(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-10
(45)【発行日】2022-11-18
(54)【発明の名称】シャワーフック
(51)【国際特許分類】
E03C 1/06 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
E03C1/06
(21)【出願番号】P 2018163152
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】西澤 研一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】白石 明遠
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-091564(JP,U)
【文献】実開平02-033861(JP,U)
【文献】実開平01-137370(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0067902(US,A1)
【文献】特開2002-097686(JP,A)
【文献】特開2002-220861(JP,A)
【文献】特開2003-129537(JP,A)
【文献】実開昭61-149586(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/04-1/06
A47K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドを挿入する挿入孔を備え、前記挿入孔に前記シャワーヘッドを挿入するとともに掛止して着脱可能に保持するヘッドホルダ部と、
前記ヘッドホルダ部に一体に設けられ、
横方向に延設されたシャワーバーの任意の位置に、前記シャワーバーを抱持して着脱可能に固定するためのバー取付固定部と、
を備え
、
前記バー取付固定部が、
前記ヘッドホルダ部の後端側で上端側に接続して設けられ、
前記横方向に延びる回動軸を有するヒンジと、
前記ヒンジによって前記回動軸周りに回動可能に設けられ、前記シャワーバーを上方から抱持するクランプ部材と
、
前記クランプ部材を回動して前記シャワーバーを上方から抱持した状態で、前記クランプ部材の下端側を着脱可能に保持
してロック状態にするロック
操作部材と、
前記ロック操作部材に螺合した調整ネジを備え、前記調整ネジの先端部は、前記調整ネジの回転によって前記シャワーバー側およびその反対側に出没可能に構成されており、前記ロック状態では前記調整ネジの先端部によって前記シャワーバーを保持するバー押え部と、
を備え
るシャワーフック。
【請求項2】
前記バー押え部は、前記調整ネジの先端部に取り付けられた弾性部材を備え、
前記弾性部材は、前記ロック状態において前記シャワーバーの外周面に当接する、
請求項1に記載のシャワーフック。
【請求項3】
前記ヘッドホルダ部と前記バー取付固定部の上面が滑らかに連続的に繋がる連続面として形成されている請求項
1または請求項
2に記載のシャワーフック。
【請求項4】
前記シャワーバーの上面が平面状に形成され、
前記シャワーバーに取り付けた状態で、前記ヘッドホルダ部及び前記バー取付固定部の上面が水平に配され、前記シャワーバーの上面と平行に配されるように構成されている請求項
3記載のシャワーフック。
【請求項5】
前記シャワーバーの外周面の上面から背面と重なる部分の前記クランプ部材の外面が前記シャワーバーの外周面に沿うように形成されている請求項
1から請求項
4のいずれかに一項に記載のシャワーフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドを着脱可能に保持するためのシャワーフックに関する。
【背景技術】
【0002】
ユニットバスやシャワールームなどの浴室には、例えば、カウンター、収納棚、鏡、シャワー等の浴室用設備が設けられている。
【0003】
また、シャワー設備としては、上端部及び下端部を壁面に接続して上下方向に延設されたシャワーバーにシャワーフックをスライド可能に取り付け、このシャワーフックにシャワーヘッドのホースジョイントを上方から嵌合/掛止させて保持できるように構成したものがある。
【0004】
この浴室用設備、シャワー設備では、入浴者等の使用者がシャワーバーの上端部から下端部までの間でシャワーフックをスライド移動させ、任意の高さ位置に固定することができる。このため、使用者の身長の違いや使用時の姿勢などに柔軟に対応でき、固定式のシャワー設備と比較し、利便性に優れたシャワー設備を実現することができる。
【0005】
一方、洗い場の壁面に固定して設けられたカウンターの水平の横方向に延びる先端部に、横方向に延びる嵌合溝を形成し、この嵌合溝にシャワーフックや洗面器置台を嵌合して支持させるように構成したものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この浴室用設備、シャワー設備では、シャワーフックや洗面器置台などを嵌合溝に沿って横方向にスライド移動したり、嵌合溝に対して着脱することにより、横方向の任意の位置に設置することができる。このため、使用者の姿勢や使い勝手など(座った使用者の肩に集中的にシャワーの湯水をかけるなど)に柔軟に対応することができ、やはり利便性に優れた浴室用設備を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のようにシャワーフックをシャワーバーや嵌合溝に支持させながらスライド移動させる場合には、スライドの移動距離が大きいほど、スライド操作がしにくくなるケースがあり、さらなる取扱性の改善、利便性の向上を図るための手法が強く求められていた。
【0009】
ちなみに、カウンターの先端部などに横方向に延びる嵌合溝を設け、嵌合溝にシャワーフックなどを嵌合して任意の位置に設置できるように構成した場合には、嵌合溝に水垢などの汚れが溜まりやすく、また、嵌合溝内を清掃しにくいなどの不都合が生じる。このため、嵌合溝に水抜き孔を設けるなどの対策が必要となり、また、このような対策を講じたとしても嵌合溝内の汚れ、清掃のしにくさを解消することは難しい。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、従来と比較し、取扱性、利便性に優れたシャワーフックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、従来と比較し、シャワーフックの取扱性、利便性を向上させる手段を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
(1)本発明のシャワーフックは、シャワーヘッドを挿入する挿入孔を備え、前記挿入孔に前記シャワーヘッドを挿入するとともに掛止して着脱可能に保持するヘッドホルダ部と、前記ヘッドホルダ部に一体に設けられ、シャワーバーの任意の位置に、前記シャワーバーを抱持して着脱可能に固定するためのバー取付固定部とを備えることを特徴とする。
