コイルの直流励振応答および零入力応答を行い、
電磁感受性を有する検査対象を、磁界強度が交互に変化する直流磁界の中に置き、検査対象が、磁界強度が交互に変化する磁界によって磁化される一方で、検査対象は、磁化コイルの磁束密度または磁束の変化も引き起こし、さらに、磁化コイルのインダクタンスの変化をもたらし、検査対象に差異的な変化が生じたことが検出されたとき、磁束密度または磁束の変化を引き起こすことにより、磁化コイルのインダクタンスが検査対象の差異的な変化に伴い変化し、
RL回路における磁化コイルのインダクタンスを検査することにより、検査対象の差異的な変化を検査し、これにより、品質欠陥が発生したかどうかを判断するか、または磁化コイルのインダクタンスを検査することにより、検査対象の電磁特性を解析し、これにより、検査対象の関連特性を解析することを特徴とする、電磁非破壊検査方法を用いた検査システム。
【請求項10】
さらに、磁化電流サンプリングユニットと、電圧比較ユニットと、磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットと、磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットと、インダクタンス感受信号処理および出力ユニットとを含み、
前記磁化コイルと前記電流制限抵抗との間には、電圧サンプリングポイントが設けられ、
前記磁化電流サンプリングユニットは、前記電圧サンプリングポイントの対地電圧を採取し、処理後に前記電圧比較ユニットに出力し、
前記磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットは、所定の磁化電流情報に基づき、前記磁化コイルの最大電流I
maxおよび最小電流I
minのバレー値電圧およびピーク値電圧を設定し、一次RL回路に対して直流励振応答段階を行っている際に、磁化コイルの磁化電流が最大電流I
maxに達したときに、前記磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットが励磁電流電子スイッチを切り、還流ループを導通させ、一次RL回路が零入力応答状態に入るようにし、磁化電流は、磁化電流が所定の最小電流I
minに達するまで指数関数的に低下し、励磁電流電子スイッチが再び導通し、このようにして、交互に循環して磁化コイルの直流励振応答および零入力応答を行い、
前記インダクタンス感受信号処理および出力ユニットは、直流励振応答段階の時間および零入力応答段階の時間、またはその循環変化の周波数をサンプリングし、インダクタンス信号の変化結果を処理して出力するために用いられることを特徴とする、請求項9に記載の電磁非破壊検査方法を用いた検査システム。
【請求項11】
電磁非破壊検査方法を用いた検査システムは、さらに、マイクロプロセッサを含み、前記マイクロプロセッサは、磁化電流設定ユニットと、システムパラメータ設定ユニットと、検査製品欠陥および関連品質指標の解析処理・出力ユニットとを含み、
前記磁化電流設定ユニットは、磁化コイルの最大電流I
maxおよび最小電流I
minを設定し、信号を磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットに出力するために用いられ、
前記システムパラメータ設定ユニットは、関連する操作データを設定するために用いられ、
前記検査製品欠陥および関連品質指標の解析処理・出力ユニットは、インダクタンス感受信号に基づき、ユニットが出力する信号を処理して出力するために用いられ、検査対象の特徴および関連するパラメータの設定と併せて、解析処理し、出力することを特徴とする、請求項10または9に記載の利用電磁非破壊検査方法的検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁検査と関連応用分野に属し、一次RL回路の直流励振応答および零入力応答を高感度に検査した磁化コイルのインダクタンスの変化に基づき検査対象が差異的な変化を含んでいるかどうかの検査方法、ならびにこのような電磁非破壊品質検査方法を実現した検査回路およびシステムに関し、特にインライン、自動、連続、検査の電磁検査用途に関する。
【背景技術】
【0002】
工業技術の進歩および発展に伴い、金属線材またはケーブルおよびその製品の必要量と関連する品質に対する要求が絶えず高まっている。高速生産プロセスにおける欠陥インライン検査および品質指標(例えば亜鉛めっき鋼線めっき層の厚み)に対する制御が重要さを増している。これらの欠陥または技術指標は、表面において目視検査が可能なものもあるが、内部にあり目視では検知できないものもある。渦流検査や磁束に関する検査など、電磁検査に関する検査方法は、材料内部の変化状況を検査することができ、このような検査方法は理論の基礎が成熟しているため、検査対象(鉄磁性または非鉄磁性導電材料の特性)が磁化された後、磁界の影響および関係が相対的に明確になるので、電磁検査に関する検査方法が適切な検査手段である。
【0003】
しかしながら、現在よく用いられている電磁検査手法としては磁粉検査法、金属断面磁束測定法、漏洩磁束検査法および渦流検査法などが挙げられ、高い精度を有しつつ、欠陥の細分を行うことができるものもある。ただし、専門検査機関または実験室において広く用いられているが、産業の現場では多く見られない。その理由としては、信号の発生および処理の手法が複雑で、設備の要求が高く、価格が高かったり、コンピュータシステムプラットフォームでの操作を必要とし、産業の現場での用途に適していなかったり、人の干渉による識別に依存し、自動連続検査を満たさなかったり、検査感度を満たすことができなかったり、応答が遅すぎたりすることが挙げられる。
【0004】
従来の電磁検査技術の状況:
