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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】折り曲げ開封包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
B65D75/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022045245
(22)【出願日】2022-03-22
【審査請求日】2022-03-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521206475
【氏名又は名称】VPAK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 快星
(72)【発明者】
【氏名】橋本 忠
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-112104(JP,A)
【文献】特開2020-023338(JP,A)
【文献】特開2015-101370(JP,A)
【文献】特開平11-240583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏両面が外装フィルムからなり偏平な平袋状に形成され、相対向する2つの柔軟なフィルム部と、封止を行うシール部を有し、前記フィルム部間に被包装物封入された包装体であって、
前記フィルム部のうちの一方に、厚み方向に貫通して被包装物の出口となる貫通部が形成され、
前記貫通部を有した前記フィルム部の内側面における前記貫通部を含む領域に、前記外装フィルムよりも厚く硬質の平板状で鋭角に折り曲げ可能な開封シートが接合され、
前記開封シートにおける前記貫通部に対応する部位には、折り曲げにより開口して前記貫通部を開く開口予定部が形成されるとともに、
前記開口予定部と前記貫通部との間に前記開口予定部が開口したときに破断する封止材が備えられ
前記封止材の大きさが、前記開封シートよりも小さく前記開口予定部及び前記貫通部に対応しこれらを覆う大きさに形成され、
前記封止材が前記フィルム部で覆われた
折り曲げ開封包装体。
【請求項2】
全体が方形のカード型であり、
前記外装フィルムの外周縁の一辺に、前記フィルム部同士が連続する折り返し部が形成され、
前記外装フィルムの外周縁における前記折り返し部を除く方にシール部が形成され、
前記折り返し部が内側に折り込まれる折り込み部を有する
請求項1に記載の折り曲げ開封包装体。
【請求項3】
前記開口予定部を開口する折り曲げ線罫線と平行な辺に、前記折り返し部が形成された
請求項2に記載の折り曲げ開封包装体。
【請求項4】
前記開封シートが前記フィルム部の大きさに対応する大きさである
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の折り曲げ開封包装体。
【請求項5】
前記開封シートが前記フィルム部の大きさよりも小さい
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の折り曲げ開封包装体。
【請求項6】
表裏両面が外装フィルムからなり偏平な平袋状に形成され、相対向する2つの柔軟なフィルム部と、封止を行うシール部を有し、前記フィルム部間に被包装物が封入された包装体の製造方法であって、
前記フィルム部のうちの一方を構成することになる基材フィルムに、厚み方向に貫通し被包装物の出口となる貫通部を形成したのち、
前記外装フィルムよりも硬質で鋭角に折り曲げ可能であり、折り曲げにより開口する開口予定部が形成され、一部である前記開口予定部に対応する部分のみに前記開口予定部が開口したときに破断する封止材が備えられた開封シートを、前記開口予定部を前記貫通部に対応させるとともに前記封止材が備えられた面を前記基材フィルムの内側面に向けて前記基材フィルムの内側面における前記貫通部を含む領域に接合して、前記封止材を前記基材フィルムで覆い、
前記基材フィルムの前記開封シートを有する面を内側にして搬送し、充填シール機による被包装物の封入を行う
折り曲げ開封包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折り曲げると開封されて内部の被包装物を押し出せる折り曲げ開封包装体に関し、より詳しくは、偏平な形状で比較的少量の被包装物を包装するのに好適な折り曲げ開封包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
