(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】電子機器装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20221111BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221111BHJP
H02B 1/28 20060101ALI20221111BHJP
H02B 1/48 20060101ALI20221111BHJP
H02B 1/04 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H05K5/02 A
H05K7/20 E
H05K5/02 D
H02B1/28 B
H02B1/48
H02B1/04 C
(21)【出願番号】P 2018039462
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】内山 勝己
(72)【発明者】
【氏名】平島 光
(72)【発明者】
【氏名】河原 正典
(72)【発明者】
【氏名】双木 俊行
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-101550(JP,A)
【文献】特開2002-314261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 7/20
H02B 1/28
H02B 1/48
H02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間、及び、前記内部空間を外部につなぐ開口を有する筐体と、前記筐体の前記内部空間に挿抜可能に収容される電子回路ユニットと、前記筐体の前記開口を開閉可能とする蓋部と、を備え、
前記電子回路ユニットが、前記内部空間の少なくとも一部を外部に対して隔離された隔離空間とする仕切部材と、前記仕切部材のうち前記隔離空間側に向く第一の面
のみに設けられた電子回路部と、を備え
、
前記電子回路ユニットは、前記仕切部材のうち前記第一の面と反対側に向く第二の面側に露出するように設けられ、前記電子回路部に接続される接続端子を備え、
前記接続端子は、前記開口を密閉した前記蓋部によって覆われる電子機器装置。
【請求項2】
前記電子回路ユニットは、前記仕切部材のうち前記第一の面と反対側に向く第二の面に設けられた把持部を備え、
前記筐体は、前記筐体の内面から前記開口に向けて延び、前記仕切部材を支持する支持部材を備え、
前記支持部材は、前記支持部材の先端が前記第一の面に当接した状態で、前記把持部に前記第一の面から前記第二の面に向かう方向に力を加えることにより、前記支持部材の先端と前記第一の面との当接点を含む回転軸周りに前記仕切部材を回転できるように配置され、
前記把持部と前記回転軸との距離が、前記電子回路ユニットの重心と前記回転軸との距離よりも長い
請求項1に記載の電子機器装置。
【請求項3】
前記仕切部材は、前記支持部材にねじ止めされることで前記筐体の内部に取り付けられる
請求項2に記載の電子機器装置。
【請求項4】
前記電子回路ユニットが前記内部空間に収容された状態において前記筐体の内面に当接する前記仕切部材の縁部が、弾性を有する封止材によって構成されている請求項1から
請求項3のいずれか一項に記載の電子機器装置。
【請求項5】
前記電子回路部が、アンテナ部を含み、
前記筐体が樹脂材料によって形成されている
請求項4に記載の電子機器装置。
【請求項6】
前記電子回路部が、通電によって発熱する第一回路部と、熱に弱い第二回路部と、前記第一回路部を覆うカバー部と、を含み、
前記第一回路部と前記第二回路部とが、前記第一の面に沿う第一方向に並べられ、
前記カバー部のうち前記第一の面に沿って前記第一方向に直交する第二方向における両端部には、前記カバー部の内外に貫通する通気口が形成されている請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の電子機器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な太陽光発電設備は、内陸部だけでなく海沿いに設けられることも多いが、このような地域では重大な障害(例えば塩害)が生じ得る。また、かかる設備は屋外に設けられるため、強い風雨等の悪天候に曝される。かかる設備は、このような劣悪な外部環境下での保守等の作業を余儀なくされることから、かかる設備で太陽光パネルを制御する配電盤の電子回路部は、外部環境から保護される必要がある。
