(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】フィルターユニット及びフィルターユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03B 11/00 20210101AFI20221111BHJP
【FI】
G03B11/00
(21)【出願番号】P 2022073133
(22)【出願日】2022-04-27
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2021192460
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592159999
【氏名又は名称】株式会社ケンコー・トキナー
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金子 茂生
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/038874(WO,A1)
【文献】特開2016-057385(JP,A)
【文献】特開2020-154002(JP,A)
【文献】特開2016-181011(JP,A)
【文献】特開2018-028657(JP,A)
【文献】特開2018-036368(JP,A)
【文献】特開2015-143767(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1310431(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置のレンズ鏡筒に取り付けられるフィルターユニットであって、
フィルターレンズと、
フィルターレンズを収容する環状のフィルター枠と、
フィルターレンズの側面とフィルター枠の内側面との間に介在し
、フィルターレンズを支持する弾性体と、
を備え、
フィルター枠の内側面において、前記弾性体より被写体側に位置すると共に、フィルターレンズ表面の少なくとも外縁領域と対向するように径方向内側に突出する突部が設けられ、
突部とフィルターレンズの前記表面との間に間隙が形成され、
前記間隙の厚みが、0.01mm~0.7mmであり、
更に、フィルター枠の前記内側面から径方向内側に向けて突設され、フィルターレンズの側面と接触してフィルターレンズの位置決めを行うフィルターレンズ位置決め用突部が形成される、
ことを特徴とするフィルターユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルターユニットの製造方法であって、
フィルターレンズ表面にシートを載置するステップと、
径方向内側に突出する突部を内側面に有するフィルター枠に、前記シートと前記突部とが対向するようにフィルターレンズを収容するステップと、
前記シートを除去するステップと、
を含むことを特徴とするフィルターユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターユニット及びフィルターユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置(例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等)のレンズ鏡筒前面に装着されるフィルターユニットが提供されている。フィルターユニットは、下記特許文献1や特許文献2に示されるように、各種フィルターレンズ(例えば、レンズ保護フィルター、偏光フィルター、NDフィルター等)と、フィルターレンズを収容する環状のフィルター枠を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-156483号公報
【文献】特開2016-57384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像素子の高性能化から、所謂4Kや8Kといった超高解像度の画像(映像)を撮像可能な撮像装置が提供されている。一方、撮像される画像の高画質化に起因して、フィルターレンズの僅かな歪みが、画像の画質を低下させ得る。特に、特許文献1のフィルターユニットのように、フィルターレンズとフィルター枠とが加圧接触する場合、フィルター枠収容後のフィルターレンズ表面に歪みが生じやすい。
【0005】
