(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】圧力測定機器、圧力測定システム、及び圧力測定方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
G01L5/00 101Z
(21)【出願番号】P 2018069447
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 正
(72)【発明者】
【氏名】大村 京平
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-11890(JP,A)
【文献】国際公開第2018/047945(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3235428(EP,A1)
【文献】特表2015-512674(JP,A)
【文献】特表2011-505015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00- 5/28
G01L 7/00-23/32
G01L27/00-27/02
A61B 5/06- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の指の接地部に掛かる圧力を検出する一または二以上の検出部と、
前記足に着脱可能な本体ユニットであって、該本体ユニットを装着した前記足に靴が着脱可能な前記本体ユニットと、を含み、
前記一または二以上の検出部が、前記本体ユニットにおける、前記足の五指のうちの一つ以上の接地部の位置に対応する位置に設けられ
、
前記本体ユニットは、前記足の五指の各々の付け根の位置に対応する位置から前記足の五指の各々の先端側へ向けて延在する5つの凸部を有し、
前記一または二以上の検出部は、前記5つの凸部の各々における、前記足の五指の各々の接地部の位置に対応する位置に設けられていることを特徴とする圧力測定機器。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力測定機器であって、
前記本体ユニットは、前記足の五指を含む爪先部分に相当する形状の袋状布部を備えることを特徴とする圧力測定機器。
【請求項3】
請求項2に記載の圧力測定機器であって、
前記袋状布部は、前記足の
五指の
各々の付け根の位置に対応する位置から前記足の
五指の
各々の先端の位置に対応する位置へ向けて延在する
前記足の五指の各々に相当する形状の前記5つの凸部を有
することを特徴とする圧力測定機器。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力測定機器であって、
前記
5つの凸部は、前記足の各指の付け根の位置に対応する位置で、前記足の付け根を前記足の付け根の表面から前記足の付け根の内部へ向けて押圧する押圧力を備えることを特徴とする圧力測定機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4までに記載の圧力測定機器と、圧力表示機器と、有し、
前記圧力測定機器は、
更に、前記複数の検出部により検出された足の指の接地部に掛かる圧力を示す圧力データを送信する送信ユニットを含み、
前記圧力表示機器は、
前記送信ユニットから、前記圧力データを受信する受信ユニットと、
前記受信ユニットにより受信された圧力データが示す前記足の指の接地部に掛かる圧力を表示する表示ユニットと、
を有することを特徴とする圧力測定システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4までに記載の圧力測定機器を用いて、前記足の指の接地部に掛かる圧力を測定する工程と、
前記測定された足の指の接地部に掛かる圧力を表示する工程と、
を含むことを特徴とする圧力測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足の裏に掛かる圧力を測定する圧力測定機器、圧力測定システム、及び圧力測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1乃至特許文献6に記載された機器等は、足の裏等に加わる圧力を測定することを目的とする。当該目的を達成すべく、特に、特許文献2に記載の靴では、靴底または中敷き(インソール)における足の各指の位置に対応するように、圧力センサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-41835号公報
【文献】特開2004-187808号公報
【文献】特開2008-237833号公報
【文献】特表2015-509028号公報
【文献】特開2016-220813号公報