折り曲げ開封包装体には、液体や粉体、粒体、粘性体など様々な態様の被包装物を包装することができ、食品をはじめ、医薬品、化粧品、消毒液、ペット用餌など幅広い分野の被包装物の包装に用いられている。
【0003】
このような折り曲げ開封包装体であって比較的少量の被包装物を包装するものとしては、下記特許文献1に開示されているようなカード型の包装体があった。
【0004】
この包装体は、図21に示したように、半剛性プラスチック材料の第1シート101と、これに重ね合わされて封止され、1回用量の製品102入りの密封ポケットを画定する可撓性プラスチック材料の第2シート103で構成されている。第1シート101と第2シート103は全周である4辺のシール部104において、互いに溶着される。第1シート101は長方形板状であり、長手方向の中間位置に、破断開封のための線状の切り込み105を有している。
【0005】
封止のためのシール部104の形成と製品102(被包装物)の充填は、充填シール機によって行われる。
【0006】
また、包装体の表示や美麗にみせるための印刷は、包装体の表となる第1シート101に主として施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5244111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、充填シール機による加工において、シール部の形成は肉厚の第1シートに対して肉薄の第2シートを加熱押圧して行うが、肉厚が薄い第2シート側からの加熱となるため、高い溶着強度を得にくい。また、溶着に時間をかける必要があり、加工速度を上げるにも限界がある。
【0009】
また厚い第1シートに美麗な印刷をすることは、安価に行うことは容易ではなく、コストがかかり、単価の高い包装体となっていた。このため、高単価の被包装物の包装にしか採用できなかった。
【0010】
さらに、特許文献1の包装体は、厚さと剛性のある第1シートの片面に第2シートの全周縁を溶着する構造であるので、第1シートによって第2シートが直接拘束され、充填量は少ない。充填量を多くするには、平面視での大きさを大きくする必要があり、その場合には第1シートの厚みも、大きさに比例して厚くする必要がある。そうすると片手で容易に開封できるような包装体ではなくなってしまう。
【0011】
そこで、この発明は、使い勝手が良い折り曲げ開封包装体を安価に製造するともとに、必要に応じて充填量を多めにできるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのための手段は、相対向する2つの柔軟なフィルム部を有し偏平な形状に形成される外装フィルム内の前記フィルム部間に被包装物を封入した包装体であって、前記フィルム部のうちの一方に、厚み方向に貫通して被包装物の出口となる貫通部が形成され、前記貫通部を有した前記フィルム部の内側面における前記貫通部を含む領域に、前記外装フィルムよりも厚く硬質の平板状で鋭角に折り曲げ可能な開封シートが接合され、前記開封シートにおける前記貫通部に対応する部位には、折り曲げにより開口して前記貫通部を開く開口予定部が形成されるとともに、前記開口予定部と前記貫通部との間に前記開口予定部が開口したときに破断する封止材が備えられた折り曲げ開封包装体である。
【0013】
この構成では、外装フィルムは、貫通部を有する一方のフィルム部の内側面に接合された開封シートを包み込み、開封シートの緩衝材として機能する。外装フィルム内の開封シートは、予め貫通している又は後に貫通される貫通部を閉塞して又は貫通部に重なって、一方のフィルム部を平らに保つ。被包装物を充填しながら包装体を形成する充填シール機による加工においては、外装フィルムと開封シートは互いに溶着されず、外装フィルム同士が溶着される。また表示や装飾のための印刷は、厚さの厚い開封シートに施す必要はなく、外装フィルムのみに対して行われる。そして開封シートは、外装フィルムの外側からの変形で折り曲げられると、開口予定部を開き、これに伴ってフィルム部の貫通部を開放して外装フィルムとの協働で被包装物を押し出す。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、充填シール機による加工において厚さの異なる外装フィルムと開封シートを互いに溶着する必要がない構成であるので、シールは強固に、しかも高速で行える。このため、重ね合わせたり挟み込んだりした状態での携行を可能にするとともに、製造コストを抑えて安価な包装体を得ることができる。
【0015】
