(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】電気コネクターの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20221111BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20221111BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01R43/00 H
H01R11/01 501H
(21)【出願番号】P 2018151479
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】堀田 真司
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-023297(JP,A)
【文献】特開2008-234947(JP,A)
【文献】特開2009-140866(JP,A)
【文献】特開2007-026922(JP,A)
【文献】特開昭62-232805(JP,A)
【文献】特開2007-062139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01R 43/00
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、
複数の凸部が形成された成形型に
シリコーンゴム材料を導入し、前記
シリコーンゴム材料を硬化させ
てシリコーンゴムとし、前記成形型の各凸部に対応する貫通又は非貫通の穴部が第一面にそれぞれ形成された基材シートを作製する工程(A1-1)と、
前記穴部が非貫通の場合には、前記穴部の底を除去することにより、前記穴部を、第二面にも開口する貫通孔とする工程(A1-2)と、
前記穴部の各々の壁面に、電気めっきにより金属薄膜を形成し、前記穴部内に前記金属薄膜からなる貫通配線を形成する工程(B)と、を有
し、
前記基材シートの第二面に残膜が形成されており、前記工程(B)の前又は後に、切断用の刃又はレーザーを用いて前記残膜を除去するとともに前記基材シートの第二面を平面化する工程(C)と、
前記工程(C)で平面化した第二面を有する前記基材シートの第一面が第二面と平行となるように、切断用の刃又はレーザーを用いて平面化する工程(D)をさらに有する、電気コネクターの製造方法。
【請求項2】
第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、
成形型に
シリコーンゴム材料を導入し、前記
シリコーンゴム材料を硬化させて
シリコーンゴムシートを作製し、前記
シリコーンゴムシートの第一面から第二面に貫通する複数の穴部を形成し、基材シートを得る工程(A2)と、
前記穴部の各々の壁面に、電気めっきにより金属薄膜を形成し、前記穴部内に前記金属薄膜からなる貫通配線を形成する工程(B)と、を有
し、
前記基材シートの第二面に残膜が形成されており、前記工程(B)の前又は後に、切断用の刃又はレーザーを用いて前記残膜を除去するとともに前記基材シートの第二面を平面化する工程(C)と、
前記工程(C)で平面化した第二面を有する前記基材シートの第一面が第二面と平行となるように、切断用の刃又はレーザーを用いて平面化する工程(D)をさらに有する、電気コネクターの製造方法。
【請求項3】
前記工程(B)において、前記第二面に電気めっき用の電極を配置した状態で電気めっきする、請求項1
又は2に記載の電気コネクターの製造方法。
【請求項4】
前記金属薄膜を形成する金属が、金、銀、銅、ニッケル及びクロムから選択される1種以上である請求項1~
3の何れか一項に記載の電気コネクターの製造方法。
【請求項5】
前記工程(B)、前記工程(C)又は前記工程(D)の後で、前記基材シートの第一面又は第二面における前記穴部の少なくとも一つに、めっき処理を行い、前記穴部内の金属薄膜に接続され、前記穴部の上に突出する導電部を形成する工程(E)をさらに有する、請求項1~
4の何れか一項に記載の電気コネクターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子デバイス同士を接続するために、微細な電極同士を圧接により接続するコネクター(以下、電気コネクターという。)が用いられている。通常の電気コネクターはシート状であり、複数の導電部とその間を相互に絶縁する絶縁部とを有し、第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続する。
