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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/13 20200101AFI20221111BHJP
【FI】
H05B47/13
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018151036
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020027713
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】北村 将章
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-022472(JP,A)
【文献】特開平02-170126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、操作部及び表示部を有する表面部が前記筐体の前方に突出するように露出する開状態と該表面部が前記筐体の内部に隠れる閉状態とに選択的に動作可能であると共に、前記閉状態で前記筐体の前面と面一になる壁面を有するように前記筐体の前面部に設けられた開閉式の操作装置とを備える加熱調理器であって、
不可視光を出力する発光部を有し、該発光部から出力される不可視光を、前記操作装置が開状態及び閉状態のうちの閉状態である場合に、該操作装置の表面部に入射させ得るように構成された投光装置と、
前記操作装置が閉状態である場合に、前記投光装置により該操作装置の表面部に入射される不可視光を受光し得るように該操作装置に搭載された光センサと、
前記光センサによる前記不可視光の受光の有無に応じて前記表示部の輝度を調整する表示輝度制御部とを備えることを特徴とする加熱調理器
【請求項2】
請求項1記載の加熱調理器において、
前記発光部が出力する不可視光は、所定パターンの不可視光であることを特徴とする加熱調理器
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の加熱調理器において、
前記表示輝度制御部は、前記不可視光の受光が有る場合には、前記表示部を消灯状態又は最低輝度の状態にするように構成されていることを特徴とする加熱調理器
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記操作部の表面部における照度を検出可能な照度センサをさらに含み、
前記表示輝度制御部は、前記不可視光の受光が無い場合には、前記照度センサにより検出された照度が低いほど、前記表示部の輝度を高くするように構成されていることを特徴とする加熱調理器
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記操作部の表面部における照度を検出可能な照度センサをさらに含み、
前記投光装置は、前記照度センサにより検出された照度が所定の閾値よりも低い状態であるときに、前記発光部から前記不可視光を出力するように構成されており、
前記表示輝度制御部は、前記光センサによる前記不可視光の受光の有無と前記照度センサにより検出された照度とに応じて前記表示部の輝度を調整するように構成されていることを特徴とする加熱調理器
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記発光部は前記操作装置の表面部に設けられており、前記投光装置は、前記発光部から出力される不可視光を該操作装置の外部に設けられたミラーにより前記光センサに向かって反射させるように構成されていることを特徴とする加熱調理器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式の操作装置を備える機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に見られるように、開閉カバーにより開閉される箇所に、周囲の照度を検出する照度センサを備えた操作装置が知られている。