これに対して、特許文献2のフィルターユニットは、弾性の接着皮膜を介して、フィルターレンズをフィルター枠内に取り付ける構造を備える。そのため、フィルターレンズがフィルター枠に収容された後も、双方非接触の状態が保たれる。このことから、特許文献1のフィルターユニットに比べて、フィルターレンズの歪みが生じにくい。しかしながら、画像解像度の向上スピードは著しく、更にフィルターレンズの歪みを生じさせないフィルターユニットが望まれている。
【0006】
前記課題に鑑み、本発明は、フィルター枠に収容されたフィルターレンズに歪みが生じる事態を抑制し、撮像される画像の高画質化を担保可能なフィルターユニット及びフィルターユニットの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決するため、本発明に係るフィルターユニットは、
撮像装置のレンズ鏡筒に取り付けられ、
フィルターレンズと、
フィルターレンズを収容する環状のフィルター枠と、
フィルターレンズの側面とフィルター枠の内側面との間に介在し、フィルターレンズを支持する弾性体と、
を備え、
フィルター枠の内側面において、前記弾性体より被写体側に位置すると共に、フィルターレンズ表面の少なくとも外縁領域と対向するように径方向内側に突出する突部が設けられ、
突部とフィルターレンズの前記表面との間に間隙が形成され、
前記間隙の厚みが、0.01mm~0.7mmであり、
更に、フィルター枠の前記内側面から径方向内側に向けて突設され、フィルターレンズの側面と接触してフィルターレンズの位置決めを行うフィルターレンズ位置決め用突部が形成される、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明のこの態様によれば、フィルター枠の内側面から径方向内側に突出する突部とフィルターレンズ表面との間隙の厚み条件を前記範囲とすることで、フィルター枠に収容されたフィルターレンズに歪みが生じる事態を大きく抑制できる。そのため、本態様のフィルターユニットを、超高解像度の画像を撮像可能な撮像装置のレンズ鏡筒に取り付けても、撮像される画像の高画質化を担保することができる。
【0009】
また、本発明のこの態様によれば、フィルターレンズ位置決め用突部が設けられることで、フィルターレンズがフィルター枠に嵌め込まれる際、フィルターレンズの中心とフィルター枠の中心とが合わさるようフィルターレンズが位置決めされる。これにより、フィルターレンズの側面と、それに対向するフィルター枠の内側面との間の間隔(弾性体が位置する空間)がフィルターレンズ(フィルター枠)の全周に亘って均一に形成され、弾性体を全周に均一に配設することができる。その結果、フィルターレンズに歪みが生じる事態を更に抑制できる。
【0010】
また、本発明に係るフィルターユニットの製造方法は、
前記フィルターユニットの製造方法であって、
フィルターレンズ表面にシートを載置するステップと、
径方向内側に突出する突部を内側面に有するフィルター枠に、前記シートと前記突部とが対向するようフィルターレンズを収容するステップと、
前記シートを除去するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明のこの態様によれば、フィルター枠の内側面から径方向内側に突出する突部とフィルターレンズ表面との間にシートを介在させた後、これを除去することで、前記突部とフィルターレンズ表面との間に僅かな間隙を形成することができる。これにより、フィルター枠に収容されたフィルターレンズに歪みが生じる事態を大きく抑制できる。そのため、本態様によって製造されたフィルターユニットを超高解像度の画像を撮像可能な撮像装置のレンズ鏡筒に取り付けても、撮像される画像の高画質化を担保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フィルター枠に収容されたフィルターレンズに歪みが生じる事態を抑制し、撮像される画像の高画質化を担保可能なフィルターユニット及びフィルターユニットの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフィルターユニットの使用態様を示す図。
【
図2】本発明の一実施形態に係るフィルターユニットの部分断面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係るフィルターユニットの断面拡大図。
【