よく見られる電磁検査の用途において、自動検査に適しているものとしては、主として、鉄磁性検査対象に対する金属断面磁束測定法(一定条件での磁束および金属断面積が基本的に正比例する原理に基づく)、漏洩磁束検査法および非鉄磁性検査対象に対する渦流検査法が挙げられ、現在、それぞれ異なる検査方法を採用して実行されている。
【0005】
鉄磁性検査対象に対する金属断面磁束測定法は、主として、例えば鋼ワイヤーロープ断面積変化検査に用いられ、まず鋼ワイヤーロープを磁気飽和させてから、検査コイルまたはセンサにより、断面積の変化による磁束変化を検査し、電圧電流信号に変換し、解析処理する。
【0006】
漏洩磁束検査法も、鉄磁性検査対象に対するものであり、同様に、まず鋼ワイヤーロープを磁気飽和させてから、ピックアップコイルにより、断線に起因する漏洩磁束を検査し、電圧電流信号に変換し、解析処理し、これを断線確定の検査依拠とする。
【0007】
非鉄磁性検査対象に対する渦流検査法は、通常、インピーダンス解析法を採用して異なる検査対象の渦流に起因するリアクタンスの違いを検査することにより、検査対象の特性を解析する。
【0008】
以上の方法は、いずれも比較的複雑であり、体積が大きく、価格が高く、連続、インラインでの普遍的な用途への適用が難しい。
【0009】
電磁検査技術で解決が要求される技術的課題は次のとおりである。
如何にして電磁検査をより簡単にし、連続し、インラインで、自動的に、高感度の検査を行うことができるか。特に、高速生産プロセスにおいて、線棒材、管材またはその線材からなるストランドなど、検査対象を高速で操作している場合に適用する。
【0010】
既存のインダクタンス高感度方法およびそれに存在する欠点:
従来、インダクタンスの測定または感受によく用いられている方法としては、主として、インピーダンス解析法、交流ブリッジ法およびLC共振法がある。
【0011】
インピーダンス解析法は、一定の周波数の交流電源を、1つの電気抵抗を介して、測定するインダクタンスに接続し、測定するインダクタンスにおける電圧および電流を測定し、誘導抵抗を算出する。微かな変化の状況に対して、測定するインダクタンスにおける電圧および電流で測定される変化は微弱であり、インピーダンス角の変化は小さく、特に高周波検査の際に、位相遅延検査の難度が高い。さらに、産業の現場の電磁干渉は不確定であり、検査結果は各種干渉の影響を受けやすいため、電磁検査に関するインライン自動検査には適さない。
【0012】
交流ブリッジ法でよく用いられているものは、測定するインダクタンスを交流ブリッジにつなぎ、交流ブリッジにおける可変電気抵抗および可変インダクタンスを調整してブリッジを平衡させ、平衡したときの各辺の電気抵抗およびインダクタンスにより、測定するインダクタンスを算出するというものである。このような方法は、連続、自動化が容易でないため、インライン自動検査には適さない。
【0013】
LC共振法は、LCエネルギー変換振動原理を採用し、Cを固定し、F=1/[2л(lc)1/2]によってFを検出し、Lを算出する。この方法は、多くが三点振動法を用いているが、実際に回路で用いられる素子が多く、振動周波数が複数の素子の影響を受けるため、データの変動が大きい。また、周波数に対するインダクタンスの変化の影響は、感度が十分でなく、電磁干渉に対する感度は高いため、このような方式も、自動化インライン連続検査の際に、電磁検査の微小な変化に対する信頼性の高い高感度の要求を満たすことが難しい。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、インライン化、連続化、自動化が可能な電磁非破壊検査方法、ならびに電磁非破壊検査方法による検査回路およびシステムを提供し、電磁非破壊検査応用技術が産業の現場での応用を満たすことができるようにし、生産現場でのインラインで、連続し、自動的に行う、感度が高い欠陥または品質指標検査に適しており、製品品質に対する制御を実現する。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は次の技術手法を提供する。
【0016】
次のステップを含む電磁非破壊品質検査方法。
【0017】
次のステップを含むことを特徴とする電磁非破壊品質検査方法。
【0018】
S1、一次RL回路を磁化コイルの磁化回路とし、磁化コイルを一次RL回路のインダクタンス素子として、自動制御電子スイッチが、既定の磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminにより、一次RL回路に直流励振応答および零入力応答を交互に行わせる;
直流励振応答のときには、磁化コイルを流れる直流電流が規則的な増加を呈し、零入力応答を行うときには、磁化コイルの電流が規則的な減少を呈する。
【0019】
S2、一次RL回路の直流励振応答および零入力応答の下、電流の大きさが交互に変化する直流電流が流された磁化コイルが、磁界強度が交互に変化する直流磁界を生成する。
【0020】
S3、電磁感受性を有する検査対象を、S2に記載の磁界強度が交互に変化する直流磁界の中に置き、検査対象が、磁界強度が交互に変化する磁界によって磁化される一方で、検査対象は、磁化コイルの磁束密度または磁束の変化も引き起こし、さらに、磁化コイルのインダクタンスの変化をもたらす。検査対象に差異的な変化が生じたことが検出されたとき、磁束密度または磁束の変化を引き起こすことにより、磁化コイルのインダクタンスが検査対象の差異的な変化に伴い変化する。
【0021】
S4、RL回路における磁化コイルのインダクタンスを検査することにより、検査対象の差異的な変化を検査することができ、これにより、鋼線の亀裂、表面の欠陥、材質の変化、鋼ワイヤーロープの断線、配列が不正確などの品質の欠陥が発生したかどうか判断するか、または磁化コイルのインダクタンスを検査することにより、検査対象の電磁特性を解析し、これにより、磁束に関する鋼線断面積、めっき層鋼線亜鉛層厚みなどの検査対象の関連特性を解析する。
