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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】アームレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20221111BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
B60N2/75
A47C7/54 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022115856
(22)【出願日】2022-07-20
【審査請求日】2022-07-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591283501
【氏名又は名称】備前発条株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】山根 教代
(72)【発明者】
【氏名】小林 徳三
(72)【発明者】
【氏名】谷口 靖
(72)【発明者】
【氏名】谷口 慶倫
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 豊
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-072328(JP,A)
【文献】特開2009-261828(JP,A)
【文献】特開2009-285136(JP,A)
【文献】特開2008-161500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/75
A47C 1/03,7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートフレームに対して動かない状態で取り付けられる取付部材と、
取付部材に一体的に固定された円筒状を為すロックドラムと、
ロックドラムに設けられたロック解除カム及びロック復帰カムと
で構成された固定側部材と、
使用者の腕を支えるアームレスト本体と、
ロックドラムに対して上下回動可能な状態で軸支された回動プレートと、
回動プレートに設けられたロック解除保持部と、
ロックドラムに外嵌されたコイルばねからなり、一端が、回動プレートに固定された固定端とされて、他端が、ロック解除カム、ロック復帰カム及びロック解除保持部によって操作される被操作部を有する自由端とされたロックばねと
で構成された回動側部材と
を備え、
ロックばねの被操作部がロック解除保持部から外れているときには、ロックばねの内周部がロックドラムの外周部に密着し、その摩擦力によって回動プレートの下方回動が規制されて、上方回動のみが許容されたロック状態となり、
ロック状態にある回動プレートを使用時最上方位置まで上方回動させると、ロックばねの被操作部がロック解除カムによって操作されてロック解除保持部に保持されることで、ロックばねがロックドラムに対して緩んで、回動プレートの上方回動及び下方回動が許容されたロック解除状態となり、
ロック解除状態にある回動プレートを使用時最下方位置まで下方回動させると、ロックばねの被操作部がロック復帰カムによって操作されてロック解除保持部から外れ、ロック状態に復帰する
アームレストであって、
ロックばねの自由端側における被操作部よりも外側区間をロックばねの巻締方向に引っ張る自由端引張機構を設けたことを特徴とするアームレスト。
【請求項2】
ロックばねの自由端側における被操作部よりも外側区間に、曲げ又は捩じりを伴う自由端側延長部を設け、
自由端引張機構が、前記曲げ又は前記捩じりによって自由端側延長部に生じる復帰弾性力を、ロックばねを巻締方向に引っ張る引張力として利用するものとされた
請求項1記載のアームレスト。
【請求項3】
自由端引張機構が、ロックばねの自由端側における被操作部よりも外側区間に取り付けられた付勢部材の付勢力を利用するものとされた請求項1記載のアームレスト。
【請求項4】
ロックばねの固定端側に、第一の折り曲げ部を設けるとともに、
ロックばねにおける第一の折り曲げ部よりも固定端側に、ロックばねを形成する線材の直径の5倍以上の長さを有する固定端側延長部を設け、
回動プレートに、第一の折り曲げ部及び固定端側延長部を挟持した状態で収容する挟持溝が設けられた請求項1記載のアームレスト
【請求項5】
ロックドラムが、幅広の平面フランジを備え、
前記平面フランジの周回方向におけるロック解除範囲に相当する区間に、外周部を残した幅狭の成形突出部からなるロック解除カムが設けられ、
前記平面フランジの周回方向におけるアームレスト下限に相当する位置に、折り曲げられたロック復帰カムが設けられ、
回動プレートが、
ロックドラムを軸支する軸受孔を有する底部と、
ロックばねの外周部を覆い、ロック解除カム及びロック復帰カムの外側に位置し、先端が前記平面フランジに回動可能な状態で当接する高さを有する筒状側壁部と
を備え、
筒状側壁部又は別途設けられた壁部にロック解除保持部が設けられ、
回動プレートの底部が取付部材の当接部に当接するとともに、筒状側壁部の先端がロックドラムの平面フランジに当接する状態で、回動プレートが、ロックドラムと取付部材とで挟持された
請求項1記載のアームレスト。
【請求項6】
ロック解除保持部が、回動プレートの一部を切り起こした起立片部に形成された請求項5記載のアームレスト。