このような電気コネクターの製造方法として、特許文献1には、複数の導電線の向きを揃えて互いに絶縁を保って配線した複数のシートを、導電線の向きを一定にして積層し、得られた積層物の複数枚を、導電線の向きを揃えて、一定の角度で階段状に配列積層一体化してブロック体とし、得られたブロック体をスライス用基板面に接着し、該基板面に平行にかつ導電線を横切る平行な2面で切断して、目的の電気コネクターを得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子デバイスの小型化により接続端子同士のピッチが極めて狭くなっている。このため、電気コネクターには、隣接する配線同士のピッチを狭くすることが求められている。特許文献1の製造方法でピッチを狭めるためには、シートに配置する導電線を細くすることが求められる。しかし、シート上に導電線を配置する際には、導電線が弛まないように引張りの力をかけ続ける必要があり、導電線が細くなると、引張りによって断線してしまう問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、電気コネクター内で隣接する配線同士のピッチを狭くすることが可能な電気コネクターの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、複数の凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させ、前記成形型の各凸部に対応する貫通又は非貫通の穴部が第一面にそれぞれ形成された基材シートを作製する工程(A1-1)と、前記穴部が非貫通の場合には、前記穴部の底を除去することにより、前記穴部を、第二面にも開口する貫通孔とする工程(A1-2)と、前記穴部の各々の壁面に、電気めっきにより金属薄膜を形成し、前記穴部内に前記金属薄膜からなる貫通配線を形成する工程(B)と、を有する、電気コネクターの製造方法。
[2] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させてシートを作製し、前記シートの第一面から第二面に貫通する複数の穴部を形成し、基材シートを得る工程(A2)と、前記穴部の各々の壁面に、電気めっきにより金属薄膜を形成し、前記穴部内に前記金属薄膜からなる貫通配線を形成する工程(B)と、を有する、電気コネクターの製造方法。
[3] 第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であって、樹脂によって形成され、第一面から第二面に貫通する複数の穴部が形成された基材シートを準備し、前記穴部の各々の壁面に、電気めっきにより金属薄膜を形成し、前記穴部内に前記金属薄膜からなる貫通配線を形成する工程(B)と、を有する、電気コネクターの製造方法。
[4] 前記工程(B)において、前記第二面に電気めっき用の電極を配置した状態で電気めっきする、[1]~[3]の何れか一項に記載の電気コネクターの製造方法。
[5] 前記基材シートを構成する樹脂がエラストマーである、[1]~[4]の何れか一項に記載の電気コネクターの製造方法。
[6] 前記金属薄膜を形成する金属が、金、銀、銅、ニッケル及びクロムから選択される1種以上である[1]~[5]の何れか一項に記載の電気コネクターの製造方法。
[7] 前記基材シートの第二面に残膜が形成されており、前記工程(B)の前又は後に、前記残膜を除去するとともに前記基材シートの第二面を平面化する工程(C)をさらに有する、[1]又は[2]に記載の電気コネクターの製造方法。
[8] 前記工程(C)で平面化した第二面を有する前記基材シートの第一面が第二面と平行となるように平面化する工程(D)をさらに有する、[7]に記載の電気コネクターの製造方法。
[9] 前記工程(B)、前記工程(C)又は前記工程(D)の後で、前記基材シートの第一面又は第二面における前記穴部の少なくとも一つに、めっき処理を行い、前記穴部内の金属薄膜に接続され、前記穴部の上に突出する導電部を形成する工程(E)をさらに有する、[1]~[8]の何れか一項に記載の電気コネクターの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気コネクターの製造方法によれば、断線しやすい導電線を用いる必要がなく、電気めっきにより基材シートを貫通する配線を形成できるので、ピッチを狭くすることも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態の製造方法において電気コネクター10を製造する様子を示す断面図である。
【
図2】本発明の第二実施形態の製造方法において電気コネクター10を製造する様子を示す断面図である。
【
図3】電気コネクター10の両主面を整形する方法の一例を示す断面図である。
【
図4】電気コネクター10を厚さ方向に沿って切断した断面を拡大した断面図である。
【
図6】(a)電気コネクター10の変形例の第一面を見た上面図である。(b)電気コネクター10の他の変形例の第一面を上方から見た上面図である。
【
図7】電気コネクター10の第一面に凸部がある場合の断面図である。
【
図8】別の形態の電気コネクター10を厚さ方向に沿って切断した断面を拡大した断面図である。
【
図9】別の形態の電気コネクター10の斜視図である。
【