【0022】
一次RL回路を磁化回路とし、直流励振応答および零入力応答において磁化コイルを通電または遮断した瞬間に、変化する磁化電流を形成し、変化する磁界を生成し、検査対象は、この磁界内で磁性材料として磁化されるとともに、検査対象が導電材料である場合、磁界の変化によって、検査対象において渦流現象を生成する。
【0023】
磁性材料である検査対象は、その磁路、磁気抵抗および透磁率がここの磁界に影響を及ぼす。検査対象が導電材料である場合、検査対象において渦流現象を生成し、導電材料の特性もここの磁界に影響を及ぼす。磁界に対するこれらの影響は、磁化回路にとって、磁化コイルのインダクタンスに対する影響を及ぼすものである。検査対象の電磁特性の変化は、磁化コイルのインダクタンスの変化に影響を及ぼす。
【0024】
前記検査対象の電磁特性およびその変化は、検査対象の材質または外形およびその変化を含み、いずれも関連する磁路、磁気抵抗、透磁率の変化を引き起こすか、または渦流およびその変化を引き起こし、導電鉄磁性管材、棒線材の表面欠陥、亀裂、材料の不純物、炭素含有量の変化等の欠陥、またはその線材をストランドにしロープにした後の断線、きず、腐食、飛び出し等の欠陥、または導電鉄磁性棒材表面の非鉄磁性導電めっき層厚み等の特性または変化を含むが、これらに限定されない。一次RL回路の直流励振応答および零入力応答に基づく磁化コイルのインダクタンス感受方法により、磁化コイルのインダクタンス(検査対象の影響を含む)およびその変化を検査して、検査することができる。
【0025】
前記検査対象の電磁特性およびその変化は、さらに、関連する磁路、磁気抵抗、透磁率は基本的に変わらず、渦流の変化を引き起こす材質または外形および変化のみであることを含み、非鉄磁性導電管材、線材またはケーブルの表面変化を含むが、これらに限定されない。一次RLの直流励振応答および零入力応答に基づく回路により、磁化コイルのインダクタンス(検査対象の影響を含む)の変化を検査して、検査することができる。
【0026】
例えば、検査対象が線棒材、管材またはその線材からなるストランドである場合:鉄磁性検査対象に対する金属断面磁束測定法において、例えば、検査対象が鋼ワイヤーロープである場合、磁化コイルを通すとき、断面積が変化し、磁化コイルを貫く磁束の変化を引き起こし、磁化コイルのインダクタンスの変化も引き起こす。検査対象を磁化コイルに通すとき、断線が漏洩磁束の生成を引き起こし、磁化コイルを貫く磁束の変化を引き起こすとともに、磁化コイルのインダクタンスの変化も引き起こす。渦流自体も磁界を生成し、磁化コイルの磁界に対して反磁界の作用を奏し、磁化コイルの磁束に変化を生じさせ、磁化コイルのインダクタンスに変化を生じさせる。渦流検査の際に、検査対象を磁化コイルの交番磁界の中に置き、検査対象が変わらないとき、渦流による磁化コイルのインダクタンスに生じる変化は変わらず、つまり、インダクタンスは一定である。検査対象が変わるとき、渦流に変化が生じ、反磁界の作用が変わり、渦流による磁化コイルのインダクタンスの変化も変わり、つまり、検査対象が変わるときに、磁化コイルのインダクタンスの変化が引き起こされる。そのため、磁化コイルのインダクタンスの状況を検査すると、これらの対象の状況を検査することができる。特に、検査対象が線棒材、管材またはその線材からなるストランドである場合、適切な処理を経て、磁化コイルのインダクタンスの状況を検査し、すなわち製品の品質状況を検査する。
【0027】
さらに、S4において、RL回路における磁化コイルのインダクタンスを検査する方法は、自動制御電子スイッチが磁化コイルをインダクタンス素子とする一次RL回路を制御することにより、直流励振応答状態および零入力応答状態に循環して入るようにし、直流励振応答状態のときに、磁化コイルの電流が指数関数的な増加を呈し、零入力応答状態のときに、磁化コイルの電流が指数関数な減少を呈する。
【0028】
所定の磁化コイルを通る磁化電流の最大電流Imaxおよび最小電流Iminに基づき、自動制御電子スイッチがオンになり、一次RL回路が直流励振応答状態に入るようにする。
【0029】
前記一次RL回路の直流励振応答は、電子スイッチが既定の最小磁化電流Iminにあるとき、磁化コイル給電ループに電流が流れ、一次RL回路がこの直流励振に応答し、磁化電流が増加する。
【0030】
回路の理論的な解析から、電流応答は次のとおりである。
il(t) = Il(∞) + [Il(0+) - Il(∞)]e(-t/τ)
Il(∞) = U / R
Il(0+) = Imin
τ = L/R
il(t) = U / R -[ U / R - Imin ]e(-t/τ) 2-1
式中、
U:磁化回路の給電電圧
L:磁化コイルのインダクタンス
R:磁化コイル給電ループの総等価抵抗
Imin:磁化電流最小値
τ:磁化コイル給電ループの時定数
【0031】
直流励振応答状態において、磁化コイルの磁化電流が上昇し、磁化コイルの磁化電流の上昇が所定の最大電流Imaxに達したとき、自動制御電子スイッチが一次RL回路を零入力応答状態に切り替える。
【0032】
前記一次RL回路の零入力応答は、上記磁化電流が既定の最大磁化電流Imaxまで増加したとき、磁化コイル給電ループを切断した後、磁化コイルにおける電流が還流ループを流れて還流し、減少する。
【0033】
回路の理論的な解析から、電流応答は次のとおりである。
il(t) = Il(∞) + (Il(0+) - Il(∞))e(-t/τ1)
Il(∞) = 0 , Il(0+) = Imax
τ1 = L/R1
il(t) = Imaxe(-t/τ1) 2-2