【請求項7】
回動プレートとアームレスト本体とが一体的に形成され、
ロックドラムの外径を45~55mmとすることで、ロックばねの巻き数を3巻以下とし、回動プレートの左右幅を25mm以下とした
請求項1記載のアームレスト。
【請求項8】
ロックばねの巻回部分における自由端側の少なくとも1巻目の一部の区間の内周側に、複数のばね側凹部を設けた請求項1記載のアームレスト。
【請求項9】
ロックドラムの外周部における、ロックばねのばね側凹部と重なる箇所に、複数のドラム側凹部を設けた請求項8記載のアームレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のシート等に備えられる高さ調節式のアームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の座席に着席した人の腕の位置は、その人の体格によって変わる。また、座席のシートバックをリクライニングしたときに、アームレストがシートバックとともに傾いてしまうと、着席者の腕が伸びず、着席者がリラックスしにくい体勢となる。このため、自動車等では、アームレスト本体(着席者の腕を支える部分)を回動可能な構造とすることで、アームレスト本体の高さを調節できるようにした高さ調節式のアームレストが採用されることもある。
【0003】
高さ調節式のアームレストとしては、垂直方向(上下方向)のロック機構として、ばねロック機構を採用したものが公知となっている。ばねロック機構は、特許文献1の図1に示されるように、ロックドラム(同文献の「固定胴6」)に外嵌されたロックばね(同文献の「コイルバネ7」)と、同文献の図4に示されるように、ロックばね6の自由端(同文献の「フリー端7a」)を操作するカム機構(同文献の「第1傾斜カム6b」及び「第2傾斜カム6d」)とで構成される。
【0004】
特許文献1のアームレストでは、アームレスト本体(同文献の「アームレスト3」)を使用時最下方位置(同文献の「初期位置」)から上方回動させるときには、アームレスト本体の上方回動を許容しながらも下方回動を規制するロック状態が発現する。また、アームレスト本体を使用時最上方位置(同文献の「角度調節可能範囲を超える位置」)まで上方回動させると、ロックばねの自由端がロック解除カム(同文献の「第1傾斜カム6b」)によって操作されてロック解除保持部(同文献の「横溝8b」)に保持されることで、ロックばねがロックドラムに対して緩み、アームレスト本体の上方回動及び下方回動が許容されたロック解除状態となる。ロック解除状態にあるアームレスト本体を使用時最下方位置まで下方回動させると、ロックばねの自由端がロック復帰カム(同文献の「第2傾斜カム6d」)によって操作されてロック解除保持部から外れ、ロック状態に復帰する。
【0005】
特許文献2の図3等にも、ばねロック機構を用いた高さ調節式のアームレストが開示されている。特許文献1や特許文献2のアームレストのように、ばねロック機構を用いた高さ調節式のアームレストは、アームレスト本体の高さを無段階で調節することができるという利点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-055258号公報
【文献】特許第6685527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ばねロック機構を採用したアームレストにおいては、押圧力(ロックばねの内周部がロックドラムの外周部を押圧する力)と巻締力(ロックばねの端部が締め付け方向に引っ張られる力)とに起因して生ずる摩擦力(ロックばねとロックドラムとの間に生ずる摩擦力)が、ロックばねによるロック力となる。このため、ロックばねの内径とロックドラムの外径との兼ね合いや、ロックばねやロックドラムの変形具合や、ロックドラムの外周部の面粗度等によって、ロックばねによるロック力が大きくばらつくという問題があった。
【0008】
この点、ロックばねは、直線状の線材を巻き曲げて製造するという製法上の理由から、巻回部分(コイル部)の長さ方向中間部は、高い寸法精度で作ることができても、長さ方向両端部(特に、端部から1~2巻目の区間)は、寸法精度が低下しやすく、内径が設計寸法よりも数%大きくなることもあった。加えて、ロックばねの両端部(固定端や自由端)は、固定や操作のために曲げられることも多いところ、この折り曲げによって、ロックばねの巻回部分に変形が生ずるおそれがある。
【0009】
上記のようなロックばねの寸法精度の低下や変形は、ロックドラムに巻き付けられたロックばねの馴染みの悪化を招く。例えば、ロック状態であるにもかかわらず、ロックばねに、ロックドラムの外周部に密着しない区間が生じるおそれがある。この点、従来においては、最悪の条件でも所望のロック力が発現するように、ロックばねの巻き数を多めに設定していた。このため、所望のロック力発現までの回動遊び(ズレ・馴染み)は増大し、アームレストの左右幅(厚さ)は大きくなり、場合によっては高さ調節機構の採用を諦めることもあった。また、アームレストの重量が大きくなるという課題もあった。
【0010】
加えて、特許文献1のアームレストには、横方向(左右方向)の強度を高めにくいという課題もあった。すなわち、特許文献1のアームレストにおいては、同文献の図6に示されるように、回動プレート(同文献においては「インサイド部材3a」)のバーリング部を、ロックドラム(同文献においては「固定胴6」)の外周部における段差部分と、取付部材(同文献においては「取付プレート5」)とで挟持することで、回動プレートが横方向にガタつかないようにしている。しかし、その挟持された箇所は、回動プレートの回動中心に近い場所であるため、横方向のガタツキが生じやすく、横方向の強度に対しても不利である。