【文献】特開2013-17822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した靴を装着する者(装着者)の足の各指は、当該装着者が歩行、走行、跳躍等を行っているときに、前記靴の中で完全に同一の位置には留まっていない。そのため、前記装着者の足の各指の位置が、上記した靴の靴底またはインソールに設けられた圧力センサの位置からずれ、それにより、前記装着者の足の各指に掛かる圧力を正確に把握することができないことがあった。
【0005】
また、特許文献3及び特許文献6に記載のシステムでは、測定の手続が煩雑であり、システム自体が広い設置面積を必要とし、システムの価格が高価であるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、足の指に掛かる圧力を正確に測定することを実現できる圧力測定機器、圧力測定システム、及び、圧力測定方法を提供することにある。
【0007】
本発明の更なる目的は、上記に加えて、測定の手続きが簡易であること、測定のために広い面積を要しないこと、または、価格が安価であること、のうちの一つ以上を実現することができる圧力測定機器、圧力測定システム、及び、圧力測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決すべく、本発明に係る圧力測定機器は、足の指の接地部に掛かる圧力を検出する一または二以上の検出部と、前記足に着脱可能な本体ユニットであって、該本体ユニットを装着した前記足に靴が着脱可能な前記本体ユニットと、を含み、前記一または二以上の検出部が、前記本体ユニットにおける、前記足の五指のうちの一つ以上の接地部の位置に対応する位置に設けられ、前記本体ユニットは、前記足の五指の各々の付け根の位置に対応する位置から前記足の五指の各々の先端側へ向けて延在する5つの凸部を有し、前記一または二以上の検出部は、前記5つの凸部の各々における、前記足の五指の各々の接地部の位置に対応する位置に設けられている。
【0009】
本発明に係る圧力測定機器では、前記本体ユニットは、前記足の五指を含む爪先部分に相当する形状の袋状布部を備えることが望ましい。
【0010】
本発明に係る圧力測定機器では、前記袋状布部は、前記足の五指の各々の付け根の位置に対応する位置から前記足の五指の各々の先端の位置に対応する位置へ向けて延在する前記足の五指の各々に相当する形状の前記5つの凸部を有することが望ましい。
【0011】
本発明に係る圧力測定機器では、前記5つの凸部は、前記足の各指の付け根の位置に対応する位置で、前記足の付け根を前記足の付け根の表面から前記足の付け根の内部へ向けて押圧する押圧力を備えることが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る圧力測定システムは、上記した圧力測定機器と、圧力表示機器と、有し、前記圧力測定機器は、更に、前記複数の検出部により検出された足の指の接地部に掛かる圧力を示す圧力データを送信する送信ユニットを含み、前記圧力表示機器は、前記送信ユニットから、前記圧力データを受信する受信ユニットと、前記受信ユニットにより受信された圧力データが示す前記足の指の接地部に掛かる圧力を表示する表示ユニットと、を有する。
【0013】
更に、本発明に係る圧力測定方法は、上記した圧力測定機器を用いて、前記足の指の接地部に掛かる圧力を測定する工程と、前記測定された足の指の接地部に掛かる圧力を表示する工程と、を含む。
【0014】
「足の指の接地部」とは、足の指のうち、地面からの圧力を受ける部位であり、例えば、足の指の腹、及び、当該腹の周辺を意味する。「圧力データ」とは、圧力値に換算する前のAD変換値を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る圧力測定機器、圧力測定システム、及び、圧力測定方法によれば、足の指の接地部に掛かる圧力を正確に測定することが可能となる。
【0016】
本発明に係る圧力測定機器、圧力測定システム、及び、圧力測定方法によれば、さらに、測定の手続きが簡易であり、測定のために広い面積を要せず、または、価格を安価にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の圧力測定システムの構成を示す図である。
【
図5】本体ユニットの変形例1の外観を示す底面図である。
【
図6】本体ユニットの変形例2の外観を示す底面図である。
【
図7】実施形態の圧力測定システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】被測定者が本体ユニット及び靴を装着する様子を示す図である。
【
図9】被測定者の足の指に掛かる圧力を示す図である。
【