式中、
L:磁化コイルのインダクタンス
R1:還流ループの総等価抵抗
Imax:磁化電流最大値
τ1:磁化ループの時定数
【0034】
零入力応答状態において、磁化コイルの磁化電流が低下し、磁化コイルの電流が所定の最小電流Iminまで低下したとき、自動制御電子スイッチが一次RL回路を直流励振応答状態に切り替え、直流励振応答状態でのプロセスを繰り返す。
【0035】
このようにして、前記一次RL回路が直流励振応答状態と零入力応答状態との間を交互に循環させる。
【0036】
前記一次RL回路の直流励振応答の過渡プロセスの電流時間曲線関数は、最大および最小磁化電流を不変とし、かつ回路における他のパラメータが変わらないとき、過渡プロセス時間および磁化コイルのインダクタンスが線形関係である。
【0037】
Imaxを式2-1におけるil(t)に代入する場合:
Imax = U / R -( U / R - Imin )e(-t/τ)
e(-t/τ) = (U / R -Imax) / U / R - Imin
t/τ =Ln ((U / R - Imin) /(U / R -Imax)) 2-3
電流をImaxとし、時間tをIminからImaxまでの過渡プロセス時間Tとすると、Tおよびτが線形関係であることがわかり、電圧および電気抵抗が変わらない場合、TおよびLは線形関係である。
【0038】
前記一次RL回路の零入力応答の過渡プロセスの電流時間曲線関数は、最大および最小磁化電流を不変とし、かつ回路における他のパラメータが変わらない場合、過渡プロセス時間および磁化コイルのインダクタンスが線形関係である。
【0039】
Iminを式2-2におけるil(t)に代入する場合:
Imin = Imaxe(-t/τ1)
e(-t/τ1) = Imin /Imax
t/τ1 = Ln(Imax/ Imin) 2-4
電流をIminとし、時間tをImaxからIminまでの過渡プロセス時間T1とすると、Imax、Iminが変わらない場合、Ln(Imax/ Imin)が定数であり、電気抵抗が変わらない場合、T1およびLは線形関係である。
【0040】
磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminを予め設定しておき、回路における他のパラメータを変えずに保つ場合、磁化コイルの電流変化プロセスの時間と磁化コイルのインダクタンスの大きさは線形関係をなし、各応答状態の電流変化プロセスの時間またはこの2つの応答状態が循環し変化する周波数をサンプリングして、RL回路において磁化コイルのインダクタンスを変化させる信号を表すことができる。好ましくは、磁化コイルをインダクタンス素子とする一次RL回路が直流励振応答状態にある時間、または磁化コイルをインダクタンス素子とする一次RL回路が零入力応答状態にある時間、または以上の2つの状態時間の和をサンプリングすることができ、いずれも磁化コイルのインダクタンスの大きさを線形に表すことができる。
【0041】
上記プロセスにおいて、いずれか一方の過渡プロセス時間または循環周期時間および磁化コイルのインダクタンスは、線形関係、T = K*Lである。典型的に用いられるLC共振の周期時間、T = K(L*C)1/2に比べ、Cが変わらない場合、T = K * L1/2である。前記一次RL回路の直流励振応答および零入力応答に基づく磁化コイルのインダクタンス検査方法により、磁化コイルのインダクタンスの変化に対する感度を高め、より直接なものにすることができる。
【0042】
さらに、S4において、次の方法により、磁化コイルを一次RL回路のインダクタンス素子とする磁化回路において、磁化コイルのインダクタンスの変化を検査する。
【0043】
検査対象に差異的な変化が生じておらず、磁化コイルのインダクタンスに変化が生じていない場合、磁化コイルが直流励振応答状態にある時間および磁化コイルが零入力応答状態にある時間は、循環して繰り返されるときに、一定で不変である。
【0044】
検査対象に差異的な変化が生じ磁化コイルのインダクタンスに変化が生じている場合、上記2つの応答状態の時間は、磁化コイルのインダクタンスの変化に伴い変化し、上記2つの応答状態の時間を検査するか、またはいずれか一方の応答状態の時間を検査するか、または2つの応答状態が循環して変化する周波数を検査すると、磁化コイルのインダクタンスの変化を高感度に検査することができる。
【0045】
最大および最小磁化電流を予め設定した後、電子スイッチをオンにしたとき、磁化コイルにおける電流が、一次RL回路の直流励振応答に基づき変化する。電子スイッチをオフにしたとき、磁化コイルにおける電流が還流ループによって還流し、一次RL回路の零入力応答に基づき変化する。
【0046】
そのため、一次RL回路の状態が、直流励振応答状態と零入力応答状態との間を往復して循環するとき、2つの状態プロセスの時間は、磁化コイルのインダクタンスの変化に伴い変化し、上記の2つの状態プロセスの時間を検査するか、またはいずれか一方の時間を検査することにより、磁化コイルのインダクタンスを感受することができる。また、最大および最小磁化電流を不変とし、かつ回路における他のパラメータが変わらない場合、検査対象が変わらず、磁化コイルのインダクタンスに変化がないとき、前記2つの状態プロセスの時間はいずれも変わらず、循環周期時間Tも変わらないので、検査プロセスを繰り返し、検証して確定することができ、または、例えば適切なフィルタ計算など、他の計算方法を採用することもできるため、本発明の検査結果は、高度な比較可能性および信頼性を有する。
【0047】