この操作装置では、照度センサにより検出される照度に基づいて、開閉カバーの開閉状態や、周囲の照度を認識し、これらに応じて操作装置に備えた表示部のバックライトの輝度を調整するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-202828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に見られる技術では、照度センサにより検出される照度の変化に基づいて、開閉カバーの開閉を検知するようにしている。しかるに、例えば、操作装置の周囲が暗い状況で、開閉カバーの開閉が行われた場合には、照度センサにより検出される照度の変化が生じないか、もしくはその変化が微小なものとなるため、開閉カバーの開閉が誤検知される虞がある。ひいては、表示部のバックライトの輝度調整に、開閉カバーの開閉状態が適切に反映されないという状況が発生しやすいという不都合がある。
【0005】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、開閉式の操作装置の開閉状態を適切に反映させて表示部の輝度を調整することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、上記の目的を達成するために、筐体と、操作部及び表示部を有する表面部が前記筐体の前方に突出するように露出する開状態と該表面部が前記筐体の内部に隠れる閉状態とに選択的に動作可能であると共に、前記閉状態で前記筐体の前面と面一になる壁面を有するように前記筐体の前面部に設けられた開閉式の操作装置とを備える加熱調理器であって、
不可視光を出力する発光部を有し、該発光部から出力される不可視光を、前記操作装置が開状態及び閉状態のうちの閉状態である場合に、該操作装置の表面部に入射させ得るように構成された投光装置と、
前記操作装置が閉状態である場合に、前記投光装置により該操作装置の表面部に入射される不可視光を受光し得るように該操作装置に搭載された光センサと、
前記光センサによる前記不可視光の受光の有無に応じて前記表示部の輝度を調整する表示輝度制御部とを備えることを特徴とする(第1発明)。
【0007】
なお、本発明において、前記不可視光は、可視光域から逸脱した波長(例えば赤外域、もしくは紫外域の波長)を有する光を意味する。
【0008】
上記第1発明によれば、前記投光装置の発光部から出力される不可視光は、前記操作装置が開状態及び閉状態のうちの閉状態である場合に、該操作装置の表面部に入射して、前記光センサにより受光される。このため、前記光センサが前記不可視光を受光し得る状態は、前記操作装置が閉状態であるとみなし得る。
【0009】
また、操作装置の開状態では、前記光センサは、発光部から出力される不可視光を受光しない。このため、前記光センサが発光部から出力される不可視光を受光しない状態は、前記操作装置の開状態であるとみなし得る。
【0010】
従って、前記表示部輝度制御部が、光センサによる前記不可視光の受光の有無に応じて前記表示部の輝度を調整することで、結果的に、該表示部の輝度は、操作装置の開閉状態に応じて調整されることとなる。
【0011】
よって、本発明によれば、開閉式の操作装置の開閉状態を適切に反映させて表示部の輝度を調整することができる。また、発光部から出力される不可視光は、視認できない光なので、操作装置の開閉時等に、ユーザが該不可視光に違和感を覚えたりするのを防止できる。
【0012】
上記第1発明では、前記発光部が出力する不可視光は、所定パターンの不可視光であることが好ましい(第2発明)。なお、前記所定パターンの不可視光というのは、より詳しくは、不可視光の強度、あるいは、周波数成分が所定のパターンで経時的に変化する不可視光、あるいは、不可視光の波長分布(スペクトル分布)が特徴的なパターンを有する不可視光を意味する。
【0013】
上記第2発明によれば、操作装置の開状態で、太陽光や照明の如き加熱調理器の外部の外光に含まれる不可視光が、前記発光部から出力される不可視光として誤検知されるのを高い信頼性で防止することが可能となる。ひいては、操作装置の開閉状態を、表示部の輝度調整に反映させることを高い信頼性で実現することが可能となる。
【0014】
上記第1発明又は第2発明では、前記表示輝度制御部は、前記不可視光の受光が有る場合には、前記表示部を消灯状態又は最低輝度の状態にするように構成されていることが好ましい(第3発明)。
【0015】
これによれば、ユーザが表示部を視認することを必要としていない状態である操作装置の閉状態において、表示部の電力消費を削減もしくは低減することができる。
【0016】