【0011】
同様に、特許文献2のアームレストにおいても、同文献の図5に示されるように、回動プレート(同文献においては「アーム部材31」)のバーリング部分が、ロックドラム(同文献においては「ロックドラム22」)の外周部における段差部分と、取付部材(同文献においては「取付部材21」)とで挟持される構造となっている。特許文献2のアームレストでは、ロックドラムに平面フランジ(同文献においては「フランジ部22a」)が設けられているものの、その平面フランジは、回動プレートからの横方向を受ける仕様となっていない。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、ロックばねの長さ方向端部がロックドラムに馴染みやすくして、ロックばねが所望のロック力を発現できるようにした高さ調節式のアームレストを提供するものである。また、ロックばねの巻き数を抑えて、アームレストを薄くすることや、横方向での強度の向上や、アームレストの軽量化を図ることも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、
シートフレームに対して動かない状態で取り付けられる取付部材と、
取付部材に一体的に固定された円筒状を為すロックドラムと、
ロックドラムに設けられたロック解除カム及びロック復帰カムと
で構成された固定側部材と、
使用者の腕を支えるアームレスト本体と、
ロックドラムに対して上下回動可能な状態で軸支された回動プレートと、
回動プレートに設けられたロック解除保持部と、
ロックドラムに外嵌されたコイルばねからなり、一端が、回動プレートに固定された固定端とされて、他端が、ロック解除カム、ロック復帰カム及びロック解除保持部によって操作される被操作部を有する自由端とされたロックばねと
で構成された回動側部材と
を備え、
ロックばねの被操作部がロック解除保持部から外れているときには、ロックばねの内周部がロックドラムの外周部に密着し、その摩擦力によって回動プレートの下方回動が規制されて、上方回動のみが許容されたロック状態となり、
ロック状態にある回動プレートを使用時最上方位置まで上方回動させると、ロックばねの被操作部がロック解除カムによって操作されてロック解除保持部に保持されることで、ロックばねがロックドラムに対して緩んで、回動プレートの上方回動及び下方回動が許容されたロック解除状態となり、
ロック解除状態にある回動プレートを使用時最下方位置まで下方回動させると、ロックばねの被操作部がロック復帰カムによって操作されてロック解除保持部から外れ、ロック状態に復帰する
アームレストであって、
ロックばねの自由端側における被操作部よりも外側区間をロックばねの巻締方向に引っ張る自由端引張機構を設けたことを特徴とするアームレスト
を提供することによって解決される。
【0014】
上記のように、自由端引張機構を設けることで、ロックばねの巻回部分(コイル部)における自由端側から1~2巻目のロックドラムに対する馴染みを良くし、ロック状態にあるときには、その1~2巻目をロックドラムの外周部に密着させることができる。このため、回動遊びは減少し、ロックばねが所望のロック力を安定して発現できるようになる。また、ロックばねの巻き数を抑えて、アームレストの小型化や軽量化を図ることもできる。自由端引張機構は、ロックばねにおける被操作部(ロック解除カム、ロック復帰カム及びロック解除保持部によって操作される部分)よりも外側区間に設けているため、ロック解除状態にあるときのロックばねのコイル部には、自由端引張機構の影響が及ばず、ロックばねは、ロックドラムに対して緩んだ状態を維持することができる。
【0015】
本発明のアームレストにおいて、自由端引張機構は、ロックばねの弾性力(上記の外側区間の復帰弾性力)を利用するものとすることが好ましい。このときには、ロックばねの自由端側における被操作部よりも外側区間に、曲げ又は捩じりを伴う延長部を設け、自由端引張機構を、前記曲げ又は前記捩じりによって延長部に生じる復帰弾性力を前記引張力として利用するものとすることが好ましい。
【0016】
本発明のアームレストにおいては、自由端引張機構を、ロックばねの自由端側における被操作部よりも外側区間に取り付けられた付勢部材とすることも好ましい。これにより、ロックばねの弾性変形による自由端引張機構のみでは、所望のロック力を満たせない場合でも、ロック力を増大させ、所望のロック力を得ることが可能になる。
【0017】
本発明のアームレストにおいては、ロックばねの固定端側に、第一の折り曲げ部を設けるとともに、ロックばねにおける第一の折り曲げ部よりも固定端側に、ロックばねを形成する線材の直径の5倍以上の長さを有する固定端側延長部を設け、回動プレートに、第一の折り曲げ部及び固定端側延長部を挟持した状態で収容する挟持溝を設けることも好ましい。このように、ロックばねの固定端を回動プレートに固定(挟持)することによっても、ロックばねの巻き数を抑え、アームレストの小型化及び軽量化を図ることが可能になる。というのも、従来のばねロック機構を用いた高さ調節式のアームレストにおいては、特許文献1の図1に示すように、回動プレート(同文献においては「インサイド部材3a」)にバーリング部を設け、このバーリング部に、ロックばね(同文献においては「コイルバネ7」)の固定端側を1~3巻程度巻き付けている。これは、ロックばねに負荷が掛かり、ロックドラム(同文献においては「固定胴6」)に対してロックばねが滑ろうとしたときに、バーリング部を締め付けることで滑りを防ぐためである。この点、上記のように、折り曲げ部付近でロックばねの固定端を挟持することで、回動プレートにバーリング部を設けなくても(バーリング部に巻き付ける部分をロックばねに設けなくても)、ロックばねの固定端側が負けないようにすることができるからである。