【0013】
(1)の発明においては、バー取付固定部によってシャワーバーを抱持してシャワーフックをシャワーバーに取り付け固定できるように構成したことで、従来と比較し、シャワーフックの着脱操作を容易にすることができる。また、従来の嵌合溝に嵌合させるものと比較し、水抜き孔を不要にでき、水垢などの汚れが付きにくくすることができ、さらに清掃を容易に行うことが可能になる。
【0014】
(2)本発明のシャワーフックは、上記(1)において、前記バー取付固定部が、横方向に延設された前記シャワーバーを抱持して着脱可能に取り付けるように構成されていてもよい。
【0015】
(2)の発明においては、横方向に延設されたシャワーバーに取り付けるように構成されるとともに、シャワーバーを抱持して取り付け固定するように構成されていることにより、例えば、手摺りなどをシャワーバーとして用いる(兼用する)ことが可能になる。
【0016】
(3)本発明のシャワーフックは、上記(2)において、前記バー取付固定部が、前記ヘッドホルダ部の後端側で上端側に接続して設けられ、横方向に延びる回動軸を有するヒンジと、前記ヒンジによって前記回動軸周りに回動可能に設けられ、前記シャワーバーを上方から抱持するクランプ部材とを備えて構成されていてもよい。
【0017】
(3)の発明においては、クランプ部材をヘッドホルダ部の上端側に接続して設けられたヒンジで横方向に延びる回動軸周りに回動可能に設けることによって、横方向に延設されたシャワーバーに対し上方からクランプ部材を被せるようにしてシャワーフックを任意の位置に取り付け固定することが可能になる。これにより、横方向に延びるシャワーバーに対するシャワーフックの着脱操作を非常に容易に行うことが可能になる。
【0018】
(4)本発明のシャワーフックは、上記(2)、(3)において、前記ヘッドホルダ部と前記バー取付固定部の上面が滑らかに連続的に繋がる連続面として形成されていてもよい。
【0019】
(4)の発明においては、横方向に延びるシャワーバーにシャワーフックを取り付けた状態で、入浴者等の視界に最も入りやすいヘッドホルダ部とバー取付固定部の上面が面一な平面状や曲面状など、滑らかに連続的に繋がる連続面として形成されていることで、シャワーフックの見栄えを非常に良くすることができる。また、水垢等で汚れやすいヘッドホルダ部とバー取付固定部の上面が滑らかに連続的に繋がる連続面として形成されていることで、清掃を容易に行うことも可能になる。さらに、手摺りなどをシャワーバーに兼用した場合には、入浴者などが手摺りを手で握って移動する際にシャワーフックの上面に凹凸がない(上面が連続面として形成されている)ことでシャワーフックが入浴者などの移動の邪魔になることを抑止できる。
【0020】
(5)本発明のシャワーフックは、上記(4)において、前記シャワーバーの上面が平面状に形成され、前記シャワーバーに取り付けた状態で、前記ヘッドホルダ部及び前記バー取付固定部の上面が水平に配され、前記シャワーバーの上面と平行に配されるように構成されていてもよい。
【0021】
(5)の発明においては、ヘッドホルダ部及びバー取付固定部の上面を平面状で面一に形成し、ヘッドホルダ部及びバー取付固定部の上面が水平に配されてシャワーバーの平面状に形成された上面と平行になるようにしたことで、例えば、バー取付固定部の上端側の肉厚を薄くするほど、シャワーバーとシャワーフックの一体性を演出することができ、シャワーフックの見栄えを大幅に良くすることができる。さらに、手摺りなどをシャワーバーに兼用した場合には、入浴者などが手摺りを手で握って移動する際にシャワーフックが入浴者などの移動の邪魔になることを抑止できる。
【0022】
(6)本発明のシャワーフックは、上記(3)から(5)のいずれかにおいて、前記クランプ部材を回動して前記シャワーバーを上方から抱持した状態で、前記クランプ部材の下端側を着脱可能に保持するロック機構を備えてもよい。
【0023】
(6)の発明においては、クランプ部材を着脱可能に保持するロック機構を備えることにより、ロック機構を操作してシャワーフックを容易に着脱することが可能になるとともに、シャワーフックをシャワーバーにガタツキなどが生じないように好適に取り付け固定することが可能になる。また、ロック機構が、入浴者等の視界に入りにくいクランプ部材の下端側に設けられることで、シャワーフックの見栄えを良くすることができる。
【0024】
(7)本発明のシャワーフックは、上記(2)から(6)のいずれかにおいて、前記シャワーバーの外周面の上面から背面と重なる部分の前記クランプ部材の外面が前記シャワーバーの外周面に沿うように形成されていてもよい。
【0025】
(7)の発明においては、シャワーバーの外周面の上面から背面と重なる部分のクランプ部材の外面がシャワーバーの外周面に沿うように形成されていることにより、シャワーバーとシャワーフックの一体性を演出することができ、シャワーフックの見栄えを大幅に良くすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、シャワーフックを容易に、所望の位置に移動させることができ、従来と比較し、シャワーフックの取扱性、利便性を大幅に向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る浴室、シャワーバーを示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るシャワーフックをシャワーバーに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るシャワーフックをシャワーバーに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るシャワーバーを示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るシャワーフックでシャワーヘッドを保持した状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るシャワーフックを上方からシャワーバーの任意の位置に取り付ける状態を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのクランプ部材を回動してシャワーバーを抱持ように配置した状態を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのロック機構によってクランプ部材をロックしてシャワーバーを抱持ように取り付け固定した状態を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るシャワーフックを示す分解斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るシャワーフックを示す正面図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのガタ締め凸部を示す図である。
