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特許7175124情報処理装置、位置予測方法及び位置予測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、位置予測方法及び位置予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/573 20140101AFI20221111BHJP
   A63F 13/56 20140101ALI20221111BHJP
【FI】
A63F13/573
A63F13/56
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018147118
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020018792
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】595000427
【氏名又は名称】株式会社コーエーテクモゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小沢 一等
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-000346(JP,A)
【文献】特開2011-255114(JP,A)
【文献】進撃の巨人,週刊ファミ通 2016年3月3日号,カドカワ株式会社,2016年02月18日,第31巻第9号通巻1420号,p.154~161
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームにおけるユーザ操作に応じたキャラクタのアクションを予測する予測部と、
予測した前記アクションが、記憶部に記憶した特定のアクションであり、前記記憶部は前記特定のアクションに応じて定義されるアクションの動作条件を有するかを判定する判定部と、を有し、
前記アクションの動作条件を有すると判定されると、前記予測部は、判定された前記特定の動作条件に基づき、ユーザ操作の方向に応じて前記キャラクタの移動を算出し、算出結果に応じて前記キャラクタの現時点から所定時間経過後までの予測位置を決定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記キャラクタの現時点から所定時間経過後までの所定時間間隔毎の複数の予測位置を決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
決定した所定時間間隔毎の複数の予測位置を前記キャラクタの現時点の時刻に関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部を参照して、前記キャラクタに対する新たなアクションの実行時刻における前記キャラクタの予測位置を判定し、判定した前記キャラクタの予測位置に向けて前記新たなアクションを実行するゲーム実行部と、
を有する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ゲーム実行部は、前記アクションの実行時刻が前記複数の予測位置のそれぞれに前記キャラクタが到達する時刻と一致しない場合、前記アクションの実行時刻の前後に前記キャラクタが到達する時刻の前記キャラクタの予測位置に基づき前記アクションの実行時刻に対応する予測位置を補正する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、所定時間間隔毎の複数の予測位置を、直前のキャラクタのアクションに対応する前記特定の動作条件に応じて決定する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ゲームにおけるユーザ操作に応じたキャラクタのアクションを予測し、
予測した前記アクションが、記憶部に記憶した特定のアクションであり、前記記憶部は前記特定のアクションに応じて定義されるアクションの動作条件を有するかを判定し、
前記アクションの動作条件を有すると判定されると、判定された前記特定の動作条件に基づき、ユーザ操作の方向に応じて前記キャラクタの移動を算出し、算出結果に応じて前記キャラクタの現時点から所定時間経過後までの予測位置を決定する、
処理をコンピュータが実行する位置予測方法。
【請求項7】
ゲームにおけるユーザ操作に応じたキャラクタのアクションを予測し、
予測した前記アクションが、記憶部に記憶した特定のアクションであり、前記記憶部は前記特定のアクションに応じて定義されるアクションの動作条件を有するかを判定し、
前記アクションの動作条件を有すると判定されると、判定された前記特定の動作条件に基づき、ユーザ操作の方向に応じて前記キャラクタの移動を算出し、算出結果に応じて前記キャラクタの現時点から所定時間経過後までの予測位置を決定する、