図10】実際の圧力測定システムにより測定された足の指の圧力を示す図である。
【
図12】比較例のインソールにより足の指の圧力を測定した結果を示す図である。
【
図13】浮き指を評価する動作を示すフローチャートである。
【
図14】被測定者の足の指の圧力を測定した結果を示す図である。
【
図15】浮き指を低減するためのインソールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る圧力測定システムの実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
〈実施形態〉
〈実施形態の構成〉
図1は、実施形態の圧力測定システムの構成を示す。実施形態の圧力測定システムPMSは、足の指に掛かる圧力の測定を受ける者(以下、「被測定者甲」という。)の足が接地しているときに当該足の指の接地部に掛かる圧力を測定すべく、
図1に示されるように、圧力測定機器PMと、圧力表示機器PDと、通信路TLとを含む。
【0020】
圧力測定機器PMは、制御ユニットCT(PM)と、本体ユニットMN(PM)と、通信ユニットCM(PM)とを有する。説明及び理解を容易にすべく、以下の説明では、両足の指ではなく、左足の指のみを測定することを想定する。
【0021】
制御ユニットCT(PM)は、CPU10と、ROM20と、RAM30とを備える。ROM20は、圧力測定機器PMの動作、換言すれば、制御ユニットCT(PM)、本体ユニットMN(PM)、及び通信ユニットCM(PM)の動作を監視及び制御するためのプログラム40を記憶している。CPU10は、RAM30を作業領域としつつ、前記プログラム40の内容に従って、圧力測定機器PMを全体的に監視及び制御する。
【0022】
本体ユニットMN(PM)は、
図1に示されるように、複数(5個)の検出部D1~D5を備える。
【0023】
図2は、本体ユニットの外観を示す斜視図であり、
図3は、本体ユニットの外観を示す正面図であり、
図4は、本体ユニットの外観を示す底面図である。本体ユニットMN(PM)は、
図2~
図4に示されるように、全体として、いわゆる五本指靴下の形状を模した形状を有する。本体ユニットMN(PM)は、一般的な靴下と同様に、繊維等から構成されている。本体ユニットMN(PM)は、被測定者甲の足に着脱可能であり、また、靴(
図8に図示の靴SH)が、当該本体ユニットMN(PM)を装着した足に着脱可能である。
【0024】
本体ユニットMN(PM)は、より正確には、
図3に示されるように、本体部Bと、凸部C1~C5と、から構成されている。本体部Bは、概ね、五本指靴下の形状に近似しており、正確には、指に相当する部分が無い五本指靴下の形状に近似する。凸部C1~C5は、本体部Bから前方へ向けて延在し、より詳しくは、本体部Bにおける、前記足の指の付け根の位置に対応する位置から前記足の指の先端の位置に対応する位置へ向けて延在する。凸部C1~C5は、足の指、即ち、第1趾(親指)、第2趾(人差し指)、第3趾(中指)、第4趾(薬指)、第5趾(小指)の形状を模した形状を有し、かつ、それぞれ、第1趾~第5趾の大きさと概ね等しい大きさを有する。
【0025】
換言すれば、本体ユニットMN(PM)は、広義には、足指を全体的に覆う袋状布部を備えており、また、狭義には、前記足の五指(第1趾~第5趾)を含む爪先部分に相当する形状の袋状布部(凸部C1~C5)を備えている。後者については、特に、後述の変形例1(
図5に図示)のような、いわゆる指サックの形状を有する袋状布部(凸部C1~C5)のみを備えている(換言すれば、本体部Bが実質的に皆無に等しい)ことも含まれる。なお、
図5のように凸部同士は連結されていてもよく、各指に装着するような独立した凸部であってもよい。
【0026】
ここで、「袋状布部」の「袋」は、少なくとも足の指に着脱するための部分が開いており、他の部分が縫い合わせ、張り合わせた等により閉じており、機能としては、袋の中に指を入れることさえできれば足りることを意味する。また、「袋状布部」の「布」は、代表的な材質が、布である意味であり、例えば、紙、革等の他の材質を排除する意味ではない。
【0027】
本体ユニットMN(PM)は、また、