特許文献1には、このような外部環境下で、塵埃や塩分といった腐食性物質から電子回路部を保護するために、電子回路部を筐体に収納した構成が開示されている。特許文献1の筐体は、その前面開口を前板により着脱自在に気密に閉塞することで形成される密閉室を有する。電子回路部は、この密閉室の内面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された構成では、前板を取り外した状態で密閉室の内面に設けられた電子回路部の保守作業を行う必要がある。このため、電子回路部の保守作業時には、電子回路部が上記した劣悪な外部環境下に長時間にわたって露出してしまう。その結果、密閉室内に多くの腐食性物質が侵入して、電子回路部の性能が劣化しやすい、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、外部環境による電子回路部の性能の劣化を抑制できる電子機器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、内部空間、及び、前記内部空間を外部につなぐ開口を有する筐体と、前記筐体の前記内部空間に挿抜可能に収容される電子回路ユニットと、前記筐体の前記開口を開閉可能とする蓋部と、を備え、前記電子回路ユニットが、前記内部空間の少なくとも一部を外部に対して隔離された隔離空間とする仕切部材と、前記仕切部材のうち前記隔離空間側に向く第一の面に設けられた電子回路部と、を備え、前記電子回路ユニットは、前記仕切部材のうち前記第一の面と反対側に向く第二の面側に露出するように設けられ、前記電子回路部に接続される接続端子を備え、前記接続端子は、前記蓋部によって覆われる電子機器装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子機器装置の設置作業や保守作業を行うために、筐体の開口を開いても、電子回路部を仕切部材によって外部に対して隔離することができる。また、仕切部材及び電子回路部を含む電子回路ユニットを筐体に対して挿抜するだけで、電子回路部の保守作業を短時間で行うこともできる。したがって、外部環境による電子回路部の劣化を好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器装置を側方から見た断面図である。
【
図2】
図1の電子機器装置を仕切部材の第二の面側から見た正面図である。
【
図3】
図1の電子機器装置を、筐体と蓋部と電子回路ユニットとに分解した状態を示す断面図である。
【
図4】
図1~3の電子回路ユニットを仕切部材の第一の面側から見た背面図である。
【
図6】電子回路ユニットを筐体から取り出す過程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~6を参照して本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子機器装置は、例えば、太陽光発電設備において太陽光パネルを制御する配電盤等のように、屋外に配されるものである。
図1~3に示すように、電子機器装置1は、筐体2と、蓋部3と、電子回路ユニット4と、を備える。
【0010】
筐体2は、内部空間11と、内部空間11を外部につなぐ開口12と、を有する。筐体2は、一方向(X軸方向;以下、開口方向とも呼ぶ。)に開口12する有底の箱状に形成されている。
筐体2の内部空間11を構成する筐体2の内面13には、開口方向において開口12に対向する底面13Aと、底面13Aの周縁から開口12に向けて延びる内側面13Bと、がある。内側面13Bは、例えば底面13Aに対して直交してもよい。本実施形態において、内側面13Bは、開口方向に直交する方向(例えばY軸方向やZ軸方向)において互いに対向する内側面13B同士の間隔が底面13A側から開口12側に向かうにしたがって大きくなるように、底面13Aに対して傾斜している。
【0011】
筐体2は、筐体2の内外に電気配線15(以下、配線15と呼ぶ。)を挿通させる挿通部14を備える。挿通部14は、塵埃や水分、塩分などが配線15の挿通口を通じて筐体2の内部に侵入しないように配線捕縛部材によって構成されている。挿通部14は、筐体2の内部空間11のうち後述する隔離空間11Aの外側に位置するように設けられる。具体的に、挿通部14は内側面13Bをなす筐体2の側壁部16Bのうち筐体2の開口12に近い部位に設けられる。挿通部14に挿通される配線15は、筐体2の内部において電子回路ユニット4に接続される。