図10】電気コネクター10の各面に電子デバイスがそれぞれ1つずつ圧接された状態で接続された様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
本発明の電気コネクターの製造方法の第一実施形態は、第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であり、以下の工程(A1-1)および工程(B)を少なくとも有する。
工程(A1-1)は、複数の凸部が形成された成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させ、前記成形型の各凸部に対応する貫通又は非貫通の穴部が第一面にそれぞれ形成された基材シートを作製する工程である。
工程(A1-2)は、必要に応じて行う任意の工程であり、工程(A-1)得た基材シートの前記穴部が非貫通の場合に、前記穴部の底を除去することにより、前記穴部を、第二面にも開口する貫通孔とする工程である。
工程(B)は、前記穴部の各々の壁面に、電気めっきにより金属薄膜を形成し、前記穴部内に前記金属薄膜からなる貫通配線を形成する工程である。
以下、図面を参照して実施形態の一例を説明する。
【0010】
[成形型K]
図1(a)に示す成形型Kを準備する。成形型Kの表面には、凹部Nと、凹部N内に配置された複数の円柱状の凸部Mが形成されている。
凹部Nの周縁の形状は、大まかには電気コネクター10の外形に相当する。図示例では上方に開口した扁平な直方体の空間である凹部Nが成形型K内の表面に形成されている。凹部Nは、電気コネクター10が有する絶縁部6を形成する空間であり、凹部Nの形状が反映された基材シート1を有する電気コネクター10を形成することができる。
凸部Mの各々の断面形状や配置は、電気コネクター10が有する貫通配線3である導電部5の各々の断面形状や配置に相当する。
各凸部Mの高さは、凹部Nの深さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。つまり、凸部Mの先端の位置は、成形型Kの表面Kaと面一であってもよいし、表面Kaよりも低い位置(即ち、凹部Nの内部)にあってもよいし、表面Kaよりも高い位置(即ち、凹部Nの外部であって上方)にあってもよい。図示例では、各凸部Mの高さ位置は成形型Kの表面Kaと面一である。
【0011】
[工程(A1-1)]
まず、成形型Kの表面Kaに、樹脂又は樹脂前駆体を含む液状の樹脂材料Lを塗布する。樹脂材料Lは、絶縁部6を形成する絶縁性材料である。塗布により樹脂材料Lは凹部N内に導入される。この際、凹部Nに入り切らない余剰の樹脂材料Lは成形型Kの表面Kaに溢れる。樹脂材料Lの凹部N内への導入を促進するために、真空処理、スキージによる押し込み等を行ってもよい。
【0012】
次に、
図1(b)に示すように、成形型Kの各凹部N内に充填した樹脂材料Lを硬化させ、成形型K内に基材シート1を形成する。この際、凹部N内に入らずに溢れた樹脂材料Lが、基材シート1の一方の主面(第二面)を覆う残膜Rになる。
図1(c)に示すように、成形型Kから脱型した基材シート1の第一面1aには、成形型Kの凸部Mに対応する複数の穴部2が形成されている。
【0013】
図示例では、穴部2は非貫通孔であるが、貫通孔として穴部2を形成してもよい。例えば、成形型Kの凸部Mの高さが凹部Nの深さよりも充分に高く、成形型Kの表面に塗布した樹脂材料Lの表面から凸部Mの先端が突出する場合、基材シート1の穴部2は貫通孔となる。脱型した基材シート1が有する穴部2が貫通孔である場合、次の工程(A1-2)をスキップして工程(B)に進んでよい。
【0014】
[工程(A1-2)]
基材シート1の第二面1bを覆う残膜Rは、非貫通の穴部2の底部を形成している。残膜Rを除去することにより、穴部2を貫通孔にすることができる。
残膜Rを除去する方法として、例えば、一般的な基板の表面を切削又は研磨する接触式の公知方法、レーザ加工、プラズマ処理等の非接触式の公知方法が挙げられる。また、後述する支持台を用いる方法により、第一面1aと第二面1bをそれぞれ平面化するとともに、両面を平行化する方法も好適である。
【0015】
[工程(B)]
次に、
図1(d)~(e)に示すように、基材シート1の第二面1bに電気めっき用の平板電極Eを密着させた状態で、図示しない電気めっき槽に基材シート1及び平板電極Eを浸漬し、常法により電気めっきする。基材シート1を貫通する穴部2の壁面に所望の厚さの金属薄膜を形成し、この金属薄膜が穴部2内において基材シート1を貫通する貫通配線3を形成したのち、電気めっきを終了する。平板電極Eを第二面1bから外して、貫通配線3が導電部5を構成した目的の電気コネクター10が得られる(
図1(f))。
得られた電気コネクター10において、第一面1aには各導電部5の一方の端部が露出し、第二面1bには各導電部5の他方の端部が露出し、各導電部5は電気コネクター10の厚さ方向に貫通する貫通配線3を形成している。
【0016】