図4の底面図に示されるように、凸部C1、C2、C3、C4、C5の外側の底面(靴底またはインソールと接する面)における指、即ち、第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾の接地部の位置に対応する位置に、それぞれ、検出部D1、D2、D3、D4、D5を備える。ここで、検出部D1~D5は、本体ユニットMN(PM)の外側の底面に配置されることに代えて、本体ユニットMN(PM)の内側の底面(足に直に接する面)における、第1趾~第5趾の接地部の位置に対応する位置に配置されること、即ち、足の指の接地部に接触する位置に配置されても良い。この配置は、即ち、検出部D1~D5が、本体ユニットMN(PM)の内側の底面に配置されることは、本体ユニットMN(PM)と足の指との間に、より正確には、検出部D1~D5と足の指との間に、他の部材、例えば、薄手の靴下、ストッキング等が介在することを排除する意味では無い。凸部C1~C5は、検出部D1~D5と足の指との間の位置ずれをより低減すべく、足の各指の付け根(図示せず)の位置に対応する位置で、足の付け根を足の付け根の表面から足の付け根の内部へ向けて押圧する押圧力を有することが望ましい。例えば、本体ユニットMN(PM)の凸部C1~C5を伸縮性がある生地で形成することにより、足の指に本体ユニットMN(PM)がフィット、即ち、適合するように押圧力が働くため、検出部D1~D5の位置ずれを低減することができる。
【0028】
図5は、本体ユニットの変形例1の外観を示す底面図である。本体ユニットMN(PM)の変形例1は、
図5に示されるように、
図4に図示された本体ユニットMN(PM)のうち、足の指に対応する部分のみである。変形例1の本体ユニットMN(PM)も、
図4に図示の本体ユニットMN(PM)と同様に、本体部Bと、凸部C1~C5とを有する。変形例1の本体ユニットMN(PM)では、
図4に図示の本体ユニットMN(PM)と同様に、凸部C1~C5における、第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾の接地部の位置に対応する位置に、それぞれ、検出部D1、D2、D3、D4、D5を備える。
【0029】
図6は、本体ユニットの変形例2の外観を示す底面図である。本体ユニットMN(PM)の変形例2は、
図6に示されるように、
図5に図示の変形例1と対照的に、
図4に図示の本体ユニットMN(PM)のうち、足の指に対応する部分以外の部分からなる。変形例2の本体ユニットMN(PM)は、
図4に図示の本体ユニットMN(PM)と同様に、本体部Bを有し、他方で、
図4に図示の本体ユニットMN(PM)と相違し、支持部材S1~S5を有する。変形例2の本体ユニットMN(PM)では、本体ユニットMN(PM)における指の付け根に対応する位置から支持部材S1~S5が延在しており、当該支持部材S1~S5の先端に、より正確には、変形例2の本体ユニットMN(PM)を装着した被測定者甲の第1趾~第5趾の接地部の位置に対応する位置に、検出部D1~D5が設けられている。ここで、支持部材S1~S5は、『凸部』に対応する。
【0030】
図1、
図4、
図5、
図6に図示された検出部D1~D5は、圧力センサである。圧力センサは、その材料、方式、出力要素、ベース材等を問わない。圧力センサの方式は、抵抗線式、拡散式、静電容量式、機械式等のいずれでも良く、圧力センサの出力要素は、歪ゲージ、金属膜等のいずれでも良く、圧力センサのベース材は、ダイヤフラム、バネ等のいずれでも良い。圧力センサは、より典型的には、例えば、感圧導電ゴム型センサ、ピエゾ型センサ、導電繊維または圧電繊維を用いたファブリック型センサ、メンブレン型センサを用いることができる。
【0031】
検出部D1~D5は、形状を問わず、例えば、円形でも、矩形でも良く、円形の直径及び矩形の一辺は、足の指の面積の大きさに鑑みると、例えば、5mm~15mmが望ましい。検出部D1~D5は、足への違和感に鑑みると、例えば、2mm以下の厚さであることが望ましい。
【0032】
検出部D1~D5は、繊維等からなる本体ユニットMN(PM)の繊維等内に埋め込まれても良く、本体ユニットMN(PM)の繊維等の表面に貼着される等により取り付けられても良く、検出部D1~D5が繊維からなる場合には本体ユニットMN(PM)に編み込まれても良い。
【0033】
検出部D1~D5は、足への装着感の観点からは、伸縮性を有する生地により全体的に覆われることが望ましい。
【0034】
検出部D1~D5は、足の指が動くことに対応すべく、例えば、検出部D1~D5自体が伸縮性を有することが望ましく、または、検出部D1~D5を本体ユニットMN(PM)に取り付ける場合には、当該取り付けるための部材(生地等)が伸縮性を有することが望ましい。
【0035】
通信ユニットCM(PM)は、通信路TLを介して、圧力表示機器PDとの間で通信を行う。より詳しくは、通信ユニットCM(PM)は、近距離無線通信(例えば、NFC、Blue Tooth(登録商標)、ZigBee、WiFi)により、圧力表示機器PDへ、足の指の圧力を示すデータDT(以下、「足指圧力データDT」と略記する。)を送信する。なお、「足指圧力データDT」とは、圧力値に換算する前のAD変換値を含む。
【0036】
ここで、通信ユニットCM(PM)は、『送信ユニット』に対応し、足指圧力データは、『圧力データ』に対応する。