【0012】
筐体2は、例えば導電性材料によって形成されてもよいが、本実施形態では樹脂材料によって形成されている。
【0013】
蓋部3は、筐体2の開口12を開閉可能とする。蓋部3は、少なくとも筐体2の開口12を密閉するように構成されればよい。蓋部3は、例えば平板状など任意の形状に形成されてよい。本実施形態の蓋部3は、一方向(X軸方向)に開口する有底の箱状に形成されている。ただし、蓋部3の深さは筐体2よりも浅い。
蓋部3は、筐体2に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、蝶番等によって筐体2に対して回転可能に取り付けられてもよい。蓋部3は、例えば導電性材料によって形成されてもよいが、本実施形態では筐体2と同様の樹脂材料によって形成されている。
【0014】
電子回路ユニット4は、筐体2の内部空間11に対して挿抜可能に収容される。電子回路ユニット4は、仕切部材21と、電子回路部22と、を備える。
仕切部材21は、筐体2の内部空間11の少なくとも一部を外部に対して隔離された隔離空間11Aとする。隔離空間11Aは、仕切部材21の縁部が、電子回路ユニット4が内部空間11に収容された状態で筐体2の内面13に当接することで形成される。
【0015】
本実施形態の仕切部材21は、板状に形成されている。仕切部材21の縁部は、電子回路ユニット4が筐体2の内部空間11に配された状態で、筐体2の内側面13Bに当接する。具体的に、仕切部材21の縁部は、内側面13Bのうち筐体2の開口方向(X軸方向)における中途部に当接する。これにより、仕切部材21はその板厚方向が開口方向に向くように筐体2の底面13Aと開口12との間に位置する。
【0016】
隔離空間11Aは、筐体2の底面13Aと、筐体2の内側面13Bのうち底面13Aに近い領域と、仕切部材21と、によって構成される。すなわち、本実施形態における隔離空間11Aは、内部空間11のうち開口方向において仕切部材21よりも底面13A側の空間である。一方、内部空間11のうち仕切部材21よりも開口12側の空間は、開口12を通じて外部に露出する露出空間11Bである。前述した筐体2の挿通部14は、露出空間11Bに位置するように設けられている。
【0017】
仕切部材21の縁部は、弾性を有する封止材23によって構成されている。封止材23は、仕切部材21の縁部が筐体2の内面13(内側面13B)に当接した際に弾性的に圧縮変形することで、仕切部材21と筐体2の内面13(内側面13B)との隙間を詰めるパッキンの役割を果たす。封止材23は、例えばゴムやスポンジなどであってよい。
【0018】
仕切部材21は、電子回路ユニット4が内部空間11に収容された状態で筐体2の支持部材17によって支持される。すなわち、筐体2は、支持部材17をさらに備える。支持部材17は、筐体2の内面13から開口12に向けて延びている。支持部材17は、例えば筐体2の内側面13Bから開口12に向けて延びてもよい。本実施形態において、支持部材17は筐体2の底面13Aから開口12に向けて延びている。支持部材17の延長方向の先端には、仕切部材21のうち隔離空間11A側に向く第一の面21Aが当接する。これにより、仕切部材21が支持部材17によって支持される。本実施形態における仕切部材21の第一の面21Aは、筐体2の底面13Aに対向する面である。
【0019】
支持部材17は、その先端が仕切部材21の第一の面21Aの周縁領域に当接するように配されている。支持部材17は、例えば板状など任意の形状に形成されてよいが、本実施形態では棒状に形成されている。また、複数の支持部材17は、互いに間隔をあけて配列されている。具体的に、支持部材17は、
図2のように筐体2を開口12側から見た正面視で、筐体2の側壁部16Bの各角部の近傍に一つずつ配されている。これにより、仕切部材21は支持部材17によって安定に支持される。支持部材17は、例えば筐体2の内側面13Bに接してもよいが、本実施形態では、内側面13Bに対して間隔をあけて配されている。
【0020】