<第二実施形態>
本発明の電気コネクターの製造方法の第二実施形態は、第一電子デバイスの接続端子と、第二電子デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するための電気コネクターの製造方法であり、以下の工程(A2)および工程(B)を少なくとも有する。
工程(A2)は、成形型に樹脂又は樹脂前駆体を含む樹脂材料を導入し、前記樹脂材料を硬化させてシートを作製し、前記シートの第一面から第二面に貫通する複数の穴部を形成し、基材シートを得る工程である。
工程(B)は、前記穴部の各々の壁面に、電気めっきにより金属薄膜を形成し、前記穴部内に前記金属薄膜からなる貫通配線を形成する工程である。
以下、図面を参照して実施形態の一例を説明する。
【0017】
[工程(A2)]
まず、
図2(a)に示すように、作製する電気コネクター10の外形に対応する凹部Uが形成された成形型Wの表面に、樹脂又は樹脂前駆体を含む液状の樹脂材料Lを塗布する。この際、凹部Uに入り切らない余剰の樹脂材料Lは成形型Wの表面に溢れる。
【0018】
次に、
図2(b)に示すように、成形型Wの凹部U内に充填した樹脂材料Lを硬化させ、成形型W内にシートαを形成する。この際、凹部U内に入らずに溢れた樹脂材料Lが、シートαの一方の主面(第二面)を覆う残膜Rになる。
続いて、
図2(c)に示すように、成形型Wから脱型したシートαの厚さ方向に貫通する複数の穴部2を形成することにより基材シート1を得る。基材シート1における各穴部2の配置は作製する電気コネクター10が有する導電部5の配置に対応している。穴部2を形成する方法は特に制限されず、例えば、ドリル掘削、レーザ加工等の樹脂シートに貫通孔を形成する公知方法が適用される。
【0019】
[工程(B)]
次に、
図2(d)に示すように、基材シート1の第二面1bに電気めっき用の平板電極Eを密着させた状態で、図示しない電気めっき槽に基材シート1及び平板電極Eを浸漬し、常法により電気めっきする。基材シート1を貫通する穴部2の壁面に所望の厚さの金属薄膜を形成し、この金属薄膜が穴部2内において基材シート1を貫通する貫通配線3を形成したのち、電気めっきを終了する。
【0020】
続いて、
図2(e)に示すように、平板電極Eを第二面1bから外した後、基材シート1の第二面1bに残る残膜Rを除去する。残膜Rの除去方法は第一実施形態と同様に行うことができる。
本実施形態では、残膜Rの除去を貫通配線3の形成後に行ったが、残膜Rの除去の時期はこれに限定されず、成形型Wから脱型した直後でもよいし、残膜Rを除去せずに完成としてもよい。
【0021】
以上の工程を経て、貫通配線3が導電部5を構成した目的の電気コネクター10が得られる(
図2(f))。
【0022】
[工程(C),工程(D);電気コネクターの主面の整形]
各実施形態の成形型から脱型した直後の基材シート1、又は導電部5を形成した後の基材シート1について、基材シート1の第二面1bに残る残膜Rを除去し、第一面1aを第二面1bと平行にする好適な方法として以下に例示する方法が挙げられる。以下の図では導電部5を形成した後の基材シート1の残膜Rを除去する場合を示すが、脱型した直後の導電部5が形成されていない基材シート1についても同様に行うことができる。
【0023】
まず、
図3(a)に示すように、基材シート1の第二面1bに残る残膜Rを、支持台が有する平らな支持面Sに密着させて固定する。残膜Rの厚さは不均一である場合があり、図では紙面右側に向かって残膜Rが厚くなることを強調して描いている。
次に、支持面Sと平行に切断用の刃又はレーザを動かして、残膜Rを含まないように、且つ、残膜Rと第二面1bの境界になるべく近い位置(例えば図の破線C1で示す位置)で基材シート1を切断し、平面化された新たな第二面1bを形成する。
【0024】
ここで
図3(b)に示すように、切り出した電気コネクター10の第一面1aと第二面1bは、この段階では非平行であっても構わない。
さらに、
図3(c)に示すように、電気コネクター10の新たな第二面1bを、支持台が有する平らな支持面Sに密着させて固定する。再び、支持面Sと平行に切断用の刃又はレーザを動かして、元の第一面1aを残さないように、且つ、元の第一面1aになるべく近い位置(例えば図の破線C2で示す位置)で電気コネクター10を切断し、平面化された新たな第一面1aを形成する。
【0025】
図3(d)に示すように、切り出した電気コネクター10の第一面1aと第二面1bは、この段階で平行になっている。また、第一面1a及び第二面1bに対する各導電部5の第一端部と第二端部を結ぶ直線のなす角度は、残膜Rの厚さの不均一さに起因して、残膜Rを切除する前と後で変化している。図示した例では、導電部5は、元の第一面1aに対しては垂直であるが、新たな第一面1aに対しては傾いている。導電部5の傾きは、通常の用途では問題にならない。
【0026】