【0037】
制御ユニットCT(PM)及び通信ユニットCM(PM)は、被測定者甲の任意の箇所に取り付けられることが望ましく、例えば、
図2に示されるように、本体ユニットMN(PM)が靴下状のものであれば、被測定者甲の足に装着された本体ユニットMN(PM)の側面に着脱可能である。
【0038】
制御ユニットCT(PM)、本体ユニットMN(PM)、及び通信ユニットCM(PM)は、
図1及び
図2に示されるように、配線WRにより接続されている。
【0039】
配線WRは、
図2に示されるように、例えば、本体ユニットMN(PM)を装着したときにおける足への負担を軽減することを考慮すると、可能な限り、軽量であること、及び、伸縮できることが望ましい。
【0040】
配線WRは、例えば、リード線でも良く、メッキ繊維(金属が鍍金された繊維)等の導電繊維でも良く、導電性繊維及び非導電性繊維が混合されたもの(例えば、本体ユニットMN(PM)を構成する非導電性の生地(織地及び編地)における必要な領域に、配線WRとして、導電性の繊維が編み込まれたもの、導電性の刺繍が施されたもの、導電性のペーストが印刷されたもの(下地を印刷した後に導電性のペーストを印刷するものを含む))でも良い。
【0041】
配線WRは、伸縮性の観点からは、伸縮性を有する基材(例えば、フィルム、シート)に伸縮性を有する導電性のペーストが印刷されたものが望ましく、または、導電性の繊維を撚り加工などの糸加工により、導電糸自体に伸縮性を備えたものであってもよい。導電糸は、また、伸縮性の生地に貼り合わせて配線することもできる。
【0042】
配線WRは、本体ユニットMN(PM)に貼り付ける等により着脱可能である。
【0043】
制御ユニットCT(PM)、本体ユニットMN(PM)、通信ユニットCM(PM)と配線WRとの接続は、電気的な接続が確立しさえすれば足り、例えば、ハンダ付けでも良く、かしめなどで別途コネクターを取り付けて、当該コネクターによる接続でも良く、導電ペーストでの接着でも良く、導電性の糸で縫い付けても良く、検出部D1~D5がファブリック型のセンサである場合には、検出部D1~D5と配線WRとを一枚の生地に一体的に織り込みまたは編み込んでも良い。
【0044】
次に、圧力表示機器PDは、例えば、パーソナルコンピュータであり、制御ユニットCT(PD)と、表示ユニットDP(PD)と、通信ユニットCM(PD)とを有する。
【0045】
制御ユニットCT(PD)は、圧力測定機器PMの制御ユニットCT(PM)と同様に、CPU50と、ROM60と、RAM70とを備える。
【0046】
ROM60は、圧力表示機器PDの動作、換言すれば、制御ユニットCT(PD)、表示ユニットDP(PD)、通信ユニットCM(PD)の動作を監視及び制御すべく、プログラム80を記憶している。
【0047】
CPU50は、ROM60に記憶されているプログラム80の内容に従って、RAM70を作業領域とした上で、圧力表示機器PDの動作を全体的に監視及び制御する。
【0048】
表示ユニットDP(PD)は、例えば、液晶、有機ELからなり、足指圧力データDTを表示する。
【0049】
通信ユニットCM(PD)は、圧力測定機器PMから、通信路TLを介して、足指圧力データDTを受信すべく、圧力測定機器PMの通信ユニットCM(PM)と同様に、近距離無線通信(例えば、NFC、Blue Tooth(登録商標)、ZigBee、WiFi)の機能を有する。
【0050】
ここで、通信ユニットCM(PD)は、『受信ユニット』に対応する。
【0051】
電源に関しては、圧力測定機器PMは、例えば、電池(図示せず)により動作し、また、圧力表示機器PDは、例えば、交流電源(図示せず)により動作する。
【0052】
〈実施形態の動作〉
図7は、実施形態の圧力測定システムの動作を示すフローチャートである。以下、
図7を参照して、実施形態の圧力測定システムの動作について説明する。
【0053】
図8は、被測定者が本体ユニット及び靴を装着する様子を示す図である。以下の説明では、被測定者甲が、測定に先立って、(1)
図4、
図5、
図6に示される本体ユニットMN(PM)のいずれかを装着し、(2)更に、
図8に図示の靴SHを着用しており、(3)地面に対して直立していることを想定する。
【0054】
図9は、ニッタ株式会社製の足圧分布測定システム「F-SCAN」を用いて測定した、被測定者の足の指に掛かる圧力を示す図である。
図9では、濃い部分が、圧力が強いことを示す。本体ユニットMN(PM)及び靴SHを装着し、かつ、直立している被測定者甲の足の指に掛かる圧力(荷重)については、