仕切部材21は、上記した支持部材17にねじ止めされることで筐体2の内部に取り付けられる。具体的に、支持部材17の先端には、雌ねじ孔18が形成されている。これにより、仕切部材21は、ねじ19を第一の面21Aと反対側に向く仕切部材21の第二の面21B側から仕切部材21に通した上で、支持部材17の雌ねじ孔18にねじ込むことで、支持部材17の先端に固定される。本実施形態における仕切部材21の第二の面21Bは、露出空間11B側(筐体2の開口12側)に向く面である。
【0021】
図1,3,4に示すように、電子回路部22は、仕切部材21の第一の面21Aに設けられる。
電子回路部22の具体的な構成は任意であってよい。本実施形態の電子回路部22は、電源部24と、アンテナ部25と、制御回路部26と、を含む。電源部24は、アンテナ部25や制御回路部26に電力を供給する。アンテナ部25は、電子機器装置1と外部機器との間で各種の情報を送受信する。各種の情報には、例えば太陽光パネルにおける発電量などがある。制御回路部26は、電源部24の動作を制御したり、アンテナ部25等による外部機器との通信制御を行ったりする。
【0022】
電源部24は、通電によって発熱する第一回路部22Aを構成する。アンテナ部25や制御回路部26は、第一回路部22Aである電源部24と比較して熱に弱い第二回路部22Bを構成する。第一回路部22Aと第二回路部22Bとは、仕切部材21の第一の面21Aに沿う第一方向(Y軸方向)に並べられている。本実施形態における第一方向は、水平方向である。
【0023】
図4,5に示すように、電子回路部22は、第一回路部22Aである電源部24を覆うカバー部27をさらに含む。カバー部27のうち仕切部材21の第一の面21Aに沿って第一方向に直交する第二方向(Z軸方向)における両端部には、カバー部27の内外に貫通する通気口28が形成されている。本実施形態における第二方向は、鉛直方向である。
【0024】
カバー部27は、第一方向において第一回路部22A(電源部24)の両側に位置する第一側壁部27A及び第二側壁部27Bと、第二方向において第一回路部22Aの両側に位置する第三側壁部27C及び第四側壁部27Dと、を有する。第一側壁部27Aは、第一回路部22Aと第二回路部22B(アンテナ部25、制御回路部26)との間に位置する。また、第三側壁部27Cは第一回路部22Aの上側に位置し、第四側壁部27Dは第一回路部22Aの下側に位置する。
通気口28は、第三側壁部27C及び第四側壁部27Dに形成されている。また、通気口28は、第二側壁部27Bのうち第三側壁部27C側の端部に形成されている。第一側壁部27Aには通気口28が形成されていない。
【0025】
上記のようにカバー部27が設けられることで、空気はカバー部27の内部を通過するように第二方向に流れる。本実施形態では、第二方向が鉛直方向であるため、対流によって、低い温度の空気が第四側壁部27Dの通気口28からカバー部27内に導入され、高い温度の空気が第二側壁部27Bや第三側壁部27Cの通気口28からカバー部27の外側に排出される。
【0026】
第二回路部22Bを構成する制御回路部26は、電源部24の発熱量よりは小さいものの通電によって発熱する。一方、アンテナ部25は、発熱しない又は発熱量が制御回路部26よりも小さい。このため、制御回路部26は、第二方向においてアンテナ部25よりも上側に位置する。これにより、アンテナ部25が制御回路部26の熱の影響を受けることを抑制できる。
【0027】
図1~3に示すように、本実施形態の電子回路ユニット4は、電子回路部22に接続される接続端子29をさらに備える。接続端子29は、仕切部材21の第二の面21B側に露出するように設けられる。
接続端子29には、電子回路部22と外部の装置とを接続するための各種の配線(例えば挿通部14に挿通された配線15)が着脱可能に接続される。外部の装置には、例えば制御回路部26を操作するための外部機器などが含まれてよい。接続端子29は、各種の配線を簡単に抜き差しできるように構成されているとよい。
【0028】
電子回路ユニット4は、仕切部材21の第二の面21Bに設けられた把持部30をさらに備える。把持部30は、電子回路ユニット4を筐体2の内部に出し入れする際に、作業者が手で掴む部位である。図示例において、把持部30は、図示例のように第二の面21Bから突出してもよいが、これに限ることはない。
【0029】
上記の把持部30、及び、前述した筐体2の複数の支持部材17のうち一部の支持部材17A(以下、回転用支持部材17Aと呼ぶ。)は、以下の要件を満たすように配されている。