【
図17】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのロック機構を示す断面図であり、クランプ部材でシャワーバーを抱持する前の状態を示す図である。
【
図18】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのロック機構を示す断面図であり、シャワーバーを被覆するようにクランプ部材を配置した状態を示す図である。
【
図19】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのロック機構を示す断面図であり、クランプ部材をロックしてシャワーバーを抱持した状態を示す図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのヘッド側グリップ機構、ホース保持機構を示す斜視図であり、シャワーヘッドを挿入孔に挿入する前の状態を示す図である。
【
図21】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのヘッド側グリップ機構、ホース保持機構を示す斜視図であり、シャワーヘッドを挿入孔に挿入した状態を示す図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのホース保持機構を示す斜視図であり、シャワーヘッドを挿入孔に挿入して保持する前の状態を示す図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係るシャワーフックのホース保持機構を示す斜視図であり、シャワーヘッドを挿入孔に挿入してホースを保持した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、
図1から
図23を参照し、本発明の一実施形態に係るシャワーフックについて説明する。
【0029】
本実施形態のシャワーフックAは、
図1から
図3に示すように、ユニットバス1やシャワールームなどの浴室に設けられ、シャワーヘッド2を着脱可能に保持するための部材である。
【0030】
また、本実施形態では、シャワーフックAが、例えば、ユニットバス1の壁(壁面1a)の浴槽1b側から洗い場1c側まで横方向T1に延びて設置された手摺り3に取り付け、手摺り3をシャワーバー(3)としても兼用できるように構成されている。
【0031】
具体的に、本実施形態のシャワーバー(3)を兼ねた手摺り3は、例えば、浴室1の壁面1aに後端を接続して壁面1aに直交する水平の前後方向T2に突出し、壁面1aに沿う水平の横方向T1に所定の間隔をあけて並設された複数のブラケット(支持部材)4の先端に接続して支持され、水平の横方向T1に延設されている。
なお、耐荷要求が高いほどブラケット4の数を多くする必要があり、このような場合にはブラケット4が干渉し、スライドだけでシャワーフックAを所望の位置に配置することができなくなる。
【0032】
手摺り3は、
図3、
図4に示すように、押出し成形などを用いて形成されたアルミニウム製の管状の棒材3aの外周面を樹脂製の外装材3bで被覆し、さらに、横方向の一端部、他端部にそれぞれキャップ材3cを取り付け、所望の意匠性、防水性、撥水性等を備えて構成されている。
【0033】
手摺り3は、
図1に示すように、例えば、これを使用する入浴者(入浴者などの使用者)Mが手で握って浴室内を移動しやすくしたり、洗い場1cに座っている入浴者Mが握って立ち上がりやすくするために、浴室の床パネルから例えば80cm程度の好適な高さ位置に配設されている。手摺り3は、入浴者M等が手で握りながら浴室出入り口側や浴槽1b側、水栓などの洗い場設備側に円滑に移動できるように、すなわち、優れた利便性(及び意匠性)を確保するために、その高さ位置を一定にしつつ適宜箇所を湾曲形成するなどして構成されている。
【0034】
ここで、本実施形態では、以下、「手摺り3」を「シャワーバー3」と称して説明を行う。
【0035】
本実施形態のシャワーフックAは、
図3、
図5、
図6に示すように、シャワーヘッド2のホースジョイント2aを掛止してシャワーヘッド2を着脱可能に保持するヘッドホルダ部5と、シャワーバー3を抱持してシャワーバー3の任意の位置に着脱可能に取り付けるためのバー取付固定部6とを備えて構成されている。
【0036】
ヘッドホルダ部5は、
図5、
図6、
図7から
図15に示すように、シャワーヘッド2のホースジョイント2aを掛止してシャワーヘッド2を着脱可能に保持するフック本体7と、主に、フック本体7の一側面、他側面、上面、下面等の外表面の少なくとも一部を被覆してシャワーフックAの意匠性を高めるための外装部材8と、フック本体7にホースジョイント2aを嵌合して掛止させるとともに、シャワーヘッド2のホースジョイント2aを押圧してこれを保持するヘッド側グリップ機構9と、ホースジョイント2aから下方に延びるホース2bを保持するホース保持機構10とを備えている。
【0037】
バー取付固定部6は、ヘッドホルダ部5の後方に設けられるとともに、ヒンジ11を介してシャワーフックAの幅方向T1に延びる回動軸O1周りに回動自在に接続して設けられ、シャワーバー3の外周面を上方から覆うようにしてシャワーバー3を抱持、すなわち、クランプ保持するためのクランプ部材(カバー部材)12と、クランプ部材12とフック本体7にクランプ部材12を接続するための連結部材13と、シャワーバー3の外周面を抱持した状態でクランプ部材12を固定して保持するためのロック機構14と、シャワーバー3の外周面を被覆するようにクランプ部材12を回動して配設するとともにシャワーバー3の外周面に当接し、シャワーバー3を押圧してクランプ部材12を保持するバー側グリップ機構15とを備えている。
【0038】
フック本体7は、前後方向T2に所定の厚さを備えて形成された後壁部16と、後壁部16の幅方向T1の一側端部と他側端部とからそれぞれ、前後方向T2前方側に突出して並設された一対の側壁部17とを備えて形成され、これら後壁部16と一対の側壁部17とが一部品(一部材)で構成されている。
【0039】
後壁部16は、上端側の背面側に、上面から下面側に凹み、一対の側面と背面とに開口する上側嵌合凹部16aが設けられ、下端側の背面側に、下面から上面側に凹み、一対の側面と背面とに開口する下側嵌合凹部16bが設けられている。なお、上側嵌合凹部16a、下側嵌合凹部16bは、詳細を後述する外装部材8(や連結部材13)が嵌合し、フック本体7と互いの表面(上面、下面、先端面)を滑らかで連続的に繋ぐように外装部材8及び連結部材13を位置決めして取り付けるための凹部である。