【0018】
本発明のアームレストにおいては、
ロックドラムを、幅広の平面フランジを備えたものとし、
前記平面フランジの周回方向におけるロック解除範囲に相当する区間に、外周部を残した幅狭の成形突出部からなるロック解除カムを設け、
前記平面フランジの周回方向におけるアームレスト下限に相当する位置に、折り曲げられたロック復帰カムを設け、
回動プレートを、
ロックドラムを軸支する軸受孔を有する底部と、
ロックばねの外周部を覆い、ロック解除カム及びロック復帰カムの外側に位置し、先端が前記平面フランジに回動可能な状態で当接する高さを有する筒状側壁部と
を備えたものとし、
筒状側壁部又は別途設けられた壁部に、ロック解除保持部を設け、
回動プレートの底部が取付部材の当接部に当接するとともに、筒状側壁部の先端がロックドラムの平面フランジに当接する状態で、回動プレートを、ロックドラムと取付部材とで挟持する
ことが好ましい。
【0019】
このように、ロックドラムの平面フランジと取付部材とで回動プレートを挟持する構造を採用したことで、回動プレートの回動中心から離れた箇所で、回動プレートを横方向に挟持することが可能となる。したがって、回動プレートの横方向のガタツキを抑えるだけでなく、アームレストを横方向の強度に優れたものとすることもできる。
【0020】
本発明のアームレストにおいては、ロック解除保持部を、回動プレートを切り起こして形成された起立壁部に設けることが好ましい。これにより、回動プレートと同じ部材にロック解除保持部を形成し、アームレストの部品点数を削減することが可能になる。なお、回動プレート成形時に捨てる場所(通常、回動プレートにおける回動中心付近は、切り捨てられる。)を有効利用でき、歩留まりを向上することもできる。さらに、上記の起立壁部でロック解除保持部を折り曲げ補強することが可能になるため、回動プレートの厚みを大きくしなくても、ロックばねの被操作部とロック解除保持部との接触面積を確保し、ロック解除保持部に摩耗が生じにくくすることができる。このため、回動プレートを薄型化し、アームレストをより軽量化することも可能になる。
【0021】
本発明のアームレストにおいては、回動プレートとアームレスト本体とを連続一体的に形成することもできる。また、ロックドラムの外径を従来品よりも大きい径(45~55mm程度)にしたり、ロックばねの巻回部分の自由端の円周内側の一部に窪みを設けることで、ロックドラムに対するロックばねの巻き数を3巻以下とすることができ、回動側部材を、その左右幅(厚み)が25mm以下の薄型とすることもできる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によって、ロックばねの長さ方向端部がロックドラムに馴染みやすくして、ロックばねが所望のロック力を発現できるようにした高さ調節式のアームレストを提供することが可能になる。また、ロックばねの巻き数を抑えて、アームレストを薄くすることや、アームレストの軽量化を図ることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第一実施形態のアームレストを側方から見た状態を示した図である。
図2】第一実施形態のアームレストを、図1におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。
図3】第一実施形態のアームレストを、図1におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。
図4】第二実施形態のアームレストにおける主要部品を組み付けた状態を示した斜視図である。
図5】第二実施形態のアームレストにおける主要部品を分解した状態を示した斜視図である。
図6】第二実施形態のアームレストにおける組み付け後の主要部品を、中心線Lを含む平面で切断した状態を示した断面図である。
図7】第三実施形態のアームレストを側方から見た状態を示した図である。
図8】第三実施形態のアームレストを、図7におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。
図9】第三実施形態のアームレストを、図7におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のアームレストの実施形態について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、第一実施形態から第三実施形態までの計3個の実施形態を例に挙げて、本発明のアームレストを説明する。しかし、これらの実施形態は、飽くまで好適な実施形態であり、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態に限定されない。本発明のアームレースとには、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0025】
1.第一実施形態のアームレスト