さらに、S3において、生産ラインでリアルタイムで連続して操作している検査対象を、磁界強度が連続して交互に変化する直流磁界の中に置くことにより、検査対象のリアルタイムな連続インライン自動検査を実現する。一次RL回路が直流励振応答状態と零入力応答状態との間を往復して循環しているため、検査プロセスが連続しているので、操作している検査対象に対して、リアルタイムな連続インライン自動検査を行うことができる。
【0048】
さらに、磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminは、実際の検査対象に応じて異なる数値を設定することができ、これにより、検査対象を磁化するための磁界強度、ならびに磁化コイルが直流励振応答状態および零入力応答状態のプロセスにある時間、または2つの応答状態が循環して変化する周波数を調整することができる。
【0049】
磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminは、独立したプログラムにより設定することができ、実際の応用においては、試験により最も適した最大および最小磁化電流を手動または自動で選択することができる。これにより、異なる磁界強度を用いて異なる検査対象を磁化し、異なる材質および異なる応用目的に適応することができる。
【0050】
さらに、一次RL回路に対して直流励振応答を行う際の電圧は可変であり、磁化コイルと一次RL回路をなす電流制限抵抗は、独立して選択することができ、これにより異なる検査対象に適用することができる。磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminを組み合わせる設定は、磁化コイル上の異なる電流変化率を選択して決定することができ、すなわち磁化コイルが異なる磁界変化率を生成する。これにより、異なる磁界変化率を選択し、異なる応用目的または検査対象の異なる材質および現場の需要に適応することができる。
【0051】
電磁非破壊品質検査用の検査回路は、電力を供給する直流定電圧電源と、磁化コイルおよび電流制限抵抗からなる一次RL回路と、励磁電流電子スイッチのループとを含み、前記磁化コイルは、励磁電流電子スイッチがオフのときに磁化コイルから電流を流し続けるための還流ループに接続されている。
【0052】
前記励磁電流電子スイッチは、前記磁化コイルおよび前記電流制限抵抗からなる一次RL回路と前記直流給電定電圧電源の導通または遮断を制御し、一次RL回路が直流励振応答状態に入る、またはそこから出ることを制御するために用いられる。
【0053】
励磁電流電子スイッチが導通しているときに、磁化電流は、前記直流給電定電圧電源の正極から、前記電流制限抵抗を経て、前記磁化コイルに流れ、前記励磁電流電子スイッチを経て、前記直流給電定電圧電源の負極に入る。
【0054】
一次RL回路が直流励振応答状態に入り、磁化コイルの磁化電流が所定の最大電流Imaxに達したとき、励磁電流電子スイッチが遮断される。
【0055】
前記励磁電流電子スイッチが遮断されたとき、還流ループが磁化コイルの還流通路を提供し、一次RL回路が零入力応答状態に入り、磁化電流が指数関数的に低下する。磁化電流が所定の最小電流Iminに達すると、励磁電流電子スイッチが再び導通する。このようにして、交互に循環して磁化コイルの直流励振応答および零入力応答を行う。
【0056】
好ましくは、一次RL回路を直流励振応答状態にする際に、一次RL回路に給電される直流定電圧電源の電圧を可変にするために、磁化コイルと一次RL回路をなす電流制限抵抗は、独立して選択することができ、これにより、異なる検査対象に適用できるよう、電流変化率を調整し、検査対象を磁化するための磁界強度の変化率を調整することができる。
【0057】
電磁非破壊検査方法を用いた検査システムは、上記の検査回路を含み、さらに、磁化電流サンプリングユニットと、電圧比較ユニットと、磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットと、磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットと、インダクタンス感受信号処理および出力ユニットとを含む。
【0058】
前記磁化コイルと前記電流制限抵抗との間には、電圧サンプリングポイントが設けられ、前記電流サンプリングユニットは、前記電圧サンプリングポイントの対地電圧を採取し、処理後に前記電圧比較ユニットに出力する。
【0059】
前記磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットは、所定の磁化電流情報に基づき、前記磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminのバレー値電圧およびピーク値電圧を設定し、一次RL回路に対して直流励振応答段階を行っている際に、磁化コイルの磁化電流が最大電流Imaxに達したときに、前記磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットが励磁電流電子スイッチを切り、還流ループを導通させ、一次RL回路が零入力応答状態に入るようにする。磁化電流は、磁化電流が所定の最小電流Iminに達するまで指数関数的に低下し、励磁電流電子スイッチが再び導通する。このようにして、交互に循環して磁化コイルの直流励振応答および零入力応答を行う。
【0060】
前記インダクタンス感受信号処理および出力ユニットは、直流励振応答段階の時間および零入力応答段階の時間をサンプリングし、インダクタンス信号の変化結果を処理して出力するために用いられる。
【0061】
好ましくは、電磁非破壊検査方法を用いた検査システムは、さらに、マイクロプロセッサを含み、前記マイクロプロセッサは、磁化電流設定ユニットと、システムパラメータ設定ユニットと、検査製品欠陥および関連品質指標の解析処理・出力ユニットとを含む。
【0062】