また、上記第1~第3発明では、前記操作部の表面部における照度を検出可能な照度センサをさらに含み、前記表示輝度制御部は、前記不可視光の受光が無い場合には、前記照度センサにより検出された照度が低いほど、前記表示部の輝度を高くするように構成されていることが好ましい(第4発明)。
【0017】
なお、第4発明において、照度センサにより検出された照度は、瞬時的な照度に限らず、ある時間幅の期間での平均的な照度であってもよく、あるいは、ある時間幅の期間での照度の代表値(例えば最大値、中央値)であってもよい。また、前記光センサは、前記照度センサとしての機能を併せもつものであってもよい。これらのことは、後述する第5発明でも同様である。
【0018】
上記第4発明によれば、操作装置の開状態においては、該操作装置の周囲が暗い場合に、表示部の輝度が高くなるので、該表示部に表示される情報を視認し易くなる。また、操作装置の周囲が明るい場合には、表示部の輝度が低くなるので、表示部の電力消費を低減することができる。
【0019】
上記第1~第4発明では、前記操作部の表面部における照度を検出可能な照度センサをさらに含み、前記投光装置は、前記照度センサにより検出された照度が所定の閾値よりも低い状態であるときに、前記発光部から前記不可視光を出力するように構成されており、前記表示輝度制御部は、前記光センサによる前記不可視光の受光の有無と前記照度センサにより検出された照度とに応じて前記表示部の輝度を調整するように構成されていることが好ましい(第5発明)。なお、第5発明を前記第4発明と組み合わせる場合には、第5発明における照度センサは、第4発明における照度センサと同じでよい。
【0020】
ここで、前記照度センサにより検出された照度が所定の閾値よりも高い状態は、操作装置の周囲が明るい状態であるので、操作装置が開状態になっているとみなし得る。そこで、第5発明では、前記投光装置を上記の如く構成することで、照度センサにより検出された照度が所定の閾値よりも高い状態では、前記発光部から前記所定パターンの光を出力しないようにした。これにより、投光装置の発光部の不必要な電力消費を削減することが可能となる。併せて、操作装置の開閉状態と、周囲の照度とを適切に反映させて表示部の輝度を調整することが可能となる。
【0021】
上記第1~第5発明では、前記発光部は前記操作装置の表面部に設けられており、前記投光装置は、前記発光部から出力される光を該操作装置の外部に設けられたミラーにより前記不可視光センサに向かって反射させるように構成されているという態様を採用し得る(第6発明)。
【0022】
これによれば、前記発光部が前記操作装置に備えられるので、該発光部を適宜、外部機器との通信信号の送信部として活用することが可能となる。なお、第6発明以外の本発明の加熱調理器では、前記発光部は、操作装置の外部に備えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1Aは本発明の一実施形態の加熱調理器としてのガスコンロを正面側から見た斜視図、図1Bは該ガスコンロの前部側の側面図。
図2】実施形態のガスコンロに備えた操作装置の表面部を示す図。
図3】実施形態の操作装置の制御に関する構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態を図1A図3を参照して以下に説明する。図1A及び図1Bを参照して、本実施形態で説明する加熱調理器は、例えばビルトイン型のガスコンロ1である。このガスコンロ1の上面部2(天面)には、複数(例えば3つ)のコンロバーナ3a,3b,3cが配置されていると共に、各コンロバーナ3a,3b,3cの周囲に五徳4a,4b,4cが設置されている。また、コンロ1の上面部2の下側の筐体5の内部には、図示を省略するグリル庫及びグリルバーナが備えられている。
【0025】
筐体5の前面部には、グリル庫を開閉するグリル扉6が備えられている。そして、筐体5の前面部のうち、グリル扉6の右側の箇所には、コンロバーナ3a,3b,3cのそれぞれの点火・消火及び火力調整を行うためのバーナ操作部7a,7b,7cと、コンロバーナ3a,3b,3cのそれぞれを使用した自動調理等の設定操作を行うための開閉式の操作装置8とが備えられている。また、筐体5の前面部のうち、グリル扉6の左側の箇所には、グリルバーナの点火・消火及び火力調整を行うためのバーナ操作部7dと、グリルバーナを使用した自動調理等の設定操作を行うための開閉式の操作装置9とが備えられている。