また厚みが厚く硬質の開封シートはそれと同等以上の大きさに形成された一方のフィルム部の内側面に接合された構成であり、開封シートが反対側の他方のフィルム部を拘束することはない。このため、開封シートによって平らな形状に保持される平袋状の包装体でありながらも、被包装物の充填量を多くすることができる。
【0016】
たとえ充填量を増やしても、平面視での大きさを大きくしたり、開封シートの厚さを厚くしたりする必要もないので、片手でサッと押し出せる使い勝手の良さを維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】折り曲げ開封包装体の表面を示す斜視図と、裏面を示す斜視図。
図2】折り曲げ開封包装体の裏面を示す平面図。
図3図2のA-A断面図。
図4図2のB-B切断部端面図。
図5】開封シートの構造を示す斜視図。
図6】充填シール機を用いた製造装置の概略構造を示す斜視図。
図7】開封シートの製造工程を示す概略説明図。
図8】開封シートに封止材を貼り付ける状態を示す断面図。
図9】基材フィルムに開封シートを接合する状態を示す断面図。
図10】作用状態の説明図。
図11】他の例に係る折り曲げ開封包装体の平面図。
図12図11のC-C断面図。
図13】充填シール機を用いた製造装置の概略構造を示す斜視図。
図14】他の例に係る折り曲げ開封包装体の平面図。
図15】開口予定部近傍の他の例を示す断面図。
図16】開封シートの他の例を示す断面図。
図17】他の例に係る折り曲げ開封包装体の平面図とそのD-D断面図。
図18】他の例に係る折り曲げ開封包装体の平面図。
図19】他の例に係る折り曲げ開封包装体の平面図。
図20】他の例に係る折り曲げ開封包装体を自立させた状態の断面図。
図21】従来技術を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0019】
図1に、折り曲げ開封包装体11(以下、「包装体」という)の斜視図を示す。図1の(a)は表面を示す斜視図、(b)は中身である被包装物12を押し出す出し口を有した裏面を示す斜視図である。
【0020】
このように包装体11は平面視長方形の偏平な平袋状に形成されており、表裏両面に印刷13,14が施されている。表面の印刷13は、便宜上、図面において大文字で「XYZ」と表し、裏面の印刷14は小文字で「xyz」と表している。裏面にはまた、出し口を表す四角い図形15も印刷により形成されている。
【0021】
なお、ここでいう「表面」、「裏面」は説明における識別のための表現であって、絶対的な意味での表裏を意味するものではなく、出し口は表にあってもよい。
【0022】
包装体11の大きさは、全体が手のひらに収まる程度の大きさであり、前述のように平袋状であるため、手のひらサイズのカード型であるといえる。包装体11は外観上、外装フィルム31のみがあらわれている。
【0023】
外装フィルム31は、柔軟な合成趣旨フィルムで構成され、相対向する2つのフィルム部32,33、つまり表フィルム部32及び裏フィルム部33と、その周囲で外装フィルム31同士が溶着されてなるシール部34,35を有している。包装される被包装物12は、外装フィルム31内であって2つのフィルム部32,33同士の間に封入されている。
【0024】
フィルム部32,33のうちの一方、この例では裏フィルム部33には、図2図2のA-A断面図である図3に示したように、厚み方向に貫通し被包装物12の出口となる貫通部36が形成されている。図示例の貫通部36は予め貫通している切り込みである。貫通部36の形状は、大きな開口が得られる平面視H字形であって、裏フィルム部33の長手方向と直交する方向に延びる横線部36aと、この横線部36aの両端で横線部36aに直交する縦線部36bを有している。
【0025】
シール部34,35は、長辺を構成する2つの辺と、短辺を構成する1つの辺の合計3辺に一定幅で形成されている。このような3辺にシール部34,35を有する包装体11は、いわゆる三方シール袋である。短辺のうち、シール部34を有する側と反対側の縁は、フィルム部32,33同士が連続する折り返し部37である。
【0026】
裏フィルム部33に形成された貫通部36は、内装される開封シート51で閉塞されている。つまり、裏フィルム部33の内側面における貫通部36を含む領域に開封シート51が接合、換言すれば貼り付けられている。開封シート51は、その全面が裏フィルム部33に貼り付けられてもよく、貫通部36を中心とした部分に対応する部分のみが接着されてもよい。
【0027】