処理をコンピュータに実行させる位置予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、位置予測方法及び位置予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特殊なアクションで高速に動き回るキャラクタが登場するゲームが提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-59738号公報
【文献】特開2012-249799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかるキャラクタの運動は、等速直線運動や自由落下運動ではないため、位置の予測が容易ではなく、シンプルな方法で位置を予測できない。一方、そのキャラクタを攻撃する等の場合に、キャラクタの現在位置から攻撃にかかる時間を加えた時間にキャラクタがどの位置にいるかを正確に予測する必要がある。
【0005】
本開示は、ゲームにおいて特定のアクションで動くキャラクタの位置を正確に予測する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、ゲームにおけるユーザ操作に応じたキャラクタのアクションを予測する予測部と、予測した前記アクションが、記憶部に記憶した特定のアクションであり、前記記憶部は前記特定のアクションに応じて定義されるアクションの動作条件を有するかを判定する判定部と、を有し、前記アクションの動作条件を有すると判定されると、前記予測部は、判定された前記特定の動作条件に基づき、ユーザ操作の方向に応じて前記キャラクタの移動を算出し、算出結果に応じて前記キャラクタの現時点から所定時間経過後までの予測位置を決定する、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、ゲームにおいて特定のアクションで動くキャラクタの位置を正確に予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る情報処理装置の機能構成一例を示す図。
図2】一実施形態に係るアクション予測条件テーブルの一例を示す図。
図3】一実施形態に係る予測位置保存テーブルの一例を示す図。
図4】一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図5】一実施形態に係る位置予測処理の一例を示すフローチャート。
図6】一実施形態に係る位置予測処理を説明するための図。
図7】一実施形態に係る位置予測処理を説明するための図。
図8】一実施形態に係る攻撃処理の一例を示すフローチャート。
図9】一実施形態に係る攻撃処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0010】
[情報処理装置の機能構成]
まず、一実施形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例について、図1を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例を示す図である。一実施形態に係る情報処理装置10は、記憶部11、ゲーム実行部12、受付部13、予測部14、判定部15、グラフィック処理部16、サウンド処理部17、表示部18、音出力部19及び通信部20を有する。
【0011】
記憶部11は、アクション予測条件テーブル111、予測位置保存テーブル112、位置予測プログラム113を記憶する。アクション予測条件テーブル111は、ユーザ操作(ユーザが行うコントローラやタッチパネルの操作)に対して予測するアクション動作の条件を定義したテーブルである。図2は、一実施形態に係るアクション予測条件テーブル111の一例を示す図である。例えば、ユーザ操作がワイヤーを伸縮させてキャラクタを所定方向へ移動させる操作である場合、「ワイヤーの伸縮」操作に対応するアクションの動作条件として、「ワイヤーがAmまで伸びたらワイヤーが切れる」ことが定義されている。また、「操作時間、方向に応じてワイヤーの伸縮及びキャラクタの移動角度を算出する」ことが定義されている。また、ユーザ操作がコントローラを前傾させる動作の場合、コントローラの前傾角度に応じた速度にキャラクタの移動速度をスピードアップすることが定義される。また、ユーザ操作がコントローラを後傾させる動作の場合、コントローラの後傾角度に応じた速度にキャラクタの移動速度をスピードダウンすることが定義される。また、ユーザ操作がガスの噴射指示である場合、キャラクタに装着されたガス噴射器から噴射されるガス噴射量に応じてキャラクタの移動速度を制御することが定義される。
【0012】
予測位置保存テーブル112は、キャラクタの予測位置を記憶するテーブルである、図3は、一実施形態に係る予測位置保存テーブル112の一例を示す図である。予測位置保存テーブル112は、ユーザ操作を受け付けた受付時刻と、受付時刻から所定時間間隔毎のキャラクタの予測位置を記憶する。ユーザ操作を受け付けた受付時刻は、キャラクタの現時点の時刻を示す。本実施形態では、所定時間間隔の一例として1/30秒毎に予測位置が記憶されている。
【0013】