図9を俯瞰すると、母趾球及び小趾球に掛かる圧力Pbs、並びに、踵に掛かる圧力Pkが最も大きく、また、第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾に掛かる圧力P1、P2、P3、P4、P5も大きい値を示している。しかも、圧力P1、P2、P3、P4、P5については、第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾の順序で、圧力P1、P2、P3、P4、P5が小さくなっている。
【0055】
ステップS1:
図7で、圧力測定機器PMの電源が投入されると、または、圧力測定機器PMの通信ユニットCM(PM)が、圧力表示機器PDの通信ユニットCM(PD)から、足の指の接地部に掛かる圧力を測定すべき旨の指示を受信すると、圧力測定機器PMでは、制御ユニットCT(PM)が、本体ユニットMN(PM)に、足の指の圧力を測定すべき旨を指示する。当該指示を受けると、本体ユニットMN(PM)では、検出部D1~D5が、被測定者甲の第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾に地面から受けている圧力を測定する。
【0056】
ステップS2:ステップS1で検出部D1~D5による足の指の接地部に掛かる圧力の測定が完了すると、制御ユニットCT(PM)は、通信ユニットCM(PM)に、測定された足指圧力データDTを圧力表示機器PDへ送信すべき旨を指示する。当該指示を受けると、通信ユニットCM(PM)は、前記足指圧力データDTを圧力表示機器PDへ送信する。本実施形態においては、測定後に足指圧力データDTを圧力表示装置PDへ送信した態様を示したが、歩行時など時間経過毎に圧力測定する場合には、測定したタイミングで(リアルタイムで)データの送信を行うこともできる。
【0057】
ステップS3:ステップS2で圧力測定機器PMの通信ユニットCM(PM)から足指圧力データDTが送信されると、圧力表示機器PDの通信ユニットCM(PD)は、当該足指圧力データDTを受信する。
【0058】
ステップS4:ステップS3で通信ユニットCM(PD)が足指圧力データDTを受信すると、制御ユニットCT(PD)は、表示ユニットDP(PD)に、足指圧力データDTを表示すべき旨を指示する。当該指示を受けると、表示ユニットDP(PD)は、足指圧力データDTにより定まる、被測定者甲の足の指の接地部に掛かる圧力を表示する。
【0059】
図10は、実際の圧力測定システムにより測定された足の指の接地部に掛かる圧力を示す。圧力表示機器PDの表示ユニットDP(PD)は、
図10に示されるように、被測定者甲の足の指の接地部に加わる圧力が、第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾の順に、小さいことを表示する。この圧力の大きさの順序は、
図9に示される、被測定者甲の足の指に加わる圧力が、第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾の順に小さいことと一致している。これにより、実際の圧力測定システム、より正確には、実際の本体ユニットによる、足の指の圧力を測定する能力が信頼できることが裏付けられている。
【0060】
〈実施形態の効果〉
図11は、比較例のインソールの底面図である。実施形態の圧力測定システムPMS、より正確には、実施形態の本体ユニットMN(PM)の比較対象である比較例のインソールISの底面(靴底と接する面)は、
図11に示されるように、被測定者甲の足(二点鎖線により図示)における第1趾に対応する位置に圧力センサd1が設けられ、第2趾に対応する位置に圧力センサd2が設けられ、第3趾に対応する位置に圧力センサd3が設けられ、第4趾及び第5趾の中間に対応する位置に圧力センサd4が設けられている。ここで、圧力センサd1~d4は、実施形態の検出部D1~D5と同等な性能を有する。
【0061】
図12は、比較例のインソールにより足の指の圧力を測定した結果を示す。
図4、
図5、
図6に図示された本体ユニットMN(PM)に代えて、被測定者甲が、比較例のインソールISを装着した場合における、被測定者の足の指に掛かる圧力は、
図12に示されるように、第2趾、第3趾、第1趾の順に小さく、この結果は、
図9に示される、被測定者甲の足の指に掛かる圧力の順序と完全には一致しない。
【0062】
実際の圧力測定システムによる測定結果と、比較例のインソールによる測定結果との比較から、実施形態の本体ユニットMN(PM)は、比較例のインソールISよりも、被測定者甲の足の指の圧力をより高精度で測定することができることが裏付けられている。
【0063】
上記したように、実施形態の検出部D1~D5は、本体ユニットMN(PM)における、足の指の接地部の位置に対応する位置に設けられている。従って、検出部D1~D5の位置が足の指の接地部の位置からずれる量が、圧力センサが靴底またはインソールに配置されていた従来の装置等に比較して低減されることから、足の指の接地部に掛かる圧力を正確に測定することが可能となる。