外装フィルム31には、包装体11の用途や開封シート51との相性などを考慮して適宜の材料からなるものを使用でき、例えばONY(ナイロンフィルム)/PE(ポリエチレン)のドライラミネート品などが好適に使用できる。二軸延伸ナイロンフィルムは、耐屈曲ピンホール性や耐摩耗性が高く、耐熱性・耐寒性にも、ガスバリア性にも優れている。包装体11の大きさにもよるが、厚みはONY15μm程度、PE40μm程度のものを使用できる。
【0028】
外装フィルム31に高バリア性を持たせるには、例えば7μmから15μm程度の厚さのアルミ箔を層として備えるとよい。
【0029】
包装体11がレトルト殺菌を必要とするものである場合には、外装フィルム31には例えば、PET(ポリエステルフィルム)/ONY(二軸延伸ナイロンフィルム)/AL(アルミ箔)/CPP(無延伸ポリプロピレンフィルム)を使用できる。これは、ベース基材(PET、ONY)とサンド基材(AL)とシーラント基材(CPP)を互いにラミネートして複合したフィルムである。
【0030】
開封シート51の大きさは、貫通部36の大きさに比べて格段に大きく、指先での折り曲げ動作が可能な大きさに設定されている。このため、被包装物12は、図3図4に示したように、その多くの部分が表フィルム部32と開封シート51との間に充填されることになる。
【0031】
開封シート51は合成樹脂製であり、図5に示したように、外装フィルム31よりも厚く硬質の平板状であって、二つ折りするように一方向に鋭角に折り曲げ可能に形成されている。図1図2に示した包装体11では、開封シート51の形状は長方形であり、裏フィルム部33に対応する大きさに形成されている。
【0032】
開封シート51の四隅には角アール部52を有し、長手方向の中間位置には図5に示したように、折り曲げ罫線53が中央部を除いて一直線状に形成されている。折り曲げ罫線53は厚み方向のうち、開封シート51を折り曲げたときに鋭角に飛び出す方向に形成される。
【0033】
中央部には開封シート51の折り曲げにより開口する開口予定部54が形成されている。開口予定部54は厚み方向に貫通する切り込みで構成され、その形状は折り曲げ罫線53の延長線上に位置する横線部54aと、この横線部54aの両端で横線部54aに直交する縦線部54bを有する平面視H字形である。
【0034】
この開口予定部54の形状は、外装フィルム31の貫通部36の形状と同一又は略同様であり、大きさは貫通部36と同じでよいが、少し大きい方が望ましい。
【0035】
開封シート51には、包装体11の用途や外装フィルム31との相性などを考慮して適宜の材料からなるものを使用でき、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、OPETなどが使用できる。その厚みは、0.15mm~0.5mm程度であるとよい。
【0036】
開口予定部54の上面、つまり開封シート51を折り曲げたときに突き出す側の面には、封止材55が備えられている。封止材55は、バリア性・防湿性に優れた材料であるとともに、折り曲げにより開口予定部54が開口したときに破断する材料で構成されている。
【0037】
このような封止材55にはアルミ箔が好適に使用できる。アルミ箔の厚みは、例えば15μm~30μm程度であるとよい。
【0038】
封止材55は切り込みの全体を覆う平面視長方形に形成されており、ホットメルト接着剤を片面に塗布して加熱押圧によって貼り付けられる。封止材55の貼り付けによって、切り込みからなる開口予定部54は閉鎖され、ガス等の透過のない状態が得られる。
【0039】
前述のような外装フィルム31と開封シート51で構成される包装体11は、図6に示したように三方シールと四方シールができる既存の充填シール機71を利用して製造できる。
【0040】
充填シール機71は、外装フィルム31となる基材フィルムWを製袋に適した形態で供給するフィルム供給部72の後段に、上から下に向けて順に、充填部73、縦シール部74、底加工用横シール部75、閉じ加工用横シール部76、切断部77を有している。
【0041】
充填部73は、製袋途中の基材フィルムW内に被包装物12を供給する部分であり、横管73aと、横管73aの先端から下に向けて延びる縦管73bを有している。縦管73bの下端73cは、底加工用横シール部75の上に位置している。
【0042】
縦シール部74は、一対の回転軸74aに形成された加熱ローラ74bで、上から下に搬送される外装フィルム31の縁部を熱シールする部分であり、図6に示したような三方シールを行う場合には、開放側の縁にのみシールを行って閉じる。縦シール部74を通過すると、基材フィルムWは筒状になる。前述した三方シールの包装体11においては、縦シール部74でシールされる部分は短辺のシール部34である。