【0026】
バーナ操作部7a,7b,7c,7dのそれぞれは、押し操作と回転操作とを行い得る操作部であり、その押し操作によって、対応するバーナの点火又は消火が行われ、回転操作によって、対応するバーナの火力調整が行われる。
【0027】
操作装置8,9は、互いに同様の構造のものであり、以下に、操作装置8を代表的に説明する。操作装置8は、その上端側の表面部8a(図1Bを参照)が操作パネル面8aとなっており、該操作パネル面8aの前端縁と操作装置8の下端部との間の壁面8bが開閉用の押し操作面8bとなっている。そして、操作装置8は、その押し操作面8bの押し操作を行うことによって、該操作装置8の下端部を支点として、図1Bに矢印Y1で示すように揺動し得るように筐体5に取付けらており、その揺動により開閉する。
【0028】
図1Bに二点鎖線で示す操作装置8は、開状態の操作装置8を示しており、この開状態では、操作装置8のほぼ全体が筐体5の前方に突出した状態となって、操作パネル面8aが筐体5の前方側で露出した状態となる。
【0029】
また、図1Aに示す操作装置8及び図1Bに破線で示す操作装置8は、閉状態の操作装置8であり、この閉状態では、押し操作面8bが筐体5の前面とほぼ面一になるようにして露出する一方、該押し操作面8bを除く操作装置8のほぼ全体(操作パネル面8aを含む)が、筐体5の内部に隠れた状態になる。
【0030】
そして、操作パネル面8aには、図2に例示する如く、複数の操作スイッチからなる操作部10と、種々の情報を表示する表示部11とが備えられている。表示部11は、例えばバックライト付の液晶ディスプレイにより構成される。また、図示例の操作部10には、例えば、各コンロバーナ3a,3b,3cのタイマー運転を行うめたの操作スイッチ10a左右の各コンロバーナ3a,3cでの自動湯沸し運転を行うための操作スイッチ10b、左右の各コンロバーナ3a,3cでの自動調理運転を行うための操作スイッチ10c、後ろのコンロバーナ3bでの炊飯運転を行うための操作スイッチ10d、左右の各コンロバーナ3a,3cでの調理温度(天ぷらの油温度等)を設定するための操作スイッチ10e、左右の各コンロバーナ3a,3cでの高温調理を行うための操作スイッチ10f、各コンロバーナ3a,3b,3cでのタイマ時間もしくは調理温度等の設定数値を増減するための操作スイッチ10g、ガスコンロ1の種々の設定情報の変更等を行うための操作スイッチ10h、チャイルドロック用の操作スイッチ10iが含まれる。
【0031】
なお、操作部10の構成(該操作部10に備えられる操作子の種類、個数、レイアウト等)は、図示例の構成に限らず、他の構成であってもよい。また、表示部11の種類や個数も図示例のものと異なっていてもよい。
【0032】
図3に示すように、操作装置8には、さらに、光センサ15及び発光部16aと、表示部11及び発光部16aの作動制御を行う機能を有する制御装置18とが搭載されている。
【0033】
光センサ15は、不可視光域(例えば赤外域)を含む所定の波長域の光に対して感度を有し、該波長域の各波長成分の入射光の強度に応じた検出信号を出力する公知のセンサであり、操作パネル面8aの任意に設定された所定の位置に配置されている。この光センサ15が検出可能な光の波長域は、本実施形態では、不可視光域に加えて、可視光域を含んでいる。このため、該光センサ15は、操作パネル面8aでの照度照度センサとしての機能も併せもつ。なお、光センサ15が検出可能な光の波長域のうち、不可視光の波長域は、赤外域に限らず、紫外域を含んでいてもよい。
【0034】
発光部16aは、操作装置8が閉状態であるときに、光センサ15に所定パターンの不可視光(例えば赤外光)を入射させる投光装置16(図1Bに示す)の光源であり、LED等により構成される。本実施形態では、発光部16aは、操作パネル面8aの正面側に向かって不可視光を出力し得るように、操作パネル面8aの所定の位置、例えば光センサ15の近辺位置に配置されている。
【0035】
そして、投光装置16は、図1Bに示す如く、発光部16aから出力される不可視光を反射するミラー16bを備えている。このミラー16bは、操作装置8の閉状態にて、発光部16aの発光を行った場合に、図1Bの一点鎖線の矢印Y2で示す如く、発光部16aから出力される不可視光を光センサ15に向かって反射し得るように、閉状態の操作装置8の操作パネル面8aの正面側で筐体5内に固定配置されている。