図1に示すように、回転用支持部材17Aは、その先端が仕切部材21の第一の面21Aに当接した状態で、把持部30に第一の面21Aから第二の面21Bに向かう方向に力を加えることにより、回転用支持部材17Aの先端と第一の面21Aとの当接点P1を含む回転軸周りに仕切部材21を回転できるように配置されている。また、把持部30は、把持部30と回転軸との距離L1が、電子回路ユニット4の重心C1と回転軸との距離L2よりも長くなる位置に配置されている。
以下、この点について具体的に説明する。
【0030】
回転用支持部材17Aは、その先端が第二方向(Z軸方向)における仕切部材21の第一端部(
図1において下端部)に当接する位置に配されている。一方、把持部30は、第二方向における仕切部材21の第二端部(
図1において上端部)に配されている。これにより、把持部30に第一の面21Aから第二の面21Bに向かう方向に力を加えた際には、
図6に示すように、回転用支持部材17Aの先端と第一の面21Aとの当接点P1を中心とする回転軸周りに仕切部材21を回転させることができる。
図6における符号R1は、仕切部材21の回転方向を示している。
【0031】
電子回路ユニット4においては、電子回路部22が仕切部材21や接続端子29等と比べて重い。このため、電子回路ユニット4の重心C1の位置は、仕切部材21における電子回路部22の位置に依存する。本実施形態では、
図1に示すように、電子回路部22が第二方向において回転用支持部材17Aと把持部30との間に位置する。これにより、電子回路ユニット4の重心C1は、第二方向において回転用支持部材17Aと把持部30との間に位置する。すなわち、把持部30と回転軸との距離L1が、電子回路ユニット4の重心C1と回転軸との距離L2よりも長くなる。
【0032】
以上のように構成される電子機器装置1の設置作業や保守作業は、筐体2の開口12を開いた状態で行われることがある。電子機器装置1の設置作業や保守作業には、各種の配線(例えば配線15)を電子回路部22に接続する作業などが含まれるためである。本実施形態の電子機器装置1では、筐体2の開口12を開いても、電子回路部22が仕切部材21によって外部に対して隔離される。これにより、電子回路部22を外部に露出させることなく、電子機器装置1の設置作業や保守作業を行うことができる。
【0033】
また、本実施形態の電子機器装置1の保守作業において、電子回路ユニット4を筐体2から取り出す際には、作業者が把持部30を掴んで筐体2の外側に引けばよい。ここで、把持部30は、仕切部材21と回転用支持部材17Aとの当接点P1に対し、電子回路ユニット4の重心C1よりも遠くに位置する。このため、電子回路ユニット4が重くても、作業者はより小さい力を把持部30に加えるだけで、梃子の原理によって電子回路ユニット4を容易に筐体2から取り出すことができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の電子機器装置1によれば、設置作業や保守作業を行うために、筐体2の開口12を開いても、電子回路部22を仕切部材21によって外部に対して隔離することができる。
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、電子回路部22が、仕切部材21のうち隔離空間11A側に向く第一の面21Aに設けられている。このため、仕切部材21及び電子回路部22を含む電子回路ユニット4を筐体2に対して挿抜したり、電子回路ユニット4を別の電子回路ユニット4と交換したりするだけで、電子回路部22の保守作業を短時間で行うこともできる。すなわち、電子回路部22の保守時に、電子回路部22が外部環境下に長時間露出してしまうことを抑制できる。
以上のことから、電子回路部22を外部環境から好適に保護することができ、外部環境による電子回路部22の劣化を好適に抑制できる。
【0035】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、電子回路部22に接続される接続端子29が仕切部材21の第二の面21B側に露出するように設けられている。このため、筐体2の開口12を開いた状態であっても、接続端子29のみが外部に露出し、電子回路部22は外部に対して隔離される。したがって、電子回路部22を外部の装置と接続する作業時に、電子回路部22を腐食性物質から保護することができる。