前記磁化電流設定ユニットは、磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminを設定し、信号を磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットに出力するために用いられる。
【0063】
前記システムパラメータ設定ユニットは、関連する操作データを設定するために用いられる。
【0064】
前記検査製品欠陥および関連品質指標の解析処理・出力ユニットは、インダクタンス感受信号に基づき、ユニットが出力する信号を処理して出力するために用いられ、検査対象の特徴および関連するパラメータを組み合わせて設定し、解析処理し、画像や文字、デジタル量、アナログ量、通信等の種々の形式で出力する。
【0065】
有益な効果:
本発明で提供する電磁非破壊品質検査方法は、一次RL回路に対して、磁化コイルで直流励振応答および零入力応答を交互に行うことにより、磁化コイルで生成される直流磁界の磁界強度が電流の変化に伴い交互に変化するようにする。電磁に対して感受性の検査対象を、磁界強度が交互に変化する直流磁界の中に置いた後,磁化コイルのインダクタンスに変化が生じる。インダクタンスの変化と、磁化コイルが直流励振応答段階にある時間および磁化コイルが零入力応答段階にある時間とが線形関係をなすことにより、検査対象の性能パラメータによって引き起こされる磁化コイルのインダクタンスの変化を巧妙に高感度に検査することができ、電磁検査がインラインで、自動的に、連続して高感度の検査を行うことができないという欠陥を解決する。本発明の電磁非破壊品質検査方法は、リアルタイム性がよく、感度が高く、信頼性が高く、線材、棒材またはケーブル等の高速生産プロセスにおける欠陥インライン検査および品質指標に対する連続したリアルタイムでの自動検査に適しており、品質を高め不合格品を少なくする目的を達成するため、生産プロセスにおいて問題を速やかに発見し、速やかに是正し、不良率を少なくし、損失を少なくし、資源を節約し、製品の品質性能を高め、安全上の憂慮を小さくすることができる。
【0066】
本発明は、特に、例えば検査対象が線棒材、管材またはその線材からなるストランドである際に、正常な場合、その構造に突発的な変化がなく、適切な動作パラメータを採用して、速やかに、生産プロセスにおいて、インラインで検査し、ストランド構造の断線や落ち込み、浮き、飛び出し等の欠陥を速やかに発見することができ、線材、棒材の欠陥、めっき層の厚み等の性能パラメータをインラインで検査することができる。棒材、管材およびストランド構造等の製品の生産プロセスは、通常、連続しており、品質の問題は往々にしてロットごとに発生する。効果的なリアルタイムのインライン検査がなければ、製品の品質または性能の変化を速やかに発見することは難しく、製品によっては、顧客からのフィードバックや苦情があるまで品質の問題に気づかないこともあり、その場合、連続生産によってすでに大量の不具合品が製造されており、大きな浪費および安全上の憂慮をもたらしている。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】
図1は、本発明による電磁非破壊検査方法を用いた検査システムの構成図である。
【
図2】
図2は、本発明による電磁非破壊検査方法を用いた検査回路の模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例における磁化電流波形図の例である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例における電圧サンプリングポイントの電圧波形図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明に対する理解を深めるため、以下、実施例および図面を組み合わせて、本発明についてさらに詳述するが、この実施例は、本発明について説明するためのものにすぎず、本発明の保護範囲に対する限定を構成しない。
【0069】
実施例
図1に示した電磁非破壊検査方法を用いた検査システムの主回路部分は、
図2に示したとおりである。
【0070】
本形態は、一次RL回路を磁化回路とし、磁化コイルを一次RL回路のインダクタンス素子とし、電力を供給する直流定電圧電源と、磁化コイルおよび電流制限抵抗からなる一次RL回路と、電流電子スイッチBの還流ループとを含み、磁化コイルは、電流電子スイッチBのスイッチがオフのときに磁化コイルから電流を流し続けるための還流ループに接続されている。
【0071】
磁化コイルおよび電流制限抵抗からなる一次RL回路は、直流給電定電圧電源および電流電子スイッチAのループにつながれ、直流給電定電圧電源の正極は、電流制限抵抗の一端に接続され、磁化コイルの他端は、電流電子スイッチAの入力に接続され、電流電子スイッチAの制御端は、下記の励磁電流電子スイッチ駆動ユニットによって制御され、電流電子スイッチAの出力端は、直流給電定電圧電源の負極に接続される。還流ループは、電流制限抵抗と磁化コイル入力が接続された一端に接続される。
【0072】
電流電子スイッチAが導通しているときに、磁化電流は、前記直流給電定電圧電源の正極から、前記電流制限抵抗を経て、磁化コイルに流れ、電流電子スイッチAを経て、直流給電定電圧電源の負極に入り、このとき、一次RL回路に対して直流励振応答を行う。磁化コイルは、さらに、単独で、電流電子スイッチBを有する還流ループに直列につながれる。電流電子スイッチAが遮断されたときに、電流電子スイッチBが導通し、磁化コイルと還流ループが連通し、このとき、一次RL回路に対して零入力応答を行う。
【0073】
直流励振応答段階を行っている際に、磁化コイルの電流が指数関数的な増加を呈し、零入力応答段階を行っている際に、磁化コイルの電流が指数関数的な減少を呈する。