以上で説明した電気コネクター10の各面の整形方法によれば、残膜Rを容易に切除でき、平滑で互いに平行な第一面1a及び第二面1bを形成し、導電部5の第一端部及び第二端部がそれぞれ第一面1a及び第二面1bに露出した、厚さが薄い電気コネクター10を容易に得ることができる。
【0027】
<第三実施形態>
以上で説明した第一実施形態および第二実施形態では、成形型を用いて基材シート1を作製した。本発明の製造方法において、基材シート1を作製する工程は必ずしも必須ではなく、穴部2が形成された基材シート1を何らかの方法(例えば第三者から購入する方法)等によって準備して、工程(B)以降を第一実施形態および第二実施形態と同様に実施することにより、電気コネクター10を製造してもよい。
【0028】
[工程(E)]
以上で説明した第一実施形態~第三実施形態において、工程(B)、工程(C)又は工程(D)の後で、すなわち基材シート1の穴部2の中に導電部5を形成した後で、工程(E)を有していてもよい。
工程(E)は、基材シート1の第一面1a又は第二面1bにおける穴部2の少なくとも一つに、めっき処理を行い、穴部2内の導電部5に接続され、穴部2の上に突出する導電部(導電性突出部)を形成する工程である。
【0029】
基材シート1の第一面1a及び第二面1bの少なくとも一方に露出した、穴部2内の導電部5の端部をめっき処理する方法は特に限定されず、公知の電解めっき法、無電解めっき法を適用できる。めっきを形成する金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル及びクロムから任意に選択される1種以上が好ましい。
導電部5の端部に形成しためっき部を、必要に応じてレーザ加工、切削、ケミカルエッチング等で整形することにより、所望の形状の導電性突出部を形成することができる。
【0030】
[工程(F)]
以上で説明した第一実施形態~第三実施形態において、工程(B)、工程(C)又は工程(D)の後で、すなわち基材シート1の穴部2の中に導電部5を形成した後で、工程(F)を有していてもよい。
工程(F)は、導電性粒子と、樹脂又は樹脂前駆体とを含む導電性樹脂材料を、基材シート1の第一面1a又は第二面1bにおける穴部2の少なくとも一つを覆うように塗布し、穴部2内の導電部5に接続され、穴部2の上に突出する導電部(導電性突出部)を形成する工程である。前記導電性粒子は、強磁性体を含むものであってもよいし、強磁性体を含まないものであってもよい。導電性樹脂材料の導電性粒子が強磁性体を含む場合、導電性樹脂材料を硬化させる前に磁場を作用させて、基材シート1の面方向又は厚さ方向に導電性粒子を配列させる処理を行ってもよい。
【0031】
導電性樹脂材料としては、公知の導電性粒子を含む樹脂組成物が適用される。例えば、特開平11-154550号公報に記載の樹脂組成物が挙げられる。導電性樹脂材料を構成する樹脂は、シリコーンゴムやウレタンゴム等のエラストマーを適用することが好ましい。エラストマーを含む導電性突出部は可撓性を有するので、電子デバイスに対する接続性に優れ、繰り返しの使用に耐える耐久性にも優れる。
導電性樹脂材料を基材シート1の第一面1a又は第二面1bに塗布する方法として、任意の位置のみに任意の量で塗布することが可能な、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等の印刷法が好ましい。印刷法を用いれば、任意のパターン形状で配置された導電性突出部を容易に形成することができる。
塗布した導電性樹脂材料を乾燥、加熱又は光照射等の公知方法により硬化させて、必要に応じてレーザ加工、切削、ケミカルエッチング等で整形することにより、所望の形状の導電性突出部を形成することができる。
【0032】
[電気めっきの方法]
各実施形態の製造方法において、電気めっきにより基材シート1の穴部2の壁面に金属薄膜を形成し、さらに貫通配線を形成する方法は、樹脂に対する公知の電気めっき法が適用される。好適な方法として、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、まず、無電解めっきの触媒となる金属イオンを予め穴部2の壁面に担持させ、次いで無電解めっきにより、めっき膜を形成した後、電気めっきにより所望の厚みの金属薄膜を形成する方法である。無電解めっきにより下地の金属薄膜を形成した後、電気めっきにより重ねて金属薄膜を形成することにより、穴部2の壁面に対する密着性が高い貫通配線を形成することができる。穴部2内に形成する貫通配線は中実でもよいし、中空でもよい。前記貫通配線が中空である場合、穴部2の壁面に形成する金属薄膜の厚さとしては、例えば、0.1μm~10μmが挙げられる。
【0033】
穴部2の壁面に前記金属イオンを担持させる方法としては、例えば、基材シート1を金属イオンが含まれた溶液に浸漬して、穴部2内に前記溶液を流入させて、金属イオンを壁面に接触させる方法が挙げられる。穴部2の壁面に金属イオンが吸着しやすくなるように、アルカリ溶液等によって壁面を粗面化したり、金属イオンを吸着する又は金属イオンを含む有機層を壁面に形成したりしてもよい。