図4】本発明の一実施形態に係るフィルターユニットの製造フローの概略を示す図。
【
図5】本発明の実施例・比較例に係るフィルターレンズの干渉縞画像。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[構成]
初めに、
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態に係るフィルターユニット1を詳細に説明する。ここで、
図1は、本実施形態に係るフィルターユニット1の使用態様を示す図である。また、
図2は、フィルターユニット1の部分断面図(部分垂直断面図)である。更に、
図3は、フィルターユニット1の断面拡大図である。
【0015】
図1に示されるように、フィルターユニット1は、例えば、デジタルスチルカメラ2のレンズ鏡筒3の前面に取り付けられる。また、
図2に示されるように、フィルターユニット1は、レンズ鏡筒3に配設される光学レンズを保護するフィルターレンズ10と、フィルターレンズ10を収容するフィルター枠20を備える。
【0016】
本実施形態のフィルターレンズ10は、平板状(例えば、円板状や角板状)のガラス製部材(例えば、ホウケイ酸ガラスなどの光学ガラス)であるが、これに限定されない。他の例として、プラスチック、ゼラチン、又はアセテート製等のものが挙げられる。また、フィルターレンズ10は、レンズ鏡筒3に配設される光学レンズの保護機能を奏することに加え、偏光、減光、シャープカット、コントラスト調整の各種機能を奏するための成分を含んでもよい。
【0017】
次に、フィルター枠20は、金属製又は樹脂製の環状部材である。また、
図2及び
図3に示されるように、フィルター枠20は、軸方向一方側(レンズ鏡筒3に取り付けられた際の被写体側)に配設される第1枠部21と、軸方向他方側(レンズ鏡筒3側)に配設されると共に、第1枠部21に比べて短径の第2枠部22を備える。
【0018】
第1枠部21内に、フィルターレンズ10とは別体の種々の光学系アタッチメント(図示しない)が収容され得る。ここで、第1枠部の内側面に、光学系アタッチメントと係合する雌螺子部211が形成される。
【0019】
これに対して、第2枠部22内に、フィルターレンズ10が収容される。ここで、第2枠部22は、第1枠部21の軸方向他方側(レンズ鏡筒3側)の端部から径方向内側に延出する内延部212を介して、第1枠部21と接続する。また、第2枠部22の外側面221に、レンズ鏡筒3と係合する雄螺子部222が形成される。
【0020】
更に、第2枠部22の内側面223とフィルターレンズ10の側面101との間に、フィルターレンズ10を支持する弾性体30が配設される。弾性体30の態様は、特に限定されないが、例えば、変性シリコーン樹脂からなる弾性接着剤(接着皮膜)等が挙げられる。フィルターレンズ10は、弾性体30に支持されることで、フィルター枠20(第2枠部22)に非接触な状態で収容される。これにより、フィルターレンズ10の表面(被写体側の面)に歪みが生じる事態を抑制できる。
【0021】
更に、例えば、第2枠部22の軸方向他方側(レンズ鏡筒3側)の開口から、弾性体30が視認されることを防ぐため、第2枠部22において、弾性体30よりレンズ鏡筒3側にリング状のバネ部材225が配設される。
【0022】
ところで、例えば、第1枠部21の軸方向一方側(被写体側)の開口から、フィルターレンズ10の外縁や弾性体30が視認されることを防ぐため、フィルター枠20の内側面の所定箇所(本実施形態の場合、内延部212の内側面)から、径方向内側に突出する突部224が設けられる。
【0023】
図3に示されるように、突部224は、フィルターレンズ10の外縁領域102に対向する。また、突部224とフィルターレンズ表面(外縁領域102)との間に間隙40Sが形成される。このとき、間隙40Sの厚み(軸方向に沿った寸法)を0.01mm~0.7mmとすることが好ましい。また、間隙40Sの厚みを0.01mm~0.5mmとすることが好まく、0.01mm~0.1mmとすることが好ましい。
【0024】
間隙40Sの厚みを前記範囲とすることで、フィルター枠20に収容されたフィルターレンズ10に歪みが生じる事態を大きく抑制できる。そのため、フィルターユニット1を、超高解像度の画像を撮像可能な撮像装置(例えば、デジタルスチルカメラ2)のレンズ鏡筒3に取り付けても、撮像される画像の高画質化を担保することができる。
【0025】