まず、第一実施形態のアームレストについて説明する。図1は、第一実施形態のアームレストを側方から見た状態を示した図である。図2は、第一実施形態のアームレストを、図1におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。図3は、第一実施形態のアームレストを、図1におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。
【0026】
第一実施形態のアームレストは、図2に示すように、取付部材10と、ロックドラム20と、アームレスト本体30と、回動プレート40と、ロックばね50とを備えている。
【0027】
取付部材10は、シートフレーム(図示省略)に対して動かない状態で取り付けられる。第一実施形態において、取付部材10は、板状の部材(取付プレート)となっている。シートフレームには、取付ブラケット60(図2)が固定されているところ、この取付ブラケット60に対して取付部材10を固定している。
ロックドラム20は、取付部材10に一体的に固定された円筒状の部材となっている。このロックドラム20には、ロック解除カム21(図1)と、ロック復帰カム22(図1)とが設けられている。
【0028】
アームレスト本体30は、使用者の腕を支えるための部材となっている。アームレスト本体30は、回動部レート40とは別部材で形成してもよいが、第一実施形態のアームレストでは、アームレスト本体30を、回動プレートと連続一体的に形成しており、部品点数を削減している。
回動プレート40は、ロックドラム20に対して上下回動可能(図2における軸Lを中心として回動可能)な状態で軸支される。この回動プレート40には、ロック解除保持部41が設けられている。また、回動プレート40には、カバー部材70が固定されている。
ロックばね50は、ロックドラム20に外嵌されたコイルばねである。ロックばね50の内径は、ロックドラム20の外径よりも数%小さく設定されている。このため、ロックばね50をロックドラム20に外嵌すると、ロックばね50は、ロックドラム20を締め付けた状態となる。このロックばね50の一端は、回動プレート40に固定された固定端とされて、他端は、被操作部51を有する自由端とされている。被操作部51は、ロック解除カム21、ロック復帰カム22及びロック解除保持部41によって操作される部分となっている。
【0029】
これらの部材のうち、取付部材10及びロックドラム20は、シートフレームに対して動かない部材(固定側部材)となっている。一方、アームレスト本体30、回動プレート40及びロックばね50は、シートフレームに対して中心線L回りに回動可能な(回動側部材)となっている。以下においては、アームレスト本体30及び回動プレート40における中心線L回りの回動のうち、アームレスト本体30の先端が前方を向いた状態から上方を向いた状態となる向きの回動を「上方回動」と呼び、アームレスト本体30の先端が上方を向いた状態から前方を向いた状態となる向きの回動を「下方回動」と呼んで説明する。
【0030】
回動プレート40(回動側部材)は、それに設けられた下側ストッパー用被当接部α(後掲する図5を参照。)が、取付部材10(固定側部材)に設けられた下側ストッパー用当接部β図5)に当接するまで、下方回動することができる。また、回動プレート40(回動側部材)は、それに設けられた上側ストッパー用被当接部α図5)が、取付部材10(固定側部材)に設けられた上側ストッパー用当接部β図5)に当接するまで、上方回動することができる。第一実施形態のアームレストでは、取付部材10に円弧状の起立壁部11(図5)を設けており、この起立壁部11の一方の端面が下側ストッパー用当接部βとして機能し、他方の端面が上側ストッパー用当接部βとして機能するようになっている。
【0031】
このアームレストでは、ロックばね50によるばねロック機構によって、回動プレート40等の上方回動のみが許容されて下方回動が規制されたロック状態と、回動プレート40等の上方回動に加えて下方回動が許容されたロック解除状態とが切り替わるようになっている。
【0032】
すなわち、ロックばね50の被操作部51がロック解除保持部41から外れているときには、ロックばね50は、ロックドラム20の外周部を締め付けた状態となる。すなわち、ロックばね50の内周部がロックドラム20の外周部に密着し、その摩擦力によって、回動プレート50の下方回動が規制された状態(ロック状態)が発現する。
また、ロック状態にある回動プレート40を上方回動させると、回動プレート40が使用時最上方位置(アームレスト本体30が調節可能範囲の最上方位置となる位置)まで達したときに、ロック解除カム21がロックばね50の被操作部51に当接する。このとき、ロックばね50の被操作部51が、ロック解除カム21によってロックばね50を緩める方向に押され、ロック解除保持部41に保持される。これにより、ロックばね50がロックドラム20に対して緩んで、回動プレート40の下方回動が許容された状態(ロック解除状態)が発現する。
さらに、ロック解除状態にある回動プレート40を下方回動させると、回動プレート40が使用時最下方位置(アームレスト本体30が調節可能範囲の最下方位置となる位置)まで達したときに、ロックばね50の被操作部51がロック復帰カム22に当接する。このとき、ロックばね50の被操作部51が、ロック復帰カム22によって押されてロック解除保持部41から外される。これにより、アームレストは、下方回動が規制されたロック状態に復帰する。