【0034】
具体的な電気めっき方法としては、例えば、特許第6011841号公報に開示された、樹脂に対する電気めっき方法が挙げられる。同公報では、(1)蔗糖の存在下で金属塩を還元することにより形成される金属コロイドを樹脂基材に吸着させることで、蔗糖由来化合物で被覆された金属微粒子を当該基材に吸着させ、(2)樹脂表面に吸着された金属微粒子を被覆する蔗糖由来化合物層に対し、オゾン、過酸化水素、又はアルカリ水溶液による処理を行った後、シランカップリング剤で処理することにより、樹脂表面に接着促進層を形成させ、(3)無電解めっきにより樹脂表面に設けた接着促進層表面に下地の金属薄膜を形成させ、その後、(4)電気めっきにより銅薄膜を作製する方法を開示している。
本発明においてもこのような電気めっき方法が適用できる。
【0035】
金属薄膜を構成する金属の種類としては、電気めっきにより金属薄膜を形成可能な金属であれば特に制限されず、例えば、金、銀、銅、ニッケル及びクロムから任意に選択される1種以上が好ましい。
【0036】
電気めっきにより、穴部2だけでなく、基材シート1の第一面1a及び第二面1bにも金属薄膜が形成される場合には、各穴部2における貫通配線同士の絶縁性を保つために、電気めっき後に第一面1a及び第二面1bに形成された金属薄膜を除去することが好ましい。具体的な除去方法としては、例えば、一般的な基板の表面を切削又は研磨する接触式の公知方法、レーザ加工、プラズマ処理等の非接触式の公知方法が挙げられる。また、穴部2内の貫通配線が侵食されないように保護マスクを施したうえで化学的なエッチングにより第一面1a及び第二面1bの金属薄膜を除去してもよい。さらに、前述した主面の整形方法により金属薄膜を除去してもよい。
【0037】
[樹脂又は樹脂前駆体]
樹脂材料Lに含まれる樹脂又は樹脂前駆体は、基材シート1の絶縁部6を構成する主材料である。樹脂前駆体は、樹脂を形成する化合物であり、例えば重合反応により樹脂を形成するモノマーが挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、光重合性樹脂、熱重合性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂、触媒重合性樹脂等の公知の硬化性樹脂が挙げられる。
【0038】
可撓性を有する電気コネクター10を製造する観点から、樹脂材料Lの前記樹脂は、エラストマーであることが好ましい。
前記エラストマーとしては、例えば、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらの中でも、成形型から取り出した後の寸法変化が小さく、成形型から取り出した後の反りが生じ難く、圧縮永久歪が小さく、耐熱性が高い、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、縮合型、付加型のいずれでもよい。
【0039】
各実施形態で用いられる樹脂材料には、前述した樹脂又は樹脂前駆体の他に、従来の電気コネクターの基材に添加される任意の物質、例えば樹脂前駆体の重合を促す触媒、樹脂同士の架橋を促す架橋剤、抗酸化剤、染料、顔料、充填剤、レベリング剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は、樹脂材料の総質量に対して例えば0~5質量%程度で含有され得る。また、成形型に対する樹脂材料の塗工性を向上させるために、樹脂材料に希釈溶剤を添加してもよい。
【0040】
<電気コネクターの形態(1)>
本発明によって製造される一例の電気コネクター10は、
図4及び
図5に示すように、基材シート1を備える。基材シート1は、第一面1aとこれに対向する第二面1bを有する。基材シート1は複数の導電部5と絶縁部6とを備え、導電部5が島部分で、絶縁部6が海部分である海島構造を形成している。各導電部5は、第一面1aから第二面1bへ貫通する配線を形成し、第一面1aに露出する第一端部5aと、第二面1bに露出する第二端部5bを有する。各導電部5は互いに独立し、絶縁部6によって互いの絶縁性が保たれている。電気コネクター10の可撓性を重視する場合には、絶縁部6の全質量のうち少なくとも70質量%がエラストマーによって形成されることが好ましい。
【0041】
電気コネクター10は、矩形のシート状であり、その長手方向をX方向、その短手方向をY方向、その第一面1aに対する垂線方向(すなわちシートの厚さ方向)をZ方向とする。
電気コネクター10の平面視の形状は矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形、その他の任意の形状が採用できる。
電気コネクター10の縦×横のサイズは特に限定されず、例えば、1mm×1mm~10cm×10cmとすることができる。
電気コネクター10の厚さは、例えば、50μm以上500μm以下とすることができる。