【0040】
後壁部16の前面側(前面の少なくとも上部側)は、シャワーヘッド2のホースジョイント2aが上方から挿入されてこれを保持する挿入孔19を形成するため、ホースジョイント2aの形状に合わせた断面円弧状(円弧面状)で、上面から下面に向かうに従いその曲率半径が小となるテーパー面状に形成されている。
【0041】
さらに、後壁部16には、背面にビス取付孔が複数設けられている。後壁部16には、幅方向T1中央に、背面から内面(前面)に貫通し、下端側から上端側に延びるクリップレバー挿通孔18が設けられている。後壁部16には、幅方向T1中央を挟んで両側部側の対称位置に、背面から内面に貫通する一対のホースクリップ挿通孔20が設けられている。後壁部16の背面側には、幅方向T1に沿って一側面からクリップレバー挿通孔18に、他側面からクリップレバー挿通孔18にそれぞれ貫通し、且つ幅方向T1に沿う同軸上に設けられ、詳細を後述するクリップレバー47を回動可能に支持するための回動軸21を挿通、軸支する軸挿通孔22が設けられている。
【0042】
一対の側壁部17はそれぞれ、先端部に幅方向T1内側に突出する掛止部25を備えて形成され、各掛止部25の後方側を向く内面が掛止面25aとされている。
【0043】
そして、一対の側壁部17の互いに対向する内面と、各掛止部25の掛止面25aとが、後壁部16の内面とともに、シャワーヘッド2のホースジョイント2aが上方から挿入されてこれを保持するための挿入孔19の内面を形成している。また、一対の側壁部17の内面、一対の掛止面25aは、後壁部16の内面と滑らかに繋がり、ホースジョイント2aの形状に合わせた断面円弧状(円弧面状)で、上面から下面に向かうに従いその曲率半径が小となるテーパー面状に形成されている。
なお、本実施形態では、挿入孔19を形成するフック本体7が後壁部16と一対の側壁部17を備えて断面略C字状を呈するように形成されているが、シャワーヘッド2を着脱可能に保持することが可能であれば、フック本体7(ひいては挿入孔19)の形状は必ずしも断面略C字状に限定する必要はなく、例えば断面円形状の挿入孔19を形成するなど、他の形状であってもよい。
【0044】
さらに、本実施形態のシャワーヘッド2は、シャワーフックAの挿入孔19に挿入して保持される部分に段差部2cがある。これに応じ、フック本体7の左右一対の掛止部25の下部側の掛止面25aは、シャワーヘッド2の段差部2cに係合する段差係合部25bを備えて形成されている。
【0045】
なお、本実施形態では、各側壁部17が前方に向かうほどその下端が上方に傾斜し、その高さが小となるように形成され、各側壁部17の先端面が前方に凸の円弧面状に形成されて、シャワーフックAの意匠性の向上が図られている。
【0046】
外装部材8は、フック本体7の後壁部16に形成された上側嵌合凹部16a、下側嵌合凹部16bにそれぞれ嵌合してシャワーフックAの上面26、下面27を形成する上側外装部8a、下側外装部8bと、上側外装部8a、下側外装部8bの幅方向T1両側部側からそれぞれ前方に延び、フック本体7の一対の側壁部17の外側面を被覆するように一体に係合してシャワーフックAの左右一対の側面28を形成する一対の側壁外装部8cとを備えて形成されている。
【0047】
上側外装部8a、下側外装部8bは、後壁部16の上側嵌合凹部16a、下側嵌合凹部16bに嵌合してフック本体7に組み付けた状態で、上面、下面が後壁部16の前面側の上面、下面とそれぞれ滑らかに連続的に繋がるようにし、シャワーフックAの上面26、下面27を滑らかに連続的に繋がる連続面として形成する。また、一対の側壁外装部8cも、その上面がフック本体7の側壁部17の上面と滑らかに連続的に繋がるようにし、シャワーフックAの上面26、下面27を滑らかに連続的に繋がる連続面として形成する。すなわち、一対の側壁外装部8cは、側面視でフック本体7の側壁部17と互いの外周が略重なる略同一の側面視形状で形成されている。
【0048】
連結部材13は、フック本体7の背面に前面を重ねるように配設され、背面から前面に貫通形成された複数のネジ挿通孔13aにタッピングネジ(ビス)29を挿通するとともに、フック本体7の後壁部16のネジ孔に螺着することにより、フック本体7に一体に接続される。
【0049】
連結部材13には、幅方向T1中央に、内面から背面に貫通するグリップ保持孔30が設けられている。
【0050】
連結部材13は、その背面がシャワーバー3の前方側の外周面に沿うように、シャワーバー3の外周面の形状に合わせた凹面状に形成されている。
【0051】
連結部材13には、上端側に、フック本体7の背面に前面を重ねるように配設するとともに、外装部材8の上側外装部8aとフック本体7の後壁部16の上側嵌合凹部16aの上面との間に嵌合する略平板状の嵌合凸部13bが前面から前方に突出して設けられている。
【0052】
連結部材13には、上端側の背面側で且つ幅方向T1中央に、幅方向T1に沿ってピン挿通孔が貫通形成され、ヒンジ11の構成要素である軸筒11aが一体に設けられている。
【0053】
連結部材13には、背面側の下端部に、略円筒の略半割形状を呈し、下面から上下方向T3の下方に突出して形成され、詳細を後述するロック機構14の構成要素である一方のロック受け片32aが一体に設けられている。
【0054】
連結部材13には、嵌合凸部13bの上方の上端部と、左右の側部と、一方のロック受け片32aの上方の下端部との外周縁部に、前方を向き、フック本体7に連結部材13を接続した状態で外装部材8の後端が当接して外装部材8を保持する外装部材当接保持面(外装部材当接保持部)13cが設けられている。
【0055】
連結部材13には、
図16に示すように、その背面の幅方向T1両側に、背面から外側に突出するとともに側端部に沿って延び、シャワーバー3を抱持する所定位置に配した状態でシャワーバー3の前方側の外周面に当接してこれをガタツキなく保持するための一対のガタ締め凸部33が設けられている。ガタ締め凸部33は、高曲率のコーナー部分が高摩擦係数、高グリップ性能を備えるように、例えば、多段状(略鋸歯状)に形成されている。なお、コーナー部分は、例えば、ゴム材やエラストマー樹脂材などを用いたり、表面を縦縞や横縞、斜め縞、突点状などとして形成するなど、適宜手段で表面の摩擦係数が大きくなるようにしてもよい。
【0056】
次に、
図5、
図6、
図7から
図15に示すように、クランプ部材12は、上端側の幅方向T1一側部側と他側部側にそれぞれ、幅方向T1に沿ってピン挿通孔が貫通形成されたヒンジ11の構成要素である軸筒11bが一体に設けられている。
【0057】
クランプ部材12は、左右一対の軸筒11bを連結部材13の軸筒11aと同軸上に配されるように組み付け、互いに連通したピン挿通孔にヒンジ11の構成要素のピン11cを挿通し、必要に応じてピン11cの端部をかしめるなどして、連結部材13ひいてはフック本体7に対し、上端側の幅方向T1に延びるピン11cの軸線O1周りに回動自在に連結されている。