【0043】
底加工用横シール部75は、一対の回転軸75aの外周面に形成された複数の加熱バー75bで、上から下に搬送される筒状の基材フィルムWに対して一定間隔で幅方向全体に線状の熱シールを行う部分である。前述の充填部73からの充填は、底加工用横シール部75による熱シールがなされた後に行われる。前述した三方シールの包装体11においては、底加工用横シール部75でシールされる部分は長辺に形成されるシール部35のうちの一方である。
【0044】
閉じ加工用横シール部76は、底加工用横シール部75と同じ構成であり、一対の回転軸76aの外周面に形成された複数の加熱バー76bで、上から下に搬送される筒状の基材フィルムWに対して一定間隔で幅方向全体に線状の熱シールを行う部分である。前述した三方シールの包装体11においては、閉じ加工用横シール部75でシールされる部分は長辺に形成されるシール部35のうちの他方である。
【0045】
切断部77は、閉じ加工がなされて連続した形態の包装体11を、一つずつに分離する一対のカッター77aで構成されている。
【0046】
このような充填シール機71の前段に、基材フィルムWに貫通部36を形成する貫通部形成部78と、外装フィルム31の内側面に開封シート51を接合する貼り合わせ部79が設けられる。
【0047】
貫通部形成部78は、外周面に切込み刃を有する加工ローラで構成されるとよい。
【0048】
貼り合わせ部79に供給される開封シート51は、図7に示したように打ち抜き加工されたのち、封止材55が貼り付けられて形成される。具体的には、テープ状の基材を打ち抜き加工により、複数の開封シート51が脆弱部56を介して連続した形状に打ち抜くとともに、中央に開口予定部54を、開口予定部54の両側に折り曲げ罫線53を形成する。
【0049】
封止材55は、長方形の薄いフィルムであり、図8に示したように、開口予定部54にホットメルト接着剤を介して重ねられた後、受け型81とヒータ82aを内蔵した押し型82により加熱押圧して一体化される。加熱押圧は、例えば封止材55が20μmのアルミ箔で、開封シート51が400μmのPEの場合、130度で、1cm当たりの圧力を50kgとして、0.2秒で行える。
【0050】
貼り合わせ部79においては、基材フィルムWの内側面に対して1枚の開封シート51の封止材55を備えた面を重ね合わせて、図9に示したように一対の型83,84で面全体を基材フィルムWに加熱押圧して接合する。この加熱押圧は、上記の開封シート51の場合であって、基材フィルムWがONY15μm/PE40μmである場合、例えば140度、1cm当たりの圧力を100kgとして、0.12秒で行える。
【0051】
図9中、一対の型83、84のうち、一方の型83の83aはヒータである。他方の型84における封止材55に対応する部位に形成された凹所84aは、封止材55と開口予定部54(切り込み)との接着を防止するためのぬすみである。
【0052】
基材フィルムW(外装フィルム31)と開封シート51との貼り合わせに際しては、外装フィルム31の貫通部36と開封シート51の開口予定部54が重なり合うように位置合わせを行う。
【0053】
このようにして開封シート51が一体となった基材フィルムW(外装フィルム31)は、図6に示したように幅方向の中間位置で2つ折りされつつ充填シール機71に送られて、製袋されながら被包装物12の充填がなれさて、包装体11が得られる。三方シール構造の包装体11は、2つ折りされて充填シールがなされるので、表フィルム部32と裏フィルム部33の位置合わせが容易である。
【0054】
以上のような構成の包装体11はカード型であって、厚さが薄く、開封シート51によって一定の形状が維持される。このため、複数を重合させた状態でもばらばらの状態でも、体裁の良い状態で使用に供することができる。特に、チラシやパンフレットなどに挟み込んだり綴じ込んだりして一緒にしても体裁がよく、重ね合わせても嵩張らず、カードケースなどに挟み込んだり、単にポーチ等に収納して携行することもできる。
【0055】
剛性を有する開封シート51は、外装フィルム31の内側面と一体であって包まれた構造であるので、平滑性も高く、不用意に折れ曲がることを防止できる。また、開封シート51を覆う外装フィルム31は、開封シート51の当たりを柔らかくするので、例えばポケットに入れて携行するのにも都合がよい。
【0056】
被包装物12を押し出す場合には、図10に示したように、包装体11における開封シート51を有する側の面を押し出す方向に向けて、指先等で開口予定部54が突き出す方向に鋭角となるように包装体11を折り曲げる。すると、図10に拡大して示したように開封シート51の開口予定部54が封止材55を破って開口し、これに伴って外装フィルム31の貫通部36が開いて、外装フィルム31と開封シート51との協働で被包装物12が押し出される。