また、実施形態の本体ユニットMN(PM)は、足に着脱可能であり、かつ、本体ユニットMN(PM)を装着した前記足に靴SHが着脱可能であり、換言すれば、被測定者は、足の指の接地部に掛かる圧力を測定するためには、本体ユニットMN(PM)を装着し、さらに、靴SHを装着するだけで足りることから、従来の装置等と比較して簡易な手続で前記測定を行うことができる。
さらに、実施形態の本体ユニットMN(PM)は、五本指靴下に相当する大きさという小スペースであり、即ち、従来のシステム等と異なり、狭い空間及び狭い面積で測定することが可能であり、また、本体ユニットMN(PM)は、実質的には、圧力センサ等である検出部D1~D5を備えるだけであることから、従来のシステム等に比較して、低価格で前記測定を行うことが可能となる。
【0064】
上記したように、実施形態の凸部C1~C5は、本体部Bにおける、足の指の付け根の位置に対応する位置から前記足の指の先端の位置に対応する位置へ向けて延在しており、かつ、検出部D1~D5は、凸部C1~C5における、足の指の接地部の位置に対応する位置に設けられていることが望ましい。これにより、凸部C1~C5の位置の自由度が、足の指の存在により制限されることから、必然的に、凸部C1~C5の各々に配置された検出部D1~D5の位置の自由度も制限され、その結果、検出部D1~D5の位置が足の指の接地部の位置からずれる量が、更に低減され、その結果、足の裏の接地部に掛かる圧力をより一層、正確に測定することが可能となる。
【0065】
上記したように、実施形態の凸部C1~C5は、また、凸部C1~C5における、足の指の接地部に接する位置に設けられることが望ましい。これにより、検出部D1~D5は、足の指の接地部から直接、押圧力を受けることになり、その結果、検出部D1~D5の位置が足の指の接地部の位置からずれる量が、更に低減されることから、足の指の接地部に掛かる圧力をより正確に測定することが可能となる。
【0066】
上記したように、実施形態の凸部C1~C5は、足の指の形状を模した形状を有し、また、足の指の大きさに等しい大きさを有することが望ましい。これにより、凸部C1~C5は、足の指の存在自体によって変形し難くなり、その結果、検出部D1~D5の位置が足の指の接地部の位置からずれる量が、更に低減され、足の指の接地部に掛かる圧力をより一層、正確に測定することが可能となる。
【0067】
上記したように、実施形態の凸部C1~C5は、足の各指の付け根の位置に対応する位置で、足の付け根を足の付け根の表面から足の付け根の内部へ向けて押圧する押圧力を有することが望ましい。これにより、凸部C1~C5は、変形することがより一段と困難になり、その結果、検出部D1~D5の位置が足の指の接地部の位置からずれる量が、更に低減され、足の指の接地部に掛かる圧力を更に正確に測定することが可能となる。
【0068】
上記した、本体ユニットMN(PM)の検出部D1~D5が、被測定者甲の足の指の圧力を1回、測定することに代えて、その測定の精度を高めるべく、検出部D1~D5が、例えば、2回以上測定した上で、制御ユニットCT(PM)または制御ユニットCT(PD)が、その平均値を用いることが望ましい。
また、本発明の圧力測定システムは、歩行時の測定も可能である。その際、各足の指の接地部に加わる圧力のピーク値から算出した平均値を評価すればよく、同様にステップS1~S4の動作を行えばよい。
【0069】
〈浮き指の評価〉
図13は、浮き指を評価する動作を示すフローチャートである。以下、
図13を参照して、実施形態の圧力測定システムによる、浮き指を評価する動作について説明する。
【0070】
ステップS10:足の指に掛かる圧力の測定を受ける他の者(以下、「被測定者乙」という。)の足の指の圧力は、上記したステップS1~ステップS3と同様にして、圧力測定機器PMの本体ユニットMN(PM)により測定され、被測定者乙の足指圧力データDTが、圧力表示機器PDの制御ユニットCT(PD)に届く。
【0071】
図14は、被測定者の足の指の圧力を測定した結果を示す図である。被測定者乙の足の指の圧力は、
図14における「浮き指低減用インソールの着用前」(左側の棒グラフ)に示される通りである。
【0072】
ステップS11:制御ユニットCT(PD)は、被測定者乙の足指圧力データDT(
図14の「浮き指低減用インソールの着用前」)を、ROM60に記憶された、予め定められた閾値TH(例えば、体重、身長、性別、年齢、足のサイズ等から定まる閾値TH)と比較する。ここで、制御ユニットCT(PD)は、被測定者乙の第1趾、第2趾、第3趾が、各々、閾値THより小さい場合、第1趾、第2趾、第3趾が浮き指である可能性が高いと判断する。
【0073】