【0033】
ロック状態にあるときに、アームレスト本体30(回動プレート40)を使用時最下方位置から使用時最上方位置まで上方回動させるときには、任意の位置でアームレスト本体30の上方回動を止めることができる。アームレスト本体30の上方回動を止めたその位置でアームレストを使用すること(アームレスト本体30に腕を載せること)ができる。このように、第一実施形態のアームレストは、無段階でアームレスト本体30の高さを調節することが可能なものとなっている。
【0034】
しかし、既に述べたように、ロックばね50の長さ方向両端部(端部から1~2巻目の区間)は、寸法精度を高く維持することが難しく、ロックドラム20に対するロックばね50の馴染みの悪化を招く。このため、ロックばね50によるロック力が大きくばらつくおそれがある。これに対し、従来のアームレストでは、最悪の条件でも所望のロック力が発現するように、ロックばね50の巻き数を多めに設定していたところ、アームレストの左右幅(厚さ)が大きくなり、場合によっては高さ調節機構の採用を諦めることもあった。また、アームレストの重量が大きくなるという課題もあった。この点、第一実施形態のアームレストでは、以下の構成を採用することによって、このような課題を解決している。
【0035】
すなわち、図1に示すように、ロックばね50の自由端側における被操作部51よりも外側区間に、曲げ又は捩じりを伴う自由端側延長部52を設けている。自由端延長部52は、側面視「コ」の字状に形成された第一延長部52aと、第二延長部52bと、第三延長部52cとで構成されている。第三延長部52cは、本来であれば図1における破線の箇所にあるものを、これを弾性変形させてカバー部材70の内側に収めることで、図1における実線の箇所に位置させている。図2に示すように、第一延長部52aと第二延長部52bは、段違いに配して(横方向にずらして配して)いる。同様に、第二延長部52bと第三延長部53bも、段違いに配している。
【0036】
これにより、自由端側延長部52は、弾性限度内に収まる十分な長さを確保するとともに、ロックばね50における被操作部51よりも外側区間をロックばね50の巻締方向に引っ張る復帰弾性力が生ずる箇所となっている。このため、ロック状態にあるときには、ロックばね50の巻回部分(コイル部)の1~2巻目を、ロックドラム20の外周部に密着させ、ロックばね50が所望のロック力を安定して発現できるようになっている。また、ロックばね50の巻き数を抑えて、アームレストの小型化や軽量化を図ることもできる。自由端側延長部52は、ロックばね50における被操作部51よりも外側区間に設けたため、ロック解除状態にあるときのロックばね50のコイル部には、自由端側延長部52の影響が及ばず、ロックばね50が、ロックドラム20に対して緩んだ状態を維持することができる。第二延長部52bは、ウレタン(注入孔48から表皮90内に注入される発泡樹脂)の流れ(通路)を確保するために、ばね先端部を下げている。
【0037】
また、既に述べたように、この種のアームレストでは、横方向(左右方向)の強度を高めにくいという課題を有していたところ、第一実施形態のアームレストでは、以下の構成を採用することによって、このような課題を解決している。すなわち、図1に示すように、ロックドラム20に、幅広の平面フランジ23を設けており、図3に示すように、この平面フランジ23と取付部材10とで、回動プレート40を挟持する構造を採用している。
【0038】
回動プレート40は、軸受孔42を有する底部43と、底部43の縁部から立ち上がる筒状側壁部44とを有している。軸受孔42には、ロックドラム20が軸支される。筒状側壁部44は、ロックばね50の外周部を覆った状態で配され、上記のロック解除カム21及びロック復帰カム22の外側も筒状側壁部44で覆われた状態となる。この筒状側壁部44は、その先端が平面フランジ23に当接する高さで設けられている。これにより、回動プレート40の横方向のガタツキを抑えることができる。加えて、回動プレート40の回動中心線Lから離れた箇所で、回動プレート40を横方向に挟持することができるので、アームレストを横方向の強度に優れたものとすることもできる。
【0039】
ところで、第一実施形態のアームレストでは、図1に示すように、平面フランジ23の周回方向におけるロック解除範囲に相当する区間に、成形突出部24を設けている。成形突出部24は、図3に示すように、平面フランジ23の裏側に突出した状態となっている。この成形突出部24の端面が、上記のロック解除カム21として機能する。成形突出部24の幅は、平面フランジ23の幅よりも狭くしており、平面フランジ23における成形突出部24が設けられた箇所では、平面フランジ23の外周部が残るようにしている。図3に示すように、この残された外周部(成形突出部24の外側に存在する平面フランジ23)にも、筒状側壁部44の先端を当接させることで、平面フランジ23と筒状側壁部44との接触面積を広く確保することができる。このため、アームレストの横方向の強度をさらに高めることが可能となっている。
【0040】
一方、平面フランジ23の周回方向におけるアームレスト下限に相当する位置には、平面フランジ23の裏側に折り曲げられた折り曲げ部25を設けている。この折り曲げ部25の端面が、上記のロック復帰カム22として機能する。平面フランジ23における、折り曲げ部25が形成された箇所は、筒状側壁部44の先端が当接しない。しかし、折り曲げ部25は、平面フランジ23の周回方向における限られた一部の区間のみに設けている。このため、折り曲げ部25を設けたことによっては、アームレストの横方向の強度の低下が殆ど低下しないようになっている。