【0074】
磁化コイルを流れる最大電流Imaxおよび最小電流Iminを予め設定し、一次RL回路が直流励振応答段階を行っている際に、磁化コイルの電流が最大電流Imaxに達したときに零入力応答に切り替え、一次RL回路が零入力応答段階を行っている際に、磁化コイルの電流が最小電流Iminに達したときに直流励振応答に切り替え、直流励振応答段階の時間Tおよび零入力応答段階の時間T1をサンプリングする。
【0075】
一次直列RL回路は、直流励振応答状態と零入力応答状態との間を往復して循環しており、磁化コイルにおける磁化電流は、既定の最大および最小磁化電流の間を往復して変化しており、最大および最小磁化電流を不変とし、かつ回路における他のパラメータが変わらない場合、検査対象が変わらず、磁化コイルのインダクタンスに変化がないとき、前記2つの状態プロセスの時間はいずれも変わらず、直流励振応答段階の時間Tおよび零入力応答段階の時間T1の値は定数であり、かつ検査プロセスは連続している。
【0076】
未知の位置に欠陥を有する連続ワークが前記磁化コイルを通過し、直流励振応答段階の時間Tおよび零入力応答段階の時間T1をサンプリングし、TまたはT1に変化が生じたときに、ワークの欠陥の位置を特定することができる。
【0077】
関連する応用プロセスで、直流励振応答および零入力応答において磁化コイルを通電または遮断した瞬間に、変化する磁化電流が形成され、変化する磁界が生成され、検査対象は、この磁界内で磁性材料として磁化されるとともに、検査対象が導電材料である場合、磁界の変化によって、検査対象において渦流現象が生成される。
【0078】
磁性材料である検査対象は、その磁路、磁気抵抗および透磁率がここの磁界に影響を及ぼす。検査対象が導電材料である場合、検査対象において渦流現象を生成し、導電材料の特性もここの磁界に影響を及ぼす。磁界に対するこれらの影響は、磁化回路にとって、磁化コイルのインダクタンスに対する影響を及ぼすものである。
【0079】
検査対象の電磁特性およびその変化は、磁化コイルのインダクタンス(検査対象の影響を含む)およびその変化に影響を及ぼす。
【0080】
検査対象の電磁特性およびその変化は、検査対象の材質または外形およびその変化を含み、これは、関連する磁路、磁気抵抗、透磁率およびその変化を引き起こすか、または渦流およびその変化を引き起こし、導電鉄磁性管材、棒線材の表面欠陥、亀裂、材料の不純物、炭素含有量の変化等の欠陥、またはその線材をストランドにしロープにした後の断線、きず、腐食、飛び出し等の欠陥、または導電鉄磁性棒材表面の非鉄磁性導電めっき層厚み等の特性または変化を含むが、これらに限定されない。
【0081】
検査対象の電磁特性およびその変化は、さらに、関連する磁路、磁気抵抗、透磁率は基本的に変わらず、渦流の変化を引き起こす材質または外形および変化のみであることを含み、非鉄磁性導電管材、線材またはケーブルの表面変化を含むが、これらに限定されない。
【0082】
実施例は、共通の型式であり、異なる磁化コイル、電気抵抗を変え、異なる磁化電流を採用し、異なる鋼線欠陥検査装置、鋼ワイヤーロープ(例えば起重用鋼ワイヤーロープ、タイヤ用スチールコード)欠陥検査装置などをなすことができる。
【0083】
図1は、電磁非破壊検査方法を用いた検査システムであり、
図2に示した一次RL回路を含み、さらに、電流サンプリングユニットと、電圧比較ユニットと、磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットと、マイクロプロセッサと、磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットと、インダクタンス感受信号処理および出力ユニットとを含み、その接続関係は図に示したとおりである。
【0084】
磁化コイルと前記電流制限抵抗との間には、電圧サンプリングポイントが設けられ、電流サンプリングユニットは、電圧サンプリングポイントの対地電圧を採取し、処理後に電圧比較ユニットに出力し、磁化電流スイッチ変換制御ロジックの解析に関与する。主回路に記載のように、電圧サンプリングポイントの対地電圧は、磁化コイルにおける磁化電流の増加に伴い減少し、磁化コイルにおける磁化電流の減少に伴い増加する。
【0085】
磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットは、マイクロプロセッサの所定の磁化電流情報を受信し、前記磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminのバレー値電圧およびピーク値電圧を設定し、一次RL回路に対して直流励振応答段階を行っている際に、前記磁化コイルの磁化電流が最大電流Imaxに達したときに、磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットが電流電子スイッチAを切り、電流電子スイッチBを導通し、一次RL回路が零入力応答に入るようにする。磁化電流は、還流ループにより減少し、磁化電流が最小電流Iminに達したときに、磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットが電流電子スイッチAを導通させ、電流電子スイッチBを切り、磁化電流を増加させ、一次RL回路がまた直流励振応答段階に入る。
【0086】
電圧比較ユニットは、磁化電流サンプリングユニットの電圧信号および磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットが設定した磁化コイルの磁化電流最大値および最小値に対応するバレー値電圧およびピーク値電圧を比較し、それぞれ下記磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットに出力する。