【0036】
なお、筐体5の内面、あるいは、筐体5内に収容された部品に、発光部16aから出力される不可視光を光センサ15に反射し得る部分がある場合には、該部分をミラー16bとして利用することも可能である。あるいは、筐体5の内面、あるいは、筐体5内に収容される部品にミラー16bを形成してもよい。
【0037】
制御装置18は、マイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットより構成される。この制御装置18には、操作部10の操作信号と、光センサ15の検出信号とが入力される。より詳しくは、光センサ15の検出信号のうち、不可視光(例えば赤外光)の波長成分と、可視光域の波長成分とがそれぞれ図示しないフィルターを介して入力される。また、制御装置18は、ガスコンロ1の各コンロバーナ3a,3b,3c及びグリルバーナの燃焼運転の制御を行う制御装置(図示省略)と通信を行うことが可能である。
【0038】
そして、制御装置18は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の一方又は両方により実現される機能として、発光部16aの発光を制御する投光制御部18aと、表示部11の輝度(バックライトの発光輝度)を制御する表示輝度制御部18bと、表示部11で表示する情報を制御する表示情報制御部18cとしての機能を有する。なお、投光制御部18aは、投光装置16の構成要素としての機能である。
【0039】
補足すると、投光制御部18a、表示輝度制御部18b及び表示情報制御部18cは、各別の制御装置により構成されていてもよい。また、投光制御部18a、表示輝度制御部18b及び表示情報制御部18cのいずれかは、各コンロバーナ3a,3b,3c及びグリルバーナの燃焼運転の制御を行う制御装置に含まれていてもよい。
【0040】
次に、投光制御部18a及び表示輝度制御部18bの制御処理をより具体的に説明する。ガスコンロ1の電源が投入された後、投光制御部18a及び表示輝度制御部18bの制御処理が実行される。
【0041】
この場合、投光制御部18aは、光センサ15の出力(検出信号)に応じて、発光部16aの発光を制御する。具体的には、投光制御部18aは、所定の単位時間幅の期間の経過毎に、該期間内で、光センサ15の出力のうちの可視光域の波長成分から検出された照度(光センサ15に入射した可視光域の光の強度)の平均値(又は最大値)が所定の第1閾値よりも低い暗い照度であるか否かを判断する。
【0042】
そして、この判断結果が肯定的である場合(照度の平均値(又は最大値)<第1閾値である場合)には、投光制御部18aは、発光部16aを所定パターンで発光させるように(詳しくは、発光部16aから出力される不可視光の強度を所定の経時変化パターンで変化させるように)制御する。
【0043】
具体的には、本実施形態では、投光制御部18aは、例えば、発光部16aを、所定のパルス幅及び強度でパルス状に発光させることを所定の周期で繰り返すように、該発光部16aを通電制御する。
【0044】
ここで、操作装置8が閉状態になっている場合には、操作装置8は、筐体5内に収容された状態になるので、操作パネル面8aの周囲は暗いものとなる。このため、光センサ15の出力(可視光域の波長成分)から検出される照度の前記単位時間幅の期間毎の平均値(又は最大値)は、前記第1閾値よりも低いものとなる。ひいては、発光部16aが周期的にパルス状に発光するように制御される。
【0045】
また、操作装置8が開状態になっている場合であっても、ガスコンロ1の周囲の照明が暗い場合には、光センサ15の出力から検出される照度の、単位時間幅の期間毎の平均値(又は最大値)が前記第1閾値よりも低いものとなる場合がある。そして、この場合には、投光制御部18aは、操作装置8が閉状態である場合と同様に、発光部16aを周期的に発光させるように制御する。
【0046】
また、ガスコンロ1の周囲の照明が明るい状況で、操作装置8が開状態になっている場合には、単位時間幅の期間毎に光センサ15の出力から検出される照度の平均値(又は最大値)は、前記第1閾値以上の照度になる。この場合には、投光制御部18aは、光センサ15の出力からにより検出される照度の、単位時間幅の期間毎の平均値(又は最大値)が第1閾値よりも小さくなるまで、発光部16aを消灯状態に維持する。