【0057】
被包装物12が押し出されるとき、開封シート51は形状保持力を有するので、包装体11の折り曲げの力を効率よく作用させることができ、それを押し出しの力に有効に利用できるので、被包装物12は円滑に押し出される。
【0058】
外装フィルム31は開封シート51と一体であって開封シート51の全体を包み込んでいるので、開封シート51が剛性を有するものであっても、折り曲げる際に指先や他の物に対する当たりを緩和する。折り返し部37を有する部分は、より柔らかく感じられる部分となる。このため、折り曲げる際に開封シート51が露出している場合に比べて指先等が痛くならないようにできる。これによって、包装体11に接する他の物の損傷を防止できるとともに、外装フィルム31に施した印刷の毀損を抑制することも可能である。
【0059】
また、内装された開封シート51は外装フィルム31の貫通部36を閉塞するとともに、一方のフィルム部33を平らに保つので、全体が柔らかく液体を封入したソースや醤油などのような包装体と比べて、体裁がよい。
【0060】
さらに、開封シート51が反対側の他方のフィルム部32を拘束することはないので、開封シート51によって平らな形状に保持される平袋状の包装体11でありながらも、被包装物12の充填量を多くすることができる。しかも、たとえ充填量を増やそうとした場合に、平面視の大きさを大きくしたり、開封シート51の厚さを厚くしたりする必要もないので、片手でサッと押し出せる使い勝手の良さを維持できる。
【0061】
開封シート51は外部にあらわれないので、印刷を施す必要がなく、印刷は厚さの薄い外装フィルム31に対してのみ行えばよい。このため、印刷には例えばグラビア印刷など安価で美麗に行える手法を採用することができる。そしてシール部34,35は薄い外装フィルム31同士を溶着すればよいので、加工は高速に行える。このため、生産性が向上し、製造効率をあげてコストを大幅に低減することができる。しかも、シール部34,35は強固に形成できるので、押圧破袋強度を高められ、重ね合わせたり挟み込んだりした状態での手軽な携行が可能になる。
【0062】
以下、他の例について説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0063】
図11は、他の例に係る包装体11の裏面を示す平面図であり、図2はそのC-C断面図である。この包装体11は、四方シール構造のものであり、前述の折り返し部37に代えて、外装フィルム31同士を溶着したシール部34が形成されている。
【0064】
このような構成の包装体11は、図13に示したように、既存の充填シール機71を用いて製造される。すなわち、充填シール機71の前段に、表フィルム部32となる基材フィルムWaと、裏フィルム部33となる基材フィルムWbを搬送する搬送路を備える。裏フィルム部33を構成する基材フィルムWbの搬送路には、基材フィルムWbに貫通部36を形成する貫通部形成部78と、貫通部36を塞ぐ開封シート51を貼り付ける貼り合わせ部79を有している。
【0065】
このような包装体11の製造においては、縦シール部74において幅方向の両側縁にシール部34を形成すること以外は前述の製法と同じである。
【0066】
図14は、他の例に係る包装体11の裏面を示す平面図であり、この包装体11は、図1等に示した包装体11と同じ三方シール構造のものであるが、その向きを異にした例である。すなわち、折り返し部37が短辺ではなく長辺に形成されている。
【0067】
図15は包装体11における開口予定部54を中心とした部分の拡大断面図であり、(a)に示したように、外装フィルム31の裏フィルム部33における貫通部36は、打ち抜きにより形成された穴であってもよい。また(b)に示したように、開封シート51の開口予定部54は、厚み方向に貫通した切り込みではなく、折り曲げることによって破断する破断線で構成することもできる。(c)は外装フィルム31の裏フィルム部33における貫通部36を示す平面図であり、この図に示すように貫通部36は折り曲げると全体が貫通する脆弱構造で構成することもできる。すなわち、(c)に図示した貫通部36は微小の穴36cを多数所望形状の線状に配設して、折り曲げたときに穴36c同士がつながって全体が開くように構成されている。このほか貫通部36は、予め貫通していない切込みや窪みで構成されるものでもよく、予め貫通しているものは折り曲げによって開き、予め貫通していないものは折り曲げによって破断して開くものであればよい。