【0058】
クランプ部材12は、内面がシャワーバー3の後方側(浴室1の壁面1a側)を向く外周面に沿うように、シャワーバー3の外周面の形状に合わせた凹面状に形成されている。また、クランプ部材12は、背面の外面がシャワーバー3の後方側を向く外周面に沿うように、シャワーバー3の外周面の形状に合わせた凸面状に形成されている。
【0059】
図16に示すように、クランプ部材12の内面には、その幅方向T1両側に、内面から内側に突出するとともに側端部に沿って延び、シャワーバー3を抱持する所定位置に配した状態でシャワーバー3の後方側の外周面に当接してこれをガタツキなく保持するためのガタ締め凸部34が設けられている。ガタ締め凸部34は、高曲率のコーナー部分が高摩擦係数、高グリップ性能を備えるように、例えば多段状(略鋸歯状)に形成されている。
【0060】
図5、
図6、
図7から
図15に示すように、クランプ部材12には、その下端部側に、略円筒の略半割形状を呈し、クランプ部材12の下面から上下方向T3の下方に突出するロック機構14の構成要素の他方のロック受け片32bが一体に設けられている。
【0061】
この他方のロック受け片32bは、
図17から
図19に示すように、クランプ部材12を回動させて下方に移動すると、連結部材13に設けられた一方のロック受け片32aと互いの端部同士が突き合わされ、一方のロック受け片32aとともに中心に断面円形の挿通孔が貫通し、略円筒状を呈するロック機構14のロック受け部32を形成する。
【0062】
ここで、一方のロック受け片32aと他方のロック受け片32bにはそれぞれ、外周面から軸線O2を中心とした径方向外側に突出し、例えば周方向に沿い、周方向の90度範囲に延びる受け側係止片32cが設けられている。一方のロック受け片32aと他方のロック受け片32bを突き合せてロック受け部32を形成した状態で、周方向に等間隔で2つの受け側係止片32cが軸線O2方向の同じ高さ位置に配されるようになっている。
【0063】
本実施形態のロック機構14は、上記の一方のロック受け片32a及び他方のロック受け片32bと、一方のロック受け片32aと他方のロック受け片32bを連結固定するためのロック操作部材40とを備えて構成されている。
【0064】
【0065】
操作つまみ部41は、円環状(円筒状)の側壁41aと、側壁41aの下方の開口を閉塞する底板41bとを備えて略椀状で略キャップ状に形成されている。操作つまみ部41の底板41bには、その中心に貫通孔が貫通形成されている。
【0066】
操作つまみ部41には、側壁41aの内面から径方向内側に突出し、周方向に延びるつまみ側係止片41cが等間隔で2つ設けられている。これら2つのつまみ側係止片41cは、軸線O3方向の同位置に配設されている。
【0067】
さらに、操作つまみ部41には、外面から径方向外側に突出し、一方のロック受け片32aと他方のロック受け片32bをロック(連結固定)、ロック解除する際に、入浴者M等が指を掛けて操作つまみ部41を軸線O3周りに正逆回転操作するための指掛かり部41dが設けられている。
なお、指掛かり部41dは180度対向する位置に2つあってもよい(図示無)。このように構成すると、入浴者M等の使用者の操作性の向上が図れる。また、荷重が分散され、軽い回転力でロック操作部材40(操作つまみ部41)を回転させることができる。さらに、ロック操作部材40を取り外して清掃を行い、再度組み付ける時に180度対称位置に2つの指掛かり部41dがあることで取付方向の制約を無くす(小さくする)ことができる。さらに、指掛かり部41dがどこに位置していても少なくともどちらか一方の指掛かり部41dが入浴者M等に見えるようにできるなどの多くの作用効果を得ることができる。
【0068】
バー押え部42は、操作つまみ部41の底板41bの中心に下端を一体に接続し、軸線O3中心に上方に突設された略円筒状の突体42aを備えている。突体42aは、内面に雌ネジの螺刻が施され、その内孔が雌ネジ孔として形成されている。突体42aは、突出方向先端から下方に軸線O3に沿って延び、周方向に等間隔で配された複数のスリット42bを備えて形成されている。
【0069】
バー押え部42は、突体42aとともに、外周面に雄ネジの螺刻が施された調整ネジ42cと、調整ネジ42cの先端部に取り付けられるゴム材(パッキン材)などの弾性体42dとを備えて構成されている。
【0070】
調整ネジ42cは、その先端部に弾性体42dを取り付けた状態で、操作つまみ部41の底板41bに開口する突体42aの雌ネジ孔に下方から螺合し、突体42aと互いの軸線O3を同軸上に配して着脱可能に設けられている。すなわち、バー押え部42は、調整ネジ42cを正逆軸線O3周りに回転させて螺入、螺出させることにより、突体42aの先端から弾性体42dが軸線O3方向外側、内側に出没可能に構成されている。
【0071】
ロック操作部材40は、連結部材13の一方のロック受け片32aの半円状の内面側に、バー押え部42の突体42aを同軸(略同軸)上に配し、適宜手段によって、連結部材13の一方のロック受け片32aに回転可能に取り付けられている。このとき、ロック操作部材40は、所定量、上下方向T3に移動可能に取り付けられ、ロック解除状態では、このロック操作部材40が最下方に配されるようになっている。
【0072】
上記の適宜手段としては、例えば、複数のスリット42bによって形成された突体42aの複数の突片42eの先端に径方向外側に突出する係止部42fを備え、係止部42fが一方のロック受け片32aの突部32dに最下方位置で引っ掛かるように構成することが挙げられる。このように構成すれば、ロック操作部材40を、連結部材13の一方のロック受け片32aに回転可能に、且つ上下方向T3に移動可能に取り付けることができる。
【0073】
そして、本実施形態のシャワーフックA、ロック機構14においては、
図5、
図7から
図9、
図10、
図17から
図19に示すように、クランプ部材12を上方からシャワーバー3を連結部材13との間で挟み込むように回動し、シャワーバー3を連結部材13とクランプ部材12とで抱持する。このとき、係止部42fが一方のロック受け片32aの突部32dに最下方位置で引っ掛かり、ロック操作部材40が最下方に配されていることで、クランプ部材12の他方のロック受け片32bがロック操作部材40に干渉することなく、好適にクランプ部材12を回動操作して、連結部材13に設けられた一方のロック受け片32aとクランプ部材12に設けられた他方のロック受け片32bを突き合わせ、ロック受け部32を形成することができる。この状態で、ロック受け部32の内孔に挿入した形で突体42aが配置される。
【0074】