図1に戻り、記憶部11には、その他、位置予測プログラム113、ゲームプログラム及び各種データが記憶される。ゲーム実行部12は、記憶部11に記憶されたゲームプログラム及び位置予測プログラム113を実行し、ゲームの進行と、ユーザ操作に応じたキャラクタ(プレイやキャラクタ)の所定時間経過後の位置を予測する。
【0014】
受付部13は、コントローラ及び/又はタッチパネルを用いたユーザ操作を受け付ける。ゲーム実行部12は、ユーザ操作に応じてゲームを進行させる。ユーザ操作には、キャラクタを移動させたり、キャラクタに攻撃等の所定の行動を起こさせたりする操作が挙げられる。また、ゲーム実行部12は、記憶部11に記憶された予測位置保存テーブル112を参照して、敵キャラクタ等から出される攻撃等の新たなアクションの実行時刻におけるキャラクタの予測位置を判定する。そして、ゲーム実行部12は、判定したキャラクタの予測位置に向けて前記新たなアクションを実行する。
【0015】
予測部14は、ゲームにおけるユーザ操作に応じたキャラクタのアクションを予測する。判定部15は、アクション予測条件テーブル111を参照して、予測したアクションが特定のアクションであり、該アクションの動作条件を有するかを判定する。判定部15が、予測したアクションの動作条件が定義されていると判定すると、予測部14は、判定された特定の動作条件に応じてキャラクタの現時点から所定時間経過後までの予測位置を決定する。図3のアクション予測条件テーブル111の例では、予測部14が受付時刻から2秒経過後までの間、1/30秒間隔毎に予測したキャラクタの位置を記憶している。ただし、キャラクタの現時点から所定時間経過後までの予測位置は、受付時刻から2秒経過後までの予測位置に限られず、1秒未満であってもよいし、1秒以上であってもよい。また、キャラクタの位置を予測する時間間隔は、1/30秒間隔に限られず、1/60秒間隔であってもよいし、その他の時間間隔であってもよい。
【0016】
グラフィック処理部16は、ゲーム実行部12から描画命令が出力されると、表示部18にビデオ信号を出力する。これにより、表示部18は、ゲームの進行に応じたゲームの画像を表示する。
【0017】
サウンド処理部17は、ゲーム実行部12からサウンド出力の指示命令が出力されると、音出力部19にサウンド信号を出力する。これにより、音出力部19は、ゲームの進行に応じたキャラクタの音声やその他のサウンドを出力する。通信部20は、他の機器と通信を行う。
【0018】
なお、図1に示す情報処理装置10は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、家庭用ゲーム端末、業務用ゲーム端末、スマートフォンなどの携帯電話機、携帯ゲーム機等であってもよい。情報処理装置10は、HMD(Head Mount Display)、FMD(Face Mount Display)、腕時計型等のウェアラブルデバイスであってもよい。
【0019】
[情報処理装置のハードウェア構成]
次に、一実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例について、図4を参照しながら説明する。図4は、一実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0020】
一実施形態に係る情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23及びHDD(Hard Disk Drive)24を有する。また、情報処理装置10は、グラフィックカード25、外部I/F26、通信I/F27、入力I/F28、ディスプレイ29、スピーカ30及びタッチパネル31を有する。各部はバスで相互に接続されている。
【0021】
ROM22は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM23は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。ROM22及びRAM23には、プログラム及びデータが格納されている。
【0022】
HDD24は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。ROM22、RAM23、HDD24には、情報処理装置10の全体を制御する基本ソフトウェアのプログラム、ゲームプログラム及び位置予測プログラム113が格納されてもよい。
【0023】
CPU21は、ROM22やHDD24から各種プログラム及び各種データをRAM23上に読み出し、各種の処理を実行することで、情報処理装置10の全体の制御や情報処理装置10に搭載された機能を実現する。
【0024】
外部I/F26は、情報処理装置10を外部装置に接続するインターフェースである。外部装置には、記憶媒体26aなどがある。これにより、情報処理装置10は、外部I/F26を介して記憶媒体26aの読み取り及び書き込みを行うことができる。記憶媒体26aの一例としては、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、SDメモリカード(SD Memory card)又はUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)等が挙げられる。