電気コネクター10の形態、サイズ、厚さ等は、第一面1a及び第二面1bにそれぞれ接続する電子デバイスの形状や端子の配置に合わせて適宜設定される。
【0042】
(導電部5)
電気コネクター10の導電部5は、海島構造のうちの島部分であり、海部分によって互いに独立化された複数の円柱状の導電性部分である。各導電部5は電気コネクター10の基材シート1を貫通しているので、各導電部5の第一端部は、電気コネクター10の第一面1aに露出し、反対側の第二端部は、第二面1bに露出している。各導電部5は、X方向及びY方向に沿って一定のピッチで配置されている。
図示した例では導電部5を構成する貫通配線が中実の円柱状である場合を描いているが、貫通配線は中空の円筒状であってもよい。導電部5が中空の円筒状の場合は、中空部に可撓性の樹脂又は樹脂前駆体を埋設しても良い。前記樹脂又は樹脂前駆体としては、導電性を有しているものが好ましい。
【0043】
導電部5の外枠である穴部2の形状は、柱状であることが好ましい。穴部2をXY平面で切断した断面形状は、例えば、円形、楕円形、四角形、その他の多角形等が挙げられる。穴部2の第一面1aに露出する第一端部の前記断面形状と、第二面1bに露出する第二端部の前記断面形状は、互いに同じでもよく、異なってもよいが、電子デバイスに対する接続安定性の観点から同じであることが好ましい。
【0044】
柱状の穴部2の中心軸の軸線は、第一面1a及び第二面1bに対して、垂直でもよいし、傾いていてもよい。
【0045】
個々の穴部2の各面に露出する端部の大きさQは、前記端部を含む最小円の直径である。前記直径は、導電部5の抵抗を低減する観点と、接続する電子デバイスにおける端子の狭いピッチに対応する観点とから、例えば、1μm~100μmが好ましく、3μm~50μmがより好ましく、5μm~25μmがさらに好ましい。単一の穴部2の各面に露出する2つの端部の大きさQは、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
前記直径は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定することができる。
【0046】
柱状の穴部2の(大きさQ:高さH)で表されるアスペクト比は、1:5~1:30が好ましく、1:8.5~1:25.5がより好ましい。
上記範囲の下限値以上であると隣接する導電部5間のピッチを狭くすることができる。
上記範囲の上限値以下であると導電部5の機械的強度を高め、外部からの応力を受けた場合に断線することを防止でき、かつ抵抗値を低減することができる。
個々の大きさQ及び高さH(電気コネクター10の厚さ方向の長さ)は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段を用いて、測定することができる。
【0047】
第一面1a及び第二面1bの各面に露出する穴部2の互いに隣接する端部同士のピッチPは、個々の端部を含む各最小円同士の中心間距離である。このピッチPは、接続する電子デバイスの端子の配置に応じて任意に設定される。導電部5の配置は、電気コネクター10の製造時に任意の位置に形成することが可能な、穴部2の配置に対応している。
【0048】
電気コネクター10の第一面1a及び第二面1bにおける穴部2の配置は、X列×Y行の2次元アレイ状の配置である。穴部2の配置はこの例に限定されず、任意の配置パターンが採用される。X列×Y行において、例えば、X,Yはそれぞれ独立に10~1000の任意の整数とすることができる。配置パターンは、2次元アレイ状でもよく、ジグザグ状でもよく、その他の任意のパターンでもよく、無作為なランダム配置でもよい。
【0049】
穴部2に中実に形成された導電部5の配置の他の例として、上面視矩形の電気コネクターにおいて、
図6に示すように(a)X列×Y行の2次元アレイを基礎として、さらに任意の導電部5が絶縁部6によって埋められた配置、(b)端部の大きさQが異なる2種類の導電部5が備えられ、大きい導電部5が3つの隅に位置し、残る領域に小さい導電部5が複数配置されている配置等が挙げられる。
【0050】
(絶縁部6)
電気コネクター10の絶縁部6は、海島構造のうちの海部分であり、絶縁部分である。
絶縁部6のZ方向の長さは、基材シート1の厚さと同様であり25μm以上750μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましい。
前記長さが前記下限値以上であれば、電気コネクター10の機械的強度が高くなる。前記長さが前記上限値以下であれば、電気コネクター10の可撓性がより高くなり、薄型化が求められる電子機器の内部に容易に実装することができる。
【0051】
絶縁部6の全質量に対するエラストマーの含有量は、70~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%がさらに好ましい。
前記含有量が70質量%以上であることにより、電気コネクター10の可撓性が充分に高まる。