【0036】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、電子回路ユニット4を筐体2から取り出す際には、作業者が把持部30を小さい力で筐体2の外側に引くだけで、梃子の原理によって電子回路ユニット4を簡単に筐体2から取り出すことができる。これにより、外部環境下での電子回路部22の保守作業をさらに短縮することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、仕切部材21は、仕切部材21を支持する支持部材17にねじ止めされることで筐体2の内部に取り付けられる。すなわち、支持部材17は仕切部材21を筐体2に固定する機能を備える。このため、仕切部材21を筐体2に固定するための構造を別個に設ける必要がない。これにより、電子機器装置1の構成部品点数の削減を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、筐体2の内面13に当接する仕切部材21の縁部が、弾性を有する封止材23によって構成されている。このため、筐体2内において電子回路部22が配される空間(隔離空間11A)を仕切部材21によって確実に外部に対して隔離することができる。
【0039】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、筐体2が樹脂材料によって形成されている。このため、筐体2がアンテナ部25と外部機器との無線通信を阻害することを防止できる。
【0040】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、電子回路部22のうち発熱する第一回路部22Aがカバー部27によって覆われ、仕切部材21の第一の面21Aに沿う第二方向におけるカバー部27の両端部に通気口28が形成されている。これにより、空気がカバー部27の内部を通過するように第二方向に空気を流すことができ、第一回路部22Aの放熱を促すことができる。
特に本実施形態では、第二方向が鉛直方向であるため、対流によって低い温度の空気をカバー部27の下端部に形成された通気口28からカバー部27内に導入し、高い温度の空気をカバー部27の上端部に形成された通気口28からカバー部27の外側に排出することができる。したがって、第一回路部22Aの放熱効率向上を図ることができる。
【0041】
また、電子回路部22のうち熱に弱い第二回路部22Bは、第一回路部22Aに対して第二方向に直交する第一方向に並べられている。このため、カバー部27の通気口28から流れ出た高い温度の空気が、第二回路部22Bに到達することを抑制できる。すなわち、第二回路部22Bが第一回路部22Aの熱の影響を受けることを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態の電子機器装置1によれば、仕切部材21の縁部が当接する筐体2の内側面13Bは、互いに対向する内側面13B同士の間隔が筐体2の底面13A側から開口12側に向かうにしたがって大きくなるように、底面13Aに対して傾斜している。このため、電子回路ユニット4を筐体2の内部空間11に収容する際に、仕切部材21の縁部全体を確実に筐体2の内側面13Bに当接させることができる。すなわち、筐体2内において電子回路部22が配される空間(隔離空間11A)を仕切部材21によって確実に外部に対して隔離することができる。
【0043】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0044】
本発明の電子機器装置において、電子回路ユニットの仕切部材は、例えば筐体の内部空間全体を隔離空間とするように筐体の内部に配されてもよい。
【0045】
本発明の電子機器装置において、電子回路部の第一回路部は、電源部に限らず、少なくとも通電によって発熱する任意の回路部であってよい。また、第二回路部は、制御回路部やアンテナ部に限らず、少なくとも発熱しない又は発熱量が第一回路部よりも小さい任意の回路部であってよい。
【符号の説明】
【0046】
1 電子機器装置
2 筐体
3 蓋部
4 電子回路ユニット
11 内部空間
11A 隔離空間
12 開口
13 内面
17 支持部材
17A 回転用支持部材
21 仕切部材
21A 第一の面
21B 第二の面
22 電子回路部
22A 第一回路部
22B 第二回路部
23 封止材
24 電源部
25 アンテナ部
26 制御回路部
27 カバー部
28 通気口
29 接続端子
30 把持部
C1 重心
P1 当接点