図15は、浮き指を低減するためのインソールを示す図である。
【0074】
ステップS12:被測定者乙は、自らにより、または、圧力測定システムPMSを有する企業(例えば、靴販売店、靴メーカ、靴修理店、デパート)により、
図15に示されるように、浮き指を低減するためのインソールIS(F)、即ち、浮き指低減用インソール(IS(F))を準備する。浮き指低減用インソール(IS(F))としては、特許第5134072号公報に開示されている、
図15に示されるものが好適である。具体的には、浮き指低減用インソール(IS(F))は、基材部100と、弾性部200とを含む。
弾性部200は、第2趾-第3趾間の領域では、中足趾節間関節を超える位置を周縁とすることにより、足趾、特に第1趾、第2趾を使わせようとする。弾性部200は、第3趾-第4趾間の領域では、中足骨頭の手前の位置に対応する位置を周縁とすることにより、足趾、特に第3趾、第4趾を使わせようとする。これにより、浮き指低減用インソール(IS(F))は、足趾の使用を促し、その結果、浮き指を低減させることが可能となる。
【0075】
ステップS12:上記したステップS1~S3と同様に、換言すれば、上記したステップS11と同様に、圧力測定機器PMの本体ユニットMN(PM)は、今度は、浮き指低減用インソールIS(F)を着用した被測定者乙の足の指の圧力を測定し、測定された足指圧力データDTが、圧力表示機器PDの制御ユニットCT(PD)に届く。ここで、ステップS12で測定された足指圧力データDTは、
図14における「浮き指低減用インソールの着用後」(右側の棒グラフ)に示される通りである。
【0076】
ステップS13:制御ユニットCT(PD)は、表示ユニットDP(PD)に、足指圧力データDT(浮き指低減用インソールの着用前)、及び、足指圧力データDT(浮き指低減用インソールの着用後)を表示すべき旨を指示し、当該指示に従って、表示ユニットDP(PD)は、足指圧力データDT(浮き指低減用インソールの着用前)、及び、足指圧力データDT(浮き指低減用インソールの着用後)を、
図14に示されるように表示する。
【0077】
ステップS14:被測定者乙は、自らにより、または、圧力測定システムPMSを有する企業(例えば、靴販売店、靴メーカ、靴修理店、デパート)により、
図14に示される、足指圧力データDT(浮き指低減用インソールの着用前)、及び、足指圧力データDT(浮き指低減用インソールの着用後)を比較することにより、被測定者乙の第1趾、第2趾、第3趾の浮き指の程度が低減されたか否かを確認する。
【0078】
ここで、
図14では、被測定者乙の第1趾、第2趾、第3趾の荷重、即ち、圧力については、浮き指低減用インソールの着用前に比較して、浮き指低減用インソールの着用後の方が大きいことから、被測定者乙の第1趾、第2趾、第3趾の浮き足が低減されたといえる。
【0079】
実施形態の圧力測定システムPMSを用いることにより、被測定者乙の足の指が浮き指であるか否かを判断することができ、また、浮き指である可能性が高い指が浮き指低減用インソールIS(F)の着用により低減されたか否かをも確認することができる。
【0080】
また、本発明の圧力測定システムPMSを用いれば、インソールの他にも、靴の違いによって浮き指が低減できるかどうかの評価が可能となる。なお、本発明の圧力測定システムPMSは、浮き指の評価以外にも使用することができる。
【0081】
〈応用例〉
実施形態の圧力測定システムPMSは、検出部D1~D5により、第1趾~第5趾の圧力を測定することに代えて、または、測定することに加えて、他の検出部(検出部D1~D5と同等の機能を有するもの)により、例えば、荷重の観点から足の裏で最も重要である母趾球、小趾球、踵や第2、第3中趾足骨付近の圧力を測定することによって、左右の両足に掛かる荷重の分布を把握することが可能であり、更に、当該測定を経時的に継続することにより、歩行等のときの着地のタイミング等を把握することが可能である。
【0082】
実施形態の圧力測定システムPMSは、検出部D1~D5により、第1趾~第5趾の圧力を測定することに加えて、他のセンサ(例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、気圧センサ)により、身体の他の部位の状況を測定することによって、例えば、歩行状態、走行状態、跳躍状態等(歩行、走行状、跳躍の速度を含む)を把握することが可能である。
【符号の説明】
【0083】
PMS 圧力測定システム、PM 圧力測定機器、CT(PM) 制御ユニット、MN(PM) 本体ユニットMN(PM)、通信ユニットCM(PM)、圧力表示機器 PD、制御ユニット CT(PD)、表示ユニット DP(PD)、通信ユニット CM(PD)、通信路 TL、D1~D5 検出部、B 本体部、C1~C5 凸部