これに対して、間隙40Sの厚みが0.01mmを下回る場合、突部224とフィルターレンズ表面(外縁領域102)とが近接しすぎて、フィルターレンズ表面に歪みが生じる可能性が高まる。また、間隙40Sの厚みが0.7mmを上回る場合、例えば、フィルターレンズ表面(外縁領域102)と弾性体30とが近づくため、弾性体30が間隙40S内に侵入するなどの事態が想定される。これにより、フィルターレンズ表面に歪みが生じる可能性が高まる。更に、突部224とフィルターレンズ表面(外縁領域102)とが離れるため、フィルターユニット1の厚みが増えるなど、設計上の不具合も懸念される。
【0026】
更に、フィルター枠20(第2枠部22)は、フィルターレンズ10の位置決めを行うフィルターレンズ位置決め用突部230を備える。より詳しくは、本実施形態のフィルターレンズ位置決め用突部230は、フィルター枠20の内側面(内延部212の内側面)と突部224との間の角部に設けられ、フィルター枠20(第2枠部22)の径方向内側(フィルターレンズ10側)に向けて突設される。また、フィルターレンズ位置決め用突部230は、フィルター枠20の内側面に沿って環状に形成される。フィルターレンズ位置決め用突部230とフィルターレンズ10の側面101とが接触し、フィルターレンズ10が位置決め(固定)される。
【0027】
このようなフィルターレンズ位置決め用突部230が設けられることで、フィルターレンズ10がフィルター枠20(第2枠部22)に嵌め込まれる際、フィルターレンズ10の中心とフィルター枠20(第2枠部22)の中心とが合わさるよう、フィルターレンズ10が位置決めされる。これにより、フィルターレンズ10の側面101と、それに対向するフィルター枠20の内側面223との間の間隔(弾性体30が位置する空間)が全周に亘って均一に形成され、弾性体30を全周に均一に配設することができる。その結果、フィルター枠20に嵌め込まれたフィルターレンズ10に歪みが生じる事態を更に抑制できる。また、本実施形態のフィルターユニット1を取り付けた撮像装置(例えば、デジタルスチルカメラ2)によって撮像される画像の高画質化を担保することができる。なお、図示されるフィルターレンズ位置決め用突部230は、突部224に連なっているが、この態様に限られない。例えば、突部224とフィルターレンズ位置決め用突部230とが連ならず、双方の間に隙間が空いていてもよい。
【0028】
[製造方法]
次に、
図4を参照して、フィルターユニット1の製造方法を説明する。ここで、
図4は、フィルターユニット1の製造フローの概略を示す図である。まず、
図4(a)に示されるように、フィルターレンズ10の表面にシート110を載置する。シート110の厚みは、0.01mm~0.7mmであることが好ましく、0.01mm~0.5mmであることがより好まく、0.01mm~0.1mmであることが更に好ましい。なお、本実施形態のシート110は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン(PE)などの樹脂製シートであるが、これに限定されない。
【0029】
続いて、
図4(b)に示されるように、シート110を載置したフィルターレンズ10をフィルター枠20に収容する。特に限定されないが、本実施形態の場合、フィルターレンズ10をフィルター枠20に収容する際、フィルターレンズ10をフィルター枠20の軸方向他方側の開口から内側に挿入する。
【0030】
このとき、フィルター枠20の内延部212から更に径方向内側に突出する突部224とシート110とが接触する。また、突部224とフィルターレンズ10とは、シート110を挟んで対向する。続いて、
図4(c)に示されるように、フィルター枠20の内側面(第2枠部22の内側面223)とフィルターレンズ10の側面101との間に弾性接着剤(弾性体30)を塗布する。所定時間経過後、弾性接着剤が硬化する。これにより、フィルターレンズ10がフィルター枠20内に固定される。
【0031】
最後に、
図4(d)に示されるように、フィルター枠20の軸方向一方側(被写体側)の開口からシート110を取り除く(除去する)。これにより、突部224とフィルターレンズ表面(外縁領域102)との間に、シート110の厚みに対応する間隙(前述の間隙40S)が形成される。これにより、突部224とフィルターレンズ表面(外縁領域102)とが離間されると共に、間隙40Sの厚みを所定範囲内に精度よく収めることができる。その結果、フィルターレンズ10に歪みが生じる事態を大きく抑制できる。