【0025】
例えば、情報処理装置10には、ゲームプログラムや位置予測プログラム113が格納された記憶媒体26aを装着することが可能である。ゲームプログラムや位置予測プログラム113は、外部I/F26により読み出されて、RAM23に読み込まれる。
【0026】
CPU21は、RAM23に読み込まれたゲームプログラム及び位置予測プログラム113を実行し、グラフィックカード25にゲームの進行に応じた画像の出力を指示する。グラフィックカード25は、指示に従い画面に表示するゲームの画像処理を行い、ゲームの画像をディスプレイ29に描画させる。グラフィックカード25から出力される画像の一フレーム時間は、例えば1/30~1/60秒である。グラフィックカード25は、フレーム単位で1枚の画像の描画を実行する。すなわち、一秒間に30回~60回のフレームの画像が描画される。
【0027】
また、CPU21は、RAM23に読み込まれた位置予測プログラム113を実行し、特定のアクションに関するかキャラクタの予測位置を算出し、記憶する。また、CPU21は、キャラクタの予測位置に向かって攻撃するアクションを行う。攻撃するアクション等ではスピーカ30から所定の音を出力させる。通信I/F27は、情報処理装置10をネットワークに接続するインターフェースである。通信I/F27は、アンテナを有する通信ユニットを介して他の機器と通信を行う。
【0028】
入力I/F28は、コントローラ1等の入力機器に接続するインターフェースである。コントローラ1は、操作ボタン2及び方向キー3を有する。プレイヤは、コントローラ1を用いてゲームの操作(ユーザ操作)を行う。例えば、プレイヤは、操作ボタン2及び方向キー3の操作の組み合わせで、プレイヤキャラクタに攻撃や防御等の所定の動作や、画面の開始等の所定の処理を行わせてもよい。コントローラ1は、情報処理装置10の本体と一体になっていてもよいし、別体になっていてもよい。また、コントローラ1は、情報処理装置10の本体から着脱可能であってもよい。また、コントローラ1は、1つまたは複数設けられてもよい。
【0029】
入力I/F28は、プレイヤがコントローラ1を用いて行った入力操作に基づく入力情報をRAM23に格納させる。また、プレイヤが、コントローラ1を操作してゲームの開始を指示したとき、入力I/F28が、その指示情報を入力することによりゲーム処理が実行される。
【0030】
タッチパネル31は、ディスプレイ29の画面上に設けられ、プレイヤによってタッチされた情報処理装置10の画面上の位置を検出する。タッチパネル31としては、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式等、任意のものが用いられる。なお、タッチパネル31は情報処理装置10に搭載されていなくてもよい。また、タッチパネル31を搭載した情報処理装置10の場合、タッチパネルの操作によりゲームをコントロールできる場合には、コントローラ1は有していなくてもよい。
【0031】
かかる構成の情報処理装置10において、CPU21は、ゲームプログラム及び位置予測プログラム113の手順に従い、ゲーム処理を実行する。入力I/F28はCPU21からの指示に従いRAM23に記憶されているゲームのデータをメモリカード28aに保存させる。また、入力I/F28は、メモリカード28aに保存されている中断時のゲームのデータを読み出してRAM23に転送する処理を行う。
【0032】
なお、図1は機能に着目したブロック図を描いており、これらの機能ブロックで示した各部は、図3に一例を示すハードウェアによって実現可能である。例えば、図1の記憶部11の機能は、例えばROM22、RAM23、HDD24又はネットワークを介して情報処理装置10に接続されるクラウド上の記憶装置等により実現可能である。
【0033】
プレイヤによるコントローラ1やタッチパネル31を用いたゲーム操作を受け付ける受付部13の機能は、例えば入力I/F28により実現可能である。ゲーム実行部12、予測部14、判定部15及びサウンド処理部17の各機能は、例えば、ゲームプログラム又は位置予測プログラム113がCPU21に実行させる処理により実現可能である。
【0034】
グラフィック処理部16の機能は、例えばグラフィックカード25により実現可能である。表示部18の機能は、例えばディスプレイ29により実現可能である。音出力部19の機能は、例えばスピーカ30により実現可能である。
【0035】
通信部20の機能は、例えば通信I/F27により実現可能である。例えば記憶部11に記憶されたアクション予測条件テーブル111及び予測位置保存テーブル112の情報をクラウド上の記憶装置に記憶している場合、通信部20は、クラウド上の記憶装置から必要な情報を受信する。
【0036】
[位置予測処理]