【0041】
また、第一実施形態のアームレストにおいては、図2に示すように、回動プレート40における底部43の一部を切り起こして起立片部45としている。この起立片部45の先端部に設けた凹部が、上記のロック解除保持部41として機能する。このように、起立片部45をロック解除保持部41として利用することで、アームレストの部品点数を削減することができる。また、回動プレート40における、起立片部45となる箇所は、本来、軸受孔42を打ち抜く際に抜き落とされる箇所であるところ、その一部を起立片部45とすることで、回動プレート40の歩留まりを良くすることもできる。
【0042】
2.第二実施形態のアームレスト
続いて、第二実施形態のアームレストについて説明する。第二実施形態のアームレストについては、主に、第一実施形態のアームレストと異なる構成に関する説明を行う。第二実施形態のアームレストで特に言及しない構成については、第一実施形態のアームレストと同様の構成を採用することができる。
【0043】
図4は、第二実施形態のアームレストにおける主要部品を組み付けた状態を示した斜視図である。図5は、第二実施形態のアームレストにおける主要部品を分解した状態を示した斜視図である。図6は、第二実施形態のアームレストにおける組み付け後の主要部品を、中心線Lを含む平面で切断した状態を示した断面図である。
【0044】
既に述べた第一実施形態のアームレストでは、図1に示すように、ロックばね50の自由端側における被操作部51よりも外側区間に設けた自由端側延長部52の復帰弾性力によって、ロック状態にあるときのロックばね50の自由端側が巻締方向に付勢されるようにしていた。これに対して、第二実施形態のアームレストでは、図4に示すように、ロックばね50の自由端側における被操作部51よりも外側区間に、付勢部材80を取り付けており、この付勢部材80の付勢力によって、ロック状態にあるときのロックばね50の自由端側が巻締方向に付勢されるようにしている。これによっても、ロック状態にあるときのロックばね50の巻回部分(コイル部)における1~2巻目を、ロックドラム20の外周部に密着させることができる。付勢部材80としては、コイルばねや、線ばねや板ばね等のばね部材を好適に用いることができる。
【0045】
付勢部材80の他端側(ロックばね50の自由端側に接続されていない側の端部)は、回動プレート40に設けた付勢部材取付部46に取り付けている。第二実施形態のアームレストでは、回動プレート40の一部を切り起こして起立片部47を設けており、この起立片部47に形成した掛止孔が付勢部材取付部46として機能するようにしている。この起立片部47は、アームレストの表皮内にウレタン等の発泡樹脂を注入する注入孔48(図6)となる箇所から切り起こしている。また、ロック解除保持部41となる起立片部45も、この注入孔48となる箇所から切り起こしている。これにより、アームレストの部品点数を削減するだけでなく、回動プレート40の歩留まりを良くすることもできる。
【0046】
さらに、第二実施形態のアームレストでは、図5に示すように、ロックばね50の固定端側に、第一の折り曲げ部53を設けており、この第一の折り曲げ部53よりも外側区間(固定端側)に、固定端側延長部54を設けている。固定端側延長部54の長さは、ロックばね50を形成する線材の直径の5倍以上に設定している。固定端側延長部54よりもさらに外側区間には、第二の折り曲げ部55を形成している。これらの第一の折り曲げ部52、固定端側延長部54及び第二の折り曲げ部55は、回動プレート40に設けた挟持溝49に嵌め込まれ、その挟持溝49の内壁で挟持された状態となる。
【0047】
このように、ロックばね50の固定端側に設けた折り曲げ部(第一の折り曲げ部53及び第二の折り曲げ部55)付近でロックばね50を挟持することで、回動プレート40にバーリング部を設けなくても(バーリング部に巻き付ける部分をロックばね50に設けなくても)、ロックばね50の固定端側が負けないようにすることができる。このため、ロックばね50の巻き数を抑え、回動プレート40の厚さ(左右幅)を薄くすることができる。ロックドラム20の外径(ロックばね50を外嵌させる部分の外径)を、従来品よりも大きい45~55mm程度とし、ロックばね50とロックドラム20との接触面積を増大させれば、ロックばね50の巻き数を、3巻以下とすることも可能であり、回動プレート40の左右幅を25mm以下とすることも可能である。したがって、アームレストの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0048】
3.第三実施形態のアームレスト
続いて、第三実施形態のアームレストについて説明する。第三実施形態のアームレストについては、主に、第一実施形態や第二実施形態のアームレストと異なる構成に関する説明を行う。第三実施形態のアームレストで特に言及しない構成については、第一実施形態や第二実施形態のアームレストと同様の構成を採用することができる。
【0049】
図7は、第三実施形態のアームレストを側方から見た状態を示した図である。図8は、第三実施形態のアームレストを、図7におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。図9は、第三実施形態のアームレストを、図7におけるA-A面で切断した状態を示した断面図である。