次に、入浴者M等の使用者が、一方のロック受け片32aと他方のロック受け片32bに設けられた隣り合う受け側係止片32cの間の隙間をつまみ側係止片41cが通るようにして、ロック操作部材40を上方に押し上げ、指掛かり部41dを指で押してロック操作部材40の操作つまみ部41を軸線O2、O3周りに回転させ、受け側係止片32cの上につまみ側係止片41cを配置する。
【0075】
このようにロック操作部材40を押し上げ、回転させることによって、ロック操作部材40から手を放した状態で受け側係止片32cにつまみ側係止片41cが上下に重なって係合し、ロック機構14によって、一方のロック受け片32aと他方のロック受け片32bを突き合わせロック受け部32を形成した状態、すなわち、シャワーバー3を抱持した状態でロック(連結保持)することができる。
【0076】
これにより、本実施形態のシャワーフックA、ロック機構14によれば、入浴者M等の使用者がクランプ部材12を回動してシャワーバー3の任意の位置の外周面を覆ってシャワーバー3を連結部材13とクランプ部材12の間で抱持するようにシャワーフックAを配置し、操作つまみ部41をつまんで正逆回転させるという簡易な操作によって、シャワーフックAをシャワーバー3の任意の位置に固定して保持することができる。また、入浴者M等の使用者が操作つまみ部41を正逆回転させる回転量に応じてロック状態にしたり、ロック解除、すなわち、任意の位置へのシャワーフックAの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。
【0077】
また、クランプ部材12を回動させ、シャワーバー3の外周面を覆うように配置した状態で、連結部材13の背面及びクランプ部材12の内面に突設されたガタ締め凸部33、34、特に各ガタ締め凸部33、34のコーナーの高摩擦係数部(グリップ部)がシャワーバー3の外周面に当接し、シャワーフックAをシャワーバー3にガタツキなく取り付けることができる(
図16)。
【0078】
さらに、クランプ部材12を回動させ、シャワーバー3の外周面を覆うように配置し、ロック操作部材40を押し上げた状態、また、ロック操作部材40を回転操作してシャワーバー3をロックした状態で、調整ネジ42cの先端に取り付けられたゴム材などの弾性体42dがシャワーバー3の外周面に当接する。よって、この弾性体42dによっても、シャワーフックAをシャワーバー3にしっかりと取り付けることができる。
【0079】
また、このとき、調整ネジ42cの螺入量を調整することによって、弾性体42dの先端面の位置、ひいては弾性体42dのシャワーバー3への当接量(押圧量)を調整することができ、確実で好適にシャワーフックAをシャワーバー3にしっかりと取り付けることができる。
【0080】
なお、弾性体42dの突出量を予めシャワーバー3に応じて調整しておくことが好ましい。すなわち、基本的には、調整が必要になったときのみ、調整ネジ42cの螺入、螺出操作を行うことが好ましい。
【0081】
また、複数の突片42eで囲まれた雌ネジ孔の内部に弾性体42dが配されていることによって、突体42aの各突片42eが径方向内側に変形(塑性変形)することを防止できる。これにより、係止部42fが一方のロック受け片32aの突部32dに最下方位置で引っ掛からなくなって、ロック操作部材40が脱落することを防止できる。
【0082】
さらに、本実施形態のシャワーフックAにおいては、その上面26が平面状に形成されているため、上記のようにシャワーバー3の任意の位置に取り付けた状態で、上面26がシャワーバー3の軸線に沿い、非常に見栄えを良くすることができる。また、ヒンジ11や連結部材13の上端側の肉厚を薄くするほど、シャワーバー3の上方の外周面とシャワーフックAの上面26との間の段差がなくなり、シャワーフックAのシャワーバー3に対する一体性を得ることができ、この点からも非常に意匠性に優れたシャワーフックAを実現することが可能になる。
【0083】
ここで、本実施形態のシャワーフックAのバー側グリップ機構15は、
図5、
図6、
図7から
図9、
図10から
図13、
図15、
図20、
図21に示すように、連結部材13の背面側からグリップ保持孔30に嵌合して設けられるゴム材などのグリップ部材(フックパッキン)46を備えて構成されている。
【0084】
また、グリップ部材46は、所定量、連結部材13の背面から突出するように設けられている。なお、グリップ保持部材45の背面にグリップ部材46を一体に取り付け、グリップ保持部材45をグリップ保持孔30に嵌合させてグリップ部材46を取り付けるようにしてもよい。
【0085】
これにより、本実施形態のシャワーフックAにおいては、クランプ部材12を回動させ、シャワーバー3の外周面を覆うように配置した状態で、バー側グリップ機構15のグリップ部材46がシャワーバー3の外周面に当接してこれを押圧する。よって、さらに好適にシャワーフックAをガタツキなくしっかりと取り付けることができる。
【0086】
上記のようにしてシャワーバー3の任意の位置に取り付けたシャワーフックAにシャワーヘッド2を保持させる際には、フック本体7の挿入孔19に上方からホースジョイント2a、ホース2bを差し込み、フック本体7の後壁部16及び一対の側壁部17に嵌合させる。
【0087】
このとき、本実施形態のシャワーフックAにおいては、後壁部16の上部側と一対の側壁部17のそれぞれの掛止部25の下部側の後方上部側1点、前方下部側2点の計3点で挿入孔19に挿入したシャワーヘッド2が掛止して保持される。これにより、湯水を吐出した際の反力を前記3点で効果的に受けることができる。
【0088】
また、後壁部16の円弧面状に形成された上部側の前面(円弧面)に、シャワーヘッド2が周方向に面接触あるいは線接触する。これにより、点接触する場合よりもさらに効果的に、湯水を吐出した際の反力を受けることができる。
【0089】
また、シャワーヘッド2の段差部2cと一対の側壁部17の掛止部25の段差係合部25bとが係合し、シャワーヘッド2の段差部2cと各掛止部25の段差係合部25bの左右2点の係合によって、シャワーヘッド2の前方下部側が保持される。これにより、さらに効果的に、湯水を吐出した際の反力を受けることができる。
【0090】
さらに、本実施形態のシャワーフックAにおいては、フック本体7の挿入孔19にホースジョイント2aの後方側で上部側の幅方向T1中央部分の外面がばね部材49の付勢力を受けたクリップレバー47の上端側のグリップ部材48で前方に押圧されて支持され、ホースジョイント2aの前面側で且つ幅方向T1両側部側が一対の掛止部25の掛止面25aに押圧されて支持される。
【0091】
なお、一対の掛止部25の掛止面25a(本実施形態では前方両側部側の下部)に、グリップ部材48と同様の部材を設け、この部分の摩擦係数を大きくするように構成してもよい。
【0092】