次に、一実施形態に係る位置予測処理の一例について、図5を参照して説明する。図5は、一実施形態に係る位置予測処理の一例を示すフローチャートである。本処理が開始されると、受付部13は、コントローラ1を用いたユーザ操作を受け付け、予測部14は、受け付けたユーザ操作に基づきキャラクタのアクションを予測する(S10)。次に、受付部13は、変数nに1を設定する(S12)。
【0037】
次に、予測部14は、直前に予測されたアクションに基づきn/30秒後のキャラクタのアクションを予測する(S14)。ここでは、ユーザ操作の受付時刻から1/30秒後のキャラクタのアクションが予測される。
【0038】
次に、予測部14は、今回予測したアクションに基づき、n/30秒後のキャラクタの位置を予測する(S16)。ここでは、1/30秒後のキャラクタの位置が予測される。このとき、判定部15は、アクション予測条件テーブル111を参照して、ユーザ操作に応じて予測されるアクションの動作条件が定義されているかを判定する。ユーザ操作に応じて予測されるアクションの動作条件が定義されていると判定されると、予測部14は、定義されているアクションの動作条件に応じたキャラクタの位置を予測する。
【0039】
たとえば、図6は、敵キャラクタBaとユーザが操作するプレイヤキャラクタ(以下、「キャラクタBb」という。)とが描画されたゲームシーンの一例を示す。キャラクタBbは、オブジェクトOjの上部に一端が固定されたワイヤーを使って空中や建物間を飛びながら移動することができる。図6の例では、コントローラ1による右への移動操作に応じて、キャラクタBbは軌跡Fに従い右上へ移動する。
【0040】
かかるキャラクタのワイヤーを用いたアクション(以下、「ワイヤーアクション」という。)は、単純な等速直線運動や自由落下運動等ではなく、ワイヤーの伸縮に応じた特殊な動作であり、キャラクタBbが高速に移動する爽快感をユーザに与え、ゲームの趣向性を高めることができる。一方、ワイヤーアクションは、等速直線運動等のように単純計算によりキャラクタの位置を予測できない。そこで、本実施形態では、アクション予測条件テーブル111を参照して、ワイヤーアクション等の特定のアクションに応じて定義されるアクションの動作条件にしたがってキャラクタの位置を予測する。これにより、特定のアクションについて、ユーザ操作に応じたキャラクタの移動位置を正確に予測することができる。
【0041】
図5に戻り、予測部14は、S14において「ワイヤーの伸縮」操作によるアクションと予測すると、S16においてアクション予測条件テーブル111を参照して、予測した「ワイヤーの伸縮」のアクションについて定義される動作条件を特定する。そして、予測部14は、そのアクションの動作条件に基づき、ワイヤーの操作方向に応じてワイヤーの伸縮及びキャラクタの移動方向を算出する。これにより、予測部14は、1/30秒後のキャラクタBbの位置を予測する。。
【0042】
また、たとえば、予測部14は、ワイヤーがどの長さまで延びたら切れるのか等の情報が定義されたアクション予測条件テーブル111に基づき、ある動作でワイヤーが切れるまで延びたと判定したとする。この場合、S14では、予測部14は、直前のキャラクタの動作、つまり、ワイヤーが切れたときの動作をキャラクタのアクションとして予測し、予測されたワイヤーが切れたときのキャラクタのアクションに基づき1/30秒後のキャラクタの位置を予測する。
【0043】
この結果、図7に一例を示すように、予測したワイヤーアクションについて、現時点のキャラクタBbの位置(x、y)から1/30秒後のキャラクタBbの位置(x、y)を予測できる
図5に戻り、次に、予測部14は、予測した1/30秒後のキャラクタBbの位置(x、y)を受付時刻に関連付けて予測位置保存テーブル112に記憶する(S18)。図3の例では、ユーザ操作を受け付けた受付時刻「○○時△△分××秒」と受付時刻から1/30秒後のキャラクタBbの位置(x、y)が記憶されている。
【0044】
図5に戻り、次に、予測部14は、変数nに1を加算し(S20)、変数nが60よりも大きいかを判定する(S22)。変数nが60以下であると判定されると、S14に戻り、予測部14は、直前に予測されたアクションに基づきn/30秒後のキャラクタのアクションを予測する(S14)。図7の例では、位置(x、y)におけるキャラクタBbのアクションに基づき、受付時刻から2/30秒後、すなわち、直前のアクションから1/30秒後のキャラクタのアクションが予測される。予測したい位置は、予測位置保存テーブル112に保存される。図3の例では、予測位置保存テーブル112には、受付時刻「○○時△△分××秒」と1/30秒後のキャラクタBbの位置(x、y)とともに1/30秒後のキャラクタBbの位置(x、y)が記憶されている。
【0045】
図5に戻り、予測部14は、変数nに1を加算し(S20)、変数nが60以下であると判定されている間(S22)、S14~S22の処理を繰り返す。これにより、図7に示すように、直前のアクションから1/30秒のキャラクタの位置(x、y)~(x、y)・・・が判断され、順番に予測位置保存テーブル112に記憶される。
【0046】