【0047】
このように、投光制御部18aは、所定の単位時間幅の期間毎に、光センサ15の出力から検出される照度の平均値(又は最大値)が第1閾値よりも低いか否かを判断し、判断結果が肯定的である場合には、発光部16aを周期的に発光させるように制御する。また、該判断結果が否定的である場合には、投光制御部18aは、発光部16aを消灯状態にする。
【0048】
表示輝度制御部18bは、投光制御部18aによる上記の制御処理と並行して、光センサ15の出力(検出信号)のうちの不可視光(赤外光)の波長成分を逐次取得しつつ、該不可視光の強度が、投光制御部18aによる発光部16aの発光制御と同じ周期で、パルス状に増減するという現象が発生している否か、換言すれば、投光制御部18aの制御よって発光部16aから周期的に出力された不可視光を光センサ15が受光している状態(以降、パルス状発光の受光状態という)であるか否かを検知する。
【0049】
この場合、表示輝度制御部18bは、例えば、光センサ15の出力(不可視光の波長成分)から検出された不可視光の強度の時間的変化率に基づいて、あるいは、該不可視光の強度の検出値と所定の第2閾値との比較に基づいて、該不可視光の強度の検出値のパルス状の増減を検知する。そして、表示輝度制御部18bは、不可視光の強度の検出値のパルス状の増減が、投光制御部18aによる発光部16aの発光制御と同じ周期で所定回数、繰り返して検知された場合に、パルス状発光の受光状態を検知する。
【0050】
ここで、操作装置8の閉状態で、発光部16aの発光制御(周期的にパルス状に発光させる制御)が行われている場合には、該発光部16aから周期的に出力される光がミラー16bを介して光センサ15に入射するため、表示輝度制御部18bは、パルス状発光の受光状態を検知する。
【0051】
一方、操作装置8の開状態で、発光部16aの発光制御が行われている場合には、該発光部16aから周期的に出力される不可視光は、基本的には光センサ15に入射することなく、ガスコンロ1の周囲の空間(操作パネル面8aの正面方向の空間)に放射される。このため、表示輝度制御部18bは、パルス状発光の受光状態を検知しない。
【0052】
従って、表示輝度制御部18bにより、パルス状発光の受光状態が検知される状況は、操作装置8の閉状態であるとみなすことができ、また、パルス状発光の受光状態が検知されない状況は、操作装置8の開状態であるとみなすことができる。
【0053】
そして、操作装置8の閉状態は、ユーザが表示部11の表示を視認することを必要としない状況であるから、該表示部11のバックライトも必要としない状況である。また、操作装置8の開状態では、操作装置8の周囲が暗い状況(操作パネル面8aでの照度が低い状況)が表示部11のバックライトを必要とする状況であり、操作装置8の周囲が明るい状況(操作パネル面8aでの照度が高い状況)が表示部11のバックライトを必要としない状況である。
【0054】
そこで、表示輝度制御部18bは、パルス状発光の受光状態が検知される場合(操作装置8が閉状態であるとみなし得る場合)、あるいは、パルス状発光の受光状態が検知されず、且つ、光センサ15の出力(可視光域の波長成分)から検出される照度の、前記単位時間幅の期間毎の平均値が所定の第3閾値以上である場合(操作装置8が開状態であるとみなし得ると共に、操作装置8の周囲が明るい場合)に、表示部11のバックライトを消灯状態にする。これにより、表示部11での電力消費が低減される。上記第3閾値は、前記第1閾値と一致する値及び異なる値のいずれもでよい。
【0055】
なお、操作装置8が閉状態であるとみなし得る場合と、操作装置8が開状態であるとみなし得ると共に、操作装置8の周囲が明るい場合とのそれぞれの場合に、表示部11のバックライトを消灯状態にする代わりに、該バックライトの輝度を最低輝度にするようにしてもよい。この場合、操作装置8が閉状態であるとみなし得る場合のバックライトの最低輝度は、操作装置8が開状態であるとみなし得る場合のバックライトの最低輝度よりも小さいことが望ましい。
【0056】
一方、表示輝度制御部18bは、パルス状発光の受光状態が検知されず、且つ、光センサ15の出力から検出される照度の、前記単位時間幅の期間毎の平均値が前記第3閾値よりも低い場合(操作装置8が開状態であるとみなし得ると共に、操作装置8の周囲が暗い場合)には、表示部11のバックライトを点灯状態に制御する。これにより、操作装置8の周囲が暗い場合でも、表示部11の視認性を良好に確保することができる。