これにより、本実施形態のシャワーフックAにおいては、保持した状態のシャワーヘッド2から湯水を吐出し、その反力が作用した場合であっても、シャワーヘッド2を強固にしっかりと保持することができ、シャワーヘッド2がシャワーフックAから引き抜けるなどの不都合を確実に且つ好適に防止することができる。
【0093】
次に、本実施形態のヘッド側グリップ機構9は、フック本体7の後壁部16に設けられたクリップレバー挿通孔18内に配されるとともに、軸挿通孔22に挿通して軸支された回動軸21に上下方向略中央部分を支持されて回動自在に設けられたクリップレバー47と、クリップレバー47の上端側の前面に一体に取り付けられたグリップ部材(フックパッキン)48と、クリップレバー47の上端側の背面に一端を接続して設けられ、クリップレバー47の上端側を前方に付勢するばね部材49とを備えて構成されている。
【0094】
なお、上記のグリップ部材46、48は、例えば、ゴム材やエラストマー樹脂材などを用いたり、表面を縦縞や横縞、斜め縞、突点状などとして形成するなどして、表面の摩擦係数が大きくなるようにしている。
【0095】
また、クリップレバー47は、上端部の前面に、上端から下端側に向かうに従い漸次前方に向けて傾斜する傾斜面47aが設けられ、この傾斜面47aが誘導面とされている。
【0096】
ヘッド側グリップ機構9では、フック本体7の挿入孔19に、上方からシャワーヘッド2のホースジョイント2aを挿入する際に、ホースジョイント2aがグリップ部材に当接してクリップレバー47の上端側が後方に押圧されるとともに、クリップレバー47が回動軸21の軸線O4周りに自動的に回動する。
【0097】
このとき、まず、クリップレバー47の上端部に傾斜面47aが設けられていることにより、上方からシャワーヘッド2のホースジョイント2aを挿入した際に、傾斜面47aにホースジョイント2aの下端が当たり、ホースジョイント2aが下方に差し込まれるとともに傾斜面47aが誘導面として機能して好適にクリップレバー47を回動させることができる。
【0098】
さらに、このとき、クリップレバー47の回動に抵抗するようにばね部材49の付勢力がクリップレバー47に作用する。これにより、フック本体7の挿入孔19にホースジョイント2aを挿入してシャワーヘッド2を保持した状態で、ばね部材49の付勢力によってクリップレバー47に取り付けられたグリップ部材48がホースジョイント2aの後方側の外面、さらにこの後方側で上部側の外面を前方に押圧して支持し、シャワーヘッド2をフック本体7の挿入孔19内でしっかりと保持することができる。
【0099】
また、フック本体7の挿入孔19にホースジョイント2aを挿入するとともに、フック本体7の一対の側壁部17の先端に設けられた掛止部25の掛止面25aが当接する。本実施形態では、例えば、掛止面25aの下方側が強く当接するように構成している。
【0100】
これにより、フック本体7の挿入孔19に挿入したシャワーヘッド2のホースジョイント2aに、後方からばね部材49の付勢力がクリップレバー47(グリップ部材48)を介して伝わり、ホースジョイント2aが前方に向けて押圧されるとともに、フック本体7の一対の側壁部17の先端に設けられた一対の掛止部25の掛止面25aにホースジョイント2aの前方側が強く押圧され、ホースジョイント2aをしっかりと保持することが可能になる。
【0101】
さらに、本実施形態のシャワーフックAにおいては、フック本体7の挿入孔19にホースジョイント2aの後方側で上部側の幅方向T1中央部分の外面がばね部材49の付勢力を受けたクリップレバー47の上端側のグリップ部材48で前方に押圧されて支持され、ホースジョイント2aの前面側で且つ幅方向T1両側部側が一対の掛止部25の掛止面25aに押圧されて支持される。すなわち、これら後方上部の1点と、前方両側部側(本実施形態では前方両側部側の下部)の2点の前後3点でシャワーヘッド2のホースジョイント2aが支持される。
【0102】
なお、一対の掛止部25の掛止面25a(本実施形態では前方両側部側の下部)に、グリップ部材48と同様の部材を設け、この部分の摩擦係数を大きくするように構成してもよい。
【0103】
これにより、本実施形態のシャワーフックAにおいては、保持した状態のシャワーヘッド2から湯水を吐出し、その反力が作用した場合であっても、シャワーヘッド2を強固にしっかりと保持することができ、シャワーヘッド2がシャワーフックAから引き抜けるなどの不都合を確実に且つ好適に防止することができる。
【0104】
また、シャワーフックAからシャワーヘッド2を取り外すとともに、ばね部材49の付勢力によって自動的にクリップレバー47が回動し、自動的にシャワーヘッド2を保持した状態から初期姿勢の状態に戻すことができる。
【0105】
次に、ホース保持機構10は、一部の構成要素をヘッド側グリップ機構9と兼用して構成されている。
具体的に、本実施形態のホース保持機構10は、
図5、
図6、
図10から
図13、
図15、
図20から
図23に示すように、クリップレバー47と、フック本体7の後壁部16に設けられた左右一対のホースクリップ挿通孔20と、左右一対のホースクリップ挿通孔20にそれぞれ進退自在に挿入配置され、クリップレバー47の正逆回動に応じて前後方向T2に進退するクリップレバー47の下端部に押圧されて前後に従動する左右一対のホースクリップ50とを備えて構成されている。
【0106】
また、各ホースクリップ挿通孔20には内面の所定位置にクリップ誘導凸部20aが設けられている。さらに、各ホースクリップ50には、所定量進出するとともにクリップ誘導凸部20aに当接して、左右一対のホースクリップ50の先端部同士が離間距離Lを所定の離間距離となるまで近づくように誘導するクリップ当接誘導部50aが設けられている。
【0107】
このように構成したホース保持機構10においては、フック本体7の挿入孔19に、上方からシャワーヘッド2のホースジョイント2aを挿入し、クリップレバー47が回動し、クリップレバー47の下端部が前方に移動すると、クリップレバー47の下端側に押圧されて従動し、左右一対のホースクリップ50が同期した形でフック本体7の挿入孔19内に進出して突出する。
【0108】
突出した一対のホースクリップ50と、フック本体7の内面で囲まれた部分にホースジョイント2aに繋がる下方のホース2bが囲繞される。また、シャワーヘッド2のホースジョイント2aをフック本体7の挿入孔19に完全に挿入して保持させると、ホース保持機構10の一対のホースクリップ50の先端部の間の離間距離L(L2)がホース2bの太さよりも小さくなり、ホース2bが一対のホースクリップ50の先端部の間から抜けなくなる。
【0109】