S22において、変数nが60よりも大きいと判定されると、本処理を終了する。これにより、図7に示すように、ユーザ操作を受け付けてから、キャラクタがどの位置に動くのかを直前のアクションから所定時間間隔(本実施形態では1/30秒)で予測することを所定時間(本実施形態では2秒)が経過するまで繰り返す。これにより、図3に示すように、受付時刻から2秒後まで、1/30秒間隔毎に60個のキャラクタの位置が予測位置保存テーブル112に保存される。
【0047】
なお、S22において繰返し回数は60に限られず、可変に設定することができる。予測位置の精度と処理の負荷とのバランスを考慮して繰返し回数を設定することが好ましい。
【0048】
[攻撃処理]
以上に説明した位置予測処理において予測されたキャラクタの位置、すなわち、予測位置保存テーブル112に保存されたキャラクタの位置を用いて実行される攻撃処理の一例について、図8を参照して説明する。図8は、一実施形態に係る攻撃処理の一例を示すフローチャートである。
【0049】
本処理が開始されると、受付部13は、コントローラ1を用いたユーザ操作を受け付け(S30)、ゲーム実行部12は、ゲームプログラムを実行し、ユーザ操作を受け付けた受付時刻から所定時間経過後に攻撃を行うか否かを判定する(S32)。ゲーム実行部12は、受付時刻から所定時間経過後に攻撃を行わないと判定すると、本処理を終了する。一方、ゲーム実行部12は、受付時刻から所定時間経過後に攻撃を行うと判定すると、所定時間が経過したかを判定する(S34)。ゲーム実行部12は、所定時間が経過したと判定すると、予測位置保存テーブル112に保存されたキャラクタの予測位置のうち受付時刻から所定時間経過後のキャラクタの予測位置を特定し、予測位置を向かって攻撃する(S36)。攻撃後、本処理を終了する。
【0050】
図9は、図8のS36においてゲーム実行部12が、ユーザ操作の受付時刻から5/60秒後のキャラクタの予測位置(x、y)を特定し、敵キャラクタBaから、その予測位置(x、y)に攻撃を行う画像が表示されている。
【0051】
特定のアクションで移動するキャラクタに対して他のキャラクタ等から攻撃が行われる場合、実際に攻撃が加えられるまでには任意の時間がかかる。例えば、敵を捕まえる、敵を殴る等の行動に1秒~数秒又はそれ以上かかる場合がある。これに対して、以上に説明したように、本実施形態によれば、単純計算によりキャラクタの位置を予測できないワイヤーアクションのような特定のアクションの場合であっても、その特定のアクションの動作条件にしたがってキャラクタの位置を予測する。これにより、特定のアクションを行うキャラクタについて、1秒~数秒後にキャラクタがいる位置を正確に予測し、予測した位置に攻撃することができる。これにより、キャラクタBbへの攻撃が、キャラクタBbがいる位置と異なる位置に対して行われることを回避し、自然なアクションを描画できる。
【0052】
なお、本実施形態では、ワイヤーアクションを例に挙げて、特定のアクションの動作条件にしたがってキャラクタの位置を予測する方法について説明したが、これに限られない。例えば、アクション予測条件テーブル111には、キャラクタが装着するガス噴射器から噴射するガスの噴射量によりキャラクタのアクションの動作条件が定義されている。よって、ガスを噴射するアクションを特定のアクションとして、その動作条件に従いキャラクタの位置を予測してもよい。ガスを噴射するアクションとワイヤーアクションとの組合せや、その他の特定のアクションとの組合せに対応するそれぞれの動作条件に従いキャラクタの位置を予測してもよい。これによっても、特定のアクションの組合せについて、ユーザ操作に応じたキャラクタの移動位置を正確に予測することができる。これにより、特定のアクションを行うキャラクタへの攻撃等を正確に行うことができ、ゲームの一シーンをより自然に描画することができる。
【0053】
今回開示された一実施形態に係る情報処理装置、位置予測方法及び位置予測プログラムは、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0054】
例えば、予測位置保存テーブル112には、キャラクタの予測位置が1/30秒間隔で記憶されている。よって、例えば、1/30秒間隔よりも細かい間隔の時刻についてのキャラクタの位置は、その時刻の直前と直後の予測位置を使用して算出してもよい。例えば、受付時刻から1/30秒後と2/30秒後の中間の時刻についてのキャラクタの位置を算出する場合、1/30秒後の位置を示す(x、y)と2/30秒後の位置を示す(x、y)の平均値を算出することでキャラクタの予測位置を補完することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 情報処理装置
11 記憶部
12 ゲーム実行部
13 受付部
14 予測部
15 判定部
16 グラフィック処理部
17 サウンド処理部
111 アクション予測条件テーブル
112 予測位置保存テーブル
113 位置予測プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9