【0057】
なお、この場合、バックライトの輝度を、光センサ15の出力から検出される照度の平均値が低いほど、高くする(該照度の平均値が高いほど、低くする)ようにしてもよい。
【0058】
本実施形態では、以上説明した如く、投光制御部18a及び表示輝度制御部18bの制御処理が実行される。
【0059】
この場合、表示輝度制御部18bは、パルス状発光の受光状態が検知されるか否かによって、操作装置8が閉状態であるか開状態であるかを適正に認識できるので、該操作装置8の開閉状態と、操作装置8の周囲の照度とを適切に反映させて態様で表示部11の輝度を制御することができる。
【0060】
また、光センサ15の出力から検出される照度の、単位時間幅の期間毎の平均値(又は最大値)が前記第1閾値以上である場合には、発光部16aが消灯されるので、該発光部16aの電力消費を低減することができる。また、発光部16aから出力される不可視光は、視認できない光なので、操作装置8の開閉時等に、ユーザが該不可視光に違和感を覚えたりするのを防止できる。
【0061】
以上、操作装置8,9のうちの操作装置8に関して、代表的に説明したが、操作装置9についても同様である。
【0062】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に、他の実施形態をいくつか説明する。
【0063】
前記実施形態では、表示部11は、液晶ディスプレイであるが、本発明における操作装置の表示部は、液晶ディスプレイに限られない。該表示部は、例えば、LEDを使用した表示部、あるいは、有機ELディスプレイ等であってもよい。また、表示部は、報知ランプを含んでいてもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、光センサ15は、照度センサとしての機能を併せ持つものでるが、光センサ15とは別に照度センサを備えてもよい。この場合、光センサ15は、可視光域の波長成分に対する感度を持たないものであってもよい。
【0065】
また、前記実施形態では、発光部16aは、所定パターンの不可視光を発光させるための専用的な発光部として、操作装置8に搭載されているものを示した。ただし、発光部16aを、適宜、例えば、携帯端末等の外部機器との通信信号の送信部として活用することも可能である。
【0066】
また、発光部16aは、操作装置8に備える代わりに、例えば筐体5の内部に固定配置するようにしてもよい。そして、この場合、ミラー16bを省略してもよい。
【0067】
また、前記実施形態では、発光部16aから出力させる所定パターンの不可視光は、該不可視光の強度が周期的にパルス状に変化するもものであるが、発光部16aから出力させる不可視光のパターンは他のパターンであってもよい。例えば、発光部16aの不可視光は、その強度が三角波状、もしくは、正弦波状に経時的に変化するパターンの光であってもよい。
【0068】
また、例えば表示輝度制御部18bを、光センサ15が受光する不可視光の波長分布を検出し得るように構成した場合には、発光部16aの不可視光は、その周波数成分が所定のパターンで経時的に変化する不可視光であってもよい。
【0069】
さらに、表示輝度制御部18bを、光センサ15が受光する不可視光の波長分布を検出し得るように構成した場合には、発光部16aの不可視光は、その波長成分が、太陽光やガスコンロ1の周囲の照明では得られない特徴的な波長分布となる不可視光(例えば、単一波長の不可視光、離散的な複数の波長の不可視光の合成光、各波長成分の強度を表す波長分布の形状が三角波状等、特徴的な形状となる不可視光等)であってもよい。この場合、発光部16aの不可視光の各波長成分の強度は経時的に変化しなくてもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、本発明の加熱調理器の一例として、ガスコンロ1を例示したが、本発明の加熱調理器は、IHヒータ等のガスバーナ以外の加熱部を備えるものであってもよい。また、本発明の加熱調理器は、コンロ等の加熱調理器に限られない。
【符号の説明】
【0072】
1…ガスコンロ(加熱調理器)、8…操作装置、10…操作部、11…表示部、16…投光装置、16a…発光部、16b…ミラー、15…光センサ,照度センサ、18b…表示輝度制御部。
図1
図2
図3