これにより、本実施形態のシャワーフックAにおいては、シャワーヘッド2を保持するとともに、自動的にシャワーヘッド2に接続したホース2bを保持することができる。よって、フック本体7、ヘッド側グリップ機構9だけでなく(グリップ機構9とは別に)、ホース保持機構10によってホース2bが保持される。よって、保持した状態のシャワーヘッド2から湯水を吐出し、その反力が作用した場合であっても、さらにシャワーヘッド2を強固にしっかりと保持することができ、シャワーヘッド2が引き抜けるなどの不都合をより確実に且つ好適に防止することが可能になる。
【0110】
また、シャワーフックAからシャワーヘッド2を取り外すとともに、ばね部材49の付勢力によって自動的にクリップレバー47が回動し、一対のホースクリップ50を後退させ、元の位置に戻し、ホース2bの保持状態を自動的に解除することができる。
【0111】
したがって、上記構成からなる本実施形態のシャワーフックAにおいては、まず、バー取付固定部6によってシャワーバー3を抱持してシャワーフックAをシャワーバー3に取り付け固定できるように構成したことで、従来と比較し、シャワーフックAの着脱操作を容易にすることができる。また、従来の嵌合溝に嵌合させるものと比較し、水抜き孔を不要にでき、水垢などの汚れが付きにくくすることができ、さらに清掃を容易に行うことが可能になる。
【0112】
また、シャワーフックAが横方向T1に延設されたシャワーバー3に取り付けるように構成されるとともに、シャワーバー3を抱持して取り付け固定するように構成されていることにより、例えば、手摺りなどをシャワーバー3として用いる(兼用する)ことが可能になる。
【0113】
さらに、バー取付固定部6が、クランプ部材12をヘッドホルダ部5の上端側に接続して設けられたヒンジ11で横方向T1に延びる回動軸O1周りに回動可能に設けることによって、横方向T1に延設されたシャワーバー3に対し上方からクランプ部材12を被せるようにしてシャワーフックAを任意の位置に取り付け固定することが可能になる。これにより、横方向T1に延びるシャワーバー3に対するシャワーフックAの着脱操作を非常に容易に行うことが可能になる。
【0114】
また、横方向T1に延びるシャワーバー3にシャワーフックAを取り付けた状態で、入浴者M等の視界に最も入りやすいヘッドホルダ部5とバー取付固定部6の上面26が滑らかに連続的に繋がる連続面として形成されていることで、シャワーフックAの見栄えを非常に良くすることができる。また、水垢等で汚れやすいヘッドホルダ部5とバー取付固定部6の上面26が滑らかに連続的に繋がる連続面として形成されていることで、清掃を容易に行うことも可能になる。さらに、手摺りなどをシャワーバー3に兼用した場合には、入浴者Mなどが手摺り3を手で握って移動する際にシャワーフックAの上面26に凹凸がないことでシャワーフックAが入浴者Mなどの移動の邪魔になることを抑止できる。
【0115】
さらに、ヘッドホルダ部5及びバー取付固定部6の上面26を平面状で面一に形成し、ヘッドホルダ部5及びバー取付固定部6の上面26が水平に配されてシャワーバー3の平面状に形成された上面と平行になるようにしたことで、例えば、バー取付固定部6の上端側の肉厚を薄くするほど、シャワーバー3とシャワーフックAの一体性を演出することができ、シャワーフックAの見栄えを大幅に良くすることができる。また、このように構成することによって、入浴者などが手摺り3を手で握って移動する際にシャワーフックAが移動の邪魔になることをより確実に抑止できる。
【0116】
また、クランプ部材12を着脱可能に保持するロック機構14を備えることにより、ロック機構14を操作してシャワーフックAを容易に着脱することが可能になるとともに、シャワーフックAをシャワーバー3にガタツキなどが生じないように好適に取り付け固定することが可能になる。また、ロック機構14が、入浴者M等の視界に入りにくいクランプ部材12の下端側に設けられることで、シャワーフックAの見栄えを良くすることができる。
【0117】
さらに、シャワーバー3の外周面の上面から背面と重なる部分のクランプ部材12の外面がシャワーバー3の外周面に沿うように形成されていることにより、シャワーバー3とシャワーフックAの一体性を演出することができ、シャワーフックAの見栄えを大幅に良くすることができる。
【0118】
よって、本実施形態のシャワーフックAによれば、シャワーフックAを容易に、所望の位置に移動させることができ、従来と比較し、シャワーフックAの取扱性、利便性、意匠性を大幅に向上させることが可能になる。
【0119】
以上、本発明に係るシャワーフックの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0120】
例えば、本実施形態では、水平の横方向に延設された手摺り3をシャワーバーとして兼用し、この手摺り3に本発明に係るシャワーフックAを取り付けるものとして説明を行った。これに対し、本発明に係るシャワーフックAは、水平の横方向T1、斜め方向、鉛直の上下方向T3に延びるシャワーバー3、さらにこれら各延設方向を組み合わせて構成されたシャワーバー3に取り付けて用いても勿論構わない。また、必ずしもシャワーフックAを取り付けるシャワーバー3は手摺りを兼ねたものでなくてもよい。
【0121】
また、本実施形態のシャワーフックAは、ロックを解除し、シャワーバー3上をスライドさせて所望の位置に移動させ、再度ロックすることによって、任意の位置にシャワーフックAを配置して使用することも可能である。
【0122】
ちなみに、例えば、上下方向T3に延びるシャワーバー3に本発明に係るシャワーフックAを取り付ける場合には、ヒンジ11の軸線O1が上下方向T3に配されるようにヘッドホルダ部5に対してバー取付固定部6を90度相対的に変位(回転移動)させた形でシャワーフックAを構成すればよい。この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0123】
また、予め、ヘッドホルダ部5に対してバー取付固定部6を回動可能に構成し、どのような角度のシャワーバー3に対してもシャワーフックAを任意の位置に取り付けできるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 ユニットバス
2 シャワーヘッド
2a ホースジョイント(シャワーヘッドの下端部側)
2b ホース
3 シャワーバー/手摺り
5 ヘッドホルダ部
6 バー取付固定部
7 フック本体
9 ヘッド側グリップ機構
10 ホース保持機構
11 ヒンジ
12 クランプ部材(カバー部材)
13 連結部材
14 ロック機構
15 バー側グリップ機構
16 後壁部
17 側壁部
19 挿入孔
25 掛止部
25a 掛止面
26 上面
27 下面
28 側面
32 ロック受け部
40 ロック操作部材
41 操作つまみ部
46 グリップ部材
47 クリップレバー
48 グリップ部材
49 ばね部材
50 ホースクリップ
A シャワーフック
M 入浴者などの使用者
O1 回動軸
O2 軸線
O3 軸線
O4 軸線
T1 横方向/幅方向
T2 前後方向
T3 上下方向