【実施例】
【0032】
以上説明したフィルターユニット1において、具体的な実施の例を以下に示す。ただし、本発明は、下記の実施例により限定及び制限されない。
【0033】
図5に、本発明の実施例1~8及び比較例1におけるフィルターレンズ10の干渉縞画像(平面測定用フィゾー干渉計によって得られた、実施例1~8及び比較例1の干渉縞画像)を示す。ここで、各実施例・比較例(実施例1~8、比較例1)は、所定厚みのシート110を載置したフィルターレンズ10をフィルター枠20に収容し、弾性接着剤(弾性体30)でフィルターレンズ10をフィルター枠20に固定した後、シート110を除去して得られたものである。
【0034】
なお、
図5において、各実施例(比較例)の上側の画像は、フィルターレンズ10単体の干渉縞画像である。これに対して、前記方法によって得られたフィルターユニット1におけるフィルターレンズ10の干渉縞画像である。
【0035】
各実施例及び比較例において使用されたシート110の厚み(突部224とフィルターレンズ表面との間に形成される間隙40Sの厚み)とシート110の材質は、下記の通りである。
(1)実施例1:0.01mm、ポリエチレン製
(2)実施例2:0.03mm、ポリエチレン製
(3)実施例3:0.05mm、ポリエチレンテレフタレート製
(4)実施例4:0.075mm、ポリエチレンテレフタレート製
(5)実施例5:0.1mm、ポリエチレンテレフタレート製
(6)実施例6:0.5mm、ポリカーボネート製
(7)実施例7:0.6mm、ポリカーボネート製
(8)実施例8:0.7mm、ポリカーボネート製
(6)比較例1:0.8mm、ポリカーボネート製
【0036】
図5に示されるように、実施例1~8(シート110:間隙40Sの厚みが0.01mm~0.7mmの試料)の干渉縞画像に、歪みを示す縞模様が現れておらず、実施例1~8の干渉縞画像とフィルターレンズ10単体の干渉縞画像とを比較しても、ほぼ同様の状態が保たれている。すなわち、シート110:間隙40Sの厚み条件を実施例1~8のようにすることで、フィルターレンズ10に歪みが生じる事態を大きく抑制できることが示唆された。
【0037】
これに対して、比較例1(シート110:間隙40Sの厚みが0.8mmの試料)の干渉縞画像に、歪みを示す縞模様が明確に現れた。すなわち、シート110:間隙40Sの厚み条件を比較例1のようにする場合、フィルターレンズ10に歪みが生じた。なお、比較例1において、フィルターレンズ10に歪みが生じた要因として、特に限定されるものではないが、シート110:間隙40Sの厚みが厚い(フィルターレンズ表面と弾性接着剤とが近い)結果、弾性接着剤が間隙40S内に侵入し、フィルターレンズ表面が歪んだ、などが考えられる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明した。ただし、前述の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1…フィルターユニット
10…フィルターレンズ
101…フィルターレンズの側面
102…フィルターレンズ表面の外縁領域
110…シート
20…フィルター枠
21…第1枠部
211…雌螺子部
212…内延部
22…第2枠部
221…外側面
222…雄螺子部
223…内側面
224…突部
225…バネ部材
230…フィルターレンズ位置決め用突部
30…弾性体
40S…間隙
【要約】 (修正有)
【課題】フィルター枠に収容されたフィルターレンズに歪みが生じる事態を抑制し、撮像される画像の高画質化を担保する。
【解決手段】フィルターユニットは、撮像装置のレンズ鏡筒に取り付けられ、フィルターレンズと、フィルターレンズを収容する環状のフィルター枠と、フィルターレンズの側面とフィルター枠の内側面との間に介在し、フィルター枠に非接触な状態でフィルターレンズを支持する弾性体とを備え、フィルター枠の内側面において、弾性体より被写体側に位置すると共に、フィルターレンズ表面の少なくとも外縁領域と対向するよう径方向内側に突出する突部が設けられ、突部とフィルターレンズの表面との間に間隙が形成され、間隙の厚みが、0.01mm~0.7mmであり、フィルター枠の前記内側面から径方向内側に向けて突設され、フィルターレンズの側面と接触してフィルターレンズの位置決めを行うフィルターレンズ位置決め用突部が形成される。
【選択図】
図3