【0052】
電気コネクター10の厚さは必ずしも一定でなくてもよい。例えば
図7に示すように、導電部5及び絶縁部6のうち少なくとも一方の一部が他部よりも厚く形成されていてもよい。このような凸部を有すると、電子デバイス側の陥没電極に対して電気コネクター10の前記凸部を嵌め込み、接続することができる。逆に、導電部5及び絶縁部6のうち少なくとも一方の一部が他部よりも薄く形成されていてもよい。このような凹部を有すると、電子デバイス側の突出電極に対して電気コネクター10の前記凹部を嵌め込み、接続することができる。
【0053】
<電気コネクターの形態(2)>
以上で説明した形態(1)の他、工程(E)又は工程(F)によって形成した導電性突出部を備えた形態(2)も挙げられる。形態(2)を
図8、
図9に示す。
電気コネクター10が有する個々の導電性突出部8の平面視の形状は特に制限されず、任意の形状が適用できる。例えば、四角形、円形、楕円形、その他の多角形等が挙げられる。各々の導電性突出部8の平面視の形状は、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。図示例の導電性突出部8は、平面視正方形の直方体形状である。
電気コネクター10が有する単一の導電性突出部8は、基材シート1内にある単一の導電部5に接続してもよいし、複数の導電部5に接続していてもよい。図示例の単一の導電性突出部8は、単一の導電部5に接続している。
【0054】
電気コネクター10が有する個々の導電性突出部8の平面視の大きさQは特に限定されず、接続する電子デバイスが有する電極の形状に合わせて適宜設定できる。ここで、大きさQは、単一の導電性突出部8の平面視の形状を含む最小円の直径とする。前記直径は、導電性突出部8の抵抗を低減する観点と、接続する電子デバイスにおける端子の狭いピッチに対応する観点とから、例えば、1μm~100μmが好ましく、3μm~50μmがより好ましく、5μm~25μmがさらに好ましい。
前記直径は、測定顕微鏡等の公知の微細構造観察手段によって測定することができる。
電子デバイスに対する接続性をより一層向上させる観点から、導電性突出部8の平面視の大きさQは、その導電性突出部8に接続した導電部5の端部の大きさよりも大きいことが好ましい。
【0055】
導電性突出部8の第一面1aからの高さhは特に制限されず、例えば、1μm~50μmが挙げられる。各々の導電性突出部8の高さhは、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
導電性突出部8の高さhは、
図8に示すように、電気コネクター10の厚さ方向の断面を公知方法により撮像した画像から求められる。上述の導電性突出部8の高さhは、例えば、10個以上、好ましくは30個以上の導電性突出部8が写った断面の画像から、無作為に選択した5個以上、好ましくは10個以上の導電性突出部8の高さを画像処理により得て算出した平均値であることが好ましい。
【0056】
本形態(2)の電気コネクター10は、第一面1a側及び第二面1b側の少なくとも一方に突出した導電性突出部8を有するので、電子デバイスの電極に対する接続性が向上している。また、導電性突出部8がエラストマーを含む場合には、可撓性を有するので、電子デバイスの電極及び導電部5に対する接続性が高まり、繰り返しの使用における耐久性にも優れる。
【0057】
[電気コネクターの使用方法]
本発明によって製造された電気コネクター10の用途としては、公知の電気コネクターと同じ用途が挙げられる。電子デバイスの端子の導通試験を行う検査用途の他、例えば、電子機器内に備えられた複数の電子デバイス(例えば回路基板)同士を接続する等のいわゆる実装用途にも適用できる。
複数の電子デバイス同士を、電気コネクター10を介して接続した様子の一例を
図8に示す。各電子デバイスは電気コネクター10に対して圧接されている。本例において、第一電子デバイスD1が有する複数の端子T1は電気コネクター10の第一面1aに露出する導電部5の何れかに接触している。第二電子デバイスD2が有する複数の端子T2は電気コネクター10の第二面1bに露出する導電部5の何れかに接触している。各電子デバイスの目的の端子が接続されるのであれば、電気コネクター10の導電部5の全てが各電子デバイスの端子に接触している必要はない。
【0058】
電気コネクター10の基材シート1がエラストマーを含んでいる場合、電気コネクター10は可撓性を有し、弾性変形するので、電子デバイスへの設置および取り外しが比較的容易であり、電子デバイスの端子の破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…基材シート、2…穴部、5…導電部、6…絶縁部、8…導電性突出部、10…電気コネクター、D1…第一電子デバイス、D2…第二電子デバイス、K…成形型、M…凸部、N…凹部、L…樹脂材料、R…残膜、S…支持面、T1…端子、T2…端子、U…凹部、W…成形型