【0050】
第三実施形態のアームレストは、図7に示すように、ロックばね50の自由端側における被操作部51よりも外側区間に設けた自由端側延長部52(第一延長部52a、第二延長部52b及び第三延長部52c)を設けるとともに、その第二延長部52bに、付勢部材80を取り付けている。これにより、自由端側延長部52の復帰弾性力と、付勢部材80による付勢力の双方が、ロックばね50における被操作部51よりも外側区間をロックばね50の巻締方向に引っ張るのに効くようになっている。図7の例では、付勢部材80として、2本の線ばねを用いているが、この本数を増やせば、その付勢力をさらに強くすることもできる。付勢部材取付部46は、回動プレート40に固定されるカバー部材70に設けている。
【0051】
また、第三実施形態のアームレストでは、図7に示すように、ロックばね50の巻回部分における自由端側の少なくとも1巻目の一部の区間の内周側に、複数のばね側凹部56を設けている。加えて、ロックドラム20の外周部における、ロックばね50のばね側凹部56と重なる箇所に、複数のドラム側凹部26を設けている。既に述べたように、ばねロック機構では、押圧力(ロックばね50の内周部がロックドラム20の外周部を押圧する力)と巻締力(ロックばね50の端部が締め付け方向に引っ張られる力)とに起因して、ロックばね50とロックドラム20との間に生ずる摩擦力が、ロック力となるところ、上記のばね側凹部56及びドラム側凹部26を設けることで、その摩擦力を増大させ、ロック力をさらに増大させることができる。
【0052】
さらに、第三実施形態のアームレストでは、ロック解除保持部41の形態も変えている。すなわち、図9に示すように、回動プレート40の起立片部45に、開口部45aと、切れ目45bとを設け、ロック状態からロック解除状態に切り替わる際に、ロックばね50の被操作部51が、開口部45aから切れ目45b(ロック解除保持部41)に移動するよう操作されることで、ロック解除状態が維持されるようにしている。
【0053】
さらにまた、第三実施形態のアームレストでは、表皮90(図8)を、厚手でクッション性を備えたものとしており、発泡ウレタン等の樹脂を内部に注入しない構造を採用している。このような構造のアームレストでも、本発明に係る構成を採用することができる。
【0054】
4.その他
以上で述べた本発明のアームレストでは、所望のロック力になるまでの遊び量が大幅に減少することから、角度調節範囲を、従来品よりも小さめの30°程度とすることも可能である。これをアームレスト(アームレスト本体30)の先端の高さに換算すると、50mm程度になる。これにより、アームレスト本体30に過負荷が掛かり、アームレスト本体30の先端が意図せず下降することがあったとしても、安全性を確保することができる。このため、角度調節範囲にあるときの耐荷重を200~300N程度と低めに設定することもできる。したがって、ロックばね50の巻き数をさらに減らして、さらに小型化及び軽量化し、実用的なアームレストを実現することができる。
【0055】
5.用途
本発明のアームレストは、その用途を特に限定されない。しかし、アームレストの小型化や軽量化が可能であることから、自動車や鉄道や航空機等の乗り物における座席に備えられるアームレストとして好適に採用することができる。その他、洋式便器に備え付けられるトイレ用手摺り装置のアームレストとしても好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 取付部材
11 起立壁部
20 ロックドラム
21 ロック解除カム
22 ロック復帰カム
23 平面フランジ
24 成形突出部
25 折り曲げ部
26 ドラム側凹部
30 アームレスト本体
40 回動プレート
41 ロック解除保持部
42 軸受孔
43 底部
44 筒状側壁部
45 起立片部
46 付勢部材取付部
47 起立片部
48 注入孔
49 挟持溝
50 ロックばね
51 被操作部
52 自由端側延長部(自由端引張機構)
52a 第一延長部
52b 第二延長部
52c 第三延長部
53 第一の折り曲げ部
54 固定端側延長部
55 第二の折り曲げ部
56 ばね側凹部
60 取付ブラケット
70 カバー部材
80 付勢部材(自由端引張機構)
90 表皮
α 下側ストッパー用被当接部
α 上側ストッパー用被当接部
β 下側ストッパー用当接部
β 上側ストッパー用当接部
【要約】      (修正有)
【課題】ロックばねが所望のロック力を発現できるようにした高さ調節式のアームレストを提供する。
【解決手段】シートフレームに取り付けられる取付部材と、取付部材に固定されたロックドラム20と、ロックドラム20に設けられたロック解除カム21及びロック復帰カム22とで構成された固定側部材と、アームレスト本体30と、ロックドラム20に対して上下回動可能な回動プレートと、回動プレートに設けられたロック解除保持部41と、ロックドラム20に外嵌されたコイルばねからなり、一端が回動プレートに固定された固定端とされて、他端が被操作部51を有する自由端とされたロックばね50とで構成された回動側部材とを備えた高さ調節式のアームレストにおいて、ロックばね50の自由端側における被操作部51よりも外側区間をロックばね50の巻締方向に引っ張る自由端引張機構52を設けた。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9