【0068】
図16は開封シート51の開口予定部54近傍の拡大断面図である。(a)に示したように、封止材55を厚さ方向の中間に介在させた構成とすることができる。すなわち、封止材55は開封シート51と同じ大きさに形成され、合成樹脂からなる同厚の表面層57と裏面層58の間に封止材55が挟み込まれて積層一体化された構成である。表面層57と裏面層58には切り込みからなる開口予定部54が形成されている。
【0069】
(b)は、(a)の構造と基本的には同じ三層構造であるが、表面層57の厚さを裏面層58よりも薄くして、表面層57に形成される開口予定部54は打ち抜きによる穴で、裏面層58に形成される開口予定部54は切り込みで形成されている。
【0070】
図17の(a)は、充填量を多くした包装体11の裏面を示す平面図であり、(b)はそのD-D断面図である。すなわち包装体11は、表フィルム部32と裏フィルム部33の大きさよりも開封シート51の大きさを小さくして、言い換えれば、開封シート51の大きさよりも表フィルム部32と裏フィルム部33の大きさを大きくして構成されている。開封シート51の短辺と短辺のシール部34との間の間隔a1,a2や開封シート51の長辺と長辺のシール部35との間の間隔b1,b2は所望に応じて設定される。図示例では、開封シート51をフィルム部32,33の中央に備えたが、偏った位置に備えてもよい。
【0071】
フィルム部32,33と開封シート51との大きさの差と、フィルム部32,33における開封シート51を備える位置の設定には、包装体11として必要な大きさと、平板状に保持できる大きさと、折り曲げやすい大きさが考慮される。これらのすべてを所望の条件にするか、いずれかを優先させるかによって、態様が異なることになる。
【0072】
図18は、四角以外の形状に形成された包装体11の一例を示す平面図である。この包装体11は平面視円形に形成され、外装フィルム31の全周に一定幅のシール部38が形成されている。開封シート51は裏フィルム部33と同じ円形であるが、四角形や長円形などとしてもよい。
【0073】
図19は、2種類の被包装物12をまとめて包装した包装体11の一例を示す平面図である。(a)はいわゆる三方シールダブルで構成され、(b)は四方シールダブルで構成されている。並設された2つの裏フィルム部33の内側面には開封シート51が貼り付けられている。3種類以上の被包装物12を包装する包装体11としてもよい。
【0074】
図20は三方シール構造の包装体11において、更に充填量を増やすとともに、起立させることができるように構成した例を示している。すなわち、折り返し部37に、内側に折り込まれる折り込み部39が形成されている。折り込み部39は、一つでも複数でもよいが、図示例では一つとしており、折り返し部37の断面形状はW字状である。
【0075】
折り込み部39の存在によって、充填量を増やすことができる上に、折り返し部37を下にして起立姿勢にすることによって、図20に示したように包装体11は自立する。
【0076】
以上の構成は、この発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0077】
例えば、包装体11は手のひらよりも大きいものであってもよく、カード型でなくてもよい。
【符号の説明】
【0078】
11…折り曲げ開封包装体
12…被包装物
31…外装フィルム
32…表フィルム部
33…裏フィルム部
34,35,38…シール部
36…貫通部
37…折り返し部
39…折り込み部
51…開封シート
54…開口予定部
71…充填シール機
W,Wa,Wb…基材フィルム
【要約】
【課題】折り曲げることで開封して内部の被包装物を押し出す包装体において、安価に製造できるようにするとともに、薄いカード型であっても充填量を多めにできるようにする。
【解決手段】相対向する2つの柔軟な表フィルム部32と裏フィルム部33を有し偏平な形状に形成される外装フィルム31内に被包装物12を封入した折り曲げ開封包装体11において、裏フィルム部33に、厚み方向に貫通し被包装物12の出口となる切り込みからなる貫通部36を形成する。裏フィルム部33の内側面における貫通部36を含む領域に、外装フィルム31よりも厚く硬質の平板状であって鋭角に折り曲げ可能な開封シート51を貼り合わせる。開封シート51における貫通部36に対応する部位には、折り曲げにより開口して貫通部36を開く開口予定部54を形成する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21