【0087】
磁化電流スイッチ変換制御ロジックおよび磁化電流スイッチ駆動ユニットは、前記電圧比較ユニット出力信号に基づき、磁化電流スイッチ状態が変わったかどうかを速やかに判断し、循環駆動を実行する。具体的なプロセスは、次のとおりである。
【0088】
プロセス1:電流電子スイッチAが導通し、電流電子スイッチBが切断されているとき、磁化コイルの磁化電流が指数関数的に上昇し、電流サンプリングユニットの電圧信号が指数関数的な低下を呈しており、磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットが設定した磁化コイルの磁化電流最大値に対応するバレー値電圧まで電流サンプリングユニットの電圧信号が低下したときに、上記電圧比較ユニットが比較結果を出力して状態信号を変えて出力し、磁化電流スイッチ変換制御ロジックユニットがこの状態信号を受信し、電流電子スイッチBを導通させ、電流電子スイッチAを切る。この後、磁化コイルの磁化電流が指数関数的に低下し、電流サンプリングユニットの電圧信号がこれに伴い上昇する。
【0089】
プロセス2:磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットが設定した磁化コイルの最小磁化電流に対応するピーク値電圧まで電流サンプリングユニットの電圧信号が上昇したときに、上記電圧比較ユニットが比較結果を出力して状態信号を変えて出力し、磁化電流スイッチ変換制御ロジックユニットがこの状態信号を受信し、電流電子スイッチAを導通させ、電流電子スイッチBを切る。この後、状態がプロセス1になり、磁化電流が周期的に上記プロセス1およびプロセス2の2つの状態の間を循環する。
【0090】
上記2つのプロセスにおける磁化電流波形は、
図3に示すとおりである。2つの状態における電圧サンプリングポイントの対地電圧波形は、
図4に示すとおりである。
【0091】
インダクタンス感受信号処理および出力ユニットが、直流励振応答段階の時間Tおよび零入力応答段階の時間T1をサンプリングし、結果をマイクロプロセッサに伝送し、マイクロプロセッサによって比較警告などを行う。
【0092】
前記マイクロプロセッサは、磁化電流設定ユニットと、システムパラメータ設定ユニットと、検査製品欠陥および関連品質指標の解析処理・出力ユニットとを含む。
【0093】
前記磁化電流設定ユニットは、磁化コイルの最大電流Imaxおよび最小電流Iminを設定し、信号を磁化電流変換対応制御電圧設定ユニットに出力するために用いられる。
【0094】
前記システムパラメータ設定ユニットは、関連する操作データを設定するために用いられる。
【0095】
前記検査製品欠陥および関連品質指標の解析処理・出力ユニットは、インダクタンス感受信号に基づき、ユニットが出力する信号を処理して出力するために用いられ、検査対象の特徴および関連するパラメータを組み合わせて設定し、解析処理し、画像や文字、デジタル量、アナログ量、通信等の種々の形式で出力する。
【0096】
検査製品欠陥および関連品質指標の解析処理・出力は、上記インダクタンス感受信号に基づき、ユニットが出力する信号を処理して出力するために用いられ、検査対象の特徴および関連するパラメータを組み合わせて設定し、解析処理し、画像や文字、デジタル量、アナログ量、通信等の種々の形式で出力する。
【0097】
上記磁化電流は、周期的に上記2つのプロセスを循環し、設定された最大値から最小値へ、また最小値から最大値へと循環して変化し、その周期は、次のいくつかの側面によって決まる。
【0098】
a:直流給電定電圧電源電圧の大きさ
b:電流制限抵抗値
c:磁化電流変換対応制御電圧設定
d:磁化コイル(検査対象の影響)等価インダクタンス値
【0099】
実際には、異なる検査対象および検査目的に対して、つまり異なる応用の際に、上述したいくつかの側面がどれも異なる。
【0100】
しかしながら、特定の応用に対して、通常、上記a、b、c項が変わらないか、または一部のパラメータが規則的に変わる。特定のa、b、cの値について、上記磁化電流上昇プロセス時間、低下プロセス時間、または周期または周波数は、いずれも磁化コイル(検査対象の影響を含む)等価インダクタンス値の一価関数であり、インダクタンス感受信号として、設計された処理を経て出力することができる。
【0101】
ここでは、本発明の鋼ワイヤーロープに対して品質検査を行うことを例として採用して、具体的な検査プロセスについて説明する。システムが動作しているとき、検査対象である鋼ワイヤーロープは、鋼線よりもやや太いソレノイドから磁化コイルを通過させ、鋼ワイヤーロープの特性は、磁化コイルのインダクタンスに影響を及ぼし、インダクタンス感受信号-過渡プロセス時間または変化周波数を検査することにより検査する。鋼ワイヤーロープが正常である場合、材料の一致性が比較的よく、磁界特性の一致性が比較的よく、磁化コイルのインダクタンスは比較的一致し、検査された過渡プロセス時間または変化周波数が比較的一致する。鋼ワイヤーロープが正常でない場合、磁界特性が一致せず、磁化コイルのインダクタンスに変化があり、インダクタンス感受信号-過渡プロセス時間または変化周波数を検査することにより、こうした状況において一致しないことを検査することができ、信号がマイクロプロセッサに入力され、所定のパラメータと比較し、判断して確認し、欠陥信号を出力する。
【0102】
上述した内容は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を限定するためのものではない。本発明の主旨および原則内で行ったいかなる修正、同等の置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。